以下、本発明の実施形態に係るボイラシステム1について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係るボイラシステム1の全体構成図である。図2は、ボイラシステム1に用いられるボイラ本体2の一部断面概略図である。図3は、ボイラ本体2に設けられたバーナ部20の概略断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係るボイラシステム1は、ボイラ本体2と、送風機3と、制御部10と、液体燃料バルブV1〜V3と、気体燃料バルブV4〜V6と、エアバルブV7と、オリフィスOF1及びOF2を備える。また、ボイラシステム1は、液体燃料供給ラインL1と、気体燃料供給ラインL2と、第1エア供給ラインL3と、第2エア供給ラインL4と、を備える。送風機3、第1エア供給ラインL3及び第2エア供給ラインL4は、本実施形態におけるエア供給部を構成する。
本明細書における「ライン」とは、流路、経路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。また、図1では、ボイラシステム1における各部のレイアウトや流体の経路を模式的に示している。各ラインには、必要に応じて、不図示のバルブ、ポンプ、各種センサ等の機器が設けられる。
ボイラ本体2は、補給水タンク(不図示)から供給された補給水を加熱して、蒸気を発生させる設備である。ボイラ本体2の構成については後述する。
送風機3は、ボイラ本体2のバーナ部20(後述)に空気を供給する装置である。送風機3の空気供給口には、送風機3で発生した空気をバーナ部20へ供給する第1エア供給ラインL3が接続されている。
液体燃料供給ラインL1は、ボイラ本体2のバーナ部20に液体燃料を供給するラインである。液体燃料供給ラインL1の上流側の端部は、液体燃料の供給源(不図示)に接続されている。また、液体燃料供給ラインL1の下流側の端部は、ボイラ本体2のバーナ部20において、液体用バーナ200(後述:図3参照)に接続されている。
液体燃料供給ラインL1には、液体燃料バルブV1が設けられている。液体燃料バルブV1は、液体燃料供給ラインL1を開閉する弁である。液体燃料バルブV1の弁体が開閉することにより、液体燃料供給ラインL1における液体燃料の流通が制御される。液体燃料バルブV1は、ボイラ本体2において、バーナ部20を液体燃料で燃焼させる場合に開かれ、バーナ部20を気体燃料で燃焼させる場合に閉じられる。
また、液体燃料供給ラインL1は、分岐部J1において、第1液体燃料ラインL11及び第2液体燃料ラインL12に分岐している。分岐部J1は、液体燃料バルブV1とボイラ本体2のバーナ部20との間に配置されている。
第1液体燃料ラインL11は、ボイラ本体2において、液体用バーナ200の第1液体噴射ノズル201(後述:図3参照)に接続されている。第1液体燃料ラインL11は、液体用バーナ200の第1液体噴射ノズル201に液体燃料を供給するラインである。第1液体燃料ラインL11には、液体燃料バルブV2が設けられている。液体燃料バルブV2は、第1液体燃料ラインL11を開閉する弁である。液体燃料バルブV2の弁体が開閉することにより、第1液体燃料ラインL11における液体燃料の流通が制御される。液体燃料バルブV2は、バーナ部20において、液体燃料を低燃焼モードで燃焼させる場合に開かれ、液体燃料を高燃焼モードで燃焼させる場合に閉じられる。なお、第1液体燃料ラインL11は、液体燃料バルブV2の下流側における接続部J9において、第2エア供給ラインL4(後述)と接続されている。
第2液体燃料ラインL12は、ボイラ本体2において、液体用バーナ200の第2液体噴射ノズル202(後述:図3参照)と接続されている。第2液体燃料ラインL12は、液体用バーナ200の第2液体噴射ノズル202に液体燃料を供給するラインである。第2液体燃料ラインL12には、液体燃料バルブV3が設けられている。液体燃料バルブV3は、第2液体燃料ラインL12を開閉する弁である。液体燃料バルブV3の弁体が開閉することにより、第2液体燃料ラインL12における液体燃料の流通が制御される。液体燃料バルブV3は、バーナ部20において、液体燃料を高燃焼モードで燃焼させる場合に開かれ、液体燃料を低燃焼モードで燃焼させる場合に閉じられる。なお、第2液体燃料ラインL12は、液体燃料バルブV3の下流側における接続部J10において、第2エア供給ラインL4と接続されている。
なお、液体燃料の低燃焼モードとは、液体燃料を低い燃焼エネルギーで燃焼させる運転モードである。また、液体燃料の高燃焼モードとは、液体燃料を高い(最大)燃焼エネルギーで燃焼させる運転モードである。
また、液体燃料バルブV1〜V3は、制御部10と電気的に接続されている。液体燃料バルブV1〜V3におけるそれぞれの弁体の開閉は、制御部10からの駆動信号により制御される。
気体燃料供給ラインL2は、ボイラ本体2のバーナ部20に気体燃料を供給するラインである。気体燃料供給ラインL2の上流側の端部は、気体燃料の供給源(不図示)に接続されている。また、気体燃料供給ラインL2の下流側の端部は、ボイラ本体2のバーナ部20において、気体燃料供給管203(後述:図3参照)に接続されている。
気体燃料供給ラインL2は、分岐部J2において、パイロットバーナ供給ラインとしての第1気体燃料ラインL13とメインバーナ供給ラインとしての第2気体燃料ラインL14とに分岐している。分岐部J2は、気体燃料の供給源と気体燃料バルブV5(後述)との間に配置されている。
第1気体燃料ラインL13は、バーナ部20のパイロットバーナ210(後述:図3参照)に種火用の気体燃料を供給するラインである。第1気体燃料ラインL13の上流側の端部は、分岐部J2において気体燃料供給ラインL2に接続されている。また、第1気体燃料ラインL13の下流側の端部は、バーナ部20のパイロットバーナ210に接続されている。なお、後述するように、第1気体燃料ラインL13は、接続部J3において、分岐ラインL5(後述)と接続されている。第1気体燃料ラインL13を流通する気体燃料は、接続部J3において、分岐ラインL5から導入されたる空気と混合され、パイロットバーナ210に供給される。
第1気体燃料ラインL13には、気体燃料バルブV4が設けられている。気体燃料バルブV4は、第1気体燃料ラインL13を開閉する弁である。気体燃料バルブV4の弁体が開閉することにより、第1気体燃料ラインL13における気体燃料の流通が制御される。気体燃料バルブV4は、制御部10と電気的に接続されている。気体燃料バルブV4における弁体の開閉は、制御部10からの駆動信号により制御される。
第2気体燃料ラインL14は、バーナ部20の気体燃料供給管203に燃焼用の気体燃料を供給するラインである。第2気体燃料ラインL14の上流側の端部は、分岐部J2において、気体燃料供給ラインL2に接続されている。また、第2気体燃料ラインL14の下流側の端部は、バーナ部20の気体燃料供給管203に接続されている。
第2気体燃料ラインL14には、気体燃料バルブV5が設けられている。気体燃料バルブV5は、第2気体燃料ラインL14を開閉する弁である。気体燃料バルブV5は、分岐部J2と分岐部J4(後述)との間に設けられている。気体燃料バルブV5の弁体が開閉することにより、第2気体燃料ラインL14における気体燃料の流通が制御される。気体燃料バルブV5は、制御部10と電気的に接続されている。気体燃料バルブV5における弁体の開閉は、制御部10からの駆動信号により制御される。
また、第2気体燃料ラインL14は、分岐部J4において、バイパスラインL15に分岐している。分岐部J4は、気体燃料バルブV5とオリフィスOF2(後述)との間に配置されている。バイパスラインL15は、バーナ部20において、気体燃料を低燃焼モードで燃焼させる場合に、気体燃料を気体燃料供給管203に供給するラインである。バイパスラインL15の上流側の端部は、分岐部J4において、第2気体燃料ラインL14に接続されている。また、バイパスラインL15の下流側の端部は、接続部J5において、第2気体燃料ラインL14に接続されている。接続部J5は、気体燃料バルブV6(後述)と気体燃料供給管203との間に配置されている。
バイパスラインL15には、オリフィスOF1が設けられている。オリフィスOF1は、バイパスラインL15を流通する気体燃料の流量を調節するための機器である。
また、第2気体燃料ラインL14において、分岐部J4と接続部J5との間には、気体燃料バルブV6及びオリフィスOF2が設けられている。気体燃料バルブV6は、分岐部J4よりも下流側において、第2気体燃料ラインL14を開閉する弁である。気体燃料バルブV6の弁体が開閉することにより、分岐部J4よりも下流側において、第2気体燃料ラインL14における気体燃料の流通が制御される。気体燃料バルブV6は、バーナ部20において、気体燃料を低燃焼モードで燃焼させる場合には弁体が閉じられ、気体燃料を高燃焼モードで燃焼させる場合には弁体が開かれる。気体燃料バルブV6は、制御部10と電気的に接続されている。気体燃料バルブV6における弁体の開閉は、制御部10からの駆動信号により制御される。
なお、気体燃料の低燃焼モードとは、気体燃料を低い燃焼エネルギーで燃焼させる運転モードである。また、気体燃料の高燃焼モードとは、気体燃料を高い(最大)燃焼エネルギーで燃焼させる運転モードである。
オリフィスOF2は、第2気体燃料ラインL14を流通する気体燃料の流量を調節するための機器である。なお、バイパスラインL15に設けられたオリフィスOF1と、第2気体燃料ラインL14に設けられたオリフィスOF2において、通過する気体燃料の流量は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
ボイラ本体2のバーナ部20において、気体燃料を低燃焼モードで燃焼させる場合には、気体燃料バルブV5の弁体が開けられ、気体燃料バルブV6の弁体が閉じられる。これにより、第2気体燃料ラインL14を流通する気体燃料は、分岐部J4からバイパスラインL15へ流入し、オリフィスOF1を通過した後、接続部J5から第2気体燃料ラインL14を流通して、バーナ部20の気体燃料供給管203へ供給される。
そのため、気体燃料を低燃焼モードで燃焼させる場合に、バーナ部20の気体燃料供給管203へ供給される気体燃料は、バイパスラインL15において、オリフィスOF1を通過した流量となる。
また、気体燃料を高燃焼モードで燃焼させる場合には、気体燃料バルブV5及びV6の弁体が開けられる。これにより、第2気体燃料ラインL14を流通する気体燃料の一部は、分岐部J4からバイパスラインL15へ流入し、オリフィスOF1を通過した後、接続部J5から第2気体燃料ラインL14を流通する。一方、第2気体燃料ラインL14を流通する(バイパスラインL15を流通しない)その他の気体燃料は、オリフィスOF2(及び気体燃料バルブV6)を通過した後、接続部J5において、バイパスラインL15を流通した気体燃料と合流して、バーナ部20の気体燃料供給管203へ供給される。
そのため、気体燃料を高燃焼モードで燃焼させる場合に、バーナ部20の気体燃料供給管203へ供給される気体燃料は、バイパスラインL15において、オリフィスOF1を通過した流量と、第2気体燃料ラインL14において、オリフィスOF2を通過した流量との合計となる。従って、オリフィスOF1及びOF2において、通過する気体燃料の流量が同じであれば、高燃焼モードにおいて、バーナ部20の気体燃料供給管203に供給される気体燃料の流量は、低燃焼モードの2倍となる。
なお、気体燃料を低燃焼モード又は高燃焼モードで燃焼させる場合において、気体燃料供給ラインL2を流通する気体燃料の一部は、分岐部J2から第1気体燃料ラインL13を流通し、その他の気体燃料は、分岐部J2から第2気体燃料ラインL14を流通する。
第1エア供給ラインL3は、ボイラ本体2のバーナ部20に燃焼用の空気を供給するラインである。第1エア供給ラインL3の上流側の端部は、送風機3の空気供給口に接続されている。また、第1エア供給ラインL3の下流側の端部は、バーナ部20の第1空気流路205及び第2空気流路206(後述:図3参照)に接続されている。また、第1エア供給ラインL3は、分岐部J6において、第2エア供給ラインL4に分岐している。
第2エア供給ラインL4は、ボイラ本体2において、バーナ部20の液体用バーナ200(後述:図3参照)にパージ用の空気を供給するラインである。また、第2エア供給ラインL4は、分岐ラインL5を介して、第1気体燃料ラインL13に種火用の空気を供給するラインでもある。
第2エア供給ラインL4の上流側の端部は、分岐部J6において、第1エア供給ラインL3に接続されている。また、第2エア供給ラインL4の下流側の端部は、分岐部J8において分岐すると共に、第1液体燃料ラインL11及び第2液体燃料ラインL12にそれぞれ接続されている。
すなわち、分岐部J8において分岐した第2エア供給ラインL4の一方の端部は、接続部J9において、第1液体燃料ラインL11に接続されている。また、分岐部J8において分岐した第2エア供給ラインL4の他方の端部は、接続部J10において、第2液体燃料ラインL12に接続されている。接続部J9は、第1液体燃料ラインL11において、液体燃料バルブV2とバーナ部20(図3参照)の第1液体噴射ノズル201との間に配置されている。接続部J10は、液体燃料バルブV3とバーナ部20の第2液体噴射ノズル202との間に配置されている。
また、第2エア供給ラインL4には、エアバルブV7が設けられている。エアバルブV7は、第2エア供給ラインL4を開閉する弁である。エアバルブV7は、接続部J7(後述)と分岐部J8との間に設けられている。エアバルブV7の弁体が開閉することにより、第2エア供給ラインL4における空気の流通が制御される。
エアバルブV7は、ボイラ本体2において、バーナ部20の燃焼室24で燃焼させる燃料を、液体燃料から気体燃料に切り替えた場合に、液体用バーナ200にパージ用の空気を供給するように弁体が開かれる。エアバルブV7は、制御部10と電気的に接続されている。エアバルブV7における弁体の開閉は、制御部10からの駆動信号により制御される。ボイラシステム1において、エアバルブV7の弁体を開閉する制御については後述する。
また、第2エア供給ラインL4は、接続部J7において、分岐ラインL5と接続されている。接続部J7は、分岐部J6とエアバルブV7との間に配置されている。分岐ラインL5は、第2エア供給ラインL4を流通する空気を、種火用の空気として第1気体燃料ラインL13へ供給するラインである。分岐ラインL5の上流側の端部は、接続部J7において第2エア供給ラインL4に接続されている。また、分岐ラインL5の下流側の端部は、接続部J3において第1気体燃料ラインL13に接続されている。すなわち、分岐ラインL5は、第2エア供給ラインL4において、この第2エア供給ラインL4におけるエアバルブV7よりも一端側(分岐部J6側)から分岐すると共に、接続部J3において第1気体燃料ラインL13に接続されるラインである。
第2エア供給ラインL4を流通する空気は、接続部J7から分岐ラインL5に流通し、接続部J3において第1気体燃料ラインL13を流通する気体燃料と混合される。この混合気体は、パイロットバーナ210において、種火として燃焼される。これにより、パイロットバーナ210から種火となる燃焼ガスが燃焼室24に向けて噴射される。なお、液体用バーナ200において、液体燃料を燃焼させる場合に、パイロットバーナ210から種火となる燃焼ガスは噴射されることはなく、第2エア供給ラインL4から供給された空気のみが供給される。
制御部10は、CPU及びメモリを含むマイクロプロセッサ(不図示)により構成される。また、マイクロプロセッサには、時間の計時等を管理するインテグレーテッドタイマユニット(以下、「ITU」ともいう)が組み込まれている。
制御部10は、ボイラ本体2の燃焼室24における液体燃料又は気体燃料の燃焼を制御する。制御部10が、ボイラ本体2の燃焼室24を液体燃料又は気体燃料により燃焼させる場合の動作については後述する。
また、制御部10は、ボイラ本体2の燃焼室24で燃焼させる燃料を液体燃料又は気体燃料に切り替えるために、液体燃料バルブV1〜V3、気体燃料バルブV4〜V6、及びエアバルブV7における弁体の開閉状態を制御する。
すなわち、制御部10は、ボイラ本体2の燃焼室24において液体燃料を燃焼させる場合には、エアバルブV7の弁体を閉状態となるように制御する。また、制御部10は、燃焼室24において燃焼させる燃料を液体燃料から気体燃料に切り替えた場合には、液体用バーナ200(後述)にパージ用の空気を供給するように、エアバルブV7を閉状態から開状態に切り替えるように制御する。
具体的には、制御部10は、ボイラ本体2の燃焼室24において燃焼させる燃料を液体燃料から気体燃料に切り替えて、バーナ部20において気体燃料の燃焼を開始した後に、エアバルブV7の弁体を閉状態から開状態に切り替えて、液体用バーナ200にパージ用の空気を供給する。また、制御部10は、ボイラ本体2の燃焼室24で燃焼させる燃料を液体燃料から気体燃料に切り替えた場合に、エアバルブV7を閉状態から開状態に切り替えてから、時間Tsが経過した後に、エアバルブV7を開状態から閉状態に切り替えて、液体用バーナ200へのパージ用の空気の供給を停止する。
なお、制御部10が、上述のような液体燃料から気体燃料への燃料の切り替えを行った後に、液体用バーナ200へパージ用の空気を供給及び停止する場合の動作については、後にフローチャートを用いて説明する。
次に、ボイラ本体2の構造を、図2を参照して説明する。
図2に示すように、ボイラ本体2は、下部管寄せ21と、水管22と、上部管寄せ23と、バーナ部20と、を備える。図2において、下部管寄せ21、水管22及び上部管寄せ23は、蒸気を発生する缶体を構成する。
下部管寄せ21は、環状に形成された中空の容器である。下部管寄せ21には、補給水W1が貯留される。下部管寄せ21の一端には、補給水ラインL6が接続されている。補給水ラインL6は、補給水W1の供給源(不図示)から送出された補給水W1を、下部管寄せ21に供給するラインである。
水管22は、補給水W1を蒸発させて蒸気を発生させる筒状の伝熱管である。水管22は、下部管寄せ21の上面に沿って、環状に複数本設けられている(図2では2本のみ示す)。各水管22の下端部は、下部管寄せ21と連通している。下部管寄せ21に供給された補給水W1は、下部管寄せ21から各水管22へ流入する。また、環状に設けられた水管22の中央部は、液体燃料又は気体燃料が燃焼する燃焼室24となる。
上部管寄せ23は、環状に形成された中空の容器である。各水管22の上端部は、上部管寄せ23と連通している。上部管寄せ23の上端には、蒸気供給ラインL7が接続されている。複数の水管22で発生した蒸気W2は、上部管寄せ23を介して蒸気供給ラインL7へ送出される。蒸気供給ラインL7は、水管22で発生した蒸気W2を需要箇所の装置(機械設備等)へ供給するラインである。
バーナ部20は、液体燃料と気体燃料とを切り替えて燃焼させることができる燃料切替バーナである。バーナ部20には、第1液体燃料ラインL11、第2液体燃料ラインL12、第1気体燃料ラインL13、第2気体燃料ラインL14、及び第1エア供給ラインL3(図1参照)が接続されている。
バーナ部20は、環状に形成された上部管寄せ23の中央(内部空間)に配置されている。バーナ部20は、燃焼室24に向けて燃焼ガス(火炎)を放射することにより、各水管22を加熱する。各水管22内に貯留された水は、燃焼ガスにより加熱され、蒸気W2を発生する。また、バーナ部20は、制御部10(図1参照)と電気的に接続されている。バーナ部20における燃焼の開始(点火)、停止等の動作は、制御部10から送信される燃焼制御信号により制御される。
次に、バーナ部20の構成を、図3を参照して説明する。なお、ここでは、バーナ部20の主要な構成について説明し、その他の構成については適宜に説明を省略する。
図3に示すバーナ部20は、支持板等(不図示)により上部管寄せ23の中央に固定されている。バーナ部20は、液体用バーナ200と、パイロットバーナ210と、気体用バーナ220と、を備える。液体用バーナ200は、バーナ部20の中央に設けられている。パイロットバーナ210は、液体用バーナ200に隣接して設けられている。また、気体用バーナ220は、気体燃料供給管203(後述)の下部に設けられている。
液体用バーナ200は、燃焼室24において液体燃料を燃焼させる部分である。パイロットバーナ210は、燃焼室24において気体燃料を燃焼させる際に、種火となる気体燃料を燃焼させる部分である。
液体用バーナ200は、第1液体噴射ノズル201及び第2液体噴射ノズル202を備える。第1液体噴射ノズル201は、液体燃料を低燃焼モードで燃焼させる場合に、液体燃料を噴霧する部分である。第1液体噴射ノズル201から噴霧された液体燃料に、点火器(不図示)から火花が発せられることにより、液体燃料の燃焼が開始される。これにより、第1液体噴射ノズル201から液体燃料の燃焼ガスが燃焼室24に向けて噴射される。
第2液体噴射ノズル202は、液体燃料を高燃焼モードで燃焼させる場合に、液体燃料を噴霧する部分である。第2液体噴射ノズル202から噴霧された液体燃料に、前記点火器から火花が発せられることにより、液体燃料の燃焼が開始される。これにより、第2液体噴射ノズル202から液体燃料の燃焼ガスが燃焼室24に向けて噴射される。
液体用バーナ200の周囲には、気体燃料供給管203及びエアレジスタ204が設けられている。気体燃料供給管203及びエアレジスタ204は、本実施形態におけるメインバーナを構成する。気体燃料供給管203は、断面が略環状の流通路である。気体燃料供給管203は、第2気体燃料ラインL14(図1参照)と接続されている。気体燃料供給管203は、第2気体燃料ラインL14から供給された気体燃料が流通する部分である。
液体用バーナ200と気体燃料供給管203の内壁との間には、第1空気流路205が形成されている。第1空気流路205は、一次空気が流通する部分である。また、気体燃料供給管203の外壁とエアレジスタ204との間には、第2空気流路206が形成されている。第2空気流路206は、二次空気が流通する部分である。一次空気及び二次空気は、液体燃料及び気体燃料を燃焼させる際に使用される共通の空気である。一次空気及び二次空気は、送風機3(図1参照)から第1エア供給ラインL3を介して供給された空気を、第1空気流路205及び第2空気流路206に対して、所定の割合で振り分けたものである。一次空気及び二次空気の割合は、例えば、一次空気が5〜15%、二次空気が85〜95%に設定される。
第1空気流路205において、液体用バーナ200の下方には、円盤状の第1バッフル板207が設けられている。第1バッフル板207は、中央に開口部208を備えると共に、その周囲に複数の小開口部209を備える(図3では1つのみ示す)。開口部208は、液体用バーナ200から噴霧された液体燃料が噴出する通路である。小開口部209は、第1空気流路205を流通する一次空気が噴出する通路である。また、第1バッフル板207は、パイロットバーナ210の先端が貫通する開口(符号略)を備える。
また、第2空気流路206の下方には、環状の第2バッフル板211が設けられている。第2バッフル板211は、円周方向に沿って複数の小開口部212を備える。小開口部212は、第2空気流路206を流通する二次空気が噴出する通路である。本実施形態では、二次空気を、複数の小開口部212により分割して燃料(液体燃料又は気体燃料)に供給する。これにより、分割火炎が形成されるため、低NOx化を実現できる。
エアレジスタ204の先端(下端部)は、先細り形状となるようにテーパー部(符号略)が形成されている。この構造により、エアレジスタ204を流通する二次空気の流れは、バーナ部20の中心方向に向かう流れとなる。そのため、二次空気と燃料(液体燃料又は気体燃料)との混合が促進され、低CO化を実現できる。
気体燃料供給管203は、その先端(下端部)に、複数の外側噴出口213と、複数の内側噴出口214と、を備える。外側噴出口213及び内側噴出口214は、気体燃料供給管203の先端において、周方向に沿って所定の間隔及び位置に設けられている。
外側噴出口213は、気体燃料供給管203を流通する気体燃料の一部を、第2空気流路206の側に噴出する孔である。外側噴出口213は、第2バッフル板211の小開口部212に対応する位置にそれぞれ設けられている。気体燃料の燃焼時に、気体燃料供給管203を流通する気体燃料の一部は、外側噴出口213から第2空気流路206の側に噴出して、第2空気流路206を流通する二次空気と混合する。この混合気体は、第2バッフル板211の小開口部212から噴出し、燃焼ガスとして燃焼室24に向けて噴射される。
内側噴出口214は、気体燃料供給管203を流通するその他の気体燃料を、第1空気流路205の側に噴出する孔である。内側噴出口214は、第1バッフル板207の小開口部209に対応する位置にそれぞれ設けられている。気体燃料の燃焼時に、気体燃料供給管203を流通するその他の気体燃料は、内側噴出口214から第1空気流路205の側に噴出して、第1空気流路205を流通する一次空気と混合する。この混合気体は、第1バッフル板207の小開口部209から噴出し、上述した第2バッフル板211の小開口部212から噴出した混合気体の燃焼ガスと共に燃焼室24に向けて噴射される。
次に、上記のように構成されたバーナ部20において、液体燃料及び気体燃料をそれぞれ燃焼させる場合の動作について説明する。なお、いずれも燃料を低燃焼モードで燃焼させる場合について説明する。また、図1に示す各ラインの開閉については説明を省略する。
(液体燃料燃焼時)
バーナ部20を液体燃料により燃焼させる場合には、第1空気流路205に一次空気を流通させると共に、第2空気流路206に二次空気を流通させる。また、液体用バーナ200の第1液体噴射ノズル201から液体燃料を噴霧させる。第1空気流路205を流通する一次空気は、複数の小開口部209(第1バッフル板207)から噴出する。第2空気流路206を流通する二次空気は、複数の小開口部212(第2バッフル板211)から噴出する。
これら一次空気及び二次空気は、液体用バーナ200の下方において、第1バッフル板207の開口部208から噴出された液体燃料と混合される。この混合気体は、点火器(不図示)から発せられた火花により点火され、第1液体噴射ノズル201から液体燃料の燃焼ガスが燃焼室24に向けて火炎として噴射される。なお、液体燃料を高燃焼モードで燃焼させる場合には、第1液体噴射ノズル201の代わりに、第2液体噴射ノズル202から液体燃料を噴霧する。
(気体燃料燃焼時)
バーナ部20を気体燃料により燃焼させる場合には、まず、パイロットバーナ210に種火用の気体燃料と空気との混合気体を流通させる。この混合気体は、第1気体燃料ラインL13を流通する種火用の気体燃料と、第2エア供給ラインL4(及び分岐ラインL5)を流通する種火用の空気とが混合したものである(図1参照)。パイロットバーナ210から噴出された混合気体は、点火器から発せられた火花により点火され、パイロットバーナ210から種火用の燃焼ガスとして噴射される。
続いて、第1空気流路205に一次空気を流通させると共に、第2空気流路206に二次空気を流通させる。また、気体燃料供給管203に気体燃料を流通させる。第1空気流路205を流通する一次空気は、複数の小開口部209(第1バッフル板207)から噴出する。この一次空気は、パイロットバーナ210の下方において、気体燃料供給管203の内側噴出口214から噴出した気体燃料と混合される。この混合気体は、パイロットバーナ210から噴射された種火用の燃焼ガスにより点火され、第1バッフル板207の小開口部209から小火炎の燃焼ガスとして噴射される。
一方、第2空気流路206を流通する二次空気は、第2バッフル板211の小開口部212から噴出する。この二次空気は、パイロットバーナ210の更に下方において、気体燃料供給管203の外側噴出口213から噴出した気体燃料と混合される。この混合気体は、内側噴出口214から噴出した気体燃料の燃焼ガスにより点火され、第2バッフル板211の小開口部212から大火炎の燃焼ガスとして噴射される。なお、パイロットバーナ210からの種火用の燃焼ガスの噴射は、気体燃料による燃焼が開始された後に停止される。
このように、バーナ部20を気体燃料により燃焼させた場合に、気体用バーナ220から噴射される燃焼ガスは、第1バッフル板207の小開口部209から噴射される小火炎と、第2バッフル板211の小開口部212から噴射される大火炎と、に分割される。なお、気体燃料を高燃焼モードで燃焼させる場合には、気体燃料バルブV6(図1参照)の弁体を開いて、第2気体燃料ラインL14を流通する気体燃料の流量を増加させる。
次に、制御部10において、燃焼室24で燃焼させる燃料を液体燃料から気体燃料に切り替えた際に、液体用バーナ200へパージ用の空気を供給及び停止する場合の動作を、図4に示すフローチャートを参照しながら説明する。図4は、制御部10において、液体用バーナ200へパージ用の空気を供給及び停止する場合の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートの処理は、ボイラシステム1の運転中において、制御部10により繰り返し実行される。
図4に示すステップST101において、制御部10は、液体燃料による燃焼から気体燃料による燃焼への切り替え操作を検出したか否かを判定する。この切り替え操作は、例えば、システム管理者がユーザインターフェース(不図示)を介して入力したコマンドに相当する。このステップST101において、制御部10により、液体燃料による燃焼から気体燃料による燃焼への切り替え操作を検出した(YES)と判定された場合に、処理はステップST102へ移行する。また、ステップST101において、制御部10により、液体燃料による燃焼から気体燃料による燃焼への切り替え操作を検出していない(NO)と判定された場合に、処理はステップST101へ戻る。
ステップST102(ステップST101:YES)において、制御部10は、液体燃料バルブV2又はV3の弁体を開状態から閉状態に切り替えて、液体用バーナ200への液体燃料の供給を停止させる。
ステップST103において、制御部10は、気体燃料バルブV4の弁体を閉状態から開状態に切り替えて、パイロットバーナ210に種火用の気体燃料を供給させる。これにより、第1気体燃料ラインL13を流通する種火用の気体燃料と、第2エア供給ラインL4(及び分岐ラインL5)から流通した種火用の空気とが混合し、パイロットバーナ210から混合気体として噴出される。
ステップST104において、制御部10は、点火器から火花を発生させ、パイロットバーナ210から噴出された混合気体点火し、パイロットバーナ210から種火用の燃焼ガスを噴射させる。
ステップST105において、制御部10は、気体燃料バルブV5の弁体を閉状態から開状態に切り替えて、気体燃料供給管203へ燃焼用の気体燃料を供給する。これにより、第1空気流路205を流通する一次空気と気体燃料供給管203の内側噴出口214から噴出した気体燃料との混合気体、及び第2空気流路206を流通する二次空気と気体燃料供給管203の外側噴出口213から噴出した気体燃料との混合気体がそれぞれ点火され、気体用バーナ220から燃焼ガスが噴射される。
なお、一次空気及び二次空気は、液体燃料による燃焼から気体燃料による燃焼に切り替えられた場合も継続して供給される。また、気体燃料を高燃焼モードで燃焼させる場合には、気体燃料バルブV5及びV6の弁体を開状態に制御する。
ステップST106において、制御部10は、エアバルブV7の弁体を閉状態から開状態に切り替えて、第2エア供給ラインL4からパージ用の空気を第1液体燃料ラインL11及び第2液体燃料ラインL12へ供給する。これらラインから供給されたパージ用の空気は、液体用バーナ200の第1液体噴射ノズル201又は第2液体噴射ノズル202を流通する。その際、第1液体噴射ノズル201又は第2液体噴射ノズル202の内部に残った液体燃料は、パージ用の空気と共に外部に排出される。
ステップST107において、制御部10は、ITUによるタイマの計時Tcをスタートさせる。
ステップST108において、制御部10は、ITUによるタイマの計時Tcが時間Tsに達したか否かを判定する。このステップST108において、制御部10により、ITUによるタイマの計時Tcが時間Tsに達した(YES)と判定された場合に、処理はステップST109へ移行する。また、ステップST108において、制御部10により、ITUによるタイマの計時Tcが時間Tsに達していない(NO)と判定された場合に、処理はステップST108へ戻る。なお、ステップST108において、タイマの計時Tcが時間Tsに達した(YES)と判定されるまでの間、パージ用の空気が第1液体燃料ラインL11及び第2液体燃料ラインL12へ供給される。
ステップST109において、制御部10は、ITUによるタイマの計時Tcをリセットする。
ステップST110において、制御部10は、エアバルブV7の弁体を開状態から閉状態に切り替えて、第2エア供給ラインL4から第1液体燃料ラインL11及び第2液体燃料ラインL12へのパージ用の空気の供給を停止する。これにより本フローチャートの処理は終了する(ステップST101へリターンする)。
上述した実施形態に係るボイラシステム1によれば、例えば、以下のような効果が得られる。
本実施形態において、制御部10は、燃焼室24で燃焼させる燃料を液体燃料から気体燃料に切り替えた場合において、エアバルブV7を閉状態から開状態に切り替えて、液体用バーナ200にパージ用の空気を供給する。そのため、液体用バーナ200の第1液体噴射ノズル201及び第2液体噴射ノズル202の内部に残った液体燃料は、パージ用の空気と共に外部に排出される。従って、ボイラシステム1は、燃料切替バーナであるバーナ部20において、液体用バーナ200の第1液体噴射ノズル201及び第2液体噴射ノズル202から、液体燃料を正常に噴霧させることができる。
また、制御部10は、燃焼室24で燃焼させる燃料を液体燃料から気体燃料に切り替えた場合において、バーナ部20で気体燃料の燃焼を開始した後に、エアバルブV7の弁体を閉状態から開状態に切り替える。これによれば、液体用バーナ200へのパージ用の空気を供給した際に、パイロットバーナ210から種火用の燃焼ガスを噴射するのに必要な圧力を低下させることがない。従って、ボイラシステム1は、燃焼室24で燃焼させる燃料を液体燃料から気体燃料に切り替えた場合に、パイロットバーナ210から噴射される種火用の燃焼ガスにより、気体燃料供給管203から噴射される混合気体を安定して燃焼させることができる。
また、制御部10は、燃焼室24で燃焼させる燃料を液体燃料から気体燃料に切り替えた場合に、エアバルブV7を閉状態から開状態に切り替えてから、時間Tsが経過した後に、エアバルブV7を開状態から閉状態に切り替える。これによれば、液体用バーナ200へのパージ用の空気の供給は、時間Tsの経過後に停止するため、気体燃料の燃焼中に、第1エア供給ラインL3からバーナ部20へ供給される燃焼用の空気の流量を確保することができる。
(変形形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明した。しかし、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
例えば、本実施形態では、燃焼室24で燃焼させる燃料を液体燃料から気体燃料に切り替えた場合において、バーナ部20で気体燃料の燃焼を開始した後に、エアバルブV7の弁体を閉状態から開状態に切り替える例について説明した。これに限らず、燃料を液体燃料から気体燃料に切り替えた直後(バーナ部20において気体燃料の燃焼が開始される前)にエアバルブV7の弁体を閉状態から開状態に切り替えてもよい。
本実施形態では、液体燃料及び気体燃料について、それぞれ低燃焼モードと高燃焼モードとを切り替え可能なバーナ部20について説明した。これに限らず、バーナ部20は、液体燃料又は気体燃料のいずれかにおいて、低燃焼モードと高燃焼モードとを切り替える構成であってもよい。また、バーナ部20は、液体燃料及び気体燃料において、燃焼モードの切り替え機能を備えない構成(通常の燃焼モードのみ)であってもよい。
本実施形態では、パージ用の空気を第1液体噴射ノズル201及び第2液体噴射ノズル202の両方に供給する例について説明した。これに限らず、液体燃料による燃焼から気体燃料による燃焼に切り替える際に、液体燃料を低燃焼モードで燃焼させていた場合には、パージ用の空気を第1液体噴射ノズル201のみに供給し、液体燃料を高燃焼モードで燃焼させていた場合には、パージ用の空気を第2液体噴射ノズル202のみに供給するようにしてもよい。その場合には、第1液体燃料ラインL11の接続部J9より下流側、及び第2液体燃料ラインL12の接続部J10よりの下流側に、それぞれ電磁バルブを設けて、パージ用の空気の流通/非流通を制御可能な構成とする。
本実施形態では、燃焼室24で燃焼させる燃料を液体燃料から気体燃料に切り替えた場合に、エアバルブV7を閉状態から開状態に切り替えてから、時間Tsが経過した後に、エアバルブV7を開状態から閉状態に切り替える例について説明した。これに限らず、エアバルブV7を閉状態から開状態に切り替えた後、気体燃料による燃焼が開始された後に、パイロットバーナ210からの種火用の燃焼ガスの噴射が停止されるタイミングに合わせてエアバルブV7を開状態から閉状態に切り替えるようにしてもよい。また、気体燃料の運転状態によっては、エアバルブV7を開状態としたまま気体燃料の燃焼を継続させてもよい。