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JP5970117B1 - 偏光フィルムの製造方法及び製造装置 - Google Patents

偏光フィルムの製造方法及び製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】簡便な方法で効率よく水切りすることができる、偏光フィルムの製造方法を提供する。【解決手段】ポリビニルアルコール系樹脂フィルム10から偏光フィルム23を作製する偏光フィルム23の製造方法であって、ポリビニルアルコール系樹脂フィルム10に処理液13,15,17,19を接触させて処理する処理工程と、処理工程後のポリビニルアルコール系樹脂フィルム10に液切部材71,72を接触させて、ポリビニルアルコール系樹脂フィルム10の表面に付着している処理液を除去する処理液除去工程と、をこの順に備え、液切部材71,72は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルム10に接触する面の表面粗さRaが0.5μm以下である、偏光フィルム23の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、偏光板の構成部材として用いることのできる偏光フィルムの製造方法に関する。
偏光フィルムには、一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムにヨウ素や二色性染料のような二色性色素を吸着配向させたものが従来用いられている。偏光フィルムは通常、その片面又は両面に接着剤を用いて保護フィルムを貼合して偏光板とされ、液晶テレビ、パーソナルコンピュータ用モニター及び携帯電話等の液晶表示装置に代表される画像表示装置に用いられている。
一般に偏光フィルムは、連続的に搬送される長尺のポリビニルアルコール系樹脂フィルムに、膨潤処理、染色処理、延伸処理、架橋処理及び洗浄処理が施され、最後に乾燥することにより製造される。特開2014−109740号公報(特許文献1)には、洗浄処理後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムに、エアーを吹き付けて水切りを行うことにより、偏光フィルムの表面に結晶異物等に起因する欠陥が発生するのを抑制できることが記載されている。
特開2014−109740号公報
偏光フィルム及び偏光板は、従来に比べて一層薄肉化することが求められている。特許文献1においては、エアー吹き付け時のポリビニルアルコール系樹脂フィルムの張力、エアー風量、エアー吹き出し口先端からフィルム表面までの距離を調整することにより、薄膜のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを破断させることなく水切りできることが記載されている(特許文献1の表1参照)。
エアー吹き付けにより水切りを行う方法は上述のように煩雑である。本発明は、簡便な方法で効率よく水切りすることができる、偏光フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下に示す偏光フィルムの製造方法を提供する。
〔1〕 ポリビニルアルコール系樹脂フィルムから偏光フィルムを作製する偏光フィルムの製造方法であって、
前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに処理液を接触させて処理する処理工程と、
前記処理工程後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムに液切部材を接触させて、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの表面に付着している前記処理液を除去する処理液除去工程と、をこの順に備え、
前記液切部材は、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに接触する面の表面粗さRaが0.5μm以下である、偏光フィルムの製造方法。
〔2〕 前記液切部材は、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに接触する面の水接触角が60°以下である、〔1〕に記載の偏光フィルムの製造方法。
〔3〕 前記液切部材は板状であり、
前記処理液除去工程において、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムと前記液切部材とのなす角度が、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの搬送方向上流側において鋭角となるように前記液切部材を接触させている、〔1〕または〔2〕に記載の偏光フィルムの製造方法。
〔4〕 前記処理液除去工程において、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムと前記液切部材とのなす角度が、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの搬送方向上流側において45°以下となるように前記液切部材を接触させている、〔3〕に記載の偏光フィルムの製造方法。
〔5〕 前記処理液除去工程において、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムと前記液切部材との間に、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムと前記液切部材と接触する位置を境として前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの搬送方向上流側に形成される上流側空間は、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの搬送方向下流側に形成される下流側空間よりも狭い、〔1〕〜〔4〕に記載の偏光フィルムの製造方法。
〔6〕 前記処理液除去工程において、前記ポリビニルアルコール系樹脂層の両面に前記液切部材を接触させて、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの両面に付着している前記処理液を除去する、〔1〕〜〔5〕に記載の偏光フィルムの製造方法。
〔7〕 前記処理工程は、前記処理液として膨潤液を用いる膨潤処理工程、前記処理液として染色液を用いる染色処理工程、前記処理液として架橋液を用いる架橋処理工程、または前記処理液として洗浄液を用いる洗浄処理工程である、〔1〕〜〔6〕に記載の偏光フィルムの製造方法。
〔8〕 ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを乾燥させる乾燥工程をさらに備え、
前記処理液除去工程は、前記乾燥工程の直前の前記処理工程が終了した後に、前記乾燥工程の前に行われる、〔1〕〜〔7〕に記載の偏光フィルムの製造方法。
本発明の方法によれば、簡便な方法で効率よく水切りをすることができ、欠陥の発生が抑制された偏光フィルムを製造することができる。
本発明に係る偏光フィルムの製造方法及びそれに用いる偏光フィルム製造装置の一例を模式的に示す断面図である。 図1に示す液切部材を模式的に示す斜視図である。 面取り後のガラス板の長さ方向と直交する断面図である。 面取り後のガラス板の長さ方向と直交する断面図である。 図1に示す液切部材とフィルムとのなす角度を示す断面図である。 他の形状の液切部材とフィルムとのなす角度を示す断面図である。
<偏光フィルムの製造方法>
本発明において偏光フィルムは、一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素(ヨウ素や二色性染料)が吸着配向しているものである。ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを構成するポリビニルアルコール系樹脂は通常、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することにより得られる。そのケン化度は、通常約85モル%以上、好ましく
は約90モル%以上、より好ましくは約99モル%以上である。ポリ酢酸ビニル系樹脂は、例えば、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルの他、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体等であることができる。共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類等を挙げることができる。ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常約1000〜10000、好ましくは約1500〜5000程度である。
これらのポリビニルアルコール系樹脂は変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール等も使用し得る。
本発明では、偏光フィルム製造の開始材料として、厚みが65μm以下(例えば60μm以下)、好ましくは50μm以下、より好ましくは35μm以下、さらに好ましくは30μm以下の未延伸のポリビニルアルコール系樹脂フィルム(原反フィルム)を用いる。これにより市場要求が益々高まっている薄膜の偏光フィルムを得ることができる。原反フィルムの幅は特に制限されず、例えば400〜6000mm程度であることができる。原反フィルムは、例えば長尺の未延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルムのロール(原反ロール)として用意される。
偏光フィルムは、上記の長尺の原反フィルムを原反ロールから巻出しつつ、偏光フィルム製造装置のフィルム搬送経路に沿って連続的に搬送させて、処理槽に収容された処理液(以下、「処理浴」ともいう)に浸漬させた後に引き出す所定の処理工程を実施した後に乾燥工程を実施することにより長尺の偏光フィルムとして連続製造することができる。なお、処理工程は、フィルムに処理液を接触させて処理する方法であればフィルムを処理浴に浸漬させる方法に限定されることはなく、噴霧、流下、滴下等により処理液をフィルム表面に付着させてフィルムを処理する方法であってもよい。
上記処理液としては、膨潤液、染色液、架橋液、洗浄液等が例示される。そして、上記処理工程としては、原反フィルムに膨潤液を接触させて膨潤処理を行う膨潤処理工程と、膨潤処理後のフィルムに染色液を接触させて染色処理を行う染色処理工程と、染色処理後のフィルムに架橋液を接触させて架橋処理を行う架橋処理工程と、架橋処理後のフィルムに洗浄液を接触させて洗浄処理を行う洗浄処理工程とが例示される。また、これら一連の処理工程の間(すなわち、いずれか1以上の処理工程の前後及び/又はいずれか1以上の処理工程中)に、湿式又は乾式にて一軸延伸処理を施す。必要に応じて他の処理工程を付加してもよい。
本発明においては、上記処理工程の内、一つの処理工程が終了した後に、次の処理工程にフィルムを搬送する搬送経路において、またはフィルムに処理液を接触させて処理する全ての処理工程が終了した後に、乾燥工程にフィルムを搬送する搬送経路において処理液除去工程を行う。処理液除去工程は、処理液による処理が終了したフィルムに液切部材を接触させて、フィルムの表面に付着している直前の処理工程で用いられた処理液を除去する工程である。乾燥工程においてフィルムの表面に処理液が残っている場合に結晶異物等の欠陥が発生しやすいため、フィルムに処理液を接触させて処理する全ての処理工程が終了した後であって、乾燥工程にフィルムが導入される前の搬送経路において、処理液除去工程を行うことが偏光フィルムに発生する欠陥を抑制できる観点から好ましい。処理液除去工程は、1回に限定されることはなく複数回行ってもよい。処理液を用いる全ての処理工程後に処理液除去工程を行うようにしてもよい。
本発明の処理液除去工程においては、液切部材として、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに接触する表面の表面粗さRaが0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下の液
切部材を用いる。液切部材の、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに接触する表面の表面粗さRaが0.5μmを超える場合は、フィルム表面に付着している処理液を十分に除去することができない場合がある。表面粗さRaが0.5μmを超える場合は、液切部材の表面の凹凸にフィルムに付着した処理液が入り込み、液切性が低下することが理由であると考えられる。また、表面粗さが0.5μm以下の液切部材を用いることにより、接触によりフィルムの表面に傷が生じることを抑制することができる。ここで、液切部材の接触する表面とはポリビニルアルコール系樹脂フィルムと液切部材とが接触する位置を境としてポリビニルアルコール系樹脂フィルムの搬送方向下流側において、ポリビニルアルコール系樹脂フィルム表面と最も距離が近い液切部材の表面である。液切部材としては、フィルムの幅方向の長さ以上の長さを有するものを用いることが好ましく、液切部材がフィルムに接触している状態において、フィルムの幅方向全体が液切部材に接触していることが好ましい。液切部材の詳細については後述する。
処理液除去工程が行われる搬送経路にニップロールが配置される場合には、液切部材は、ニップロールより上流側に配置されることが好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの表面に付着した処理液は、ニップロールを通過することにより広げられたり、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの内部に移行したりすることがあるため、ニップロールを通過する前に処理液除去工程が行われることにより、効果的に処理液を除去することができ、付着した処理液に起因する欠陥の発生をより抑制することができる。
以下、図1を参照しながら、本発明に係る偏光フィルムの製造方法の一例を詳細に説明する。図1は、本発明に係る偏光フィルムの製造方法及びそれに用いる偏光フィルム製造装置の一例を模式的に示す断面図である。図1に示される偏光フィルム製造装置は、ポリビニルアルコール系樹脂からなる原反(未延伸)フィルム10を、原反ロール11より連続的に巻出しながらフィルム搬送経路に沿って搬送させることにより、フィルム搬送経路上に設けられる膨潤浴(膨潤槽内に収容された膨潤液)13、染色浴(染色槽内に収容された染色液)15、架橋浴(架橋槽内に収容された架橋液)17、及び洗浄浴(洗浄槽内に収容された洗浄液)19を順次通過させ、最後に乾燥炉21を通過させるように構成されている。得られた偏光フィルム23は、例えば、そのまま次の偏光板作製工程(偏光フィルム23の片面又は両面に保護フィルムを貼合する工程)に搬送することができる。図1における矢印は、フィルムの搬送方向を示している。
なお図1は、膨潤浴13、染色浴15、架橋浴17及び洗浄浴19をそれぞれ1槽ずつ設けた例を示しているが、必要に応じて、いずれか1以上の処理浴を2槽以上設けてもよい。図1の説明において、「処理槽」は、膨潤槽、染色槽、架橋槽及び洗浄槽を含む総称であり、「処理液」は、膨潤液、染色液、架橋液及び洗浄液を含む総称であり、「処理浴」は、膨潤浴、染色浴、架橋浴及び洗浄浴を含む総称である。
偏光フィルム製造装置のフィルム搬送経路は、上記処理浴の他、搬送されるフィルムを支持する、あるいはさらにフィルム搬送方向を変更することができるガイドロール30〜41,60,61や、搬送されるフィルムを押圧・挟持し、その回転による駆動力をフィルムに与えることができる、あるいはさらにフィルム搬送方向を変更することができるニップロール50〜55を適宜の位置に配置することによって構築することができる。ガイドロールやニップロールは、各処理浴の前後や処理浴中に配置することができ、これにより処理浴へのフィルムの導入・浸漬及び処理浴からの引き出しを行うことができる〔図1参照〕。例えば、各処理浴中に1以上のガイドロールを設け、これらのガイドロールに沿ってフィルムを搬送させることにより、各処理浴にフィルムを浸漬させることができる。
図1に示される偏光フィルム製造装置は、各処理浴の前後にニップロールが配置されており(ニップロール50〜54)、これにより、いずれか1以上の処理浴中で、その前後
に配置されるニップロール間に周速差をつけて縦一軸延伸を行うロール間延伸を実施することが可能になっている。
図1に示される偏光フィルム製造装置においては、洗浄浴19の下流の搬送経路上に一対の液切部材71,72がフィルムに接触するように配置されており、洗浄処理工程後であって乾燥工程前に処理液除去工程が行われる。以下、各工程について説明する。
(膨潤処理工程)
膨潤処理工程は、原反フィルム10表面の異物除去、原反フィルム10中の可塑剤除去、易染色性の付与、原反フィルム10の可塑化等の目的で行われる。処理条件は、当該目的が達成できる範囲で、かつ原反フィルム10の極端な溶解や失透等の不具合を生じない範囲で決定される。
図1を参照して、膨潤処理工程は、原反フィルム10を原反ロール11より連続的に巻出しながら、フィルム搬送経路に沿って搬送させ、原反フィルム10を膨潤浴13に所定時間浸漬し、次いで引き出すことによって実施することができる。図1の例において、原反フィルム10を巻き出してから膨潤浴13に浸漬させるまでの間、原反フィルム10は、ガイドロール60,61及びニップロール50によって構築されたフィルム搬送経路に沿って搬送される。膨潤処理においては、ガイドロール30〜32によって構築されたフィルム搬送経路に沿って搬送される。
膨潤浴13の膨潤液としては、純水のほか、ホウ酸(特開平10−153709号公報)、塩化物(特開平06−281816号公報)、無機酸、無機塩、水溶性有機溶媒、アルコール類等を約0.01〜10重量%の範囲で添加した水溶液を使用することも可能である。
膨潤浴13の温度は、例えば10〜50℃程度、好ましくは10〜40℃程度、より好ましくは15〜30℃程度である。原反フィルム10の浸漬時間は、好ましくは10〜300秒程度、より好ましくは20〜200秒程度である。また、原反フィルム10が予め気体中で延伸したポリビニルアルコール系樹脂フィルムである場合、膨潤浴13の温度は、例えば20〜70℃程度、好ましくは30〜60℃程度である。原反フィルム10の浸漬時間は、好ましくは30〜300秒程度、より好ましくは60〜240秒程度である。
膨潤処理では、原反フィルム10が幅方向に膨潤してフィルムにシワが入るといった問題が生じやすい。このシワを取りつつフィルムを搬送するための1つの手段として、ガイドロール30,31及び/又は32にエキスパンダーロール、スパイラルロール、クラウンロールのような拡幅機能を有するロールを用いたり、クロスガイダー、ベンドバー、テンタークリップのような他の拡幅装置を用いたりすることが挙げられる。シワの発生を抑制するためのもう1つの手段は延伸処理を施すことである。例えば、ニップロール50とニップロール51との周速差を利用して膨潤浴13中で一軸延伸処理を施すことができる。
膨潤処理では、フィルムの搬送方向にもフィルムが膨潤拡大するので、フィルムに積極的な延伸を行わない場合は、搬送方向のフィルムのたるみを無くすために、例えば、膨潤浴13の前後に配置するニップロール50,51の速度をコントロールする等の手段を講ずることが好ましい。また、膨潤浴13中のフィルム搬送を安定化させる目的で、膨潤浴13中での水流を水中シャワーで制御したり、EPC装置(Edge Position
Control装置:フィルムの端部を検出し、フィルムの蛇行を防止する装置)等を併用したりすることも有用である。
図1に示される例において、膨潤浴13から引き出されたフィルムは、ガイドロール32、ニップロール51を順に通過して染色浴15へ導入される。
(染色処理工程)
染色処理工程は、膨潤処理後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着、配向させる等の目的で行われる。処理条件は、当該目的が達成できる範囲で、かつフィルムの極端な溶解や失透等の不具合が生じない範囲で決定される。図1を参照して、染色処理工程は、ガイドロール33〜35及びニップロール51によって構築されたフィルム搬送経路に沿って搬送させ、膨潤処理後のフィルムを染色浴15(染色槽に収容された処理液)に所定時間浸漬し、次いで引き出すことによって実施することができる。二色性色素の染色性を高めるために、染色処理工程に供されるフィルムは、少なくともある程度の一軸延伸処理を施したフィルムであることが好ましく、又は染色処理前の一軸延伸処理の代わりに、あるいは染色処理前の一軸延伸処理に加えて、染色処理時に一軸延伸処理を行うことが好ましい。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合、染色浴15の染色液には、例えば、濃度が重量比でヨウ素/ヨウ化カリウム/水=約0.003〜0.3/約0.1〜10/100である水溶液を用いることができる。ヨウ化カリウムに代えて、ヨウ化亜鉛等の他のヨウ化物を用いてもよく、ヨウ化カリウムと他のヨウ化物を併用してもよい。また、ヨウ化物以外の化合物、例えば、ホウ酸、塩化亜鉛、塩化コバルト等を共存させてもよい。ホウ酸を添加する場合は、ヨウ素を含む点で後述する架橋処理と区別され、水溶液が水100重量部に対し、ヨウ素を約0.003重量部以上含んでいるものであれば、染色浴15とみなすことができる。フィルムを浸漬するときの染色浴15の温度は、通常10〜45℃程度、好ましくは10〜40℃であり、より好ましくは20〜35℃であり、フィルムの浸漬時間は、通常30〜600秒程度、好ましくは60〜300秒である。
二色性色素として水溶性二色性染料を用いる場合、染色浴15の染色液には、例えば、濃度が重量比で二色性染料/水=約0.001〜0.1/100である水溶液を用いることができる。この染色浴15には、染色助剤等を共存させてもよく、例えば、硫酸ナトリウム等の無機塩や界面活性剤などを含有していてもよい。二色性染料は1種のみを単独で用いてもよいし、2種類以上の二色性染料を併用してもよい。フィルムを浸漬するときの染色浴15の温度は、例えば20〜80℃程度、好ましくは30〜70℃であり、フィルムの浸漬時間は、通常30〜600秒程度、好ましくは60〜300秒程度である。
上述のように染色処理工程では、染色浴15でフィルムの一軸延伸を行うことができる。フィルムの一軸延伸は、染色浴15の前後に配置したニップロール51とニップロール52との間に周速差をつけるなどの方法によって行うことができる。
染色処理においても、膨潤処理と同様にフィルムのシワを除きつつポリビニルアルコール系樹脂フィルムを搬送するために、ガイドロール33,34及び/又は35にエキスパンダーロール、スパイラルロール、クラウンロールのような拡幅機能を有するロールを用いたり、クロスガイダー、ベンドバー、テンタークリップのような他の拡幅装置を用いたりすることができる。シワの発生を抑制するためのもう1つの手段は、膨潤処理と同様、延伸処理を施すことである。
図1に示される例において、染色浴15から引き出されたフィルムは、ガイドロール35、ニップロール52を順に通過して架橋浴17へ導入される。
(架橋処理工程)
架橋処理工程は、架橋による耐水化や色相調整(フィルムが青味がかるのを防止する等
)などの目的で行う処理である。図1を参照して、架橋処理は、ガイドロール36〜38及びニップロール52によって構築されたフィルム搬送経路に沿って搬送させ、架橋浴17(架橋槽に収容された架橋液)に染色処理後のフィルムを所定時間浸漬し、次いで引き出すことによって実施することができる。
架橋浴17の架橋液としては、水100重量部に対してホウ酸を例えば約1〜10重量部含有する水溶液であることができる。架橋液は、染色処理で使用した二色性色素がヨウ素の場合、ホウ酸に加えてヨウ化物を含有することが好ましく、その量は、水100重量部に対して、例えば1〜30重量部とすることができる。ヨウ化物としては、ヨウ化カリウム、ヨウ化亜鉛等が挙げられる。また、ヨウ化物以外の化合物、例えば、塩化亜鉛、塩化コバルト、塩化ジルコニウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、硫酸ナトリウム等を共存させてもよい。
架橋処理においては、その目的によって、ホウ酸及びヨウ化物の濃度、並びに架橋浴17の温度を適宜変更することができる。例えば、架橋処理の目的が架橋による耐水化であり、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに対し、膨潤処理、染色処理及び架橋処理をこの順に施す場合、架橋浴の架橋剤含有液は、濃度が重量比でホウ酸/ヨウ化物/水=3〜10/1〜20/100の水溶液であることができる。必要に応じ、ホウ酸に代えてグリオキザール又はグルタルアルデヒド等の他の架橋剤を用いてもよく、ホウ酸と他の架橋剤を併用してもよい。フィルムを浸漬するときの架橋浴の温度は、通常50〜70℃程度、好ましくは53〜65℃であり、フィルムの浸漬時間は、通常10〜600秒程度、好ましくは20〜300秒、より好ましくは20〜200秒である。また、膨潤処理前に予め延伸したポリビニルアルコール系樹脂フィルムに対して染色処理及び架橋処理をこの順に施す場合、架橋浴17の温度は、通常50〜85℃程度、好ましくは55〜80℃である。
色相調整を目的とする架橋処理においては、例えば、二色性色素としてヨウ素を用いた場合、濃度が重量比でホウ酸/ヨウ化物/水=1〜5/3〜30/100の架橋剤含有液を使用することができる。フィルムを浸漬するときの架橋浴の温度は、通常10〜45℃程度であり、フィルムの浸漬時間は、通常1〜300秒程度、好ましくは2〜100秒である。
架橋処理は複数回行ってもよく、通常2〜5回行われる。この場合、使用する各架橋浴の組成及び温度は、上記の範囲内であれば同じであってもよく、異なっていてもよい。架橋による耐水化のための架橋処理及び色相調整のための架橋処理は、それぞれ複数の工程で行ってもよい。
ニップロール52とニップロール53との周速差を利用して架橋浴17中で一軸延伸処理を施すこともできる。
架橋処理においても、膨潤処理と同様にフィルムのシワを除きつつポリビニルアルコール系樹脂フィルムを搬送するために、ガイドロール36,37及び/又は38にエキスパンダーロール、スパイラルロール、クラウンロールのような拡幅機能を有するロールを用いたり、クロスガイダー、ベンドバー、テンタークリップのような他の拡幅装置を用いたりすることができる。シワの発生を抑制するためのもう1つの手段は、膨潤処理と同様、延伸処理を施すことである。
図1に示される例において、架橋浴17から引き出されたフィルムは、ガイドロール38、ニップロール53を順に通過して洗浄浴19へ導入される。
(洗浄処理工程)
図1に示される例においては、架橋処理工程後の洗浄処理工程を含む。洗浄処理は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに付着した余分なホウ酸やヨウ素等の薬剤を除去する目的で行われる。洗浄処理工程は、例えば、架橋処理したポリビニルアルコール系樹脂フィルムを洗浄浴19に浸漬することによって行われる。なお、洗浄処理工程は、洗浄浴19にフィルムを浸漬させる工程に代えて、フィルムに対して洗浄液をシャワーとして噴霧することにより、若しくは洗浄浴19への浸漬と洗浄液の噴霧とを併用することによって行うこともできる。
図1には、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを洗浄浴19に浸漬して洗浄処理を行う場合の例を示している。洗浄処理における洗浄浴19の温度は、通常2〜40℃程度であり、フィルムの浸漬時間は、通常2〜120秒程度である。
なお、洗浄処理においても、シワを除きつつポリビニルアルコール系樹脂フィルムを搬送する目的で、ガイドロール39,40及び/又は41にエキスパンダーロール、スパイラルロール、クラウンロールのような拡幅機能を有するロールを用いたり、クロスガイダー、ベンドバー、テンタークリップのような他の拡幅装置を用いたりすることができる。また、フィルム洗浄処理において、シワの発生を抑制するために延伸処理を施してもよい。
(延伸処理工程)
上述のように原反フィルム10は、上記一連の処理工程の間(すなわち、いずれか1以上の処理工程の前後及び/又はいずれか1以上の処理工程中)に、湿式又は乾式にて一軸延伸処理される。一軸延伸処理の具体的方法は、例えば、フィルム搬送経路を構成する2つのニップロール(例えば、処理浴の前後に配置される2つのニップロール)間に周速差をつけて縦一軸延伸を行うロール間延伸、特許第2731813号公報に記載されるような熱ロール延伸、テンター延伸等であることができ、好ましくはロール間延伸である。一軸延伸処理工程は、原反フィルム10から偏光フィルム23を得るまでの間に複数回にわたって実施することができる。上述のように延伸処理は、フィルムのシワの発生の抑制にも有利である。
原反フィルム10を基準とする、偏光フィルム23の最終的な累積延伸倍率は通常、4.5〜7倍程度であり、好ましくは5〜6.5倍である。延伸処理工程はいずれの処理工程で行ってもよく、2以上の処理工程で延伸処理を行う場合においても延伸処理はいずれの処理工程で行ってもよい。
(処理液除去工程)
図1に示される例においては、洗浄処理工程の後に洗浄液を除去する処理液除去工程が行われる。図1には、フィルムの表裏に配置された一対の液切部材71,72を用いて処理液除去工程を行う場合の例を示している。処理液除去工程においては、液切部材71,72を搬送されるフィルムの表面にそれぞれ接触するように配置することにより、液切部材71,72によりここを通過するフィルムの表面に付着した洗浄液がフィルムの表面から除去される。一対の液切部材71,72は、図1に示すように搬送方向に少しずれるように配置して、二つの液切部材71,72が同位置でフィルムに接触しないように配置することが好ましい。このように配置することにより、液切部材71,72の接触によりフィルムにかかる負担を抑制することができる。
処理液除去工程は、液切部材71,72によりフィルムの表面から洗浄液を除去し、除去された洗浄液が洗浄浴19内に回収されるように行なわれることが好ましい。例えば、図1に示す例においては、液切部材71,72を洗浄浴19の開放部の上方に配置するこ
とにより、除去された洗浄液を洗浄浴19内に回収することができる。なお、洗浄処理工程以外の他の処理工程後に液切部材が設けられる場合においても、同様に、処理液が直前の処理槽内に回収されるように構成されていることが好ましい。処理液が処理槽内に回収されることにより、処理槽内の処理液の減少を抑制することができる。
図2は、図1に示す液切部材71を模式的に示す斜視図である。液切部材71は、フィルム10の幅方向の長さ以上の長さを有する板状の形状である。液切部材71は、長さ方向がフィルムの幅方向と略一致してフィルムに接触するように配置されることが好ましく、このように配置することによりフィルムの幅方向全体が液切部材71に接触することになる。液切部材71は、長さ方向の側面71aがフィルムに接触するように配置される。側面71aの表面粗さRaは0.5μm以下であり、0.3μm以下であることがより好ましい。表面粗さRaが0.5μmを超える場合は、フィルム表面に付着している処理液を十分に除去することができない場合がある。液切部材71の側面71aの表面粗さRaは、例えば、側面71aの研磨の程度により調整することができる。側面71aは、角面取りや丸面取り等の面取り処理が施された後に研磨仕上げされていることが好ましい。研磨方法としては、砥石研磨、鏡面切削、ラッピング研磨、バフ研磨、火炎研磨等の公知の方法を用いることができる。通常研磨処理により到達できる表面粗さRaは、0.001μmである。
また、液切部材71は、フィルムに接触する側面71aの水接触角が60°以下であることが好ましく、45°以下であることがより好ましい。水接触角が60°を超える場合には、液切部材とフィルムとの間の空間に保持される処理液の量が低下するために、液切性が低下してしまう場合がある。液切部材71の水接触角は、例えば、液切部材71に用いる材質により調整することができる。水接触角が60°以下の液切部材を調整することができる材料としては、ガラス、セラミックス、金属(ステンレス、アルミニウム、鉄等)、樹脂等が挙げられる。なお、水接触角を上記した所望の値とするために、これらの材料に親水化処理を施してもよい。良好な研磨性と耐腐食性を有することから、ガラス、親水化処理したセラミックスが好ましく用いられ、親水性の持続性が良好であることからガラスが好ましく用いられる。ガラスとしては通常使用されるものであればよく、石英ガラス、ソーダ石灰ガラス、カリガラス、ホウケイ酸ガラス等が挙げられる。また強度向上のため複数のガラス板を積層させたものでもよい。一般的にガラスの水接触角は、3〜45°の範囲である。
なお、液切部材における上記した水接触角は、液切部材におけるフィルムと接触する面のみに限定されるため、耐腐食性のある材料で形成された液切部材のフィルムと接触する面の表面に、所望の水接触角を有する材料の薄膜を形成してもよい。液切部材71の厚みは、特に限定されないが、例えば、1〜20mmである。
液切部材71は、例えばガラス板を用いて、長さ方向の側面71aを面取りして作製することができる。また、側面71aと対向する側面71bも合わせて面取りしてもよい。図3,4は、面取り後のガラス板の長さ方向と直交する断面図を表す。面取りの方法は限定されることなく、例えば図3に示すように、長さ方向と直交する断面における頂点が鈍角となるように角面取りの面取り処理を施して作製することができる。角面取りの際の面取り寸法r1は、例えば、0.5〜2mmである。また、例えば図4に示すように、長さ方向と直交する断面における頂点がラウンド形状となるように丸面取りの面取り処理を施して作製することができる。丸面取りの曲率半径r2は、例えば、0.5〜2mmである。
図1に示す装置において、ポリビニルアルコール系樹脂フィルム10と液切部材71とのなす角度は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルム10の搬送方向上流側において鋭角
であることが好ましく、45°以下であることがより好ましく、30°以下がさらに好ましい。図5に、ポリビニルアルコール系樹脂10フィルムと液切部材71とのなす角度を示す。ポリビニルアルコール系樹脂フィルム10の搬送方向上流側においてなす角度を角度θ1で示し、搬送方向下流側においてなす角度を角度θ2で示す。すなわち、角度θ1が、鋭角であることが好ましく、45°以下であることがより好ましく、30°以下がさらに好ましい。
このように、角度θ1が鋭角であることにより、すなわち角度θ1<角度θ2であることにより、液切性をより向上させることができる。これは、フィルム10と液切部材71との間に形成される空間が、フィルムと液切部材が接触する位置を境として、フィルムの搬送方向上流側に形成される上流側空間が、フィルムの搬送方向下流側に形成される下流側空間よりも狭くなるので、液切部材71がフィルム表面を相対的に移動する際に、処理液が液切部材71の下流側空間に移動するよりも毛管力により上流側空間に留まりやすくなるためであると考えられる。図2〜図5においては、液切部材71について説明したが、フィルムのもう一方の表面側に配置される液切部材72についても、液切部材71についての上記説明の通りである。なお、処理液除去工程においては、図1に示すように二つの液切部材71,72を対向させて配置する方法に限定されることはなく、フィルムの一方の表面のみに液切部材が配置されていてもよく、またフィルムの一方の表面に配置される液切部材が複数であってもよい。例えば、フィルムの搬送経路が鉛直方向に対して傾いている場合であって、フィルムの上面のみに処理液が付着しやすい装置においては、フィルムの上面にのみ液切部材が配置されている構成であってもよい。液切性を向上させる観点からは、フィルムの両面に液切部材が配置されている構成が好ましい。
図1〜図5においては、板状の液切部材71を示したが、処理液除去工程に用いられる液切部材は、接触によりフィルムの表面に付着した処理液を除去できるものであれば板状に限定されることはなく、例えば、三角柱状、四角柱状等の角柱状の液切部材であっても、円柱状の液切部材であってもよい。板状以外の形状の液切部材であっても、フィルムに接触する面の所望の表面粗さ、所望の水接触角、材料については、板状の液切部材71についての上記説明の通りである。図6は、三角柱状の液切部材73を用いた場合の、フィルム10と液切部材73の関係を示す断面図である。液切部材73は、接触位置を境として搬送方向上流側に形成される空間が、搬送方向下流側に形成される空間よりも狭くなるようにフィルム10に接触させることが、液切性を向上させることができる点から好ましい。すなわち、液切部材73の表面とフィルム10とのなす角度が、上流側における角度θ1が下流側における角度θ2よりも小さいことが好ましい。
上記した処理液部材と同様の部材を、膨潤浴13の下流側上方、染色浴15の下流側上方、または架橋浴17の下流側上方にも配置することができ、処理液除去工程として、膨潤処理工程後にフィルム表面に付着した膨潤液を除去する工程、染色処理工程後にフィルム表面に付着した染色液を除去する工程、架橋処理工程後にフィルム表面に付着した架橋液を除去する工程を行うこともできる。
(乾燥処理工程)
洗浄処理工程の後、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを乾燥させる処理を行うことが好ましい。フィルムの乾燥は特に制限されないが、図1に示される例のように乾燥炉21を用いて行うことができる。乾燥温度は、例えば30〜100℃程度であり、乾燥時間は、例えば30〜600秒程度である。以上のようにして得られる偏光フィルム23の厚みは、例えば約5〜30μm程度である。
(ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに対するその他の処理工程)
上記した処理以外の処理を付加することもできる。追加されうる処理の例は、架橋処理
工程の後に行われる、ホウ酸を含まないヨウ化物水溶液への浸漬処理(補色処理)、ホウ酸を含まず塩化亜鉛等を含有する水溶液への浸漬処理(亜鉛処理)を含む。
<偏光板>
以上のようにして製造される偏光フィルムの少なくとも片面に、接着剤を介して保護フィルムを貼合することにより偏光板を得ることができる。保護フィルムとしては、例えば、トリアセチルセルロースやジアセチルセルロースのようなアセチルセルロース系樹脂からなるフィルム;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート及びポリブチレンテレフタレートのようなポリエステル系樹脂からなるフィルム;ポリカーボネート系樹脂フィルム、シクロオレフィン系樹脂フィルム;アクリル系樹脂フィルム;ポリプロピレン系樹脂の鎖状オレフィン系樹脂からなるフィルムが挙げられる。
偏光フィルムと保護フィルムとの接着性を向上させるために、偏光フィルム及び/又は保護フィルムの貼合面に、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、紫外線照射、プライマー塗布処理、ケン化処理などの表面処理を施してもよい。偏光フィルムと保護フィルムとの貼合に用いる接着剤としては、紫外線硬化性接着剤のような活性エネルギー線硬化性接着剤や、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液、又はこれに架橋剤が配合された水溶液、ウレタン系エマルジョン接着剤のような水系接着剤を挙げることができる。紫外線硬化型接着剤は、アクリル系化合物と光ラジカル重合開始剤の混合物や、エポキシ化合物と光カチオン重合開始剤の混合物等であることができる。また、カチオン重合性のエポキシ化合物とラジカル重合性のアクリル系化合物とを併用し、開始剤として光カチオン重合開始剤と光ラジカル重合開始剤を併用することもできる。
以下、図2に示す液切部材と同様の板状の各種液切部材を用いて液切性の評価を行った。なお、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。以下の例において、液切部材のポリビニルアルコール系樹脂フィルムに接触する面の表面粗さ及び水接触角は、次の方法によって測定した。
〔表面粗さの測定〕
JIS B 0601に準拠した方法により、表面粗さ測定機(ハンディサーフE−35A、(株)東京精密製)を用いて、液切部材のフィルムに接触する面の表面粗さRaを測定した。Raを測定する際の測定条件(カットオフ長,評価長さ)は、JIS B0633により求められる表面粗さRaにより適宜設定した。すなわち、表面粗さRaが0.006μm超過0.02μm以下の場合には、カットオフ長0.08mm、評価長さ0.4mmであり、表面粗さRaが0.02μm超過0.1μm以下の場合には、カットオフ長0.25mm、評価長さ1.25mmであり、表面粗さRaが0.1μm超過2μm以下の場合には、カットオフ長0.8mmであり、評価長さ4mmであり、表面粗さRaが2μm超過10μm以下の場合には、カットオフ長2.5mm、評価長さ12.5mmである。
〔水接触角の測定〕
画像処理式接触角計(FACE CA−X、協和界面科学(株)製)を用いて、液切部材の表面に1マイクロリットルの純水を滴下し、水接触角を測定した。
〔液切性評価試験1〕
材質及びフィルムに接触する面の研磨度が異なる、実施例1〜8及び比較例1〜3の板状の液切部材を準備し以下の評価を行った。各液切部材の材質は表1に示す通りであり、各液切部材のフィルムと接触する面の表面粗さと水接触角を上記方法により測定した測定値を表1に示す。
張力35N/mで水平に保持した偏光フィルム(幅30mm、厚さ22μm)の表面に40マイクロリットルの純水を滴下した。次いで、純水が滴下された偏光フィルム表面上を表1に示す角度(偏光フィルムの相対移動方向に対して上流側において偏光フィルムと液切部材がなす角度)で接触させた液切部材を6m/分の速度で移動させて液切を行った。液切後の偏光フィルム表面の状態を目視で観察し、液切性を評価した。液切性は「1」から「3」の3段階で次の基準により評価した。表1に評価結果を示す。なお、本評価試験では、偏光フィルムに対して液切部材を移動させて評価を行ったが、液切部材を固定した状態で偏光フィルムを移動させても(図1に示す装置における関係を実施しても)、同様の評価結果になるとみなすことができる。
1:液切後に偏光フィルム上に水が観察されない、
2:液切後に偏光フィルム上に水の薄膜が観察される、
3:液切後に偏光フィルム上に水滴が観察される。
Figure 0005970117
〔液切性評価試験2〕
実施例9,10として、液切性評価試験1の実施例2で準備した液切部材と同様の液切部材を準備し、次の評価を行った。図1に示されるような連続的に偏光フィルムが製造される工程において、洗浄浴から取り出されて搬送されるフィルムに液切部材を表2に示す角度(偏光フィルムの搬送方向に対して上流側において偏光フィルムと液切部材がなす角度)で接触させて液切を行った。なお、フィルムの搬送速度は10m/分とした。液切後のフィルム表面の状態を目視で観察し、液切性を評価した。液切性は「1」から「3」の3段階で次の基準により評価した。表2に評価結果を示す。
1:液切後に偏光フィルム上に水が観察されない、
2:液切後に偏光フィルム上に水の薄膜が観察される、
3:液切後に偏光フィルム上に水滴が観察される。
Figure 0005970117

実施例でも示されるように、本発明はポリビニルアルコール系樹脂から製造される偏光フィルムの製造に好適に用いることが出来る。なお、本発明に係る液切部材は、偏光フィルムの製造方法におけるポリビニルアルコール系樹脂フィルムの処理液除去工程と同様に
、高分子樹脂フィルムを処理液に接触させて処理する工程を含む機能性樹脂フィルムの製造、例えば、リチウム二次電池用のセパレータフィルムの製造の処理液除去工程にも好適に用いることが出来る。
10 ポリビニルアルコール系樹脂からなる原反フィルム、11 原反ロール、13 膨潤浴、15 染色浴、17 架橋浴、19 洗浄浴、21 乾燥炉、23 偏光フィルム、30,31,32,33,34,35,36,37,38,39,40,41,60,61 ガイドロール、50,51,52,53,54,55 ニップロール、71,72,73 液切部材。

Claims (7)

  1. ポリビニルアルコール系樹脂フィルムから偏光フィルムを作製する偏光フィルムの製造方法であって、
    前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに処理液を接触させて処理する処理工程と、
    前記処理工程後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムに液切部材を接触させて、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの表面に付着している前記処理液を除去する処理液除去工程と、をこの順に備え、
    前記液切部材は、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに接触する面の表面粗さRaが0.5μm以下でかつ水接触角が60°以下であ
    前記処理液除去工程において、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムと前記液切部材とのなす角度が、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの搬送方向上流側において60°以下となるように前記液切部材を接触させている、偏光フィルムの製造方法。
  2. 前記液切部材は板状である、請求項に記載の偏光フィルムの製造方法。
  3. 前記処理液除去工程において、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムと前記液切部材とのなす角度が、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの搬送方向上流側において45°以下となるように前記液切部材を接触させている、請求項1又は2に記載の偏光フィルムの製造方法。
  4. 前記処理液除去工程において、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの両面に前記液切部材を接触させて、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの両面に付着している前記処理液を除去する、請求項1〜のいずれか1項に記載の偏光フィルムの製造方法。
  5. 前記処理工程は、前記処理液として膨潤液を用いる膨潤処理工程、前記処理液として染色液を用いる染色処理工程、前記処理液として架橋液を用いる架橋処理工程、または前記処理液として洗浄液を用いる洗浄処理工程である、請求項1〜のいずれか1項に記載の偏光フィルムの製造方法。
  6. ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを乾燥させる乾燥工程をさらに備え、
    前記処理液除去工程は、前記乾燥工程の直前の前記処理工程が終了した後に、前記乾燥工程の前に行われる、請求項1〜のいずれか1項に記載の偏光フィルムの製造方法。
  7. ポリビニルアルコール系樹脂フィルムから偏光フィルムを作製する偏光フィルムの製造装置であって、
    前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに処理液を接触させて処理する処理手段と、
    前記処理手段を通過した後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムに液切部材を接触させて、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの表面に付着している前記処理液を除去する処理液除去手段と、をこの順に備え、
    前記液切部材は、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに接触する面の表面粗さRaが0.5μm以下でかつ水接触角が60°以下であ
    前記処理液除去手段において、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムと前記液切部材とのなす角度が、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの搬送方向上流側において60°以下となるように前記液切部材を接触させている、偏光フィルムの製造装置。
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