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JP5995372B2 - 星虫由来ルシフェラーゼ - Google Patents

星虫由来ルシフェラーゼ Download PDF

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Description

本発明は、節足動物門昆虫綱甲虫目に属す発光昆虫である星虫由来のルシフェラーゼに関する。より具体的には、本発明は、節足動物門昆虫綱甲虫目の星虫よりクローニングされたルシフェラーゼおよびその変異体、ならびに当該ルシフェラーゼの遺伝子を細胞内で発現させて、その発光をイメージングにより検出して細胞の機能を測定する方法に関する。
細胞内のシグナル伝達および遺伝子発現といった細胞の機能を測定するためには、蛍光色素および蛍光タンパク質といった蛍光プローブ並びにルシフェリン・ルシフェラーゼ反応を利用する発光プローブが用いられている。特に遺伝子の発現調節の解析には、励起光による細胞のダメージが生じず且つ自家発光の問題が生じない、定量性に優れた発光計測が用いられる。例えば、ルシフェラーゼ遺伝子が導入された細胞を観察する場合、ルシフェラーゼ活性に因る細胞からの発光を測定することで、ルシフェラーゼ遺伝子の発現の強さ(具体的には発現量)を調べることができる。発光の測定は、最初に細胞を溶解して細胞溶解液を作製し、その後この細胞溶解液にルシフェリンおよびアデノシン三リン酸(ATP)等を添加し、光電子増倍管を用いたルミノメーターで定量するという手順で行われる。すなわち、発光の測定は細胞を溶解した後に行われる。このため、ある時点でのルシフェラーゼ遺伝子の発現量は、細胞全体の平均値として測定される。ルシフェラーゼ遺伝子等の発光遺伝子をレポーター遺伝子として導入する方法として、例えばリン酸カルシウム法、リポフェクション法またはエレクトロポレーション法等を使用でき、各方法は目的および細胞の種類の違いに応じて使い分けられている。細胞に導入するルシフェラーゼ遺伝子の上流または下流に目的のDNA断片を繋ぎ、ルシフェラーゼの発現量を分析することで、当該DNA断片がルシフェラーゼ遺伝子の転写に及ぼす影響を調べることが可能となる。また、細胞に導入するルシフェラーゼ遺伝子と目的の遺伝子とを共発現させることで、当該遺伝子産物がルシフェラーゼ遺伝子の発現に及ぼす影響を調べることが可能となる。
時間経過に沿って発光遺伝子の発現量を分析するには、生きた細胞からの発光を経時的に測定する必要がある。このような測定は、ルミノメーターを備えたインキュベーターにて細胞を培養し、全細胞集団からの発光を一定時間ごとに定量することで行われる。これにより、一定の周期性をもった発現リズム等を分析することができ、細胞全体における発光遺伝子の発現量の経時的な変化を捉えることができる。
近年、生物学および医学の研究において、生きた試料を対象とした画像による動的変化の経時的観察の必要性が高まってきている。蛍光観察を利用する研究分野では、試料内のタンパク質分子機能を動的に捉えるために、タイムラプスまたは動画撮像が行われている。従来技術では、蛍光試料を用いた経時的観察(例えば、蛍光分子を付したタンパク質1分子の動画観察)が行われている。
一方、経時的観察のために発光試料を用いる場合、発光試料の発光強度は極めて小さいため、イメージ・インテンシファイアを装着したCCDカメラを用いて観察する必要がある。また最近では、発光試料を観察するための光学系を有した顕微鏡も開発されている(特許文献1および特許文献2)。
発光強度が小さい発光試料を顕微鏡により撮像する場合、鮮明な画像を撮影するために必要な露出時間は長くなる。このような発光試料は、使用できる研究用途が制限される。例えば、発光強度の小ささのために30分間の露出時間が必要となる場合、30分間隔での経時的撮影は可能であっても、より短い間隔での撮影、さらにはリアルタイムでの撮影は不可能である。また、画像の取得に当って、発光する細胞に焦点を合わせるために複数枚の画像を取得し比較する必要があるが、発光強度の小ささのために長い露出時間を必要とする場合、1枚の画像を取得するだけでも手間と時間を要することになる。
特開2006−301599号公報 国際公開公報第2006/088109号
本発明の目的は、従来のルシフェラーゼと比較してより簡便な測定または観察を可能にするルシフェラーゼを提供することにある。
本発明の第1の側面によると、Diplocladon属に属する星虫に由来するルシフェラーゼが提供される。
本発明の第2の側面によると、pH5.5〜8.0の範囲のいずれのpHにおいても最大発光波長が557〜562nmの範囲にある発光を誘導するルシフェラーゼが提供される。
本発明の第3の側面によると、哺乳細胞内で、Photinus pyralis由来の既知のルシフェラーゼによって誘導される発光の1.5倍の発光強度を有する発光を誘導するルシフェラーゼが提供される。
本発明の第4の側面によると、pHの変化に対して最大発光波長の変化が小さいルシフェラーゼが提供され、これにより、環境中のpHの影響を抑制して測定または観察することができる。また、本発明の更なる側面によると、既知のホタルルシフェラーゼによって誘導される発光の1.5倍の発光強度を有する発光を誘導するルシフェラーゼが提供され、これにより、発光像を撮像するために必要な露出時間を短縮することができ、且つ従来よりも時間分解能が高い経時的観察が可能となる。
図1は、星虫ルシフェラーゼの各pHにおける発光スペクトルを示す。 図2は、各ルシフェラーゼのKm値を示す。 図3は、哺乳細胞にて発現させた、星虫ルシフェラーゼおよびPhotinus pyralisのホタルルシフェラーゼの発光強度を比較する。 図4は、哺乳細胞にて発現させた、星虫野生型ルシフェラーゼおよび星虫変異型ルシフェラーゼの発光強度を比較する。
本発明の一実施形態は、Diplocladon属に属する星虫に由来するルシフェラーゼに関する。
「ルシフェラーゼ」とは、一般に、発光が生じる化学反応を触媒する酵素を指す。当該酵素の基質となる物質はルシフェリンと呼ばれる。ATPの存在下、ルシフェラーゼの触媒作用により、ルシフェリンが化学変化を起こす際に発光する。現在、ルシフェラーゼは、ホタルに由来するものおよびバクテリアに由来するものが取得されている。実施形態に係るルシフェラーゼも、上述の通り定義されるルシフェラーゼと同義であるが、後述する星虫から初めて取得された新規のルシフェラーゼである。なお、ここにいう「由来する」とは、星虫が有する野生型のルシフェラーゼに加えて、その変異体をも含むことを意味する。
「星虫」とは、節足動物門昆虫綱甲虫目フェンゴデス(Phengodidae)科ディプロクラドン(Diplocladon)属に属する昆虫である。星虫は、主に南アジア、東南アジアおよび東アジアにかけて生息することが確認されている。なお、ディプロクラドン属に近縁であるフェンゴデス科フィリキソシリキス属(Phrixothrix)に属す鉄道虫(Railroad−worm)は中南米に生息している。
本発明の一実施形態に係るルシフェラーゼは、例えば配列番号1に示されるアミノ酸配列を含むルシフェラーゼである。当該ルシフェラーゼは、星虫から得られたものである。明細書および特許請求の範囲においては、当該ルシフェラーゼを星虫ルシフェラーゼまたは星虫由来ルシフェラーゼと称する。
本発明の一実施形態に係るルシフェラーゼは、pHの変化に対して最大発光波長の変化が小さいという特徴を有する。ここで「最大発光波長」とは、ルシフェラーゼが関与する発光反応において、測定波長範囲内において発光強度が最大となる波長を意味する。前記ルシフェラーゼを用いることで、環境中のpHの影響を抑制して測定または観察することができる。例えば、顕微鏡によるイメージングにおいて、異なるpH領域に存在する前記ルシフェラーゼについて、単一の測定波長を用いて同時に発光強度を測定することができる。また、本発明の一実施形態に係るルシフェラーゼによれば、光電変換効率が測定波長によって異なる装置(例えばCCD)を用いて定量的な測定を行うことが容易となる。このような装置によって従来のルシフェラーゼを測定する場合、pHごとに測定波長を変更する必要があるが、測定波長が変わると定量的な比較が困難となる。これに対し、本発明の一実施形態に係るルシフェラーゼを用いれば、pHが異なっても単一の測定波長を用いることができ、定量的な比較が容易となる。
本発明の一実施形態に係るルシフェラーゼは、一定のpH範囲内のいずれのpHにおいても最大発光波長が一定の波長範囲内にあることを特徴とする。例えば、本発明の一実施形態に係るルシフェラーゼはpH6.5〜7.0、pH6.0〜7.5、pH5.5〜8.0、pH5.0〜8.5、またはpH4.5〜9.0の範囲のいずれのpHにおいても最大発光波長が520〜600nm、530〜590nm、540〜580nm、545〜575nm、550〜570nm、555〜565nmまたは557〜562nmの範囲内にある。
本発明の一実施形態に係るルシフェラーゼは、一定のpH範囲内にわたってpHを変化させた場合、最大発光波長の変化量が一定値以下であることを特徴とする。例えば、本発明の一実施形態に係るルシフェラーゼはpH6.5〜7.0、pH6.0〜7.5、pH5.5〜8.0、pH5.0〜8.5またはpH4.5〜9.0の範囲でpHを変化させた場合、最大発光波長の変化量が80nm、60nm、40nm、30nm、20nm、10nmまたは5nm以下である。
図1には、一実施形態に係るルシフェラーゼの発光スペクトルが示される。この図から示されるとおり、当該ルシフェラーゼはpH5.5〜8.0の範囲のいずれのpHにおいても最大発光波長が557〜562nmの範囲内にある。また、pH5.5〜8.0の範囲で、最大発光波長の変化量は5nmである。
一実施形態に係るルシフェラーゼは、既知のルシフェラーゼと比較して発光強度が高い。従って、一実施形態に係るルシフェラーゼは、タンパク質のイメージングのためのレポーターとして利用する場合に特に有利な効果を奏する。すなわち、一実施形態に係るルシフェラーゼは、少量でも高い発光強度を提供できるため、発現量が低いタンパク質の良好な検出を可能とする。また、一実施形態に係るルシフェラーゼは、発光強度が高いことにより検出に必要な露出時間を短縮できる。このため、一実施形態に係るルシフェラーゼを経時的観察のためのレポーターとして利用すれば、撮影間隔を短くすることが可能となり、よりリアルタイムに近い観察が可能となる。
図3には、一実施形態に係る星虫ルシフェラーゼとホタル(P. pyralis)由来ルシフェラーゼとの間の発光強度の比較が示される。この図から、当該星虫ルシフェラーゼは、P. pyralis由来ルシフェラーゼによる発光強度の1.5倍以上の発光強度を示すことがわかる。
一実施形態に係るルシフェラーゼには、星虫から取得された野生型のルシフェラーゼだけでなく、野生型ルシフェラーゼのアミノ酸配列の一部に変異が生じた変異型ルシフェラーゼを含む。そのような変異は、ルシフェラーゼの酵素活性を向上させる変異であってよい。また、そのような変異は、当該ルシフェラーゼの実験的な操作性を向上させる変異であってよい。たとえば、野生型ルシフェラーゼが哺乳細胞内において低い可溶性を示す場合、実施形態に係る変異型ルシフェラーゼは、その可溶性を高める変異が導入されたルシフェラーゼであってよい。ここにおいて、変異型ルシフェラーゼとは、実施形態に係るルシフェラーゼの特徴、すなわち従来のルシフェラーゼと比較して高い発光強度を示す限りにおいて、ルシフェラーゼのアミノ酸配列に変異、例えば、アミノ酸の置換、欠失および/または付加等が生じたルシフェラーゼであってよい。この変異とは、野生型ルシフェラーゼのアミノ酸配列の1以上のアミノ酸の変異であり、好ましくは、野生型ルシフェラーゼのアミノ酸配列の1から20のアミノ酸の変異、1から15のアミノ酸の変異、1から10のアミノ酸の変異または1から5のアミノ酸の変異である。好ましくは、当該変異型ルシフェラーゼのアミノ酸配列は、野生型ルシフェラーゼのアミノ酸配列との間で75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上または99%以上の相同性を有する。
そのような変異型星虫ルシフェラーゼの例は、配列番号15に示されるアミノ酸配列を有するルシフェラーゼである。当該変異型ルシフェラーゼは、配列番号1にアミノ酸配列が示される野生型ルシフェラーゼの344番目のシステインがセリンに置換されたものである。当該変異型ルシフェラーゼは、野生型星虫ルシフェラーゼと比較して高い発光強度を示す。図4には、変異型星虫ルシフェラーゼおよび野生型星虫ルシフェラーゼの発光強度の比較が示される。図4によれば、変異型星虫ルシフェラーゼは、野生型星虫ルシフェラーゼの4.9倍の発光強度を示す。
本発明は、実施形態に係るルシフェラーゼをコードする塩基配列を含む核酸に関する。すなわち、当該核酸は、星虫に由来するルシフェラーゼ遺伝子を含む核酸である。核酸とは、例えばDNAまたはRNAを指す。また、ルシフェラーゼの「遺伝子」とは、主として、mRNAに転写される領域、すなわち構造遺伝子を意味する。
実施形態に係るルシフェラーゼをコードする塩基配列を含む核酸は、例えば配列番号2に示される塩基配列を含む核酸である。この配列を有する遺伝子は、星虫からクローニングされており、野生型星虫ルシフェラーゼをコードする。
実施形態に係る核酸は、野生型ルシフェラーゼ遺伝子の塩基配列を含む核酸であっても、そこにおいて変異が生じた変異型ルシフェラーゼ遺伝子の塩基配列を含む核酸であってもよい。ここにおいて、変異型ルシフェラーゼ遺伝子とは、コードされたルシフェラーゼが、実施形態に係るルシフェラーゼの特徴を示す限りにおいて、塩基配列中の特定の塩基、たとえば数個の塩基の置換、欠失および/または付加等を受けた遺伝子であってよい。また、塩基配列の変異には、コードされるアミノ酸配列に変化が生じない変異が含まれる。すなわち、実施形態に係る核酸には、野生型ルシフェラーゼをコードする変異型ルシフェラーゼ遺伝子を含む核酸が含まれる。
そのようなコードされるアミノ酸配列に変化が生じない変異の一例は、遺伝子中に存在する特定の制限酵素の認識配列を無効にする変異である。この変異によって、遺伝子を含む核酸は当該制限酵素によって切断されなくなるものの、当該遺伝子は変異前と同じアミノ酸配列を有するタンパク質をコードできる。このような変異は、制限酵素の認識配列を構成するコドンを、異なる塩基配列の同義コドンに変換することで達成できる。このような変異は、遺伝子組み換えに使用する制限酵素の認識配列が当該遺伝子中に存在する場合に有用である。この場合、予め遺伝子中の認識配列を無効にしておくことで、制限酵素で処理した場合に遺伝子を含む核酸が断片化することを防ぐことができ、結果として組み換えが容易になる。
そのようなコードされるアミノ酸配列に変化が生じない変異の別の例は、遺伝子のコドンを特定の生物種における発現に最適化させる変異である。ここにいう「最適化」とは、核酸に含まれる遺伝子のコドンを、特定の生物種においてコドン出現頻度が高いコドンに代えることを意味する。最適化を行った場合、特定の生物種における遺伝子の発現は、最適化をしない場合に比べて高まる。実施形態に係るルシフェラーゼ遺伝子は星虫から取得されたものであるため、当該遺伝子を導入しようとする生物種が分類学的に星虫から遠い程、最適化の効果はより高いと考えられる。特定の生物種とは、例えば細菌細胞、酵母細胞および哺乳細胞である。更に哺乳細胞は、例えばマウスの細胞、サルの細胞およびヒトの細胞である。
実施形態に係るコドンが最適化されたルシフェラーゼをコードする塩基配列を含む核酸は、例えば配列番号3に示される塩基配列を含む核酸である。当該核酸は、BamHIおよびEcoRIの認識配列が無効にされており、且つ哺乳細胞における発現にコドンが最適化されている。
本発明の一実施形態に係る核酸は、Kozak配列が付与されたルシフェラーゼ遺伝子の塩基配列を含む核酸を含む。Kozak配列とは、開始コドンとその前後の複数の塩基配列から成る配列であり、Kozak配列が存在することで、その遺伝子の発現量が増大することがわかっている。Kozak配列は、生物種または生物群ごとに共通配列が見出されている。一実施形態に係るKozak配列を含む核酸は、それを導入する生物種に対応したKozak配列を有する。例えば哺乳細胞に導入される場合、核酸は、Kozak配列として配列番号4(rはグアニンまたはアデニンを意味する)の配列を含む。Kozak配列の付与によって開始コドン直後のアミノ酸配列が変化してもよい。Kozak配列を付与するルシフェラーゼ遺伝子は、野生型遺伝子であってもよいが、上述のようなコドンの最適化を行った変異型遺伝子であってもよい。
本発明はこれらの核酸を含むベクターを含む。当該ベクターには、ルシフェラーゼをコードする核酸以外に、発現を調節するための配列またはマーカー遺伝子の配列を含む核酸等を含んでよい。
本発明は、実施形態に係るルシフェラーゼを利用して細胞内の機能を解析する方法に関する。当該方法は、実施形態に係るルシフェラーゼを細胞内に導入する工程、および前記ルシフェラーゼの発光をイメージング装置により検出する工程を含む。例えば、DNA中の特定の発現調節領域の下流に実施形態に係るルシフェラーゼ遺伝子を導入し、それによる発光の有無によってルシフェラーゼの発現を検出することで、発現調節領域の機能を調べることが可能である。
本発明は、実施形態に係るルシフェラーゼを利用して細胞内タンパク質を解析する方法に関する。当該方法は、実施形態に係るルシフェラーゼと解析の対象とするタンパク質とから成る融合タンパク質を細胞内に導入する工程;および、前記ルシフェラーゼの発光をイメージング装置により検出する工程を含む。
当該方法は、解析の対象とするタンパク質の細胞内の局在の観察、および、その局在の時間変化の観察(タイムラプス)を含む。また、当該方法は、タンパク質の局在だけでなく、そのタンパク質が単に発現したか否かの確認をも含む。使用される細胞に特別な限定はなく、細胞のイメージングの分野において通常使用できる細胞であってよい。また、解析の対象とするタンパク質も特別に限定はなく、研究の目的に応じたタンパク質を選択することができる。当該タンパク質は、使用する細胞内に本来存在するタンパクであってよく、または細胞内に本来存在しない異種性のまたは改変したタンパク質であってよい。
融合タンパク質を細胞内に導入する場合、既知の導入方法を使用することができる。1つの方法は、細胞外で精製した融合タンパク質を細胞内に直接導入する方法である。例えば、マイクロインジェクション法によって融合タンパク質を細胞内に直接注入することができる。または、融合タンパク質を含む培養液にて細胞をインキュベートさせて、エンドサイトーシスによって融合タンパク質を細胞に取り込ませることができる。また別の方法は、まず融合タンパク質をコードする塩基配列を含む核酸を導入し、その後細胞内で融合タンパク質を発現させる方法である。例えば、当該核酸を含む発現ベクターを、リン酸カルシウム法、リポフェクション法またはエレクトロポレーション法等によって細胞内に導入し、発現ベクターから融合タンパク質を発現させることができる。ここにおいて、融合タンパク質の遺伝子は、実施形態に係るルシフェラーゼ遺伝子と解析の対象とするタンパク質の遺伝子とを含む遺伝子であり、ここにおいて、ルシフェラーゼ遺伝子とタンパク質遺伝子とは、それぞれ正常に翻訳されるよう連結されている。
ルシフェラーゼの発光をイメージング装置により検出する工程は、既知の検出方法を使用することができる。例えば、ルシフェラーゼを含む融合タンパク質を発現する細胞に、ルシフェリン、ATPおよびMg2+イオン等を適宜与えてルシフェラーゼによる発光反応を生じさせ、発生した発光をイメージング装置により検出することができる。イメージング装置とは、例えば発光を捉えるためのフィルターを備えた顕微鏡である。顕微鏡を使用することで、細胞内における発光の位置を特定して、この情報をもとにタンパク質の局在を特定することが可能となる。また、イメージング装置として、経時的に撮像できる機能を備えた顕微鏡を使用することができ、この顕微鏡によって経時的観察も可能となる。
[実施例1:ルシフェラーゼ遺伝子のクローニング]
1.材料
材料としてマレーシア・ペラ州のブルム森林にて採集した星虫のメス成虫を用いた。この星虫は、Diplocladon属に属することは判明しているものの、学名が決定されていない種であった。本願では、この種をDiplocladon sp.1と称する。
2.Total DNAの抽出
Diplocladon sp.1の成虫(メス)の腹付近からハサミを用いて組織肉片を切り取った。この組織肉片からTotal DNAの抽出はDNeasy Blood & Tissue Kit(キアゲン社製)を用いてマニュアルに従って実施した。得られたTotal DNAをDiplocladon sp.1由来のTotal DNAとしてルシフェラーゼ遺伝子増幅の実験に用いた。
3.星虫ルシフェラーゼ遺伝子の同定
3−1.Total DNAを鋳型としたPCR
Total DNAを鋳型としてイントロンを含む星虫ルシフェラーゼ遺伝子を増幅するPCRに用いる特異的プライマーを設計した。このプライマーの名称および配列は以下の通りである:Home−Diplo(I)−BamHI−F(配列番号5)およびHome−Diplo(I)−stop−EcoRI−R(配列番号6)。これらのプライマーの合成はライフテクノロジーズジャパン株式会社に委託して行った。
最終濃度が等倍の10×Ex Taq Buffer(20mM Mg2+plus)、最終濃度が各0.2mMのdNTP Mixture(各2.5mM)、最終濃度が0.05U/μlのTaKaRa Ex Taq(5U/μl)、最終濃度が0.3μMの配列番号5および配列番号6のプライマーを含む19μlのPCR反応溶液を作製し、そこへ星虫TotalDNA溶液を1.0μl加えた。なお、星虫Total DNA溶液の濃度は未定量であった。PCR反応は、最初に94℃2分間の熱変性を行った後、94℃30秒、50℃30秒および72℃2分を35サイクル繰り返し、最後に72℃5分間の伸長反応を行った。
3−2.Total DNAを鋳型としたPCRで増幅した遺伝子の塩基配列の決定
Total DNAを鋳型としたPCRで増幅した遺伝子の塩基配列を読み取るため、ゲル抽出によるPCR産物の精製、サブクローニングおよびダイレクトシークエンスを実施した。詳細を以下に示す。
ゲル抽出の手法を用いて目的とする遺伝子片を回収した。ゲル抽出はWizard SV Gel and PCR Clean−Up System(プロメガ株式会社)を用いて、マニュアルに従って実施した。TAクローニングの手法を用いて、ゲルから抽出したPCR産物のサブクローニングを実施した。TAクローニングはpGEM−T Easy Vector System(プロメガ株式会社)を用いて、マニュアルに従って実施した。
その後、このベクターDNAを大腸菌(TOP10株またはDH5α株)に形質転換し、青・白スクリーニングの手法を用いてインサートポジティブコロニーを選択した。選択されたコロニーをダイレクトコロニーPCRに供し、遺伝子が導入されていることを確認した。ダイレクトコロニーPCRには、M13−F(−29) Primer(5’−CAC GAC GTT GTA AAA CGA C−3’:配列番号7)とM13 Reverse(5’−GGA TAA CAA TTT CAC AGG−3’:配列番号8)とから成るプライマー対を用いた。最終濃度が等倍の10×Ex Taq Buffer(20mM Mg2+plus)、最終濃度が各0.2mMのdNTP Mixture(各2.5mM)、最終濃度が0.05U/μlのTaKaRa Ex Taq(5U/μl)、最終濃度がそれぞれ0.2μMのプライマー対を含む10μlのPCR反応溶液を作製し、そこへ鋳型として少量の大腸菌コロニーを加えた。PCR反応は、最初に94℃1分間の熱変性を行った後、94℃30秒、50℃30秒および72℃2分を25サイクル繰り返し、最後に72℃2分間の伸長反応を行った。PCR反応後、2μlのPCR反応溶液を、1%TAEアガロースゲルを用いて電気泳動し、エチジウムブロマイド染色後、紫外線照射下で増幅遺伝子のバンドを観察した。
増幅が確認できたPCR反応溶液について、ダイレクトシークエンシング法を用いてその遺伝子の塩基配列の決定を行った。PCR産物精製キットExoSAP−IT(GEヘルスケアバイオサイエンス)を用いて、PCR反応溶液に含まれる余剰なdNTPおよびプライマーを除去し、PCRダイレクトシークエンシングのための鋳型を調製した。BigDye Terminator v3.1 Cycle Sequencing Kit(アプライドバイオシステムズ)を用いて、この鋳型を含むシークエンシング反応溶液を調製し、サーマルサイクラーを用いてシークエンシング反応を行った。PCR産物の精製およびシークエンシングはそれぞれマニュアルに従って実施した。シークエンシング反応後、反応産物の精製を次の通りに行った。反応溶液に2.5倍量の100%エタノールを加え、遠心機を用いて核酸を沈殿させた。次に、上精を取り除いた後、70%エタノールを加えて沈殿を洗浄し、遠心機を用いて核酸を沈殿させた。最後に、上精を取り除いた後、沈殿を乾燥させた。精製した沈殿にHi−Di Formamide(アプライドバイオシステムズ)を15μl加え、溶解させた。この溶液を94℃で2分間熱変性させ、更に氷上で急冷して、塩基配列を決定するためのサンプルとした。このサンプルをApplied Biosystems 3130xl ジェネティックアナライザ(アプライドバイオシステムズ)を用いて塩基配列を読み取った。塩基配列の解析方法はマニュアルに従って実施した。
シークエンシングによって得られた遺伝子配列を、配列情報解析ソフトウェア DNASIS Proの「シークエンス連結」機能を用いて解析した。この配列をNational Center for Biotechnology Information (以下NCBIと略す)が提供するblastxサーチを利用して相同性検索を実施し、既知ホタルルシフェラーゼの塩基配列と高い相同性を示すことを確認した。得られた塩基配列(配列番号9)には5箇所のイントロンが含まれるため、これらを除いた塩基配列(配列番号2)が、アミノ酸配列に翻訳される。翻訳されたアミノ酸配列を、新規星虫ルシフェラーゼのアミノ酸配列(配列番号1)として使用した。以上の実験および解析で得られた塩基配列を新規星虫ルシフェラーゼ遺伝子であると決定した。
配列番号1、2および9に示される配列は以下の通りである。
配列番号1
MPNEIVLHGAKPRDPLDLGTAGSQLFRSLTQFSYLREALVDAHTEQVVSYADILENSCRLAICFEKYGLRQNSVIAVCSENSAIFFYPVIAALYMGIITATVNDNYTERELFDTLNISKPELVFCSKKAIKNLTQLKNHIDFIKKLVVLDSDEDIGEVESLANFMKRYSESVIDVRNFKPRDFDAKEQVALIMSSSGTTGLPKGVVLTHRNLSVRFVHCKDPLFGTRTVPSTSILSIVPFHHAFGMFTTLSYFIVGLRVILLKRFEEEFFLSTIEKYRIPTIVLAPPVMVFLAKSPLVDQYDVSSIREVATGGAPVGIEVAEAVAKRLKINGILQGYGLTETCCAVLITPHDHVKTGSTGKVAPYVQAKVVDLSTGKSLGPNKRGELCFKSEIIMKGYFNNIKATEEAIDKEGWLHSGDVGYYDEDGHFYVVDRLKELIKYKGYQVAPAELEWLLLQHPAIKDAGVTGVPDEAAGELPGACIVLEEGHSLTEQEVIEYVAERVSPTKRIRGGVVFVDDIPKGATGKLVRSELRRMLSQKKSKL
配列番号2
atgccgaatgaaatcgttttacatggagccaaaccgcgagatccattagacctgggaactgcaggaagtcaattatttaggtctttgacgcaattttcttatttaagagaagctctggtcgacgctcatactgagcaagtggtatcttacgcggatatcttagaaaacagttgccgtctagctatatgctttgagaaatatggattacgccaaaatagtgtcatagcagtatgcagcgaaaatagcgcgatctttttctaccccgtaatcgccgctttatatatgggtatcataacagcaacagtaaatgataactacaccgaaagggaattattcgacactttaaatatttcgaaacctgaactggtattctgttcgaagaaggcgattaaaaacttgacgcaattgaagaatcacatcgattttattaaaaagctcgtagttttggatagtgatgaagacataggtgaagtcgaatctcttgccaactttatgaaacgctattcagaatctgttattgatgtgagaaactttaagcctcgcgattttgatgctaaagaacaagttgccttaatcatgtcgtcatcaggaacaactggattacctaaaggagtcgttctaacccatagaaatttgagcgttcgctttgtacattgcaaggacccgttattcggcacaaggactgtcccttcaacttcaattttatctatcgttcctttccatcatgcgtttggaatgtttacgacgttgtcctattttatagtaggactcagagtcatactactaaaaagattcgaagaagaatttttcttaagcactattgaaaagtacagaattccaactatcgttcttgcaccacccgtaatggtattcctagccaagagtccgttagtcgatcagtacgatgtgtccagtattagagaagttgctaccggtggtgcacctgtcggcattgaagtggcagaagctgttgcgaaacggctaaaaattaatggaatacttcaaggatacggtctaacagagacatgttgcgccgtattaatcaccccacacgaccatgttaaaacaggttctactgggaaagtcgccccgtacgtgcaagcgaaagttgtagatcttagcaccggaaaatctctagggccaaataaaagaggagaactttgctttaaaagcgagataattatgaaaggttatttcaacaatataaaggctacggaagaggctatcgataaagaaggatggttacattctggagatgtcgggtattatgatgaagatggtcatttctacgtagtagatcgtttaaaagaacttatcaagtacaagggatatcaagttgcaccggctgaattggaatggttgcttttgcaacatccagctatcaaagacgccggtgttactggcgttcctgacgaagctgccggagaacttccgggtgcttgcatagtccttgaagaaggacatagtcttaccgaacaagaagttattgaatatgtagccgaacgtgtttctccaactaaacgtatacgtggtggagtagttttcgttgatgatatacccaaaggagcgactggaaaactcgtcagaagtgaattacggagaatgctttctcagaagaaatcgaaactataa
配列番号9
atgccgaatgaaatcgttttacatggagccaaaccgcgagatccattagacctgggaactgcaggaagtcaattatttaggtctttgacgcaattttcttatttaagagaagctctggtaagtgtttaacgaaaatagacaatgtacacatcatttgaaaatattgttgaaaaatgggtgtttttttataattttgtctaaagaaacttatatgcagtttcttaataatgataaagtgcaactctttggattacagtcttaaagcatataattattctgagttaattttaacatattttactgtaactataaaaaatcactagcatttgactggttactatatttgaagatacaatgctaaagttaggcaacccaaataacactttttctagtttggttcgacacaatattatttaaaagatcacctatatataccgatgatagaagagaaactatgatgtatgtattattacatgcaaaaataatgttcctcgttcgaattggaatttttataaaattaattaaaattccaattgatcatcatatccatcatatttgcaaaaatatcaacattaaaacattttaggtcgacgctcatactgagcaagtggtatcttacgcggatatcttagaaaacagttgccgtctagctatatgctttgagaaatatggattacgccaaaatagtgtcatagcagtatgcagcgaaaatagcgcgatctttttctaccccgtaatcgccgctttatatatgggtatcataacagcaacagtaaatgataactacaccgaaagtaagtggaaaacttacaaacattttttaatcctccatcatatcgatataatcttccaggggaattattcgacactttaaatatttcgaaacctgaactggtattctgttcgaagaaggcgattaaaaacttgacgcaattgaagaatcacatcgattttattaaaaagctcgtagttttggatagtgatgaagacataggtgaagtcgaatctcttgccaactttatgaaacgctattcagaatctgttattgatgtgagaaactttaagcctcgcgattttgatgctaaagaacaagttgccttaatcatgtcgtcatcaggaacaactggattacctaaaggagtcgttctaacccatagaaatttgagcgttcgctttgtacattgcaagtaggtaacaggaaaaaatttgttttgaaactatacctaagattgattgtacgttattaatcaaaaatccatgcgcctatattacatggtaaagtaggatgtgacacaactgtgtgaaacgtcatcatctactagctttttattgatgacgtacatgttgaaataaaatttgaatggcttataccttaccttagcccaccacattttacctccatttctttgcccctagctgacagatccacttccacatcgtttaatcctcttttcagccgatcctgaattcgaattcaaattcgaattctcttcttctagaagagaatttttctctctttccctcttttttctatcttctctagaaaagaattctagaattctaatcctcttttcagccgataggatgccctatcggctgccctatctgagtccatcatttcaacgatccctagtcatcttagagtgatgaagaatttctacgatttattgttctagtattgttcatttactacaaacaaacaatacaataataaagaatttgaactgtgaattagaaataattcgttcaattttgcacttagtcttaccagtcagtggagttaggttcttagccgtgtatttttaacctcctttaacaggtctgggtttttatatacattttctaacccaatccagacgtatattcgtgctcgttattcattattatcctgaccaagccaaatattatccacagttatggacaggacaggagtcctctcctcataaacttagtgtagtttaatttttcttagggccggtctcgccaccttttaataaatttatctgacaaataacgtacacaaccggcttctattgtaaaaaatatttaccaaataagtttgtcgctggaataactggtttttccggaagatttcaataattagattaatcttttagggacccgttattcggcacaaggactgtcccttcaacttcaattttatctatcgttcctttccatcatgcgtttggaatgtttacgacgttgtcctattttatagtaggactcagagtcatactactaaaaagattcgaagaagaatttttcttaagcactattgaaaagtacagaattccaactatcgttcttgcaccacccgtaatggtattcctagccaagagtccgttagtcgatcagtacgatgtgtccagtattagagaagttgctaccggtggtgcacctgtcggcattgaagtggcagaagctgttgcgaaacggtatttgttttttttttaattgttgaagtgttgttttataacagttaatgtacaggctaaaaattaatggaatacttcaaggatacggtctaacagagacatgttgcgccgtattaatcaccccacacgaccatgttaaaacaggttctactgggaaagtcgccccgtacgtgcaagcgaaagttgtagatcttagcaccggaaaatctctagggccaaataaaagaggagaactttgctttaaaagcgagataattatgaaaggttatttcaacaatataaaggctacggaagaggctatcgataaagaaggatggttacattctggagatgtcgggtattatgatgaagatggtcatttctacgtagtagatcgtttaaaagaacttatcaagtacaagggatatcaagtatgtcgatttttatttaagtgaacgtgtatgaatttaagaccctttatgtattttaggttgcaccggctgaattggaatggttgcttttgcaacatccagctatcaaagacgccggtgttactggcgttcctgacgaagctgccggagaacttccgggtgcttgcatagtccttgaagaaggacatagtcttaccgaacaagaagttattgaatatgtagccggtgagttttagtagcatttttagtttttaatcaattgcgcatttttttcgtagaacgtgtttctccaactaaacgtatacgtggtggagtagttttcgttgatgatatacccaaaggagcgactggaaaactcgtcagaagtgaattacggagaatgctttctcagaagaaatcgaaactataa
配列番号1のアミノ酸配列をヒトコドン最適化した塩基配列を配列番号3に示す。遺伝子合成はライフテクノロジーズジャパン株式会社に委託して行った。配列番号3に示される配列は以下の通りである。
配列番号3
atgcccaacgagattgtgctgcacggcgccaagcccagggaccctctggatctgggcacagccggcagccagctgttcagaagcctgacccagttcagctacctgcgcgaggccctggtggacgcccacaccgaacaggtggtgtcctacgccgacatcctggaaaacagctgcagactggccatctgcttcgagaagtacggcctgcggcagaacagcgtgatcgccgtgtgcagcgagaacagcgccatcttcttctaccctgtgatcgccgccctgtacatgggcatcatcaccgccaccgtgaacgacaactacaccgagagagagctgttcgacaccctgaacatcagcaagcccgagctggtgttctgcagcaagaaggccatcaagaatctgacccagctgaagaaccacatcgacttcatcaagaaactggtggtgctggacagcgacgaggacatcggcgaggtggaaagcctggccaacttcatgaagcggtacagcgagtccgtgatcgacgtgcggaacttcaagccccgggacttcgacgccaaagaacaggtggccctgatcatgagcagcagcggcaccaccggcctgcctaagggcgtggtgctgacccaccggaacctgagcgtgcgcttcgtgcactgcaaggaccctctgttcggcaccagaaccgtgcccagcaccagcatcctgagcatcgtgcccttccaccacgccttcggcatgttcaccaccctgagctacttcatcgtgggcctgagagtgatcctgctgaagagattcgaggaagagttcttcctgagcaccatcgagaagtatcgcatccccaccatcgtgctggcccctcccgtgatggtgttcctggccaagagccccctggtggatcagtacgacgtgtccagcatcagagaggtggccaccggcggagcccctgtgggaattgaagtggccgaggccgtggccaagcggctgaagatcaacggcatcctgcagggctacggcctgaccgagacatgctgcgccgtgctgatcaccccccacgaccacgtgaaaaccggcagcaccggcaaggtggccccctatgtgcaggccaaggtggtggacctgtccaccggcaagagcctgggccccaacaagcggggcgagctgtgcttcaagagcgagatcatcatgaagggctacttcaacaacatcaaggccaccgaggaagccatcgacaaagagggctggctgcacagcggcgacgtgggctactacgacgaggacggccacttctacgtggtggaccggctgaaagagctgatcaagtacaagggctaccaggtggcacctgccgagctggaatggctgctgctgcagcaccccgccatcaaggatgccggcgtgaccggcgtgccagatgaagctgctggcgagctgcctggcgcctgtatcgtgctggaagagggccactccctgaccgagcaggaagtgatcgagtacgtcgccgagcgggtgtcccccaccaagagaatcagaggcggcgtggtgttcgtggacgacatccctaagggcgccacaggcaagctggtgcgcagcgagctgcggcggatgctgagccagaaaaagtccaagctgtga
以下、この新規のルシフェラーゼを星虫ルシフェラーゼと称する。
[実施例2:新規ルシフェラーゼの酵素学的なパラメータの測定]
1.新規星虫ルシフェラーゼ遺伝子のタンパク質発現
星虫ルシフェラーゼ遺伝子を大腸菌でタンパク質発現させるため、pRSET−Bベクター(インビトロジェン)に導入した。遺伝子発現ベクターの構築は標準的な方法に従い以下のように実験を実施した。
1−1.新規星虫ルシフェラーゼ遺伝子の遺伝子発現ベクターへの導入
配列番号1に示すアミノ酸をコードするルシフェラーゼ遺伝子を、pRSET−Bベクターの制限酵素サイトBamHI−EcoRI間に導入するため、開始コドンおよびその前に制限酵素BamHI認識配列GGATCCを含むプライマー、並びに終始コドンおよびその後ろに制限酵素EcoRI認識配列GAATTCを含むプライマーを作製した。このプライマー対を用いて、ルシフェラーゼ遺伝子の両端に上述の制限酵素認識部位を含んだ断片の増幅を行った。PCRにはポリメラーゼKOD−Plus(東洋紡績株式会社)を用いて、マニュアルに従って実施した。
最終濃度が等倍の10×PCR Buffer、最終濃度が各0.2mMのdNTP Mixture(各2.5mM)、最終濃度が1.0mMのMgSO、最終濃度が0.02U/μlのTOYOBO KOD−Plus(1U/μl)、最終濃度がそれぞれ0.3μMのプライマー対を含む20μlのPCR反応溶液を作製し、そこへ鋳型としてBamHIとEcoRI認識配列を持たないルシフェラーゼ遺伝子の溶液を0.4μl加えた。PCR反応は、最初に94℃2分間の熱変性を行った後、94℃30秒、55℃30秒および68℃2分を30サイクル繰り返し、最後に68℃5分間の伸長反応を行った。PCR反応後、1μlのPCR反応溶液を、1%TAEアガロースゲルを用いて電気泳動し、エチジウムブロマイド染色後、紫外線照射下で増幅遺伝子のバンドを観察した。遺伝子増幅が認められたため、このPCR反応溶液を通常のエタノール沈殿法により沈殿濃縮し、制限酵素処理用10×H Bufferを4μl、制限酵素BamHI(東洋紡績株式会社)および制限酵素EcoRI(東洋紡績株式会社)を各2μlならびに滅菌脱イオン水32μlを加えて溶解し、37℃で2時間保温して制限酵素処理した。その後、この反応溶液をエタノール沈殿法により沈殿濃縮した後、滅菌脱イオン水に溶解した。この溶液を、1%TAEアガロースゲルを用いて電気泳動し、エチジウムブロマイド染色を行った。紫外線照射下において確認されるDNAバンドを含むゲルを、ナイフを用いて切り出した。この切り出したゲルからWizard(R) SV Gel and PCR Clean−Up System(プロメガ)を用いてDNAを抽出した。これらの操作はマニュアルに従って実施した。その後、Ligation Pack(ニッポンジーン)をマニュアルに従って用いて、あらかじめ同様の方法で制限酵素BamHIと制限酵素EcoRIで処理したpRSET−Bベクターに抽出したDNAを導入した。このベクターDNAを大腸菌JM109(DE3)株に形質転換し、コロニーを形成させた。
得られたコロニーを鋳型としてダイレクトコロニーPCRを実施し、pRSET−Bに導入したルシフェラーゼ遺伝子を増幅した。ダイレクトコロニーPCRは、T7 promoter Primer(5’−TAA TAC GAC TCA CTA TAG GG−3’:配列番号10)およびT7 Reverse Primer(5’−CTA GTT ATT GCT CAG CGG TGG−3’:配列番号11)のプライマー対を用いて行った。最終濃度が等倍の10×Ex Taq Buffer(20mM Mg2+plus)、最終濃度が各0.2mMのdNTP Mixture(各2.5mM)、最終濃度が0.05U/μlのTaKaRa Ex Taq(5U/μl)および最終濃度がそれぞれ0.2μMのプライマーを含む10μlのPCR反応溶液を作製し、そこへ鋳型として少量の大腸菌コロニーを加えた。PCR反応は、最初に94℃2分間の熱変性を行った後、94℃30秒、50℃30秒および72℃2分を25サイクル繰り返し、最後に72℃5分間の伸長反応を行った。PCR反応後、1μlのPCR反応溶液を、1%TAEアガロースゲルを用いて電気泳動し、エチジウムブロマイド染色後、紫外線照射下で増幅遺伝子のバンドを観察した。
増幅が確認できたPCR反応溶液について、ダイレクトシークエンシング法を用いてその遺伝子の塩基配列の決定を行った。PCR産物精製キットExoSAP−ITを用いて、PCR反応溶液に含まれる余剰なdNTPおよびプライマーを除去し、PCRダイレクトシークエンシングのための鋳型を調製した。BigDye Terminator v3.1 Cycle Sequencing Kitを用いて、この鋳型を含むシークエンシング反応溶液を調製し、サーマルサイクラーを用いてシークエンシング反応を行った。シークエンスには、ベクタープライマーまたは遺伝子特異的なプライマーを用いた。PCR産物の精製およびシークエンシングはそれぞれマニュアルに従って実施した。シークエンシング反応後、反応産物の精製を次の通りに行った。反応溶液に2.5倍量の100%エタノールを加え、遠心機を用いて核酸を沈殿させた。次に、上精を取り除いた後、70%エタノールを加えて沈殿を洗浄し、遠心機を用いて核酸を沈殿させた。最後に、上精を取り除いた後、沈殿を乾燥させた。精製した沈殿にHi−Di Formamide(アプライドバイオシステムズ)を15μl加え、溶解させた。この溶液を94℃2分間の熱変性させ、更に氷上で急冷して、塩基配列を決定するためのサンプルとした。このサンプルをApplied Biosystems 3130xl ジェネティックアナライザを用いて塩基配列を読み取り、正常に遺伝子発現ベクターpRSET−Bに導入されていることを確認した。
2.発光タンパク質の精製
JM109(DE3)を含む大腸菌溶液50μlにルシフェラーゼ発現ベクター0.5μlを添加し、氷上で10分、その後42℃で1分、最後に氷上で2分インキュベートした。その後、大腸菌溶液50μlをSOC培地200μlに加えた。その大腸菌/SOC培地混合溶液を37℃で20分間振とうしながらインキュベートした。インキュベート後のサンプル100μlをLB培地プレート(100μg/mlアンピシリンを含む)にストリークし、37℃で一晩インキュベートした。翌日得られたコロニーをピックアップし、500mlスケールのLB培地で培養した。培養は37℃で24時間、18℃で24時間行った。合計48時間の培養の後、遠心分離で菌体を回収し、0.1M Tris−HCl溶液(pH8.0)に再度懸濁して超音波破砕した。菌体破砕液を遠心分離(15000rpm、10分)し、沈査を除去して上清を回収した。ベッドボリューム2mlのカラムにNi−Agar懸濁液500μlと0.1M Tris−HCl2mlを加え、カラムを平衡化した。回収した上清をカラムに添加し、自然落下させた。上清の全量がカラムを通過するまでの間の操作は全て4℃の条件で行った。25mMイミダゾール/0.1M Tris−HCl溶液2mlでカラムを洗浄した。洗浄後のカラムに500mMイミダゾール/0.1M Tris−HCl溶液を2ml加え、ルシフェラーゼを溶出した。溶出されたサンプルをゲルろ過カラムPD−10(GEヘルスケア)でろ過し、脱塩した。脱塩後のサンプルをVivaspin6(ザルトリウス)で限界ろ過し、濃縮されたサンプルにグリセリンを添加して、50%グリセリン溶液とした。保存は−20℃で行った。
3.発光スペクトルの測定
測定のための装置としてLumiFlSpectroCapture(ATTO)を用い、0.1Mクエン酸/0.1M NaHPO buffer(pH5.5−8.0)に1mM D−ルシフェリン、2mM ATPおよび4mM MgClを含む溶液に、精製酵素を1μg/mlの最終濃度で添加し、酵素添加後15秒経過時点で発光スペクトルを測定した。測定結果を図1に示す。
図1に示されるように、取得されたルシフェラーゼは、pH5.5〜8.0の環境における最大発光波長が557〜562nmであった。より詳細には、pH8.0の環境において、562nm付近に最大発光波長を示した。また、pH7.5において559nm付近、pH7.0において557nm付近、pH6.5において557nm付近、pH6.0において557nm付近およびpH5.5において557nm付近となった。
4.速度論的解析
4−1.D−ルシフェリンおよびATPの濃度の決定
D−ルシフェリン溶液中のD−ルシフェリン濃度およびATP溶液中のATP濃度を以下の通りに決定した。
UV−Visible Spectrometer(Hitachi)を用いて、D−ルシフェリン溶液およびATP溶液の紫外可視吸収スペクトルを測定し、この測定結果と以下のε値とから濃度を算出した。
D−ルシフェリン:λmax 328nm、ε18200、pH5.0
ATP:λmax 259nm、ε15400、pH7.0。
測定はそれぞれ10回ずつ行い、吸光度の平均値を濃度算出に用いた。このように濃度を決定したD−ルシフェリン溶液およびATP溶液を用いて、以下のKm値算出を行った。
4−2.D−ルシフェリンに対するKm値の測定
様々なD−ルシフェリン濃度の環境下において、得られたルシフェラーゼによる発光の強度を測定した。測定結果に基づいて、D−ルシフェリンに対するKm値を決定した。
D−ルシフェリンを0.1M Tris−HCl(pH8.0)に添加して、異なる濃度の8種類のD−ルシフェリン溶液を作製した。これらの溶液は、D−ルシフェリンの終濃度がそれぞれ0.625、1.25、2.5、5、10、20、40および80μMとなるようにD−ルシフェリンを含む。これらのD−ルシフェリン溶液を96穴マイクロプレートに50μlずつ分注した。各種精製ルシフェラーゼ、4mM ATPおよび8mM MgSOを含む0.1M Tris−HCl(pH8.0)溶液をルミノメーターの標準ポンプに接続し、当該溶液をウェルに50μl添加すると同時に測定を行った。測定にはLuminescensor(ATTO)を使用した。測定は各ルシフェリン濃度について3回ずつ行った。
得られたフォトンカウント値のピーク強度を初速度Vとして、ルシフェリン濃度Sに対してプロットした。このプロットにミカエリス・メンテン型のカーブフィッティングを行い、Km値を算出した。カーブフィッティングは非線形の最小二乗法で行い、パラメータの探索にはニュートン法を用いた。
4−3.ATPに対するKm値の測定
様々なATP濃度の環境下において、得られたルシフェラーゼによる発光の強度を測定した。測定結果に基づいて、ATPに対するKm値を決定した。
ATPを0.1M Tris−HCl(pH8.0)に添加して、異なる濃度の8種類のATP溶液を作製した。これらの溶液は、ATPの終濃度がそれぞれ10、20、40、80、160、320、480および640μMとなるようにATPを含む。これらのATP溶液をそれぞれ96穴マイクロプレートに50μlずつ分注した。各種精製ルシフェラーゼ、1mM D−ルシフェリン、8mM MgSOを含む0.1M Tris−HCl(pH8.0)溶液をルミノメーターの標準ポンプに接続し、当該溶液をウェルに50μl添加すると同時に測定を行った。測定は各ATP濃度について3回ずつ行った。
得られたフォトンカウント値のピーク強度を初速度Vとして、ATP濃度Sに対してプロットした。このプロットにミカエリス・メンテン型のカーブフィッティングを行い、Km値を算出した。カーブフィッティングは非線形の最小二乗法で行い、パラメータの探索にはニュートン法を用いた。
上記のようにして決定されたD−ルシフェリンに対するKm値およびATPに対するKm値を表1に示す。表1には、同様に測定した既知のルシフェラーゼの各Km値も示される。GL3とはP. pyralis由来のルシフェラーゼである。また、ELuc、CBGおよびCBRとは既知のコメツキムシ由来のルシフェラーゼである。これらの既知のルシフェラーゼは市販のものを使用した。
Figure 0005995372
さらに、これらの結果について、縦軸をATPに対するKm値とし、横軸をD−ルシフェリンに対するKm値としてプロットした図を、図2として示す。
[実施例3:発光強度の測定]
星虫ルシフェラーゼをHeLa細胞で発現させた場合の発光強度をP. pyralis由来ルシフェラーゼの発光強度と比較した。
星虫ルシフェラーゼにおいて、哺乳細胞での発現に最適化した遺伝子を含む核酸にKozak配列を付与し、pF9A CMV hRLuc neo Flexi vector(Promega)のマルチクローニングサイトのSgfIおよびPmeIのサイト間に挿入した。Kozak配列付与後は開始コドン直後のアミノ酸配列がプロリンからアラニンになる。pF9Aベクターは内部コントロールとしてウミシイタケ由来ルシフェラーゼ遺伝子をベクター配列に含んでおり、マルチクローニングサイトに挿入された発光遺伝子の発光強度をウミシイタケ由来ルシフェラーゼの発光強度との比として算出することが可能である。また、比較のために、既知であるP. pyralis由来ルシフェラーゼの遺伝子において哺乳細胞における発現に最適化させた遺伝子を含む核酸にKozak配列を付与し、同様にpF9A CMV hRLuc neo Flexiベクターに挿入した。
このようにして得られた2種のプラスミドを、24穴のプレートに播種したHeLa細胞にそれぞれリポフェクション法で遺伝子導入し、24時間後PBSで細胞を洗浄した。24穴プレートの各ウェルに2mM D−ルシフェリン/CO2 Independent Medium(Invitrogen)を500μlずつ添加し、25℃、各ウェルあたり1秒間測定の条件でLuminescensor(ATTO)を用いて90分間発光強度を測定した。90分経過時点の発光強度を星虫またはP. pyraris由来ルシフェラーゼの発光強度とした。各ウェル内の培養液を除去した後、PBSで各ウェルを3回洗浄した。次に各ウェルに10μMセレンテラジン/CO2 Independent Mediumを500μlずつ添加し、25℃、各ウェルあたり1秒間測定の条件でLuminescensorを用いて30分間発光強度を測定した。セレンテラジン添加後、5分経過時点の発光強度を内部コントロールであるウミシイタケルシフェラーゼの発光強度とする。星虫またはP. pyralis由来ルシフェラーゼの発光強度をウミシイタケルシフェラーゼの発光強度で除算した値を計算し、算出されたその値を各ルシフェラーゼの発光強度としてグラフ化した。その結果を図3に示す。星虫由来ルシフェラーゼはHeLa細胞内でP. pyralis由来ルシフェラーゼの1.5倍の発光強度であることが示された。
[実施例4:星虫ルシフェラーゼの安定化]
変異型星虫ルシフェラーゼをHeLa細胞で発現させた場合の発光強度を、配列番号1に示す野生型星虫ルシフェラーゼの発光強度と比較した。
まず、変異型星虫ルシフェラーゼを作製した。実施例3にて作製した、コドンを最適化し且つKozak配列を付与した野生型星虫ルシフェラーゼの遺伝子を含むベクターに、変異導入用のプライマー(配列番号12)を用いて変異を導入した。これによって得られる変異型星虫ルシフェラーゼ遺伝子は、344番目のシステインがセリンに置換されたルシフェラーゼをコードする。変異導入の方法は、Asako Sawano and Atsushi Miyawaki, Nucleic Acids Research,2000, Vol.28, No.16, E78に記載の方法に沿って行った。変異導入後、sequencingにより配列を確認し、目的の変異が導入されたことを確認した。得られた変異体の塩基配列を配列番号13に、アミノ酸配列を配列番号14に示す。なお、配列番号14に記載されるアミノ酸配列は、Kozak配列を付与したことにより、2番目のアミノ酸がアラニンになっている。Kozak配列を付与せず、C344S変異のみを導入した後のアミノ酸配列は配列番号15に示す。配列番号13および15に示される配列は以下の通りである。
配列番号13
atggccaacgagattgtgctgcacggcgccaagcccagggaccctctggatctgggcacagccggcagccagctgttcagaagcctgacccagttcagctacctgcgcgaggccctggtggacgcccacaccgaacaggtggtgtcctacgccgacatcctggaaaacagctgcagactggccatctgcttcgagaagtacggcctgcggcagaacagcgtgatcgccgtgtgcagcgagaacagcgccatcttcttctaccctgtgatcgccgccctgtacatgggcatcatcaccgccaccgtgaacgacaactacaccgagagagagctgttcgacaccctgaacatcagcaagcccgagctggtgttctgcagcaagaaggccatcaagaatctgacccagctgaagaaccacatcgacttcatcaagaaactggtggtgctggacagcgacgaggacatcggcgaggtggaaagcctggccaacttcatgaagcggtacagcgagtccgtgatcgacgtgcggaacttcaagccccgggacttcgacgccaaagaacaggtggccctgatcatgagcagcagcggcaccaccggcctgcctaagggcgtggtgctgacccaccggaacctgagcgtgcgcttcgtgcactgcaaggaccctctgttcggcaccagaaccgtgcccagcaccagcatcctgagcatcgtgcccttccaccacgccttcggcatgttcaccaccctgagctacttcatcgtgggcctgagagtgatcctgctgaagagattcgaggaagagttcttcctgagcaccatcgagaagtatcgcatccccaccatcgtgctggcccctcccgtgatggtgttcctggccaagagccccctggtggatcagtacgacgtgtccagcatcagagaggtggccaccggcggagcccctgtgggaattgaagtggccgaggccgtggccaagcggctgaagatcaacggcatcctgcagggctacggcctgaccgagacatgcagcgccgtgctgatcaccccccacgaccacgtgaaaaccggcagcaccggcaaggtggccccctatgtgcaggccaaggtggtggacctgtccaccggcaagagcctgggccccaacaagcggggcgagctgtgcttcaagagcgagatcatcatgaagggctacttcaacaacatcaaggccaccgaggaagccatcgacaaagagggctggctgcacagcggcgacgtgggctactacgacgaggacggccacttctacgtggtggaccggctgaaagagctgatcaagtacaagggctaccaggtggcacctgccgagctggaatggctgctgctgcagcaccccgccatcaaggatgccggcgtgaccggcgtgccagatgaagctgctggcgagctgcctggcgcctgtatcgtgctggaagagggccactccctgaccgagcaggaagtgatcgagtacgtcgccgagcgggtgtcccccaccaagagaatcagaggcggcgtggtgttcgtggacgacatccctaagggcgccacaggcaagctggtgcgcagcgagctgcggcggatgctgagccagaaaaagtccaagctgtga
配列番号15
MPNEIVLHGAKPRDPLDLGTAGSQLFRSLTQFSYLREALVDAHTEQVVSYADILENSCRLAICFEKYGLRQNSVIAVCSENSAIFFYPVIAALYMGIITATVNDNYTERELFDTLNISKPELVFCSKKAIKNLTQLKNHIDFIKKLVVLDSDEDIGEVESLANFMKRYSESVIDVRNFKPRDFDAKEQVALIMSSSGTTGLPKGVVLTHRNLSVRFVHCKDPLFGTRTVPSTSILSIVPFHHAFGMFTTLSYFIVGLRVILLKRFEEEFFLSTIEKYRIPTIVLAPPVMVFLAKSPLVDQYDVSSIREVATGGAPVGIEVAEAVAKRLKINGILQGYGLTETCSAVLITPHDHVKTGSTGKVAPYVQAKVVDLSTGKSLGPNKRGELCFKSEIIMKGYFNNIKATEEAIDKEGWLHSGDVGYYDEDGHFYVVDRLKELIKYKGYQVAPAELEWLLLQHPAIKDAGVTGVPDEAAGELPGACIVLEEGHSLTEQEVIEYVAERVSPTKRIRGGVVFVDDIPKGATGKLVRSELRRMLSQKKSKL
ここで使用したpF9Aベクターは内部コントロールとしてウミシイタケ由来ルシフェラーゼ遺伝子をベクター配列に含んでおり、マルチクローニングサイトに挿入された発光遺伝子の発光強度をウミシイタケ由来ルシフェラーゼの発光強度との比として算出することが可能である。
このようにして得られた変異型星虫ルシフェラーゼのプラスミドと実施例3にて作製したコドン最適化しKozak配列を付与した野生型星虫ルシフェラーゼのプラスミドとを、48穴のプレートに播種したHeLa細胞にそれぞれリポフェクション法で遺伝子導入し、24時間後PBSで細胞を洗浄した。48穴プレートの各ウェルに2mM D−ルシフェリン/CO2 Independent Medium(Invitrogen)を500μlずつ添加し、37℃、各ウェルあたり1秒間測定の条件でLuminescensor(ATTO)を用いて90分間発光強度を測定した。90分経過時点の発光強度を各由来ルシフェラーゼの発光強度とする。各ウェル内の培養液を除去した後、PBSで各ウェルを3回洗浄した。次に各ウェルに10μMセレンテラジン/CO2 Independent Mediumを500μlずつ添加し、37℃、各ウェルあたり1秒間測定の条件でLuminescensorを用いて30分間発光強度を測定した。セレンテラジン添加後、5分経過時点の発光強度を内部コントロールであるウミシイタケルシフェラーゼの発光強度とした。野生型または変異型ルシフェラーゼの発光強度をウミシイタケルシフェラーゼの発光強度で除算した値を計算し、算出されたその値を各ルシフェラーゼの発光強度としてグラフ化した。その結果を図4に示す。変異型星虫ルシフェラーゼはHeLa細胞内で野生型星虫ルシフェラーゼの4.9倍の発光強度であることが示された。
当業者は、付加的な利点および改変を容易に導入するであろう。したがって、本発明は、その広い側面において、ここに示されおよび記載された、詳細な説明および代表的な実施形態に限定されない。したがって、特許請求の範囲およびその均等物によって定義される一般的な発明概念の意図および範囲を逸脱することなく、様々な改変を行うことができる。

Claims (7)

  1. 配列番号1に記載のアミノ酸配列または配列番号15に記載されるアミノ酸配列を含むルシフェラーゼ。
  2. Diplocladon属に属する星虫に由来する請求項1に記載のルシフェラーゼ。
  3. pH5.5〜8.0の範囲のいずれのpHにおいても最大発光波長が557〜562nmの範囲内にある発光を誘導する請求項1に記載のルシフェラーゼ。
  4. Photinus pyralis由来のホタルルシフェラーゼによって誘導される発光の1.5倍の発光強度を有する発光を誘導する請求項1に記載のルシフェラーゼ。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のルシフェラーゼをコードする塩基配列を含む核酸。
  6. 前記ルシフェラーゼの遺伝子のコドンが哺乳類における発現に最適化された請求項5に記載の核酸。
  7. 配列番号2、配列番号3または配列番号13に記載される塩基配列を含む請求項5に記載の核酸。
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