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JP6057120B2 - 樹脂組成物、感光性エレメント、レジストパターンの形成方法及びプリント配線板の製造方法 - Google Patents

樹脂組成物、感光性エレメント、レジストパターンの形成方法及びプリント配線板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、樹脂組成物、感光性エレメント、レジストパターンの形成方法及びプリント配線板の製造方法に関する。
従来、プリント配線板の製造分野においては、エッチングやめっき等に用いられるレジスト材料として、感光性樹脂組成物や、支持フィルムと該支持フィルム上に形成された感光性樹脂組成物を用いて形成される層(以下、「感光性樹脂層」という。)とを備える感光性エレメントが広く用いられている。
レジスト材料としてはネガ型とポジ型が存在するが、近年、高い解像性が得られることから、露光部が除去されるポジ型の利用が期待されている。
ポジ型感光性樹脂組成物を用いてプリント配線板を製造する場合、例えば以下のようにしてプリント配線板が製造される。まず、基板上にポジ型感光性樹脂組成物を含む感光層を形成し、該感光層の所定部分に活性光線を照射(パターン露光)し、活性光線を照射した部分(露光部)を現像液に溶解させて除去(現像)することにより、レジストパターンを形成する。そして、レジストパターンが形成された基板にエッチング又はめっき処理を施して配線パターンを形成させた後、レジストパターンを基板上から剥離除去する。このようにして、基板上に配線パターンが形成されたプリント配線板が製造される。
ポジ型レジスト材料としては、例えば、特許文献1には、(A)アルカリ可溶性ノボラック型樹脂と、(B)ナフトキノン−1,2−ジアジドスルホン酸のエステル化合物と、(C)特定のフェノール系化合物とを含有してなるポジ型ホトレジスト組成物が記載されている。
このような、従来のポジ型レジスト材料は、アルカリ可溶性樹脂(特許文献1における(A)成分)と、その溶解を妨げる感光剤(特許文献1における(B)成分)と、を含有している。そして、ポジ型レジスト材料の未露光部は、アルカリ可溶性樹脂を含有してはいるものの、その溶解を妨げる感光剤が共存しているため、現像液(アルカリ溶液)で除去され難い。一方、ポジ型レジスト材料の露光部は、感光剤が光によって酸等に変質するため、アルカリ可溶性樹脂の溶解が妨げられず(場合によっては溶解が促進され)、現像液で除去されやすい。従来のポジ型レジスト材料では、このように感光剤の変質に起因した未露光部と露光部との溶解性の差を利用して、レジストパターンが形成されている。
ところで、近年、ビニル系モノマーの重合方法として、可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT重合)が提案されている(例えば、特許文献2〜4)。
特開平6−208222号公報 特開2000−515181号公報 特開2010−059231号公報 特開2007−230947号公報
厚膜プロセスを必要とする分野、例えば記録ヘッド(磁気ヘッド)の上部磁極の製造分野等においては、3μm以上の厚膜条件下で、高アスペクト比のスペースパターンを形成することが求められている。
しかしながら、従来のポジ型レジスト材料は、色が着いているため、膜厚を厚くすると十分な光透過性が得られず、十分な解像性及び感度が得られない場合がある。そのため、従来のポジ型レジスト材料では、厚膜条件下で精密なレジストパターンを形成することが難しい。
また、従来のポジ型レジスト材料では、樹脂のアルカリ可溶性を十分に確保するため、樹脂の分子量を低く抑える必要があった。そのため、従来のポジ型レジスト材料では、フィルム形成性や可とう性を十分に得ることが難しく、仮に感光性エレメントを作製したとしても、感光層が脆いため、感光層の基板への転写が困難であった。このような事情から、ポジ型の感光性エレメントは実用化されておらず、ポジ型レジスト材料は基板上に直接塗布することが一般的である。
このように、従来のポジ型レジスト材料には、その材料に起因した問題点がある。
そこで本発明は、従来のポジ型レジスト材料とは異なる新規な感光機構を有し、高膜厚であっても良好な感度及び解像性が得られるポジ型レジスト材料として使用可能な、樹脂組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、該樹脂組成物を用いた感光性エレメント、レジストパターンの形成方法、及びプリント配線板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、トリチオカーボネート骨格を有する構造単位、ウレタン結合を有する構造単位、及び(メタ)アクリル酸及びエチレン性不飽和基を有する化合物に由来する構造単位を含む高分子化合物と、活性光線によりラジカルを発生する化合物(以下、場合により「光ラジカル発生剤」と称する。)と、を含有する樹脂組成物を提供する。
本発明の樹脂組成物におけるトリチオカーボネート骨格とは、下記式(1)で表される構造を示す。
Figure 0006057120
本発明のトリチオカーボネート骨格構造単位を含む高分子化合物からなる樹脂組成物に活性光線を照射すると、光ラジカル発生剤からラジカルが発生する。そして、発生したラジカルによりトリチオカーボネート構造が分解・開裂して、上記高分子化合物が低分子化する。本発明においては、未露光部の上記高分子化合物と露光部の上記高分子化合物の低分子化物との溶解性の差を利用して、現像を行うことができる。
このような感光機構により、本発明の樹脂組成物は、高膜厚であっても良好な感度及び解像性が得られるポジ型レジスト材料として用いることができる。
また、本発明の高分子化合物におけるウレタン結合を有する構造単位とは、下記式(2)で表される構造を示す。
Figure 0006057120
(上記式(2)中、Xは2価の有機基を示す。)
このウレタン結合を有する構造単位が、樹脂組成物の被膜を形成した時に機械特性に優れるものとなる。
本発明の高分子化合物おける(メタ)アクリル酸に由来する構造単位とは、下記式(3)で表される構造を示す。
Figure 0006057120
式(3)中、nは1以上の整数を示し、Rはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示す。nが2以上の整数であるとき、複数存在するRは、それぞれ互いに同じでも異なっていてもよい。
前記高分子化合物(A)は、エチレン性不飽和基を有する化合物に由来する構造単位を更に含むことが好ましく、下記式(4)で表される(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を有することがより好ましい。より具体的には、後述の式(1−1)のRが、前記式(3)で表される(メタ)アクリル酸に由来する構造単位、及び下記式(4)で表される(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を含むことが好ましい。
この(メタ)アクリル酸に由来する構造単位により、塩基性の水系現像液により現像可能なポジ型レジスト材料として用いることができる。また、このような繰り返し単位を有する高分子化合物(A)は、透明性に優れる。そのため、このような高分子化合物(A)によれば、解像性及び感度に一層優れる樹脂組成物が得られる。
Figure 0006057120
式(4)中、nは1以上の整数を示し、R及は水素原子又はメチル基を示し、Rは1価の有機基を示す。nが2以上の整数であるとき、複数存在するR及びRは、それぞれ互いに同じでも異なっていてもよい。
本発明のトリチオカーボネート骨格を有する構造単位、ウレタン結合を有する構造単位、及び(メタ)アクリル酸及びエチレン性不飽和基を有する化合物に由来する構造単位を含む高分子化合物としては、より具体的には、下記式(1−1)で表される構造単位を有することがより好ましい。
Figure 0006057120

[式(1−1)中、l、n、mは1以上の整数を示し、Rは(メタ)アクリル酸及びエチレン性不飽和基を有する化合物に由来する構造単位、Rはそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基、Rは炭素数1〜10のアルキレン基、Xは2価の有機基、Arは二価の芳香族基を示す。]
このような高分子化合物は、透明性に優れるため、このような高分子化合物を含有する樹脂組成物は、解像性及び感度が一層良好になる。そのため、当該樹脂組成物によれば、高膜厚であっても精密なレジストパターンを形成することができる。
本発明の樹脂組成物において、上記高分子化合物は、ラジカル重合性化合物と、ラジカル重合開始剤と、トリチオカーボネート構造を有する連鎖移動剤との反応を経て得られる両末端に水酸基を有する重合体とジイソシアネート化合物を反応させて得られるポリウレタンであることが好ましい。
このような高分子化合物は、一分子鎖に複数のトリチオカーボネート構造を有している。そのため、活性光線の照射によりトリチオカーボネート構造に結合する炭素原子が解裂した際に、高分子化合物と解裂により生成する低分子化物との溶解性の差を十分に得ることができ、樹脂組成物の解像性が一層向上する。
上記両末端に水酸基を有する重合体としては、下記式(2−1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006057120

[式(2−1)中、Arはそれぞれ独立に、アリール基を示し、Rはそれぞれ独立に、水素原子又はアルキル基、Rは炭素数1〜10のアルキレン基を示す。]
このような両末端に水酸基を有する重合体によれば、両末端に水酸基を有し、分子量分布の狭い高分子化合物が得られるため、ジイソシアネート化合物と反応させてポリウレタンを得られ、樹脂組成物の可とう性等の機械特性を容易に制御することができる。
本発明はまた、支持体と、該支持体上に設けられた上記本発明の樹脂組成物を含む感光層と、を備える、感光性エレメントを提供する。
本発明の樹脂組成物における感光機構は上記のとおりであり、本発明においては高分子化合物の分子量を必ずしも低く抑える必要がない。そのため、本発明の樹脂組成物では、上記高分子化合物の部分構造や分子量を適宜変更することで、そのフィルム形成性及び可とう性を適宜調整することができる。
そのため本発明の樹脂組成物によれば上記のような感光性エレメントを提供することができ、当該感光性エレメントの感光層は可とう性に優れたものとすることができる。
本発明はまた、上記本発明の樹脂組成物を含む感光層を基板上に形成する工程と、前記感光層の所定部分に活性光線を照射する工程と、前記感光層の前記所定部分を前記基板上から除去して、前記基板上に前記樹脂組成物を含むレジストパターンを形成する工程と、を備える、レジストパターンの形成方法を提供する。
本発明はさらに、上記本発明のレジストパターンの形成方法によりレジストパターンが形成された基板を、エッチング又はめっきする工程を備える、プリント配線板の製造方法を提供する。
本発明によれば、従来のポジ型レジスト材料とは異なる新規な感光機構を有し、高膜厚であっても良好な感度及び解像性が得られるポジ型レジスト材料として使用可能な、樹脂組成物を提供することができる。また、本発明は、該樹脂組成物を用いて感光性エレメント、レジストパターンの形成方法、及びプリント配線板の製造方法を提供することができ、高膜厚であっても良好な感度及び解像性が得られる。
本発明の感光性エレメントの一実施形態を示す模式断面図である。
本発明の好適な実施形態について以下に説明する。
(樹脂組成物)
本実施形態に係る樹脂組成物は、トリチオカーボネート骨格を有する構造単位、ウレタン結合を有する構造単位、及び(メタ)アクリル酸及びエチレン性不飽和基を有する化合物に由来する構造単位を含む高分子化合物(A)と、活性光線によりラジカルを発生する化合物(B)(以下、場合により「光ラジカル発生剤(B)」と称する。)と、を含有する。
高分子化合物(A)は、下記式(1)で表されるトリチオカーボネート構造を有する。
なお、本発明で(メタ)アクリル酸は、アクリル酸又はそれに対応するメタクリル酸、それらの混合物を意味する。
Figure 0006057120
高分子化合物(A)は、例えば、ラジカルにより上記トリチオカーボネート構造が分解して、トリチオカーボネート構造の一端側に結合する炭素と、他端側に結合する炭素の部分が分解し得るものである。すなわち、分子鎖にn個のトリチオカーボネート構造を有する高分子化合物(A)は、活性光線の照射により、n+1個の低分子化物に分解し得る。
そして、高分子化合物(A)と、分解により生じた低分子化物と、の溶解性の差を利用して、現像を行うことができる。なお、現像液は、後述するように、高分子化合物(A)と低分子化物との溶解性の差が大きいものを適宜選択することができる。
また、高分子化合物(A)は、下記式(2)で表されるウレタン結合を有する構造単位を有する。
Figure 0006057120
(上記式(2)中、Xは2価の有機基を示す。)
このウレタン結合を有する構造単位が、樹脂組成物の被膜を形成した時に機械特性に優れるものとなる。
また、高分子化合物(A)は、下記式(3)で表される(メタ)アクリル酸に由来する構造単位を有する。
Figure 0006057120
[式(3)中、nは1以上の整数を示し、Rは水素原子又はメチル基を示す。nが2以上の整数であるとき、複数存在するRは、それぞれ互いに同じでも異なっていてもよい。]
また、前記高分子化合物(A)は、エチレン性不飽和基を有する化合物に由来する構造単位を更に含むことが好ましく、下記式(4)で表される(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を有することがより好ましい。より具体的には、前記式(1−1)のRが、前記式(3)で表される(メタ)アクリル酸に由来する構造単位、及び下記式(4)で表される(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を含むことが好ましい。
Figure 0006057120
[式(4)中、nは1以上の整数を示し、R及は水素原子又はメチル基を示し、Rは1価の有機基を示す。nが2以上の整数であるとき、複数存在するR及びRは、それぞれ互いに同じでも異なっていてもよい。]
前記(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を有する高分子化合物(A)は、解像性及び感度に一層優れる樹脂組成物が得られる。
における2価の有機基としては、例えば、炭素数1〜20のアルキル基、フェニル基、ベンジル基等が挙げられる。前記炭素数1〜20のアルキル基は、直鎖状であっても分岐状であっても、環状あってもよく、炭素数1〜12のアルキル基であることがより好ましい。Rにおける炭素数1〜20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、ジシクロペンタニル基、イソボルニル基、アダマンチル基、グリシジル基等が挙げられる。
高分子化合物(A)は、熱架橋性基を有していてもよい。ここで熱架橋性基とは、加熱により架橋構造を形成し得る基を示し、熱架橋性基同士が直接架橋するものであってもよく、熱硬化剤を介して架橋するものであってもよい。
熱架橋性基としては、オキシラン環を有する基が挙げられる。これらの熱架橋性基は、熱硬化剤を適宜選択することによって容易に、活性光線の照射によっては架橋せず、加熱によって架橋するようにすることができる。そのため、このような熱架橋性基を有する高分子化合物を含有する樹脂組成物は、ポジ型レジスト材料として一層好適に用いることができる。
前記熱架橋性基を有する構造としては、例えば、式(1−1)のRに下記式(5)で表される構造単位を導入することが挙げられる。
Figure 0006057120
式(5)中、mは1以上の整数を示し、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは熱架橋性基を示す。mが2以上の整数であるとき、複数存在するR及びRは、それぞれ互いに同じでも異なっていてもよい。
における熱架橋性基としては、オキシラン環を有する基が好ましい。
式(5)で表される構造単位は、例えば、下記式(6)で表される構造単位であることが好ましい。
Figure 0006057120
式(6)中、m及びRは式(5)におけるm及びRと同義であり、Rは二価の有機基を示す。
における二価の有機基としては、アルキレン基、アリーレン基、アルキレンオキシ基、シクロアルキレンオキシ基等が挙げられ、これらのうちアルキレン基、アルキレンオキシ基が好ましい。
アルキレン基は、直鎖状であっても分岐状であっても環状であってもよく、炭素数1〜20のアルキレン基であることが好ましく、炭素数1〜12のアルキレン基であることがより好ましい。アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロパンジイル基、ヘキサンジイル基、シクロヘキサンジイル基が挙げられる。
アリーレン基としては、フェニレン基等が例示できる。
アルキレンオキシ基は、−R−O−(Rはアルキレン基を示す。)で表される基であり、Rにおけるアルキレン基としては上記と同様のものが例示できる。
シクロアルキレンオキシ基としては、シクロヘキシルオキシ基等が挙げられる。
高分子化合物(A)は、上記以外の構造を有していてもよく、例えば、後述するエチレン性不飽和基を有する化合物に由来する構造を有していてもよい。
高分子化合物(A)は、(メタ)アクリル酸tert−ブチルと、エチレン性不飽和基を有する化合物と、ラジカル重合開始剤と、トリチオカーボネート構造を有する連鎖移動剤との重合反応を経て得られる両末端に水酸基を有する重合体とジイソシアネート化合物を反応させて得られるポリウレタン重合体であることが好ましい。このようにして得られたポリウレタン重合体の前記(メタ)アクリル酸tert−ブチルに由来する構造単位中のtert−ブチル基を加水分解することで、(メタ)アクリル酸に由来する構造単位とすることができる。
エチレン性不飽和基を有する化合物としては、可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT重合)に用いられるモノマーを適宜使用することができる。
エチレン性不飽和基を有する化合物としては、前記(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位の原料(以下、(メタ)アクリル酸エステルと称する)に加え、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルジメチルアミド等のアクリルアミド類;(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
前記(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸2エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸イソボニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸グリシジル等が挙げられる。
ラジカル重合開始剤としては、可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT重合)に用いられる重合開始剤を適宜使用することができる。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化アセチル、過酸化ラウロイル、過酸化ジ−tert−ブチル、クメンヒドロペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド等の過酸化物開始剤;AIBN(2,2´−アゾビスイソブチロニトリル)、V−65(アゾビスジメチルバレロニトリル)等のアゾ開始剤が挙げられる。これらのうち、低沸点の溶媒を使用できること、副反応が起こりにくいことなどの観点から、アゾ開始剤が好ましく、AIBNがより好ましい。
両末端に水酸基を有する重合体としては、例えば、下記式(2−1)で表される化合物が挙げられる。このような両末端に水酸基を有する重合体によれば、式(1−1)の構造を有する高分子化合物を得ることができ、また、分子量分布の狭い高分子化合物が得られるため、樹脂組成物の可とう性等の機械特性を容易に制御することができる。
Figure 0006057120
式(2−1)中、Arは、アリール基を示し、Rはそれぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を示し、Rは炭素数1〜10のアルキレン基を示す。
Arにおけるアリール基としては、フェニル基、トリル基等が挙げられる。
におけるアルキル基としては、直鎖状であっても分岐状であっても環状であってもよく、炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜12のアルキル基であることがより好ましい。Rにおけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、ジシクロペンタニル基等が挙げられる。
におけるアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキセン基、オクチレン基、ドデシレン基等が挙げられる。
上記重合反応においては、重合反応に供するラジカル重合性化合物及びラジカル重合開始剤のモル比を制御することで、得られる高分子化合物(A)の分子量を調整することができる。
また、上記重合反応において、重合反応に供するラジカル重合性化合物の配合量C(モル)とラジカル重合開始剤の配合量C(モル)とのモル比C/Cは、0.2〜30とすることが好ましく、1〜20とすることがより好ましい。モル比C/Cが大きいと、単分散性になる一方で重合反応が遅くなる傾向があり、モル比C/Cが小さいと、ラジカル重合開始剤から直接ラジカル重合性化合物への連鎖移動が起こり、トリチオカーボネート構造を有しない重合体が副生して現像性が低下するおそれがある。
上記重合反応は、溶液重合、懸濁重合,乳化重合,固相重合等により行うことができる。これらのうち、好適な重量平均分子量を有する両末端に水酸基を有する高分子化合物の重合体を得る観点からは、溶液重合が好ましい。
溶液重合は、例えば、ラジカル重合性化合物とラジカル重合開始剤と連鎖移動剤とを、生成する高分子化合物(A)を溶解可能な溶剤に溶かし、ラジカル重合開始剤がラジカルを生じる温度まで加温することで行うことができる。溶液重合は、空気雰囲気下;窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下;脱気真空下;などの条件で行うことができるが、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
溶液重合で用いる溶剤は、生成する高分子化合物(A)を溶解可能な溶剤であれば特に制限されないが、重合温度より高い沸点を有する溶剤が好ましい。なお、常圧で重合温度より低い沸点を有する溶剤を用いる場合には、加圧下で重合を行うこともできる。
溶剤としては、例えば、メトキシエタノール、エトキシエタノール、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノール、酢酸ブチル、クロルベンゼン、ジオキサン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
なお、RAFT重合では、一般的にアクリル成長末端からメタクリレート系モノマーへの連鎖移動は生じ難いことなどが知られている。そのため、複数のラジカル重合性化合物を共重合するときは、その配合手順や組み合わせを考慮することが好ましい。例えば、複数のラジカル重合性化合物を同時に重合反応に供する場合には、アクリル系モノマーだけの組み合わせ、メタクリレート系モノマーだけの組み合わせ、などとすることが好ましい。また、ブロック重合で段階的に重合体を成長させる場合には、メタクリレート系モノマーを重合させた後にアクリレート系モノマーを重合する、などとすることが好ましい。
両末端に水酸基を有する高分子化合物の重量平均分子量(GPCによるポリスチレン換算)は、通常1000以上であり、1500〜20000であることが好ましく、2000〜8000であることがより好ましい。重量平均分子量が1000以上であると、機械強度の高いレジストパターンが得られる。また、重量平均分子量が20000以下であると、現像性に一層優れる傾向がある。
両末端に水酸基を有する高分子化合物とジイソシアネートを反応させることによりポリウレタンが生成し、高分子化合物(A)を得ることができる。高分子化合物(A)の重量平均分子量(GPCによるポリスチレン換算)は、通常10000以上であり、15000〜100000であることが好ましく、30000〜80000であることがより好ましい。重量平均分子量が30000以上であると、機械強度の高い感光性エレメントとすることができ得られるレジストパターンの強度も高い。また、重量平均分子量が80000以下であると、樹脂組成物ワニスに低沸点の溶剤を使用することができる。
ジイソシアネートとしては、脂肪族ジイソシアネート又は芳香族ジイソシアネートのいずれを用いることもできる。
芳香族ジイソシアネートとしては、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、2,4−トリレンダイマー等が例示できる。
脂肪族ジイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が例示できる。
芳香族ジイソシアネート及び脂肪族ジイソシアネートを併用することもできる。
ジイソシアネートは、両末端に水酸基を有する高分子化合物に対して等モル、もしくは両末端に水酸基を有する高分子化合物が1.001倍以上となるように使用することが好ましい。ジイソシアネートの量が等モルよりも多いと未反応のイソシアネート基が残り、感光性エレメントの可使時間が短くなり、好ましくない。また、両末端に水酸基を有する高分子化合物がジイソシアネートの3倍以上になると高分子化合物(A)の分子量が上がらず、感光性エレメントの強度や可とう性が低下することがあり、好ましくない。
上記反応は溶液重合で行うことが好ましく、用いる溶剤は、上述のように生成する高分子化合物(A)を溶解可能な溶剤であれば特に制限されないが、重合温度より高い沸点を有する溶剤が好ましい。なお、常圧で重合温度より低い沸点を有する溶剤を用いる場合には、加圧下で重合を行うこともできる。
溶剤としては、例えば、メトキシエタノール、エトキシエタノール、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノール、酢酸ブチル、クロルベンゼン、ジオキサン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
樹脂組成物中の高分子化合物(A)の含有量は、樹脂組成物の全量基準で、80〜100質量%であることが好ましく、90〜99質量%であることがより好ましい。
光ラジカル発生剤(B)は、活性光線の照射によりラジカルを発生して、高分子化合物(A)におけるトリチオカーボネート構造を分解して、高分子化合物(A)を低分子化する成分である。
光ラジカル発生剤(B)としては、光開始剤として一般的に知られているものを用いることができ、例えば、ベンゾフェノン、p,p−ジメチルアミノベンゾフェノン、p,p−ジエチルアミノベンゾフェノン、p,p−ジクロルベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;2−エチルアントラキノン、tert−ブチルアントラキノン等のアントラキノン類;2−クロロチオキサントン等のチオキサントン類;ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾインエーテル類;ベンジル類;2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;が挙げられる。
樹脂組成物中の光ラジカル発生剤(B)の含有量は、高分子化合物(A)の総量100質量部に対して、0.1〜10.0質量部とすることが好ましく、0.5〜5.0質量部とすることがより好ましい。
高分子化合物(A)が熱架橋性基を有するとき、樹脂組成物は、熱硬化剤(C)を含有していてもよい。熱硬化剤は、熱架橋性基と反応して架橋構造を形成する成分である。熱硬化剤は、熱架橋性基に応じて適宜選択することができる。
例えば、高分子化合物(A)がオキシラン環を有する場合、熱硬化剤としては、エポキシ樹脂の硬化剤として公知のものを用いることができる。例えば、熱硬化剤として、脂肪族アミン、芳香族アミン、イミダゾール類等のアミン化合物;無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸等の酸無水物類;フェノール樹脂;などを好適に用いることができる。
樹脂組成物は、上記の各成分以外の成分を含有していてもよい。例えば、樹脂組成物は、必要に応じて、可塑剤、顔料、充填材、消泡剤、難燃剤、レベリング剤、酸化防止剤等を含有していてもよい。
(感光性エレメント)
次に、本実施形態に係る感光性エレメントについて説明する。本実施形態に係る感光性エレメントは、支持体と、該支持体上に設けられた上記樹脂組成物を含む感光層と、を備える。
図1は、本発明の感光性エレメントの好適な一実施形態を示す模式断面図である。図1に示した感光性エレメント1は、支持体10と、該支持体10上に設けられた感光層14と、で構成される。感光層14は、上記樹脂組成物を用いて形成される層である。感光層14は、例えば、上記樹脂組成物を溶剤に溶解して樹脂溶液を調製し、それを支持体10上に塗布して乾燥することによって形成される。また、感光性エレメント1は、感光層14上の支持体10とは反対側の面F1を、保護フィルムで被覆してもよい。
支持体10としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の耐熱性及び耐溶剤性を有する重合体フィルムが挙げられる。支持体10の厚みは、5〜100μmであることが好ましく、10〜50μmであることがより好ましい。この厚みが5μm未満では、機械的強度が低下し、感光層14を基板上に積層させる際などに、支持体10が破れる等の問題が発生し易くなる傾向にある。また、厚みが100μmを超えると、支持体10を介して感光層14に活性光線を照射する場合に、解像度が低下する傾向がある。
感光層14の厚みは、用途により異なるが、加熱及び/又は熱風吹き付けにより溶剤を除去した乾燥後の厚みで、1〜100μmであることが好ましく、3〜60μmであることがより好ましい。感光性エレメント1は、上記樹脂組成物を用いて感光層14を形成しているため、感光層14が厚い場合であっても高精度にレジストパターンを形成することができる。
支持体10と感光層14との2層からなる感光性エレメント1、又は、支持体10と感光性層14と保護フィルムとの3層からなる感光性エレメントが好適に使用でき、これらの感光性エレメントは、そのまま貯蔵してもよく、保護フィルムを介在させた上で巻芯にロール状に巻き取って保管してもよい。
(レジストパターンの形成方法)
次に本実施形態に係るレジストパターンの形成方法について説明する。本実施形態に係るレジストパターンの形成方法は、上記樹脂組成物を含む感光層を基板上に形成する積層工程と、感光層の所定部分に活性光線を照射する露光工程と、感光層の当該所定部分(以下、場合により、活性光線照射後の当該所定部分を「露光部」といい、所定部分以外の部分を「未露光部」という。)を基板上から除去して、基板上に上記樹脂組成物を含むレジストパターンを形成する現像工程と、を備える。
また、本実施形態に係るレジストパターンの形成方法は、上記樹脂組成物中の高分子化合物(A)が熱架橋性基を有するとき、樹脂組成物を含むレジストパターンを加熱して、脂組成物の硬化物を含むレジストパターンを形成する加熱工程をさらに備えていてもよい。
基板としては、シリコン、ガラス等の絶縁性を有する基板が好適に使用できる。
(積層工程)
積層工程において、感光層を基板上に形成する方法としては種々の方法を利用できる。例えば、樹脂組成物を溶剤又は混合溶剤に溶解して、固形分30〜70質量%程度の溶液とした後、かかる溶液を基板上に塗布して感光層を形成することができる。
また、上述した感光性エレメントを用いて、基板上への感光層の積層を行ってもよい。その場合の積層方法としては、感光性エレメントが保護フィルムを備える場合には保護フィルムを除去した後、感光層を70℃〜130℃程度に加熱しながら基板に0.1〜1MPa程度の圧力で圧着する方法等が挙げられる。かかる方法は、密着性及び追従性の見地から、減圧下で行うことが好ましい。また、積層性をさらに向上させるために、圧着前に基板の余熱処理を行うこともできる。これらの積層条件は、適宜変更することができる。
(露光工程)
感光性エレメントを用いた積層方法では、基板上に、感光層と支持体とが順次積層される。支持体が透明性を有する場合には、露光工程において、支持体上から活性光線を照射して感光層を露光してもよい。また、支持体の透明性が低い場合には、支持体を感光層上から除去し、直接感光層に活性光線を照射してもよい。
露光工程では、例えば、アートワークと呼ばれるネガ又はポジマスクパターンを通して活性光線を照射する。活性光線の光源としては、例えば、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ等の紫外線を有効に放射するものが用いられる。
(現像工程)
現像工程では、露光部を基板上から除去する。現像工程では、感光層上に支持体が存在している場合には支持体を除去した後、現像液で処理することにより露光部を除去してレジストパターンを製造することができる。
現像液としては、アルカリ性水溶液、水系現像液、有機溶剤等の安全かつ安定であり操作性が良好なものが樹脂組成物の種類に対応して用いられる。また、現像方法としては、スプレー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッピング等の公知の方法が適宜採用される。
上記アルカリ性水溶液の塩基としては、アルカリ金属、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムの水酸化物である水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等、アルカリ金属、アンモニウム等の炭酸塩又は重炭酸塩である炭酸アルカリ又は重炭酸アルカリ、アルカリ金属のリン酸塩であるリン酸ナトリウム、リン酸カリウム等、アルカリ金属のピロリン酸塩であるピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム等、安全かつ安定であり、操作性が良好なものが用いられる。
また、このようなアルカリ性水溶液としては、例えば、0.1〜5質量%炭酸ナトリウムの希薄溶液、0.1〜5質量%炭酸カリウムの希薄溶液、0.1〜5質量%水酸化ナトリウムの希薄溶液、0.1〜5質量%四ホウ酸ナトリウムの希薄溶液が好ましく、そのpHは9〜11の範囲とすることが好ましい。また、このようなアルカリ性水溶液の温度は感光層の現像性に合わせて調節され、20〜50℃とすることが好ましい。さらに、上記アルカリ性水溶液中には、現像を促進させるために界面活性剤、消泡剤等の少量の有機溶剤を混入させてもよい。
上記水系現像液としては、水及びアルカリ性水溶液若しくは一種以上の有機溶剤とからなるものが用いられる。ここでアルカリ性水溶液の塩基としては、上記したもの以外に、例えば、ホウ砂、メタケイ酸ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、エタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ジアミノプロパノール−2、モルホリンが挙げられる。このような水系現像液のpHは、現像処理が充分にできる範囲でできるだけ小さくすることが好ましく、pH8〜12であることが好ましく、pH9〜10であることがより好ましい。
上記有機溶剤としては、例えば、アセトン、酢酸エチル、炭素数1〜4のアルコキシ基をもつアルコキシエタノール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等が用いられる。このような有機溶剤の濃度は、通常、2〜90質量%であることが好ましい。また、このような有機溶剤の温度は、現像性にあわせて調節することができる。さらに、このような有機溶剤は単独で又は二種類以上を組み合わせて用いることができる。単独で用いる有機溶剤系現像液としては、例えば、1,1,1−トリクロロエタン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、γ−ブチロラクトンが挙げられる。さらに、上記アルカリ性水溶液中には、現像を促進させるために界面活性剤、消泡剤等の少量の有機溶剤を混入させてもよい。
(加熱工程)
加熱工程では、高分子化合物(A)の熱架橋性基と、樹脂組成物中の熱硬化剤と、が反応し得る温度に、樹脂組成物を含むレジストパターンを加熱する。加熱温度は、熱架橋性基及び熱硬化剤の種類に応じて適宜選択することができる。
加熱工程を経たレジストパターンは、永久レジストとして好適に用いることができる。
(プリント配線板の製造方法)
上記方法によりレジストパターンが形成された基板をエッチング又はめっきすることにより、プリント配線板を製造することができる。基板のエッチング又はめっきは、形成されたレジストパターンをマスクとして、基板の少なくとも一面上に対して行われる。
エッチングを行う場合のエッチング液としては、塩化第二銅溶液、塩化第二鉄溶液、アルカリエッチング溶液、過酸化水素エッチング液が挙げられ、これらの中では、エッチファクタが良好な点から塩化第二鉄溶液を用いることが好ましい。
めっきを行う場合のめっき方法としては、硫酸銅めっき、ピロリン酸銅めっき等の銅めっき、ハイスローはんだめっき等のはんだめっき、ワット浴(硫酸ニッケル−塩化ニッケル)めっき、スルファミン酸ニッケル等のニッケルめっき、ハード金めっき、ソフト金めっき等の金めっきなどが挙げられる。
エッチング又はめっき終了後、レジストパターンは、現像に用いた溶剤より更に溶解性の高い溶剤によって剥離することができる。溶剤を用いる場合には、複数種の溶剤を混合することによってレジストパターンの剥離量を調節することができ、好ましい。
レジストパターンの剥離方式としては、浸漬方式、スプレー方式等が挙げられ、これらは単独で用いても併用してもよい。また、レジストパターンが形成されたプリント配線板は、多層プリント配線板でもよく、小径スルーホールを有していてもよい。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
(合成例1:重合体(a)及び高分子化合物(A)の合成)
還流冷却器、窒素導入管、撹拌装置及び温度計を備えた300ミリリットルのフラスコに、アクリルモノマとしてメタクリル酸tert−ブチル(tert−ブチルメタクリレート)5.69g(40ミリモル)、メタクリル酸ラウリル(ラウリルメタクリレート)5.09g(20ミリモル)、メタクリル酸2−エチルヘキシル(2-エチルヘキシルメタクリレート)3.97g(20ミリモル)、連鎖移動剤としてビス[4−[エチル−2−(ヒドロキシエチル)アミノカルボニル]-ベンジル]トリチオカーボネート(以下、場合により「RAFT剤A」という。)10.42g(20ミリモル)、ラジカル重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)3.28g(20ミリモル)、溶剤としてN−メチルピロリジノン114gを入れ、窒素ガスを15分間バブリングした後、水浴により温度を75℃に上げた。12時間反応させ黄色の重合体(a)を得た。重合体(a)の数平均分子量は1320であった。得られた重合体(a)の反応液に、ジフェニルメタンジイソシアネート5.00g(20ミリモル)を入れ、オイル浴により温度を90℃に上げた。3時間反応させたのち反応液を高分子化合物(A)ワニスとした。反応液を室温(25℃)まで冷却し4規定の塩酸−酢酸エチル溶液10ミリリットルを加えて1時間、撹拌後、70℃で揮発分を減圧留去した。得られた高分子化合物(A)ワニスの固形分は20質量%であった。高分子化合物(A)の数平均分子量は18600、酸価は80mgKOH/gであった。
重合体(a)及び高分子化合物(A)について、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)は以下のように測定した。酸価は、JIS K2501の電位差滴定法により測定した。
[Mn及びMwの測定]
重合体(a)、高分子化合物(A)の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、分子量分布のクロマトグラムをGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定し、25℃における標準ポリスチレンで換算して求めた。なお、GPCの溶離液としてはテトラヒドロフランを使用し、カラムはTSK−gel Super HZ−3000及びHZ−2000(何れも東ソー株式会社製、商品名)を直結したものを使用した。
(合成例2〜5)
アクリルモノマの種類及び各成分の配合量を、表1に示したように変更したこと以外は、合成例1と同様にして、重合体(b)〜(e)、高分子化合物(B)〜(E)を得た。高分子化合物ワニスの固形分は、それぞれ表1に示したとおりである。
得られた各高分子化合物について、合成例1と同様の方法で数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及び酸価を測定した。測定結果をそれぞれ表1に示した。
Figure 0006057120
(実施例1)
高分子化合物(A)ワニス10g(固形分20質量%N−メチルピロリジノン溶液)に、活性光線によりラジカルを発生する化合物(光ラジカル発生剤)としてIrg−651(2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、BASFジャパン株式会社製、商品名)0.10gを溶解して、感光性ワニスを調製した。この感光性ワニスを、乾燥後の厚み(感光層の厚み)がそれぞれ10μm、20μm、30μmとなるように、ポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人テトロンフィルム株式会社製、ビューレックスA63)にバーコーターで塗布し、120℃で15分間加熱して乾燥させ、感光性エレメントを得た。
得られた感光性エレメントをそれぞれ用いて、下記の方法でパターンを作製し、評価した。評価結果を表2に示した。
[パターンの作製]
得られた感光性エレメントを銅張り積層板MCL−E−67(ガラスエポキシ銅箔張り積層板、日立化成工業株式会社製、商品名)上にラミネートし、積層板上に感光層を設けた。次いで、紫外線露光装置を用いて、所定のパターンのフォトマスクを介して露光した。露光量は厚み20μmの場合は200mJ/cm、30μmの場合は400mJ/cmとして行った。その後、ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離した。
表2に示した現像液を用いて、それぞれ、像の形成ができた場合をA、像の形成がみられなかった場合をBとして評価した。また、感光性エレメントのラミネート性について、ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離する際、樹脂層がポリエチレンテレフタレートに転着せずに剥離できた場合をA、樹脂層がポリエチレンテレフタレートに転着して剥離が困難であった場合をBとして、評価した。
(実施例2〜5)
高分子化合物(A)を、高分子化合物(B)〜(E)にそれぞれ変更したこと以外は、実施例1とそれぞれ同様にして感光性エレメントを得た。
得られた感光性エレメントをそれぞれ用いて、実施例1と同様にしてパターンを作製し、評価した。評価結果を表2に示した。
(実施例6〜8)
光ラジカル発生剤を、N−1717(1,7−ジ(アクリジン−9−イル)ヘプタン、アデカアーガス株式会社製、商品名)、B−CIM(2,2´−ビス(2−クロロフェニル)−4,4´,5,5´−テトラフェニルビスイミダゾール(Hampford社製、商品名))、Irg907(2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、BASFジャパン株式会社製、商品名)にそれぞれ変更したこと以外は、実施例1と同様にして感光性エレメントを得た。
得られた感光性エレメントをそれぞれ用いて、実施例1と同様にしてパターンを作製し、評価した。評価結果を表3に示した。
(比較例1〜5)
高分子化合物(A)(B)(C)(D)(E)に光ラジカル発生剤を配合しなかったこと以外は、実施例1と同様にして感光性エレメントを得た。
得られた感光性エレメントに紫外線を1500mJ/cm照射したが表4に示したようにフィルムが現像液に溶解することはなかった。
Figure 0006057120
Figure 0006057120
Figure 0006057120
トリチオカーボネート構造を有する高分子化合物に光ラジカル発生剤を配合した実施例1〜8の感光性エレメントは、いずれもフィルムであり、紫外線露光及び現像により、像形成が可能であった。
一方、光ラジカル発生剤を配合しなかった比較例1〜5では、紫外線露光をしてもフィルムが現像液に溶解せず、像形成ができなかった。
1…感光性エレメント1、10…支持体、14…感光層

Claims (6)

  1. トリチオカーボネート骨格を有する構造単位、ウレタン結合を有する構造単位、及び(メタ)アクリル酸及びエチレン性不飽和基を有する化合物に由来する構造単位を含む高分子化合物と、活性光線によりラジカルを発生する化合物と、を含有する樹脂組成物。
  2. 前記高分子化合物が、下記式(1−1)で表される構造単位を有する、請求項1に記載の樹脂組成物。
    Figure 0006057120
  3. 前記両末端に水酸基を有する重合体が、下記式(2−1)で表される化合物である、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
    Figure 0006057120
  4. 支持体と、該支持体上に設けられた請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含む感光層と、を備える、感光性エレメント。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含む感光層を基板上に形成する工程と、
    前記感光層の所定部分に活性光線を照射する工程と、
    前記感光層の前記所定部分を前記基板上から除去して、前記基板上に前記樹脂組成物を含むレジストパターンを形成する工程と、
    を備える、レジストパターンの形成方法。
  6. 請求項5に記載の方法によりレジストパターンが形成された基板を、エッチング又はめっきする工程を備える、プリント配線板の製造方法。
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