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JP5978671B2 - 刃先交換型切削チップ - Google Patents

刃先交換型切削チップ Download PDF

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Description

本発明は、刃先交換型切削チップに関する。より詳細には、広範な使用用途を持ち、特に鋼加工や鋳鉄加工に効果の高い刃先交換型切削チップに関する。
従来から、切削工具の先端部分(刃先)に刃先交換型切削チップを取り付けて、各種の被削材を切削加工することが行なわれている。切削工具を長期間使用することによって刃先交換型切削チップが寿命を迎えると、その時点で刃先交換型切削チップを交換して切削加工を継続する。
このような刃先交換型切削チップは、耐摩耗性、靭性、耐熱亀裂性等の切削性能が高いことが要求されることはもちろん、切り屑処理性に優れた工具形状であることも要求される。かかる要求性能を満たすために、硬質材料として知られる超硬合金やサーメットが刃先交換型切削チップに用いられている。
上記の超硬合金は、炭化タングステン(WC)を主体として含むWC粉末と、WC粉末同士を結合する結合相と、必要に応じて周期律表のIVa族元素、Va族元素、およびVIa族元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、炭素、窒素、酸素および硼素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とからなる化合物の1種以上からなる化合物相または固溶体相を主体とする粉末を混合した後、プレス法、射出成型法、または押し出し法で成型し、さらにそれら成型体を焼結プレートに載せて焼結炉に入れ、液相焼結して焼結体を作製することにより得られる。
上記のサーメットは、チタンの炭化物および/または窒化物および/または炭窒化物を主体として含む粉末と、周期律表IVa族元素、Va族元素、およびVIa族元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、炭素、窒素、酸素および硼素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とからなる化合物の1種以上からなる化合物相または固溶体相を主体とする粉末と、これら粉末同士を結合する鉄系金属からなる結合相とを混合した後、プレス法、射出成型法、または押し出し法で成型し、さらにそれら成型体を焼結プレートに載せて焼結炉に入れ、液相焼結して焼結体を作製することにより得られる。
そして、必要に応じて、焼結体の表面に対し、砥石による部分研磨または全面研磨を行ない、さらに刃先処理や、焼結体表面への硬質層被覆や、被覆後の表面処理等を行なうことにより刃先交換型切削チップが作製される。
しかし、上記の液相焼結においては、成型体の部位による組成の疎密や、成型体の部位による焼結温度および/または雰囲気ガス濃度の高低に起因して、焼結が均一に進まずに、成型体の部位によって収縮率が異なることも多い。また成型体の形状に応じた重力の影響により、焼結中に変形が発生する場合がある。特に、超硬合金やサーメットは、液相焼結によって50%程度の体積収縮が生じるため、部位による収縮量の差が顕著であり、焼結体の形状や寸法にバラツキが生じる場合がある(非特許文献1)。
このように焼結体の形状や寸法にバラツキがあると、刃先交換型切削チップを保持する保持具において、刃先交換型切削チップの交換前後で、刃先位置が微妙にずれて、加工精度や加工面品位が低下するという問題がある。かかる問題は、複数の刃先交換型切削チップを同時に使用するミリング加工において特に顕著となる。
特に、昨今では刃先交換型切削チップの形状が複雑化しているため、たとえばプレス時の臼への給粉において、給粉が多い部位つまり成型体密度が高い部位は焼結による収縮量が小さく、給粉が少ない部位つまり成型体密度が低い部位は焼結による収縮量が大きい。このように収縮量が部位によって異なることにより、結果として焼結体が完全な相似形から歪みを持った形となる。
このような焼結体の形状や寸法のバラツキを解消するために、焼結後に焼結体の表面の一部または全部を砥石で研磨して、焼結体の寸法を均一にすることも行なわれている。しかし、プレス成形で形成された刃先交換型切削チップは、三次元的に複雑な形状をしている場合が多く、このような複雑な形状は研磨加工では形成できないし、仮にできたとしても工業的に極めて不利なものとなる。一方、保持具におけるチップ保持面などの平坦部の部分研磨だけでは全ての刃先交換型切削チップの寸法を均一にできない場合が多い。
そこで、特許文献1〜8では、刃先交換型切削チップの寸法精度を高めるために、成型体を形成するときに分散剤を混入して成型体の密度をなるべく均一にしている。また、特許文献9〜13では、複雑かつ高精度な刃先交換型切削チップを製造するために、研磨箇所をなるべく減らす努力がされたり、非研磨化の努力がされたりしている。
しかしながら、特許文献1〜13に開示されている技術をもってしても、依然として焼結時の成型体の部位による収縮のバラツキに起因する歪み(変形)を解決することができておらず、いずれの刃先交換型切削チップも、ユーザーが要求する切削性能および寸法精度を満たすレベルには達していないというのが現状である。
特開2006−176800号公報 特開2001−081525号公報 特開2003−293071号公報 特開2008−183708号公報 特開2008−126403号公報 特公昭62−056944号公報 特表2004−509773号公報 特表2009−519139号公報 特開2006−075913号公報 特開2006−088332号公報 特開平05−138447号公報 特公平07−002284号公報 特公平01−038602号公報
液相焼結 出版社:株式会社内田老鶴圃 1〜12頁、71頁、79〜85頁、98〜99頁、223頁、276〜278頁 ISBN 4−7536−5187−8
液相焼結時に焼結体が変形しないようにするためには、焼結工程における成型体の部位毎の温度および雰囲気をできるだけ均一とし、すべての部位で同一に焼結が進行するようにすることが有効である。しかし、実際には部位毎の焼結進行を同一にすることは現有技術では限界があり、優れた寸法精度を兼ね備えた刃先交換型切削チップの登場が待ち望まれている。
本発明は、上記のような現状に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、切削性能に優れ、かつ寸法精度が高い刃先交換型切削チップを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、超硬合金およびサーメットの寸法精度を損なう原因について鋭意研究を重ねたところ、焼結体の部位毎の含有炭素量を制御することで、刃先交換型切削チップの切削性能および寸法精度の両立を達成し得ることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、超硬合金またはサーメットからなる刃先交換型切削チップであって、該刃先交換型切削チップは、表面側に位置する外周部とそれより内部側に位置するコア部との2領域で構成され、該外周部は、遊離炭素の含有量が該コア部に含まれる遊離炭素の含有量より低いことを特徴とする。
ここで、該外周部は、遊離炭素が超硬質合金の有孔度分類標準であるCIS 006C−2007で規定されたC02より少なくなる領域であり、該コア部は、遊離炭素が該C02以上となる領域であることが好ましく、また該外周部は遊離炭素を含まないことが好ましい。
また、該超硬合金は、
i)炭化タングステンと、
ii)周期律表のIVa族元素、Va族元素、およびVIa族元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、炭素、窒素、酸素および硼素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とから構成される化合物の1種以上からなる化合物相または固溶体相と、
iii)鉄族元素の1種以上からなる結合相と、
iv)不可避不純物とからなり、
該化合物相または固溶体相は、0.1〜50質量%の範囲で含まれ、
該結合相は、3〜30質量%の範囲で含まれることが好ましい。
また、該超硬合金は、
i)炭化タングステンと、
ii)鉄族元素の1種以上からなる結合相と、
iii)不可避不純物とからなり、
該結合相は、1〜30質量%の範囲で含まれることが好ましい。
また、該サーメットは、
i)周期律表のIVa族元素、Va族元素、およびVIa族元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、炭素、窒素、酸素および硼素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とから構成される化合物の1種以上からなる化合物相または固溶体相と、
ii)鉄族元素の1種以上からなる結合相と、
iii)不可避不純物とからなり、
該化合物相または固溶体相は、70〜97質量%の範囲で含まれ、
該結合相は、3〜30質量%の範囲で含まれることが好ましい。
また、該刃先交換型切削チップは、表面部が非研削加工面であることが好ましい。
また、該刃先交換型切削チップは、表面に被膜を有することが好ましく、該被膜は、周期律表のIVa族元素、Va族元素、VIa族元素、Al、およびSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素、または該元素と、炭素、窒素、酸素および硼素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素との化合物からなる1層以上の層を含むことが好ましい。また、該被膜は、物理蒸着法および/または化学蒸着法により形成されることが好ましい。
また、該被膜は、物理蒸着法により形成されるものであり、かつ超多層構造層または変調構造層を含み、該超多層構造層は、周期律表のIVa族元素、Va族元素、VIa族元素、Al、およびSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、炭素、窒素、酸素、および硼素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とからなる化合物によって構成される2種以上の単位層が、各々0.2nm以上20nm以下の厚みで周期的に繰り返して積層された構造を有し、該変調構造層は、周期律表のIVa族元素、Va族元素、VIa族元素、Al、およびSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、炭素、窒素、酸素、および硼素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とからなる化合物によって構成され、その化合物の組成または組成比が厚み方向において0.2nm以上40nm以下の周期で変化する構造を有することが好ましい。
また、該被膜は、0.1GPa以上の圧縮残留応力が付与されていることが好ましい。
また、該刃先交換型切削チップは、ミリング加工に用いられることが好ましく、同時に2以上を用いて切削加工を行なうものであることが好ましい。
また、該刃先交換型切削チップは、ポジティブ型であることが好ましく、ビスで保持具に取り付けるための貫通穴が形成されていることが好ましい。
本発明の刃先交換型切削チップは、上記のような構成を有することにより、切削性能に優れ、かつ寸法精度が高いという効果を示す。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
<刃先交換型切削チップ>
本発明の刃先交換型切削チップは、超硬合金またはサーメットからなる。そして、このような刃先交換型切削チップは、表面側に位置する外周部とそれより内部側に位置するコア部との2領域で構成され、該外周部は、遊離炭素の含有量が該コア部に含まれる遊離炭素の含有量より低いことを特徴としている。
このような刃先交換型切削チップは、通常、液相焼結によって作製される。その作製時において、プレート上に載置されて焼結等が行なわれるが、この場合、該プレートと接触している部位と接触していない部位との間で遊離炭素の含有量に差が生じることが判明した。そして、この遊離炭素の含有量の差に応じて、焼結体(すなわち刃先交換型切削チップ)の焼結時の収縮量に差が生じ、これが寸法精度を害する原因のひとつとなっていることが分かった。
焼結体中において、遊離炭素に差が生じないようにするためには、焼結体の全体において遊離炭素を過飽和で存在させることが考えられる。なぜなら、遊離炭素は上記プレートとの接触のような外的要因に影響されて焼結体中を移動し、その結果、濃度勾配(傾斜)が生じると考えられるところ、遊離炭素を過飽和で存在させるとそのような外的要因による移動を抑制することができるからである。
しかしながら、遊離炭素を焼結体の全体において過飽和状態で存在させると、特にその表面部において硬度が低下するとともに、その表面に被膜が形成される場合にはその被膜との密着性が低下し、その結果として切削性能が低下することになる。
そこで本発明は、刃先交換型切削チップの外周部における遊離炭素の含有量をコア部における遊離炭素の含有量より低くすることにより、正しくこの相反する特性を両立させたものである。したがって、該外周部における遊離炭素の含有量は少なければ少ないほど好ましく、遊離炭素を含まないことが好適である。一方、該コア部における遊離炭素の含有量は過飽和状態に近ければ近いほど好ましい。
なお、ここでいう外周部とは、本発明の刃先交換型切削チップを構成する2領域のうち表面側に位置する領域であるが、当該領域は刃先交換型切削チップの形状や大きさに応じて変化するため、具体的な幾何学的数値をもって規定することは困難である。しかしながら、この外周部を敢えて規定すると、表面から内部に向かって3μm〜1mm程度の厚みを有する領域とすることができる。なお、本発明の刃先交換型切削チップにおいて、この外周部以外の領域(すなわち外周部より内部に位置する領域)がコア部である。このように本発明の刃先交換型切削チップは、コア部が外周部により覆われているような構成を有する。
刃先交換型切削チップの形状や大きさにもよるが、外周部の厚みが3μm未満になると耐摩耗性が劣化する傾向があり、1mmを超えると寸法精度が劣化する傾向がある。外周部の厚みは、より好ましくは3〜500μm、さらに好ましくは3〜100μm、最も好ましくは3〜30μmである。なお、このような外周部の厚みの測定方法は、刃先交換型切削チップを切断しラッピング加工した後、金属顕微鏡または電子顕微鏡により工具として機能する部位において観察するのが好ましい。
なお、本発明の刃先交換型切削チップは、表面部が非研削加工面であることが好ましい。外周部の厚みの制御が容易であり、複雑な3次元形状にも対応できるため、工業的に有利なためである。しかし、刃先交換型切削チップの表面部に対して、3次元形状面への加工が容易なブラシ加工、バレル加工、またはブラスト加工を施すこともできる。
このような本発明の刃先交換型切削チップは、超硬合金またはサーメットにより構成される。また、その表面(すなわち外周部上)に被膜が形成されていてもよい。このような被膜は、刃先交換型切削チップの表面の全面を被覆していてもよいし、表面を部分的に被覆するものであってもよい。
また、このような基本構成を備える限り、刃先交換型切削チップの形状は特に限定されず従来公知のあらゆる形状を有し得る。そのような形状の一つとして、ポジティブ型を好適な形状として挙げることができる。一般的にポジティブ型の刃先交換型切削チップは、ミリング用または旋削用として用いられる場合軽切削用途が多く、軽切削用途では工具に高い寸法精度が要求されるためである。
このような本発明の刃先交換型切削チップは、たとえばドリル加工用、エンドミル加工用、ミリング加工用、フライス加工用、旋削加工用、メタルソー加工用、歯切工具加工用、リーマ加工用、タップ加工用、またはクランクシャフトのピンミーリング加工用等の用途に適用することが可能である。
上記の加工の中でも、ミリング加工に用いることが好ましく、また同時に2以上の刃先交換型切削チップを用いて切削加工を行なう用途に用いることが好ましい。したがって、特に、同時に複数個(2以上)の刃先交換型切削チップを用いるミリング加工に適用することが好ましい。
なぜなら、本発明の刃先交換型切削チップを用いてミリング加工した場合、被削材の加工面品質(光沢や寸法精度)を良好にするだけでなく、工具全体の寿命延長も可能となるからである。また、複数の刃先交換型切削チップをミリング加工用の保持具に装着する場合、もしいずれか1つの刃先交換型切削チップが他の刃先交換型切削チップに比し飛び出した状態で装着されていると、そのチップは相対的に切削時の切り込み量が大きくなるため負荷が高くなり欠損が生じやすくなる。また、一旦そのチップが欠損すると、その次に飛び出した状態にあるチップの負荷が極めて高くなるため、次はそのチップが欠損する。
このように1枚でも刃先交換型切削チップの刃先欠損が生じると、次々と雪崩的にチップ刃先の欠損が生じ、刃先交換型切削チップの寿命が短くなってしまう。しかしながら、これに対して、本発明の刃先交換型切削チップのように寸法精度が高いものを用いると、上記のように複数のものを保持具に装着しても飛び出した状態となるものがなく、いずれの刃先にも均等に切削負荷がかかるため、刃先欠損が生じ難くなり、刃先交換型切削チップの寿命が極めて長くなるというメリットが奏される。
また、本発明の刃先交換型切削チップは、上記のように保持具に取付ける場合、ビスで保持具に取付けるための貫通穴が形成されていることが好ましい。なお、このようにビスで保持具に取付ける場合、構造上の理由より刃先位置の微調整ができないことから、本発明の刃先交換型切削チップのように寸法精度の高いものを用いるメリットが大きくなる。
<遊離炭素>
上記の通り、本発明の刃先交換型切削チップは、その外周部における遊離炭素の含有量がコア部に含まれる遊離炭素の含有量より低いことを特徴としている。このように、該外周部における遊離炭素の含有量は少なければ少ないほど好ましく、遊離炭素を含まないことを理想とする。一方、該コア部における遊離炭素の含有量は過飽和状態に近ければ近いほど好ましい。
刃先交換型切削チップの全体が遊離炭素を含有している場合、上記の通り切削性能が低下する。これは遊離炭素を含んだ超硬合金およびサーメットは硬度が低下するため、耐摩耗性が低下することが原因と考えられる。加えて、刃先交換型切削チップ表面に被膜を形成する場合、刃先交換型切削チップ(基材)と被膜との密着強度が低下することも原因と考えられる。
そこで、本発明においては、刃先交換型切削チップの表面部分である外周部のみを、遊離炭素を含有しない状態または遊離炭素の含有量を極めて少ない状態とすることで、優れた寸法精度と切削性能を両立させることに成功したものである。
このように、刃先交換型切削チップの外周部において、遊離炭素を含有しない状態または遊離炭素の含有量を極めて少ない状態とする方法としては、炭素量の異なる粉末を準備して射出成形や積層プレスする方法や、遊離炭素を含有する合金としない合金とを接合する等、特に限定されるものではない。しかしながら、焼結時の冷却工程中の雰囲気を脱炭雰囲気とする方法や、焼結を終えた焼結体を再度脱炭雰囲気で加熱して表面部分の炭素のみを拡散排出させる方法が工業的に有利である。この再加熱は、表面に被膜を形成する場合は、被膜を形成する前処理として被膜を形成する設備と同一設備で行なうことができる。
より具体的には、たとえば上記の冷却工程において、遊離炭素が十分に拡散できる温度や雰囲気で冷却したり保持したりすることにより、刃先交換型切削チップの外周部において遊離炭素を含有しない状態または遊離炭素の含有量を極めて少ない状態とすることができる。冷却速度が速すぎる場合は、遊離炭素が十分に拡散できず、逆に冷却速度が遅すぎる場合は、そのような外周部の厚みが厚くなり過ぎる場合がある。また、冷却工程中で温度を一旦保持する場合は、保持温度と保持時間とのバランスにより、外周部の厚みを調整することができる。このように、冷却速度、保持温度、保持時間を制御することにより、外周部およびコア部の遊離炭素量や外周部の厚みを制御することができる。また、雰囲気ガスの種類や圧力を制御することによっても、上記と同様に外周部およびコア部の遊離炭素量や外周部の厚みを制御することができる。
そして、本発明の刃先交換型切削チップにおいて、該外周部は、遊離炭素が超硬質合金の有孔度分類標準であるCIS 006C−2007で規定されたC02より少なくなる領域であり、該コア部は、遊離炭素が該C02以上となる領域とすることが好ましい。なお、CISとは超硬工具協会規格である。
このように、該外周部は、遊離炭素量がC02より少ないことが好ましく、遊離炭素を含まないことが好適である(すなわちゼロを含む)。一方、コア部の遊離炭素はC02以上となることが好ましく、より好ましくはC02〜C08である(本発明では、C02以外にC04、C06、C08等の表記が用いられるが、いずれもCIS 006C−2007による規定である。なお、C02からC08のように、用いられる数字が大きくなるほど遊離炭素量が多くなることを示す)。
外周部において遊離炭素がC02以上になると、前述のように耐摩耗性が低下する場合がある。また、コア部において遊離炭素がC02より少ないと寸法精度の改善効果が低下し、C08より多くなると焼結プレートとの化学反応が生じやすくなり、これにより寸法精度の劣化が生じる場合がある。
なお、CIS 006C−2007では、金属顕微鏡を用いた検鏡を100倍の倍率で行なう規定となっているが、以下のいずれかの方法で行なうこともできる。
まず、その第1の方法としては、規格通り100倍で撮影し、必要に応じて外周部の組織写真をCIS 006C−2007の付表3の写真と同じサイズになるまで複数視野で撮影し、それを合成して判断する方法である。また、この方法は、撮影した写真と同じ面積になるように付表3の写真をトリミングして比較することもできる。
第2の方法としては、撮影した組織写真を画像修正ソフトを用いて100倍相当に変換してCIS 006C−2007の付表3の写真と比較して判断する方法である。
第3の方法としては、CIS 006C−2007の付表3の写真を撮影倍率相当に変換して判断する方法である。
このように、遊離炭素の同定は、上記のいずれの方法を採用して行っても良い。外周部の厚みが薄い場合、必要に応じて倍率を高めて写真撮影する方が好ましい場合があるためである。
なお、本発明における「外周部」と「コア部」との境界は、CIS 006C−2007において、1段階以上の差が生じる部分(たとえば「C00」と「C02」の差が生じる部分や、「C02」と「C04」の差が生じる部分)とする。上記差が連続的に生じ、境界を認定することが困難な場合は、明確に1段階以上の差が生じている2点間の中間点を境界とするものとする。
<刃先交換型切削チップの組成>
本発明の刃先交換型切削チップは、超硬合金またはサーメットからなる。超硬合金の組成またはサーメットの組成としては、特に限定することなく、従来公知の組成を採用することができる。たとえば、次のような組成を有するものを採用することが好ましい。
すなわち、超硬合金として、
i)炭化タングステンと、
ii)周期律表のIVa族元素(Ti、Zr、Hfなど)、Va族元素(V、Nb、Taなど)、およびVIa族元素(Cr、Mo、Wなど)からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、炭素、窒素、酸素および硼素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とから構成される化合物の1種以上からなる化合物相または固溶体相と、
iii)鉄族元素(Fe、Co、Niをいい、鉄系金属ともいう)の1種以上からなる結合相と、
iv)不可避不純物とからなり、
該化合物相または固溶体相は、0.1〜50質量%の範囲で含まれ、該結合相は、3〜30質量%の範囲で含まれる組成のものを挙げることができる。ここで、本発明において「化合物相または固溶体相」とは、かかる相を構成する化合物が固溶体を形成していてもよいし、固溶体を形成せず、個々の化合物として存在していてもよいことを示す。
なお、該化合物相または固溶体相は、より好ましくは2〜20質量%の範囲で含まれ、該結合相は、より好ましくは3〜15質量%の範囲で含まれる。
また、超硬合金としては、
i)炭化タングステンと、
ii)鉄族元素の1種以上からなる結合相と、
iii)不可避不純物とからなり、
該結合相は、1〜30質量%の範囲で含まれる組成のものを挙げることもできる。該結合相は、より好ましくは2〜20質量%である。
一方、サーメットとしては、
i)周期律表のIVa族元素、Va族元素、およびVIa族元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、炭素、窒素、酸素および硼素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とから構成される化合物の1種以上からなる化合物相または固溶体相と、
ii)鉄族元素の1種以上からなる結合相と、
iii)不可避不純物とからなり、
該化合物相または固溶体相は、70〜97質量%の範囲で含まれ、該結合相は、3〜30質量%の範囲で含まれる組成のものを挙げることができる。
該化合物相または固溶体相は、より好ましくは82〜97質量%の範囲で含まれ、該結合相は、より好ましくは3〜18質量%の範囲で含まれる。
上記で具体的に挙げた超硬合金およびサーメットは、工業的に有意義なものであるため好ましい。なお、上記化合物相または固溶体相は組成の異なる複数の相があってもよく、固溶体を形成していない相(たとえば、WC、Mo2Cなど)が単独で存在してもよい。
なお、上記超硬合金において「周期律表のIVa族元素、Va族元素、およびVIa族元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、炭素、窒素、酸素および硼素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とから構成される化合物」としては、たとえば、TiC、TaC、NbC、ZrC、HfC、TiN、TaN、ZrN、HfN、TiCN、ZrCN、TaNbC、VC、Cr32などを挙げることができる。なお、上記の各化合物の中でも、B1型結晶構造を有するものが好適である。
また、上記サーメットにおいて「周期律表のIVa族元素、Va族元素、およびVIa族元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、炭素、窒素、酸素および硼素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とから構成される化合物」としては、たとえば(TiabMocTadNbefZrgCrhx(Cijklyで示される化合物を挙げることができ、組織の部位によって該式中のa〜l、x、yは変わる。なお、上記の各化合物の中でも、B1型結晶構造を有するものが好適である。
上記超硬合金およびサーメットの組成範囲は、一般的に工業的に製造されている範囲であるが、この範囲を超えてもよく、また部位により結合相の上記割合が変わっていてもよい。
また、上記超硬合金は、組織中に局所的にη相と呼ばれる異常相を含んでいても本発明の効果は示される。なお、本発明の刃先交換型切削チップは、その表面に脱β層やCo富化層や表面硬化層が形成されていても良く、このように表面が改質されていても本発明の効果は示される。
<被膜>
本発明の刃先交換型切削チップは、表面に被膜を有することができる。かかる被膜は、刃先交換型切削チップの全面を覆うようにして形成されていても良いし、刃先交換型切削チップの一部分のみを覆うようにして形成されていても良いが、その形成目的が切削工具の諸特性の向上(すなわち切削性能の向上)にあることから、全面を覆うかもしくは一部分を覆う場合であっても切削性能の向上に寄与する部位の少なくとも一部分を覆うことが好ましい。
なお、本発明において、刃先交換型切削チップに被膜が形成される場合は、この刃先交換型切削チップ自体に対して基材と呼ぶ場合もある。
このように被膜によって刃先交換型切削チップを覆うことにより、刃先交換型切削チップの耐摩耗性、耐酸化性、靭性、および使用済み刃先部の識別のための色付き性等の諸特性を向上させる作用が付与される。
このような被膜は、周期律表のIVa族元素(Ti、Zr、Hf等)、Va族元素(V、Nb、Ta等)、VIa族元素(Cr、Mo、W等)、Al、およびSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素、または該元素と、炭素、窒素、酸素、および硼素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素との化合物からなる1層以上の層を含むことが好ましい。
上記のような元素または化合物としては、たとえばTiCN、TiN、TiCNO、TiO2、TiNO、TiB2、TiBN、TiSiN、TiSiCN、TiAlN、TiAlCrN、TiAlSiN、TiAlSiCrN、AlCrN、AlCrCN、AlCrVN、TiAlBN、TiBCN、TiAlBCN、TiSiBCN、AlN、AlCN、Al23、ZrN、ZrCN、ZrN、ZrO2、HfC、HfN、HfCN、NbC、NbCN、NbN、Mo2C、WC、W2C、Cr、Al、Ti、Si、V等を挙げることができる。また、上記の元素または化合物に対し、他の元素が微量にドープされたものであってもよい。これらの組成中、各原子比は上記一般式に倣うものとする。なお、本発明において上記のように化合物を化学式で表わす場合、原子比を特に限定しない場合は従来公知のあらゆる原子比を含むものとし、必ずしも化学量論的範囲のもののみに限定されるものではない。たとえば単に「TiCN」と記す場合、「Ti」と「C」と「N」の原子比は50:25:25の場合のみに限られず、また「TiN」と記す場合も「Ti」と「N」の原子比は50:50の場合のみに限られず、従来公知のあらゆる原子比が含まれるものとする。また、TiCNには、公知の化学蒸着法(CVD法)を用いたMT−TiCNも含まれる(本発明において、「MT」とは低温のCVD法で形成されることを示す)。
そして、このような被膜は、少なくともその1層が圧縮残留応力を有していることが特に好ましい。これにより、被膜の靭性が飛躍的に向上し切削加工時に発生する亀裂の伝播を効果的に防止することが可能になるという極めて優れた効果が示される。このように被膜の少なくとも1層が圧縮残留応力を有し、かつ被膜が後述する超多層構造層または変調構造層を含むことによりこれらが相乗的に作用し極めて高度に耐摩耗性と靭性とを両立させることができる。
本発明の被膜は、従来公知の物理蒸着法(PVD法)、化学蒸着法(CVD法)、真空蒸着法、スパッタ法、プラズマCVD法等によって形成することができるが、物理蒸着法および/または化学蒸着法により形成されることがより好ましく、圧縮残留応力を導入しやすく、かつ切削性能を改善することができるという点で、物理蒸着法がさらに好ましい。
このような物理蒸着法としては、従来公知の物理蒸着法をいずれも採用することができ特に限定されることはない。このような物理蒸着法としては、たとえばマグネトロンスパッタリング法、アーク式イオンプレーティング法、ホロカソード法、イオンビーム法、電子ビーム法、バランストマグネトロンスパッタリング法、アンバランストマグネトロンスパッタリング法、デュアルマグネトロンスパッタリング法等を挙げることができる。
上記に例示した方法の中でも、特にアーク式イオンプレーティング法を採用することが好ましい。被膜に対して極めて有効に圧縮残留応力を付与することができるからである。なお、物理蒸着法を実行する装置としては、上記のような方法に用いられる各イオン源を併設したものを採用することが好ましい。なお、被膜を形成した後に、ブラシ、バレル、ブラスト、ダイヤモンド砥石、レーザ加工等によって被膜の一部を除去したり、被膜の表面に対し、平滑化加工等の表面処理を施しても本発明の効果は失われない。また、被膜に対し、乾式ショットブラスト処理、湿式ショットブラスト処理、ブラシ処理、バレル処理、レーザー加工等の表面処理方法を用いて被膜に圧縮残留応力を付与してもよい。
ここで、圧縮残留応力とは、このような被膜に存する内部応力(固有ひずみ)の一種であって、「−」(マイナス)の数値(単位:本発明では「GPa」を使う)で表される応力をいう。このため、圧縮残留応力が大きいという概念は、上記数値の絶対値が大きくなることを示し、また、圧縮残留応力が小さいという概念は、上記数値の絶対値が小さくなることを示す。因みに、引張残留応力とは、被膜に存する内部応力(固有ひずみ)の一種であって、「+」(プラス)の数値で表される応力をいう。なお、単に残留応力という場合は、圧縮残留応力と引張残留応力との両者を含むものとする。
そして、本発明の被膜は、その絶対値が0.1GPa以上の圧縮残留応力が付与されていることが好ましく、より好ましくは0.2GPa以上、さらに好ましくは0.5GPa以上の応力である。その絶対値が0.1GPa未満では、十分な靭性を得ることができない場合があり、上記のような優れた効果を得ることができない場合がある。一方、その絶対値は大きくなればなる程靭性の付与という観点からは好ましいが、その絶対値が6GPaを超えると該被膜自体が破壊したり剥離したりすることがあり好ましくない。
なお、このような圧縮残留応力(残留応力)は、X線応力測定装置を用いたsin2ψ法により測定することができる。そしてこのような圧縮残留応力は被膜中の圧縮残留応力が付与される層に含まれる任意の点(1点、好ましくは2点、より好ましくは3〜5点、さらに好ましくは10点(複数点で測定する場合の各点は当該層の応力を代表できるように互いに0.1mm以上の距離を離して選択することが好ましい))の応力を該sin2ψ法により測定し、その平均値を求めることにより測定することができる。
このようなX線を用いたsin2ψ法は、多結晶材料の残留応力の測定方法として広く用いられているものであり、たとえば「X線応力測定法」(日本材料学会、1981年株式会社養賢堂発行)の54〜67頁に詳細に説明されている方法を用いれば良い。
また、上記圧縮残留応力は、ラマン分光法を用いた方法を利用することにより測定することも可能である。このようなラマン分光法は、狭い範囲、たとえばスポット径1μmといった局所的な測定ができるというメリットを有している。このようなラマン分光法を用いた残留応力の測定は、一般的なものであるがたとえば「薄膜の力学的特性評価技術」(サイぺック(現在リアライズ理工センターに社名変更)、1992年発行)の264〜271頁に記載の方法を採用することができる。
さらに、上記圧縮残留応力は、放射光を用いて測定することもできる。この場合、被膜の厚み方向で残留応力の分布を求めることができるというメリットがある。
なお、本発明の被膜の厚み(2層以上で形成される場合はその全体の厚み)は、1μm以上30μm以下であることが好ましく、より好ましくは2μm以上20μm以下である。その厚みが1μm未満の場合、耐摩耗性の向上作用が十分に示されないためであり、一方、30μmを超えてもそれ以上の諸特性の向上が認められないことから経済的に有利ではない。しかし、経済性を無視する限りその厚みは30μm以上としても何等差し支えなく、本発明の効果は示される。このような厚みの測定方法としては、たとえば被膜を形成した刃先交換型切削チップを切断し、その断面を走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)または透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)により測定するものとする。また、被膜の組成は、エネルギー分散型X線分析装置(EDS:Energy Dispersive x-ray Spectroscopy)により測定するものとする。
また、本発明の被膜は、物理蒸着法により形成されるものであり、かつ超多層構造層または変調構造層を含むことが好ましい。以下、これらについて説明する。
<超多層構造層>
本発明の超多層構造層は、周期律表のIVa族元素(Ti、Zr、Hf等)、Va族元素(V、Nb、Ta等)、VIa族元素(Cr、Mo、W等)、Al、およびSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、炭素、窒素、酸素、および硼素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とからなる化合物によって構成される2種以上の単位層が、各々0.2nm以上20nm以下の厚みで周期的に繰り返して積層された構造を有する。
ここで、周期的に繰り返して積層させるとは、たとえば2種の単位層を上下交互に積層させる場合や、3種の単位層を上中下と繰り返して積層させる場合など、一定の周期性をもって積層させることをいう。なお、各単位層の厚みが0.2nm未満となる場合や20nmを超える場合には、超多層構造層による耐摩耗性の向上効果が示されない場合がある。各単位層の厚みは、それを構成する組成や成膜条件により適宜調整することができる。なお、各単位層は、実質的に同じ厚みを有していても良いし、異なる厚みを有していても良い。
このような単位層を構成する周期律表のIVa族元素、Va族元素、VIa族元素、Al、およびSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、炭素、窒素、酸素、および硼素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とからなる化合物としては、たとえばTiC、TiN、TiCN、TiNO、TiCNO、TiB2、TiO2、TiBN、TiBNO、TiCBN、ZrC、ZrO2、HfC、HfN、TiAlN、TiAlCrN、TiZrN、TiCrN、AlCrN、CrN、VN、TiSiN、TiSiCN、AlTiCrN、TiAlCN、ZrCN、ZrCNO、Al23、AlN、AlCN、ZrN、TiAlC、NbC、NbN、NbCN、Mo2C、WC、W2C等を挙げることができる。
なお、超多層構造層を構成する単位層の積層数(合計積層数)は、特に限定されるものではないが通常10層以上5000層以下とすることが好ましい。10層未満の場合は、各単位層における結晶粒が粗大化することから被膜の硬度が低下する場合があり、5000層を超えると各単位層が薄くなり過ぎ各層が混合する傾向を示すためである。
このような超多層構造層は、従来公知の物理蒸着法により形成され、物理蒸着法により形成される限りその製造方法は特に限定されない。以下、物理蒸着法としてアークイオンプレーティング法を採用する場合を例示する。
まず、アークイオンプレーティング成膜装置において、形成する単位層の種類に対応する複数の蒸発源にターゲットをセットする。そして、該装置のチャンバー内の基材ホルダーに基材をセットし、この基材ホルダーを上記蒸発源に対向するように回転させながら該蒸発源のターゲットを蒸発、イオン化させることにより超多層構造層を形成する。より具体的な条件の一例は以下の通りである。
すなわち、チャンバー内に設置されているヒーターにより基材を加熱する。その後、アルゴンガスを導入してチャンバー内の圧力を1〜10Paに維持しつつ、基材にバイアス電圧を印加することにより、アルゴンイオンによる基材表面のクリーニング処理を1〜120分間行なう。
続いて、チャンバー内のアルゴンガスを排出した後、反応ガスを導入し、チャンバー内の圧力を2〜10Paに維持しつつ、基材をセットした基材ホルダーを回転させながら基材にバイアス電圧(−20〜−200V)を印加することにより、蒸発源にセットしたターゲットをイオン化させ単位層を逐次周期的に積層することにより超多層構造層を形成することができる。
<変調構造層>
本発明の変調構造層は、周期律表のIVa族元素、Va族元素、VIa族元素、Al、およびSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、炭素、窒素、酸素、および硼素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とからなる化合物によって構成され、その化合物の組成または組成比が厚み方向において0.2nm以上40nm以下の周期で変化する構造を有する。このように被膜として変調構造層を形成することにより、極めて優れた耐摩耗性を付与することができる。
ここで、化合物の組成または組成比が厚み方向において0.2nm以上40nm以下の周期で変化するとは、たとえば構成元素が同一でその組成比が異なるA、B2種の状態を例にとると、変調構造層の基材(刃先交換型切削チップ)側から表面側への厚み方向において、まず地点Xで状態Aであったものが、徐々に変化して地点Yで状態Bとなり、再度徐々に変化して地点Zにおいて状態Aとなる場合、地点XとZの距離が周期(0.2nm以上40nm以下)となり(この場合地点Yは地点XとZとのほぼ中点に位置する)、かつこのような状態A−B−Aの変化が同様の周期で繰り返されることをいう。なお、上記周期が0.2nm未満となる場合や40nmを超える場合には、変調構造層による耐摩耗性の向上効果が示されない場合がある。上記周期のより好ましい範囲は、その上限が35nm以下、さらに好ましくは30nm以下であり、その下限が0.5nm以上、さらに好ましくは1nm以上である。
このような変調構造層を構成する周期律表のIVa族元素、Va族元素、VIa族元素、Al、およびSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、炭素、窒素、酸素、および硼素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とからなる化合物としては、上記超多層構造層において例示した化合物と同様の化合物を挙げることができる。
なお、このような変調構造層は、上記で説明した超多層構造層の製造方法と同様の製造方法により形成することができ、特に組成比が厚み方向において変化する構造の変調構造層の場合は、組成比の異なるターゲットを蒸発源にセットし、基材ホルダーの回転数等を制御することにより形成することができる。
また、組成が厚み方向において変化する場合は、この変調構造層と上記超多層構造層との間で明確な差異が存在しない場合があるが、そのような差異を明確に区別する必要はなくいずれのものも本発明の範囲を逸脱するものではない。
<寸法精度の評価>
刃先交換型切削チップの寸法精度を検証するための方法としては、たとえば刃先交換型切削チップ単体を汎用のマイクロメーター等の計測器で寸法を測定してもよいし、レーザーを用いた非接触法によって形状を測定してもよい。また、刃先交換型切削チップを複数個(たとえば100個)準備して、チップ保持具(たとえば旋削用途の場合はバイト、ミリング用途の場合はカッター)に取り付けて刃先位置を測定した後、刃先交換型切削チップを取り外して刃先の位置を複数回測定して刃先位置のバラツキを検証してもよいし、複数のチップを同時に用いるカッターに複数の刃先交換型切削チップを取り付けて刃振れ精度を測定することを繰り返して、その刃振れ精度を刃先交換型切削チップのバラツキとして検証してもよいし、その他のあらゆる方法を用いてもよい。
<製造方法>
本発明の刃先交換型切削チップは、上記のように外周部が遊離炭素を含有しない状態または遊離炭素の含有量を極めて少ない状態とするための処理方法を実行することを除き、従来公知の製造方法により、特に限定することなく製造することができる。
たとえば、原料粉末を均一に混合させた後、その混合物をプレス成型するとともに焼結させることにより刃先交換型切削チップの前駆体を得、この前駆体に対し、外周部の遊離炭素に関する上記のような処理方法を実行することにより本発明の刃先交換型切削チップを得ることができる。
また、このようにして得られた刃先交換型切削チップに対して、ホーニング処理など種々の刃先処理加工を行なうことができるとともに、上記のような被膜を形成することもできる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
以下のようにして表面に被膜を有する超硬合金からなる刃先交換型切削チップNo.1〜15を作製した(ただしNo.8とNo.15は被膜を有していない)。
まず、2.0質量%のTaCと、0.3質量%のCr32と、11.0質量%のCoと、WC(残部)とからなる組成に配合した原料粉末を準備した。
続いて、エタノール溶媒と超硬合金製ボールとを備えたボールミルに対して、上記で準備した原料粉末とパラフィンワックス(原料粉末に対して2.0質量%)とを投入して、36時間粉砕混合することにより混合物を得た。
その後、この混合物をスプレードライ乾燥して造粒粉末を得た。ここで、配合炭素量は目的の合金組織となるよう調整した。
次いで、当該造粒粉末をプレス成形し、以下の焼結条件で焼結することにより、刃先交換型切削チップの前駆体を得た。続いて、この刃先交換型切削チップの前駆体の刃先稜線に対しSiCブラシホーニング処理を行なうことにより、すくい面と逃げ面との交差部に、半径が約0.05mmのアール(R)を付与する刃先処理を行なった。引続き、この刃先交換型切削チップ前駆体の底面に対し、平坦研磨処理を行なった。以上のようにして、SEMT13T3AGSN−G(住友電工ハードメタル株式会社製)形状の刃先交換型切削チップを作製した。
続いて、このようにして得られた刃先交換型切削チップに対して、以下の成膜条件で被膜を形成した。なお、各刃先交換型切削チップにおいて、焼結条件と成膜条件の組合せは、以下の表1の通りである。
<焼結条件>
<焼結条件1−A>
10Paの真空雰囲気で1200℃まで5℃/分の速度で昇温した後、7kPaのAr雰囲気で1400℃まで5℃/分の速度で昇温して60分間保持する。その後、7kPaのAr雰囲気で1340℃まで−5℃/分の速度で降温して10分間保持した後、80kPaのArガス雰囲気で室温まで切電炉冷した。
なお、切電炉冷とは、焼結炉の加熱部(電気ヒーター)への電源を切断して冷却を行なうという冷却操作をいう。
<焼結条件1−B>
10Paの真空雰囲気で1200℃まで5℃/分の速度で昇温した後、7kPaのAr雰囲気で1400℃まで5℃/分の速度で昇温して60分間保持する。その後、7kPaのAr雰囲気で1300℃まで−5℃/分の速度で降温して20分間保持した後、80kPaのArガス雰囲気で室温まで切電炉冷した。
<焼結条件1−C>
10Paの真空雰囲気で1200℃まで5℃/分の速度で昇温した後、7kPaのAr雰囲気で1400℃まで5℃/分の速度で昇温して60分間保持する。その後、7kPaのAr雰囲気で1280℃まで−5℃/分の速度で降温して30分間保持した後、80kPaのArガス雰囲気で室温まで切電炉冷した。
<焼結条件1−D>
10Paの真空雰囲気で1200℃まで5℃/分の速度で昇温した後、7kPaのAr雰囲気で1400℃まで5℃/分の速度で昇温して60分間保持する。その後、7kPaのAr雰囲気で1340℃まで−5℃/分の速度で降温して60分間保持した後、80kPaのArガス雰囲気で室温まで切電炉冷した。
この焼結条件は、焼結条件1−Aに比し、1340℃で60分間保持した後に冷却されているため、外周部の遊離炭素の減少が促進されることになる。
<焼結条件1−E>
10Paの真空雰囲気で1200℃まで5℃/分の速度で昇温した後、7kPaのAr雰囲気で1400℃まで5℃/分の速度で昇温して60分間保持する。その後、7kPaのAr雰囲気で1280℃まで−5℃/分の速度で降温して5分間保持した後、80kPaのArガス雰囲気で室温まで切電炉冷した。
この焼結条件は、焼結条件1−Cに比し、1280℃で5分間保持した後に冷却されているため、外周部の遊離炭素の減少割合が相対的に小さくなっている。
<焼結条件1−F>
10Paの真空雰囲気で1200℃まで5℃/分の速度で昇温した後、7kPaのAr雰囲気で1400℃まで5℃/分の速度で昇温して60分間保持する。その後、80kPaのArガス雰囲気で室温まで切電炉冷した。
この焼結条件は、焼結条件1−Aに比し、1400℃で60分間保持した後に冷却されているため、外周部の遊離炭素の減少割合が相対的に小さくなっている。
<成膜条件>
<成膜条件1−a>
刃先交換型切削チップの表面に、物理蒸着法である公知のイオンプレーティング法を用いて3μmの超多層構造層と、0.5μmのTiSiCN層とを有する被膜を形成した。上記の超多層構造層は、8nmの厚みのAlTiSiN層と、6nmの厚みのTiSiN層とを交互に積層することにより形成した。このようにして成膜した被膜の圧縮残留応力をX線応力測定装置を用いたsin2ψ法により測定したところ、圧縮残留応力の絶対値が0.1GPa以上であることを確認した。
<成膜条件1−b>
刃先交換型切削チップの表面に、物理蒸着法である公知のイオンプレーティング法を用いて3μmのTiAlN層である被膜を形成した。上記と同様にして圧縮残留応力の絶対値が0.1GPa以上であることを確認した。
<成膜条件1−c>
刃先交換型切削チップの表面に、化学蒸着法である公知の気相合成法を用いて、TiN層(0.2μm)とMT−TiCN層(2.5μm)とκ−Al23層(0.8μm)とTiN層(0.2μm)とをこの順番で積層した被膜を形成した(括弧内の数値は厚みを示す)。上記と同様にして応力を測定したところ、絶対値が0.1GPa以上となる引張残留応力が付与されていることを確認した。
<評価>
<遊離炭素評価>
上記で作製した刃先交換型切削チップの遊離炭素評価を以下のようにして行なった。
まず、刃先交換型切削チップをそれぞれ50個ずつ作製し、そのうちから30個の刃先交換型切削チップを選択し、その各刃先交換型切削チップを切断してラッピング加工した後、金属顕微鏡により刃先表面部の0.1mm幅において、組織観察を100〜1000倍の倍率で行ない、CIS 006C−2007の付表3と比較することにより、刃先交換型切削チップの外周部の厚みおよび遊離炭素量と、コア部の遊離炭素量とを同定した。同定は、上記30個の刃先交換型切削チップの平均値を採用した。その結果を表1に示す。
なお、表1中、遊離炭素の含有量が空欄(「−」)になっているものは、遊離炭素を含んでいないことを示す。また、「C02」、「C04」、「C06」、「C08」の順に、遊離炭素の含有量が増加することを示す(その基準は、CIS 006C−2007に規定されている通りである)。
<寸法精度評価>
上記で作製した刃先交換型切削チップの寸法精度評価を以下のようにして行なった。
まず、刃先交換型切削チップをそれぞれ50個ずつ作製し、そのうちから7個の刃先交換型切削チップを選択して、それらを全て7つのポケットを有する型番WGC4160R(住友電工ハードメタル株式会社製)のカッタに取り付けた。なお、該カッタに刃先交換型切削チップを取り付けるポケットをNo.1〜No.7まで定めておき、No.1のポケットに取り付けた刃先交換型切削チップの位置(刃先の高さ)を基準として、No.2〜No.7のポケットに取り付けた刃先交換型切削チップの位置との高低差を刃振れ幅とし、その最大値および平均値を算出した。
上記と同様の方法によって刃先交換型切削チップの刃振れ幅の最大値および平均値を10回測定し、その高低差の最大値を表1の「寸法精度評価」の「最大」の欄に示し、高低差の平均値を表1の「平均」の欄に示した。なお、刃振れ幅が小さいほど、刃先交換型切削チップの寸法精度が高いことを示し、寸法精度が高いことにより、表面面粗度が低くなり、被削材の面光沢も優れることになる。加えて、切削時における各切れ刃への負荷が均一となるため、刃先欠損が生じにくくなる。
因みに、寸法精度が極めて高い検査用のマスターチップを用いて、カッタの7つのポケットのそれぞれに取り付けて、刃先交換型切削チップの位置を測定し、その後に取り外すという動作を7回繰り返した。この7回の測定によって算出された刃振れ幅は2μm以下であった。このことから、カッタのポケット間の刃振れの影響は2μm以下とみなすことができる。
次に、寸法精度が極めて高い検査用のマスターチップ7個を用いて、それぞれを寸法精度評価に用いるカッタの7つのポケットに取り付けて刃先交換型切削チップの位置および刃振れ幅を算出したところ、刃振れ幅が4μm以下であった。このことから、カッタのポケットのそれぞれにほぼ同一の寸法の刃先交換型切削チップを取り付けたときに、刃先交換型切削チップの刃振れの影響は4μm以下とみなすことができる。
<切削評価−逃げ面摩耗量>
上記で得られた刃先交換型切削チップを用いて、鋼のミリング加工を行なうことにより耐摩耗性試験を行なった。
まず、上記で作製した刃先交換型切削チップの1つを型番WGC4160R(住友電工ハードメタル株式会社製)のカッタにセットし、これを用いて鋼の高速フライス試験を行なった。本性能評価は、7つの刃先交換型切削チップではなく、1つの刃先交換型切削チップのみをカッタに取り付けるという点で、上記の寸法精度評価とは異なる。なお、上記カッタには、ビスを用いて刃先交換型切削チップを取り付けた。
高速フライス切削の条件は、被削材として、SCM435ブロック材(300mm×100mm)を用い、この被削材に対し、切削速度=270m/min、送り=0.30mm/刃、切込み量=1.5mm、センターカット、切削油:水溶性油、という条件で10分間切削加工を行なった。このようにして切削加工を行なった後に、コンパレーターを用いて刃先交換型切削チップの逃げ面摩耗量(VB)を測定した。その結果を表1の「逃げ面摩耗量(mm)」の欄に示す。なお、逃げ面摩耗量が少ないほど、耐摩耗性に優れていることを示している。
<切削評価−破損率>
上記で得られた刃先交換型切削チップを用いて、鋼の断続切削加工を行なうことにより靭性試験を行なった。
まず、上記で作製した刃先交換型切削チップの7つを型番WGC4160R(住友電工ハードメタル株式会社製)のカッタの7つのポケットにそれぞれセットし、これを用いて鋼の断続切削加工を行なった。本性能評価は、上記の7つの刃先交換型切削チップの刃振れが、該刃振れの平均値の±3μm以下となる条件で行なった。
鋼の断続切削加工の条件は、被削材として、S45C φ10穴空き材ブロック材(300mm×100mm)を用い、この被削材に対し、切削速度=175m/min、送り=0.55mm/刃、切込み量2.0mm、センターカット、切削油なし、という条件で1分間切削加工を行なった。この条件で断続切削加工を4回行ない、全28の刃先交換型切削チップのうちの破損が生じた刃先交換型切削チップの割合を破損率(%)として算出した。その結果を表1の「破損率(%)」の欄に示す。破損率が低いほど、刃先強度が優れていることを示している。
<切削評価−表面粗度Ra/加工面光沢>
上記で得られた刃先交換型切削チップを用いて、被削材の加工面試験を行なった。
まず、上記で作製した刃先交換型切削チップの7つを型番WGC4160R(住友電工ハードメタル株式会社製)のカッタの7つのポケットにそれぞれセットし、これを用いて炭素鋼の切削加工を行なった。本性能評価は、上記の7つの刃先交換型切削チップの刃振れが、該刃振れの平均値の±3μm以下となる条件で行なった。炭素鋼の切削加工の条件は、被削材として、S15Cブロック材(300mm×100mm)を用い、この被削材に対し、切削速度=160m/min、送り=0.27mm/刃、切込み量1.5mm、センターカット、切削油なし、という条件で1パス行なった。このようにして切削加工した被削材の加工面の表面粗度(Ra)をJIS B 0601−1994で規定された方法で測定し、その結果を表1の「表面粗度Ra(μm)」の欄に示した。表面粗度の値が小さいほど加工面が滑らかであり、刃先交換型切削チップの寸法精度が優れていることを示している。また、このようにして加工した被削材の加工面の目視評価を行ない、その結果を表1の「加工面光沢」の欄に示した。光沢が鏡面に近いものほど、刃先交換型切削チップの寸法精度が優れていることを示している。
Figure 0005978671
表1中、刃先交換型切削チップNo.1〜12が本発明の実施例であり、No.13〜15が比較例である(比較例には「*」が付されている)。
表1より明らかなように、本発明の刃先交換型切削チップは、外周部に遊離炭素を含んでおらず、以って切削性能と寸法精度とを両立させたものであることが確認できた。
<実施例2>
以下のようにして表面に被膜を有する超硬合金からなる刃先交換型切削チップNo.1〜15を作製した(ただしNo.8とNo.15は被膜を有していない)。
まず、7.0質量%のCoと、WC(残部)とからなる組成に配合した原料粉末を準備した。
続いて、エタノール溶媒と超硬合金製ボールとを備えたボールミルに対して、上記で準備した原料粉末とパラフィンワックス(原料粉末に対して2.0質量%)とを投入して、36時間粉砕混合することにより混合物を得た。
その後、この混合物をスプレードライ乾燥して造粒粉末を得た。ここで、配合炭素量は目的の合金組織となるよう調整した。
次いで、当該造粒粉末をプレス成形し、以下の焼結条件で焼結することにより、刃先交換型切削チップの前駆体を得た。続いて、この刃先交換型切削チップの前駆体の刃先稜線に対しSiCブラシホーニング処理を行なうことにより、すくい面と逃げ面との交差部に、半径が約0.05mmのアール(R)を付与する刃先処理を行なった。引続き、この刃先交換型切削チップ前駆体の底面に対し、平坦研磨処理を行なった。以上のようにして、SNMT1205ZNEN−G(住友電工ハードメタル株式会社製)形状の刃先交換型切削チップを作製した。
続いて、このようにして得られた刃先交換型切削チップに対して、以下の成膜条件で被膜を形成した。なお、各刃先交換型切削チップにおいて、焼結条件と成膜条件の組合せは、以下の表2の通りである。
<焼結条件>
<焼結条件2−A>
10Paの真空雰囲気で1200℃まで5℃/分の速度で昇温した後、7kPaのAr雰囲気で1450℃まで5℃/分の速度で昇温して60分間保持する。その後、7kPaのAr雰囲気で1340℃まで−5℃/分の速度で降温して10分間保持した後、80kPaのArガス雰囲気で室温まで切電炉冷した。
<焼結条件2−B>
10Paの真空雰囲気で1200℃まで5℃/分の速度で昇温した後、7kPaのAr雰囲気で1450℃まで5℃/分の速度で昇温して60分間保持する。その後、7kPaのAr雰囲気で1300℃まで−5℃/分の速度で降温して20分間保持した後、80kPaのArガス雰囲気で室温まで切電炉冷した。
<焼結条件2−C>
10Paの真空雰囲気で1200℃まで5℃/分の速度で昇温した後、7kPaのAr雰囲気で1450℃まで5℃/分の速度で昇温して60分間保持する。その後、7kPaのAr雰囲気で1280℃まで−5℃/分の速度で降温して30分間保持した後、80kPaのArガス雰囲気で室温まで切電炉冷した。
<焼結条件2−D>
10Paの真空雰囲気で1200℃まで5℃/分の速度で昇温した後、7kPaのAr雰囲気で1450℃まで5℃/分の速度で昇温して60分間保持する。その後、7kPaのAr雰囲気で1340℃まで−5℃/分の速度で降温して60分間保持した後、80kPaのArガス雰囲気で室温まで切電炉冷した。
この焼結条件は、焼結条件2−Aに比し、1340℃で60分間保持した後に冷却されているため、外周部の遊離炭素の減少が促進されることになる。
<焼結条件2−E>
10Paの真空雰囲気で1200℃まで5℃/分の速度で昇温した後、7kPaのAr雰囲気で1450℃まで5℃/分の速度で昇温して60分間保持する。その後、7kPaのAr雰囲気で1280℃まで−5℃/分の速度で降温して5分間保持した後、80kPaのArガス雰囲気で室温まで切電炉冷した。
この焼結条件は、焼結条件2−Cに比し、1280℃で5分間保持した後に冷却されているため、外周部の遊離炭素の減少割合が相対的に小さくなっている。
<焼結条件2−F>
10Paの真空雰囲気で1200℃まで5℃/分の速度で昇温した後、7kPaのAr雰囲気で1450℃まで5℃/分の速度で昇温して60分間保持する。その後、80kPaのArガス雰囲気で室温まで切電炉冷した。
この焼結条件は、焼結条件2−Aに比し、1450℃で60分間保持した後に冷却されているため、外周部の遊離炭素の減少割合が相対的に小さくなっている。
<成膜条件>
<成膜条件2−a>
刃先交換型切削チップの表面に、物理蒸着法である公知のイオンプレーティング法を用いて3μmの超多層構造層と、0.2μmのTiAlCN層とを有する被膜を形成した。上記の超多層構造層は、8nmの厚みのAlTiN層と、8nmの厚みのTiSiN層とを交互に積層することにより形成した。このようにして成膜した被膜の圧縮残留応力をX線応力測定装置を用いたsin2ψ法により測定したところ、圧縮残留応力の絶対値が0.1GPa以上であることを確認した。
<成膜条件2−b>
刃先交換型切削チップの表面に、物理蒸着法である公知のイオンプレーティング法を用いて3μmのTiAlCrN層である被膜を形成した。上記と同様にして圧縮残留応力の絶対値が0.1GPa以上であることを確認した。
<成膜条件2−c>
刃先交換型切削チップの表面に、化学蒸着法である公知の気相合成法を用いて、TiN層(0.2μm)とMT−TiCN層(3.5μm)とTiBN層(0.5μm)とα−Al23層(2.2μm)とTiN層(0.2μm)とをこの順番で積層した被膜を形成した(括弧内の数値は厚みを示す)。上記と同様にして応力を測定したところ、絶対値が0.1GPa以上となる引張残留応力が付与されていることを確認した。
<評価>
<遊離炭素評価>
上記で作製した刃先交換型切削チップの遊離炭素評価を実施例1と同様にして行なった。その結果を表2に示す。
<寸法精度評価>
上記で作製した刃先交換型切削チップの寸法精度評価を以下のようにして行なった。
まず、刃先交換型切削チップをそれぞれ50個ずつ作製し、そのうちから8個の刃先交換型切削チップを選択して、それらを全て8つのポケットを有する型番DNX12125R(住友電工ハードメタル株式会社製)のカッタに取り付けた。なお、該カッタに刃先交換型切削チップを取り付けるポケットをNo.1〜No.8まで定めておき、No.1のポケットに取り付けた刃先交換型切削チップの位置(刃先の高さ)を基準として、No.2〜No.8のポケットに取り付けた刃先交換型切削チップの位置との高低差を刃振れ幅とし、その最大値および平均値を算出した。
上記と同様の方法によって刃先交換型切削チップの刃振れ幅の最大値および平均値を10回測定し、その高低差の最大値を表2の「寸法精度評価」の「最大」の欄に示し、高低差の平均値を表2の「平均」の欄に示した。なお、刃振れ幅が小さいほど、刃先交換型切削チップの寸法精度が高いことを示し、寸法精度が高いことにより、表面面粗度が低くなり、被削材の面光沢も優れることになる。加えて、切削時における各切れ刃への負荷が均一となるため、刃先欠損が生じにくくなる。
因みに、寸法精度が極めて高い検査用のマスターチップを用いて、カッタの8つのポケットのそれぞれに取り付けて、刃先交換型切削チップの位置を測定し、その後に取り外すという動作を8回繰り返した。この8回の測定によって算出された刃振れ幅は3μm以下であった。このことから、カッタのポケット間の刃振れの影響は3μm以下とみなすことができる。
次に、寸法精度が極めて高い検査用のマスターチップ8個を用いて、それぞれを寸法精度評価に用いるカッタの8つのポケットに取り付けて刃先交換型切削チップの位置および刃振れ幅を算出したところ、刃振れ幅が6μm以下であった。このことから、カッタのポケットのそれぞれにほぼ同一の寸法の刃先交換型切削チップを取り付けたときに、刃先交換型切削チップの刃振れの影響は6μm以下とみなすことができる。
<切削評価−逃げ面摩耗量>
上記で得られた刃先交換型切削チップを用いて、鋳鉄のミリング加工を行なうことにより耐摩耗性試験を行なった。
まず、上記で作製した刃先交換型切削チップの1つを型番DNX12125R(住友電工ハードメタル株式会社製)のカッタにセットし、これを用いて鋳鉄のフライス試験を行なった。本性能評価は、8つの刃先交換型切削チップではなく、1つの刃先交換型切削チップのみをカッタに取り付けるという点で、上記の寸法精度評価とは異なる。なお、上記カッタには、ビスを用いて刃先交換型切削チップを取り付けた。
フライス切削の条件は、被削材として、FC250ブロック材(300mm×100mm)を用い、この被削材に対し、切削速度=150m/min、送り=0.25mm/刃、切込み量=3.0mm、センターカット、切削油:なし、という条件で5分間切削加工を行なった。このようにして切削加工を行なった後に、コンパレーターを用いて刃先交換型切削チップの逃げ面摩耗量(VB)を測定した。その結果を表2の「逃げ面摩耗量(mm)」の欄に示す。なお、逃げ面摩耗量が少ないほど、耐摩耗性に優れていることを示している。
<切削評価−破損率>
上記で得られた刃先交換型切削チップを用いて、鋼の断続切削加工を行なうことにより靭性試験を行なった。
まず、上記で作製した刃先交換型切削チップの8つを型番DNX12125R(住友電工ハードメタル株式会社製)のカッタの8つのポケットにそれぞれセットし、これを用いて鋼の断続切削加工を行なった。本性能評価は、上記の8つの刃先交換型切削チップの刃振れが、該刃振れの平均値の±3μm以下となる条件で行なった。
鋼の断続切削加工の条件は、被削材として、SCM435スリット有ブロック材(300mm×100mm)を用い、この被削材に対し、切削速度=140m/min、送り=0.50mm/刃、切込み量2.0mm、センターカット、切削油なし、という条件で1パス切削加工を行なった。この条件で断続切削加工を4回行ない、全32の刃先交換型切削チップのうちの破損が生じた刃先交換型切削チップの割合を破損率(%)として算出した。その結果を表2の「破損率(%)」の欄に示す。破損率が低いほど、刃先強度が優れていることを示している。
<切削評価−表面粗度Ra/加工面光沢>
上記で得られた刃先交換型切削チップを用いて、被削材の加工面試験を行なった。
まず、上記で作製した刃先交換型切削チップの8つを型番DNX12125R(住友電工ハードメタル株式会社製)のカッタの8つのポケットにそれぞれセットし、これを用いて炭素鋼の切削加工を行なった。本性能評価は、上記の8つの刃先交換型切削チップの刃振れが、該刃振れの平均値の±3μm以下となる条件で行なった。炭素鋼の切削加工の条件は、被削材として、Scr420Hブロック材(300mm×100mm)を用い、この被削材に対し、切削速度=180m/min、送り=0.26mm/刃、切込み量1.5mm、センターカット、切削油なし、という条件で1パス行なった。このようにして切削加工した被削材の加工面の表面粗度(Ra)をJIS B 0601−1994で規定された方法で測定し、その結果を表2の「表面粗度Ra(μm)」の欄に示した。表面粗度の値が小さいほど加工面が滑らかであり、刃先交換型切削チップの寸法精度が優れていることを示している。また、このようにして加工した被削材の加工面の目視評価を行ない、その結果を表2の「加工面光沢」の欄に示した。光沢が鏡面に近いものほど、刃先交換型切削チップの寸法精度が優れていることを示している。
Figure 0005978671
表2中、刃先交換型切削チップNo.1〜12が本発明の実施例であり、No.13〜15が比較例である(比較例には「*」が付されている)。
表2より明らかなように、本発明の刃先交換型切削チップは、外周部に遊離炭素を含んでおらず、以って切削性能と寸法精度とを両立させたものであることが確認できた。
<実施例3>
以下のようにしてサーメットからなる刃先交換型切削チップNo.1〜14を作製した(ただしNo.6〜8は表面に被膜を有している)。
まず、2.0質量%のTaCと、2.0質量%のNbCと、7.0質量%のMo2Cと、11.0質量%のWCと、8.0質量%のCoと、8.0質量%のNiと、TiCN(残部)とからなる組成に配合した原料粉末を準備した。
続いて、エタノール溶媒と超硬合金製ボールとを備えたボールミルに対して、上記で準備した原料粉末とパラフィンワックス(原料粉末に対して3.0質量%)とを投入して、72時間粉砕混合することにより混合物を得た。
その後、この混合物をスプレードライ乾燥して造粒粉末を得た。ここで、配合炭素量は目的の合金組織となるよう調整した。
次いで、当該造粒粉末をプレス成形し、以下の焼結条件で焼結することにより、刃先交換型切削チップの前駆体を得た。続いて、この刃先交換型切削チップの前駆体の刃先稜線に対しダイヤモンドブラシホーニング処理を行なうことにより、すくい面と逃げ面との交差部に、半径が約0.08mmのアール(R)を付与する刃先処理を行なった。引続き、この刃先交換型切削チップ前駆体の底面に対し、平坦研磨処理を行なった。以上のようにして、SOMT120408PDER−H(住友電工ハードメタル株式会社製)形状の刃先交換型切削チップを作製した。
続いて、このようにして得られた刃先交換型切削チップに対して、No.6〜8については以下の成膜条件で被膜を形成した。なお、各刃先交換型切削チップにおいて、焼結条件と成膜条件の組合せは、以下の表3の通りである。
<焼結条件>
<焼結条件3−A>
10Paの真空雰囲気で1200℃まで5℃/分の速度で昇温した後、1kPaのN2雰囲気で1500℃まで5℃/分の速度で昇温して60分間保持する。その後、10Paの真空雰囲気で1340℃まで−5℃/分の速度で降温して20分間保持した後、80kPaのArガス雰囲気で室温まで切電炉冷した。
<焼結条件3−B>
10Paの真空雰囲気で1200℃まで5℃/分の速度で昇温した後、1kPaのN2雰囲気で1500℃まで5℃/分の速度で昇温して60分間保持する。その後、10Paの真空雰囲気で1300℃まで−5℃/分の速度で降温して30分間保持した後、80kPaのArガス雰囲気で室温まで切電炉冷した。
<焼結条件3−C>
10Paの真空雰囲気で1200℃まで5℃/分の速度で昇温した後、1kPaのN2雰囲気で1500℃まで5℃/分の速度で昇温して60分間保持する。その後、10Paの真空雰囲気で1280℃まで−5℃/分の速度で降温して40分間保持した後、80kPaのArガス雰囲気で室温まで切電炉冷した。
<焼結条件3−D>
10Paの真空雰囲気で1200℃まで5℃/分の速度で昇温した後、1kPaのN2雰囲気で1500℃まで5℃/分の速度で昇温して60分間保持する。その後、10Paの真空雰囲気で1340℃まで−5℃/分の速度で降温して80分間保持した後、80kPaのArガス雰囲気で室温まで切電炉冷した。
この焼結条件は、焼結条件3−Aに比し、1340℃で80分間保持した後に冷却されているため、外周部の遊離炭素の減少が促進されることになる。
<焼結条件3−E>
10Paの真空雰囲気で1200℃まで5℃/分の速度で昇温した後、1kPaのN2雰囲気で1500℃まで5℃/分の速度で昇温して60分間保持する。その後、10Paの真空雰囲気で1280℃まで−5℃/分の速度で降温して10分間保持した後、80kPaのArガス雰囲気で室温まで切電炉冷した。
この焼結条件は、焼結条件3−Cに比し、1280℃で10分間保持した後に冷却されているため、外周部の遊離炭素の減少割合が相対的に小さくなっている。
<焼結条件3−F>
10Paの真空雰囲気で1200℃まで5℃/分の速度で昇温した後、1kPaのN2雰囲気で1500℃まで5℃/分の速度で昇温して60分間保持する。その後、80kPaのArガス雰囲気で室温まで切電炉冷した。
この焼結条件は、焼結条件3−Aに比し、1500℃で60分間保持した後に冷却されているため、外周部の遊離炭素の減少割合が相対的に小さくなっている。
<成膜条件>
<成膜条件3−a>
刃先交換型切削チップの表面に、物理蒸着法である公知のイオンプレーティング法を用いて3μmの超多層構造層と、0.5μmのTiSiCN層とを有する被膜を形成した。上記の超多層構造層は、8nmの厚みのAlTiSiN層と、6nmの厚みのTiSiN層とを交互に積層することにより形成した。このようにして成膜した被膜の圧縮残留応力をX線応力測定装置を用いたsin2ψ法により測定したところ、圧縮残留応力の絶対値が0.1GPa以上であることを確認した。
<成膜条件3−b>
刃先交換型切削チップの表面に、物理蒸着法である公知のイオンプレーティング法を用いて3μmのTiAlN層である被膜を形成した。上記と同様にして圧縮残留応力の絶対値が0.1GPa以上であることを確認した。
<成膜条件3−c>
刃先交換型切削チップの表面に、物理蒸着法である公知のイオンプレーティング法を用いて、TiN層(0.2μm)とTiCN層(3.0μm)とTiN層(0.2μm)とをこの順番で積層した被膜を形成した(括弧内の数値は厚みを示す)。上記と同様にして応力を測定したところ、絶対値が0.1GPa以上となる圧縮残留応力が付与されていることを確認した。
<評価>
<遊離炭素評価>
上記で作製した刃先交換型切削チップの遊離炭素評価を実施例1と同様にして行なった。その結果を表3に示す。
<寸法精度評価>
使用するカッタを、実施例1で用いた型番WGC4160R(住友電工ハードメタル株式会社製)に代えて型番WFXF12100R(住友電工ハードメタル株式会社製)を用いることを除き、他は全て実施例1と同様にして刃先交換型切削チップの寸法精度を評価した。その結果を表3に示す。
<切削評価−逃げ面摩耗量>
上記で得られた刃先交換型切削チップを用いて、鋼のミリング加工を行なうことにより耐摩耗性試験を行なった。
まず、上記で作製した刃先交換型切削チップの1つを型番WFXF12100R(住友電工ハードメタル株式会社製)のカッタにセットし、これを用いて鋼の高速フライス試験を行なった。本性能評価は、7つの刃先交換型切削チップではなく、1つの刃先交換型切削チップのみをカッタに取り付けるという点で、上記の寸法精度評価とは異なる。なお、上記カッタには、ビスを用いて刃先交換型切削チップを取り付けた。
高速フライス耐摩耗性評価試験の条件は、被削材として、SCM435ブロック材(300mm×80mm)を用い、この被削材に対し、切削速度=160m/min、送り=0.20mm/刃、切込み量=1.0mm、センターカット、切削油:なし、という条件で5分間切削加工を行なった。このようにして切削加工を行なった後に、コンパレーターを用いて刃先交換型切削チップの逃げ面摩耗量(VB)を測定した。その結果を表3の「逃げ面摩耗量(mm)」の欄に示す。なお、逃げ面摩耗量が少ないほど、耐摩耗性に優れていることを示している。
<切削評価−破損率>
上記で得られた刃先交換型切削チップを用いて、鋼の断続切削加工を行なうことにより靭性試験を行なった。
まず、上記で作製した刃先交換型切削チップの7つを型番WFXF12100R(住友電工ハードメタル株式会社製)のカッタの7つのポケットにそれぞれセットし、これを用いて鋼の断続切削加工を行なった。本性能評価は、上記の7つの刃先交換型切削チップの刃振れが、該刃振れの平均値の±3μm以下となる条件で行なった。
鋼の断続切削加工の条件は、被削材として、S45C φ10穴空き材ブロック材(300mm×80mm)を用い、この被削材に対し、切削速度=160m/min、送り=0.25mm/刃、切込み量2.0mm、センターカット、切削油なし、という条件で0.5分間切削加工を行なった。この条件で断続切削加工を4回行ない、全28の刃先交換型切削チップのうちの破損が生じた刃先交換型切削チップの割合を破損率(%)として算出した。その結果を表3の「破損率(%)」の欄に示す。破損率が低いほど、刃先強度が優れていることを示している。
<切削評価−表面粗度Ra/加工面光沢>
上記で得られた刃先交換型切削チップを用いて、被削材の加工面試験を行なった。
まず、上記で作製した刃先交換型切削チップの7つを型番WFXF12100R(住友電工ハードメタル株式会社製)のカッタの7つのポケットにそれぞれセットし、これを用いて炭素鋼の切削加工を行なった。本性能評価は、上記の7つの刃先交換型切削チップの刃振れが、該刃振れの平均値の±3μm以下となる条件で行なった。炭素鋼の切削加工の条件は、被削材として、S15Cブロック材(300mm×80mm)を用い、この被削材に対し、切削速度=100m/min、送り=0.15mm/刃、切込み量1.0mm、センターカット、切削油なし、という条件で1パス行なった。このようにして切削加工した被削材の加工面の表面粗度(Ra)をJIS B 0601−1994で規定された方法で測定し、その結果を表3の「表面粗度Ra(μm)」の欄に示した。表面粗度の値が小さいほど加工面が滑らかであり、刃先交換型切削チップの寸法精度が優れていることを示している。また、このようにして加工した被削材の加工面の目視評価を行ない、その結果を表3の「加工面光沢」の欄に示した。光沢が鏡面に近いものほど、刃先交換型切削チップの寸法精度が優れていることを示している。
Figure 0005978671
表3中、刃先交換型切削チップNo.1〜12が本発明の実施例であり、No.13〜14が比較例である(比較例には「*」が付されている)。
表3より明らかなように、本発明の刃先交換型切削チップは、外周部に遊離炭素を含んでおらず、以って切削性能と寸法精度とを両立させたものであることが確認できた。
<実施例4>
以下のようにして表面に被膜を有する超硬合金からなる刃先交換型切削チップNo.1〜13を作製した(ただしNo.8とNo.13は被膜を有していない)。
まず、1.5質量%のNbCと、6.0質量%のCoと、WC(残部)とからなる組成に配合した原料粉末を準備した。
続いて、エタノール溶媒と超硬合金製ボールとを備えたボールミルに対して、上記で準備した原料粉末とパラフィンワックス(原料粉末に対して2.0質量%)とを投入して、36時間粉砕混合することにより混合物を得た。
その後、この混合物をスプレードライ乾燥して造粒粉末を得た。ここで、配合炭素量は目的の合金組織となるよう調整した。
次いで、当該造粒粉末をプレス成形し、JIS B4120−1998で規定された型番CNMA120408の形状の成型体を得、この成型体を実施例2と同じ焼結条件で焼結することにより、刃先交換型切削チップを得た。なお、各刃先交換型切削チップの焼結条件は、表4のとおりである。
続いて、このようにして得られた刃先交換型切削チップに対して、上下面をダイヤモンド砥石で研削後、SiCブラシですくい面からみて0.05mmのホーニングによる刃先処理を施した後、化学蒸着法である公知の気相合成法を用いて、TiN層(0.2μm)とMT−TiZrCN層(7.3μm)とTiBN層(1.0μm)とα−Al23層(4.1μm)とTiC層(0.1μm)とTiN層(0.3μm)とをこの順番で積層した被膜を形成した(括弧内の数値は厚みを示す)。上記と同様にして応力を測定したところ、絶対値が0.1GPa以上となる引張残留応力が付与されていることを確認した。
<評価>
<遊離炭素評価>
上記で作製した刃先交換型切削チップの遊離炭素評価を実施例1と同様にして行なった。その結果を表4に示す。
<寸法精度評価>
上記で作製した刃先交換型切削チップの寸法精度評価を以下のようにして行なった。
まず、上記で作製した刃先交換型切削チップをそれぞれ10個準備する(1個の刃先交換型切削チップについて切れ刃は4個存在する)。
次いで、住友電工ハードメタル株式会社製の旋削加工用ホルダPCLNR2525−43に対して、上記で準備した刃先交換型切削チップを取付ける。具体的には、各刃先交換型切削チップについて、40切れ刃の1)取り付け、2)ダイヤルゲージを用いた刃先位置測定、3)切れ刃の取り外し、を行ない、刃先位置精度の最大値と最小値との差(この差を刃先調整幅という)を測定した。さらに刃先位置(刃先調整幅)の標準偏差を算出した。刃先調整幅が小さいものほど、刃先交換型切削チップの寸法精度が優れていることを示し、同じく標準偏差が小さいものほど、刃先交換型切削チップの寸法精度が優れていることを示す。その結果を表4に示す。
<切削評価−逃げ面摩耗量>
上記で得られた刃先交換型切削チップを用いて、炭素鋼の旋削加工を行なうことにより耐摩耗性試験を行なった。
まず、上記で作製した刃先交換型切削チップの1つを型番PCLNR2525−43(住友電工ハードメタル株式会社製)のホルダにセットし、これを用いて炭素鋼の旋削加工試験を行なった。なお、上記ホルダには、レバーロック式により刃先交換型切削チップを取り付けた。
旋削加工の条件は、被削材として、SCr420Hφ250丸棒(外径旋削)を用い、この被削材に対し、切削速度=180m/min、送り=0.30mm/rev.、切込み量=2.0mm、切削油:水溶性油、という条件で4分間切削加工を行なった。このようにして切削加工を行なった後に、コンパレーターを用いて刃先交換型切削チップの逃げ面摩耗量(VB)を測定した。その結果を表4の「逃げ面摩耗量(mm)」の欄に示す。なお、逃げ面摩耗量が少ないほど、耐摩耗性に優れていることを示している。
<切削評価−破損率>
上記で得られた刃先交換型切削チップを用いて、鋼の断続切削加工を行なうことにより靭性試験を行なった。
まず、上記で作製した刃先交換型切削チップの1つを型番PCLNR2525−43(住友電工ハードメタル株式会社製)のホルダにセットし、これを用いて鋼の断続切削加工を行なった。
鋼の断続切削加工の条件は、被削材として、SCM435φ250、4本溝入丸棒を用い、この被削材に対し、切削速度=100m/min、送り=0.45mm/rev.、切込み量2.5mm、切削油なし、という条件で30秒間切削加工を行なった。この条件で断続切削加工を20回行ない、全20切れ刃を切削して破損が生じた刃先交換型切削チップの割合を破損率(%)として算出した。その結果を表4の「破損率(%)」の欄に示す。破損率が低いほど、刃先強度が優れていることを示している。
Figure 0005978671
表4中、刃先交換型切削チップNo.1〜10が本発明の実施例であり、No.11〜13が比較例である(比較例には「*」が付されている)。
表4より明らかなように、本発明の刃先交換型切削チップは、外周部に遊離炭素を含んでおらず、以って切削性能と寸法精度とを両立させたものであることが確認できた。
なお、上記No.2とNo.11の刃先交換型切削チップを10個ずつ準備し、上記のホルダに取付けて刃先位置調整を行なう操作を40回(各刃先交換型切削チップ1個につきコーナーは4個ずつあるので計40コーナーについて操作を行なったことを意味する)実施し、この作業に要した時間を計測したところ、No.11の刃先交換型切削チップはNo.2の刃先交換型切削チップの3倍の時間を要した。この結果からも、本発明の刃先交換型切削チップの寸法精度が優れていることが確認された。
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、上述の各実施の形態および実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

Claims (15)

  1. 超硬合金またはサーメットからなる刃先交換型切削チップであって、
    前記刃先交換型切削チップは、表面側に位置する外周部とそれより内部側に位置するコア部との2領域で構成され、
    前記外周部は、2μm以上5μm以下の厚みを有し、かつ遊離炭素の含有量が前記コア部に含まれる遊離炭素の含有量より低い、刃先交換型切削チップ。
  2. 前記外周部は、遊離炭素が超硬質合金の有孔度分類標準であるCIS 006C−2007で規定されたC02より少なくなる領域であり、
    前記コア部は、遊離炭素が前記C02以上となる領域である、請求項1記載の刃先交換型切削チップ。
  3. 前記外周部は、遊離炭素を含まない、請求項1または2に記載の刃先交換型切削チップ。
  4. 前記超硬合金は、
    i)炭化タングステンと、
    ii)周期律表のIVa族元素、Va族元素、およびVIa族元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、炭素、窒素、酸素および硼素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とから構成される化合物の1種以上からなる化合物相または固溶体相と、iii)鉄族元素の1種以上からなる結合相と、
    iv)不可避不純物とからなり、
    前記化合物相または固溶体相は、0.1〜50質量%の範囲で含まれ、
    前記結合相は、3〜30質量%の範囲で含まれる、請求項1〜3のいずれかに記載の刃先交換型切削チップ。
  5. 前記超硬合金は、
    i)炭化タングステンと、
    ii)鉄族元素の1種以上からなる結合相と、
    iii)不可避不純物とからなり、
    前記結合相は、1〜30質量%の範囲で含まれる、請求項1〜3のいずれかに記載の刃先交換型切削チップ。
  6. 前記サーメットは、
    i)周期律表のIVa族元素、Va族元素、およびVIa族元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、炭素、窒素、酸素および硼素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とから構成される化合物の1種以上からなる化合物相または固溶体相と、
    ii)鉄族元素の1種以上からなる結合相と、
    iii)不可避不純物とからなり、
    前記化合物相または固溶体相は、70〜97質量%の範囲で含まれ、
    前記結合相は、3〜30質量%の範囲で含まれる、請求項1〜3のいずれかに記載の刃先交換型切削チップ。
  7. 前記刃先交換型切削チップは、表面部が非研削加工面である、請求項1〜6のいずれかに記載の刃先交換型切削チップ。
  8. 前記刃先交換型切削チップは、表面に被膜を有する、請求項1〜7のいずれかに記載の刃先交換型切削チップ。
  9. 前記被膜は、周期律表のIVa族元素、Va族元素、VIa族元素、Al、およびSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素、または該元素と、炭素、窒素、酸素および硼素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素との化合物からなる1層以上の層を含む、請求項8に記載の刃先交換型切削チップ。
  10. 前記被膜は、超多層構造層または変調構造層を含み、
    前記超多層構造層は、周期律表のIVa族元素、Va族元素、VIa族元素、Al、およびSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、炭素、窒素、酸素、および硼素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とからなる化合物によって構成される2種以上の単位層が、各々0.2nm以上20nm以下の厚みで周期的に繰り返して積層された構造を有し、
    前記変調構造層は、周期律表のIVa族元素、Va族元素、VIa族元素、Al、およびSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、炭素、窒素、酸素、および硼素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とからなる化合物によって構成され、その化合物の組成または組成比が厚み方向において0.2nm以上40nm以下の周期で変化する構造を有する、請求項8または請求項9に記載の刃先交換型切削チップ。
  11. 前記被膜は、0.1GPa以上の圧縮残留応力が付与されている、請求項8〜10のいずれかに記載の刃先交換型切削チップ。
  12. 前記刃先交換型切削チップは、ミリング加工に用いられる、請求項1〜11のいずれかに記載の刃先交換型切削チップ。
  13. 前記刃先交換型切削チップは、同時に2以上を用いて切削加工を行なうものである、請求項1〜12のいずれかに記載の刃先交換型切削チップ。
  14. 前記刃先交換型切削チップは、ポジティブ型である、請求項1〜13のいずれかに記載の刃先交換型切削チップ。
  15. 前記刃先交換型切削チップは、ビスで保持具に取り付けるための貫通穴が形成されている、請求項1〜14のいずれかに記載の刃先交換型切削チップ。
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