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JP5919894B2 - アニオン交換樹脂の再生方法およびアミン液の再生方法 - Google Patents

アニオン交換樹脂の再生方法およびアミン液の再生方法 Download PDF

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Description

本発明は、炭酸ガス、SOx、NOxおよび他の酸成分を含むアミン液、特に燃焼ガス中の炭酸ガスを吸収するために使用された炭酸ガス、SOx,NOxおよび他の酸成分を含むアミン液の再生に使用され、これら酸成分を吸着したアニオン交換樹脂を再生する方法と、再生されたアニオン交換樹脂を用いてアミン液を再生する方法に関するものである。
石油、天然ガス等のガス精製プロセスでは、硫化水素、炭酸ガス、その他酸成分を含む酸性ガスが発生するので、これをアミン液と接触させることにより精製している。この場合、この酸性ガスを、ガス精製工程における吸収塔において、アルカノールアミン等のアミン液(リーンアミン液)と接触させることにより含有される酸成分をアミン液に吸収させて除去し、精製ガスは下流プロセスへ送給する。酸成分を吸収したアミン液(リッチアミン液)は、再生塔に導入し、リボイラを熱源として精留することによって、蒸気ストリッピングにより熱分解性のアミン塩を分解して、硫化水素、炭酸ガス等の揮散性の酸成分を放出させて除去することにより1次再生する。1次再生したアミン液は吸収塔に循環し、酸成分の吸収除去に再使用する。放出された硫化水素、炭酸ガス等の揮散性の酸性ガスはそれぞれの回収装置へ送られる。
石油、天然ガス等のガス精製プロセスで発生する酸性ガスに含まれる酸成分は、硫化水素、炭酸ガスが主成分であるが、この他に硫化カルボニル、シアン化水素、ギ酸、酢酸、シュウ酸、チオシアン酸、チオ硫酸、その他の無機酸等を微量成分として含む。これらの酸性ガスに含まれるすべての酸成分が、吸収塔においてアミン液に吸収され、アミン塩となる。再生塔では、硫化水素、炭酸ガスのアミン塩のような熱分解性のアミン塩を熱分解し、分解で生成した硫化水素、炭酸ガス等の揮散性の酸性ガスを放出させることによりアミン液が1次再生される。しかし、ギ酸、酢酸、シュウ酸、チオシアン酸、チオ硫酸、その他の無機酸等のアミン塩のように熱安定性のアミン塩(Heat Stable Amine Salt:以下、「HSAS」と記す場合がある。)は再生塔では熱分解されず、アミン液中に蓄積する。このような熱安定性アミン塩(HSAS)が蓄積すると、吸収塔におけるアミン液の吸収効率が低下する上に、その濃度が2〜3重量%になると装置の腐食や運転中の発泡の原因となるので、HSASが蓄積したリーンアミン液から、イオン交換樹脂を用いてHSASを吸着除去する2次再生が行われる。
この2次再生方法として、特許文献1(特開平5−294902)には、カチオン交換樹脂層およびアニオン交換樹脂層にアミン液を通液することにより、アミン液中のカチオンおよびアニオンを除去することが記載されている。
上記特許文献1を含む従来のリーンアミン液の2次再生では、ガス精製工程の再生塔での1次再生で硫化水素、炭酸ガス等の揮散性の酸性ガスを除去したアミン液を、ガス精製工程に付随して設けられたカチオン交換樹脂塔およびアニオン交換樹脂塔へ通液して、アミン液中のカチオンおよびアニオンを除去している。
このようなイオン交換法では、イオン交換樹脂のイオン交換容量が飽和すると、除去対象のイオンが除去できなくなるので、アニオン交換樹脂の場合は水酸化ナトリウム水溶液のようなアルカリにより、またカチオン交換樹脂の場合は硫酸水溶液のような酸により再生して再利用している。
ところで、近年、炭酸ガスの排出規制などの観点から、ボイラの煙道ガス等の石炭や石油などの燃焼ガスから、炭酸ガスその他の有害成分を除去する必要が高まり、このような燃焼ガスの処理に上記のアミン液の採用が検討されている。このような燃焼ガスをアミン液と接触させると、石油、天然ガス等のガス精製プロセスで発生する酸性ガスの場合と同様に、燃焼ガス中の酸成分をアミン液に吸収させて除去することができる。酸成分を吸収したアミン液は、上記と同様に再生塔で熱分解により1次再生して揮散性の酸性ガスを系外に放出し、残るHSASをイオン交換樹脂で2次再生して再利用することができる。
この場合、ボイラの煙道ガス等の石炭や石油などの燃焼ガスは、吸収塔におけるアミン液との接触に先立ち、脱硫装置や脱硝装置によりSOxおよびNOxが除去されるが、これらを完全に除去することはできず、残留したSOxおよびNOxは吸収塔でアミン液に吸収されてHSASを構成する。その他、アミン液には、アミン液の分解、変性等により生成するギ酸や酢酸等も、HSASを構成する。前述の如く、これらのHSASは1次再生の熱分解では放出されないため、2次再生でアニオン交換樹脂に吸着される。このうち、NOxはアミン液中で硝酸イオンとして存在しアニオン交換樹脂に強く吸着して除去されるが、アニオン交換樹脂との吸着性が強いためアニオン交換樹脂の再生不良となる場合がある。特に再生剤として水酸化ナトリウムなどアルカリ水溶液のみを使用した場合、硝酸イオンの脱着が不十分な結果となり、再生したアニオン交換樹脂を使用したときに十分なHSASの吸着量を確保できないという問題がある。
また、燃焼ガス中の炭酸ガスは、吸収塔でアミン液に吸収され、アミン液中に高濃度で存在するため、1次再生において熱分解により放出しても、アミン液にはなお高濃度の炭酸ガスが含まれ、この炭酸ガスがアミン液の2次再生においてアニオン交換樹脂に吸着されることになる。即ち、2次再生では、SOx、NOxやギ酸、酢酸等のHSASを吸着除去する際に、アミン液中に高濃度で存在する揮散性の炭酸ガスもアニオン交換樹脂に吸着されるため、アニオン交換樹脂の吸着容量が、炭酸ガスにより消費されることになる。従って、アニオン交換樹脂によるHSASの吸着除去量を確保するためには、アニオン交換樹脂の再生を頻繁に行う必要があり、再生剤を多量に消費するという問題がある。
一方、アニオン交換樹脂の再生塔での炭酸ガスの除去率を上げるためには、蒸気使用量や真空度の増加を伴い、処理費が嵩むため、実用的ではない。
即ち、炭酸ガスは再生塔で物理的に除去できるが、高濃度の炭酸ガスを含むアミン液から低濃度の炭酸ガスを含むアミン液に再生するには、再生塔における除去率を高くする必要がある。このためには熱分解温度を高くし、真空度を上げるなどの措置が必要であり、処理コストが嵩み、アミン液に対する悪影響も考えられる。これを避けるために、分流するリーンアミン液の流路に第2の再生塔を設け、2次再生を行うリーンアミン液についてのみ炭酸ガスの除去処理を行うようにすることで、蒸気使用量や真空度の増加を低減はできるが、第2の再生塔においてアミン液中の炭酸ガスが低濃度となるまで炭酸ガスを除去するには、複雑な操作を伴うとともにアミン液に対する悪影響も考えられ、やはり実用性に欠ける。
特開平5−294902号公報
本発明の課題は、炭酸ガス、SOx、NOxおよび他の酸成分を含むアミン液、特に燃焼ガス中の炭酸ガスを吸収するために使用された炭酸ガス、SOx,NOxおよび他の酸成分を含むアミン液の再生に使用され、これら酸成分を吸着したアニオン交換樹脂を効率的に再生する方法と、再生されたアニオン交換樹脂を用いてアミン液を効率的に再生する方法を提供することにある。
本発明者らは、アニオン交換樹脂に吸着した硝酸イオンの脱着方法について鋭意検討を行った結果、炭酸イオンおよび/又は重炭酸イオンを含むアルカリ水溶液を再生剤として使用すると、硝酸イオンを効率的に脱着できることを見出した。これは、アニオン交換樹脂との吸着性は炭酸ガスに比べて硝酸イオンの方が高いものの、吸着性の差を逆転される濃度差を設けた再生条件を適用することで、硝酸イオンを効率的に脱着できることによるものと推定される。
本発明はこのような知見に基いて達成されたものであり、以下を要旨とする。
[1] 炭酸ガス、SOx、NOxおよび他の酸成分を吸着したアニオン交換樹脂を再生剤と接触させることにより再生する方法において、該再生剤として、炭酸イオンおよび/又は重炭酸イオンを含む水溶液を用いるアニオン交換樹脂の再生方法であって、前記再生剤が、アルカリ濃度0.1〜20重量%でpH13〜14のアルカリ水溶液に炭酸ガスをバブリングすることにより、炭酸イオンおよび/又は重炭酸イオン濃度を重炭酸イオン換算で1000mg/L以上としたものであることを特徴とするアニオン交換樹脂の再生方法。
] [1]において、前記アニオン交換樹脂容量に対して3〜20倍容量の前記再生剤を通水速度SV3〜60hr−1で該アニオン交換樹脂層に通液することを特徴とするアニオン交換樹脂の再生方法。
] [1]又は2]において、前記再生剤と接触させて再生したアニオン交換樹脂を、炭酸ガス、SOx、NOxおよび他の酸成分を吸収したアミン液と接触させてアミン液を再生することを特徴とするアミン液の再生方法。
] []において、前記アニオン交換樹脂層に前記アミン液を通液することにより該アミン液を再生する方法であって、該アニオン交換樹脂層の流出液中のSOxおよび/又はNOx濃度が予め設定した基準値に達した時点でアミン液の通液を停止して、該アニオン交換樹脂の再生を行うことを特徴とするアミン液の再生方法。
] []において、前記アニオン交換樹脂層の流出液中のSOxおよび/又はNOx濃度をイオンクロマトグラフィで検出することを特徴とするアミン液の再生方法。
] []において、前記アニオン交換樹脂層に前記アミン液を通液することにより該アミン液を再生する方法であって、下記〔1〕式により算出される通液可能量まで該アミン液を通液した時点でアミン液の通液を停止して、該アニオン交換樹脂の再生を行うことを特徴とするアミン液の再生方法。
通液可能量=R×M/A ・・・〔1〕
(ただし、R=アニオン交換樹脂量(L)
M=アニオン交換樹脂の有効イオン交換容量(eq/L−樹脂)
A=アミン液中に存在するSOxおよびNOxを含む強酸性アニオンの
当量(eq/L−アミン液)
本発明のアニオン交換樹脂の再生方法によれば、炭酸ガス、SOx、NOxおよび他の酸成分を吸着したアニオン交換樹脂の再生剤として、炭酸イオンおよび/又は重炭酸イオンを含むアルカリ水溶液を使用することにより、再生に必要なアルカリ水溶液を大幅に削減した上で、即ち、少ない再生剤量で、アニオン交換樹脂を効率的に再生することができ、再生したアニオン交換樹脂を用いて、炭酸ガス、SOx、NOxおよび他の酸成分を吸収したアミン液から、これらの成分を効率的に吸着除去して再生することができる。
また、このアニオン交換樹脂を用いたアミン液の再生の際に、アニオン交換樹脂の貫流点となった後もアミン液の通液を継続することにより、SOxおよびNOxを選択的かつ効率的に除去することができる。
本発明の実施の形態の一例を示す処理装置のフロー図である。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明において、アニオン交換樹脂による再生の対象となるアミン液は、炭酸ガス、SOx、NOxおよび他の酸成分を含むアミン液である。このようなアミン液としては、ボイラの煙道ガス等の石炭、石油、燃料ガスなどを燃焼させた燃焼ガスを、アミン液と接触させて処理することにより、炭酸ガス、SOx、NOxおよび他の酸成分を吸収したアミン液が挙げられる。上記の燃焼ガスは、炭酸ガスのほか、SO、SO等のSOx、およびNO、NO等のNOxなどの強酸性アニオンを生成する酸成分、ならびにギ酸、酢酸その他の低級有機酸を含む弱酸性アニオンを生成する酸成分などを含む酸性ガスであり、硫化水素等の還元性成分を含まず、酸化性雰囲気のものが多い。上記の燃焼ガスは、アミン液による処理に先立ち、通常、脱硫装置および脱硝装置によりSOxおよびNOxが除去されるが、なお相当量のSOxおよびNOxを含む。このような酸性ガスは窒素、酸素ガスのほかに、通常炭酸ガスを10〜15容量%、SOxおよびNOxをそれぞれ3〜8ppm含む。
上記の酸成分を含む酸性ガスと接触させて処理するための吸収液に用いられるアミン液としては、従来より石油、天然ガス等のガス精製プロセスにおいて用いられているアルカノールアミン、その他のアミン液を用いることができる。その具体例としては、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン(DEA)、トリエタノールアミン(TEA)、ジグリコールアミン(DGA)およびメチルジエタノールアミン(MDEA)、ジイソプロパノールアミン(DIPA)等のアルカノールアミンが一般に用いられるが、他のアミン例えばヒンダードアミンのようなアミンであってもよい。これらのアミン液は通常アミン濃度15〜55重量%の水溶液として用いられる。
このようなアミン液を用いて前述の酸性ガスを処理し、酸性ガス中の酸成分をアミン液に吸収させる。ここでアミン液に吸収される酸成分は、炭酸ガス、SOx、NOxおよび他の酸成分である。アミン液に吸収された炭酸ガスは、吸収に伴う化学反応の機構により異なる形態をとる。通常、第一および第二アミン液ではカルバミン酸形(COO)または炭酸イオン形(CO 2−)をとり、第三アミン液では重炭酸イオン形(HCO )をとるとされているが、いずれも弱酸性のアニオンとして吸収される。一方、SOxおよびNOxはいずれも強酸性のアニオンとして吸収される。このほかアミン液中には、アミン液の使用中に分解あるいは酸性ガスとの反応等により生成するギ酸、酢酸等の弱酸性の酸成分、ならびに補給水に含まれる無機酸等の強酸性の酸成分がHSASとして蓄積する。
酸成分を吸収したアミン液は、1次再生工程において熱分解することにより、揮散性の酸成分を放出してリーンアミン液を生成する。1次再生で炭酸ガス等の揮散性の酸成分を除去したリーンアミン液は吸収塔に循環して再度酸成分の吸収に供されるが、炭酸ガスの一部は熱分解されずにリーンアミン液中に残留し、またSOxおよびNOxならびにギ酸、酢酸等の弱酸性の酸成分や無機酸等の強酸性の酸成分を含むHSASは1次再生では分解されず、リーンアミン液中に残留、蓄積するため、アニオン交換樹脂により2次再生を行う。
リーンアミン液の2次再生に用いるアニオン交換樹脂としては、強塩基性アニオン交換樹脂が好ましい。
本発明においては、このようなリーンアミン液の2次再生に使用され、炭酸ガス、SOx、NOxおよび他の酸成分を吸着したアニオン交換樹脂の再生剤として、炭酸イオンおよび/又は重炭酸イオンを含む水溶液を使用するが、この再生剤は炭酸イオンや重炭酸イオンを含む水溶液であればよく、例えば、次のようにして調製することができる。
(1) アルカリ水溶液に炭酸ガスをバブリングする。
(2) 水に炭酸塩および/又は重炭酸塩を添加して溶解させる。
上記(1)において、アルカリ水溶液を使用するのは炭酸ガスの溶解を促進させるためである。このように炭酸ガスを溶解させた再生剤では、次のような利点がある。
即ち、燃焼ガスから炭酸ガスを回収する設備において回収した炭酸ガスは、石油増進回収やアンモニアの合成への利用など有効利用ができる場合があるものの、立地場所に応じた利用制限を受け、炭酸ガスの利用用途がない場合は地中貯留等にて処理される。アニオン交換樹脂の再生に、アルカリ水溶液に炭酸ガスをバブリングしたものを用いる場合には、燃焼ガスから炭酸ガスを回収する設備で回収した炭酸ガスを有効利用できる。この場合、再生剤を調製する際にアルカリ水溶液を使用するが、アルカリ水溶液は炭酸ガスの溶解を促進する目的に使用するため、アニオン交換樹脂の再生剤としてアルカリ水溶液を使用する場合と比較してアルカリの使用量を大幅に削減することができる。また、炭酸ガスを利用することで、他の酸や塩を再生剤として使用しないため、高効率かつ少量の薬品でアニオン交換樹脂を再生することが可能となる。
炭酸ガスの溶解に用いるアルカリ水溶液のアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の強アルカリを用いることができ、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アルカリ水溶液のアルカリ濃度が低過ぎると炭酸ガスの溶解効率が悪い。炭酸ガスの溶解効率はアルカリ濃度が高い程良好となるが、アルカリ水溶液のアルカリ濃度を過度に高くするとアニオン交換樹脂の劣化を促進するだけでなく、アルカリ剤コストが高くつき、好ましくない。従って、アルカリ水溶液のアルカリ濃度は、0.1〜20重量%、特に1〜8重量%であることが好ましい。また、アルカリ水溶液のpHは13〜14程度であることが好ましい。
アルカリ水溶液への炭酸ガスのバブリング方法としても特に制限はないが、密閉型容器に炭酸ガスを供給しながら撹拌機にて炭酸ガスを分散、溶解する方法が、短時間でより高濃度の炭酸ガスを溶解させることができることから好ましい。
上記(2)において、水に溶解させる炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム等が挙げられ、重炭酸塩としては重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸リチウム等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(1),(2)のいずれの方法で調製された再生剤であっても、再生剤の炭酸イオンおよび/又は重炭酸イオン水溶液中の炭酸イオンおよび/又は重炭酸イオン濃度は、重炭酸イオン換算濃度として1000mg/L以上、特に4000mg/L以上であることが好ましい。この炭酸イオンおよび/又は重炭酸イオン濃度が低過ぎると、本発明によるアニオン交換樹脂の再生効率の向上効果を十分に得ることができない。ただし、炭酸イオンおよび/又は重炭酸イオン濃度を過度に高くするとアルカリを多量に使用することから、炭酸イオンおよび/又は重炭酸イオン濃度の上限は、重炭酸イオン換算濃度で、通常150,000mg/L以下である。
このような再生剤によるアニオン交換樹脂の再生方法としては、アニオン交換樹脂と再生剤とを効率的に接触させることができる方法であれば特に制限はなく、浸漬法、流動接触法、カラム通液式などいずれの方法も採用することができるが、接触効率の面でカラム通液式が好ましい。
カラム通液式によるアニオン交換樹脂の再生の場合、カラムに充填したアニオン交換樹脂容量に対し3〜20倍容量、特に5〜10倍容量の再生剤を通液SV3〜60hr−1、特に5〜40hr−1で通液することが好ましい。アニオン交換樹脂の再生に用いる再生剤量が少な過ぎるとアニオン交換樹脂を十分に再生することができず、多過ぎてもそれ以上の再生効果は望めず、徒に再生剤量、再生時間が増加して不利である。
また、通液速度が速過ぎるとアニオン交換樹脂と再生剤との接触が十分でないことにより良好な再生効果が得られず、通液速度が過度に遅いと再生に長時間を要し、工業的に不利である。
次に、このようにして再生したアニオン交換樹脂を用いて、炭酸ガス、SOx、NOxおよび他の酸成分を吸収したアミン液(リーンアミン液)を再生する方法について説明する。
リーンアミン液をアニオン交換樹脂により再生する方法としては特に制限はないが、再生効率の面から、アニオン交換樹脂層にリーンアミン液を通液するカラム通液式を採用することが好ましい。
アニオン交換樹脂による再生に供されるリーンアミン液に含まれる酸成分は、通常炭酸ガスが1000〜16000mg/L、SOxおよびNOxがそれぞれ100〜1000mg/L、ギ酸、酢酸等の他のHSASがそれぞれ10〜100mg/L程度である。
従来、アニオン交換樹脂の再生剤として水酸化ナトリウムを用いた場合、アニオン交換樹脂はOH型となっており、このようなアニオン交換樹脂を用いてアミン液を再生する場合、アニオン交換樹脂の水酸化物イオンがアミン液中のSOxおよびNOxとイオン交換する。
本発明のアニオン交換樹脂の再生方法では、再生剤として炭酸イオンおよび/又は重炭酸イオンを溶解した水溶液を使用しているため、再生後のアニオン交換樹脂はCO型となる。アニオン交換樹脂との吸着性において、炭酸イオンや重炭酸イオンは水酸化物イオンより吸着性が高いため、末端基の脱着によるSOxおよびNOxの除去効率は低下する。そのため再生剤として炭酸イオンおよび/又は重炭酸イオンを溶解した水溶液を用いて再生を行った後、アルカリ水溶液のみを再生剤として使用しアニオン交換樹脂をOH型とし、アミン液の浄化再生に用いることもできるが、この場合は多量の再生剤が必要となり、また再生排水も増加するため、ギ酸等弱酸成分の選択的除去を目的とする場合を除き適切ではない。
リーンアミン液をアニオン交換樹脂層に通液すると、通液を開始してしばらくはアミン液に含まれるすべての酸成分がほぼ同等に吸着除去される。燃焼ガス中の炭酸ガスを吸収し1次再生されたリーンアミン液であっても、高濃度の炭酸ガスがアミン液中に存在するため、アニオン交換樹脂に吸着したアニオン種にしめる炭酸ガスの割合は必然的に高くなり、除去対象であるHSASの割合が相対的に低くなる。アニオン交換樹脂層が飽和に達すると、SOxおよびNOxのような強酸性の酸成分は吸着性が高いため、炭酸ガスやギ酸、酢酸等の弱酸性の酸成分を追出して吸着し、追出された炭酸ガスやギ酸、酢酸等の弱酸性の酸成分がリークし始める。弱酸性の酸成分がリークし始めると、流出液の導電率が上昇して貫流点(アニオン交換樹脂が破過に達した点)として検出される。一般的なイオン交換では、流出液の導電率の上昇により貫流点が検出された段階で、通液を停止して樹脂の再生に移行するが、本発明におけるアミン液の再生では、この段階ではアニオン交換樹脂はアミン液組成に応じて炭酸ガスを多く吸着していて、除去対象であるSOxおよびNOxはあまり吸着されていない。従ってこの段階でアニオン交換樹脂の再生に移行すると、再生剤の大部分を炭酸ガスの脱着に使用することとなり、単位操作あたりのHSASの除去量を確保できず、再生剤を多量に消費することになり効率が悪い。
前述の如く、アニオン交換樹脂による再生に供されるリーンアミン液に含まれる酸成分は、通常、炭酸ガスが1000〜16000mg/L、SOxおよびNOxがそれぞれ100〜1000mg/L、ギ酸、酢酸等の他のHSASがそれぞれ10〜100mg/L程度である。このうち炭酸ガスは熱分解性のため除去する必要はなく、ギ酸、酢酸等炭酸ガス以外の弱酸性の酸成分は蓄積速度が低く、低濃度では害はないので常に除去する必要はなく、蓄積して有害な濃度になった時点で除去すればよいため、除去すべきHSASはSOxおよびNOxとなる。このため、弱酸成分がリークして導電率が上昇する貫流点となった後もアミン液の通液を継続し、アニオン交換樹脂層の流出液中のSOxおよび/又はNOx濃度が予め設定した基準値に達した時点でアミン液の通液を停止するか、或いは下記〔1〕式により算出される通液可能量までアミン液を通液した時点でアミン液の通液を停止して、アニオン交換樹脂層の再生に移行することが、アミン液からSOxおよびNOxを選択的に除去することができ、また、アニオン交換樹脂の再生に当たり、再生剤の必要量を低減することができ、好ましい。
通液可能量=R×M/A ・・・〔1〕
(ただし、R=アニオン交換樹脂量(L)
M=アニオン交換樹脂の有効イオン交換容量(eq/L−樹脂)
A=アミン液中に存在するSOxおよびNOxを含む強酸性アニオンの
当量(eq/L−アミン液)
アミン液の通液を停止する時点を、アニオン交換樹脂層の流出液中のSOxおよび/又はNOx濃度に基いて制御する場合、流出液中のSOxおよび/又はNOx検出装置としては、SOxおよびNOxのリークを検出できる装置であれば制限はなく、イオンクロマトグラフィ、吸光光度法、イオン電極法、水晶重みセンサー、カチオン交換樹脂前処理付き全窒素計、カチオン交換樹脂前処理付き紫外線吸収法、電位差滴定方式ヨウ素滴定法などを採用する検出装置を用いることができるが、特にイオンクロマトグラフィ例えばサプレッサー方式イオンクロマトグラフィ、その他のイオン検出装置を用いるのが好ましい。これらの装置はそれぞれ精度、検出速度などの特性が異なるので、それぞれの特性にあわせて採用することができる。
本発明において、アニオン交換樹脂の再生に移行する、アニオン交換樹脂層の流出液のSOxおよび/又はNOx濃度の基準値とは、通常SOx濃度500〜1000mg/L、NOx濃度500〜1000mg/L、或いはSOxとNOxの合計濃度1000〜2000mg/Lの範囲で設定することが好ましい。
また、アミン液の通液が上記〔1〕式で算出された通液可能量となり、アミン液の通液を停止してアニオン交換樹脂の再生に移行する時点とは、上記〔1〕式で算出された通液可能量の80〜120%、特に95〜105%の範囲のアミン液を通液した時点とすることが好ましい。
このように、SOxおよび/又はNOxのリークが基準値に達した時点では、アニオン交換樹脂はSOxおよび/又はNOxでほぼ飽和した状態となる。この状態でアニオン交換樹脂を再生すると、再生剤はSOxおよびNOxの溶離に選択的に用いられるので、アミン液から効率よくSOxおよびNOxを除去することができる。これによりアニオン交換樹脂の交換容量を有効に利用して、少ない樹脂量でSOxおよびNOxの除去を効率よく行うことができる。ただし、一般的な再生剤である水酸化ナトリウムなどアルカリ水溶液のみをアニオン交換樹脂の再生剤として使用した場合、特にNOxに由来する硝酸イオンが水酸化物イオンに比較してアニオン交換樹脂との吸着が強い高いため、多量の水酸化ナトリウムが必要となり、再生効率が悪くなる。
前述したように、アミン液の再生処理において、弱酸成分がリークして導電率が上昇する貫流点となった後もリーンアミン液の通液を継続すると、アニオン交換樹脂との吸着性の差に基づき、より吸着性の高い酸成分がより吸着性の低い酸成分を追出して吸着するため、SOxおよびNOxを選択的かつ効率的に除去することができる。再生剤として炭酸ガスを溶解したアルカリ水溶液を用いた再生を行った後、別途アルカリ水溶液を使用せずに、アニオン交換樹脂をCO型のままで、アミン液の2次再生処理に使用する際に、SOxおよびNOxは炭酸イオンや重炭酸イオンよりアニオン交換樹脂に対する吸着性が高いため、アミン液の通液を貫流点で終了せず、SOxまたはNOxのリークが基準値に達する時点までアミン液の通液を継続することにより、CO型のアニオン交換樹脂でもSOxおよびNOxを選択的かつ効率的に除去することができる。特にSOxおよびNOxのリークの値が、2次再生前のリーンアミン液中の各濃度を上回る値となるまで通液することにより、より選択的なHSASの除去が可能となる。そのため、本発明のアニオン交換樹脂およびアミン液の再生方法により、少ない再生剤の使用でSOxおよびNOxを効率よく除去することができる。
以下、本発明を適用した処理装置のフロー図を示す図1を参照して、本発明の実施の形態をより具体的に説明する。
図1において、1はガス処理工程を構成する吸収塔、2は再生塔であり、流路L1、L2により、ポンプP1、P2および熱交換器3、4を介して連絡している。吸収塔1および再生塔2は内部に充填層5、6を備え、気−液接触によりそれぞれアミン液への酸性ガスの吸収およびアミン液の1次再生を行うように構成されている。
吸収塔1には流路L3、L4が連絡している。流路L3は、ボイラ等から煙道ガス等の石炭、石油、燃料ガスなどを燃焼させた燃焼ガスのような酸成分を含む酸性ガスを、脱塵、脱硝、脱硫装置等を経由して吸収塔1に導入するものであり、また流路L4は吸収塔1の処理ガスの排出流路であり、煙突等に導かれるが、詳細な図示は省略されている。
吸収塔1では、流路L3から導入される酸成分を含む酸性ガスを充填層5において、流路L1から導入されるリーンアミン液と接触させ、これにより酸成分を吸収除去して処理ガスを流路L4から系外へ放出し、生成するリッチアミン液を流路L2から再生塔2へ送るように構成されている。再生塔2では、流路L5からリーンアミン液をリボイラ7へ送って蒸気加熱することにより、流路L2から入るリッチアミン液を熱分解して蒸気ストリッピングし、炭酸ガスのアミン塩のような熱分解性のアミン塩を分解して酸成分を放出し、アミン液を1次再生してリーンアミン液を生成する。リーンアミン液は流路L1から吸収塔1に循環し、蒸気はコンデンサ8で凝縮し、セパレータ9で凝縮水を分離して流路L6から再生塔2へ還流するように構成されている。また、セパレータ9で凝縮水と分離回収された炭酸ガスは流路L7からコンプレッサー等を経由して貯留設備に導かれるが、詳細な図示は省略されている。
流路L1からリーンアミン液を導く流路L9がイオン交換装置10に連絡し、イオン交換装置10から2次再生されたリーンアミン液を導く流路L10が流路L1に連絡している。イオン交換装置10はカチオン交換樹脂塔11およびアニオン交換樹脂塔12を備える。それぞれ強酸性カチオン交換樹脂を充填したカチオン交換樹脂層13、および強塩基性アニオン交換樹脂を充填したアニオン交換樹脂層14を内蔵している。カチオン交換樹脂塔11ではリーンアミン液中のナトリウムイオンやカリウムイオン等のカチオンを除去し、アニオン交換樹脂塔12ではリーンアミン液中に残留する炭酸ガスおよびHSASを構成する他のアニオンを除去して2次再生する。リーンアミン液中にカチオンが含まれない場合には、カチオン交換樹脂塔11を省略することができる。これらはリーンアミン液を導く流路L9において、フィルター15および活性炭塔16の下流に設けられ、流路L11、アミン液貯槽21を経てポンプP3により流路L10から流路L1に循環するよう連絡している。
イオン交換装置10は、カチオン交換樹脂再生剤槽17およびアニオン交換樹脂再生剤槽18を備え、それぞれの再生剤は流路L12、L13より各樹脂塔11,12に導入され、流路L14を経由して再生排水貯槽20に回収される。図1では、各樹脂塔11,12を再生剤が下降流で通液するよう図示されているが、各樹脂塔11,12を再生剤が上昇流で通液するように構成することも可能である。アニオン交換樹脂再生剤槽18は、ガス処理工程にて回収された炭酸ガスを流路L7から分岐した流路L8より導入し、炭酸ガスを水酸化ナトリウム水溶液に溶解する設備を備える。炭酸ガスの溶解量を制御するために、アニオン交換樹脂再生剤槽18の気相部に炭酸ガス濃度計19を設け、気相部の炭酸ガス濃度に基づく溶解量の制御が行われる。この炭酸ガス濃度計19にかわり気相部の炭酸ガス圧力計を用いて炭酸ガスの溶解量を制御することも可能である。
アニオン交換樹脂塔12の入口に設けたサプレッサー方式イオンクロマトグラフィのようなイオン検出装置22、およびアニオン交換樹脂塔12の出口に設けた積算流量計24により、前記〔1〕式により求められる通液可能量を検知してアミン液の通液を停止することができる。また、アニオン交換樹脂塔12の出口に設けたサプレッサー方式イオンクロマトグラフィのようなイオン検出装置23により、SOxまたはNOxのリークを検知し、リーク量が基準値に達した時点でアミン液の通液を停止することもできる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
[参考例1,2、実施例3,4]
強塩基性アニオン交換樹脂(ダウエックスMSA、ダウケミカル社製、登録商標)55mL−樹脂を、内径10mmの円筒カラムに700mmの高さに充填し、10重量%硝酸カリウム水溶液を458mL/hr(SV=8.3hr−1、LV=5.8m/hr)で385mL(7BV)通液し、硝酸イオンを吸着したアニオン交換樹脂を調製した。
pHを調整した水酸化ナトリウム水溶液1Lを含むビーカーに、硝酸イオンを吸収させたアニオン交換樹脂10mLを添加し、スターラーにて攪拌しながら炭酸ガスを1NL/minで供給してバブリングを30分間行い、水酸化ナトリウム水溶液中の硝酸イオン濃度および重炭酸イオン濃度を測定した。これらの測定結果を表1に示す。表1には炭酸ガスのバブリング開始前の水溶液のpHを初期pHとして記載すると共に、NaOH濃度を記載した。また、炭酸ガスについては炭酸イオンと重炭酸イオンの平衡関係が成立するが、便宜上重炭酸イオンとして換算した結果を記載した。
Figure 0005919894
表1より明らかなように、初期pHおよびNaOH濃度、すなわち炭酸ガスを溶解する水酸化ナトリウム水溶液のpHおよびNaOH濃度が高いほど、アニオン交換樹脂から硝酸イオンを効率よく脱着できている。同様に初期pHおよびNaOH濃度が高いほど、重炭酸イオン濃度が高く、炭酸ガスの溶解を促進できている。なお、参考例1,2、実施例3,4で使用したアニオン交換樹脂の総イオン交換容量は1.1eq/L−樹脂であり、硝酸イオンの式量が62g/eqであることから、アニオン交換樹脂が硝酸イオンのみを吸着して飽和しており、再生処理により全て脱着すると仮定した場合の硝酸イオン濃度は次の式により682mg/Lとなる。
1.1eq/L−樹脂×0.01L/L×62g/eq×1000=682mg/L
従って、初期pH14の実施例4では30分の炭酸ガス溶解操作で硝酸イオンの約88%を脱着した結果となる。
[比較例1]
参考例1,2、実施例3,4における炭酸ガスの効果を確認するため、実施例4において、炭酸ガスによるバブリングを実施しなかったこと以外は同様にして、スターラーのみで30分間攪拌し、水酸化ナトリウム水溶液中の硝酸イオン濃度および重炭酸イオン濃度を測定した結果を表2に示す。
Figure 0005919894
表2より、初期pHが同じ条件の実施例4と比較すると、炭酸ガスを溶解しない場合は、硝酸イオンの脱着率が2/3程度に減少している。
また、攪拌時間を延長しても水酸化ナトリウム水溶液中の硝酸イオン濃度の変化は小さかったことから、炭酸ガスを溶解することにより硝酸イオンの脱着が促進されていることが確認された。
また、この比較例1の硝酸イオン濃度は、初期pH13の実施例3における硝酸イオン濃度と同程度であり、この結果から、炭酸ガスを溶解させることにより、再生剤のアルカリ水溶液のアルカリ濃度を低減できることが分かる。
[実施例5〜7]
運転初期のリーンアミン液を模擬して、純水にアミンを添加し、さらにSOxおよびNOx由来のHSASアニオンに相当する硫酸イオンおよび硝酸イオンを添加し、さらに吸収した炭酸ガスを模擬して炭酸カリウムを添加して、下記組成の模擬リーンアミン液を調製した。
<模擬リーンアミン液組成>
メチルジエタノールアミン(MDEA):40重量%
硫酸イオン:2,000mg/L(41.7meq/L)
硝酸イオン:2,000mg/L(32.3meq/L)
炭酸カリウム:5,000mg/L
炭酸ガスの吸収に使用されるアミン液にはカリウムは含まれないため、この模擬リーンアミン液を強酸性カチオン交換樹脂に通液することでカリウムイオンを除去して試験液とし、カラム通液試験に使用した。
カラムとしては、強塩基性アニオン交換樹脂(ダウエックスMSA、ダウケミカル社製、登録商標)55mL−樹脂を、内径10mmの円筒カラムに700mmの高さに充填したものを使用し、458mL/hr(SV=8.3hr−1、LV=5.8m/hr)で試験液を0.85L通液して浄化液を得た(第1回目の吸着操作)。
試験液の通液量は、前記〔1〕式に基づき計算した。
〔1〕式に樹脂量55mL−樹脂、アニオン交換樹脂の有効イオン交換容量1.15meq/L−樹脂、アミン液中の強酸性アニオン当量74meq/Lを代入して計算すると、通液可能量は0.85Lと計算される。
試験液をカラムに通液後、アニオン交換樹脂の再生を行った。再生剤は、所定濃度の水酸化ナトリウム水溶液1Lに、炭酸ガスを1NL/minで供給してバブリングを30分間行って調製し、458mL/hr(SV=8.3hr−1、LV=5.8m/hr)で275mL(5BV)通液してアニオン交換樹脂を再生した。なお再生の前後に純水165mL(3BV)による水洗を行った(第1回目の再生操作)。
第1回目の再生を行ったアニオン交換樹脂をそれぞれカラムに充填し、第1回目の吸着操作と同様の条件で試験液のカラム通液試験を行った(第2回目の吸着操作)。この第2回目の吸着操作における試験液と浄化液の硫酸イオンおよび硝酸イオン濃度を測定し、カラム通液前後の各イオンの濃度差から各イオンの吸着量を計算した。
次いで、第1回目の吸着操作を行った後のアニオン交換樹脂を第1回目の再生操作と同様の条件で再生した(第2回目の再生操作)。この第2回目の再生操作における再生排水中の硫酸イオンおよび硝酸イオン濃度を測定し、各イオンの脱着量を計算した。また、吸着量に対する脱着量の割合を脱着率とした。これら測定結果に基づく結果を表3に示す。
なお、表3には、用いた再生剤の炭酸ガス溶解量を水酸化ナトリウム水溶液中の重炭酸イオン濃度として示した。この濃度は、イオンクロマトグラフィーにより求めた値である。
Figure 0005919894
表3より、水酸化ナトリウム濃度の上昇とともに、硫酸イオンおよび硝酸イオンの吸着量の増加が認められる。また、各イオンで脱着率の差があるものの、強酸性アニオンの脱着率は88%以上であることが確認できる。なお、実施例7における硫酸イオンと硝酸イオンの吸着量の合計が44meqであり、樹脂量が55mL−樹脂であることから強酸性アニオンに対する有効イオン交換容量は0.80eq/L−樹脂となる。
[比較例2]
実施例5〜7における炭酸ガスの効果を確認するため、実施例7において、炭酸ガスの溶解操作のみを省略し、その他は実施例7と同様の操作を行って得られた結果を表4に示す。
Figure 0005919894
表4より、吸着量と脱着量において、比較例2の結果は実施例7のみならず実施例6の結果も下回り、また脱着率においては実施例5〜7のすべてを下回ることからが分かる。
この結果から、アルカリ水溶液に炭酸ガスを溶解させることにより、アニオン交換樹脂に吸着した硫酸イオンおよび硝酸イオンを効率的に脱着でき、これにより吸着量を増加させることができることが分かる。
なお、比較例2における硫酸イオンと硝酸イオンの吸着量の合計が33meqであり、樹脂量が55mL−樹脂であることから、強酸性アニオンに対する有効イオン交換容量は0.6eq/L−樹脂となり、実施例7と比較すると炭酸ガスを溶解することによる有効イオン交換容量の増加率は約33%に相当し、また、実施例6と比較すると同程度の有効イオン交換容量であることから、水酸化ナトリウム使用量の削減率は75%に相当する。
1 吸収塔
2 再生塔
3,4 熱交換器
5,6 充填層
7 リボイラ
8 コンデンサ
9 セパレータ
10 イオン交換装置
11 カチオン交換樹脂塔
12 アニオン交換樹脂塔
13 カチオン交換樹脂層
14 アニオン交換樹脂層
15 フィルター
16 活性炭塔
17 カチオン交換樹脂再生剤槽
18 アニオン交換樹脂再生剤槽
19 炭酸ガス濃度計
20 再生排水貯槽
21 アミン液貯槽
22,23 イオン検出装置
24 積算流量計

Claims (6)

  1. 炭酸ガス、SOx、NOxおよび他の酸成分を吸着したアニオン交換樹脂を再生剤と接触させることにより再生する方法において、該再生剤として、炭酸イオンおよび/又は重炭酸イオンを含む水溶液を用いるアニオン交換樹脂の再生方法であって、
    前記再生剤が、アルカリ濃度0.1〜20重量%でpH13〜14のアルカリ水溶液に炭酸ガスをバブリングすることにより、炭酸イオンおよび/又は重炭酸イオン濃度を重炭酸イオン換算で1000mg/L以上としたものであることを特徴とするアニオン交換樹脂の再生方法。
  2. 請求項1において、前記アニオン交換樹脂容量に対して3〜20倍容量の前記再生剤を通水速度SV3〜60hr−1で該アニオン交換樹脂層に通液することを特徴とするアニオン交換樹脂の再生方法。
  3. 請求項1又は2において、前記再生剤と接触させて再生したアニオン交換樹脂を、炭酸ガス、SOx、NOxおよび他の酸成分を吸収したアミン液と接触させてアミン液を再生することを特徴とするアミン液の再生方法。
  4. 請求項において、前記アニオン交換樹脂層に前記アミン液を通液することにより該アミン液を再生する方法であって、該アニオン交換樹脂層の流出液中のSOxおよび/又はNOx濃度が予め設定した基準値に達した時点でアミン液の通液を停止して、該アニオン交換樹脂の再生を行うことを特徴とするアミン液の再生方法。
  5. 請求項において、前記アニオン交換樹脂層の流出液中のSOxおよび/又はNOx濃度をイオンクロマトグラフィで検出することを特徴とするアミン液の再生方法。
  6. 請求項において、前記アニオン交換樹脂層に前記アミン液を通液することにより該アミン液を再生する方法であって、下記〔1〕式により算出される通液可能量まで該アミン液を通液した時点でアミン液の通液を停止して、該アニオン交換樹脂の再生を行うことを特徴とするアミン液の再生方法。
    通液可能量=R×M/A ・・・〔1〕
    (ただし、R=アニオン交換樹脂量(L)
    M=アニオン交換樹脂の有効イオン交換容量(eq/L−樹脂)
    A=アミン液中に存在するSOxおよびNOxを含む強酸性アニオンの
    当量(eq/L−アミン液)
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