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JP6045892B2 - 曲げ変形を受ける対象物に被覆して用いる被覆材用複合フィルム - Google Patents

曲げ変形を受ける対象物に被覆して用いる被覆材用複合フィルム Download PDF

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JP6045892B2 JP2012261928A JP2012261928A JP6045892B2 JP 6045892 B2 JP6045892 B2 JP 6045892B2 JP 2012261928 A JP2012261928 A JP 2012261928A JP 2012261928 A JP2012261928 A JP 2012261928A JP 6045892 B2 JP6045892 B2 JP 6045892B2
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Description

本発明は、曲げ変形を受ける対象物に被覆して用いる被覆材用複合フィルムに関する。
被覆材用フィルムは皮膚や人体や日用品や成形加工品などの被覆対象物の表面に被覆してその表面が傷付かないように、あるいは汚染されないように保護する、あるいは保温するなどの目的で用いられる。
このような目的に用いられるものとして粘着剤が積層された貼付材用フィルムなどが挙げられる。(例えば、特許文献1参照)
フィルムを貼付する対象物がフィルムを貼付後に曲げ変形を受ける場合がある。対象物は、例えば、指等の関節部分の表面や、書籍の表紙の付け根の部分や、バッグの表面や、二つ折りの財布の背の部分やプレス加工される金属板の表面などである。
このような対象物が貼付後に曲げ変形を受ける場合、曲げに対してフィルムが追従して変形しないと、この変形時にフィルムが剥がれる傾向がある。
とくに、指等の関節部分の表面のように指の曲げにより表面に多数の皺が生ずるような複雑な表面変形については、フィルムが剥がれやすい。また、従来の材料では変形させるためには相応の応力を要し、かつ、応力の緩和も少なく、変形状態を保つと常に応力がかかり続けるという特性を持っていた。曲げなどの変形を元に戻した際は該材料が元のままに復元するという意味では良いが、変形時に応力がかかり続けると被着体に悪い影響を与える場合がある。そのもっとも大きな用途は身体に貼付した際、変形が常に起こり、変形による応力がかかり続けると、皮膚への損傷が懸念される上に、つっぱり感など違和感・不快感が続くことになる。この種の問題を解決することが本発明の主眼とするところである。
また、このような目的に適した素材フィルムとして特殊組成のアクリル系樹脂フィルムが考えられるが、実現はむつかしかった。また、特殊組成のアクリル系樹脂といえどもアクリル系樹脂フィルム単独では達し得ない性能もあり、他素材と複合化されたフィルムが求められる。しかし、他素材との複合により性能が劣化する場合もあり、本発明においては、アクリル系樹脂フィルム単独のものより優れた性能が得られ、かつ他素材との複合により性能が劣化しない被覆材用複合フィルムを得ることが本発明のさらなる主眼とするところである。
特開平08−024288号公報
本発明は、被覆の対象物が被覆後に曲げ変形を受ける場合、曲げに対して追従して変形し、この変形時に剥がれにくいなど被覆状態が変わりにくい被覆材用複合フィルム、及びこの被覆材用複合フィルムを用いた粘着テープを提供することを目的とする。
本発明の要旨とするところは、
アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレートとアルキルメタアクリレートを主成分とし、これらと共重合可能なその他の重合性モノマーまたはプレポリマーからなる重合単位を0〜20モル%含む共重合体と、
ポリウレタンとがブレンドされてなる混合樹脂からなるフィルムであり、
前記共重合体が
20%引張時荷重が3N/25mm以下、
弾性率が0.2〜15MPa、
粘性が0.1〜25GPa・s、
ガラス転移温度が15℃以下
であり、
曲げ変形を受ける対象物に被覆して用いる、
被覆材用複合フィルムであることにある。
また、本発明の要旨とするところは、
アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレートとアルキルメタアクリレートを主成分とし、これらと共重合可能なその他の重合性モノマーまたはプレポリマーからなる重合単位を0〜20モル%含む共重合体からなる膜と、
ポリウレタンからなる膜と
が積層されてなる積層フィルムであり、
前記共重合体が
20%引張時荷重が3N/25mm以下、
弾性率が0.2〜15MPa、
粘性が0.1〜25GPa・s、
ガラス転移温度が15℃以下
であり、
曲げ変形を受ける対象物に被覆して用いる、
被覆材用複合フィルムであることにある。
また、本発明の要旨とするところは、
前記ポリウレタンからなる膜が前記共重合体からなる膜の片面に模様を形成するように部分的に積層された被覆材用フィルムであることにある。
また、本発明の要旨とするところは、
アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレートとアルキルメタアクリレートを主成分とし、これらと共重合可能なその他の重合性モノマーまたはプレポリマーからなる重合単位を0〜20モル%含む共重合体からなる膜と、
繊維とが複合されてなる複合フィルムであり、
前記共重合体が
20%引張時荷重が3N/25mm以下、
弾性率が0.2〜15MPa、
粘性が0.1〜25GPa・s、
ガラス転移温度が15℃以下
であり、
曲げ変形を受ける対象物に被覆して用いる、
被覆材用複合フィルムであることにある。
また、本発明の要旨とするところは、
弾性繊維からなる糸条が面方向に縞状または格子状に配列されて前記共重合体からなる膜に埋没または積層された前記被覆材用複合フィルムであることにある。
また、本発明の要旨とするところは、
布が前記共重合体からなる膜に埋没または積層されてなる前記被覆材用複合フィルムであることにある。。
また、本発明の要旨とするところは、
前記布が不織布であり、該不織布が弾性繊維から構成される前記被覆材用複合フィルムであることにある。
また、本発明の要旨とするところは、
アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレートとアルキルメタアクリレートを主成分とし、これらと共重合可能なその他の重合性モノマーまたはプレポリマーからなる重合単位を0〜20モル%含む共重合体100重量部に
シリコーンオイル0.2〜5重量部が添加されてなる樹脂からなるフィルムであり、
前記共重合体が
20%引張時荷重が3N/25mm以下、
弾性率が0.2〜15MPa、
粘性が0.1〜25GPa・s、
ガラス転移温度が15℃以下
であり、
曲げ変形を受ける対象物に被覆して用いる、
前記被覆材用複合フィルムであることにある。
また、本発明の要旨とするところは、
前記アルキルメタアクリレートがメチルメタアクリレートであり、前記アルキルアクリレートがエチルアクリレートであり、メチルメタアクリレートとエチルアクリレートのモル比が40:90〜40:180である前記被覆材用複合フィルムであることにある。
また、本発明の要旨とするところは、
前記アルキルメタアクリレートがメチルメタアクリレートであり、前記アルキルアクリレートがブチルアクリレートであり、メチルメタアクリレートとブチルアクリレートのモル比が1:1.6〜1:2.5である前記被覆材用複合フィルムであることにある。
また、本発明の要旨とするところは、
前記重合単位が水酸基を有するアルキルアクリレート、水酸基を有するアルキルアクリルアミド、アクリル酸、から選択される構造単位を含み、該構造単位が1〜10モル%含有され、架橋剤により架橋された前記被覆材用複合フィルムであることにある。
前記架橋剤はイソシアネート系架橋剤であり得る。
前記構造単位はヒドロキシエチルアクリルアミドであり得る。
前記構造単位はヒドロキシエチルアクリレートであり得る。
前記重合単位はシリコーン系のマクロモノマーを含み得る。
前記重合単位はウレタン系プレポリマーを含み得る。
前記重合単位は、メチルメタアクリレートとエチルアクリレートを主成分とし、メチルメタアクリレートとエチルアクリレートのモル比が40:90〜40:200であり、ヒドロキシエチルアクリルアミドを1〜10モル%含有し得、イソシアネート系架橋剤により架橋された共重合体からなり得る。
前記重合単位は共重合体全体に対して0.5〜5重量%のシリコーン系のマクロモノマーを含み得る。
前記重合単位は、さらにメトキシエチルアクリレートを含有し得、メチルメタアクリレートとエチルアクリレートの合計モル量とメトキシエチルアクリレートとのモル比が170:15〜140:60であり得る。
さらに、本発明の要旨とするところは、
前記被覆材用複合フィルムに粘着剤層が積層されてなる粘着テープであることにある。
さらに、本発明の要旨とするところは、
前記粘着テープの前記粘着剤層に膏体が担持された医療用粘着テープであることにある。
さらに、本発明の要旨とするところは、
前記被覆材用複合フィルムに膏体が積層された医療用テープであることにある。
本発明によると、被覆の対象物が被覆後に曲げ変形を受ける場合、曲げに対して追従して変形し、この変形時に剥がれにくいなど被覆状態が変わりにくい被覆材用複合フィルム、及びこの被覆材用複合フィルムを用いた粘着テープが提供される。
本発明の被覆材用複合フィルムに粘着剤の層を積層した状態を示す断面図。 本発明の被覆材用複合フィルムに粘着剤の層を積層し、さらに剥離紙を積層した状態を示す断面図。 本発明の被覆材用複合フィルムに粘着剤の層を積層し、さらに膏体を貼着した状態を示す断面図。 粘着性フィルムを皮膚に貼付した状態を示す断面模式図であり、図4(a)は従来の粘着性フィルムの場合、図4(b)は本発明の粘着テープの場合。 本発明に用いる素材フィルムを用いた粘着性フィルム及び比較品を指に貼付した状態を示す写真。 本発明の被覆材用複合フィルムを書籍の表紙の折り曲げ部に貼付した状態を示す模式図。
本発明の被覆材用複合フィルムはアクリル系共重合体からなる樹脂と機能性素材とが複合されてなる。本発明において「複合」は積層、あるいはブレンドを意味する。
本発明の被覆材用複合フィルムは対象物に被覆して用いられる。本明細書においては、用語「被覆」は、対象物の所定の部位に被せて覆うことを意味し、覆うことは粘着剤等を介して貼付することも含んだ意味である。
本発明において用いられる機能性素材としてウレタン系樹脂、シリコーンオイルが挙げられる。これらの機能性素材はアクリル系共重合体とブレンドされることにより複合される。シリコーンオイルが添加される場合は、アクリル系共重合体と架橋されることが好ましい。
さらに、本発明において用いられる、アクリル系共重合体と複合される機能性素材として繊維が挙げられる。繊維はチョップドファイバーのような短繊維としてアクリル系共重合体とブレンドされることにより複合される。あるいは、ランダムにもしくは規則的に面状に配置されてアクリル系共重合体と複合され、フィルムが得られる。さらにまた、編織物や不織布のような布として、アクリル系共重合体からなる樹脂フィルムに埋没されることにより、または積層されることにより複合される。
図1に示すように、一般的には、被覆材用複合フィルム2は粘着剤層4を積層した粘着テープ6として用いることができる。
粘着テープ6を創傷被覆剤等の医療用粘着テープとして用いる場合には図2に示すように、粘着剤層4の表面に剥離紙8を積層した粘着テープ6とし、使用時に剥離紙8を剥がして患部に粘着テープ6を貼付することが好ましい。
本発明の被覆材用複合フィルムは、図3に示すように粘着剤層4の表面の一部分に膏体10が積層されて医療用粘着テープとして用いられてもよい。あるいは、他の態様として、粘着剤層4と素材フィルム2との間に膏体10が埋設されて配されてもよい。さらにまた、粘着剤層4中に膏体の微粒が分散して存在する態様であってもよい。このように、膏体が粘着剤層に担持された構成の粘着テープが医療用粘着テープとして好適に用いられる。
さらに、本発明の被覆材用複合フィルムは、被覆材や貼付材として曲げ変形を受ける物品に被覆して物品の表面を保護することができる。一般に、このような被覆対象物が被覆後に曲げ変形を受ける場合、曲げに対してフィルムが追従して変形しないと、この変形時にフィルムが剥がれる傾向があるが、素材フィルムは、このフィルムを被覆した被覆対象物が曲げ変形されても曲げに対してフィルムが追従して変形するので、この変形時にも対象物との密接状態を維持できる。
さらには、このような用途に用いる複合フィルムに防錆剤等の機能性成分を含ませることが出来る。あるいは、複合フィルムに粘着剤を積層し、その粘着剤の中にこれらの機能性成分を含ませて貼付材とすることが出来る。これにより、貼付対象物表面の保護や表面処理を行う用途に用いることができる。このフィルムは弾性率が低く、定荷重時の伸びが大きく、応力緩和性が高く、貼付対象物の表面の曲面に良好に追従して貼付されるので、このような用途に適している。
このような被覆の対象物としては、書籍の表紙の付け根の部分や、バッグの表面や、二つ折りの財布の背の部分やプレス加工される金属板や防錆すべき金属製品や、表面を保護すべき部材や製品や、表面処理すべき部材や製品などが例示される。その他、複雑な曲げ変形を受ける面の保護やカバーに適している。さらには使用する用途は平面のみでなく、人体のように凹凸がある場所に貼ってもその凹凸に沿って、フィルムが変形して、応力が大幅に低減して表面に密着できるような使い方が本フィルムの機能を有効に生かすものである。2層間の微妙な厚み変化の緩衝材などの用途に用いることができる。
さらに、本発明の貼付材用フィルムは創傷被覆剤用のみならず、水仕事の際に違和感なく指に貼付できて、皮膚の荒れやあかぎれの防止に用いることができる。
また、指のおもて側の関節部の表面は、指を伸ばした時に皺が入り、指を曲げた時に皺が伸ばされる。このような曲げ伸ばしにともない皺が増減する部位に粘着性テープが貼付される場合、図4(a)に示すように従来の粘着性のフィルム50は皮膚表面の動きに追従できなくて、皺の谷の部分に隙間52が生ずる傾向にある。隙間52には水が浸入したりバイ菌などがはいりこんで繁殖するおそれがある。これに対して本発明の粘着テープ6は曲面に追従して図4(b)のように、皮膚表面56に皺がある状態でも皮膚表面56と粘着テープ6との間にすきまを生ぜず、皮膚58の表面56と粘着テープ6との密着性が保たれ、皮膚58の表面56と粘着テープ6との間に水が浸入せず細菌などがはいりこんで繁殖するおそれがほとんどない。
本発明の被覆材用複合フィルムは、その構成要素の一つであるアクリル系共重合体からなる樹脂に香気成分や気化性の抗菌剤であるヒノキチオールやわさび由来成分などに代表される抗菌成分やその他の生理的活性成分や薬効成分を添加して、被覆や貼付の環境下で香気、あるいは抗菌やその他の薬効をもたらす被覆材としても活用できる。あるいは、後述の粘着剤層4の中にこれらの生理的活性成分を含ませて膏体を持つ貼付剤とすることが出来る。このような生体に何らかの効果をもたらす機能、例えば創傷保護作用、創傷治癒作用、抗菌作用、薬剤による薬理作用を持つ粘着剤層を膏体と呼ぶことにする。これにより、人に対して、薬の持つ治療効果や抗菌、殺菌効果などを貼付部位又は患者に対して発揮する用途に用いることができる。本発明の被覆材用複合フィルムは、弾性率が低く、応力緩和性が高いので皮膚面の凹凸や伸縮に追随して、皺の中に入り、接触面積が拡大するゆえ、皮膚からの薬剤の浸透を引き出す機能を備えるのでこれらの用途に適している。すなわち、本発明の被覆材用複合フィルムに膏体を積層して医療用粘着テープとして好適に用いることができる。
まず、本発明において用いられるアクリル系共重合体について説明する。
本発明において用いられるアクリル系共重合体は、ガラス転移温度が15℃以下であり、
フィルムに成形すると、そのフィルムが、
20%引張時引張荷重が3N/25mm以下
弾性率が0.2〜15MPa
粘性が0.1〜25GPa・s
である。
本発明において用いられるアクリル系共重合体からなるフィルム(以下素材フィルムと称する)は20%引張時荷重が3N/25mm以下であることにより、人体皮膚などの貼付対象物に貼付した場合に貼付対象物の伸びに容易に追従して伸び変形するので、貼付対象物表面が伸び変形したときに浮きや剥離が起こりにくい。また、貼付対象物に貼付した場合に負荷を与えず、貼付対象物を歪めない。例えば、人体皮膚に貼付した場合に、つっぱり感が小さい。
素材フィルムは弾性率が15MPa以下であることにより、曲面に貼付されたときにその曲面に追従して皺を生ずることなく貼付できる。さらに、弾性率が0.2MPa以上であることにより、厚さが10〜60μmと薄いにもかかわらず、適度のハリ、コシがあって取り扱い性に優れる。ハリ、コシのないフィルムは取り扱いがむつかしく、製品製造工程中や貼付する操作時にフィルムの位置決めが不安定となり、操作中にフィルム同士をくっつけてしまうというトラブルが生じやすい。
素材フィルムは、弾性率が0.2〜5MPaであることが、取り扱いの容易さと曲面に追従して皺を生ずることなく貼付できることを両立させるうえでさらに好ましい。1〜5MPaであることが、取り扱いの容易さと曲面に追従して皺を生ずることなく貼付できることを両立させるうえで最も好ましい。
弾性率は以下のようにして測定される。
試料をクリープさせる。測定は窒素雰囲気中35℃で行う。まず初期荷重1mNを10分間かけフィルム温度が雰囲気温度と平衡になるよう保ち、その後100mN/minで荷重が30kPaとなるまで伸長し、その後荷重が30kPaの状態でクリープさせる。
初期荷重1mNを10分間かけたときの試料の長さ(チャック間距離)をL0とし荷重が30kPaに達したときの試料の長さをL30として、
E=W×L0/(L30−L0)
を求める。ここで、Wは30kPaである。
本発明においては、このようにして測定された値Eを弾性率と定義する。
また、荷重が30kPaに達した状態から7分後、10分後の試料の長さをそれぞれL7、L10とし、R=(L10−L7)/L7とし、
V=W×T/R
を求める。ここで、Tは180secである。本発明においては、このようにして測定された値Vを粘性と定義する。
また、素材フィルムは曲面に追従して貼付するときに少なくとも一部分が伸長状態となるが、素材フィルムは粘性が0.1〜25GPa・sであることにより、曲面に追従して貼付されたときに、その伸長状態が短時間で緩和されるので、剥離が起こりにくい。つまり、貼付されたのちに貼付対象物の曲げ変形などにより貼付対象物の表面が伸長されてもその伸長に追従して貼付材が伸長されたときに、貼付材の伸長による応力が短時間で緩和されるので、剥離が起こりにくい。とくに、人体皮膚に貼付した場合に、人体の動きにともなうつっぱり感が小さい。また、この伸長状態の緩和により人体の曲面やその変形に追従することにより、貼付されたテープが皮膚面から浮き上がることなく貼付状態を維持できる。
粘性がこの範囲を超えて大きい素材フィルムは、貼付されたのちに貼付対象物の曲げ変形などにより貼付対象物の表面が伸長されてもその伸長に追従して貼付材が伸長されたときに、貼付材の伸長状態が短時間で緩和されないので、剥離が起こりやすい。また、人体皮膚に貼付した場合に、人体の動きにともなうつっぱり感がある。また、人体の曲面やその変形に追従して剥離状の皺を生じやすく貼付状態を維持しにくい。粘性が小さいものほど貼付操作時に伸びやすく、貼付操作性が低下する傾向にある。粘性が0.1GPa・s未満であると貼付操作時に過度に伸びるなどして貼付操作性が悪い。
素材フィルムは、粘性が1〜10GPa・sであることが、貼付操作性と曲面に追従して貼付されたときの剥離の起こりにくさを両立させるうえでさらに好ましい。1.8〜10GPa・sであることが、貼付操作性と曲面に追従して貼付されたときの剥離の起こりにくさを両立させるうえで最も好ましい
粘性Vは数式
V=W×T/(S×R)
で表わされる値である。
ここで、短冊状の試料(フィルム)に長手方向に一定の荷重Wをかけた状態を維持し荷重時間をTとする。用いる試料の断面積をS、この荷重による試料の長さの変化率をRとする。
本発明においては、粘性Vは段落[0056]に記載のように定義される。
素材フィルムは、ガラス転移温度が15℃以下であることにより、通常の室内作業において用いるとき安定した特性(弾性率や20%引張時荷重や粘性)を有する。さらに、貼付対象物が指などの人体である場合、素材フィルムを貼付した部分の人体が冷水に触れる状態で作業が行われても人体の変形に追従して素材フィルムが伸縮するので作業中の剥がれのトラブルが生じにくい。
ガラス転移温度が10℃以下であることが、素材フィルムを貼付した部分の人体が冷水に触れる状態での作業中の剥がれのトラブルが生じにくい点でさらに好ましい。
本発明においては、ガラス転移温度は、サンプルを−50℃まで急冷し毎分10℃で60℃まで昇温し、示差熱−温度チャートのベースラインが階段状に変化するところの中間点(中間点ガラス転移温度)をいう。
素材フィルムを皮膚に貼付して用いる場合は、透湿度が900g/(m・day)以上であることがムレ感が少なく好ましい。また、吸湿性の材料からなる貼付対象物に貼付した場合に貼付対象物の吸放湿性に影響を与える度合いが小さい。
透湿度は1000g/(m・day)以上であることが皮膚に貼付した場合のムレ感の少なさの点でさらに好ましい。1190g/(m・day)以上であることが皮膚に貼付した場合のムレ感の少なさの点で最も好ましい
素材フィルムとしてはアクリル系共重合体を素材とするフィルムが好適に用いられる。
素材フィルムに用いられるアクリル系共重合体としては、アルキル基の炭素数が1〜8であるアルキルアクリレートとアルキルメタアクリレートをランダム共重合体の主成分とし、これらと共重合可能なその他の重合性モノマーまたはオリゴマーやプレポリマーからなる重合単位を0〜20モル%含む共重合体が好ましい。
このアルキルメタアクリレートの炭素数は特に限定されないが、メチルメタアクリレートあるいはエチルメタアクリレートが好ましい。また、この重合体の繰り返し単位の配列は、ブロックであってもよい。
アルキルアクリレートとしてはメチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、等を例示することができ、なかでもエチルアクリレートやブチルアクリレートが好ましい。
アルキルメタアクリレートとしては、メチルメタアクリレート、エチルメタアクリレートが例示される。
上記アクリル系共重合体が架橋しておらずに上記アクリル系共重合体におけるアルキルメタアクリレートがメチルメタアクリレートであり、アルキルアクリレートがエチルアクリレートである場合は、メチルメタアクリレートとエチルアクリレートのモル比が40:90〜40:180であることが好適な前記の物性値を得るうえで好ましい。この範囲をはずれてメチルメタアクリレートの比率が小さくなると素材フィルムの弾性率が低くなり、前記の物性値が得られずに取り扱い性が悪くなることがある。この範囲をはずれてメチルメタアクリレートの比率が大きくなると、ガラス転移温度が高くなる結果比較的硬く脆いフィルムとなり、目標とする用途での使用感(違和感)、浮き・剥がれにくさの点で最適とはいえない。また、透湿度も下がる。
上記アクリル系共重合体におけるアルキルメタアクリレートがメチルメタアクリレートであり、アルキルアクリレートがブチルアクリレートである場合は、メチルメタアクリレートとブチルアクリレートのモル比が1:1.6〜1:2.5であることが好ましい。この範囲をはずれてメチルメタアクリレートの比率が小さくなるとフィルムのハリ、コシがなくなり取り扱いかたによっては取り扱い性が悪くなる。この範囲をはずれてメチルメタアクリレートの比率が大きくなるとガラス転移温度が上がる結果、室温では粘性が大きくなり、比較的硬く脆いフィルムとなり目標とする用途での使用感(違和感)、浮き・剥がれにくさの点で最適とはいえない。また、透湿度も下がる。
共重合可能なその他の重合性モノマーとしては、アルコキシアルキルアクリレート、ウレタン、アミドなどの部分構造とエチレン性不飽和二重結合とを有する重合性モノマーや、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アルキルビニルエーテル、アクリル酸ベンジルなどが挙げられる。
アルキルメタアクリレートがメチルメタアクリレートであり、アルキルアクリレートがエチルアクリレートであり、共重合可能なその他の重合性モノマーがメトキシエチルアクリレートを含む場合、メチルメタアクリレートとエチルアクリレートの合計モル量とメトキシエチルアクリレートとのモル比が170:15〜140:60であることが好適な前記の物性値を得るうえで好ましい。このような共重合体は架橋されていることが最適な前記の物性値を得るうえでさらに好ましい。
さらには、共重合可能なその他の重合性モノマーとして、重合可能な官能基を持つ高分子量モノマーであるマクロモノマーが挙げられる。一例としては、重合性基がシロキサン主鎖に結合しているポリシロキサンマクロモノマーのようなシリコーン系のマクロモノマーや、重合性基がスチレン主鎖に結合しているスチレン系のマクロモノマーが挙げられ、AA−6、AA−2、AS−6、AN−6S、AB−6、AK−5、AK−32(いずれも東亞合成製)等が使用できる。
シリコーン系のマクロモノマーを共重合させることにより、フィルムのすべり性が向上する。シリコーン系のマクロモノマーの含有量は、共重合体全体に対して0.5〜5重量%であることが好ましい。
共重合可能なオリゴマーとしてはウレタンアクリレートオリゴマーなどが挙げられる。
またさらには、共重合可能なその他の重合性モノマーとして、ヒドロキシアルキルアクリルアミドや、ヒドロキシアルキルアクリレートやアクリル酸が挙げられる。このような水酸基を有するモノマーが共重合された場合、フィルムのコシハリが向上する。また、この水酸基などの官能基と反応させて共重合体を架橋することによってフィルムの強度や耐アルコール性を向上させることができる。しかし、過度の架橋は弾性率の増大や、透湿度の低下や、ガラス転移温度の上昇をもたらす。共重合体には水酸基を有するモノマーが2種以上共重合されてもよい。
このような架橋を行わせる架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、メラミン系架橋剤、尿素樹脂系架橋剤、多塩基酸系架橋剤、エポキシ系架橋剤等が挙げられる。なかでもイソシアネート系架橋剤がフィルムの粘性や柔軟性を維持しつつコシハリや強度や耐アルコール性を向上させるうえで好ましい。
イソシアネート系架橋剤としては、多価イソシアネートが含まれ、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等が挙げられる。
アクリル系共重合体におけるアルキルメタアクリレートがメチルメタアクリレートであり、アルキルアクリレートがエチルアクリレートであり、この共重合体が前記のような架橋剤で架橋されている場合、メチルメタアクリレートとエチルアクリレートのモル比が40:90〜40:200であることが最適な前記の物性値を得るうえで好ましい。この範囲をはずれてメチルメタアクリレートの比率が小さくなると弾性率が低くなり、取り扱いに注意しないと取り扱い性が悪い。この範囲をはずれてメチルメタアクリレートの比率が大きくなると、ガラス転移温度が高くなる結果比較的硬く脆いフィルムとなり、目標とする用途での使用感(違和感)、浮き・剥がれにくさの点で最適とはいえない。また、透湿度も下がる。
素材フィルムは創傷被覆剤用のみならず、水仕事の際に違和感なく指に貼付できて、皮膚の荒れやあかぎれの防止に用いることができる。
図1に示すように、一般的には、素材フィルム2は粘着剤層4を積層した粘着テープとして用いることができる。
また、指のおもて側の関節部の表面は、指を伸ばした時に皺が入り、指を曲げた時に皺が伸ばされる。このような曲げ伸ばしにともない皺が増減する部位に粘着テープ6が貼付される場合、従来の粘着性フィルムは皮膚表面の動きに追従できなくて、皺の谷の部分に隙間が生ずる傾向にある。隙間には水が浸入したりバイ菌などがはいりこんで繁殖するおそれがある。これに対して粘着テープ6は曲面に追従して皮膚表面に皺がある状態でも皮膚表面と粘着テープ6との間にすきまを生ぜず、皮膚の表面と粘着テープ6との密着性が保たれ、皮膚の表面と粘着テープ6との間に水が浸入せず細菌などがはいりこんで繁殖するおそれがほとんどない。
このような浮き、剥がれの発生のしにくさの点と貼付操作性の両立は前述の素材フィルムの特性によりもたらされる。すなわち、
素材フィルムが、
20%引張時引張荷重が3N/25mm以下
弾性率が0.2〜15MPa
粘性が0.1〜25GPa・s
であることによりもたらされる。
このような浮き、剥がれの発生のしにくさの点と貼付操作性を両立させるうえでは、素材フィルムの粘性が1〜10GPa・sであることがさらに好ましい。1.8〜10GPa・sであることが最も好ましい
このように、素材フィルムは、粘着剤層を積層して粘着性フィルムとして用い、動かすことにより皺が変化する皮膚の部位に貼付しても皮膚表面と粘着性フィルムとの間にすきまを生ぜず、皮膚表面との密着状態を維持することができる。
まず、素材フィルムに関する実験例、比較実験例、及び参考実験例を説明する。以下の実験例で得られたフィルムがこの素材フィルムとして使用できる。
測定;
引張試験
チャック間距離を50mm、引張速度300mm/min、試料サイズ 長さ80mm×幅20mm×厚み30μmで引張試験を行い、破断時の伸びと強度、特定の伸び率のところでの応力(20%伸びのところでの応力(20%モジュラス)など)を測定した。
透湿度
JIS Z0208に準拠したカップ法にて測定した。吸湿剤に塩化カルシウムを、封止剤には試薬として市販されているパラフィン(融点:52〜54℃)を用いて、温度40℃、湿度90%RHの恒温恒湿槽内に設置し開始から1.5時間おきに3回カップ全体の増加する重量を測定し、2回目と3回目の測定の平均値から透湿度を求めた。
弾性率、粘性
株式会社 リガク Thermo plus EVO TMA/HUM−1にフィルム引張試験用治具を取り付けて初期長を10mmとし、試料をクリープさせた。測定は窒素雰囲気中35℃で行った。試料幅は5mm、厚みは150μmとした。まず初期荷重1mNを10分間かけフィルム温度が雰囲気温度と平衡になるよう保ち、その後100mN/minで荷重が30kPaとなるまで伸長し、その後荷重が30kPaの状態でクリープさせた。
初期荷重1mNを10分間かけたときの試料の長さ(チャック間距離)をL0とし荷重が30kPaに達したときの試料の長さをL30として、
E=W×L0/(L30−L0)
で定義される弾性率を求めた。ここで、Wは30kPaである。
また、荷重が30kPaに達した状態から7分後、10分後の試料の長さをそれぞれL7、L10とし、R=(L10−L7)/L7とし、
V=W×T/R
で定義される粘性を求めた。ここで、Tは180secである。
ガラス転移温度
PerkinElmer社製のDSC8500を用い、サンプル温度を50℃にした後、−50℃まで急冷し毎分10℃で60℃まで昇温した。測定は窒素雰囲気下で行った。示差熱−温度チャートのベースラインが階段状に変化するところの中間点(中間点ガラス転移温度)をガラス転移温度とした。
評価
耐アルコール性
×:エタノールに浸漬したときに形状が維持できないほどに変形または溶解する。
△:エタノールに浸漬したときに膨潤などにより形状や物性が変化するが使用に耐える。
○:エタノールに浸漬したときに形状や物性がほとんど変化せず浸漬前と同様の使用状態が得られる。
試料フィルムの作成
以下の実験例、比較実験例、及び参考実験例の各々におけるモノマーの重合に際しては、ことわりのない限り重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を適量用いて、窒素雰囲気溶液中で重合を行なった。
架橋について
以下の実験例、比較実験例において架橋剤を用いて架橋させたサンプルについては、架橋反応を終結させるため、製膜後エージング(40℃、72hr)を行った。
実験例1
エチルアクリレート(EA)/メチルメタアクリレート(MMA)=140/40(mol/mol)にヒドロキシエチルアクリルアミド(HEAA)をモノマー全体に対するモル比HEAA/(MMA+EA+HEAA)で3モル%を加えた混合物120gに酢酸エチル180gを加え、重合開始剤としてAIBN0.064gを添加して、70℃で5時間重合した。重合後の溶液を剥離紙上にキャスト後、乾燥し、厚み30μmのフィルムを得た。
実験例2
HEAAをヒドロキシエチルアクリレート(HEA)に替え、AIBNの添加量を160mgとした他は実験例1と同様にして、厚み30μmのフィルムを得た。
実験例3
MMA/EAをモル比40:99で混合し、さらにアクリル酸(AA)を3.7モル%(AA/(MMA+EA+AA))加え合計120gとし、酢酸エチルを180g、AIBNを160mgを加えて窒素雰囲気で共重合させ、重合後の溶液を剥離紙上にキャスト後、乾燥し、厚み30μmのフィルムを得た。
実験例4−0
MMA/EAをモル比40:99で合計120gに、溶媒として酢酸エチル180g、開始剤としてAIBN200mgを加えて混合し、共重合させ、重合後の溶液を剥離紙上にキャスト後乾燥し、厚み30μmのフィルムを得た。
実験例4−1
MMA/EAをモル比40:99とし、モノマー全体に対するモル比HEAA/(MMA+EA+HEAA)で3モル%のHEAAを加えて合計480gと、溶媒として酢酸エチル720g、開始剤としてAIBN800mgを混合し、60℃で24時間共重合させ、重合後の溶液を剥離紙上にキャストして乾燥し、厚み30μmのフィルムを得た。
実験例4−2
HEAAをモノマー全体に対するモル比で6モル%、モノマー全体の量を120g、酢酸エチルを180g、AIBNを200mgとしたほかは実験例4−1と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。
実験例4−3
HEAAをモノマー全体に対するモル比で10モル%にしたほかは実験例4−2と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。
実験例3、4においては溶媒として酢酸エチルを用い、重合開始剤としてAIBNを用いた。反応開始時のアクリルモノマーの濃度は約40重量%とした。
実験例5−0
モノマーの合計を150g、溶媒を酢酸エチルの代わりにDMFを150g、AIBN125mg、反応温度と時間を70℃・5時間としたほかは実験例4−1と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。
実験例5−1
実験例5−0で得られた共重合体の溶液に、この溶液に対して1重量%のトリレンジイソシアネート系の硬化剤(日本ポリウレタン工業製:コロネートL−55)(TDI)を加え、その溶液を剥離紙上にキャスト後、100℃で3分間加熱乾燥と同時に架橋反応させ、厚み30μmのフィルムを得た。
実験例5−2
TDIの量を2重量%としたほかは実験例5−1と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。
実験例6−1
MMA/EAをモル比40:99の溶液を150g、トルエンを溶媒として150g混合し、開始剤としてAIBNを80mg添加して、70℃で5時間共重合させ、重合後の溶液を剥離紙上にキャスト後、乾燥し、厚み30μmのフィルムを得た。
実験例6−2
MMA/EAをモル比40:99で混合し、さらに、スチレン鎖を持つアクリルマクロモノマー(東亞合成:AS−6)をモノマー全体に対する重量比(AS−6/(MMA+EA+AS−6))で1重量%を添加して共重合させた。溶媒としてトルエンを,開始剤としてAIBNを用いた。重合後の溶液を剥離紙上にキャスト後、乾燥し、厚み30μmのフィルムを得た。
実験例6−3
モノマー全体に対して3重量%のAS−6を加えたほかは実験例6−2と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。
実験例7−1
AS−6に替えてアクリロニトリル−スチレン共重合体鎖を持つアクリルマクロモノマー(東亞合成:AN−6S)を用いたほかは実験例6−1と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。
実験例7−2
AN−6Sの添加量を3重量%としたほかは実験例7−1と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。
実験例8
MMA/EAをモル比40:120で混合し、さらにモノマー全体に対するモル比HEAA/(MMA+EA+HEAA)で3モル%のHEAAを加えて共重合させ、重合後の溶液を剥離紙上にキャスト後、乾燥し、厚み30μmのフィルムを得た。
実験例9
HEAAの比率を1モル%としたほかは実験例1と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。
実験例10
HEAAの比率を5モル%としたほかは実験例1と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。
実験例11
HEAAの比率を10モル%としたほかは実験例1と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。
実験例12
AAの比率を3モル%としたほかは実験例3と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。
実験例13
MMA/EAをモル比40:140で混合し、さらにモノマー全体に対するモル比AA/(MMA+EA+AA)で3モル%のAAを加えて共重合させ、重合後の溶液を剥離紙上にキャスト後、乾燥し、厚み30μmのフィルムを得た。
実験例14
MMA/EAをモル比40:99で混合し、さらにモノマー全体に対するモル比HEA/(MMA+EA+HEA)で3モル%のHEAを加えて共重合させ、重合後の溶液を剥離紙上にキャスト後、乾燥し、厚み30μmのフィルムを得た。
実験例15
HEAの比率を5モル%としたほかは実験例2と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。
実験例16
HEAの比率を10モル%としたほかは実験例2と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。
実験例17
MMA/ブチルアクリレート(BA)をモル比2:3、HEAA/(MMA+BA+HEAA)の比率が3モル%となるようにHEAAを加えて120gとし、酢酸エチル180gの溶媒、AIBN160mgの開始剤を加えて反応させ、重合後の溶液を剥離紙上にキャスト後、乾燥し、厚み30μmのフィルムを得た。
比較実験例1
MMA/ブチルアクリレート(BA)のモル比を1:2としたほかは実験例17と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。
比較実験例2
MMA/BAのモル比を1:1としたほかは比較実験例1と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。
参考実験例
MMA/オクチルアクリレート(OA)をモル比6:4で混合し、さらにモノマー全体に対するモル比HEAA/(MMA+OA+HEAA)で3モル%のHEAAを加えて120gとして、酢酸エチル180gを溶媒、AIBN160mgを開始剤として共重合させ、重合後の溶液を剥離紙上にキャスト後、乾燥し、厚み30μmのフィルムを得た。
比較実験例
エチルメタアクリレート(EMA)/EAをモル比9:5で混合し、さらにモノマー全体に対するモル比HEAA/(EMA+EA+HEAA)で3.1モル%のHEAAを加えて共重合させ、重合後の溶液を剥離紙上にキャスト後、乾燥し、厚み30μmのフィルムを得た。
比較実験例
EMA/EAのモル比を1:1、HEAAを3モル%としたほかは比較実験例と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。
実験例18
EMA/EAのモル比を1:2としたほかは比較実験例5と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。
実験例19
EMA/EAのモル比を1:3としたほかは比較実験例5と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。
実験例20
MMA/EA/MEA(メトキシエチルアクリレート)をモル比40:120:20で混合し、さらにモノマー全体に対するモル比HEAA/(MMA+EA+MEA+HEAA)で3モル%のHEAAを加え120gとして、そこに、酢酸エチル180gの溶媒、AIBN160mgの開始剤を加えて共重合させ、重合後の溶液を剥離紙上にキャストして乾燥し、厚み30μmのフィルムを得た。
実験例21
MMA/EA/MEAのモル比を40:100:40としたほかは実験例20と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。
実験例22
MMA/EA=40/140(モル比)として、HEAA/(HEAA+MMA+EA)で3モル%となるようにHEAAを加え、更にこの混合物に対して1wt%のAK−32(ポリジメチルシロキサン構造を持つメタクリル系マクロモノマー:東亞合成社製)を加え、HEAA+MMA+EA+AK−32の混合液を120g取り、トルエン180g、AIBN160mgを加え、窒素雰囲気で共重合を行った。重合後の溶液を剥離紙上にキャスト後、乾燥し、厚み30μmのフィルムを得た。
実験例23
AK−32に替えて、AK−5を混合物に加えたほかは実験例22と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。AK−5の固形分は40重量%であり、AK−5の固形分が混合物に対して1wt%となるように添加した。
比較実験例
AS−6の添加量を10重量%とし、AIBNを80mg用いたほかは実験例6−2と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。
実験例24
MMA/EAをモル比40:140で混合し、さらにモノマー全体に対するモル比HEMA/(MMA+EA+HEMA)で3モル%のヒドロキシエチルメタアクリレート(HEMA)を加えて共重合させ、重合後の溶液を剥離紙上にキャスト後、乾燥し、厚み30μmのフィルムを得た。
実験例25
MMA/EAのモル比を40:140としたほかは実験例6−2と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。
実験例26
AS−6の添加量を3重量%としたほかは実験例25と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。
実験例27
AS−6の添加量を5重量%としたほかは実験例25と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。
実験例28
AS−6の添加比率を10重量%としたほかは実験例25と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。
実験例29
実験例1の共重合で得られた共重合体の溶液に、溶液100重量部に対して5.2重量部の硬化剤TDIを加えその溶液を剥離紙上にキャスト後、100℃で3分間加熱乾燥と同時に架橋反応させ、厚み30μmのフィルムを得た。
実験例30
加える硬化剤の比率を共重合体の溶液100重量部に対して1.9重量部としたほかは実験例29と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。
実験例31
加える硬化剤の比率を共重合体の溶液100重量部に対して0.94重量部としたほかは実験例29と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。
実験例32
加える硬化剤の比率を共重合体の溶液100重量部に対して0.47重量部としたほかは実験例29と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。
実験例33
実験例13で得られた重合後の溶液に、溶液100重量部に対して1.9重量部のTDIを加えて、その溶液を剥離紙上にキャスト後、100℃で3分間加熱乾燥と同時に架橋反応させ、厚み30μmのフィルムを得た。
実験例34
実験例2で得られた重合後の溶液に、溶液100重量部に対して1.9重量部のTDIを加え、その溶液を剥離紙上にキャスト後、100℃で3分間加熱乾燥と同時に架橋反応させ、厚み30μmのフィルムを得た。
実験例35
実験例1で得られた重合後の溶液に、溶液100重量部に対して1.2重量部のヘキサメチレンジイソシアネート系の硬化剤(日本ポリウレタン工業製:コロネートHX)(HDI)を加えて、その溶液を剥離紙上にキャスト後、100℃で3分間加熱乾燥と同時に架橋反応させ、厚み30μmのフィルムを得た。
実験例36
加える硬化剤の比率を溶液100重量部に対して0.59重量部としたほかは実験例35と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。
実験例37
加える硬化剤の比率を溶液100重量部に対して0.30重量部としたほかは実験例35と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。
実験例38
加える硬化剤の比率を溶液100重量部に対して0.15重量部としたほかは実験例35と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。
試料フィルムの特性
実験例39
実験例15で得られた重合後の溶液に、溶液100重量部に対して3.2重量部のTDIを加え、その溶液を剥離紙上にキャスト後、100℃で3分間加熱乾燥と同時に架橋反応させ、厚み30μmのフィルムを得た。
実験例40
実験例16で得られた重合後の溶液に、溶液100重量部に対して6.3重量部のTDIを加え、その溶液を剥離紙上にキャスト後、100℃で3分間加熱乾燥と同時に架橋反応させ、厚み30μmのフィルムを得た。
実験例41
実験例20で得られた重合後の溶液に、溶液100重量部に対して1.9重量部のTDIを加え、その溶液を剥離紙上にキャスト後、100℃で3分間加熱乾燥と同時に架橋反応させ、厚み30μmのフィルムを得た。
実験例42
実験例21で得られた重合後の溶液に、溶液100重量部に対して1.9重量部のTDIを加え、その溶液を剥離紙上にキャスト後、100℃で3分間加熱乾燥と同時に架橋反応させ、厚み30μmのフィルムを得た。
実験例43
実験例22で得られた重合後の溶液に、溶液100重量部に対して1.9重量部のTDIを加え、その溶液を剥離紙上にキャスト後、100℃で3分間加熱乾燥と同時に架橋反応させ、厚み30μmのフィルムを得た。
実験例44
実験例23で得られた重合後の溶液に、溶液100重量部に対して1.9重量部のTDIを加え、その溶液を剥離紙上にキャスト後、100℃で3分間加熱乾燥と同時に架橋反応させ、厚み30μmのフィルムを得た。
比較実験例
日清紡ケミカル社製のウレタンフィルム(MF30BE−TB)(厚み30μm)を用いた。
比較実験例
DIC社製のウレタン樹脂(クリスボンASPU−112)を用いてポリウレタンフィルム(厚み10μm)を作成した。
比較実験例
塩化ビニルフィルム(厚み60μm)を用意した。
特性及びテスト結果
a.貼付テスト
実験例1、比較実験例、比較実験例、比較実験例で得られたフィルムを幅20mm、長さ40mmの短冊状に切り、片面にアクリル系粘着剤の層(厚み30μm)を積層して粘着テープを得た。この粘着テープを人差し指の第一関節部に巻き付けて貼付するモニターテストを行った。結果を表1に示す。
Figure 0006045892
貼付の状態を図5に示す。
また、貼り付け易さ(貼り付け操作の容易さ)、使用感(違和感)、浮き・剥がれにくさ(指を曲げたときの浮きの生じにくさと剥がれにくさ)、剥がし易さ、蒸れ感について10名のモニターが下記の基準で評点した。
1点:悪い、3点:満足、5点:とてもよい
評点の平均値を表2に示す。
使用感(違和感の無さ)を見ると実験例1は比較実験例に比べ優れており、剥がしにくさを除けば4.2のスコアーで優れた特性になっている。ただ、伸び易いので剥がし易さにおいて評価点が低い。
Figure 0006045892
各フィルムの特性を表3に示す。
Figure 0006045892
b.HEAAの添加による物性の変化
表4に水酸基をもつアクリル系モノマーであるHEAAをMMA及びEAと共重合させたときの特性を示す。 MMA/EAのモル比は40:99とした。HEAAの添加によりガラス転移温度、粘性、弾性率が上昇する。
Figure 0006045892
c.架橋よる物性の変化
水酸基をもつアクリル系モノマーであるHEAAをMMA及びEAと共重合させて得られた共重合体を架橋剤で架橋したときの物性の変化を表5に示す。架橋剤としてTDIを用いた。架橋により耐アルコール性が改善される。
Figure 0006045892
d.マクロモノマーを構造単位として含むアクリル系共重合体
マクロモノマーを構造単位として含むアクリル系共重合体の特性を表6に示す。 MMA/EAのモル比は40:99とした。スチレン鎖を持つアクリルマクロモノマーの導入により耐アルコール性が改善される。
Figure 0006045892
上記以外の実験例、比較実験例、及び参考実験例の各々につき特性値を表7に示す。
Figure 0006045892
表4〜7の実験例、比較実験例、及び参考実験例の各々につきフィルムを幅20mm、長さ40mmの短冊状に切り、片面にアクリル系粘着剤の層(厚み30μm)を積層して粘着テープを得た。この粘着テープを人差し指の第一関節部に巻き付けて貼付するモニターテストを行った。モニターテスト(10名の合議)で得られた特性を表8、表9に示す。なお、総合評価判定は表8、表9の個々の評価項目(耐アルコール性を除く)をまとめて総合的に評価したものである。
表8から見ると、先に述べた使用感や剥がれにくさ、蒸れ性、貼り付け易さなどの項目は評価点が良いことが実験例1以外の実験例でも示されている。また、実験例1では剥がし易さが劣っていたが、他の実験例では架橋を入れたり、粘性を上げたりして、この点も改質されていることを示している。
表8中、
◎◎・・・極めて優れている
◎・・・優れている
○・・・良好に使用できる。
△・・・使用上不満がほとんどない
×・・・不良
Figure 0006045892
Figure 0006045892
実験例42
図6に示すように、実験例1で得られた素材フィルム21の片面に不図示の粘着層を設け、書籍20の表紙22の根元の折り曲げ部24に貼付した。貼付により曲げ部24の表面が保護され、擦り傷がつきにくくなった。また、書籍を開いたときの曲げ部24の曲げによってもフィルム21が剥がれることがなかった。
前述のように、本発明の被覆材用複合フィルムは、実験例で得られたアクリル系共重合体等の前述のアクリル系共重合体からなる樹脂と機能性素材とが複合されてなる。
本発明の被覆材用複合フィルムは、素材フィルムの「被覆の対象物が被覆後に曲げ変形を受ける場合、曲げに対して追従して変形し、この変形時に剥がれにくいなど被覆状態が変わりにくい」という性能が維持されているとともに、複合化により機能性素材の特性により優れた特性が付加されている。また、素材フィルムの片面に粘着層を設けて対象物に貼付したときに、対象物が曲げ変形を受けても浮き、剥がれが発生しにくいという性能が維持されているとともに、複合化により機能性素材の特性により優れた特性が付加されている。
機能性素材としてウレタン系樹脂を、前述のアクリル系共重合体とブレンドして得られたブレンド樹脂をフィルムに成形することにより、本発明の被覆材用複合フィルムが得られる。複合化により、この被覆材用複合フィルムは、「被覆の対象物が被覆後に曲げ変形を受ける場合、曲げに対して追従して変形し、この変形時に剥がれにくいなど被覆状態が変わりにくい」という性能が維持されているとともに、20%引張り時応力(20%モデュラス)は増大するが許容範囲で低いところに保ちながら、最大引張り応力が大幅に増大する。このことより、複合フィルムの片面に粘着層を設けて対象物に貼付したときに、貼付・剥離操作、特に剥離時に操作性が向上する。つまり、粘着剤と被着体との接着力より、該複合フィルムの最大引張力を大きく設計しないと、剥離時にテープが破断してしまうことが生じるのを無くすよう設計しやすくなる。
機能性素材としてシリコーンオイルを、前述のアクリル系共重合体に添加したのち架橋してフィルムに成形することにより、本発明の他の態様の被覆材用複合フィルムが得られる。この被覆材用複合フィルムは、「被覆の対象物が被覆後に曲げ変形を受ける場合、曲げに対して追従して変形し、この変形時に剥がれにくいなど被覆状態が変わりにくい」という性能が維持されているとともに、複合化により、摩擦係数が減少する。
機能性素材としてウレタンフィルムを、前述のアクリル系共重合体からなるフィルムに積層することにより、本発明の他の態様の被覆材用複合フィルムが得られる。この被覆材用複合フィルムは、「被覆の対象物が被覆後に曲げ変形を受ける場合、曲げに対して追従して変形し、この変形時に剥がれにくいなど被覆状態が変わりにくい」という性能が維持されているとともに、複合化により、20%引張り時応力(20%モデュラス)は増大するが許容範囲で低いところに保ちながら、最大引張り応力が大幅に増大する。このことより、複合フィルムの片面に粘着層を設けて対象物に貼付したときに、貼付・剥離操作、特に剥離時に操作性が向上する。
機能性素材として布を、前述のアクリル系共重合体と複合することにより、本発明の他の態様の被覆材用複合フィルムが得られる。複合の態様としては、2層の積層やサンドイッチ状の積層や、布がアクリル系共重合体フィルム(膜)中に埋没した状態が挙げられる。この被覆材用複合フィルムは、「被覆の対象物が被覆後に曲げ変形を受ける場合、曲げに対して追従して変形し、この変形時に剥がれにくいなど被覆状態が変わりにくい」という性能がほぼ維持されているとともに、複合化により、20%引張り時応力(20%モデュラス)は増大するが許容範囲で低いところに保つことも可能である。また、最大引張り応力は大幅に増大する。このことより、複合フィルムの片面に粘着層を設けて対象物に貼付したときに、貼付・剥離操作、特に剥離時に操作性が向上する。
好ましい布としては、弾性繊維からなる不織布、水流絡合により形成された不織布などのストレッチ性のある不織布や、ストレッチ性編織物が挙げられるが。これらに限定されない。また、衣料用の布へのラミネートにより、防水透湿性衣料用に好適に用いられる複合フィルムが得られる。
また、機能性素材として短繊維を前述のアクリル系共重合体からなるアクリル系共重合体に添加したのちフィルムに成形することにより、本発明の他の態様の被覆材用複合フィルムが得られる。この被覆材用複合フィルムは、「被覆の対象物が被覆後に曲げ変形を受ける場合、曲げに対して追従して変形し、この変形時に剥がれにくいなど被覆状態が変わりにくい」という性能がほぼ維持されているとともに、20%引張り時応力(20%モデュラス)は増大するが許容範囲で低いところに保ちながら、最大引張り応力が大幅に増大する。このことより、複合フィルムの片面に粘着層を設けて対象物に貼付したときに、貼付・剥離操作、特に剥離時に操作性が向上する。短繊維の配向により、縦横の引張応力を変えることも可能である。
さらにまた、機能性素材として繊維をランダムにもしくは規則的に面状に配置してアクリル系共重合体と複合しフィルムに成形することにより、本発明のさらに他の態様の被覆材用複合フィルムが得られる。複合の態様としては、2層の積層やサンドイッチ状の積層や、面状に配置された繊維がアクリル系共重合体フィルム(膜)中に埋没した状態が挙げられる。
複合される繊維は、短繊維であってもよい。長繊維もしくは糸条であってもよい。短繊維の場合は、例えば、アクリル系共重合体とブレンドしたのち、フィルムに成形することにより、本発明の被覆材用複合フィルムが得られる。長繊維もしくは糸条の場合は、例えば、縞状または格子状に配置してアクリル系共重合体と複合してフィルムとなすことにより、本発明の被覆材用複合フィルムが得られる。この被覆材用複合フィルムは、「被覆の対象物が被覆後に曲げ変形を受ける場合、曲げに対して追従して変形し、この変形時に剥がれにくいなど被覆状態が変わりにくい」という性能がほぼ維持されているとともに、20%引張り時応力(20%モデュラス)は増大するが許容範囲で低いところに保ちながら、最大引張り応力が大幅に増大する。
複合される繊維が弾性繊維である場合、あるいは複合される糸条が弾性繊維を含んでなりストレッチ性を有すると、「被覆の対象物が被覆後に曲げ変形を受ける場合、曲げに対して追従して変形し、この変形時に剥がれにくいなど被覆状態が変わりにくい」という性能がさらに優れて好ましい。弾性繊維はゴム状の弾性を持っている繊維である。具体的には、ポリウレタン系弾性繊維やポリエステル系弾性繊維、ポリエーテル・エステル系弾性繊維、ポリスチレン系弾性繊維あるいはポリトリメチレンテレフタレート複数成分同士のバイメタル構造に代表されるコンジュゲート繊維、ポリトリメチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートとのコンジュゲート繊維等が挙げられる。なかでも、ポリウレタン系弾性繊維が特に好ましい。仮撚加工糸を構成するポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリプロピレン系繊維等も弾性繊維として挙げられる。通常、弾性繊維は50%伸張時に50%以上の回復性を有する。
本発明の被覆材用複合フィルムは粘着剤を積層して用いる場合が多いが、この粘着剤は特に限定するものではなく、どのような材質のものでも使い得る。それにはアクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ゴム系粘着剤(合成ゴムからなるものも含む)等が使い得る。さらには、水やオイルを含むゲル状の粘着剤も用いることができる。アクリル系粘着剤はアクリル酸アルキルエステルと極性基を持つアクリル酸や水酸基を有するアクリル酸エステルまたはアクリルアミドを基本として共重合したものであり、必要に応じコモノマーとの共重合物も用いることができる。粘着剤の厚みは5−100μの範囲で用いるが、本発明の被覆材用複合フィルムは極めて柔軟であるため粘着剤の厚みは10−30μで好適な特性が得られることが多い。
引張り試験
80mm×20mmの試料をチャック間距離50mmとして300mm/minで室温(23℃)で引張り試験を行った。
動摩擦係数測定
JISK7312の動摩擦係数測定方法に準じて測定を行った。但し、金属製そりの大きさを幅20mm×長さ25mm、そりの重量 25g、そりが移動する平板を幅21mm、長さ約100mmとした。
フィルムサンプルは、そりが移動する平板と金属そりの底面の両方に皺がないように貼付し、そりの移動速度は、100mm/minと変更してフィルム同士の動摩擦係数の測定を行った。
透湿度
素材フィルムの透湿度と同様の方法で測定した。
比較参考例1(H−0)
実験例1で得られたフィルムを比較参考例1のフィルムとして用いた。
実施例1(H−1)
実験例1で得られた重合体の溶液(但し、固形分は50重量%としたもの)15g、ウレタン溶液(DIC社製:ASPU−112)6.7g、イソプロパノール6.7gをホモジナイザで均一になるまで(約1.5分間)攪拌したのち、ウレタン用触媒40μlを入れてから約50秒間攪拌した。得られた樹脂溶液をベーカー式アプリケータにより離型フィルム上にキャストしたのち100℃で1時間加熱して厚さ約30μmの複合フィルムを得た。
実施例2(H−2)
実施例1で用いたと同様の重合体の溶液10g、ウレタン溶液(DIC社製:ASPU−112)13.3g、イソプロパノール6.7gをホモジナイザで均一になるまで(約1.5分間)攪拌したのち、ウレタン用触媒80μlを入れてから約50秒間攪拌した。得られた樹脂溶液をベーカー式アプリケータにより離型フィルム上にキャストしたのち100℃で1時間加熱して厚さ約30μmの複合フィルムを得た。
得られたフィルムの物性値を表10に示す。
Figure 0006045892
実施例1、2で得られた複合フィルムは、実験例1で得られたフィルムの「被覆の対象物が被覆後に曲げ変形を受ける場合、曲げに対して追従して変形し、この変形時に剥がれにくいなど被覆状態が変わりにくい」という性能がほぼ維持されているとともに、実験例1で得られたフィルムに比べて、20%引張り時の力も増大するが低い値を維持したまま、最大引張り力という機械的特性が大幅に向上した。
実施例3(H−3)
実験例20で用いたと同様の重合体の溶液にポリエチレン短繊維(三井化学社製:ケミベストFDSS-5)を加え酢酸エチルで希釈した。短繊維の含有率は重合体の固形分に対して3重量%、希釈後の液の(重合体+短繊維)の濃度は30重量%である。希釈後の液を、ベーカー式アプリケータにより離型フィルム上にキャストしたのち100℃で1時間加熱して厚さ約30μmの複合フィルムを得た。
実施例4(H−4)
短繊維の含有率を重合体の固形分に対して5重量%としたほかは実施例3と同様にして複合フィルムを得た。
実施例5(H−5)
短繊維としてポリエチレン短繊維(三井化学社製:ケミベストFD380)を用いたほかは実施例3と同様にして複合フィルムを得た。
実施例6(H−6)
短繊維としてポリエチレン短繊維(三井化学社製:ケミベストFD380)を用いたほかは実施例5と同様にして複合フィルムを得た。
実施例7(H−7)
実験例1で得られたと同様の重合体の溶液に短繊維として宇部日東化成製チョップドファイバーを加え酢酸エチルで希釈した。短繊維の含有率は重合体の固形分に対して3重量%、希釈後の液の(重合体+短繊維)の濃度は30重量%である。希釈後の液を、ベーカー式アプリケータにより離型フィルム上にキャストしたのち100℃で1時間加熱して厚さ約30μmの複合フィルムを得た。
実施例8(H−8)
短繊維としてナイロン短繊維(繊維長:1.5mm、繊度:1.1dtex)を用い、重合体として実験例1で得られたものを用い、短繊維の含有率を重合体の固形分に対して1重量%としたほかは実施例3と同様にして複合フィルムを得た。
実施例9(H−9)
短繊維としてナイロン短繊維(繊維長:1.5mm、繊度:1.1dtex)を用い、重合体として実験例1で得られたものを用い、短繊維の含有率を重合体の固形分に対して2重量%としたほかは実施例3と同様にして複合フィルムを得た。
実施例10(H−10)
短繊維の含有率を重合体の固形分に対して3重量%としたほかは実施例9と同様にして複合フィルムを得た。
実施例11(H−11)
短繊維としてポリエステル短繊維(繊維長:6mm、繊度:1.5dtex)を用いたほかは実施例9と同様にして複合フィルムを得た。
実施例3〜実施例11で得られた複合フィルムは、実験例1で得られたフィルムの「被覆の対象物が被覆後に曲げ変形を受ける場合、曲げに対して追従して変形し、この変形時に剥がれにくいなど被覆状態が変わりにくい」という性能がほぼ維持されているとともに、実験例1で得られたフィルムに比べて、20%引張り時応力(20%モデュラス)は増大するが許容範囲で低いところに保ちながら、最大引張り応力が大幅に増大する。このことより、貼付・剥離操作、特に剥離時に操作性が向上する。
実施例7、実施例9、実施例10、実施例11で得られた複合フィルムの物性値(20%引張り時の力、最大引張力(N)(縦、横の平均値))を表11に示す。
Figure 0006045892
実施例12(H−12)
ウレタン樹脂溶液(セイコー化成製:ラックスキンU−390))を剥離紙の上にキャストし、乾燥して厚さ1μmの薄膜フィルムを作成した。一方、実験例1で得られた重合体の溶液(固形分40重量%)を剥離紙の上にキャストし、乾燥して厚さ30μmのフィルムを作成した。乾燥後すぐに薄膜フィルムと貼り合わせて複合フィルムを得た。
実施例13(H−13)
薄膜フィルムの厚さを5μmとしたほかは実施例12と同様にして複合フィルムを得た。
実施例14(H−14)
薄膜フィルムの厚さを10μmとしたほかは実施例12と同様にして複合フィルムを得た。
実施例12〜実施例14で得られた複合フィルムの物性値(20%引張り時の力(縦、横の平均値))を表12に示す。
実施例15(H−15)
実験例1で得られた重合体の溶液(固形分40重量%)を剥離紙の上にキャストし、乾燥して厚さ20μmのフィルムを作成した。このフィルムにウレタン不織布(目付:20g/m;KBセーレン製:T90−20)を熱ラミネートし、複合フィルムを得た。
実施例16(H−16)
実験例1で得られた重合体の溶液(固形分40重量%)を剥離紙の上に乾燥後の厚さが20μmになるようにキャストし、乾燥が完了する前にウレタン不織布(目付:20g/m;KBセーレン製:T90−20)を積層し、乾燥したのち熱ラミネートして、複合フィルムを得た。この実施例で製造できたものは弾性不織布が重合体薄膜の中に大部分が埋まって一体化した複合化フィルムが得られた。
実施例12〜実施例16で得られた複合フィルムは、実験例1で得られたフィルムの「被覆の対象物が被覆後に曲げ変形を受ける場合、曲げに対して追従して変形し、この変形時に剥がれにくいなど被覆状態が変わりにくい」という性能がほぼ維持されているとともに、実験例1で得られたフィルムに比べて、20%引張り時の力は低い値(1N以下)に保ちつつ、最大引張り力という機械的特性が大幅に向上し、実験例1で得られたフィルムと最大引張り時の伸びがほぼ同じレベルであった。これら実施例により得られた複合フィルムは操作性の向上、特に剥離時の操作性が大幅に向上した。また、優れた透湿度を有していた。
実施例12〜実施例16で得られた複合フィルムの物性値を表12に示す。
Figure 0006045892
比較参考例2(H−02)
実験例1で得られたフィルムに、アクリル系粘着剤を厚さ30μmの層となるように積層した。このアクリル系粘着剤は、2−エチルヘキシルアクリレート93重量部とアクリル酸7重量部との共重合物である。
実施例17(H−17)
実験例1で得られたと同様のフィルムに、ウレタン長繊維(東レ・オペロンテックス株式会社製:ライクラ T-127C)を縦に1mm間隔に平行に配置したものを、熱ラミネートすることにより複合フィルムを得た。この複合フィルムにアクリル系粘着剤を厚さ30μmの層となるように積層した。このアクリル系粘着剤は、2−エチルヘキシルアクリレート93重量部とアクリル酸7重量部との共重合物である。
実施例18(H−18)
実験例1で得られたと同様のフィルムに、ウレタン長繊維(東レ・オペロンテックス株式会社製:ライクラ T-127C)を縦に1mm間隔、これと垂直(横)に5mm間隔にそれぞれ平行に配置したものを、熱ラミネートする事により複合フィルムを得た。この複合フィルムにアクリル系粘着剤を厚さ30μmの層となるように積層した。このアクリル系粘着剤は、2−エチルヘキシルアクリレート93重量部とアクリル酸7重量部との共重合物である。
実施例17、実施例18で得られた複合フィルムは、実験例1で得られたフィルムの「被覆の対象物が被覆後に曲げ変形を受ける場合、曲げに対して追従して変形し、この変形時に剥がれにくいなど被覆状態が変わりにくい」という性能がほぼ維持されているとともに、実験例1で得られたフィルムに比べて、20%引張り時の力や、最大引張り力という機械的特性が大幅に向上した。また、横方向では20%引張り時応力(20%モデュラス)は許容範囲で低いところに保ちながら、縦方向には最大引張り応力が大幅に増大する。このことより、貼付・剥離操作、特に剥離時に操作性が向上する。
実施例17、実施例18で得られた複合フィルムの物性値を表13に示す。
Figure 0006045892
実施例19(H−19)
バーコーターNo.34(安田精器製作所)によりウレタン溶液(DIC社製:ASPU112)を離型基板上に塗工した上に、ベーカー式アプリケータにより実験例1で得られた重合体の溶液を希釈したもの(固形分30重量%)を連続して離型基板上にキャストしたのち、100℃で30分間乾燥し、積層フィルムを得た。ベーカー式アプリケータのギャップは100μmとした。
実施例20(H−20)
バーコーターNo.22(安田精器製作所)によりウレタン溶液(DIC社製:ASPU112)を離型基板上に塗工した上に、ベーカー式アプリケータにより実験例1で得られた重合体の溶液を希釈したもの(固形分30重量%)を連続して離型基板上にキャストしたのち、100℃で30分間乾燥し、積層フィルムを得た。ベーカー式アプリケータのギャップは100μmとした。
実施例21(H−21)
バーコーターNo.12(安田精器製作所)によりウレタン溶液(DIC社製:ASPU112)を離型基板上に塗工した上に、ベーカー式アプリケータにより実験例1で得られた重合体の溶液(固形分30重量%)を連続して離型基板上にキャストしたのち、100℃で30分間乾燥し、積層フィルムを得た。ベーカー式アプリケータのギャップは100μmとした。
実施例19〜実施例21で得られた複合フィルムの物性値を表14に示す。
Figure 0006045892
実施例22(H−22)
実施例16で用いた重合体の溶液100重量部に対して2.8重量部の硬化剤TDI(日本ポリウレタン工業製:コロネートL−55)と、溶液固形分100重量部に対して0.5重量部のシリコーンオイル(モメンティブ社製:TSF433)を加え、剥離紙の上にキャストし、100℃で3分間加熱して乾燥とともに架橋させ、厚さ30μmの複合フィルムを得た。
実施例23(H−23)
シリコーンオイルの量を溶液固形分100重量部に対して1重量部としたほかは実施例23と同様にして複合フィルムを得た。
実施例24(H−24)
シリコーンオイルの量を溶液固形分100重量部に対して2重量部としたほかは実施例23と同様にして複合フィルムを得た。
実施例25(H−25)
シリコーンオイルの量を溶液固形分100重量部に対して5重量部としたほかは実施例23と同様にして複合フィルムを得た。
実施例22〜実施例25で得られた複合フィルムは、実験例1で得られたフィルムの「被覆の対象物が被覆後に曲げ変形を受ける場合、曲げに対して追従して変形し、この変形時に剥がれにくいなど被覆状態が変わりにくい」という性能がほぼ維持されているとともに、実験例1で得られたフィルムに比べて、動摩擦係数が約1/2〜1/10に減少した。
実施例22〜実施例25で得られた複合フィルムの動摩擦係数を表15に示す。
Figure 0006045892
貼付テスト
実験例1で得られたフィルム、実施例1、実施例2、実施例9〜実施例20で得られた複合フィルム、を幅20mm、長さ40mmの短冊状に切り、片面にアクリル系粘着剤の層(厚み30μm)を積層して粘着テープを得た。この粘着テープを人差し指の第一関節部に巻き付けて貼付するモニターテストを行った。剥がしやすさ及び浮き・剥がれにくさ(指を曲げたときの浮きの生じにくさと剥がれにくさ)について10名のモニターが下記の基準で評点した。
1点:悪い、3点:満足、5点:とてもよい
全モニターの平均点を表16に示す。
Figure 0006045892
実施例1、実施例2、実施例9〜実施例20で得られた複合フィルムは、剥がれにくさ(指を曲げたときの浮きの生じにくさと剥がれにくさ)が、実験例1で得られたフィルムに比べて遜色ないものであった。一方、操作性は大幅に向上し、剥離時のキレなどもなくなった。
本発明の被覆材用複合フィルムは、医療用途のみならず、日用品や産業用資材において曲げ変形を受ける物品に貼付あるいは被覆して物品の表面を保護する用途に好適に用いることができる。また、防湿透水衣料用としても適用可能である。
2:被覆材用複合フィルム
4:粘着剤層
6:粘着テープ
8:剥離紙
10:膏体

Claims (22)

  1. アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレート、及びアルキルメタアクリレートを主成分とし、これらと共重合可能なその他の重合性モノマーまたはプレポリマーからなる重合単位を0〜20モル%含む共重合体と、
    ポリウレタンと
    がブレンドされてなる混合樹脂からなるフィルムであり、
    前記共重合体からなるフィルムを成形したときに、該共重合体からなるフィルムは、20%引張時荷重が3N/25mm以下、弾性率が0.2〜15MPa、粘性が0.1〜25GPa・s、ガラス転移温度が15℃以下、及び透湿度が900g/(m ・day)以上の特性を示す
    曲げ変形を受ける対象物に被覆して用いる、前記混合樹脂からなる被覆材用複合フィルム。
  2. アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレート、及びアルキルメタアクリレートを主成分とし、これらと共重合可能なその他の重合性モノマーまたはプレポリマーからなる重合単位を0〜20モル%含む共重合体からなる膜と、
    ポリウレタンからなる膜と
    が積層されてなる積層フィルムであり、
    前記共重合体からなるフィルムを成形したときに、該共重合体からなるフィルムは、20%引張時荷重が3N/25mm以下、弾性率が0.2〜15MPa、粘性が0.1〜25GPa・s、ガラス転移温度が15℃以下、及び透湿度が900g/(m ・day)以上の特性を示す
    曲げ変形を受ける対象物に被覆して用いる、前記積層フィルムからなる被覆材用複合フィルム。
  3. 前記ポリウレタンからなる膜が前記共重合体からなる膜の片面に模様を形成するように部分的に積層された請求項2に記載の被覆材用フィルム。
  4. アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレート、及びアルキルメタアクリレートを主成分とし、これらと共重合可能なその他の重合性モノマーまたはプレポリマーからなる重合単位を0〜20モル%含む共重合体からなる膜と、
    繊維と
    が複合されてなる複合フィルムであり、
    前記共重合体からなるフィルムを成形したときに、該共重合体からなるフィルムは、20%引張時荷重が3N/25mm以下、弾性率が0.2〜15MPa、粘性が0.1〜25GPa・s、ガラス転移温度が15℃以下、及び透湿度が900g/(m ・day)以上の特性を示す
    曲げ変形を受ける対象物に被覆して用いる、前記複合フィルムからなる被覆材用複合フィルム。
  5. 弾性繊維からなる糸条が面方向に縞状または格子状に配列されて前記共重合体からなる膜に埋没または積層された請求項4に記載の被覆材用複合フィルム。
  6. 布が前記共重合体からなる膜に埋没または積層されてなる請求項4に記載の被覆材用複合フィルム。
  7. 前記布が不織布であり、該不織布が弾性繊維から構成される請求項6に記載の被覆材用複合フィルム。
  8. アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレート、及びアルキルメタアクリレートを主成分とし、これらと共重合可能なその他の重合性モノマーまたはプレポリマーからなる重合単位を0〜20モル%含む共重合体100重量部に
    シリコーンオイル0.2〜5重量部が添加されてなる樹脂からなるフィルムであり、
    前記共重合体からなるフィルムを成形したときに、該共重合体からなるフィルムは、20%引張時荷重が3N/25mm以下、弾性率が0.2〜15MPa、粘性が0.1〜25GPa・s、ガラス転移温度が15℃以下、及び透湿度が900g/(m ・day)以上の特性を示す
    曲げ変形を受ける対象物に被覆して用いる、前記添加されてなる樹脂からなる被覆材用複合フィルム。
  9. 前記アルキルメタアクリレートがメチルメタアクリレートであり、
    前記アルキルアクリレートがエチルアクリレートであり、
    メチルメタアクリレートとエチルアクリレートのモル比が40:90〜40:180である請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の被覆材用複合フィルム。
  10. 前記アルキルメタアクリレートがメチルメタアクリレートであり、
    前記アルキルアクリレートがブチルアクリレートであり、
    メチルメタアクリレートとブチルアクリレートのモル比が1:1.6〜1:2.5である請求項9に記載の被覆材用複合フィルム。
  11. 前記重合単位が水酸基を有するアルキルアクリレート、水酸基を有するアルキルアクリルアミド、アクリル酸、から選択される構造単位を含み、該構造単位が1〜10モル%含有され、架橋剤により架橋された請求項9または請求項10に記載の被覆材用複合フィルム。
  12. 前記架橋剤がイソシアネート系架橋剤である請求項11に記載の被覆材用複合フィルム。
  13. 前記構造単位がヒドロキシエチルアクリルアミドである請求項11または請求項12に記載の被覆材用複合フィルム。
  14. 前記構造単位がヒドロキシエチルアクリレートである請求項11または請求項12に記載の被覆材用複合フィルム。
  15. 前記重合単位がシリコーン系のマクロモノマーを含む請求項1から請求項14のいずれか一項に記載の被覆材用複合フィルム。
  16. 前記重合単位がウレタン系プレポリマーを含む請求項1から請求項15のいずれか一項に記載の被覆材用複合フィルム。
  17. 前記共重合体が、メチルメタアクリレートとエチルアクリレートを主成分とし、メチルメタアクリレートとエチルアクリレートのモル比が40:90〜40:200であり、ヒドロキシエチルアクリルアミドを1〜10モル%含有し、イソシアネート系架橋剤により架橋された共重合体からなる請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の被覆材用複合フィルム。
  18. 前記重合単位が共重合体全体に対して0.5〜5重量%のシリコーン系のマクロモノマーを含む請求項17に記載の被覆材用複合フィルム。
  19. 前記共重合体が、さらにメトキシエチルアクリレートを含有し、メチルメタアクリレートとエチルアクリレートの合計モル量とメトキシエチルアクリレートとのモル比が170:15〜140:60である請求項18に記載の被覆材用複合フィルム。
  20. 請求項1から請求項19のいずれか一項に記載の被覆材用複合フィルムに粘着剤層が積層されてなる粘着テープ。
  21. 請求項20に記載の粘着テープの前記粘着剤層に膏体が担持された医療用粘着テープ。
  22. 請求項1から請求項19のいずれか一項に記載の被覆材用複合フィルムに膏体が積層された医療用テープ。
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