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JP5990880B2 - 有用タンパク質組成物およびその製造方法 - Google Patents

有用タンパク質組成物およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は有用タンパク質の生理活性を安定に保持することが可能な組成物ならびに安定な有用タンパク質組成物の製造方法に関する。
タンパク質、特に酵素、生理活性を持つ有用タンパク質等は遺伝子組み換え技術などにより安価に量産できるようになっていることから、さまざまな分野、特に医薬、診断薬あるいは食品分野などで利用されるようになっている。一方でタンパク質は保存中にさまざまな外的要因(温度、光、pH、酸化)により容易にその高次構造が崩れ、その機能(生理活性)を失ってしまうという問題があることから、保存中それら外的要因からタンパク質を保護し生理活性を維持させる方法が研究されている。
現在、タンパク質の安定化方法として有用かつ一般的であるのは、他のタンパク質(ゼラチン、アルブミン、血清、コラーゲンなど)と混合させることであり、ゼラチンや血清と混合することで比較的長期間保存できるようになり、医薬品として製品化された酵素および生理活性タンパク質は多く知られている(特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4)。
免疫調節作用、抗ウイルス作用を持つ生理活性物質であり医薬用途で注目されているインターフェロン(IFN)の安定化について挙げるならば、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8においてアルブミンやゼラチンと混合することにより安定化する方法が開示されている。また、タンパク質以外の化合物でタンパク質の安定化作用がある化合物の例としては、糖類、特に単糖類、二糖類およびデキストランやヒドロキシエチルデンプンのような多糖類と混合させる方法(特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12)あるいはサイクロデキストリンや多価糖アルコールを安定化剤とする方法がある(特許文献13、特許文献14)。
チオール化合物とタンパク質の混合物の報告としては、システインを添加することで、所望の芳香供給成分の劣化を防止し食物または飲料製品の安定化を図る方法(特許文献15)があり、さらには、凍結乾燥処理において揮発しない有機酸および有機酸アルカリ金属塩、チオール構造を持った化合物およびアラビアゴムの少なくとも2つを有用タンパク質に添加することで、溶解後不溶性微粒子の発生が抑えられ、安定化がなされた有用タンパク質組成物およびその製造方法が明らかにされている(特許文献16)。
特開平2−264728号公報 特開平2−49734号公報 特開昭54−80406号公報 特開昭56−68607号公報 特開昭60−228422号公報 特開昭60−34919号公報 特開昭61−137828号公報 特開昭60−260523号公報 特開昭59−181223号公報 特公平6−51641号公報 特開昭61−44826号公報 特開昭60−155136号公報 特開昭58−92691号公報 特公平3−500882号公報 特表2004−518449号公報 特開2002−101879号公報
ところが、有用タンパク質組成物の酸化防止による安定化を目的としてチオール化合物を添加した場合、そのチオール化合物が空気中の酸素により酸化されることで抗酸化力を失ってしまったり、化合物によってはその酸化物が難溶性であることで保管中に沈殿を生じることで有用タンパク質の生理活性の低下が促進されるという問題がある。そこでチオール化合物を添加した場合でも該チオール化合物の酸化を防ぎ、有用タンパク質を安定に保存する方法や組成が望まれる。
したがって、本発明は、チオール化合物を含む有用タンパク質組成物に関して、添加されたチオール化合物の酸化を防ぐことで有用タンパク質の安定化を図ることを課題とする。
本発明者らは鋭意検討の結果、有用タンパク質、溶媒、チオール構造を持った化合物からなる有用タンパク質組成物の溶存酸素濃度を低減させることでチオール化合物の酸化、沈殿を防ぎ、タンパク質の活性を安定に保つことができることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は、有用タンパク質、溶媒、チオール構造を持った化合物を含み、溶存酸素濃度が3mg/L以下であることを特徴とする有用タンパク質組成物、もしくは有用タンパク質、溶媒、チオール構造を持った化合物を含む組成物に窒息性ガスを接触させることを特徴とする有用タンパク質組成物の製造方法である。
有用タンパク質、溶媒、チオール構造を持った化合物を含む組成物から酸素を除去することにより、安定なインターフェロンなどの有用タンパク質組成物を製造することができる。
図1は、実施例4におけるシステインとシスチン濃度の経時変化を示すグラフである。 図2は、実施例4における抗ウイルス活性の経時変化を示すグラフである。
本発明で用いる有用タンパク質としては特に限定されないが、チオール構造を持った化合物および溶媒によって活性を阻害されないタンパク質であればよい。任意で添加されうる酸またはその塩類、多糖類、糖類、アミノ酸類、タンパク質類、核酸類など添加しようとする物質によって活性を阻害されないタンパク質であればより望ましく、酵素や生理活性を持つタンパク質、例えばインターフェロン、インターロイキン、インシュリン、成長ホルモン、などが例として挙げられる。有用タンパク質として好ましくは、サイトカイン類であり、さらに好ましくは、インターフェロン−α、β、γまたはωである。インターフェロンとしては、好ましくは、脊椎動物のインターフェロンであり、さらに動物由来のインターフェロンであるイヌインターフェロン(α、β、γの各タイプ)、ネコインターフェロンωなどが好ましい。最も好ましくはイヌインターフェロンγである。
本発明においてタンパク質の保存安定性を向上させるために用いられるチオール構造を持つ化合物とは、チオール基を持つ化合物であればよいが、好ましくはタンパク質を失活させるような成分あるいはチオール構造によるタンパク質の保護作用を妨げるような成分を副成分として含まないすべてのチオール構造を持つ化合物であり、システイン、チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸ナトリウム、チオグリセロール、グルタチオンなどが含まれる。さらに好ましくはシステインを使用する。
本発明において用いられる溶媒は一般的に用いられるものであればよく、所望の有用タンパク質を変性させないものであれば、有機、無機のいかなる溶媒でもよい。好ましくは水または緩衝液が用いられる。緩衝液としては、一般的に用いられるものであればよいが、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、トリス緩衝液等が好ましく挙げられる。
有用タンパク質は温度変化、pH変化などの外的要因や、それに加えて空気中の酸素の影響で酸化され、その生理活性を失いやすい。しかしチオール構造を持つ化合物を含む溶液と混合しておくことで、有用タンパク質の酸化は抑制され、その生理活性は有意に保たれる。
とはいえ、チオール構造を持つ化合物もまた空気中の酸素の影響で酸化されやすく、酸化体となるとその抗酸化能力を失い、有用タンパク質の酸化を招く。さらにチオール化合物は酸化に伴って難溶性の化合物を作る場合がある。難溶性の化合物が生成すると、その化合物は容易に沈殿を生じ、それに伴って有用タンパク質の変性を招く。つまり、有用タンパク質の安定性を向上させるためには、有用タンパク質にチオール化合物を適当量添加した上で、その組成物に存在している酸素を除去し、チオール化合物及び有用タンパク質が酸化されにくい環境を作り出すことが有用であるといえる。
本発明者らは、特にインターフェロン活性を安定に保持できる組成物、またその製造方法を探索してきたが、特に組成物に含有されるチオール化合物の酸化反応による抗酸化能力の消失または難溶性のチオール化合物酸化体沈殿の発生、およびそれらの現象に伴うインターフェロン生理活性の失活に注目し、組成物に窒素などの窒息性ガスを接触、好ましくはバブリングを十分量実施することで酸素を除去し、チオール化合物の酸化反応を抑制し、インターフェロンの安定性を向上させることを見いだした。
上記酸素を除去する方法としては他の窒息性ガス、好ましくは酸化力を有しない窒息性ガスをバブリングすることや、組成物を減圧にして脱気することで、溶解している酸素を除去するなど、工業的に利用可能な方法が採用できる。
上記窒息性ガスを接触する場合、窒息性ガスとしては一般的に窒素、二酸化炭素、ネオン、アルゴン、ヘリウム、キセノン、塩素、ホスゲンなどがあげられるが、その中で好ましくは酸化力を有しない窒息性ガス、すなわち窒素、二酸化炭素、ネオン、アルゴン、ヘリウム、キセノンなどである。さらにこの中では窒素、アルゴンが好ましく、最も好ましくは窒素である。
バブリングをする方法としては、一般的に用いられる方法であればよく、窒息性ガスが流れるチューブを組成物の中、好ましくは中央底部に導入した状態で十分通気する方法などがあげられる。この場合、バブリングの効率を上げるために、組成物全体に通気できるパイピングやエアストーンを設置したり、均一に通気できるように組成物を攪拌しながら行うこともできる。
上記の方法などで酸素を除去したときの組成物中の溶存酸素濃度は、組成物の種類、安定的に保存したい期間によって制御されるべきであるが、一般的には3mg/L以下が望ましい。より酸化されやすい有用タンパク質を安定的に保存したい場合や、保存したい期間が長い場合には溶存酸素濃度をより低く保つ方が好ましい。好ましくは2mg/L以下である。下限としては検出されないことが好ましいが、0.01mg/L程度であれば、相当長い期間にわたり有用タンパク質を安定化することができる。
チオール構造を持った化合物の溶液中の濃度はいかなる濃度でも良いが、濃度が低すぎると保存安定性の向上効果が少なく、高濃度であれば沈殿が生じやすいことが懸念される。本発明において好ましく用いられるシステインの場合は、0.1〜0.8g/Lの濃度が好ましい。他のチオール構造を有する化合物を用いる場合も所望の安定性を得るための有効量が含まれる濃度であればよい。
システインを用いるとき、その残存の割合が組成物全体の抗酸化作用に影響を与える。システインが酸化されたシスチンはその構造上、抗酸化能力を有しないため、そのシスチンの割合は低い方が望ましい。したがって、シスチンの割合は多くとも存在するシステインとシスチンの合計量の50質量%、好ましくは40質量%以下である。
保存が長期に及ぶ場合には該組成物を凍結もしくは凍結乾燥して保存することが好ましい。凍結保存する場合の保存温度は組成物が融解しない程度の低温であれば何度でもよく、融解した後においては液体状態で保存する場合と同様である。
凍結乾燥する場合には、残存溶液量が少ないほど保存性が増すため、可能な限り乾燥させる方がよい。溶媒として水または緩衝液を用いた場合、好ましくは水分7重量%以下まで乾燥させる方がよい。このように凍結乾燥処理した該組成物は通常の保管条件で安定に長期保存することができる。好ましくは室温または冷暗所保存(例えば0〜30℃)であり、さらに好ましくは冷暗所(例えば0〜10℃)である。特に冷暗所保存であれば数年を超える期間安定に保存することが可能である。また、50℃という苛酷な条件下においても1ヶ月以上の保存性が望める場合がある。なお凍結乾燥品は水、緩衝液、生理食塩水などの溶媒で再溶解し、溶液に復元して使用することになるが、再溶解後の保存に関しては液体状態での保存方法と同様である。
上記のチオール構造を持った化合物を含む有用タンパク質組成物は、そのタンパク質の持つ機能に基づきさまざまな用途に用いられ得る。
有用タンパク質が医薬用途として有用でありかつ医薬用途として問題のないグレードであるならば、添加される物質を日本薬局方収載または医薬品添加グレードにすることが望ましい。しかし、全ての物質を日本薬局方収載または医薬品添加グレードにすることが必須ではない。
また、医薬用途以外に各種の測定や診断の目的で使用されている酵素類についても、本発明によって開示される保存安定性向上方法、組成物を利用することによって、その保存安定性が向上し、長期間の使用が可能になることが期待できる。
チオール構造を持った化合物を含む有用タンパク質組成物はその他有機酸および有機酸アルカリ金属塩、およびアラビアゴムなどの成分をはじめとするタンパク質の活性を阻害しないあらゆる化合物を含むことができる。例えば、アラビアゴム以外の多糖類、ポリエチレングリコールをはじめとするポリオール類、ソルビトールのような糖類、グリシンのようなアミノ酸類あるいはゼラチンのようなタンパク質を添加してもよい。好ましくはアラビアゴム、ポリエチレングリコール、グリシンである。
界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としてはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
また塩化ナトリウムを添加しても問題ないことから、例えば該組成物を注射用医薬品として用いる場合には塩化ナトリウムで浸透圧を調整することができる。特に、低濃度の有用タンパク質を溶液中または凍結乾燥品として安定に保存するためには、チオール構造を持った化合物に加えて、上記したようなタンパク質の活性を阻害しないあらゆる化合物を含むことができ、さらに界面活性剤を添加することが有用である。これらの場合も、組成物から酸素を除去することで、組成物の酸化を抑制し安定化を図ることが可能となる。
このように本発明の有用タンパク質組成物、および有用タンパク質組成物の製造方法は、有用タンパク質溶液を液体のまま使用する用途のみならず、有用タンパク質溶液を凍結乾燥して製剤とした後、再度溶媒によって再溶解するような用途、例えば注射用医薬品、診断薬などの製造においても有用である。再溶解するための溶媒としては水、緩衝液、生理食塩水などが好ましく用いられる。
本発明において有用タンパク質の製造方法に限定はなく、例えば有機合成法、組換えDNA技術を用いて製造されたタンパク質あるいは天然物からの抽出・精製により製造されたタンパク質など、あらゆる手法でつくられたタンパク質に適用できる。例えば、有用タンパク質として大腸菌またはカイコにより生産されたイヌインターフェロン−γやネコインターフェロンωなどの安定化に好ましく適用できる。
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明する。窒素ガスは高純度窒素(酸素濃度10ppm以下)のものを用いた。
参考例
<カイコによるイヌインターフェロン−γの作成>
特開平9−234085号公報の実施例1から10に開示された遺伝子組換えバキュロウイルスrBNVγのウイルス液を5令2日のカイコ幼虫に接種し、25℃で4日間、市販の人工飼料(カネボウシルクエレガンス社製)を与えて飼育した。50頭のカイコ腹部を切り、0.01%の塩化ベンザルコニウムを含む500mlの50mM酢酸バッファー(pH3.5)に浸漬し、4℃で20時間保持した。得られたカイコ体液抽出液を2NNaOH で中和した後に、5000rpmで15分間遠心分離し上清を回収した。得られた上清をホロファイバー型の限外濾過膜装置(Amicon社製、分子量分画サイズ10万、HIP40−100)を用いて限外濾過を行った。この処理液を銅キレートカラムに通過させた後、Qセファロースカラムにかけ、20mMグリシン緩衝液(pH9.0)で洗浄後、塩化ナトリウムの直線的な濃度勾配により吸着物を溶出する。その溶出画分の中から逆層HPLC分析によりイヌIFN−γを含む画分を回収し、さらにブルーセファロースカラムにかけ、20mM酢酸緩衝液(pH5.5)で洗浄後、塩化ナトリウムの直線的な濃度勾配により吸着物を溶出する。その溶出画分の中から逆層HPLC分析によりイヌIFN−γを含む画分を回収し、これを脱塩処理したものをイヌIFN−γサンプルとして安定化剤の検討に用いた。
<抗ウイルス活性測定法>
イヌインターフェロン−γの活性は抗ウイルス活性として、プロバーら(Prober et al), サイエンス(Science) 238,3 36-341(1987)の文献に従いCPE法により測定した。測定用ウイルスとしてベシキュラーストマチクス ビールス(Vesicular Stomatitis Virus)を用い、感受性細胞としてはイヌMDCK(ATCC CCL−34)細胞を用いた。すなわち、96穴マイクロプレート上にコンフルーエントとなるまで37℃で培養されたイヌMDCK細胞にイヌIFN−γを含むサンプルの希釈液を加え、さらに37℃で20〜24時間培養し、抗ウイルス活性を誘導させた。さらにVSVを加え37℃で16〜20時間培養した後、生存してマイクロプレート上に付着しているイヌMDCK細胞を20%ホルマリンを含むクリスタルバイオレット染色液で染色した。マイクロプレート上のクリスタルバイオレットの量を570nmにおける吸光度を測定することによって、細胞を50%生存させる時のイヌIFN−γ量を抗ウイルス活性1ユニット(1U)と定義した。
なお、本法によって得られる抗ウイルス活性のデータの標準偏差は32%である。
<システイン、シスチン測定法>
システイン、シスチンは小山純一ら、分析化学Vol.37, 142-146(1988)の文献を基にHPLC法で定量した。すなわち、島津製作所製高速液体クロマトグラフに同社製紫外分光光度検出器(検出波長210nm)を接続した。使用した分離カラムは資生堂製のCAPCELL PAK C18、粒径5μmであり、これを40℃で保温した。移動相には0.1%(V/V)リン酸、5%(V/V)アセトニトリル、3.5mMヘプタンスルホン酸ナトリウム水溶液を使用した。移動相の流量は0.4mL/minとした。
なお、既知濃度のシステインおよびシスチン水溶液を事前に分析し、検量線を描画しておくことで、サンプル中に含まれるシステインおよびシスチンを定量することが可能となる。
<溶存酸素濃度測定法>
液体中の溶存酸素はサーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製ポータブル型マルチメーターで測定した。
実施例1、比較例1
参考例の<カイコによるイヌインターフェロン−γの作成>に従って製造したイヌIFN−γサンプルにアラビアガム、システイン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、クエン酸三ナトリウム、クエン酸、酢酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、グリシンをそれぞれ終濃度10g/L、0.48g/L、0.1g/L、3.79g/L、0.44g/L、0.21g/L、5g/L、0.74g/Lになるように加えた。これを2本調製し、うち1本には窒素ガスを組成液に対して体積比で約25倍量、約20分間かけてバブリングした。もう1本はバブリングしなかった。
これらの溶存酸素濃度を測定した結果を表1に示す。
Figure 0005990880
また、これらを7日間4℃で保管した後にシステイン、シスチン濃度を測定した。結果を表2に示す。
Figure 0005990880
表1から、窒素バブリングによって溶存酸素の有意な低下が認められ、その結果、表2に示すとおりシスチンの生成を著しく抑えることができた。
実施例2、比較例2
実施例1に示したものと同様に組成物を2本調製し、うち1本には窒素ガスを組成液に対して体積比で約50倍量、約40分間かけてバブリングした。もう1本はバブリングしなかった。
これらの溶存酸素濃度を測定した結果を表3に示す。
これらを24日間4℃で保管した後にシステイン、シスチン濃度を測定した。結果を表4に示す。
Figure 0005990880
Figure 0005990880
また、窒素をバブリングすることで抗ウイルス活性に悪影響を及ぼさないことを確認するため、バブリング直後に抗ウイルス活性を測定した。結果を表5に示す。
Figure 0005990880
表4より、実施例1に比較して多量の窒素バブリングによって著しくシスチンの生成が抑えられた。窒素バブリングしなかったサンプルでは多量のシスチン沈殿が存在していた。さらに、表5からは窒素バブリングが抗ウイルス活性に影響を及ぼさないことが確認できた。
実施例3、比較例3
実施例2に示した組成物2種類(窒素バブリングあり/なし)を調製後7日間4℃で保管した後、凍結乾燥処理を行った。凍結乾燥物に対し凍結乾燥前の体積の1.2倍量の生理食塩水を加え、水溶液に復元したものに対して、システイン、シスチン濃度および抗ウイルス活性を測定した。結果を表6および表7に示す。
Figure 0005990880
Figure 0005990880
表6より、凍結乾燥製剤においても、多量の窒素バブリングによって著しくシスチンの生成が抑えられた。さらに、表7からは窒素バブリングが抗ウイルス活性に影響を及ぼさないことが再確認できた。
実施例4、比較例4
実施例3に示した、凍結乾燥物を水溶液に復元したものを、4℃で保管することにより、沈殿の発生とシステイン、シスチン濃度、抗ウイルス活性の経時変化を測定した。結果を表8、図1および図2に示す。
Figure 0005990880
表8の通り、窒素バブリングの有無によって保管物の沈殿発生日に大きな変化が見られた。窒素バブリングを行っていないサンプルでは7日で沈殿が発生し始めたのに対し、窒素バブリングを行ったサンプルでは77日を経るまで沈殿は発生しなかった。
また、図1に示すシステインとシスチン濃度においても、窒素バブリングによってシスチンの生成が有意に抑えられ、安定性が保たれていることが明らかであった。さらに抗ウイルス活性においても、窒素バブリングを行っていないサンプルでは14日時点において明らかな活性低下が見られるのに対し、窒素バブリングを行ったサンプルでは84日時点においても当初の活性を保っていた。

Claims (9)

  1. イヌインターフェロン−γ、クエン酸3ナトリウムまたはクエン酸、システインを含み、溶存酸素濃度が3mg/L以下であることを特徴とする有用タンパク質組成物。
  2. システインの濃度が0.1〜0.8g/Lであることを特徴とする請求項1記載の有用タンパク質組成物。
  3. シスチンの濃度が存在するシステインとシスチンの合計量の40質量%以下であることを特徴とする請求項1または2記載の有用タンパク質組成物。
  4. 界面活性剤、ポリエチレングリコール、グリシン、塩化ナトリウムならびにアラビアゴムの少なくとも一つを含む請求項1〜3いずれかに記載の有用タンパク質組成物。
  5. 請求項1〜4いずれかに記載の有用タンパク質組成物を凍結乾燥する有用タンパク質組成物の製造方法
  6. 凍結乾燥後、溶液に復元することを特徴とする請求項5記載の有用タンパク質組成物の製造方法
  7. 請求項1〜いずれかに記載の有用タンパク質組成物を含む注射用医薬品組成物。
  8. イヌインターフェロン−γ、クエン酸3ナトリウムまたはクエン酸、システインを含む組成物に窒素ガスを接触させることを特徴とする有用タンパク質組成物の製造方法。
  9. 有用タンパク質組成物全体に窒素ガスをバブリングさせることを特徴とする請求項8記載の有用タンパク質組成物の製造方法。
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