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JP5977938B2 - 生体状態推定装置及びコンピュータプログラム - Google Patents

生体状態推定装置及びコンピュータプログラム Download PDF

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Description

本発明は、自律神経系指標及び自律神経系の反応情報を含む生体信号を採取し、交感神経機能と交感神経機能により制御を受けた状態の副交感神経機能の所定状態との相対変化、あるいは、交感神経機能と副交感神経機能の所定状態との相対変化から、生体の状態、特に、活動により疲労が蓄積していく通常の疲労状態であるか、所定の機能回復手段が施された機能回復状態であるか、又は不調状態であるか等を推定する技術に関する。
本出願人は、特許文献1において、人の上体から採取した主に心循環系の波動である生体信号の時系列波形から周波数の時系列波形を求め、さらに、周波数傾きの時系列波形、周波数変動の時系列波形を求めてこれらを周波数解析する手段を有する生体状態推定装置を開示している。周波数解析の際には、予め定めた機能調整信号、疲労受容信号及び活動調整信号に相当する各周波数のパワースペクトルを求める。そして、各パワースペクトルの時系列変化から人の状態を判定する。疲労受容信号は、通常の活動状態における疲労の進行度合いを示すため、これに併せて、機能調整信号や活動調整信号の優性度合いをそれらの分布率として比較することにより、人の状態(リラックス状態、疲労状態、交感神経優位の状態、副交感神経優位の状態など)をより正確に判定することができることを特徴とする。
また、本出願人は、特許文献2において、 飲酒の有無の判定をより正確に行う技術を提案している。具体的には、エアパックにより検出した背部の脈波の周波数に関する時系列変動の傾向を求める周波数動的情報処理手段と、この周波数動的情報処理手段により得られた周波数に関する時系列変動の傾向が非飲酒時における周波数に関する時系列変動の傾向と乖離している場合に飲酒状態と判定する飲酒状態判定手段を有している。非飲酒時における周波数に関する時系列変動と比較して飲酒状態か否かを判定する構成であって、人の体調によって変化する脈波の周波数を周波数解析するだけでなく、その時系列変動を用いて判定する構成であるため、従来よりも正確に飲酒の有無を判定することができる。
また、特許文献3〜5においては、シートクッション部に圧力センサを配置し、臀部脈波を採取して分析し、運転中の乗員の入眠予兆現象を判定する手法を開示している。具体的には、脈波の時系列波形を、それぞれ、SavitzkyとGolayによる平滑化微分法により、極大値と極小値を求める。そして、5秒ごとに極大値と極小値を切り分け、それぞれの平均値を求める。求めた極大値と極小値のそれぞれの平均値の差の二乗をパワー値とし、このパワー値を5秒ごとにプロットし、パワー値の時系列波形を作る。この時系列波形からパワー値の大域的な変化を読み取るために、ある時間窓Tw(180秒)について最小二乗法でパワー値の傾きを求める。次に、オーバーラップ時間Tl(162秒)で次の時間窓Twを同様に計算して結果をプロットする。この計算(移動計算)を順次繰り返してパワー値の傾きの時系列波形を得る。一方、脈波の時系列波形をカオス解析して最大リアプノフ指数を求め、上記と同様に、平滑化微分によって極大値を求め、移動計算することにより最大リアプノフ指数の傾きの時系列波形を得る。
そして、パワー値の傾きの時系列波形と最大リアプノフ指数の傾きの時系列波形が逆位相となっており、さらには、パワー値の傾きの時系列波形で低周波、大振幅の波形が生じている波形を、入眠予兆を示す特徴的な信号と判定し、その後に振幅が小さくなったポイントを入眠点と判定している。
特開2011−167362号公報 WO2010/134525A1公報 特開2004−344612号公報 特開2004−344613号公報 WO2005/092193A1公報
ところで、例えば、飲酒の検知に用いられる呼気アルコール測定器の場合、その時点での飲酒の有無を検知することはもちろんできる。しかし、例えば、長距離トラック運転手などが、出発前における管理会社のチェックにおいて呼気アルコール測定器により非飲酒と判定されたとしても、その後目的地に到着する前の休憩時において飲酒した場合、管理会社でチェックすることはできない。そして、何らの事故を起こすことなく管理会社に戻ってきた場合には、運転手が自己申告しない限り、管理会社で把握することは困難である。しかし、実際に運転手が運行業務中に飲酒を行った場合、例えば、休憩時間に飲酒したにも拘わらず、数十分後に酔いが醒めたと自己判断して運転を再開するようなことがあれば重大な事故につながるおそれがあり、その発見、把握は非常に重要である。
従って、運転業務の開始前だけでなく、運転中に得られる生体信号を採取しておき、そのデータを用いて業務完了後において運転手の状態を遡及的にチェックできれば、その後の安全指導にその解析結果を生かすことができ、事故や違反の抑制に貢献できる。もちろん、業務完了後に限らず、運転中の生体信号を通信手段を介して送信して運転業務中リアルタイムでチェックできるシステムとすることもできる。また、より望ましくは、アルコール検知だけでなく、運転者の状態が、運転に伴う通常の疲労によるものか、病気(未病を含む)を患っているか、あるいは、睡眠の質はどうか(疲労による機能のダメージを回復するのに適切な睡眠、すなわち、いわゆるレム睡眠とノンレム睡眠が混在し、かつ中途覚醒のない質の高い睡眠がとれているか否か)等を解析できれば、運転者の安全運行に寄与する。もちろん、これらの解析は、運転時に限らず、人が日常生活を営む上での健康管理にも役立つ。上記した特許文献1〜5の開示の技術によれば、疲労の程度やアルコール検知を行うことはができるが、その解析結果はより精度を高めることが常に望まれている。特に、アルコール検知については、安全運行管理上、解析精度の高いことが望まれ、さらに、一つのシステムでアルコール検知に限らず、人の状態が普通であるか、不調(病気、極度の疲労等を含む)であるか等を総合的に判断できればなお望ましい。
本出願人は、上記に鑑みなされたものであり、人の種々の状態をより正確に把握できる技術を提供することを課題とする。特に、アルコール摂取によるものか否かに関し、生体信号から得られる心拍変動を表す主共振が調和振動系か不規則振動系かを、周波数分析して得られるゆらぎ波形を数値化して弁別することで特定する技術を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明者は次の点に着目し、本発明を完成するに至った。
まず、人の恒常性はゆらぎで維持され、その周波数帯域は0.001〜0.04Hzの超低周波帯域にあるとされている。一方、心疾患の一つである心房細動において、心・循環系のゆらぎの特性が切り替わるところは、0.0033Hzと言われており、また、睡眠時無呼吸症候群(SAS)患者における睡眠時の心拍変動において0.01〜0.04Hzの周波数帯域で異常なパワー値が認められたという報告もある。そこで、このような超低周波帯域、0.0033Hz近傍、あるいは0.01〜0.04Hz近傍の周波数帯域のゆらぎの変化を捉えることで、恒常性制御の程度を示すことができる。
また、飲酒、切迫睡眠現象、注射や薬物投与などの医療行為によって生じる遷移状態における生体信号は、覚醒、眠気、睡眠中といった生体内の恒常性維持機能で制御される状態を表す調和振動系とは異なる乱れを有する不規則な振動系となり、共振周波数のピークを2〜3点もつものとなり、その中で優勢となる振動数は卓越周波数と呼ばれるが、共振周波数と卓越周波数の移動の仕方は、指尖容積脈波と体表脈波(本発明では、心部揺動波(Aortic Pulse Wave(APW))とが同じ傾向をもつ。一方、リラックス、緊張状態は調和振動に対する共振曲線のように明確なピークをもつ。従って、共振周波数のピークが多数存在することで飲酒や遷移状態を弁別することが可能になり、それらを切り分け可能である。さらに、ホメオスタシスの回復機能は、超低周波帯域のゆらぎの変化と相関性が高いため、調和振動系の共振周波数、不規則振動系の卓越周波数とその変化の仕方、並びにそれらの変動をよく捉えることができるフラクタル解析の傾きで表されるゆらぎの変化に着目した。そこで、低周波帯域のゆらぎ波形の変化を所定条件に従って点数化し、その点数を座標系上にプロットしてベクトル表示することは、調和振動系の共振周波数、不規則振動系の卓越周波数、並びにそれらの変動の様子を、いわば拡大ないしは強調してみることになり、人の感覚に近い状態をより正確に捉えることが可能となる。すなわち、調和関数でいうAcos(ωt+φ)のA、ω、φに着目し、調和振動系か不規則振動系かを、A、ω、φの関数として表して人の状態を推定すること、すなわち自律神経系の制御を表すゆらぎ関数を介して人の状態を推定することが可能となる。
また、アルコールは、胃から吸収された後、血液によって運ばれ、脳に刺激を与えて高揚感や開放感をもたらし、皮膚では血管拡張作用を生じさせる。その際、肝臓は、アルコールを分解し、アセトアルデヒドを産生する。従って、アルコールの吸収度合いにより、心拍に乱れが生じ、上記のゆらぎ波形の変化の仕方、収束・発散の仕方が変わるため、それを判断することで体調の変化の推移方向(体調変化動向)をみることができる。また、アルコールは持続効果が長く相当な時間を要して分解されるため、この分解の度合いによっても上記のゆらぎ波形の時間軸上の変化の仕方が変わる。すなわち、外部ストレスの効用によってその作用時間、効果が異なるため、例えば栄養剤を飲用したときのように短期で効果のあるものに比べて変化が長くなり、解析時点においてどのような調子であるかの解析時におけるスポット的な体調状態(解析時体調状態)は時間経過によりその変化の仕方が異なる。また、一旦、アルコールの効果が生じる変化の状態に至った後は、その状態が持続し、状態を安定化させようとする恒常性維持のための制御のゆらぎが小さくなる。その一方、日常活動や作業に伴う通常の疲労、あるいは、栄養ドリンクを飲用した際の影響は、アルコールと比較すると、体調の変化度合いが通常状態と比較して大きくかけ離れはしないが、通常の健康状態と同じ程度のゆらぎの振幅で、あるいは一過性の急激な変化を伴うもののその変化がある程度のゆらぎ幅を示す。また、栄養ドリンクの場合、一般に、薬効成分の持続効果は短く、アルコールのように体調と感覚の双方共に長く顕著な影響を及ぼすということは少ないと考えられる。また、不調状態(病気、未病、極度の体調不良等を含む)の場合、高揚感や開放感を適度に感じるということはほとんどなく、体調的、感覚的にアルコール摂取の状態とは異なる指標を示すと共に、変化のゆらぎもアルコール摂取状態及び普通状態のいずれとも異なる傾向を示す。
すなわち、本発明の生体状態推定装置は、生体信号測定手段により採取した自律神経系の生体信号を用いて、生体状態を推定する生体状態推定装置であって、前記生体信号を周波数分析して0.001Hz〜0.04Hzの超低周波帯域のゆらぎ波形を求める周波数分析手段と、前記周波数分析手段により得られる前記ゆらぎ波形を、所定の基準に基づいて、交感神経及び副交感神経に関する各指標の値に置き換えて表示し、その時間的変化に基づき生体状態を推定する状態推定手段とを有することを特徴とする。
前記状態推定手段は、前記周波数分析手段により得られる前記ゆらぎ波形を、所定の基準に基づいて、交感神経及び副交感神経に関する各指標を縦軸及び横軸に現した4象限座標系上の座標点として求めてベクトル表示し、前記座標点の時間的変化に基づき生体状態を推定する手段であることが好ましい。
前記状態推定手段は、基準の解析区間における座標点に対する解析対象の解析区間の座標点の位置を基に、前記生体状態として、活動により疲労が蓄積していく通常の疲労状態であるか、不調状態であるか、又は所定の機能回復手段が施された機能回復状態であるかを推定する第1解析判定手段を有することが好ましい。
前記第1解析判定手段は、基準の解析区間の座標点に対して解析対象の座標点が所定の領域内である場合に、前記機能回復手段に相当する酩酊度分類で爽快期に相当するアルコール摂取状態と判定する構成とすることが好ましい。
前記第1解析判定手段は、前記不調状態を、さらに、不調要因に耐えている状態、不調要因に抵抗している状態に細分化して判定する構成とすることが好ましい。
前記第1解析判定手段は、基準の解析区間に対し、所定の生体状態の変化要因が加わった後の体調の全体的な変化の推移方向を、前記ゆらぎ波形の変化度合いを基に、体調変化動向として推定する解析判定手段Aと、前記所定の生体状態の変化要因が加わった後から所定時間経過後の所定の解析時間における体調状態を、前記ゆらぎ波形の変化度合いを基に、解析時体調状態としてを推定する解析判定手段Bとの少なくとも一方を有する構成であることが好ましい。
前記爽快期に相当するアルコール摂取状態の推定に関し、前記解析判定手段Aは、前記アルコール摂取状態に至る前の基準の解析区間に対し、摂取後相対的に短時間で大きな変化を示すアルコールの吸収度合いを前記ゆらぎ波形の変化度合いから体調変化動向として推定する手段であり、前記解析判定手段Bは、前記アルコール摂取状態に至る前の基準の解析区間に対し、前記短時間での体調変化後、相対的に長時間に亘って持続されるアルコール摂取に伴うアルコールの分解度合いを前記ゆらぎ波形の変化度合いから解析時体調状態として推定する手段であることが好ましい。
前記解析判定手段Aは、基準の解析区間の所定の解析時間範囲について求めた座標点に対する、解析対象の解析区間の所定の解析時間範囲について求めた座標点の位置から、前記体調変化動向を推定する手段であり、前記解析判定手段Bは、各解析区間内で解析時間を異ならせた解析時間同士の差を利用して各解析区間の座標点を求め、求めた各解析区間の座標点を基準の解析区間の座標点と比較し、両者の位置関係から、各解析区間における前記解析時体調状態を推定する手段であることが好ましい。
前記第1解析判定手段は、前記解析判定手段A及びBの両方を備え、その両方において、基準の解析区間の座標点に対する解析区間の座標点の位置が、前記基準の解析区間の座標点を中心として予め設定した第1離隔距離を半径とする内側円とそれよりも離れた第2離隔距離を半径とする外側円との間のドーナツ状領域内である場合に、前記爽快期に相当するアルコール摂取状態と推定することが好ましい。
前記第1解析判定手段は、前記解析判定手段A及びBにより求められる解析対象の各解析区間の座標点のいずれか少なくとも一方が、前記ドーナツ状領域の内側円内に含まれる場合に前記通常の疲労状態と推定することが好ましい。
前記第1解析判定手段は、前記解析判定手段A及びBにより求められる解析対象の各解析区間の座標点のいずれか少なくとも一方が、前記ドーナツ状領域の内側円内であって、かつ中心からの距離が所定距離以内である場合に、不調状態であって、かつ、体内に生じている不調要因に耐えている状態と推定することが好ましい。
前記第1解析判定手段は、前記解析判定手段A及びBにより求められる解析対象の各解析区間の座標点のいずれか少なくとも一方が、前記ドーナツ状領域の外側円外に至っている場合に、不調状態であって、かつ、体内に生じている不調要因に抵抗している状態と推定することが好ましい。
前記第1解析判定手段は、前記解析判定手段A及びBにより求められる解析対象の各解析区間の座標点のいずれか少なくとも一方が、前記ドーナツ状領域の外側円外に至っていた状態からそれよりも内方に移行した場合、又は、内側円内で中心から所定距離以内の状態からそれよりも外方に移行した場合に、不調状態でありながら、所定の機能回復手段が施された結果として平穏状態に向かっていると推定することが好ましい。
前記第1解析判定手段は、前記生体信号測定手段による生体信号を採取する被験者の測定姿勢が、副交感神経活動が相対的に優位となる測定姿勢の場合と交感神経活動が相対的に優位となる測定姿勢の場合とで、前記第1離隔距離及び第2離隔距離を異ならせて設定して状態推定を行うことが好ましい。
前記状態推定手段は、さらに、解析対象の解析区間の座標点の前記座標系上における位置を三角関数表示に置換して新たな座標系に再プロットし、再プロットした座標点の位置を基に、生体状態を推定する第2解析判定手段を有することが好ましい。
前記第2解析判定手段は、前記第1解析判定手段における、前記解析判定手段Aで得られた各座標点、及び、前記解析判定手段Bで得られた各座標点のそれぞれについて、解析判定手段Aで得られた各座標点の三角関数表示に対応する角度を一方の軸に、解析判定手段Bで得られた各座標点の三角関数表示に対応する角度を他方の軸にとってプロットした三角関数表示座標を作成する手段を有し、前記三角関数表示座標における各座標点の位置により生体状態を推定することが好ましい。
前記第2解析判定手段は、前記第1解析判定手段における、前記解析判定手段Aで得られた各座標点、及び、前記解析判定手段Bで得られた各座標点のそれぞれについて、sinの角度を求め、解析判定手段Aで得られた各座標点のsinの角度を一方の軸に、解析判定手段Bで得られた各座標点のsinの角度を他方の軸にとってプロットしたsin表示座標を作成する手段と、tanの角度を求め、解析判定手段Aで得られた各座標点のtanの角度を一方の軸に、解析判定手段Bで得られた各座標点のtanの角度を他方の軸にとってプロットしたtan表示座標を作成する手段とを有し、前記sin表示座標及び前記tan表示座標における各座標点の位置により、生体状態を推定することが好ましい。
前記第2解析判定手段における前記sin表示座標において所定の範囲に座標点が含まれ、前記tan表示座標において所定の象限に座標点が含まれていない場合に、課題遂行困難状態と推定することが好ましい。
前記第1解析判定手段の解析判定手段A及びBにより求められる座標点が、前記爽快期のアルコール摂取状態と判定される領域にプロットされる場合に、運転不適状態と推定することが好ましい。
前記第1解析判定手段の解析判定手段A及びBにより求められる座標点が、前記爽快期のアルコール摂取状態と判定される領域にプロットされ、かつ、前記第2解析判定手段における前記sin表示座標において所定の範囲に座標点が含まれ、前記tan表示座標において所定の象限に座標点が含まれていない場合に、運転不適状態と推定することが好ましい。
前記第1解析判定手段の解析判定手段A及びBにより求められる座標点のいずれか少なくとも一方が、不調状態と判定される前記ドーナツ状領域の内側円内であってかつ中心からの距離が所定距離以内にプロットされ、かつ、前記第2解析判定手段における前記sin表示座標において所定の範囲に座標点が含まれ、前記tan表示座標において所定の象限に座標点が含まれていない場合に、運転不適状態と推定することが好ましい。
前記第1解析判定手段の解析判定手段A及びBにより求められる座標点のいずれか少なくとも一方が、普通状態と判定される前記ドーナツ状領域の内側円内にプロットされ、かつ、前記第2解析判定手段における前記sin表示座標において所定の範囲に座標点が含まれず、前記tan表示座標において所定の象限に座標点が含まれる場合に、普通状態下における疲労状態と推定することが好ましい。
前記状態推定手段が、さらに、機能回復手段としての睡眠の質を推定する睡眠の質推定手段を有する構成であることが好ましい。
前記睡眠の質推定手段は、前記解析判定手段A及びBにより求められる解析対象の解析区間の座標点のいずれかが、内側円の外方にプロットされている場合に、心循環系の自律機能の低下による、心循環系の自律機能の回復に適する、レム睡眠とノンレム睡眠が混在して中途覚醒のない質の高い睡眠と推定することが好ましい。
さらに、前記第2解析判定手段における前記sin表示座標において所定の範囲に座標点が含まれず、又は、前記tan表示座標において所定の象限を含む座標点が含まれると共に、複数の象限に分布する場合に、心循環系の自律機能の回復に適する、レム睡眠とノンレム睡眠が混在して中途覚醒のない質の高い睡眠と推定することが好ましい。
前記状態推定手段は、さらに、解析区間毎に、当該解析区間内で解析時間を異ならせた解析時間同士の差を利用して所定の基準で順次座標点を求め、当該解析区間内での時系列の体調変化を示す時系列変化線を作成する体調マップ作成手段と、解析区間毎に、当該解析区間内で解析時間を異ならせた解析時間同士の差を利用して前記体調マップ作成手段とは異なる基準で順次座標点を求め、当該解析区間内での時系列の感覚変化を示す時系列変化線を作成する感覚マップ作成手段とを有し、前記睡眠の質推定手段は、前記体調マップ作成手段及び感覚マップ作成手段の各時系列変化線の推移傾向を加味して睡眠の質を推定することが好ましい。
前記睡眠の質推定手段は、前記体調マップ作成手段の体調変化の時系列変化線が、1/fの傾きに近似し、かつ、前記感覚マップ作成手段の時系列変化線が、横軸に略平行に推移する場合に、レム睡眠とノンレム睡眠が混在して中途覚醒のない質の高い睡眠と推定することが好ましい。
前記生体信号測定手段により採取した生体信号から周波数傾き時系列波形を求める周波数傾き時系列解析演算手段を有し、前記周波数分析手段は、前記周波数傾き時系列解析演算手段により求められた周波数傾き時系列波形を周波数分析し、前記ゆらぎ波形を周波数とパワースペクトル密度の両対数表示で出力する手段であることが好ましい。
前記生体信号測定手段により採取した生体信号から求められる周波数の時系列波形において、所定のオーバーラップ時間で設定した所定の時間窓毎に周波数の平均値を求める移動計算を行い、時間窓毎に得られる周波数の平均値の時系列変化を周波数変動時系列波形として出力する周波数変動演算手段を有し、前記周波数分析手段は、前記周波数変動演算手段により求められた周波数変動時系列波形を周波数分析し、前記ゆらぎ波形を周波数とパワースペクトル密度の両対数表示で出力する手段であることが好ましい。
前記生体信号測定手段により採取した生体信号の時系列波形におけるゼロクロス点を用いて周波数の時系列波形を求めるゼロクロス検出手段と、前記生体信号の時系列波形のピーク点を用いて周波数の時系列波形を求めるピーク検出手段とを備え、前記周波数傾き時系列波形解析演算手段は、前記ゼロクロス検出手段及びピーク検出手段のそれぞれから得られる周波数の時系列波形のそれぞれから周波数傾き時系列波形を求めることが好ましい。
前記生体信号測定手段により採取した生体信号の時系列波形におけるゼロクロス点を用いて周波数の時系列波形を求めるゼロクロス検出手段と、前記生体信号の時系列波形のピーク点を用いて周波数の時系列波形を求めるピーク検出手段とを備え、前記周波数変動演算手段は、前記ゼロクロス検出手段及びピーク検出手段のそれぞれから得られる周波数の時系列波形のそれぞれから周波数変動時系列波形を求めることが好ましい。
前記状態推定手段は、前記両対数表示で出力された前記ゆらぎ波形から、長周期領域、中周期領域、短周期領域に分けた回帰直線を求め、この回帰直線を利用して前記ゆらぎ波形を所定の基準に基づいて得点化し、座標系上の座標点を得るための判定基準点を求めるゆらぎ波形分析手段を有することが好ましい。
前記ゆらぎ波形分析手段は、前記ゼロクロス検出手段を用いた周波数の時系列波形から得たゆらぎ波形を基に交感神経機能に関する第1の判定基準点を求めると共に、前記ピーク検出手段を用いた周波数の時系列波形から得たゆらぎ波形を基に副交感神経機能に交感神経機能が付与された機能に関する第2の判定基準点を求める手段であり、前記状態推定手段は、前記第1の判定基準点を一方の軸の指標に、前記第2の判定基準点を他方の軸の指標とし、前記座標系上の座標点を求めることが好ましい。
前記生体信号測定手段により採取した生体信号の時系列波形におけるゼロクロス点を用いて周波数の時系列波形を求めるゼロクロス検出手段と、前記生体信号の時系列波形のピーク点を用いて周波数の時系列波形を求めるピーク検出手段とに加えて、前記ピーク検出手段におけるピーク点を用いた周波数の時系列波形のデータを、前記ゼロクロス検出手段におけるゼロクロス点を用いた周波数の時系列波形のデータで除し、得られたピーク/ゼロクロス値を用いた周波数の時系列波形を求めるピーク/ゼロクロス検出手段を有し、前記周波数傾き時系列波形解析演算手段は、前記ゼロクロス検出手段及び前記ピーク/ゼロクロス検出手段のそれぞれから得られる周波数の時系列波形のそれぞれから周波数傾き時系列波形を求めることが好ましい。
前記ゆらぎ波形分析手段は、前記ゼロクロス検出手段を用いた周波数の時系列波形から得たゆらぎ波形を基に交感神経機能に関する第1の判定基準点を求めると共に、前記ピーク/ゼロクロス検出手段を用いた周波数の時系列波形から得たゆらぎ波形を基に副交感神経機能に交感神経機能が付与された機能に関する第2の判定基準点を求める手段であり、前記状態推定手段は、前記第1の判定基準点を一方の軸の指標に、前記第2の判定基準点を他方の軸の指標とし、前記座標系上の座標点を求めることが好ましい。
前記ゆらぎ波形分析手段は、前記生体信号から得られる心拍変動を表す主共振が、調和振動系か不規則振動系かを、周波数分析して得られる前記ゆらぎ波形を数値化して弁別するものであることが好ましい。
また、本発明のコンピュータプログラムは、生体信号測定手段により採取した自律神経系の生体信号を用いて、生体状態を推定する生体状態推定装置に設定されるコンピュータプログラムであって、前記生体信号を周波数分析して0.001Hz〜0.04Hzの超低周波帯域のゆらぎ波形を求める周波数分析手順と、前記周波数分析手順により得られる前記ゆらぎ波形を、所定の基準に基づいて、交感神経及び副交感神経に関する各指標の値に置き換えて表示し、その時間的変化に基づき生体状態を推定する状態推定手順とをコンピュータに実行させることを特徴とする。
前記状態推定手順は、前記周波数分析手段により得られる前記ゆらぎ波形を、所定の基準に基づいて、交感神経及び副交感神経に関する各指標を縦軸及び横軸に現した4象限座標系上の座標点として求めてベクトル表示し、前記座標点の時間的変化に基づき生体状態を推定する手順であることが好ましい。
前記状態推定手順は、基準の解析区間における座標点に対する解析対象の解析区間の座標点の位置を基に、前記生体状態として、活動により疲労が蓄積していく通常の疲労状態であるか、不調状態であるか、又は所定の機能回復手段が施された機能回復状態であるかを推定する第1解析判定手順を有することが好ましい。
前記第1解析判定手順は、基準の解析区間の座標点に対して解析対象の座標点が所定の領域内である場合に、前記機能回復手段に相当する酩酊度分類で爽快期に相当するアルコール摂取状態と判定することが好ましい。
前記第1解析判定手順は、前記不調状態を、さらに、不調要因に耐えている状態、不調要因に抵抗している状態に細分化することが好ましい。
前記第1解析判定手順は、基準の解析区間に対し、所定の生体状態の変化要因が加わった後の体調の全体的な変化の推移方向を、前記ゆらぎ波形の変化度合いを基に、体調変化動向として推定する解析判定手順Aと、前記所定の生体状態の変化要因が加わった後から所定時間経過後の所定の解析時間における体調状態を、前記ゆらぎ波形の変化度合いを基に、解析時体調状態として推定する解析判定手順Bとの少なくとも一方を有することが好ましい。
前記爽快期に相当するアルコール摂取状態の推定に関し、前記解析判定手順Aは、前記アルコール摂取状態に至る前の基準の解析区間に対し、摂取後相対的に短時間で大きな変化を示すアルコールの吸収度合いを前記ゆらぎ波形の変化度合いから体調変化動向として推定する手順であり、前記解析判定手順Bは、前記アルコール摂取状態に至る前の基準の解析区間に対し、前記短時間での体調変化後、相対的に長時間に亘って持続されるアルコール摂取に伴うアルコールの分解度合いを前記ゆらぎ波形の変化度合いから解析時体調状態として推定する手順であることが好ましい。
前記解析判定手順Aは、基準の解析区間の所定の解析時間範囲について求めた座標点に対する、解析対象の解析区間の所定の解析時間範囲について求めた座標点の位置から、前記体調変化動向を推定する手順であり、前記解析判定手順Bは、各解析区間内で解析時間を異ならせた解析時間同士の差を利用して各解析区間の座標点を求め、求めた各解析区間の座標点を基準の解析区間の座標点と比較し、両者の位置関係から、各解析区間における前記解析時体調状態を推定する手順であることが好ましい。
前記第1解析判定手順は、前記解析判定手順A及びBの両方を備え、その両方において、基準の解析区間の座標点に対する解析区間の座標点の位置が、前記基準の解析区間の座標点を中心として予め設定した第1離隔距離を半径とする内側円とそれよりも離れた第2離隔距離を半径とする外側円との間のドーナツ状領域内である場合に、前記爽快期に相当するアルコール摂取状態と推定することが好ましい。
前記第1解析判定手順は、前記解析判定手順A及びBにより求められる解析対象の各解析区間の座標点のいずれか少なくとも一方が、前記ドーナツ状領域の内側円内に含まれる場合に前記通常の疲労状態と推定することが好ましい。
前記第1解析判定手順は、前記解析判定手順A及びBにより求められる解析対象の各解析区間の座標点のいずれか少なくとも一方が、前記ドーナツ状領域の内側円内であって、かつ中心からの距離が所定距離以内である場合に、不調状態であって、かつ、体内に生じている不調要因に耐えている状態と推定することが好ましい。
前記第1解析判定手順は、前記解析判定手順A及びBにより求められる解析対象の各解析区間の座標点のいずれか少なくとも一方が、前記ドーナツ状領域の外側円外に至っている場合に、不調状態であって、かつ、体内に生じている不調要因に抵抗している状態と推定することが好ましい。
前記第1解析判定手順は、前記解析判定手順A及びBにより求められる解析対象の各解析区間の座標点のいずれか少なくとも一方が、前記ドーナツ状領域の外側円外に至っていた状態からそれよりも内方に移行した場合、又は、内側円内で中心から所定距離以内の状態からそれよりも外方に移行した場合に、不調状態でありながら、所定の機能回復手段が施された結果として平穏状態に向かっていると推定することが好ましい。
前記第1解析判定手順は、前記生体信号測定手段による生体信号を採取する被験者の測定姿勢が、副交感神経活動が相対的に優位となる測定姿勢の場合と交感神経活動が相対的に優位となる測定姿勢の場合とで、前記第1離隔距離及び第2離隔距離を異ならせて設定して状態推定を行うことが好ましい。
前記状態推定手順は、さらに、解析対象の解析区間の座標点の前記座標系上における位置を三角関数表示に置換して新たな座標系に再プロットし、再プロットした座標点の位置を基に、生体状態を推定する第2解析判定手順を有することが好ましい。
前記第2解析判定手順は、前記第1解析判定手順における、前記解析判定手順Aで得られた各座標点、及び、前記解析判定手順Bで得られた各座標点のそれぞれについて、解析判定手順Aで得られた各座標点の三角関数表示に対応する角度を一方の軸に、解析判定手順Bで得られた各座標点の三角関数表示に対応する角度を他方の軸にとってプロットした三角関数表示座標を作成する手順を有し、前記三角関数表示座標における各座標点の位置により生体状態を推定することが好ましい。
前記第2解析判定手順は、前記第1解析判定手順における、前記解析判定手順Aで得られた各座標点、及び、前記解析判定手順Bで得られた各座標点のそれぞれについて、sinの角度を求め、解析判定手順Aで得られた各座標点のsinの角度を一方の軸に、解析判定手順Bで得られた各座標点のsinの角度を他方の軸にとってプロットしたsin表示座標を作成する手順と、tanの角度を求め、解析判定手順Aで得られた各座標点のtanの角度を一方の軸に、解析判定手順Bで得られた各座標点のtanの角度を他方の軸にとってプロットしたtan表示座標を作成する手順とを有し、前記sin表示座標及び前記tan表示座標における各座標点の位置により、生体状態を推定することが好ましい。
前記第2解析判定手順における前記sin表示座標において所定の範囲に座標点が含まれ、前記tan表示座標において所定の象限に座標点が含まれていない場合に、課題遂行困難状態と推定することが好ましい。
前記第1解析判定手順の解析判定手順A及びBにより求められる座標点が、前記爽快期のアルコール摂取状態と判定される領域にプロットされる場合に、運転不適状態と推定することが好ましい。
前記第1解析判定手順の解析判定手順A及びBにより求められる座標点が、前記爽快期のアルコール摂取状態と判定される領域にプロットされ、かつ、前記第2解析判定手順における前記sin表示座標において所定の範囲に座標点が含まれ、前記tan表示座標において所定の象限に座標点が含まれていない場合に、運転不適状態と推定することが好ましい。
前記第1解析判定手順の解析判定手順A及びBにより求められる座標点のいずれか少なくとも一方が、不調状態と判定される前記ドーナツ状領域の内側円内であってかつ中心からの距離が所定距離以内にプロットされ、かつ、前記第2解析判定手順における前記sin表示座標において所定の範囲に座標点が含まれ、前記tan表示座標において所定の象限に座標点が含まれていない場合に、運転不適状態と推定することが好ましい。
前記第1解析判定手順の解析判定手順A及びBにより求められる座標点のいずれか少なくとも一方が、普通状態と判定される前記ドーナツ状領域の内側円内にプロットされ、かつ、前記第2解析判定手順における前記sin表示座標において所定の範囲に座標点が含まれず、前記tan表示座標において所定の象限に座標点が含まれる場合に、普通状態下における疲労状態と推定することが好ましい。
前記状態推定手順が、さらに、機能回復手段としての睡眠の質を推定する睡眠の質推定手順を有する構成であることが好ましい。
前記睡眠の質推定手順は、前記解析判定手順A及びBにより求められる解析対象の解析区間の座標点のいずれかが、内側円の外方にプロットされている場合に、心循環系の自律機能の低下による、心循環系の自律機能の回復に適する、レム睡眠とノンレム睡眠が混在して中途覚醒のない質の高い睡眠と推定することが好ましい。
さらに、前記第2解析判定手順における前記sin表示座標において所定の範囲に座標点が含まれず、又は、前記tan表示座標において所定の象限を含む座標点が含まれると共に、複数の象限に分布する場合に、心循環系の自律機能の回復に適する、レム睡眠とノンレム睡眠が混在して中途覚醒のない質の高い睡眠と推定することが好ましい。
前記状態推定手順は、さらに、解析区間毎に、当該解析区間内で解析時間を異ならせた解析時間同士の差を利用して所定の基準で順次座標点を求め、当該解析区間内での時系列の体調変化を示す時系列変化線を作成する体調マップ作成手順と、解析区間毎に、当該解析区間内で解析時間を異ならせた解析時間同士の差を利用して前記体調マップ作成手順とは異なる基準で順次座標点を求め、当該解析区間内での時系列の感覚変化を示す時系列変化線を作成する感覚マップ作成手順とを有し、前記睡眠の質推定手順は、前記体調マップ作成手順及び感覚マップ作成手順の各時系列変化線の推移傾向を加味して睡眠の質を推定することが好ましい。
前記睡眠の質推定手順は、前記体調マップ作成手順の体調変化の時系列変化線が、1/fの傾きに近似し、かつ、前記感覚マップ作成手順の時系列変化線が、横軸に略平行に推移する場合に、レム睡眠とノンレム睡眠が混在して中途覚醒のない質の高い睡眠と推定することが好ましい。
前記生体信号測定手段により採取した生体信号から周波数傾き時系列波形を求める周波数傾き時系列解析演算手順を有し、前記周波数分析手順は、前記周波数傾き時系列解析演算手順により求められた周波数傾き時系列波形を周波数分析し、前記ゆらぎ波形を周波数とパワースペクトル密度の両対数表示で出力する手順であることが好ましい。
前記生体信号測定手段により採取した生体信号から求められる周波数の時系列波形において、所定のオーバーラップ時間で設定した所定の時間窓毎に周波数の平均値を求める移動計算を行い、時間窓毎に得られる周波数の平均値の時系列変化を周波数変動時系列波形として出力する周波数変動演算手順を有し、前記周波数分析手順は、前記周波数変動演算手順により求められた周波数変動時系列波形を周波数分析し、前記ゆらぎ波形を周波数とパワースペクトル密度の両対数表示で出力する手順であることが好ましい。
前記生体信号測定手段により採取した生体信号の時系列波形におけるゼロクロス点を用いて周波数の時系列波形を求めるゼロクロス検出手順と、前記生体信号の時系列波形のピーク点を用いて周波数の時系列波形を求めるピーク検出手順とを備え、前記周波数傾き時系列波形解析演算手順は、前記ゼロクロス検出手順及びピーク検出手順のそれぞれから得られる周波数の時系列波形のそれぞれから周波数傾き時系列波形を求めることが好ましい。
前記生体信号測定手段により採取した生体信号の時系列波形におけるゼロクロス点を用いて周波数の時系列波形を求めるゼロクロス検出手順と、前記生体信号の時系列波形のピーク点を用いて周波数の時系列波形を求めるピーク検出手順とを備え、前記周波数変動演算手順は、前記ゼロクロス検出手順及びピーク検出手順のそれぞれから得られる周波数の時系列波形のそれぞれから周波数変動時系列波形を求めることが好ましい。
前記状態推定手順は、前記両対数表示で出力された前記ゆらぎ波形から、長周期領域、中周期領域、短周期領域に分けた回帰直線を求め、この回帰直線を利用して前記ゆらぎ波形を所定の基準に基づいて得点化し、座標系上の座標点を得るための判定基準点を求めるゆらぎ波形分析手順を有することが好ましい。
前記ゆらぎ波形分析手順は、前記ゼロクロス検出手順を用いた周波数の時系列波形から得たゆらぎ波形を基に交感神経機能に関する第1の判定基準点を求めると共に、前記ピーク検出手順を用いた周波数の時系列波形から得たゆらぎ波形を基に副交感神経機能に交感神経機能が付与された機能に関する第2の判定基準点を求める手順であり、前記状態推定手順は、前記第1の判定基準点を一方の軸の指標に、前記第2の判定基準点を他方の軸の指標とし、前記座標系上の座標点を求めることが好ましい。
前記生体信号測定手段により採取した生体信号の時系列波形におけるゼロクロス点を用いて周波数の時系列波形を求めるゼロクロス検出手順と、前記生体信号の時系列波形のピーク点を用いて周波数の時系列波形を求めるピーク検出手順とに加えて、前記ピーク検出手順におけるピーク点を用いた周波数の時系列波形のデータを、前記ゼロクロス検出手順におけるゼロクロス点を用いた周波数の時系列波形のデータで除し、得られたピーク/ゼロクロス値を用いた周波数の時系列波形を求めるピーク/ゼロクロス検出手順を有し、前記周波数傾き時系列波形解析演算手順は、前記ゼロクロス検出手順及び前記ピーク/ゼロクロス検出手順のそれぞれから得られる周波数の時系列波形のそれぞれから周波数傾き時系列波形を求めることが好ましい。
前記ゆらぎ波形分析手順は、前記ゼロクロス検出手順を用いた周波数の時系列波形から得たゆらぎ波形を基に交感神経機能に関する第1の判定基準点を求めると共に、前記ピーク/ゼロクロス検出手順を用いた周波数の時系列波形から得たゆらぎ波形を基に副交感神経機能に交感神経機能が付与された機能に関する第2の判定基準点を求める手順であり、前記状態推定手順は、前記第1の判定基準点を一方の軸の指標に、前記第2の判定基準点を他方の軸の指標とし、前記座標系上の座標点を求めることが好ましい。
前記ゆらぎ波形分析手順は、前記生体信号から得られる心拍変動を表す主共振が、調和振動系か不規則振動系かを、周波数分析して得られる前記ゆらぎ波形を数値化して弁別するものであることが好ましい。
本発明は、生体信号測定手段から採取される自律神経系指標及び自律神経系の反応情報を含む生体信号から0.001Hz〜0.04Hzの超低周波帯域のゆらぎ波形を求め、そのゆらぎ波形を所定の基準に基づき、交感神経の機能を現す軸と、交感神経に制御された上での副交感神経機能を表す軸とで構成される4象限の座標系上の座標点としてプロットし、あるいは、交感神経の機能を現す軸と副交感神経の機能を現す軸とで構成される4象限の座標系上の座標点としてプロットし、その座標点の時間的変化に基づいて生体状態を推定する。このゆらぎ波形を所定の基準に基づき4象限の座標系上の座標点としてプロットする本発明の手法によれば、上記の超低周波帯域の2つのゆらぎ波形の総和の変化として現れる、交感神経の機能又は副交感神経の機能の各支配度合いとその制御結果によるゆらぎ度合いの変化を拡大ないしは強調して捉えることができるため、人の状態の変化をより正確に捉えるのに適している。すなわち、生体状態として、活動により疲労が蓄積していく通常の疲労状態であるか、病気などの不調状態であるか、又は所定の機能回復手段が施された機能回復状態であるかを推定するのに適している。
特に酩酊度分類で爽快期に相当するアルコール摂取状態は、いわば、適度なアルコール摂取による機能回復状態に分類できるが、超低周波帯域のゆらぎ波形を拡大ないしは強調して人の知覚量に近づけた対数軸によって示された感覚量に近似する4象限の座標において、基準の解析区間における座標点と解析対象の解析区間における座標点との離隔距離が所定領域に収まるという特徴を示す。そこで、座標点の位置(離隔距離)を状態推定手段によってみて、所定の領域内にあるか否かにより、酩酊度分類で爽快期に相当するアルコール摂取状態か否かを判定できる。このとき、体調が変化して推移した方向(体調変化動向)を解析する手段と解析時におけるスポット的な体調状態(解析時体調状態)を解析する手段の双方において、予め設定した所定の領域にプロットされている場合に酩酊度分類で爽快期に相当するアルコール摂取状態を推定する構成とすることが好ましい。所定量のアルコールは、短時間で体調変化をもたらす一方で、変化後の状態がある程度の時間にわたって継続するため、この2つの指標を用いることにより、酩酊度分類で爽快期に相当するアルコール摂取状態の推定をより正確に行うことができる。
また、アルコール摂取によるものか否かを推定する手段を有すると、長距離トラック運転手などから、業務中に採取した生体信号を解析することで、当該業務中のどの時点で飲酒をしたかを把握することができる。なお、この解析は、通常、運転者が管理会社に戻ってきた後に行われるが、業務中の運転者の生体信号が無線手段により管理会社の管理装置に送信される構成とすれば、運転者の状態を管理会社がリアルタイムで把握することもできる。
また、本発明は、生体信号から周波数傾き時系列波形を求める周波数傾き時系列解析手段を有し、周波数傾き時系列波形を用いて周波数分析する構成とすることが好ましい。本来、自律神経系の制御の結果として表れる周波数変動並びにその周波数変動を制御するためのホメオスタシスのゆらぎは、24時間などの長時間のデータがないと特徴が現れにくいが、本発明によれば、これを、体表脈波(APW)の生体信号から、ゼロクロス検出手段、ピーク検出手段を用いて交感神経機能の指標、副交感神経に交感神経機能による制御が重畳された指標、あるいは、交感神経機能が分離された副交感神経機能の指標を、超低周波帯域のゆらぎとして短時間の計測データから採取されたものにより推定できる。
図1は、本発明の一の実施形態において用いたシート用クッション型の生体信号測定手段を示した図である。 図2は、上記生体信号測定手段を座席構造に装着した状態を示した図である。 図3は、図2のセンター断面図である。 図4(a)は、座席構造に装着した生体信号測定手段の構造を示すために一部切り欠いた図であり、図4(b)は(a)のA−A断面図である。 図5は、上記生体信号測定手段の分解斜視図である。 図6は、図5の分解斜視図を反対側からみた図である。 図7は、骨盤・腰部支持部材、センシング機構部、及びベースクッション部材の配置関係を示した図である。 図8は、センシング機構部の分解斜視図である。 図9は、本発明の一の実施形態に係る生体信号推定装置の構成を説明するための図である。 図10は、生体信号測定手段から得られる出力信号から、ゼロクロス検出手段により時系列波形を求める方法と、ピーク検出手段により時系列波形を求める方法を説明するための図である。 図11(a)〜(d)は、ゆらぎ波形分析手段によって作成される回帰直線、判定基準点の求め方を説明するための図である。 図12は、状態推定手段の解析判定手段Aによる解析方法を説明するための図である。 図13は、図12と共に、状態推定手段の解析判定手段Aによる解析方法を説明するための図である。 図14は、図12及び図13と共に、状態推定手段の解析判定手段Aによる解析方法を説明するための図である。 図15は、状態推定手段の解析判定手段Bによる解析方法を説明するための図である。 図16は、図15と共に、状態推定手段の解析判定手段Bによる解析方法を説明するための図である。 図17は、図15及び図16と共に、状態推定手段の解析判定手段Bによる解析方法を説明するための図である。 図18は、解析判定手段Aを用いた試験例1の全ての条件に基づいて得られた解析結果を全て同じ座標に示した図である。 図19は、試験例1の解析結果のうち、疲労、アルコールを含む医薬部外品薬物の解析結果を抜き出した図である。 図20は、試験例1の解析結果のうち、飲酒時(アルコール摂取時)の状態のみを抜き出した図である。 図21は、呼気アルコール濃度の測定結果を示した図である。 図22は、試験例1の解析結果のうち、アルコール以外の医薬部外品を摂取した状態のみを抜き出した図である。 図23は、試験例1の解析結果のうち、疲労状態のみを抜き出した図である。 図24は、試験例1の解析結果のうち、体調不良時の状態のみを抜き出した図である。 図25は、精神的不調を有する被験者Kの生体信号を解析判定手段Aにより解析した結果を示す図である。 図26は、解析判定手段Bを用いた試験例2の飲酒時(アルコール摂取時)の状態の解析結果を示した図である。 図27は、試験例2において、アルコールを含む医薬部外品薬物を摂取したときの解析結果を示した図である。 図28は、試験例2において、疲労状態のときの解析結果を示した図である。 図29は、試験例2において、疲労状態のときの解析結果を示した図である。 図30は、精神的不調を有する被験者Kの生体信号を解析判定手段Bにより解析した結果を示す図である。 図31(a),(b)は、試験例3における解析判定手段A及び解析判定手段Bの解析結果を示した図である。 図32(a),(b)は、試験例4における被験者Aの解析判定手段A及び解析判定手段Bの解析結果を示した図である。 図33(a),(b)は、試験例4における被験者Bの解析判定手段A及び解析判定手段Bの解析結果を示した図である。 図34(a),(b)は、試験例4における被験者Cの解析判定手段A及び解析判定手段Bの解析結果を示した図である。 図35(a),(b)は、試験例5における被験者藤田良登氏の解析判定手段A及び解析判定手段Bの解析結果を示した図である。 図36(a),(b)は、試験例5における被験者YA氏の解析判定手段A及び解析判定手段Bの解析結果を示した図である。 図37は、試験例5における被験者HO氏の解析判定手段A及び解析判定手段Bの解析結果を示した図である。 図38は、図37の被験者に加え、被験者WA氏、SA氏も併せて解析結果を示した図である。 図39(a),(b)は、うつ病患者の被験者KA氏、糖尿病患者の被験者HY氏、SAS(睡眠時無呼吸症候群)患者の被験者NI氏についての解析判定手段A,Bによる解析結果を示した図である。 図40(a),(b)は、試験例6における解析結果を示した図である。 図41は、試験例7の試験結果を示した図である。 図42は、覚醒、眠気、切迫睡眠現象、睡眠、飲酒後(アルコール濃度が最も高い時期)、栄養剤(摂取後〜効きはじめ)における心部揺動波(APW)の原波形をFFT解析した代表事例を示した図である。 図43は、図42で用いたAPWの原波形をゼロクロス検出手段により処理して得た周波数傾き時系列波形をさらに周波数解析して両対数表示した図である。 図44は、図42で用いたAPWの原波形をピーク検出手段により処理して得た周波数傾き時系列波形をさらに周波数解析して両対数表示した図である。 図45は、図43及び図44のデータを用いて解析判定手段A(A手法)及び解析判定手段B(B手法)で解析した結果を示した図である。 図46は、上記試験例のうち、、栄養ドリンクA〜Cを飲用した場合、自動車走行試験を行った際の状態を測定したデータから得られた各被験者の座標点をまとめて示した図である。 図47は、上記試験例のうち、アルコール摂取時のデータから得られた各被験者の座標点をまとめて示した図である。 図48は、上記試験例のうち、不調状態のとき(病気のときも含む)の座位姿勢で得られた各被験者の座標点をまとめて示した図である。 図49は、上記試験例のうち、臥位姿勢で得られた健康な被験者と病気を患っている被験者のデータから得られた座標点をまとめて示した図である。 図50は、第2解析判定手段の構成を説明するための図である。 図51は、被験者JY氏等の解析判定手段A(A手法)及び解析判定手段B(B手法)のデータを示した図である。 図52は、図51のsin表示座標及びtan表示座標を示した図である。 図53は、判定手法の一例を示した図である。 図54は、各被験者の呼気アルコール濃度を示した図である。 図55は、アルコールの吸収が早い傾向を示しているゾーンを示した図である。 図56は、解析判定手段A及びBの座標系の中に対応して示した図である。 図57は、図56にプロットされた全ての座標点のsin表示座標及びtan表示座標を示した図である。 図58は、判定手法の一例を示した図である。 図59は、解析区間を示した図である。 図60は、全解析区間の解析判定手段A(A手法)及び解析判定手段B(B手法)のデータを示した図である。 図61は、図60にプロットされた全ての座標点のsin表示座標及びtan表示座標を示した図である。 図62は、解析判定手段A(A手法)及び解析判定手段B(B手法)のデータを解析区間毎に併せて表示した結果を示した図である。 図63は、解析判定手段A(A手法)及び解析判定手段B(B手法)のデータを解析区間毎に併せて表示した結果を示した図である。 図64は、解析区間を示した図である。 図65は、各被験者の呼気アルコール濃度を示した図である。 図66は、全解析区間の解析判定手段A(A手法)及び解析判定手段B(B手法)のデータを示した図である。 図67は、図66にプロットされた全ての座標点のsin表示座標及びtan表示座標を示した図である。 図68は、解析判定手段A(A手法)及び解析判定手段B(B手法)のデータを解析区間毎に併せて表示した結果を示した図である。 図69は、解析判定手段A(A手法)及び解析判定手段B(B手法)のデータを解析区間毎に併せて表示した結果を示した図である。 図70は、各被験者の解析判定手段A(A手法)及び解析判定手段B(B手法)のデータを示した図である。 図71は、図70のsin表示座標及びtan表示座標を示した図である。 図72は、判定手法の一例を示した図である。 図73は、被験者Aの解析判定手段A及びBの第2解析区間のデータ等を示した図である。 図74は、図73のsin表示座標及びtan表示座標を示した図である。 図75は、被験者Bの解析判定手段A及びBの第2解析区間のデータを示した図である。 図76は、図75のsin表示座標及びtan表示座標を示した図である。 図77は、被験者Cの解析判定手段A及びBのデータ等を示した図であり。 図78は、図77のsin表示座標及びtan表示座標を示した図である。 図79は、被験者JYのデータを処理した図である。 図80は、被験者「藤田良登」氏のデータを処理した図である。 図81は、被験者YA氏のデータを処理した図である。 図82は、被験者HO氏のデータを処理した図である。 図83は、被験者KA氏(うつ病)、HY氏(糖尿病)、NI氏(SAS(睡眠時無呼吸症候群)のデータを処理した図である。 図84は、解析区間を示した図である。 図85は、往路の解析判定手段A(A手法)及び解析判定手段B(B手法)のデータを示した図である。 図86は、図85にプロットされた座標点のsin表示座標及びtan表示座標を示した図である。 図87は、復路の解析判定手段A(A手法)及び解析判定手段B(B手法)のデータを示した図である。 図88は、図87にプロットされた座標点のsin表示座標及びtan表示座標を示した図である。 図89は、復路の解析判定手段A(A手法)及び解析判定手段B(B手法)のデータを示した図である。 図90は、図89にプロットされた座標点のsin表示座標及びtan表示座標を示した図である。 図91は、「睡眠の質の推定1」の実験における条件1〜6の睡眠ポリグラフ及びHFとLF/HFの時系列波形を示した図である。 図92は、sin表示座標及びtan表示座標を示した図である。 図93は、夜間睡眠において解析判定手段B(B手法)を用いる場合の計算条件を説明するための図である。 図94は、「睡眠の質の推定2」の実験における解析判定手段Aを用いた解析結果である。 図95は、「睡眠の質の推定2」の実験における解析判定手段Bを用いた解析結果である。 図96は、sin表示座標による分析結果を示した図である。 図97は、tan表示座標による分析結果を示した図である。 図98(a)は、20111003の測定結果を用いた体調マップ、感覚マップを示すと共に、周波数傾き時系列波形を周波数解析してパワースペクトル密度を両対数表示した図であり、図98(b)は、20111004の測定結果を用いた体調マップ、感覚マップ、パワースペクトル密度の両対数表示の図である。 図99は、最初の解析区間における両対数表示のグラフ及び回帰直線を示した図である。 図100は、次の解析区間における両対数表示のグラフ及び回帰直線を示した図である。 図101は、さらに次の解析区間における両対数表示のグラフ及び回帰直線を示した図である。 図102は、さらに次の解析区間における両対数表示のグラフ及び回帰直線を示した図である。 図103は、両対数表示のグラフの代表例を抜き出した図である。 図104は、被験者MU氏の覚醒時の解析結果を示した図である。 図105は、図104のsin表示座標及びtan表示座標を示した図である。 図106は、被験者MU氏の昼寝時の解析結果を示した図である。 図107は、図106のsin表示座標及びtan表示座標を示した図である。 図108は、MU氏の覚醒時の結果を示した図である。 図109は、MU氏の昼寝時の結果を示した図である。 図110は、MU氏の夜間睡眠時の結果を示した図である。 図111は、KT氏の夜間睡眠時の結果を示した図である。 図112は、ベッドAの実験の解析区間を示した図である。 図113は、ベッドAの解析結果の体調マップと感覚マップを示した図である。 図114は、解析判定手段A(A手法)及び解析判定手段B(B手法)の解析結果を示した図である。 図115は、sin表示座標及びtan表示座標を示した図である。 図116は、ベッドAで睡眠した際に測定した既存の睡眠時における人の状態を測定する手段による測定結果を示した図である。 図117は、ベッドAで睡眠した際に測定した既存の睡眠時における人の状態を測定する手段による測定結果を示した図である。 図118は、ベッドBの実験の解析区間を示した図である。 図119は、ベッドBの解析結果の体調マップと感覚マップを示した図である。 図120は、解析判定手段A(A手法)及び解析判定手段B(B手法)の解析結果を示した図である。 図121は、sin表示座標及びtan表示座標を示した図である。 図122は、ベッドBで睡眠した際に測定した既存の睡眠時における人の状態を測定する手段による測定結果を示した図である。 図123は、ベッドBで睡眠した際に測定した既存の睡眠時における人の状態を測定する手段による測定結果を示した図である。 図124は、ベッドBで睡眠した際に測定した既存の睡眠時における人の状態を測定する手段による測定結果を示した図である。 図125は、ベッドBで睡眠した際に測定した既存の睡眠時における人の状態を測定する手段による測定結果を示した図である。 図126は、ベッドCの実験の解析区間を示した図である。 図127は、ベッドCの解析結果の体調マップと感覚マップを示した図である。 図128は、解析判定手段A(A手法)及び解析判定手段B(B手法)の解析結果を示した図である。 図129は、sin表示座標及びtan表示座標を示した図である。 図130は、ベッドBで睡眠した際に測定した既存の睡眠時における人の状態を測定する手段による測定結果を示した図である。 図131は、ベッドBで睡眠した際に測定した既存の睡眠時における人の状態を測定する手段による測定結果を示した図である。 図132は、ベッドBで睡眠した際に測定した既存の睡眠時における人の状態を測定する手段による測定結果を示した図である。 図133は、ベッドBで睡眠した際に測定した既存の睡眠時における人の状態を測定する手段による測定結果を示した図である。 図134は、呼気アルコール濃度を示した図である。 図135は、飲酒前後の解析結果を示した図である。 図136は、着座状態で課題を行った場合の解析結果を示した図である。 図137は、栄養ドリンクAを飲用した場合の解析結果を示した図である。 図138は、指尖容積脈波から求めたHF、LF/HFの結果を示した図である。 図139は、被験者内川氏のデータのPeak周波数時系列波形、0x周波数時系列波形、及びPeak/0x周波数時系列波形を示した図である。 図140は、図139の各周波数時系列波形から求めた周波数傾き時系列波形を示した図である。 図141は、0x周波数傾き時系列波形とPeak/0x周波数傾き時系列波形を解析した際の解析区間を示した図である。 図142は、Peak/0x周波数傾き時系列波形の解析区間毎の両対数表示のゆらぎ波形を求めた図である。 図143は、Peak/0x周波数傾き時系列波形の解析区間毎の両対数表示のゆらぎ波形を求めた図である。 図144は、Peak/0x周波数傾き時系列波形の解析区間毎の両対数表示のゆらぎ波形を求めた図である。 図145は、Peak/0x周波数傾き時系列波形の解析区間毎の両対数表示のゆらぎ波形を求めた図である。 図146は、解析判定手段A(A手法)及び解析判定手段B(B手法)による解析結果を示した図である。 図147は、図146の座標点のうち、Peak/0x周波数傾き時系列波形の判定基準点を縦軸としてプロットした座標点を示した図である。 図148は、図146の解析判定手段A(A手法)及び解析判定手段B(B手法)のデータを解析区間毎に表示した結果を示した図である。 図149は、図146の解析判定手段A(A手法)及び解析判定手段B(B手法)のデータを解析区間毎に表示した結果を示した図である。 図150(i)〜(iv)は、生体信号測定手段から得られる出力信号の原波形から、ノイズ成分を除去し、一拍ごとの変動成分を強調し、さらにフィルタリング処理された体表脈波(APW)と検証用の指尖容積脈波の比較を示した図である。 図151は、体表脈波と指尖容積脈波から算出した心拍変動波形の比較を示した図である。 図152は、被験者のAPW、心電図(ECG)を示した図である。 図153は、20歳代男性被験者の指尖容積脈波から求めた、睡眠導入実験中の交感神経と副交感神経の活動レベルを示した図である。 図154(a)〜(d)は、各状態(覚醒、眠気、切迫睡眠現象、睡眠)における、APW原波形の10分間の周波数分析結果と、ゼロクロス検出法とピーク検出法により求めた時系列波形の周波数分析結果を両軸対数表示で示した図である。 図155は、周波数変動演算手段を用いた解析における得点化のルールの一例を示した図である。 図156は、図155の基準に基づいて求めた得点を時系列(解析区間順)に示した図である。 図157は、最初の解析区間の得点を「ゼロ」として、次の解析区間との差分を求めることにより、自律神経系のバランスの変遷を示した図である。 図158は、横軸をゼロクロス検出手段による得点とし、縦軸をピーク検出手段による得点として示した4象限座標である。
以下、図面に示した本発明の実施形態に基づき、本発明をさらに詳細に説明する。図1及び図2は、本実施形態に係る生体状態推定装置60の分析対象である生体信号である体表脈波、ここでは心部揺動波(Aortic Pulse Wave(APW)を採取する生体信号測定手段1を示した図である。なお、心部揺動波は、人の上体の背部から検出される心臓と大動脈の運動から生じる圧力振動であり、心室の収縮期及び拡張期の情報と、循環の補助ポンプとなる血管壁の弾力情報を拾っている。そして、心拍変動に伴う信号波形は交感神経系及び副交感神経系の神経活動情報(交感神経の代償作用を含んだ副交感神経系の活動情報)を含み、大動脈の揺動に伴う信号波形には交感神経活動の情報を含んでいる。なお、APWを分析することで、大動脈の働き、心臓の働き、並びにそれらに基づく自律神経活動に関する情報を含んでいることについての詳細は後述する。
本実施形態の生体信号測定手段1は、人体支持機構である座席構造100に重ねるように載置されるシート用クッション型である。本実施形態のシート用クッション型の生体信号測定手段1は、背部支持用クッション部材201と座部支持用クッション部材202を有して構成され、背部支持用クッション部材201と座部支持用クッション部材202との境界に、後方に突出する突出片203が形成されている。そして、突出片203が座席構造100のシートバック部101とシートクッション部102との間隙に差し込まれ、背部支持用クッション部材201が座席構造の背部支持部(シートバック部101)に後述の張設手段により引っ張られて張設される(図1〜図3参照)。
図3〜図6に示したように、背部支持用クッション部材201の裏側には、センシング機構部230とベースクッション部材220が配設される。具体的には、背部支持用クッション部材201の周縁部に布材からなる袋状部材210の両側部が接合されており、この袋状部材210の内部に、ベースクッション部材220とセンシング機構部230が挿入配置される。従って、ベースクッション部材220及びセンシング機構部230は、背部支持用クッション部材201に対して固定されているわけではなく、袋状部材210内で上下方向に変位可能となっている。
背部支持用クッション部材210及びベースクッション部材220は、張力方向に対して高剛性となる三次元立体編物を用いることが好ましい。なお、三次元立体編物は、例えば、特開2002−331603号公報、特開2003−182427号公報等に開示されているように、互いに離間して配置された一対のグランド編地と、該一対のグランド編地間を往復して両者を結合する多数の連結糸とを有する立体的な三次元構造となった編地である。三次元立体編物は、伸び率0%で張設して面方向に略垂直に加圧した際の荷重−たわみ特性から求められるバネ定数として、直径30mmの圧縮板で加圧した際の荷重−たわみ特性から求められるバネ定数よりも直径98mmの圧縮板で加圧した際の荷重−たわみ特性から求められるバネ定数が高いことを特徴とするものである。この構成により、人の筋肉の荷重特性と同様の特性を有することになり、フィット感の増加、姿勢支持性の向上等を図ることができる。
センシング機構部230は、図8に示したように、コアパッド231、スペーサパッド232、センサ233、フロントフィルム234、リアフィルム235を有して構成される。
コアパッド231は、板状に成形され、脊柱に対応する部位を挟んで対称位置に、縦長の貫通孔231a,231aが2つ形成されている。コアパッド231は、板状に形成されたビーズ発泡体から構成することが好ましい。コアパッド231をビーズ発泡体から構成する場合、発泡倍率は25〜50倍の範囲で、厚さがビーズの平均直径以下に形成されていることが好ましい。例えば、30倍発泡のビーズの平均直径が4〜6mm程度の場合では、コアパッド231の厚さは3〜5mm程度にスライスカットする。これにより、コアパッド231に柔らかな弾性が付与され、APWの1拍あたりの変動成分(20Hzを中心とした高周波成分)を強調し、共振した固体振動として捉えて、1Hz〜3Hz近傍の心拍成分の周波数帯域の抽出する。
スペーサパッド232は、コアパッド231の貫通孔231a,231a内に装填される。スペーサパッド232は、三次元立体編物から形成することが好ましい。三次元立体編物が人の背によって押圧されることにより、三次元立体編物の連結糸が圧縮され、連結糸に張力が生じ、生体信号に伴う人の筋肉を介した体表面の振動が伝播される。また、コアパッド231よりも、三次元立体編物からなるスペーサパッド232の方が厚いものを用いることが好ましい。これにより、フロントフィルム234及びリアフィルム235の周縁部を貫通孔231a,231aの周縁部に貼着すると、三次元立体編物からなるスペーサパッド232が厚み方向に押圧されるため、フロントフィルム234及びリアフィルム235の反力による張力が発生し、該フロントフィルム234及びリアフィルム235に固体振動(膜振動)が生じやすくなる。一方、三次元立体編物からなるスペーサパッド232にも予備圧縮が生じ、三次元立体編物の厚み方向の形態を保持する連結糸にも反力による張力が生じて弦振動が生じやすくなる。なお、フロントフィルム234の上部に面ファスナー234aが貼着され、ベースクッション部材220の上部に貼着した面ファスナー220aに接合されることにより、ベースクッション部材220にセンシング機構部230が保持される。また、センシング機構部230の四隅も、テープ部材230aを介してベースクッション部材220に保持される。
センサ233は、上記したフロントフィルム234及びリアフィルム235を積層する前に、いずれか一方のスペーサパッド232に固着して配設される。スペーサパッド232を構成する三次元立体編物は一対のグランド編地と連結糸とから構成されるが、各連結糸の弦振動がグランド編地との節点を介してフロントフィルム234及びリアフィルム235に伝達されるため、センサ233はスペーサパッド232の表面(グランド編地の表面)に固着することが好ましい。センサ233としては、マイクロフォンセンサ、中でも、コンデンサ型マイクロフォンセンサを用いることが好ましい。
背部支持用クッション部材201の裏面側であって、センシング機構部230の下方には、骨盤・腰部支持部材240が配設される。骨盤・腰部支持部材240は、図7に示したように、三次元立体編物の上縁部及び下縁部を内方に向けて折り曲げてその中央付近を縫製することにより上側と下側に膨らみ241a,241bが生じるようにした付勢部材241と、この付勢部材241の前面に配置され、上下の膨らみ241a,241bの前面を被覆する面積を有する略長方形に形成され、撓むことにより弾性が機能する合成樹脂製の可撓性板状部材(あるいは硬質フェルト製の板状部材)242を有して構成される。付勢部材241は、折りたたんで縫製して両側に膨らみ241a,241bを生じさせることにより、弾性が高くなり支持圧を高めることができると共に、ストローク感を生じさせる。可撓性板状部材242は、付勢部材241の前面を被覆することにより、付勢部材241の当たり感を軽減する。従って、本実施形態の骨盤・腰部支持部材240は、簡易な構成でありながら、骨盤・腰部支持領域において高い支持圧を機能させることができる。
なお、本実施形態では、下側の膨らみ241bの内部空間に発泡ウレタン241cを挿入配置している。ベースクッション部材220は、その下端縁が、上側の膨らみ241aを被覆する位置までの大きさを有しており、下側の膨らみ241b及び発泡ウレタン241cはベースクッション部材220では被覆されていない。そのため、荷重がかかった際には、下側の膨らみ241b及び発泡ウレタン241cは、可撓性板状部材242が撓む際の起点となる役割を果たし、人の骨盤から腰部付近を斜め下方から斜め上方に支持する力を作用させる。
ここで、骨盤・腰部支持領域とは、骨盤・腰部支持部材240の弾性と背部支持用クッション部材201の張力により、人の骨盤から腰部付近に所定の支持圧を作用させる領域である。その位置は、後述の試験例1では、骨盤・腰部支持領域を座部支持用クッション部材202の座面から上方に350mmまでの領域とし、そのさらに100mm上方の範囲を中間領域とし、それよりもさらに上方の領域を肩胛骨支持領域とした(図11参照)。そして、本実施形態では、座席構造100にシート用クッション型の生体信号測定手段1をセットし、その上に人を静的状態で着座させ、背部支持用クッション部材201における体圧分布を測定した際に、背部支持用クッション部材201にかかる着座者の全荷重に対する荷重分担率が、骨盤・腰部支持領域で50%以上となるようにすることが好ましい。より好ましくは、背部支持用クッション部材201にかかる着座者の全荷重に対する中間領域の荷重分担率が20%以下となるように設定し、さらに、骨盤・腰部支持領域と肩胛骨支持領域では両者を合わせた荷重分担率が80%以上となるように設定する。さらに好ましくは、中間領域の荷重分担率が10%以下で、骨盤・腰部支持領域と肩胛骨支持領域では両者を合わせた荷重分担率が90%以上である。なお、骨盤・腰部支持部材240の付勢部材241を構成する三次元立体編物の厚みや膨らみ241a,241bの大きさ等、可撓性板状部材242の厚さや材質等の調整により、骨盤・腰部支持部材240の弾性を調整し、荷重分担率を上記の範囲となるように設定できる。
上記したセンシング機構部230は、センサ233の位置が、中間領域の範囲となる位置に設定されると共に、センシング機構部230が、正面から見て、骨盤・腰部支持部材240の上縁部から所定距離離間した位置となるように配設する。これは、骨盤・腰部支持部材240の動きがセンシング機構部230に影響しないようするためであり、その離間距離としては、10mm以上、好ましくは30mm以上、より好ましくは50mm以上に設定する。
なお、骨盤・腰部支持部材240は、人の骨盤・腰部付近を支持するが、その際に上記したように斜め下から斜め上方向に押圧するように作用することが好ましく、そのため、可撓性板状部材242の前面に沿ったラインが上縁部に向かうに従って支持対象である人の背部の外形ラインから離間し、かつ、前面に沿ったラインと支持対象である人の背部の外形ラインとのなす角が5〜45度の範囲に設定されるように取り付けることが好ましい。前面に沿ったラインと支持対象である人の背部の外形ラインとのなす角が5〜20度の範囲に設定することがより好ましい。
本実施形態の生体信号測定手段1は、張設手段を設け、この張設手段を座席構造100のシートバック部101に取り付けて張設する。背部支持用クッション部材201をシートバック部101に張設する張設手段としては、周縁部から外方に引き出すことができ、肩胛骨支持領域の両側に設けられる第1のベルト部材251と、骨盤・腰部支持領域の両側に設けられる第2のベルト部材252とを有する構造とすることができる。この第1及び第2のベルト部材251,252をシートバック部101に掛け回し、長さ調整して固定することにより、背部支持用クッション部材201が張力構造体として張設される。また、背部支持用クッション部材201と座部支持用クッション部材202の境界の突出片203をシートバック部101とシートクッション部102との間に差し込んで挟持させる。
このようにして配設することにより、骨盤・腰部支持部材240が配設されている骨盤・腰部支持領域において受ける荷重が相対的に高く、中間領域において受ける荷重が相対的に低くなる。すなわち、本実施形態によれば、例えば、ウレタン材をクッション材として用いた一般的な座席構造100であっても、シート用クッション型の生体信号測定手段1を配置することで、背部支持用クッション部材201における骨盤・腰部支持領域の支持荷重が相対的に高く、それらの中間領域の支持荷重が相対的に低くなる構造を容易に作り出すことができる。この支持状態は、腰部以上の上体における姿勢維持のための抗重力筋をリラックス状態に誘導する。従って、背部支持用クッション部材201の中間領域にセンサ233が配設されることにより生体信号を感度よく検出できる。また、本実施形態では、センシング機構部230は、背部支持用クッション部材201とベースクッション部材220との間に設けられ、背部支持用クッション部材201、センシング機構部230及びベースクッション部材220の3層構造となっていると共に、袋状部材210内に配置されているため、センシング機構部230及びベースクッション部材220は上下方向に変位可能である。従って、座席構造100から伝達される振動は、ベースクッション部材220及びその変位により除振される。そして、さらに、センシング機構部230が、骨盤・腰部支持部材240から所定距離離間させて配置することにより、センシング機構部230が外部振動の影響を受けにくい。特に、本実施形態では、人の背部からの体表脈波(Aortic Pulse Wave(APW):心房や心室及び大動脈の揺動によって生じる生体信号(心部揺動波))を採取するが、上記した構成とすることにより、このAPWの周波数成分に近い他の振動(外部振動、体動成分等)の影響を抑制でき、APWの正確な検出に寄与する。
上記実施形態に係るシート用クッション型の生体信号測定手段1は、取り付け対象の座席構造100の種類を問わず、すなわち、ウレタン材をクッション材として用いたものでも、生体信号(特にAPW)のより正確な検出を実現するものであるが、座席構造自体を生体信号の採取に適した生体信号検出機構とすることもできる。
次に、生体状態推定装置60の構成について図9に基づいて説明する。生体状態推定装置60は、周波数傾き時系列解析演算手段70、周波数分析手段80、ゆらぎ波形分析手段90、状態推定手段95を有して構成される。生体状態推定装置60は、コンピュータから構成され、周波数傾き時系列解析手段70により周波数傾き時系列手順が実行され、周波数分析手段80により周波数分析手順が実行され、ゆらぎ波形分析手段90によりゆらぎ波形分析手順が実行され、状態推定手段95により状態推定手順が実行される。なお、コンピュータプログラムは、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD−ROM、MO(光磁気ディスク)、DVD−ROM、メモリカードなどの記録媒体へ記憶させて提供することもできるし、通信回線を通じて伝送することも可能である。
周波数傾き時系列波形を求める周波数傾き時系列解析演算手段70は、周波数演算手段710、傾き時系列演算手段720を有している。周波数演算手段710は、生体信号測定手段1のセンシング機構部230から得られる出力信号の原波形(好ましくは、フィルタリング処理(例えば、体動などにより生じた周波数成分を除去するフィルタリング処理)された所定の周波数領域の時系列データ)から周波数の時系列波形を求める。
周波数演算手段710には、原波形の正と負との切り替わり地点(以下、「ゼロクロス点」という)を用いて周波数の時系列波形を求める方法(以下、「ゼロクロス検出手段」という)と、原波形を平滑化微分して、極大値(ピーク点)を用いて時系列波形を求める方法(以下、「ピーク検出手段」という)の2つの方法がある。
ここで、APWは、心臓の収縮期(心臓内圧)と拡張期(動脈内圧)、つまり脈圧(拡張期と収縮期の差)を捉えていると考えられるところ、脈圧は睡眠により小さくなるため、APWの周波数解析による1次成分と0.5次成分により睡眠や眠気に関する情報を評価できる可能性がある。なお、心電図のT波に相当する部分が0.5次成分であり、指尖容積脈波でいう切痕に相当する。そして、ピーク検出手段は、APWの周波数解析による1次成分と0.5次成分を捉え、ゼロクロス検出手段は0.5次成分に近い箇所を検出している。従って、ピーク検出手段及びゼロクロス検出手段を用いることにより、ピーク検出手段が、心臓と大動脈の両方の動態に関する情報である拡張期と収縮期の両方に対応したデータを検出し、ゼロクロス検出手段が、大動脈の動態に関する情報である拡張期に対応したデータを検出することになる。詳細は後述するが、APWと心電図(ECG)を比較すると、APWの切痕の位置は、心臓の半月弁が閉じて心拍出が停止する駆出期に出現するECGのT波とほぼ一致している。よって、ゼロクロス検出手段は、血管の拡張期のデータをひろい、ピーク検出手段は拡張期と収縮期の両方のデータをひろっていることになる。つまり、ゼロクロス検出手段は大動脈そのものの弾性に関するデータで、交感神経系の働きを捉えていると考えられる。そして、ピーク検出手段は大動脈と心臓の両方の働き、つまり、副交感神経系と交感神経系の働きを捉えていると考えられる。
そのため、両者の差(減算や除算による差)を見ることで、交感神経の制御の状態に関する情報をキャンセルでき、交感代償作用が行われていない動態、すなわち副交感神経による制御の状態に関する情報を得ることができる。そして、ゼロクロス検出手段で大動脈の動態を捉えることができるため、それにより交感神経の制御の状態を把握することができる。また、ピーク検出手段で交感神経の代償作用が加わった副交感神経の動態、さらに、ピーク検出手段とゼロクロス検出手段で捉えた周波数の変動の時系列波形の差をみることで副交感神経の動態を把握することができる。また、短時間の計測で1次成分・0.5次成分を算出できるため、それらにより求められた時系列波形に傾き時系列解析を適用することで、超低周波成分も検出できると考えられる。
さらに言えば、APWは、指尖容積脈波と同様に末梢系の制御の様子と心臓の制御の様子の両方の情報を含む生体信号、すなわち、自律神経系指標及び自律神経系の交感と副交感の複合された反応情報を含む生体信号であり、この生体信号のゼロクロス検出手段による傾き時系列波形を絶対値処理した波形は、交感神経の出現状態を反映している。ピーク検出手段によるものは、交感・副交感の両神経系の出現状態、すなわち、交感神経による代償作用が加味された副交感神経系の動態を捉えている。なお、ピーク検出手段による傾き時系列波形を絶対値処理したものは、指尖容積脈波のウエーブレット解析による副交感神経の動態(この副交感神経の動態は交感代償作用が加味されたものである)に比較的近似している。そのため、ゼロクロス検出手段は、自律神経系の制御で対処されるストレス適応と、その結果となる体調を表す指標に用いることができると考えられる。一方、快適又は不快と感じることにより生じる興奮と鎮静、あるいは満足と不満足という感覚(快・不快の感覚)に連動するものとしては、主に心拍数の周波数変動に連動するピーク検出手段による周波数変動の時系列波形による心臓の動態の成分と、交感神経に連動するゼロクロス検出手段による傾き時系列波形の周波数分析によるゆらぎ波形を用いることができる。
なお、APWの指尖容積脈との関係、自律神経系との関係については、後述の図150〜図154の実験例においてさらに詳述する。
ゼロクロス検出手段(ゼロクロス手順)は、まず、ゼロクロス点を求めたならば、それを例えば5秒毎に切り分け、その5秒間に含まれる時系列波形のゼロクロス点間の時間間隔の逆数を個別周波数fとして求め、その5秒間における個別周波数fの平均値を当該5秒間の周波数Fの値として採用する(図10の[1]のステップ)。そして、この5秒毎に得られる周波数Fをプロットすることにより、周波数の時系列波形を求める(図10の[2]のステップ)。ピーク検出手段(ピーク検出手順)は、例えば、SavitzkyとGolayによる平滑化微分法により極大値を求める。次に、例えば5秒ごとに極大値を切り分け、その5秒間に含まれる時系列波形の極大値であるピーク点(波形の山側頂部)間の時間間隔の逆数を個別周波数fとして求め、その5秒間における個別周波数fの平均値を当該5秒間の周波数Fの値として採用する(図10の[1]のステップ)。そして、この5秒毎に得られる周波数Fをプロットすることにより、周波数の時系列波形を求める(図10の[2]のステップ)。
傾き時系列演算手段720は、周波数演算手段710によって、ゼロクロス検出手段又はピーク検出手段を用いて得られた生体信号測定手段1のセンサの出力信号の周波数の時系列波形(APW)から、所定の時間幅の時間窓を設定し、時間窓毎に最小二乗法によりセンサの出力信号の周波数の傾きを求め、その時系列波形を出力する構成である。具体的には、まず、ある時間窓Tw1における周波数の傾きを最小二乗法により求めてプロットする(図10の[3],[5]のステップ)。次に、オーバーラップ時間Tl(図10の[6]のステップ)で次の時間窓Tw2を設定し、この時間窓Tw2における周波数の傾きを同様に最小二乗法により求めてプロットする。この計算(移動計算)を順次繰り返し、出力信号の周波数の傾きの時系列変化を周波数傾き時系列波形として出力する(図10の[8]のステップ)。なお、時間窓Twの時間幅は180秒に設定することが好ましく、オーバーラップ時間Tlは162秒に設定することが好ましい。これは、本出願人による上記特許文献3(WO2005/092193A1公報)において示したように、時間窓Twの時間幅及びオーバーラップ時間Tlを種々変更して行った睡眠実験から、特徴的な信号波形が最も感度よく出現する値として選択されたものである。
周波数分析手段80は、周波数傾き時系列解析演算手段70から得られる周波数傾き時系列波形を周波数解析し、周波数を横軸とし、パワースペクトル密度を縦軸としての両対数表示で出力する手段である。
ゆらぎ波形分析手段90は、周波数分析手段80の周波数解析結果であるパワースペクトルのゆらぎ波形を4象限の座標系上に所定の基準に基づいてプロットするための解析を行う手段であり、回帰直線演算手段901、判定基準点算出手段902を有している。
回帰直線演算手段901は、周波数分析手段80により出力される解析波形(ゆらぎ波形)について、所定の周期領域(周波数範囲)毎に回帰直線を求める手段である。
回帰直線演算手段901における所定の周波数領域毎とは、人の恒常性を維持するゆらぎが0.001〜0.04Hzの超低周波帯域(VLF領域)に存在する。このうち、0.001〜0.006Hz(特に、0.001〜0.0053Hz)の周波数帯域は、マクロ的な調節機能すなわち全体的な大きな傾向を示す情報を含んでいる。0.006〜0.04Hzの周波数帯域は、ミクロ的な調節機能すなわち全体のゆらぎの中での局所的なゆらぎに関する情報を含み、末梢系に対応するバリアーの反応のようなストレスに対する適応状態や快・不快の状態に関係する。なかでも、0.01〜0.04Hzの周波数帯域において、局所的なゆらぎの影響が大きく現れる。いわゆる0.3〜2分間に生じる心拍の乱れが不規則な振動として現れる。これは、一例であるが、無呼吸症候群(SAS)は顕著に0.01Hz近傍に生じる。そこで、本実施形態では、0.001Hz〜0.006Hzの長周期領域(低周波帯域)、0.006Hz〜0.015Hzの中周期領域(中周波帯域)、0.015Hz〜0.04Hzの短周期領域(高周波帯域)の3つに分けて周期領域を設定した。従って、中周期領域及び短周期領域の変化は、0.01〜0.04Hzの周波数帯域も含むため、人の体調異変につながる事項、例えば、アルコール摂取によるものか否か、他の薬剤成分摂取によるものか否か、病気状態か否かに関し、人の状態を特定するのに適している。
回帰直線演算手段901は、上記した各周期領域において、それぞれの中心周波数を中央値として最小二乗法により回帰直線を求める。
判定基準点算出手段902は、回帰直線演算手段901により上記周期領域毎に求められる各回帰直線を、その傾きに基づいて領域得点を付与すると共に、各回帰直線全体の形状得点を求め、この領域得点及び形状得点の少なくとも一方を用いて、生体の状態を推定するための判定基準点を算出する。
領域得点は、各回帰直線の傾きに応じた得点である。各回帰直線の傾きを略水平状態、上向き及び下向きの3つに分けて付与する。傾きが上向きの場合には、自律神経系の制御が亢進している状態であり、傾きが下向きの場合には、覚醒状態で自律神経系の制御が安定している状態か又は睡眠状態であるため、略水平状態を基準として、前者と後者とで付与する得点を変化させる。回帰直線の傾きが略水平状態であるか否かは、例えば、水平に対して±10度の範囲に収まった場合に略水平状態と判定するように設定できる。なお、略水平状態は、自律神経系の制御の方向性が定まっておらず、混沌としている状態あるいは強制的な精神面でのコントロールが入っているような耐えている状態を示すと考えられる。
形状得点は、回帰直線演算手段901により求められた各回帰直線を併せた全体の形状に関する得点である。隣接する各回帰直線の端部同士を相互に仮想的に結んだ仮想接続線を想定すると、隣接する2つの回帰直線がほぼ一直線になる場合もあれば、隣接する2つの回帰直線の傾きの違い及びパワースペクトル密度の値の違いにより、いずれか少なくとも一方の回帰直線と仮想接続線との間で折れ点が生じる場合もある。この折れ点は不規則振動系に生じる分岐現象であり、この現象は乱れが変化する時間幅によって変化し、生体のゆらぎに変化を生じさせるときに現れる。また、特に大きな不規則振動系として乱れが生じるときに発現し、その乱れの程度が強くなるときにはその数を増したり変化の仕方が変わったりする。本出願人が先に提案した特願2011−43428に開示の試験結果によれば、健康で覚醒・リラックス・安定状態では1つ又はゼロであり、健康であっても眠気があったり、疲労状態であったりする場合には、全体的な傾向が現れる長周期領域と、局所的な調整状態がより顕著に現れる短周期領域のゆらぎの間で折れ点の数が増加し、同様に、病気の状態でも折れ点の数が増加することが分かっている。そこで、隣接する周期領域の2つの回帰直線間において、パワースペクトル密度の値の較差が所定以上の場合、及び、隣接する周期領域の2つの回帰直線間において、パワースペクトル密度の値の較差が所定以内であって2つの回帰直線の傾きの角度の違いが予め設定した所定角度以上の場合に、それぞれ折れ点としてカウントする。なお、隣接する2つの回帰直線のパワースペクトル密度の値の較差が所定以内であって、2つの回帰直線の傾きの角度の違いが、予め設定した所定角度以内の場合には、一直線とみなし、両者間に折れ点はないと判定する。
形状得点は、本実施形態では折れ点数が少ないほど高得点となるように設定している。例えば、折れ点が3箇所の場合:0点、折れ点が2箇所の場合:1点、折れ点が1箇所の場合:2点、折れ点がない場合:3点というように設定する。なお、これはあくまで一例であり、このように設定することで、健康でリラックスして安定状態にあるほど得点が高くなるが、例えば、それが逆になるように設定することも可能である。
図11は、ゆらぎ波形分析手段90の回帰直線演算手段901によって引かれた回帰直線の例と、判定基準点算出手段902により付与される判定基準点の例を説明するための図である。ここでは、まず、領域得点を算出するため、回帰直線の傾きが下向きの場合に+2点、水平の場合に+1点、上向きの場合に0点を付与する。(a)のように、長周期領域の傾きが下向き、中周期領域の傾きが上向き、短周期領域の傾きが下向きの場合には、領域得点は、2+0+2=4点となる。(b)のように、長周期領域の傾きが上向き、中周期領域の傾きが上向き、短周期領域の傾きが下向きの場合、領域得点は、0+0+2=2点となる。同様に、(c)のように、長周期領域の傾きが下向き、中周期領域の傾きが下向き、短周期領域の傾きが水平の場合には、領域得点は、2+2+1=5点となる。(d)のように、長周期領域の傾きが下向き、中周期領域の傾きが下向き、短周期領域の傾きが下向きの場合には、領域得点は、2+2+2=6点となる。形状得点は、(a)〜(c)までが折れ点数が3箇所であるため0点となり、(d)は折れ点がないため3点となる。従って、判定基準点は領域得点と形状得点を足して、(a)が4+0=4点、(b)が2+0=2点、(c)が5+0=5点、(d)が6+3=9点となる。
状態推定手段95は、判定基準点算出手段902により求められる各解析波形(ゆらぎ波形)の判定基準点の時系列の変化を求め、生体の状態を推定する。本実施形態では、第1解析判定手段951を有する。第1解析判定手段951は、基準の解析区間における座標点に対する解析対象の解析区間の座標点をプロットし、解析区間の座標点の位置を基に生体状態を推定する手段であり、解析判定手段A及び解析判定手段Bの2種類の手段を有している。判定基準点は、上記したように、恒常性維持、ストレスに対する適応状態や快・不快の状態、疲労、未病、病気及び健常等の体調に関するゆらぎ波形の周波数を一定基準のもとで得点化したものである。従って、その得点の時系列変化により体調がどのような状態に向かって変化していくかの体調変化の推移方向を推定できる。
ここで、アルコール摂取により現れる状態は、他の要因(疲労や病気等)による状態変化と比較し、摂取により急激な変化を示すと共に、その後、アセトアルデヒドの分解時間が長いことにより、その変化した状態を長く維持するという特徴的な兆候を示す。過度な飲酒は例外であるが、後述の試験例より、所定量の適度な飲酒、具体的には酩酊度分類で爽快期に相当するアルコール摂取状態を判定することは比較的明確であり、その状態に含まれない場合について、通常の疲労状態、あるいは、病気等による不調状態等を判断すればよいことになる。ここに、ゼロクロス検出手段は、大動脈の動態すなわち拡張期のデータを拾っており、大動脈そのものの弾性係数に関連するため、アルコールの薬理作用は受けにくい。従って、ゼロクロス検出手段は、飲酒による血圧値の上昇によって、交感神経のレベルが亢進したことを捉える。一方、ピーク検出手段は、心臓と大動脈の両方、すなわち拡張期と収縮期の両方のデータを拾っており、心拍変動、そして、交感・副交感神経活動が共に変動している様子や交感代償作用が行われた副交感神経活動の様子をみていることになる。従って、ピーク検出手段は、アルコールの影響を受けやすい。そこで、ゼロクロス検出手段による変動とピーク検出手段による変動を相対的に観察し、後述する解析判定手段A及びBと、それらから得られたデータをさらに三角関数表示する手段を併せて推定する。三角関数表示する手段は、状態変化の程度、すなわち、状態に移る際の変化のスピードを捉えるもので、それらの位相差と振幅という強さでもって状態の変化の方向性を推定する。なお、ゼロクロス検出手段による変動とピーク検出手段による変動の差分をとり、その差分から得られるデータをピーク検出手段を用いたデータを置き換えてを観察することができるが、この点については後述する。
(解析判定手段A)
解析判定手段Aは、基準の解析区間に対し、所定の生体状態の変化要因が加わった後の体調の全体的な変化の推移方向を、ゆらぎ波形の変化度合いから体調変化動向として推定する。生体状態の変化要因がアルコール摂取の場合、アルコールの吸収によって体調が短時間で大きく変化していくが、この体調の全体的な推移方向を「体調変化動向」として探索する。具体的には、解析判定手段Aは、図12及び図13に示したように、基準の解析区間の全体について求めた座標点に対する解析対象の解析区間の全体について求めた座標点の位置(離隔距離)から、体調変化動向を推定する手段である。より具体的には、大動脈の動態を表し、交感神経系の状態を捉えるゼロクロス検出手段による指標を横軸とし、心臓と大動脈の両方の動態を表し、交感・副交感の両神経系の状態(交感神経の代償作用がのった副交感神経系の状態)を捉えるピーク検出手段による指標を縦軸とした座標系を用い、何らかの状態変化が生じた場合(例えば、アルコールを摂取した場合)に、この座標系にプロットされた基準の座標点に対し、その状態変化が生じた際の解析区間の座標点がどの程度かけ離れたか否かについてベクトル表示でその差分を求める解析を実施する。状態変化により、体調が全体的にどのように変化したかの基本情報を得るためのもので、解析対象の解析区間の全体同士を比較して両者の差を求める。具体的には次のような手順で行う。
(手順A1)
基準の解析区間(初期位置)と次の解析区間(2点目)との上記判定基準点を用いて、次式:
体調変化点=後解析区間(2点目)の判定基準点+(後解析区間(2点目)の判定基準点−前解析区間(初期位置)の判定基準点)×n、(但し、nは補正係数)
により体調変化点を求める(図12参照)。なお、n(補正係数)は、解析対象とする周波数領域(周波数帯)の数で決定する。本実施形態では、長周期領域、中周期領域及び短周期領域の3つの周波数領域での変化を捉えているため、n=3に設定した(各解析区間の測定時間のうち、データのない時間を除いた全ての測定時間(約38分間)の周波数傾き時系列波形を使用)。
ゼロクロス検出手段により周波数時系列波形を求めた場合には、大動脈すなわち交感神経に関係した恒常性維持に関する変化の状態が得られ、その値をX軸座標にプロットし、ピーク検出手段により周波数時系列波形を求めた場合では、心臓と大動脈の両方の動態に関係する交感・副交感の両神経系の変動(交感神経の代償作用がのった副交感神経系の変動)の様子、特に副交感神経に関係した恒常性維持に関する変化の状態が得られ、その値をY軸座標にプロットする。これら2軸の情報により、心臓の動態を描出する。
上記により得られる体調変化点は、初期位置の解析区間と2点目の解析区間とを利用しているため、両者間の体調変化を捉えていることになる。ここでは初期位置の解析区間に対して次の解析区間の状態がどのように変化したかを補正係数を掛けることで拡大して捉えている。基準となる初期位置の解析区間は、例えば、飲酒前や薬剤成分の摂取前の状態であり、その基準の解析区間に対して次の解析区間を分析した場合、アルコールや他の薬剤成分の薬理作用の影響により、状態の急変があり、その後は、徐々に変化していくことが推察される。そこで、図14に示したように、初期位置を座標系の原点(0,0)に設定して、上記式により得られた体調変化点の座標を2点目の座標位置としてプロットしてベクトル表示する。
ここで用いる判定基準点は、領域得点と形状得点とを合わせた得点である。領域得点は、恒常性を維持するためのゆらぎの安定度を示すものであり、形状得点は、局所的な制御の様子を示し、例えば分岐現象から健康状態や病気状態などを推定し、同定するものであるため、相対変化量はそれらを合わせた得点を用いて求めることが好ましい。
(手順A2)
手順A1により、初期位置と2点目の座標位置を決定したならば、以降、求める対象の解析区間の座標点を、その直前の解析区間の座標点から動かして決定する(図13参照)。すなわち、3点目は2点目の座標点から移動させ、4点目は3点目の座標点から移動させる。
このとき、各回帰直線の傾きに応じてX軸方向、Y軸方向に移動させる。本実施形態では、ゼロクロス検出手段及びピーク検出手段のいずれで求めた場合も、回帰直線の傾きが負の場合に移動点−1点、正の場合に移動点+1点、水平の場合に移動点0点と設定した。そして、ゼロクロス検出手段を用いて求めた際に移動点が負の場合には、座標系の横軸の正方向に移動させ、ピーク検出手段を用いて求めた移動点が負の場合には、座標系の縦軸の負方向に移動させるように設定した。図13の例は、3点目の解析区間におけるのゼロクロス検出手段で求めたゆらぎ波形であり、この例では、長周期領域、中周期領域、短周期領域共に負であるため、−3点となる。そこで、この場合には、2点目の座標点からX軸方向に+3移動させる。すなわち、図14に示したように、2点目の解析区間(20−60分)のX座標が+6なので、3点目の解析区間(80−120分)のX座標は+9となる。同様に、ピーク検出手段により得られたゆらぎ波形を用いてY座標を決定する。
図14は、解析判定手段Aにより4象限座標系上に座標点をプロットしてそれぞれを結んでベクトル表示した例を示す。このデータは、タウリンの含有量の高い栄養ドリンクAの飲用摂取前45分間(この間の約38分間の周波数傾き時系列波形を使用)を最初の解析区間(第1解析区間)とし、摂取後20〜60分の40分間(この間の約38分間の周波数傾き時系列波形を使用)を第2解析区間とし、摂取後80〜120分の40分間(この間の約38分間の周波数傾き時系列波形を使用)を第3解析区間とし、摂取後140〜180分の40分間(この間の約38分間の周波数傾き時系列波形を使用)を第4解析区間として上記手順1、手順2に従ってプロットしたものである。これにより、各解析区間における体調が時間経過にともなってどのように変化していくかを捉えることができる。
(手順A3)
図14から、タウリン等の薬理作用により、第1解析区間(初期位置)に対して第2解析区間は大きく座標点が移動し、タウリンの影響が現れていることがわかる。その後、第3解析区間及び第4解析区間の座標点は、第2解析区間の座標点に対して徐々に変化していることがわかる。なお、解析判定手段Aは、初期位置と第2解析区間との差によって、基本的な体調変化動向を探索することが主な目的である。これは、アルコールや薬剤成分などは、摂取後所定時間経過した時点で効果が大きく現れ、その後、徐々に効果が減少していくのが一般的だからである。第3解析区間以降の変動動向は、アルコールなどの影響を顕著に示す第2解析区間(通常は、初期位置から20〜40分程度後の時間)からどのように変化していったかを示すことになる。
(解析判定手段B)
解析判定手段Bは、所定の生体状態の変化要因が加わった後から所定時間経過後の所定の解析時間における体調状態を、ゆらぎ波形の変化度合いから解析時体調状態として推定する。アルコールの分解によってアセトアルデヒドが産生されることに伴い、時間経過に伴って解析時における体調は変化していくが、この変化した解析時の体調を「解析時体調状態」として探索する。具体的には、解析判定手段Bは、図15及び図16に示したように、解析対象の複数の解析区間の座標系上の変化を、基準の解析区間との対比でそれぞれ求め、それらの座標系上の位置から、感覚状態を解析する手段であり、具体的には次のような手順で行う。
(手順B1)
各解析区間内で解析時間を異ならせた解析時間同士の差を利用して各解析区間の座標点を求め、求めた各解析区間の座標点を基準の解析区間の座標点と比較し、その離隔距離から、各解析区間の感覚的状態を推定する手段である。まず、一つの解析区間内において、開始時(データのない時間を除く)から所定時間までのb区間と、開始時(データのない時間を除く)から終了時までのa区間(全測定時間)との差を捉えることで、一つの解析区間内での状態変化を捉えることができる。
そこで、図15に示したように、解析区間のほぼ全範囲である約38分間の周波数傾き時系列波形から得られる解析波形(a区間)と最初の20分間の周波数傾き時系列波形から得られる解析波形(b区間)との比較で、次式:a+(a−b)×3により感覚点を求め、この感覚点を用いる。
(手順B2)
図17は、上記解析判定手段Aと同じデータ(タウリン含有量の高い栄養ドリンクAの飲用摂取した場合のデータ)について、第1解析区間、第2解析区間、第3解析区間、第4解析区間のそれぞれのa区間とb区間からの感覚点(図の四角の大きな黒印)をプロットした図である。このとき、基準の解析区間の初期位置の座標を座標原点(0,0)として、各解析区間の座標をプロットする。
例えば、図16に示したように、上記第1解析区間を基準とすると、第1解析区間のa区間とb区間からの感覚点座標が(−10,8)に対し、第2解析区間のa区間とb区間からの感覚点座標が(6,−3)であるため、第1解析区間のa区間とb区間からの感覚点座標を原点とした場合には、第2解析区間のa区間とb区間からの感覚点座標は(16,−11)となる。同様に、第3解析区間及び第4解析区間の各a区間とb区間からの感覚点座標を、それぞれ第1解析区間のa区間とb区間からの感覚点座標と比較し、相対変位量を求める。図17はその結果を示したものであり、栄養ドリンクAを飲用摂取する前の状態に対して、各解析区間においてどのような感覚的状態になっているか、すなわち、その解析区間(解析時間)において被験者が初期位置の状態よりもどのような感覚状態に移行しているかを把握できる。
ここで、上記した解析判定手段A及び解析判定手段Bにより求められる座標系は、ゼロクロス検出手段により得られるゆらぎ波形がX軸座標として示され、ピーク検出手段により得られるゆらぎ波形がY軸座標として示されることから、横軸の正方向ほど交感神経活動が優位で集中力が高い状態であり、横軸の負方向ほど集中力が低く弛緩した状態であり、縦軸の負方向ほど副交感神経活動が優位でリラックスした状態であり、縦軸の正方向ほどリラックスしない緊張した状態となる。これをわかりやすく示したのが図18であり、基本的には、第4象限が、集中力及びリラックス度共に高く、第2象限がその逆となり、第1象限は集中力が高く緊張した状態、第3象限がリラックスして弛緩した状態となる。なお、この各象限の状態は、横軸を交感神経活動の指標、縦軸を副交感神経活動の指標とし上記のように座標点の移動を定義したことによるものであり、横軸と縦軸に割り当てる指標の種類、座標点の移動の仕方などにより、例えば、第1象限を集中及びリラックス度共に高い状態に設定したりすることができる。
(試験例1)
複数の被験者について、様々な体調下で生体信号測定手段1により、生体信号を採取した。採取した生体信号をから体動成分を除去するフィルタリング処理し、その時系列波形を周波数傾き時系列解析演算手段70により処理して周波数傾き時系列波形を求め、さらに、周波数分析手段80、ゆらぎ波形分析手段90、状態推定手段95により状態推定を行った。試験例1では、状態推定手段95の第1解析判定手段951のうち、解析判定手段Aにより処理を行った。図18〜図25にその解析結果を示す。
試験条件のうち、「疲労」「課題無し」は、被験者を60分間椅子に着席させただけのときの状態を示したものであり、「疲労」「課題有り」は、着席状態で60分間コンピュータゲームを行った場合であり、「疲労」「車両運転時」は、車両を運転したときの状態を示す。「アルコール」は缶ビール500ml(アルコール濃度5%)1本を摂取した場合(被験者01〜04)と、焼酎180ml(アルコール濃度17%)を摂取した場合(被験者:内川)である。その他は、医薬部外品薬物として、タウリン含有量の高い栄養ドリンクA(成分:タウリン1000mg等、「リポビタンD」(登録商標))を飲用させた場合、ビタミンC含有量の高い栄養ドリンクB(成分:ビタミンC220mg等、オロナミンC(登録商標))を飲用させた場合、カフェイン含有量の高い栄養ドリンクCを飲用させた場合(「眠眠打破」(登録商標))のそれぞについて解析した。また、病気(下痢・腹痛症状)発症時に整腸剤を服用した場合、医師処方の抗生物質を投薬した場合、点滴時(ビオフェルミン(登録商標)も服用)の状態、インフルエンザ発症時の状態も解析した。
図18は、上記の解析結果を全て同じ座標に示した図であり、図19は、疲労、アルコールを含む医薬部外品薬物の解析結果を抜き出した図であり、図20は、飲酒時(アルコール摂取時)の状態のみを抜き出した図であるが、各被験者の呼気アルコール濃度(15分ごとに測定)は、図21に示したように、0.11〜0.18mg/lであり、酩酊度分類で爽快期の範囲に相当していた。なお、本発明における「爽快期」には「微酔爽快期」も含み、呼気アルコール濃度で0.05〜0.25mg/l(血中アルコール濃度で0.01〜0.05%)の範囲に相当する。図22は、アルコール以外の医薬部外品を摂取した状態のみを抜き出した図であり、図23は、疲労状態のみを抜き出した図であり、図24は、下痢・腹痛発症時、インフルエンザ発症時の状態のみを抜き出した図である。
これらのグラフに記入されているドーナツ状領域の内側円は、原点からの離隔距離(第1離隔距離)=10を半径とし、外側円は原点からの離隔距離(第2離隔距離)=20を半径とする。内側円と外側円に取り囲まれたドーナツ状領域を形成する第1離隔距離及び第2離隔距離は、各試験例の結果を基に上記のアルコール摂取状態と判定できる範囲から決定した距離であるため、各試験例の説明をした後に改めて説明する。
まず、酩酊度分類で爽快期相当のアルコール摂取の有無について検討すると、アルコール摂取した際の座標点の分布は、図19から、Cゾーン、Eゾーン、Bゾーンに示され、いずれも、第2解析区間の座標点はドーナツ領域内にプロットされている。すなわち、原点から第2解析区間の座標点の離隔距離が10〜20の範囲となると、解析判定手段Aにおいては酩酊度分類で爽快期相当のアルコール摂取と判定するように設定できる。
Eゾーンに座標点がプロットされた被験者はアルコールに対する醒め方が鈍いことを自覚しており、このことより、醒め方が鈍い場合には、他の被験者と比較して離隔距離が長いと言える。これに対し、Cゾーンにプロットされた被験者はアルコール摂取後の醒め方が早いことを自覚しており、実際、Dゾーンで示した通常の「課題無し」の場合の疲労の離隔距離と近似している。一方、栄養ドリンクCを摂取した場合において、第2解析区間の離隔距離がドーナツ状領域内にプロットされており、解析判定手段Aのみではアルコール摂取と推定されてしまう。そこで、アルコール摂取の判定をより確実に行うため、解析判定手段Bにおいてもアルコール摂取有りと判定された場合のみ、すなわち、解析判定手段A,Bの両方においてアルコール摂取有りと判定された場合に、最終的に「アルコール摂取状態」と判定する構成とすることが好ましい。この点についてはさらに解析判定手段Bの説明の項で詳述する。
座標の第4象限は、副交感神経優位でリラックスしつつ集中度の高いゾーンであるが、その中に、課題無しの疲労でAゾーン方向に推移した被験者の場合、栄養ドリンクAを摂取した場合、Bゾーン方向に変化したアルコール摂取の被験者の場合に、比較的リラックスしてストレスの少ない状態を示している。
上記の飲酒(アルコール摂取)の判定の確かさを調べるために呼気アルコール濃度との変化の仕方を比較した。まず、図20に示したように、原点からの変化方向から、「内川焼酎」、「被験者01」、及び「被験者02、03、04」の3つのグループに区分し、それらについて、原点からの近似線を引く。「被験者01」及び「被験者02、03、04」の各近似線間のなす角度θ1と、「内川焼酎」及び「被験者01」の各近似線間のなす角度θ2とした場合、両者の比K=44度/37度=1.19となる。
一方、呼気アルコール濃度を示した図21において、それぞれ、ピーク点までの近似線、ピーク点から90分以降において急激に変化する位置までの近似線、90分以降縦軸の値が0になるまでの近似線を引く。そして、60分経過時における各近似線との交点間の比を求める。その結果、「被験者01」及び「被験者02、03、04」の各近似線と60分の時間軸との交点の目盛り上の距離l1=1.53、「内川焼酎」及び「被験者01」の各近似線間と60分の時間軸との交点の目盛り上の距離l2=1.77となり、両者の比k=1.77/1.53=1.17となる。従って、両者の比はほぼ一致しており、図20に示したアルコール摂取の影響を示したグラフは、呼気アルコール濃度と関連性が極めて高いことがわかる。
なお、図21の呼気アルコール濃度の近似線において、90分以降傾きが大きい場合には、アルコール摂取によるリバウンドが大きく、アルコール摂取により調子が悪くなるが、その点について、図19では、変化の仕方がIラインに近いほど、リバウンドが大きいと判定することで同様の結論が得られることがわかる。
図22は、栄養ドリンクA,B,Cの摂取による体調変化のみを示している。栄養ドリンクA,Cの第2解析区間の離隔距離はいずれも内側円内となっている。後述のように、本試験例では、ドーナツ状領域の内側円よりも内側に座標点がある場合には、基本的に通常の疲労状態(普通状態)(より小さな円内にプロットされている場合には不調状態)と判定しており、外側円よりも外側に座標点がある場合には基本的に不調状態と判定している。栄養ドリンクを飲用した場合には、その栄養ドリンクの効果により、健康で通常の状態を維持しようとする機能が高くなると考えられ、栄養ドリンクの効果がうまく機能している場合には、第2解析区間の原点からの離隔距離は内側円内になるものと考えられる。栄養ドリンクBの場合には、第2解析区間の原点からの離隔距離が大きく、交感神経が亢進している。なお、栄養ドリンクBの場合、後述の図27で示した解析判定手段Bでは、内側円内に収まっており、アルコール摂取の場合と区別できる。また、栄養ドリンクAの場合、リバウンドが小さく、副交感神経系を整える効果があると言える。なお、栄養ドリンクCの場合は、第1象限の交感神経が亢進する領域にあることから、交感神経系を刺激する効果があるが、他の被験者のデータと比較したところ、被験者による個人差が大きく、各被験者の体調の良し悪しの影響を受けやすいと考えられる。
図23の疲労の変化をみると、原点から第2解析区間までの座標点の離隔距離が小さく、ほとんどの座標点が内側円内にプロットされていることがわかる。健康な被験者が疲労する場合には、第2解析区間までの離隔距離が小さく、上記のアルコール摂取状態と明確に区別できる。
ここで、疲労の進行度合いには3段階ある。最初の段階は疲労感を感じていない状態で、次に、交感代償作用により疲労感を感じていない状態であり、さらに次の段階は、ヒューマンエラーが生じる強く疲労感を感じ、慢性疲労につながる状態の3つに分けられ、そのため縦軸を副交感神経系と交感神経系の両方の働きを捉えるピーク検出手段によるものを用いている。従って、「1」の領域(第1象限)の場合には、交感神経が亢進しているときであり、課題をこなしているときの交感代償作用により疲労感が生じていない場合が多いことがわかる。但し、交感代償作用が続くと、当然リバウンドで揺り戻しがあり、疲労感を強く感じるときが多い。「4」の領域(第4象限)の場合には、交感神経の制御が加わっているが、副交感神経系が優位で、リラックスした状態で休息に近いモードとなっている。「2」、「3」で示した領域(第2,第3象限)は、体調不良や睡眠不足による慢性疲労感、病的な疲労感があるものと推測されるが、第2象限の場合には、気合いが入っていたり、使命感を高く感じていたりするときと推測され、第3象限の場合には、交感神経の関与が少なく副交感神経がどちらかと言えば優位で、いわば気合いの入っていない状態での疲労を感じていると言える。
図24の体調不良時のデータ(発病後の一人の被験者のデータ)をみると、12月27日の発症時及び点滴時は、内側円内であるものの、原点からの離隔距離が非常に小さい。このことから、離隔距離がこのように非常に小さい場合(内側円の1/2以下、あるいは、1/3以下)には、内側円内であっても、体調不良であると推定できる。この場合の体調不良は、発病し、その不調要因に耐えている状態である。12月29日は、不調要因解消手段としての薬(抗生物質)が効いており、内側円内であっても、12月27日の座標点よりも原点からある程度の離隔距離があるため、体調不良の中で、より平穏状態に近づいていると言える。1月1日、1月3日共に、離隔距離が大きく、投薬効果があったことを示している。また、投薬により、12月29日よりも1月1日の方が、ネガティブな領域からポジティブの領域に移行し、1月3日はさらに正の値が大きくなる。従って、投薬により、体調が徐々にもとに戻っていると言える。そして、1月10日には、内側円内に移行し、普通状態(活動により徐々に疲労が蓄積する健康時における通常の疲労状態)に近づいていることがわかる。
図25は、精神的不調を有する被験者Kの生体信号をそれぞれの場合について解析した結果を示す。この被験者Kの場合も、ビール、焼酎を飲んだ際には、ドーナツ状領域内に第2解析区間の座標点がプロットされる。その他の場合は、第2解析区間の座標点が全て内側円内にプロットされている。従って、被験者Kのような精神的不調を有する場合も、基本的な推定結果として、ドーナツ状領域内に入っているか否かでアルコール摂取と推定することは妥当であると言える。もちろん、最終的には解析判定手段Bにおいてもドーナツ状領域に入っていることが条件であることは上記のとおりである。
一方、このグラフを詳細にみると、交感代償作用の強さ加減はθ11,θ22,θ33の差が示唆する。栄養ドリンクAが一番リラックスして、非常に理想的な休息モードを示している。θ11が小さく、θ1が−45度で1/fの揺らぎに近い。ゲーム・焼酎・ビールでは、ビールが一番リラックスできたようである。ビールは、第2解析区間の離隔距離のl1で表された座標点であるが、その後の変化はθ2が−45度で1/fに近く、これも快と呼べるものである。一方、焼酎は負の方向ではあるがθ3が大きく、更にθ4が正の方向になり、抵抗感が生じている。また、課題のゲームについては、l2が小さく、萎縮傾向にあることがわかる。更に、それ以後については、焼酎ほどではないが、少しの抵抗感と疲労感が示唆される。更に、栄養ドリンクCについては、抑圧に対する強い抵抗を示す。これは、栄養ドリンクCの示す軌跡の取り方から伺える。
(試験例2)
試験例1で用いたデータについて、本試験例2では、状態推定手段95の第1解析判定手段951のうち、解析判定手段Bにより処理を行った。
まず、飲酒時の解析結果を図26に示す。この図26から、いずれの被験者の場合も、第2解析区間の座標点が、原点に対する第1離隔距離「10」、第2離隔距離「20」を半径とする内側円及び外側円のドーナツ状領域内にプロットされていることがわかる。
なお、図26の飲酒による推定結果から各被験者の状態を考察すると、被験者01は若干のリバウンドがあるものの交感神経系が亢進した緊張集中領域(ハツラツ領域)にほぼ一直線に伸びていることがわかる。被験者02は全体の象限に分かれており、休息した状態になっていると思われる。被験者03は、途中、副交感神経優位のリラックス集中領域(ユウユウ領域)に入っているが、その後、リラックス傾向であるものの集中度の低い第3象限のリラックス弛緩領域(ヘトヘト領域)に入っている。「内川焼酎」は、一時的にリバウンドがあったが、交感神経の代償作用が生じている第2象限の緊張弛緩領域(フーフー領域)に入っていることがわかる。
図27は、栄養ドリンクA〜Cをそれぞれ摂取させた場合の結果である。図27から、栄養ドリンクB,Cについては第2解析区間の座標点の位置が内側円内であり、アルコール非摂取状態で、かつ、原点から内側円内の半分以上の離隔距離があるため、不調状態ではなく、普通状態と判定できる。一方、栄養ドリンクAの場合には、内側円を超えている。但し、解析判定手段Aの図22の結果と解析判定手段Bの図27との結果を併せてみると、栄養ドリンクA〜Cは、いずれか少なくとも一方が内側円内であり、この栄養ドリンクを飲用した際の健康状態はいずれの場合も普通状態と判定できる。
図27の栄養ドリンクA〜Cを飲用した場合を個別に検討すると、栄養ドリンクAは、同一象限内で推移し、多少のゆらぎはあるもののリラックス傾向にあると言える。栄養ドリンクBは、内側閾値内で、体に与える影響が小さく、一時的に元気なるが、フーフー領域に感覚的に移行することがわかる。栄養ドリンクCは、基本は覚醒傾向にあるが、一時的なリバウンド現象から疲労感が生じる。
図28は疲労時の解析結果を示す。疲労時の第2解析区間の座標点は、全ての被験者が内側円内にプロットされている。従って、いずれの被験者もアルコール非摂取状態において、不調ではない普通状態の範囲において、疲労による変化が生じているものと推定される。個別に検討すると、被験者01は、途中疲れた様子を示すものの、副交感神経系優位のリラックス傾向であり状態は良くなったと判定できる。被験者02は、緊張を強いられており、状態は決して良くない。被験者03は、ハツラツ領域に向かう傾向であり、状態は良い。被験者04は、疲労感がどんどん進行していった。リラックス状態にあるが、最終状態は良くない。「内川課題」は、途中で飽きを示していると共に、状態としては、きつくなる傾向だが、限界はきていない。「内川疲労」は、鎮静化の傾向にあり、状態としては良い傾向にある。
図29は体調不良時を示す。全ての座標点が内側円内であるが、発症時は、内側円の半径の半分以下の離隔距離であり、不調状態の中で耐えている状態である。その後、医師処方抗生物質の効果により離隔距離が内側円の第1離隔距離に近づいており、不調状態の中で平穏状態を維持している状態である。また、図29に示した解析判定手段Bの結果によれば、発症時には、ネガティブ方向である、第2象限(フーフー領域)及び第3象限(ヘトヘト領域)に座標点が偏在しているが、薬物投与、点滴により、第4象限(ユウユウ領域)、第1象限(ハツラツ領域)に向かう傾向となっており、不調状態の中でも徐々に回復傾向であることがわかる。
図30は、精神的不調を有する被験者Kの生体信号をそれぞれの場合について解析判定手段Bで解析した結果を示す。栄養ドリンクAを飲用した場合、課題(ゲーム)を行った疲労状態では、いずれも、第1離隔距離「10」を半径とする内側円内に第2解析区間の座標点が位置する。栄養ドリンクCの場合には、第1離隔距離「10」と第2離隔距離「20」との間であるが、図25の解析判定手段Aでは、いずれも内側円内に収まっており、いずれか一方が内側円内である。従って、これらの場合には、精神的不調を基本的に有しているとはいえ、体調的には普通状態における状態変化と推定できる。ビールは、第1離隔距離「10」のライン上であり、図25の解析判定手段Aの判定結果と併せてアルコール摂取と推定できる。これに対し、焼酎の場合、第2解析区間の座標点が第1離隔距離「10」を半径とする内側円内である。焼酎の場合、図25の解析判定手段Aでは、ドーナツ状領域に入っているが、本試験例の解析判定手段Bではドーナツ状領域を外れており、この精神的不調を有する被験者Kの焼酎の例だけが唯一の例外となった。但し、この例以外のアルコール摂取の状態は、全て解決判定手段A及びB共に、ドーナツ状領域にプロットされている。
(試験例3)
運転中の被験者JYの状態を解析判定手段A及び解析判定手段Bで解析し、それぞれ図31(a),(b)に示した。同じ日付(2011年9月9日)の午前と夕方にそれぞれ所定時間運転し、それぞれの運転時間の中で、前半のデータを基準の解析区間として原点におき、後半のデータを比較対象の解析区間として求めた。
図31(a),(b)を見ると、図31(a)は、午前も夕方も内側円内であり、この被験者の基本的な状態は普通状態と判定できる。より詳しくは、図31(a)を見ると、午前中はリラックス傾向に推移しているのに対し、夕方は第2象限の交感代償作用が機能するフーフー領域に移行している。また、図31(b)では、いずれも第3象限のヘトヘト領域に位置しているものの、午前中は第4象限のユウユウ領域に近く、夕方は交感代償作用が機能する第2象限のフーフー領域に近いことがわかる。実際、試験中、被験者JYは、午前中は疲労感が少なく覚醒していたが、夕方は疲労感が大きく、後半には眠気とストレス(前方車両がノロノロ運転)を感じていたということで、被験者の感覚に近い結果が得られている。
(試験例4)
被験者A,B,Cが異なる日に行った実車走行試験における生体信号データを用いて解析を行った。各日における測定時間において、前半を基準として後半を比較する解析区間として解析判定手段A,Bにより求めた。
被験者Aの場合、好調、不調の波の大きな人であるが、図32(a),(b)のいずれか一方は内側円内に収まっている。従って、いずれの日も、普通状態の中での疲労の進行と見ることができる。
被験者Bの場合、基本的に健康なタイプである。図33(a)の解析判定手段Aの結果では、「0726 1043」のデータを除いた座標点が内側円内に収まっており、通常の疲労の進行状態の範囲であり、大きな体調異常はないものとまず判定できる。図33(b)の解析判定手段Bでは、「0726 1043」のデータ」も内側円内に収まっている。従って、解析判定手段A及び解析判定手段Bの少なくとも一方において、いずれの日も内側円内に収まっており、普通状態の中での疲労の進行と推定できる。
被験者Cは基本的にポジティブで体も丈夫な人である。図34(a)の解析判定手段Aと図35(b)の解析判定手段B共に同様の傾向を示し、離隔距離がいずれも内側円内である。「0724 1548」、「0725 0913」のデータは、内側円の近くまで離隔しているため、普通状態の範囲内の疲労度合いと判定できる。しかし、「0723 1249」のデータは、解析判定手段A及びB共に、原点からの離隔距離が内側円の1/2以下の座標点が存在するため、不調状態下、耐えている状態と推定される。
(試験例5)
副交感神経活動が相対的に優位となる測定姿勢(臥位)と、交感及び副交感の神経活動のバランスの良い状態がとりやすい測定姿勢(座位)との測定姿勢の違い、病気か否かの違いによる解析結果の違いを見るための試験を行った。いずれのデータも、測定日における所定の測定時間(約1時間)の中の前半の40分間のデータを基準とし、後半の40分間の解析区間のデータを比較対象の解析区間としてピックアップした。
図35の藤田良登氏(データ測定時:86歳)のデータは、いずれも臥位状態である。ここで、第1離隔距離及び第2離隔距離は、本データ及び図36〜図38のデータから、臥位になって座位よりも相対的に副交感神経が優位となると、変化が縮小する傾向にあることが判明したため、第1離隔距離を原点から「6」の位置に設定し、第2離隔距離を原点から「15」の位置に設定した。また、20110202のデータは、大腸がんの一部切除手術を行ったが、測定時は家の中で歩行でき、食事を座って摂ることができる程度に回復した状態である。これに対し、20110309のデータは、再入院して腹水、胸水がたまった状態のデータで、20110321は腹水を抜き、肉体的には楽になった時点のデータである。
まず、20100309のデータを見ると、解析判定手段Bの結果において内側円内に位置している。但し、原点からの距離が極めて短いことがわかる。20110309のデータは、上記のように、再入院して腹水、胸水がたまった状態であり、不調状態の中で耐えている状態にあり、このデータからそのことが読み取れる。一方、20100202及び20100321は、本来は不調状態であり、体が抵抗しているため、外側円の外方に座標点が位置する可能性があるが、薬により、外側円よりも内方に移行し、平穏状態に移行していることを示す。ここで、横軸を大動脈の状態を示す指標、縦軸を心臓及び大動脈の状態を示す指標として考える。20100202の段階から20100321の段階に至るまで機能低下は生じているものと考えられる。20100202の離隔距離は大動脈の機能が低下した状態での心臓の作用を示しており、術後の状態を表しているものと推定される。解析判定手段Bによる変化の度合いも大きく、疲れやすい状態にあったものと考えられる。一方、20100309の状態は、実験をしても体調の変化率は少ないが、状態の変化は大きい。すなわち、交感神経の代償作用は大きく作用しておらず、心臓の負担が大きくなっていることが推察される。20100321については、交感神経の代償作用が働き、3例の中では最も状態が良いものと推察される。本被験者は、様々な状況の中で高い安定性を示していることから強い心臓機能を有しているものと推察される。
図36は、被験者YA氏(データ測定時:62歳)のデータであり、被験者YA氏の場合、座位と臥位の両方で測定している。20100930は甲状腺がん手術後の肺への転移が認められた頃で、解析判定手段Aでは20100930の座位データは内側円内であるが、原点からの離隔距離が極めて短く、不調状態の中で耐えている状態であると推定できる。また、解析判定手段Bでは、20100930の座位データは、内側円内あるものの大きな変化が見られ、体調が崩れやすいと判断できる。
20100930の臥位データは、図示していないが、第1離隔距離「6」を半径とする内側円、第2離隔距離「15」を半径とする外側円を基準に推定する。すると、解析判定手段Aでは、外側円付近に至っており、離隔距離が長くなり、不調状態の中で抵抗している状態に近いと推定できる。
20110121、20110717は医師処方の投薬が無い日であり、不調状態に耐えていると言えるが、20110717の臥位データは解析判定手段Bでは離隔距離が長い。これは、不調状態の中で抵抗している状態に近いと推定できる。
なお、図36の被験者は、20110717の臥位のデータでは、測定中に眠っている。その他の状態は覚醒している。そして、臥位のデータ同士を比べた場合、解析判定手段Bにおける眠っているデータの方が離隔距離が長い。これらのことから、臥位姿勢と座位姿勢により、第1離隔距離及び第2離隔距離の設定を異ならせて考察し、睡眠と覚醒の各状態の別、及び、睡眠状態における睡眠の質を推定できる可能性があることが示唆される。なお、本被験者は心臓の機能が強いというより、様々な状況の中で交感代償作用が生じ、安定を維持していることが推定される。これは状態変化の度合いよりも変化率の変動が大きいことからも推定される。
図37では、被験者HO氏について、解析判定手段A,Bの解析結果を併せて示した。実線は、解析判定手段Aの解析結果であり、破線は、解析判定手段Bの解析結果である。HO氏は、89歳であり、20100614のデータは外側円の外方に座標点があり、体調不良が生じる場合があることを示唆している。また、20110118のデータでは、内側円の1/2以下の離隔距離の座標点があり、不調状態の中で耐えている状態であることがわかる。なお、本被験者は、カオス性が低下傾向にあり、徐々にではあるが体調不良が進行していると推定される。そして、変化率の減少傾向は、交感神経系の亢進状態が長時間に亘ってあり、交感代償作用の永続性に問題が生じている可能性が示唆される。但し、心機能の低下は認められない。
図38は、図37の被験者に加え、被験者WA氏、SA氏も併せて解析結果を示した図である。これにより、WA氏も、外側円外に至る離隔距離があり、不調状態であって不調要因に抵抗していることが示唆される。一方、被験者SA氏は、解析判定手段Aの解析結果の中で内側円の1/2以下の座標点があり、不調状態の中で耐えている状態が存在することがわかる。但し、この3名の中では、SA氏が健康であると言える。それは、例えば、座位では交感機能が亢進し、臥位では交感機能の低下が認められ、いわゆるカオス性がよく残っており、体調不良の進行具合が小さいものと推察される。
図39は、うつ病患者の被験者KA氏、糖尿病患者の被験者HY氏、SAS(睡眠時無呼吸症候群)患者の被験者NI氏についての解析判定手段A,Bによる解析結果である。この図に示したように、被験者HY氏及びNI氏の場合、解析判定手段A,Bのいずれか少なくとも一方において、外側円よりも外方に突出しており、不調状態の中で抵抗していることを示している。また、うつ病のKA氏場合、解析判定手段A,Bの離隔距離のみでは病気と判定されず、普通状態となる。但し、図39の左半分、すなわち、第2及び第3象限のネガティブ方向に変位している。従って、解析判定手段A,Bの両方において離隔方向がネガティブ方向となった場合にもうつ病等の病気を患っている状態と推定することが可能である。また、心機能でいえば、HY氏は、交感神経系の機能の亢進が著しく、血圧も高いものと推察される。前述のHO氏もこれと同様の傾向がある。なお、両氏とも糖尿病を患っている。さらに、NI氏は、SAS患者であるが、夜間の睡眠不足により、昼間でも健常人とは異なる疲労状態であることがわかる。また、交感機能の亢進状態が続き、さらに疲労感を促進させている。また、外部ストレスへの変動率も高いと共にカオス性も高い。自律神経機能は高いカオス性の中でよく暴れているのがわかる。当然血圧も高いものと推察される。
(試験例6)
解析判定手段Aは、上記したように、「後時間範囲(2点目)の判定基準点+(後時間範囲(2点目)の判定基準点−前時間範囲(初期位置)の判定基準点)×n、(但し、nは補正係数)により体調変化点を求める(なお、上記では、n(補正係数)=3)。
これにより、前時間範囲を基準とした後時間範囲の変化を強調できるが、両者を比較するだけなら、後時間範囲を基準とした前時間範囲の変化でもよい可能性がある。そこで、図40(a)に、「後時間範囲(2点目)の判定基準点+(後時間範囲(2点目)の判定基準点−前時間範囲(初期位置)の判定基準点)×3」で求めた上記の解析判定手段Aによる解析結果を示し、図40(b)に、「前時間範囲(初期位置)の判定基準点+(後時間範囲(2点目)の判定基準点−前時間範囲(初期位置)の判定基準点)×3」で求めた解析結果を示す。なお、使用したデータは、試験例1で示した図18のデータと同じである。
この結果から、図40(a)では、変化を強調でき、すなわち、超低周波帯域の0.0033〜0.04Hz、特に、0.01〜0.04Hzに生じる異常な信号を強調して状態変化を捉えやすいのに対し、図40(b)では、あまり変化が強調されず、状態を捉えにくい。すなわち、前半の状態の上に、機能変動による変化分を載せたものより、機能変動によって生じた後半の状態の上に、機能変動による変化分を載せた方が、より変化分を強調されることになることがわかる。従って、解析判定手段Aにおいては、図40(a)に示したように求めることが好ましいことがわかる。
(試験例7)
試験例1及び2の「内川焼酎」のデータ、内川氏の栄養ドリンクA,B,Cを飲用したデータ、疲労時のデータを周波数解析して卓越周波数の時系列波形を求めた(図41参照)。また、「内川焼酎」のデータを採取した際に同時に測定した呼気アルコール濃度の時間推移を同じデータに示した。
このように卓越周波数の時系列波形を求めることにより、呼気アルコール濃度の時間推移よりも上方で変化する場合に所定量(酩酊度分類で爽快期に相当する量)の「飲酒」であると判定でき、下方で変化する場合に「非飲酒を含むそれ以外の状態」と一応判定できる。これは、卓越周波数の変化が超低周波帯域のゆらぎの変化と相関があることによるものである。しかし、図41では、呼気アルコール濃度の時間推移よりも上方には、焼酎のデータだけでなく、栄養ドリンクAの飲用時のデータ、栄養ドリンクA,Cの両方飲用時のデータ、ゲームを行っていたときのデータも同様の結果となっており、それらのデータ間では、飲酒と飲酒以外との区別がつきにくい。上記したように、飲酒、眠気、切迫睡眠現象などの遷移状態における生体信号の卓越周波数は、生体信号が不規則振動波形となるため、不規則振動波形のパワースペクトルのピークとなる。そのため、リラックス、緊張状態で生じる調和入力に対する共振曲線のように明確なピークとはなりにくいことによるものである。
これに対し、本発明の解析判定手段A,Bによれば、卓越周波数の変化と相関のある超低周波帯域のゆらぎの変化を所定の基準で点数化し、座標点としてプロットしてベクトル表示する手法であるため、超低周波帯域のゆらぎの変化に対応する生体状態をより正確に捉えることができ、その推定結果は、人の感覚により適合したものとなる。従って、解析判定手段A,Bの両方において、座標点が内側円と外側円とに取り囲まれたドーナツ状領域にプロットされている場合に所定量(酩酊度分類で爽快期に相当する量)の「アルコール摂取あり」と判定することは、人の状態に適合した判定結果となる。
上記の点をさらに図42〜図45に基づき説明する。図42は、覚醒、眠気、切迫睡眠現象、睡眠、飲酒後(アルコール濃度が最も高い時期)、栄養剤(摂取後〜効きはじめ)における心部揺動波(APW)の原波形をFFT解析した代表事例を示したものである。この図から、覚醒、眠気、睡眠、栄養剤(摂取後〜効きはじめ)の各状態では、比較的明確なピークが出現しているのに対し、切迫睡眠現象、飲酒後(アルコール濃度が最も高い時期)においては、不規則振動となりピークが多数出現している。不規則振動が出現することで切迫睡眠現象や飲酒等の何らかの外的要因が作用したことを推定できることがわかる。また、不規則振動のピークの中で最も優位なピークに相当するものが卓越周波数であるが、卓越周波数が外乱要因によって異なることも推定できる。しかし、図42だけでは卓越周波数の違いによる外乱要因の特定までは困難である。なお、栄養剤は飲酒ほどに外乱要因としての永続性がなく、数十分程度で効果は薄れる。すなわち、解析判定手段A及び解析判定手段Bにおける変動点は、どちらかが小さくなり、飲酒の場合とは異なる挙動を示す。
図43は、図42で用いたAPWの原波形をゼロクロス検出手段により処理して得た周波数傾き時系列波形をさらに周波数解析して両対数表示した図であり、大動脈の状態ないしは交感神経の状態を示している。図44は、図42で用いたAPWの原波形をピーク検出手段により処理して得た周波数傾き時系列波形をさらに周波数解析して両対数表示した図であり、心臓及び大動脈の状態ないしは交感・副交感の両神経系の状態を示している。これらの図から、0.001〜0.04Hz、特に、0.01〜0.04Hzの超低周波帯域のゆらぎの変化が、人の状態の変化により異なる波形を示しており、図42よりも状態の違いを明確に捉えることができる。
図45は、図43及び図44のデータを用いて解析判定手段A(A手法)及び解析判定手段B(B手法)で解析した結果を示す。図45から、飲酒に関しては、解析判定手段A及び解析判定手段Bのいずれも内側円と外側円の間のドーナツ状領域内にプロットされている。栄養剤を飲用した場合に関しては、解析判定手段Aの結果から基本的な変化の状態は小さいが、解析判定手段Bの結果から変化率は大きいと判断できる。睡眠に関しては、解析判定手段Aから、心機能・交感機能共に抑制状態にあり、交感機能が特に大きな変化はないと言え、解析判定手段Bから、心機能の抑制と交感機能の低下が見て取れる。これらの結果より、解析判定手段A(A手法)及び解析判定手段B(B手法)によれば、超低周波帯域のゆらぎの変化と相関のある卓越周波数の変化を拡大して判定できることがわかる。
(第1離隔距離及び第2離隔距離の決定)
上記各試験例の結果をまとめたのが図46〜図49であり、いずれも各被験者の解析判定手段A(A手法)及び解析判定手段B(B手法)の第2解析区間の座標点をプロットした図である。図46は、図22、図23、図27、図28、図32〜図34において、栄養ドリンクA〜Cを飲用した場合、自動車走行試験を行った際の状態を測定したデータから得られた各被験者の座標点であり、図47は、図20、図25、図27、図30において、アルコール摂取時のデータから得られた各被験者の座標点であり、図48は、図24、図29、図36、図37、図38において、不調状態のとき(病気のときも含む)の座位姿勢で得られた各被験者の座標点である。また、図49は、図35、図36、図37、図38において臥位姿勢で得られた健康な被験者と病気を患っている被験者のデータから得られた第2解析区間の座標点をプロットした図である。
このうち、図46〜図48の各データは座位姿勢で測定されたものである。そこで、これらをまず比較すると、図47から、所定量(酩酊度分類で爽快期に相当する量)のアルコール摂取時は、原点からの離隔距離約10〜約20のドーナツ状領域内にほとんどの座標点が位置することがわかる。これを基準として、図42及び図44を重ね合わせると、第1離隔距離「10」を半径とする内側円、第2離隔距離「20」を半径とする外側円をそれぞれ境界として、所定量(酩酊度分類で爽快期に相当する量)のアルコール摂取時と明確に区別できる。このように、所定量(酩酊度分類で爽快期に相当する量)のアルコール摂取時に集まる座標点の分布領域を中心に、ドーナツ状領域を形成する第1離隔距離及び第2離隔距離を決定することができる。例えば、ドーナツ状領域内にアルコール摂取時の座標点が所定割合以上、例えば、80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上分布するポイントを分布状態から算出して決定することができる。
本実施形態では、普通状態(通常の疲労状態)、不調状態(病気も含む)、適度(酩酊度分類で爽快期に相当する量)のアルコール摂取状態(適度のアルコールという機能回復手段が施された状態)について所定数の被験者で試験を行うことで、上記により決定した第1離隔距離及び第2離隔距離を用いた所定量(酩酊度分類で爽快期に相当する量)のアルコール摂取状態か否かを利用して各状態を推定できる。但し、第1離隔距離及び第2離隔距離の数値には個人差もあるため、例えば、各被験者について、普通状態、不調状態、所定量(酩酊度分類で爽快期に相当する量)のアルコール摂取状態について予めデータを取得しておき、その各個人のデータとの比較で実際の状態推定を行うようにしてもよい。例えば、長距離トラックの管理会社では、運転者各人のデータを予めデータベースとしてコンピュータに記憶させておき、運転終了時に回収した生体信号測定手段により得られたデータを個人毎に解析し、登録しておいた各人のデータと比較して、アルコール摂取の有無を判定できる。もちろん、上記した第1離隔距離「10」及び第2離隔距離「20」を設定値として用いることも可能である。
また、基本状態から急変状態になると、0.001〜0.04Hzの間で大きな抵抗が生じるため、その大きな抵抗が生じるところを計算により求めることにより、離隔距離を決定することももちろん可能である。
上記のように第1離隔距離及び第2離隔距離を決定し、ドーナツ状領域を設定することにより、図46の例は、解析判定手段A(A手法)、解析判定手段B(B手法)のいずれか一方の座標点が内側円内であるため、上記試験例で説明したように普通状態と判定されることになる。図47は、ドーナツ状領域にプロットされているため所定量(酩酊度分類で爽快期に相当する量)のアルコール摂取状態と判定される。図48の場合、内側円内と外側円外に分かれる。外側円外の場合には、不調状態で抵抗している状態と判定できるが、内側円内の場合には、図42の普通状態と区別つきがたい場合がある。そこで、内側円内の場合には、原点からの距離が所定以下の場合、例えば、内側円の1/2の距離以下あるいは1/3の距離以下の場合に、不調状態で不調要因に耐えている状態と判定するように設定できる。しかし、これでも、普通状態との区別が明確でない場合もあり、その場合には、後述の第2解析判定手段952による推定結果を併用することが好ましい。
一方、図49に示したように、臥位姿勢の場合、座位姿勢において決定した10〜20のドーナツ状領域を適用すると、多くの座標点が内側円内に収まってしまう。これは、臥位姿勢は、基本的に心臓・大動脈の影響が最小限となり、また、副交感神経系が優位になりやすく基本状態が良い状態となるため変化が小さいことによるものと考えられる。そこで、臥位姿勢の判定では、臥位姿勢の測定者の中で健康であったHO氏のデータを参照して第1離隔距離を6に設定し、第2離隔距離を15に設定したものである。すなわち、臥位姿勢と座位姿勢では、異なる基準設定で判定する必要がある。
但し、臥位姿勢の場合、上記したように、病気に抵抗している(戦っている)ような状態の被験者は、外側円の外方に大きく飛び出し、変化が大きいこともわかった。その一方、薬の働きにより、症状が抑えられている時期には、外側円の内方や内側円の内方に移行しており、平穏状態に近づくと変化が小さくなる傾向がある。しかし、測定時において、被験者が病気であることを自覚せずに測定した場合において、例えば、ドーナツ状領域内に座標点が分布していると、アルコール摂取状態と判定されるおそれもある。そこで、この場合にも、後述の第2解析判定手段952による推定結果を併用することでより正確な状態推定を行うことができる。
(第2解析判定手段952)
次に、第1解析判定手段951(解析判定手段A,B)と共に状態推定手段95に設定される第2解析判定手段952について説明する。第2解析判定手段952は、解析判定手段A及びBによってプロットされた解析対象の解析区間の座標点の前記座標系上における位置を三角関数表示に置換して新たな座標系に再プロットし、再プロットした座標点の位置を基に、生体状態を推定する手段である。この三角関数表示の目的は、ピーク検出手段及びゼロクロス検出手段によって求められた座標を三角関数表示にすることで、ピーク検出手段(Peak)とゼロクロス検出手段(0x)により得られる各解析結果の差分(|Peak−0x|)をとり、それにより大動脈の影響を除外して心臓機能の感受性を高めたものと、大動脈機能の感受性を高めたものとをみることができるようにしたものである。すなわち、角度によって従属変数となる大動脈・心臓の寄与率がわかるものである。当然、両者の寄与率が拮抗するグレーゾーンも表示される。但し、第1解析判定手段951(解析判定手段A,B)及び第2解析判定手段952の両方を共にみることで心臓に関して感受性のよい検査となる。つまり、プロットされた座標点に関して、原点を中心とした半径成分と角度成分を併せてみて判断することなる。具体的には、図50に示したように、解析判定手段Aで得られた各座標点、及び、解析判定手段Bで得られた各座標点のそれぞれについて、三角関数表示に対応する角度を求める。そして、解析判定手段Aで得られた各座標点の三角関数表示に対応する角度を一方の軸に、解析判定手段Bで得られた各座標点の三角関数表示に対応する角度を他方の軸にとってプロットした三角関数表示座標を作成する。
より具体的には、本実施形態の第2解析判定手段952は、解析判定手段Aで得られた各座標点のsinの角度を一方の軸(本実施形態では横軸)に、解析判定手段Bで得られた各座標点のsinの角度を他方の軸(本実施形態では縦軸)にとってプロットしたsin表示座標を作成する手段と、解析判定手段Aで得られた各座標点のtanの角度を一方の軸(本実施形態では横軸)に、解析判定手段Bで得られた各座標点のtanの角度を他方の軸(本実施形態では縦軸)にとってプロットしたtan表示座標を作成する手段とを有し、sin表示座標及びtan表示座標における各座標点の位置により、生体状態を推定する。
第2解析判定手段952は、三角関数表示に置換して判定することで、第1解析判定手段951の解析判定手段A及びBによる座標点を異なった方向から解析するものであり、第1解析判定手段951及び第2解析判定手段952の両方の結果を用いることで、より正確な状態推定を行うことができる。
(不調状態による運転不適状態(課題遂行困難状態)の推定)
図51は、図24及び図29の体調不良状態の被験者JY氏の一部の解析判定手段A(A手法)及び解析判定手段B(B手法)のデータの一部、図38の被験者HO氏及びSA氏の不調状態(病気)の解析判定手段A(A手法)及び解析判定手段B(B手法)のデータ、並びに、被験者AR氏がインフルエンザ罹患時の解析判定手段A(A手法)及び解析判定手段B(B手法)のデータを示した図である。
図51の解析判定手段A及びBの各座標点について、sin角度及びtan角度を求めてsin表示座標及びtan表示座標を作成し、図52に示した。各試験例における被験者の状態とsinの角度とを照らし合わせた結果、sin表示座標において所定の角度の範囲(本実施形態では、+135度を中心とした±30度の範囲と、−135度を中心とした±30度の範囲)にプロットされる場合には、「体力・気力共に無い状態」と判定した。同様に、tan表示座標において第1から第3象限のみにプロットされる場合(第4象限にプロットされない場合)には、「体力が無くても、気力がでる状態」と判定した。
一方、図51の解析判定手段A及びBにおいて、不調状態に耐えている状態は、上記のように、原点からの離隔距離が極めて短い内側円の半径の例えば1/2以下の領域である。図51において、この領域並びに解析判定手段A及びBのネガティブソーンである第2及び第3象限とを併せた領域内にプロットされているという条件、図52で示したsin表示座標の「体力・気力共に無い状態」のゾーンにプロットされているという条件、図52のtan表示座標で示した第4象限にプロットされないという条件の全てを満たす座標点が存在する場合、図53に示したように、その座標点に対応する被験者は生体信号データの採取時において、運転などの課題遂行が困難で、自律神経でのコントロールが難しい状態と判定する。なお、ここでは、運転を例にとり、上記3つの条件を満足する場合に、「運転不適状態」と判定している。これは一例であり、上記3つの条件を満足する場合には、運転と同程度の種々の課題遂行が困難である「課題遂行困難状態」と判定するようにしてもよい。
(飲酒による運転不適状態(課題遂行困難状態)の推定)
図20、図21、図26の各被験者の飲酒時のデータ、図30の被験者KA氏の飲酒時のデータを用いて、第2解析判定手段952による解析を行った(解析対象としたのは、飲酒後15〜60分間の生体信号である)。
飲酒した場合には、その量に拘わらず運転不適状態であることはもちろんであり、解析判定手段A,Bにおいてドーナツ状領域に座標点がプロットされている状態、すなわち、飲酒判定とされた場合には、いずれにしても運転することはできない。一方、酒気帯び運転での罰則は呼気アルコール濃度で換算して0.15mg/l以上の場合であり、それに相当する飲酒量での運転はより厳重にチェックできることが望ましい。
まず、図54に示した各被験者の呼気アルコール濃度0.15mg/l以上を危険領域とし、図55に示した斜線のゾーンをアルコールの吸収が早い傾向を示していることからグレーゾーンとした。この危険ゾーンとグレーゾーンを解析判定手段A及びBの座標系の中に対応して示した図が図56である。
図57は、図56にプロットされた全ての座標点のsin表示座標及びtan表示座標である。sin表示座標には、図56の危険領域及びグレーゾーンに相当する領域を併せて示した。
図58は、上記した第1解析判定手段951及び第2解析判定手段952の解析結果を用いた判定手法を示した図である。まず、第1解析判定手段951の解析判定手段A及びBにより、ドーナツ状領域に座標点がプロットされる場合には、飲酒(爽快期に相当するアルコール摂取量)と判定される。次に、sin表示座標で、危険領域(極度の興奮状態)及びグレーゾーン(ネガティブゾーン)に含まれるという条件、tan表示座標で第4象限にプロットされないという条件の両方を満たす座標点が存在する場合、その座標点に対応する被験者は生体信号データの採取時において、ヒューマンエラーが発生する程度の飲酒と判定される。そして、上記3つの条件を全て満足する場合に、道路交通法上の酒気帯びに相当する「運転不適飲酒判定」としている。
図59〜図63は、上記のうち被験者内川氏のデータをさらに詳細に分析した結果を示す。すなわち、実験開始(飲酒前)から実験終了(243.3分後)までの間で約20分間ずつスライドさせた解析区間1〜12を図59に示したように設定して解析を行った。なお、実験開始後48〜63分の間に飲酒(焼酎1合)している。
図60は、全解析区間の解析判定手段A(A手法)及び解析判定手段B(B手法)のデータを示した図であり、図61は、図60にプロットされた全ての座標点のsin表示座標及びtan表示座標である。これにより、図58の3つの条件を全て満足する「運転不適飲酒判定」となる解析区間が存在することがわかる。
また、解析判定手段A(A手法)及び解析判定手段B(B手法)のデータを解析区間毎に併せて表示した結果を図62及び図63に示した。48〜63分の間の飲酒後は、ほとんどの解析区間において、A手法及びB手法のいずれのデータもドーナツ状領域に含まれ、「飲酒」と判定される。但し、137〜179分の解析区間と、158〜198分の解析区間では、「飲酒」と判定されていない。これは、その後の解析区間においてなお「飲酒」と判定されていることから誤判定と考えられるが、その要因は、被験者の眠気の増大による活性度の低下のためであったと考えられる。
図64〜図69は、小柄で、アルコールに非常弱いタイプの20歳代の男性被験者MA氏の解析結果を示す。解析区間は図64に示したとおりであり、実験開始(飲酒前)から実験終了(255.3分後)までの間で約20分間ずつスライドさせた解析区間1〜12を設定して解析を行った。なお、実験開始後45〜73分の間に飲酒(ビール1本)している。
図65は、この被験者MA氏の呼気アルコール濃度を示した図であり、この図に示したように、最も高い呼気アルコール濃度値は、0.19mg/lであった。これは酩酊度分類で爽快期の範囲でも上限に近く、アルコールに弱いため、自覚的にはほろ酔い気分であったとのことであり、また、実験中における閉眼も頻繁にみられたことから、酩酊期に近い状態であったと推定できる。
図66は、全解析区間の解析判定手段A(A手法)及び解析判定手段B(B手法)のデータを示した図であり、図67は、図66にプロットされた全ての座標点のsin表示座標及びtan表示座標である。これにより、図58の3つの条件を全て満足する「運転不適飲酒判定」となる解析区間が存在することがわかる。
また、解析判定手段A(A手法)及び解析判定手段B(B手法)のデータを解析区間毎に併せて表示した結果を図68及び図69に示した。被験者MA氏の場合、82〜121分の解析区間及び179〜236分の解析区間において、A手法及びB手法のいずれのデータもドーナツ状領域に含まれ、「飲酒」と判定されるが、43〜83分の解析区間、101〜140分の解析区間、120〜159分の解析区間、139〜179分の解析区間、159〜198分の解析区間、204〜243分の解析区間においては、A手法又はB手法のいずれか一方又は両方のデータが、外側円の外方にプロットされている。しかも、そのプロット位置がいずれも第1象限である。これは、飲酒によって、被験者MA氏が、爽快期を越える状態、すなわち、被験者MA氏にとっては過度の飲酒による不調状態に至ったことを示すものである。また、その座標点が第1象限にプロットされ、原点からの離隔距離が大きいのは、交感神経系の活動がアルコールによる刺激によって大きく作用したことを示している。このように、本発明の解析判定手段A及びBによれば、爽快期を越えるような飲酒量(もちろん個人差がある)で、不調状態に至ったことまで推定することができる。なお、60〜102分及び178〜217分の各解析区間では原点からの離隔距離が短くなっているが、これは、被験者の眠気の増大による活性度の低下のためであったと考えられる。
(普通状態(不調状態でもなく、アルコール摂取状態でもない)における疲労状態の推定)
図70は、図23及び図28の普通状態における時間経過によって疲労を感じる状態下での被験者01〜04、被験者内川(課題有り、課題なし)の解析判定手段A(A手法)及び解析判定手段B(B手法)のデータ、図30の被験者KA氏(課題有り)の解析判定手段A(A手法)及び解析判定手段B(B手法)のデータを示した図である。
図70の解析判定手段A及びBの各座標点について、sin角度及びtan角度を求めてsin表示座標及びtan表示座標を作成し、図71に示した。各試験例における被験者の状態とsinの角度とを照らし合わせた結果、第1解析判定手段951及び第2解析判定手段952を用いて次のように普通状態下における疲労か否かを判定することが適切であることがわかった。
すなわち、図72に示したように、解析判定手段A及びBにおいて内側円内に座標点がプロットされているという条件をまず満たすことが必要である。これに加えて、sin表示座標において所定の角度の範囲が図53において「運転不適」になる、+135度を中心とした±30度の範囲と、−135度を中心とした±30度の範囲にプロットされる場合(「体力・気力共に無い状態」)でないこと、又は、tan表示座標において第1から第3象限のみにプロットされるのではなく、第4象限にもプロットされることのいずれかの条件を満たすことが必要である。
そこで、上記2つの条件を満たすか否かを基準に、図32の被験者Aのデータ、図33の被験者Bのデータ、図34の被験者Cのデータを用いて検証する。
図73は、図32の被験者Aの解析判定手段A及びBの第2解析区間のデータを併せて示した図であり、図74は、第2解析判定手段952により処理したsin表示座標及びtan表示座標である。図73では、被験者Aの座標点は、いずれかの手法のものが内側円内にプロットされている。一方、図74のtan表示座標では第4象限にプロットされた座標点はないが、sin表示座標では、「運転不適」になる、+135度を中心とした±30度の範囲と、−135度を中心とした±30度の範囲にプロットされた座標点は存在しない。よって、上記2つの条件を満たすため、被験者Aは、試験期間中(1週間)の体調は、普通状態であり、その普通状態下において通常の活動による疲労を示していることがわかる。
図75は、図33の被験者Bの解析判定手段A及びBの第2解析区間のデータを併せて示した図であり、図76は、第2解析判定手段952により処理したsin表示座標及びtan表示座標である。図75では、被験者Aの座標点は、いずれかの手法のものが内側円内にプロットされている。一方、図76のsin表示座標では、「運転不適」になる、+135度を中心とした±30度の範囲と、−135度を中心とした±30度の範囲にプロットされた座標点が存在するものの、tan表示座標では第4象限にプロットされる座標点が存在する。よって、上記2つの条件を満たすため、被験者Bは、試験期間中(1週間)の体調は普通状態であり、その普通状態下において通常の活動による疲労を示していることがわかる。
図77は、図34の被験者Cの解析判定手段A及びBの第2解析区間のデータを併せて示した図であり、図78は、第2解析判定手段952により処理したsin表示座標及びtan表示座標である。図77では、被験者Aの座標点は、いずれかの手法のものが内側円内にプロットされている。一方、図78のsin表示座標では、「運転不適」になる、+135度を中心とした±30度の範囲と、−135度を中心とした±30度の範囲にプロットされた座標点が存在し、tan表示座標では第4象限にプロットされる座標点が存在しない。よって、上記2つの条件を満たさないため、被験者Cは、試験期間中(1週間)、体調が優れないことがあったと判定できる。
(不調状態の推定(個別事例))
病気などによる体調不良の状態(特に、病的状態で、上記の課題遂行困難状態に相当)であるか否かについて個別に第2解析判定手段952による解析を行った。
図79は、図24及び図29の被験者JYのデータを処理したものである。sin表示において+135度付近及び−135度付近にプロットされる座標点があり、tan表示において第4象限にプロットされる座標点が存在しないため、病的状態に該当する、と判定できる。従って、図24及び図29の解析結果と合致する。
図80は、図35の被験者「藤田良登」氏のデータを処理したものである。sin表示において+135度付近及び−135度付近にプロットされる座標点があり、tan表示において第4象限にプロットされる座標点が存在しないため、病的状態に該当する、と判定できる。
図81は、図36の被験者YA氏のデータを処理したものである。sin表示において+135度付近及び−135度付近にプロットされる座標点があり、tan表示において第4象限にプロットされる座標点が存在しないため、病的状態に該当する、と判定できる。
図82は、図37の被験者HO氏のデータを処理したものである。sin表示において+135度付近及び−135度付近にプロットされる座標点があり、tan表示において第4象限にプロットされる座標点が存在しないため、病的状態に該当する、と判定できる。
図83は、図39の被験者KA氏(うつ病)、HY氏(糖尿病)、NI氏(SAS(睡眠時無呼吸症候群)のデータを処理したものである。KA氏は、sin表示において−135度付近にプロットされる座標点があり、tan表示において第4象限にプロットされる座標点が存在しないため、病的状態に該当する、と判定できる。HY氏、NI氏は、sin表示において、+135度付近又は−135度付近にプロットされる座標点がないため、病的状態には該当しない、と判定できる。
以上のことから、第1解析判定手段951の解析判定手段A,Bによる座標点の離隔距離だけでいずれの状態かの判別が難しい場合でも、第2解析判定手段952を併せて推定することにより、状態推定がより適正化される。
(運転中の体調測定事例)
図84に示したように、所定地点まで約2時間の運転を行ってAPWを採取し、上記と同様の解析を行った。往路は、被験者JY氏が全て運転を行ったため、その124.2分間のデータを分析し、復路は、被験者JY氏が運転した40.8分間のデータと、被験者内川氏が運転した66.9分間のデータをそれぞれ分析した。
図85は、往路における被験者JY氏の解析判定手段A(A手法)及び解析判定手段B(B手法)の解析結果を示した図であり、図86は、図85にプロットされた座標点のsin表示座標及びtan表示座標である。なお、往路においては、被験者JY氏は、20分おきに断続的にコーヒーを飲み続けた。これはカフェインの効果が発現する時間が約20分間であることから設定した。図85より、A手法及びB手法共に、ドーナツ状領域にプロットされ、A手法及びB手法のみから判断した場合には、飲酒と判定されることになる。これは、コーヒーの飲用による特にカフェインの吸収・分解が、アルコールの吸収・分解に近似した過程を経ることによるものと推察される。しかしながら、図86のsin表示座標において、危険領域(極度の興奮状態)及びグレーゾーン(ネガティブゾーン)に含まれる座標点はない。従って、第2解析判定手段952を併用することにより、第1解析判定手段951(解析判定手段A及びB)において、「飲酒」と判定されても、第2解析判定手段952では「非飲酒」となることから、上記した飲酒による運転不適状態とは判定されないことがわかる。従って、この例は、非飲酒状態で、アルコール以外の薬剤成分(この場合はカフェイン)の薬理作用が強く作用したものと推定される。
図87は、復路における被験者JY氏の解析判定手段A(A手法)及び解析判定手段B(B手法)の解析結果を示した図であり、図88は、図87にプロットされた座標点のsin表示座標及びtan表示座標である。図87より、A手法及びB手法共に、内側円内にプロットされ、図88のtan表示座標でも第4象限にプロットされる座標点はなく、通常の疲労過程を経ている状態と推定できる。
一方、復路の途中で運転を交代した被験者内川氏の解析結果は、図89より、A手法及びB手法共に、外側円の外方にプロットされている。また、図90のsin表示座標では、図53で示した、+135度を中心とした±30度の範囲と、−135度を中心とした±30度の範囲にプロットされる「体力・気力共に無い状態」と判定される座標点がない。また、図90のsin表示座標及びtan表示座標共に、「飲酒」判定の条件を満たしていないものの第1象限にプロットされている。このことから、心臓の作用が機能低下の傾向にあるが、交感神経系の亢進により、急激な状態変化がもたらされたもの、すなわち、交感神経代償作用が機能したものと推定される。
(睡眠の質の推定1)
20歳代、30歳代及び80歳代の健康な男性被験者について、臥位状態での睡眠実験(睡眠時間夜間睡眠を実施した。実験は、簡易脳波計、指尖容積脈計、APW測定用のセンサマットを装着し、睡眠ポリグラフから判定される睡眠状態別に条件分けし、条件毎に解析してsin表示座標を得た。睡眠ポリグラフから判定された各条件は次のとおりである。なお、図91に、下記条件1〜6における睡眠ポリグラフ及びHFとLF/HFの時系列波形を示した。
(1)条件1:睡眠ポリグラフから、覚醒状態→睡眠段階1→2→3→4→4→2→1と推移したと判定される場合である。
このときの指尖容積脈を分析して得られたHFとLF/HFの時系列波形から推定される自律神経機能の状態は次のとおりである。
覚醒状態→睡眠段階1にあたる入眠時は、交感神経機能が低下した。睡眠段階2→3→4の間は、ノンレム睡眠移行期で、副交感神経が亢進している。徐波睡眠が最も多く出現しているので、交感神経活動の群発頻度は覚醒時に比べて少なく、覚醒時の半分までに下がっている。徐波睡眠は脳の休養であり、精神的な緊張の緩和にとって重要である。睡眠段階が4→3→2→1と移行している場合は、副交感神経が亢進したまま、交感神経活動が群発している。したがって、睡眠中の交感神経機能と睡眠深度は相関しないことになる。一方、副交感神経の亢進とは相関が高く、熟睡感と密接に関係している。つまり、ノンレム睡眠時は副交感神経の機能が、レム睡眠期には交感神経系の機能が亢進したものと解釈できる。
(2)条件2:睡眠ポリグラフから、睡眠段階3→2→1→3→2→中途覚醒→2→4→1→2→3→2→中途覚醒→1→2→レムと推移したと判定される場合である。
自律神経機能から概観すると、交感神経活動の群発により交感神経機能の働きが高まり、ノンレム睡眠の深い睡眠から浅い睡眠に移行したが、副交感神経の亢進により深い睡眠にゆり戻されたと解釈できる。そして外からの刺激を受けて強制的に目覚めさせられたと思われるが、著しい心悸亢進などの自律神経系の反応が生じたと思われる。この外的刺激や内的刺激によって、一時的に交感神経の働きが高まったと考えられる。交感神経の高まりによるものか、副交感神経機能の低下によるものか分からないが、その後覚醒に移行せずに心拍数の増加にもかかわらず、深い睡眠が継続したと解釈できる。ただし、この辺りから、熟睡感が低下して行ったものと思われる。そして、副交感神経系の働きが低下し、交感神経の活動が高まり、レム睡眠に移行したと思われる。
(3)条件3、条件4:いずれも条件2と同じような経緯をたどりながら深い眠りに移行した場合で、レム睡眠からノンレム睡眠に移行していき、レム→1→2→3→2→1→2→1を繰り返したと判定される場合が条件3であり、レム→1→2→3→4→2→3と副交感神経の亢進とともに睡眠深度を深めて行ったのが条件4である。
つまり、睡眠中の交感神経機能と睡眠深度は相関しない。一方、副交感神経の亢進とは相関が高く、熟睡感とは密接に関係している。つまり、ノンレム睡眠時は副交感神経の機能が、レム睡眠期には交感神経系の機能が亢進することになる。
(4)条件5:レムとノンレムを繰り返した後、後半にノンレムに移行した事例である。全般的に副交感神経の働きは高いが、交感神経の群発頻度は覚醒時と同じ程度になっている。つまり、ノンレム睡眠時は副交感神経の機能が、レム睡眠期には交感神経系の機能が亢進した。
(5)条件6:レムとノンレムを繰り返し続けた事例である。副交感神経機能の低下と交感神経の高まりが生じ、心拍数は増加した。睡眠覚醒リズムに代表されるような意識活動は自律神経系の支配を受け、覚醒時は交感神経系が優位に働き、副交感神経の働きは低下するといわれている事例に当たる。
条件1に対して、条件2〜4はレム睡眠と中途覚醒が頻発し、熟睡感は乏しいものの条件1で睡眠による休息を取っているため、起床の準備の睡眠となっている。条件5は、ノンレム睡眠の中にレム睡眠が混在し、質の悪い睡眠と考えられる。条件6は、うつらうつらしているものと考えられ、質の悪い睡眠となる。
条件1〜6について、第1解析判定手段951及び第2解析判定手段952により解析し、sin表示座標及びtan表示座標を求め、図92に示した。条件1の座標点をいずれも原点にプロットしたが、条件2、条件3及び条件4の座標点が、sin表示座標では第2象限に、tan表示座標では第1象限にそれぞれ比較的近い位置にプロットされている。これに対し、条件5及び条件6の質の悪い睡眠は、いずれも、条件2〜4とは異なる位置にプロットされており、睡眠の質により、sin表示座標及びtan表示座標におけるプロット位置が区別できることがわかる。特に、sin表示座標においてその差は顕著であり、条件1〜4の良質の睡眠は縦軸の左側(第2及び第3象限側)に、条件5〜6mの質の悪い睡眠は縦軸の右側(第1及び第4象限側)に偏在する傾向があることがわかる。
なお、夜間睡眠の解析に当たって、第1解析判定手段951の解析判定手段A(A手法)の演算を行う場合は、図12に示した覚醒時のように、解析区間の時間を約45分とするのではなく、約90分で行う。また、第1解析判定手段951において解析判定手段B(B手法)の演算を行う場合も、図15に示した、解析区間のほぼ全範囲である約38分間の解析波形(a区間)と最初の20分間の解析波形(b区間)との比較で演算するのではなく、図93に示したように、約90分の各解析区間を前半(45分間(a1)と後半(45分間(b1))に分け、前半における両対数軸表示の解析波形と後半における両対数軸表示の解析波形との比較で、次式:b1+(b1−a1)×3により求めた点数を用いる。これは、夜間睡眠の場合には、レム睡眠とノンレム睡眠を平均的に約90分(約80分〜約110分の範囲で個人差がある)のサイクルで繰り返す。そのため、夜間睡眠における状態把握において、覚醒時や昼寝時(短時間睡眠時)と同様に、全体に対する前半部分の状態を見ただけでは、正確な状態変化を把握しにくい。睡眠のサイクルに合わせて約90分の解析区間の中の前半と後半に分けてその間でどのように変化しているかを判定する必要があるからである。
なお、各解析区間の点数を求めたならば、基準となる第1解析区間の点数を座標原点としてプロットし、第2〜第4解析区間の点数と第1解析区間の点数との差を求め、座標にプロットしていくことは、図16で説明した覚醒時において解析手段B(B手法)を用いる場合と同様である。
以下の説明において、夜間睡眠実験において適用した解析判定手段B(B手法)は、図93に示した約90分の各解析区間を前半と後半に分ける計算条件により求めている。
(睡眠の質の推定2)
30歳代の女性被験者OG氏が、通常の夜間睡眠の際に寝具に生体信号測定手段をセットし、生体信号(APW)を採取して解析した。実験は延べ1ヶ月間行った。図94及び図95は、解析判定手段A及びBによる解析結果である。図94において、20111003と20110320は、被験者が十分な睡眠がとれたことを顕著に自覚した比であるが、これらの日のデータは、第2解析区間における座標点が原点から10以上離間している。従って、良質な睡眠がとれているか否かの一つの判定基準として、半径10の内側円の外側に座標点がプロットされることが挙げられる。また、図94の解析判定手段Aを見ると、全体として、第1及び第4象限側に偏在している。第1象限は、副交感神経よりも交感神経活動が優勢であり、集中度は高いがリラックスできない領域であり、第4象限は交感神経及び副交感神経のバランスがよく、集中度が高い中でリラックスできている領域である。つまり、この被験者の場合、解析判定手段Aから判定できる全体の体調変化の推移方向は、集中度の高い方向であるといえ、また、どちらかと言えば、第4象限よりも第1象限に変位する日が多いことから、リラックスできずに睡眠に入っていることが多いことが推定できる。その一方、図95の解析判定手段Bの結果を見ると、第1解析区間以降の変位が大きい日が多く、全体として第1〜第4象限に分散しており、リラックス状態の中での集中度の高い状態(第4象限)、リラックス状態の中で集中度の低い弛緩した状態(第3象限)、リラックスできない状態の中で集中度の高い状態(第1象限)、リラックスできない状態の中での弛緩状態(第2象限)の各状態がいずれかに偏ることなく出現しており、この被験者は、質の高い睡眠がとれていることがわかる。すなわち、この被験者は、機能回復手段としての睡眠がうまくとれている。
図96は、第2解析判定手段952により求めたsin表示座標であり、図97は、第2解析判定手段952により求めたtan表示座標である。これらの図において、「GOOD」は自覚的に熟睡感が高く中途覚醒のない睡眠時の解析結果であり、「BAD」は中途覚醒を含んだ熟睡感の低い睡眠時の解析結果である。図96及び図97に示したように、sin表示座標及びtan表示座標のいずれも、中途覚醒のない事例では、第2及び第3象限に分散する傾向があり、中途覚醒を伴う場合には第1及び第4象限に分散する傾向があることがわかる。特に、図96のsin表示座標ではその傾向が顕著にわかる。この点は、上記の(睡眠の質の推定1)の実験と同様であり、特にsin表示座標においていずれの象限にプロットされるかにより、睡眠の質を明確に判定できることがわかる。
ここで、中途覚醒のない質の高い睡眠がとれた上記20111003のデータを解析し、図98(a)として、体調マップ、感覚マップを示すと共に、周波数傾き時系列波形を周波数解析してパワースペクトル密度を両対数表示した図を示す。この図より、体調マップでは、時系列変化線が45度に近い右肩下がりの軌跡を描いていると共に、感覚マップでは、縦軸の−20の値に相当する仮想線を挟んで上下にほぼ均等の変位であり、横軸にほぼ平行に推移している。従って、この体調マップ及び感覚マップを見ても、20111003は極めて良質な睡眠がとれていることを示す。一方、図98(b)は、20111004の測定結果から求めた体調マップ、感覚マップ、パワースペクトル密度の両対数表示である。20111004のデータも、図94で見ると良好な方である。体調マップの時系列変化線が右肩下がりであるが第1象限に偏っており、リラックスできない状態になっている。また、感覚マップも、横軸と略平行な推移を示すものの、20111003のデータと比較すると乱れている。従って、20111004は、まずまずの睡眠であるが、20111003と比較すると緊張度の高いリラックスできない睡眠であると言える。
中途覚醒のない質の高い睡眠のとれた20111003において、周波数分析手段80により、所定の時間毎に周波数傾き時系列波形を周波数解析し、周波数を横軸とし、パワースペクトル密度を縦軸としての両対数表示し、さらに、ゆらぎ波形分析手段90の回帰直線演算手段901により回帰直線を求め、判定基準点算出手段902により判定基準点を求め、図99〜図102(いずれも90分間の解析区間であり、図99が最初の解析区間、図100は次の解析区間、図101はさらに次の解析区間、図102はさらに次の解析区間)に示した。この図から、長周期領域、中周期領域、短周期領域の各回帰直線の傾きに注目すると、長周期領域の回帰直線の傾きがほとんどのケースで負になっていることがわかる。その一方、中周期領域及び短周期領域の回帰直線の傾きは正及び負の両方が存在する。図103は、その代表例を抜き出した図である。
このことから、睡眠中は、基本的に長周期領域(図103のAの領域)の回帰直線の傾きは負であり、中周期領域及び短周期領域(図103のBの領域)の回帰直線は、睡眠中でも、交感神経が亢進して交感神経の代償作用が生じると正の傾きになるケースが多いことがわかる。従って、状態推定手段95は、睡眠中において、この回帰直線の傾き、すなわち、長周期領域が負の状態において、中周期領域及び短周期領域の傾きが正であるか負であるかを判定することにより、睡眠中に交感神経の活動が亢進しているか否かという点についての睡眠の質判定を行うことができる。
(睡眠の質の推定3)
図104〜図109は、20歳代の女性被験者MU氏の解析結果を示した図であり、このうち図104及び図105は覚醒時の解析結果を、図106及び図107は、30分程度の機能回復手段としての昼寝(短時間睡眠)を行った際の解析結果を示す。なお、被験者MU氏は、測定時において自律神経系の機能不全の兆候を示していた。
まず、図104の解析判定手段A(A手法)の結果を見ると、第1及び第2象限に座標点が偏っていることがわかる。すなわち、基本的にリラックスできない状態であり、その中で集中(緊張)状態(第1象限)と弛緩状態(第2象限)を繰り返すように体調が大きく推移している。また、原点からの離隔距離を見ると、内側円に相当する離隔距離10の半分以下の測定日があり、不調であることがわかる。また、解析判定手段Aが人の状態をマクロで判定するようなものであり、解析判定手段B(B手法)は、解析時の体調を示す相対的にミクロの体調判定手法といえるが、その意味で、ミクロに見ると、第3(リラックスで弛緩した状態)及び第4象限(リラックスしつつ集中した状態)へのばらつきがあるものの、第1及び第2象限への分布もあり、特に、原点からの離隔距離では第2象限が長く、第4象限が短いことから、やはり、副交感神経の活動が弱く、リラックスできない傾向が強いことが分かる。
図105のsin表示座標及びtan表示座標を見ると、全体に分布しているが、sin表示座標では、第1及び第4象限への偏在が見られる。このような偏在を示すことも、被験者の基本的体調が優れていないことを示すものである。
図106の解析判定手段A(A手法)でもやはり第1象限及び第4象限に偏在している。昼寝による休息効果で、第4象限に移行する日もあるが、第1象限で大きく変位する日の方が多く、昼寝をしてもリラックスできずに疲労が蓄積する傾向が高い。解析判定手段B(B手法)でみてもやはり第1象限における離隔距離が大きい日が多く、リラックスできない日があることを示している。
図107のsin表示座標は全体に分布しているが、tan表示座標はどちらかと言えば第1象限に偏在している。従って、このことからも、緊張状態でリラックスできない日が多いことがわかる。
図108〜図109は、MU氏の覚醒時及び昼寝時の比較を示した図である。なお、各図中、白丸で表示された「GOOD」は自覚的に体調のよいときの解析区間の解析結果であり、黒色の四角で表示された「BAD」は自覚的に体調の悪いときの解析区間の解析結果である。覚醒時は、図108に示したように、sin表示座標及びtan表示座標のいずれにおいても、体調の良い状態では、第1及び第4象限に座標点が偏在している。第1象限での分布が多いことから、体調の良いときでも緊張程度の高いことがわかる。
また、昼寝時は、図109に示したように、sin表示座標及びtan表示座標のいずれにおいても、解析判定手段B(B手法)に対応する横軸に沿って分散する傾向があることがわかる。すなわち、MU氏は、昼寝をした際、生体状態が変化した後の変化率に従って回復をしていくタイプであり、生体状態の変化で回復していく過程より外乱の影響を受けやすく、睡眠が浅くなりやすく、比較的短時間で目が覚めてしまうような睡眠ないしだらだらとした睡眠になる傾向が強いと推察される。
図110は、被験者MU氏の夜間睡眠実験の結果を示したsin表示座標である。図96に示したOG氏のデータは、中途覚醒のない「GOOD」の事例では、第2及び第3象限側に分散する傾向があり、中途覚醒を伴う「BAD」場合には第1及び第4象限側に分散する傾向がある。これに対して、本被験者MU氏の場合、中途覚醒を伴う「BAD」の場合には第1及び第4象限側に分散するものの、中途覚醒のないとされる「GOOD」の事例では、第2及び第3象限側に分散する座標点がある一方で、第1及び第4象限側に分散される座標点もある。これは、被験者MU氏が自律神経系の機能不全の兆候を有していることから、自覚症状と解析結果との不一致が生じたものである。すなわち、被験者MU氏が自覚的に熟睡感を伴って中途覚醒がないと感じていたとしても、第1及び第4象限側にプロットされている夜間睡眠時は、中途覚醒が伴って質の悪い睡眠であったことを示している。換言すれば、被験者MU氏は、客観的な観点からは普段あまりよい睡眠をとっていない。従って自覚的に「GOOD」と感じても、第1及び第4象限側にプロットされている場合には、普段あまり質の高くない睡眠をとっていることとの相対から感じる感覚であり、本発明の判定手法に従えば、客観的には、「BAD」と判定されることになる。一方、「GOOD」の事例の中の第2及び第3象限側に分散するケースは、被験者MU氏の機能が回復したためであり、本発明の判定手法は、被験者の主観に左右されない客観的な判定手法となり得るといえる。
図111は20歳代の被験者KT氏の解析結果である。この被験者KT氏も自律神経系の機能不全の兆候を有している。そのため、自覚的に「BAD」の測定日では、第1及び第4象限側に分散されているが、自覚的に「GOOD」の測定日において上記被験者と同様にデータの解析結果との不一致が生じている。この被験者KT氏も被験者MU氏と同様に、「GOOD」の事例中の第2及び第3象限側に分散するケースは、機能回復により客観的判断と整合するようになったものである。
(睡眠の質の推定4)
次に、20歳代の男性被験者YG氏に、3種類のベッドA,B,Cで3日間にわたって、夜間それぞれ6.5時間前後の睡眠をとらせ、その際に採取した生体信号(APW)を解析し、被験者YG氏に適するベッドの選択を行った。なお、この被験者YG氏は平均睡眠時間4時間前後のいわゆるショートスリーパーである。
図112、図118及び図126は、ベッドA,B,Cで睡眠した際の解析区間(解析時間帯)を示した図である。図113、図119及び図127は、体調マップと感覚マップを示し、図114、図120及び図128は、第1解析判定手段951における解析判定手段A(A手法)及び解析判定手段B(B手法)の解析結果であり、図115、図121及び図129は、第2解析判定手段952の解析結果である。
ここで、図116〜図117は、ベッドAで睡眠した際に測定した既存の睡眠時における人の状態を測定する手段による測定結果を示したものであり、上から順に脳波による睡眠深度の判定結果、指尖容積脈波のパワーと及び最大リアプノフ指数の傾き時系列波形、心電図の波形をウエーブレット解析したHF及びLF/HFの時系列波形、活動量計(アクティウオッチ)による活動量時系列波形、姿勢状態の推移、ベッドAとの接触面の温度の推移、指尖容積脈波から求めた睡眠代謝の推移を示す。図122〜図125は、ベッドBで睡眠した際に測定した既存の睡眠の状態(質)を測定する手段による測定結果を示したものであり、上から順に脳波による睡眠深度の判定結果、指尖容積脈波のパワーと及び最大リアプノフ指数の傾き時系列波形、心電図の波形をウエーブレット解析したHF及びLF/HFの時系列波形、姿勢状態の推移、指尖容積脈波から求めた睡眠代謝の推移を示す。図130〜図133は、ベッドCで睡眠した際に測定した既存の睡眠の状態(質)を測定する手段による測定結果を示したものであり、上から順に脳波による睡眠深度の判定結果、指尖容積脈波のパワーと及び最大リアプノフ指数の傾き時系列波形、心電図の波形をウエーブレット解析したHF及びLF/HFの時系列波形、姿勢状態の推移、指尖容積脈波から求めた睡眠代謝の推移を示す。
一般に、レム睡眠とノンレム睡眠が約90分周期できちんと繰り返され、かつ中途覚醒のないことが質の高い睡眠とされ、さらに、レム睡眠のときに起きるとすっきりと目覚めることができる。この点を、図116〜図117、図122〜図125及び図130〜図133の既存の指標で判定すると、被験者YG氏の場合、ベッドA,B,Cのいずれでも所定以上の質の睡眠がとれているが、ベッドAでの睡眠の質が最も高く、次いで、ベッドB、ベッドCとなる。
そこで、この判定結果を本発明の手法と対比する。まず、図113、図119及び図127の体調マップで比較すると、ベッドAでは時系列変化線が主に第4象限で1/f(45度)の傾きで推移している。ベッドBでは、時系列変化線が第1象限において1/fの傾きで推移している。ベッドCでは、時系列変化線が第1象限及び第4象限を跨いで1/fの傾きで推移している。感覚マップは、ベッドAでは、時系列変化線が一旦、第4象限内で下方に移行した後、横軸にほぼ平行に推移している。また、中途で第1象限側に飛び跳ねており、一時的に高揚感があることがわかる。ベッドB及びベッドCでも時系列変化線が一旦下降した後、横軸にほぼ平行に推移すると共に、中途で一時的な高揚感が存在している。但し、一時的な高揚感が生じて、もとの横軸にほぼ平行なラインに戻るまでの幅が、ベッドAが最も長く、次いでベッドBで、ベッドCが最も短い。
これらのことから体調マップでは、1/f(45度)の傾きで推移するほど質の高い眠りをとれているといえ、特に、リラックス領域である第4象限での推移時間が多いほど睡眠の質の点では好ましい。感覚マップでは、横軸に平行に推移して、上下変動が少なく安定しているほど睡眠の質の点では好ましいと言えるが、中途で高揚が生じた場合には、急変するのではなく、徐々に高揚して徐々に戻る方が安定性が高く好ましい。なお、一旦下方に下降するのは、睡眠に入る過程を示すものであり、このような下降過程がなく、最初から横軸に沿って進行する場合は、即座に睡眠に入ったことを意味する。
ここで、体調マップとは、解析区間毎に、当該解析区間内で解析時間を異ならせた解析時間同士の差を利用して所定の基準で順次座標点を求めて時系列変化線を示した図であり、当該解析区間内での時系列の体調変化を示す。これは、状態推定手段95に設定されるコンピュータプログラムである体調マップ作成手段により作成される。具体的には、上記した解析判定手段Aの手順A1、A2と同様の手法であり、各解析区間における解析時間をより細かく区分けして、初期位置を原点とせず、最初の解析区間から最後の解析区間まで連続的に座標点をプロットして時系列変化線を作成している。
感覚マップとは、解析区間毎に、当該解析区間内で解析時間を異ならせた解析時間同士の差を利用して体調マップ作成手段とは異なる基準で順次座標点を求めて時系列変化線を示した図であり、当該解析区間内での時系列の感覚変化を示す。これは、状態推定手段95に設定されるコンピュータプログラムである感覚マップ作成手段により作成される。具体的には、ゼロクロス検出手段を周波数解析して得られた体調変化点を横軸とし、ピーク検出手段により得られた周波数変動の時系列波形から求められるグラフの変化量(傾き)を縦軸に用いて示したものである。なお、周波数変動の時系列波形は、上記した周波数演算手段710により得られた時系列波形において、所定のオーバーラップ時間で設定した所定の時間窓毎に周波数の平均値を求める移動計算を行い、時間窓毎に得られる周波数の平均値の体調変化点を周波数変動時系列波形として出力したものである。本発明の生体状態推定装置のコンピュータプログラムである周波数変動演算手順により実行される周波数変動演算手段により求められる。ピーク検出手段による周波数変動の時系列波形は、心拍数の周波数変動に連動しているため、周波数変動の時系列波形の変化量(傾き)が増加、減少、停滞のいずれであるかにより、心拍数が増加、減少、停滞のいずれであるかを高い感度で容易に判定でき、人がそのときに感じている知覚(この知覚は、心拍数の増減を色濃く反映しているため)をより直接的に反映する指標となる。
次に、図114、図120及び図128に示した第1解析判定手段951における解析判定手段A(A手法)及び解析判定手段B(B手法)の解析結果を、上記した既存の指標と対比する。まず、図114では、B手法において2点目のデータが原点から内側円付近にまで大きく変位している。図120では、B手法において3点目のデータが原点から内側円を超えた位置まで大きく変位している。図128では、A手法において2点目のデータが原点から内側円を超えた位置まで大きく変位していると共に、B手法では、3点目のデータが原点から内側円付近まで変位している。このことから、睡眠初期の段階で、解析判定手段A(A手法)及び解析判定手段B(B手法)のいずれか少なくとも一方において、座標点の大きな変位を示すことが良質な睡眠の判断基準となる。すなわち、通常の夜間睡眠をきちんと摂ることは人が生きるために重要な機能回復行為であり、その重要性は、昼寝などの一時的な睡眠よりもあるかに大きい。従って、機能回復のための所定時間以上の睡眠(通常の夜間睡眠)中の肉体的状態(心臓を含む器官の状態)は、疲労が進行する覚醒時の状態とは大きく異なると考えられる。そのため、睡眠状態になると、覚醒時(原点)に対してこのような大きな変位を示すものと考えられる。
次に、図115、図121及び図129に示した第2解析判定手段952の解析結果を、上記した既存の指標と対比する。各図において、図の左側のsin表示座標及びtan表示座標は、入眠開始から最初の解析区間を原点にプロットして比較したものであり(開始基準)、図の右側のsin表示座標及びtan表示座標は、起床直前の解析区間(実験の最後の解析区間)を原点にプロットして比較したものである(終了基準)。特に顕著の差が出ているのがここではsin表示座標なのでsin表示座標同士で比較する。この被験者は上記したようにショートスリーパーであり、一般の人と比較して短時間で覚醒しやすい。そのため、本実験のような長時間の睡眠では、中途覚醒のない良質な睡眠という判定にはなりにくい。従って、これらの図において、第2及び第3象限側にプロットされる座標点がこの被験者は基本的に少ない傾向がある。
その中で、図129は、特に、終了基準で見ると明確であるが、前半の座標点が第1及び第4象限側に偏在しており、前半の睡眠が深くないことがわかる。図121の場合、開始基準、終了基準のいずれの場合も変化が少なくゆらぎが小さい。これは、質のよい睡眠に必要なレム睡眠、ノンレム睡眠の差がないことを示すものであり、質の高い睡眠とはいえない。これに対し、図115では、図121の場合よりも分散しており、また、終了基準で見ると、全体的に、他のケースよりも全体的に第2及び第3象限寄りの傾向がある。従って、この被験者YG氏の場合、このように相対比較することで、ベッドAが適しているといえる。
(ピーク/ゼロクロス検出手段に関する検討1)
飲酒実験と疲労実験の解析を行った。飲酒実験の解析は、図21の5人の男性被験者のデータに、さらに女性被験者1名のデータも用いて行った。なお、被験者の平均年齢は22.8±4.5歳であり、実験前に行ったアルコールパッチテストでは全被験者とも活性型であった。摂取したアルコールは、上記したように、缶ビール500ml(アルコール濃度5%)1本を摂取した場合(被験者01〜04、06)と、焼酎180ml(アルコール濃度17%)を摂取した場合(被験者:05、06)である。なお、体重当たりのアルコール摂取量は0.36±0.03g/kgであった。
解析対象の時間帯は、非飲酒状態の実験開始後35〜45分と飲酒終了後10〜20分である。また、検出したAPWに対してピーク検出手段とゼロクロス検出手段を用いて時系列波形に変換し、周波数変動に関する傾き時系列波形を求めた。この時系列波形に対しスペクトル解析を行い、両軸対数表示し、近似線を求めた(以後フラクタル解析結果と呼ぶ)。
図134は呼気アルコール濃度を示す。全ての被験者において0.11〜0.18mg/lであり、微酔爽快期であるという結果を示した。図135は飲酒前後のAPWに対するフーリエ変換の結果とフラクタル解析結果を示す。飲酒前に対し飲酒後は1Hz近傍のピーク周波数が分散していることから、飲酒によって心拍が乱れ、心臓が不規則振動系になったことを示した。また、フラクタル解析結果は、ゼロクロス検出手段による波形よりもピーク検出手段による波形の方が、0.01〜0.04Hzの成分で大きな変化をしていることから、心臓の制御に変化が生じたことがわかる。
図136は、着席状態で60分間コンピュータゲーム(課題)を行った場合であり、課題開始前後のAPWに対するフーリエ変換の結果とフラクタル解析結果を示す。1Hz近傍の周波数帯の変化は小さく、0.5Hz〜1Hz間の変化が大きい。また、フラクタル解析では、ピーク検出手段よりゼロクロス検出手段による波形の0.001〜0.0053Hzの成分で大きな変化が生じた。図137は、タウリン含有量の高い栄養ドリンクAを飲用した場合であり、図136の課題を課した場合と同様の傾向を示している。但し、摂取後は、0.5次成分のパワースペクトルが低下するも、それほど大きな変化ではなく、低下が認められる、というレベルであり、かつ、1次成分はやや不規則振動系の様相を呈している。
すなわち、APW原波形のスペクトル変化は、疲労時(課題有り)のデータ及び栄養ドリンクA摂取のデータは、いずれも、課題開始前又は摂取前よりも、課題開始後又は摂取後の方が、0.5次成分のスペクトルが小さくなっている。1次成分のスペクトルは、中心周波数はほとんど変化せず、調和振動である。これに対し、飲酒の前後を比較すると、1次成分のスペクトルが大きく低下し、かつ不規則振動に変わっていることがわかる。そして、心拍変動の中心周波数は1.2Hzから1.0Hzへ移行していき、睡眠による心拍数の低下が認められる。
一方、ゼロクロス検出手段とピーク検出手段から求めた傾きは、疲労時(課題有り)のデータ及び栄養ドリンクA摂取のデータにおいては、課題開始前後又は摂取前後において変化が小さく、ほぼ1/fであり、交感神経と副交感神経のバランスがとれた状態であると考えられる。これに対し、飲酒のデータでは、飲酒前はほぼ1/fの傾きであるのに対し、飲酒後は、ゼロクロス検出手段とピーク検出手段のいずれも0.01Hz近傍で分岐現象が現れている。これは、心拍変動の乱れによる上記の不規則振動によるものと考えられる。この事例からも、APWは体の大まかな状態変化を捉えることができ、APWの極・超低周波は自律神経系の反応を捉えられることができるといえる。
図138は、指尖容積脈波から求めたHF、LF/HFの結果を示す。飲酒条件下では、飲酒後約20分を境に交感神経系・副交感神経系共に、それらの亢進が生じている。また、着座疲労条件下では、交感神経系の働きが低下していることがわかる。これらは、図135に示すAPWの結果と同様の結果である。図134で示されたようにアルコール濃度が酒気帯びと判断される0.15mg/lを超えているかどうかに関わらず、飲酒をした状態では、図135に示されるように心臓の動態に不規則振動系の変化が生じ、ピーク検出手段から得た時系列波形に変化が生じた。飲酒により心拍数上昇などの心臓の活動レベルに変化が生じるが、アルコールの急性作用としては血圧が低下するとの報告もある5)。ここに、飲酒により心臓自律神経系の亢進と交感神経系活動の低下が生じることが示唆されるが、微酔爽快期では、自律神経系の亢進が問題となり、安静状態での比較では、飲酒による影響はピーク検出手段によるフラクタル解析手法が有効と考えられる。なお、図135と図136の結果から、ピーク検出手段は交感神経・副交感神経系の働きを示し、ゼロクロス検出手段は交感神経系の働きを示すことが示唆された。
以上のことから、APWから求められた傾き時系列波形のフラクタル解析結果を利用することにより、飲酒の有無の推定の可能性が示唆された。但し、ゼロクロス検出手段においても0.01〜0.04Hzの帯域で変化が認められるため、両方の成分を考慮する方がより望ましいと考える。
(ピーク/ゼロクロス検出手段に関する検討2)
上記した説明では、いずれも、ゼロクロス検出手段及びピーク検出手段により求めた周波数時系列波形を用いて解析してる。ここで、上記したように、ゼロクロス検出手段により得られる周波数の時系列波形は、交感神経系の作用に対応しているが、ピーク検出手段により得られる周波数の時系列波形は、交感神経と副交感神経の両作用を含む、すなわち、交感神経活動によって制御された副交感神経系の作用(交感神経代償作用が含まれた副交感神経活動)である。そこで、交感神経の指標が含まれていない副交感神経活動のみに対応した指標を求めることにより、交感神経と副交感神経の各活性度合いをより明確に捉えることができる可能性がある。
そこで、本発明の生体状態推定装置では、副交感神経活動のみの指標を捉える手段として、ピーク/ゼロクロス検出手段を設定した構成とすることもできる。ピーク/ゼロクロス検出手段は、ピーク検出手段におけるピーク点を用いた周波数の時系列波形のデータを、ゼロクロス検出手段におけるゼロクロス点を用いた周波数の時系列波形のデータで除し、得られたピーク/ゼロクロス値を用いた周波数の時系列波形を求める手段である。
そして、周波数傾き時系列波形解析演算手段は、前記ゼロクロス検出手段及び前記ピーク/ゼロクロス検出手段のそれぞれから得られる周波数の時系列波形のそれぞれから周波数傾き時系列波形を求め、ゆらぎ波形分析手段が、ゼロクロス検出手段を用いた周波数の時系列波形から得たゆらぎ波形を基に第1の判定基準点とし、ピーク/ゼロクロス検出手段を用いた周波数の時系列波形から得たゆらぎ波形を基に第2の判定基準点として求める。状態推定手段は、前記第1の判定基準点を一方の軸の指標に、第2の判定基準点を他方の軸の指標とし、前記座標系上の座標点を求める。
図139は、図59〜図63で解析した被験者内川氏のデータのピーク検出手段を用いた周波数時系列波形(Peak周波数時系列波形)、ゼロクロス検出手段を用いた周波数時系列波形(0x周波数時系列波形)、及びピーク/ゼロクロス検出手段を用いた周波数時系列波形(Peak/0x周波数時系列波形)を示す。図140は、図139の各周波数時系列波形から求めた周波数傾き時系列波形を示した図である(Peak周波数時系列波形、0x周波数時系列波形、Peak/0x周波数時系列波形)。
図141は、上記により求めた0x周波数傾き時系列波形とPeak/0x周波数傾き時系列波形を解析した際の解析区間を示した図である。図142及び図143は、Peak/0x周波数傾き時系列波形を解析区間毎に周波数解析して両対数表示のゆらぎ波形を求めた図である。図144及び図145は、0x周波数傾き時系列波形とPeak周波数傾き時系列波形を解析区間毎に周波数解析して両対数表示のゆらぎ波形を求めた図である。図142及び図143と図144及び図145を比較すると、Peak/0x周波数傾き時系列波形の両対数表示のゆらぎ波形と、Peak周波数傾き時系列波形の両対数表示のゆらぎ波形とが異なることがわかる。
図146は、上記ゆらぎ波形を用いた解析判定手段A(A手法)及び解析判定手段B(B手法)による解析結果を示した図である。0x周波数傾き時系列波形の上記ゆらぎ波形から求めた判定基準点を用いて横軸を設定し、Peak/0x周波数傾き時系列波形の上記ゆらぎ波形から求めた判定基準点を用いて縦軸を設定している。なお、比較のため、図60のPeak周波数時系列波形を用いた結果も一緒に示している。また、図147は、図146の座標点のうち、Peak/0x周波数傾き時系列波形の判定基準点を縦軸としてプロットした座標点について求めたsin表示座標及びtan表示座標である。さらに、図148及び図149は、図62及び図63と同様に、図146の解析判定手段A(A手法)及び解析判定手段B(B手法)のデータを解析区間毎に表示した結果である。なお、図148及び図149では、図62及び図63に示した縦軸をPeak周波数時系列波形から求めて得られた結果も併せて表示する(図中、「Peak A」及び「Peak B」は、縦軸をPeak周波数時系列波形から求めたデータであり、「Peak/0x A」及び「Peak/0x B」は、縦軸をPeak/0x周波数傾き時系列波形から求めたデータである)。また、「飲」の表示は、図62及び図63の縦軸をPeak周波数時系列波形から求めて得られた結果に基づいて「飲酒」判定された解析区間を示す。
図146の解析判定手段A及びBの結果では、Peak周波数時系列波形を用いた結果と比較した場合、Peak/0x周波数傾き時系列波形を用いて得られた座標点は、全体的に第3象限及び第4象限方向にずれてプロットされている。また、図148及び図149の解析区間毎にみると、Peak周波数時系列波形を用いた結果で「飲酒」判定された解析区間でも、Peak/0x周波数傾き時系列波形を用いた結果では「飲酒」判定に相当しないことがわかる。その一方、Peak/0x周波数傾き時系列波形を用いた結果では、第3及び第4象限にプロットされる座標点が多くなる傾向が強い。これは、Peak/0x周波数傾き時系列波形を用いた場合には、副交感神経の様子を感度良く反映するため、飲酒によってリラックスしたことの情報が鋭敏に現れて体調との相関性が高くなっているためと推察される。その一方、飲酒によって交感代償作用が影響を受けたことの情報が考慮されなくなるため、解析判定手段A及びBの両方のデータが共にドーナツ状領域にプロットされるケースが少なくなり、「飲酒」判定には、交感代償作用が考慮されたPeak周波数時系列波形を用いた方が適切であると言える。
ここで、図144は、Peak周波数時系列波形に基づく指標を縦軸に用いて作成した体調マップと感覚マップを示し、図145は、Peak/0x周波数傾き時系列波形に基づく指標を縦軸に用いて作成した体調マップと感覚マップを示す。体調マップはいずれも1/fに近い傾きを有しているが、被験者が実験初期において若干の緊張状態であった時点からアルコール摂取によりリラックスしていったという体調変化は図145の方が適切に現れている。その一方、感覚マップについては、アルコールを摂取しつつも交感代償作用によって気持ちを安定化させる意識が働いていたことから、図144の方がその傾向が適切に現れているといえる。
これらのことから、ピーク/ゼロクロス検出手段を用いた場合には、縦軸にピーク検出手段から用いて得られたデータを採用する場合と比較し、従属変数が少なくなることから、その感受性が増し、より適確に自律神経系の制御の様子を捉えているものであるといえる。但し、鋭敏で感受性が増すため、交感代償作用がある状態を基本の状態と認知している感覚とのギャップが広がる可能性があるが、体調との相関性は高くなると推察される。すなわち、純粋に交感・副交感の機能により制御されるものを同定する場合には、本手法は適切なものと言える。
(APWと指尖容積脈の関係)
図150は、生体信号測定手段1のセンシング機構部230から得られる出力信号の原波形から、呼吸及び体動といった低周波帯域と高周波帯域のノイズ成分を除去し、一拍ごとの変動成分を強調し、さらにフィルタリング処理された体表脈波(APW)と検証用の指尖容積脈波の比較を示す。図150(i)は時系列波形の比較である。体表脈波のピーク時刻は指尖容積脈波と一致しており、良好な結果が得られた。図150(ii)は指尖容積脈波のスペクトルを示す。1.35Hzのピークが脈拍数である基本成分を示しており、2.7Hzと4.05Hzはそれぞれ第二、第三高調波成分である。ここで、第二高調波成分である2.7Hzは、切痕と呼ばれる1拍ごとに表れる血管からの反射波である。図150(iii)はセンサユニットからの圧力変動波形のスペクトルを示す。1Hz未満のピーク帯域は体動や呼吸を含む成分であり、波形の最大成分を占めている。また、脈拍の基本成分と切痕も捉えているが振幅レベルは同等であった。図150(iv)は信号処理の結果である体表脈波成分のスペクトルを示す。指尖容積脈波と同様に、基本成分と切痕が精度良く検出された。また図150(iii)で示された1Hz未満と4Hz以上の帯域は遮断されており、基本成分が切痕成分に比べて強調される良好な結果が得られた。
図151は、体表脈波と指尖容積脈波から算出した心拍変動波形の比較を示す。縦軸は1分間あたりの脈拍数を示す。体表脈波および指尖容積脈波とも1分間あたり約80回の脈拍数を中心に揺らいでおり、ゆらぎ具合も概ね一致した。一般的に脈拍変動のウェーブレット解析により、自律神経変動が把握できることが知られている。これにより、体表脈波からも自律神経変動が捉えられることが示唆された。
(APWと自律神経系の反応との関係)
(1)実験方法
実験室内で座位にて覚醒から睡眠に至るまでの睡眠導入実験を行った。被験者は20歳代から50歳代の健常な男性29名である。測定項目はAPW、指尖容積脈波、脳波、心電図である。
(2)実験結果と考察
図152は20歳代男性被験者のAPW、心電図(ECG)を示す。図中に示された点は、ゼロクロス検出手段とピーク検出手段によって得られたゼロクロス検出点とピーク検出点を示す。APWの切痕の位置は、心臓の半月弁が閉じて心拍出が停止する駆出期に出現するECGのT波とほぼ一致している。よって、ゼロクロス検出手段は、血管の拡張期のデータをひろい、ピーク検出手段は拡張期と収縮期の両方のデータをひろっていることになる。つまり、ゼロクロス検出手段は大動脈そのものの弾性に関するデータで、交感神経系の働きを捉えていると考えられる。そして、ピーク検出手段は大動脈と心臓の両方の働き、つまり、副交感神経系と交感神経系の働きを捉えていると考えられる。大動脈の伸展性と心臓の拍動に関する両方の成分を含んだもので状態推定を行うと、バラツキが大きく、的が絞りにくくなると考えられる。そこで、上記のように、ゼロクロス検出手段とピーク検出手段の両方を用いてAPWから大動脈の情報と心臓の情報を分離することで、精度良く自律神経系の反応による状態推定を行える可能性があると考えられる。
図153は、20歳代男性被験者の指尖容積脈波から求めた、睡眠導入実験中の交感神経と副交感神経の活動レベルを示したものである。図154は各状態(覚醒、眠気、切迫睡眠現象、睡眠)における、APW原波形の10分間の周波数分析結果と、ゼロクロス検出法とピーク検出法により求めた時系列波形の周波数分析結果を両軸対数表示で示したものである。図154(a)は覚醒時、図154(b)は眠気発現時、図154(c)は切迫睡眠現象発現時、図154(d)は睡眠時の結果を示す。なお、図153は指尖容積脈波をウェーブレット解析して求めたものである。
APW原波形のスペクトル変化は、覚醒時を基準に比較すると、0.5次成分のスペクトルが、矢印A1からA4に変化していき、眠気→切迫睡眠現象→睡眠と変化するに従って小さくなっている。1次成分のスペクトルは、矢印B1からB4に変化していき、調和振動から不規則振動、調和振動へと変わっていることがわかる。そして、心拍変動の中心周波数は1.2Hzから1.0Hzへ移行していき、睡眠による心拍数の低下が認められる。なお、切迫睡眠現象発現時の、矢印B3に示される不規則振動の影響は、ゼロクロス検出手段、ピーク検出手段では、矢印Cの0.0053Hz近傍の分岐現象として表れた。切迫睡眠現象は、まさに睡眠に入ろうとする状態であり、強い眠気と共に、心拍変動の乱れが不規則振動となり表れたと考えられる。一方、覚醒時、眠気発現時、睡眠時は、ゼロクロス検出手段とピーク検出手段から求めた傾きは1/fとなり、交感神経と副交感神経のバランスがとれた状態であると考えられる。また、眠気発現時は、ゼロクロス検出手段で示される矢印D部は0.01Hz付近で大きく変動しているが、ピーク検出手段ではこの変動は認められない。ここに、心機能はリラックス傾向にあることを示し、自律神経系では、眠気が生じたことによる交感代償作用が生じたことを示している。これは、図153中の矢印a部の変化に相当し、原波形スペクトルでは図154中の矢印A1〜A4で示される0.5次成分の変化に相当するものと考えられる。切迫睡眠現象発現時のゼロクロス検出手段とピーク検出手段の0.0053Hz付近の変動は、自律神経系の特に交感神経系の機能が大きく寄与しているものと考えられる。睡眠時は、ゼロクロス検出法とピーク検出法は共に、1/fに近接しており、心機能、自律神経機能共にバランスがとれ、リラックス状態にあると考えられる。図153と図154に示される変化の様子は、推定した状態とよく一致している。以上のことから、APWは体の大まかな状態変化を捉えることができ、APWの極・超低周波は自律神経系の反応を捉えられることが示唆された。
(周波数変動演算手段を用いた解析)
周波数分析手段80は、周波数変動演算手段により求められた周波数変動時系列波形を周波数分析し、前記ゆらぎ波形を周波数とパワースペクトル密度の両対数表示で出力する手段を採用することもできる。なお、周波数変動演算手段は、ゼロクロス検出手段及びピーク検出手段のそれぞれから得られる周波数の時系列波形のそれぞれから周波数変動時系列波形を求める。
周波数分析手段80により両対数表示のグラフが例えば図155の下図のように求めたならば、それぞれ、例えば図155の上図に示したような基準に基づいて特定化する。なお、この図において「距離」とは、回帰直線の終端と次の回帰直線の始端との差であり、「傾き」とは各回帰直線の傾きをいう。また、「距離が非常に小さい」、「距離が小さい」、「距離が大きい」の判定、並びに、「傾きが同じ」、「傾きが異なる」の判定は、それぞれ任意に閾値を設定してそれに該当するか否かによって得点化する。
図134〜図137に示したデータについて、上記した基準に基づいて求めた得点を時系列(解析区間順)に示したものが図156である。また、図157は、最初の解析区間の得点を「ゼロ」として、次の解析区間との差分を求めることにより、自律神経系のバランスの変遷を示した図である。いずれも、「飲酒」は「疲労」と比較して、変動の大きなゆらぎが生じており、不規則振動系の特徴が出ている。これに対し、「疲労」は変化が小さく、調和振動系の特徴が出ている。「栄養ドリンクA(リポD)」を飲用した場合は、変化が上昇傾向にあり、最初は不規則振動系の様子を呈しているが徐々にゼロクロス検出手段による得点とピーク検出手段による得点との差が小さくなっており、飲酒と異なり、瞬間的な不規則振動の後は調和振動系の特徴を示している。
図158は、横軸をゼロクロス検出手段による得点とし、縦軸をピーク検出手段による得点として示した4象限座標である。この座標からも、飲酒とその他の条件とは異なる変化を示していることがわかる。これらのことから、周波数変動時系列波形を用いて分析することにより、調和振動系、不規則振動系の違いをより明確に判定して人の状態を推定することができる。
1 生体信号測定手段
201 背部支持用クッション部材
210 袋状部材
220 ベースクッション部材
230 センシング機構部
233 センサ
240 骨盤・腰部支持部材
60 生体状態推定装置
70 周波数傾き時系列解析演算手段
710 周波数演算手段
720 傾き時系列演算手段
80 周波数分析手段
90 ゆらぎ波形分析手段
901 回帰直線演算手段
902 判定基準点算出手段
95 状態推定手段
98 病的状態区別手段

Claims (23)

  1. 生体信号測定手段により採取した自律神経系の生体信号を用いて、生体状態を推定する生体状態推定装置であって、
    前記生体信号を周波数分析して0.001Hz〜0.04Hzの超低周波帯域のゆらぎ波形を求める周波数分析手段と、
    前記周波数分析手段により得られる前記ゆらぎ波形を、所定の基準に基づいて、交感神経及び副交感神経に関する各指標を縦軸及び横軸に現した4象限座標系上の座標点として求めてベクトル表示し、前記座標点の時間的変化に基づき生体状態を推定する状態推定手段と
    を有することを特徴とする生体状態推定装置。
  2. 前記状態推定手段は、基準の解析区間における座標点に対する解析対象の解析区間の座標点の位置を基に、前記生体状態として、活動により疲労が蓄積していく通常の疲労状態であるか、不調状態であるか、又は所定の機能回復手段が施された機能回復状態であるかを推定する第1解析判定手段を有する請求項記載の生体状態推定装置。
  3. 前記第1解析判定手段は、基準の解析区間の座標点に対して解析対象の座標点が所定の領域内である場合に、前記機能回復手段に相当する酩酊度分類で爽快期に相当するアルコール摂取状態と判定する請求項記載の生体状態推定装置。
  4. 前記第1解析判定手段は、前記不調状態を、さらに、不調要因に耐えている状態、不調要因に抵抗している状態に細分化する請求項記載の生体状態推定装置。
  5. 前記第1解析判定手段は、
    基準の解析区間に対し、所定の生体状態の変化要因が加わった後の体調の全体的な変化の推移方向を、前記ゆらぎ波形の変化度合いを基に、体調変化動向として推定する解析判定手段Aと、
    前記所定の生体状態の変化要因が加わった後から所定時間経過後の所定の解析時間における体調状態を、前記ゆらぎ波形の変化度合いを基に、解析時体調状態として推定する解析判定手段Bと
    の少なくとも一方を有する請求項2〜4のいずれか1に記載の生体状態推定装置。
  6. 前記爽快期に相当するアルコール摂取状態の推定に関し、
    前記解析判定手段Aは、前記アルコール摂取状態に至る前の基準の解析区間に対し、摂取後相対的に短時間で大きな変化を示すアルコールの吸収度合いを前記ゆらぎ波形の変化度合いから体調変化動向として推定する手段であり、
    前記解析判定手段Bは、前記アルコール摂取状態に至る前の基準の解析区間に対し、前記短時間での体調変化後、相対的に長時間に亘って持続されるアルコール摂取に伴うアルコールの分解度合いを前記ゆらぎ波形の変化度合いから解析時体調状態として推定する手段である請求項記載の生体状態推定装置。
  7. 前記解析判定手段Aは、基準の解析区間の所定の解析時間範囲について求めた座標点に対する、解析対象の解析区間の所定の解析時間範囲について求めた座標点の位置から、前記体調変化動向を推定する手段であり、
    前記解析判定手段Bは、各解析区間内で解析時間を異ならせた解析時間同士の差を利用して各解析区間の座標点を求め、求めた各解析区間の座標点を基準の解析区間の座標点と比較し、両者の位置関係から、各解析区間における前記解析時体調状態を推定する手段である請求項5又は6記載の生体状態推定装置。
  8. 前記状態推定手段は、さらに、解析対象の解析区間の座標点の前記座標系上における位置を三角関数表示に置換して新たな座標系に再プロットし、再プロットした座標点の位置を基に、生体状態を推定する第2解析判定手段を有する請求項2〜7のいずれか1に記載の生体状態推定装置。
  9. 前記第2解析判定手段は、
    前記第1解析判定手段における、前記解析判定手段Aで得られた各座標点、及び、前記解析判定手段Bで得られた各座標点のそれぞれについて、
    解析判定手段Aで得られた各座標点の三角関数表示に対応する角度を一方の軸に、解析判定手段Bで得られた各座標点の三角関数表示に対応する角度を他方の軸にとってプロットした三角関数表示座標を作成する手段を有し、前記三角関数表示座標における各座標点の位置により生体状態を推定する請求項記載の生体状態推定装置。
  10. 前記第2解析判定手段は、
    前記第1解析判定手段における、前記解析判定手段Aで得られた各座標点、及び、前記解析判定手段Bで得られた各座標点のそれぞれについて、
    sinの角度を求め、解析判定手段Aで得られた各座標点のsinの角度を一方の軸に、解析判定手段Bで得られた各座標点のsinの角度を他方の軸にとってプロットしたsin表示座標を作成する手段と、
    tanの角度を求め、解析判定手段Aで得られた各座標点のtanの角度を一方の軸に、解析判定手段Bで得られた各座標点のtanの角度を他方の軸にとってプロットしたtan表示座標を作成する手段とを
    有し、
    前記sin表示座標及び前記tan表示座標における各座標点の位置により、生体状態を推定する請求項記載の生体状態推定装置。
  11. 前記状態推定手段が、さらに、機能回復手段としての睡眠の質を推定する睡眠の質推定手段を有する構成である請求項2〜10のいずれか1に記載の生体状態推定装置。
  12. 前記状態推定手段は、さらに、解析区間毎に、当該解析区間内で解析時間を異ならせた解析時間同士の差を利用して所定の基準で順次座標点を求め、当該解析区間内での時系列の体調変化を示す時系列変化線を作成する体調マップ作成手段と、
    解析区間毎に、当該解析区間内で解析時間を異ならせた解析時間同士の差を利用して前記体調マップ作成手段とは異なる基準で順次座標点を求め、当該解析区間内での時系列の感覚変化を示す時系列変化線を作成する感覚マップ作成手段とを有し、
    前記睡眠の質推定手段は、前記体調マップ作成手段及び感覚マップ作成手段の各時系列変化線の推移傾向を加味して睡眠の質を推定する請求項11記載の生体状態推定装置。
  13. 前記生体信号測定手段により採取した生体信号から周波数傾き時系列波形を求める周波数傾き時系列解析演算手段を有し、
    前記周波数分析手段は、前記周波数傾き時系列解析演算手段により求められた周波数傾き時系列波形を周波数分析し、前記ゆらぎ波形を周波数とパワースペクトル密度の両対数表示で出力する手段である請求項1〜12のいずれか1に記載の生体状態推定装置。
  14. 前記生体信号測定手段により採取した生体信号から求められる周波数の時系列波形において、所定のオーバーラップ時間で設定した所定の時間窓毎に周波数の平均値を求める移動計算を行い、時間窓毎に得られる周波数の平均値の時系列変化を周波数変動時系列波形として出力する周波数変動演算手段を有し、
    前記周波数分析手段は、前記周波数変動演算手段により求められた周波数変動時系列波形を周波数分析し、前記ゆらぎ波形を周波数とパワースペクトル密度の両対数表示で出力する手段である請求項1〜12のいずれか1に記載の生体状態推定装置。
  15. 前記状態推定手段は、前記両対数表示で出力された前記ゆらぎ波形から、長周期領域、中周期領域、短周期領域に分けた回帰直線を求め、この回帰直線を利用して前記ゆらぎ波形を所定の基準に基づいて得点化し、座標系上の座標点を得るための判定基準点を求めるゆらぎ波形分析手段を有する請求項13又は14記載の生体状態推定装置。
  16. 生体信号測定手段により採取した自律神経系の生体信号を用いて、生体状態を推定する生体状態推定装置に設定されるコンピュータプログラムであって、
    前記生体信号を周波数分析して0.001Hz〜0.04Hzの超低周波帯域のゆらぎ波形を求める周波数分析手順と、
    前記周波数分析手順により得られる前記ゆらぎ波形を、所定の基準に基づいて、交感神経及び副交感神経に関する各指標を縦軸及び横軸に現した4象限座標系上の座標点として求めてベクトル表示し、前記座標点の時間的変化に基づき生体状態を推定する状態推定手順と
    をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
  17. 前記状態推定手順は、基準の解析区間における座標点に対する解析対象の解析区間の座標点の位置を基に、前記生体状態として、活動により疲労が蓄積していく通常の疲労状態であるか、不調状態であるか、又は所定の機能回復手段が施された機能回復状態であるかを推定する第1解析判定手順を有する請求項16記載のコンピュータプログラム。
  18. 前記第1解析判定手順は、
    基準の解析区間に対し、所定の生体状態の変化要因が加わった後の体調の全体的な変化の推移方向を、前記ゆらぎ波形の変化度合いを基に、体調変化動向として推定する解析判定手順Aと、
    前記所定の生体状態の変化要因が加わった後から所定時間経過後の所定の解析時間における体調状態を、前記ゆらぎ波形の変化度合いを基に、解析時体調状態として推定する解析判定手順Bと
    の少なくとも一方を有する請求項16又は17記載のコンピュータプログラム。
  19. 前記状態推定手順は、さらに、解析対象の解析区間の座標点の前記座標系上における位置を三角関数表示に置換して新たな座標系に再プロットし、再プロットした座標点の位置を基に、生体状態を推定する第2解析判定手順を有する請求項17又は18記載のコンピュータプログラム。
  20. 前記第2解析判定手順は、
    前記第1解析判定手順における、前記解析判定手順Aで得られた各座標点、及び、前記解析判定手順Bで得られた各座標点のそれぞれについて、
    解析判定手順Aで得られた各座標点の三角関数表示に対応する角度を一方の軸に、解析判定手順Bで得られた各座標点の三角関数表示に対応する角度を他方の軸にとってプロットした三角関数表示座標を作成する手順を有し、前記三角関数表示座標における各座標点の位置により生体状態を推定する請求項19記載のコンピュータプログラム。
  21. 前記第2解析判定手順は、
    前記第1解析判定手順における、前記解析判定手順Aで得られた各座標点、及び、前記解析判定手順Bで得られた各座標点のそれぞれについて、
    sinの角度を求め、解析判定手順Aで得られた各座標点のsinの角度を一方の軸に、解析判定手順Bで得られた各座標点のsinの角度を他方の軸にとってプロットしたsin表示座標を作成する手順と、
    tanの角度を求め、解析判定手順Aで得られた各座標点のtanの角度を一方の軸に、解析判定手順Bで得られた各座標点のtanの角度を他方の軸にとってプロットしたtan表示座標を作成する手順とを
    有し、
    前記sin表示座標及び前記tan表示座標における各座標点の位置により、生体状態を推定する請求項20記載のコンピュータプログラム。
  22. 前記状態推定手順が、さらに、機能回復手段としての睡眠の質を推定する睡眠の質推定手順を有する構成である請求項17〜21のいずれか1に記載のコンピュータプログラム。
  23. 前記状態推定手順は、さらに、解析区間毎に、当該解析区間内で解析時間を異ならせた解析時間同士の差を利用して所定の基準で順次座標点を求め、当該解析区間内での時系列の体調変化を示す時系列変化線を作成する体調マップ作成手順と、
    解析区間毎に、当該解析区間内で解析時間を異ならせた解析時間同士の差を利用して前記体調マップ作成手順とは異なる基準で順次座標点を求め、当該解析区間内での時系列の感覚変化を示す時系列変化線を作成する感覚マップ作成手順とを有し、
    前記睡眠の質推定手順は、前記体調マップ作成手順及び感覚マップ作成手順の各時系列変化線の推移傾向を加味して睡眠の質を推定する請求項22記載のコンピュータプログラム。
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