以下、被検者(患者)を撮影するX線撮影装置の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付し、説明の重複を避けるためにその説明は繰返さない。
図1は、この発明にかかる歯科及び耳鼻科に用いられるX線撮影装置を示す側面図、図2は、同正面図である。この実施形態のX線撮影装置は、パノラマ撮影、CT撮影及びセファロ撮影が可能なように構成されている。
図1及び図2に示すX線撮影装置は、立位タイプであり、支持フレーム7と、床面に設置するベース73と、ベース73から縦方向に立設された支柱74とを備える。X線撮影装置は、パノラマ撮影・CT撮影のための旋回アーム3、X線照射部2、パノラマ・CT用X線検出部1、頭部保持部(図示しない)等を備える。また、X線撮影装置は、セファロ撮影のためのセファロ用ユニット4、セファロ用X線検出部5等を備える。
支持フレーム7は、支柱74に支持されている。支持フレーム7は、患者の背丈に応じて、昇降機構(図示しない)によって、支柱74に沿って昇降する。支持フレーム7は、上部に回転駆動ユニット70を支持し、下部に頭部支持ユニット71を支持する。図2に示すように、支持フレーム7、回転駆動ユニット70及び頭部支持ユニット71は、正面から見てコ字状に構成される。
回転駆動ユニット70は、旋回アーム3を水平方向に回転可能に支持する。頭部支持ユニット71は、被検者Oの頭部を保持する頭部保持部(図示しない)、被検者Oが握るための一対のハンドル71bを備える。頭部支持ユニット71は、先端側に操作部71aを備えており、オペレータが操作部71aで支持フレーム7の昇降位置を操作したり、頭部固定用イヤーロッドの開閉、CT撮影時の対象撮影領域(画像再構成範囲)の設定、パノラマ撮影時の位置付け用レーザービームの調整および、旋回アーム3を原点位置に戻すリセット等の操作ができる。
X線撮影装置は、セファロ用ユニット4を備える。セファロ用ユニット4は、水平方向に延設されたユニットアーム41に取り付けられる。ユニットアーム41は、支持フレーム7に取り付けられる。支持フレーム7を昇降することにより、ユニットアーム41を介してセファロ用ユニット4が被検者Oの背丈に応じて昇降する。セファロ用ユニット4は、その上部にユニットホルダー43を備える。ユニットホルダー43は、被検者Oの頭部を固定する頭部固定部42を備える。セファロ用ユニット4は、頭部固定部42に近接するセファロ用X線検出部5を備える。セファロ用X線検出部5は、ユニットホルダー43に固定されたセンサホルダー8に保持される。この実施形態においては、セファロ用X線検出部5は、二枚の基板を長尺方向に並べ、それぞれの画素配列を合わせて一つの固体撮像装置50(図3参照)としたものを用いている。この固体撮像装置50は、例えば、2次元配列された複数の画素を有するCMOS型の固体撮像装置で構成されている。この固体撮像装置50については、後述する。
セファロ撮影では、X線照射部2とセファロ用X線検出部5との間を所定距離だけ離す必要がある。そのため、セファロ用ユニット4は、所定長さを有するユニットアーム41を介して設置され、X線照射部2と被検者Oとの間の距離、被検者Oとセファロ用X線検出部5との間の距離を一定にする。
旋回アーム3は、上部に旋回軸32(図3参照)を備える。旋回軸32は、回転駆動ユニット70を介して支持フレーム7に支持されている。旋回アーム3は、一方側にパノラマ・CT用X線検出部1、他方側にX線照射部2を備える。パノラマ・CT用X線検出部1とX線照射部2は互いに対向する。パノラマ・CT用X線検出部1は、パノラマ・CT用二次元X線検出器10及び外装カバー類を含む。パノラマ・CT用X線検出部1は、2次元的に広がったCCDセンサやX線間接変換方式(FPD:フラットパネルディテクタ)センサ等からなる固体撮像装置で構成されている。
図3に示すように、X線照射部2は、X線管21、コリメータ20及び外装カバー類を含む。回転駆動ユニット70は、旋回アーム3を旋回するための旋回軸回転手段30を備える。旋回アーム3は、旋回軸回転手段30によって、略垂直方向に延設された旋回軸32を中心として水平方向に旋回する。回転駆動ユニット70は、旋回軸32を略水平面のXY方向に水平移動するための旋回軸位置設定手段(図示しない)を備える。そして、旋回軸位置設定手段は、対象撮影領域(画像再構成範囲)の中心位置に旋回軸32を設定する。
図1〜図3に示すように、パノラマ撮影及びCT撮影では、支持フレーム7に設けられた頭部保持部で保持した被検者(患者)Oに対して、X線管21のX線焦点2aからX線コーンビームを照射し、被検者Oを透過したX線をパノラマ・CT用X線検出部1で検出する。
CT撮影時には、対象撮影領域(画像再構成範囲)を中心に旋回アーム3を回転させながら対象撮影領域(画像再構成範囲)の断層撮影を行うので、旋回軸32の中心を対象撮影領域(画像再構成範囲)の中心位置に一致するように移動する。パノラマ撮影時には、パノラマ・CT用X線検出部1とX線照射部2が歯列弓の形状に沿った所定の軌跡を描くように、旋回軸32を介して旋回アーム3を水平移動及び水平旋回させながら断層撮影をする。パノラマ撮影のX線ビームの軌跡は、歯列弓(各歯牙)に対して正放線投影となるようにX線を入射するため包絡線状の軌跡をなす。
図3に示すように、セファロ撮影では、セファロ用ユニット4に設けられた頭部固定部42のイヤーロッドに被検者(患者)Oの左右の外耳孔部に挿入して被検者Oを固定し、旋回アーム3に設けられたX線照射部2からX線21aを照射して、被検者Oを透過したX線21aをセファロ用X線検出部5の固体撮像装置50で検出する。
旋回アーム3は、X線照射部2を回転するためのX線照射部回転部22を備える。X線照射部2は、垂直方向に延設された回転軸220を中心として、X線照射部回転部22によって回転する。セファロ撮影時において、X線照射部2のX線焦点2aをセファロ用ユニット4の固体撮像装置50に向けつつ、パノラマ・CT用X線検出部1をX線21aの照射野から外すことができる。
セファロ撮影法では、X線照射部2のX線焦点2aと被検者Oの中心との間の距離(例えば1500mm)と、被検者Oの中心とセファロ用X線検出部5の固体撮像装置50との間の距離(例えば150mm)とにおいて、その拡大率が1.1倍となるように配置して撮影する。従って、セファロ用ユニット4は、旋回アーム3に設けられたX線照射部2から所定距離だけ離れて設けられている。
図1ないし図3に示すように、X線撮影装置は、操作/表示部100とX線撮影装置本体部200とで構成されている。X線撮影装置本体部200は、パノラマ・CT用X線検出部1、セファロ用X線検出部5、X線照射部2、旋回アーム3等を備えた装置本体からなり、本体内部に制御部(CPU)35が搭載されている。制御部35は、X線照射部2の管電流・管電圧(撮影条件)等の各駆動機構の動作を制御する。操作/表示部100は、例えば、制御部35に接続されたパーソナルコンピュータ(PC)からなる。操作/表示部100は、キーボードや操作部(リモコン)、マウス等からなる操作手段136を備え、オペレータが撮影モード及び撮影条件、予備撮影の有無等を選択して入力する。また、操作/表示部100は、CPU111、ROM112を備えた制御装置110を備える。ROM112にはOS等の制御プログラムが格納されている。CPU111は、後述する記憶部130等に格納されたプログラムにより画像再構成動作や各種制御動作等を行う。CPU111は、バス120を介して、操作手段136に接続されており、オペレータが入力手段(図示しない)で入力し、この入力に基づいて、CPU111が、制御部35を介して旋回軸位置設定手段等を設定された所定の動作を行うよう制御する。
操作/表示部100は、記憶部130を備える。記憶部130は、ワークメモリ131、画像メモリ132、フレームメモリ133、プログラムメモリ134等を備える。パノラマ・CT用X線検出部1、セファロ用X線検出部5から出力される画像信号が、バス120を介して記憶部130のフレームメモリ133に格納される。制御装置110のCPU111がプログラムメモリ134に格納された、画像再構成プログラムに基づき画像処理手段として機能し、画像再構成動作を行う。CT撮影では任意の断層面に沿った断層画像に演算処理され、画像メモリ132に保存され且つ、表示手段(モニター)135に表示される。また、画像メモリ132は、必要に応じて外部メモリ手段を増設することもできる。
固体撮像装置50は、被検者Oを通過したX線像を電気的な画像データに変換する。固体撮像装置50から出力される画像データは、バス120からCPU111を含む制御装置110に一旦取り込まれた後、フレームメモリ133に格納される。フレームメモリ133に格納された画像データから、CPU111が所定の演算処理を行って任意の断層面に沿った断層画像やパノラマ画像、セファロ画像等が再構成される。
図4及び図5は、この実施形態に用いられる固体撮像装置50の構成の一例を示す図である。図4は固体撮像装置50の平面図、図5(a)は図4のa−a線に沿った固体撮像装置50の側断面図であり、図5(b)は図4のb−b線に沿った固体撮像装置50の側断面図である。なお、図4及び図5には、理解を容易にするためXYZ直交座標系を併せて示している。
図4及び図5(a)、(b)に示すように、固体撮像装置50は半導体基板53A(第1の基板)および半導体基板53B(第2の基板)を備えており、この二枚の半導体基板53A、53Bによって一つの撮像領域が構成されている。固体撮像装置50の撮像領域に要求される大きさはその撮像用途により様々であるが、歯科の診断におけるX線撮影では、セファロ撮影において撮像領域の長手方向の幅が22cm以上といった長尺のものが要求される。そこで、本実施形態のように、固体撮像装置50に要求される寸法より短い二枚の半導体基板53A、53Bを長尺方向に並べ、それぞれの画素配列50A、50Bを合わせて一つの撮像領域として使用(いわゆるタイリング)することによって、要求寸法を満足させている。なお、このように二枚の半導体基板53A、53Bを並べて使用する場合、これらの画素配列の境界部分(繋ぎ目)にはX線像が撮像されない領域(デッドエリアC)が生じてしまう。これは、半導体基板53A及び53Bそれぞれの端部と、これらの半導体基板53A、53B上に作製される画素配列50A、50Bそれぞれの端部との隙間をなくすことが製造上困難であることに因る。
固体撮像装置50は、半導体基板53Aの主面にそれぞれ作り込まれた画素配列50A(第1の画素配列)および走査シフトレジスタ530Aと、半導体基板53Bの主面にそれぞれ作り込まれた画素配列50B(第2の画素配列)および走査シフトレジスタ530Bとを備えている。また、固体撮像装置50は信号出力部520を更に備えており、この信号出力部520は、半導体基板53Aの主面に作り込まれた複数の信号読出部521A〜521Hと、半導体基板53Bの主面に作り込まれた複数の信号読出部521I〜521Lと、各信号読出部521A〜521Lに対応する複数のアナログ/デジタル(A/D)変換器522A〜522Lと、各A/D変換器522A〜522Lに対応する複数のFIFO(First−In−First−Out)データバッファ523A〜523Lとを有している。
また、固体撮像装置50は、平板状の基材52、シンチレータ54A、54BおよびX線遮蔽部材55を備えている。上述した半導体基板53A、53Bは基材52に貼り付けられ、シンチレータ54A及び54Bは半導体基板53A上及び半導体基板53B上にそれぞれ配置されている。シンチレータ54A及び54Bは、入射したX線に応じてシンチレーション光を発生してX線像を光像へと変換し、この光像を画素配列50A及び50Bへそれぞれ出力する。シンチレータ54A、54Bは画素配列50A、50Bを覆うようにそれぞれ設置されるか、或いは画素配列50A、50B上に蒸着によりそれぞれ設けられる。X線遮蔽部材55は、X線の透過率が極めて低い鉛等の材料からなる。X線遮蔽部材55は、半導体基板53A、53Bの周縁部、特に走査シフトレジスタ530A、530B並びに信号読出部521A〜521Lが配置された領域を覆っており、走査シフトレジスタ530A、530B並びに信号読出部521A〜521LへのX線の入射を防止する。
画素配列50Aは、M×NA個の画素(図5(a)、(b)を参照)がM行NA列に2次元配列されることにより構成されている。また、画素配列50Bは、M×NB個の画素がM行NB列に2次元配列されることにより構成されている。なお、図4において、列方向はX軸方向と一致し、行方向はY軸方向と一致する。M、NA、NBそれぞれは2以上の整数であり、NA>NBを満たす。また、画素配列50A、50Bにおける行方向の画素の数(NA+NB)は、列方向の画素の数Mより多いことが好ましい。その場合、画素配列50A及び50Bからなる撮像領域は、行方向(Y軸方向)を長手方向とし、列方向(X軸方向)を短手方向とする長方形状を呈する。各画素は、例えば100μmピッチで配列されており、PPS方式のものであって共通の構成を有している。
ここで、図4において、画素配列50Aに含まれるNA列のうち最も左端に位置する列(すなわちY座標が最も小さい列)を第1列とし、反対側の右端に位置する列を第NA列とする。また、同図において、画素配列50Bに含まれるNB列のうち最も左端に位置する列(Y座標が最も小さい列)を第1列とし、反対側の右端に位置する列を第NB列とする。この場合、本実施形態では画素配列50Bの第1列と画素配列50Aの第NA列とが互いに沿うように画素配列50A及び50Bが配置される。
また、画素配列50Aの第1列を含む一又は複数の連続した列はX線遮蔽部材55によって覆われていて、入射X線から遮蔽された不感領域となっている。すなわち、これらの列には光が入射せず電荷が発生しないので、撮像には寄与しない。同様に、画素配列50Bの第NB列を含む一又は複数の連続した列もまたX線遮蔽部材55によって覆われており、不感領域となっている。したがって、画素配列50A、50Bにおいては、X線遮蔽部材55によって覆われたこれらの画素列を除く他の画素列によって撮像の為の有効な領域が構成される。換言すれば、固体撮像装置50における有効撮像領域は、X線遮蔽部材55の開口55aによって規定される。
信号出力部520は、各画素から出力された電荷の量に応じた電圧値を保持し、その保持した電圧値をデジタル値に変換してデータバスDBへ出力する。複数の信号読出部521A〜521Hは、一つの信号読出部につき画素配列50Aにおける二以上の画素列に対応して設けられており、対応する画素列の各画素から出力された電荷の量に応じた電圧値を保持し、この電圧値を対応するA/D変換器522A〜522Hへそれぞれ出力する。同様に、複数の信号読出部521I〜521Lは、一つの信号読出部につき画素配列50Bにおける二以上の画素列に対応して設けられており、対応する画素列の各画素から出力された電荷の量に応じた電圧値を保持し、この電圧値を対応するA/D変換器522I〜522Lへそれぞれ出力する。このとき、走査シフトレジスタ530A及び530Bは、各画素に蓄積された電荷が行毎に信号読出部521A〜521Lへ順次出力されるように各画素を制御する。
複数のA/D変換器522A〜522Lは、対応する信号読出部521A〜521Lから出力された電圧値を入力し、その入力した電圧値(アナログ値)に対してA/D変換処理を施し、その入力電圧値に応じたデジタル値を生成する。複数のA/D変換器522A〜522Lは、生成したデジタル値を当該A/D変換器522A〜522Lに対応するFIFOデータバッファ523A〜523Lへ出力する。
複数のFIFOデータバッファ523A〜523Lは、画素配列50Aに含まれるNA列、および画素配列50Bに含まれるNB列のそれぞれに対応する全てのデジタル値が揃った後、該デジタル値をデータバスDBへ出力する。このとき、FIFOデータバッファ523A〜523Fは、画素配列50Aの第1列から第n列(2≦n<NA)までの各列に対応するデジタル値(図4の境界線Eより左側に配置された6個のFIFOデータバッファ523A〜523Fに格納されたデジタル値)を順次にデータバスDBへ出力する。そして、この出力動作と並行して、FIFOデータバッファ523G〜523Lは、画素配列50Aの第(n+1)列から、第NA列および画素配列50Bの第1列を経て第NB列までの各列に対応するデジタル値(図4の境界線Eより右側に配置された6個のFIFOデータバッファ523G〜523Lに格納されたデジタル値)を順次にデータバスDBへ出力する。すなわち、データバスDBを制御するCPU111等の制御装置110から見た場合、境界線Eより左側に配置された6個のFIFOデータバッファ523A〜523Fが一つの出力ポートを構成し、境界線Eより右側に配置された6個のFIFOデータバッファ523G〜523Lが別の出力ポートを構成する。
画素配列50A及び画素配列50Bの各画素から出力された電荷の量に応じた電圧値を保持し、その保持した電圧値をデジタル値に変換してデータバスDBへ出力し、データバスDBから画像信号が、バス120を介して記憶部130のフレームメモリ133に格納される。
上述したように、固体撮像装置50の画素配列に要求される大きさはその撮像用途により様々であるが、例えば歯科の診断におけるセファロ撮影においては、固体撮像装置50の画素配列は22cm以上の長尺であることが要求される。セファロ撮影では被検者(患者)の頭蓋骨及び上下顎骨の位置関係を把握し、どの部位を抜歯するか、或いは被検者(患者)の矯正治療が簡単か難しいか等の情報を得るが、そのような情報を得るためには画素配列の上下方向の幅が成人の頭部のほぼ全体をカバーする必要があるからである。
しかし、このような長尺の画素配列が要求されると、固体撮像装置の生産に用いられる半導体ウェハの直径によっては、単一の基板上に当該画素配列を作製することが困難な場合がある。このような場合、画素配列に要求される寸法より短い二枚の半導体基板を長尺方向に並べ、それぞれの画素配列を合わせて一つの固体撮像装置として使用(いわゆるタイリング)することによって、要求寸法を満足することができる。
上述したように、二枚の半導体基板を並べて使用する場合、図4に示したように画素配列同士の境界部分(繋ぎ目)にデッドエリアCが生じてしまう。そして、撮像用途によっては、このようなデッドエリアCの位置に制限がある場合がある。歯科診断におけるX線撮影の場合、図6に示されるように、二つの画素配列50A、50Bが上下方向にタイリングされて撮像が行われる。ところで、二つの画素配列の上下方向の幅が互いに等しい場合には、二つの画素配列の境界部分b2が被検者Oの耳の辺りを通過することとなる。なお、図中に示す領域FA及びFBは、それぞれ画素配列50A及び50Bによる撮像範囲を示している。セファロ撮影においては、被検者Oの顎から耳を含む辺りまでの領域Gに関する情報が重要であるが、二つの画素配列の境界部分b2部分が領域Gの内部を通過することはこの領域Gに関する情報の欠落に繋がり、好ましくない。したがって、このような場合には、二つの画素配列50A、50Bそれぞれの長尺方向の幅を互いに異ならせることにより、画素配列同士の境界部分bの移動経路を領域Gから除くことができる。
図4及び図5に示す固体撮像装置50は、半導体基板53A及び半導体基板53Bを同一平面上に並べて、画素配列50Aと画素配列50Bのタイリングを行っている。このような構造においては、画素配列50A、画素配列50Bのそれぞれの最も端に位置する画素から半導体基板53A、半導体基板53Bのそれぞれのエッジまでの距離と、半導体基板53A、半導体基板53Bの間に確保される隙間(クリアランス)とを合計した距離が少なくともデッドエリアCの幅となる。尚、シンチレータ54Aとシンチレータ54Bが半導体基板53A、半導体基板53Bの側面にそれぞれ回り込む場合には、その回り込んだ分だけ更にデッドエリアCの幅が大きくなる。このデッドエリアCは、図4に示すように、画素配列が存在せず、その部分が線として画像に表れることになる。
そこで、図7に示すように、デッドエリアを極力なくすために、一方の基板の端部に他方の基板の端部重なるように配列してタイニングした固体撮像装置502が提案されている。この固体撮像装置502は、半導体基板53Aの端部に半導体基板53Bが重なるように、半導体基板53Aと半導体基板53BとをZ方向にずらして並べている。そして、半導体基板53Aの画素配列50Aの端部と半導体基板53Bの画素配列Bの端部の一端が水平方向で互いに一致するように配置している。従って、画素配列50Aの一端の画素Pと画素配列50Bの一端の画素Pが線tで一致し、デッドエリアを理論上なくすことができる。
しかしながら、図7に示す固体撮像装置502を用いX線像を撮像した場合においても繋ぎ目に線が発生することが確認された。これは、繋ぎ目部分のシンチレータの厚みの違いなどが起因して、繋ぎ目前後の画素の輝度が減少するからだと考えられる。
図8は、図7に示す構造の二つの画素配列を用いた固体撮像装置502の画像データを読み出したときの境界部分の繋ぎ目を含む領域のデータを示している。図8では、長尺方向すなわち、二つの画素配列の繋ぎ目である境界部分を含むY方向(行(ライン)方向)の領域を示している。図8(a)は、境界部分の繋ぎ目の前後にそれぞれn/2個の画素領域を示している。図8(b)は各行数に対する輝度値を示している。この固体撮像装置50は、2次元センサで構成されている。この例では、図中奥行き方向(X方向)の列に対して60画素が配列されている。この図8(b)に示す輝度値は、これら奥行き方向列の全ての画素輝度値を平均した平均輝度値を表している。なお、図8において、補正範囲のnは20行(ライン)である。
図8(b)に示すように、繋ぎ目(境界部分)付近では、平均輝度値が大きく変化している。このためセファロ画像などの画像に、画素配列の繋ぎ目近傍で線が発生する。図6に示すように、境界部分bに線があるような画像として再構成されることになる。尚、図4〜図5に示す固体撮像装置50においてもデッドエリアC部分を含む境界部分bに線があるような画像として再構成される。
そこで、この発明では、繋ぎ目(境界部分)付近での平均輝度値の変化が図8(b)の破線で示すように、直線的になるように補正し、繋ぎ目前後の変化を無くして画像の線の発生を抑制するものである。
図8に示すように、繋ぎ目(境界部分)を含む前後のi=1〜nまでの撮影画像の各行を補正範囲として演算する。図8において、左から右に掛けてY方向、すなわち、長尺方向の画素配列を示している。そして、図8(a)において、Lが補正範囲(i)の例えば、下側に位置する画素配列50Aにおける補正範囲の行に隣接する行、Rが上側に位置する画素配列50Bにおける補正範囲の行に隣接する行を示している。すなわち、Lがi=1の行に隣接する行、Rがi=nの行に隣接する行を示している。
補正範囲(i=1〜n)の各行の列の輝度値と補正範囲のi=1に隣接する行Lの列の輝度値と、補正範囲のi=nに隣接する行Rの列の輝度値に基づいて、繋ぎ目の補正処理を行う。以下、この発明の補正処理について説明する。
補正処理は、まず、制御装置110のCPU111がフレームメモリ133にアクセスし、画像データから、補正範囲(i=1〜n)の各行の列の輝度値と補正範囲に隣接する行L、隣接する行Rのそれぞれの列の輝度値を読み出し、補正範囲(i=1〜n)の各行の列の平均輝度値と、隣接する行L、隣接する行Rの平均輝度値と、標準偏差を算出し、その算出した各データをワークメモリ131に格納する。ここで、補正する範囲の平均輝度値をavgi、隣接する行Lの平均輝度値をavgL、隣接する行Rの平均輝度値をavgRとする。固体撮像装置50は、2次元センサで構成されており、この例では、図中奥行き方向(X方向)の列に60画素が配列されているので、それぞれ奥行き方向列の全ての画素輝度値を平均した平均輝度値を求めている。
また、補正する範囲の標準偏差をsdi、隣接する行Lの標準偏差をsdL、隣接する行Rの標準偏差をsdRとして、求めた平均輝度値と標準偏差を用いて、制御回路110のCPU111は、各補正行にそれぞれ隣接する行Lと行Rを結ぶ直線上の平均値AVGiと標準偏差SDiを次の式に基づき算出し、その値をワークメモリ131に格納する。
r1=i/(n+1) …(1)
r2=1−r1 …(2)
SDi=sdR×r1+sdL×r2 …(3)
AVGi=avgR×r1+avgL×r2 …(4)
ここで、r1、r2は、補正範囲に隣接する行と補正範囲の各画素の位置に対応する重み付けの係数であり、r1は、隣接する行Rに対応する係数、r2は、隣接する行Lに対応する係数である。
算出した平均輝度値、標準偏差、平均値を用いて、補正範囲iの各画素データの補正データを下記式に基づいて算出する。
IMG[x,y]=(img[x,y]−avgi)×(SDi/sdi)+AVGi
…(5)
ここで、IMG[x,y]は、各x,y座標の補正後の画素データであり、img[x,y]は、各x,y座標の補正前の画素データである。
補正範囲の各画素データ(x、y)を読み出し、上記の(5)式に基づき、各画素データを補正し、その各画素データを該当する画素データとしてワークメモリ131に格納する。そして、補正した画素データを画像再構成のデータとして用いて、シフト加算法又はフィルタ逆投影法(FBP法、FBP:Filtered Back Projection)により、画像再構成を行い、セファロ画像などの画像を得る。
次に、この発明の動作につき、図9及び図10のフローチャートに従い説明する。
画像データの再構成法としては、シフト加算法とFBP法とが存在する。シフト加算法とFBP法は、再構成の原理が異なるため、断層方向の解像度及びコントラストが異なる。このため、それぞれの再構成法には、以下のような利点がある。
まず、シフト加算法の利点につき説明する。シフト加算法を用いると、金属アーチファクトが発生しないので、インプラント体への骨の付き具合が診断し易くなる。また、インレーやクラウンの近くのカリエスなども診断し易くなる。さらに、再構成計算が速く、撮影後、速やかに画像を表示して、診断することが出来る。
FBP法の利点について説明する。FBP法を用いると、高いコントラスト画像を作成することができ、根尖、根管、歯根膜などの診断がし易くなる。
このように、シフト加算法とFBP法はそれぞれの利点を有し、いずれの再構成法が絶対的に優れているともいえない。従って、それぞれの要求を満たした再構成法を用いればよい。
本実施例では、再構成法としてのシフト加算法は、スキャンによって一定レートで収集され、繋ぎ目(境界部分)付近の各画素データを上記した手法により補正する。そして、この補正したデータを含めたフレームデータ(画像データ)を、例えば、その位置に応じた量だけ互いにシフトさせて相互加算する処理を行う。
再構成法としてのFBP法は、繋ぎ目(境界部分)付近の各画素データを上記したように補正する。補正した各画素データを含めフレームデータ(画素データ)の一群のデータを個別に、所定の第1の重み付け処理を行ない、次に、第1の重み付け処理後の各画像データに対して、所定のコンボリューション処理を施す。次に、コンボリューション処理後の各投影データに対して、所定の第2の重み付け処理を行なう。次に、第2の重み付け処理した後の画像データを個別に、所定の逆投影(バックプロジェクション:BP)処理をして、BP像を生成する。
次に、この発明の処理動作につき説明する。
まず、制御装置110のCPU111は、被検者Oの位置決めなど撮影の準備が済むと、操作手段136を介して与えられる操作者の指示に応答し、データ収集のためのスキャンを指令する。そして、X線照射部2からパルス状又は連続波のX線を所定周期で又は連続的に曝射させる。この結果、X線照射部2から曝射されたX線は被検者Oを透過してX線検出部5の固体撮像装置50により検出される。そして、前述したように、X線検出部5の固体撮像装置50からX線透過量を反映したデジタル量のフレームデータ(画素データ)が出力される。このフレームデータはフレームメモリ133に一時保管される。
このスキャンの指令が済むと、制御装置110のCPU111は、画像処理手段として機能し、画像再構成の処理を行う。画像再構成処理を開始すると、制御装置110のCPU111は、フレームメモリ133に格納された撮影画像を読み出し、ワークメモリ131に一旦保管する(ステップS1)。
続いて、制御装置110のCPU111は、読み込んだ撮影画像に対して、ディフェクト補正(ステップS2)、濃度補正(ステップS3)を行う。続いて、ディフェクト補正、濃度補正した画像データを対数変換し(ステップS4)、対数変換したデータをワークメモリ131に格納する。
続いて、制御装置110のCPU111は、繋ぎ目(境界部分)付近での平均輝度値の変化が直線的になるように補正し、繋ぎ目前後の変化を無くして画像の線の発生を抑制する繋ぎ目補正の処理動作を行う(ステップS5)。
繋ぎ目補正の処理動作を開始すると、図10に示すように、繋ぎ目(境界部分)を含む前後のi=1〜nまでの撮影画像の各行を補正範囲として演算するために、制御装置110のCPU111は、ワークメモリ131にアクセスし、対数変換した画像データから、補正範囲(i=1〜n)の各行の列の輝度値と補正範囲にそれぞれ隣接する行L、隣接する行Rの列の輝度値を読み出し、補正範囲(i=1〜n)の各行の列の平均輝度値avgiと、隣接する行L、隣接する行Rの平均輝度値avgL、avgRと、標準偏差を算出する。そして、補正する範囲の標準偏差をsdi、隣接する行Lの標準偏差sdL、隣接する行Rの標準偏差sdRを算出する。そして、算出した各データをワークメモリ131に格納する(ステップS51)。固体撮像装置50は、2次元センサで構成されており、この例では、図中奥行き方向(X方向)の列に60画素が配列されているので、それぞれ奥行き方向列の全ての画素輝度値を平均した平均輝度値を求めている。
続いて、制御装置110のCPU111は、各補正範囲の両端部の行にそれぞれ隣接する行Lと隣接する行Rを結ぶ直線上の平均値AVGiと標準偏差SDiを算出し、その値をワークメモリ131に格納する(ステップS52)。この算出のために、制御装置110のCPU111は、まず、上記(1)式、(2)式に基づきr1とr2を算出し、この算出したr1とr2と、隣接する行Lの標準偏差sdL、隣接する行Rの標準偏差sdRを用いて上記(3)式に基づき、標準偏差SDiを求める。更に、制御装置110のCPU111は、この算出したr1とr2と隣接する行L、Rの平均輝度値avgL、avgRを用いて上記(4)式に基づいて平均輝度値AVGiを算出する。この処理を補正範囲の1〜n行まで繰り返して平均輝度値と標準偏差の補正値を求める。
ステップS52で算出した平均輝度値、標準偏差、平均値を用いて、補正範囲iの各画素データを上記(5)式に基づいて算出する(ステップS53)。制御装置110のCPU111は、補正範囲の各画素データ(x、y)を読み出し、上記(5)式に基づき、各画素データを補正し、その各画素データを該当する画素データとしてワークメモリ131に格納する(ステップS53)。全ての補正範囲の画素の補正処理が終わると補正処理が終了し、画像再構成処理に戻る。
そして、繋ぎ目(境界部分)付近の補正範囲のデータを上記した補正処理により補正したデータに置き換え、そして、この置き換えたフレームデータ(画像データ)をその位置に応じた量だけ互いにシフトさせて相互加算するシフト加算処理を行い、画像を再構成し、再構成した再構成データを画像メモリ132に格納する(ステップS6)。そして、再構成処理を終了する。その後、表示手段135に再構成画像を表示させる。
上記したように、シフト加算法を用いると、金属アーチファクトが発生しないので、インプラント体への骨の付き具合が診断し易くなる。また、インレーやクラウンの近くのカリエスなども診断し易くなる。さらに、再構成計算が速く、撮影後、速やかに画像を表示して、診断することが出来る。また、ノイズが少なく、正中部分や顎関節部分など線量が少し足りなくなる部分でも診断がし易くなる。
次に、画像再構成をFBP法に行う場合につき、図11ないし図13を参照して説明する。シフト加算による再構成と同様に、X線検出部5の固体撮像装置50からX線透過量を反映したデジタル量のフレームデータ(画素データ)が出力され、このフレームデータはフレームメモリ133に一時保管される。そして、制御装置110のCPU111は、フレームメモリ133に格納された撮影画像を読み出し、ワークメモリ131に一旦保管する(ステップS1)。
続いて、制御装置110のCPU111は、読み込んだ撮影画像に対して、ディフェクト補正(ステップS2)、濃度補正(ステップS3)を行う。続いて、ディフェクト補正、濃度補正した画像データを対数変換し(ステップS4)、対数変換したデータをワークメモリ131に格納する。
続いて、制御装置110のCPU111は、繋ぎ目(境界部分)付近での平均輝度値の変化が直線的になるように補正し、繋ぎ目前後の変化を無くして画像の線の発生を抑制する繋ぎ目補正の処理動作を行う(ステップS5)。そして、図10に示す繋ぎ目補正の処理が行われる。そして、繋ぎ目(境界部分)付近の補正範囲のデータを上記した補正処理により補正したデータに置き換え、そして、この置き換えたフレームデータ(画像データ)をFBP法により画像を再構成し、再構成した再構成データを画像メモリ132に格納する(ステップS6a)。FBP法は、繋ぎ目(境界部分)付近の画像データを上記した補正データに置き換え、この補正データを含む全ての画素のフレームデータ(画素データ)の一群のデータを個別に、所定の第1の重み付け処理を行ない、次に、第1の重み付け処理後の各画像データに対して、所定のコンボリューション処理を施す。次に、コンボリューション処理後の各投影データに対して、所定の第2の重み付け処理を行なう。次に、第2の重み付け処理した後の画像データを個別に、所定の逆投影(バックプロジェクション:BP)処理をして、BP像を生成する。その後、表示手段135に再構成画像を表示させる。
次に、FBP法において、ノイズ処理を周波数領域でフィルタ補正する場合の処理について図12に従い説明する。
制御装置110のCPU111は、ワークメモリ131から繋ぎ目(境界部分)付近の補正範囲のデータを上記した補正処理により補正したデータに置き換えた画像データを得る(ステップS61)。
制御装置110のCPU111は、補正済み画像データをフーリエ変換し、補正済み画像データのスペクトルデータを作成する(ステップS62)。
続いて、制御装置110のCPU111は、補正済み画像データのスペクトルデータとノイズ除去フィルタとの積を取りフィルタ処理を行う(ステップS63)。そして、制御装置110のCPU111は、フィルタが適用された画像データのスペクトルデータをフーリエ逆変換して、フィルタ補正された画像データを得る(ステップS64)。
その後、フィルタ補正された画像データを逆投影して再構成画像データを得て、画像メモリ132に格納する(ステップS65)。そして、画像メモリ132から再構成画像データを読み出し、診断用画像として表示手段135に表示させる(ステップS66)。
次に、図13に従い、ノイズ処理を空間領域でフィルタ補正する場合の処理について説明する。
制御装置110のCPU111は、ワークメモリ131から繋ぎ目(境界部分)付近の補正範囲のデータを上記した補正処理により補正したデータに置き換えた画像データを得る(ステップS61a)。
制御装置110のCPU111は、ノイズ除去フィルタをフーリエ逆変換し、空間領域のフィルタを作成する(ステップS62a)。
続いて、制御装置110のCPU111は、補正済み画像データと空間領域のフィルタとの畳み込み積分を行う(ステップS63a)。
その後、フィルタ補正された画像データを逆投影して再構成画像データを得て、画像メモリ132に格納する(ステップS65a)。そして、画像メモリ132から再構成画像データを読み出し、診断用画像として表示手段135に表示させる(ステップS66a)。
上記実施形態では、二枚の半導体基板を並べて使用する固体撮像装置50(502)について説明したが、タイリングされる半導体基板は、2枚に限らず3枚以上のものにもこの発明は適用することができる。すなわち、境界部分を含む前後の領域を補正範囲とし、その範囲にこの発明にかかる繋ぎ目補正を施すように構成すればよい。また、上記した実施形態は、二つの画素配列50A、50Bそれぞれの長尺方向の幅を互いに異ならせているが、二つの画素配列の上下方向の幅が互いに等しい場合にもこの発明が適用できることはいうまでもない。
また、上記実施形態では、二枚の半導体基板を上下方向並べて使用する固体撮像装置50(502)について説明したが、図14に、四枚の半導体基板を上下左右方向に並べて使用する固体撮像装置503を示す。この固体撮像装置503は、上下に画素配列50Aと画素配列50B、画素配列50Cと画素配列50Dを配列し、左右に画素配列50Aと画素配列50C、画素配列50Bと画素配列50Dを配列し、それぞれタイリングを行っている。このような構造においては、行方向の画素配列50Aと画素配列50B、画素配列50Cと画素配列50D、列方向の画素配列50Aと画素配列50C、画素配列50Bと画素配列50Dにそれぞれ繋ぎ目(境界部分)が存在することになる。すなわち、上下左右にそれぞれ繋ぎ目(境界部分)が存在することになる。
上記したように、繋ぎ目(境界部分)付近では、輝度値が大きく変化する。そこで、この発明では、上下左右のそれぞれの繋ぎ目(境界部分)付近での輝度値の変化が直線的になるように補正し、繋ぎ目前後の変化を無くして画像の線の発生を抑制するものである。
上下の画素配列50Aと画素配列50B、画素配列50Cと画素配列50Dにおいては、図15に示すように、上下の繋ぎ目(境界部分)を含む前後のi=1〜nまでの撮影画像の各行を補正範囲として演算する。この上下方向の補正は、上記した補正と同様に行われる。
すなわち、画素配列50Aと画素配列50Bの上下の繋ぎ目(境界部分)を含む前後のi=1〜nまでの撮影画像の各行を補正範囲として上記のように補正する。また、画素配列50Cと画素配列50Dの上下の繋ぎ目(境界部分)を含む前後のi=1〜nまでの撮影画像の各行を補正範囲として上記のように補正する。上記(5)式に基づき、各画素データを補正し、上下の繋ぎ目(境界部分)付近の補正範囲のデータを上記した補正処理により補正した画像データに置き換え、上下の繋ぎ目(境界部分)の補正処理が行われる。
続いて、左右の繋ぎ目(境界部分)の補正処理を行う。左右の画素配列50Aと画素配列50C、画素配列50Bと画素配列50Dにおいては、図16に示すように、左右の繋ぎ目(境界部分)を含む前後のj=1〜mまでの撮影画像の各列を補正範囲として演算する。図16において、左から右に掛けてX方向の画素配列を示している。そして、XLが補正範囲(j)の例えば、左側に位置する画素配列50B(50A)における補正範囲の列に隣接する列、XRが右側に位置する画素配列50D(50C)における補正範囲の列に隣接する列を示している。すなわち、XLがj=1の列に隣接する列、XRがj=mの列に隣接する列を示している。
補正範囲(j=1〜m)の各列の輝度値と補正範囲のj=1に隣接する列XLの輝度値と、補正範囲のj=mに隣接する列XRの輝度値に基づいて、左右の繋ぎ目(境界部分)の補正処理を行う。
左右の繋ぎ目(境界部分)の補正処理は、行方向を補正した画像データから、補正範囲(j=1〜m)の各列の行の輝度値と補正範囲に隣接する列XL、隣接する列XRのそれぞれの行の輝度値を読み出し、補正範囲(j=1〜m)の各列の行の平均輝度値と、隣接する列XL、隣接する列XRの平均輝度値と、標準偏差を算出する。ここで、補正する範囲の平均輝度値をavgj、隣接する列XLの平均輝度値をavgXL、隣接する列XRの平均輝度値をavgXRとする。
また、補正する範囲の標準偏差をsdj、隣接する列XLの標準偏差をsdXL、隣接する列XRの標準偏差をsdXRとして、求めた平均輝度値と標準偏差を用いて、各補正列にそれぞれ隣接する列XLと列XRを結ぶ直線上の平均値AVGjと標準偏差SDjを次の式に基づき算出し、その値を格納する。
k1=j/(m+1) …(11)
k2=1−k1 …(12)
SDj=sdXR×k1+sdXL×k2 …(13)
AVGj=avgXR×k1+avgXL×k2 …(14)
ここで、k1、k2は、補正範囲に隣接する列と補正範囲の各画素の位置に対応する重み付けの係数であり、k1は、隣接する列XRに対応する係数、k2は、隣接する列XLに対応する係数である。
算出した平均輝度値、標準偏差、平均値を用いて、補正範囲jの各画素データの補正データを下記式に基づいて算出する。
IMG[x,y]=(img[x,y]−avgj)×(SDj/sdj)+AVGj
…(15)
ここで、IMG[x,y]は、各x,y座標の補正後の画素データであり、img[x,y]は、各x,y座標の補正前の画素データである。
補正範囲の各画素データ(x、y)を読み出し、上記(15)式に基づき、各画素データを補正し、その各画素データを該当する画素データとして置き換え、左右方向の繋ぎ目(境界部分)の補正処理が行われる。そして、上下左右の繋ぎ目(境界部分)の補正が行われた画素データを画像再構成のデータとして用いて、シフト加算法又はフィルタ逆投影法により、画像再構成を行い、セファロ画像などの画像を得る。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。