以下、本発明の実施の形態に係る画像形成装置について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成を示す側面図である。
本発明の実施の形態に係る画像形成装置1は、画像読取装置2、光走査装置11、現像装置12、感光体ドラム13、ドラムクリーニング装置14、帯電器15、中間転写ベルト21、定着装置17、用紙搬送経路R1、給紙トレイ18、および排紙トレイ39を備えており、画像データによって示されるカラー画像を用紙に画像形成する。
画像読取装置2は、原稿載置ガラス43に載置された原稿を読み取り、読み取った原稿の画像を画像データとして出力する。なお、画像読取装置2については、後述する図2および図3を参照して詳細を説明する。
カラー画像は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、およびイエロー(Y)の各色のトナー像を重ねて形成される。このため、現像装置12、感光体ドラム13、ドラムクリーニング装置14、および帯電器15は、各色に応じた4種類のトナー像を形成するようにそれぞれ4つずつ設けられ、それぞれがブラック、シアン、マゼンタ、およびイエローに対応付けられて、4つの画像ステーションPa、Pb、Pc、Pdが構成されている。
各画像ステーションPa、Pb、Pc、Pdのいずれにおいても、以下に示す同様の動作をする。ドラムクリーニング装置14は、感光体ドラム13の表面の残留トナーを除去および回収する。帯電器15は、感光体ドラム13の表面を所定の電位に均一に帯電させる。光走査装置11は、感光体ドラム13の表面を露光して静電潜像を形成する。現像装置12は、感光体ドラム13の表面の静電潜像を現像して、感光体ドラム13の表面にトナー像を形成する。上述した一連の動作によって、各感光体ドラム13の表面に各色のトナー像が形成される。
引き続いて、中間転写ベルト21は、矢印Cの方向へ周回移動し、ベルトクリーニング装置25によって残留トナーを除去および回収され、各感光体ドラム13の表面に形成された各色のトナー像が順次転写して重ね合わされて、中間転写ベルト21の表面にカラーのトナー像が形成される。
2次転写装置26の転写ローラ26aは、中間転写ベルト21との間にニップ域が形成されており、用紙搬送経路R1を通じて搬送されて来た記録用紙をニップ域に挟み込んで搬送する。記録用紙は、ニップ域を通過する際に、中間転写ベルト21の表面のトナー像が転写される。定着装置17は、加熱ローラ31および加圧ローラ32の間にトナー像が転写された記録用紙を挟み込んで加熱および加圧し、トナー像を記録用紙に定着させる。
給紙トレイ18には、記録用紙が積載されている。記録用紙は、ピックアップローラ33によって給紙トレイ18から引き出されて、用紙搬送経路R1を通じて搬送され、2次転写装置26や定着装置17を経由し、排紙ローラ36を介して排紙トレイ39へ排出される。
用紙搬送経路R1には、記録用紙を一端停止させて記録用紙の先端を揃えた後、中間転写ベルト21と転写ローラ26aとの間のニップ域におけるトナー像の転写タイミングに合わせて、記録用紙の搬送を開始するレジストローラ34、記録用紙の搬送を促す各搬送ローラ35、および排紙ローラ36が配置されている。
また、記録用紙の表面だけでなく、裏面に画像形成を行う場合は、記録用紙を排紙ローラ36から反転経路Rrへ逆方向に搬送して、記録用紙の表裏を反転させてレジストローラ34へ再度導き、記録用紙の表面と同様にして、記録用紙の裏面にトナー像を定着させて排紙トレイ39へ排出する。
次に、画像読取装置の構成について、図面を参照して説明する。
図2は、本発明の実施の形態に係る画像読取装置の概略構成を示す断面図であって、図3は、画像読取装置の読取部を抜き出して示す平面図である。なお、図3においては、位置関係を明確にするために走査体SUを透視的に示している。
本発明の実施の形態に係る画像読取装置2は、平板状の原稿載置ガラス43と、原稿載置ガラス43の下面43aに沿って主走査方向Yに列設されたイメージセンサ48と、イメージセンサ48を支持する走査基台71とを備え、原稿載置ガラス43に載置された原稿をイメージセンサ48で読み取る。なお、イメージセンサ48、走査基台71、付勢部材90、および摺動部材100で構成された走査体SUについては、後述する図13ないし図15を参照して説明する。
具体的には、画像読取装置2は、下側の読取部41と、上側の原稿搬送部61とを備えている。原稿搬送部61は、読取部41と原稿搬送部61とを連結する軸回りに回動自在に構成され、読取部41の上を開放することによって原稿読取ガラス42および原稿載置ガラス43が開放される。なお、以下では説明のため、原稿載置ガラス43の下面43aと直交する方向を鉛直方向Zと呼び、鉛直方向Zにおいて、原稿載置ガラス43を基準とした原稿搬送部61側を上方と呼び、原稿載置ガラス43を基準とした走査体SU側を下方と呼ぶことがある。また、原稿載置ガラス43の下面43aに対して平行で主走査方向Yと直交する方向を副走査方向Xと呼ぶ。
走査体SUは、原稿読取ガラス42および原稿載置ガラス43の下方に配置されている。走査体SUは、牽引部材MUによって原稿載置ガラス43の下面43aに沿って副走査方向Xに移動されつつ、原稿載置ガラス43上に載置された原稿を読み取ったり(これを第1モードおよび移動読取動作とする。)、原稿読取ガラス42の下方に停止されて、原稿読取ガラス42上を通過する原稿を読み取ったりする(これを第2モードおよび停止読取動作とする。)。なお、移動読取動作および停止読取動作については、後述する図20ないし図22を参照して説明する。
読取部41は、筐体44の内部に走査体SU、牽引部材MU、およびガイド部80(後述する図19参照)を備えている。なお、読取部41の内部の構成については、後述する図19を参照して説明する。
筐体44は、上側開口部に矩形状の原稿読取ガラス42および原稿載置ガラス43が設けられている。筐体44は、側面を覆う各側面板44aと、上面に配置され開口部が形成された縁取板44bと、筐体の底面を覆う底面板44dとをさらに備えている。また、筐体44の上面には、原稿読取ガラス42の4辺および原稿載置ガラス43の1辺を縁取る矩形状枠部材45が設けられている。矩形状部材45は、対向する2辺のうち、原稿読取ガラス42と原稿載置ガラス43とに挟まれた一方の辺(図では右側の辺)に原稿すくい部47が設けられ、他方の辺(図では左側の辺)に原稿ガイド部46が設けられている。
原稿ガイド部46は、原稿読取ガラス42の先端面(原稿載置ガラス43とは反対側に向く端面)および上面の2面に接着されている。原稿すくい部47は、原稿読取ガラス42の後端面および原稿載置ガラス43の先端面(原稿読取ガラス42に向く端面)の2面に接着されている。つまり、原稿読取ガラス42および原稿載置ガラス43は、矩形状枠部材45を介して連結され一体化されている。
原稿読取ガラス42と原稿載置ガラス43とは、同じ厚さであって、副走査方向Xで離間して配置されている。原稿読取ガラス42および原稿載置ガラス43の副走査方向Xで対向する端面の間隔(原稿読取ガラス42の後端面から原稿載置ガラス43の先端面までの間隔)は、5〜6mmとされている。また、原稿読取ガラス42の下面42a、原稿載置ガラス43の下面43a、および原稿ガイド部46の下面46aは、同一の平面とされ、滑らかな平坦面を形成している。なお、原稿すくい部47の下面47aについては、後述する図20ないし図22を参照して説明する。
また、原稿すくい部47は、原稿載置ガラス43の上面に接着された部分が原稿位置規制部47bとされている。この原稿位置規制部47bは、フィルム状の白色基準部材Wを介して原稿載置ガラス43に接着されているが、これに限定されず、原稿位置規制部47bを白色の材料で形成して、原稿位置規制部47b自体を白色基準部材として兼用したり、原稿位置規制部47bの裏面に白色塗料を塗布して白色基準部材を形成したりしても構わない。
原稿搬送部61は、走査体SUを原稿読取ガラス42の下の位置に固定した状態で、原稿読取ガラス42の上面に沿って搬送される原稿を読み取る第1モードの場合に用いられる。原稿搬送部61では、原稿トレイ62にセットされた原稿は、読取側ピックアップローラ63によって引き出されて原稿搬送路64に供給される。原稿搬送路64では、読取側搬送ローラ69によって原稿が搬送され、読取側レジストローラ68によって原稿の先端が揃えられて原稿読取ガラス42の上方へ搬送される。搬送されてきた原稿は、原稿ガイド部46に案内されてその先端が原稿読取ガラス42の上面へ導かれ、原稿読取ガラス42に密着して搬送される。イメージセンサ48は、原稿が原稿読取ガラス42の上方を通過する原稿の画像を読み取る。読み取られた原稿は、読取側排紙ローラ66によって原稿排紙トレイ67へ排出される。
次に、走査体の各部について、それぞれ説明する。
図4は、イメージセンサの内部を拡大して示す拡大断面図であって、図5は、イメージセンサの斜視図であって、図6は、イメージセンサの外観図であって、(a)は平面図であり、(b)は正面図である。
イメージセンサ48は、例えば、CISであって、原稿を原稿載置ガラス43または原稿読取ガラス42を介して照明する一対の光源51、原稿からの反射光を集光する集光レンズアレイ52、および集光レンズアレイ52を通じて受光した原稿からの反射光を光電変換して画像データを出力する撮像素子53を備えている。撮像素子53は、主走査方向Yに列設されており、原稿を主走査方向Yに走査して読み取る。
上述した構成のイメージセンサ48は、樹脂などで形成された略長方形状とされ、上面の一部が主走査方向Yに沿って開口しており、開口部に集光レンズアレイ51を固定するレンズ固定部54が設けられている。なお、以下では説明のため、イメージセンサ48の側面のうち、副走査方向Xで対向する面を側面と呼び、主走査方向Yで対向する面を端面と呼ぶことがある。
イメージセンサ48の一方の側面48dには、主走査方向Yに一定の距離を保って2つのセンサ取付部48a、48aが設けられており、それぞれのセンサ取付部48a、48aには、走査基台71に係止される取付軸48b、48bが形成されている。具体的には、2つの取付軸48b、48bは、センサ取付部48aから主走査方向Yに沿って同方向に延伸されている。詳しくは、後述するセンサ付勢部72bからセンサ支持部75a(図10参照)に向かう方向に延伸されている。なお、2つのセンサ取付部48aの間隔は適宜設計できるが、本実施の形態では、イメージセンサ48の主走査方向Yの両端部近傍にセンサ取付部48a、48aが設けられている。また、イメージセンサ48の下面には、主走査方向Yに一定の距離を保って2つのセンサ側保持部48c、48cが設けられており、後述する付勢部材90(図10参照)は、センサ側保持部48cに対応する位置に配置される。センサ側保持部48cは、周囲より窪んで形成されており、センサ側保持部48cに付勢部材90の一端が挿入保持される。
図7は、走査基台の斜視図であり、図8は、走査基台の外観図であって、(a)は平面図であり、(b)は正面図であり、図9は、図7の拡大側面図である。
走査基台71は、1つの側面と上面とが開放された直方体状とされている。つまり、走査基台71は、原稿載置ガラス43の下面43aに平行な基台底板72と、副走査方向Xで対向するガイド側側板73および軸受側側板74と、支持側側板75とで構成され、内部にイメージセンサ48が収容されて支持される。後述する図10および図11に示すように、ガイド側側板73および軸受側側板74は、イメージセンサ48の側面に対向して配置され、支持側側板75は、イメージセンサ48の端面に対向して配置されている。走査基台71は、例えば、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS樹脂)で形成されている。
基台底板72には、イメージセンサ48の2つのセンサ側保持部48cに対向する位置にそれぞれ基台側保持部72aが設けられている。基台側保持部72aは、周囲より窪んで形成されており、基台側保持部72aに付勢部材90の他端が挿入保持される。つまり、付勢部材90は、基台側保持部72aおよびセンサ側保持部48cに両端が保持されて、位置決めされている。また、基台底板72は、支持側側板75と反対側の端部にイメージセンサ48を付勢するセンサ付勢部72bが設けられている。センサ付勢部72bは、基台底板72の端部から上方に延伸して形成されており、上端がイメージセンサ48をセンサ支持部75aに向かって付勢する構成とされている。センサ付勢部72bから支持側側板75(特に、後述するセンサ支持部75a)までの間隔は、イメージセンサ48より短く形成されている。
さらに、基台底板72の下面には、後述するガイド部80および従動ベルト85に接続される基台接続部76が固定されている。なお、基台接続部76については、後述する図19を参照して説明する。
ガイド側側板73の外面側には、走査基台71の外部に向かって突出したガイド片73aと、ガイド側側板73の内面側に凹んだ第2係止溝73dとが設けられている。第2係止溝73dは、支持側側板75側の端部に設けられている。また、ガイド側側板73の内面側であって、支持側側板75と反対側の端部には、第1摺動規制部73bが設けられている。第1摺動規制部73bは、略四角柱形状に形成されており、その上面には、鉛直方向Zに沿って穿設された第1規制穴73cが設けられている。
軸受側側板74には、イメージセンサ48の2つの取付軸48bがそれぞれ挿入される2つの軸受部74aが設けられている。2つの軸受部74aは、2つの取付軸48bと対向するように同方向に向かって開口している。軸受部74aの位置および形状は、取付軸48bに応じて適宜設計すればよい。
軸受側側板74の外面側には、軸受側側板74の内面側に凹んだ第1係止溝74dが設けられている。第1係止溝74dは、支持側側板75と反対側の端部に設けられている。また、軸受側側板74の内面側であって、支持側側板75側の端部には、第2摺動規制部74bが設けられている。第2摺動規制部74bは、略四角柱形状に形成されており、その上面には、鉛直方向Zに沿って穿設された第2規制穴74cが設けられている。なお、以下では説明を簡略化するため、第1規制穴73cと第2規制穴74cとを併せて規制穴と呼び、第1係止溝74dと第2係止溝73dとを併せて係止溝と呼ぶことがある。また、第1係止溝74dおよび第2係止溝73dは、後述する係止凸部102a(図12参照)が挿入される凹部とされていればよく、軸受側側板74またはガイド側側板73を貫通して形成された穴であってもよい。
上記構成において、第1規制穴73cと第1係止溝74dとが副走査方向Xで対向する位置に配置され、第2規制穴74cと第2係止溝73dとが副走査方向Xで対向する位置に配置されている。そして、第1規制穴73cおよび第1係止溝74dによって、後述する第1摺動部材100aが係止され、第2規制穴74cおよび第2係止溝73dによって、後述する第2摺動部材100bが係止される構成とされている(詳しくは、図13ないし図15参照)。
支持側側板75の内面側には、イメージセンサ48の端面に対向するセンサ支持部75aが設けられている。本実施の形態では、センサ支持部75aは、例えばリブであって、周囲より内側に突出して形成されている。
図10は、イメージセンサと走査基台とを組み合わせた状態を示す外観図であって、(a)は平面図であり、(b)は正面図であり、図11は、図10の拡大側面図である。
イメージセンサ48と走査基台71とを組み合わせる際は、取付軸48bを軸受部74aに挿入する。このとき、2つの取付軸48bは同方向に突出しており、これに対する2つの軸受部74aも同方向に開口しているので、取付軸48bを軸受部74aに対峙させた状態でイメージセンサ48を一方向(主走査方向Y)に移動させるだけで2つの取付軸48bをそれぞれ対応する軸受部74bに挿入することができる。
そして、取付軸48bを軸受部74bに挿入した状態でイメージセンサ48を、取付軸48bを支点にして回転することで、走査基台71の内部にイメージセンサ48が収容される。ここで、予め基台側保持部72aに付勢部材90を挿入保持しておくことで、付勢部材90は、イメージセンサ48と走査基台71との間に挟持される。なお、本実施の形態では、付勢部材90は、例えば、コイルバネである。
イメージセンサ48は、走査基台71と組み合わせることで、センサ付勢部72bによってセンサ支持部75aに向かって付勢され、センサ支持部75aによって走査基台71に対する主走査方向Yの位置決めがされている。この構成によると、イメージセンサ48を走査基台71に対して位置決めすることで、イメージセンサ48の位置ズレを防止することができ、画像読取における精度を向上させることができる。
図12は、摺動部材の拡大側面図である。
摺動部材100は、原稿載置ガラス43に当接する当接部101と、当接部101の一端から原稿載置ガラス43と反対の方向(鉛直方向Zの下方)に延伸された係止部102とで構成され、全体がL字状に形成された棒状部材である。係止部102は、走査基台71に係止される構成とされている。
当接部101には、規制穴(第1規制穴73cまたは第2規制穴74c)に挿入される当接凸部101aが設けられている。具体的には、当接凸部101aは、当接部101の下面側であって、係止部102と反対側の端部寄りに設けられており、平面視において規制穴と略同形状とされている。また、当接部101の上面は、原稿載置ガラス43に当接する平坦面101bとされ、その両端部がそれぞれ傾斜面101cとされている。傾斜面101cは、端部へ向かうに従って原稿載置ガラス43から離間する方向(下方)へ傾斜している。
平坦面101bは、原稿載置ガラス43の下面43aおよび原稿読取ガラス42の下面42aと当接し、副走査方向Xの幅が原稿読取ガラス42および原稿載置ガラス43の互いに対向する端部の間隔より大きく形成されている。つまり、平坦面は、原稿読取ガラス42および原稿載置ガラス43の副走査方向Xで対向する端面の間隔より大きく形成されている(併せて、後述する図20参照。)。具体的には、摺動部材100の副走査方向の幅は、25mmとされ、平坦面101bの幅は、約20mmとされている。なお、平坦面101bに対して、傾斜面101cをどの程度の幅とするかは適宜設計できる。
係止部102には、係止溝(第1係止溝74dまたは第2係止溝73d)に挿入される係止凸部102aが設けられている。具体的には、係止凸部102aは、係止部102の下端部寄りであって、内面側(当接部の下面と連続する面側)に設けられている。
摺動部材100は、摺動性を有する材料で形成されている。この構成によると、摩擦による走査体SUの損傷を防ぐことができ、走査体SUを平滑に移動させることができる。具体的には、摺動部材100は、例えば、ポリオキシメチレン(POM)で形成されている。また、摺動部材100は、弾性を有しており、走査基台71に取り付ける際には、引っ張るなどして力を加えることで変形するため、容易に組み立てることができる。
本実施の形態では、係止部102を備えることによって、摺動部材100と走査基台71とが離間しないように係止することができる。また、摺動部材100は、走査基台71に固定されていないので、走査基台71に対して着脱可能な構造とすることができる。
また、傾斜面101cを形成することで、走査体SUが原稿載置ガラス43または原稿読取ガラス42との境界(原稿すくい部47の端部)を通過する際に、摺動部材100が徐々に原稿載置ガラス43または原稿読取ガラス42に接する構造とすることができ、走査体SUを円滑に移動させることができる。
図13は、走査体の斜視図であり、図14は、走査体の外観図であって、(a)は平面図であり、(b)は正面図であり、図15は、図13の拡大側面図である。また、図16は、図14(a)の矢符D−Dでの断面図であり、図17は、図14(a)の矢符E−Eでの断面図であり、図18は、図14(a)の矢符F−Fでの断面図である。
走査体SUは、図10および図11に示したイメージセンサ48と走査基台71とを組み合わせた状態に対して、摺動部材100を取り付けることで構成される。
走査体SUは、摺動部材100を2つ有する構成とされており、摺動部材100は、走査基台71の主走査方向Yの両端部に配置されている。この構成によると、摺動部材100が両端部に配置されているので、イメージセンサ48を確実に保持することができ、摺動部材100だけが原稿載置ガラス43に当接する構成とすることができる。以下では説明を簡略化するため、第1規制穴73cおよび第1係止溝74dに係止された摺動部材100を第1摺動部材100aと呼び、第2規制穴74cおよび第2係止溝73dに係止された摺動部材100を第2摺動部材100bと呼ぶことがある。
第1摺動部材100aと第2摺動部材100bとは、同じ形状とされており、取り付けられている向きが異なる。
第1摺動部材100aは、図16に示すように、当接凸部101aが第1規制穴73cに挿入され、係止凸部102aが第1係止溝74dに挿入されることで、走査基台71に係止されている。また、当接部101は、イメージセンサ48の上面に密着している。
一方、第2摺動部材100bは、図18に示すように、当接凸部101aが第2規制穴74cに挿入され、係止凸部102aが第2係止溝73dに挿入されることで、走査基台71に係止されている。また、当接部101は、イメージセンサ48の上面に密着している。
なお、第1摺動部材100aおよび第2摺動部材100bは、イメージセンサ48に押圧されて上方へ付勢されているが、係止凸部102aによって上方への移動が規制されている。なお、図16および図18では、係止凸部102aの上方に隙間が存在するが、これは、原稿載置ガラス43等に押圧されて摺動部材100が下方へ移動しているためであって、原稿載置ガラス43等を取り外した場合、上述した隙間は無くなる。
図17に示すように、イメージセンサ48は、付勢部材90によって上方に付勢されているが、第1摺動部材100aおよび第2摺動部材100bだけが原稿載置ガラス43の下面43aに当接しており、イメージセンサ48は、原稿載置ガラス43と離間している。したがって、走査体SUを副走査方向Xに移動させたとき、原稿載置ガラス43との摩擦などによって、イメージセンサ48が損傷することを防止できる。なお、第1摺動部材100aおよび第2摺動部材100bは、原稿読取ガラス42に対しても、原稿載置ガラス43と同様に接する。
上述したように、第1摺動部材100aは、係止部102が軸受側側板74に沿って取り付けられているのに対して、第2摺動部材100bは、係止部102がガイド側側板73に沿って取り付けられている。従って、イメージセンサ48を互いに対向する面に沿って保持することで、イメージセンサ48が浮き上がることを確実に防止できる。
また、第1摺動部材100aと第2摺動部材100bとは、イメージセンサ48の上面から上方に同一高さ突出するように取り付けられている。
摺動部材100を組み合わせる際は、例えば、上方から規制穴(第1規制穴73c、第2規制穴74c)に当接凸部101aを挿入し、係止溝(第1係止溝74d、第2係止溝73d)に係止凸部102aを挿入することで、摺動部材100が走査基台71に係止される。なお、係止溝(第1係止溝74d、第2係止溝73d)に係止凸部102aを挿入する際に、係止部102をガイド側側板73または軸受側側板74に沿って下方へ移動させると、係止凸部102aがガイド側側板73または軸受側側板74に当接して、摺動部材100が弾性的に変形する。そして、係止凸部102aが係止溝(第1係止溝74d、第2係止溝73d)に到達したとき、摺動部材100が元の形状に戻って、自然と係止凸部102aが係止溝(第1係止溝74d、第2係止溝73d)に挿入される。従って、当接凸部101aを挿入するのに伴って、摺動部材100を下方へ移動させることで係止凸部102aが挿入されるため、摺動部材100を容易に取り付けることができ、組み立て作業を簡略化することができる。
上述したように、走査基台71は、係止部102に対向する面に形成された係止溝(第1係止溝74dおよび第2係止溝73d)と、原稿載置ガラス43に対向する面に形成された規制穴(第1規制穴73cおよび第2規制穴74c)とが設けられている。
係止溝(第1係止溝74dおよび第2係止溝73d)は、原稿載置ガラス43に向かう方向(鉛直方向Z)の幅が係止凸部102aの外形幅より大きく形成されている。この構成によると、係止溝(第1係止溝74dおよび第2係止溝73d)は原稿載置ガラス43に向かう方向(鉛直方向Z)の幅が係止凸部102aより大きいので、係止凸部102aが係止溝(第1係止溝74dおよび第2係止溝73d)内において鉛直方向Zで移動可能な構造とすることができる。そのため、鉛直方向Zにおける摺動部材100と走査基台71との間隔を調節することで、部品公差などで生じる走査基台71と原稿載置ガラス43との間隔のズレを補正することができる。
摺動部材100は、走査基台71に対して、係止凸部102aによって主走査方向Yおよび原稿載置ガラス43に向かう方向(上方)への移動が規制され、当接凸部101aによって主走査方向Yおよび副走査方向Xへの移動が規制されている。この構成によると、摺動部材100と走査基台71とを係止する部分を2箇所設けることで、確実に係止することができる。つまり、係止凸部102aと当接凸部101aとで移動を規制する方向が異なっているため、一方で移動を規制していない方向に力が加わっても、他方によって引き止められることになる。
次に、読取部の内部の構成について、詳しく説明する。
図19は、読取部の内部構造を示す図であって、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。つまり、図19は、読取部41から原稿読取ガラス42、原稿載置ガラス43、筐体44の縁取板44b、および矩形状枠部材45等を取り外した状態を示す。
ガイド部80は、筐体44の主走査方向Yの中央部において、副走査方向Xに沿って配置され、走査体SUを支持して走査体SUの往復移動を案内する。具体的には、ガイド部80は、円柱状のシャフトであって、筐体44の前後の側面板44aに副走査方向Xと平行に架け渡されて固定されている。一方、走査基台71における基台底板72の下面には、主走査方向Yの中央部に基台接続部76が設けられており、この基台接続部76にガイド接続部76aが形成されている。ガイド接続部76aは、下方に向く半円柱状の凹部であって、ガイド部80に嵌め入れられる構造となっている。すなわち、走査基台71は、基台接続部76を介してガイド部80に載せられ、ガイド部80によって副走査方向Xに移動自在に支持されている。なお、ガイド部80は、これに限定されず、底面板44dから上方に突出し副走査方向Xに沿って形成された凸部としてもよい。
牽引部材MUは、一対の軸81、82と、小プーリ83、84と、従動ベルト85と、大プーリ86と、モータ87と、駆動プーリ88と、駆動ベルト89とで構成されており、走査体SUを牽引して副走査方向Xに往復移動させる。
具体的には、一対の軸81、82は、筐体44の底面板44dに垂直に突設され、副走査方向Xに離間して配置されている。各軸81、82の上端には、それぞれ小プーリ83、84が回転自在に支持され、各小プーリ83、84に無端状の従動ベルト85が架け渡されている。従動ベルト85の周面は、基台接続部76に形成された牽引接続部76b(図8(b)を併せて参照)に接続されている。
一方の軸82には、大プーリ86が小プーリ84と同芯状に重ねて固定され、小プーリ84と大プーリ86とが共に回転するようになっている。モータ87は、一方の軸84の近傍で底面板44dに固定されている。モータ87の出力軸には、駆動プーリ88が固定されており、駆動プーリ88と大プーリ86とに無端状の駆動ベルト89が架け渡されている。
牽引部材MUにおいて、モータ87を駆動して、駆動プーリ88を回転させると、駆動プーリ88の回転が駆動ベルト89を介して大プーリ86に伝達される。そして、大プーリ86と共に小プーリ84が回転し、小プーリ84の回転が従動ベルト85を介して小プーリ83に伝達されて、小プーリ83が回転する。それによって、従動ベルト85が周回移動し、従動ベルト85に接続された基台接続部76がガイド部80上で滑動し、走査体SUが副走査方向Xに移動する。また、モータ87の出力軸の回転方向と走査体SUの移動方向とが対応し、モータ87の出力軸の回転方向と回転角度とを制御することによって、走査体SUおよびイメージセンサ48の移動方向と移動距離とを制御することができる。
側面板44aには、走査基台71のガイド片73aに対応する位置に位置センサ49が設けられている。位置センサ49は、発光素子と受光素子とが対向配置されており、発光素子と受光素子との間に侵入したガイド片73aを検出する。位置センサ49の検出結果に基づいて、イメージセンサ48を原稿読取ガラス42の下方のイニシャル位置に位置決めすることができる。
上述したように、イメージセンサ48が摺動部材100によって保持されているので、組み立て時に、イメージセンサ48が走査基台71から浮き上がって不安定になることを防止できる。そのため、イメージセンサ48、走査基台71、付勢部材90、および摺動部材100を組み合わせて走査体SUを構成することによって、安定した組み立て作業を行うことができる。
次に、画像読取装置の移動読取動作および停止読取動作について説明する。
図20は、移動開始位置または停止読取位置における走査体を示す説明図であり、図21は、移動中の走査体を示す説明図(その1)であり、図22は、移動中の走査体を示す説明図(その2)である。
図20に示すように、上述した移動読取動作の開始時および停止読取動作の実行時において、走査体SUは、摺動部材100が原稿載置ガラス43と原稿読取ガラス42との両方の下面に接する位置に停止している。画像読取装置2は、移動読取動作の開始時に走査体SUが停止している位置を移動開始位置として設定され、停止読取動作の実行時に走査体SUが停止している位置を停止読取位置として設定されている。例えば、位置センサ49で検出したイニシャル位置を基点として、走査体SUの移動方向と移動距離とを制御することで、予め設定された移動開始位置または停止読取位置に走査体SUを停止させる。なお、本実施の形態では、移動開始位置と停止読取位置とが同じ位置とされていたが、これに限定されず、移動開始位置と停止読取位置とが異なる位置とされていてもよい。
原稿すくい部47の下面47aには、上方に窪んだ原稿すくい凹部47cが形成されている。詳しくは、原稿すくい凹部47cが形成された下面47aは、原稿読取ガラス42の下面42aおよび原稿載置ガラス43の下面43aと同一の平面とされ、原稿読取ガラス42の後端面と原稿載置ガラス43の先端面との間に原稿すくい凹部47cが設けられている。なお、原稿すくい部47の下面47aは、原稿読取ガラス42の下面42aおよび原稿載置ガラス43の下面43aと同一の平面とされていなくてもよく、下面42aおよび下面43aより上方に窪んでいてもよい。つまり、原稿すくい部47は、原稿読取ガラス42および原稿載置ガラス43に対して、鉛直方向Zの段差が設けられた構造としてもよい。
付勢部材90は、原稿載置ガラス43または原稿読取ガラス42を押圧する摺動部材100の重心と副走査方向Xで一致する位置に配置されている。この構成によると、付勢部材90によって摺動部材100を原稿載置ガラス43および原稿読取ガラス42に均等に密着させることができるので、走査体SUから原稿までの距離が変動しない構成とすることができ、画像の読取精度を向上させることができる。また、付勢部材90の位置を摺動部材100の重心と一致させることで、付勢力の偏りを低減することができ、走査体SUの構造を容易に設計できる。例えば、基台側保持部72aおよびセンサ側保持部48cの位置をイメージセンサ48、走査基台71、および摺動部材100のサイズや重量に応じて適宜設計することで、付勢部材90の位置を摺動部材100の重心と一致させることができる。なお、以下では説明の簡略化のため、原稿載置ガラス43または原稿読取ガラス42を押圧する摺動部材100の重心を走査体SUの重心点と呼ぶ。
移動読取動作を実行する際には、走査体SUを移動開始位置から副走査方向Xで原稿読取ガラス42から離間する方向(図では右方向)へ移動させる。ここで、平坦面101bは、副走査方向Xの幅が原稿読取ガラス42および原稿載置ガラス43の互いに対向する端部の間隔より大きく形成されているため、原稿を読み取る際の振動を抑え、読取画像の歪みを低減することができる。つまり、原稿載置ガラス43と原稿読取ガラス42との間では、境界における段差によって、走査体SUが通過する際に振動する虞がある。しかしながら、原稿読取ガラス42から原稿載置ガラス43までの間隔より幅が大きく形成された平坦面101bを備えており、摺動部材100が原稿載置ガラス43と原稿読取ガラス42との両方の下面に接しているので、段差による振動を抑えることができる。
また、移動開始位置において、摺動部材100が原稿載置ガラス43と原稿読取ガラス42との両方の下面(下面42aおよび下面43a)に当接する構造とするためには、原稿載置ガラス43と原稿読取ガラス42とが可能な限り近接させて配置されていることが望ましい。具体的には、原稿載置ガラス43と原稿読取ガラス42との間に配置される原稿すくい部47は、副走査方向Xの幅が小さく形成されている。これによって、摺動部材100を大きくせずに、原稿載置ガラス43と原稿読取ガラス42との両方に接する構造とすることが容易になる。
上述したように、走査体SUを停止読取位置に停止させて境界における段差に影響されない位置とすることで、摺動部材100を原稿載置ガラス43と原稿読取ガラス42との両方に確実に密着させることができる。従って、走査体SUから原稿までの距離を可能な限り短縮させることで画像の読取精度をさらに向上させることができる。
図21に示すように、移動読取動作の実行時において、走査体SUを移動させることで、走査体SUは、原稿読取ガラス42に対して摺動部材100が接触状態から非接触状態となる。具体的には、ガイド側側板73側の平坦面101bと傾斜面101cとの境界部が、原稿読取ガラス42の後端面に到達したとき、摺動部材100は、原稿読取ガラス42に対して非接触状態となる。ここで、走査体SUの重心点は、原稿載置ガラス43と接しているため、摺動部材100と原稿読取ガラス42とが非接触となる際の振動を低減することができる。つまり、重心点が原稿載置ガラス43と接しているので、摺動部材100が原稿載置ガラス43を押圧する力が支配的になり、摺動部材100が原稿読取ガラス42を押圧する力による影響を無視することができる。
図22に示すように、図21に示す状態からさらに走査体SUを移動させることで、走査体SUは、原稿すくい部47を通過する。具体的には、ガイド側側板73側の平坦面101bと傾斜面101cとの境界部が、原稿載置ガラス43の先端面に到達したとき、摺動部材100は、原稿すくい部47を通過する。画像読取装置2は、図22に示す状態からさらに走査体SUを移動させた後、画像の読み取りを開始する。本実施の形態に係る画像読取装置における移動読取動作では、移動開始位置と画像の読み取りを開始する位置とが異なっている。従って、走査体SUはガラスの境界から移動を開始するので、移動開始直後の速度変動による読取画像の歪みを回避することができる。つまり、移動走査における読取領域外で走査体SUが移動開始するので、走査体SUが読取領域に到達するまでに、走査体SUの移動速度を安定させることができる。
なお、今回開示した実施の形態は全ての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。従って、本発明の技術的範囲は、上記した実施の形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。