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JP6056962B2 - クラッチピストン構造 - Google Patents

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JP6056962B2
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Description

本発明は、クラッチピストン構造に関し、特に、乾式クラッチと潤滑油などのオイルが存在する空間とをシールし、かつ、クラッチピストンの駆動に追従する弾性シール部材を備えたものに関する。
従来、この乾式多板クラッチと、ピストン側のオイルが存在する空間とをシールし、かつ、ピストンの駆動に追従して伸縮する弾性シール部材を備えたクラッチピストン構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この従来のクラッチピストン構造は、駆動力の伝達を断接する乾式多板クラッチをモータ内周に配置した駆動伝達装置に適用されている。そして、クラッチピストンは、回転軸と一体回転するクラッチドラムの隔壁を貫通して乾式多板クラッチを締結させるアームを備えている。さらに、クラッチピストンと乾式多板クラッチとの間には、弾性シール材が介在されている。この弾性シール部材は、隔壁の乾式多板クラッチ側の空間を、クラッチピストン側のオイルが浸入する弾性シール室と、乾式多板クラッチが配置されたクラッチ室とを区画し、かつ、クラッチピストンの駆動に伴って、軸方向に変位可能なように、弾性を有している。
したがって、回転軸の軸受けのオイルが、隔壁においてアームが貫通する穴を通って弾性シール室に浸入しても、弾性シール部材のシールにより、乾式多板クラッチに達しないようになっている。
特開2012−52562号公報
しかしながら、従来のクラッチピストン構造にあっては、モータの回転により回転軸が回転した際に、弾性シール室に流入したオイルが遠心力を受けて、弾性シール室内に油圧を生じ、この油圧が弾性シール部材に応力を与えるようになっていた。このため、弾性シール部材は、単に、弾性シール室とクラッチ室とをシールするだけではなく、この遠心力による油圧による破損を防止できるだけの強度が必要となっていた。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、回転軸回転時に弾性シール部材に作用する応力を低減可能なクラッチピストン構造を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、回転軸と一体回転可能に設けられた隔壁に、アーム側の弾性シール室と乾式クラッチ側のクラッチ室との間をシールする弾性シール部材が設けられたクラッチピストン構造において、前記隔壁に、アーム貫通穴よりも外径側の位置で、弾性シール室とピストン収容室とを連通する隔壁連通孔を設けたことを特徴とするクラッチピストン構造とした。
本発明のクラッチピストン構造では、回転軸の回転時に、弾性シール室に浸入したオイルが遠心力を受けた際には、アーム貫通穴よりも外径方向に位置するオイルは、ドレン圧であるピストン収容室との圧力差により、隔壁連通孔を通りピストン収容室へ移動する。
このため、回転軸の回転時の弾性シール室内の遠心力による油圧を、隔壁連通孔を設けないものと比較して、低く抑えることが可能となる。これにより、本発明では、隔壁連通孔を設けないものと比較して、弾性シール材の強度を上げることなく遠心力油圧による破損防止が可能となる。
実施の形態1のクラッチピストン構造を備えたハイブリッド駆動力伝達装置を示す全体概略図である。 前記ハイブリッド駆動力伝達装置におけるモータ&クラッチユニットの多板乾式クラッチの構成を示す要部断面図である。 前記ハイブリッド駆動力伝達装置における多板乾式クラッチのピストン組立体を示す分解側面図である。 前記ハイブリッド駆動力伝達装置における多板乾式クラッチのピストン組立体を示す分解斜視図である。 実施の形態1のクラッチピストン構造の隔壁を軸方向から見た正面図である。 実施の形態1のクラッチピストン構造のリテーナ部材を軸方向から見た正面図である。 実施の形態1のクラッチピストン構造のクラッチピストンのアーム部材を軸方向から見た正面図である。 実施の形態1のクラッチピストン構造の組付工程の説明図であって、隔壁、リテーナ部材、アーム部材の組付前の状態を示す分解斜視図である。 実施の形態1のクラッチピストン構造の組付工程の説明図であって、リテーナ部材とアーム部材とをアッセンブリした状態を示す分解斜視図である。 実施の形態1のクラッチピストン構造の組付工程の説明図であって、リテーナ部材とアーム部材とをアッセンブリしたものをクラッチドラムの隔壁に組み付けた状態を示す斜視図である。 実施の形態1のクラッチピストン構造において、リテーナ部材とアーム部材とをアッセンブリしたものをクラッチドラムの隔壁に組み付けた状態を軸方向から見た正面図である。 実施の形態2のクラッチピストン構造において、リテーナ部材とアーム部材とをアッセンブリしたものをクラッチドラムの隔壁に組み付けた状態を軸方向から見た正面図である。
以下、本発明のクラッチピストン構造を実施するための形態を、図面に示す実施の形態に基づいて説明する。
(実施の形態1)
まず、構成を説明する。
実施の形態1のクラッチピストン構造を備えたハイブリッド駆動力伝達装置の構成を、「全体構成」、「モータ&クラッチユニットの構成」、「ベアリング潤滑油路構成」に分けて説明する。
[全体構成]
図1は、実施の形態1のクラッチピストン構造を備えたハイブリッド駆動力伝達装置を示す全体概略図である。以下、図1に基づき装置の全体構成を説明する。
このハイブリッド駆動力伝達装置は、図1に示すように、エンジンEngと、モータ&クラッチユニットM/Cと、変速機ユニットT/Mと、エンジン出力軸1と、クラッチハブ軸2と、クラッチハブ3と、クラッチドラム軸(回転軸)4と、変速機入力軸5と、クラッチドラム6と、乾式多板クラッチ(乾式クラッチ)7と、スレーブシリンダー8と、モータ/ジェネレータ9と、を備えている。
なお、乾式多板クラッチ7の締結・開放を油圧制御するスレーブシリンダー8は、一般に「CSC(Concentric Slave Cylinderの略)」と呼ばれる。
ハイブリッド駆動力伝達装置は、ノーマルオープンである乾式多板クラッチ7を開放したとき、モータ/ジェネレータ9と変速機入力軸5を、クラッチドラム6とクラッチドラム軸4を介して連結し、「電気自動車走行モード」とする。
一方、乾式多板クラッチ7をスレーブシリンダー8により油圧締結したとき、エンジンEngとモータ/ジェネレータ9とを連結した「ハイブリッド車走行モード」とする。すなわち、乾式多板クラッチ7は、締結時には、ダンパー21を介してエンジン出力軸1に連結されたクラッチハブ軸2に結合されたクラッチハブ3と、モータ/ジェネレータ9から入力されるクラッチドラム6とを連結する。
モータ&クラッチユニットM/Cは、乾式多板クラッチ7と、スレーブシリンダー8と、モータ/ジェネレータ9と、を有する。乾式多板クラッチ7は、エンジンEngに連結接続され、エンジンEngからの駆動力伝達を断接する。スレーブシリンダー8は、乾式多板クラッチ7の締結・開放を油圧制御する。モータ/ジェネレータ9は、乾式多板クラッチ7のクラッチドラム6の外周位置に配置され、変速機入力軸5との間で動力を伝達する。
このモータ&クラッチユニットM/Cには、スレーブシリンダー8への第1クラッチ圧油路85を有するシリンダーハウジング81が、O−リング10によりシール性を保ちながら設けられている。
モータ/ジェネレータ9は、同期型交流電動機であり、クラッチドラム6と一体に設けたロータ支持フレーム91と、ロータ支持フレーム91に支持固定され、永久磁石が埋め込まれたロータ92と、を有する。そして、ロータ92にエアギャップ93を介して配置され、シリンダーハウジング81に固定されたステータ94と、ステータ94に巻き付けられたステータコイル95と、を有する。なお、シリンダーハウジング81には、冷却水を流通させるウォータジャケット96が形成されている。
変速機ユニットT/Mは、モータ&クラッチユニットM/Cに連結接続され、変速機ハウジング41と、Vベルト式無段変速機機構42と、オイルポンプO/Pと、を有する。Vベルト式無段変速機機構42は、変速機ハウジング41に内蔵され、2つのプーリ間にVベルトを掛け渡し、ベルト接触径を変化させることにより無段階の変速比を得る。オイルポンプO/Pは、必要部位への油圧を作る油圧源であり、オイルポンプ圧を元圧とし、プーリ室への変速油圧やクラッチ・ブレーキ油圧、等を調圧する図外のコントロールバルブからの油圧を必要部位へ導く。この変速機ユニットT/Mには、さらに前後進切換機構43と、オイルタンク44と、エンドプレート45と、が設けられている。エンドプレート45は、第2クラッチ圧油路47(図2参照)を有する。
オイルポンプO/Pは、変速機入力軸5の回転駆動トルクを、チェーン駆動機構を介して伝達することでポンプ駆動する。チェーン駆動機構は、変速機入力軸5の回転駆動に伴って回転する駆動側スプロケット51と、ポンプ軸57を回転駆動させる被動側スプロケット52と、両スプロケット51,52に掛け渡されたチェーン53と、を有する。駆動側スプロケット51は、変速機入力軸5とエンドプレート45との間に介装され、変速機ハウジング41に固定されたステータシャフト54に対し、ブッシュ55を介して回転可能に支持されている。
そして、変速機入力軸5にスプライン嵌合すると共に、駆動側スプロケット51に対して爪嵌合する第1アダプタ56を介し、変速機入力軸5からの回転駆動トルクを伝達する。
[モータ&クラッチユニットの構成]
図2は、ハイブリッド駆動力伝達装置におけるモータ&クラッチユニットの構成を示す要部断面図である。また、図3は、ハイブリッド駆動力伝達装置における乾式多板クラッチのピストン組立体を示す分解側面図であり、図4は、このピストン組立体を示す分解斜視図である。
以下、図2〜図4に基づき、モータ&クラッチユニットM/Cの構成を説明する。
図2に示すように、クラッチハブ3は、エンジンEngのエンジン出力軸1に連結されている。このクラッチハブ3には、乾式多板クラッチ7のドライブプレート71がスプライン結合により保持される。
クラッチドラム6は、変速機ユニットT/Mの変速機入力軸5に、クラッチドラム軸4を介して連結されている。そして、このクラッチドラム6には、乾式多板クラッチ7のドリブンプレート72がスプライン結合により保持される。
乾式多板クラッチ7は、クラッチハブ3とクラッチドラム6との間に、両面に摩擦フェーシング73,73を貼り付けたドライブプレート71と、ドリブンプレート72と、を交互に複数枚配列することで介装される。ドライブプレート71は、クラッチハブ軸2と同軸で共に回転する。ドリブンプレート72は、クラッチドラム軸4と同軸で共に回転する。つまり、乾式多板クラッチ7を締結することで、クラッチハブ3とクラッチドラム6の間でトルク伝達可能とし、乾式多板クラッチ7を開放することで、クラッチハブ3とクラッチドラム6の間でのトルク伝達を遮断する。
スレーブシリンダー8は、乾式多板クラッチ7の締結・開放を制御する油圧アクチュエータであり、変速機ユニットT/M側とクラッチドラム6の間の位置に配置される。
そして、このスレーブシリンダー8は、クラッチピストン82と、第1クラッチ圧油路85と、シリンダー油室86と、を備えている。
クラッチピストン82は、シリンダーハウジング81のシリンダー孔80に対して摺動可能に設けられている。
第1クラッチ圧油路85は、シリンダーハウジング81に形成され、変速機ユニットT/Mにより作り出したクラッチ圧が導かれる。
シリンダー油室86は、第1クラッチ圧油路85に連通され、クラッチピストン82に油圧を与える。
クラッチピストン82は、受圧部材821と、アーム部材822と、ニードルベアリング823と、を備えている。そして、クラッチピストン82は、図2に示すように、アーム部材822のアーム突条822bによりドリブンプレート72を軸方向に押圧してドライブプレート71と摩擦締結させることが可能となっている。また、クラッチピストン72は、クラッチドラム軸4と同軸で共に回転する。
受圧部材821は、シリンダー油室86の油圧を受圧し、シリンダー孔80に沿って、軸方向であって図において右方向に摺動する。
アーム部材822は、受圧部材821が受圧した油圧による押圧力により乾式多板クラッチ7を締結方向に押圧する。このアーム部材822は、図5Cに示すように円盤状のアームボディ822aと、クラッチドラム6の隔壁61に形成したアーム貫通穴61a(図2参照)を貫通するアーム突条(アーム)822bと、を備えている。なお、隔壁61は、クラッチドラム軸4と共に一体回転可能にクラッチドラム軸4の外周に結合され、乾式多板クラッチ7とクラッチピストン82との間に配置されて乾式多板クラッチ7側のクラッチ室89bとクラッチピストン82側のピストン収容室89cとを区分している。そして、隔壁61に、クラッチピストン82からドリブンプレート72へ延びるアーム突条822bが貫通するアーム貫通穴61aが形成されている。
図2に戻りニードルベアリング823は、受圧部材821とアーム部材822との間に介装され、受圧部材821がアーム部材822の回転に伴って連れ回るのを抑制している。
また、クラッチピストン82のアーム部材822のアームボディ822aとクラッチドラム6の隔壁61との間に、スプリングリテーナ84が介装されている。
スプリングリテーナ84は、図3に示すように、薄板リング状に形成したリテーナ部材84aと、このリテーナ部材84aに保持された複数個のリターンスプリング84bと、により構成されている。
リターンスプリング84bは、一端が、図2及び図4に示すように、クラッチピストン82のアーム部材822の乾式多板クラッチ7側の面である表面822d側の支持溝822c(図5C参照)に着座されている。また、リターンスプリング84bの他端は、リテーナ部材84aに開口された貫通孔の周囲に立設された円筒状のフランジ84fの外周に嵌め合わされてリテーナ部材84aに着座されている。
さらに、図2に示すように、隔壁61の乾式多板クラッチ7側には、弾性シール部材88が固定されている。この弾性シール部材88は、隔壁61の乾式多板クラッチ7側の空間において、アーム貫通穴61aを覆うこと隔壁61よりも乾式多板クラッチ7側の空間を、アーム貫通穴61a及びアーム突条822b側の弾性シール室89aと、乾式多板クラッチ7側のクラッチ室89bとに、区分して、両室89a,89bの間をシールする。
なお、クラッチ室89bは、シール部材62によりモータ室65と区画され、かつ、シール部材15によりダンパー21(図1参照)側と区画されている。
この弾性シール部材88は、アーム突条822bのストローク動作に追従して弾性変形可能であり、かつ、クラッチドラム軸4と同軸で共に回転する。
すなわち、弾性シール部材88は、アーム圧入プレート88aと蛇腹弾性支持部材88bとを備えている。
アーム圧入プレート88aは、金属などによりハット断面形状に形成され、アーム突条822bが圧入され、アーム突条822bと乾式多板クラッチ7との間に介装されている。
アーム圧入プレート88aは、ゴムなどの弾性を有したシート状の蛇腹弾性支持部材88b,88bと一体に設けられ、蛇腹弾性支持部材88b,88bの内周部と外周部がクラッチドラム6の隔壁61に圧入固定されている。
弾性シール部材88は、前述のように、弾性シール室89aとクラッチ室89bとを区画して両者間をシールしており、クラッチピストン82側のオイルとしての潤滑油やリーク油が乾式多板クラッチ7へ流れ込むのを遮断する。すなわち、弾性シール部材88は、スレーブシリンダー8を配置したウェット空間(弾性シール室89a)と、乾式多板クラッチ7を配置したドライ空間(クラッチ室89b)とを区画している。
「ベアリング潤滑油路構成」
隔壁61のクラッチピストン82側には、クラッチピストン82が軸方向に移動する際に、アーム部材822が移動するピストン収容室89cが形成されている。このピストン収容室89cは、ドレン側に接続されて、以下に説明するベアリング潤滑油及びクラッチピストン82の摺動部からのリーク油を、大気圧のドレン側に戻すベアリング潤滑油路となっている。
すなわち、ベアリング潤滑油路は、図2に示す、ニードルベアリング20と、第2シール部材14と、第1軸心油路19と、第2軸心油路18と、潤滑油路16と、隙間17と、第1シール部材31と、第1回収油路33と、第2回収油路34と、により形成されている。そして、ドレン側に繋がる第1回収油路33および第2回収油路34は、ピストン収容室89cにおいて外径側位置に配置されている。このため、ピストン収容室89cでは、クラッチドラム軸4の回転時には、ベアリング潤滑油がクラッチドラム軸4側から外径方向に流れる。なお、第2シール部材14は、スレーブシリンダー8を配置したウェット空間から、乾式多板クラッチ7を配置したドライ空間へとベアリング潤滑油が流れ込むのをシールしている。
したがって、変速機ユニットT/Mからのベアリング潤滑油は、矢印Oaに示すように、ニードルベアリング20と、シリンダーハウジング81に対しクラッチドラム6を回転可能に支持する第1ベアリング12とを通過してピストン収容室89cに導かれる。さらに、このベアリング潤滑油は、ピストン収容室89cにおいて、ニードルベアリング823を通過した後、第1回収油路33と第2回収油路34とを通過して、変速機ユニットT/Mの大気圧のドレン側へ戻る。
また、上記のベアリング潤滑油路を通ってピストン収容室89cに導かれた潤滑油の一部は、矢印Obにより示すように、アーム貫通穴61aを通り、弾性シール室89aに流入する。
そこで、弾性シール室89aに流入した潤滑油を、クラッチドラム軸4の回転時にドレン側に戻す経路として、本実施の形態1では、隔壁連通孔101、リテーナ連通部102、ピストン連通部103を設けている。
隔壁連通孔101は、隔壁61を軸方向に貫通して設けられ、アーム貫通穴61aよりも外径側の位置であって、弾性シール室89aとピストン収容室89cとを連通して、弾性シール室89aの最も外径方向位置に配置されている。また、この隔壁連通孔101は、図5Aに示すように、隔壁61の周方向の3箇所に等間隔で配置されている。
リテーナ連通部102は、リテーナ部材84aを貫通して形成された貫通穴102a及びリテーナ部材84aの内周から外径方向へ略三角形に切り欠いて形成された切欠部102bにより構成されている。
貫通穴102aは、前述のように、リテーナ部材84aにおいて、各リターンスプリング84bの内周に嵌った状態で着座させるための円筒状のフランジ84fを立ち上げるためにリテーナ部材84aを貫通して形成された穴である。そして、この貫通穴102aは、その内径方向部分の一部が、隔壁連通孔101と、その径方向の位置がラップするように配置されている。
切欠部102bは、図5Bに示すように、リテーナ部材84aの内周縁84cから外径方向に略三角形に切欠して形成されたもので、隔壁連通孔101と周方向の位相を一致させて3箇所に配置されている。そして、切欠部102bは、その外径方向の先端部が、隔壁連通孔101と、その径方向の位置がラップするように配置されている。
よって、周方向の3箇所の隔壁連通孔101の1つは、軸方向に投影させたときに貫通穴102a及び切欠部102bとの両方に重なり、他の2箇所の隔壁連通孔101,101は、軸方向に投影させたときに切欠部102bの先端部と重なる。
したがって、3箇所に設けられた隔壁連通孔101は、それぞれ、リテーナ連通部102を介してピストン収容室89cと軸方向に連通される。
ピストン連通部103は、クラッチピストン82のアーム部材822を、支持溝822cの底部の位置で軸方向に貫通して形成されている。また、このピストン連通部103は、アーム突条822bをアーム貫通穴61aに挿通させたときに、隔壁連通孔101と周方向の位相を一致させて3箇所に配置されている。
次に、実施の形態1の作用を説明する。
実施の形態1の作用を説明するのにあたり、まず、クラッチピストン組付工程における作業について説明する
(組付工程)
クラッチピストン組付工程では、図6Aに示すクラッチピストン82のアーム部材822とスプリングリテーナ84とを、図6Bに示すように、アーム部材822にスプリングリテーナ84を組み付けたアッセンブリ状態とする。そして、このアッセンブリ状態のアーム部材822及びスプリングリテーナ84を図6Cに示すように、クラッチドラム6の隔壁61に組み付ける。
この組付作業において、アーム部材822にスプリングリテーナ84を組み付ける際には、クラッチピストン82のアーム部材822のピストン連通部103の位置に、リテーナ部材84aの3箇所の切欠部102bのいずれか1箇所を一致させて組み付ける。
そして、このスプリングリテーナ84を組み付けたアーム部材822を、クラッチドラム6の隔壁61に組み付ける際には、リテーナ部材84aの3箇所の切欠部102bと、隔壁61の3箇所の隔壁連通孔101と、の周方向の位置を一致させて組み付ける。
この組付状態では、図7に示すように、隔壁61の周方向の3箇所の隔壁連通孔101は、軸方向に見ると、1箇所では貫通穴102aと切欠部102bとに跨って配置され、2箇所では切欠部102bの先端部に重なって配置される。
以上の組付作業では、アーム部材822にスプリングリテーナ84を組み付ける際には、アーム部材822のピストン連通部103と、リテーナ部材84aの切欠部102bとを基準として両者の周方向の位置決めを行って組み付けることができる。よって、このような目印となるものが無いものと比較して、組付作業性を向上できる。
同様に、スプリングリテーナ84を組み付けたアーム部材822を隔壁61に組み付ける際には、リテーナ部材84aの切欠部102bと、隔壁61の隔壁連通孔101と、を基準として両者の周方向の位置決めを行って組み付けることができる。
この場合も、このような目印となるものが存在しないものと比較して、組付作業性を向上できる。
加えて、これらの目印を機械読取可能であることで、組付作業の全自動化も可能となる。
(回転軸回転時)
次に、回転軸としてのクラッチドラム軸4及びクラッチドラム6が回転した場合の、潤滑油の流れについて説明する。
前述したように、変速機ユニットT/Mからのベアリング潤滑油は、矢印Oaに示す経路を通り、ピストン収容室89cに導かれる。さらに、このピストン収容室89cのベアリング潤滑油の一部は、矢印Obにより示すように、アーム貫通穴61aを通り、弾性シール室89aに流入する。
したがって、クラッチドラム軸4及びクラッチドラム6が回転した際に、弾性シール室89a内の潤滑油は、遠心力を受けて弾性シール室89a内で油圧を生じる。
よって、従来は、弾性シール部材88は、単に、弾性シール室89aとクラッチ室89bとをシールするだけではなく、この遠心力による油圧による破損を防止できるだけの強度が必要となっていた。
それに対し、本実施の形態1では、弾性シール室89a内の潤滑油は、遠心力が作用して油圧が上昇すると、ドレン側に接続されたピストン収容室89cとの圧力差が生じる。
このため、図2において矢印Ocに示すように、隔壁連通孔101及びリテーナ連通部102を通って、ピストン収容室89cに移動する。
特に、本実施の形態1では、隔壁連通孔101を、弾性シール室89aの最も外径方向位置に配置しているため、遠心力を受けた潤滑油は、その殆ど全てがピストン収容室89cに移動する。したがって、隔壁連通孔101は、その外径方向側の端縁を、弾性シール室89a側の端部よりもピストン収容室89c側の端部を外径方向位置に配置するよう傾斜させることにより、この潤滑油の移動がより確実となる。
また、ピストン収容室89cにおいて、アーム部材822よりも隔壁61側の潤滑油は、アーム部材822を貫通して形成されたピストン連通部103を通って、ドレン側(低圧側)の第1回収油路33及び第2回収油路34へ導かれる(図2矢印Oc参照)。
次に、実施の形態1の効果を説明する。
実施の形態1の駆動力伝達装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
(1)実施の形態1のクラッチピストン構造は、
回転軸としてのクラッチドラム軸4と同軸で共に回転するドリブンプレート72と、これに摩擦締結可能なドライブプレート71とにより構成される乾式クラッチとしての乾式多板クラッチ7と、
前記ドリブンプレート72を軸方向に押圧して前記ドライブプレート71と摩擦締結させることが可能であり、前記クラッチドラム軸4と同軸で共に回転するクラッチピストン82と、
前記クラッチピストン82が配置され、オイルが前記クラッチドラム軸4側から外径方向に流れるピストン収容室89cと、
前記乾式多板クラッチ7と前記クラッチピストン82との間に配置されて、前記クラッチピストン82から前記ドリブンプレート72へ延びるアーム突条822bが貫通するアーム貫通穴61aを有し、前記乾式多板クラッチ7側のクラッチ室89bと前記ピストン収容室89cとを区分し、前記クラッチドラム軸4と同軸で共に回転する隔壁61と、
前記アーム貫通穴89cを覆うことで前記クラッチ室89bと前記隔壁61側の弾性シール室89aとに区分するとともに、前記アーム突条822bのストローク動作に追従して弾性変形可能であり、前記クラッチドラム軸4と同軸で共に回転する弾性シール部材88と、
を備え、
前記隔壁61は、前記アーム貫通穴61aよりも外径方向位置に、前記軸方向に貫通して設けられて前記弾性シール室89aと前記ピストン収容室89cとを連通する隔壁連通孔101を更に有する、
ことを特徴とする。
したがって、潤滑油やクラッチピストン82からの漏油がアーム貫通穴61aから弾性シール室89aに浸入した場合に、クラッチドラム軸4が回転してこの浸入油に遠心力が作用すると、隔壁連通孔101からドレン側のピストン収容室89cへ排出される。
よって、弾性シール部材88に対して、このクラッチドラム軸4の回転時に作用する遠心力による油圧を低減可能であり、弾性シール部材88の強度を従来よりも低く抑えることが可能となる。
特に、本実施の形態1では、隔壁連通孔101を、弾性シール室89aの最も外径方向位置に配置したことを特徴とする。
これにより、クラッチドラム軸4の回転時には、弾性シール室89aの潤滑油の殆ど全てを、作用する遠心力によりピストン収容室89c側へ移動させることが可能となる。したがって、弾性シール部材88の必要強度を、より低く抑えることが可能となる。
(2)実施の形態1のクラッチピストン構造は、
クラッチピストン82を前記押圧の方向とは逆方向に押し戻すリターンスプリング84bが、隔壁61とクラッチピストン82との間に介在され、かつ、リターンスプリング84bを隔壁61に着座させる円環板状のリテーナ部材84aが隔壁61に当接され、
リテーナ部材84aには、隔壁連通孔101とピストン収容室89cとを連通させるリテーナ連通部102が軸方向に貫通して設けられていることを特徴とする。
したがって、弾性シール室89a内の潤滑油を、遠心力により隔壁連通孔101からピストン収容室89cに移動させる際に、隔壁連通孔101から、リテーナ連通部102を介して確実に軸方向へ移動させることができる。
よって、弾性シール室89a内の潤滑油を、より確実にピストン収容室89cへ移動させることができ、リテーナ連通部102を設けないものと比較して、弾性シール部材88の必要強度をより低減可能となる。
加えて、リテーナ連通部102は、リテーナ部材84aを貫通させた貫通穴102a及び切欠部102bを用いているため、リテーナ部材84aの外周とクラッチドラム6の外筒部分の内周との間に、潤滑油用の流路を確保することが不要になる。これにより、リテーナ部材84aとクラッチドラム6の外筒部分との径方向の間隔を狭めて、クラッチドラム6の外径を縮小可能となり、モータ/ジェネレータ9及びクラッチユニットM/Cのコンパクト化が可能となる。
さらに、本実施の形態1では、隔壁連通孔101と、リテーナ連通部102としての貫通穴102a及び切欠部102bと、の径方向の位置を一致させた。このため、隔壁連通孔101は、周方向で貫通穴102a及び切欠部102bとのいずれかと一致して配置すれば、貫通穴102a及び切欠部102bのいずれか一方あるいは両方を介して、ピストン収容室89cに連通される。よって、隔壁連通孔101とリテーナ連通部102とを、軸方向に重ねて配置させる位置決め作業が容易となる。
(3)実施の形態1のクラッチピストン構造は、
クラッチピストン82のアーム部材822を軸方向に貫通して、ピストン収容室89cの隔壁61側とドレン側とを連通するピストン連通部103が設けられていることを特徴とする。
したがって、クラッチピストン82の外周とクラッチドラム6の外筒部分の内周との間に、潤滑油用の流路を確保することが不要になる。これにより、クラッチピストン82とクラッチドラム6の外筒部分との径方向の間隔を狭めて、クラッチドラム6の外径を縮小可能となり、モータ/ジェネレータ9及びクラッチユニットM/Cのコンパクト化が可能となる。
(4)実施の形態1のクラッチピストン構造は、
隔壁連通孔101とリテーナ連通部102とピストン連通部103とは、クラッチピストン82、リテーナ部材84a、隔壁61を設定位置に配置したときに、少なくとも一箇所で周方向の位置が一致するよう、それぞれの周方向の位相が設定されていることを特徴とする。
したがって、アーム部材822、リテーナ部材84a、隔壁61を、それぞれ設定位置に配置して組み付けたときに、隔壁連通孔101とリテーナ連通部102とピストン連通部103とを、軸方向に直列に並べて配置させることができる。
さらに、クラッチピストン82のアーム部材822にスプリングリテーナ84を組み付けてアッセンブリ状態とする組付工程では、リテーナ連通部102の切欠部102bと、ピストン連通部103とを目印として周方向の位置決めを行うことができる。よって、切欠部102bとピストン連通部103との周方向の位相が異なって配置されている場合と比較して、組付作業効率を向上させることができる。
同様に、アーム部材822にスプリングリテーナ84をアッセンブリ状態としたものを隔壁61に組み付ける工程では、リテーナ連通部102の切欠部102bと、隔壁連通孔101とを目印として周方向の位置決めを行うことができる。よって、隔壁連通孔101と切欠部102bの周方向の位相が不一致の場合と比較して、組付作業効率を向上させることができる。
加えて、隔壁連通孔101、リテーナ連通部102、ピストン連通部103を目印としてセンサにより読み取ることで、組付作業の全自動化も可能となる。
(5)実施の形態1のクラッチピストン構造は、
隔壁61の外周にモータ/ジェネレータ9が設けられ、
回転軸としてのクラッチドラム軸4は、回転電機としてのモータ/ジェネレータ9との間で、回転エネルギの授受の少なくとも一方が可能となっていることを特徴とする。
すなわち、実施の形態1では、クラッチドラム軸4は、モータ/ジェネレータ9の力行時には、回転エネルギを受けて回転可能であり、一方、モータ/ジェネレータ9の回生時には、回転エネルギを電力に変換可能とした。
このような、クラッチドラム軸4とモータ/ジェネレータ9との間でエネルギの授受が可能な構造において、上記(2)(3)で述べたように、クラッチドラム6のコンパクト化が可能となる。これにより、さらにモータ/ジェネレータ9及びクラッチユニットM/Cのコンパクト化が可能となる。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2のクラッチピストン構造を、図8に基づいて説明する。
この実施の形態2は、実施の形態1の変形例であるので、実施の形態1との相違点のみについて説明し、実施の形態1と共通する構成については説明を省略する。
実施の形態2は、隔壁連通孔101とピストン収容室89cとを連通させるリテーナ連通部として、切欠部102bのみを設けている。
すなわち、全ての切欠部102bは、リターンスプリング84bの支持用のフランジ84fを形成するために貫通された貫通穴102aに対して径方向で異なる位置に配置されている。そして、切欠部102bを形成する三角形の頂点は、貫通穴102aの最も内径方向(図1のCLの位置の方向)の位置よりも外径方向に配置されている。
また、実施の形態1の説明において図7にて中心軸に対して上方に示していた隔壁連通孔101は、実施の形態2では、貫通孔102aの周方向ピッチの1/2だけ反時計回り方向に位置をずらして配置されている。同様に、図8では図示を省略したピストン連通部103も、この位置に対応するものは、隔壁連通孔101と共に、周方向に位置をずらして配置されているものとする。
したがって、実施の形態2にあっても、図8に示すように、各切欠部102bに対して、全てのピストン連通部103が重なるようにすることで、クラッチピストン82のアーム部材822の周方向位置を、位置決めすることができる。同様に、各切欠部102bに対して、全ての隔壁連通孔101が重なるようにすることで、隔壁61に対する周方向の位置を、位置決めすることができる。
さらに、クラッチドラム軸4が回転して潤滑油に遠心力が作用したときには、隔壁連通孔101を通る潤滑油は、その全てが、リテーナ部材84aの切欠部102bを通って、軸方向に流れてピストン収容室89cへ排出される。
(6)実施の形態2のクラッチピストン構造は、
リテーナ連通部102は、リテーナ部材84の内周から径方向に切り欠かれた切欠部102bであることを特徴とする。
したがって、リテーナ連通部102を穴状に形成した場合と比較して、同流量を確保した場合に、リテーナ連通部102よりも内径側にリテーナ部材84aの内周縁84cを設ける必要が無い分だけ、リテーナ部材84aを小径に形成することができる。
このため、実施の形態1と比較して、リテーナ部材84aの内周縁84cが同じ寸法に規定されている場合に、リテーナ部材84aの外径寸法をより小さく形成してクラッチドラム6の外径を縮小させることが可能となる。これにより、モータ/ジェネレータ9及びクラッチユニットM/Cの、いっそうのコンパクト化が可能となる。
なお、実施の形態2にあっても、実施の形態1と同様の理由により、上記(1)〜(5)の作用効果を得ることができる。
以上、本発明のクラッチピストン構造を実施の形態に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
実施の形態では、エンジンとモータ/ジェネレータを搭載し、乾式多板クラッチを走行モード遷移クラッチとするハイブリッド駆動力伝達装置への適用例を示した。しかし、本発明の動力伝達装置は、エンジン車のように、駆動源としてエンジンのみを搭載し、乾式クラッチを発進クラッチとするエンジン駆動力伝達装置に対しても適用することができる。あるいは、電気自動車や燃料電池車等のように、駆動源としてモータ/ジェネレータのみを搭載し、乾式クラッチを発進クラッチとするモータ駆動力伝達装置に対しても適用することができる。さらに、本発明の適用範囲は、車両に限らず、産業機器など車両以外にも適用することができる。
したがって、回転軸としてモータ/ジェネレータにより回転されるクラッチドラム軸4を示したが、隔壁と一体回転する回転軸であれば、どのような回転軸であっても適用可能である。
また、実施の形態では、乾式クラッチとして、乾式多板クラッチを用いた例を示したが、単板乾式クラッチ等を用いることもできる。
さらに、 実施の形態では、ノーマルオープンによる乾式クラッチの例を示した。しかし、ダイアフラムスプリング等を用いたノーマルクローズによる乾式クラッチにも適用可能である。
また、実施の形態では、乾式多板クラッチのドライブプレートに摩擦フェーシングを有する例を示した。しかし、ドリブンプレートに摩擦フェーシングを有する例としてもよい。
また、実施の形態では、隔壁貫通孔を弾性シール室の最も外径方向位置に配置した例を示したが、これに限定されない。少なくとも、隔壁貫通孔を、アーム貫通穴よりも外径方向に配置していれば、隔壁貫通孔を設けない構造のものよりも、弾性シール室におけるオイルが遠心力により発生する油圧を低減し、弾性シール部材の必要な強度を低減可能である。なお、オイルとしては、潤滑油のほか、圧力伝達用のオイルであってもよい。
また、実施の形態では、リテーナ連通部として、貫通穴と切欠部とを用いた例と、切欠部のみの2例を示したが、これに限定されず、貫通穴のみをリテーナ連通部とすることもできる。あるいは、隔壁連通孔を、リテーナ部材の内周縁よりも内径方向位置に配置した場合は、内周縁よりも内側部分をリテーナ連通部とすることもできる。
さらに、実施の形態では、リテーナ部材にリテーナ連通部を貫通して形成した例を示したが、隔壁連通孔からピストン収容室へのオイルを導く手段としては、リテーナ部材を貫通する手段に限定されない。例えば、隔壁においてピストン収容室側の側面と、リテーナ部材において隔壁に当接する側面と、のいずれか一方あるいは両方に、隔壁連通孔からリテーナ部材の外周縁まで外径方向にオイルを導く、溝あるいは凹部を設けてもよい。この場合、リテーナ部材の外周縁に導かれたオイルは、リテーナ部材の外周とクラッチドラムの筒状部分の内周との間を通って、ドレン側に移動することができる。
また、実施の形態では、クラッチピストンのアーム部材にピストン連通部を設けた例を示したが、このピストン連通部を設けない場合であっても、ピストン収容室はドレン側に接続されているため、弾性シール室からのオイルをドレン側に戻すことができる。
また、実施の形態では、隔壁連通孔、リテーナ連通部、ピストン連通部を、それぞれ、周方向の3箇所に設けた例を示したが、これらは、周方向で少なくとも1箇所に設けてあれば、その数は、実施の形態で示した3に限定されない。
加えて、隔壁連通孔、リテーナ連通部、ピストン連通部の数は、異ならせることもできる。例えば、隔壁連通孔の数を、実施の形態で示した3とした場合に、ピストン連通部は、6あるいは9として、隔壁連通孔の1箇所と、ピストン連通部の1箇所の位置を一致させれば、全ての隔壁連通孔の軸方向にピストン連通部が配置されるようにしてもよい。あるいは、その逆に、隔壁連通孔の数に対し、リテーナ連通部の数を少なく(例えば、1)とすることもできる。また、ピストン連通部も同様であり、その数を、隔壁連通孔の数よりも多くしてもよいし、少なくしてもよい。さらに、このように隔壁連通孔、リテーナ連通部、ピストン連通部の数を不一致とした場合に、隔壁連通孔どうし、リテーナ連通部どうし、ピストン連通部どうしを周方向に連通する溝を周方向に設けてもよい。
関連出願の相互参照
本出願は、2013年4月11日に日本国特許庁に出願された特願2013−082861に基づいて優先権を主張し、その全ての開示は完全に本明細書で参照により組み込まれる。

Claims (5)

  1. 回転軸と同軸で共に回転するドリブンプレートと、これに摩擦締結可能なドライブプレートとにより構成される乾式クラッチと、
    前記ドリブンプレートを軸方向に押圧して前記ドライブプレートと摩擦締結させることが可能であり、前記回転軸と同軸で共に回転するピストンと、
    前記ピストンが配置され、オイルが前記回転軸側から外径方向に流れるピストン収容室と、
    前記乾式クラッチと前記ピストンとの間に配置されて、前記ピストンから前記ドリブンプレートへ延びるアームが貫通するアーム貫通穴を有し、前記乾式クラッチ側のクラッチ室と前記ピストン収容室とを区分し、前記回転軸と同軸で共に回転する隔壁と、
    前記アーム貫通穴を覆うことで前記クラッチ室と前記隔壁側の弾性シール室とに区分するとともに、前記アームのストローク動作に追従して弾性変形可能であり、前記回転軸と同軸で共に回転する弾性シール部材と、
    を備え、
    前記隔壁は、前記アーム貫通穴よりも外径方向位置に、前記軸方向に貫通して設けられて前記弾性シール室と前記ピストン収容室とを連通する隔壁連通孔を更に有し、
    前記ピストンを前記押圧の方向とは逆方向に押し戻すリターンスプリングが、前記隔壁と前記ピストンとの間に介在され、かつ、このリターンスプリングを前記隔壁に着座させる円環板状のリテーナ部材が前記隔壁に当接され、
    前記リテーナ部材には、前記隔壁連通孔と前記ピストン収容室とを連通させ、前記リテーナ部材の内周から径方向に切り欠かれた切欠部を備えたリテーナ連通部が設けられている、ことを特徴とするクラッチピストン構造。
  2. 請求項1に記載のクラッチピストン構造において、
    前記リテーナ連通部は、前記リテーナ部材を貫通して前記隔壁連通孔と前記ピストン収容室とを連通させる貫通穴を備えていることを特徴とするクラッチピストン構造。
  3. 請求項1または請求項2に記載されたクラッチピストン構造において、
    前記ピストンを前記軸方向に貫通して、前記ピストン収容室の前記隔壁側とドレン側とを連通するピストン連通部が設けられていることを特徴とするクラッチピストン構造。
  4. 請求項3に記載されたクラッチピストン構造において、
    前記隔壁連通孔と前記リテーナ連通部と前記ピストン連通部とは、少なくとも一箇所でこれらの周方向の位置を一致させたときに、前記ピストン、前記リテーナ部材、前記隔壁が設定位置に配置されるよう、それぞれの位相が設定されていることを特徴とするクラッチピストン構造。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載されたクラッチピストン構造において、
    前記隔壁の外周に設けられたクラッチドラムの外周に回転電機が設けられ、
    前記回転軸は、前記回転電機との間で、回転エネルギの授受の少なくとも一方が可能となっていることを特徴とするクラッチピストン構造。
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