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JP6081194B2 - 変性ポリマーの製造方法及びジエン系ポリマー - Google Patents

変性ポリマーの製造方法及びジエン系ポリマー Download PDF

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Description

本発明は、変性ポリマーの製造方法及びジエン系ポリマーに関するものである。
天然ゴムなどの天然のポリマーや、合成されたポリマーそのものの特性を変化させる技術として、末端構造変性や、側鎖に官能基を直接付加したり、ポリマーをグラフトさせて官能基を付加させたりする技術が用いられる(例えば、下記特許文献1,2参照)。しかしながら、溶液重合、乳化重合にかかわらず、簡易的に主鎖構造に官能基を導入しているものはない。
一方、ゴム組成物などのポリマー組成物においては、複数のポリマーをブレンドすることで、特性を改良することが行われている(例えば、下記特許文献3,4参照)。
下記非特許文献1には、主鎖に炭素−炭素二重結合を有するポリエステルと、天然ゴム由来のポリイソプレンとを主鎖交換反応により複合化することが開示されている。しかしながら、同文献に開示された手法は、オレフィンクロスメタセシス反応によるものであって、グラブス(Grubbs)触媒などの金属触媒を必要とし、一般に反応系の制御も容易ではない。
ところで、下記特許文献5には、接着剤、粘着剤等として有用な解重合天然ゴムについて開示されている。この文献では、有機溶剤に溶解した脱蛋白天然ゴムを、金属系触媒の存在下で空気酸化することにより解重合させて、数平均分子量が2000〜50000の液状の解重合天然ゴムを製造している。この文献には、主鎖が空気酸化によって分解させることで、一方の末端にカルボニル基を他方の末端にホルミル基を持つ分子鎖を生成した後、ホルミル基がアルドール縮合によって再結合する点が開示されている。しかしながら、この文献において解重合は有機溶剤の溶液中で行われており、分解したポリマーを含む系を酸性から塩基性、又は塩基性から酸性に変化させることにより再結合させる点は開示されていない。また、この文献は、液状の解重合天然ゴムを得ることを目的としたものであり、複数種のポリマーの主鎖を組み換えた複合化ポリマーを示唆するものではない。
特開2000−248014号公報 特開2005−232261号公報 特開平08−217917号公報 特開2005−290307号公報 特開平08−081505号公報
上村茂久他「二重結合を有するジカルボン酸から誘導されたポリエステルと天然ゴム由来ポリイソプレンの複合化」、高分子学会、Polymer Preprints, Japan Vol.59, No.1 (2010), p352
本発明は、ポリマーの新規な変性方法を提供することを目的とするものである。より詳細には、2種以上のポリマーを分解再結合させることにより、主鎖構造を組み換えることができ、また主鎖構造に官能基を導入することができる変性ポリマーの製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る変性ポリマーの製造方法は、炭素−炭素二重結合を主鎖に持つ2種以上のポリマーを、該炭素−炭素二重結合を酸化開裂させることで分解して分子量を低下させ、分解したポリマーを含む系を、酸性の場合は塩基性(即ち、アルカリ性)に、塩基性の場合は酸性になるように酸塩基性を変化させることによりポリマー鎖を結合させて、構造を変化させた変性ポリマーを得るものである。
該製造方法においては、前記分解したポリマーが、下記式(1)で表される構造を末端に含むものであってもよい。
Figure 0006081194
式中、Rは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又はハロゲン基である。
本発明の1実施形態に係るジエン系ポリマーは、下記式(2)〜(5)で表される連結基の群から選択された少なくとも1種の連結基を分子内に有し、異種のジエン系ポリマー鎖が該連結基を介して連結された構造を持つものである。
Figure 0006081194
本発明によれば、2種以上のポリマー間で主鎖の交換反応を行うことができ、異種のポリマー鎖を含む複合化ポリマーが得られる。また、再結合の際に結合点に官能基が導入されるので、主鎖構造に簡易的に官能基を導入することができる。
以下、本発明の実施に関連する事項について詳細に説明する。
本実施形態に係る変性ポリマーの製造方法は、炭素−炭素二重結合を主鎖に持つ2種以上のポリマーを、該二重結合を酸化開裂させることで分解した後、分解したポリマーを含む系を酸性又は塩基性にすることにより再結合させて構造を変化させた変性ポリマーを作製するものである。
本実施形態において、変性対象となるポリマーとしては、主鎖の繰り返しユニットに炭素−炭素二重結合を持つポリマーを用いることができる。このようなポリマーとしては、各種ジエン系ポリマー、好ましくはジエン系ゴムポリマーが挙げられ、その他に、不飽和ポリエステル、不飽和ポリオール、不飽和ポリウレタン、ポリアルキン化合物、及び、不飽和脂肪酸等が挙げられる。
ジエン系ポリマーとは、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、又は、1,3−ヘキサジエンなどの共役ジエン化合物をモノマーの少なくとも一部として用いて得られるポリマーである。これらの共役ジエン化合物は、いずれか1種で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。ジエン系ポリマーには、共役ジエン化合物と共役ジエン化合物以外の他のモノマーとの共重合体も含まれる。他のモノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレンなどの芳香族ビニル化合物、エチレン、プロピレン、イソブチレン、アクリロニトリル、アクリル酸エステルなどの各種ビニル化合物が挙げられる。これらのビニル化合物は、いずれか1種でも2種以上を併用してもよい。
ジエン系ゴムポリマーとしては、分子内にイソプレンユニット及び/又はブタジエンユニットを有する各種ゴムポリマーが挙げられ、例えば、天然ゴム(NR)、合成イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体ゴム(EPDM)、ブチルゴム(IIR)、スチレン−イソプレン共重合体ゴム、ブタジエン−イソプレン共重合体ゴム、又は、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体ゴムなどが挙げられる。これらの中でも、スチレンブタジエンゴム、天然ゴム、合成イソプレンゴム、又はブタジエンゴムを用いることが好ましい。
本実施形態では、主鎖交換反応を行うために、変性対象として2種以上のポリマーを用いる。その場合のポリマーの組み合わせは、特に限定されないが、少なくとも1種がジエン系ポリマーであることが好ましく、より好ましくは、少なくとも1種がジエン系ゴムポリマーであり、更に好ましくは、少なくとも1種がスチレンブタジエンゴム、天然ゴム、合成イソプレンゴム、又はブタジエンゴムである。また、2種以上のジエン系ポリマーを用いてもよく、更には2種以上のジエン系ゴムポリマーを用いてもよい。一実施形態として、スチレンブタジエンゴムと、天然ゴム及び/又は合成イソプレンゴムとを組み合わせてもよい。
変性対象となる上記ポリマーとしては、数平均分子量が6万以上のものを用いることが好ましい。好ましい実施形態として、常温(23℃)で固形状のポリマーを対象とするためである。例えば、ゴムポリマーをそのまま材料として加工する上で、常温において力を加えない状態で塑性変形しないためには、数平均分子量が6万以上であることが好ましい。ここで、固形状とは、流動性のない状態である。ポリマーの数平均分子量は、6万〜100万であることが好ましく、より好ましくは8万〜80万であり、更に好ましくは10万〜60万である。
変性対象となる上記ポリマーとしては、溶媒に溶解したものを用いることができる。好ましくは、プロトン性溶媒である水中にミセル状になった水系エマルション、すなわちラテックスを用いることである。水系エマルションを用いることにより、ポリマーを分解させた後に、その状態のまま、反応場の酸塩基性を変化させることで再結合反応を生じさせることができる。水系エマルションの濃度(ポリマーの固形分濃度)は、特に限定されないが、5〜70質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜50質量%である。固形分濃度が高くなりすぎるとエマルジョン安定性が低下してしまい、反応場のpH変動に対してミセルが壊れやすくなり、反応に適さない。逆に固形分濃度が小さすぎる場合は反応速度が遅くなり、実用性に劣る。
ポリマーの炭素−炭素二重結合を酸化開裂させるためには、酸化剤を用いることができ、例えば、上記ポリマーの水系エマルションに酸化剤を添加し攪拌することにより酸化開裂させることができる。酸化剤としては、例えば、過マンガン酸カリウム、酸化マンガンなどのマンガン化合物、クロム酸、三酸化クロムなどのクロム化合物、過酸化水素などの過酸化物、過ヨウ素酸などの過ハロゲン酸、又は、オゾン、酸素などの酸素類などが挙げられる。これらの中でも、過ヨウ素酸を用いることが好ましい。過ヨウ素酸であれば、反応系を制御しやすく、また、水溶性の塩が生成されるので、変性ポリマーを凝固乾燥させる際に、水中にとどまらせることができ、変性ポリマーへの残留が少ない。なお、酸化開裂に際しては、コバルト、銅、鉄などの金属の、塩化物や有機化合物との塩や錯体などの、金属系酸化触媒を併用してもよく、例えば、該金属系酸化触媒の存在下で空気酸化してもよい。
2種以上のポリマーを酸化開裂させる場合、各ポリマーを別々の系でそれぞれ酸化剤を加えて酸化開裂してもよく、あるいはまた、2種以上のポリマーを予め混合してから混合系に酸化剤を加えることにより一緒に酸化開裂してもよい。
上記酸化開裂によりポリマーが分解し、末端にカルボニル基(>C=O)やホルミル基(−CHO)を持つポリマー(以下、ポリマー断片ということがある。)が得られる。一実施形態として、該ポリマー断片は、下記式(1)で表される構造を末端に持つ。
Figure 0006081194
式中、Rは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又はハロゲン基であり、より好ましくは、水素原子、メチル基、クロロ基である。例えば、イソプレンユニットが開裂した場合、一方の開裂末端ではRがメチル基、他方の開裂末端ではRが水素原子となる。ブタジエンユニットが開裂した場合、開裂末端はともにRが水素原子となる。クロロプレンユニットが開裂した場合、一方の開裂末端ではRがクロロ基、他方の開裂末端ではRが水素原子となる。より詳細には、分解したポリマーは、その分子鎖の少なくとも一方の末端に上記式(1)で表される構造を持ち、すなわち、下記式(6)及び(7)に示すように、ジエン系ポリマー鎖の一方の末端又は両末端に、式(1)で表される基が直接結合したポリマーが生成される。
Figure 0006081194
式(6)及び(7)において、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又はハロゲン基であり、波線で表した部分がジエン系ポリマー鎖である。例えば、天然ゴムを分解した場合、波線で表した部分はイソプレンユニットの繰り返し構造からなるポリイソプレン鎖である。スチレンブタジエンゴムを分解した場合、波線で表した部分はスチレンユニットとブタジエンユニットを含むランダム共重合体鎖である。
上記酸化開裂によってポリマーを分解することにより、分子量が低下する。分解後のポリマーの数平均分子量は特に限定されないが、3百〜50万であることが好ましく、より好ましくは5百〜10万であり、更に好ましくは1千〜5万である。なお、分解後の分子量の大きさにより、再結合後の官能基量を調節することができるが、分解時の分子量が小さすぎると、同一分子内での結合反応が生じやすくなる。
以上のようにしてポリマーを分解させた後、分解したポリマーを含む反応系の酸塩基性を変化させることにより再結合させる。ここで、2種以上のポリマーを別々に酸化開裂させた場合、これらを混合してから、混合液の酸塩基性を変化させて再結合させればよい。一方、2種以上のポリマーを予め混合してから酸化開裂させた場合、分解後、その状態のまま、反応場の酸塩基性を変化させて再結合させればよい。
このように酸塩基性を変化させることにより、開裂とは逆反応である結合反応が優先的に進行するようになる。すなわち、上記酸化開裂は可逆反応であり、逆反応である結合反応よりも開裂反応が優先的に進行するので、平衡に達するまで分子量は低下していく。その際、反応場の酸塩基性を逆転させると、今度は結合反応が優先的に進行するようになるので、一旦低下した分子量は上昇に転じ、平衡に達するまで分子量が増大する。そのため、所望の分子量を持つ変性ポリマーが得られる。なお、上記式(1)の構造は2種類の互変異性をとり、元の炭素−炭素二重結合構造に結合するものと、下記式(2)〜(5)で表される連結基を形成するものとに分かれる。本実施形態では、反応場のpHを制御することにより、アルドール縮合反応を優先させて、式(2)〜(5)のいずれか少なくとも1種の連結基を含むポリマーを生成することができる。詳細には、反応系、特に水系エマルションの液中には安定化のためpH調節されているものがあり、分解に使用する方法や薬品の種類や濃度により分解時のpHが酸性か塩基性のどちらかに寄る。そのため分解時の反応系が酸性になっている場合には、反応系を塩基性にする。反対に分解時の反応系が塩基性になっている場合には、反応系を酸性にする。
Figure 0006081194
ここで、Rが水素原子である末端構造を持つポリマー同士が結合する場合、アルドール縮合反応により式(4)で表される連結基となり、これから水が脱離することにより式(5)で表される連結基となる。Rが水素原子である末端構造を持つポリマーとRがメチル基である末端構造を持つポリマーが結合する場合、アルドール縮合反応により式(3)で表される連結基となり、これから水が脱離することにより式(2)で表される連結基となる。なお、例えばRがメチル基である末端構造を持つポリマー同士が結合する場合など、上記式(2)〜(5)以外の連結基が生成される場合もあるが、そのような連結基は微量であり、式(2)〜(5)の連結基が主として生成される。
結合反応させる際の反応系のpHは、反応系を塩基性にする場合、7より大きければよく、7.5〜13であることが好ましく、より好ましくは8 〜10である。一方、反応系を酸性にする場合、7より小さければよく、4〜6.8であることが好ましく、より好ましくは5〜6である。なお、酸性条件にする際、酸性度を上げすぎてしまうと、ラテックスのミセルを破壊してしまうおそれがある。pHの調整は、反応系に酸や塩基を加えることにより行うことができる。特に限定するものではないが、例えば、酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、又は、リン酸などが挙げられ、塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、又は、炭酸水素ナトリウムなどが挙げられる。
結合反応に際しては、pHを調節するための酸や塩基が結合反応の触媒となり、さらに反応を調節するための触媒としてピロリジン−2−カルボン酸を用いてもよい。
以上のように結合反応させた後、水系エマルションを凝固乾燥させることにより、常温で固形状の変性ポリマーが得られる。
本実施形態によれば、上記のように結合反応させることにより、上記式(2)〜(5)で表される連結基が主鎖中に導入され、構造を変化させた変性ポリマーが得られる。すなわち、実施形態に係る変性ポリマーは、上記式(2)〜(5)で表される連結基のうちの少なくとも1種の連結基を分子内に有し、異種のポリマー鎖(好ましくはジエン系ポリマー鎖)が該連結基を介して直接連結された構造を有する。従って、該変性ポリマーは、式(2)〜(5)で表されるいずれかの連結基をXとし、異種のポリマー鎖をYとして、―Y−X−Y−で表される構造を分子内に含み、通常は連結基Xとポリマー鎖Yが交互に繰り返した構造を持つ。
ここで、(ジエン系)ポリマー鎖とは、上記変性対象である(ジエン系)ポリマーの分子鎖のうちの一部の分子鎖である。例えば、共役ジエン化合物の単独重合体の場合、ジエン系ポリマー鎖は、該共役ジエン化合物からなる構成ユニットをAとして、−(A−で表されるAの繰り返し構造である(nは1以上の整数であり、好ましくは10〜10000、更に好ましくは50〜1000である)。また、二元共重合体の場合、ジエン系ポリマー鎖は、各構成ユニットをA及びAとして(AとAの少なくとも一方は共役ジエン化合物からなるユニットであり、それ以外のユニットとしては上記ビニル化合物からなるユニットが挙げられる。)、−(A−(A−で表されるA及びAの繰り返し構造である(これらはランダム型でもブロック型でもよい。n,mはそれぞれ1以上の整数であり、好ましくは10〜10000、更に好ましくは50〜1000である)。また、三元共重合体の場合、ジエン系ポリマー鎖は、各構成ユニットをA、A及びAとして(AとAとAの少なくとも1つは共役ジエン化合物からなるユニットであり、それ以外のユニットとしては上記ビニル化合物からなるユニットが挙げられる。)、−(A−(A−(A−で表されるA、A及びAの繰り返し構造である(これらはランダム型でもブロック型でもよい。n,m,pはそれぞれ1以上の整数であり、好ましくは10〜10000、更に好ましくは50〜1000である)。四元共重合体以上も同様である。
より詳細には、例えば、変性対象として天然ゴム又は合成イソプレンゴムを用いた場合、ジエン系ポリマー鎖は、イソプレンユニットの繰り返し構造からなる、下記式(8)で表されるポリイソプレン鎖である。また、変性対象としてスチレンブタジエンゴムを用いた場合、ジエン系ポリマー鎖は、スチレンユニットとブタジエンユニットを含む、下記式(9)で表されるランダム共重合体鎖である。また、変性対象としてポリブタジエンゴムを用いた場合、ジエン系ポリマー鎖は、ブタジエンユニットの繰り返し構造からなる、下記式(10)で表されるポリブタジエン鎖である。該ジエン系ポリマー鎖としては、これらのポリイソプレン鎖やスチレンブタジエン共重合体鎖、ポリブタジエン鎖などのジエン系ゴムポリマー鎖であることが好ましい。なお、式(8)、(9)及び(10)中、n,mはそれぞれ1以上の整数であり、好ましくは10〜10000、更に好ましくは50〜1000である。
Figure 0006081194
本実施形態では、変性対象として2種以上のポリマーを用いるので、変性ポリマーは、異なる種類のポリマー由来のポリマー鎖が上記連結基を介して連結された構造を有する。すなわち、変性ポリマーは、2種以上のポリマー由来のポリマー鎖を含む複合化ポリマーである。但し、上記結合反応は、異種のポリマー断片間だけでなく、同種のポリマー断片間でも起こるので、変性ポリマーは、通常、同種のポリマー鎖が上記連結基を介して連結された構造も有し、よって、同種のポリマー鎖間での連結構造と異種のポリマー鎖間の連結構造が混在した構造を持つ。
一実施形態として、上記異種のジエン系ポリマー鎖は、式(8)で表されるポリイソプレン鎖と式(9)で表されるランダム共重合体鎖と式(10)で表されるポリブタジエン鎖の少なくとも1種を含むことが好ましい。すなわち、該ポリイソプレン鎖と他のジエン系ポリマー鎖との組み合わせ、該ランダム共重合体鎖と他のジエン系ポリマー鎖との組み合わせ、該ポリブタジエン鎖と他のジエン系ポリマー鎖との組み合わせ、及び、該ポリイソプレン鎖と該ランダム共重合体鎖と該ポリブタジエン鎖のいずれか2種以上の組み合わせが含まれる。そのためには、天然ゴム及び/又は合成イソプレンゴムとスチレンブタジエンゴムとブタジエンゴムのいずれか少なくとも一種を含む2種以上のジエン系ポリマーを変性対象とすればよい。変性ポリマーは、より好ましくは、該ポリイソプレン鎖と該ランダム共重合体鎖と該ポリブタジエン鎖からなる群から選択される少なくとも2種が上記連結基を介して連結された構造を持つことである。そのためには、変性対象となる2種以上のジエン系ゴムポリマーとして、イソプレンゴム(即ち、天然ゴム又はイソプレンゴム)、スチレンブタジエンゴム、及びブタジエンゴムからなる群から選択される2種以上を組み合わせて用いればよく、より好ましくは、イソプレンゴムとスチレンブタジエンゴムとの組み合わせ、又はイソプレンゴムとブタジエンゴムとの組み合わせである。
上記連結基は、変性ポリマーの1分子中に1つ以上含まれ、通常は1分子中に複数の連結基が含まれる。複数含まれる場合、上記式(2)〜(5)で表される連結基のいずれか1種を複数含んでもよく、2種以上のものが含まれてもよい。連結基の含有率は、特に限定されないが、式(2)〜(5)の連結基の合計で、0.001〜25モル%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜15モル%、更に好ましくは0.5〜10モル%である。ここで、連結基の含有率(変性率)は、変性ポリマーを構成する全構成ユニットのモル数に対する連結基のモル数の比率である。例えば、天然ゴムとスチレンブタジエンゴムとの複合化ポリマーの場合、変性ポリマーにおけるイソプレンユニットとブタジエンユニットとスチレンユニットと連結基のモル数の合計に対する連結基のモル数の比率である。式(2)〜(5)で表される各連結基の含有率も特に限定されず、一実施形態として、それぞれ25モル%以下(即ち、0〜25モル%)であることが好ましい。
実施形態に係る変性ポリマーは常温(23℃)で固形状であることが好ましい。そのため、変性ポリマーの数平均分子量は、特に限定しないが、6万以上であることが好ましく、より好ましくは6万〜100万であり、更に好ましくは8万〜80万であり、更に好ましくは10万〜60万である。このように変性ポリマーの分子量は、上記の通り再結合させることにより、元のポリマーと同等に設定することが好ましい。これにより、分子量を低下させず、従って物性への悪影響を回避しながら、ポリマーの主鎖に官能基を導入することができる。もちろん、元のポリマーよりも分子量が小さなものを得てもよい。なお、変性ポリマーの重量平均分子量は、特に限定しないが、7万以上であることが好ましく、より好ましくは10万〜200万である。
本実施形態によれば、種類の異なるポリマー間で互いのポリマー鎖を交換して組み換えた構造を持つ変性ポリマーが得られる。しかも、金属触媒を使用しなくても、高分子量体の主鎖交換反応を行うことができる。
また、ポリマー主鎖を分解し再結合させる際に、上記の連結基のような主鎖とは異なる構造が挿入され、主鎖構造のセグメントの結合点が官能基化する。すなわち、反応性の高い構造、ポリマー構造のパラメータを変化させやすい構造が分子主鎖中に導入される。このように、本実施形態の方法は、グラフトでも直接付加でもなく開環でもないポリマーの主鎖構造そのものを変化させるものであり、従来の変性方法とは明確に異なり、主鎖構造に簡易的に官能基を導入することができる。また、天然ゴムなどの天然のポリマーに対しても、その主鎖構造を組み替えて新規な構造を持つ変性ポリマーを製造することができ、ポリマーの特性を変化させることができる。
また、変性対象となる2種以上のポリマーが分子量の異なるものであっても、これらを分解し再結合させることで、単分散化が図られ、ある程度の長さに揃えた変性ポリマーを得ることができる。このように異種ポリマー間で主鎖交換したブロック様配列を持つ変性ポリマーをある程度の長さに揃えて得ることができる。そのため、得られた相構造は、ポリマーブレンドにより得られる海島相のようにマトリクス相と分散相とに分離した構造ではなく、ブロック共重合体と同様の相構造をとることができ、様々な特性を発揮することができる。
本実施形態によれば、また、二重結合を解離させる薬剤である酸化剤の種類や量、反応時間などを調整することにより酸化開裂させる反応を制御できる。また、再結合させる際のpHや触媒、反応時間などを調整することにより結合反応を制御できる。そして、これらの制御によって変性ポリマーの分子量を制御することができる。そのため、変性ポリマーの数平均分子量を元のポリマーと同等に設定することができ、また元のポリマーよりも低く設定することもできる。
本実施形態に係る変性ポリマーは、各種ポリマー組成物におけるポリマー成分として用いることができ、特に限定されないが、ジエン系ゴムを変性してなる変性ジエン系ゴムを得て、該変性ジエン系ゴムを各種ゴム組成物におけるゴム成分として用いることが好ましい。ゴム組成物の用途としても特に限定されず、タイヤ用、防振ゴム用、コンベアベルト用などの各種ゴム部材に用いることができる。また、本実施形態であると、例えば、変性対象とする2種以上のポリマーの選択により、均一な構造で物性を改良することができる。即ち、従来のポリマーブレンドでは、ポリマー間の極性の違いによるマクロ相分離やフィラーの局在化をするため、不均一な構造となるが、本実施形態であると、均一な構造で物性改良が可能となる。そのため、粘弾性効果、荷重に対する緩和の調整(ノイズの減算化)、非空気入りタイヤ等の剛性制御に利用することができる。また、ゴムの再生に際して利用することもできる。
ゴム組成物に用いる場合、ゴム成分としては、該変性ジエン系ゴム単独でもよく、他のジエン系ゴムとブレンドして用いてもよい。また、ゴム組成物には、該ゴム成分とともに、シリカやカーボンブラックなどのフィラーを配合することができ、更に、その他の添加剤として、軟化剤、可塑剤、老化防止剤、亜鉛華、ステアリン酸、加硫剤、加硫促進剤など、ゴム組成物において一般に使用される各種添加剤を配合することもできる。
該変性ポリマーの用途としては、ゴム組成物に限られるものではなく、例えば、電子回路素子などのデバイス材料をはじめ、様々な分野における材料として用いることもできる。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
各測定方法は、以下の通りである。
[数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)]
ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)での測定により、ポリスチレン換算のMn、Mw及びMw/Mnを求めた。詳細には、測定試料は0.2mgをTHF1mLに溶解させたものを用いた。(株)島津製作所製「LC−20DA」を使用し、試料をフィルター透過後、温度40℃、流量0.7mL/分でカラム(Polymer Laboratories社製「PL Gel3μm Guard×2」)を通し、Spectra System社製「RI Detector」で検出した。
[連結基の含有率]
NMRにより、連結基の含有率を測定した。NMRスペクトルは、BRUKER社製「400ULTRASHIELDTM PLUS」によりTMSを標準とし測定した。ポリマー1gを重クロロホルム5mLに溶解し、緩和試薬としてアセチルアセトンクロム塩87mgを加え、NMR10mm管にて測定した。
式(2)の連結基については、13C−NMRにおいてケトン基の付いたカーボンのピークが195ppmにある。式(3)の連結基については、13C−NMRにおいてケトン基の付いたカーボンのピークが205ppmにある。式(4)の連結基については、13C−NMRにおいてケトン基の付いたカーボンのピークが200ppmにある。式(5)の連結基については、13C−NMRにおいてケトン基の付いたカーボンのピークが185ppmにある。そのため、これら各ピークについてベースポリマー成分との比により構造量(モル数)を決定した。なお、式(4)については、末端ケトン(式(1)の構造)が現れる場合、ここのカーボンピーク(200ppm)に重複してしまうので、次の方法で末端ケトン量を定量し、取り除いた。すなわち、H−NMRによりケトン基に付いたプロトンのピークが9.0ppmにでてくるので、ベースポリマー成分との比により残存量を決定した。
なお、ベースポリマー成分における各ユニットのモル数については、イソプレンユニットでは、二重結合を挟んでメチル基と反対側の炭素及びそれに結合した水素(=CH−)のピーク、即ち13C−NMRによる122ppm、H−NMRによる5.2ppmに基づいて算出した。スチレンブタジエン共重合体鎖については、スチレンユニットのフェニル基における主鎖と結合した炭素を除く5つの炭素、及びこれに結合した5つの水素のピーク、即ち13C−NMRによる125−130ppm、H−NMRによる7.2ppmに基づいて算出した(但し、5つ分のピークなので5で割った)。また、本実施例では変性対象のスチレンブタジエンゴムラテックスのスチレン量が21.76質量%であったため、上記で算出したスチレン量の割合からスチレンユニットとブタジエンユニットのモル数を算出した。
[pH]
東亜ディ−ケーケー(株)製のポータブルpH計「HM−30P型」を用いて測定した。
[実施例1:変性ポリマーAの合成]
変性対象のポリマーとして、天然ゴムラテックス(レヂテックス社製「HA−NR」、DRC(Dry Rubber Content)=60質量%)と、スチレンブタジエンゴムラテックス(日本ゼオン(株)製「SBRラテックスLX110、DRC=50質量%)を用いた。天然ゴムラテックスに含まれる未変性の天然ゴムについて、分子量を測定したところ、重量平均分子量が202万、数平均分子量が51万、分子量分布が4.0であった。スチレンブタジエンゴムラテックスに含まれる未変性のスチレンブタジエンゴムについて、分子量を測定したところ、重量平均分子量が68万、数平均分子量が32万、分子量分布が2.1であった。
天然ゴムラテックスとスチレンブタジエンゴムラテックスを、ポリマー質量比が1:1となるように混合し、混合したラテックス中に含まれるポリマー質量100gに対して、過ヨウ素酸(HIO)3.3gを加え、23℃で3時間攪拌した。このようにエマルジョン状態のポリマー中に過ヨウ素酸を加えて攪拌することにより、ポリマー鎖中の二重結合が酸化分解し、上記式(1)で表される構造を含むポリマーが得られた。得られた分解ポリマーは、重量平均分子量が21300、数平均分子量が9100、分子量分布が2.3であり、また分解後の反応液のpHは6.2であった。
その後、触媒としてピロリジン−2−カルボン酸0.1g加え、1規定の水酸化ナトリウムを反応液のpHが8になるように加え、23℃で24時間攪拌し反応させた後、メタノール中に沈殿させ、水で洗浄後、熱風循環乾燥機により30℃で24時間乾燥させて、常温で固形状の変性ポリマーAを得た。
このように酸化分解した反応系に対し、水酸化ナトリウムを加えて、該反応系を酸性から強制的に塩基性に変化させたことにより、酸化開裂の際に加えた過ヨウ素酸の効果を中和させつつ再結合反応を優先させることができた。そのため、上記式(2)〜(5)で表される連結基を分子内に有し、式(8)で表されるポリイソプレン鎖と式(9)で表されるスチレンブタジエン共重合体鎖が該連結基を介して連結されてなる変性ジエン系ゴム(変性ポリマーA)が得られた。なお、ピロリジン−2−カルボン酸を触媒に用いているが、反応を促進させるためのものであり、無くても反応は進む。
得られた変性ポリマーAは、下記表1に示す通り、重量平均分子量Mwが162万、数平均分子量Mnが50万、分子量分布Mw/Mnが3.2、上記連結基の含有率が、式(2)では1.3モル%、式(3)では0.4モル%、式(4)では0.2モル%、式(5)では0.4モル%であり、合計で2.3モル%であった。このようにNMRより連結基のピークが確認され、なおかつMETTLER社製「DSC-822e」示差走査熱量測定(DSC)によりガラス転移温度が単一化されていたことから、共重合化されていること、即ち主鎖交換されていることは明らかである(変性ポリマーB〜Fについても同じ)。
[実施例2:変性ポリマーBの合成]
実施例1で用いた天然ゴムラテックスとスチレンブタジエンゴムラテックスを、それぞれ別々に酸化分解反応を行った後、混合して再結合反応を行った。詳細には、天然ゴムラテックス中のポリマー質量50gに対して、過ヨウ素酸1.65gを加え、23℃で3時間攪拌した。得られた分解ポリマーは、重量平均分子量が13500、数平均分子量が5300、分子量分布が2.6であり、また分解後の反応液のpHは6.4であった。また、スチレンブタジエンゴムラテックス中のポリマー質量50gに対して、過ヨウ素酸1.65gを加え、23℃で3時間攪拌した。得られた分解ポリマーは、重量平均分子量が3630、数平均分子量が2400、分子量分布が1.5であり、また分解後の反応液のpHは6.1であった。
分解反応後の両ラテックスを、ポリマー質量比が1:1となるように混合した。混合液のpHは6.2であった。その後、ポリマー質量100gに対して、触媒としてピロリジン−2−カルボン酸0.1g加え、1規定の水酸化ナトリウムを反応液のpHが8になるように加え、23℃で24時間攪拌して再結合反応させた。その後、実施例1と同様に、沈殿、洗浄、乾燥させて、常温で固形状の変性ポリマーBを得た。
得られた変性ポリマーBは、変性ポリマーAと同様、上記式(2)〜(5)で表される連結基を分子内に有し、式(8)で表されるポリイソプレン鎖と式(9)で表されるスチレンブタジエン共重合体鎖が該連結基を介して連結されてなる変性ジエン系ゴムであり、下記表1に示す通り、重量平均分子量Mwが151万、数平均分子量Mnが49万、分子量分布Mw/Mnが3.1、上記連結基の含有率が、式(2)では1.0モル%、式(3)では0.3モル%、式(4)では0.2モル%、式(5)では0.5モル%であり、合計で2.0モル%であった。
[比較例1:未変性ポリマーブレンド1の調製]
実施例1で用いた天然ゴムラテックスとスチレンブタジエンゴムラテックスを、ポリマー質量比が1:1となるように混合した後、混合液をメタノール中に沈殿させ、水で洗浄後、熱風循環乾燥機により30℃で24時間乾燥させて、未変性ポリマーブレンド1を得た。
[比較例2:変性ポリマーブレンド1の調製]
実施例1で用いた天然ゴムラテックスとスチレンブタジエンゴムラテックスを、それぞれ別々に酸化分解反応及び再結合反応を行った後に混合した。詳細には、実施例2と同様に、天然ゴムラテックスとスチレンブタジエンゴムラテックスにそれぞれ過ヨウ素酸を加えて酸化分解反応を行った。その後、天然ゴムラテックスとスチレンブタジエンゴムラテックスのそれぞれに、ピロリジン−2−カルボン酸0.05g加え、1規定の水酸化ナトリウムを反応液のpHが8になるように加え、23℃で24時間攪拌してそれぞれ再結合反応させた。再結合後の天然ゴムは、重量平均分子量Mwが185万、数平均分子量Mnが49.8万、分子量分布Mw/Mnが3.71であった。再結合後のスチレンブタジエンゴムは、重量平均分子量Mwが49万、数平均分子量Mnが27.9万、分子量分布Mw/Mnが1.73であった。再結合反応後、両ラテックスをポリマー質量比が1:1となるように混合してから、メタノール中に沈殿させ、水で洗浄後、熱風循環乾燥機により30℃で24時間乾燥させて、変性ポリマーブレンド1を得た。
得られた変性ポリマーブレンド1について連結基の含有率を調べたところ、式(2)が1.0モル%、式(3)が0.3モル%、式(4)が0.3モル%、式(5)が0.6モル%であり、合計で2.2モル%であった。
[実施例3:変性ポリマーCの合成]
天然ゴムラテックスとスチレンブタジエンゴムラテックスを混合する際のポリマー質量比を2:1とし、その他は実施例1と同様にして、常温で固形状の変性ポリマーCを得た。得られた変性ポリマーCは、変性ポリマーAと同様、上記式(2)〜(5)で表される連結基を分子内に有し、式(8)で表されるポリイソプレン鎖と式(9)で表されるスチレンブタジエン共重合体鎖が該連結基を介して連結されてなる変性ジエン系ゴムであり、Mw,Mn,Mw/Mn及び各連結基の含有量は表1に示す通りである。
[実施例4:変性ポリマーDの合成]
酸化分解反応後に天然ゴムラテックスとスチレンブタジエンゴムラテックスを混合する際のポリマー質量比を2:1とし、その他は実施例2と同様にして、常温で固形状の変性ポリマーDを得た。得られた変性ポリマーDは、変性ポリマーAと同様、上記式(2)〜(5)で表される連結基を分子内に有し、式(8)で表されるポリイソプレン鎖と式(9)で表されるスチレンブタジエン共重合体鎖が該連結基を介して連結されてなる変性ジエン系ゴムであり、Mw,Mn,Mw/Mn及び各連結基の含有量は表1に示す通りである。
[比較例3:未変性ポリマーブレンド2の調製]
天然ゴムラテックスとスチレンブタジエンゴムラテックスを混合する際のポリマー質量比を2:1とし、その他は比較例1と同様にして、未変性ポリマーブレンド2を得た。
[比較例4:変性ポリマーブレンド2の調製]
再結合反応後に天然ゴムラテックスとスチレンブタジエンゴムラテックスを混合する際のポリマー質量比を2:1とし、その他は比較例2と同様にして、変性ポリマーブレンド2を得た。得られた変性ポリマーブレンド2についての各連結基の含有率は表1に示す通りである。
[実施例5:変性ポリマーEの合成]
酸化分解反応時の過ヨウ素酸の添加量、再結合反応時に添加するpH調整剤及びpHを、表1に示す通りに変更し、その他は実施例1と同様にして、常温で固形状の変性ポリマーEを得た。得られた変性ポリマーEは、変性ポリマーAと同様、上記式(2)〜(5)で表される連結基を分子内に有し、式(8)で表されるポリイソプレン鎖と式(9)で表されるスチレンブタジエン共重合体鎖が該連結基を介して連結されてなる変性ジエン系ゴムであり、Mw,Mn,Mw/Mn及び各連結基の含有量は表1に示す通りである。
[実施例6:変性ポリマーFの合成]
酸化分解反応時の過ヨウ素酸の添加量、再結合反応時に添加するpH調整剤及びpHを、表1に示す通りに変更し、その他は実施例2と同様にして、常温で固形状の変性ポリマーFを得た。得られた変性ポリマーFは、変性ポリマーAと同様、上記式(2)〜(5)で表される連結基を分子内に有し、式(8)で表されるポリイソプレン鎖と式(9)で表されるスチレンブタジエン共重合体鎖が該連結基を介して連結されてなる変性ジエン系ゴムであり、Mw,Mn,Mw/Mn及び各連結基の含有量は表1に示す通りである。
[比較例5:変性ポリマーブレンド3の調製]
酸化分解反応時の過ヨウ素酸の添加量、再結合反応時に添加するpH調整剤及びpHを、表1に示す通りに変更し、その他は比較例2と同様にして、常温で固形状の変性ポリマーブレンド3を得た。得られた変性ポリマーブレンド3についての各連結基の含有率は表1に示す通りである。
Figure 0006081194
Figure 0006081194
[ゴム組成物の評価]
バンバリーミキサーを使用し、下記表2〜表4に示す配合(質量部)に従って、まず、第一混合段階で、ゴム成分に対し硫黄及び加硫促進剤を除く他の配合剤を添加し混練し、次いで、得られた混練物に、最終混合段階で、硫黄と加硫促進剤を添加し混練して、ゴム組成物を調製した。ゴム成分を除く、表2〜表4中の各成分の詳細は、以下の通りである。
・シリカ:東ソー・シリカ(株)製「ニップシールAQ」
・カーボンブラック:東海カーボン(株)製「シースト3」
・シランカップリング剤:ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、エボニック・デグサ社製「Si69」
・亜鉛華:三井金属鉱業(株)製「亜鉛華1種」
・プロセスオイル:株式会社ジャパンエナジー製「X−140」
・老化防止剤:大内新興化学工業(株)製「ノクラック6C」
・ステアリン酸:花王(株)製「ルナックS−20」
・硫黄:細井化学工業(株)製「ゴム用粉末硫黄150メッシュ」
・加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製「ノクセラーCZ」
得られた各ゴム組成物について、160℃×20分で加硫して所定形状の試験片を作製し、得られた試験片を用いて、動的粘弾性試験を行い、tanδ(0℃)とtanδ(60℃)を評価した。各評価方法は次の通りである。
・tanδ(0℃):USM社製レオスペクトロメーターE4000を用いて、周波数50Hz、静歪み10%、動歪み2%、温度0℃の条件で損失係数tanδを測定し、表2では比較試験例1の値、表3では比較試験例3の値、表4では比較試験例5の値を、それぞれ100とした指数で表示した。0℃でのtanδは、タイヤ用ゴム組成物において、湿潤路面に対するグリップ性能(ウェット性能)の指標として一般に用いられているものであり、上記指数が大きいほどtanδが大きく、ウェット性能に優れることを示す。
・tanδ(60℃):温度を60℃に変え、その他はtanδ(0℃)と同様にして、tanδを測定し、その逆数について、表2では比較試験例1の値、表3では比較試験例3の値、表4では比較試験例5の値を、それぞれ100とした指数で表示した。60℃でのtanδは、タイヤ用ゴム組成物において、低発熱性の指標として一般に用いられているものであり、上記指数が大きいほどtanδが小さく、従って、発熱しにくく、タイヤとしての低燃費性に優れることを示す。
Figure 0006081194
Figure 0006081194
Figure 0006081194
結果は、表2〜表4に示す通りである。比較試験例2,4,6は、天然ゴムとスチレンブタジエンゴムをそれぞれ酸化開裂した後、再結合させることで得られた変性ポリマー同士を、ブレンドしたものであり、各変性ポリマーは上記式(2)〜(5)で表される連結基を持つ。そのため、このような連結基を持たない未変性ポリマー同士をブレンドした比較試験例1,3,5に対して、低燃費性とウェット性能に優れていた。試験例1〜6では、このような連結基を持ち、かつ主鎖交換反応により異種のポリマー鎖を組み換えた実施例の変性ポリマーを用いているため、未変性のポリマーブレンドを用いた比較試験例1,3,5に対してはもちろんのこと、変性ポリマー同士をブレンドした比較試験例2,4,6に対しても、低燃費性とウェット性能のバランスが改良されていた。
本発明に係る変性ポリマーは、ゴム組成物をはじめとする各種ポリマー組成物に配合するポリマー成分として用いることができる。

Claims (9)

  1. 炭素−炭素二重結合を主鎖に持つ2種以上のポリマーを、該炭素−炭素二重結合を酸化開裂させることで分解して分子量を低下させ、分解したポリマーを含む系を、酸性の場合は塩基性に、塩基性の場合は酸性になるように酸塩基性を変化させることによりポリマー鎖を結合させて、構造を変化させた変性ポリマーを得る、
    変性ポリマーの製造方法。
  2. 前記変性ポリマーが、前記2種以上のポリマー由来のポリマー鎖を含む複合化ポリマーである、
    請求項1記載の変性ポリマーの製造方法。
  3. 前記分解したポリマーが、下記式(1)で表される構造を末端に含む、
    請求項1又は2記載の変性ポリマーの製造方法。
    Figure 0006081194
    (式中、Rは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又はハロゲン基である。)
  4. 前記変性ポリマーが、下記式(2)〜(5)で表される連結基の群から選択された少なくとも1種の連結基を分子内に有し、異種のポリマー鎖が該連結基を介して連結された構造を持つ、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の変性ポリマーの製造方法。
    Figure 0006081194
  5. 過ヨウ素酸を用いて前記炭素−炭素二重結合を酸化開裂させる、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の変性ポリマーの製造方法。
  6. 反応系が水系エマルションである、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の変性ポリマーの製造方法。
  7. 前記2種以上のポリマーのうち少なくとも1種がジエン系ゴムポリマーである、
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の変性ポリマーの製造方法。
  8. 前記2種以上のポリマーが2種以上のジエン系ゴムポリマーである、
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の変性ポリマーの製造方法。
  9. 下記式(2)〜(5)で表される連結基の群から選択された少なくとも1種の連結基を分子内に有し、異種のジエン系ポリマー鎖が該連結基を介して連結された構造を持つジエン系ポリマー。
    Figure 0006081194
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