以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。図1〜図10は、本発明の一実施の形態およびその変形例を説明するための図であって、照明装置、投射装置および投射型映像表示装置を説明するための図である。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
〔装置の構成〕
まず、コヒーレント光を投射する照明装置および投射装置を含み且つスペックルを目立たなくさせることができる投射型映像表示装置の構成を説明する。
図1に示す投射型映像表示装置10は、スクリーン15と、コヒーレント光からなる映像光を投射する投射装置20と、を有している。投射装置20は、仮想面上に位置する被照明領域LZをコヒーレント光で照明する照明装置40と、被照明領域LZと重なる位置に配置され照明装置40によってコヒーレント光で照明される空間光変調器30と、空間光変調器30からのコヒーレント光をスクリーン15に投射する投射光学系25と、を有している。
空間光変調器30としては、例えば、透過型の液晶マイクロディスプレイを用いることができる。この場合、照明装置40によって面状に照明される空間光変調器30が、画素毎にコヒーレント光を選択して透過させることにより、空間光変調器30をなすディスプレイの画面上に変調画像が形成されるようになる。こうして得られた変調画像をなす映像光は、投射光学系25によって、等倍で或いは変倍されてスクリーン15へ投射される。これにより、変調画像がスクリーン15上に等倍で或いは変倍(通常、拡大)されて表示され、観察者は当該画像を観察することができる。
なお、空間光変調器30としては、反射型のマイクロディスプレイを用いることも可能である。この場合、空間光変調器30での反射光によって変調画像が形成され、空間光変調器30へ照明装置40からコヒーレント光が照射される面と、空間光変調器30から変調画像をなす映像光が進みでる面が同一の面となる。このような反射光を利用する場合、空間光変調器30としてDMD(Digital Micromirror Device)などのMEMS素子を用いることも可能である。上述したJP6−208089Aに開示された装置では、DMDが空間光変調器として利用されている。
また、空間光変調器30の入射面は、照明装置40によってコヒーレント光を照射される被照明領域LZと同一の形状および大きさであることが好ましい。この場合、照明装置40からのコヒーレント光を、スクリーン15への映像の表示に高い利用効率で利用することができるからである。
スクリーン15は、透過型スクリーンとして構成されていてもよいし、反射型スクリーンとして構成されていてもよい。スクリーン15が反射型スクリーンとして構成されている場合には、観察者は、スクリーン15に関して投射装置20と同じ側から、スクリーン15で反射されるコヒーレント光によって表示される映像を観察することになる。一方、スクリーン15が透過型スクリーンとして構成されている場合、観察者は、スクリーン15に関して投射装置20とは反対の側から、スクリーン15を透過したコヒーレント光によって表示される映像を観察することになる。
ところで、空間光変調器30を経てスクリーン15に投射されたコヒーレント光は、拡散され、観察者に映像として認識されるようになる。この際、スクリーン上に投射されたコヒーレント光は拡散によって干渉し、スペックルを生じさせることになる。その他にも、空間光変調器30での拡散や、さらには空間中の拡散等の要因によってもスペックルが生じ得り、これらのスペックルはスクリーン15上に投影されることによって視認され得るようになる。ただし、ここで説明する投射型映像表示装置10では、以下に説明する照明装置40が、時間的に角度変化するコヒーレント光で、空間光変調器30が重ねられている被照明領域LZを照明するようになっている。より具体的には、以下に説明する照明装置40は、コヒーレント光によって被照明領域LZを照明するが、この際、被照明領域LZの各位置に入射する光の入射角度が経時的に変化していく。この結果、スクリーン15上でのコヒーレント光の拡散パターンも時間的に変化するようになり、コヒーレント光の拡散で生じるスペックルが時間的に重畳されて目立たなくなる。以下、このような照明装置40について、さらに詳細に説明する。
図1に示された照明装置40は、互いに異なる位置に配置された複数の光拡散素子55a,55b,55cを含む光学素子50と、波長域が異なる複数のコヒーレント光La,Lb,Lcを光学素子50に照射する照射装置60と、各光拡散素子55に対応して設けられた複数のインテグレーターロッド81,82,83と、複数のインテグレーターロッド81,82,83からの光を合成する合成装置70と、を有している。合成装置70で合成されたコヒーレント光La,Lb,Lcは、被照明領域LZを照明する照明光として、合成装置70の出射面70bから進み出る。
図示された例において、照射装置60は、第1波長域の第1コヒーレント光Laと、第1波長域とは異なる第2波長域の第2コヒーレント光Lbと、第1波長域および第2波長域のいずれとも異なる第3波長域の第3コヒーレント光Lcと、を投射する。一方、光学素子50は、第1〜第3のコヒーレントLa,Lb,Lcにそれぞれ対応した第1〜第3光拡散素子55a,55b,55cを含んでいる。照射装置60は、第1波長域の第1コヒーレント光Laが第1光拡散素子55a上を走査し、第2波長域の第2コヒーレント光Lbが第2光拡散素子55b上を走査し、且つ、第3波長域の第3コヒーレント光Lcが第3光拡散素子55c上を走査するように、波長域が異なるコヒーレント光La,Lb,Lcを光学素子50に向けて照射する。また、第1光拡散素子55aに対応して第1インテグレーターロッド81が設けられ、第2光拡散素子55bに対応して第2インテグレーターロッド82が設けられ、第3光拡散素子55cに対応して第3インテグレーターロッド83が設けられている。
すなわち、照射装置60から投射された第1コヒーレント光Laは、光学素子50の第1光拡散素子55aで拡散され、入射面81aを介して第1インテグレーターロッド81に入射する。また、照射装置60から投射された第2波長域の第2コヒーレント光Lbは、光学素子50の第2光拡散素子55bで拡散され、入射面82aを介して第2インテグレーターロッド82に入射する。さらに、照射装置60から投射された第3波長域の第3コヒーレント光Lcは、光学素子50の第3光拡散素子55cで拡散され、入射面83aを介して第3インテグレーターロッド83に入射する。合成装置70は、第1インテグレーターロッド81の出射面81bから出射する第1コヒーレント光La、第2インテグレーターロッド82の出射面82bから出射する第2コヒーレント光Lbおよび第3インテグレーターロッド83の出射面83bから出射する第3コヒーレント光Lcを合成してなる光を、被照明領域LZに向けて、とりわけ図示する例では空間光変調器30に向けて、照射する。
光学素子50の光拡散素子55a,55b,55cは、照射装置60からのコヒーレント光を拡散させる又は拡げる機能を有した素子である。光拡散素子55a,55b,55cは、一例として、ホログラム記録媒体から形成され得る。光拡散素子55a,55b,55cに用いられるホログラム記録媒体として、種々の公知のホログラフィック光学素子を用いることができる。具体例として、光拡散素子55a,55b,55cが、透過型の体積ホログラムやレリーフ型計算機合成ホログラムから形成され得る。
透過型の体積ホログラムやレリーフ型計算機合成ホログラムは、反射型の体積ホログラムと比較してその波長選択性が低くなる、といった特徴を有している。このため、互いに異なる波長域の光に対して所定の回折作用を及ぼすことを意図された複数の透過型の体積ホログラムやレリーフ型計算機合成ホログラムは、一般的に、積層して用いられることはなく、ここで説明する形態のように、設計波長域の光のみが入射し得るように空間的にずらして配置される。すなわち、ここで説明する形態、具体的には、複数波長域の光がそれぞれ別個のホログラム記録媒体である光拡散素子で拡散された後に合成されて照明光をなすようになる形態は、透過型の体積ホログラムやレリーフ型計算機合成ホログラムを光拡散素子として使用することに適した形態と言える。
以下では、光拡散素子55a,55b,55cが、コヒーレント光La,Lb,Lcを拡散させる又は拡げる透過型の体積ホログラム、とりわけ、散乱板6の像5を再生し得るホログラム記録媒体として構成された例を適宜取り上げる。ただし、上記の説明から理解され得るように、光拡散素子55a,55b,55cは、透過型の体積ホログラムに限定されることなく、レリーフ型の計算機合成ホログラムは光拡散素子55a,55b,55cとして好適に用いられ、さらに、反射型の体積ホログラムやレンズアレイ等の種々の光学素子が光拡散素子55a,55b,55cとして用いられてもよい。
図示する例で光学素子50に含まれた光拡散素子55a,55b,55cは、照射装置60から照射されてその各位置に入射するコヒーレント光La,Lb,Lcを再生照明光として受け、当該コヒーレント光La,Lb,Lcを高効率で回折することができる。すなわち、光拡散素子55a,55b,55cは、その各位置、言い換えると、その各点とも呼ばれるべき各微小領域に入射するコヒーレント光を回折して拡げ、対応するインテグレーターロッド81,82,83の入射面81a,82a,83aに入射させる。とりわけ図2〜図4に示された例では、光拡散素子55a,55b,55cは、その各位置、言い換えると、その各点とも呼ばれるべき各微小領域に入射するコヒーレント光を回折することによって、散乱板6の像5を再生することができるようになっている。
一方、上述したように照射装置60は、コヒーレント光La,Lb,Lcが、光学素子50の光拡散素子55a,55b,55c上を走査するようにして、光学素子50へコヒーレント光を照射する。したがって、ある瞬間に、照射装置60によってコヒーレント光La,Lb,Lcを照射されている光拡散素子55a,55b,55c上の領域は、光拡散素子55a,55b,55cの表面の一部分であって、とりわけ図示する例では、点と呼ばれるべき微小領域となっている。つまり、或る瞬間において、光拡散素子55a,55b,55cは、その表面の一部分に入射したコヒーレント光La,Lb,Lcを、拡散させることにより、インテグレーターロッド81,82,83の入射面81a,82a,83aに拡大して照射する。さらに言い換えると、或る瞬間において、光拡散素子55a,55b,55cは、その表面の一部分に入射したコヒーレント光La,Lb,Lcを、進行方向が一定ではなく或る程度の角度域に広がる拡散光ないしは発散光束に整形して、インテグレーターロッド81,82,83の入射面81a,82a,83aに入射させる。
そして、照射装置60から照射されて光拡散素子55a,55b,55c上を走査するコヒーレント光La,Lb,Lcは、光拡散素子55a,55b,55c上の各位置(各点または各領域(以下、同じ))に、当該光拡散素子55a,55b,55cの回折条件を満たすような入射角度で、入射するようになっている。図2〜図4に示されたように、照射装置60から光拡散素子55a,55b,55cの各位置に入射したコヒーレント光La,Lb,Lcは、それぞれ、光拡散素子55a,55b,55cで回折されて、対応するインテグレーターロッド81,82,83の入射面の少なくとも一部分を照明する。すなわち、照射装置60から光拡散素子55a,55b,55cの各位置に入射したコヒーレント光La,Lb,Lcは、対応するインテグレーターロッド81,82,83の入射面81a,82a,83aの少なくとも一部分に拡大して照射される。
図2〜図4に示された例において、照射装置60から光拡散素子55a,55b,55cの各位置に入射したコヒーレント光La,Lb,Lcが、当該光拡散素子55a,55b,55cによって回折された後に入射するインテグレーターロッド81,82,83の入射面81a,82a,83a上の領域IAa,IAb,IAcは、少なくとも一部分において重なりあっている。上述したように光拡散素子55a,55b,55cが散乱板6の像5を再生し得る透過型の体積ホログラムとして形成されている場合には、照射装置60から光拡散素子55a,55b,55cの各位置に入射したコヒーレント光La,Lb,Lcは、対応するインテグレーターロッド81,82,83の入射面81a,82a,83a上において、少なくとも部分的に重なるようにして散乱板6の像5を再生し得ることになる。
とりわけ、図2および図4に示された例では、光拡散素子55a,55b,55cの各位置に入射したコヒーレント光La,Lb,Lcは、それぞれ、当該光拡散素子55a,55b,55cによって進行方向を変化させられてインテグレーターロッド81,82,83の入射面81a,82a,83a上の同一の領域に入射している。すなわち、照射装置60から光拡散素子55a,55b,55cの各位置に入射したコヒーレント光La,Lb,Lcは、対応するインテグレーターロッド81,82,83の入射面81a,82a,83a内の特定の領域に拡大して照射される。上述したように光拡散素子55a,55b,55cが散乱板6の像5を再生し得る透過型の体積ホログラムとして形成されている場合には、照射装置60から光拡散素子55a,55b,55cの各位置に入射したコヒーレント光La,Lb,Lcは、対応するインテグレーターロッド81,82,83の入射面81a,82a,83a上の同一の領域に重ねて散乱板6の像5を再生し得ることなる。
加えて、図2に示されたでは、光拡散素子55a,55b,55cの各位置に入射したコヒーレント光La,Lb,Lcは、それぞれ、当該光拡散素子55a,55b,55cによって進行方向を変化させられてインテグレーターロッド81,82,83の入射面81a,82a,83aとなる領域の全域に入射している。上述したように光拡散素子55a,55b,55cが散乱板6の像5を再生し得る透過型の体積ホログラムとして形成されている場合には、照射装置60から光拡散素子55a,55b,55cの各位置に入射したコヒーレント光La,Lb,Lcは、対応するインテグレーターロッド81,82,83の入射面81a,82a,83aとなる領域に重ねて散乱板6の像5を再生し得ることなる。
なお、光拡散素子55a,55b,55cが、当該光拡散素子55a,55b,55cの各位置に入射するコヒーレント光La,Lb,Lcを、角度域を持って広がる拡散光ないしは発散光に整形していれば、当該拡散光ないしは発散光はインテグレーターロッド81,82,83の均一化機能を有効に発揮される。したがって、光拡散素子55a,55b,55cからのコヒーレント光La,Lb,Lcが、インテグレーターロッド81,82,83の入射面81a,82a,83a上の一部の領域にしか入射しなくとも、インテグレーターロッド81,82,83の出射面81b,82b,83bの全域から効果的に均一化された分布のコヒーレント光La,Lb,Lcが出射され得る。したがって、図2〜図4に示された例に限られず、例えば、図2〜図4における入射領域IAa,IAb,IAcのすべてが重なり合っている領域が、存在しないようにしてもよい。
コヒーレント光La,Lb,Lcに対して以上の回折機能を発揮し得る光拡散素子55a,55b,55cとして、フォトポリマーを用いた透過型の体積ホログラムが用いられ得る。例えば図2に示された光拡散素子55a,55b,55cは、図5に示すように、実物の散乱板6からの散乱光を物体光Loとして用いて作製され得る。図5には、光拡散素子55a,55b,55cをなすようになる感光性を有したホログラム感光材料58に、互いに干渉性を有したコヒーレント光からなる参照光Lrと物体光Loとが露光されている状態が、示されている。
参照光Lrは、例えば、特定波長域のレーザ光を発振するレーザ光源からのレーザ光が用いられており、平行光束として一定の方向に沿って進みホログラム感光材料58に入射する。一具体例として、レーザ光源から放出された直進光としてのレーザ光を、まず、スペイシャルフィルタ等で発散させ(拡げ)て発散光束に変換し、次に、コリーメータを用いて、所定のビーム断面積を有する平行光束に変換し、その後、ホログラム感光材料58に入射させる。
次に、物体光Loは、たとえばオパールガラスからなる散乱板6からの散乱光として、ホログラム感光材料58に入射する。ここでは作製されるべき光拡散素子55a,55b,55cが透過型なので、物体光Loは、参照光Lrと同一の側からホログラム感光材料58へ入射する。物体光Loは、参照光Lrと干渉性を有している必要がある。したがって、例えば、同一のレーザ光源から発振されたレーザ光を分割して、分割された一方を上述の参照光Lrとして利用し、他方を物体光Loとして使用することができる。
図5に示す例では、散乱板6の板面への法線方向と平行な平行光束が、散乱板6へ入射して散乱され、そして、散乱板6を透過した散乱光が物体光Loとしてホログラム感光材料58へ入射している。この方法によれば、通常安価に入手可能な等方散乱板を散乱板6として用いた場合に、散乱板6からの物体光Loが、ホログラム感光材料58の全域に概ね均一な光量分布で入射することが可能となる。またこの方法によれば、散乱板6による散乱の度合いにも依存するが、ホログラム感光材料58の各位置に、散乱板6の出射面6aの全域から概ね均一な光量で参照光Lrが入射しやすくなる。このような場合には、得られた光拡散素子55a,55b,55cの各位置に入射した光が、それぞれ、散乱板6の像5を同様の明るさで再生すること、および、再生された散乱板6の像5が概ね均一な明るさで観察されることが実現され得る。
以上のようにして、参照光Lrおよび物体光Loがホログラム記録材料58に露光されると、参照光Lrおよび物体光Loが干渉してなる干渉縞が生成され、この光の干渉縞が、何らかのパターン、一例として、体積ホログラムにおける屈折率変調パターンとして、ホログラム記録材料58に記録される。その後、ホログラム記録材料58の種類に対応した適切な後処理が施され、光拡散素子55a,55b,55cが得られる。
図5の露光工程を経て得られた光拡散素子55a,55b,55cは、図2に示された回折機能、すなわち、再生機能を発揮することができる。図2に示すように、図5のホログラム感光材料58から形成された光拡散素子55a,55b,55cは、露光工程で用いられたレーザ光と同一波長の光であって、露光工程における参照光Lrの光路を逆向きに進む光によって、そのブラッグ条件が満たされるようになる。すなわち、図2に示すように、光拡散素子55a,55b,55cに対する平行光束としての参照光Lrの進行方向と同一の方向に沿って逆向きに進む平行光束は、再生照明光として、当該ホログラム感光材料58と同一位置に配置された光拡散素子55a,55b,55cに高効率で回折されるようになる。光拡散素子55a,55b,55cで回折された再生光は、露光工程時におけるホログラム感光材料58に対する散乱板6の相対位置(図5参照)と同一の位置関係をなすようになる光拡散素子55a,55b,55cに対する特定の位置に、散乱板6の再生像5を生成する。
この際、散乱板6の再生像5を生成する再生光、すなわち、再生照明光を光拡散素子55a,55b,55cで回折してなる回折光は、露光工程時に散乱板6からホログラム感光材料58へ向かって進んでいた物体光Loの光路を逆向きに進む光として散乱板6の像5の各点を再生する。そして、上述したように、また図5に示すように、露光工程時に散乱板6の出射面6aの各位置から出射する散乱光Loが、それぞれ、ホログラム感光材料58の概ね全領域に入射するように拡散している(拡がっている)。すなわち、ホログラム感光材料58上の各位置には、散乱板6の出射面6aの全領域からの物体光Loが入射し、結果として、出射面6a全体の情報が光拡散素子55a,55b,55cの各位置にそれぞれ記録されている。このため、図2に示された、再生照明光として機能する平行光束をなす各光は、それぞれ単独で、光拡散素子55a,55b,55cの各位置に入射して互いに同一の輪郭を有した散乱板6の像5を、互いに同一の位置に再生することができる。
一方、図2に示された平行光束によってブラッグ条件が満たされるようになる光拡散素子55a,55b,55cを含む光学素子50に対してコヒーレント光La,Lb,Lcを照射する照射装置60は、一定の方向に進むコヒーレント光La,Lb,Lcを光学素子50の光拡散素子55a,55b,55cの各位置に照射するようになっている。言い換えると、照射装置60は、仮想の平行光束をなす一光線の光路に沿って、光学素子50の光拡散素子55a,55b,55cの各位置にコヒーレント光を照射するようになっている。
具体的な構成として、図1に示された例において、照射装置60は、波長域が異なる複数のコヒーレント光La,Lb,Lcを合成してなる合成光SLを生成する光源機構61と、光源機構61からの合成光SLの進行方向を周期的に変化させる走査デバイス65と、走査デバイス65からの合成光SLを波長域が異なる複数のコヒーレント光に分離する分離装置69と、を有している。
光源機構61は、各コヒーレントの波長域に対応した波長域のコヒーレント光をそれぞれ発振する複数の光源61a,61b,61cと、複数の光源61a,61b,61cからのコヒーレント光を合成する合成手段62である合成デバイスと、を有している。光源機構61には、複数の光源として、第1波長域の第1コヒーレント光Laを発振する第1光源61aと、第2波長域の第2コヒーレント光Lbを発振する第2光源61bと、第3波長域の第3コヒーレント光Lcを発振する第3光源61cと、が設けられている。例えば、第1波長域が第1の原色成分、例えば、赤色成分に対応し、第2波長域が第2の原色成分、例えば、緑色成分に対応し、且つ、第3波長域が第3の原色成分、例えば、青色成分に対応するようにしてもよい。この例によれば、照射装置60が、第1〜第3の原色成分の加法混色によって、白色光を照射することができる。一方、合成手段62として、二以上の光を合成する種々の部材、部品、装置等を用いることができる。図示する例においては、比較的に安価で小型であるといった利点を有するダイクロイックプリズムが、用いられている。
走査デバイス65は、コヒーレント光La,Lb,Lcの光路を経時的に変化させ、この結果として、コヒーレント光La,Lb,Lcが、対応する光拡散素子55a,55b,55c上を走査するようにして、光学素子50に入射するようになる。図1および図6に示された例において、照射装置60は、コヒーレント光を反射する反射面66aであって少なくとも一つの軸線RAを中心として回動可能な反射面を有した反射デバイス66と、反射デバイス66で反射された光の光路を一定の方向dsと平行な方向に偏向させる偏向素子67と、を有している。
図示された本実施の形態において、反射デバイス66は、一つの軸線RA1を中心として回動可能な反射面66aとしてのミラーを有したミラーデバイスとして、構成されている。そして、図1および図6に示すように、このミラーデバイス66は、ミラー66aの配向を変化させることによって、光源機構61からのコヒーレント光La,Lb,Lcを合成してなる合成光SLの進行方向を変化させるようになっている。この際、図1に示すように、ミラーデバイス66は、概ね、一定の位置(基準位置)SPにおいて光源機構61からコヒーレント光La,Lb,Lcを受けるようになっている。このため、コヒーレント光La,Lb,Lcは、所定の角度範囲内において周期的に回動するミラーデバイス66によって進行方向を変えられた後、基準位置SPから発散する発散光束をなす光線の光路に沿って進むようになる。
一方、偏向素子67は、反射デバイス66の以上の構成に対応して、基準位置SPから発散する発散光束をコリメートして平行光束に変換し得るように、構成されている。具体的には、偏向素子67は、レンズとして構成され、基準位置SPから発散する発散光束をコリメートし得る位置に配置されている。このため、偏向素子67で光路を調整されたコヒーレント光La,Lb,Lcは、平行光束の一光線をなす光線として、分離装置69に入射する。
分離装置69として、二以上の波長域の光を分離し得る種々の部材、部品、装置等を用いることができる。図示する例においては、比較的に安価で小型であるといった利点を有する波長選択性を有したミラーデバイスから構成された第1分離ミラーデバイス69a、第2分離ミラーデバイス69bおよび第3分離ミラーデバイス69cを用いられている。 図1の例において、各分離ミラーデバイス69a,69b,69cは、走査デバイス65で偏向されたコヒーレント光La,Lb,Lcの進行方向dsに沿って並べられ、走査デバイス65で偏向された光の光路上に配置されている。
第3分離ミラーデバイス69cは、走査デバイス65に最も近い位置に配置されており、第3波長域の第3コヒーレント光Lcを反射しその他の波長域の光を透過する。第2分離ミラーデバイス69bは、第3分離ミラーデバイス69cの背面に配置されており、第2波長域の第2コヒーレント光Lbを反射しその他の波長域の光を透過する。第1分離ミラーデバイス69aは、第2分離ミラーデバイス69bの背面に配置されている。この第1分離ミラーデバイス69aは、第1波長域の第1コヒーレント光Laを反射しその他の波長域の光を透過するように構成されていてもよいし、或いは、ここで説明する形態においては、全ての波長域の光を反射する通常のミラーデバイスとして構成されていてもよい。
対応する分離ミラーデバイス69a,69b,69cにおいて反射した各コヒーレント光La,Lb,Lcは、対応する光拡散素子55a,55b,55cに入射する。各分離ミラーデバイス69a,69b,69cの反射面が平面として形成されているので、各分離ミラーデバイス69a,69b,69cで光路を最終調整されたコヒーレント光La,Lb,Lcは、平行光束の一光線をなす再生照明光として、光学素子50の対応する光拡散素子55a,55b,55cへ入射し得る。結果として、照射装置60からのコヒーレント光は光拡散素子55a,55b,55c上を走査するようになり、且つ、図2に示された光拡散素子55a,55b,55cによれば、その各位置に入射したコヒーレント光La,Lb,Lcが同一の輪郭を有した散乱板6の像5を同一の位置、例えば、インテグレーターロッド81,82,83の入射面81a,82a,83aに重ねて、或いは、インテグレーターロッド81,82,83の内部となる位置に重ねて再生することができる。これらの例では、光拡散素子55a,55b,55cからのコヒーレント光La,Lb,Lcが、すべて、インテグレーターロッド81,82,83内に入射することが可能となり、コヒーレント光La,Lb,Lcの利用効率の観点から好ましい。
なお、図6は、図1に示された照射装置60および光学素子50の構成を斜視図として示している。ただし、照射装置60に含まれる分離装置69の分離ミラーデバイス69a,69b,69cは、反射する波長域が異なりその他の点において互いに同一に構成され得ることから、図6には、一つの分離ミラーデバイスのみを図示している。同様に、光学素子50の光拡散素子55a,55b,55cは、回折することを意図されたコヒーレント光La,Lb,Lcの波長域が異なりその他の点において互いに同一の構成に構成され得ることから、図6には、一つの光拡散素子のみを図示している。
図6に示された反射デバイス66は、一つの軸線RA1に沿ってミラー66aを回動させるように、構成されている。このため、反射デバイス66で連続的に進行方向を変化させられるコヒーレント光の偏向素子67への入射点IP1は、反射デバイス66をなすレンズの入射面上の線状走査経路PW1を往復動するようになる。とりわけ図6に示された例では、反射デバイス66の回動軸線RA1は、光拡散素子55a,55b,55cの板面上に定義されたXY座標系、つまり、XY平面が光拡散素子55a,55b,55cの板面と平行となるXY座標系のY軸と、平行に延びている。そして、反射面66aが、光拡散素子55a,55b,55cの板面上に定義されたXY座標系のY軸と平行な軸線RA1を中心として周期的に回動することにより、照射装置60からのコヒーレント光La,Lb,Lcの光学素子50への入射点IP2が、光拡散素子55a,55b,55cの板面上に定義されたXY座標系のX軸と平行な方向に往復動するようになる。すなわち、図6に示された例では、照射装置60は、コヒーレント光が光拡散素子55a,55b,55c上を直線経路PW2に沿って走査するように、光学素子50にコヒーレント光を照射する。
なお、図1に示された例では、各分離ミラーデバイス69a,69b,69cは、走査デバイス65で偏向された方向dsに沿って並べられ、走査デバイス65で偏向された光の光路上に配置されている。一方、光学素子50の光拡散素子55a,55b,55cは、各分離ミラーデバイス69a,69b,69cに対応して、分離ミラーデバイス69a,69b,69cの配列方向dsに沿って、並べて配列されている。図1に示すように、光拡散素子55a,55b,55cは、一平面上に配列されている。このような形態によれば、光拡散素子55a,55b,55cを同一の基材上に形成、または配置、または貼合することができ、構成が簡略化されるとともに、装置の小型化も可能となる。
なお、光学素子50の光拡散素子55a,55b,55cへ入射する各コヒーレント光La,Lb,Lcの波長は、図5の露光工程である記録工程で用いた光の波長と厳密に一致させる必要はなく、露光工程で用いた光の波長から多少ずれていても予定した領域に像5を実質的に再生することができる。そもそも、実際上の問題として、光拡散素子55a,55b,55cを作成する際、ホログラム記録材料58が収縮する場合があり、このような場合には、むしろ、ホログラム記録材料58の収縮を考慮して、照射装置60から光学素子50に照射されるコヒーレント光La,Lb,Lcの波長が調整されていた方が良い。このような点から、光源機構61のコヒーレント光源61a,61b,61cで生成するコヒーレント光の波長は、図5の露光工程である記録工程で用いた光の波長と厳密に一致させる必要はなく、ほぼ同一となっていればよい。
また、同様の理由から、光学素子50の光拡散素子55a,55b,55cの各位置へ入射する光の進行方向も、厳密に同一方向に沿った経路を取っていなくとも、予定した領域に像5を実質的に再生することができる。実際に、図1および図6に示す例では、反射デバイス66のミラー(反射面)66aは、必然的に、その回動軸線RA1からずれる。したがって、基準位置SPを通過しない回動軸線RA1を中心としてミラー66aを回動させた場合、反射デバイス66から偏向素子67へ向かうコヒーレント光は、厳密な意味で、基準位置SPからの発散光束をなす一光線とはならないことがあり、結果として、走査デバイス65から光学素子50へ向かうコヒーレント光は、厳密な意味で、常に同一の一定方向dsに進まないこともある。しかしながら、実際には、図示された構成の照射装置60から光学素子50をなす光拡散素子55a,55b,55c上の各位置へ入射するコヒーレント光La,Lb,Lcにより、実質的に、予定した領域に重ねて像5を再生することができる。
このような点から、本明細書で用いる「同一方向」、「一定方向」「平行」等の幾何学的条件を特定する用語については、厳密な意味に縛られることなく、同様の光学的機能を期待し得る程度の誤差を含めて解釈することとする。
次に、インテグレーターロッド81,82,83について説明する。上述したように、照明装置40には、各光拡散素子55a,55b,55cにそれぞれ対応して第1インテグレーターロッド81、第2インテグレーターロッド82および第3インテグレーターロッド83が設けられている。図1に示すように、第1のインテグレーターロッド81は、その入射面81aが第1光拡散素子55aに対面するようにして配置され、上述したように第1光拡散素子55aの各位置で回折された第1コヒーレント光Laを受けるようになっている。また、第2のインテグレーターロッド82は、その入射面82aが第2光拡散素子55bに対面するようにして配置され、上述したように第2光拡散素子55bの各位置で回折された第2コヒーレント光Lbを受けるようになっている。第3のインテグレーターロッド83は、その入射面83aが第3光拡散素子55cに対面するようにして配置され、上述したように第3光拡散素子55cの各位置で回折された第3コヒーレント光Lcを受けるようになっている。
図1の例では、光拡散素子55a,55b,55cが一平面上に並べて配置されていることに対応して、インテグレーターロッド81,82,83は、その入射面81a,82a,83aが一平面上に位置するようにして、配列されている。とりわけ、インテグレーターロッド81,82,83の入射面81a,82a,83aが配列される仮想面と、光拡散素子55a,55b,55cが配列される仮想面とは平行となっている。また、図1に示すように、インテグレーターロッド81,82,83は、その長手方向が互いに平行となるようにして、配列されている。このような配列によれば、装置の小型化が可能となる。
インテグレーターロッド81,82,83は、入射光の全反射を繰り返し引き起こすことにより、光の分布を均一化させる機能を有している。したがって、インテグレーターロッド81,82,83の出射面81b,82b,83b上での照度分布の面内バラツキは、当該インテグレーターロッド81,82,83の入射面81a,82a,83a上での光量分布の面内バラツキよりも小さくなる。また、既に言及したように、インテグレーターロッド81,82,83が十分に均一化機能を発揮すれば、インテグレーターロッド81,82,83の入射面81a,82a,83aの一部分にしか、コヒーレント光La,Lb,Lcが入射していない場合であっても、インテグレーターロッド81,82,83の出射面81b,82b,83bの全域から、コヒーレント光La,Lb,Lcが出射するようになる。
図1に示すように、インテグレーターロッド81,82,83の出射面1b,82b,83bは、合成装置70に接続されている。上述したように、合成装置70は、第1インテグレーターロッド81の出射面81bから出射する第1コヒーレント光La、第2インテグレーターロッド82の出射面82bから出射する第2コヒーレント光Lbおよび第3インテグレーターロッド83の出射面83bから出射する第3コヒーレント光Lcを合成する。
合成装置70は、二以上の光を合成する種々の部材、部品、装置等を用いて構成され得る。図1に示された例において、合成装置70は、第2インテグレーターロッド82の出射面82bに接続された合成手段71と、第1インテグレーターロッド81の出射面81bおよび合成手段71を接続する第1誘導手段72aと、第3インテグレーターロッド83の出射面83bおよび合成手段71を接続する第2誘導手段72bと、を有している。合成手段71は、例えば、ダイクロイックプリズムから構成され、第1誘導手段72aおよび第2誘導手段72bは、例えば、プリズム等から構成され得る。
なお、ここで例示した合成装置70は、インテグレーターロッド81,82,83の出射面81b,82b,83bから出射した際のコヒーレント光La,Lb,Lcの全体的な分布を整形することなく光路を調整して、或いは、正反射等によって側方への拡がりを規制しながら光路を調整して、異なるインテグレーターロッド81,82,83から出射したコヒーレント光La,Lb,Lcと合流するように誘導する。したがって、各インテグレーターロッド81,82,83の出射面81b,82b,83bから出射したコヒーレント光La,Lb,Lcは、合成装置70の構成に依存して決定される所定の光路長をそれぞれ進んで合成され、その後、合成装置70の出射面70bを介して照明装置40から放出されて被照明領域LZに向かう。
そして、被照明領域LZを波長域の異なる複数のコヒーレント光La,Lb,Lcによって被照明領域LZを照明するには、照射装置60から光拡散素子55a,55b,55cの各位置に入射したコヒーレント光La,Lb,Lcが、それぞれ、少なくとも一部分において重なり合う被照明領域LZ上の領域を照明し、且つ、各コヒーレント光La,Lb,Lcによって重なり合うように照明される被照明領域LZ上の前記少なくとも一部分が、異なる波長域のコヒーレント光La,Lb,Lcの間で、少なくとも部分的に重なっているようにすればよい。この場合、走査デバイス65の状態によらず、各波長域のコヒーレント光La,Lb,Lcが常に照明され続ける領域が被照明領域LZ上に存在し、且つ、各波長域のコヒーレント光La,Lb,Lcが照明されている被照明領域LZ上の領域が、異なる波長域のコヒーレント光La,Lb,Lcの間で、少なくとも部分的に重なり合う。すなわち、すべての波長域のコヒーレント光La,Lb,Lcが絶えず照明され続けている、一例として光の三原色成分を合成した白色光が絶えず照明され続けている領域が、被照明領域LZに存在することなる。このような照明は、インテグレーターロッド81,82,83による均一化機能、並びに、インテグレーターロッド81,82,83の出射面81b,82b,83bから被照射面LZまでの光路長を考慮して、光拡散素子55a,55b,55cからの回折光の分布、例えば、インテグレーターロッド81,82,83への入射角度を調節することにより、実現され得る。
一方、投射装置20について検討すると、図1に示すように、合成装置70の出射面70bに対面して空間光変調器30が配置されている。そして、合成装置70からの光は、照明装置40による照明光として、空間光変調器30を照明するようになる。
投射装置20おいて、三種類のコヒーレント光La,Lb,Lcを空間光変調器30に照明して画像を形成するには、上述した波長域の異なる複数のコヒーレント光La,Lb,Lcによって被照明領域LZを照明する場合と同様の条件を満たすようにすればよい。より具体的には、照明装置40が、次の条件(a)〜(d)が満たされるように構成されていることが好ましい。
(a)照射装置60から第1光拡散素子55aの各位置に入射した第1コヒーレント光Laが、それぞれ、合成装置70を経た後に、少なくとも一部分において重なり合う空間光変調器30上の領域を照明する。
(b)照射装置60から第2光拡散素子55bの各位置に入射した第2コヒーレント光Lbが、それぞれ、合成装置70を経た後に、少なくとも一部分において重なり合う空間光変調器30上の領域を照明する。
(c)照射装置60から第3光拡散素子55cの各位置に入射した第3コヒーレント光Lcが、それぞれ、合成装置70を経た後に、少なくとも一部分において重なり合う空間光変調器30上の領域を照明する。
(d)第1コヒーレント光Laによって重なり合うように照明される空間光変調器30上の前記少なくとも一部分と、第2コヒーレント光Lbによって重なり合うように照明される空間光変調器30上の前記少なくとも一部分と、第3コヒーレント光Lcによって重なり合うように照明される空間光変調器30上の前記少なくとも一部分が、少なくとも部分的に重なっている。
第1〜第3コヒーレント光La,Lb,Lcについての条件(a)〜(c)がそれぞれ満たされる場合には、照射装置60での走査にかかわらず、少なくとも一部の区域に、当該コヒーレント光La,Lb,Lcが照明され続ける。そして、条件(d)がさらに満たされる場合には、照射装置60での走査にかかわらず、第1〜第3コヒーレント光La,Lb,Lcが絶えず照明されている領域が存在することになる。そして、第1〜第3コヒーレント光La,Lb,Lcが絶えず照明されている領域に、空間光変調器30を重ねて配置することにより、空間光変調器30を第1〜第3コヒーレント光La,Lb,Lcによって絶えず照明し続けることができ、例えば、空間光変調器30を用いてフルカラー映像を生成することも可能となる。
既に言及したように、インテグレーターロッド81,82,83が十分に均一化機能を発揮すれば、インテグレーターロッド81,82,83の入射面81a,82a,83aの一部分にしか、コヒーレント光La,Lb,Lcが入射していない場合であっても、インテグレーターロッド81,82,83の出射面81b,82b,83bの全域から、コヒーレント光La,Lb,Lcが出射するようになる。そして、インテグレーターロッド81,82,83の出射面81b,82b,83bの全域からコヒーレント光La,Lb,Lcが出射すれば、合成装置70の出射面70bの全域からコヒーレント光La,Lb,Lcが出射するようになる。この場合、合成装置70の出射面70bの近傍に空間光変調器30を配置することにより、合成装置70からのコヒーレント光La,Lb,Lcの出射方向の如何にかかわらず、空間光変調器30を、第1〜第3コヒーレント光La,Lb,Lcで照明することができる。
〔装置の作用効果〕
次に、以上の構成からなる照明装置40、投射装置20および投射型映像表示装置10の作用について説明する。
まず、照射装置60は、コヒーレント光La,Lb,Lcが光学素子50の光拡散素子55a,55b,55c上を走査するようにして、光学素子50へコヒーレント光La,Lb,Lcを照射する。具体的には、第1〜第3光源61a,61b,61cからそれぞれ照射される第1〜第3コヒーレント光La,Lb,Lcが、合成手段62によって合成されてなる合成光SLとして、走査デバイス65の基準点SPに入射する。合成光SLは、走査デバイス65によって、その進行方向を空間的に変化させられる。より具体的には、合成光SLは、仮想の平行光束の一光線の光路を辿るよう、その光路を周期的に平行移動させる。その後、合成光SLは、分離手段69によって波長域毎に分離されるとともに、対応する光拡散素子55a,55b,55cへ向けて進行方向を変化させる。各コヒーレント光La,Lb,Lcは、それぞれ、その進行方向を周期的に平行移動させながら、対応する光拡散素子55a,55b,55c上に入射する。このようにして、コヒーレント光La,Lb,Lcが、対応する光拡散素子55a,55b,55c上を走査するようにして、当該光拡散素子55a,55b,55cに入射する。
また、コヒーレント光La,Lb,Lcは、対応する光拡散素子55a,55b,55cの各位置に入射する際、対応する光拡散素子55a,55b,55cの当該位置でのブラッグ条件を満たす入射角度で入射する。この結果、各位置に入射したコヒーレント光は、それぞれ、光拡散素子55a,55b,55cで回折され、或る程度の角度域に広がる拡散光に整形される。そして、コヒーレント光La,Lb,Lcは、或る程度の角度域に広がる拡散光として、対応するインテグレーターロッド81,82,83の入射面81a,82a,83aへ入射する。
図5に示された方法によって作製され図2に示された回折特性を呈する光拡散素子55a,55b,55cを用いた場合には、各光拡散素子55a,55b,55cは、各位置に入射するコヒーレント光La,Lb,Lcを回折することによって、それぞれ、インテグレーターロッド81,82,83の入射面81a,82a,83aに重ねて散乱板6の像5を再生する。すなわち、照射装置60から光拡散素子55a,55b,55cの各位置に入射したコヒーレント光La,Lb,Lcは、それぞれ、光学素子50で拡散または拡げられて、インテグレーターロッド81,82,83の入射面81a,82a,83aの全域に入射するようになる。このような形態によれば、使用され得なくなるコヒーレント光La,Lb,Lcを生じさせることなくコヒーレント光La,Lb,Lcの利用効率を改善し得るだけでなく、さらに、コヒーレント光La,Lb,Lcの進行方向の角度域をより広い範囲に変化させることができ且つコヒーレント光La,Lb,Lcの面内分布をより均一化させることができ、結果として、後述するスペックルをより効果的に目立たなくさせることができる。
いずれにしても、照明装置40は、コヒーレント光La,Lb,Lcが光拡散素子55a,55b,55c上を走査するようにして、コヒーレント光La,Lb,Lcを光学素子50に照射する。すなわち、光拡散素子55a,55b,55c上におけるコヒーレント光La,Lb,Lcの入射位置は常に変化する。このため、インテグレーターロッド81,82,83の入射面81a,82a,83aの各位置において、当該位置に入射するコヒーレント光La,Lb,Lcの入射角度、すなわち入射方向がインテグレーターロッド81,82,83の長手方向に対してなす角度は、変化し続ける。
とりわけ、図2に示された拡散特性を呈する光拡散素子55a,55b,55cを用いた場合には、インテグレーターロッド81,82,83の入射面81a,82a,83aの全域に絶えずコヒーレント光La,Lb,Lcが入射してくる。そして、インテグレーターロッド81,82,83の入射面81a,82a,83aの各位置において、当該位置に入射するコヒーレント光La,Lb,Lcの入射角度は連続的且つ周期的に、より大きな角度域内で、変化し続ける。
インテグレーターロッド81,82,83は、入射光の全反射を繰り返し引き起こすことにより、光量の面内分布を均一化させる機能を有している。そして、光拡散素子55a,55b,55cから投射される角度域を持って広がる拡散光は、このインテグレーターロッド81,82,83の均一化作用を効果的に及ぼされる。したがって、インテグレーターロッド81,82,83の出射面81b,82b,83b上の各位置における出射光量は、効果的に均一化される。
なお、インテグレーターロッド81,82,83による均一化機能は、当該インテグレーターロッド81,82,83の内部での全反射に起因している。したがって、ある瞬間にインテグレーターロッド81,82,83から出射する光束の進行方向は、当該光束がインテグレーターロッド81,82,83に入射した際の進行方向に依存して決定される。インテグレーターロッド81,82,83による均一化機能が十分に発揮されていると仮定すれば、当該光束のインテグレーターロッド81,82,83の入射面81a,82a,83aへの入射時における最大入射角度の大きさは、当該光束のインテグレーターロッド81,82,83の出射面81b,82b,83bからの出射時における最大出射角度の大きさとなり、同様に、当該光束のインテグレーターロッド81,82,83の入射面81a,82a,83aへの入射時における最小入射角度の大きさが、当該光束のインテグレーターロッド81,82,83の出射面81b,82b,83bからの出射時における最小出射角度の大きさとなる。
すなわち、インテグレーターロッド81,82,83の出射面81b,82b,83bから出射するコヒーレント光La,Lb,Lcの出射方向の角度域は、当該光がインテグレーターロッド81,82,83の入射面81a,82a,83aへ入射する際の入射角度の角度域に依存する。そして、インテグレーターロッド81,82,83へのコヒーレント光La,Lb,Lcの入射角度が経時的に変化することから、インテグレーターロッド81,82,83の出射面81b,82b,83bから出射するコヒーレント光La,Lb,Lcの出射方向の角度域も変化することになる。その一方で、任意の瞬間にインテグレーターロッド81,82,83の出射面81b,82b,83bから出射するコヒーレント光La,Lb,Lcの出射方向の角度域は、出射面81b,82b,83b内の各位置において均一化する。
なおここで、「インテグレーターロッドの入射面への入射時における入射角度」とは、インテグレーターロッド81,82,83の入射面81a,82a,83aへの入射光の進行方向が、インテグレーターロッド81,82,83の長手方向、言い換えると、インテグレーターロッド81,82,83の導光方向に対してなす角度のことである。同様に、「インテグレーターロッドの出射面からの出射時における出射角度」とは、インテグレーターロッド81,82,83の出射面81b,82b,83bからの出射光の進行方向が、インテグレーターロッド81,82,83の長手方向、言い換えると、インテグレーターロッド81,82,83の導光方向に対してなす角度のことである。
以上のようにして、各インテグレーターロッド81,82,83の出射面81b,82b,83bから出射したコヒーレント光La,Lb,Lcは、合成装置70で合成され、照明装置40からの照明光として、空間光変調器30を照明する。なお、インテグレーターロッド81,82,83の均一化機能により、各波長域のコヒーレント光La,Lb,Lcは、合成装置70の出射面70bの全域から効果的に均一化された光量で空間光変調器30に向けて投射されるようになる。これにより、空間光変調器30は、効果的に均一化された面内光量分布を示す第1コヒーレント光La、第2コヒーレント光Lbおよび第3コヒーレント光Lcによって、その全域を照明されることなる。
空間光変調器30は、照明装置40によって面上に照明されることにより、変調画像を形成するようになる。空間光変調器30によって形成される変調画像は、投射光学系25によってスクリーン15に投射される。スクリーン15に投射された変調画像をなすコヒーレント光La,Lb,Lcは、拡散され、観察者に映像として認識されるようになる。
なお、照明装置40は、複数波長域のコヒーレント光La,Lb,Lcによって空間光変調器30を照明する。空間光変調器30が、例えばカラーフィルタを含んでいて各波長域のコヒーレント光毎に変調画像の形成が可能である場合には、複数色で映像を表示することが可能となる。あるいは、空間光変調器30がカラーフィルタを含んでいなくとも、照射装置60が各波長域のコヒーレント光を時分割的に照射し、且つ、空間光変調器30が、照射されている波長域のコヒーレント光に対応した変調画像を形成するように時分割的に作動する場合にも、複数色で映像を表示することが可能となる。とりわけ、投射装置20または投射型映像表示装置10において、照射装置60が、赤色光に対応する波長域のコヒーレント光と、緑色光に対応する波長域のコヒーレント光と、青色光に対応する波長域のコヒーレント光と、を含んでいる場合には、フルカラーで映像を表示することが可能となる。
ところで、従来では、映像を形成するコヒーレント光La,Lb,Lcがスクリーン15上に投射されると、コヒーレント光La,Lb,Lcがスクリーン15で散乱し、この散乱によって干渉が生じ、スペックルが発生していた。
しかしながら、ここで説明してきた照明装置40によれば、次に説明するように、スペックルを極めて効果的に目立たなくさせることができる。
前掲の文献「Speckle Phenomena in Optics, Joseph W. Goodman, Roberts & Co., 2006」によれば、スペックルを目立たなくさせるには、偏光・位相・角度・時間といったパラメータを多重化し、モードを増やすことが有効であるとされている。ここでいうモードとは、互いに無相関なスペックルパターンのことである。例えば、複数のレーザ光源から同一のスクリーンに異なる方向からコヒーレント光を投射した場合、レーザ光源の数だけ、モードが存在することになる。また、同一のレーザ光源からのコヒーレント光を、時間を区切って異なる方向から、スクリーンに投射した場合、人間の目で分解不可能な時間の間にコヒーレント光の入射方向が変化した回数だけ、モードが存在することになる。そして、このモードが多数存在する場合には、光の干渉パターンが無相関に重ねられ平均化され、結果として、観察者の目によって観察されるスペックルが目立たなくなるものと考えられている。
上述した照射装置60では、各コヒーレント光La,Lb,Lcが、光拡散素子55a,55b,55c上を走査するようにして、光学素子50に照射される。また、照射装置60から光拡散素子55a,55b,55cの各位置に入射したコヒーレント光La,Lb,Lcは、回折されて、或る程度の角度域に広がった拡散光として、対応するインテグレーターロッド81,82,83に入射する。インテグレーターロッド81,82,83へのコヒーレント光La,Lb,Lcの入射角度は経時的に変化する。このため、光量分布を均一化されてインテグレーターロッド81,82,83から出射するコヒーレント光La,Lb,Lcの出射方向も、経時的に変化する。結果として、照明装置40から空間光変調器30が配置されている被照明領域LZに入射する照明光の入射方向も経時的に変化することになる。
この点について、被照明領域LZを基準にして考えると、被照明領域LZ内の各位置には絶えず各コヒーレント光La,Lb,Lcが入射してくるが、その入射方向は、常に変化し続けることになる。結果として、空間光変調器30の透過光によって形成された変調画像の各画素をなす光が、図1に矢印Aで示すように経時的に光路を変化させながら、スクリーン15の特定の位置に投射されるようになる。
なお、各コヒーレント光La,Lb,Lcは光拡散素子55a,55b,55c上を連続的に走査する。これにともなって、照明装置40から被照明領域LZへのコヒーレント光の入射方向も連続的に変化するとともに、投射装置20からスクリーン15へのコヒーレント光の入射方向も連続的に変化する。ここで、投射装置20からスクリーン15へのコヒーレント光の入射方向が僅か、例えば0.数°だけ変化すれば、スクリーン15上に生じるスペックルのパターンも大きく変化し、無相関なスペックルパターンが十分に重畳されることになる。加えて、実際に市販されているMEMSミラーやポリゴンミラー等の走査デバイス65の周波数は通常数百Hz以上であり、数万Hzにも達する走査デバイス65も珍しくない。
以上のことから、上述してきた照明装置40によれば、映像を表示しているスクリーン15上の各位置において時間的にコヒーレント光の入射方向が変化していき、且つ、この変化は、人間の目で分解不可能な速さであり、結果として、人間の目には、相関の無いコヒーレント光の散乱パターンが多重化されて観察されることになる。したがって、各散乱パターンに対応して生成されたスペックルが重ねられ平均化されて、観察者に観察されることになる。これにより、スクリーン15に表示されている映像を観察する観察者に対して、スペックルを極めて効果的に目立たなくさせることができる。
なお、人間によって観察される従来のスペックルには、スクリーン15上でのコヒーレント光の散乱等、照明装置40や投射装置20等の装置の外部での要因に起因した装置外でのスペックルだけでなく、スクリーン等に投射される前におけるコヒーレント光の散乱を原因とする装置側でのスペックルも発生し得る。この装置側で発生したスペックルパターンは、空間光変調器30を介してスクリーン15上に投射されることによって、観察者に認識され得るようにもなる。しかしながら、上述してきた形態によれば、コヒーレント光が光拡散素子55a,55b,55c上を連続的に走査し、そして光拡散素子55a,55b,55cの各位置に入射したコヒーレント光が、或る程度の角度範囲をもって広がる拡散光として、インテグレーターロッド81,82,83に入射している。すなわち、光拡散素子55a,55b,55cが、スペックルパターンを形成していたそれまでの波面とは別途の新たな波面を形成し、複雑且つ均一に、被照明領域LZ、さらには、空間光変調器30を介してスクリーン15を照明するようになる。このような光拡散素子55a,55b,55cでの新たな波面の形成により、装置側で発生するスペックルパターンは不可視化されることになる。
ところで、前掲の文献「Speckle Phenomena in Optics, Joseph W. Goodman, Roberts & Co., 2006」には、スクリーン上に生じたスペックルの程度を示すパラメータとして、スペックルコントラスト(単位%)という数値を用いる方法が提案されている。このスペックルコントラストは、本来は均一の輝度分布をとるべきテストパターン映像を表示した際に、スクリーン上に実際に生じる輝度のばらつきの標準偏差を、輝度の平均値で除した値として定義される量である。このスペックルコントラストの値が大きければ大きいほど、スクリーン上のスペックル発生程度が大きいことを意味し、観察者に対して、斑点状の輝度ムラ模様がより顕著に提示されていることを示す。
図1を参照しながら説明してきた基本形態の投射型映像表示装置10について、スペックルコントラストを調査した(条件1)。また、上述の光学素子50として、透過型の体積型ホログラムに代えて、特定の再生照明光を受けた場合に散乱板6の像5を再生し得るように計算機を用いて設計された凹凸形状を有する計算機合成ホログラム(CGH)としてのレリーフ型ホログラムを用いた場合についてのスペックルコントラストも調査した(条件2)。HDTV(高精細テレビ)の映像表示用途にて、観察者が肉眼観察した場合に輝度ムラ模様がほとんど認識できないレベルとして、スペックルコントラスト6.0%以下という基準(たとえば、WO/2001/081996号公報参照)が示されているが、条件1および条件2とも、測定されたスペックルコントラストは、6.0%を大きく下まわった。条件1および条件2について実際に肉眼観察したところ、視認され得る程度の輝度ムラ(明るさのムラ)は発生していなかった。
一方、レーザ光源からのレーザ光を平行光束に整形して空間光変調器30に入射させた場合、すなわち、図1に示された投射型映像表示装置10の空間光変調器30に、走査デバイス65、光学素子50およびインテグレーターロッド81,82,83を介さず、光源機構61からのコヒーレント光を平行光束として入射させた場合、スペックルコントラストは20.7%となった(条件3)。この条件下では、肉眼観察により、斑点状の輝度ムラ模様がかなり顕著に観察された。
また、照明装置40をLED(非コヒーレント光源)に交換し、このLED光源からの光を空間光変調器30に入射させた場合、すなわち、図1に示された投射型映像表示装置10の空間光変調器30に、走査デバイス65、光学素子50およびインテグレーターロッド81,82,83を介さず、LED光源からの非コヒーレント光を平行光束として入射させた場合、スペックルコントラストは4.0%となった(条件4)。この条件下では、肉眼観察で視認され得る程度の輝度ムラ(明るさのムラ)は発生していなかった。
条件1および条件2の結果が、条件3の結果よりも極めて良好であり、さらに、条件4の測定結果と比較しても良好となった。既に述べたとおり、スペックルの発生という問題は、実用上、レーザ光などのコヒーレント光源を用いた場合に生じる固有の問題であり、LEDなどの非コヒーレント光源を用いた装置では、考慮する必要のない問題である。加えて、条件1および条件2では、条件4と比較して、スペックル発生の原因となり得る光学素子50が追加されている。これらの点から、条件1および条件2によれば、スペックル不良に十分に対処することができたと言える。
加えて、上述してきた基本形態によれば、次の利点を享受することもできる。
上述してきた実施の形態においては、任意の瞬間に、光拡散素子55a,55b,55cによって或る程度の角度範囲を持って拡がる拡散光に整形されたコヒーレント光La,Lb,Lcが、インテグレーターロッド81,82,83に入射する。インテグレーターロッド81,82,83での均一化機能により、コヒーレント光La,Lb,Lcは、任意の瞬間に、インテグレーターロッド81,82,83の出射面81b,82b,83b上の各位置から出射するようになる。また、インテグレーターロッド81,82,83での均一化機能により、コヒーレント光La,Lb,Lcは、任意の瞬間に、インテグレーターロッド81,82,83の出射面81b,82b,83b上の各位置から、インテグレーターロッド81,82,83への入射角度に依存して決まる或る程度の角度域を持った範囲内の方向に向けて出射する。
すなわち、インテグレーターロッド81,82,83の均一化機能により、任意の瞬間に、被照明領域LZの各位置には、コヒーレント光La,Lb,Lcが或る程度の角度範囲内の種々の方向から入射する。言い換えると、任意の瞬間に、ホログラム記録媒体55で回折されて被照明領域LZの各位置に入射する光は、角度を多重化されることになる。この角度の多重化によって、各瞬間におけるスペックルパターンが複雑ないしは微細となり、その上更に、角度の時間変化により、複雑化ないしは微細化されたスペックルパターンが、上述したように、無相関なスペックルパターンとして時間的に重畳されることになる。この結果、光拡散素子55a,55b,55cをインテグレーターロッド81,82,83と組み合わせて用いることによれば、スクリーン15に表示されている映像を観察する観察者に対して、スペックルを極めて効果的に目立たなくさせることができる。
また、インテグレーターロッド81,82,83の均一化機能によれば、インテグレーターロッド81,82,83の出射面81b,82b,83bから出射するコヒーレント光La,Lb,Lcの出射方向の角度域を、各瞬間毎に、出射面81b,82b,83b内の各位置において均一化することができる。すなわち、光拡散素子55a,55b,55cをインテグレーターロッド81,82,83と組み合わせて用いることにより、光拡散素子55a,55b,55cの回折特性によらず、スクリーン15上の各位置におけるスペックルの不可視化機能を均一化することができる。
また、インテグレーターロッド81,82,83の均一化機能によれば、インテグレーターロッド81,82,83の出射面81b,82b,83b上の各位置における出射光量は、効果的に均一化される。結果として、均一な光量分布の照明光によって空間光変調器30を照明することができ、これにより、スクリーン15上に投射される映像の明るさの面内分布を均一化することできる。
加えて、インテグレーターロッド81,82,83の均一化機能によれば、光拡散素子55a,55b,55cからの拡散光がインテグレーターロッド81,82,83の入射面81a,82a,83aの全域に入射しなくとも、合成装置70の出射面70bの全域からコヒーレント光La,Lb,Lcが出射するようになり、空間光変調器30の全域を照明することが可能となる。すなわち、光拡散素子55a,55b,55cのみに頼ることなく、インテグレーターロッド81,82,83も、コヒーレント光La,Lb,Lcのビーム形態を整形および調整するための光学部材として機能する。このため、光拡散素子55a,55b,55cの作製や配置を高精度に行う必要が無くなる。
具体的には、光拡散素子55a,55b,55cの各位置に入射したコヒーレント光La,Lb,Lcによって再生される像6を、その大きさ及び再生位置について、インテグレーターロッド81,82,83の入射面81a,82a,83aに対して精確に適合させておく必要はない。光拡散素子55a,55b,55cの各位置に入射したコヒーレント光La,Lb,Lcによって再生される像6が、インテグレーターロッド81,82,83の入射面81a,82a,83a内に位置するようにしておきさえすればよい。したがって、光拡散素子55a,55b,55cの拡散角度、すなわち、回折角度の設定を高い回折効率となる仕様にて、設計することも可能となる。
また、実際上の問題として、例えば、ホログラム記録媒体や後述するレンズアレイ等からなる光拡散素子55a,55b,55cに入射するコヒーレント光La,Lb,Lcが完全な平行光ではなく散乱成分を有することがある。このようなコヒーレント光La,Lb,Lcを用いた場合、光拡散素子の各位置に入射したコヒーレント光によって照明される領域の周辺、例えば、光拡散素子によって再生される散乱板6の像5の周辺がぼけてしまう。そして、インテグレーターロッドを用いなければ、コヒーレント光によって照明される領域の周辺部のぼけの程度に応じた光量ロスが生じたり、空間光変調器30の周辺が暗くなってしまう。また、コヒーレント光La,Lb,Lcが平行光であったとしても、体積ホログラムを用いて形成された光拡散素子は、空間光変調器30の周辺まで均等な明るさで照明できないことが考えられる。例えば、ホログラム記録媒体の作製に用いられる散乱板6が、透明体の表面にランダムに凹凸を形成することによって作製されている場合には、得られたホログラム記録媒体での拡散光は、矩形状に拡がることを意図されていても、実際には円分布の拡散特性を示すようになる。したがって、この場合にも、光量ロスが生じたり、空間光変調器30の周辺が暗くなってしまう。
上述した実施の形態において、光拡散素子55a,55b,55cの各位置に入射したコヒーレント光La,Lb,Lcによって再生される像6が、インテグレーターロッド81,82,83の入射面81a,82a,83a内に位置するようにしておきさえすれば、これらの問題に対処することができる。以上のことから、照明装置40、投射装置20および投射型映像表示装置10の構成を簡易化すること、並びに、これにともなって照明装置40、投射装置20および投射型映像表示装置10の製造コストを低減することも可能になる。
ただし、光拡散素子55a,55b,55cの各位置に入射したコヒーレント光La,Lb,Lcが、光拡散素子55a,55b,55cによって進行方向を変化させられた後に、入射するようになる対応するインテグレーターロッド81,82,83の入射面81a,82a,83a上における領域が、一部分において重なり合ってある場合、さらには、同一である場合、さらには、入射面81a,82a,83aの全域となっている場合には、スクリーン15に投影される明るさの分布がより均一化される点において好ましい。特に、光拡散素子55a,55b,55cの各位置に入射したコヒーレント光La,Lb,Lcのインテグレーターロッド81,82,83の入射面81a,82a,83a上における入射領域が大きくなれば、これにともなって、インテグレーターロッド81,82,83への入射角度が、より大きな角度域で、経時的に変化する。この場合、スクリーン15の各位置へ入射する変調画像の入射角度域Aも拡がり、スペックルをより効果的に不可視化することができる。
また、上述してきた実施の形態によれば、第1〜第3光拡散素子55a,55b,55cの間で、回折特性、とりわけ拡散角度域を調節しておくことにより、照明装置から投射される各コヒーレント光La,Lb,Lcが照明する領域が互いに重なり合うようにすることができる。この場合、この重なり合った領域に、空間光変調器30を重ねて配置することにより、照射装置60からのコヒーレント光La,Lb,Lcを、高効率で映像形成のために利用することが可能となり、第1〜第3光源61a,61b,61cからの光の利用効率の面においても優れる。
さらに、上述してきた実施の形態では、光学素子50に含まれる光拡散素子55a,55b,55cが、一平面上に配列され、各インテグレーターロッド81,82,83は、その入射面81a,82a,83aが対応する光拡散素子55a,55b,55cに対向するようにして配置され、各インテグレーターロッド81,82,83の長手方向が互いに平行となっている。したがって、光の均一化のみならずスペックルの不可視化にも貢献し得る三つのインテグレーターロッド81,82,83を含んだ照明装置40をコンパクトな大きさに構成することができる。
〔変形例〕
図1〜6に例示された一具体例に基づいて説明してきた一実施の形態に対して、種々の変更を加えることが可能である。以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いており、重複する説明を省略する。
(照明装置)
上述した形態によれば、スペックルを効果的に目立たなくさせることができる。ただし、この作用効果は、主として照明装置40に起因したものである。したがって、この照明装置40を種々の態様で有用に使用することができる。例えば、照明装置40を単なる照明として用いることができ、この場合、明るさのムラ、輝度ムラ、ちらつきを目立たなくさせることができる。
(空間光変調器、投射光学系、スクリーン)
上述した形態によれば、スペックルを効果的に目立たなくさせることができる。ただし、この作用効果は、主として照明装置40に起因したものである。そして、この照明装置40を、種々の既知な空間光変調器、投射光学系、スクリーン等と組み合わせても、スペックルを効果的に目立たなくさせることができる。この点から、空間光変調器、投射光学系、スクリーンは、例示したものに限られず、種々の既知な部材、部品、装置等を用いることができる。一例として、合成装置70と空間光変調器30との間に、合成装置70の出射面70bでの光の断面情報を空間光変調器30に伝達し得るリレー光学系が設けられていてもよい。
(合成装置)
上述した実施の形態において、合成装置70が、ダイクロイックプリズム等から構成され得る一つの合成手段71と、プリズム等から構成され得る第1誘導手段72aおよび第2誘導手段72bと、を含んで構成される例を示したが、これに限られない、一例として、図7に示されているように、合成装置70が、二つの合成手段71a,71bを有するようにしてもよい。図7に示された例では、まず、第1インテグレーターロッド81の出射面81bに接続された第1誘導手段72aと、第2インテグレーターロッド82の出射面82bに接続された第1合成手段71aと、によって、第1コヒーレント光Laと第2コヒーレント光Lbが合成される。次に、第1合成手段71aの下流側に配置された第2合成手段71bと、第3インテグレーターロッド83の出射面83bに接続された第2誘導手段72bとによって、第1コヒーレント光Laおよび第2コヒーレント光Lbと、第3コヒーレント光Lcとが合成される。第1合成手段71aおよび第2合成手段71bは、例えば、ダイクロイックプリズムを用いて構成され得る。
(インテグレーターロッド)
上述した実施の形態において、各インテグレーターロッド81,82,83の長手方向が互いに平行となるように、第1〜第3インテグレーターロッド81,82,83が配置されている例を示したが、これに限られない。例えば、図8に示すように、合成装置70が、ダイクロイックプリズム等から構成され得る合成プリズム71から構成され、この合成プリズム71に対して三方から三つのインテグレーターロッド81,82,83が接続されていてもよい。図8に示された例において、第1インテグレーターロッド81と第2インテグレーターロッド82は、その長手方向が直交するように配置され、第2インテグレーターロッド82と第3インテグレーターロッド83は、その長手方向が直交するように配置されている。この結果、図8に示された例において、第1インテグレーターロッド81の入射面81aと第2インテグレーターロッド82の入射面82aは、直交するように配置され、第2インテグレーターロッド82の入射面82aと第3インテグレーターロッド83の入射面83aは、直交するように配置されている。
(照射装置)
上述した形態では、照射装置60が、波長域が異なる複数のコヒーレント光La,Lb,Lcを合成してなる合成光SLを生成する光源機構61と、光源機構61からの合成光SLの進行方向を周期的に走査デバイス65と、走査デバイス65からの合成光SLを波長域が異なる複数のコヒーレント光La,Lb,Lcに分離手段69と、を有する例を示したが、これに限れない。図8に示すように、異なる光源61a,61b,61cから波長域の異なるコヒーレント光La,Lb,Lcが、合成されることなく別の光路を辿って、対応する光拡散素子55a,55b,55cに入射するようにしてもよい。また、図9に示すように、照射装置60が、波長域が異なる複数のコヒーレント光をそれぞれ生成する複数の光源61a,61b,61cと、複数の光源61a,61b,61cからのコヒーレント光La,Lb,Lcの進行方向を変化させて、当該コヒーレント光La,Lb,Lcが光拡散素子55a,55b,55c上を走査するようにする走査デバイス65と、を含み、波長域が異なる複数のコヒーレント光La,Lb,Lcが、互いに異なる方向から同一の走査デバイス65に入射して、互いに異なる方向へ進行方向を変更させられるようにしてもよい。これらの変形例によれば、複数の波長域のコヒーレント光を合成する手段および分離する手段を必要としない。
また、走査デバイス65と光学素子50との間に、走査デバイス65からの光の断面情報を光学素子50に伝達し得るリレー光学系を設けるようにしてもよい。
また、上述した実施の形態では、光拡散素子55a,55b,55c上を走査するようにして光拡散素子55a,55b,55cに入射するコヒーレント光La,Lb,Lcの入射角度が一定である例を示したがこれに限られない。図8および図9に示すように、コヒーレント光La,Lb,Lcが光拡散素子55a,55b,55c上を走査するようにして当該光拡散素子55a,55b,55cに入射する際に、コヒーレント光La,Lb,Lcの光拡散素子55a,55b,55cへの入射角度が経時的に変化するようにしてもよい。
また、走査デバイス65が、コヒーレント光の進行方向を反射によって変化させる一軸回動型の反射デバイス66と、反射デバイス66からの種々の進行方向へ進むコヒーレント光の進行方向を同一の方向dsに偏向させる偏向素子67と、を有する例を示したが、これに限られない。走査デバイス65の反射デバイス66は、図10に示すように、反射デバイス66のミラー(反射面66a)が、第1の回動軸線RA1だけでなく、第1の回動軸線RA1と交差する第2の回動軸線RA2を中心としても回動可能となっていてもよい。図10に示された例では、ミラー66aの第2の回動軸線RA2は、光拡散素子55a,55b,55cの板面上に定義されたXY座標系のY軸と平行に延びる第1回動軸線RA1と、直交している。そして、ミラー66aが、第1軸線RA1および第2軸線RA2の両方を中心として回動可能なため、反射デバイス66からのコヒーレント光の偏向素子67の表面への入射点IP1は、二次元方向に移動可能となる。結果として、照射装置60からのコヒーレント光の光学素子50への入射点IP2は、光拡散素子55a,55b,55cの板面上で二次元方向に移動可能となる。一例として図10に示されているように、コヒーレント光の偏向素子67への入射点IP1が円周走査経路PW1上を移動するようにすることもでき、また、コヒーレント光の光学素子50への入射点IP2が円周走査経路PW2上を移動するようにすることもできる。
また、走査デバイス65が、二以上の反射デバイス(ミラーデバイス)66を含んでいてもよい。この場合、各反射デバイス66の反射面(ミラー)66aが、単一の軸線を中心としてのみ回動可能であっても、照射装置60からのコヒーレント光の光学素子50への入射点IP2を、光拡散素子55a,55b,55cの板面上で二次元方向に移動させることができる。
なお、走査デバイス65に含まれる反射デバイス66の具体例としては、MEMSミラー、ポリゴンミラー等を挙げることができる。
また、走査デバイス65は、反射によってコヒーレント光の進行方向を変化させる反射デバイス、一例として、上述してきたミラーデバイス66以外のデバイスを含んで構成されていてもよい。例えば、走査デバイス65が、屈折プリズムやレンズ等を含んでいていてもよい。
一方、走査デバイス65に含まれる偏向素子67の具体例としては、上述した樹脂製やガラス製のレンズの他に、フレネルレンズ、ホログラムレンズ、回折光学素子(DOE:Diffractive Optical Element)等を挙げることができる。
ただしそもそも、走査デバイス65は必須ではなく、照射装置60の光源機構61や第1〜第3光源61a,61b,61cが、光学素子50に対して変位可能、すなわち移動、揺動、回転に構成され、光源機構61や第1〜第3光源61a,61b,61cの光学素子50に対する変位によって、光源機構61や第1〜第3光源61a,61b,61cから照射されたコヒーレント光La,Lb,Lcが光拡散素子55a,55b,55c上を走査するようにしてもよい。すなわち、光源機構61や第1〜第3光源61a,61b,61cから放出されたコヒーレント光La,Lb,Lcの光路を連続的に変化させることに加えて、あるいは、光源機構61や第1〜第3光源61a,61b,61cから放出されたコヒーレント光La,Lb,Lcの光路を連続的に変化させることに代えて、光源機構61や第1〜第3光源61a,61b,61cの配向、すなわち配置や向き等を変化させて、光源機構61や第1〜第3光源61a,61b,61cからコヒーレント光La,Lb,Lcの放出方向を変化させるようにしてもよい。
上述した形態では、照射装置60が、波長域が異なる三種類のコヒーレント光を放出するようにした例を示したが、これに限られない。照射装置60が、波長域の異なる二種類のコヒーレント光を放出するようにしてもよいし、波長域の異なる四種類以上のコヒーレント光を放出するようにしてもよい。
(光学素子)
上述した実施の形態において、光学素子50に含まれる複数の光拡散素子55a,55b,55cが同一平面上に配置されている例を示したが、これに限られない。例えば、図8に示すように光拡散素子55a,55b,55cは同一平面上に配置されていなくてもよい。図8に示された例において、光学素子50は、分離して配置された三つの光拡散素子55a,55b,55cから構成されている。
また、上述した実施の形態において、光学素子50が、フォトポリマーを用いた透過型の体積型ホログラム55からなる例を示したが、既に説明したように、これに限られない。光学素子50は、銀塩材料を含む感光媒体を利用して記録するタイプの体積型ホログラムを含んでもよい。さらに、光学素子50は、レリーフ型(エンボス型)のホログラム記録媒体を含んでいてもよいし、透過型の体積型ホログラム記録媒体を含んでいてもよい。
また、図5に示す露光工程では、いわゆるフレネルタイプのホログラム記録媒体、すなわち、図2および図3に示された光拡散素子55a,55b,55cが作成されることになるが、レンズを用いた記録を行うことにより得られるフーリエ変換タイプのホログラム記録媒体、すなわち、図4に示された光拡散素子55a,55b,55cを作成してもかまわない。図4に示すように、フーリエ変換タイプのホログラム記録媒体を用いる場合には、像再生時にもフーリエ変換レンズ53を使用してもよい。
また、光拡散素子55a,55b,55cに形成されるべき縞状パターン、例えば、屈折率変調パターンや凹凸パターンは、現実の物体光Loおよび参照光Lrを用いることなく、予定した再生照明光Laの波長や入射方向、並びに、再生されるべき像の形状や位置等に基づき計算機を用いて設計されてもよい。このようにして得られた光拡散素子55a,55b,55cは、計算機合成ホログラムと呼ばれる。
さらに、光拡散素子55a,55b,55cは、ホログラフィック光学素子に限られることなく、各位置に照射されたコヒーレント光の進行方向を変化させるとともに拡散させるレンズアレイや、さらには光拡散機能を有した拡散板から構成されるようにしてもよい。光拡散素子として機能するレンズアレイの具体例として、拡散機能を付与された全反射型または屈折型のフレネルレンズやフライアイレンズ等を挙げることができる。レンズアレイの要素レンズは、周期的に配列されていてもよいし不規則的に配列されていてもよい。このような照明装置40においても、照射装置60が、レンズアレイからなる光拡散素子上をコヒーレント光が走査するようにして、光学素子50にコヒーレント光を照射するようにし、且つ、照射装置60から光学素子50の各位置に入射したコヒーレント光が、拡散してインテグレーターロッド81,82,83に入射するようにすれば、スペックルを効果的に目立たなくさせることができる。また、光学素子50がレンズアレイや拡散板を含む態様においては、光学素子50がホログラム記録媒体を含む態様と同様に、その他の構成、例えば照射装置60、空間光変調器30、投射光学系25およびスクリーン15に対して種々の変形、例えば、修正や変更を行うことが可能である。
また、上述した実施の形態において、光拡散素子55a,55b,55cがインテグレーターロッド81,82,83の入射面81a,82a,83aから離間して配置されている例を示したがこれに限られない。光拡散素子55a,55b,55cがインテグレーターロッド81,82,83の入射面81a,82a,83a上の全域または一部分に設けられていてもよい。このような形態によれば、光拡散素子55a,55b,55cを透過するコヒーレント光La,Lb,Lcを、すべて、インテグレーターロッド81,82,83に入射させることができ、コヒーレント光La,Lb,Lcの利用効率の観点から好ましい。
(照明方法)
上述した形態において、照射装置60が光学素子50上でコヒーレント光を一次元方向に走査可能とするように構成され、且つ、光学素子50のホログラム記録媒体やレンズアレイ等から構成される光拡散素子55a,55b,55cが各位置に照射されたコヒーレント光を二次元方向に拡散するよう(拡げるように、発散させるように)に構成される例を示した。ただし、既に説明してきたように、このような例に限定されることはなく、例えば、照射装置60が光学素子50上でコヒーレント光を二次元方向に走査可能とするように構成され、且つ、光学素子50のホログラム記録媒体やレンズアレイ等から構成される光拡散素子55a,55b,55cが各位置に照射されたコヒーレント光を二次元方向に拡散するよう(拡げるように、発散させるように)に構成され、これにより、照明装置40が二次元的な被照明領域LZを照明してもよい(図10を参照しながら、既に説明した態様)。
また、既に言及しているように、照射装置60が光学素子50上でコヒーレント光を一次元方向に走査可能とするように構成され、且つ、光学素子50のホログラム記録媒体やレンズアレイ等から構成される光拡散素子55a,55b,55cが各位置に照射されたコヒーレント光を一次元方向に拡散するよう(拡げるように、発散させるように)に構成されていてもよい。この態様において、照射装置60によるコヒーレント光の走査方向と、光学素子50のホログラム記録媒体やレンズアレイ等から構成される55の拡散方向(拡げる方向)と、が平行となるようにしてもよい。
さらに、照射装置60が光学素子50上でコヒーレント光を一次元方向または二次元方向に走査可能とするように構成され、且つ、光学素子50のホログラム記録媒体やレンズアレイ等から構成される光拡散素子55a,55b,55cが各位置に照射されたコヒーレント光を一次元方向に拡散するよう(拡げるように、発散させるように)に構成されていてもよい。
(変形例の組み合わせ)
なお、以上において上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。