[go: up one dir, main page]

JP5981800B2 - 緩衝装置 - Google Patents

緩衝装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5981800B2
JP5981800B2 JP2012172663A JP2012172663A JP5981800B2 JP 5981800 B2 JP5981800 B2 JP 5981800B2 JP 2012172663 A JP2012172663 A JP 2012172663A JP 2012172663 A JP2012172663 A JP 2012172663A JP 5981800 B2 JP5981800 B2 JP 5981800B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pressure
flow path
chamber
free piston
extension
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012172663A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014031832A (ja
Inventor
崇志 寺岡
崇志 寺岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
KYB Corp
Original Assignee
KYB Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by KYB Corp filed Critical KYB Corp
Priority to JP2012172663A priority Critical patent/JP5981800B2/ja
Publication of JP2014031832A publication Critical patent/JP2014031832A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5981800B2 publication Critical patent/JP5981800B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Fluid-Damping Devices (AREA)

Description

本発明は、緩衝装置の改良に関する。
従来、この種の緩衝装置にあっては、シリンダと、シリンダ内に摺動自在に挿入されシリンダ内を上室と下室に区画するピストンと、ピストンに設けられた上室と下室を連通する第一流路と、ピストンロッドの先端から側部に開通して上室と下室を連通する第二流路と、第二流路の途中に接続される圧力室を備えてピストンロッドの先端に取付けられたハウジングと、圧力室内に摺動自在に挿入され圧力室を一方室と他方室とに区画するフリーピストンと、フリーピストンを附勢するコイルばねとを備えて構成されている。すなわち、圧力室内の一方室は第二流路を介して下室内に連通されるとともに、圧力室内の他方室は同じく第二流路を介して上室に連通されるようになっている。
このように構成された緩衝装置は、圧力室がフリーピストンによって一方室と他方室とに区画されており、第二流路を介しては上室と下室とが直接的に連通されてはいないが、フリーピストンが移動すると一方室と他方室の容積比が変化し、フリーピストンの移動量に応じて圧力室内の液体が上室と下室へ出入りするため、見掛け上、上室と下室とが第二流路を介して連通されているが如くに振舞う。
ここで、緩衝装置の伸縮時における上室と下室との差圧をPとし、上室から流出する液体の流量をQとし、上記差圧Pと第一流路を通過する液体の流量Q1との関係である係数をC1とし、圧力室の他方室内の圧力をP1とし、差圧Pと圧力P1との差と上室から圧力室の他方室内に流入する液体の流量Q2との関係である係数をC2とし、圧力室の一方室内の圧力をP2とし、この圧力P2と一方室から下室内に流出する液体の流量Q2との関係である係数をC3とし、フリーピストンの受圧面積である断面積をAとし、フリーピストンの圧力室に対する変位をXとし、コイルばねのばね定数をKとして、流量Qに対する差圧Pの伝達関数を求めると、式(1)が得られる。なお、式(1)中、sはラプラス演算子を示している。
Figure 0005981800
さらに、上記式(1)で示された伝達関数中のラプラス演算子sにjωを代入して、周波数伝達関数G(jω)の絶対値を求めると、以下の式(2)が得られる。
Figure 0005981800
上記各式から理解できるように、この緩衝装置における流量Qに対する差圧Pの伝達関数の周波数特性は、Fa=K/{2・π・A・(C1+C2+C3)}とFb=K/{2・π・A・(C2+C3)}の2つの折れ点周波数を持ち、また、F<Faの領域においては、伝達ゲインは略C1となり、Fa≦F≦Fbの領域においてはC1からC1・(C2+C3)/(C1+C2+C3)まで漸減するように変化して、F>Fbの領域においては一定となる。すなわち、流量Qに対する差圧Pの伝達関数の周波数特性は、低周波数域では伝達ゲインが大きくなり、高周波数域では伝達ゲインが小さくなる。
したがって、この緩衝装置では、低周波数の振動の入力に対しては大きな減衰力を発生し、他方、高周波数の振動の入力に対しては小さな減衰力を発生することができるので、車両が旋回中等の入力振動周波数が低い場面においては高い減衰力を確実に発生可能であるとともに、車両が凹凸路面を走行するような入力振動周波数が高い場面においては低い減衰力を確実に発生させて、車両における乗り心地を向上させることができる(たとえば、特許文献1,2参照)。
特開2006−336816号公報 特開2007−78004号公報
ところで、上記緩衝装置では、ハウジングの内周に段部を設けており、フリーピストンが一方室を圧縮する下方に変位して移動限界にまで達すると、上記段部がフリーピストンの一方室側の端部外周に衝合して、フリーピストンのハウジングに対するそれ以上の下方への変位を規制するようになっている。
したがって、たとえば、振幅が大きな振動が入力される場合にあっては、フリーピストンがストロークエンドで変位が規制されて、圧力室を介して液体の行き来がなくなり、緩衝装置は大きな減衰力を発揮して伸び切りや底付きを抑制することができるようになっている。
このように、フリーピストンの変位を規制することで、伸び切りや底付きを抑制することができるのであるが、フリーピストンがハウジングに衝突する際に打音が生じて車両搭乗者に違和感や不安感を与えることがある。
そこで、本発明は上記した不具合を改善するために創案されたものであって、その目的とするところは、打音の発生を抑制できる緩衝装置を提供することである。
上記した目的を解決するために、本発明における課題解決手段は、シリンダと、上記シリンダ内に摺動自在に挿入され上記シリンダ内を伸側室と圧側室に区画する隔壁部材と、上記伸側室と上記圧側室とを連通する減衰通路と、内部に圧力室を形成するハウジングと、上記ハウジング内に移動自在に挿入されて上記圧力室を伸側流路を介して上記伸側室に連通される伸側圧力室と圧側流路を介して上記圧側室に連通される圧側圧力室とに区画するフリーピストンと、上記フリーピストンの上記ハウジングに対する変位を抑制する附勢力を発生するばね要素とを備えた緩衝装置において、上記フリーピストンが上記ハウジングに対して中立位置から上記伸側圧力室を圧縮する伸方向へ伸側所定量以上変位すると上記伸側流路の流路面積を制限する伸側流路制限手段と、上記フリーピストンが上記ハウジングに対して中立位置から上記圧側圧力室を圧縮する圧方向へ圧側所定量以上変位すると上記圧側流路の流路面積を制限する圧側流路制限手段とを備えたことを特徴とする。
したがって、フリーピストンが伸方向へ伸側所定量以上変位しても圧方向へ圧側所定量以上変位しても、フリーピストンのそれ以上のストロークエンド側への変位が抑制されて、フリーピストンとハウジングとの衝突が阻止されるか勢いよく衝突することが防止される。
よって、本発明の緩衝装置によれば、フリーピストンとハウジングとの打音の発生を抑制できる。
一実施の形態における緩衝装置の縦断面図である。 一実施の形態の一変形例における緩衝装置の一部拡大縦断面図である。 一実施の形態の一変形例における緩衝装置の他の構成例の一部拡大縦断面図である。 一実施の形態の一変形例における緩衝装置の別構成例の一部拡大縦断面図である。 一実施の形態の他の変形例における緩衝装置の一部拡大縦断面図である。 一実施の形態の別の変形例における緩衝装置の一部拡大縦断面図である。
以下、図に基づいて本発明を説明する。本発明の緩衝装置Dは、図1に示すように、シリンダ1と、シリンダ1内に摺動自在に挿入されシリンダ1内を伸側室R1および圧側室R2に区画する隔壁部材としてのピストン2と、上記した伸側室R1と圧側室R2とを連通する減衰通路3a,3bと、圧力室R3を形成するハウジング15と、上記ハウジング15内に摺動自在に挿入されて圧力室R3を伸側流路5を介して伸側室R1に連通される伸側圧力室7と圧側流路6を介して圧側室R2に連通される圧側圧力室8とに区画するフリーピストン9と、フリーピストン9の圧力室R3に対する変位を抑制する附勢力を発生するばね要素10と、伸側流路5の流路面積を制限する伸側流路制限手段Meと、圧側流路6の流路面積を制限する圧側流路制限手段Msとを備えて構成され、車両における車体と車軸との間に介装されて減衰力を発生し車体の振動を抑制するものである。
また、緩衝装置Dは、シリンダ1内に移動自在に挿通されたピストンロッド4を備えており、ピストンロッド4の一端はピストン2に連結されるとともに、他端である上端は、図示はしないが、シリンダ1の上端を封止する環状のヘッド部材によって摺動自在に軸支されている。なお、シリンダ1の下端は、図外のボトム部材によって封止されている。
そして、伸側室R1および圧側室R2さらには圧力室R3内には作動油等の液体が充満される。また、この緩衝装置Dの場合、片ロッド型の緩衝装置であるので、ピストンロッド4がシリンダ1内に出入りする体積を補償するため、図示はしないが、シリンダ1内の下方にシリンダ1の内周に摺接して圧側室R2と気体室とを区画する摺動隔壁が設けるか、シリンダ1外にリザーバが設けられる。リザーバをシリンダ1外に設ける場合、シリンダ1の外周を覆う外筒を設けてシリンダ1と外筒との間にリザーバを形成するほか、シリンダ1とは別個にタンクを設けて当該タンクでリザーバを形成するようにしてもよい。なお、緩衝装置Dの収縮作動時に圧側室R2の圧力を高めるために圧側室R2とリザーバとの間を仕切る仕切部材と、仕切部材に設けられて圧側室R2からリザーバへ向かう液体の流れに抵抗を与えるベースバルブとを設けるようにしてもよい。なお、上記した作動室たる伸側室R1、圧側室R2および圧力室R3内に充填される液体は、作動油以外にも、たとえば、水、水溶液といった液体を使用することもできる。
以下、各部について詳細に説明すると、ピストンロッド4は、図1に示すように、その下端側に小径部4aが形成されるとともに、小径部4aの先端側には螺子部4cが形成されている。
そして、ピストンロッド4には、小径部4aの先端から開口しピストンロッド4の側部に抜けるロッド内通路4bが形成されており、このロッド内通路4bは伸側流路5を形成している。ロッド内通路4bは、ピストンロッド4の先端である図1中下端に設けた拡径孔4dと、拡径孔4dよりも小径で当該拡径孔4dから軸方向へ伸びる縦孔4eと、ピストンロッド4の伸側室R1に臨む側部から開口して縦孔4eへ通じる横孔4fとで構成されている。なお、図示したところでは、この伸側流路5を形成するロッド内通路4bの途中には、抵抗となる弁を設けていないが、絞り等の弁を設けるようにしてもよい。
ピストン2は、環状に形成されるとともに、その内周側にピストンロッド4の小径部4aが挿入されている。また、このピストン2には、伸側室R1と圧側室R2とを連通する減衰通路3a,3bが設けられ、減衰通路3aの図1中上端は減衰力発生要素である圧側リーフバルブV1にて閉塞され、他方の減衰通路3bの図1中下端も減衰力発生要素である伸側リーフバルブV2によって閉塞されている。
この圧側リーフバルブV1および伸側リーフバルブV2は、共に環状に形成され、内周側にはピストンロッド4の小径部4aが挿入され、圧側リーフバルブV1および伸側リーフバルブV2の撓み量を規制する環状のバルブストッパ21,22とともにピストン2に積層されている。
そして、圧側リーフバルブV1は、緩衝装置Dの収縮時に圧側室R2と伸側室R1の差圧によって撓んで開弁し減衰通路3aを開放して圧側室R2から伸側室R1へ移動する液体の流れに抵抗を与えるとともに、緩衝装置Dの伸長時には減衰通路3aを閉塞するようになっており、他方の伸側リーフバルブV2は、圧側リーフバルブV1とは反対に緩衝装置Dの伸長時に減衰通路3bを開放し、収縮時には減衰通路3bを閉塞する。すなわち、圧側リーフバルブV1は、緩衝装置Dの収縮時における圧側減衰力を発生する減衰力発生要素であり、他方の伸側リーフバルブV2は、緩衝装置Dの伸長時における伸側減衰力を発生する減衰力発生要素である。また、圧側リーフバルブV1および伸側リーフバルブV2で減衰通路3a,3bを閉じた状態にあっても、図示はしない周知のオリフィスによって伸側室R1と圧側室R2とが連通されるようになっており、オリフィスは、たとえば、圧側リーフバルブV1および伸側リーフバルブV2の外周に切欠を設けたり、圧側リーフバルブV1および伸側リーフバルブV2が着座する弁座に凹部を設けるなどして形成される。
このように、通路を一方通行とする場合には、緩衝装置Dのように、減衰通路3a,3bを設けてそれぞれを緩衝装置Dの伸長時あるいは収縮時のみ液体が通過するように構成してもよく、また、通路が双方向流れを許容する場合には一つのみを設けるようにしてもよい。さらに、減衰力発生要素は、オリフィスとリーフバルブを並列した構成以外にも、たとえば、チョークとリーフバルブを並列させる構成やその他の構成を採用することもできるのは当然である。
そして、ピストンロッド4の螺子部4cには、上記伸側リーフバルブV2の下方から圧力室R3を形成するハウジング15が螺着され、このハウジング15によって、上記したピストン2、圧側リーフバルブV1、伸側リーフバルブV2およびバルブストッパ21,22がピストンロッド4に固定される。このように、ハウジング15は、内部に圧力室R3を形成するだけでなく、ピストン2をピストンロッド4に固定する役割をも果たしている。
つづいて、ハウジング15について説明する。ハウジング15は、ピストンロッド4の螺子部4cに螺合される内筒30と、内部に内筒30が収容されて当該内筒30の外周に一体化される有底筒状のハウジング本体31とを備えて構成されており、圧力室R3を形成している。
そして、上記のように形成される圧力室R3内には、フリーピストン9が摺動自在に挿入されて、圧力室R3は、図1中上方側の伸側圧力室7と下方側の圧側圧力室8とに区画される。
また、内筒30は、筒部30aと、筒部30aの外周に設けた鍔30bと、筒部30aの内周に設けた螺子部30cとを備えて構成されている。そして、この内筒30における筒部30aをピストンロッド4の螺子部4cに螺着することで、上記したピストン2とこれに積層される各部材を上述のようにピストンロッド4に固定することができるとともに、ハウジング15をピストンロッド4の小径部4aに固定することが可能なようになっている。また、内筒30は、ピストンロッド4の図1中下端を閉塞しないので、ロッド内通路4bと協働して伸側流路5を形成し、伸側室R1と圧力室R3とを連通させている。
ハウジング本体31は、図1中下端側の内径が小径な小径部31cと図1中上端側の内径が大径な大径部31dを備えた筒部31aと、底部31bとを備えて有底筒状とされ、筒部31aの図1中上端である開口端は内周径が大径部31dよりも大径とされて形成される段部が設けられている。
このように構成されたハウジング本体31に内筒30を挿入すると、筒部31aの開口端に内筒30の鍔30bが嵌合し、また、段部に鍔30bが当接することによって、内筒30がハウジング本体31内に軸方向および径方向へ位置決められて収容される。そして、このようにハウジング本体31内に内筒30を収容した後、筒部31aの開口端を外周側から上記鍔30bの外周へ向けて加締められることで、内筒30とハウジング本体31とが一体化され、この内筒30およびハウジング本体31で圧側室R2内に圧力室R3が形成される。なお、内筒30とハウジング本体31との一体化に際し、上記加締め加工以外にも溶接等の他の方法を採用することも可能である。
また、ハウジング本体31の底部31bには、圧側圧力室8と圧側室R2とを連通して通過する液体の流れに抵抗を与える絞りとして機能する圧側流路6が設けられている。なお、上述したように伸側流路5にも絞りを設けることも可能である。
なお、筒部31aの小径部31cにおける外周の断面形状は、真円以外の形状、たとえば、一部を切欠いた形状や、六角形等の形状とされており、当該小径部31cに工具を係合させてハウジング15をピストンロッド4の先端に螺着することができるようになっている。
フリーピストン9は、有底筒状に形成されて、筒部9aと、筒部9aの一端を閉塞する底部9bと、底部9bの伸側圧力室側端に設けられ伸側流路5を形成するロッド内通路4b内へ侵入可能な伸側プランジャ9cと、底部9bの圧側圧力室側端に設けられ圧側流路6内へ侵入可能な圧側プランジャ9dとを備えており、筒部9aの外周をハウジング本体31の筒部31aの内周に摺接させて圧力室R3内に挿入され、圧力室R3を伸側室R1に連通される伸側圧力室7と圧側室R2に連通される圧側圧力室8とに区画している。伸側圧力室7は、伸側流路5を介して伸側室R1へ連通され、他方の圧側圧力室8は、圧側流路6を介して圧側室R2へ連通される。また、このようにフリーピストン9が有底筒状とすることで筒部9aにおける軸方向長さを確保でき、ハウジング15に対する摺動性を損なうことなくフリーピストン9の軽量化を図ることができる。
このフリーピストン9に、フリーピストン9のハウジング15に対する変位を抑制する附勢力を作用させるためのばね要素10として、伸側圧力室7内であって内筒30の鍔30bとフリーピストン9の底部9bとの間にコイルばね11を介装するとともに、圧側圧力室8内であってハウジング本体31の底部31bとフリーピストン9の底部9bとの間にコイルばね12を介装してあり、フリーピストン9は、これらコイルばね11,12でなるばね要素10によって上下側から挟持されて、圧力室R3内の所定の中立位置に位置決められた上で弾性支持されている。なお、中立位置は、圧力室R3の軸方向の中央を指すものではなく、フリーピストン9がばね要素10によって位置決められる位置のことである。
なお、ばね要素10としては、フリーピストン9を弾性支持できればよいので、コイルばね11,12以外のものを採用してもよく、たとえば、ゴムや皿バネ等の弾性体を用いてフリーピストン9を弾性支持するようにしてもよい。また、一端がフリーピストン9に連結される単一の弾性体を用いる場合には、内筒30あるいはハウジング本体31に他端を固定するようにしてもよい。
そして、伸側プランジャ9cは、この場合、円柱状であって、先端である図1中上端に外周にテーパ面を有して先が細い尖頭9eを備えており、ロッド内通路4bの開口部である拡径孔4dに対向しており、フリーピストン9が中立位置から伸側圧力室7を圧縮する伸方向である図1中上方へ伸側所定量以上変位すると、ロッド内通路4bにおける縦孔4e内へ侵入することができるようになっている。伸側プランジャ9cの先端である尖頭9eが拡径孔4d内にあるか伸側プランジャ9cの全体がロッド内通路4b外にある場合、伸側プランジャ9cとロッド内通路4bの内周との間の隙間は大きく、伸側流路5における流路面積は充分に確保されていて、液体は然程抵抗なく伸側プランジャ9cとロッド内通路4bの内周との間を通過することができる。これに対して、伸側プランジャ9cの尖頭9eが縦孔4e内に侵入すると、伸側流路5中の最少の流路面積が伸側プランジャ9cの尖頭9eと縦孔4eの内周との間の環状隙間の面積となり、当該流路面積が減少して、伸側流路5を通過しようとする液体の流れに抵抗が与えられることになる。尖頭9eは、先細りとなっているので、伸側プランジャ9cが縦孔4e内へ侵入していくと、伸側流路5の流路面積が徐々に減少し、さらに伸側プランジャ9cにおける尖頭9eよりも図1中下方側が縦孔4e内へ侵入すると、伸側流路5中の流路面積は、伸側プランジャ9cの外周と縦孔4eの内周との間の環状隙間の面積にまで減少して最小となる。つまり、この場合、伸側流路制限手段Meは、上記伸側プランジャ9cを備えていて、ロッド内通路4b内にこの伸側プランジャ9cが侵入することで伸側流路5の流路面積を制限するようになっている。このように、フリーピストン9が中立位置から伸方向へ伸側所定量以上変位すると、ロッド内通路4b内に伸側プランジャ9cが侵入することによって伸側流路5の流路面積が制限されるため、液体は伸側流路5を通過しづらくなって、伸側圧力室7内の内部圧力が上昇して、フリーピストン9の伸方向への変位を阻止して、フリーピストン9とハウジング15との衝突が阻止される。また、この例では、尖頭9eは先細りの形状とされているため、フリーピストン9が中立位置から伸方向へ伸側所定量以上変位すると、それ以上の伸方向への変位に応じて伸側流路5の流路面積を徐々に減少させるから、フリーピ
ストン9の伸方向への変位速度が徐々に減速されるようになっている。
また、圧側プランジャ9dは、この場合、円柱状であって、先端である下端に外周にテーパ面を有して先が細い尖頭9fを備えており、この尖頭9fがハウジング本体31の底部31bに設けた圧側流路6に対向している。そして、フリーピストン9が中立位置から圧側圧力室8を圧縮する圧方向である図1中下方へ圧側所定量以上変位すると、圧側流路6内へ上記尖頭9fが侵入することができるようになっている。圧側プランジャ9dの尖頭9fが圧側流路6外にある場合、圧側プランジャ9dと圧側流路6を形成する孔の内周との間の隙間は大きく、圧側流路6における流路面積は充分に確保されていて、液体は圧側流路6の口径通りの抵抗を受けて圧側流路6を通過することになる。これに対して、圧側プランジャ9dの尖頭9fが圧側流路6内に侵入すると、圧側流路6の流路面積が圧側流路6を形成する孔の内周と尖頭9fとの間の環状隙間の面積にまで制限されて当該流路面積が減少し、圧側流路6を通過しようとする液体の流れに抵抗が大きくなることになる。つまり、この場合、圧側流路制限手段Msは、上記圧側プランジャ9dを備えていて、圧側流路6内にこの圧側プランジャ9dが侵入することで圧側流路6の流路面積を制限するようになっている。このように、フリーピストン9が中立位置から圧方向へ圧側所定量以上変位すると、圧側流路6内に圧側プランジャ9dが侵入することによって圧側流路6の流路面積が制限されるため、液体は圧側流路6を通過しづらくなって、圧側圧力室8内の内部圧力が上昇して、フリーピストン9の圧方向への変位を阻止して、フリーピストン9とハウジング15との衝突が阻止される。また、この例では、尖頭9fは先細りの形状とされているため、フリーピストン9が中立位置から圧方向へ圧側所定量以上変位すると、それ以上の圧方向への変位に応じて圧側流路6の流路面積を徐々に減少させるから、フリーピストン9の圧方向への変位速度が徐々に減速されるようになっている。
なお、伸側流路制限手段Meが伸側流路5の流路面積を制限し当該流路面積を減少させ始めるフリーピストン9の中立位置からの変位量である伸側所定量と、圧側流路制限手段Msが圧側流路6の流路面積を制限し当該流路面積を減少させ始めるフリーピストン9の中立位置からの変位量である圧側所定量は、ともに、任意に決定することができ、それぞれが同じ値に設定されずともよいが、後述する緩衝装置Dの減衰力の周波数特性を実現するうえでは、伸側所定量および圧側所定量は、フリーピストン9とハウジング15との衝突を防止可能な限りにおいて、フリーピストン9がハウジング15によって移動が規制される物理的なストロークエンドまでの変位量に極力近い値に設定されるとよい。
以上のように構成された緩衝装置Dの動作について説明する。まず、緩衝装置Dへの入力周波数が低い場合について説明すると、同じ入力速度であるという条件下で考えると入力周波数が低い場合、フリーピストン9の振幅が大きくなると、フリーピストン9が変位するのでばね要素10としてのコイルばね11とコイルばね12の合力によってフリーピストン9を中立位置へ戻そうとする附勢力が働き、このばね要素10の附勢力に見合って伸側圧力室7と圧側圧力室8のうち容積が拡大する室と容積が減少する室の圧力に差が生じ、上記拡大側の室の方が減少側の室より圧力が高くなる。
すると、伸側圧力室7と伸側室R1との差圧、および、圧側圧力室8と圧側室R2との差圧が小さくなって、伸側流路5および圧側流路6を通過する流量は減少する。この伸側流路5および圧側流路6を通過する流量の減少にともなって、減衰通路3a,3bの流量が増えることになり、緩衝装置Dの発生減衰力は大きくなる。
逆に、高周波入力時には、入力振幅が小さいため、伸側室R1から圧側室R2へ、或いは、圧側室R2から伸側室R1へ移動する1周期の流量は小さく、フリーピストン9の動く変位も小さくなる。すると、フリーピストン9が受けるばね要素10の附勢力も小さくなる。その分、伸側圧力室7の圧力と圧側圧力室8の圧力との差は小さくなり、伸側圧力室7と伸側室R1との差圧および圧側圧力室8と圧側室R2との差圧は大きく維持されるため、伸側流路5および圧側流路6を通過する流量が低周波時よりも大きくなり、その分、減衰通路3a,3bの流量が減少し、緩衝装置Dが発生する減衰力も減少することになる。
このように、緩衝装置Dは、低周波数域の振動に対しては大きな減衰力を発生し、高周波数域の振動に対しては減衰力を小さくすることができ、入力振動周波数に依存して車両に適した減衰力を発生することができる。
また、フリーピストン9が伸側圧力室7を圧縮する伸方向へ伸側所定量以上変位すると、伸側流路5における縦孔4e内に伸側プランジャ9cが侵入して伸側流路5の流路面積が制限されて当該流路面積が減少し、液体が伸側流路5を通過しづらくなり、それ以上の伸方向へのフリーピストン9の変位に対し、伸側圧力室7が圧縮されて内部圧力が上昇して、フリーピストン9の伸方向の変位を抑制し、フリーピストン9とハウジング15との衝突が阻止される。さらに、フリーピストン9が圧側圧力室8を圧縮する圧方向へ圧側所定量以上変位すると、圧側流路6内に圧側プランジャ9dの尖頭9fが侵入して圧側流路6の流路面積が制限されて当該流路面積が減少し、液体が圧側流路6を通過しづらくなり、それ以上の圧方向へのフリーピストン9の変位に対し、圧側圧力室8が圧縮されて内部圧力が上昇して、フリーピストン9の圧方向の変位を抑制し、フリーピストン9とハウジング15との衝突が阻止される。以上より、本発明の緩衝装置Dによれば、伸側流路制限手段Meおよび圧側流路制限手段Msを設けることで、フリーピストン9とハウジング15との衝突を阻止でき、両者の打音の発生を抑制でき、車両搭乗者に当該打音を知覚させずに済み、搭乗者に不安感や違和感を抱かせることもない。
さらに、この実施の形態では、伸側プランジャ9cおよび圧側プランジャ9dの先端に先細りの尖頭9e,9fを設けて伸側流路5および圧側流路6の流路面積をフリーピストン9の変位に応じて徐々に減少させることができるので、フリーピストン9のストロークエンドへの変位速度が徐々に減速されて停止される。そのため、緩衝装置Dの振動周波数が比較的高い場合、フリーピストン9が伸側流路制限手段Meおよび圧側流路制限手段Msによって変位が抑制されるまでは比較的低い減衰力を発生しているが、フリーピストン9の変位が伸側所定量或いは圧側所定量を超えると緩衝装置Dの発生減衰力は徐々に減衰力が高まり、フリーピストン9の変位が完全に停止させられると、最大の減衰係数で減衰力を発生する。よって、フリーピストン9の変位が抑制され始めて停止させられるまでの間に、緩衝装置Dは徐々に発生減衰力を大きくするので、低い減衰力から急激に高い減衰力に変化することが無くなって、低減衰力から高減衰力への減衰力変化がなだらかとなる。したがって、この緩衝装置Dにあっては、振幅が大きい振動が入力されても、発生減衰力がなだらかに変化することになって、搭乗者に減衰力の変化によるショックを知覚させずに済む。特に、振動周波数が高周波である場合において、低い減衰力を発生しているので、発生減衰力の急激な変化を効果的に緩和することができ、車両における乗り心地を損なうこともない。なお、本実施の形態では、伸側プランジャ9cおよび圧側プランジャ9dに尖頭9e,9fを設けて、伸側流路5および圧側流路6における流路面積を徐々に減じるようにしているが、伸側流路5および圧側流路6の内周にテーパ面を設けて伸側流路5および圧側流路6における流路面積を徐々に減じるようにしてもよいし、テーパ面ではなく溝や切欠を設けてフリーピストン9のストロークエンド側への変位に対して流路面積が減少するようにしてもよい。
つづいて、図2に示した一実施の形態の一変形例における緩衝装置D1について説明する。この緩衝装置D1が上記した一実施の形態の緩衝装置Dと異なるのは、伸側流路41の構成と、伸側流路制限手段Me1の構成である。その他の構成については、緩衝装置Dと同様であるので、以下、この一実施の形態の一変形例における緩衝装置D1が緩衝装置Dと異なる部材について詳細に説明し、同じ部材については説明が重複するので同じ符号を付するのみとして詳しい説明を省略することとする。
この緩衝装置D1における伸側流路41は、ピストンロッド4の伸側室R1へ臨む側方から開口して伸側圧力室7へ臨む先端へ通じるロッド内通路4bと、ハウジング15における内筒32と、内筒32の内外を連通するオリフィス孔33とで形成されている。
内筒32は、上述したハウジング本体31と協働してハウジング15を形成するが、この変形例の緩衝装置D1においては、筒部32aと、筒部32aの外周に設けた鍔32bと、筒部32aの内周に設けた螺子部32cと、筒部32aの図2中下端側の側方から開口して筒部32aの内外を連通するオリフィス孔33とを備えて構成されている。そして、この内筒32にあっても、筒部32aをピストンロッド4の螺子部4cに螺着することで、ピストンロッド4に固定されており、上記した図外のピストンとこれに積層される各部材をピストンロッド4に固定することができるようになっている。そして、このようにピストンロッド4に内筒32を固定すると、内筒32は、ピストンロッド4の図1中下端を閉塞しないので、筒部32a内を介してロッド内通路4bを伸側圧力室7に連通するとともに、オリフィス孔33を介してもロッド内通路4bを伸側圧力室7に連通する。したがって、伸側流路41は、この実施の形態の場合、ロッド内通路4b、内筒32内およびオリフィス孔33で形成され、ロッド内通路4bよりも伸側圧力室側は、内筒32内のみを通るルートと、オリフィス孔33を通るルートに枝分かれしている。
つづいて、伸側流路制限手段Me1について説明すると、伸側流路制限手段Me1は、フリーピストン9の底部9bにおける伸側圧力室側に設けられて内筒32の筒部32aの下端に対向し、当該筒部32a内に侵入可能な伸側プランジャ42を備えている。この伸側プランジャ42は、この場合、円柱状であって、外径が筒部32aの内周に嵌合することができる径に設定されていて、フリーピストン9が中立位置から伸側圧力室7を圧縮する伸方向である図2中上方へ伸側所定量以上変位すると、内筒32の筒部32a内に嵌合して筒部32aの下端を閉塞するようになっている。このように内筒32の下端が伸側プランジャ42によって閉塞されると伸側流路41の流路面積はオリフィス孔33の断面積にまで制限されて、当該流路面積が減少して最小となる。つまり、この場合、伸側流路制限手段Me1は、上記伸側プランジャ42を備え、内筒32内にこの伸側プランジャ42が侵入することで伸側流路41の流路面積を制限するようになっている。このように、フリーピストン9が中立位置から伸方向へ伸側所定量以上変位すると、内筒32内に伸側プランジャ42が侵入することによって伸側流路41の流路面積が制限されるため、液体は伸側流路41を通過しづらくなって、伸側圧力室7内の内部圧力が上昇して、フリーピストン9の伸方向への変位を阻止して、フリーピストン9とハウジング15との衝突が阻止される。また、この例では、伸側プランジャ42の図2中上端となる内筒側端の外周はテーパ状に面取りされていて先細りの形状とされているため、フリーピストン9が中立位置から伸方向へ伸側所定量以上変位すると、それ以上の伸方向への変位に応じて伸側流路41の流路面積を徐々に減少させるから、フリーピストン9の伸方向への変位速度が徐々に減速されるようになっている。なお、流路面積を徐々に減少させるには、内筒32の筒部32aの開口が伸側プランジャ42側に向けて徐々に拡径するようにしてもよいし、伸側プランジャ42の外周或いは筒部32aの内周に切欠や溝等を設けてこれを実現するようにしてもよい。
それゆえ、変形例における緩衝装置D1によれば、上述した一実施の形態の緩衝装置D同様に、フリーピストン9とハウジング15との衝突を阻止でき、両者の打音の発生を抑制でき、車両搭乗者に当該打音を知覚させずに済み、搭乗者に不安感や違和感を抱かせることもない。
オリフィス孔33を設けずに、伸側プランジャ42で伸側流路41を完全に閉塞するようにすることも可能であるが、この場合、オリフィス孔33を設けているので、伸側流路41が完全に閉鎖されることが無く、フリーピストン9の伸方向への変位抑制後のフリーピストン9の移動方向の圧方向への転換がスムーズに行われる。なお、この実施の形態では、ハウジング本体31の筒部31aに圧側圧力室8を圧側室R2に連通するオリフィス孔31fを設けており、このオリフィス孔31fがハウジング本体31の底部31bに設けた孔31eとともに圧側流路6として機能するようになっており、圧側プランジャ9dによって孔31eが閉塞されても、圧側流路6が完全に閉鎖されることが無く、フリーピストン9の圧方向への変位抑制後のフリーピストン9の移動方向の伸方向への転換がスムーズに行われるようになっている。
このように伸側流路制限手段Me1は、伸側プランジャ42をハウジング15における内筒32内へ侵入させることで伸側流路41を制限するように構成されているので、内筒32のピストンロッド4に対する軸方向位置に無関係に伸側流路41を制限し始めるフリーピストン9の変位量である伸側所定量を常に一定させることができる。つまり、一実施の形態の緩衝装置Dのように、ピストンロッド4のロッド内通路4bに伸側プランジャ9cを侵入させて伸側流路5の流路面積を制限する場合、ハウジング15のピストンロッド4に対する軸方向位置が変化すると、フリーピストン9の中立位置からピストンロッド4の下端までの軸方向距離が変化するので、伸側所定量が変化することになる。よって、ピストン2の軸方向の厚み、圧側リーフバルブV1および伸側リーフバルブV2を構成するリーフバルブの積層枚数を変更すると、一実施の形態の緩衝装置Dでは、伸側所定量が変化してしまうところ、この変形例における緩衝装置D1では、上記のような変更を行っても、伸側所定量には変化が無く、常に、設定どおりの伸側所定量で伸側流路41の制限が開始され、狙い通りの減衰特性の実現が容易となる。
なお、伸側流路41の閉鎖について、フリーピストン9の底部9bに伸側プランジャ42を設けて、これを行っていたが、たとえば、図3に示すように、フリーピストン9の底部9bに環状突起44を設け、フリーピストン9が伸側所定量以上変位すると、内筒32の筒部32aが環状突起43内に嵌合するようにしてもよいし、反対に、図4に示すように、フリーピストン9の底部9bに環状突起44を設け、フリーピストン9が伸側所定量以上変位すると、内筒32の筒部32a内に環状突起43が嵌合するようにしてもよく、このようにしても、伸側流路41の流路面積を制限して当該流路面積を減少させてハウジング15とフリーピストン9の衝突を防止することができる。
次に、図5に示した一実施の形態の別の変形例における緩衝装置D2について説明する。この緩衝装置D2が上記した一実施の形態の一変形例である緩衝装置D1と異なるのは、圧側流路51の構成と、圧側流路制限手段Ms1の構成である。その他の構成については、緩衝装置D1と同様であるので、以下、この別の変形例における緩衝装置D2が緩衝装置D1と異なる部材について詳細に説明し、同じ部材については説明が重複するので同じ符号を付するのみとして詳しい説明を省略することとする。
この緩衝装置D2における圧側流路51は、ハウジング15を構成するハウジング本体52の側方から開口して圧側室R2と圧側圧力室8とを連通する孔53によって形成されている。
ハウジング本体52は、図5中下端側の内径が小径な小径部52cと図5中上端側の内径が大径な大径部52dを備えた筒部52aと、底部52bとを備えて有底筒状とされ、筒部52aの図5中上端である開口端は内周径が大径部52dよりも大径とされて形成される段部52eが設けられている。
このように構成されたハウジング本体52に内筒32を挿入すると、筒部52aの開口端に内筒32の鍔32bが嵌合し、また、段部52eに鍔32bが当接することによって、内筒32がハウジング本体52内に軸方向および径方向へ位置決められて収容される。そして、このようにハウジング本体52内に内筒32を収容した後、筒部52aの開口端を外周側から上記鍔32bの外周へ向けて加締められることで、内筒32とハウジング本体52とが一体化されるのは、上記した緩衝装置D,D1と同様である。
また、ハウジング本体52の筒部52aのフリーピストン9が摺接する大径部52dには、圧側圧力室8と圧側室R2とを連通して通過する液体の流れに抵抗を与える絞りとして機能する孔53が設けられている。
そして、フリーピストン9がばね要素10に附勢力に抗して中立位置から図5中下方である圧方向へ移動し、圧側所定量以上変位するとフリーピストン9の筒部9aの外周が圧側流路51である孔53を閉塞し始め、ストロークエンドまで変位すると圧側流路51がフリーピストン9によって完全に閉塞されるようになっている。
よって、圧側流路制限手段Ms1は、この場合、フリーピストン9と、側方から開口してフリーピストン9の筒部9aに摺接する摺動面に開口する圧側流路51を備えたハウジング本体52とで構成されている。
上述のように、フリーピストン9が中立位置から圧方向へ圧側所定量以上変位すると、フリーピストン9の外周で圧側流路51の流路面積が制限されるため、液体は圧側流路51を通過しづらくなって、圧側圧力室8内の内部圧力が上昇して、フリーピストン9の圧方向への変位を阻止して、フリーピストン9とハウジング15との衝突が阻止される。
また、この例では、フリーピストン9が中立位置から圧方向へ圧側所定量以上変位すると、それ以上の圧方向への変位に応じて圧側流路51の流路面積を徐々に減少させるから、フリーピストン9の圧方向への変位速度が徐々に減速されるようになっている。
それゆえ、この他の変形例における緩衝装置D2によれば、上述した一実施の形態の緩衝装置Dおよび一変形例の緩衝装置D1と同様に、フリーピストン9とハウジング15との衝突を阻止でき、両者の打音の発生を抑制でき、車両搭乗者に当該打音を知覚させずに済み、搭乗者に不安感や違和感を抱かせることもない。
なお、圧側流路51の閉鎖について、上記した他の変形例における緩衝装置D2では、フリーピストン9の外周でハウジング本体52に形成した圧側流路51を覆うことで圧側流路51を制限しているが、図6に示した別の変形例における緩衝装置D3のように、ハウジング本体52の内周であってフリーピストン9が摺接する摺接部位である大径部52dよりも圧側圧力室側に設けられて内径が当該大径部52dよりも小径な内径をもつ小径嵌合部52fと、この小径嵌合部52fにフリーピストン9の底部9bの下端外周に設けた環状壁54と、当該環状壁54に設けられて当該環状壁54内外を連通する切欠54aとを設け、当該切欠54aで圧側流路55を形成するようにしてもよい。なお、ハウジング本体52の大径部52dには、側方から開口して内部へ通じるオリフィス孔56が設けられており、このオリフィス孔56も圧側流路55の一部を形成している。
この場合、フリーピストン9がハウジング15に対して中立位置から圧方向へ圧側所定量以上変位すると、環状壁54の図6中下端が小径嵌合部52f内に嵌合し、切欠54aおよびオリフィス孔56を介して圧側室R2と圧側圧力室8とが連通されることになるが、フリーピストン9が圧方向へさらに移動し切欠54aが小径嵌合部52f内へ深く侵入すると、切欠54aにおける当該小径嵌合部52fの内周で閉塞される度合いが大きくなり、圧側流路55の最少流路面積は、切欠54aの小径嵌合部52fで閉塞されていない面積にまで減少することになる。そして、最終的に、フリーピストン9がばね要素10に附勢力に抗して中立位置から図6中下方である圧方向へ移動し、ストロークエンドまで変位すると切欠54aが完全に小径嵌合部52fで閉塞される。
よって、圧側流路制限手段Ms2は、この場合、ハウジング本体52の内周に設けた小径嵌合部52fと、フリーピストン9の底部9bに設けた環状壁54と、当該環状壁54に設けられた切欠54aとを備えて構成されている。なお、切欠54aの設置数は、任意である。また、環状壁54に切欠54aを設けるのではなく、小径嵌合部52fの内周に切欠を設けるようにしてもよい。
上述のように、フリーピストン9が中立位置から圧方向へ圧側所定量以上変位すると、フリーピストン9の外周で圧側流路55の流路面積が制限されるため、液体は圧側流路55を通過しづらくなって、圧側圧力室8内の内部圧力が上昇して、フリーピストン9の圧方向への変位を阻止して、フリーピストン9とハウジング15との衝突が阻止される。
また、この例では、フリーピストン9が中立位置から圧方向へ圧側所定量以上変位すると、それ以上の圧方向への変位に応じて圧側流路55の流路面積を徐々に減少させるから、フリーピストン9の圧方向への変位速度が徐々に減速されるようになっている。
それゆえ、この別の変形例における緩衝装置D3によれば、上述した一実施の形態の緩衝装置Dおよび一変形例の緩衝装置D1と同様に、フリーピストン9とハウジング15との衝突を阻止でき、両者の打音の発生を抑制でき、車両搭乗者に当該打音を知覚させずに済み、搭乗者に不安感や違和感を抱かせることもない。
以上で、本発明の実施の形態についての説明を終えるが、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されないことは勿論である。
本発明の緩衝装置は、車両の制振用途に利用することができる。
1 シリンダ
2 隔壁部材としてのピストン
3a,3b 減衰通路
4 ピストンロッド
4b ロッド内通路
5,41 伸側流路
7 伸側圧力室
6,51,55 圧側流路
8 圧側圧力室
9 フリーピストン
9c 伸側プランジャ
9d 圧側プランジャ
10 ばね要素
11 伸側ばね部材としてのコイルばね
12 圧側ばね部材としてのコイルばね
15 ハウジング
30,32 内筒
31,52 ハウジング本体
43,44 環状突起
52f 小径嵌合部
54 環状壁
54a 切欠
D,D1 緩衝装置
Me,Me1 伸側流路制限手段
Ms,Ms1,Ms2 圧側流路制限手段
R1 伸側室
R2 圧側室
R3 圧力室

Claims (7)

  1. シリンダと、上記シリンダ内に摺動自在に挿入され上記シリンダ内を伸側室と圧側室に区画する隔壁部材と、上記伸側室と上記圧側室とを連通する減衰通路と、内部に圧力室を形成するハウジングと、上記ハウジング内に移動自在に挿入されて上記圧力室を伸側流路を介して上記伸側室に連通される伸側圧力室と圧側流路を介して上記圧側室に連通される圧側圧力室とに区画するフリーピストンと、上記フリーピストンの上記ハウジングに対する変位を抑制する附勢力を発生するばね要素とを備えた緩衝装置において、
    上記フリーピストンが上記ハウジングに対して中立位置から上記伸側圧力室を圧縮する伸方向へ伸側所定量以上変位すると上記伸側流路の流路面積を制限する伸側流路制限手段と、
    上記フリーピストンが上記ハウジングに対して中立位置から上記圧側圧力室を圧縮する圧方向へ圧側所定量以上変位すると上記圧側流路の流路面積を制限する圧側流路制限手段とを備えた
    ことを特徴とする緩衝装置。
  2. 上記伸側流路制限手段は、上記フリーピストンに設けられて上記伸側流路内に侵入可能な伸側プランジャを備え、上記フリーピストンが上記ハウジングに対して中立位置から上記伸側圧力室を圧縮する伸方向へ上記伸側所定量以上変位すると上記伸側プランジャが上記伸側流路へ侵入して上記伸側流路の流路面積を制限する
    ことを特徴とする請求項1に記載の緩衝装置。
  3. 上記圧側流路制限手段は、上記フリーピストンに設けられて上記圧側流路内に侵入可能な圧側プランジャを備え、上記フリーピストンが上記ハウジングに対して中立位置から上記圧側圧力室を圧縮する圧方向へ上記圧側所定量以上変位すると上記圧側プランジャが上記圧側流路へ侵入して上記圧側流路の流路面積を制限する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の緩衝装置。
  4. 上記シリンダ内に移動自在に挿入されるともに先端に上記隔壁部材が固定されるピストンロッドを備え、
    上記ハウジングは、上記ピストンロッドの先端外周に螺着される内筒と、上記内筒が収容される有底筒状のハウジング本体とを備え、
    上記伸側流路が上記ピストンロッドの上記伸側室へ臨む側方から開口して上記伸側圧力室へ臨む先端へ通じるロッド内通路と上記内筒とで形成され、
    上記伸側流路制限手段は、上記フリーピストンの伸側圧力室側端に設けられて上記内筒内へ侵入可能な環状突起を備え、上記フリーピストンが上記ハウジングに対して中立位置から上記伸側圧力室を圧縮する伸方向へ上記伸側所定量以上変位すると上記環状突起が上記内筒内に侵入して上記伸側流路の流路面積を制限する
    ことを特徴とする請求項1または3に記載の緩衝装置。
  5. 上記シリンダ内に移動自在に挿入されるともに先端に上記隔壁部材が固定されるピストンロッドを備え、
    上記ハウジングは、上記ピストンロッドの先端外周に螺着される内筒と、上記内筒が収容される有底筒状のハウジング本体とを備え、
    上記伸側流路が上記ピストンロッドの上記伸側室へ臨む側方から開口して上記伸側圧力室へ臨む先端へ通じるロッド内通路と上記内筒とで形成され、
    上記伸側流路制限手段は、上記フリーピストンの伸側圧力室側端に設けられて上記内筒の内部への侵入を許容する環状突起を備え、上記フリーピストンが上記ハウジングに対して中立位置から上記伸側圧力室を圧縮する伸方向へ上記伸側所定量以上変位すると上記内筒が上記環状突起内へ侵入して上記伸側流路の流路面積を制限する
    ことを特徴とする請求項1または3に記載の緩衝装置。
  6. 上記シリンダ内に移動自在に挿入されるともに先端に上記隔壁部材が固定されるピストンロッドを備え、
    上記ハウジングは、上記ピストンロッドの先端外周に螺着される内筒と、上記内筒が収容されるとともに上記フリーピストンが摺動自在に挿入される有底筒状のハウジング本体とを備え、
    上記圧側流路が上記ハウジング本体の上記圧側室へ臨む側方から開口して上記圧側圧力室へ通じ、
    上記圧側流路制限手段は、上記フリーピストンが上記ハウジングに対して中立位置から上記圧側圧力室を圧縮する圧方向へ上記圧側所定量以上変位すると、上記フリーピストンの外周を上記圧側流路に対向させて上記圧側流路の流路面積を制限する
    ことを特徴とする請求項1、2、4または5に記載の緩衝装置。
  7. 上記シリンダ内に移動自在に挿入されるともに先端に上記隔壁部材が固定されるピストンロッドを備え、
    上記ハウジングは、上記ピストンロッドの先端外周に螺着される内筒と、上記内筒が収容されるとともに上記フリーピストンが摺動自在に挿入される有底筒状のハウジング本体とを備え、
    上記圧側流路が上記ハウジング本体の上記圧側室へ臨む側方から開口して上記圧側圧力室へ通じ、
    上記圧側流路制限手段は、上記ハウジング本体の内周であって上記フリーピストンが摺接する部位よりも圧側圧力室側に設けられて内径が上記摺接部位よりも小径な小径嵌合部と、上記フリーピストンの圧側圧力室側端に設けられて上記小径嵌合部の内周に嵌合可能な環状壁と、上記環状壁或いは小径嵌合部に設けた切欠とを備え、
    上記フリーピストンが上記ハウジングに対して中立位置から上記圧側圧力室を圧縮する圧方向へ上記圧側所定量以上変位すると、上記環状壁が上記小径嵌合部内に嵌合し、上記圧側流路の流路面積を制限する
    ことを特徴とする請求項1、2、4または5に記載の緩衝装置。
JP2012172663A 2012-08-03 2012-08-03 緩衝装置 Active JP5981800B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012172663A JP5981800B2 (ja) 2012-08-03 2012-08-03 緩衝装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012172663A JP5981800B2 (ja) 2012-08-03 2012-08-03 緩衝装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014031832A JP2014031832A (ja) 2014-02-20
JP5981800B2 true JP5981800B2 (ja) 2016-08-31

Family

ID=50281829

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012172663A Active JP5981800B2 (ja) 2012-08-03 2012-08-03 緩衝装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5981800B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10518601B2 (en) 2018-04-30 2019-12-31 Tenneco Automotive Operating Company Inc. Damper with internal hydraulic stop
US10995815B2 (en) 2018-09-28 2021-05-04 Tenneco Automotive Operating Company Inc. Damper with flexible floating disc
US11806847B2 (en) 2021-09-01 2023-11-07 DRiV Automotive Inc. Torque application apparatus
US11904650B2 (en) 2021-08-25 2024-02-20 DRiV Automotive Inc. Shock absorber

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6918473B2 (en) * 2003-09-17 2005-07-19 Tenneco Automotive Operating Company Inc. Stroke dependent bypass
JP4644572B2 (ja) * 2005-09-12 2011-03-02 カヤバ工業株式会社 緩衝装置
JP4726049B2 (ja) * 2005-06-06 2011-07-20 カヤバ工業株式会社 緩衝装置
ES2301116T3 (es) * 2005-06-06 2008-06-16 Kayaba Industry Co., Ltd. Amortiguador.
JP2009156418A (ja) * 2007-12-27 2009-07-16 Showa Corp 油圧緩衝器の減衰力調整構造

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10518601B2 (en) 2018-04-30 2019-12-31 Tenneco Automotive Operating Company Inc. Damper with internal hydraulic stop
US10995815B2 (en) 2018-09-28 2021-05-04 Tenneco Automotive Operating Company Inc. Damper with flexible floating disc
US11904650B2 (en) 2021-08-25 2024-02-20 DRiV Automotive Inc. Shock absorber
US11806847B2 (en) 2021-09-01 2023-11-07 DRiV Automotive Inc. Torque application apparatus

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014031832A (ja) 2014-02-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5961130B2 (ja) 緩衝装置
JP5466437B2 (ja) 緩衝装置
JP6274798B2 (ja) 緩衝装置
JP5961129B2 (ja) 緩衝装置
CN105556163B (zh) 缓冲装置
JP5822359B2 (ja) 緩衝装置
CN105683611A (zh) 缓冲装置
JP5936128B2 (ja) 緩衝器
JP5981800B2 (ja) 緩衝装置
JP2012197905A (ja) 緩衝装置
JP2012052630A (ja) 緩衝装置
WO2014024798A1 (ja) 緩衝装置
JP5015071B2 (ja) 緩衝器
JP5878807B2 (ja) 緩衝装置
JP2013007425A (ja) 緩衝装置
JP2013053683A (ja) 緩衝装置
JP6097108B2 (ja) 緩衝装置
JP5909422B2 (ja) 緩衝装置
JP5618417B2 (ja) 緩衝装置
JP6182006B2 (ja) 緩衝装置
JP5640133B2 (ja) 緩衝装置
JP5909538B2 (ja) 緩衝装置
JP6013956B2 (ja) 緩衝装置
JP6069061B2 (ja) 緩衝装置
JP2014181756A (ja) 緩衝器

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150224

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20151211

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160105

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160304

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160706

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160729

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5981800

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350