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JP5984111B2 - 再帰反射性を有する波長選択フィルタ及び窓材 - Google Patents

再帰反射性を有する波長選択フィルタ及び窓材 Download PDF

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JP5984111B2 JP2012080492A JP2012080492A JP5984111B2 JP 5984111 B2 JP5984111 B2 JP 5984111B2 JP 2012080492 A JP2012080492 A JP 2012080492A JP 2012080492 A JP2012080492 A JP 2012080492A JP 5984111 B2 JP5984111 B2 JP 5984111B2
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Description

本発明は、再帰反射性を有する波長選択フィルタに関し、特に入射光のうちの可視光は透過させて特定波長域(例えば、赤外線波長域)の光を選択的に再帰反射させるような再帰反射性を有する波長選択フィルタ及び窓材に関する。
太陽光には、可視光波長域の光以外に、例えば赤外線波長域の光(赤外線)も含まれている。このため、建物(オフィスビル、戸建て住宅、マンションなど)に設けられている透光性の窓ガラスに屋外から太陽光が入射すると、太陽光のうちの可視光と赤外線(赤外光)が入射するため、屋内の温度が上昇する。入射する赤外光による屋内の温度上昇を抑制するために、冷房設備を稼動させる必要がある。なお、可視光の波長域は400〜800nm程度であり、赤外線の波長域は800〜1600nm程度である。
ところで、近年、地球温暖化防止や電気エネルギーの消費削減等を目的とした省エネルギー対策のために、窓ガラスに入射する赤外線による屋内の温度上昇を抑えるための冷房に必要なエネルギーを節約することが望まれている。
このため、上記したような透光性の窓ガラス表面に、可視光のみを透過させ、赤外線は反射させる機能を有する薄膜をコーティングする構造が従来より知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−194169号公報
前記特許文献1に記載の構造では、例えば建物に設けた平面状の窓ガラスに太陽光が入射すると、太陽光に含まれる赤外線が窓ガラス表面の薄膜層(赤外線遮蔽膜)で正反射する。このため、上方から太陽光が平面状の窓ガラスに入射すると、その表面で正反射した赤外線が建物周囲のコンクリート路面等を照らすことで、照らされた領域の温度をその周囲よりも上昇させる。
これにより、特にビルディングが密集している都市部ではヒートアイランド現象が助長され、屋内を冷房するためのエネルギー消費量が増加するため、太陽光のうちの可視光のみを透過させ、赤外線を再帰反射させるようにすることが望まれている。
そこで、本発明は、入射光のうちの可視光のみを透過させ、かつ赤外線を選択して再帰反射させることができる再帰反射性を有する波長選択フィルタ及び窓材を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために本発明に係る再帰反射性を有する波長選択フィルタは、透光性を有する屈折率n1の第1の媒質と、透光性を有する屈折率n2(n2≠n1)の第2の媒質とが交互に周期的に積層され、かつ積層方向が傾斜して、その傾斜方向が面内で同一であり、積層された前記第1、第2の媒質の長手方向側の各端面が、それぞれ同一平面上にあり、かつ前記各端面同士が平行である屈折率変調構造を有する偏向性回折格子を備え、前記偏向性回折格子の光線が入射する側の面の法線方向に対して前記第1、第2の媒質の積層方向側から光線を入射させて、前記偏向性回折格子の前記屈折率変調構造により入射光線のうちの−1次反射回折光である第1の波長帯域の光を選択して再帰反射させ、前記第1の波長帯域と異なる第2の波長帯域の光を透過させることを特徴としている。
また、本発明に係る窓材は、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の再帰反射性を有する波長選択フィルタを、透光性を有するガラス外側表面又は内側表面に配置したことを特徴としている。
本発明に係る再帰反射性を有する波長選択フィルタによれば、偏向性回折格子の光線が入射する側の面の法線方向に対して第1、第2の媒質の積層方向側から光線を入射させて、偏向性回折格子の屈折率変調構造により入射光線のうちの第1の波長帯域の光を選択して再帰反射させ、第1の波長帯域と異なる第2の波長帯域の光を透過させることができるので、第1の波長帯域の光が赤外線で第2の波長帯域の光が可視光の場合には、入射光のうちの可視光のみを透過させ、かつ赤外線を選択して再帰反射させることができる。
また、本発明に係る窓材によれば、本発明の再帰反射性を有する波長選択フィルタをガラス外側表面又は内側表面に配置することにより、太陽光のうちの可視光のみがガラスを透過し、太陽光に含まれる赤外線を太陽光の入射方向側へ再帰反射させることができる。これにより、本発明の窓材を例えば建物の窓ガラスに適用することにより、赤外線が太陽光の入射方向側へ再帰反射されるので、窓ガラス(窓材)内側の室内の温度上昇を抑えることができ、かつ反射された赤外線が地表面側に向かわないので地表面周囲の温度上昇も抑制することができる。
本発明の実施形態に係る波長選択フィルタの構成を示す概略図。 本発明の実施形態に係る波長選択フィルタの製造方法の一例を示す図。 本発明の実施形態に係る波長選択フィルタの製造方法の一例を示す図。 本発明の実施例1の波長選択フィルタによるTE偏光(30°入射)における反射特性と透過特性を示した図。 本発明の実施例1の波長選択フィルタによるTM偏光(30°入射)における反射特性と透過特性を示した図。 本発明の実施例1の波長選択フィルタによるTE偏光(−30°入射)における反射特性と透過特性を示した図。 本発明の実施例1の波長選択フィルタによるTM偏光(−30°入射)における反射特性と透過特性を示した図。 本発明の実施例1の波長選択フィルタに対して、入射光が−30°で入射する場合を示した図。 本発明の実施例2の波長選択フィルタによるTE偏光(30°入射)における反射特性と透過特性を示した図。 本発明の実施例3の波長選択フィルタによるTE偏光(30°入射)における反射特性と透過特性を示した図。 本発明の実施例4の波長選択フィルタによるTE偏光(30°入射)における反射特性と透過特性を示した図。 本発明の実施例5における波長選択フィルタの構成を示す概略図。 本発明の実施例5の波長選択フィルタによるTE偏光(30°入射)における反射特性と透過特性を示した図。 比較例1における波長選択フィルタの構成を示す概略図。 比較例1の波長選択フィルタによるTE偏光(30°入射)における反射特性と透過特性を示した図。 比較例2における波長選択フィルタの構成を示す概略図。 比較例2の波長選択フィルタによるTE偏光(30°入射)における反射特性と透過特性を示した図。 本発明の波長選択フィルタが配置された窓ガラスを示す概略図。
以下、本発明を図示の実施形態に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態に係る再帰反射性を有する波長選択フィルタの構成を示す概略図である。
図1に示すように、本実施形態に係る再帰反射性を有する波長選択フィルタ(以下、単に「波長選択フィルタ」という)1は、後述する偏向性回折格子2と、偏向性回折格子2の入射面側(図1の上側)に設けた第1の透光性基材3と、偏向性回折格子2の出射面側(図1の下側)に設けた第2の透光性基材4とを備えている。
(偏向性回折格子2の構成)
偏向性回折格子2は、屈折率n1の材料からなる第1の媒質2aと、屈折率n2(n2≠n1)の材料からなる第2の媒質2bとが交互に傾斜積層されており、周期的な屈折率分布を有する屈折率変調構造を構成している。偏向性回折格子2を形成する第1の媒質の2aと第2の媒質2bは、例えば、透光性を有する樹脂やSiO2、TiO2などの無機質材料によって形成することができる。また、屈折率を調整するために、これらの材料中に微粒子や中空粒子などを含有させてもよい。
第1の媒質2aと第2の媒質2bの積層方向の厚み(図1の符号d1,d2)は、50〜500nm程度に設定されている。
傾斜積層された第1の媒質2aと第2の媒質2bの傾斜積層方向A1は、第1の媒質2aと第2の媒質2bの各屈折率が等しい面の法線方向とする。また、前記積層方向A1と偏向性回折格子2の入射面側の主面2’の法線方向A2とがなす角度をαとする。なお、太陽光等の入射光Lは、第1の透光性基材3側から偏向性回折格子2に入射し、電場の振動方向は、第1の媒質2aと第2の媒質2bの周期方向(図1の左右方向)と平行な偏光がTM偏光、この周期方向と直交する偏光がTE偏光である。
また、第1、第2の透光性基材3,4は、樹脂からなる透明シートや透明フィルム、透明ガラスなどで形成されている。なお、第1、第2の透光性基材3,4の屈折率は、第1傾斜層2aと同じ屈折率n1、もしくはこの屈折率n1に近い屈折率に設定されている。
図1において、偏向性回折格子2の主面2’に対して所定の入射角(θi)で入射光Lが入射する場合に、a1は−1次反射回折光、a2は0次反射回折光、a3は+次反射回折光、b1は0次透過光、b2は−1次透過光、b3は+1次透過光である。なお、以下においても同様に定義して説明する。
−(マイナス)次数の反射回折効率は、通常−1次の反射の回折効率とすることができる。偏向性回折格子2を構成する第1の媒質2aと第2の媒質2bが複数の周期を有する場合、それぞれの周期や組み合わせ周期よって多くの次数において反射光が発生する。従って、−次数となる回折効率の和とすることができる。−次数の反射回折光であれば、−1次の反射回折光と同様に、入射した赤外線を再帰的に反射することができる。
本実施形態の波長選択フィルタ1は、後述するように反射回折光のうちの−1次反射回折光を選択して入射光Lの入射方向側に反射(再帰反射)させ、透過光のうちの0次透過光を選択して透過させることができる。
図1において、波長選択フィルタ1の第1の透光性基材3側から所定の入射角(θi)で光(入射光L)が偏向性回折格子2に入射すると、屈折率変調構造を構成する偏向性回折格子2(傾斜積層された第1の媒質2aと第2の媒質2b)での位相差の発生により、反射回折光が発生する。偏向性回折格子2による反射回折光の回折角度は、以下の式から求めることができる。

ただし、上記の式において、
ni:第1の媒質2aの屈折率
nd:第2の媒質2bの屈折率
λ:入射光Lの波長
θi:主面2’の法線方向A2(法線方向A2を0°とする)に対する入射光Lの入射角度
θm:反射回折光のうちのm次の回折角度
m:反射回折光の回折次数
P:傾斜積層された第1の媒質2aと第2の媒質2bの周期(以下、「屈折率変調周期」という)
α:傾斜積層方向A1と主面2’の法線方向A2とがなす角度(以下、「積層角度」という)
なお、上記のような傾斜した屈折率変調構造における回折角度については、例えば、下記に詳細な記述がある。
THOMAS K.GAYLORD and M.G.MOHARAM
PROCEEDINGS OF IEEE,Vol.73, No.5(1985)
“Analysis and Applications of Optical
Dffraction by Gratings”
第1の透光性基材3側から偏向性回折格子2に入射した光(入射光L)に対しては、偏向性回折格子2(傾斜積層された第1の媒質2aと第2の媒質2b)による屈折率変調により多数の界面が存在するので、各界面による反射光の干渉によって、特定の波長域で高い反射率を得ることが可能となる。このため、上記した屈折率変調周期(P:図1参照)を適切な範囲に設定することにより、反射率の高い特定波長域を選択することができる。
本発明者の実験よれば、第1の透光性基材3側から偏向性回折格子2に入射する光(入射光L)が太陽光の場合、傾斜積層された第1の媒質2aと第2の媒質2bの屈折率変調周期(P)を、100〜1000nm程度の範囲、好ましくは200〜800nmの範囲、より好ましくは300〜700nmの範囲に設定すると、太陽光のうちの赤外線波長域(800〜1600nm程度)の光(赤外線)のみを選択して反射した。
また、本発明者の実験よれば、傾斜積層された第1の媒質2aと第2の媒質2bの屈折率変調周期(P)を、100nm程度よりも小さくした場合には、反射波長域が可視光域の領域となり、可視光が反射された。更に、傾斜積層された第1の媒質2aと第2の媒質2bの屈折率変調周期(P)を、1000nm程度よりも大きくした場合には、可視光域の波長(400〜800nm程度)による回折が発生した。
また、上記したように、第1の透光性基材3側から偏向性回折格子2に光(入射光L)が入射したときに、偏向性回折格子2(傾斜積層された第1の媒質2aと第2の媒質2b)での位相差の発生によって生じる反射回折光(本実施形態では、−1次反射回折光a1)の反射方向(回折角度)は、上記の式から明らかなように積層角度αによって変化する。
本発明者の実験よれば、傾斜積層された第1の媒質2aと第2の媒質2bの積層角度(α)を、10〜85°程度の範囲、好ましくは15〜80°の範囲、より好ましくは20〜60°の範囲に設定したときに、−1次反射回折光(a1)が入射光Lの入射方向側に反射し、再帰反射性が得られた。
また、偏向性回折格子2を形成する屈折率n1の第1の媒質2aと屈折率n2の第2の媒質2bに対して、両者の屈折率差(△n)を、0.005以上、好ましくは0.02以上の範囲に設定した場合に、傾斜積層された第1の媒質2aと第2の媒質2bの界面における反射成分が大きくなった。これにより、特定波長域での反射率をより高くすることができ、かつ反射する波長域を広げることができる。
屈折率差(△n)が0.005以上であれば、厚みtを大きくすることによって反射率を高くすることができる。また、周期を変調することによって、反射する波長域を広げることができる。なお、屈折率差(△n)が0.005以下の場合は、第1の媒質2aと第2の界面における反射成分を十分に大きくすることができない。
偏向性回折格子2の厚さ(t:図1参照)は、500nm程度以上、より好ましくは1000nm(1μm)程度以上に設定することにより、偏向性回折格子2内への光の進行距離を長くすることができる。これにより、特定波長域での反射率をより高くすることができ、また、特定波長域以外の波長域での反射率を効果的に低減して、着色などを防止することができる。
また、偏向性回折格子2の傾斜積層された第1の媒質2aと第2の媒質2bが、図1のように同じ屈折率変調周期(P)に設定されている構成に限らず、傾斜積層された複数の第1の媒質2aと第2の媒質2bを所定周期ごとに、異なる屈折率変調周期となるように設定してもよい。
例えば、第1の屈折率変調周期の第1の媒質2aと第2の媒質2b、及び第2の屈折率変調周期の第1の媒質2aと第2の媒質2bを、所定周期(例えば、5周期)ごとに交互に傾斜積層させるようにしてもよい。
この場合には、第1の屈折率変調周期で傾斜積層された第1の媒質2aと第2の媒質2bが反射する波長域と、第2の屈折率変調周期で傾斜積層された第1の媒質2aと第2の媒質2bが反射する波長域の各反射率を同時に高めることが可能となり、反射波長域を広げることができる。また、異なる周期を有する回折格子を重ねてもよい。
(波長選択フィルタ1の製造方法)
次に、上記した波長選択フィルタ1(偏向性回折格子2)の製造方法の一例を、図2(a)〜(e)、図3(a)〜(d)を参照して説明する。なお、図2、図3は、断面形状で示している。
この製造方法では、先ず、図2(a)に示すように、例えば透明な基材10(前記第2の透光性基材4に相当)上に、前記第2の媒質2bの構成材料である透光性を有する屈折率n2の樹脂媒質11をスピンコートなどで塗布する。そして、この樹脂媒質11上にフォトレジスト層12をスピンコートなどで塗布する(図2(b))。そして、このフォトレジスト層12に格子パターンを露光して現像を行ない、樹脂媒質11上にフォトレジストパターン12aを形成する(図2(c))。
そして、フォトレジストパターン12a上及びその間の樹脂媒質11上にアルミニウム(Al)、クロム(Cr)などの金属層13を、スパッタリング法などにより形成する(図2(d))。そして、フォトレジストパターン12aを有機溶剤などによる溶出によって除去し、フォトレジストパターン12aとその上の金属層を除去する(図2(e))。これにより、樹脂媒質11上に金属パターン13aが残る。この金属パターン13aが以後のドライエッチングのマスクとなる。
そして、図3(a),(b)に示すように、基材10を水平位置から所定の角度α(前記積層角度αに相当する角度)だけ傾け、傾斜した樹脂媒質11の上方からイオンビーム14を照射してエッチングを行うことで、樹脂媒質11に一定周期で傾斜したストライプ層11a(図1の偏向性回折格子2を形成する第2の媒質2bに相当)が形成される。そして、図3(c)に示すように、各ストライプ層11a上の金属パターン13aを酸などによって除去する。
なお、図3(a),(b),(c)に示した樹脂媒質11の手前側と奥側の表面縁部領域は、イオンビームが照射されていないので、この表面縁部領域にはストライプ層は形成されていない。
そして、図3(d)に示すように、前記第1の媒質2aの構成材料である透光性を有する屈折率n1の例えば紫外線硬化型の樹脂媒質15を、各ストライプ層11aの間の溝状の空間に充填し、かつ各ストライプ層11aの上部に所定の膜厚となるように吐出し、紫外線を照射して硬化させる。そして、基材10と樹脂媒質11の両側を切断することで、図1に示したような、第1の透光性基材3と第2の透光性基材4との間に偏向性回折格子2(傾斜積層された第1の媒質2aと第2の媒質2b)を備えた波長選択フィルタ1が作製される。
次に、前記した本発明の波長選択フィルタ1による、赤外線波長域の光(赤外光)の再帰反射性と可視光の透過性を評価するために、以下に示す実施例1〜5と比較用の比較例1、2の構成を有する波長選択フィルタで評価を行った。
なお、この赤外線波長域の光(赤外光)の再帰反射性と可視光の透過性を評価するために、RCWA(厳密結合波解析)法による電磁波解析シミュレーションソフトDiffract MOD(R-Soft社)を用いてシミュレーションを行った。
〈実施例1〉
実施例1では、図1に示した波長選択フィルタ1の偏向性回折格子2において、以下のような条件に設定した。
第1の媒質2aの屈折率(n1):1.52
第2の媒質2bの屈折率(n2):1.72
屈折率変調周期(P):300nm
第1の媒質2aの厚み(d1):150nm
第2の媒質2bの厚み(d2):150nm
偏向性回折格子2の厚さ(t):1500nm(1.5μm)
第1の媒質2aと第2の媒質2bの積層角度(α):30°
また、偏向性回折格子2の両面に設けられる第1、第2の透光性基材3,4においては、以下のような条件に設定した。
第1の透光性基材3の屈折率:1.52
第2の透光性基材4の屈折率:1.52
図4、図5は、実施例1の波長選択フィルタ1において、入射光Lとして太陽光が第1の透光性基材3側から偏向性回折格子2の主面2’(図1参照)の法線方向に対して30°の入射角度θi(空気中では、49°の入射角度に相当)で入射するときの、偏光方向がTE偏光とTM偏光の場合の反射特性と透過特性である。
なお、図4(a),(b)がTE偏光における反射特性と透過特性であり、図5(a),(b)がTM偏光における反射特性と透過特性である。図4(a)、図5(a)の縦軸(反射率)において、1.0が反射率100%であり、図4(b)、図5(b)の縦軸(透過率)において、1.0が透過率100%である。また、反射率とは、反射する全ての次数の回折光を含み、透過率とは、透過する全ての次数の回折光を含む。以下の実施例、比較例においても同様である。
図4(a)、図5(a)に示すように、30°入射の場合は、偏向性回折格子2によってTE偏光及びTM偏光とも赤外線波長域で−1次反射回折光(a1)が発生している。なお、この発生した−1次反射回折光の法線方向に対する反射角度は、波長950nmで32.8°であった。即ち、赤外線波長域の光(赤外線)のみが選択されて再帰反射している。
なお、実施例1では、+1次反射回折光及び0次反射回折光の発生はほとんど無視できる程度であった。
また、図4(b)、図5(b)に示すように、30°入射の場合は、偏向性回折格子2によってTE偏光及びTM偏光とも可視光波長域の光(0次透過光:b1)が透過し、第2の透光性基材4から出射する。即ち、可視光域では、偏向性回折格子2内で回折光や反射光が発生していないので、偏向性回折格子2が透明で着色もない。
以下の表は、実施例1、及び実施例2〜5と比較例1、2の波長選択フィルタにおける、可視光の平均透過率、赤外線の最大反射率、−次数の反射回折効率、赤外線波長域で最大反射率をとる波長における反射率Rmaxと−次数の反射回折効率Erとの比(Er/Rmax)を示したシミュレーション結果である。
このように、実施例1の波長選択フィルタを、鉛直方向に設置される建物の窓ガラスの表面に配置した場合、斜め上方にある太陽光が上記の30°入射の状況に相当するので、赤外線波長域の光(赤外光)を選択して再帰反射させて、可視光を透過させることができる。
図6、図7は、実施例1の波長選択フィルタ1において、図8に示すように、入射光Lとして太陽光が第1の透光性基材3側から偏向性回折格子2の主面2’の法線方向に対して−30°(空気中では、−49°の入射角度に相当)の入射角度θiで入射するときの、偏光方向がTE偏光とTM偏光の場合の反射特性と透過特性である。なお、図6(a),(b)がTE偏光における反射特性と透過特性であり、図7(a),(b)がTM偏光における反射特性と透過特性である。
図6(a)、図7(a)に示すように、−30°入射の場合は、TE偏光及びTM偏光とも可視光波長域から赤外線波長域において、偏向性回折格子2内での反射(−1次反射回折光a1、0次反射回折光a2、+1次反射回折光a3)はほとんど発生していない。
また、図6(b)、図7(b)に示すように、−30°入射の場合は、TE偏光及びTM偏光とも可視光波長域から赤外線波長域において0次透過光b1が偏向性回折格子2を透過し、第2の透光性基材4から出射した。即ち、入射光Lが第1の透光性基材3側から偏向性回折格子2の主面2’の法線方向A2に対して−(マイナス)の入射角度で入射する場合は、TE偏光及びTM偏光とも可視光波長域から赤外線波長域で0次透過光が透過する。なお、図7(b)において、b3は+1次透過光である。
〈実施例2〉
実施例2では、図1に示した波長選択フィルタ1の偏向性回折格子2において、以下のような条件に設定した。
偏向性回折格子2の厚さ(t):2000nm(20μm)
第1の媒質2aと第2の媒質2bの積層角度(α):30°
他の設定条件は上記した実施例1と同様である。
図9は、実施例2の波長選択フィルタ1において、入射光Lとして太陽光が第1の透光性基材3側から偏向性回折格子2の主面2’(図1参照)の法線方向A2に対して30°の入射角度θiで入射するときの、偏光方向がTE偏光の場合の反射特性と透過特性である。図9(a)がTE偏光における反射特性であり、図9(b)がTE偏光における透過特性である。なお、偏光方向がTM偏光の場合においても、略同様の反射特性と透過特性であった。
図9(a)に示すように、30°入射の場合は、偏向性回折格子2によって赤外線波長域で−1次反射回折光a1が発生し、特に、900〜1050nm程度の範囲で高い−1次反射回折光が発生している。なお、この発生した−1次反射回折光の法線方向A2に対する反射角度は、波長1000nmで36.6°であった。即ち、赤外線波長域の光(赤外光)が選択されて再帰反射している。
なお、実施例2では、可視光波長域の一部の波長域(460nm付近)で0次反射回折光a2が若干発生したが、他の波長域での+1次反射回折光及び0次反射回折光の発生はほとんど無視できる程度であった。
また、図9(b)に示すように、30°入射の場合は、偏向性回折格子2によって可視光波長域の光(0次透過光b1)が透過し、第2の透光性基材4から出射する。なお、−1次透過光及び+1次透過光はほとんど無視できる程度であった。
このように、偏向性回折格子2の厚さ(t)を実施例1の場合よりも厚くした場合、偏向性回折格子2内で光が通過する界面の数が増加し、赤外線波長域での反射がより大きくなるので、赤外線波長域の光(赤外線)をより効果的に再帰反射させることができる。
〈実施例3〉
実施例3では、図1に示した波長選択フィルタ1の偏向性回折格子2において、以下のような条件に設定した。
屈折率変調周期(P):350nm
第1の媒質2aの厚み(d1):175nm
第2の媒質2bの厚み(d2):175nm
偏向性回折格2の厚さ(t):1500nm(1.5μm)
第1の媒質2aと第2の媒質2bの積層角度(α):30°
他の設定条件は上記した実施例1と同様である。
図10は、実施例3の波長選択フィルタ1において、入射光Lとして太陽光が第1の透光性基材3側から偏向性回折格子2の主面2’(図1参照)の法線方向A2に対して30°の入射角度θiで入射するときの、偏光方向がTE偏光の場合の反射特性と透過特性である。図10(a)が反射特性であり、図10(b)が透過特性である。なお、偏光方向がTM偏光の場合においても、略同様の反射特性と透過特性であった。
図10(a)に示すように、30°入射の場合は、偏向性回折格子2によって赤外線波長域で−1次反射回折光a1が発生している。なお、この発生した−1次反射回折光の法線方向A2に対する反射角度は、波長1100nmで32.3°であった。即ち、赤外線波長域の光(赤外線)が選択されて再帰反射している。
なお、実施例3では、可視光波長域の一部の波長域で0次反射回折光a2が若干発生したが、他の波長域での+1次反射回折光及び0次反射回折光の発生はほとんど無視できる程度であった。
また、図10(b)に示すように、30°入射の場合は、偏向性回折格子2によって可視光波長域の光(0次透過光b1)が透過し、第2の透光性基材4から出射する。なお、−1次透過光及び+1次透過光は、ほとんど無視できる程度であった。
このように、傾斜積層された第1の媒質2aと第2の媒質2bの屈折率変調周期(P)を変更(実施例3では、実施例1の300nmから350nmに変更)することで、反射(再帰反射)する波長域(赤外線波長域)を制御することができる。即ち、屈折率変調周期(P)が大きくなるように変更すると、反射(再帰反射)する波長域(赤外線波長域)を長い波長側へシフトさせることができる。
〈実施例4〉
実施例4では、図1に示した波長選択フィルタ1の偏向性回折格子2において、以下のような条件に設定した。
屈折率変調周期(P):460nm
第1の媒質2aの厚み(d1):230nm
第2の媒質2bの厚み(d2):230nm
第1の媒質2aと第2の媒質2bの積層角度(α):50°
他の設定条件は上記した実施例1と同様である。
図11は、実施例4の波長選択フィルタ1において、入射光Lとして太陽光が第1の透光性基材3側から偏向性回折格子2の主面2’(図1参照)の法線方向A2に対して30°の入射角度θiで入射するときの、偏光方向がTE偏光の場合の反射特性と透過特性である。図11(a)が反射特性であり、図11(b)が透過特性である。なお、偏光方向がTM偏光の場合においても、略同様の反射特性と透過特性であった。
図11(a)に示すように、30°入射の場合は、偏向性回折格子2によって赤外線波長域で−1次反射回折光a1が発生している。なお、発生した−1次反射回折光の法線方向A2に対する反射角度は、波長1200nmで54.7°であった。即ち、赤外線波長域の光(赤外線)が選択されて再帰反射している。
なお、実施例4では、他の波長域での+1次反射回折光及び0次反射回折光の発生はほとんど無視できる程度であった。
また、図11(b)に示すように、30°入射の場合は、偏向性回折格子2によって可視光波長域の光(0次透過光b1)が透過し、第2の透光性基材4から出射する。なお、−1次透過光及び+1次透過光は、ほとんど無視できる程度であった。
このように、屈折率変調周期(P)、第1の媒質2aと第2の媒質2bの厚み(d1,d2)、積層角度(α)を変更することで、再帰反射する赤外線の波長域の範囲や反射角度を制御することができる。
〈実施例5〉
図12は、実施例5における偏向性回折格子2’を有する波長選択フィルタ1を示す概略構成図である。
図12に示すように、実施例5の偏向性回折格子2’は、屈折率変調周期(P1)を300nmとした第1の媒質2aと第2の媒質2b、及び屈折率変調周期(P2)を350nmとした第1の媒質2aと第2の媒質2bがそれぞれ5周期ごとに交互に傾斜積層された構成である。
実施例5では、図12に示した波長選択フィルタ1の偏向性回折格子2’において、以下のような条件に設定した。
第1の媒質2aの屈折率(n1):1.52
第2の媒質2bの屈折率(n2):1.72
屈折率変調周期(P1):300nm
屈折率変調周期(P2):350nm
屈折率変調周期(P1)での第1の媒質2aの厚み(d1):150nm
屈折率変調周期(P1)での第2の媒質2bの厚み(d2):150nm
屈折率変調周期(P2)での第1の媒質2aの厚み(d’1):350nm
屈折率変調周期(P2)での第2の媒質2bの厚み(d’2):350nm
偏向性回折格子2’の厚さ(t):6000nm(6μm)
第1の媒質2aと第2の媒質2bの積層角度(α):30°
なお、偏向性回折格子2’の両面に設けられる第1、第2の透光性基材3,4の条件は実施例1と同様である。
実施例5の偏向性回折格子2’では、傾斜積層された第1の媒質2aと第2の媒質2bの計算上の1周期(=300nm×5周期+350nm×5周期)は3250nmとなり、この1周期に合わせた次数の反射回折光と透過光が得られる。また、300nmの屈折率変調周期(P1)による回折や、350nmの屈折率変調周期(P2)による回折などが混在し、多くの次数にわたって回折光が発生する。本実施例では、主として−8次、−9次、−10次、−11次、−12次の回折光が得られた。本実施例では、これらをまとめて−側反射回折光(a’1)とする。
図13は、実施例5の波長選択フィルタ1において、入射光Lとして太陽光が第1の透光性基材3側から偏向性回折格子2’の主面2’の法線方向A2に対して30°の入射角度θiで入射するときの、偏光方向がTE偏光の場合の反射特性と透過特性である。図13(a)が反射特性であり、図13(b)が透過特性である。なお、偏光方向がTM偏光の場合においても、略同様の反射特性と透過特性であった。
図13(a)に示すように、この偏向性回折格子2’によって赤外線波長域で−側反射回折光(−次数を多数含んでいる反射回折光)a’1が発生している。なお、この発生した−側反射回折光の法線方向A2に対する反射角度は、波長870nmで33.8°、波長960nmで34.7°、波長1060nmで35.0°、波長1170nmで34.5°、波長1320nmで34.7°であった。即ち、赤外線波長域の光(赤外線)が選択されて再帰反射している。
なお、実施例5では、他の波長域での0次反射回折光及び+の次数の反射回折光(+側反射回折光)の発生はほとんど無視できる程度であった。
また、図13(b)に示すように、この偏向性回折格子2’によって可視光波長域の光(0次透過光b1)が透過し、第2の透光性基材4から出射する。なお、−の次数の透過光(−側透過光)及び+の次数の透過光(+側透過光)は、ほとんど無視できる程度であった。
このように、異なる屈折率変調周期の第1の媒質2aと第2の媒質2bを、所定周期(本実施例では5周期)ごとに交互に傾斜積層させるようにすることで、幅広い波長域で高い反射率を実現でき、また、再帰反射する赤外光の波長域や、それぞれの反射ピークの重なり度合いを制御することができる。
〈比較例1〉
図14は、比較例1における波長選択フィルタを示す概略構成図である。
図14に示すように、比較例1における波長選択フィルタは、透光性を有する屈折率1.52で厚さd1が150nmの第1の層20と、透光性を有する屈折率1.72で厚さd2が150nmの第2の層21とを交互に積層(この比較例1では16層)からなる積層体22と、この積層体22の両面にそれぞれ設けた、屈折率1.52で厚さ2000nm(2μm)の透明樹脂シートなどの第1、第2の透光性基材23,24とで構成されている。
図15は、比較例1の波長選択フィルタにおいて、入射光Lとして太陽光が第2の透光性基材24側から積層体12の法線方向に対して30°の入射角度θiで入射するときの、偏光方向がTE偏光の場合の反射特性と透過特性である。なお、図15(a)が反射特性であり、図15(b)が透過特性である。
図15(a)に示すように、この積層体12によって赤外線波長域の光(赤外線)の一部を選択して正反射(0次反射a)している。なお、可視光域の光の一部も少し正反射(0次反射)している。また、比較例1の波長選択フィルタでは、−1次反射光及び+1次反射光の発生はほとんど無視できる程度であった。
また、図15(b)に示すように、この積層体12によって可視光波長域の光(0次透過光b)が透過し、第2の透光性基材14から出射する。なお、−1次透過光及び+1次透過光は、ほとんど無視できる程度であった。
このように、比較例1の波長選択フィルタでは、赤外線波長域の光(赤外線)の一部を選択して正反射(0次反射)しているだけであり、再帰反射性は得られていない。
〈比較例2〉
図16は、比較例2における波長選択フィルタを示す概略構成図である。
図16に示すように、比較例2における波長選択フィルタは、透光性を有する屈折率1.52で幅d1が300nmの第1の媒質30と、透光性を有する屈折率1.72で幅d2が300nmの第2の媒質31が周期600nmで交互に配置された構成の回折格子32と、この回折格子32の両面にそれぞれ設けた、屈折率1.72で厚さ2000nm(2μm)の透明樹脂シートなどの第1、第2の透光性基材33,34とで構成されている。なお、回折格子22の高さhは4000nm(4μm)である。
図17は、比較例2の波長選択フィルタにおいて、入射光Lとして太陽光が第1の透光性基材13側から回折格子32の法線方向に対して30°の入射角度θiで入射するときの、偏光方向がTE偏光の場合の反射特性と透過特性である。なお、図17(a)が反射特性であり、図17(b)が透過特性である。
図17(a)に示すように、この回折格子32によって赤外線波長域の光(赤外線)の一部が少し正反射(0次反射a)しているだけで、他の波長域ではほとんど反射はなかった。
また、図17(b)に示すように、この回折格子2を透過した可視光波長域から赤外線波長域の光(0次透過光b1、−1次透過光b2)が回折している。なお、+1次透過光はほとんど無視できる程度であった。
このように、比較例2の波長選択フィルタでは、赤外線波長域の光(赤外線)の再帰反射性は得られていない。
上記表に示したように、実施例1〜5の波長選択フィルタでは、−次数の反射回折効率が29〜100%であったが、比較例1、2の波長選択フィルタでは、−次数の反射回折効率は0%であった。また、実施例1〜5の波長選択フィルタでは、赤外線波長域で最大反射率をとる波長における反射率(Rmax)と−次数の反射回折効率(Er)との比(Er/Rmax)が0.98〜1.00であったが、比較例1、2の波長選択フィルタでは、Er/Rmaxが0.00であった。
(本発明の波長選択フィルタ1を配置した窓ガラス)
図18に示すように、上記した偏向性回折格子2を有する波長選択フィルタ1を、ビルディングなどの建物の窓材としての窓ガラス40の外側表面(内側表面でもよい)に配置した場合、斜め上方から太陽光Lが入射すると、上記したように赤外線波長域の光(赤外線)である−1次反射回折光a1のみを選択して再帰反射させ、可視光波長域の光(可視光)である0次透過光b1のみを透過させる。
この偏向性回折格子2としては、例えば実施例1の構成のものを用いることができる。
このように、窓ガラス40に偏向性回折格子2を配置することによって、太陽光のうちの可視光のみを窓ガラス40を透過させ、太陽光に含まれる赤外線を太陽光の入射方向側へ再帰反射させることができる。
これにより、赤外線が太陽光の入射方向側へ再帰反射されるので、窓ガラス40内側の室内の温度上昇を抑えることができ、かつ反射された赤外線が地表面側に向かわないので地表面周囲の温度上昇も抑制することができる。よって、特にビルディングが密集している都市部でのヒートアイランド現象による温度上昇を抑えることが可能となるので、屋内を冷房するためのエネルギー消費量を低減することができる。
なお、波長選択フィルタ1を建物の窓ガラスに設置する以外にも、例えば自動車等の車両の窓ガラス(フロントウィンドウ、サイドウィンドウ、リアウィンドウなど)にも設置することにより、太陽光に含まれる赤外線を太陽光の入射方向側へ再帰反射させることができるので、反射した赤外線が道路の路面等を照らすことを大幅に抑制することができる。
1 波長選択フィルタ
2、2’ 偏向性回折格子
2a 第1の媒質
2b 第2の媒質
3 第1の透光性基材
4 第2の透光性基材
40 窓ガラス
a1 −1次反射回折光

Claims (10)

  1. 透光性を有する屈折率n1の第1の媒質と、透光性を有する屈折率n2(n2≠n1)の第2の媒質とが交互に周期的に積層され、かつ積層方向が傾斜して、その傾斜方向が面内で同一であり、積層された前記第1、第2の媒質の長手方向側の各端面が、それぞれ同一平面上にあり、かつ前記各端面同士が平行である屈折率変調構造を有する偏向性回折格子を備え、
    前記偏向性回折格子の光線が入射する側の面の法線方向に対して前記第1、第2の媒質の積層方向側から光線を入射させて、前記偏向性回折格子の前記屈折率変調構造により入射光線のうちの−1次反射回折光である第1の波長帯域の光を選択して再帰反射させ、前記第1の波長帯域と異なる第2の波長帯域の光を透過させることを特徴とする再帰反射性を有する波長選択フィルタ。
  2. 前記偏向性回折格子の光線が入射する側の面の法線方向と前記第1、第2の媒質の積層方向とがなす角度をαとして、角度αが10〜80°であることを特徴とする請求項1に記載の再帰反射性を有する波長選択フィルタ。
  3. 傾斜積層された前記第1の媒質と前記第2の媒質の積層方向における周期をpとして、周期pの幅が100〜1000nmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の再帰反射性を有する波長選択フィルタ。
  4. 前記周期pは、同じ幅に設定されていることを特徴とする請求項3に記載の再帰反射性を有する波長選択フィルタ。
  5. 前記周期pは、少なくとも第1の幅と該第1の幅と異なる第2の幅に設定されていることを特徴とする請求項3に記載の再帰反射性を有する波長選択フィルタ。
  6. 前記偏向性回折格子の厚みをtとして、厚みtが少なくとも500nm以上に設定されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の再帰反射性を有する波長選択フィルタ。
  7. 偏向性回折格子の光線が入射する側の面に第1の透光性基材を配置して、偏向性回折格子の光線が入射する側と反対側の面に第2の透光性基材を配置し、前記第1、第2の透光性基材の屈折率は、前記第1の媒質又は前記第2の媒質の屈折率と略同じであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の再帰反射性を有する波長選択フィルタ。
  8. 前記第1の波長帯域の光は赤外線波長域の光であり、前記第2の波長帯域の光は可視光波長域の光であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の再帰反射性を有する波長選択フィルタ。
  9. 前記偏向性回折格子に入射する光線の入射角度が30°の場合において、前記偏向性回折格子を透過する可視光の波長域における平均透過率が80%以上であり、赤外線の波長域における最大反射率が20%であり、赤外線の波長域で最大反射率をとる波長における反射率とマイナス次数の反射回折効率との比が0.8以上であることを特徴とする請求項8に記載の再帰反射性を有する波長選択フィルタ。
  10. 請求項1乃至9のいずれか一項に記載の再帰反射性を有する波長選択フィルタを、透光性を有するガラス外側表面又は内側表面に配置したことを特徴とする窓材。
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