以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明が適用された運転支援システム100の概略的な構成の一例を示す図である。図1に示す運転支援システム100は、複数の車両(車両A、B)の各々で1つずつ用いられる運転支援ユニット1を含んでいる。
ここで、図2を用いて、運転支援ユニット1の概略的な構成について説明を行う。図2は、運転支援ユニット1の概略的な構成の一例を示す図である。図2に示すように運転支援ユニット1は、センサユニット2、携帯端末3、及び通信機4からなっている。携帯端末3及び通信機4が請求項の運転支援装置に相当する。
センサユニット2は、自車のウィンカレバー5に取り付けられ、ウィンカレバー5の操作によって生じる加速度を検出する。ウィンカレバー5は、右左折や進路変更の際に、その方向を周囲に示すための操作部材であって、ターンシグナルスイッチやターンシグナルレバーと呼ぶこともある。
ウィンカレバー5は、操作ノブの位置が少なくとも鉛直方向(つまり、重力加速度方向)に変移するように、中立位置から自車の上下方向に揺動操作可能に設けられている。また、ウィンカレバー5は、車両に固定された一端を支点にした他端の位置の、自車の上下方向の可動範囲が数十度未満となるように設けられている。
ウィンカレバー5は、例えば左折や左方向に進路変更の場合には中立位置から上方向に操作され、右折や右方向に進路変更の場合には中立位置から下方向に操作される。以降では、ウィンカレバー5が上方向に操作された状態を左位置、下方向に操作された状態を右位置、非操作状態を中立位置と呼ぶ。
センサユニット2は、図3に示すように、車両のステアリングコラムから延びるスティック状のウィンカレバー5に取り付けられる。センサユニット2は、ウィンカレバー5に固着される構成としてもよいが、カーシェアリングのように車両を乗り換えた場合にも利用可能とできるように、ウィンカレバー5から着脱式に装着される構成とすることが好ましい。センサユニット2がウィンカレバー5に取り付けられることにより、ウィンカレバー5の操作ノブの位置がウィンカレバーの操作によって変移するのに伴って、センサユニット2の位置も変移する。
センサユニット2は、加速度センサ21、センサ側Bluetooth(登録商標、以下BT)通信部22、及びセンサ側制御部23を備えている。加速度センサ21、センサ側BT通信部22、及びセンサ側制御部23には、センサユニット2に内蔵のバッテリから電力が供給されるものとする。なお、車両のシガレット電源のようなセンサユニット2の外部の電源から電力を供給する構成としてもよいが、センサユニット2の小型化や配線の手間等の観点から内蔵のバッテリを用いる構成が好ましい。
加速度センサ21は、物理量としての加速度を検出するセンサである。例えば、加速度センサ21はそれぞれが直交する3軸における加速度を検出する3軸加速度センサであるものとする。なお、加速度センサ21は、自車の上下方向の加速度を検出できるようにセンサユニット2がウィンカレバー5に取り付けられる場合には、1軸加速度センサや2軸加速度センサであってもよい。加速度センサ21は、自車が停車中、且つ、ウィンカレバー5の非操作時には、重力加速度を検出することになる。なお、加速度センサ21が請求項の物理量検出部に相当する。
センサ側BT通信部22は、送受信アンテナを備え、自車の携帯端末3との間でBluetoothの規格に従った通信(以下、BT通信)を行うことで、情報のやり取りを行う。センサ側BT通信部22が請求項の検出結果送信部に相当する。
センサ側制御部23は、通常のコンピュータとして構成されており、内部には周知のCPU、ROMやRAMやEEPROMなどのメモリ、I/O、及びこれらの構成を接続するバスライン(いずれも図示せず)などが備えられている。センサ側制御部23は、加速度センサ21、センサ側BT通信部22から入力された各種情報に基づき、ROMに予め記憶されているプログラムをCPUが実行することによって各種の処理を実行する。
図4に示すように、センサ側制御部23は、機能ブロックとして、検出値取得部231、検出値蓄積部232、要求受信部233、及び検出値送信処理部234を備えている。
検出値取得部231は、加速度センサ21から逐次出力されてくる加速度の検出値を逐次取得する。検出値取得部231は、取得した検出値を検出値蓄積部232に蓄積する。検出値取得部231は、取得した検出値を検出値蓄積部232に蓄積する場合には、検出値のタイムスタンプを紐付けして蓄積する。また、検出値蓄積部232は、割り当てられたメモリ容量を超える場合に、より古い情報から順に消去していく構成とすればよい。他にも、記憶してから一定時間経過した検出値を消去する構成としてもよい。
要求受信部233は、携帯端末3の携帯側BT通信部31から送信されてくる後述の送信要求や送信頻度要求や停止要求といった要求を、センサ側BT通信部22を介して受信する。
検出値送信処理部234は、要求受信部233で受信した携帯端末3からの要求に従った処理を行う。例えば、送信要求を受信した場合には、検出値蓄積部232に蓄積されている直近の複数回分の検出値を読み出す。そして、読み出した複数回分の検出値の移動平均を算出し、算出した移動平均値を、ウィンカレバー5の操作検出情報として、センサ側BT通信部22から送信させる。よって、検出値送信処理部234が請求項の送信制御部に相当する。なお、検出値送信処理部234は、操作検出情報をセンサ側BT通信部22から送信させないことがデフォルトであるものとする。
なお、検出値送信処理部234が、操作検出情報として上述の移動平均値をセンサ側BT通信部22から送信させる構成に限らず、検出値蓄積部232に蓄積されている直近の1回分の検出値をセンサ側BT通信部22から送信させる構成としてもよい。
また、検出値送信処理部234は、送信頻度要求を受信した場合には、送信頻度要求で要求されている送信頻度で、センサ側BT通信部22から操作検出情報を逐次送信させる。さらに、検出値送信処理部234は、停止要求を受信した場合には、センサ側BT通信部22からの操作検出情報の送信を停止させる。
図2に戻って、携帯端末3は、センサユニット2からのセンサ情報の送信に関する要求をセンサユニット2に対して行ったり、自端末が用いられる車両(以下、自車)の運転支援に関連する処理を行ったりする。携帯端末3としては、例えばスマートフォン等の多機能携帯電話機を利用する構成とすればよい。携帯端末3は、携帯側BT通信部31、位置検出器32、表示部34、音声出力部35、及び携帯側制御部36を備えている。
携帯側BT通信部31は、送受信アンテナを備え、自車のセンサユニット2や通信機4との間でBT通信を行うことで、情報のやり取りを行う。なお、本実施形態では、携帯端末3とセンサユニット2や通信機4との間での通信を、BT通信で行う構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えばZigBee(登録商標)等の近距離無線通信規格やIEEE802.11等の無線LAN規格などに従った無線通信によって行う構成としてもよいし、USB通信等の有線通信によって行う構成としてもよい。
位置検出器32は、人工衛星からの電波に基づいて自端末の現在位置(以下、端末位置)を検出するGPS(global positioning system)のためのGPS受信機33といったセンサから得られる情報をもとに、端末位置の検出を逐次行う。なお、GPS受信機33以外のセンサを用いる構成としてもよい。また、端末位置は、例えば緯度・経度で表すものとする。
表示部34は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどを用いて構成され、携帯側制御部36の指示に従って、テキストや画像を表示する。音声出力部35は、スピーカなどを用いて構成され、携帯側制御部36の指示に従って、音声を出力する。
携帯側制御部36は、通常のコンピュータとして構成されており、内部には周知のCPU、ROMやRAMやEEPROMなどのメモリ、I/O、及びこれらの構成を接続するバスライン(いずれも図示せず)などが備えられている。携帯側制御部36は、携帯側BT通信部31、位置検出器32から入力された各種情報に基づき、ROMに予め記憶されているプログラムをCPUが実行することによって各種の処理を実行する。
図5に示すように、携帯側制御部36は、機能ブロックとして、端末センサ情報取得部361、センサ情報蓄積部362、端末センサ情報送信部363、転送情報受信部364、操作検出情報受信部365、操作状態特定部366、対象物距離特定部367、障害物有無判定部368、右左折判定部369、支援タイミング判定部370、送信要求部371、送信頻度決定部372、送信頻度要求部373、支援判定部374、運転支援部375、支援終了推定部376、及び停止要求部377を備えている。
センサ情報蓄積部362は、例えばRAMやEEPROM等の電気的に書き換え可能なメモリに構築されるものとする。なお、ここでは、便宜上、一般的な多機能携帯電話機が有している機能に関する構成のうち、本発明の説明に不要なものについては説明を省略している。
端末センサ情報取得部361は、位置検出器32で逐次検出する端末位置といった端末センサ情報を、センサ情報蓄積部362に蓄積する。センサ情報蓄積部362に端末センサ情報を蓄積する場合には、各端末センサ情報を検出したときの時刻の情報(つまり、タイムスタンプ)を紐付けして蓄積する。また、センサ情報蓄積部362は、割り当てられたメモリ容量を超える場合に、より古い情報から順に消去していく構成とすればよい。他にも、記憶してから一定時間経過した端末センサ情報を消去する構成としてもよい。
端末センサ情報送信部363は、自車の通信機4から携帯側BT通信部31を介して、端末センサ情報の取得要求を受けた場合に、センサ情報蓄積部362に蓄積されている複数回分の端末センサ情報をタイムスタンプとともに読み出す。そして、読み出した端末センサ情報及びタイムスタンプを、携帯側BT通信部31を介して通信機4に送信する。一例として、前述の端末位置、及びそれらのタイムスタンプを送信する。なお、端末位置は複数回分読み出す構成としてもよい。
転送情報受信部364は、自車の通信機4が他車の通信機4から受信した後述の車両情報を、携帯側BT通信部31を介して受信する。他車の通信機4が請求項の自車外の通信装置に相当する。
操作検出情報受信部365は、自車のセンサユニット2のセンサ側BT通信部22から送信されてくる前述の操作検出情報を、携帯側BT通信部31を介して受信する。操作検出情報は、加速度センサ21の検出値及びそのタイムスタンプである。
操作状態特定部366は、操作検出情報受信部365で受信した操作検出情報(つまり、加速度センサ21の加速度検出値)をもとに、ウィンカレバー5の操作状態を特定する。一例としては、以下のようにすればよい。例えば、ウィンカレバー5が中立位置の場合における加速度センサ21の加速度検出値を予め操作状態特定部366が取得しておき、自車の上下方向の加速度検出値(以下、基準値)を記憶しておく。そして、操作検出情報受信部365で受信した操作検出情報が示す自車の上下方向の加速度検出値が基準値よりも所定値以上大きい場合に右位置、所定値以上小さい場合に左位置と特定する。
他にも、ウィンカレバー5を中立位置から左位置、右位置にした場合における加速度センサ21の加速度検出値を予め操作状態特定部366に記憶しておく構成としてもよい。この場合には、操作検出情報受信部365で受信した操作検出情報が示す自車の上下方向の加速度検出値が、これらの値と基準値とのどの値に近いかによって、ウィンカレバー5の操作状態を特定すればよい。
なお、対象物距離特定部367、障害物有無判定部368、右左折判定部369、支援タイミング判定部370、送信要求部371、送信頻度決定部372、送信頻度要求部373、支援判定部374、運転支援部375、支援終了推定部376、及び停止要求部377については後に詳述する。
図2に戻って、通信機4は、他車の通信機4との間で無線通信によって情報の送受信を行う。通信機4は、車両に搭載される構成に限らず、ユーザ(つまり、人)に携行可能なものが車両に持ち込まれる構成であってもよい。通信機4は、通信機側BT通信部41、車外通信部42、及び通信機側制御部43を備えている。
通信機側BT通信部41は、送受信アンテナを備え、自車の携帯端末2との間でBT通信を行うことで、情報のやり取りを行う。
車外通信部42は、送受信アンテナを備え、他車の通信機4との間で、通信網を介さずに、例えばブロードキャスト型の無線通信によって情報の送受信を行う。つまり、車車間通信を行う。700MHz帯の電波を用いた無線通信の場合には、自車位置を中心とした例えば半径約1kmの範囲に存在する他車の通信機4との間で車車間通信を行い、5.9GHz帯の電波を用いた無線通信の場合には、自車位置を中心とした例えば半径約500mの範囲に存在する他車の通信機4との間で車車間通信を行う。車外通信部42は、通信機側制御部43の指示に従った送信周期で情報を送信する。
通信機側制御部43は、通常のコンピュータとして構成されており、内部には周知のCPU、ROMやRAMやEEPROMなどのメモリ、I/O、及びこれらの構成を接続するバスライン(いずれも図示せず)などが備えられている。通信機側制御部43は、通信機側BT通信部41、車外通信部42から入力された各種情報に基づき、ROMに予め記憶されているプログラムをCPUが実行することによって各種の処理を実行する。
図6に示すように、通信機側制御部43は、機能ブロックとして、端末センサ情報受信部431、車両情報送信部432、車両情報受信部433、及び車両情報転送部434を備えている。
端末センサ情報受信部431は、自車の携帯端末3から送信された端末センサ情報を、通信機側BT通信部41を介して受信する。車両情報送信部432は、端末センサ情報受信部431で受信した端末センサ情報から自車の車両情報を生成し、生成した車両情報を、車外通信部42を介して送信する。
車両情報受信部433は、他車の通信機4から送信された上述の車両情報を、車外通信部42を介して受信する。車両情報が請求項の位置決定用情報に相当し、車両情報受信部433が請求項の受信部に相当する。車両情報転送部434では、車両情報受信部433で受信した他車の車両情報を、通信機側BT通信部41を介して自車の携帯端末3に送信する。
ここで、図7のフローチャートを用いて、通信機4の通信機側制御部43での車両情報の送信に関連する処理(以下、車両情報送信関連処理)についての説明を行う。図7のフローチャートは、通信機4の電源がオンになったときに開始する構成とすればよい。
まず、ステップS1では、端末センサ情報受信部431が端末センサ情報受信処理を行って、ステップS2に移る。端末センサ情報受信処理では、通信機側BT通信部41を介して、端末センサ情報の取得要求を携帯端末3に送信し、この取得要求に応じて携帯端末3から返信されてくる端末センサ情報を、通信機側BT通信部41を介して受信する。
なお、通信機4から端末センサ情報の取得要求を携帯端末3に送信し、この取得要求に応じて返信されてくる端末センサ情報を端末センサ情報受信部431が受信する構成に必ずしも限らない。例えば、携帯端末3から、センサ情報蓄積部362に蓄積されている最新の端末センサ情報を一定時間ごとに送信し、送信されてくる端末センサ情報を端末センサ情報受信部431が逐次受信する構成としてもよい。
ステップS2では、車両情報送信部432が送信車両情報生成処理を行って、ステップS3に移る。送信車両情報生成処理では、端末センサ情報受信部431が受信した端末センサ情報から、車車間通信で送信する車両情報を生成する。
送信車両情報生成処理では、端末位置を自車の車両位置として車両情報を生成する。また、送信車両情報生成処理では、自車の方位や速度も車両情報として生成する構成としてもよい。
自車の方位については、時系列に並んだ複数の端末位置から最小二乗法で求めた近似線が伸びる方位を自車の方位(つまり、進行方向)として車両情報を生成する。ここでは、自車の方位を端末位置から求める構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、携帯端末3が地磁気センサを備えており、この地磁気センサの検出結果を利用可能な場合には、この地磁気センサの検出結果を利用して自車の方位を求める構成とすればよい。
自車の車速については、時系列に並んだ複数の端末位置から、自端末を用いる自車の単位時間あたりの移動距離を求め、この単位時間あたりの移動距離を車速として算出する。
本実施形態では、自車の携帯端末3から得られる端末センサ情報から車両情報を生成する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、通信機4に、GPS受信機33のような衛星測位システムの受信機を少なくとも含む場合には、この受信機を用いて検出できる自車の通信機4の位置から車両情報を生成する構成としてもよい。この場合、自車の方位、自車の車速は、端末位置から算出する前述の方法と同様の方法を用いることで、自車の通信機4の位置から算出する構成とすればよい。
ステップS3では、車両情報送信部432が車両情報送信処理を行って、ステップS4に移る。車両情報送信処理では、送信車両情報生成処理で生成した車両情報を、車外通信部42を介して送信する。車両情報の送信は、例えば100msecごとなどの通信機4での車車間通信の送信周期に従って行うものとする。
車両情報送信処理で送信する車両情報には、自車の車両位置、このタイムスタンプ、送信元の車両を特定するための識別情報が含まれる。識別情報としては、自車を特定するための車両IDや自車の通信機4を特定するための機器IDを用いることができる。なお、車両情報として自車の方位や車速も送信する場合には、これらのタイムスタンプも車両情報に含める構成とすればよい。
ステップS4では、車両情報送信関連処理の終了タイミングであった場合(ステップS4でYES)には、フローを終了する。一方、車両情報送信関連処理の終了タイミングでなかった場合(ステップS4でNO)には、ステップS1に戻ってフローを繰り返す。車両情報送信関連処理の終了タイミングの一例としては、通信機4の電源がオフになったときなどがある。
次に、図8のフローチャートを用いて、携帯端末2の携帯側制御部36での運転支援に関連する処理(以下、運転支援関連処理)についての説明を行う。図8のフローチャートは、運転支援を行うためのアプリケーションプログラム(以下、運転支援アプリ)が起動している状態で、自車の通信機4が他車の通信機4から受信した車両情報を、携帯側BT通信部31を介して受信したときに開始される構成とすればよい。運転支援アプリは、携帯端末2の図示しない操作入力部へのユーザ操作によって起動する構成とすればよい。
まず、ステップS21では、支援タイミング判定部370が支援タイミング判定処理を行って、ステップS22に移る。支援タイミング判定処理では、支援判定部374での判定が必要な状況か否か、つまり、運転支援の準備をすべき状態(以下、支援タイミング)か否かを判定する。支援タイミング判定処理では、一例として、障害物有無判定部368や右左折判定部369での処理結果をもとに、支援タイミングか否かを判定する。
例えば、障害物有無判定部368での処理結果をもとに、支援タイミングか否かを判定する場合は、以下の通りである。障害物有無判定部368は、他車の通信機4から受信した当該他車の車両位置及び方位と、自車の車両位置及び方位とから、自車の左右の側方から後側方にかけての他車の有無を判定する。そして、支援タイミング判定部370は、障害物有無判定部368で他車ありと判定した場合に、支援タイミングと判定する一方、障害物有無判定部368で他車なしと判定した場合に、支援タイミングでないと判定する。なお、他車の方位は、通信機側制御部43が、他車の複数回分の車両位置から最小二乗法で求めた近似線から算出する構成としてもよい。
障害物有無判定部368での判定は、一例として以下のようにして行う構成とすればよい。例えば自車の車両位置の座標(緯度=y座標、経度=x座標)を原点とし、自車の方位が示す方向をy軸の正方向とする2次元座標系の座標に、他車の車両位置及び方位を置き換える。そして、他車の車両位置のy座標が所定の負の値以上且つ所定の正の値以下であって、他車の車両位置のx座標が所定の負の値以上且つ所定の正の値以下であった場合に、自車の左右の側方から後側方にかけての他車ありと判定する構成とすればよい。
y座標の所定の正の値及び所定の負の値、並びにx座標の所定の正の値及び負の値は、自車の左右の側方から後側方にかけて他車ありと言える程度の範囲におさまるような値であって、任意に設定可能な値である。
障害物有無判定部368で用いる自車の車両位置としては、自端末のセンサ情報蓄積部362に蓄積している端末位置のうち、他車の通信機4から受信した他車の車両位置のタイムスタンプに最も時刻が近いタイムスタンプが付与された端末位置を読み出して用いる構成とすればよい。
障害物有無判定部368で用いる自車の方位は以下のようにして得る構成とすればよい。まず、自端末のセンサ情報蓄積部362に蓄積している端末位置のうち、他車の通信機4から受信した他車の車両位置のタイムスタンプにより時刻が近いタイムスタンプが付与された、時系列に並ぶ複数点の端末位置を読み出す。そして、読み出した複数点の端末位置から最小二乗法で求めた近似線が伸びる方位を自車の方位として得る。
また、右左折判定部369での処理結果をもとに、支援タイミングか否かを判定する場合は、以下の通りである。右左折判定部369は、自車の車速や地図上の車両位置から、右左折の兆候の有無を判定する。そして、支援タイミング判定部370は、右左折判定部369で右左折の兆候ありと判定した場合に、支援タイミングと判定する一方、右左折判定部369で右左折の兆候なしと判定した場合に、支援タイミングでないと判定する。
自車の車速については、自端末のセンサ情報蓄積部362に蓄積している端末位置のうち、時系列に並んだ複数の端末位置から、自端末を用いる自車の単位時間あたりの移動距離を求め、この単位時間あたりの移動距離を車速として算出する構成とすればよい。地図上の車両位置を用いる構成とする場合には、公知の地図データを携帯端末3が取得や保有する構成とすればよい。
右左折判定部369での判定は、一例として以下のようにして行う構成とすればよい。例えば、自車の車速が所定速度以下であった場合に、自車の右左折の兆候ありと判定する。また、自車の車両位置と地図データとから、自車の進路前方の交差点までの距離(以下、交差点距離)を算出し、算出した交差点距離が所定距離以下、且つ、自車の車速が所定速度以下の場合に、自車の右左折の兆候ありと判定する構成としてもよい。ここで言うところの所定速度及び所定距離は任意の値であって、例えば所定速度は20km/h、所定距離は30m等とすればよい。他にも、自車の車両位置と地図データとから、自車が右折専用レーンや左折専用レーンに位置することを特定した場合に、自車の右左折の兆候ありと判定する構成としてもよい。
ステップS22では、支援タイミング判定処理で支援タイミングと判定した場合(ステップS22でYES)には、ステップS23に移る。一方、支援タイミング判定処理で支援タイミングでないと判定した場合(ステップS22でNO)には、ステップS28に移る。
ステップS23では、送信要求部371が送信要求処理を行って、ステップS24に移る。送信要求処理では、センサユニット2に対して操作検出情報の送信を要求する送信要求を、携帯側BT通信部31を介してセンサユニット2に送信する。携帯端末3から送信要求を送信する、つまり、送信要求を行うと、センサユニット2からは、加速度センサ21の検出値を含む操作検出情報が送信されてくる。
ステップS24では、支援判定部374が支援実施判定処理を行って、ステップS25に移る。支援実施判定処理では、センサユニットから送信されてきた操作検出情報をもとに操作状態特定部366で特定したウィンカレバー5の操作状態に応じて、運転支援部375での後述の運転支援処理を実施するか否かを判定する。
一例としては、操作状態特定部366で特定したウィンカレバー5の操作状態が前述の右位置であって、且つ、障害物有無判定部368で自車の右の側方から後側方の他車ありと判定していた場合に、運転支援処理を実施すると判定する。また、操作状態特定部366で特定したウィンカレバー5の操作状態が前述の左位置であって、且つ、障害物有無判定部368で自車の左の側方から後側方の他車ありと判定していた場合に、運転支援処理を実施すると判定する。
さらに、操作状態特定部366で特定したウィンカレバー5の操作状態が前述の中立位置であった場合や、障害物有無判定部368で自車の左右の側方から後側方の他車なしと判定していた場合には、運転支援処理を実施すると判定しない。また、ウィンカレバー5の操作状態が示す自車の移動方向と、障害物有無判定部368で自車の側方から後側方の他車ありと判定した方向との左右が食い違っていた場合にも、運転支援処理を実施すると判定しない。
ステップS25では、運転支援処理を実施すると支援実施判定処理で判定した場合(ステップS25でYES)には、ステップS26に移る。一方、運転支援処理を実施すると支援実施判定処理で判定しなかった場合(ステップS25でNO)には、ステップS29に移る。
ステップS26では、運転支援部375が運転支援処理を実施し、ステップS27に移る。運転支援処理では、自車が右左折や車線変更しようとしている方向に他車が存在することをユーザに知らせる旨の報知を、表示部34や音声出力部35から行わせる。
ステップS27では、支援終了推定部376が運転支援処理を終了するタイミングか否かを推定する。運転支援処理を終了するタイミングとは、言い換えると、運転支援処理が必要な状況でなくなった状態である。そして、運転支援処理を終了するタイミングと推定した場合(ステップS27でYES)には、ステップS28に移る。一方、運転支援処理を終了するタイミングと推定しなかった場合(ステップS27でNO)には、ステップS26に戻ってフローを繰り返す。
支援終了推定部376での推定は、一例として以下のようにして行う構成とすればよい。例えば、自車について、直近の複数の車両位置を繋いだ軌跡の近似曲線を求め、求めた近似曲線の曲率半径が所定値未満となってから再度所定値以上となった場合に、運転支援処理を終了するタイミングと推定する。ここで言うところの所定値とは、車両が直進していると言える程度の値とすればよい。他にも、操作状態特定部366で特定したウィンカレバー5の操作状態が中立位置となった場合に、運転支援処理を終了するタイミングと推定する構成としてもよい。
ステップS28では、停止要求部377が停止要求処理を行って、ステップS33に移る。停止要求処理では、センサユニット2に対して操作検出情報の送信停止を要求する停止要求を、携帯側BT通信部31を介してセンサユニット2に送信する。携帯端末3から停止要求を送信する、つまり、停止要求を行うと、センサユニット2からの操作検出情報の送信が停止される。
ステップS29では、ステップS21と同様にして支援タイミング判定部370が支援タイミング判定処理を行って、ステップS30に移る。ステップS30では、支援タイミング判定処理で支援タイミングと判定した場合(ステップS30でYES)には、ステップS31に移る。一方、支援タイミング判定処理で支援タイミングでないと判定した場合(ステップS30でNO)には、ステップS28に移る。
ステップS31では、送信頻度決定部372が送信頻度決定処理を行い、ステップS32に移る。送信頻度判定処理では、対象物距離特定部367での特定結果をもとに、センサユニット2から操作検出情報を送信させる送信頻度を決定する。対象物距離特定部367は、他車の通信機4から受信した当該他車の車両位置と、自車の車両位置とから、自車と他車との直線距離を算出し、自車から他車までの距離(以下、自他距離)を特定する。
送信頻度決定処理では、対象物距離特定部367で特定した自他距離が短くなるほど、センサユニット2から操作検出情報を送信させる送信頻度を高く決定する。一例として、複数に段階分けされた距離ごとに送信頻度が予め対応付けられており、対象物距離特定部367で特定した自他距離が、どの段階に該当するかによって送信頻度を決定する構成とすればよい。なお、複数の他車が存在する場合には、自車に最も近い他車との自他距離を用いる構成とする。
他車が自車から遠いほど、支援実施判定処理や運転支援処理を迅速に開始する必要性が低いと考えられるので、必要性に応じて、センサユニット2から操作検出情報を送信させる送信頻度を抑え、センサユニット2の電力消費を抑えることが可能になる。
ステップS32では、送信頻度要求部373が送信頻度要求処理を行い、ステップS24に戻ってフローを繰り返す。送信頻度要求処理では、センサユニット2に対して、送信頻度判定処理で決定した送信頻度で加速度センサ21の検出値を送信するように要求する送信頻度要求を、携帯側BT通信部31を介してセンサユニット2に送信する。携帯端末3から送信頻度要求を送信する、つまり、送信頻度要求を行うと、要求した送信頻度でセンサユニット2から操作検出情報の送信が行われるようになる。
ステップS33では、運転支援関連処理の終了タイミングであった場合(ステップS33でYES)には、フローを終了する。一方、運転支援関連処理の終了タイミングでなかった場合(ステップS33でNO)には、ステップS21に戻ってフローを繰り返す。運転支援関連処理の終了タイミングの一例としては、運転支援アプリが終了したときなどがある。
実施形態1の構成によれば、センサユニット2の検出値送信処理部234が、携帯端末3から送信要求を受けるまでは操作検出情報を送信させず、送信要求を受けた場合に操作検出情報を送信させるので、センサユニット2から操作検出情報を周期的に常時出力する場合に比べてセンサユニット2の無駄な電力消費を抑えることができる。さらに、携帯端末3からの送信要求は、支援タイミング判定処理で支援タイミングと判定した場合に行うので、運転支援の準備をすべき状態になったときにはじめて、加速度センサ21での検出値を携帯端末3が得ることが可能になる。そして、運転支援の準備をすべき状態になったタイミングで、加速度センサ21での検出値から特定したウィンカレバー5の操作状態をもとに運転支援を実施するか否かを判定することが可能になる。
その結果、車両のウィンカレバー5の操作に応じて生じる加速度をセンサユニット2で検出した結果をもとに、運転支援の必要なタイミングで運転支援を実施することを可能にしながらも、当該センサユニット2の無駄な電力消費を抑えることが可能になる。
また、実施形態1の構成によれば、運転支援処理を開始した後に、当該運転支援処理が必要な状況でなくなったと支援終了推定部376で推定した場合に、携帯端末2がセンサユニット2に停止要求を行うので、運転支援が必要でなくなった後のセンサユニット2の無駄な電力消費を抑えることが可能になる。
実施形態1では、ステップS29〜ステップS32の処理を行う構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、ステップS29〜ステップS32の処理を行わず、ステップS25において、運転支援処理を実施すると支援実施判定処理で判定しなかった場合に、ステップS28に移る構成(以下、変形例1)としてもよい。
また、実施形態1では、携帯端末3から停止要求を受信した場合に、センサユニット2の検出値送信処理部234が操作検出情報の送信を停止させる構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、上述の停止要求を用いずに、送信要求を受信してからの経過時間が所定時間に達した場合に、検出値送信処理部234が操作検出情報の送信を停止させる構成(以下、変形例2)としてもよい。ここで言うところの所定時間とは、任意に設定可能な時間である。変形例2の構成を採用する場合には、図8のフローのステップS28の処理を省く構成とすればよい。
なお、実施形態1では、運転支援システム100において、自車も他車も運転支援ユニット1を用いる構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、他車については、前述の車両情報を送信できる通信機を用いさえすれば、運転支援ユニット1を用いる必要はない。また、歩行者に携行される通信機から送信される歩行者の位置等の情報を前述の車両情報と同様に用いる構成としてもよい。つまり、本発明は、車車間通信に限らず、歩車間通信にも適用できる。
(実施形態2)
本発明は前述の実施形態1に限定されるものではなく、次の実施形態2も本発明の技術的範囲に含まれる。以下では、この実施形態2について説明を行う。なお、説明の便宜上、前述の実施形態の説明に用いた図に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
実施形態2の運転支援ユニット1aは、他車の通信機4との間で無線通信を行うための通信機4の代わりに、自車の自律センサとして機能する障害物検出装置6を含む点、及び携帯側制御部36での処理が一部異なる点を除けば、実施形態1の運転支援ユニット1と同様である。
ここで、図9を用いて、運転支援ユニット1aの概略的な構成について説明を行う。図図9に示すように運転支援ユニット1aは、センサユニット2、携帯端末3、及び障害物検出装置6からなっている。携帯端末3及び障害物検出装置6が請求項の運転支援装置に相当する。
障害物検出装置6は、自車の周辺の障害物を検出する。障害物検出装置6は、障害物センサ61、障害物検出側BT通信部62、及び障害物検出側制御部63を備えている。
障害物センサ61は、自車周辺の障害物を検出する自律センサである。障害物センサ61は、例えば周知のレーザレーダであって、レーザ光を自車周辺の所定範囲に照射し、その反射光を受信して、自車周辺の障害物の存在や当該障害物の相対位置を検出し、障害物検出側制御部63へ出力する。障害物センサ61が請求項の測距センサに相当する。障害物の存在や相対位置の検出は、障害物センサ61の信号をもとに障害物検出側制御部63で行う構成としてもよい。
なお、障害物の相対位置の検出は、障害物センサ61として例えば位相モノパルス方式のレーダ装置を用いることで行う構成とすればよい。詳しくは、レーザ光の送受波の位相差をもとに障害物の方位を検出し、この方位と障害物までの距離とから障害物の相対位置を検出する構成とすればよい。また、障害物センサ61としては、他にも障害物の相対位置を検出するのに用いることができるミリ波レーダやカメラ等の他のセンサを用いる構成としてもよい。
障害物検出側BT通信部62は、送受信アンテナを備え、自車の携帯端末3との間でBT通信を行うことで、情報のやり取りを行う。なお、障害物検出装置6と携帯端末3との間の通信は、BT通信に限らず、ZigBee等の近距離無線通信規格やIEEE802.11等の無線LAN規格などに従った無線通信によって行う構成としてもよいし、USB通信等の有線通信によって行う構成としてもよい。
障害物検出側制御部63は、通常のコンピュータとして構成されており、内部には周知のCPU、ROMやRAMやEEPROMなどのメモリ、I/O、及びこれらの構成を接続するバスライン(いずれも図示せず)などが備えられている。障害物検出側制御部63は、障害物センサ61、障害物検出側BT通信部61から入力された各種情報に基づき、ROMに予め記憶されているプログラムをCPUが実行することによって各種の処理を実行する。障害物検出側制御部63は、障害物センサ61で検出した自車周辺の障害物の相対位置といった障害物情報を、障害物検出側BT通信部62を介して携帯端末3に送信する。
図10に示すように、携帯側制御部36は、機能ブロックとして、端末センサ情報取得部361、センサ情報蓄積部362、端末センサ情報送信部363、操作検出情報受信部365、操作状態特定部366、対象物距離特定部367、障害物有無判定部368、右左折判定部369、支援タイミング判定部370、送信要求部371、送信頻度決定部372、送信頻度要求部373、支援判定部374、運転支援部375、支援終了推定部376、停止要求部377、及び障害物情報受信部378を備えている。
障害物情報受信部378は、自車の障害物検出装置6から送信されてくる前述の障害物情報を、携帯側BT通信部31を介して受信する。
実施形態2における対象物距離特定部367は、自車の障害物検出装置6から受信した障害物情報のうちの障害物の相対位置と、自車の車両位置とから、自車と障害物との直線距離を算出し、自車から障害物までの距離を特定する。実施形態2における送信頻度決定部372は、自他距離の代わりに自車から障害物までの距離をもとに、センサユニット2から操作検出情報を送信させる送信頻度を決定する。
実施形態2における障害物有無判定部368は、自車の障害物検出装置6から受信した障害物情報のうちの障害物の相対位置と、自車の車両位置及び方位とから、自車の左右の側方から後側方にかけての障害物の有無を判定する。
障害物有無判定部368での判定は、一例として以下のようにして行う構成とすればよい。例えば自車の車両位置の座標(緯度=y座標、経度=x座標)を原点とし、自車の方位が示す方向をy軸の正方向とする2次元座標系の座標に、障害物の相対位置を置き換える。そして、障害物の相対位置のy座標が所定の負の値以上且つ所定の正の値以下であって、障害物の相対位置のx座標が所定の負の値以上且つ所定の正の値以下であった場合に、自車の左右の側方から後側方にかけての障害物ありと判定する。
y座標の所定の正の値及び所定の負の値、並びにx座標の所定の正の値及び負の値は、自車の左右の側方から後側方にかけて障害物ありと言える程度の範囲におさまるような値であって、任意に設定可能な値である。
また、実施形態2における障害物有無判定部368は、自車の障害物検出装置6がカメラであった場合には、自車の左右の側方から後側方にかけての撮像範囲内の画像から画像認識技術によって障害物を認識した場合に、自車の左右の側方から後側方にかけての障害物ありと判定する構成とすればよい。
実施形態2における支援タイミング判定部370は、一例として、障害物有無判定部368で障害物ありと判定した場合に、支援タイミングと判定する一方、障害物有無判定部368で障害物なしと判定した場合に、支援タイミングでないと判定する。
実施形態2の構成は、通信機4で受信した他車の車両情報を用いる代わりに、障害物検出装置6で検出した自車周辺の障害物情報を用いる。このような構成を採用した場合であっても、車両のウィンカレバー5の操作に応じて生じる加速度をセンサユニット2で検出した結果をもとに、運転支援の必要なタイミングで運転支援を実施することを可能にしながらも、当該センサユニット2の無駄な電力消費を抑えることが可能となる。
なお、実施形態1の構成と実施形態2の構成とを組み合わせ、通信機4と障害物検出装置6とを併用する構成としてもよい。
(実施形態3)
本発明は前述の実施形態1、2に限定されるものではなく、次の実施形態3も本発明の技術的範囲に含まれる。以下では、この実施形態3について説明を行う。なお、説明の便宜上、前述の実施形態の説明に用いた図に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
実施形態3の運転支援システム100aは、他車や歩行者等の移動体で用いられる通信機4から送信される情報を受信するのでなく、交差点に設置された路側機で用いられる通信機7から送信される情報を受信する点を除けば、実施形態1の運転支援システム100と同様である。より詳しくは、他車の通信機4の代わりに通信機7を含む点、並びに携帯端末3の携帯側制御部36と自車の通信機4の通信機側制御部43とでの処理が一部異なる点を除けば、実施形態1の運転支援システム100と同様である。
ここで、図11を用いて、実施形態3の運転支援システム100aの概略的な構成について説明を行う。図11に示す運転支援システム100aは、自車(図中のA参照)に用いられる運転支援ユニット1と、交差点に設置された路側機に用いられる通信機7とを含んでいる。
通信機7は、例えば通信網を介さずにブロードキャスト型の無線通信によって、通信機7を用いる路側機が設置された交差点の信号機8の信号機情報を送信する。信号機情報は、「信号情報」と「信号事象表現情報」とを含む構成とすればよい。「信号情報」は、信号機8の信号制御情報であって、赤信号と同時に提示される矢印も含む信号機8の灯色状態等である。「信号事象表現情報」は、信号機8の設置された交差点の停止線の位置座標や交差点中心の位置座標等である。
実施形態3では、自車の通信機4の車外通信部42は、通信機7から送信されてくる信号を、送受信アンテナを介して受信する。つまり、路車間通信を行う。以降では、通信機7を用いる路側機が設置された交差点を対象交差点と呼ぶ。
また、自車の通信機4の車両情報受信部433は、通信機7から送信された上述の信号機情報を、車外通信部42を介して受信する。車両情報転送部434では、車両情報受信部433で受信した信号機情報を、通信機側BT通信部41を介して自車の携帯端末3に送信する。
また、実施形態3では、図12に示すように、携帯側制御部36は、機能ブロックとして、端末センサ情報取得部361、センサ情報蓄積部362、転送情報受信部364、操作検出情報受信部365、操作状態特定部366、対象物距離特定部367、右左折判定部369、支援タイミング判定部370、送信要求部371、送信頻度決定部372、送信頻度要求部373、支援判定部374、運転支援部375、支援終了推定部376、及び停止要求部377を備えている。
実施形態3における転送情報受信部364は、自車の通信機4が通信機7から受信した信号機情報を、携帯側BT通信部31を介して受信する。
実施形態3における対象物距離特定部367は、通信機7から受信した信号機情報のうちの対象交差点の停止線や交差点中心の位置座標と自車の車両位置とから、自車と対象交差点との直線距離を算出し、自車から対象交差点までの距離(つまり、交差点距離)を特定する。実施形態3における送信頻度決定部372は、自他距離の代わりに自車から対象交差点までの距離をもとに、センサユニット2から操作検出情報を送信させる送信頻度を決定する。
実施形態3における支援タイミング判定部370は、一例として、対象物距離特定部367で特定した交差点距離が所定距離以下の場合に、支援タイミングと判定する一方、対象物距離特定部367で特定した交差点距離が所定距離よりも長い場合に、支援タイミングでないと判定する。ここで言うところの所定距離は任意に設定可能な値であって、例えば数十mとすればよい。
実施形態3における支援判定部374での支援実施判定処理は、一例として以下のようにすればよい。例えば、通信機7から受信した信号機情報の灯色状態が、赤信号と同時に提示される右方向の矢印であって、且つ、操作状態特定部366で特定したウィンカレバー5の操作状態が前述の左位置や中立位置であった場合に、運転支援処理を実施すると判定する。また、通信機7から受信した信号機情報の灯色状態が、赤信号と同時に提示される右方向の矢印であって、且つ、操作状態特定部366で特定したウィンカレバー5の操作状態が前述の右位置であった場合に、運転支援処理を実施すると判定しない。
実施形態3における運転支援部375での運転支援処理は、一例として、進路前方の交差点の信号機8が赤信号であることをユーザに知らせる旨の報知を、表示部34や音声出力部35から行わせる構成とすればよい。
実施形態3の構成は、通信機4で受信した他車の車両情報を用いる代わりに、通信機4で受信した信号機情報を用いる。このような構成を採用した場合であっても、車両のウィンカレバー5の操作に応じて生じる加速度をセンサユニット2で検出した結果をもとに、運転支援の必要なタイミングで運転支援を実施することを可能にしながらも、当該センサユニット2の無駄な電力消費を抑えることが可能となる。
なお、実施形態3では、通信機7から送信される信号機情報をもとに支援タイミング判定処理や支援実施判定処理を行う構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、他車の車両情報を通信機7が中継して送信を行う場合に、通信機7から送信されるこの車両情報をもとに支援タイミング判定処理や支援実施判定処理を行う構成(以下、変形例3)としてもよい。他にも、通信機7を用いる路側機のセンサによって、交差点周辺の歩行者や車両の位置を検出する場合に、通信機4から送信されるこのセンサでの検出結果をもとに支援タイミング判定処理や支援実施判定処理を行う構成(以下、変形例4)としてもよい。
変形例3や変形例4の構成によっても、車両のウィンカレバー5の操作に応じて生じる加速度をセンサユニット2で検出した結果をもとに、運転支援の必要なタイミングで運転支援を実施することを可能にしながらも、当該センサユニット2の無駄な電力消費を抑えることが可能となる。また、実施形態1や実施形態2と実施形態3とを組み合わせた構成としてもよい。
また、前述の実施形態1〜3では、送信要求が行われるまではセンサ側BT通信部22からの操作検出情報の送信を行わない構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、送信要求が行われるまでは、加速度センサ21への電力供給を遮断して、加速度センサ21でのセンシング自体も止めておく構成としてもよい。これは、実施形態1〜3の以下の構成から実現可能となっている。
実施形態1〜3のセンサユニット2は、車両に固定された一端を支点にして、操作時に他端の位置が少なくとも重力加速度方向に変移するように設けられているウィンカレバー5に取り付けられている。よって、操作状態を特定するための基準となる加速度検出値を定めることができる。そして、基準となる加速度検出値を定めることができるので、加速度センサ21のセンシングを一時的に中断しても、基準となる加速度検出値をもとに、瞬間的な加速度検出値から携帯端末3でウィンカレバー5の操作状態を特定できる。
他にも、ステアリングホイールのように360度回転するものにセンサユニット2を取り付けた場合には、瞬間的な加速度検出値だけでは、例えば時計回りに10度回転した状態と370度回転した状態との区別が携帯端末3でつかない。しかしながら、ウィンカレバー5は、車両に固定された一端を支点にした他端の位置の可動範囲が360度未満となるように設けられているので、瞬間的な加速度検出値からでも携帯端末3で操作状態を特定できる。よって、加速度センサ21のセンシングを一時的に中断しても、瞬間的な加速度検出値から携帯端末3でウィンカレバー5の操作状態を特定できる。
センサ側BT通信部22からの操作検出情報の送信だけでなく、加速度センサ21でのセンシング自体も止めておく構成とすれば、その分だけ電力消費を抑えられるので、より好ましい。
なお、本実施形態では、請求項の運転支援装置が通信機4や障害物検出装置6と携帯端末3とからなる構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、一体となった装置で請求項の運転支援装置を実現する構成としてもよいし、携帯端末3の代わりにカーナビゲーション装置を用いるなどする構成としてもよい。
また、前述の実施形態では、ウィンカレバー5の操作によって生じる加速度をセンサユニット2で検出し、ウィンカレバー5の操作状態を特定する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、操作時にレバーの位置が少なくとも重力加速度方向に変移するように設けられているシフトレバー等に本発明を適用する構成としてもよい。上述のシフトレバーに本発明を適用する場合には、シフトポジションが前進位置か後退位置かに応じて運転支援を実施する構成とすればよい。一例としては、発進時の前方に障害物が存在する場合であって、且つ、シフトポジションが前進位置の場合に注意を促す等の運転支援を実施する構成とすればよい。
他にも、ウィンカレバー5の操作によって生じる加速度以外の物理量をセンサユニット2で検出し、ウィンカレバー5の操作状態を特定する構成としてもよい。
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。