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JP5939590B2 - 高硬度高熱伝導性複合金属材、高硬度高熱伝導性複合金属材の製造方法およびプラスチックまたは繊維強化プラスチック成形用金型 - Google Patents

高硬度高熱伝導性複合金属材、高硬度高熱伝導性複合金属材の製造方法およびプラスチックまたは繊維強化プラスチック成形用金型 Download PDF

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Description

この発明は、高い硬度と良好な熱伝導性を有する高硬度高熱伝導性複合金属材、高硬度高熱伝導性複合金属材の製造方法およびプラスチックまたは繊維強化プラスチック成形用金型に関するものである。
プラスチックや繊維強化プラスチック部品を対象とした射出成形及びプレス成形においては、成形時間短縮のために金型の速やかな加熱・冷却が強く求められており、熱伝導性の良好な高熱伝導率材の使用が試行されている。高熱伝導率材として、銅やアルミニウム、黄銅(Cu−Zn系)、青銅(Cu−Sn系)、ベリリウム銅(Be−Cu系)やコルソン合金(Cu−Ni−Si系)といった銅合金が知られている。特に、熱伝導とともに強度や硬度が要求されるようなプラスチック射出金型材や航空機部材などには、ベリリウム銅やコルソン合金を用いることが考えられる。一方で、繊維強化プラスチックのような複合材料の成形する場合は、繊維による摩耗が生じることから、これらの成形金型材には高い耐摩耗性が要求されるが、これら銅合金では十分な硬さが得られないため、プラスチックと金型が直接接する意匠面には高硬度金属材を配置し、プラスチックを速やかに固めたい箇所に入れ子の形で銅合金を配置して使用している。しかし、銅合金を入れ子の形で挿入した場合、銅合金と高硬度金属材との間にはエアギャップが生じ、伝熱効率が低下するという問題が生じる。
上記課題を解決する方法として、拡散接合により異種金属同士を隙間なく接合して、金属同士の接合界面での伝熱ロスをなくす方法が提案されている。特許文献1では高熱伝熱材として銅C1020を用いて拡散接合する例が述べられている。また、特許文献2では、高熱伝導性金属層として、純銅、銅合金、純アルミニウム、アルミニウム合金から選択される材種と高硬度金属層を拡散接合するモデルが記載されている。
特開2010−94712号公報 WO2012/133406号公報
高熱伝導性金属の効果を十分に発揮するには、界面でのロスをなくすために拡散接合が好適であり、特許文献2では、拡散接合の実施例として、高硬度金属層にSKD61、高熱伝導性金属層に無酸素銅を用いて、加圧下で800℃、1時間保持する方法が提案されているが、純銅では強度が低く、金型としての剛性が低くなってしまう。これまでに、純銅の代替材として熱伝導性や剛性に優れる銅合金の適用が提案されているが、普及にはいたっていない。
その理由としては、高硬度金属と高熱伝導性金属の線膨張差が挙げられる。金型向けの一般的な高硬度金属としては工具鋼があるが、その室温〜200℃における線膨張係数は1.0〜1.2×10−5/℃程度である。一方、一般的な銅合金の線膨張係数は1.6〜1.8×10−5/℃程度である。上述した通り、金型全体の剛性を高くするためには高熱伝導性金属もある程度強度が高い必要がある。
特許文献2では、線膨張係数の差が接合性に影響することを課題として熱変形を拘束することが記載されている(段落0024、0025)。
しかし、高硬度金属、高熱伝導性金属ともに強度が高く、その分延靭性が低い素材を用いると、接合後に、両者の線膨張係数の違いから金型使用時に接合界面にひずみが蓄積した際に、クラックが容易に生じて熱伝導性が劣化したり、最悪の場合には金型が破壊してしまうという問題がある。
本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、熱伝導性に優れたCu−Ni−Si系銅合金と、高硬度金属材とが界面接合によってエアギャップを有することなく良好に接合されており、しかも、両者の材料の線膨張係数差に起因する問題を緩和して接合性を高めた高硬度高熱伝導性複合金属材、高硬度高熱伝導性複合金属材の製造方法およびプラスチックまたは繊維強化プラスチック成形用金型を提供することを目的とする。
本発明者らは、高硬度金属とCu−Ni−Si系銅合金を界面接合した後に高温処理を施すと、接合界面の高硬度金属側にCu−Ni−Si系銅合金からNiとSiが拡散し、高硬度金属とCu−Ni−Si系銅合金の中間的な線膨張係数を有する層が生成することを見出した。なお、高温処理の温度はCu−Ni−Si系銅合金に析出するNiSiを固溶化する処理と高硬度金属の焼入処理を兼ねた温度を採用できることもわかった。高温処理の後には、Cu−Ni−Si系銅合金におけるNiSiを微細かつ大量に析出させる時効処理と、高硬度金属の焼戻処理を兼ねた低温処理を行うと、高硬度金属、Cu−Ni−Si系銅合金ともに硬度を高めることができる。
すなわち、本発明の高硬度高熱伝導性複合金属材のうち、第1の本発明は、Cu−Ni−Si系銅合金材と高硬度金属材とが界面接合されており、接合界面に、Ni、Siの拡散層が形成されていることを特徴とする。
第2の本発明の高硬度高熱伝導性複合金属材は、前記第1の本発明において、前記Cu−Ni−Si系銅合金材が、質量%でNiを3〜7.5%、Siを0.7〜1.8%含有する組成を有することを特徴とする。
第3の本発明の高硬度高熱伝導性複合金属材は、前記第1または第2の本発明において、前記Cu−Ni−Si系銅合金材は、前記組成において質量%でNi/Siが3.7〜4.7であることを特徴とする。
第4の本発明の高硬度高熱伝導性複合金属材は、前記第1〜第3の本発明のいずれかにおいて、前記高硬度金属材がHRC30以上であり、前記Cu−Ni−Si系銅合金がHRC20以上であることを特徴とする。
第5の本発明の高硬度高熱伝導性複合金属材は、前記第1〜第4の本発明のいずれかにおいて、前記拡散層の厚さが10μm以上であることを特徴とする。
第6の本発明の高硬度高熱伝導性複合金属材は、前記第1〜第5の本発明のいずれかにおいて、前記Cu−Ni−Si系銅合金材の室温〜200℃における線膨張率が1.6〜1.8×10−5/℃であり、前記高硬度金属材の室温〜200℃における線膨張率が1.0〜1.2×10−5/℃であり、前記拡散層の室温〜200℃における線膨張率が1.2〜1.6×10−5/℃であることを特徴とする。
第7の本発明の高硬度高熱伝導性複合金属材は、前記第1〜第6の本発明のいずれかにおいて、前記高硬度金属材が析出硬化型鋼であることを特徴とする。
第8の本発明の高硬度高熱伝導性複合金属材の製造方法は、界面接合されたCu−Ni−Si系銅合金材と高硬度金属材を加熱してCu−Ni−Si系銅合金材のNi、Siを高硬度金属側に拡散させて界面にNi、Siの拡散層を形成することを特徴とする。
第9の本発明の高硬度高熱伝導性複合金属材の製造方法は、前記第8の本発明において、
前記高硬度高熱伝導性複合金属材を相対的に高い温度で加熱してCu−Ni−Si系銅合金材のNi、Siを高硬度金属材側に拡散させるとともに、Cu−Ni−Si系銅合金材中のNi、Siを固溶化させ、その後、前記高硬度高熱伝導性複合金属材を相対的に低い温度で加熱して前記Cu−Ni−Si系銅合金材中にNiSiを分散析出させることを特徴とする。
第10の本発明の高硬度高熱伝導性複合金属材の製造方法は、前記第9の本発明において、前記高硬度高熱伝導性複合金属材の加熱を、850〜1000℃で1〜10時間加熱して前記Ni、Siの前記拡散と前記固溶化を行い、その後、375〜500℃で1〜50時間加熱して前記NiSiを分散析出させることを特徴とする。
第11の本発明の高硬度高熱伝導性複合金属材の製造方法は、前記第10の本発明において、前記拡散と前記固溶化の処理後、前記分散析出の処理前に、加熱された前記高硬度高熱伝導性複合金属材を5℃/秒以上の冷却速度で冷却することを特徴とする。
第12の本発明の高硬度高熱伝導性複合金属材の製造方法は、前記第9〜第11の本発明のいずれかにおいて、前記高硬度金属材が析出硬化型鋼からなることを特徴とする。
第13の本発明のプラスチックまたは繊維強化プラスチック成形用金型は、前記第1〜第7の本発明のいずれかに記載した高硬度高熱伝導性複合金属材を用いてなることを特徴とする。
以上説明したように、本発明によれば、Cu−Ni−Si系銅合金材と高硬度金属材とが界面接合されて良好な接合状態が得られるとともに、界面にNi、Siの拡散層が形成されているので、Cu−Ni−Si系銅合金材と高硬度金属材との線膨張係数差による弊害を防止して良好な接合状態を維持することができ、結果的に高い硬度面を有するとともに良好な熱伝導性を有する。該材料を金型に用いる場合、金型全体として高熱伝導率を維持しつつ、金型の意匠面に耐摩耗性や鏡面性を付与した金属材を供給することが可能となる。この結果、本発明の高硬度高熱伝導性複合金属材は、プラスチック射出成形金型材、特に複合材料向けの金型材として最適であり、従来の金型よりもプラスチック製品射出のサイクルタイムを短縮するとともに、使用中の劣化を低減できる。
本発明の実施工程における高硬度高熱伝導性複合金属材の製造方法および高硬度高熱伝導性複合金属材を示す図である。 同じく、実施例における材料断面の走査型電子顕微鏡写真を示す図面代用写真である。 同じく、実施例における材料断面のエネルギー分散型X線分析(EDS/EDX: Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)結果を示す図面代用写真である。
以下に、本発明の実施形態を説明する。
本発明に用いる高硬度金属材としては、プラスチック金型用鋼、工具鋼、析出硬化型ステンレスなどプラスチック成形金型として従来から使用されている鋼を用いることができる。ただし、Cu−Ni−Si系合金からNi、Siを拡散させるため、Ni、Si添加量がCu−Ni−Si系合金の1.2倍以下とするのが望ましい。1.2倍以下であれば銅合金から鋼へNi、Siが拡散することが実験で確かめられている。なお、以下では、高硬度金属材としては、高硬度を有する金属材の他、高硬度化される前の金属材を総称していうものである。
高熱伝導性合金としてはNi、Siの高硬度金属への拡散が必要であるため、Ni、Siを含むCu−Ni−Si系銅合金材が最適である。金型に必要な剛性を得るためには、Niを3%以上、Siを0.7%以上添加するのが望ましい。NiとSiの比は硬さ上昇能の高いNiSiを析出させるために重量比でNi/Si=3.7〜4.7に調整するのが望ましい。Ni、Siの含有量が多過ぎると凝固中にNiSiなどの晶出物が大量に生じて鋼との接合性を低下させるため、Niは7.5%以下、Siは1.8%以下が望ましい。
なお、以下では、Cu−Ni−Si系銅合金材としては、高硬度高熱伝導性複合金属材に含まれて使用可能な状態のCu−Ni−Si系銅合金材の他、処理前の材料を総称していうものである。
Ni、Si以外の元素については、一般的に銅合金に添加されているBe、P、Cr、Mn、Co、Zn、Ag、Snの1種以上をそれぞれ単独で1%以下、合計で3%以下含有しても問題ない。酸化物形成傾向が強いあるいは鉄と金属間化合物を形成しやすい元素であるMg、Al、Ti、Zrの1種以上を含有してもよく、その場合、それぞれ単独で0.2%以下、合計で0.5%以下が望ましい。
両素材の製造方法については限定しない。鋼の溶解方法としては高炉、電気炉、誘導溶解炉、真空誘導溶解炉など、精錬方法としては取鍋精錬、RH真空脱ガスなど、鋳込み方法としては真空脱ガス鋳込み、連続鋳造法など常法を採用できる。エレクトロスラグ再溶解や真空アーク再溶解といった二次溶解も採用できる。また、金型に要求される特性を有しているならば、粉末冶金手法で製造しても問題ない。一方、銅合金の溶解方法としては誘導溶解炉、真空誘導溶解炉など、鋳込み方法としてはダービル法、連続鋳造法など常法を、エレクトロスラグ再溶解といった二次溶解も採用できる。
また、両素材の厚さも互いに特に限定されるものではない。
Cu−Ni−Si系銅合金材と高硬度金属材の接合方法は、真空下で加熱・加圧して実施する拡散接合が最適ではある。適切に接合するためには1〜20MPaの圧力下で、850〜950℃に保持して10分〜10時間保持する。圧力は低過ぎると界面が密着しないため1MPa以上、高過ぎるとCu−Ni−Si系合金が変形するため20MPa以下が望ましい。保持温度は界面の元素の移動を盛んにするため850℃以上、Cu−Ni−Si系合金の変形を防止するために950℃以下が望ましい。保持時間は界面の元素の移動を確実にするために10分以上、Cu−Ni−Si系合金のクリープ変形を防止するために10時間以下が望ましい。加熱時の昇温速度や接合後の冷却速度は限定する必要はない。なお、界面接合方法は、本発明としては特に限定されるものではなく、加熱後の圧延、室温での爆着など、両者の界面を隙間なく接合させる方法であれば限定しない。
接合した後の高温処理の温度は、Cu−Ni−Si系銅合金材から高硬度金属材へのNi、Siの拡散を促進するために850℃以上が望ましく、Cu−Ni−Si系銅合金材の部分溶融を避けるために1000℃以下が望ましい。高温処理の保持時間は、Cu−Ni−Si系合金におけるNiSiの固溶化を促進するために1時間以上が望ましく、Cu−Ni−Si系銅合金材の結晶粒粗大化を防ぐために10時間以下が望ましい。
処理時の昇温速度は限定する必要はないが、冷却速度は水冷かそれに準じた速度であるのが望ましい。コルソン合金におけるNiSiの固溶を確実にするために5℃/秒以上の冷却速度とすることが望ましい。
低温処理はCu−Ni−Si系銅合金材においてNiSiが微細かつ大量に析出する375〜500℃で1時間〜50時間保持するのが望ましい。処理時の昇温速度と冷却速度は限定する必要はない。
図1は、上記工程の例A、Bを示すものである。
工程Aでは、高硬度金属材2とCu−Ni−Si系銅合金材3とが界面接合によって接合され、高硬度高熱伝導性複合金属材1が得られる。
両素材が界面接合された高硬度高熱伝導性複合金属材1は、好適には850〜1000℃で1時間〜10時間加熱されてCu−Ni−Si系銅合金材3の一部のNi、Siが高硬度金属材2側に拡散してNi、Si拡散層4が得られ、また、Cu−Ni−Si系銅合金材3中のNi、Siが固溶化する。この際に、高硬度金属材2の溶体化処理を併せて行うことができる。
加熱された高硬度高熱伝導性複合金属材1は、水冷やこれに準ずる方法で冷却し、その際の冷却速度を5℃/秒以上とするのが望ましい。なお、この冷却速度による冷却は、少なくとも300℃まで行われればよい。
冷却された高硬度高熱伝導性複合金属材1は、好適には375〜500℃で、1〜50時間の加熱を行う。この加熱により、Cu−Ni−Si系銅合金材3中に固溶したNi、SiからNiSi粒子が微細かつ大量に生成したCu−Ni−Si系銅合金材30が得られる。なお、NiSi粒子の大きさや分散密度は特に限定されるものではない。
なお、この加熱の際に、高硬度金属材2の焼戻しが行われるものであってもよい。
工程Bでは、界面接合として拡散接合が行われる工程である。拡散接合では、1〜20MPaの加圧状態で、850〜950℃、10分〜10時間の加熱が行われる。この際にCu−Ni−Si系銅合金材3の一部のNi、Siが高硬度金属材2側に拡散してNi、Si拡散層4aが得られるが、拡散量は十分ではない。なお、拡散に際し、熱拘束する手段を講じてもよい。
次いで、高硬度高熱伝導性複合金属材1は、好適には850〜1000℃で1時間〜10時間加熱されてCu−Ni−Si系銅合金材3の一部のNi、Siが高硬度金属材2側に拡散してNi、Si拡散層4が得られ、また、Cu−Ni−Si系銅合金材3中のNi、Siが固溶化する。この際に、高硬度金属材2の溶体化が行われ、所望の特性を有する高硬度金属材20が得られる。この際に加熱によって、Ni、Si拡散層4では、十分な量のNi、Si拡散が得られる。
加熱された高硬度高熱伝導性複合金属材1は、その後、上記工程Aと同様に冷却され、さらに、加熱により、Cu−Ni−Si系銅合金材3中に固溶したNi、SiをNiSi粒子として析出、分散させる。
以下に、本発明の実施例について説明する。
20kg真空溶解炉で溶製し、鍛造成形したCu−Ni−Si系合金のコルソン合金と、50kgVIMで溶製し、鍛造成形したプラスチック金型用鋼であるAISI P21系鋼ならびに市販の析出硬化型ステンレスSUS630を用いた。これら素材の成分を表1に示す。いずれの成分も質量%を示しており、SUS630およびP21系鋼では、残部がFeおよび不可避不純物からなる。コルソン合金では、残部がCuおよび不可避不純物からなる。
真空下で900℃、加圧力5MPa、保持時間1時間40分の条件で、コルソン合金とP21系鋼あるいはSUS630との拡散接合を行った。その後、一体化した高強度高熱伝導性複合金属に高温処理および低温処理を施した。
高温処理は、900℃×4時間で行い、その後、水冷によって冷却速度10℃/秒で 200℃まで冷却した。低温処理は、450℃×10時間で行った。
界面接合部の界面直角方向で、引張強さはどちらも650MPaであり、コルソン合金(650MPa)と同等であった。
処理後のコルソン合金はJISZ2244に基づき、荷重5kgでビッカース硬さと、ヴィーデマン=フランツ則に示されるように熱伝導率とほぼ比例関係にある導電率を測定した。コルソン合金のビッカース硬さはHV240、導電率は45%IACSであった。
AIS IP21系鋼の硬さはHV370、SUS630の硬さはHV420であった。
P21系鋼、SUS630ともに接合界面には拡散層が確認された。SUS630を用いた供試材について走査型電子顕微鏡(SEM)とエネルギー分散型X線分光法(EDX)で分析した結果、拡散層にはNi、Siの濃化が認められた。
アーク溶解により本拡散層の成分で溶製した素材の室温〜200℃の線膨張係数を測定した。線膨張係数はJIS Z 2285に準拠して測定した。P21系鋼の界面は1.2×10−5/℃、SUS630の界面は1.3×10−5/℃であり、コルソン合金(1.7×10−5/℃)と鋼(P21系鋼:1.1×10−5/℃、SUS630:1.1×10−5/℃)の中間に位置する値が得られた。
また、拡散層の厚さは、AIS IP21系鋼で10〜20μm、SUS630で10〜30μmであった。
以上、本発明について上記実施形態および上記実施例に基づいて説明を行ったが、本発明の範囲を逸脱しない限りは適宜の変更が可能である。
1 高硬度高熱伝導性複合金属材
2 高硬度金属材
3 Cu−Ni−Si系銅合金材
4 Ni、Si拡散層
20 高硬度金属材
30 Cu−Ni−Si系銅合金材

Claims (13)

  1. Cu−Ni−Si系銅合金材と高硬度金属材とが界面接合されており、接合界面に、Ni、Siの拡散層が形成されていることを特徴とする高硬度高熱伝導性複合金属材。
  2. 前記Cu−Ni−Si系銅合金材が、質量%でNiを3〜7.5%、Siを0.7〜1.8%含有する組成を有することを特徴とする請求項1記載の高硬度高熱伝導性複合金属材。
  3. 前記Cu−Ni−Si系銅合金材は、前記組成において質量%でNi/Siが3.7〜4.7であることを特徴とする請求項1または2に記載の高硬度高熱伝導性複合金属材。
  4. 前記高硬度金属材がHRC30以上であり、前記Cu−Ni−Si系銅合金がHRC20以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の高硬度高熱伝導性複合金属材。
  5. 前記拡散層の厚さが10μm以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の高硬度高熱伝導性複合金属材。
  6. 前記Cu−Ni−Si系銅合金材の室温〜200℃における線膨張率が1.6〜1.8×10−5/℃であり、前記高硬度金属材の室温〜200℃における線膨張率が1.0〜1.2×10−5/℃であり、前記拡散層の室温〜200℃における線膨張率が1.2〜1.6×10−5/℃であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の高硬度高熱伝導性複合金属材。
  7. 前記高硬度金属材が析出硬化型鋼であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の高硬度高熱伝導性複合金属材。
  8. 界面接合されたCu−Ni−Si系銅合金材と高硬度金属材を加熱してCu−Ni−Si系銅合金材のNi、Siを高硬度金属側に拡散させて界面にNi、Siの拡散層を形成することを特徴とする高硬度高熱伝導性複合金属材の製造方法。
  9. 前記高硬度高熱伝導性複合金属材を相対的に高い温度で加熱してCu−Ni−Si系銅合金材のNi、Siを高硬度金属材側に拡散させるとともに、Cu−Ni−Si系銅合金材中のNi、Siを固溶化させ、その後、前記高硬度高熱伝導性複合金属材を相対的に低い温度で加熱して前記Cu−Ni−Si系銅合金材中にNiSiを分散析出させることを特徴とする請求項8記載の高硬度高熱伝導性複合金属材の製造方法。
  10. 前記高硬度高熱伝導性複合金属材の加熱を、850〜1000℃で1〜10時間加熱して前記Ni、Siの前記拡散と前記固溶化を行い、その後、375〜500℃で1〜50時間加熱して前記NiSiを分散析出させることを特徴とする請求項9記載の高硬度高熱伝導性複合金属材の製造方法。
  11. 前記拡散と前記固溶化の処理後、前記分散析出の処理前に、加熱された前記高硬度高熱伝導性複合金属材を5℃/秒以上の冷却速度で冷却することを特徴とする請求項10記載の高硬度高熱伝導性複合金属材の製造方法。
  12. 前記高硬度金属材が析出硬化型鋼からなることを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載の高硬度高熱伝導性複合金属材の製造方法。
  13. 詩求項1〜7のいずれか1項に記載した高硬度高熱伝導性複合金属材を用いてなることを特徴とするプラスチックまたは繊維強化プラスチック成形用金型。
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