JP5983396B2 - 着色ポリアミド樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、鉄粉等の酸素吸収剤を樹脂中に分散させた酸素吸収多層体および酸素吸収フィルムは、鉄粉を用いているため、包装容器の検査に用いる金属探知機を使用できないという用途上の制約がある。また、ポリブタジエン等のエチレン性不飽和化合物及びコバルト等の遷移金属触媒を配合した樹脂は、酸素吸収反応によりポリブタジエン等のエチレン性不飽和化合物が酸化して分解することにより、低分子化合物による不快な臭気が発生したり、成形体の色調や強度が損なわれたりするという問題がある。
本発明が解決しようとする課題は、安価に、更に優れた酸素吸収性能を発現することができ、成形体に必要な着色を満たすポリアミド樹脂組成物を提供することにある。
<1>下記一般式(I−1)で表される芳香族ジアミン単位、下記一般式(I−2)で表される脂環族ジアミン単位、及び下記一般式(I−3)で表される直鎖脂肪族ジアミン単位からなる群から選ばれる少なくとも1つのジアミン単位を合計で50モル%以上含むジアミン単位25〜50モル%と、
下記一般式(II−1)で表される直鎖脂肪族ジカルボン酸単位及び/又は下記一般式(II−2)で表される芳香族ジカルボン酸単位を合計で50モル%以上含むジカルボン酸単位25〜50モル%と、
下記一般式(III)で表される構成単位0.1〜50モル%とを含有するポリアミド樹脂(A)、及び
鉄、マンガン、銅及び亜鉛から選択された一種以上の金属原子を含有する着色剤(B)
を含むポリアミド樹脂組成物。
<2>上記<1>に記載のポリアミド樹脂組成物を製造する方法であって、前記着色剤(B)と熱可塑性樹脂(X)とを溶融混合してマスターバッチを得る工程、及び該マスターバッチを前記ポリアミド樹脂(A)と溶融混練する工程を含む、ポリアミド樹脂組成物の製造方法。
<3>上記<1>に記載のポリアミド樹脂組成物を含有する成形体。
また、着色剤(B)の含有量は、ポリアミド樹脂組成物100質量%に対して、金属原子濃度として好ましくは1〜5000質量ppm、より好ましくは1〜2000質量ppm、更に好ましくは3〜1000質量ppm、特に好ましくは5〜500質量ppmである。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分をさらに含んでいてもよい。なお、本発明においてポリアミド樹脂組成物がその他の成分を含む場合、その他成分を含めてポリアミド樹脂組成物とする。
本発明において、ポリアミド樹脂(A)は、下記一般式(I−1)で表される芳香族ジアミン単位、下記一般式(I−2)で表される脂環族ジアミン単位、及び下記一般式(I−3)で表される直鎖脂肪族ジアミン単位からなる群から選ばれる少なくとも1つのジアミン単位を合計で50モル%以上含むジアミン単位25〜50モル%と、下記一般式(II−1)で表される直鎖脂肪族ジカルボン酸単位及び/又は下記一般式(II−2)で表される芳香族ジカルボン酸単位を合計で50モル%以上含むジカルボン酸単位25〜50モル%と、3級水素含有カルボン酸単位(好ましくは下記一般式(III)で表される構成単位)0.1〜50モル%とを含有する。
ただし、前記ジアミン単位、前記ジカルボン酸単位、前記3級水素含有カルボン酸単位の合計は100モル%を超えないものとする。ポリアミド樹脂(A)は、本発明の効果を損なわない範囲で、前記以外の構成単位を更に含んでいてもよい。
ジアミン単位とジカルボン酸単位との含有量の割合は、重合反応の観点から、ほぼ同量であることが好ましく、ジカルボン酸単位の含有量がジアミン単位の含有量の±2モル%であることがより好ましい。ジカルボン酸単位の含有量がジアミン単位の含有量の±2モル%の範囲を超えると、ポリアミド樹脂(A)の重合度が上がりにくくなるため重合度を上げるのに多くの時間を要し、熱劣化が生じやすくなる。
ポリアミド樹脂(A)中のジアミン単位は、前記一般式(I−1)で表される芳香族ジアミン単位、前記一般式(I−2)で表される脂環族ジアミン単位、及び前記一般式(I−3)で表される直鎖脂肪族ジアミン単位からなる群から選ばれる少なくとも1つのジアミン単位を、ジアミン単位中に合計で50モル%以上含み、当該含有量は、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、更に好ましくは90モル%以上であり、また、好ましくは100モル%以下である。
ビス(アミノメチル)シクロヘキサン類は、構造異性体を持つが、cis体比率を高くすることで、結晶性が高く、良好な成形性を得られる。一方、cis体比率を低くすれば、結晶性が低い、透明なものが得られる。したがって、結晶性を高くしたい場合は、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン類におけるcis体含有比率を70モル%以上とすることが好ましく、より好ましくは80モル%以上、更に好ましくは90モル%以上とする。一方、結晶性を低くしたい場合は、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン類におけるcis体含有比率を50モル%以下とすることが好ましく、より好ましくは40モル%以下、更に好ましくは30モル%以下とする。
前記一般式(I−3)で表される直鎖脂肪族ジアミン単位を構成しうる化合物としては、エチレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン等の脂肪族ジアミンを例示できるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、ヘキサメチレンジアミンが好ましい。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリアミド樹脂(A)中のジカルボン酸単位は、重合時の反応性、並びにポリアミド樹脂(A)の結晶性及び成形性の観点から、前記一般式(II−1)で表される直鎖脂肪族ジカルボン酸単位及び/又は前記一般式(II−2)で表される芳香族ジカルボン酸単位を、ジカルボン酸単位に合計で50モル%以上含み、当該含有量は、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、更に好ましくは90モル%以上であり、また、好ましくは100モル%以下である。
ポリアミド樹脂(A)は、本発明のポリアミド樹脂組成物に適度なガラス転移温度や結晶性を付与することに加え、包装材料や包装容器として必要な柔軟性を付与する目的の場合、前記一般式(II−1)で表される直鎖脂肪族ジカルボン酸単位を含むことが好ましい。
前記一般式(II−1)中、nは2〜18の整数を表し、好ましくは3〜16、より好ましくは4〜12、更に好ましくは4〜8である。
前記一般式(II−1)で表される直鎖脂肪族ジカルボン酸単位を構成しうる化合物としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸等を例示できるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリアミド樹脂(A)は、本発明のポリアミド樹脂組成物に更なるガスバリア性を付与することに加え、包装材料や包装容器の成形加工性を容易にする目的の場合、前記一般式(II−2)で表される芳香族ジカルボン酸単位を含むことが好ましい。
前記一般式(II−2)中、Arはアリーレン基を表す。前記アリーレン基は、好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜15のアリーレン基であり、例えば、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられる。
前記一般式(II−2)で表される芳香族ジカルボン酸単位を構成しうる化合物としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等を例示できるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明において、ポリアミド樹脂(A)における3級水素含有カルボン酸単位は、ポリアミド樹脂(A)の重合の観点から、アミノ基及びカルボキシル基を少なくとも1つずつ有するか、又はカルボキシル基を2つ以上有する。具体例としては、下記一般式(III)、(IV)又は(V)のいずれかで表される構成単位が挙げられる。
なお、官能基が更に置換されている場合、上述した炭素数には、更なる置換基の炭素数は含まれないものとする。例えば、ベンジル基は、フェニル基で置換された炭素数1のアルキル基と見なし、フェニル基で置換された炭素数7のアルキル基とは見なさない。以降の炭素数に記載についても、特に断りが無い限り、同様に解するものとする。
好ましいRの具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、メルカプトメチル基、メチルスルファニルエチル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、4−ヒドロキシベンジル基等を例示できるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、メチル基、エチル基、イソプロピル基、2−メチルプロピル基、及びベンジル基がより好ましい。
また、前記一般式(IV)で表される構成単位を構成しうる化合物としては、3−アミノ酪酸等のβ−アミノ酸を例示でき、前記一般式(V)で表される構成単位を構成しうる化合物としては、メチルマロン酸、メチルコハク酸、リンゴ酸、酒石酸等のジカルボン酸を例示できるが、これらに限定されるものではない。
これらはD体、L体、ラセミ体のいずれであってもよく、アロ体であってもよい。また、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリアミド樹脂(A)は、本発明のポリアミド樹脂組成物に柔軟性等が必要な場合には、前記ジアミン単位、前記ジカルボン酸単位及び前記3級水素含有カルボン酸単位に加えて、下記一般式(VI)で表されるω−アミノカルボン酸単位を更に含有してもよい。
前記ω−アミノカルボン酸単位の含有量は、ポリアミド樹脂(A)の全構成単位中、好ましくは0.1〜49.9モル%、より好ましくは3〜40モル%、更に好ましくは5〜35モル%である。ただし、前記のジアミン単位、ジカルボン酸単位、3級水素含有カルボン酸単位、及びω−アミノカルボン酸単位の合計は100モル%を超えないものとする。
前記一般式(VI)中、pは2〜18の整数を表し、好ましくは3〜16、より好ましくは4〜14、更に好ましくは5〜12である。
ポリアミド樹脂(A)の重合度については、相対粘度が使われる。ポリアミド樹脂(A)の好ましい相対粘度は、成形品の強度や外観、成形加工性の観点から、好ましくは1.8〜4.2、より好ましくは1.9〜4.0、更に好ましくは2.0〜3.8である。
なお、ここでいう相対粘度は、ポリアミド樹脂(A)1gを96%硫酸100mLに溶解し、キャノンフェンスケ型粘度計にて25℃で測定した落下時間(t)と、同様に測定した96%硫酸そのものの落下時間(t0)の比であり、次式で示される。
相対粘度=t/t0
本発明のポリアミド樹脂組成物の酸素吸収速度、及び酸素吸収によるポリアミド樹脂組成物の酸化劣化は、ポリアミド樹脂(A)の末端アミノ基濃度を変えることで制御することが可能である。本発明では、酸素吸収速度と酸化劣化のバランスの観点から、ポリアミド樹脂(A)の末端アミノ基濃度は5〜150μeq/gの範囲が好ましく、より好ましくは10〜100μeq/g、更に好ましくは15〜80μeq/gである。
従来技術であるポリメタキシリレンアジパミドに遷移金属化合物を添加した酸素吸収性樹脂組成物では、末端アミノ基濃度が高くなると酸素吸収性能が低下する傾向であったため、例えばポリアミドの黄色度等、他の所望する性能に末端アミノ基濃度が影響する場合、その性能と酸素吸収性能とを両立できないことがあった。しかし、本発明のポリアミド樹脂組成物においては上述の末端アミノ基濃度の範囲であれば、遷移金属化合物によるポリアミドの酸素吸収性能には大きな差は生じないため、他の所望する性能に応じてポリアミド樹脂(A)の末端アミノ基濃度を調節できる点で優れている。
ポリアミド樹脂(A)は、前記ジアミン単位を構成しうるジアミン成分と、前記ジカルボン酸単位を構成しうるジカルボン酸成分と、前記3級水素含有カルボン酸単位を構成しうる3級水素含有カルボン酸成分と、必要により前記ω−アミノカルボン酸単位を構成しうるω−アミノカルボン酸成分とを重縮合させることで製造することができ、重縮合条件等を調整することで重合度を制御することができる。重縮合時に分子量調整剤として少量のモノアミンやモノカルボン酸を加えてもよい。また、重縮合反応を抑制して所望の重合度とするために、ポリアミド樹脂(A)を構成するジアミン成分とカルボン酸成分との比率(モル比)を1からずらして調整してもよい。
反応押出法では、ジアミン成分及びジカルボン酸成分からなるポリアミド(ポリアミド樹脂(A)の前駆体に相当するポリアミド)又はジアミン成分、ジカルボン酸成分及びω−アミノカルボン酸成分からなるポリアミド(ポリアミド樹脂(A)の前駆体に相当するポリアミド)と、3級水素含有カルボン酸成分とを押出機で溶融混練して反応させる方法である。3級水素含有カルボン酸成分をアミド交換反応により、ポリアミドの骨格中に組み込む方法であり、十分に反応させるためには、反応押出に適したスクリューを用い、L/Dの大きい2軸押出機を用いるのが好ましい。少量の3級水素含有カルボン酸単位を含むポリアミド樹脂(A)を製造する場合に、簡便な方法であり好適である。
加圧塩法では、ナイロン塩を原料として加圧下にて溶融重縮合を行う方法である。具体的には、ジアミン成分と、ジカルボン酸成分と、3級水素含有カルボン酸成分と、必要に応じてω−アミノカルボン酸成分とからなるナイロン塩水溶液を調製した後、該水溶液を濃縮し、次いで加圧下にて昇温し、縮合水を除去しながら重縮合させる。缶内を徐々に常圧に戻しながら、ポリアミド樹脂(A)の融点+10℃程度まで昇温し、保持した後、更に、−0.02MPaGまで徐々に減圧しつつ、そのままの温度で保持し、重縮合を継続する。一定の撹拌トルクに達したら、缶内を窒素で0.3MPaG程度に加圧してポリアミド樹脂(A)を回収する。
加圧塩法は、揮発性成分をモノマーとして使用する場合に有用であり、3級水素含有カルボン酸成分の共重合率が高い場合には好ましい重縮合方法である。特に、3級水素含有カルボン酸単位をポリアミド樹脂(A)の全構成単位中に15モル%以上含むポリアミド樹脂(A)を製造する場合に、好適である。加圧塩法を用いることで、3級水素含有カルボン酸成分の蒸散を防ぎ、更には、3級水素含有カルボン酸成分同士の重縮合を抑制でき、重縮合反応をスムーズに進めることが可能であるため、性状に優れたポリアミド樹脂(A)が得られる。
常圧滴下法では、常圧下にて、ジカルボン酸成分と、3級水素含有カルボン酸成分と、必要に応じてω−アミノカルボン酸成分とを加熱溶融した混合物に、ジアミン成分を連続的に滴下し、縮合水を除去しながら重縮合させる。なお、生成するポリアミド樹脂(A)の融点よりも反応温度が下回らないように、反応系を昇温しながら重縮合反応を行う。
常圧滴下法は、前記加圧塩法と比較すると、塩を溶解するための水を使用しないため、バッチ当たりの収量が大きく、また、原料成分の気化・凝縮を必要としないため、反応速度の低下が少なく、工程時間を短縮できる。
加圧滴下法では、まず、重縮合缶にジカルボン酸成分と、3級水素含有カルボン酸成分と、必要に応じてω−アミノカルボン酸成分とを仕込み、各成分を撹拌して溶融混合し混合物を調製する。次いで、缶内を好ましくは0.3〜0.4MPaG程度に加圧しながら混合物にジアミン成分を連続的に滴下し、縮合水を除去しながら重縮合させる。この際、生成するポリアミド樹脂(A)の融点よりも反応温度が下回らないように、反応系を昇温しながら重縮合反応を行う。設定モル比に達したらジアミン成分の滴下を終了し、缶内を徐々に常圧に戻しながら、ポリアミド樹脂(A)の融点+10℃程度まで昇温し、保持した後、更に、−0.02MPaGまで徐々に減圧しつつ、そのままの温度で保持し、重縮合を継続する。一定の撹拌トルクに達したら、缶内を窒素で0.3MPaG程度に加圧してポリアミド樹脂(A)を回収する。
加圧滴下法は、加圧塩法と同様に、揮発性成分をモノマーとして使用する場合に有用であり、3級水素含有カルボン酸成分の共重合率が高い場合には好ましい重縮合方法である。特に、3級水素含有カルボン酸単位をポリアミド樹脂(A)の全構成単位中に15モル%以上含むポリアミド樹脂(A)を製造する場合に、好適である。加圧滴下法を用いることで3級水素含有カルボン酸成分の蒸散を防ぎ、更には、3級水素含有カルボン酸成分同士の重縮合を抑制でき、重縮合反応をスムーズに進めることが可能であるため、性状に優れたポリアミド樹脂(A)が得られる。更に、加圧滴下法は、加圧塩法に比べて、塩を溶解するための水を使用しないため、バッチ当たりの収量が大きく、常圧滴下法と同様に反応時間を短くできることから、ゲル化等を抑制し、黄色度が低いポリアミド樹脂(A)を得ることができる。
上記重縮合方法で製造されたポリアミド樹脂(A)は、そのまま使用することもできるが、更に重合度を高めるための工程を経てもよい。更に重合度を高める工程としては、押出機内での反応押出や固相重合等が挙げられる。固相重合で用いられる加熱装置としては、連続式の加熱乾燥装置やタンブルドライヤー、コニカルドライヤー、ロータリードライヤー等と称される回転ドラム式の加熱装置及びナウタミキサーと称される内部に回転翼を備えた円錐型の加熱装置が好適に使用できるが、これらに限定されることなく公知の方法、装置を使用することができる。特にポリアミド樹脂(A)の固相重合を行う場合は、上述の装置の中で回転ドラム式の加熱装置が、系内を密閉化でき、着色の原因となる酸素を除去した状態で重縮合を進めやすいことから好ましく用いられる。
ポリアミド樹脂(A)の重縮合においては、アミド化反応を促進する観点から、リン原子含有化合物を添加することが好ましい。
リン原子含有化合物としては、ジメチルホスフィン酸、フェニルメチルホスフィン酸等のホスフィン酸化合物;次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸リチウム、次亜リン酸マグネシウム、次亜リン酸カルシウム、次亜リン酸エチル等のジ亜リン酸化合物;ホスホン酸、ホスホン酸ナトリウム、ホスホン酸カリウム、ホスホン酸リチウム、ホスホン酸マグネシウム、ホスホン酸カルシウム、フェニルホスホン酸、エチルホスホン酸、フェニルホスホン酸ナトリウム、フェニルホスホン酸カリウム、フェニルホスホン酸リチウム、フェニルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸ナトリウム、エチルホスホン酸カリウム等のホスホン酸化合物;亜ホスホン酸、亜ホスホン酸ナトリウム、亜ホスホン酸リチウム、亜ホスホン酸カリウム、亜ホスホン酸マグネシウム、亜ホスホン酸カルシウム、フェニル亜ホスホン酸、フェニル亜ホスホン酸ナトリウム、フェニル亜ホスホン酸カリウム、フェニル亜ホスホン酸リチウム、フェニル亜ホスホン酸エチル等の亜ホスホン酸化合物;亜リン酸、亜リン酸水素ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸リチウム、亜リン酸カリウム、亜リン酸マグネシウム、亜リン酸カルシウム、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル、ピロ亜リン酸等の亜リン酸化合物等が挙げられる。
これらの中でも特に次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸リチウム等の次亜リン酸金属塩が、アミド化反応を促進する効果が高くかつ着色防止効果にも優れるため好ましく用いられ、特に次亜リン酸ナトリウムが好ましい。なお、本発明で使用できるリン原子含有化合物はこれらの化合物に限定されない。
リン原子含有化合物の添加量は、ポリアミド樹脂(A)中のリン原子濃度換算で0.1〜1000ppmであることが好ましく、より好ましくは1〜600ppmであり、更に好ましくは5〜400ppmである。0.1ppm以上であれば、重合中にポリアミド樹脂(A)が着色しにくく透明性が高くなる。1000ppm以下であれば、ポリアミド樹脂(A)がゲル化しにくく、また、リン原子含有化合物に起因すると考えられるフィッシュアイの成形品中への混入も低減でき、成形品の外観が良好となる。
アルカリ金属化合物としては、アルカリ金属水酸化物やアルカリ金属酢酸塩、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属アルコキシド等が好ましい。本発明で用いることのできるアルカリ金属化合物の具体例としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ルビジウム、酢酸セシウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムプロポキシド、ナトリウムブトキシド、カリウムメトキシド、リチウムメトキシド、炭酸ナトリウム等が挙げられるが、これらの化合物に限定されることなく用いることができる。なお、リン原子含有化合物とアルカリ金属化合物の比率(モル比)は、重合速度制御の観点や、黄色度を低減する観点から、リン原子含有化合物/アルカリ金属化合物=1.0/0.05〜1.0/1.5の範囲が好ましく、より好ましくは、1.0/0.1〜1.0/1.2、更に好ましくは、1.0/0.2〜1.0/1.1である。
本発明で使用される着色剤(B)は、鉄、マンガン、銅及び亜鉛から選択された一種以上の金属原子を含む。これらの金属の中でも、酸素吸収能力及び耐熱老化性の観点から鉄、銅及びマンガンが好ましい。
これらの有機顔料は化学構造としては鉄、マンガン、銅及び亜鉛等の金属を含まない。しかし化学構造として金属を含まない顔料であっても、実際の製品形態において金属を含むことがある。本発明においては、化学構造として金属を含まない有機顔料であっても、実際の製品形態において後述の実施例で記載された分析方法により鉄、マンガン、銅及び亜鉛が検出されるものについては、「鉄、マンガン、銅及び亜鉛等の金属から一種以上の金属原子を有する着色剤」に含まれる。
金属粉としては、ブロンズ粉、亜鉛粉等が挙げられる。
酸化物系着色剤の具体例としては、酸化鉄(ピグメントレッド101)、鉄黒(黒色酸化鉄)、弁柄(赤色酸化鉄)、酸化鉄黄(ピグメントイエロー42)等の酸化鉄系着色剤;亜鉛華(酸化亜鉛)等の酸化亜鉛系着色剤等が挙げられる。また、2種以上の金属を含有する複合酸化物であってもよく、その具体例としては、亜鉛−鉄−クロムの複合酸化物(ピグメントブラウン33)、亜鉛−鉄の複合酸化物(ピグメントイエロー119)、鉄−マンガンの複合酸化物(ピグメントブラック26)、鉄−コバルト−クロムの複合酸化物(ピグメントブラック27)、ジンククロメート(ピグメントイエロー36)等が挙げられる。
シアン化物系着色剤の具体例としては、紺青(フェロシアン化物)等が挙げられる。
硫化物系着色剤の具体例としては、硫化亜鉛等が挙げられる。
リン酸塩系着色剤の具体例としては、マンガンバイオレット(ピロリン酸マンガンアンモニウム)等が挙げられる。
また、熱可塑性樹脂に分散している着色剤の粒径としては、着色性、機械物性保持、バリア性などの観点から、長径が100μm以下であることが好ましく、70μm以下であればより好ましい。一方、短径は、50μm以下であることが好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、要求される用途や性能に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、滑剤、結晶化核剤、白化防止剤、艶消剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、着色防止剤、酸化防止剤等が挙げられる。また、必要に応じて、その他の樹脂やエラストマーを本発明のポリアミド樹脂組成物に溶融混合してもよい。
本発明のポリアミド樹脂組成物においては、熱水処理後や長時間の経時後の白化抑制として、ジアミド化合物及び/又はジエステル化合物を添加することが好ましい。ジアミド化合物及びジエステル化合物は、オリゴマーの析出による白化の抑制に効果がある。ジアミド化合物とジエステル化合物を単独で用いてもよいし、併用してもよい。
炭素数8〜30の脂肪族ジカルボン酸と主としてエチレンジアミンからなるジアミンから得られるジアミド化合物、又は主としてモンタン酸からなる脂肪族ジカルボン酸と炭素数2〜10のジアミンから得られるジアミド化合物が好ましく、特に好ましくは主としてステアリン酸からなる脂肪族ジカルボン酸と主としてエチレンジアミンからなるジアミンから得られるジアミド化合物である。
特に好ましくは主としてモンタン酸からなる脂肪族ジカルボン酸と主としてエチレングリコール及び/又は1,3−ブタンジオールからなるジオールから得られるジエステル化合物である。
本発明のポリアミド樹脂組成物においては、結晶化核剤を添加することが好ましい。透明性を改善するだけでなく、熱水処理後や長時間の経時後の結晶化による白化にも効果があり、結晶化核剤をポリアミド樹脂組成物に添加することにより、球晶サイズを可視光の波長の1/2以下にすることで抑制できる。また、ジアミド化合物及び/又はジエステル化合物と結晶化核剤を併用すると、これらの相乗効果により、それぞれの白化抑制効果から予想される程度よりはるかに優れた白化抑制が得られる。
本発明のポリアミド樹脂組成物は層状珪酸塩を含有してもよい。層状珪酸塩を添加することで、ポリアミド樹脂組成物に酸素ガスバリア性だけでなく、炭酸ガス等のガスに対するバリア性を付与することができる。
ポリアミド樹脂組成物の酸素吸収性能を更に高めるために、本発明の効果を損なわない範囲で酸化性有機化合物を添加してもよい。
酸化性有機化合物としては、酸素が存在する雰囲気下において、自動的に、または触媒や、熱、光、水分等のいずれか一つの共存下において酸化される有機化合物であり、水素の引き抜きが容易に行えるような活性な炭素原子を有するものが好ましい。このような活性炭素原子の具体例としては、炭素−炭素二重結合に隣接する炭素原子、炭素側鎖の結合した第三級炭素原子、活性メチレン基を含むものが挙げられる。
例えば、ビタミンCやビタミンEも酸化性有機化合物の一例として挙げられる。また、ポリプロピレン等のように分子に酸化されやすい3級水素を持つようなポリマーや、ブタジエンやイソプレンのように分子内に炭素−炭素二重結合をもつ化合物やそれらからなる、もしくは含むポリマーも酸化性有機化合物の一例として挙げられる。その中でも、酸素吸収能力や加工性の観点から、炭素−炭素二重結合を有する化合物やポリマーが好ましく、炭素原子数4〜20の炭素−炭素二重結合を含む化合物やそれらから誘導された単位を含むオリゴマー乃至ポリマーがより好ましい。
酸化性有機化合物の含有量は、樹脂組成物100質量%に対して好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.1〜4質量%、さらに好ましくは0.5〜3質量%である。
本発明のポリアミド樹脂組成物においては、酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム及びそれらの誘導体から選択される1種以上のカルボン酸塩類を添加することが好ましい。ここで該誘導体としては、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、12−ヒドロキシステアリン酸ナトリウム等の12−ヒドロキシステアリン酸金属塩等が挙げられる。前記カルボン酸塩類を添加することで、成形加工中に起こるポリアミド樹脂組成物のゲル化防止や成形体中のフィッシュアイを低減することができ、成形加工の適性が向上する。より効果的なゲル化防止、フィッシュアイ低減、更にはコゲ防止処方として、1g当たりの金属塩濃度が高い酢酸ナトリウムを用いることが特に好ましい。
なお、前述のカルボン酸塩類はハンドリング性に優れ、この中でもステアリン酸金属塩は安価である上、滑剤としての効果を有しており、成形加工をより安定化することができるため好ましい。更に、カルボン酸塩類の形状に特に制限はないが、粉体でかつその粒径が小さい方が乾式混合する場合、酸素吸収バリア層中に均一に分散させることが容易であるため、その粒径は0.2mm以下が好ましく、0.1mm以下がより好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物においては、酸素吸収性能を制御する観点や機械物性低下を抑える観点から酸化防止剤を添加することが好ましい。酸化防止剤としては、銅系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオ系酸化防止剤等を例示することができ、中でもヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤が好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂(A)及び着色剤(B)を混合することで製造することができる。
ポリアミド樹脂(A)及び着色剤(B)の混合は従来公知の方法を用いることができる。例えば、タンブラーやミキサー等の混合機にポリアミド樹脂(A)及び着色剤(B)を入れて混合する方法が挙げられる。その際、着色剤(B)の混合後の分級を防止するために粘性のある液体を展着剤としてポリアミド樹脂(A)に付着させた後、着色剤(B)を添加、混合する方法を採ることもできる。また着色剤(B)を有機溶媒に溶解し、この溶液とポリアミド樹脂(A)とを混合し、同時にまたは後に加熱することによって有機溶媒を除去し、ポリアミドに付着させる方法を採ることもできる。さらに押出機を用いて溶融混練する場合は、ポリアミド樹脂(A)とは別の供給装置を用いて押出機内に着色剤(B)を添加することもできる。
熱可塑性樹脂(X)としては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド等の任意の樹脂を用いることができる。成形性、バリア性や透明性の観点から、ポリエステルが好ましく、ポリエチレンテレフタレートがより好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(X)を用いずにマスターバッチ法によって製造することもできる。この場合、本発明のポリアミド樹脂組成物の製造方法としては、ポリアミド樹脂(A)の一部と着色剤(B)とを溶融混合してマスターバッチを得る工程、及び該マスターバッチを残りのポリアミド樹脂(A)と溶融混練する工程を含む方法が好ましい。
熱可塑性樹脂(X)を用いるマスターバッチ法によれば、着色剤(B)をポリアミド樹脂組成物中に均一に分散することができ、また、ポリアミド樹脂組成物の製造時にポリアミド樹脂(A)と着色剤(B)とが反応してポリアミド樹脂(A)が酸化劣化するのを抑制することができる。
なお、添加剤等を添加する場合も、上述と同様の方法で添加することができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、酸素バリア性や酸素吸収性能が要求されるあらゆる用途に利用できる。例えば、本発明のポリアミド樹脂組成物を単独で小袋などに充填して酸素吸収剤として利用してもよい。
本発明のポリアミド樹脂組成物の代表的な利用例としては包装材料や包装容器等の成型体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明のポリアミド樹脂組成物を、その成型体の少なくとも一部として加工して使用することができる。例えば、本発明のポリアミド樹脂組成物をフィルム状又はシート状の包装材料の少なくとも一部として使用することができ、また、ボトル、トレイ、カップ、チューブ、平袋やスタンディングパウチ等の各種パウチ等の包装容器の少なくとも一部として使用することができる。本発明のポリアミド樹脂組成物からなる層の厚みは、特に制限はないが、1μm以上の厚みを有することが好ましい。
また、トレイやカップ等の容器は射出成形機から金型中に溶融したポリアミド樹脂組成物を射出して製造する方法や、シート状の包装材料を真空成形や圧空成形等の成形法によって成形して得ることができる。包装材料や包装容器は上述の製造方法によらず、様々な方法を経て製造することが可能である。
単層構造の成形体は、本発明のポリアミド樹脂組成物のみからなるものでもよく、本発明のポリアミド樹脂組成物と他の樹脂とのブレンドからなるものでもよい。
多層構造の成形体の場合、その層構成は特に限定されず、層の数や種類は特に限定されない。例えば、本発明のポリアミド樹脂組成物から形成される層を層(P)、他の樹脂層を層(Q)とした場合、1層の層(P)及び1層の層(Q)からなるP/Q構成であってもよく、1層の層(P)及び2層の層(Q)からなるQ/P/Qの3層構成であってもよい。また、1層の層(P)並びに層(Q1)及び層(Q2)の2種4層の層(Q)からなるQ1/Q2/P/Q2/Q1の5層構成であってもよい。さらに、必要に応じて接着層(AD)等の任意の層を含んでもよく、例えば、Q1/AD/Q2/P/Q2/AD/Q1の7層構成であってもよい。本発明の成形体が多層構造の成形体である場合、他の樹脂層(Q)中に着色剤を含有していてもよい。
本発明の成形体は、金属原子濃度が好ましくは1〜5000質量ppm、より好ましくは1〜2000質量ppm、更に好ましくは3〜1000質量ppm、特に好ましくは5〜500質量ppmである。
被保存物としては、牛乳、乳製品、ジュース、コーヒー、茶類、アルコール飲料等の飲料;ソース、醤油、ドレッシング等の液体調味料、スープ、シチュー、カレー、乳幼児用調理食品、介護調理食品等の調理食品;ジャム、マヨネーズ等のペースト状食品;ツナ、魚貝等の水産製品;チーズ、バター等の乳加工品;肉、サラミ、ソーセージ、ハム等の畜肉加工品;にんじん、じゃがいも等の野菜類;卵;麺類;調理前の米類、調理された炊飯米、米粥等の加工米製品;粉末調味料、粉末コーヒー、乳幼児用粉末ミルク、粉末ダイエット食品、乾燥野菜、せんべい等の乾燥食品;農薬、殺虫剤等の化学品;医薬品;化粧品;ペットフード;シャンプー、リンス、洗剤等の雑貨品;半導体集積回路並びに電子デバイス;種々の物品を挙げることができる。
なお、以下の実施例において、共重合体を構成する単位に関して、
メタキシリレンジアミンに由来する単位を「MXDA」、
アジピン酸に由来する単位を「AA」、
イソフタル酸に由来する単位を「IPA」、
L−アラニンに由来する単位を「L−Ala」という。
また、ポリメタキシリレンアジパミドを「N−MXD6」という。
1H−NMR(400MHz,日本電子(株)製、商品名:JNM−AL400、測定モード:NON(1H))を用いて、ポリアミド樹脂のα−アミノ酸含有率の定量を実施した。具体的には、溶媒としてギ酸−dを用いてポリアミド樹脂の5質量%の溶液を調製し、1H−NMR測定を実施した。
ペレット状サンプル1gを精秤し、96%硫酸100mlに20〜30℃で撹拌溶解した。完全に溶解した後、速やかにキャノンフェンスケ型粘度計に溶液5mlを取り、25℃の恒温漕中で10分間放置後、落下時間(t)を測定した。また、96%硫酸そのものの落下時間(t0)も同様に測定した。t及びt0から次式により相対粘度を算出した。
相対粘度=t/t0
ポリアミド樹脂を精秤し、フェノール/エタノール=4/1容量溶液に20〜30℃で撹拌溶解させ、完全に溶解した後、撹拌しつつ、メタノール5mlで容器内壁を洗い流し、0.01mol/L塩酸水溶液で中和滴定して末端アミノ基濃度〔NH2〕を求めた。
示差走査熱量計((株)島津製作所製、商品名:DSC−60)を用い、昇温速度10℃/分で窒素気流下にDSC測定(示差走査熱量測定)を行い、ガラス転移温度(Tg)及び融点(Tm)を求めた。
Tダイを設置した30mmφ二軸押出機((株)プラスチック工学研究所製)を用い、(ポリアミド樹脂の融点+20℃)のシリンダー・Tダイ温度にて、ポリアミド樹脂から厚さ約100μmの無延伸単層フィルムを成形した。
製造した無延伸単層フィルムから切り出した10cm×10cmの試験片2枚を、アルミ箔積層フィルムからなる25cm×18cmの3方シール袋に、水10mlを含ませた綿と共に仕込み、袋内空気量が400mlとなるようにして密封した。袋内の湿度は100%RH(相対湿度)とした。40℃下で7日保存後、14日保存後、28日保存後のそれぞれに袋内の酸素濃度を酸素濃度計(東レエンジニアリング(株)製、商品名:LC−700F)で測定し、この酸素濃度から酸素吸収量を計算した。
撹拌機、分縮器、全縮器、圧力調整器、温度計、滴下槽及びポンプ、アスピレーター、窒素導入管、底排弁、ストランドダイを備えた内容積50Lの耐圧反応容器に、精秤したアジピン酸(旭化成ケミカルズ(株)製)13000g(88.96mol)、L−アラニン(Sinogel amino acid co.ltd)880.56g(9.88mol)、次亜リン酸ナトリウム11.7g(0.11mol)、酢酸ナトリウム6.06g(0.074mol)を入れ、十分に窒素置換した後、反応容器内を密閉し、容器内を0.4MPaに保ちながら撹拌下170℃まで昇温した。170℃に到達した後、反応容器内の溶融した原料へ滴下槽に貯めたメタキシリレンジアミン(三菱ガス化学(株)製)12082.2g(88.71mol)の滴下を開始し、容器内を0.4MPaに保ちながら生成する縮合水を系外へ除きながら反応槽内を連続的に240℃まで昇温した。メタキシリレンジアミンの滴下終了後、反応容器内を徐々に常圧に戻し、次いでアスピレーターを用いて反応槽内を80kPaに減圧して縮合水を除いた。減圧中に撹拌機の撹拌トルクを観察し、所定のトルクに達した時点で撹拌を止め、反応槽内を窒素で加圧し、底排弁を開け、ストランドダイからポリマーを抜き出してストランド化した後、冷却してペレタイザーによりペレット化した。次にこのペレットをステンレス製の回転ドラム式の加熱装置に仕込み、5rpmで回転させた。十分窒素置換し、さらに少量の窒素気流下にて反応系内を室温から140℃まで昇温した。反応系内温度が140℃に達した時点で1torr以下まで減圧を行い、更に系内温度を110分間で180℃まで昇温した。系内温度が180℃に達した時点から、同温度にて180分間、固相重合反応を継続した。反応終了後、減圧を終了し窒素気流下にて系内温度を下げ、60℃に達した時点でペレットを取り出すことにより、MXDA/AA/L−Ala共重合体(ポリアミド樹脂1)を得た。なお、各モノマーの仕込み組成比は、メタキシリレンジアミン:アジピン酸:L−アラニン=47.3:47.4:5.3(mol%)であった。
各モノマーの仕込み組成比を、メタキシリレンジアミン:アジピン酸:L−アラニン=44.4:44.5:11.1(mol%)としたこと以外は製造例1と同様にしてMXDA/AA/L−Ala共重合体(ポリアミド樹脂2)を得た。
各モノマーの仕込み組成比を、メタキシリレンジアミン:アジピン酸:L−アラニン=33.3:33.4:33.3(mol%)としたこと以外は製造例1と同様にしてMXDA/AA/L−Ala共重合体(ポリアミド樹脂3)を得た。
ジカルボン酸成分をイソフタル酸(エイ・ジイ・インタナショナル・ケミカル(株)製)とアジピン酸の混合物に変更し、各モノマーの仕込み組成比を、メタキシリレンジアミン:アジピン酸:イソフタル酸:L−アラニン=44.3:39.0:5.6:11.1(mol%)としたこと以外は製造例1と同様にしてMXDA/AA/IPA/L−Ala共重合体(ポリアミド樹脂4)を得た。
L−アラニンを添加せず、各モノマーの仕込み組成比を、メタキシリレンジアミン:アジピン酸=49.8:50.2(mol%)としたこと以外は製造例1と同様にしてN−MXD6(ポリアミド樹脂5)を得た。
熱可塑性樹脂(X)としてイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート(PET)(日本ユニペット(株)製、グレード名:BK2180)を用い、着色剤(B)として銅フタロシアニン系青色着色剤(BASF社製、商品名:Heliogen Blue K7090、銅含有量:6.5%)をPETに対して4000ppmとなるようにドライブレンドしたものを、φ32mmのフルフライトスクリューを備えた2軸押出機で、回転数80rpm、265℃で溶融混合したものをストランド状に押出し、空冷したのちペレタイズして、マスターバッチペレットを得た(マスターバッチ1)。続いて、得られたマスターバッチ1中に含まれる金属原子を以下の方法により定量した。結果を表2に示す。
マスターバッチ又は着色剤2gを白金るつぼに精秤し、予備燃焼後、電気炉で800℃、3時間の条件で灰化させた。冷却後、硝酸2mlを6回に分けて加え、300〜350℃のホットプレート上で完全に蒸発、乾固させた。次に塩酸3mlを加え、200〜250℃に加熱し、塩酸がるつぼの底に少量残る程度まで乾固させ、蒸留水で25mlにメスアップし、冷却装置により20℃に保って試料を作製した。この試料について、原子吸光分光光度計((株)島津製作所製、商品名:AA−6500)を使用して原子吸光分析を行い、金属原子の定量を行った。
熱可塑性樹脂(X)として製造例2のポリアミド樹脂2を用いたこと以外はMB製造例1と同様にして、マスターバッチペレットを得た(マスターバッチ2)。また、MB製造例1と同様にして、得られたマスターバッチ2中に含まれる金属原子の定量を行った。結果を表2に示す。
熱可塑性樹脂(X)として製造例5のポリアミド樹脂5を用いたこと以外はMB製造例1と同様にして、マスターバッチペレットを得た(マスターバッチ3)。また、MB製造例1と同様にして、得られたマスターバッチ3中に含まれる金属原子の定量を行った。結果を表2に示す。
着色剤(B)として銅フタロシアニン系緑色着色剤(BASF社製、商品名:Heliogen Green K9360、銅含有量:2.85%)を用いたこと以外は、MB製造例1と同様にして、マスターバッチペレットを得た(マスターバッチ4)。また、MB製造例1と同様にして、得られたマスターバッチ4中に含まれる金属原子の定量を行った。結果を表2に示す。
着色剤(B)として酸化鉄(III)系赤色着色剤(BASF社製、商品名:Sicotrans Red K2915、鉄含有量:51%)を用いたこと以外は、MB製造例1と同様にして、マスターバッチペレットを得た(マスターバッチ5)。また、MB製造例1と同様にして、得られたマスターバッチ5中に含まれる金属原子の定量を行った。結果を表2に示す。
熱可塑性樹脂(X)として製造例2のポリアミド樹脂2を用いたこと以外は、MB製造例5と同様にして、マスターバッチペレットを得た(マスターバッチ6)。また、MB製造例1と同様にして、得られたマスターバッチ6中に含まれる金属原子の定量を行った。結果を表2に示す。
着色剤(B)としてアントラキノン系黄色着色剤(BASF社製、商品名:Filester Yellow RNB、鉄含有量:1.8%)を用いたこと以外は、MB製造例1と同様にして、マスターバッチペレットを得た(マスターバッチ7)。また、MB製造例1と同様にして、得られたマスターバッチ7中に含まれる金属原子の定量を行った。結果を表2に示す。
PETベースの酸化鉄系茶色着色マスターバッチ(日本ピグメント(株)社製、商品名:RX−2550−11xカイ3、鉄含有量:1.2%))をマスターバッチ8として使用した。MB製造例1と同様にして、マスターバッチ8中に含まれる金属原子の定量を行った。結果を表2に示す。
ポリブチレンテレフタレート(PBT)ベースの有機銅系茶色着色マスターバッチ(Clariant社製、商品名:Renol Brown、銅含有量:0.95%)をマスターバッチ9として使用した。MB製造例1と同様にして、マスターバッチ9中に含まれる金属原子の定量を行った。結果を表2に示す。
実施例及び比較例で得られた共押出多層フィルム、PETブレンドボトル及びPET多層ボトルの酸素透過率の測定、PET多層ボトルの耐層間剥離性の評価、並びに無延伸フィルムの溶融滞留試験及び引張試験は、以下の方法で行った。
共押出多層フィルムの酸素透過率は、酸素透過率測定装置(MOCON社製、型式:OX−TRAN2/21)を使用し、ASTM D3985に準じて、23℃、相対湿度60%の雰囲気下にて30日間測定した。
また、PETブレンドボトル及びPET多層ボトルの酸素透過率は、酸素透過率測定装置(MOCON社製、商品名:OX−TRAN 2−61)を使用し、23℃、成形体外部の相対湿度50%、内部の相対湿度100%の雰囲気下にてASTM D3985に準じて、成形後90日経過後までのボトルの酸素透過率を測定した。
測定値が低いほど酸素バリア性が良好であることを示す。
ASTM D2463−95 Procedure Bに基づき、ボトルの落下試験により層間剥離高さを測定した。層間剥離高さが高いほど、耐層間剥離性が良好であることを示す。
まず、ボトルに水を満たしキャップをした後、ボトルを落下させ層間剥離の有無を目視で判定した。ボトルは底部が床に接触するように垂直落下させた。落下高さ間隔は15cmとし、テスト容器数は30本とした。試験は、水の充填直後、及び水の充填後40℃相対湿度50%で90日経過後に実施した。
厚さ250μmの無延伸フィルムを4枚重ねにし、直径約40mmの円に切り取った後、ポリテトラフルオロエチレンシートに挟み、該シートを金属板にて上下を挟み、金属板同士をボルトで固定した。その後、290℃に加温した熱プレス機に50kg/cm2の圧力でプレスし、24時間加熱した。24時間加熱後、該金属板を取り出して、急冷後、室温にてサンプルを取り出した。
続いて、このサンプルを100mg秤量後、密栓可能な試験管に入れ、サンプルを60℃にて30分恒温乾燥機にて乾燥した(このときの質量を「サンプル質量」とする)。サンプル乾燥後、即座に試験管にヘキサフルオロイソプロパノール(純正化学(株)製、以下「HFIP」と記載することがある。)を10ml加え、蓋をし、24時間静置し、溶解させた。次に、予め秤量した0.3μm孔径のポリテトラフルオロエチレン製メンブレンフィルターを通し、減圧濾過し、メンブレンフィルターに残った残渣をHFIPにて洗浄した。その後、残渣の付着したフィルターを24時間自然乾燥した。続いて、乾燥した残渣とフィルターの総質量を秤量し、予め秤量したメンブレンフィルター質量との差から、滞留サンプルのHFIP不溶成分量(ゲル質量)を求めた後、ゲル分率はHFIP浸漬前の滞留サンプルに対するHFIP不溶成分の質量%として以下の式より算出した。
ゲル分率(%)=(ゲル質量/サンプル質量)×100
厚さ100μmの無延伸フィルムを40℃80%RHの恒温槽にて30日間保管して酸素を吸収させ、23℃50%RHの恒温恒湿室に1週間調湿後、引張試験を実施した。比較として、40℃80%RHの環境下で30日保管しないサンプルも用意し、23℃50%RHの恒温恒湿室に1週間調湿後、引張試験を実施した(初期値)。
・引張試験条件
引張試験機:(株)東洋精機製作所製、商品名:ストログラフV−1C
フィルム方向:MD
フィルム幅:10mm
引張速度:50mm/min
実施例1
3台の押出機、フィードブロック、Tダイ、冷却ロール、巻き取り機等を備えた多層フィルム製造装置を用いた。1台目の押出機からポリアミド樹脂1及びマスターバッチ2をポリアミド樹脂1/マスターバッチ2の混合比(質量比)が95/5となるようにドライブレンドしたもの250℃で、2台目の押出機からポリプロピレン(日本ポリプロ(株)製、商品名:ノバテック、グレード:FY6)を230℃で、3台目の押出機から接着性樹脂(三井化学(株)製、商品名:アドマー、グレード:QB515)を220℃でそれぞれ押し出し、フィードブロックを介して、(外層)ポリプロピレン層/接着性樹脂層/ポリアミド樹脂1+マスターバッチ2層/接着性樹脂層/ポリプロピレン層(内層)の3種5層構造の多層フィルムを製造した。なお、各層の厚みは、60/5/40/5/60(μm)とした。
ポリアミド樹脂(A)の種類、マスターバッチの種類及びポリアミド樹脂(A)とマスターバッチとの混合比を変更したこと以外は、それぞれ実施例1と同様に共押出多層フィルムを作成した。
実施例1におけるポリアミド樹脂1+マスターバッチ2層を構成する材料を、マスターバッチを混合せずポリアミド樹脂1のみに変更したこと以外は、実施例1と同様に共押出多層フィルムを作成した。
実施例1におけるポリアミド樹脂1+マスターバッチ2層を構成する材料を、マスターバッチを混合せずポリアミド樹脂5のみに変更したこと以外は、実施例1と同様に共押出多層フィルムを作成した。
実施例8
実施例1で得られた多層フィルムを、(株)東洋精機製作所製の二軸延伸装置(テンター法)を用いて、延伸温度115℃でMD方向に3倍、TD方向に3倍延伸し、160℃で30秒熱固定し、厚み約19μmの2軸延伸フィルムを作成した。
比較例3で得られた多層フィルムを、実施例8と同様に延伸して2軸延伸フィルムを作成した。
実施例9
3台の押出機、フィードブロック、Tダイ、冷却ロール、巻き取り機等を備えた多層フィルム製造装置を用い、1台目及び3台目の押出機からナイロン6(N6)(宇部興産(株)製、商品名:UBEナイロン6、グレード:1022B)を250℃で、2台目の押出機からポリアミド樹脂2及びマスターバッチ2をポリアミド樹脂2/マスターバッチ2の混合比(質量比)が90/10を250℃でそれぞれ押し出し、フィードブロックを介してナイロン6層/ポリアミド樹脂2層/ナイロン6層の2種3層構造の多層フィルム(A1)を製造した。なお、各層の厚みは、80/80/80(μm)とした。
次いで、バッチ式の2軸延伸機(東洋精機(株)製、センターストレッチ式二軸延伸機)を用いて、加熱温度120℃、延伸速度3000mm/min、熱固定温度190℃、熱固定時間30秒にて、縦4倍、横4倍に2軸延伸したフィルムを得た。なお、延伸後の各層の厚みは、5/5/5(μm)となった。
実施例9におけるマスターバッチ2をマスターバッチ6に変更したこと以外は、実施例9と同様に2軸延伸フィルムを作成した。
実施例9におけるポリアミド樹脂2+マスターバッチ2層を構成する材料を、マスターバッチを混合せずポリアミド樹脂2のみに変更したこと以外は、実施例9と同様に2軸延伸フィルムを作成した。
さらに、実施例8の5層構成二軸延伸多層フィルムは、比較例4のN−MXD6のみを用いた二軸延伸多層フィルムよりも長期間、酸素透過率が良好であった。同様に、実施例9及び10の3層構成二軸延伸多層フィルムは、比較例5のポリアミド樹脂(A)のみを用いた二軸延伸多層フィルムよりも長期間、酸素透過率が良好であった。
実施例11
下記の条件により、ポリアミド樹脂(A)、マスターバッチ1とポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)とを混合した樹脂組成物を射出シリンダーから必要量射出してキャビティーを満たすことにより、インジェクション成形体(パリソン)(22.5g)を得た。なお、ポリエチレンテレフタレート樹脂としては、固有粘度(フェノール/テトラクロロエタン=6/4(質量比)の混合溶媒を使用、測定温度:30℃)が0.83のポリエチレンテレフタレート(日本ユニペット(株)製、商品名:BK−2180)を使用した。ポリアミド樹脂(A)としては、製造例2で製造したポリアミド樹脂2を使用し、マスターバッチとして、マスターバッチ1を使用した。PETとマスターバッチ1の配合比は、PET/マスターバッチ1=90/10(質量比)とした。また、ポリアミド樹脂(A)のブレンド比は、ポリアミド樹脂(A)/(PETとマスターバッチ)=3/97(質量比)とした。
得られたパリソンを冷却後、二次加工として、パリソンを加熱し2軸延伸ブロー成形を行うことでボトルを製造した。
全長95mm、外径22mm、肉厚2.7mmとした。なお、パリソンの製造には、射出成形機(名機製作所(株)製、型式:M200、4個取り)を使用した。
(パリソンの成形条件)
射出シリンダー温度:280℃
金型内樹脂流路温度:280℃
金型冷却水温度:15℃
全長160mm、外径60mm、内容積370ml、肉厚0.28mmとした。延伸倍率は縦1.9倍、横2.7倍とした。底部形状はシャンパンタイプである。胴部にディンプルを有する。なお、二次加工には、ブロー成形機((株)フロンティア製、型式:EFB1000ET)を使用した。
(二次加工条件)
インジェクション成形体の加熱温度:100℃
延伸ロッド用圧力:0.5MPa
一次ブロー圧力:0.5MPa
二次ブロー圧力:2.4MPa
一次ブロー遅延時間:0.32sec
一次ブロー時間:0.30sec
二次ブロー時間:2.0sec
ブロー排気時間:0.6sec
金型温度:30℃
ポリアミド樹脂(A)の種類、マスターバッチの種類、PETとマスターバッチとの配合比及びポリアミド樹脂(A)のブレンド比を変更したこと以外は、それぞれ実施例11と同様にPETブレンドボトルを作成した。
パリソンを構成する材料として、マスターバッチを混合せずポリアミド樹脂2のみを使用したこと以外は、実施例11と同様にPETブレンドボトルを作成した。
実施例23
下記の条件により、層(b)を構成する材料を射出シリンダーから射出し、次いで層(a)を構成する材料を別の射出シリンダーから、層(b)を構成する材料と同時に射出し、次に層(b)を構成する材料を必要量射出してキャビティーを満たすことにより、(b)/(a)/(b)の3層構成のインジェクション成形体(パリソン)(22.5g)を得た。
層(b)を構成する材料としては、固有粘度(フェノール/テトラクロロエタン=6/4(質量比)の混合溶媒を使用、測定温度:30℃)が0.83のポリエチレンテレフタレート(日本ユニペット(株)製、商品名:BK−2180)を使用した。層(a)を構成する材料としては、ポリアミド樹脂1とマスターバッチ6を、ポリアミド樹脂1/マスターバッチ6の混合比(質量比)が90/10となるようにドライブレンドした。
得られたパリソンを冷却後、二次加工として、パリソンを加熱し2軸延伸ブロー成形を行うことでボトルを製造した。得られたボトルの総質量に対する層(a)の質量は5質量%であった。
全長95mm、外径22mm、肉厚2.7mm、外側層(b)胴部厚み1520μm、層(a)胴部厚み140μm、内側層(b)胴部厚み1040μmとした。なお、パリソンの製造には、射出成形機(名機製作所(株)製、型式:M200、4個取り)を使用した。
(パリソンの成形条件)
層(a)用の射出シリンダー温度:250℃
層(b)用の射出シリンダー温度:280℃
金型内樹脂流路温度:280℃
金型冷却水温度:15℃
全長160mm、外径60mm、内容積370ml、肉厚0.28mm、外側層(b)胴部厚み152μm、層(a)胴部厚み14μm、内側層(b)胴部厚み114μmとした。延伸倍率は縦1.9倍、横2.7倍とした。底部形状はシャンパンタイプである。胴部にディンプルを有する。なお、二次加工には、ブロー成形機((株)フロンティア製、型式:EFB1000ET)を使用した。
(二次加工条件)
インジェクション成形体の加熱温度:100℃
延伸ロッド用圧力:0.5MPa
一次ブロー圧力:0.5MPa
二次ブロー圧力:2.4MPa
一次ブロー遅延時間:0.32sec
一次ブロー時間:0.30sec
二次ブロー時間:2.0sec
ブロー排気時間:0.6sec
金型温度:30℃
ポリアミド樹脂(A)の種類、マスターバッチの種類、ポリアミド樹脂(A)とマスターバッチとの混合比及びボトルの総質量に対する層(a)の質量を変更したこと以外は、それぞれ実施例23と同様にPET多層ボトルを作成した。
層(b)を構成する材料として、PET/マスターバッチ6の混合比(質量比)が90/10となるようにドライブレンドしたものを使用したこと以外は、実施例23と同様にPET多層ボトルを作成した。
層(a)を構成する材料として、マスターバッチを混合せずポリアミド樹脂2のみを使用したこと以外は、実施例23と同様にPET多層ボトルを作成した。
ポリアミド樹脂2及びマスターバッチ2を、ポリアミド樹脂2/マスターバッチ2の混合比(質量比)が90/10となるようにドライブレンドしたものを直径25mmの単軸押出機及びTダイからなる装置のホッパーに投入し、回転数70rpm、260℃で押出し、厚さ250μm及び厚さ100μmの無延伸フィルムを得た。250μmフィルムを290℃24時間の溶融滞留試験を行い、ゲル分率を求めた。また、100μmフィルムを用いて引張試験を実施し、引張破断強度を求めた。
ポリアミド樹脂(A)の種類、マスターバッチの種類及びポリアミド樹脂(A)とマスターバッチとの混合比を変更したこと以外は、それぞれ実施例34と同様に無延伸フィルムを作成し、溶融滞留試験及び引張試験を行い、ゲル分率及び引張破断強度を求めた。
Claims (16)
- 下記一般式(I−1)で表される芳香族ジアミン単位、下記一般式(I−2)で表される脂環族ジアミン単位、及び下記一般式(I−3)で表される直鎖脂肪族ジアミン単位からなる群から選ばれる少なくとも1つのジアミン単位を合計で50モル%以上含むジアミン単位25〜50モル%と、
下記一般式(II−1)で表される直鎖脂肪族ジカルボン酸単位及び/又は下記一般式(II−2)で表される芳香族ジカルボン酸単位を合計で50モル%以上含むジカルボン酸単位25〜50モル%と、
下記一般式(III)で表される構成単位0.1〜50モル%とを含有するポリアミド樹脂(A)、及び
鉄、マンガン、銅及び亜鉛から選択された一種以上の金属原子を含有する着色剤(B)
を含む着色ポリアミド樹脂組成物。
[前記一般式(I−3)中、mは2〜18の整数を表す。前記一般式(II−1)中、nは2〜18の整数を表す。前記一般式(II−2)中、Arはアリーレン基を表す。前記一般式(III)中、Rは置換もしくは無置換のアルキル基又は置換もしくは無置換のアリール基を表す。] - 前記一般式(III)におけるRが、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基又は置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリール基である、請求項1に記載の着色ポリアミド樹脂組成物。
- 前記着色剤(B)を金属原子濃度として1〜5000質量ppm含有する、請求項1又は2に記載の着色ポリアミド樹脂組成物。
- 前記ジアミン単位が、メタキシリレンジアミン単位を50モル%以上含む、請求項1〜3のいずれかに記載の着色ポリアミド樹脂組成物。
- 前記直鎖脂肪族ジカルボン酸単位が、アジピン酸単位、セバシン酸単位、及び1,12−ドデカンジカルボン酸単位からなる群から選ばれる少なくとも1つを合計で50モル%以上含む、請求項1〜4のいずれかに記載の着色ポリアミド樹脂組成物。
- 前記芳香族ジカルボン酸単位が、イソフタル酸単位、テレフタル酸単位、及び2,6−ナフタレンジカルボン酸単位からなる群から選ばれる少なくとも1つを合計で50モル%以上含む、請求項1〜5のいずれかに記載の着色ポリアミド樹脂組成物。
- 前記ω−アミノカルボン酸単位が、6−アミノヘキサン酸単位及び/又は12−アミノドデカン酸単位を合計で50モル%以上含む、請求項7に記載の着色ポリアミド樹脂組成物。
- 前記ポリアミド樹脂(A)の相対粘度が1.8以上4.2以下である、請求項1〜8のいずれかに記載の着色ポリアミド樹脂組成物。
- 前記着色剤(B)が、鉄、マンガン、銅及び亜鉛から選択された一種以上の金属原子を含む酸化物及びシアン化物、鉄、マンガン、銅及び亜鉛から選択された一種以上の金属原子を含むアントラセン系着色剤、並びに銅フタロシアニン系着色剤から選ばれる一種以上の着色剤である、請求項1〜9のいずれかに記載の着色ポリアミド樹脂組成物。
- 前記着色剤(B)が、酸化鉄系着色剤、フェロシアン化物系着色剤、及び銅フタロシアニン系着色剤から選ばれる一種以上である、請求項1〜10のいずれかに記載の着色ポリアミド樹脂組成物。
- 請求項1〜11のいずれかに記載の着色ポリアミド樹脂組成物を製造する方法であって、前記着色剤(B)と熱可塑性樹脂(X)とを溶融混合してマスターバッチを得る工程、及び該マスターバッチを前記ポリアミド樹脂(A)と溶融混練する工程を含む、着色ポリアミド樹脂組成物の製造方法。
- 前記熱可塑性樹脂(X)に対する前記着色剤(B)の質量比[(B)/(X)]が、金属原子濃度として10〜15000質量ppmである、請求項12に記載の着色ポリアミド樹脂組成物の製造方法。
- 前記マスターバッチと前記ポリアミド樹脂(A)との混合比が、ポリアミド樹脂(A):マスターバッチの質量比として99:1〜50:50である、請求項12又は13に記載の着色ポリアミド樹脂組成物の製造方法。
- 請求項1〜11のいずれかに記載の着色ポリアミド樹脂組成物を含有する成形体。
- 金属原子濃度が1〜5000質量ppmである、請求項15に記載の成形体。
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