JP6003550B2 - 成形材料および成形材料の製造方法 - Google Patents
成形材料および成形材料の製造方法 Download PDFInfo
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Description
1) 支持基材の少なくとも片面に、屈折率の異なる第2層及び第1層からなる表面層をこの順に有し、前記第1層表面の原子間力顕微鏡(AFM)によって観察される2乗平均粗さ(RMS)を超える高さを有するピーク数が25μm 2 あたり500個以上1500個以下であり、かつ下記条件1から4を満たすことを特徴とする成形材料。
条件1.第1層表面のJIS Z8741(1997)で規定する60°鏡面光沢度が40%以上。
条件2.第1層表面のオレイン酸の後退接触角θrが60°以上。
条件3.第1層表面のオレイン酸の前進接触角θaと後退接触角θrが式(1)を満たす。
(θa−θr)≦ 15° ・・・ 式(1)
条件4.入射光の波長380nmから780nmにおける最低反射率が2%以下。
2) 前記第1層が下記条件5および6を満たし、前記第2層が下記条件7を満たすことを特徴とする、1)に記載の成形材料。
条件5.入射光の波長580nmにおける屈折率が1.45以上1.50以下。
条件6.層厚みが80nm以上120nm以下。
条件7.入射光の波長580nmにおける屈折率が1.60以上1.75以下。
3) 前記第1層がフルオロアルキル基、フルオロオキシアルキル基、フルオロアルケニル基、フルオロアルカンジイル基およびフルオロオキシアルカンジイル基からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む部位と反応性部位とを有するフッ素化合物Aと、バインダー成分Aと、数平均粒子径が5nm以上250nm以下の粒子aとを含むことを特徴とする、1)または2)のいずれかに記載の成形材料。
4) 前記粒子aが数珠状に連結したおよび/または分岐したシリカであることを特徴とする、3)に記載の成形材料。
5) 前記成形材料の製造方法において、
(1)支持基材上に第2層を形成する工程
(2)(1)にて形成された第2層上に、フルオロアルキル基、フルオロオキシアルキル基、フルオロアルケニル基、フルオロアルカンジイル基およびフルオロオキシアルカンジイル基からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む部位と反応性部位とを有するフッ素化合物A、バインダー原料A、および数平均粒子径が5nm以上250nm以下の粒子aを含む塗料組成物Aを塗布、乾燥、および硬化することにより前記第1層を形成する工程、を含む1)から4)のいずれかに記載の成形材料の製造方法。
6) 前記粒子aが、数珠状に連結したおよび/または分岐したシリカであることを特徴とする、5)に記載の成形材料の製造方法。
(θa−θr)≦ 15° ・・・ 式(1)
ここで、前述の後退接触角と前進接触角について説明する。固体表面の液体の接触角は本来熱力学的な量であり、系が定まれば1つの値をとるはずである。しかし実際には液体が固体表面を動く場合には、進行方向の接触角と反対側(後退側)の接触角は同じ値を取らないことが多い。このときの進行方法の接触角を前進接触角、反対側の接触角を後退接触角と呼ぶ。
本発明の成形材料は本発明の特性、およびまたは材料を含む表面層をその表面に有していれば平面状(フィルム、シート、プレート)、3次元形状(成形体)のいずれであってもよい。ここで、本発明における「表面層」は、屈折率の異なる第2層および第1層からなり、支持基材の少なくとも片面に、第2層及び第1層がこの順に配置されている。表面層は、前記成形材料の表面から厚み方向に向かい、隣接する部位と元素組成、含有物(粒子等)の形状、物理特性が不連続な境界面を有することにより区別でき、有限の厚さを有する部位を指す。より具体的には、前記成形材料を表面から厚み方向に各種組成/元素分析装置(IR、XPS、XRF、EDAX、SIMS等)、電子顕微鏡(透過型、走査型)または光学顕微鏡にて断面観察した際、前記不連続な境界面により区別され、有限の厚さを有する部位を指す。
前記塗料組成物Aは、本発明の製造方法において、塗布、乾燥、および硬化からなる一般的な塗布プロセスにより、前記第1層を第2層上に形成可能な常温にて液状の組成物を指し、フッ素化合物Aとバインダー原料A、および数平均粒子径が5nm以上250nm以下の粒子aを含んでいることが好ましく、塗料組成物Aは、上記以外にこの他に溶媒や、光重合開始剤、硬化剤、触媒などの各種添加剤を含んでもよい。構成材料の詳細については後述する。
フッ素化合物Aとは、フルオロアルキル基、フルオロオキシアルキル基、フルオロアルケニル基、フルオロアルカンジイル基およびフルオロオキシアルカンジイル基からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む部位と反応性部位とを有するフッ素化合物を指す。
Rf1−R2−D1 ・・・一般式(1)
(Rf1はフルオロアルキル基、フルオロオキシアルキル基、フルオロアルケニル基、フルオロアルカンジイル基、フルオロオキシアルカンジイル基を含む部位を、R2はアルカンジイル基、アルカントリイル基、およびそれらから導出されるエステル構造、ウレタン構造、エーテル構造、トリアジン構造を、D1は反応性部位を示す)。
−(CFn3H(2−n3))mO−
・・・一般式(2)
−(CFn4H(2−n4))pO−(CFn5H(2−n5))sO−
・・・一般式(3)
ここで、n1は1〜3の整数を、n2〜n5は1または2の整数を、k、m、p、sは0以上の整数を指す。好ましくはn1は2以上、n2〜n5は1または2の整数であり、より好ましくはn1は3、n2とn4は2、n3とn5は1または2の整数である。
本発明の成形材料の表面層、および成形材料の製造方法に用いられる塗料組成物は、粒子を含むことが好ましく、表面層を構成する第1層、第2層の一方が含んでもよいし、両方が含んでもよい。この粒子とは無機粒子、有機粒子のいずれでもよいが、耐久性の観点から無機粒子が好ましい。無機粒子の種類数としては1種類以上20種類以下が好ましい。無機粒子の種類数は1種類以上10種類以下がさらに好ましく、1種類以上3種類以下が特に好ましい。
粒子aは無機粒子、有機粒子のいずれでもよいが、耐久性の観点から無機粒子であることが好ましく、金属や半金属の酸化物、窒化物、ホウ素化物、塩化物、炭酸塩、硫酸塩であることが好ましく、2種類の金属、半金属を含む複合酸化物や、格子間に異元素が導入されたり、格子点が異種元素で置換されたり、格子欠陥が導入されていてもよい。
本発明の塗料組成物A中に含まれる粒子aは、塗工、乾燥、硬化処理もしくは蒸着等の処理において、熱や電離放射線などによりその表面状態を変化させた状態で前記第1層中に含まれる場合がある。すなわち、前記塗料組成物Aにおいて塗工、乾燥、硬化処理もしくは蒸着等の処理がなされ、前記塗料組成物A中の粒子aは反応することにより、前記表面層中に含まれる粒子aとは粒子表面の官能基が異なる場合と、塗料組成物Aにおいて塗工、乾燥、硬化処理もしくは蒸着等の処理がなされた後でも、表面層中に含まれる一部の粒子aについては、塗料組成物A中に含まれる粒子aと同様の状態で存在する場合(すなわち、未反応のまま存在する場合)がある。
前記成形材料の第2層の屈折率に好ましい範囲があることは前述の通りである。さらに、第2層の層厚みは、80nm以上が好ましく、100nm以上がより好ましい。第2層の層厚みが80nm未満であると反射防止機能が不十分になる場合がある。第2層の層厚みは80nm以上であれば特に問題ない。ただし、第2層の層厚みの上限は4000nm程度であり、それより厚い場合、反射防止性能、透明性が不十分になる場合がある。
前記成形材料の第1層はバインダー成分Aを含むことが好ましく、前記成形材料の第2層はバインダー成分Bを含むことが好ましく、前記塗料組成物Aはバインダー原料Aを含むことが好ましく、前記塗料組成物Bは、バインダー原料Bを含むことが好ましい。
R=[(σd−σBd)2+(σp−σBp)2+(σh−σBh)2]1/2
により定義されるパラメーターRが3(MPa)1/2以上12(MPa)1/2以下の値を有することが好ましく、3(MPa)1/2以上8(MPa)1/2以下の値を有することがより好ましく、4(MPa)1/2以上6(MPa)1/2以下の値を有することが特に好ましい。パラメーターRが12(MPa)1/2を超える場合には透明性や光沢感が低下する。一方パラメーターRが3(MPa)1/2に満たない場合、またはσd<σBdを満たさない場合には指紋付着量が増加する。
前記塗料組成物A、塗料組成物Bは溶媒を含んでもよい。溶媒の種類数としては1種類以上20種類以下が好ましく、より好ましくは1種類以上10種類以下、さらに好ましくは1種類以上6種類以下である。ここで「溶媒」とは、前述の粒子a、粒子b、フッ素化合物A、バインダー原料A、バインダー原料Bを溶解、もしくは分散することができ、塗布、乾燥、および硬化工程を経ることによって、ほぼ全量を蒸発させることが可能な常温、常圧で液体である物質を指す。
前記塗料組成物A、塗料組成物Bとしては、更に光重合開始剤や硬化剤や触媒を含むことが好ましい。光重合開始剤及び触媒は、無機粒子間、バインダー原料間、無機粒子とバインダー原料間の反応を促進するために用いられる。該開始剤としては、塗料組成物をラジカル反応等による重合および/またはシラノール縮合および/または架橋反応を開始あるいは促進できるものが好ましい。
前記塗料組成物Aは、フッ素化合物A、バインダー原料A、粒子aを含むが、塗料組成物A中のそれぞれの質量関係について説明する。
前記塗料組成物Bは、バインダー原料B、粒子bを含むが、塗料組成物B中のそれぞれの質量関係について説明する。
より好ましくは、粒子bが0.4質量%以上90質量%以下、バインダー原料Bが3.2質量%以上50質量%以下、溶媒が40質量%以上90質量%以下、開始剤、硬化剤、触媒のその他の成分が0.05質量%以上6質量%以下である。
本発明の成形材料が平面状である場合には、前記表面層を設けるため支持基材を必要とする。支持基材に特に限定はなく、ガラス板、プラスチックフィルム、プラスチックシート、プラスチックレンズ、金属板のいずれでもよい。
本発明の成形材料の表面に形成される前記表面層、つまり第2層と第1層は蒸着、スパッタリング、CVDなどの気相処理、塗布、含浸、めっき、ケン化などの液相処理、転写、貼合などの固相処理、およびこれら処理の組み合わせによって成形材料の表面に形成してもよいが、蒸着による気相処理、塗布による液相処理が好ましく、塗料組成物を支持基材等に塗布することにより形成する液相処理がより好ましい。また、2層の形成を異なる方法で行ってもよいし、同じ方法で行ってもよい。
[フッ素化合物A1]
フッ素化合物A1としてフルオロポリエーテル部位を含む化合物(RS−75 DIC株式会社製)を使用した。
フッ素化合物A2として含フッ素デンドリマー(FA−200 日産化学工業株式会社製)を使用した。
[塗料組成物A1]下記材料を混合し塗料組成物A1を得た。
フッ素化合物A: フッ素化合物A1 18.7 質量%
粒子a: 連鎖状オルガノシリカゾル MEK−ST−UP
(日産化学工業株式会社製 固形分濃度20%) 45 質量%
バインダー原料A:KAYARAD DPHA(日本化薬株式会社製) 13.5 質量%
溶媒: MEK 21.8 質量%
光重合開始剤: 1−ヒドロキシーシクロヘキシルーフェニルーケトン
(イルガキュア184 BASF社製) 1 質量%
[塗料組成物A2] 下記材料を混合し塗料組成物A2を得た。
フッ素化合物A: フッ素化合物A1 11.2 質量%
粒子a: 連鎖状オルガノシリカゾル MEK−ST−UP
(日産化学工業株式会社製 固形分濃度20%) 45 質量%
バインダー原料A:KAYARAD DPHA(日本化薬株式会社製) 16.5 質量%
溶媒: MEK 26.3 質量%
光重合開始剤: 1−ヒドロキシーシクロヘキシルーフェニルーケトン
(イルガキュア184 BASF社製) 1 質量%
[塗料組成物A3] 下記材料を混合し塗料組成物A3を得た。
フッ素化合物A: フッ素化合物A1 2.2 質量%
粒子a: 連鎖状オルガノシリカゾル MEK−ST−UP
(日産化学工業株式会社製 固形分濃度20%) 15 質量%
バインダー原料A:KAYARAD DPHA(日本化薬株式会社製) 26.1 質量%
溶媒: MEK 55.7 質量%
光重合開始剤: 1−ヒドロキシーシクロヘキシルーフェニルーケトン
(イルガキュア184 BASF社製) 1 質量%
[塗料組成物A4] 下記材料を混合し塗料組成物A4を得た。
フッ素化合物A: フッ素化合物A2 7.5 質量%
粒子a: 連鎖状オルガノシリカゾル MEK−ST−UP
(日産化学工業株式会社製 固形分濃度20%) 45 質量%
バインダー原料A:KAYARAD DPHA(日本化薬株式会社製) 13.5 質量%
溶媒: MEK 33 質量%
光重合開始剤: 1−ヒドロキシーシクロヘキシルーフェニルーケトン
(イルガキュア184 BASF社製) 1 質量%
[塗料組成物A5] 下記材料を混合し塗料組成物A5を得た。
フッ素化合物A: フッ素化合物A1 37.5 質量%
粒子a: 連鎖状オルガノシリカゾル MEK−ST−UP
(日産化学工業株式会社製 固形分濃度20%) 45 質量%
バインダー原料A:KAYARAD DPHA(日本化薬株式会社製) 6 質量%
溶媒: MEK 10.5 質量%
光重合開始剤: 1−ヒドロキシーシクロヘキシルーフェニルーケトン
(イルガキュア184 BASF社製) 1 質量%
[塗料組成物A6] 下記材料を混合し塗料組成物A6を得た。
フッ素化合物A: フッ素化合物A1 3.7 質量%
粒子a: 含酸化ジルコニウム粒子 F75
(CIKナノテック株式会社製 固形分濃度30%)25 質量%
バインダー原料A:KAYARAD DPHA(日本化薬株式会社製) 21 質量%
溶媒: MEK 49.3 質量%
光重合開始剤: 1−ヒドロキシーシクロヘキシルーフェニルーケトン
(イルガキュア184 BASF社製) 1 質量%
[塗料組成物A7] 下記材料を混合し塗料組成物A7を得た。
フッ素化合物A: フッ素化合物A1 37.5 質量%
粒子a: オルガノシリカゾル IPA−ST−L
(日産化学工業株式会社製 固形分濃度30%) 30 質量%
バインダー原料A:KAYARAD DPHA(日本化薬株式会社製) 6 質量%
溶媒: MEK 25.5 質量%
光重合開始剤: 1−ヒドロキシーシクロヘキシルーフェニルーケトン
(イルガキュア184 BASF社製) 1 質量%
[塗料組成物A8] 下記材料を混合し塗料組成物A8を得た。
フッ素化合物A: フッ素化合物A2 37.5 質量%
粒子a: シリカ粒子 ハイプシカSP 600nm
(宇部日東化成株式会社 粉末) 30 質量%
バインダー原料A:KAYARAD DPHA(日本化薬株式会社製) 6 質量%
溶媒: MEK 25.5 質量%
光重合開始剤: 1−ヒドロキシーシクロヘキシルーフェニルーケトン
(イルガキュア184 BASF社製) 1 質量%
[塗料組成物A9] 下記材料を混合し塗料組成物A9を得た。
フッ素化合物A: なし
粒子a: なし
バインダー原料A:KAYARAD DPHA(日本化薬株式会社製) 30 質量%
溶媒: MEK 69 質量%
光重合開始剤: 1−ヒドロキシーシクロヘキシルーフェニルーケトン
(イルガキュア184 BASF社製) 1 質量%。
[塗料組成物B1]下記材料を混合し塗料組成物B1を得た。
粒子b: 含酸化チタン粒子 TO−1027TIV
(日揮触媒化成株式会社製 固形分濃度30%) 80 質量%
バインダー原料B:KAYARAD DPHA(日本化薬株式会社製) 6 質量%
溶媒: MEK 13 質量%
光重合開始剤: 1−ヒドロキシーシクロヘキシルーフェニルーケトン
(イルガキュア184 BASF社製) 1 質量%
[塗料組成物B2]下記材料を混合し塗料組成物B2を得た。
粒子b: 含酸化チタン粒子 TO−1027TIV
(日揮触媒化成株式会社製 固形分濃度30%) 90 質量%
バインダー原料B:KAYARAD DPHA(日本化薬株式会社製) 3 質量%
溶媒: MEK 6 質量%
光重合開始剤: 1−ヒドロキシーシクロヘキシルーフェニルーケトン
(イルガキュア184 BASF社製) 1 質量%
[塗料組成物B3]下記材料を混合し塗料組成物B1を得た。
粒子b: 含酸化チタン粒子 TO−1027TIV
(日揮触媒化成株式会社製 固形分濃度30%) 10 質量%
バインダー原料B:KAYARAD DPHA(日本化薬株式会社製) 27 質量%
溶媒: MEK 62 質量%
光重合開始剤: 1−ヒドロキシーシクロヘキシルーフェニルーケトン
(イルガキュア184 BASF社製) 1 質量%
[塗料組成物B4]下記材料を混合し塗料組成物B1を得た。
粒子b: 含酸化チタン粒子 TO−1027TIV
(日揮触媒化成株式会社製 固形分濃度30%) 95 質量%
バインダー原料B:KAYARAD DPHA(日本化薬株式会社製) 1.5 質量%
溶媒: MEK 2・5 質量%
光重合開始剤: 1−ヒドロキシーシクロヘキシルーフェニルーケトン
(イルガキュア184 BASF社製) 1 質量%。
支持基材としてPET樹脂フィルム上に易接着性塗料が塗工されている“ルミラー”U46(東レ株式会社製)を用いた。まず第2層目の形成として、前記塗料組成物Bを搬送速度10m/分の条件で、小径グラビアコーターおよび乾燥室前半部に赤外線パネルヒーターを有する連続塗工装置を用いて、固形分塗工膜厚が希望する膜厚になるようにグラビア線数、およびグラビアロール速度比を調整して塗工し、第2層目形成した。塗工から乾燥、硬化および液膜にあたる風の条件は下記条件の通りである。
送風温湿度 : 温度:45℃、 相対湿度:10%
風速 : 塗工面側:5m/秒、 反塗工面側:5m/秒
風向 : 塗工面側:基材に対して平行、反塗工面側:基材に対して垂直
滞留時間 : 1分間
パネルヒーター設定温度:80℃
第2乾燥
送風温湿度 : 温度:100℃、 相対湿度:1%
風速 : 塗工面側:5m/秒、 反塗工面側:5m/秒
風向 : 塗工面側:基材に対して平行、反塗工面側:基材に対して垂直
滞留時間 : 1分間
硬化工程
照射出力 : 600W/cm2
積算光量 : 120mJ/cm2
酸素濃度 : 0.1体積%
なお、風速、温湿度は熱線式風速計(日本カノマックス株式会社 アネモマスター風速・風量計 MODEL6034)による測定値を使用した。
作製した成形材料について、次に示す性能評価を実施し、得られた結果を表に示す。特に断らない場合を除き、測定は各実施例・比較例において1つのサンプルについて場所を変えて3回測定を行い、その平均値を用いた。
成形材料の対象とする面の光沢度測定は、測定面の裏面をサンドペーパーで粗面化し、黒色塗料で塗りつぶしたものを日本電色工業株式会社製 VG7000を用いて、成形材料表面の光沢度をJIS Z 8741(1997)に従い60°鏡面光沢度を測定し、100%以上を合格とした。
前進接触角、後退接触角の測定は拡張−収縮法により測定を行い、協和界面科学株式会社製接触角計Drop Master DM−501を用いて、同装置の拡張−収縮法測定マニュアルに従った。前進接触角は、具体的にはシリンジからオレイン酸(ナカライ規格一級 ナカライテスク製)を液吐出速度8.5μL/秒で最終液量50μLまで連続的に吐出し、液滴の形状を0.5秒毎に30回撮影し、同画像から、同装置付属の統合解析ソフト“FAMAS”を用いてそれぞれの接触角を求めた。液滴の拡張過程での接触角は最初、拡張につれて変化し、次いでほぼ一定になる挙動を示すため、測定順に接触角データを並べ、その順に連続した5点を選択したとき、連続した5点の標準偏差が最初に1°以下になった時の平均値をその測定の前進接触角とし、この測定を1サンプルについて5回行い、その平均値を試料の前進接触角とした。
反射防止機能の測定は測定面の裏面反射を除くため、裏面をサンドペーパーで粗面化し、黒色塗料で塗りつぶしたものを株式会社島津製作所製分光光度計UV−3100を用いて光の波長380〜780nmの5°、−5°正反射スペクトルを測定した。得られた380から780nmの範囲の分光反射率から最低値を求め、これを最低反射率とし、2%以下を合格とした。
透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて断面を観察することにより、支持基材上の第1層と第2層の厚みを測定した。各層の厚みは、以下の方法に従い測定した。積層膜の断面の超薄切片をTEMにより20万倍の倍率で撮影した画像から、ソフトウェア(画像処理ソフトImageJ)にて各層の厚みを読み取った。合計で30点の層厚みを測定して求めた平均値を、平均膜厚とした。
第1層、第2層の個々の屈折率は、成形材料の積層膜に対して反射分光膜厚計(大塚電子株式会社製、商品名[FE−3000])により、300〜800nmの範囲での反射率を測定し、該装置付属のソフトウェア[FE−Analysis]を用い、大塚電子株式会社製[膜厚測定装置 総合カタログP6(非線形最小二乗法)]に記載の方法に従い、550nmにおける屈折率を求めた。
屈折率の波長分散の近似式としてCauchyの分散式(数式1)を用い最小二乗法(カーブフィッティング法)により、光学定数(C1、C2、C3)を計算し、580nmにおける屈折率を測定した。
成形材料を任意の場所で切り出した後、原子間力顕微鏡(SII社製、SPI3800)を用いて、観察モード=DFMモード、スキャナー=FS−20A、カンチレバー=DF−3、観察視野=5×5μm2、分解能1024×512pixelsにて表面形態観察を行い観察像を得た。次いで2乗平均粗さの100%をピーク閾値にするため、「Peak Thrsh (%rms)」を100%に設定して解析を行い、ピーク数を求めた。
走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察、測定した。観察試料は前記塗料組成物Aを分散媒(イソプロピルアルコール)に固形分濃度0.5質量%に希釈し、超音波にて分散後、導電テープ上に滴下、乾燥して調製した。数平均粒子径は、1視野あたり一次粒子の集合体としての個数が10個以上50個以下になる倍率にて観察を行い、得られた画像から一次粒子の外接円の直径を求めてこれを等価粒子径とし、観察数を増やし一次粒子100個について測定した値から数平均粒子径を求めた。
指紋付着性は、成形材料の評価する面を上にして黒画用紙上に置き、指紋を押し付ける指(人差し指)と親指を3回こすってから、前記第1層表面の表面にゆっくりと押し付け、付着した指紋の視認性を下記の評価基準で評価し、5点以上を合格とした。
10点: 指紋が視認されない、もしくは未付着部との差がわからない
7点: 指紋がほとんど視認できない、もしくは指紋だとは認識されない
5点: 指紋が僅かに視認されるが、ほとんど気にならない
3点: 指紋が視認される
1点: 指紋が明確に視認され、非常に気になる
上記評価を10人の対象者について行い、その平均値を求めた。小数点以下については四捨五入して取り扱った。
前述の方法で、指紋を付着させた後、次いで、折り上げ寸法が12.5×12.5cmのセルロース長繊維不織布ガーゼ(“ハイゼ”ガーゼ NT−4 川本産業株式会社製)を用いて拭取りを行った。指紋拭取り性は、この拭取り方法で拭いた後の視認性を下記の評価基準で評価し、5点以上を合格とした。
10点: 1回拭くと、ほぼ視認されなくなる
7点: 1回拭くと、ほぼ気にならない程度になる
5点: 3回拭くと、ほぼ視認されなくなる
3点: 5回拭けば、ほぼ気にならない程度になる
1点: 5回以上拭いても、汚れが残る
上記評価を10人の対象者について行い、その平均値を求めた。小数点以下については四捨五入して取り扱った。
成形材料の対象とする面に500g/cm2荷重となるスチールウール(#0000)を垂直にあて、1cmの長さを20往復した際に目視される傷の本数を記載し、下記のクラス分けを行い3点以上を合格とした。
5点: 0本
4点: 1本以上 5本未満
3点: 5本以上 10本未満
2点: 10本以上 20本未満
1点: 20本以上。
建築物や車両などの窓ガラスおよび種々の印刷物のそれぞれの表面に同様の機能を付与するためにも用いることができる。
Claims (6)
- 支持基材の少なくとも片面に、屈折率の異なる第2層及び第1層からなる表面層をこの順に有し、前記第1層表面の原子間力顕微鏡(AFM)によって観察される2乗平均粗さ(RMS)を超える高さを有するピーク数が25μm 2 あたり500個以上1500個以下であり、かつ下記条件1から4を満たすことを特徴とする成形材料。
条件1.第1層表面のJIS Z8741(1997)で規定する60°鏡面光沢度が40%以上。
条件2.第1層表面のオレイン酸の後退接触角θrが60°以上。
条件3.第1層表面のオレイン酸の前進接触角θaと後退接触角θrが式(1)を満たす。
(θa−θr)≦ 15° ・・・ 式(1)
条件4.入射光の波長380nmから780nmにおける最低反射率が2%以下。 - 前記第1層が下記条件5および6を満たし、前記第2層が下記条件7を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の成形材料。
条件5.入射光の波長580nmにおける屈折率が1.45以上1.50以下。
条件6.層厚みが80nm以上120nm以下。
条件7.入射光の波長580nmにおける屈折率が1.60以上1.75以下。 - 前記第1層がフルオロアルキル基、フルオロオキシアルキル基、フルオロアルケニル基、フルオロアルカンジイル基およびフルオロオキシアルカンジイル基からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む部位と反応性部位とを有するフッ素化合物Aと、バインダー成分Aと、数平均粒子径が5nm以上250nm以下の粒子aとを含むことを特徴とする、請求項1または請求項2のいずれかに記載の成形材料。
- 前記粒子aが数珠状に連結したおよび/または分岐したシリカであることを特徴とする、請求項3に記載の成形材料。
- 前記成形材料の製造方法において、
(1)支持基材上に第2層を形成する工程
(2)(1)にて形成された第2層上に、フルオロアルキル基、フルオロオキシアルキル基、フルオロアルケニル基、フルオロアルカンジイル基およびフルオロオキシアルカンジイル基からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む部位と反応性部位とを有する化合物であるフッ素化合物A、バインダー原料A、および数平均粒子径が5nm以上250nm以下の粒子aを含む塗料組成物Aを塗布、乾燥、および硬化することにより前記第1層を形成する工程、を含む請求項1から4のいずれかに記載の成形材料の製造方法。 - 前記粒子aが数珠状に連結したおよび/または分岐したシリカであることを特徴とする、請求項5に記載の成形材料の製造方法。
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