JP5941255B2 - ポリビニルアセタール樹脂の製造方法 - Google Patents
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Description
以下に本発明を詳述する。
これに対して本発明者は、鋭意検討の結果、ビニルアセタール基率が50モル%以上であるポリビニルアセタール樹脂を原料として、触媒を含まない、温度100〜400℃、圧力0.5MPa以上の高温高圧流体中で、カルボン酸又はカルボン酸無水物と反応させる方法により、本発明のポリビニルアセタール樹脂を製造できることを見出した。
このような本発明のポリビニルアセタール樹脂の製造方法もまた、本発明の1つである。
ポリビニルアセタール樹脂をカルボン酸又はカルボン酸無水物によりエステル化する場合、ピリジン等の触媒が必要であることが技術常識であった。しかし、本発明者は、カルボン酸又はカルボン酸無水物を高温高圧状態にすることで、酸触媒効果が発現し、別に触媒を加えなくてもポリビニルアセタール樹脂のエステル化反応が進行することを見出した。更に、加熱、加圧することにより、ポリビニルアセタール樹脂の溶解性が向上することから、樹脂の構造内部にまでカルボン酸又はカルボン酸無水物が浸入できるようになることもエステル化反応の進行に寄与するものと考えられる。
上記原料ポリビニルアセタール樹脂は、ビニルエステル−ビニルアルコール共重合体を、酸性触媒下、アルデヒドと反応させてアセタール化する等の従来公知の方法により製造することができる。この際、ビニルアセタール基率を50モル%以上とするためには、低温にて長時間反応させることが好ましい。
上記ビニルエステル−ビニルアルコール共重合体は、エチレン等の、ビニルエステル、ビニルアルコールと共重合可能なモノマーを含む共重合体も用いることができる。
上記カルボン酸又はカルボン酸無水物としては特に限定されないが、炭素数が2以上のカルボン酸又はその無水物であることが好ましい。炭素数が1であると、構造中の水素結合を阻害する効果が充分ではない。なかでも、炭素数が2である酢酸、又は、その無水物である無水酢酸がより好適である。
上記接触させる方法としては特に限定されないが、例えば、攪拌機付きの耐圧容器に原料ポリビニルアセタール樹脂と、カルボン酸又はカルボン酸無水物とを投入しヒーターにて加熱し、必要であれば液送ポンプにてカルボン酸又はカルボン酸無水物を投入して加圧する方法が好適である。即ち、この場合には高温高圧流体は、カルボン酸又はカルボン酸無水物のみからなる。
(1)原料ポリビニルブチラール樹脂の調整
重合度1700、けん化度99.2モル%のポリビニルアルコール(クラレ社製、117−BU)190gを純水2900gに加えて加温溶解した。得られた溶液の温度を20℃に調節し、35%塩酸201gとn−ブチルアルデヒド124gとを加えて、液温を8℃に下げてこの温度を保持して反応物を析出させた。その後、液温を50℃で4時間保持して反応を完了させ、中和、水洗、乾燥を経て、白色粉末状の原料ポリビニルブチラール樹脂を得た。
得られた原料ポリビニルブチラール樹脂を乾燥した後、重水素化ジメチルスルホキシドに溶解し、1H−NMR測定により組成分析を行ったところ、ビニルブチラール基率66.5モル%、ビニルアルコール基率32.7モル%、ビニルエステル基率0.8モル%であった。
得られた原料ポリビニルブチラール樹脂20gと酢酸40gとを攪拌翼付きの容積100mLの耐圧容器に投入し、攪拌しながらヒーターにて160℃に加熱した。このとき圧力は0.5MPaとなった。5時間反応させた後容器を冷却し反応容器内の反応物(ポリビニルブチラール樹脂)を取り出した。
実施例1で得られた原料ポリビニルブチラール樹脂30gと無水酢酸30gとを攪拌翼付きの容積100mLの耐圧容器に投入し、攪拌しながらヒーターにて160℃に加熱した。このとき圧力は0.5MPaとなった。4時間反応させた後容器を冷却し反応容器内の反応物を水に投入し析出させてポリビニルブチラール樹脂を得た。
実施例1で得られた原料ポリビニルブチラール樹脂30gと酢酸30gと無水酢酸15gとを攪拌翼付きの容積100mLの耐圧容器に投入し、攪拌しながらヒーターにて160℃に加熱した。このとき圧力は0.5MPaとなった。3時間反応させた後容器を冷却し反応容器内の反応物を水に投入し析出させてポリビニルブチラール樹脂を得た。
ポリ酢酸ビニルをけん化し、ビニルアセチル基率18モル%、ビニルアルコール基率82モル%、重合度1500のビニルエステル−ビニルアルコール共重合体を得た。
得られたビニルエステル−ビニルアルコール共重合体5gと水45gとをセパラブルフラスコに投入し40℃で攪拌しながら35%濃度の塩酸3gを添加し、更にブチルアルデヒド3gを投入した。5時間反応させた後、反応物であるポリビニルブチラール樹脂を取り出した。
ポリ酢酸ビニルをけん化し、ビニルアセチル基率60モル%、ビニルアルコール基率40モル%、重合度1500のビニルエステル−ビニルアルコール共重合体を得た。
得られたビニルエステル−ビニルアルコール共重合体5gと水45gとをセパラブルフラスコに投入し40℃で攪拌しながら35%濃度の塩酸3gを添加し、更にブチルアルデヒド3gを投入した。5時間反応させた後、反応物であるポリビニルブチラール樹脂を取り出した。
ポリ酢酸ビニルをけん化し、ビニルアセチル基率18モル%、ビニルアルコール基率82モル%、重合度1500のビニルエステル−ビニルアルコール共重合体を得た。
得られたビニルエステル−ビニルアルコール共重合体5gと水45gとをセパラブルフラスコに投入し40℃で攪拌しながら35%濃度の塩酸3gを添加し、更にブチルアルデヒド1gを投入した。5時間反応させた後、反応物であるポリビニルブチラール樹脂を取り出した。
ポリ酢酸ビニルをけん化し、ビニルアセチル基率40モル%、ビニルアルコール基率60モル%、重合度1500のビニルエステル−ビニルアルコール共重合体を得た。
得られたビニルエステル−ビニルアルコール共重合体5gと水45gとをセパラブルフラスコに投入し40℃で攪拌しながら35%濃度の塩酸3gを添加し、更にブチルアルデヒド40gを投入した。5時間反応させた後、反応物であるポリビニルブチラール樹脂を取り出した。
実施例1で得られたポリビニルブチラール樹脂30gと酢酸30gと無水酢酸15gを攪拌翼付きの容積100mLのセパラブルフラスコに投入し、攪拌しながらウォーターバスにて95℃に加熱した。3時間反応させた後容器を冷却し、反応容器内の反応物を取り出した。
実施例及び比較例で得られたポリビニルブチラール樹脂について、以下の方法により評価を行った。結果を表1に示した。
得られた樹脂を乾燥後、重水素化ジメチルスルホキシドに溶解し、1H−NMR測定により組成分析を行った。
得られた樹脂を乾燥後、150℃の熱脱着ガスクロマトグラフ分析(GC−MS)及び1H−NMR測定により残存するアルデヒド残渣及び触媒残渣(ピリジン残渣)の量を測定した。
得られた樹脂を乾燥後、粉末状に粉砕し、示差走査型熱量計(DCS)にて10℃/分の昇温速度にてガラス転移温度(Tg)を測定した。
得られた樹脂を乾燥後、粉末状に粉砕し、その2gを試験管に入れた。その状態で樹脂の粉末の色を目視にて観察した。次いで、170℃及び180℃にて90分間加熱した後に、樹脂の粉末の色を目視にて観察した。各々の場合に、樹脂に着色が認められなかった場合を「○」、着色が認められた場合を「×」と評価した。
得られた樹脂を乾燥後、温度180℃の余熱処理を10分間行った後、温度180℃、10MPaの加圧、10分間の条件にてプレス成型して、厚さ4mmのシートサンプルを得た。
得られたシートサンプルについて、JIS7110に準拠した衝撃強度測定法にて衝撃強度を、JIS7113に準拠した引っ張り試験法にて引張強度を測定した。
Claims (3)
- ビニルアセタール基率が50モル%以上、ビニルエステル基率が30モル%以上であり、アルデヒド残渣が50ppm以下であるポリビニルアセタール樹脂を製造する方法であって、
ビニルアセタール基率が50モル%以上であるポリビニルアセタール樹脂を、触媒を含まない、温度100〜400℃、圧力0.5MPa以上の高温高圧流体中で、カルボン酸又はカルボン酸無水物と反応させる
ことを特徴とするポリビニルアセタール樹脂の製造方法。 - カルボン酸が酢酸であり、カルボン酸無水物が無水酢酸であることを特徴とする請求項1記載のポリビニルアセタール樹脂の製造方法。
- 高温高圧流体は、カルボン酸又はカルボン酸無水物のみであることを特徴とする請求項1又は2記載のポリビニルアセタール樹脂の製造方法。
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