JP5935109B1 - 遠心鋳造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】複合圧延ロールなどを提供する横型遠心鋳造において、マクロ偏析の生起しない鋳造方法を提供する。【解決手段】外層部分を鋳造する際、断熱性の円筒状又は円柱状の中子を鋳型の中心軸に配置することにより、内部の自由界面をなくし、等軸晶の生成を完全に抑える。これにより、絡み合った等軸晶の間に生成するマクロ偏析の形成を抑制する。外層部分の厚みが所定の値になれば、中子を抜くと共に残湯を排出する。所定の厚みになるように設定した中子の場合には完了まで凝固させた後に中子を取り出す。【選択図】図2
Description
本発明は、例えば圧延ロールや鉄管などを製造する際に採用される遠心鋳造方法に関し、特に、鋳型の回転軸が水平、又は水平に対して45°以下の傾斜角を有する、いわゆる横型遠心鋳造による遠心鋳造方法に関する。
一般に、鉄鋼の熱間圧延用ロールなどは、硬くて強い外層と、比較的軟らかく、靭性に優れた内層から構成されている。外層には、例えば下記特許文献1に記載されるように、C:1.5〜4%、Cr:1〜30%、Mo:0.5〜10%を含み、残部をFeとした複雑な合金系が用いられている。
この外層は遠心鋳造によって製造され、その鋳造方法は概ね以下の通りである。鋳造方法は、鋳型の回転軸が水平、又は水平に対して45°以下の傾斜角を有する横型遠心鋳造であり、使用される鋳型は直径1000mm程度の円筒形状である。
図7はこの種の横型遠心鋳造の模型図を示している。図7に示すように、横型遠心鋳造では、まず、0〜45°の傾斜角を有する回転軸の周りを高速回転する鋳型11の両側をレンガなどのブロック12で固定し、回転している鋳型11に溶湯(溶融金属)13を注入ノズル14から注入して鋳型11内の溶湯13が厚さ100mm程度になるように遠心鋳造し、鋳型11内にて溶湯13が完全に凝固するまで重力倍数が160〜200G程度の高速回転を続ける。そして、鋳型11内にて溶湯13が凝固したら、次に、鋳型11の型ばらしを行う。次に、パイプ状に鋳造されたこの外層を立てて、静置した外層に内層用の溶湯を注入する。これにより、複合ロール(外層と内層とからなる熱間圧延用ロール)が完成する。
遠心鋳造は、遠心力によって溶融金属が鋳型の壁面に押し付けられるため、鋳型−凝固シェルの密着性が良くなり、緻密で均一な組織が得やすく、さらに、遠心力によって溶融金属の厚さが一定になるため、鋳塊(円筒状の外層など)の寸法精度が高いなどの特徴がある。
ところで、外層に用いられる合金(溶融金属)は多元系の鉄基合金であるが、これが凝固するときに出現する相としては、オーステナイトの初晶と複雑な組成の共晶炭化物である。
オーステナイトの初晶は比較的軟らかく、靭性に富むのに対し、共晶炭化物は硬く、比較的脆い性質を持つ。その凝固組織としては、オーステナイトの初晶がデンドライト状に晶出し、デンドライトの樹間に共晶炭化物が微細に分散する態様となる。これは複合ロール全体として硬さと粘りを両立させた外層を得ようとする設計思想に基づいている。
当該合金は、凝固が始まってから凝固が終了するとみなせる共晶温度までの温度範囲が比較的広く、凝固組織としては等軸晶凝固しやすい。したがって、オーステナイトの等軸デンドライト(等軸晶)とその間を埋める共晶炭化物の相からなる。
鉄と鋼、Vol.97(2011), 369.
鉄と鋼、Vol.99(2013), 149.
上述した鋳造方法により完成した複合ロールはその表面を研削して使用する。このとき、ロール表面には、オーステナイトの等軸晶が集積している部分と共晶炭化物が集積している部分とがしばしば見られる。
等軸晶が集積している部分は比較的軟らかいのに対し、共晶炭化物が集積している部分は比較的硬い。このような硬さむらに応じて複合ロールにパターンが生じることがある。パターンが生じた複合ロールを用いて圧延して製造する熱延板にも特有のパターンが現れることがあり、これが問題となることがある。そのパターンの形状から、猫足偏析とも呼ばれる。
また、複合ロールには、同心円に沿って共晶炭化物が帯状に集積していることがある。これはラミネーション偏析と呼ばれ、ひどい場合は共晶炭化物の層から剥がれ落ちることがある。これは熱延板に甚大な被害をもたらす故障であり、以前から解決が望まれていたことである。
猫足偏析とラミネーション偏析はいずれもマクロ偏析であり、柱状晶や等軸晶の樹間に見られるミクロ偏析よりもサイズも程度もかなり大きく、鋳塊の性質を著しく低下させるものである。
そこで、本発明者らは金属の凝固様式に近い、透明有機物を用いて、遠心鋳造の可視化実験を行い、前述のマクロ偏析の生成メカニズムを検討した。
回転するガラスセルと同期させてカメラを回転させるので、液相や固相の回転中のガラスセルとの相対的な動きが明瞭に捉えられるという特徴を持つ実験方法である。
その中で、等軸晶および等軸晶の絡み合った、「粒」がきわめて特徴的に動くことを見出した。すなわち、初期段階では外周から柱状晶が成長してくるが、凝固の中期段階の液相が十分にある時点で、等軸晶が生成する。等軸晶が少ない間は、等軸晶は液相と共に複雑な動きをする(例えば非特許文献1:鉄と鋼, Vol.97(2011), 369.)。
しかし、凝固が進み、等軸晶の数密度が高くなり、かつサイズも大きくなって、互いに絡み合ってくると、ある程度の数の等軸晶が絡み合った「粒」として挙動するようになる。
この粒が回転に応じて振動を繰返すが、「粒」と「粒」の隙間は凝固が進行しても液相のままで残存する。この部位が最後まで液相として残るため、偏析部となる。これが前述の猫足偏析の生成機構に対応する。
また、等軸晶の合体は円周に沿って一体化する傾向があることが観察から明らかになった。すなわち、凝固前面の0.5−1.0mmの厚みの薄い円筒状の領域が一体となり、該円筒状領域のすぐ内側に同様に0.5−1.0mmの厚みの薄い円筒状領域がやはり一体となる。
隣接する円筒が遠心鋳造の回転によって互いに相対的なずれ運動をするために、その間の隙間に凝固末期の溶質を濃縮した液相がたまり、偏析帯となることが判明した。これが同心円状にマクロ偏析となるラミネーション偏析の生成メカニズムに対応する。
猫足偏析およびラミネーション偏析、いずれも生成した等軸晶が絡み合い、合体し、それらが互いに相対的な動きをする際、それらの隙間にできることが明らかとなった。
現状では等軸晶生成およびそれらの絡み合いは避けがたいものであると考えられているので、等軸晶の相対的な動きを小さくする目的で鋳型の回転数を増加させ、偏析の低減が図られている。
しかし、回転数上昇には、バランス調整、モーター等駆動系の条件など設備上の制約があり、完全には偏析発生を抑制できるレベルには至っていない。
そこで、本発明者らは、等軸晶生成のメカニズムについても検討を加え、縦型の遠心鋳造では液相流動が全く起こらないために、等軸晶が生成しないことを明らかにした(非特許文献2:鉄と鋼, Vol.99(2013), 149.)。
そして、さらに研究を進め、内部に生成する自由表面の乱れが等軸晶生成に非常に大きな影響をしていることを突き止めた。すなわち、自由表面での乱れが外周から成長している柱状デンドライトの二次枝を分断し、等軸晶化させている。
そこで、凝固前面に与える自由表面からの流動の影響を小さくするための方策を具体的に検討した。この方策として、本発明者らは、溶融金属を回転鋳型全体に充填する遠心鋳造方法を提案した(特許文献2:特許第5181195号)。
本発明は上述したマクロ偏析の生成メカニズムを究明し、上述した特許文献2の遠心鋳造方法とは別の方法により、横型遠心鋳造におけるマクロ偏析を抜本的に低減することができる遠心鋳造方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、請求項1に記載された遠心鋳造方法は、回転軸が水平に対して0〜45°の傾斜角を持つ鋳型を用いた横型遠心鋳造において、
断熱性の円筒状又は円柱状の中子を前記鋳型の中心軸に配置して用い、
前記鋳型の外径に対する前記中子のサイズ率が80%以上のときは、前記鋳型と前記中子との間の空隙に充填される溶融金属の充填率を90%以上とし、前記中子のサイズ率が40%以上80%未満のときは、前記溶融金属の充填率を100%とすることを特徴とする。
断熱性の円筒状又は円柱状の中子を前記鋳型の中心軸に配置して用い、
前記鋳型の外径に対する前記中子のサイズ率が80%以上のときは、前記鋳型と前記中子との間の空隙に充填される溶融金属の充填率を90%以上とし、前記中子のサイズ率が40%以上80%未満のときは、前記溶融金属の充填率を100%とすることを特徴とする。
請求項2に記載された遠心鋳造方法は、請求項1の遠心鋳造方法において、
前記中子は、その領域が遠心鋳造品の全体を占める一体型であることを特徴とする。
前記中子は、その領域が遠心鋳造品の全体を占める一体型であることを特徴とする。
請求項3に記載された遠心鋳造方法は、請求項1又は2の遠心鋳造方法において、
前記鋳型側から所定の厚みが凝固した後、前記中子とともに未凝固の溶融金属を排出することを特徴とする。
前記鋳型側から所定の厚みが凝固した後、前記中子とともに未凝固の溶融金属を排出することを特徴とする。
本発明によれば、溶融金属の溶製量を削減でき、マクロ偏析のほとんどない、健全な鋳塊(複合ロール)を製造することができる。また、排出した残湯を再度使用することができる。
以下、本発明を実施するための形態について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明に係る遠心鋳造方法では、回転軸が水平に対して0〜45°の傾斜角を持つ鋳型を用い、鋳型の中心軸に円筒状又は円柱状の中子を設置して回転させる試みを擬似的に行うため、図1に示すガラスセル1を用いた。そして、前述した特許文献2と同様の可視化実験装置により、回転するガラスセル1と同期させてカメラを回転させ、液相や固相の回転中のガラスセル1との相対的な動きを捉える実験を行った。
図1に示すように、ガラスセル1は、所定の直径(例えば100mm)及び所定の厚さ(例えば0.1mm)を有する円形状の一対のガラス板2,3が所定のギャップ(例えば1.3mm)hを介して配置される。上用ガラス2と下用ガラス3との間のギャップhの中央には、所定の厚さ(例えば1.2mm)を有する中子用ガラス(中子)4が接着剤(例えばエポキシ系接着剤)により固定される。中子用ガラス4と外周用ガラス5との間の空隙aには、溶融金属の代用として、所定の充填率による透明有機物(例えばサクシノニトリル−水合金)6が充填される。そして、一対のガラス板2,3は、外周部分が所定の厚さ(例えば1.2mm)を有する外周用ガラス5を介して接着剤(例えばエポキシ系接着剤)により固定される。
なお、図2(a)は充填率50%の透明有機物6が空隙aに充填された状態のガラスセル1の断面を模式的に示している。また、図2(b)は充填率90%の透明有機物6が空隙aに充填された状態のガラスセル1の断面を模式的に示している。なお、図2(a)における空隙aの上半部、図2(b)における空隙aの上側10%部分は空間Sである。
本例では、中子用ガラス4のサイズ、空隙aに充填される透明有機物6の充填率を変更したガラスセル1を用いて最外周の加速度が10〜50Gの範囲で横型遠心鋳造の直接観察を行った。なお、ガラスセル1の回転は、モータの動力を歯車やベルトを介してガラスセル1に伝達するダイレクトドライブ方式、又はガラスセル1の外周に接触する一対のコロを回転させることにより行った。
図3(a)は中子用ガラス4がある状態で透明有機物6を高充填(充填率100%)したときの図7のA−A線断面を観察することに相当するガラスセル1の断面図、図3(b)は図3(a)のC部拡大断面図である。中子用ガラス4がある状態で透明有機物6を高充填(充填率100%)した場合には、図3(b)に示すように、ガラスセル1を固定するセル固定枠7(鋳型11)側から柱状凝固し、柱状デンドライトによる柱状晶組織のみで構成され、固液共存層による等軸晶組織は全く見られず、さらに、同心円状のラミネーション偏析は認められないという結果が得られた。
図4(a)は中子用ガラス4がある状態で透明有機物6を低充填(充填率50〜70%)したときの図7のA−A線断面を観察することに相当するガラスセルの断面図、図4(b)は図4(a)のD部拡大断面図である。中子用ガラス4がある状態で透明有機物6を低充填した場合には、図4(b)に示すように、セル固定枠7(鋳型11)側の最外周は柱状デンドライトによる柱状晶組織であるが、中子用ガラス4と透明有機物6との間に空間Sが存在し、回転中に発生する自由界面Fにより透明有機物6(溶融金属)が波立つことで形成される固液共存層による等軸晶組織が見られた。
図5(a)は中子用ガラス4がない状態の図7のA−A線断面を観察することに相当するガラスセルの断面図、図5(b)は図5(a)のB部拡大断面図である。中子用ガラス4がないガラスセル1’を用いた場合には、図5(b)に示すように、セル固定枠(鋳型11)7側の最外周は柱状デンドライトによる柱状晶組織であるが、空間S側は回転中に発生する自由界面Fにより透明有機物6(溶融金属)が波立つことで形成される固液共存層による等軸晶組織が見られた。
以上の結果から、本発明者らは、鋳型11の中心軸に円筒状又は円柱状の中子を設置して回転させること、回転中に透明有機物6の自由界面Fを少なくすることが横型遠心鋳造におけるマクロ偏析を抜本的に低減するために有用であることを突き止めた。
そこで、本発明者らは、等軸晶が前述したマクロ偏析に直結するため、等軸晶の生成について評価を行った。等軸晶の生成についての評価結果を図6に示す。図6は鋳型の外径を100%としたときの中子(中子用ガラス4の直径)のサイズ率(40%〜90%)を横軸にとり、空隙a内の透明有機物6の充填率を50%、70%、80%、90%、100%とし、回転数に対応する、ガラスセル1の外周に作用する加速度の重力倍数として、15Gと50Gの場合について、得られた映像から、凝固組織全体に占める等軸晶の割合(面積率)を示したものである。
図6に示すように、等軸晶率は中子のサイズ率、回転の重力倍数に応じて変化することが分かる。また、等軸晶率は、中子のサイズ率(直径)が大きくなるほど、透明有機物6の充填率が上昇するほど、回転の重力倍数が大きくなるほど、小さくなると言える。
ここで注目すべきは、透明有機物6の充填率が100%のデータである。これは中子のサイズ率(直径)に依存せず、また、回転の重力倍数にも依存せず、実験の範囲内ではすべて等軸晶率がゼロであるという結果が得られた。
すなわち、透明有機物6の充填率が100%の場合には、凝固組織は柱状晶のみで構成される。また、透明有機物6の充填率が90%の場合には、中子のサイズ率が80%以上であれば、透明有機物6の充填率が100%の場合と同様に、回転の重力倍数に依存せず、等軸晶率がゼロであり、凝固組織が柱状晶のみで構成されるという結果が得られた。さらに重要な点は、図6の中子のサイズ率と等軸晶率との関係に示すように、中子のサイズ率が80%以上の場合には、透明有機物の充填率を100%ではなく、90%であっても100%の場合と同様に等軸晶が生成しないことを見出したことである。これは、中子のサイズ率が40%以上80%未満であれば、柱状晶のみで構成するには透明有機物6の充填率が100%必要であるのに対し、中子のサイズ率が80%以上であれば、透明有機物6の充填率が90%でも柱状晶のみで構成されることを意味する。
そして、透明有機物6の充填率が低下すると、等軸晶が生成するメカニズムは以下のように考えられる。
自由界面が生成すると、その表面の乱れが内部に伝わり、不規則かつ激しい流動が発生するため、凝固組織が等軸晶化する。しかし、透明有機物6の充填率が100%の場合には、内部の自由界面がなくなるため等軸晶が生成しない。このため、当然のことながら、複数の等軸晶が絡み合って形成する「粒」は生成せず、したがって「粒」と「粒」との隙間にできた偏析部は生成しない。
ところで、上述した等軸晶が生成されない条件により中子を用いて鋳造する遠心鋳造方法では、外層部分の厚みが所定の値になったときに、鋳型から中子を抜くとともに残湯を排出する。また、外層部分が所定の厚みになるように設定した中子を用いた場合には、完了まで凝固させた後に中子を鋳型から取り出す。
なお、中子を用いると、中子自身のコスト、中子設置のためのコストは増加する。しかし、これらのハンドリングコストの上昇分は、品質向上、歩留まり向上で十分まかなうことができ、全く問題にはならない。
また、中子の直径を小さくとる場合には、鋳型11側から必要厚みが凝固したら残溶湯を排出する作業が必要になる。この場合には合金の溶製量は増加するが、排出した残湯は再度使用することができ、合金原料やエネルギーコストの上昇分は、上記と同様、製品の品質向上が得られるため、大きな問題にはならない。
さらに、鋳型の中心軸に配置して用いられる中子に抜き勾配を設けておけば、鋳型から成形品をスムーズに離型させることができる。また、中子を用いることで溶融金属(溶湯)の溶製量を削減することができる。
[実施例]
以下、本発明に係る遠心鋳造方法の実施例を下記表1、2を参照して説明する。まず、実施例1と比較例1の詳細と結果について説明する。
以下、本発明に係る遠心鋳造方法の実施例を下記表1、2を参照して説明する。まず、実施例1と比較例1の詳細と結果について説明する。
一例としてC:1.9%、Cr:6%、Mo:1 %、残部をFeにより外層を溶製した。比較例1 では外径950mm、長さ2800mmの鋳型に外層の厚みが約100mmになるように鋳造した。
実施例1としては、比較例1と同寸法の鋳型に対し、直径500mmの耐火煉瓦(セラミックス)製の中子を設置し、充填率100%となるように溶湯を鋳造した。
いずれも最外周での重力倍数を50Gとした。30分後に回転を停止し、比較例1、実施例1とも、そのまま放冷した。冷却後、パイプ状の外層部を切り出し、組織観察および偏析調査を行った。その結果を下記表1に掲げる。
表1に示すように、比較例1では、最外周は柱状晶組織であったが、内部は等軸晶組織であった。また、観察部位には明瞭なラミネーション偏析が観察された。
一方、実施例1では、柱状デンドライトのみで構成され、等軸晶は全く見られず、さらに、同心円状のラミネーション偏析は認められなかった。
次に、実施例2,3と比較例2,3の詳細と結果について説明する。
上述した実施例1と同様の合金を用いて、充填率を変更する比較試験を実施した。すなわち、外径950mm、長さ2800mmの鋳型に直径760mmの耐火煉瓦製の中子を設置し、溶湯を鋳造した。
比較例2では、外層の厚みが約100mmになるように鋳造し、最外周での重力倍数が50になるように、25分間にわたって回転させた。この場合の充填率は52%である。
比較例3では、比較例2と同様に、外層の厚みが約100mmになるように鋳造し、最外周での重力倍数が50になるように、25分間にわたって回転させた。この場合の充填率は70%である。
実施例2では、同寸法の鋳型に対し、充填率が90%となるように鋳造した。最外周での重力倍数が50になるように、外層から約100mm凝固するのみ必要な25分間にわたって回転させた後、中子とともに残溶湯を排出した。
実施例3では、同寸法の鋳型に対し、充填率100%で完全充填となるように鋳造した。最外周での重力倍数が50になるように、外層から約100mm凝固するのに必要な25分間にわたって回転させた後、中子とともに残溶湯を排出した。
比較例2,3、実施例2,3ともに室温まで冷却させた後、外層部を調査した。その結果を下記表2に掲げる。
表2に示すように、比較例2,3では等軸晶が生成し、猫足偏析とともに、軽微ではあるがラミネーション偏析が認められた。一方、実施例2,3では凝固組織は柱状晶のみから構成され、マクロ偏析は一切観察されなかった。
以上述べたように、本発明による遠心鋳造方法によれば、マクロ偏析のない、健全な複合ロールが製造できるという、優れた効果を発揮する。
以上、本発明に係る遠心鋳造方法の最良の形態について説明したが、この形態による記述及び図面により本発明が限定されることはない。すなわち、この形態に基づいて当業者等によりなされる他の形態、実施例及び運用技術などはすべて本発明の範疇に含まれることは勿論である。
1,1’ ガラスセル
2,3 ガラス板
4 中子用ガラス
5 外周用ガラス
6 透明有機物
7 セル固定枠
11 鋳型
12 ブロック
13 溶湯(溶融金属)
14 注入ノズル
a 空隙
h ギャップ
S 空間
F 自由界面
2,3 ガラス板
4 中子用ガラス
5 外周用ガラス
6 透明有機物
7 セル固定枠
11 鋳型
12 ブロック
13 溶湯(溶融金属)
14 注入ノズル
a 空隙
h ギャップ
S 空間
F 自由界面
Claims (3)
- 回転軸が水平に対して0〜45°の傾斜角を持つ鋳型を用いた横型遠心鋳造において、
断熱性の円筒状又は円柱状の中子を前記鋳型の中心軸に配置して用い、
前記鋳型の外径に対する前記中子のサイズ率が80%以上のときは、前記鋳型と前記中子との間の空隙に充填される溶融金属の充填率を90%以上とし、前記中子のサイズ率が40%以上80%未満のときは、前記溶融金属の充填率を100%とすることを特徴とする遠心鋳造方法。 - 前記中子は、その領域が遠心鋳造品の全体を占める一体型であることを特徴とする請求項1記載の遠心鋳造方法。
- 前記鋳型側から所定の厚みが凝固した後、前記中子とともに未凝固の溶融金属を排出することを特徴とする請求項1又は2記載の遠心鋳造方法。
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