以下、本発明の実施の態様について図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることが可能である。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様であるフルオレン化合物について説明する。
本発明の一態様であるフルオレン化合物は、2つの9−フェニル−フルオレン−9−イル基が、ピリジン骨格又はピリミジン骨格に対して、それぞれアリーレン基を介して結合し、それぞれアリーレン基は、1個乃至3個のいずれかのフェニレン基であることを特徴とするフルオレン化合物である。
上記フルオレン化合物は、蒸着性を考慮すると、分子量1500以下、より好ましくは分子量1000以下が好ましい。
また、本発明の別の一態様であるフルオレン化合物は、下記一般式(G1)で表される。
一般式(G1)において、R1〜R28は、それぞれ独立に置換若しくは無置換のフェニル基、水素、又は炭素数1〜6のアルキル基のいずれかを有する。また、m、nはそれぞれ独立に1〜3であり、m、nが2又は3の場合におけるベンゼン環同士の結合位置は異なっていても良い。
なお、R1〜R28が水素以外の置換基の場合、立体的な構造となるため、薄膜時の膜質が安定なアモルファス状態を維持しやすく、好ましい。また、水素である場合には、合成が簡便となり、好ましい。
また、ピリミジンの4位と6位に結合するフルオレン骨格を含む2つの置換基は、同じ置換基とすることにより合成が簡便になるため、好ましい。
また、R1〜R28における炭素数1〜6のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、tert−ヘキシル基、ネオヘキシル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、2−エチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基等があげられる。アルキル基を有している方が溶剤への溶解性が向上し、好ましい。
また、R1〜R28が、それぞれ独立に置換基をもつフェニル基の場合、置換基としては、フェニル基、炭素数1〜6のアルキル基があげられる。
m、nが付されたフェニレン基は、メタやオルト置換であると、共役が広がりにくくなることにより、T1準位、S1準位が高くなるため、好ましい。また、パラ置換であると、キャリア輸送性が向上し好ましい。
m、nが付されたフェニレン基は、置換基を有していてもよく、置換基を持つ場合には、フェニル基、炭素数1〜6のアルキル基などの置換基があげられる。
また、本発明の一態様は、下記一般式(G2)で表されるフルオレン化合物である。
一般式(G2)において、R1〜R26は、それぞれ独立に置換若しくは無置換のフェニル基、水素、又は炭素数1〜6のアルキル基のいずれかを有する。また、m、nはそれぞれ独立に1〜3であり、m、nが2又は3の場合におけるベンゼン環同士の結合位置は異なっていても良い。また、一般式(G2)におけるピリジン骨格は、置換又は無置換のフェニル基、水素又は炭素数1〜6のアルキル基を1又は複数有していてもよい。また、R1〜R26の具体例は、一般式(G1)のR1〜R28と同様である。
また、ピリジンに結合するフルオレン骨格を含む2つの置換基は、同じ置換基とすることにより合成が簡便になるため、好ましい。
ピリジンに結合するフルオレン骨格を含む2つの置換基は、ピリジンの2位と6位、2位と4位、3位と5位などが、それぞれメタ位で結合しているとS1準位やT1準位が高くなるため、好ましい。また、2位と5位と、パラ位で結合しているとキャリア輸送性が向上し好ましい。
m、nが付されたフェニレン基は、メタやオルト置換であると、共役が広がりにくくなることにより、T1準位、S1準位が高くなるため、好ましい。また、パラ置換であると、キャリア輸送性が向上し好ましい。
m、nが付されたフェニレン基は、置換基を有していてもよく、置換基を持つ場合には、置換基としては、フェニル基、炭素数1〜6のアルキル基があげられる。
次に、上述した本発明の一態様であるフルオレン化合物の具体的な構造式を示す(下記構造式(100)〜(112)。)。ただし、本発明はこれらに限定されることはない。
なお、上記構造式(100)〜(112)で表されるフルオレン化合物は、電子輸送性に優れた新規物質である。
次に、本発明の一態様であるフルオレン化合物の合成方法の一例として、上記一般式(G1)で表されるフルオレン化合物の合成方法の一例について説明する。
≪一般式(G1)で表されるフルオレン化合物の合成方法≫
<ステップ1;ハロゲン化ピリミジン化合物の合成>
下記、合成スキーム(A−1)に示すようにジハロゲン化ピリミジン化合物(a1)とアリールホウ素化合物(a2)とをカップリングさせることで、ハロゲン化ピリミジン化合物(a3)を合成することができる。
なお、式中のX1およびX2は、塩素、臭素又はヨウ素を表す。X1とX2は、反応性の高さから、好ましくは臭素、より好ましくはヨウ素を表す。B1はボロン酸又はジアルコキシボロンを表す。また、R1〜R13、R27〜R28は、それぞれ独立に置換若しくは無置換のフェニル基、水素、又は炭素数1〜6のアルキル基のいずれかを有する。また、mは1〜3であり、mが2又は3の場合におけるベンゼン環同士の結合位置は異なっていても良い。
また、上記合成スキーム(A−1)のカップリング反応には、様々な反応条件があるが、その一例として、塩基存在下にて金属触媒を用いた鈴木・宮浦反応を適用する場合について示す。
鈴木・宮浦反応では、金属触媒としてはパラジウム触媒を用いることができ、パラジウム触媒としてはパラジウム錯体とその配位子の混合物を用いることができる。また、パラジウム錯体としては、酢酸パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド等が挙げられる。また配位子としては、トリ(オルト−トリル)ホスフィンや、トリフェニルホスフィンや、トリシクロヘキシルホスフィン等が挙げられる。また塩基として用いることができる物質としては、ナトリウム tert−ブトキシド等の有機塩基や、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機塩基等が挙げられる。
また、この反応は溶液中で行うことが好ましく、用いることができる溶媒としては、アセトニトリルと水の混合溶媒、トルエンやキシレン等シンナー類と水の混合溶媒、トルエンやキシレンとエタノール等のアルコール類と水の3種混合溶媒、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(DMPU)と水の混合溶媒、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類と水の混合溶媒等が挙げられる。ただし、用いることができる触媒、塩基、溶媒はこれらに限られるものでは無い。
また上記合成スキーム(A−1)において、アリールホウ素化合物(a2)の代わりに、アリールアルミニウム、アリールジルコニウム、アリール亜鉛、又はアリールスズ化合物等を用いても良い。また反応は、窒素やアルゴンなどの不活性雰囲気下で行うことが好ましい。また、電磁波を用いて加熱しても良い。
<ステップ2;一般式(G1)で表されるフルオレン化合物の合成法>
次に、下記合成スキーム(A−2)に示すように、ハロゲン化ピリミジン化合物(a3)とアリールホウ素化合物(a4)と上記合成スキーム(A−1)と同様にカップリングさせることで、上記一般式(G1)で表されるフルオレン化合物を合成することができる。
なお、式中のB2はボロン酸又はジアルコキシボロンを表す。また、R1〜R13、R14〜R28は、それぞれ独立に置換若しくは無置換のフェニル基、水素、又は炭素数1〜6のアルキル基のいずれかを有する。また、m、nはそれぞれ独立に1〜3であり、m、nが2又は3の場合におけるベンゼン環同士の結合位置は異なっていても良い。
なお、(a2)と(a4)のアリールの部分が同じ場合、上記合成スキーム(A−1)と(A−2)は同時に反応させることができるため(つまり化合物(a1)に(a2)と(a3)を同時に加えて反応させることができる)、合成が簡便となり好ましい。
次に、本発明の一態様であるフルオレン化合物の合成方法の一例として、上記一般式(G2)で表されるフルオレン化合物の合成方法の一例について説明する。
≪一般式(G2)で表されるフルオレン化合物の合成法≫
下記、合成スキーム(B−1)に示すようにジハロゲン化ピリジン化合物(a5)とアリールホウ素化合物(a2)とアリールホウ素化合物(a4)とをカップリングさせることで、フルオレン化合物(G2)を合成することができる。
なお、式中のX3およびX4は、塩素、臭素又はヨウ素を表す。X3とX4は、反応性の高さから、好ましくは臭素、より好ましくはヨウ素を表す。B1およびB2は、ボロン酸又はジアルコキシボロンを表す。また、R1〜R13、R14〜R26は、それぞれ独立に置換若しくは無置換のフェニル基、水素、又は炭素数1〜6のアルキル基のいずれかを有する。また、m、nはそれぞれ独立に1〜3であり、m、nが2又は3の場合におけるベンゼン環同士の結合位置は異なっていても良い。
また、上記合成スキーム(B−1)のカップリング反応には、様々な反応条件があるが、その一例として、塩基存在下にて金属触媒を用いた鈴木・宮浦反応を適用する場合について示す。鈴木・宮浦反応についての条件は、上記合成スキーム(A−1)と同様であるので説明は省略する。
なお、合成スキーム(B−1)では、ジハロゲン化ピリジン化合物(a5)に対してアリールホウ素化合物(a2)とアリールホウ素化合物(a4)を同時に反応させる例を挙げたが、アリールホウ素化合物(a2)とアリールホウ素化合物(a4)のアリールの部分がそれぞれ異なる場合には、合成スキーム(A−1)、合成スキーム(A−2)の様に、順次に反応させる方が収率、純度の向上が期待でき、好ましい。
以上、本発明の一態様であるフルオレン化合物の合成方法の一例について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、他のどのような合成方法によって合成されても良い。
なお、上述した本発明の一態様であるフルオレン化合物は、T1準位が高く、電子輸送性の高い物質であるため、電子輸送層や発光層におけるホスト材料として用いることができる。
また、本発明の一態様であるフルオレン化合物を発光層、電子輸送層等に用いて発光素子を形成することにより、信頼性の良好な発光素子を形成することができる。また、このような発光素子を適用することで信頼性の良好な発光装置、電子機器、および照明装置を提供することができる。さらに、本発明の一態様であるフルオレン化合物は、有機薄膜太陽電池に用いることができる。より具体的には、キャリア輸送性があるため、キャリア輸送層、キャリア注入層に用いることができる。また、光励起するため、発電層として用いることができる。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様として実施の形態1で示したフルオレン化合物を用いることができる発光素子について図1を用いて説明する。
本実施の形態に示す発光素子は、図1に示すように一対の電極(第1の電極(陽極)101と第2の電極(陰極)103)間に発光層113を含むEL層102が挟まれており、EL層102は、発光層113の他に、正孔(または、ホール)注入層111、正孔(または、ホール)輸送層112、電子輸送層114、電子注入層115、電荷発生層(E)116などを含んで形成される。
このような発光素子に対して電圧を印加することにより、第1の電極101側から注入された正孔と第2の電極103側から注入された電子とが、発光層113において再結合し、発光層113に含まれる発光物質を励起状態にする。そして、励起状態の発光物質が基底状態に戻る際に発光する。なお、本発明の一態様であるフルオレン化合物は、発光層113における発光物質(ゲスト材料)に対するホスト材料として、又は電子輸送層114における電子輸送性材料として用いることができる。
なお、EL層102における正孔注入層111は、正孔輸送性の高い物質とアクセプター性物質を含む層であり、アクセプター性物質によって正孔輸送性の高い物質から電子が引き抜かれることにより正孔(ホール)が発生する。従って、正孔注入層111から正孔輸送層112を介して発光層113に正孔が注入される。
また、電荷発生層(E)116は、正孔輸送性の高い物質とアクセプター性物質を含む層である。アクセプター性物質によって正孔輸送性の高い物質から電子が引き抜かれるため、引き抜かれた電子が、電子注入性を有する電子注入層115から電子輸送層114を介して発光層113に注入される。
以下に本実施の形態に示す発光素子を作製する上での具体例について説明する。
第1の電極(陽極)101および第2の電極(陰極)103には、金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることができる。具体的には、酸化インジウム−酸化スズ(Indium Tin Oxide)、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化インジウム−酸化亜鉛(Indium Zinc Oxide)、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、チタン(Ti)の他、元素周期表の第1族又は第2族に属する元素、すなわちリチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、およびカルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、マグネシウム(Mg)、およびこれらを含む合金(MgAg、AlLi)、ユウロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)等の希土類金属およびこれらを含む合金、その他グラフェン等を用いることができる。なお、第1の電極(陽極)101および第2の電極(陰極)103は、例えばスパッタリング法や蒸着法(真空蒸着法を含む)等により形成することができる。
正孔注入層111、正孔輸送層112、および電荷発生層(E)116に用いる正孔輸送性の高い物質としては、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPBまたはα−NPD)やN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4,4’,4’’−トリス(カルバゾール−9−イル)トリフェニルアミン(略称:TCTA)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)などの芳香族アミン化合物、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等が挙げられる。その他、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5−トリス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9−[4−(10−フェニル−9−アントラセニル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)等のカルバゾール誘導体、等を用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。
さらに、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)、ポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N−(4−{N’−[4−(4−ジフェニルアミノ)フェニル]フェニル−N’−フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](略称:PTPDMA)、ポリ[N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly−TPD)などの高分子化合物を用いることもできる。
また、正孔注入層111および電荷発生層(E)116に用いるアクセプター性物質としては、遷移金属酸化物や元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化モリブデンが特に好ましい。
発光層113は、発光物質を含む層である。なお、発光層113は、発光物質のみで構成されていても、ホスト材料中に発光中心物質(ゲスト材料)が分散された状態で構成されていても良い。従って、有機金属錯体をゲスト材料として含み、この有機金属錯体よりも三重項励起エネルギーの大きい物質をホスト材料として用いて形成することもできる。なお、この場合には、本発明の一態様であり、実施の形態1で示したフルオレン化合物をホスト材料として用いることができる。
発光層113において、発光物質、および発光中心物質として用いることが可能な材料には、特に限定は無く、これらの物質が発する光は、蛍光であっても燐光であっても良い。なお、上記発光物質および発光中心物質としては、例えば、以下のようなものが挙げられる。
蛍光を発する物質としては、N,N’−ビス[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニルスチルベン−4,4’−ジアミン(略称:YGA2S)、4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:YGAPA)、4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)トリフェニルアミン(略称:2YGAPPA)、N,9−ジフェニル−N−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPA)、ペリレン、2,5,8,11−テトラ−tert−ブチルペリレン(略称:TBP)、4−(10−フェニル−9−アントリル)−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBAPA)、N,N’’−(2−tert−ブチルアントラセン−9,10−ジイルジ−4,1−フェニレン)ビス[N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン](略称:DPABPA)、N,9−ジフェニル−N−[4−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPPA)、N−[4−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPAPPA)、N,N,N’,N’,N’’,N’’,N’’’,N’’’−オクタフェニルジベンゾ[g,p]クリセン−2,7,10,15−テトラアミン(略称:DBC1)、クマリン30、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCABPhA)、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPAPA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPABPhA)、9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−N−[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアントラセン−2−アミン(略称:2YGABPhA)、N,N,9−トリフェニルアントラセン−9−アミン(略称:DPhAPhA)、クマリン545T、N,N’−ジフェニルキナクリドン、(略称:DPQd)、ルブレン、5,12−ビス(1,1’−ビフェニル−4−イル)−6,11−ジフェニルテトラセン(略称:BPT)、2−(2−{2−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル}−6−メチル−4H−ピラン−4−イリデン)プロパンジニトリル(略称:DCM1)、2−{2−メチル−6−[2−(2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCM2)、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)テトラセン−5,11−ジアミン(略称:p−mPhTD)、7,14−ジフェニル−N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)アセナフト[1,2−a]フルオランテン−3,10−ジアミン(略称:p−mPhAFD)、2−{2−イソプロピル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCJTI)、2−{2−tert−ブチル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCJTB)、2−(2,6−ビス{2−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル}−4H−ピラン−4−イリデン)プロパンジニトリル(略称:BisDCM)、2−{2,6−ビス[2−(8−メトキシ−1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:BisDCJTM)などが挙げられる。
なお、蛍光を発する物質としては、本発明の一態様であるフルオレン化合物を用いることもできる。
燐光を発する物質としては、ビス[2−(3’,5’−ビストリフルオロメチルフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:Ir(CF3ppy)2(pic))、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:FIracac)、トリス(2−フェニルピリジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(ppy)3)、ビス(2−フェニルピリジナト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(ppy)2(acac))、トリス(アセチルアセトナト)(モノフェナントロリン)テルビウム(III)(略称:Tb(acac)3(Phen))、ビス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(bzq)2(acac))、ビス(2,4−ジフェニル−1,3−オキサゾラト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(dpo)2(acac))、ビス{2−[4’−(パーフルオロフェニル)フェニル]ピリジナト−N,C2’}イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(p−PF−ph)2(acac))、ビス(2−フェニルベンゾチアゾラト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(bt)2(acac))、ビス[2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジナト−N,C3’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(btp)2(acac))、ビス(1−フェニルイソキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(piq)2(acac))、(アセチルアセトナト)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdpq)2(acac))、(アセチルアセトナト)ビス(3,5−ジメチル−2−フェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(mppr−Me)2(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス(5−イソプロピル−3−メチル−2−フェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(mppr−iPr)2(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス(2,3,5−トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(tppr)2(acac))、ビス(2,3,5−トリフェニルピラジナト)(ジピバロイルメタナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(tppr)2(dpm)])、(アセチルアセトナト)ビス(6−tert−ブチル−4−フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(tBuppm)2(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス(4,6−ジフェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(dppm)2(acac)])、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィリン白金(II)(略称:PtOEP)、トリス(1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオナト)(モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(DBM)3(Phen))、トリス[1−(2−テノイル)−3,3,3−トリフルオロアセトナト](モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(TTA)3(Phen))などが挙げられる。
また、ホスト材料としては、本発明の一態様であるフルオレン化合物を用いることができる。なお、本発明の一態様であるフルオレン化合物はT1準位が高いため、燐光を発する物質用のホスト材料としては、適しており、可視域の発光領域で用いることができる。また、S1準位も高いため、蛍光を発する物質用のホスト材料としても、適しており、可視域の発光領域で用いることができる。
その他のホスト材料としては、例えば、4−フェニル−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBA1BP)、3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)、2,3−ビス(4−ジフェニルアミノフェニル)キノキサリン(略称:TPAQn)、NPBのようなアリールアミン骨格を有する化合物の他、CBP、4,4’,4’’−トリ(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(略称:TCTA)等のカルバゾール誘導体や、2−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTPDBq−II)、2−[3’−(ジベンゾチオフェン−4−イル)ビフェニル−3−イル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq−II)、2−[4−(3,6−ジフェニル−9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2CzPDBq−III)のような含窒素複素芳香族化合物、あるいはビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ピリジナト]亜鉛(略称:Znpp2)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンズオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX)2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(略称:BAlq)、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)等の金属錯体が好ましい。また、PVKのような高分子化合物を用いることもできる。
なお、発光層113において、上述した有機金属錯体(ゲスト材料)とホスト材料とを含んで形成することにより、発光層113からは、発光効率の高い燐光発光を得ることができる。
なお、発光層113は2層以上が積層された構成としてもよい。例えば、第1の発光層と第2の発光層のそれぞれを構成する物質の組成をそれぞれ変えて形成する構成などがある。また、発光層113は、電子輸送層114との電子注入障壁を抑えるため、隣接する電子輸送層114で用いる材料をホスト材料などに用いても良い。
電子輸送層114は、電子輸送性の高い物質を含む層である。なお、電子輸送層114には、本発明の一態様であるフルオレン化合物を用いることができる。その他、電子輸送層114には、Alq3、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq3)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq2)、BAlq、Zn(BOX)2、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ)2)などの金属錯体を用いることができる。また、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:p−EtTAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)、4,4’−ビス(5−メチルベンゾオキサゾール−2−イル)スチルベン(略称:BzOs)などの複素芳香族化合物も用いることができる。また、ポリ(2,5−ピリジンジイル)(略称:PPy)、ポリ[(9,9−ジヘキシルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(ピリジン−3,5−ジイル)](略称:PF−Py)、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(2,2’−ビピリジン−6,6’−ジイル)](略称:PF−BPy)のような高分子化合物を用いることもできる。ここに述べた物質は、主に10−6cm2/Vs以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を電子輸送層114として用いてもよい。
また、電子輸送層114は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
電子注入層115は、電子注入性の高い物質を含む層である。電子注入層115には、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF2)、リチウム酸化物(LiOx)等のようなアルカリ金属、アルカリ土類金属、またはそれらの化合物を用いることができる。また、フッ化エルビウム(ErF3)のような希土類金属化合物を用いることができる。また、上述した電子輸送層114を構成する物質を用いることもできる。
さらに、電子注入層115に、有機化合物と電子供与体(ドナー)とを混合してなる複合材料を用いてもよい。このような複合材料は、電子供与体によって有機化合物に電子が発生するため、電子注入性に優れている。この場合、有機化合物としては、発生した電子の輸送に優れた材料であることが好ましく、具体的には、例えば上述した電子輸送層114を構成する物質(金属錯体や複素芳香族化合物等)を用いることができる。電子供与体としては、有機化合物に対し電子供与性を示す物質であればよい。具体的には、アルカリ金属やアルカリ土類金属や希土類金属が好ましく、リチウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、エルビウム、イッテルビウム等が挙げられる。また、アルカリ金属酸化物やアルカリ土類金属酸化物が好ましく、リチウム酸化物、カルシウム酸化物、バリウム酸化物等が挙げられる。また、酸化マグネシウムのようなルイス塩基を用いることもできる。また、テトラチアフルバレン(略称:TTF)等の有機化合物を用いることもできる。
なお、上述した正孔注入層111、正孔輸送層112、発光層113、電子輸送層114、電子注入層115、電荷発生層(E)116は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
上述した発光素子は、第1の電極101および第2の電極103との間に生じた電位差により電流が流れ、EL層102において正孔と電子とが再結合することにより発光する。そして、この発光は、第1の電極101および第2の電極103のいずれか一方または両方を通って外部に取り出される。従って、第1の電極101および第2の電極103のいずれか一方、または両方が透光性を有する電極となる。
なお、本実施の形態で示した発光素子は、本発明の一態様であるフルオレン化合物を用いて作製することができる発光素子の一例である。なお、本発明の一態様であるフルオレン化合物は、T1準位の高い物質であることから短波長を含む広範囲な波長領域での発光を示す発光物質のホスト材料として用いることができ、さらに信頼性の高い発光素子を得ることができる。また、上記発光素子を備えた発光装置の構成としては、パッシブマトリクス型の発光装置やアクティブマトリクス型の発光装置の他、別の実施の形態で説明する上記とは別の構造を有する発光素子を備えたマイクロキャビティー構造の発光装置などを作製することができ、これらは、いずれも本発明に含まれるものとする。
なお、アクティブマトリクス型の発光装置の場合において、TFTの構造は、特に限定されない。例えば、スタガ型や逆スタガ型のTFTを適宜用いることができる。また、TFT基板に形成される駆動用回路についても、N型およびP型のTFTからなるものでもよいし、N型のTFTまたはP型のTFTのいずれか一方のみからなるものであってもよい。さらに、TFTに用いられる半導体膜の結晶性及び材料についても特に限定されない。例えば、非晶質半導体膜、結晶性半導体膜、その他、酸化物半導体膜等を用いることができる。
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができるものとする。
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様として、燐光性化合物と他の2種類以上の有機化合物を発光層に用いた発光素子について説明する。
本実施の形態に示す発光素子は、図2に示すように一対の電極(陽極201及び陰極202)間にEL層203を有する構造である。なお、EL層203には、少なくとも発光層204を有し、その他、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、電荷発生層(E)などが含まれていても良い。なお、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、電荷発生層(E)には、実施の形態2に示した物質を用いることができる。
本実施の形態に示す発光層204には、燐光性化合物205、第1の有機化合物206、および第2の有機化合物207が含まれている。実施の形態1に示したフルオレン化合物は、第1の有機化合物206、または第2の有機化合物207として用いることができる。なお、燐光性化合物205は、発光層204におけるゲスト材料である。また、第1の有機化合物206、および第2の有機化合物207のうち発光層204に含まれる割合の多い方を発光層204におけるホスト材料とする。
発光層204において、上記ゲスト材料をホスト材料に分散させた構成とすることにより、発光層の結晶化を抑制することができる。また、ゲスト材料の濃度が高いことによる濃度消光を抑制し、発光素子の発光効率を高くすることができる。
なお、第1の有機化合物206及び第2の有機化合物207のそれぞれの三重項励起エネルギーの準位(T1準位)は、燐光性化合物205のT1準位よりも高いことが好ましい。第1の有機化合物206(又は第2の有機化合物207)のT1準位が燐光性化合物205のT1準位よりも低いと、発光に寄与する燐光性化合物205の三重項励起エネルギーを第1の有機化合物206(又は第2の有機化合物207)が消光(クエンチ)してしまい、発光効率の低下を招くためである。
ここで、ホスト材料からゲスト材料へのエネルギー移動効率を高めるため、分子間の移動機構として知られているフェルスター機構(双極子−双極子相互作用)およびデクスター機構(電子交換相互作用)を考慮した上で、ホスト材料の発光スペクトル(一重項励起状態からのエネルギー移動を論じる場合は蛍光スペクトル、三重項励起状態からのエネルギー移動を論じる場合は燐光スペクトル)とゲスト材料の吸収スペクトル(より詳細には、最も長波長(低エネルギー)側の吸収帯におけるスペクトル)との重なりが大きくなることが好ましい。しかしながら通常、ホスト材料の蛍光スペクトルを、ゲスト材料の最も長波長(低エネルギー)側の吸収帯における吸収スペクトルと重ねることは困難である。なぜならば、そのようにしてしまうと、ホスト材料の燐光スペクトルは蛍光スペクトルよりも長波長(低エネルギー)側に位置するため、ホスト材料のT1準位が燐光性化合物のT1準位を下回ってしまい、上述したクエンチの問題が生じてしまうからである。一方、クエンチの問題を回避するため、ホスト材料のT1準位が燐光性化合物のT1準位を上回るように設計すると、今度はホスト材料の蛍光スペクトルが短波長(高エネルギー)側にシフトするため、その蛍光スペクトルはゲスト材料の最も長波長(低エネルギー)側の吸収帯における吸収スペクトルと重ならなくなる。したがって、ホスト材料の蛍光スペクトルをゲスト材料の最も長波長(低エネルギー)側の吸収帯における吸収スペクトルと重ね、ホスト材料の一重項励起状態からのエネルギー移動を最大限に高めることは、通常困難である。
そこで本実施形態においては、第1の有機化合物206および第2の有機化合物207は、励起錯体(エキサイプレックスとも言う)を形成する組み合わせであることが好ましい。この場合、発光層204におけるキャリア(電子及びホール)の再結合の際に第1の有機化合物206と第2の有機化合物207は、励起錯体を形成する。これにより、発光層204において、第1の有機化合物206の蛍光スペクトルおよび第2の有機化合物207の蛍光スペクトルは、より長波長側に位置する励起錯体の発光スペクトルに変換される。そして、励起錯体の発光スペクトルとゲスト材料の吸収スペクトルとの重なりが大きくなるように、第1の有機化合物206と第2の有機化合物207を選択すれば、一重項励起状態からのエネルギー移動を最大限に高めることができる。なお、三重項励起状態に関しても、ホスト材料ではなく励起錯体からのエネルギー移動が生じると考えられる。なお、この様に生じた励起錯体の発光波長は、ゲスト材料の発光波長よりも短波長になるように構成することが好ましい。
燐光性化合物205としては、燐光性の有機金属錯体を用いることが好ましい。また、第1の有機化合物206及び第2の有機化合物207としては、励起錯体を生じる組み合わせであればよいが、電子を受け取りやすい化合物(電子トラップ性化合物)と、ホールを受け取りやすい化合物(正孔トラップ性化合物)とを組み合わせることが好ましい。
燐光性の有機金属錯体としては、例えば、ビス[2−(3’,5’−ビストリフルオロメチルフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:Ir(CF3ppy)2(pic))、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:FIracac)、トリス(2−フェニルピリジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(ppy)3)、ビス(2−フェニルピリジナト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(ppy)2(acac))、トリス(アセチルアセトナト)(モノフェナントロリン)テルビウム(III)(略称:Tb(acac)3(Phen))、ビス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(bzq)2(acac))、ビス(2,4−ジフェニル−1,3−オキサゾラト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(dpo)2(acac))、ビス[2−(4’−パーフルオロフェニルフェニル)ピリジナト]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(p−PF−ph)2(acac))、ビス(2−フェニルベンゾチアゾラト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(bt)2(acac))、ビス[2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジナト−N,C3’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(btp)2(acac))、ビス(1−フェニルイソキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(piq)2(acac))、(アセチルアセトナト)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdpq)2(acac))、(アセチルアセトナト)ビス(2,3,5−トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(tppr)2(acac))、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィリン白金(II)(略称:PtOEP)、トリス(1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオナト)(モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(DBM)3(Phen))、トリス[1−(2−テノイル)−3,3,3−トリフルオロアセトナト](モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(TTA)3(Phen))などが挙げられる。
電子を受け取りやすい化合物としては、含窒素複素芳香族化合物のようなπ不足型複素芳香族化合物が好ましく、例えば、2−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTPDBq−II)、2−[3’−(ジベンゾチオフェン−4−イル)ビフェニル−3−イル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq−II)、2−[4−(3,6−ジフェニル−9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2CzPDBq−III)、7−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:7mDBTPDBq−II)、及び、6−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:6mDBTPDBq−II)等のキノキサリンないしはジベンゾキノキサリン誘導体が挙げられる。なお、本発明の一態様であるフルオレン化合物は、電子輸送性を有することから、電子を受け取りやすい化合物として用いることができる。
ホールを受け取りやすい化合物としては、π過剰型複素芳香族化合物(例えばカルバゾール誘導体やインドール誘導体)や芳香族アミン化合物が好ましく、例えば、4−フェニル−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBA1BP)、4、4’−ジ(1−ナフチル)−4’’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBNBB)、3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)、4,4’,4’’−トリス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:1’−TNATA)、2,7−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]−スピロ−9,9’−ビフルオレン(略称:DPA2SF)、N,N’−ビス(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N,N’−ジフェニルベンゼン−1,3−ジアミン(略称:PCA2B)、N−(9,9−ジメチル−2−ジフェニルアミノ−9H−フルオレン−7−イル)−ジフェニルアミン(略称:DPNF)、N,N’,N’’−トリフェニル−N,N’,N’’−トリス(9−フェニルカルバゾール−3−イル)ベンゼン−1,3,5−トリアミン(略称:PCA3B)、2−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]スピロ−9,9’−ビフルオレン(略称:PCASF)、2−[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]スピロ−9,9’−ビフルオレン(略称:DPASF)、N,N’−ビス[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニル−9,9−ジメチルフルオレン−2,7−ジアミン(略称:YGA2F)、4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:TPD)、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、N−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)−N−{9,9−ジメチル−2−[N’−フェニル−N’−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)}−アミノ]−9H−フルオレン−7−イル}−フェニルアミン(略称:DFLADFL)、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3−[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzDPA1)、3,6−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzDPA2)、4,4’−ビス(N−{4−[N’−(3−メチルフェニル)−N’−フェニルアミノ]フェニル}−N−フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)、3,6−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−(1−ナフチル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzTPN2)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)が挙げられる。
上述した第1の有機化合物206及び第2の有機化合物207は、これらに限定されることなく、励起錯体を形成できる組み合わせであり、励起錯体の発光スペクトルが、燐光性化合物205の吸収スペクトルと重なり、励起錯体の発光スペクトルのピークが、燐光性化合物205の吸収スペクトルのピークよりも長波長であればよい。
なお、電子を受け取りやすい化合物とホールを受け取りやすい化合物で第1の有機化合物206と第2の有機化合物207を構成する場合、その混合比によってキャリアバランスを制御することができる。具体的には、第1の有機化合物:第2の有機化合物=1:9〜9:1の範囲が好ましい。
本実施の形態で示した発光素子は、励起錯体の発光スペクトルと燐光性化合物の吸収スペクトルとの重なりを利用したエネルギー移動により、エネルギー移動効率を高めることができるため、外部量子効率の高い発光素子を実現することができる。
なお、本発明に含まれる別の構成として、燐光性化合物205(ゲスト材料)の他の2種類の有機化合物(第1の有機化合物206及び第2の有機化合物207)として、正孔トラップ性のホスト分子、および電子トラップ性のホスト分子を用いて発光層204を形成し、2種類のホスト分子中に存在するゲスト分子に正孔と電子を導いて、ゲスト分子を励起状態とする現象(すなわち、Guest Coupled with Complementary Hosts:GCCH)が得られるように発光層204を形成する構成も可能である。
この時、正孔トラップ性のホスト分子、および電子トラップ性のホスト分子としては、それぞれ、上述した正孔を受け取りやすい化合物、および電子を受け取りやすい化合物を用いることができる。
なお、本実施の形態で示した発光素子は、発光素子の構造の一例であるが、本発明の一態様である発光装置には、他の実施の形態で示す別の構造の発光素子を適用することもできる。また、上記発光素子を備えた発光装置の構成としては、パッシブマトリクス型の発光装置やアクティブマトリクス型の発光装置の他、別の実施の形態で説明する上記とは別の構造を有する発光素子を備えたマイクロキャビティー構造の発光装置などを作製することができ、これらは、いずれも本発明に含まれるものとする。
なお、アクティブマトリクス型の発光装置の場合において、TFTの構造は、特に限定されない。例えば、スタガ型や逆スタガ型のTFTを適宜用いることができる。また、TFT基板に形成される駆動用回路についても、N型およびP型のTFTからなるものでもよいし、N型のTFTまたはP型のTFTのいずれか一方のみからなるものであってもよい。さらに、TFTに用いられる半導体膜の結晶性及び材料についても特に限定されない。例えば、非晶質半導体膜、結晶性半導体膜、その他、酸化物半導体膜等を用いることができる。
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができるものとする。
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様として、電荷発生層を挟んでEL層を複数有する構造の発光素子(以下、タンデム型発光素子という)について説明する。
本実施の形態に示す発光素子は、図3(A)に示すように一対の電極(第1の電極301および第2の電極304)間に、複数のEL層(第1のEL層302(1)、第2のEL層302(2))を有するタンデム型発光素子である。
本実施の形態において、第1の電極301は、陽極として機能する電極であり、第2の電極304は陰極として機能する電極である。なお、第1の電極301および第2の電極304は、実施の形態1と同様な構成を用いることができる。また、複数のEL層(第1のEL層302(1)、第2のEL層302(2))は、実施の形態1または実施の形態2で示したEL層と同様な構成であっても良いが、いずれかが同様の構成であっても良い。すなわち、第1のEL層302(1)と第2のEL層302(2)は、同じ構成であっても異なる構成であってもよく、その構成は実施の形態1または実施の形態2と同様なものを適用することができる。
また、複数のEL層(第1のEL層302(1)、第2のEL層302(2))の間には、電荷発生層(I)305が設けられている。電荷発生層(I)305は、第1の電極301と第2の電極304に電圧を印加したときに、一方のEL層に電子を注入し、他方のEL層に正孔を注入する機能を有する。本実施の形態の場合には、第1の電極301に第2の電極304よりも電位が高くなるように電圧を印加すると、電荷発生層(I)305から第1のEL層302(1)に電子が注入され、第2のEL層302(2)に正孔が注入される。
なお、電荷発生層(I)305は、光の取り出し効率の点から、可視光に対して透光性を有する(具体的には、電荷発生層(I)305に対する可視光の透過率が、40%以上)ことが好ましい。また、電荷発生層(I)305は、第1の電極301や第2の電極304よりも低い導電率であっても機能する。
電荷発生層(I)305は、正孔輸送性の高い有機化合物に電子受容体(アクセプター)が添加された構成であっても、電子輸送性の高い有機化合物に電子供与体(ドナー)が添加された構成であってもよい。また、これらの両方の構成が積層されていても良い。
正孔輸送性の高い有機化合物に電子受容体が添加された構成とする場合において、正孔輸送性の高い有機化合物としては、例えば、NPBやTPD、TDATA、MTDATA、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)などの芳香族アミン化合物等を用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い有機化合物であれば、上記以外の物質を用いても構わない。
また、電子受容体としては、7,7,8,8−テトラシアノ−2,3,5,6−テトラフルオロキノジメタン(略称:F4−TCNQ)、クロラニル等を挙げることができる。また、遷移金属酸化物を挙げることができる。また元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
一方、電子輸送性の高い有機化合物に電子供与体が添加された構成とする場合において、電子輸送性の高い有機化合物としては、例えば、Alq、Almq3、BeBq2、BAlqなど、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等を用いることができる。また、この他、Zn(BOX)2、Zn(BTZ)2などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体なども用いることができる。さらに、金属錯体以外にも、PBDやOXD−7、TAZ、BPhen、BCPなども用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm2/Vs以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い有機化合物であれば、上記以外の物質を用いても構わない。
また、電子供与体としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属または希土類金属または元素周期表における第13族に属する金属およびその酸化物、炭酸塩を用いることができる。具体的には、リチウム(Li)、セシウム(Cs)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、イッテルビウム(Yb)、インジウム(In)、酸化リチウム、炭酸セシウムなどを用いることが好ましい。また、テトラチアナフタセンのような有機化合物を電子供与体として用いてもよい。
なお、上述した材料を用いて電荷発生層(I)305を形成することにより、EL層が積層された場合における駆動電圧の上昇を抑制することができる。
本実施の形態では、EL層を2層有する発光素子について説明したが、図3(B)に示すように、n層(ただし、nは、3以上の自然数)のEL層(302(1)〜302(n))を積層し、これらのEL層(302(1)〜302(n))の間にそれぞれ電荷発生層(I)(305(1)〜305(n−1))を配置した発光素子についても、同様に適用することが可能である。本実施の形態に係る発光素子のように、一対の電極間に複数のEL層を有する場合、EL層とEL層との間に電荷発生層(I)を配置することで、電流密度を低く保ったまま、高輝度領域での発光が可能である。電流密度を低く保てるため、長寿命素子を実現できる。また、照明を応用例とした場合は、電極材料の抵抗による電圧降下を小さくできるので、大面積での均一発光が可能となる。また、低電圧駆動が可能で消費電力が低い発光装置を実現することができる。
また、それぞれのEL層の発光色を異なるものにすることで、発光素子全体として、所望の色の発光を得ることができる。例えば、2つのEL層を有する発光素子において、第1のEL層の発光色と第2のEL層の発光色を補色の関係になるようにすることで、発光素子全体として白色発光する発光素子を得ることも可能である。なお、補色とは、混合すると無彩色になる色同士の関係をいう。つまり、補色の関係にある色を発光する物質から得られた光と混合すると、白色発光を得ることができる。
また、3つのEL層を有する発光素子の場合でも同様であり、例えば、第1のEL層の発光色が赤色であり、第2のEL層の発光色が緑色であり、第3のEL層の発光色が青色である場合、発光素子全体としては、白色発光を得ることができる。
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様である発光装置について説明する。
本実施の形態に示す発光装置は、一対の電極間での光の共振効果を利用した微小光共振器(マイクロキャビティー)構造を有しており、図4に示す様に一対の電極(反射電極401及び半透過・半反射電極402)間に少なくともEL層405を有する構造である発光素子を複数、有している。また、EL層405は、少なくとも発光領域となる発光層404(404R、404G、404B)を有し、その他、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、電荷発生層(E)などが含まれていても良い。なお、本発明の一態様であるフルオレン化合物は、EL層405に含まれる発光層404、または電子輸送層等に用いることができる。
本実施の形態では、図4に示すように構造の異なる発光素子(第1の発光素子(R)410R、第2の発光素子(G)410G、第3の発光素子(B)410B)を有して構成される発光装置について説明する。
第1の発光素子(R)410Rは、反射電極401上に第1の透明導電層403aと、第1の発光層(B)404B、第2の発光層(G)404G、第3の発光層(R)404Rを一部に含むEL層405と、半透過・半反射電極402とが順次積層された構造を有する。また、第2の発光素子(G)410Gは、反射電極401上に第2の透明導電層403bと、EL層405と、半透過・半反射電極402とが順次積層された構造を有する。また、第3の発光素子(B)410Bは、反射電極401上にEL層405と、半透過・半反射電極402とが順次積層された構造を有する。
なお、上記発光素子(第1の発光素子(R)410R、第2の発光素子(G)410G、第3の発光素子(B)410B)において、反射電極401、EL層405、半透過・半反射電極402は共通である。また、第1の発光層(B)404Bでは、420nm以上480nm以下の波長領域にピークをもつ光(λB)を発光させ、第2の発光層(G)404Gでは、500nm以上550nm以下の波長領域にピークを持つ光(λG)を発光させ、第3の発光層(R)404Rでは、600nm以上760nm以下の波長領域にピークを持つ光(λR)を発光させる。これにより、いずれの発光素子(第1の発光素子(R)410R、第2の発光素子(G)410G、第3の発光素子(B)410B)でも、第1の発光層(B)404B、第2の発光層(G)404G、および第3の発光層(R)404Rからの発光が重ね合わされた、すなわち可視光領域に渡るブロードな光を発光させることができる。なお、上記より、波長の長さは、λB<λG<λRなる関係であるとする。
本実施の形態に示す各発光素子は、それぞれ反射電極401と半透過・半反射電極402との間にEL層405を挟んでなる構造を有しており、EL層405に含まれる各発光層から全方向に射出される発光は、微小光共振器(マイクロキャビティー)としての機能を有する反射電極401と半透過・半反射電極402とによって共振される。なお、反射電極401は、反射性を有する導電性材料により形成され、その膜に対する可視光の反射率が40%〜100%、好ましくは70%〜100%であり、かつその抵抗率が1×10−2Ωcm以下の膜であるとする。また、半透過・半反射電極402は、反射性を有する導電性材料と光透過性を有する導電性材料とにより形成され、その膜に対する可視光の反射率が20%〜80%、好ましくは40%〜70%であり、かつその抵抗率が1×10−2Ωcm以下の膜であるとする。
また、本実施の形態では、各発光素子で、第1の発光素子(R)410Rと第2の発光素子(G)410Gにそれぞれ設けられた透明導電層(第1の透明導電層403a、第2の透明導電層403b)の厚みを変えることにより、発光素子毎に反射電極401と半透過・半反射電極402の間の光学距離を変えている。つまり、各発光素子の各発光層から発光するブロードな光は、反射電極401と半透過・半反射電極402との間において、共振する波長の光を強め、共振しない波長の光を減衰させることができるため、素子毎に反射電極401と半透過・半反射電極402の間の光学距離を変えることにより、異なる波長の光を取り出すことができる。
なお、光学距離(光路長ともいう)とは、実際の距離に屈折率をかけたものであり、本実施の形態においては、実膜厚にn(屈折率)をかけたものを表している。すなわち、「光学距離=実膜厚×n」である。
また、第1の発光素子(R)410Rでは、反射電極401から半透過・半反射電極402までの総厚をmλR/2(ただし、mは自然数)、第2の発光素子(G)410Gでは、反射電極401から半透過・半反射電極402までの総厚をmλG/2(ただし、mは自然数)、第3の発光素子(B)410Bでは、反射電極401から半透過・半反射電極402までの総厚をmλB/2(ただし、mは自然数)としている。
以上より、第1の発光素子(R)410Rからは、主としてEL層405に含まれる第3の発光層(R)404Rで発光した光(λR)が取り出され、第2の発光素子(G)410Gからは、主としてEL層405に含まれる第2の発光層(G)404Gで発光した光(λG)が取り出され、第3の発光素子(B)410Bからは、主としてEL層405に含まれる第1の発光層(B)404Bで発光した光(λB)が取り出される。なお、各発光素子から取り出される光は、半透過・半反射電極402側からそれぞれ射出される。
また、上記構成において、反射電極401から半透過・半反射電極402までの総厚は、厳密には反射電極401における反射領域から半透過・半反射電極402における反射領域までの総厚ということができる。しかし、反射電極401や半透過・半反射電極402における反射領域の位置を厳密に決定することは困難であるため、反射電極401と半透過・半反射電極402の任意の位置を反射領域と仮定することで充分に上述の効果を得ることができるものとする。
次に、第1の発光素子(R)410Rにおいて、反射電極401から第3の発光層(R)404Rへの光学距離を所望の膜厚((2m’+1)λR/4(ただし、m’は自然数))に調節することにより、第3の発光層(R)404Rからの発光を増幅させることができる。第3の発光層(R)404Rからの発光のうち、反射電極401によって反射されて戻ってきた光(第1の反射光)は、第3の発光層(R)404Rから半透過・半反射電極402に直接入射する光(第1の入射光)と干渉を起こすため、反射電極401から第3の発光層(R)404Rへの光学距離を所望の値((2m’+1)λR/4(ただし、m’は自然数))に調節して設けることにより、第1の反射光と第1の入射光との位相を合わせ、第3の発光層(R)404Rからの発光を増幅させることができる。
なお、反射電極401と第3の発光層(R)404Rとの光学距離とは、厳密には反射電極401における反射領域と第3の発光層(R)404Rにおける発光領域との光学距離ということができる。しかし、反射電極401における反射領域や第3の発光層(R)404Rにおける発光領域の位置を厳密に決定することは困難であるため、反射電極401の任意の位置を反射領域、第3の発光層(R)404Rの任意の位置を発光領域と仮定することで充分に上述の効果を得ることができるものとする。
次に、第2の発光素子(G)410Gにおいて、反射電極401から第2の発光層(G)404Gへの光学距離を所望の膜厚((2m’’+1)λG/4(ただし、m’’は自然数))に調節することにより、第2の発光層(G)404Gからの発光を増幅させることができる。第2の発光層(G)404Gからの発光のうち、反射電極401によって反射されて戻ってきた光(第2の反射光)は、第2の発光層(G)404Gから半透過・半反射電極402に直接入射する光(第2の入射光)と干渉を起こすため、反射電極401から第2の発光層(G)404Gへの光学距離を所望の値((2m’’+1)λG/4(ただし、m’’は自然数))に調節して設けることにより、第2の反射光と第2の入射光との位相を合わせ、第2の発光層(G)404Gからの発光を増幅させることができる。
なお、反射電極401と第2の発光層(G)404Gとの光学距離とは、厳密には反射電極401における反射領域と第2の発光層(G)404Gにおける発光領域との光学距離ということができる。しかし、反射電極401における反射領域や第2の発光層(G)404Gにおける発光領域の位置を厳密に決定することは困難であるため、反射電極401の任意の位置を反射領域、第2の発光層(G)404Gの任意の位置を発光領域と仮定することで充分に上述の効果を得ることができるものとする。
次に、第3の発光素子(B)410Bにおいて、反射電極401から第1の発光層(B)404Bへの光学距離を所望の膜厚((2m’’’+1)λB/4(ただし、m’’’は自然数))に調節することにより、第1の発光層(B)404Bからの発光を増幅させることができる。第1の発光層(B)404Bからの発光のうち、反射電極401によって反射されて戻ってきた光(第3の反射光)は、第1の発光層(B)404Bから半透過・半反射電極402に直接入射する光(第3の入射光)と干渉を起こすため、反射電極401から第1の発光層(B)404Bへの光学距離を所望の値((2m’’’+1)λB/4(ただし、m’’’は自然数))に調節して設けることにより、第3の反射光と第3の入射光との位相を合わせ、第1の発光層(B)404Bからの発光を増幅させることができる。
なお、第3の発光素子において、反射電極401と第1の発光層(B)404Bとの光学距離とは、厳密には反射電極401における反射領域と第1の発光層(B)404Bにおける発光領域との光学距離ということができる。しかし、反射電極401における反射領域や第1の発光層(B)404Bにおける発光領域の位置を厳密に決定することは困難であるため、反射電極401の任意の位置を反射領域、第1の発光層(B)404Bの任意の位置を発光領域と仮定することで充分に上述の効果を得ることができるものとする。
なお、上記構成において、いずれの発光素子もEL層に複数の発光層を有する構造を有しているが、本発明はこれに限られることはなく、例えば、実施の形態4で説明したタンデム型発光素子の構成と組み合わせて、一つの発光素子に電荷発生層を挟んで複数のEL層を設け、それぞれのEL層に単数もしくは複数の発光層を形成する構成としてもよい。
本実施の形態で示した発光装置は、マイクロキャビティー構造を有しており、同じEL層を有していても発光素子ごとに異なる波長の光を取り出すことができるためRGBの塗り分けが不要となる。従って、高精細化を実現することが容易であるなどの理由からフルカラー化を実現する上で有利である。また、特定波長の正面方向の発光強度を強めることが可能となるため、低消費電力化を図ることができる。この構成は、3色以上の画素を用いたカラーディスプレイ(画像表示装置)に適用する場合に、特に有用であるが、照明などの用途に用いても良い。
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の一態様であるフルオレン化合物を用いた発光素子を有する発光装置について説明する。
また、上記発光装置は、パッシブマトリクス型の発光装置でもアクティブマトリクス型の発光装置でもよい。なお、本実施の形態に示す発光装置には、他の実施形態で説明した発光素子を適用することが可能である。
本実施の形態では、アクティブマトリクス型の発光装置について図5を用いて説明する。
なお、図5(A)は発光装置を示す上面図であり、図5(B)は図5(A)を鎖線A−A’で切断した断面図である。本実施の形態に係るアクティブマトリクス型の発光装置は、素子基板501上に設けられた画素部502と、駆動回路部(ソース線駆動回路)503と、駆動回路部(ゲート線駆動回路)504(504a及び504b)と、を有する。画素部502、駆動回路部503、及び駆動回路部504は、シール材505によって、素子基板501と封止基板506との間に封止されている。
また、素子基板501上には、駆動回路部503、及び駆動回路部504に外部からの信号(例えば、ビデオ信号、クロック信号、スタート信号、又はリセット信号等)や電位を伝達する外部入力端子を接続するための引き回し配線507が設けられる。ここでは、外部入力端子としてFPC(フレキシブルプリントサーキット)508を設ける例を示している。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント配線基板(PWB)が取り付けられていても良い。本明細書における発光装置には、発光装置本体だけでなく、それにFPCもしくはPWBが取り付けられた状態をも含むものとする。
次に、断面構造について図5(B)を用いて説明する。素子基板501上には駆動回路部及び画素部が形成されているが、ここでは、ソース線駆動回路である駆動回路部503と、画素部502が示されている。
駆動回路部503はnチャネル型TFT509とpチャネル型TFT510とを組み合わせたCMOS回路が形成される例を示している。なお、駆動回路部を形成する回路は、種々のCMOS回路、PMOS回路もしくはNMOS回路で形成しても良い。また、本実施の形態では、基板上に駆動回路を形成したドライバー一体型を示すが、必ずしもその必要はなく、基板上ではなく外部に駆動回路を形成することもできる。
また、画素部502はスイッチング用TFT511と、電流制御用TFT512と電流制御用TFT512の配線(ソース電極又はドレイン電極)に電気的に接続された第1の電極(陽極)513とを含む複数の画素により形成される。なお、第1の電極(陽極)513の端部を覆って絶縁物514が形成されている。ここでは、ポジ型の感光性アクリル樹脂を用いることにより形成する。
また、上層に積層形成される膜の被覆性を良好なものとするため、絶縁物514の上端部または下端部に曲率を有する曲面が形成されるようにするのが好ましい。例えば、絶縁物514の材料としてポジ型の感光性アクリル樹脂を用いた場合、絶縁物514の上端部に曲率半径(0.2μm〜3μm)を有する曲面を持たせることが好ましい。また、絶縁物514として、ネガ型の感光性樹脂、或いはポジ型の感光性樹脂のいずれも使用することができ、有機化合物に限らず無機化合物、例えば、酸化シリコン、酸窒化シリコン等、の両者を使用することができる。
第1の電極(陽極)513上には、EL層515及び第2の電極(陰極)516が積層形成されている。EL層515は、少なくとも発光層が設けられており、発光層には、本発明の一態様であるフルオレン化合物が含まれている。また、EL層515には、発光層の他に正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、電荷発生層等を適宜設けることができる。
なお、第1の電極(陽極)513、EL層515及び第2の電極(陰極)516との積層構造で、発光素子517が形成されている。第1の電極(陽極)513、EL層515及び第2の電極(陰極)516の用いる材料としては、実施の形態2に示す材料を用いることができる。また、ここでは図示しないが、第2の電極(陰極)516は外部入力端子であるFPC508に電気的に接続されている。
また、図5(B)に示す断面図では発光素子517を1つのみ図示しているが、画素部502において、複数の発光素子がマトリクス状に配置されているものとする。画素部502には、3種類(R、G、B)の発光が得られる発光素子をそれぞれ選択的に形成し、フルカラー表示可能な発光装置を形成することができる。また、カラーフィルタと組み合わせることによってフルカラー表示可能な発光装置としてもよい。
さらに、シール材505で封止基板506を素子基板501と貼り合わせることにより、素子基板501、封止基板506、およびシール材505で囲まれた空間518に発光素子517が備えられた構造になっている。なお、空間518には、不活性気体(窒素やアルゴン等)が充填される場合の他、シール材505で充填される構成も含むものとする。
なお、シール材505にはエポキシ系樹脂を用いるのが好ましい。また、これらの材料はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。また、封止基板506に用いる材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、ポリエステルまたはアクリル等からなるプラスチック基板を用いることができる。
以上のようにして、アクティブマトリクス型の発光装置を得ることができる。
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成を適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の一態様であるフルオレン化合物を適用して作製された発光装置を用いて完成させた様々な電子機器の一例について、図6、図7を用いて説明する。
発光装置を適用した電子機器として、例えば、テレビジョン装置(テレビ、又はテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。これらの電子機器の具体例を図6に示す。
図6(A)は、テレビジョン装置の一例を示している。テレビジョン装置7100は、筐体7101に表示部7103が組み込まれている。表示部7103により、映像を表示することが可能であり、発光装置を表示部7103に用いることができる。また、ここでは、スタンド7105により筐体7101を支持した構成を示している。
テレビジョン装置7100の操作は、筐体7101が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機7110により行うことができる。リモコン操作機7110が備える操作キー7109により、チャンネルや音量の操作を行うことができ、表示部7103に表示される映像を操作することができる。また、リモコン操作機7110に、当該リモコン操作機7110から出力する情報を表示する表示部7107を設ける構成としてもよい。
なお、テレビジョン装置7100は、受信機やモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを介して有線又は無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)又は双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
図6(B)はコンピュータであり、本体7201、筐体7202、表示部7203、キーボード7204、外部接続ポート7205、ポインティングデバイス7206等を含む。なお、コンピュータは、発光装置をその表示部7203に用いることにより作製される。
図6(C)はデジタルビデオカメラであり、本体7301、表示部(A)7302、接眼部7303、操作スイッチ7304、表示部(B)7305、バッテリー7306などによって構成されている。なお、デジタルビデオカメラは、発光装置をその表示部7302や7305に用いることにより作製される。
図6(D)は、携帯電話機の一例を示している。携帯電話機7400は、筐体7401に組み込まれた表示部7402の他、操作ボタン7403、外部接続ポート7404、スピーカ7405、マイク7406などを備えている。なお、携帯電話機7400は、発光装置を表示部7402に用いることにより作製される。
図6(D)に示す携帯電話機7400は、表示部7402を指などで触れることで、情報を入力することができる。また、電話を掛ける、或いはメールを作成するなどの操作は、表示部7402を指などで触れることにより行うことができる。
表示部7402の画面は主として3つのモードがある。第1は、画像の表示を主とする表示モードであり、第2は、文字等の情報の入力を主とする入力モードである。第3は表示モードと入力モードの2つのモードが混合した表示+入力モードである。
例えば、電話を掛ける、或いはメールを作成する場合は、表示部7402を文字の入力を主とする文字入力モードとし、画面に表示させた文字の入力操作を行えばよい。この場合、表示部7402の画面のほとんどにキーボード又は番号ボタンを表示させることが好ましい。
また、携帯電話機7400内部に、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサを有する検出装置を設けることで、携帯電話機7400の向き(縦か横か)を判断して、表示部7402の画面表示を自動的に切り替えるようにすることができる。
また、画面モードの切り替えは、表示部7402を触れること、又は筐体7401の操作ボタン7403の操作により行われる。また、表示部7402に表示される画像の種類によって切り替えるようにすることもできる。例えば、表示部に表示する画像信号が動画のデータであれば表示モード、テキストデータであれば入力モードに切り替える。
また、入力モードにおいて、表示部7402の光センサで検出される信号を検知し、表示部7402のタッチ操作による入力が一定期間ない場合には、画面のモードを入力モードから表示モードに切り替えるように制御してもよい。
表示部7402は、イメージセンサとして機能させることもできる。例えば、表示部7402に掌や指で触れ、掌紋、指紋等を撮像することで、本人認証を行うことができる。また、表示部に近赤外光を発光するバックライト又は近赤外光を発光するセンシング用光源を用いれば、指静脈、掌静脈などを撮像することもできる。
図7(A)及び図7(B)は2つ折り可能なタブレット型端末である。図7(A)は、開いた状態であり、タブレット型端末は、筐体9630、表示部9631a、表示部9631b、表示モード切り替えスイッチ9034、電源スイッチ9035、省電力モード切り替えスイッチ9036、留め具9033、操作スイッチ9038、を有する。なお、当該タブレット端末は、発光装置を表示部9631a、表示部9631bの一方又は両方に用いることにより作製される。
表示部9631aは、一部をタッチパネルの領域9632aとすることができ、表示された操作キー9637にふれることでデータ入力をすることができる。なお、表示部9631aにおいては、一例として半分の領域が表示のみの機能を有する構成、もう半分の領域がタッチパネルの機能を有する構成を示しているが該構成に限定されない。表示部9631aの全ての領域がタッチパネルの機能を有する構成としても良い。例えば、表示部9631aの全面をキーボードボタン表示させてタッチパネルとし、表示部9631bを表示画面として用いることができる。
また、表示部9631bにおいても表示部9631aと同様に、表示部9631bの一部をタッチパネルの領域9632bとすることができる。また、タッチパネルのキーボード表示切り替えボタン9639が表示されている位置に指やスタイラスなどでふれることで表示部9631bにキーボードボタン表示することができる。
また、タッチパネルの領域9632aとタッチパネルの領域9632bに対して同時にタッチ入力することもできる。
また、表示モード切り替えスイッチ9034は、縦表示または横表示などの表示の向きを切り替え、白黒表示やカラー表示の切り替えなどを選択できる。省電力モード切り替えスイッチ9036は、タブレット型端末に内蔵している光センサで検出される使用時の外光の光量に応じて表示の輝度を最適なものとすることができる。タブレット型端末は光センサだけでなく、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサなどの他の検出装置を内蔵させてもよい。
また、図7(A)では表示部9631bと表示部9631aの表示面積が同じ例を示しているが特に限定されず、一方のサイズともう一方のサイズが異なっていてもよく、表示の品質も異なっていてもよい。例えば一方が他方よりも高精細な表示を行える表示パネルとしてもよい。
図7(B)は、閉じた状態であり、タブレット型端末は、筐体9630、太陽電池9633、充放電制御回路9634、バッテリー9635、DCDCコンバータ9636を有する。なお、図7(B)では充放電制御回路9634の一例としてバッテリー9635、DCDCコンバータ9636を有する構成について示している。
なお、タブレット型端末は2つ折り可能なため、未使用時に筐体9630を閉じた状態にすることができる。従って、表示部9631a、表示部9631bを保護できるため、耐久性に優れ、長期使用の観点からも信頼性の優れたタブレット型端末を提供できる。
また、この他にも図7(A)及び図7(B)に示したタブレット型端末は、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示する機能、カレンダー、日付又は時刻などを表示部に表示する機能、表示部に表示した情報をタッチ入力操作又は編集するタッチ入力機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、等を有することができる。
タブレット型端末の表面に装着された太陽電池9633によって、電力をタッチパネル、表示部、または映像信号処理部等に供給することができる。なお、太陽電池9633は、筐体9630の片面または両面に設けることができ、バッテリー9635の充電を効率的に行う構成とすることができるため好適である。なおバッテリー9635としては、リチウムイオン電池を用いると、小型化を図れる等の利点がある。
また、図7(B)に示す充放電制御回路9634の構成、及び動作について図7(C)にブロック図を示し説明する。図7(C)には、太陽電池9633、バッテリー9635、DCDCコンバータ9636、コンバータ9638、スイッチSW1乃至SW3、表示部9631について示しており、バッテリー9635、DCDCコンバータ9636、コンバータ9638、スイッチSW1乃至SW3が、図7(B)に示す充放電制御回路9634に対応する箇所となる。
まず外光により太陽電池9633により発電がされる場合の動作の例について説明する。太陽電池で発電した電力は、バッテリー9635を充電するための電圧となるようDCDCコンバータ9636で昇圧または降圧がなされる。そして、表示部9631の動作に太陽電池9633からの電力が用いられる際にはスイッチSW1をオンにし、コンバータ9638で表示部9631に必要な電圧に昇圧または降圧をすることとなる。また、表示部9631での表示を行わない際には、SW1をオフにし、SW2をオンにしてバッテリー9635の充電を行う構成とすればよい。
なお太陽電池9633については、発電手段の一例として示したが、特に限定されず、圧電素子(ピエゾ素子)や熱電変換素子(ペルティエ素子)などの他の発電手段によるバッテリー9635の充電を行う構成であってもよい。例えば、無線(非接触)で電力を送受信して充電する無接点電力伝送モジュールや、また他の充電手段を組み合わせて行う構成としてもよい。
また、上記実施の形態で説明した表示部を具備していれば、図7に示した電子機器に特に限定されないことは言うまでもない。
以上のようにして、本発明の一態様である発光装置を適用して電子機器を得ることができる。発光装置の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態8)
本実施の形態では、本発明の一態様であるフルオレン化合物を含む発光装置を適用した照明装置の一例について、図8を用いて説明する。
図8は、発光装置を室内の照明装置8001として用いた例である。なお、発光装置は大面積化も可能であるため、大面積の照明装置を形成することもできる。その他、曲面を有する筐体を用いることで、発光領域が曲面を有する照明装置8002を形成することもできる。本実施の形態で示す発光装置に含まれる発光素子は薄膜状であり、筐体のデザインの自由度が高い。したがって、様々な意匠を凝らした照明装置を形成することができる。さらに、室内の壁面に大型の照明装置8003を備えても良い。
また、発光装置をテーブルの表面に用いることによりテーブルとしての機能を備えた照明装置8004とすることができる。なお、その他の家具の一部に発光装置を用いることにより、家具としての機能を備えた照明装置とすることができる。
以上のように、発光装置を適用した様々な照明装置が得られる。なお、これらの照明装置は本発明の一態様に含まれるものとする。
また、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成と適宜組み合わせて用いることができる。
≪合成例1≫
本実施例では、実施の形態1の構造式(100)で表される本発明の一態様であるフルオレン化合物、4,6−ビス[3−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]ピリミジン(略称:4,6mFLP2Pm)の合成方法について説明する。なお、4,6mFLP2Pm(略称)の構造を以下に示す。
<4,6−ビス[3−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]ピリミジン(略称:4,6mFLP2Pm)の合成>
まず、100mlナスフラスコに4,6−ジクロロピリミジン0.49g(3.3mmol)、3−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニルボロン酸2.8g(7.90mmol)、炭酸ナトリウム1.7g(16mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロリド270mg(400μmol)、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)ピリミジノン(DMPU)30ml、水10mlを入れ減圧下で撹拌することにより脱気した。アルゴン気流下でこの反応容器にマイクロ波(2.45GHz、100W)を照射することにより加熱しながら100℃で3時間撹拌した。
所定時間加熱後、この混合物に水を加え、吸引濾過をし、得られたろ物を乾燥させた。得られた固体にトルエンを加え加熱し、これをセライトにより濾過した。得られた濾液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエンとクロロホルムの混合液で精製した後、トルエンと酢酸エチルの混合液で精製を行った)により精製し白色固体を得た。得られた白色固体にメタノールを加え、超音波を照射して懸濁させ、懸濁液を吸引濾過した。さらに得られたろ物を乾燥させ、目的物の白色固体1.3gを収率53%で得た。合成スキームを下記(a−1)に示す。
なお、上記合成方法で得られた白色固体の核磁気共鳴分光法(1H−NMR)による分析結果を下記に示す。この結果から、本合成例1において、上述の構造式(100)で表される本発明の一態様である4,6mFLP2Pm(略称)が得られたことがわかった。
1H−NMR.δ(CDCl3 300MHz):δ=7.19−7.43(m,26H), 7.66(d,J=0.9Hz,1H), 7.77−7.92(m,8H), 9.15(d,J=0.9Hz,1H).
上記化合物の分子量を、TOF−MS検出器(Waters製、Waters Micromass LCT Premier)により測定した。アセトニトリルと、0.1%蟻酸水の混合液(混合比は80/20 vol/vol)を溶媒として用いた。これにより、分子量713(モードはES+)をメインとするピークを検出し、本発明の一態様である4,6mFLP2Pm(略称)が得られたことを確認した。
また、本実施例で得られた4,6mFLP2Pm(略称)を液体クロマトグラフ質量分析(Liquid Chromatography Mass Spectrometry,略称:LC/MS分析)によって分析した。
LC/MS分析は、ウォーターズ社製Acquity UPLCおよびウォーターズ社製Xevo G2 Tof MSを用いて行った。
MS分析では、エレクトロスプレーイオン化法(ElectroSpray Ionization、略称:ESI)によるイオン化を行った。この時のキャピラリー電圧は3.0kV、サンプルコーン電圧は30Vとし、検出はポジティブモードで行った。さらに、以上の条件でイオン化されたm/z(質量電荷数の比)=713の成分を衝突室(コリジョンセル)内でアルゴンガスと衝突させてプロダクトイオンに解離させた。アルゴンを衝突させる際のエネルギー(コリジョンエネルギー)は50eVとした。なお、測定する質量範囲はm/z=30〜1300とした。
また、解離させたプロダクトイオンを飛行時間(TOF)型MSで検出した結果を図20に示す。
図20の結果から、構造式(100)で表される本発明の一態様である4,6mFLP2Pm(略称)は、主としてm/z=713付近、m/z=635付近、m/z=241付近にプロダクトイオンが検出されることがわかった。なお、図20に示す結果は、4,6mFLP2Pm(略称)に由来する特徴的な結果を示すものであることから、混合物中に含まれる4,6mFLP2Pm(略称)を同定する上での重要なデータであるといえる。
ここで、付近とは、LC/MS分析において、水素イオンの存在の有無や同位体の存在によりプロダクトイオンやプレカーサーイオンの数値の変化を表しており、この数値の変化も含めて、同程度の骨格に含まれることを許容範囲とする。
例えば、m/z=635付近に検出される4,6mFLP2Pm(略称)のプロダクトイオンのピークは、4,6mFLP2Pm(略称)のフルオレンの9位から、フェニルが解離した部分骨格(C48H31N2 2・+)に由来するピークと示唆される。また、m/z=241付近に検出される4,6mFLP2Pm(略称)のプロダクトイオンのピークは、9−フェニルフルオレン(C19H13 ・+)に由来するピークと示唆される。
また、本発明の一態様であるフルオレン化合物4,6mFLP2Pm(略称)は、青紫色の発光を示し(薄膜での発光ピーク:405nm)た。また薄膜を10Kまで冷却し、励起光を当てて得られた発光スペクトルを時間分解し燐光ピークを求めたところ446nmだった。これらのことから、可視域の発光材料のホスト材料として用いることができることがわかった。つまり高いT1準位、S1準位を有することが分かった。なお、測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。薄膜は石英基板に蒸着してサンプルを作製した。
また、本発明の一態様であるフルオレン化合物4,6mFLP2Pm(略称)の薄膜は、薄膜にした場合でも結晶化しにくく、良好な膜質が得られていることが分かった。これは、フルオレンの9位に結合しているフェニル基、フェニレン基がフルオレン骨格に対して角度をもって結合していることや、ピリミジン骨格とフルオレン骨格の間のフェニレンのメタ位で結合しており、さらにピリミジン骨格のメタ位で結合しているため、非常に立体的な構造であるためであると考えられる。また、得られた薄膜は、可視域にほぼ吸収がみられず(吸収端:330nm付近)、発光素子内で生じた光を再吸収しにくく、発光素子に好適であることがわかった。なお、測定には蛍光光度計((株)浜松ホトニクス製 FS920)を用いた。薄膜は石英基板に蒸着してサンプルを作製した。
本発明の一態様であるフルオレン化合物4,6mFLP2Pm(略称)の、ガラス転移温度について、示差走査熱量分析装置(DSC、パーキンエルマー社製、Pyris 1 DSC)を用いて調べた。測定結果から、ガラス転移温度は135℃であった。このように、高いガラス転移温度を示し、良好な耐熱性を有することがわかった。
本実施例では、本発明の一態様であるフルオレン化合物4,6mFLP2Pm(略称)(構造式(100))を発光層に用いた発光素子1について図9を用いて説明する。なお、本実施例で用いる材料の化学式を以下に示す。
≪発光素子1の作製≫
まず、ガラス製の基板1100上に酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)をスパッタリング法により成膜し、陽極として機能する第1の電極1101を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
次に、基板1100上に発光素子を形成するための前処理として、基板表面を水で洗浄し、200℃で1時間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。
その後、10−4Pa程度まで内部が減圧された真空蒸着装置に基板を導入し、真空蒸着装置内の加熱室において、170℃で30分間の真空焼成を行った後、基板1100を30分程度放冷した。
次に、第1の電極1101が形成された面が下方となるように、基板1100を真空蒸着装置内に設けられたホルダーに固定した。本実施例では、真空蒸着法により、EL層1102を構成する正孔注入層1111、正孔輸送層1112、発光層1113、電子輸送層1114、電子注入層1115が順次形成される場合について説明する。
真空装置内を10−4Paに減圧した後、1,3,5−トリ(ジベンゾチオフェン−4−イル)ベンゼン(略称:DBT3P−II)と酸化モリブデン(VI)とを、DBT3P−II(略称):酸化モリブデン=4:2(質量比)となるように共蒸着することにより、第1の電極1101上に正孔注入層1111を形成した。膜厚は40nmとした。なお、共蒸着とは、異なる複数の物質をそれぞれ異なる蒸発源から同時に蒸発させる蒸着法である。
次に、4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)を20nm蒸着することにより、正孔輸送層1112を形成した。
次に、正孔輸送層1112上に発光層1113を形成した。まず、4,6−ビス[3−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]ピリミジン(略称:4,6mFLP2Pm)、トリス(2−フェニルピリジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(ppy)3])を、4,6mFLP2Pm(略称):[Ir(ppy)3](略称)=1:0.08(質量比)となるように共蒸着して、10nmの膜厚で成膜した後、4,6mFLP2Pm(略称):[Ir(ppy)3](略称)=1:0.04(質量比)となるように共蒸着して、20nmの膜厚で成膜した。
次に、発光層1113上に4,6mFLP2Pm(略称)を10nm、バソフェナントロリン(略称:Bphen)を20nm、順次蒸着することにより、積層構造を有する電子輸送層1114を形成した。さらに電子輸送層1114上にフッ化リチウムを1nm蒸着することにより、電子注入層1115を形成した。
最後に、電子注入層1115上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように蒸着し、陰極となる第2の電極1103を形成し、発光素子を得た。なお、上述した蒸着過程において、蒸着は全て抵抗加熱法を用いた。
以上により得られた発光素子1の素子構造を表1に示す。
また、作製した発光素子1は、大気に曝されないように窒素雰囲気のグローブボックス内において封止した(シール材を素子の周囲に塗布し、封止時に80℃にて1時間熱処理)。
≪発光素子1の動作特性≫
作製した発光素子1の動作特性について測定した。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
まず、発光素子1の電流密度−輝度特性を図10に示す。なお、図10において、縦軸は、輝度(cd/m2)、横軸は電流密度(mA/cm2)を示す。また、発光素子1の電圧−輝度特性を図11に示す。なお、図11において、縦軸は、輝度(cd/m2)、横軸は、電圧(V)を示す。また、発光素子1の輝度−電流効率特性を図12に示す。なお、図12において、縦軸は、電流効率(cd/A)、横軸は、輝度(cd/m2)を示す。さらに、発光素子1の輝度−色度特性を図13に示す。なお、図13において、縦軸は、色度座標、横軸は、輝度(cd/m2)を示す。
図12より、本発明の一態様であるフルオレン化合物4,6mFLP2Pm(略称)を発光層の一部に用いた発光素子1は、高効率な素子であることがわかった。また、1000cd/m2付近における発光素子の主な初期特性値を以下の表2に示す。
上記結果から、本実施例で作製した発光素子1は、低輝度〜高輝度で、色変化がほとんど無く、良好なキャリアバランスを示すことが分かった。色純度に関しては、純度の良い緑色発光を示すことが分かる。また、良好な電流効率を示していることが分かった。また低駆動電圧であることがわかった。
また、発光素子1に0.1mA/cm2の電流密度で電流を流した際の発光スペクトルを、図14に示す。図14に示す通り、発光素子1の発光スペクトルは520nm付近にピークを有しており、発光層に含まれる有機金属錯体[Ir(ppy)3](略称)の発光に由来していることが示唆される。
また、発光素子1についての信頼性試験を行った。信頼性試験の結果を図15に示す。図15において、縦軸は初期輝度を100%とした時の規格化輝度(%)を示し、横軸は素子の駆動時間(h)を示す。なお、信頼性試験は、初期輝度を5000cd/m2に設定し、電流密度一定の条件で発光素子1を駆動させた。その結果、発光素子1の輝度半減寿命は、570時間であった。
したがって、上記の信頼性試験により、発光素子1は、高い信頼性を示すことがわかった。また、本発明のフルオレン化合物を発光素子に用いることにより、長寿命の発光素子が得られることがわかった。
以上、本発明の一態様であるフルオレン化合物は、本実施例の発光素子における緑色の燐光発光を示すゲスト材料に対するホスト材料として良好に用いることができ、また、電子輸送材料としても良好に用いることができることがわかった。
本実施例では、本発明の一態様であるフルオレン化合物4,6mFLP2Pm(略称)(構造式(100))を発光層に用いた発光素子2について説明する。なお、本実施例における発光素子2の説明には、実施例2で発光素子1の説明に用いた図9を用いることとする。なお、本実施例で用いる材料の化学式を以下に示す。
≪発光素子2の作製≫
まず、ガラス製の基板1100上に酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)をスパッタリング法により成膜し、陽極として機能する第1の電極1101を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
次に、基板1100上に発光素子を形成するための前処理として、基板表面を水で洗浄し、200℃で1時間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。
その後、10−4Pa程度まで内部が減圧された真空蒸着装置に基板を導入し、真空蒸着装置内の加熱室において、170℃で30分間の真空焼成を行った後、基板1100を30分程度放冷した。
次に、第1の電極1101が形成された面が下方となるように、基板1100を真空蒸着装置内に設けられたホルダーに固定した。本実施例では、真空蒸着法により、EL層1102を構成する正孔注入層1111、正孔輸送層1112、発光層1113、電子輸送層1114、電子注入層1115が順次形成される場合について説明する。
真空装置内を10−4Paに減圧した後、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)と酸化モリブデン(VI)とを、CBP(略称):酸化モリブデン(VI)=4:2(質量比)となるように共蒸着することにより、第1の電極1101上に正孔注入層1111を形成した。膜厚は60nmとした。なお、共蒸着とは、異なる複数の物質をそれぞれ異なる蒸発源から同時に蒸発させる蒸着法である。
次に、9−フェニル−9H−3−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)カルバゾール(略称:PCCP)を20nm蒸着することにより、正孔輸送層1112を形成した。
次に、正孔輸送層1112上に発光層1113を形成した。まず、4,6−ビス[3−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]ピリミジン(略称:4,6mFLP2Pm)、PCCP(略称)、トリス[3−メチル−1−(2−メチルフェニル)−5−フェニル−1H−1,2,4−トリアゾラト]イリジウム(III)(略称:[Ir(Mptz1−mp)3])を、4,6mFLP2Pm(略称):PCCP(略称):[Ir(Mptz1−mp)3](略称)=1:0.3:0.06(質量比)となるように共蒸着した。なお、膜厚は、30nmとした。次に、4,6mFLP2Pm(略称)、[Ir(Mptz1−mp)3](略称)を、4,6mFLP2Pm(略称):[Ir(Mptz1−mp)3](略称)=1:0.06(質量比)となるように共蒸着し、膜厚を10nmとした。以上により、積層構造を有する発光層1113を形成した。
次に、発光層1113上に2−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]−1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール(略称:mDBTBIm−II)、[Ir(Mptz1−mp)3](略称)を、mDBTBIm−II(略称):[Ir(Mptz1−mp)3](略称)=1:0.06(質量比)となるように共蒸着し、膜厚を10nmとした後、バソフェナントロリン(略称:Bphen)を10nm蒸着することにより、積層構造を有する電子輸送層1114を形成した。さらに電子輸送層1114上にフッ化リチウムを1nm蒸着することにより、電子注入層1115を形成した。
最後に、電子注入層1115上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように蒸着し、陰極となる第2の電極1103形成し、発光素子2を得た。なお、上述した蒸着過程において、蒸着は全て抵抗加熱法を用いた。
以上により得られた発光素子2の素子構造を表3に示す。
また、作製した発光素子2は、大気に曝されないように窒素雰囲気のグローブボックス内において封止した(シール材を素子の周囲に塗布し、封止時に80℃にて1時間熱処理)。
≪発光素子2の動作特性≫
作製した発光素子2の動作特性について測定した。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
まず、発光素子2の電流密度−輝度特性を図16に示す。なお、図16において、縦軸は、輝度(cd/m2)、横軸は電流密度(mA/cm2)を示す。また、発光素子2の輝度−電流効率特性を図17に示す。なお、図17において、縦軸は、電流効率(cd/A)、横軸は、輝度(cd/m2)を示す。さらに、発光素子2の輝度−色度特性を図18に示す。なお、図18において、縦軸は、色度、横軸は、輝度(cd/m2)を示す。
図17より、本発明の一態様であるフルオレン化合物4,6mFLP2Pm(略称)を発光層の一部に用いた発光素子2は、高効率な素子であることがわかった。また、1000cd/m2付近における発光素子の主な初期特性値を以下の表4に示す。
上記結果から、本実施例で作製した発光素子2は、低輝度〜高輝度で、色変化がほとんど無く、良好なキャリアバランスを示すことが分かった。色純度に関しては、純度の良い青色発光を示すことが分かる。また、良好な電流効率を示していることが分かった。
また、発光素子2に0.1mA/cm2の電流密度で電流を流した際の発光スペクトルを、図19に示す。図19に示す通り、発光素子2の発光スペクトルは485nm付近にピークを有しており、有機金属錯体[Ir(Mptz1−mp)3](略称)の発光に由来していることが示唆される。
以上、本発明の一態様であるフルオレン化合物は、本実施例の発光素子における青色の燐光発光を示すゲスト材料に対するホスト材料として良好に用いることができることがわかった。
≪参考合成例1≫
本合成例1では、実施例2において、発光素子2に用いた有機金属錯体、トリス[3−メチル−1−(2−メチルフェニル)−5−フェニル−1H−1,2,4−トリアゾラト]イリジウム(III)(略称:[Ir(Mptz1−mp)3])の合成例を具体的に示す。なお、[Ir(Mptz1−mp)3](略称)の構造を以下に示す。
<ステップ1;N−(1−エトキシエチリデン)ベンズアミドの合成>
まず、アセトイミド酸エチル塩酸塩15.5g、トルエン150mL、トリエチルアミン(Et3N)31.9gを500mL三ツ口フラスコに入れ、室温で10分間撹拌した。この混合物にベンゾイルクロリド17.7gとトルエン30mLの混合溶液を50mL滴下ロートより滴下し、室温で24時間撹拌した。所定時間経過後、反応混合物を吸引ろ過し、固体をトルエンで洗浄した。得られたろ液を、濃縮してN−(1−エトキシエチリデン)ベンズアミドを得た(赤色油状物、収率82%)。ステップ1の合成スキームを下記(b−1)に示す。
<ステップ2;3−メチル−1−(2−メチルフェニル)−5−フェニル−1H−1,2,4−トリアゾール(略称:HMptz1−mp)の合成>
次に、o−トリルヒドラジン塩酸塩8.68g、四塩化炭素100mL、トリエチルアミン(Et3N)35mLを300mLナスフラスコに入れ、室温で1時間撹拌した。所定時間経過後、この混合物に上記ステップ1で得られたN−(1−エトキシエチリデン)ベンズアミド8.72gを加えて室温で24時間撹拌した。所定時間経過後、反応混合物に水を加え、水層をクロロホルムで抽出し、有機層を得た。この有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥させた。得られた混合物を自然濾過し、ろ液を濃縮して油状物を得た。得られた油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。展開溶媒にはジクロロメタンを用いた。得られたフラクションを濃縮して、3−メチル−1−(2−メチルフェニル)−5−フェニル−1H−1,2,4−トリアゾール(略称:HMptz1−mp)を得た(橙色油状物、収率84%)。ステップ2の合成スキームを下記(b−2)に示す。
<ステップ3;トリス[3−メチル−1−(2−メチルフェニル)−5−フェニル−1H−1,2,4−トリアゾラト]イリジウム(III)(略称:[Ir(Mptz1−mp)3])の合成>
次に、上記ステップ2で得られた配位子HMptz1−mp(略称)2.71g、トリス(アセチルアセトナト)イリジウム(III)1.06gを、三方コックを付けた反応容器に入れた。この反応容器をアルゴン置換し、250℃にて48時間加熱し、反応させた。この反応混合物をジクロロメタンに溶解し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。展開溶媒には、まず、ジクロロメタン用い、次いでジクロロメタン:酢酸エチル=10:1(v/v)の混合溶媒を用いた。得られたフラクションを濃縮して固体を得た。この固体を酢酸エチルで洗浄し、次いで、ジクロロメタンと酢酸エチルの混合溶媒にて再結晶し、有機金属錯体[Ir(Mptz1−mp)3](略称)を得た(黄色粉末、収率35%)。ステップ3の合成スキームを下記(b−3)に示す。
上記ステップ3で得られた黄色粉末の核磁気共鳴分光法(1H NMR)による分析結果を下記に示す。この結果から、本合成例において、有機金属錯体[Ir(Mptz1−mp)3](略称)が得られたことがわかった。
得られた物質の1H NMRデータを以下に示す。
1H NMR.δ(CDCl3):1.94−2.21(m,18H),6.47−6.76(m,12H),7.29−7.52(m,12H).
≪合成例2≫
本実施例では、実施の形態1の構造式(108)で表される本発明の一態様であるフルオレン化合物、3,5−ビス[3−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]ピリジン(略称:3,5mFLP2Py)の合成方法について説明する。なお、3,5mFLP2Py(略称)の構造を以下に示す。
<3,5−ビス[3−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]ピリジン(略称:3,5mFLP2Py)の合成>
まず、200ml三口フラスコに3,5−ジブロモピリジン0.98g(4.1mmol)、3−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニルボロン酸3.3g(9.1mmol)、トリス(2−メチルフェニル)ホスフィン0.11g(0.36mmol)を入れ窒素置換した。トルエン50ml、エタノール5.0ml、2M炭酸カリウム水溶液9.1ml(炭酸カリウム2.5g)を加え、減圧下で撹拌することにより脱気した。酢酸パラジウム41mg(0.18mmol)を加え窒素気流下85℃で7.5時間撹拌した。トリス(2−メチルフェニル)ホスフィン0.11g(0.36mmol)、酢酸パラジウム41mg(0.18mmol)を加え窒素気流下85℃で13.5時間撹拌した。
所定時間加熱後、トルエンを加え加熱し、これをセライトにより濾過した。得られた濾液に水を加え、これをトルエンにより抽出し、得られた有機層を飽和食塩水により洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて水分を吸着させた。この混合物を自然濾過し、濾液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン、またはトルエンと酢酸エチルの混合液を用いる)により精製し白色固体を得た。得られた白色固体にヘキサンを加え、超音波を照射して懸濁させ、懸濁液を吸引濾過した。さらに得られた濾物を乾燥させ、目的物の白色固体2.5gを収率85%で得た。合成スキームを下記(b−1)に示す。
なお、上記合成方法で得られた白色固体の核磁気共鳴分光法(1H−NMR)による分析結果を下記に示す。この結果から、本合成例2において、上述の構造式(108)で表される本発明の一態様である3,5mFLP2Py(略称)が得られたことがわかった。
1H−NMR.δ(CDCl3 300MHz):δ=7.18−7.44(m,30H), 7.74(t,J=1.8Hz,1H), 7.78(d,J=7.8Hz,4H), 8.58(d,J=2.4Hz,2H).
上記化合物の分子量を、TOF−MS検出器(Waters製、Waters Micromass LCT Premier)により測定した。アセトニトリルと、0.1%蟻酸水の混合液(混合比は80/20 vol/vol)を溶媒として用いた。これにより、分子量712(モードはES+)をメインとするピークを検出し、本発明の一態様である3,5mFLP2Py(略称)が得られたことを確認した。
また、本実施例で得られた3,5mFLP2Py(略称)を液体クロマトグラフ質量分析(Liquid Chromatography Mass Spectrometry,略称:LC/MS分析)によって分析した。
LC/MS分析は、ウォーターズ社製Acquity UPLCおよびウォーターズ社製Xevo G2 Tof MSを用いて行った。
MS分析では、エレクトロスプレーイオン化法(ElectroSpray Ionization、略称:ESI)によるイオン化を行った。この時のキャピラリー電圧は3.0kV、サンプルコーン電圧は30Vとし、検出はポジティブモードで行った。さらに、以上の条件でイオン化されたm/z(質量電荷数の比)=712の成分を衝突室(コリジョンセル)内でアルゴンガスと衝突させてプロダクトイオンに解離させた。アルゴンを衝突させる際のエネルギー(コリジョンエネルギー)は70eVとした。なお、測定する質量範囲はm/z=30〜1300とした。
また、解離させたプロダクトイオンを飛行時間(TOF)型MSで検出した結果を図21に示す。
図21の結果から、構造式(100)で表される本発明の一態様である3,5mFLP2Py(略称)は、主としてm/z=712付近、m/z=635付近、m/z=558付近、m/z=470付近、m/z=394付近、m/z=241付近にプロダクトイオンが検出されることがわかった。なお、図21に示す結果は、3,5mFLP2Py(略称)に由来する特徴的な結果を示すものであることから、混合物中に含まれる3,5mFLP2Py(略称)を同定する上での重要なデータであるといえる。
ここで、付近とは、LC/MS分析において、水素イオンの存在の有無や同位体の存在によりプロダクトイオンやプレカーサーイオンの数値の変化を表しており、この数値の変化も含めて、同程度の骨格に含まれることを許容範囲とする。
例えば、m/z=635付近に検出される3,5mFLP2Py(略称)のプロダクトイオンのピークは、3,5mFLP2Py(略称)のフルオレンの9位から、フェニルが解離した部分骨格(C49H33N・+)に由来するピークと示唆される。また、m/z=558付近に検出される3,5mFLP2Py(略称)のプロダクトイオンのピークは、3,5mFLP2Py(略称)のそれぞれのフルオレンの9位から、フェニルが解離した部分骨格(C43H28N2・+)に由来するピークと示唆される。また、m/z=470付近に検出される3,5mFLP2Py(略称)のプロダクトイオンのピークは、3,5mFLP2Py(略称)から、フェニルフルオレンが解離した部分骨格(C36H24N・+)に由来するピークと示唆される。また、m/z=394付近に検出される3,5mFLP2Py(略称)のプロダクトイオンのピークは、ジフェニルフルオレンにピリジンが結合している部分骨格(C30H20N・+)に由来するピークと示唆される。また、m/z=241付近に検出される3,5mFLP2Py(略称)のプロダクトイオンのピークは、9−フェニルフルオレン(C19H13 ・+)に由来するピークと示唆される。
また、本発明の一態様であるフルオレン化合物3,5mFLP2Py(略称)は、青紫色の発光を示し(薄膜での発光ピーク:346nm)た。また薄膜を10Kまで冷却し、励起光を当てて得られた発光スペクトルを時間分解し燐光ピークを求めたところ451nmだった。これらのことから、可視域の発光材料のホスト材料として用いることができることがわかった。つまり高いT1準位、S1準位を有することが分かった。なお、測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。薄膜は石英基板に蒸着してサンプルを作製した。
また、本発明の一態様であるフルオレン化合物3,5mFLP2Py(略称)の薄膜は、薄膜にした場合でも結晶化しにくく、良好な膜質が得られていることが分かった。これは、フルオレンの9位に結合しているフェニル基、フェニレン基がフルオレン骨格に対して角度をもって結合していることや、ピリジン骨格とフルオレン骨格の間のフェニレンのメタ位で結合しており、さらにピリジン骨格のメタ位で結合しているため、非常に立体的な構造であるためであると考えられる。また、得られた薄膜は、可視域にほぼ吸収がみられず(吸収端:335nm付近)、発光素子内で生じた光を再吸収しにくく、発光素子に好適であることがわかった。なお、測定には蛍光光度計((株)浜松ホトニクス製 FS920)を用いた。薄膜は石英基板に蒸着してサンプルを作製した。
本発明の一態様であるフルオレン化合物3,5mFLP2Py(略称)の、ガラス転移温度について、示差走査熱量分析装置(DSC、パーキンエルマー社製、Pyris 1 DSC)を用いて調べた。測定結果から、ガラス転移温度は135℃であった。このように、高いガラス転移温度を示し、良好な耐熱性を有することがわかった。
本実施例では、本発明の一態様であるフルオレン化合物3,5mFLP2Py(略称)(構造式(108))を発光層に用いた発光素子3および発光素子4について説明する。なお、本実施例における発光素子3および発光素子4の説明には、実施例2で発光素子1の説明に用いた図9を用いることとする。なお、本実施例で用いる材料の化学式を以下に示す。
≪発光素子3の作製≫
まず、ガラス製の基板1100上に酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)をスパッタリング法により成膜し、陽極として機能する第1の電極1101を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
次に、基板1100上に発光素子を形成するための前処理として、基板表面を水で洗浄し、200℃で1時間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。
その後、10−4Pa程度まで内部が減圧された真空蒸着装置に基板を導入し、真空蒸着装置内の加熱室において、170℃で30分間の真空焼成を行った後、基板1100を30分程度放冷した。
次に、第1の電極1101が形成された面が下方となるように、基板1100を真空蒸着装置内に設けられたホルダーに固定した。本実施例では、真空蒸着法により、EL層1102を構成する正孔注入層1111、正孔輸送層1112、発光層1113、電子輸送層1114、電子注入層1115が順次形成される場合について説明する。
真空装置内を10−4Paに減圧した後、1,3,5−トリ(ジベンゾチオフェン−4−イル)−ベンゼン(略称:DBT3P−II)と酸化モリブデン(VI)とを、1,3,5−トリ(ジベンゾチオフェン−4−イル)−ベンゼン(略称:DBT3P−II):酸化モリブデン=4:2(質量比)となるように共蒸着することにより、第1の電極1101上に正孔注入層1111を形成した。膜厚は60nmとした。なお、共蒸着とは、異なる複数の物質をそれぞれ異なる蒸発源から同時に蒸発させる蒸着法である。
次に、9−フェニル−9H−3−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)カルバゾール(略称:PCCP)を20nm蒸着することにより、正孔輸送層1112を形成した。
次に、正孔輸送層1112上に発光層1113を形成した。まず、3,5−ビス−[3−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]ピリジン(略称:3,5mFLP2Py)、PCCP(略称)、トリス{2−[5−(2−メチルフェニル)−4−(2,6−ジメチルフェニル)−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル−κN2]フェニル−κC}イリジウム(III)(略称:[Ir(mpptz−dmp)3])を、3,5mFLP2Py(略称):PCCP(略称):[Ir(mpptz−dmp)3](略称)=1:0.3:0.06(質量比)となるように共蒸着した。なお、膜厚は、30nmとした。次に、3,5mFLP2Py(略称)、[Ir(mpptz−dmp)3](略称)を、3,5mFLP2Py(略称):[Ir(mpptz−dmp)3](略称)=1:0.06(質量比)となるように共蒸着し、膜厚を10nmとした。以上により、積層構造を有する発光層1113を形成した。
次に、発光層1113上に3,5mFLP2Py(略称)を蒸着し、膜厚を10nmとした後、バソフェナントロリン(略称:Bphen)を15nm蒸着することにより、積層構造を有する電子輸送層1114を形成した。さらに電子輸送層1114上にフッ化リチウムを1nm蒸着することにより、電子注入層1115を形成した。
最後に、電子注入層1115上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように蒸着し、陰極となる第2の電極1103を形成し、発光素子3および4を得た。なお、上述した蒸着過程において、蒸着は全て抵抗加熱法を用いた。
≪発光素子4の作製≫
発光素子4は、発光素子3の電子輸送層1114が異なる構成の素子である。発光素子4は、発光層1113上に3,5−ビス[3−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル)]ピリジン(略称:35DCzPPy)を蒸着し、膜厚を10nmとした後、バソフェナントロリン(略称:Bphen)を15nm蒸着することにより、積層構造を有する電子輸送層1114を形成した。
以上により得られた発光素子3および発光素子4の素子構造を表5に示す。
また、作製した発光素子3および発光素子4は、大気に曝されないように窒素雰囲気のグローブボックス内において封止した(シール材を素子の周囲に塗布し、封止時に80℃にて1時間熱処理)。
≪発光素子3および発光素子4の動作特性≫
作製した発光素子3および発光素子4の動作特性について測定した。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
まず、発光素子3および発光素子4の1000cd/m2付近における発光素子の主な初期特性値を以下の表6に示す。表6より、本発明の一態様であるフルオレン化合物3,5mFLP2Py(略称)を発光層に用いた発光素子3および発光素子4は、高効率な素子であることがわかった。
また、発光素子3より、本発明の一態様であるフルオレン化合物3,5mFLP2Py(略称)を電子輸送層として用いることができることが分かった。
本実施例で作製した発光素子3および発光素子4は、低輝度〜高輝度(1〜10000cd/m2)で、色変化がほとんど無く、良好なキャリアバランスを示すことが分かった。色純度に関しては、純度の良い青色発光を示すことが分かる。また、良好な電流効率を示していることが分かった。
また発光素子3および発光素子4の発光スペクトルは472nm付近にピークを有しており、有機金属錯体[Ir(mpptz−dmp)3](略称)の発光に由来していることが示唆される。
以上、本発明の一態様であるフルオレン化合物は、本実施例の発光素子における青色の燐光発光を示すゲスト材料に対するホスト材料として良好に用いることができることがわかった。
また、発光素子3および発光素子4の約1000cd/m2における信頼性を測定した。発光素子3は170時間後68%の輝度を保っていた。発光素子4は150時間後78%の輝度を保っていた。以上のことから、本発明の一態様であるフルオレン化合物3,5mFLP2Py(略称)を発光層に用いた発光素子3および発光素子4は、長寿命な素子であることがわかった。
≪参考合成例2≫
本合成例2では、実施例5において、発光素子3及び発光素子4に用いた有機金属錯体、トリス{2−[5−(2−メチルフェニル)−4−(2,6−ジメチルフェニル)−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル−κN2]フェニル−κC}イリジウム(III)(略称:[Ir(mpptz−dmp)3])の合成方法について説明する。なお、[Ir(mpptz−dmp)3](略称)の構造を以下に示す。
<ステップ1;3−(2−メチルフェニル)−4−(2,6−ジメチルフェニル)−5−フェニル−4H−1,2,4−トリアゾール(略称;Hmpptz−dmp)の合成>
まず、N−[1−クロロ−1−(2−メチルフェニル)メチリデン]−N’−[1−クロロ−(1−フェニル)メチリデン]ヒドラジン12.6g(43.3mmol)、2,6−ジメチルアニリン15.7g(134.5mmol)、N,N−ジメチルアニリン100mlを500mlナスフラスコに入れ、120℃で20時間加熱攪拌した。所定時間反応後、この反応溶液を1N塩酸200mlにゆっくり加えた。この溶液にジクロロメタンを加え有機層に目的物を抽出した。得られた有機層を水、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。自然ろ過により硫酸マグネシウムを除去し、得られたろ液を濃縮し、黒色の液体を得た。この液体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。展開溶媒は酢酸エチル:ヘキサン=1:5とした。得られたフラクションを濃縮し、白色固体を得た。この固体を酢酸エチルにより再結晶を行い、Hmpptz−dmpの白色固体を4.5g、収率31%で得た。ステップ1の合成スキームを以下に示す。
<ステップ2;トリス{2−[5−(2−メチルフェニル)−4−(2,6−ジメチルフェニル)−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル−κN2]フェニル−κC}イリジウム(III)(略称;[Ir(mpptz−dmp)3])の合成>
上記ステップ1で得た配位子Hmpptz−dmp2.5g(7.4mmol)、トリス(アセチルアセトナト)イリジウム(III)0.7g(1.5mmol)を高温加熱容器に入れ、脱気した。この反応容器を、内部をArフローしながら250℃で48時間加熱攪拌した。所定時間反応後、得られた固体をジクロロメタンで洗浄し、不溶物の緑色固体を吸引ろ過により得た。この固体をトルエンに溶解させ、アルミナとセライトの積層を通してろ過した。得られたフラクションを濃縮し、緑色固体を得た。この固体をトルエンで再結晶を行い、燐光性有機金属イリジウム錯体[Ir(mpptz−dmp)3](略称)の緑色粉末を0.8g、収率45%で得た。ステップ2の合成スキームを以下に示す。
なお、上記ステップ2で得られた緑色粉末の核磁気共鳴分光法(1H−NMR)による分析結果を下記に示す。これより、上記合成方法において、有機金属錯体、Ir(mpptz−dmp)3(略称)が得られたことがわかった。
1H−NMR.δ(toluene−d8):1.82(s,3H),1.90(s,3H),2.64(s,3H),6.56−6.62(m,3H),6.67−6.75(m,3H),6.82−6.88(m,1H),6.91−6.97(t,1H),7.00−7.12(m,2H),7.63−7.67(d,1H).