以下、図面を参照して、本発明に係るグロー放電検出器およびテラヘルツ波検出装置の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係るテラヘルツ波検出装置の構成を概略的に示す図である。図1に示されるように、テラヘルツ波検出装置1は、テラヘルツ波W(検出対象の電磁波)を検出するための装置であって、グロー放電検出器2と、処理回路4と、を備えている。
グロー放電検出器2は、電圧が印加されることによりグロー放電を生じるグロー放電管を用いた検出器である。グロー放電検出器2は、カソード電極21と、アノード電極22と、バルブ23と、支持部24と、支持部25と、を備えている。カソード電極21およびアノード電極22は、板状の電極であって、互いに対向して設けられ、一定の距離を保って平行に配置されている。カソード電極21は、アノード電極22と対向する内面21cと、内面21cと反対の外面21dと、を有する。アノード電極22は、カソード電極21と対向する内面22cと、内面22cと反対の外面22dと、を有する。このカソード電極21およびアノード電極22の詳細については、後述する。
バルブ23は、両端が閉塞されて密閉された筒状部材であって、例えば直径25mm程度、長さ28mm程度の円筒部材である。このバルブ23は、テラヘルツ波Wの透過率が高い材料、例えば合成石英により構成されている。また、バルブ23は、略円形の頂面23aと、頂面23aと対向する略円形の底面23bと、頂面23aの周縁および底面23bの周縁に沿った側面23cとを有する。バルブ23の内部には、カソード電極21およびアノード電極22が配置されている。さらに、バルブ23内には、例えばネオン(Ne)などのガスが充填されており、その圧力は1〜10Torr程度である。ネオンに代えて、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)などの希ガスがバルブ23内に充填されてもよい。
支持部24は、カソード電極21を支持するための棒状部材である。この支持部24は、バルブ23の軸方向Aに沿って延びており、底面23bを貫通している。また、支持部24は、導電性の部材であって、例えばニッケル(Ni)などの金属から構成されている。支持部24の一端側は、カソード電極21の外面21dの周縁部に取り付けられており、他端側は後述の処理回路4に電気的に接続されている。支持部25は、アノード電極22を支持するための棒状部材である。この支持部25は、バルブ23の軸方向Aに沿って延びており、底面23bを貫通している。また、支持部25は、導電性の部材であって、例えばニッケル(Ni)などの金属から構成されている。支持部25の一端側は、アノード電極22の外面22dの周縁部に取り付けられており、他端側は処理回路4に電気的に接続されている。
処理回路4は、グロー放電検出器2に電圧を印加して放電させ、グロー放電検出器2に入射したテラヘルツ波Wを検出するための回路である。処理回路4は、電源41と、電流計42と、抵抗器43と、抵抗器44と、ロックインアンプなどの計測装置45とを備えている。電源41は、カソード電極21とアノード電極22との間に電圧を印加するための電源であって、例えば直流定電圧電源である。また、電源41は、電圧値を変更可能な可変電源であり、プラス端子が接地電位GNDに接続されている。なお、電源41は、直流定電流電源としてもよい。また、計測装置45は、A/D変換器、オシロスコープ、マルチメータでもよい。
電流計42は、カソード電極21とアノード電極22との間の放電電流値を計測する機器であって、電源41のマイナス端子と抵抗器43の一端との間に直列に接続されている。また、抵抗器43の他端は、支持部24の他端に電気的に接続されている。抵抗器44の一端は支持部25の他端に電気的に接続され、抵抗器44の他端は接地電位GNDに電気的に接続されている。計測装置45は、抵抗器44の両端の電位差を入力し、その変化を検出することでテラヘルツ波Wを検出する。
続いて、上述したカソード電極21およびアノード電極22についてさらに詳細に説明する。図2は、カソード電極21の構成を概略的に示す図である。図2に示されるように、カソード電極21は、板状の電極部21aに所定形状の複数の貫通孔21bが所定の繰り返し周期sで設けられた板状のメタルホールアレイ電極である。電極部21aは、例えばニッケルなどの導電性の金属から構成された金属薄膜である。この電極部21aの長さは例えば21mm程度、電極部21aの幅は例えば13mm程度、電極部21aの厚さtは100μm程度である。なお、電極部21aは、アブノーマルグロー放電に適した材料から構成されていればよく、ニッケルに限られない。
貫通孔21bは、検出対象のテラヘルツ波Wの波長程度以下の大きさを有し、例えば平面視において略円形であって、その直径φは例えば200μm程度である。また、貫通孔21bは、電極部21aの一辺21eに平行な複数のラインL上に沿って、検出対象のテラヘルツ波Wの周波数に応じた周期sで配列されている。また、貫通孔21bは、その貫通孔21bが配置されたラインLと隣り合うラインLに配置された貫通孔21bのうち、最も近くに配置された2つの貫通孔21b,21bの各々に対して、周期sと同じピッチで設けられている。すなわち、貫通孔21bは、検出対象のテラヘルツ波Wの周波数に応じた周期sで、検出対象のテラヘルツ波Wの入射方向(この例では、方向B)に交差する方向に配列されており、各貫通孔21bは、平面視において一辺が周期sと同じ長さの正三角形の頂点に配置されている。この周期sは、例えば300μm程度である。
このように構成されたカソード電極21は、特定の周波数を有する電磁波を通すバンドパスフィルタとして機能する。このカソード電極21の特性は、貫通孔21bの直径φ、貫通孔21bの周期s、および、電極部21aの厚さtによって変化する。例えば、カソード電極21の透過ピーク周波数ν
pおよびカットオフ周波数ν
cは、光速cを用いてそれぞれ以下の式(1)、(2)で表される。なお、透過ピーク周波数ν
pは、透過率が最も高くなる周波数である。
式(1)に示されるように、透過ピーク周波数νpは周期sに反比例し、周期sが大きくなるに従い、透過ピーク周波数νpは低周波数になり、周期sが小さくなるに従い、透過ピーク周波数νpは高周波数になる。式(2)に示されるように、カットオフ周波数νcは直径φに反比例し、直径φが大きくなるに従い、カットオフ周波数νcは低周波数になり、直径φが小さくなるに従い、カットオフ周波数νcは高周波数になる。また、カソード電極21がフィルタとしての特性を示すために、厚さtは検出対象のテラヘルツ波Wの波長よりも小さい値に設定することが好ましい。厚さtが大きくなるに従い、カットオフ周波数νcは透過ピーク周波数νpに近づくので、透過ピーク周波数νpの幅が狭くなる。
そこで、カソード電極21は、検出対象のテラヘルツ波Wの周波数に対応したバンドパスフィルタとなるように貫通孔21bの直径φ、周期s、および、電極部21aの厚さtが調整される。この実施形態において、カソード電極21は、1THzのテラヘルツ波Wを透過するように構成されている。なお、電極部21aには、20以上の貫通孔21bが設けられていることが好ましい。この場合、カソード電極21によって、急峻な透過スペクトルが得られ、バンドパスフィルタとしての特性を十分に発揮することが可能となる。また、テラヘルツ波Wは、カソード電極21の貫通孔21bが配列された外面21dに交差する方向Bからカソード電極21に入射する。
アノード電極22は、カソード電極21と同様の構成を有するメタルホールアレイ電極であって、カソード電極21に対向して設けられている。すなわち、アノード電極22は、板状の電極部22aに所定形状の複数の貫通孔22bが周期sで設けられた板状のメタルホールアレイ電極である。電極部22aは、例えばニッケルなどの導電性の金属から構成された金属薄膜である。電極部22aの大きさは、電極部21aの大きさと等しく、電極部22aに設けられた貫通孔22bは、貫通孔21bと同じ直径φで、貫通孔21bと同様に周期sで三角配置されている。すなわち、貫通孔22bは、検出対象のテラヘルツ波Wの周波数に応じた周期sで、検出対象のテラヘルツ波Wの入射方向に交差する方向に配列されており、各貫通孔22bは、平面視において一辺が周期sと同じ長さの正三角形の頂点に配置されている。
続いて、テラヘルツ波検出装置1のテラヘルツ波の検出原理について説明する。まず、電源41によってカソード電極21およびアノード電極22間に電圧を印加する。このとき、電流計42により計測される放電電流値が10mA程度になるように、電源41の印加電圧を調整する。印加電圧は、例えば200V程度である。つまり、アブノーマルグロー領域(放電電流と放電電圧とが比例関係にある状態)でグロー放電検出器2を放電させる。そして、カソード電極21から高い運動エネルギーを有する熱電子が放出される。この熱電子は、周囲のガス分子と衝突し、ガス分子を電離させてイオン化する。さらに、熱電子およびイオン化により発生した電子は、周囲のガス分子に衝突し、ガス分子を再度電離させてイオン化する。このようにして、カソード電極21の周辺にプラズマが発生し、プラズマ領域Pが形成される。
ところで、イオン化エネルギー以下のエネルギーを有する電子は、イオン化に寄与できない。しかし、プラズマ領域Pにテラヘルツ波Wが入射すると、カソード電極21から放出された熱電子はテラヘルツ波Wのエネルギーを吸収する。これにより、イオン化エネルギーより高いエネルギーを有する熱電子の割合が高くなる。そして、イオン化エネルギーより高いエネルギーを有する熱電子の割合が高くなると、ガス分子がイオン化する確率が増加し、ガス分子のイオンが増加することによって放電電流の電流量が増加する。すなわち、テラヘルツ波検出装置1にテラヘルツ波Wが入射すると、放電電流の電流量が増加する。
ここで、カソード電極21は、1THz付近のテラヘルツ波Wを透過可能に構成されたメタルホールアレイ電極である。このため、カソード電極21の外面21dに交差する方向Bから、電磁波がバルブ23の側面23cに入射し、側面23cを通過してカソード電極21に入射すると、1THz付近のテラヘルツ波Wのみがカソード電極21を透過する。そして、カソード電極21の近傍において表面プラズモンポラリトンが励起され、カソード電極21を透過したテラヘルツ波Wの電場が増強される。これにより、テラヘルツ波Wによって放電電流を効率よく増加させることができる。そして、放電電流が増加すると、抵抗器44を流れる電流量が増加するので、抵抗器44による電圧降下量が増加する。したがって、テラヘルツ波検出装置1は、抵抗器44による電圧降下量の増加を計測装置45により検出することにより、入射したテラヘルツ波Wを高感度に検出することが可能となる。
グロー放電検出器において、入射する電磁波の周波数ωがプラズマ周波数ω
0より十分高い場合、電磁波による電流変化ΔJは、電磁波がないときの電流密度J
0、入射電磁波の振幅E
0、カソードとプラズマ領域との距離d、および、ガス分子のイオン化エネルギーVを用いて、以下の式(3)のように表される。
式(3)に示されるように、ΔJはプラズマ周波数ω
0の2乗に比例する。ここで、プラズマ周波数ω
0は、プラズマ中の電子密度n、素電荷e、電子の質量m、真空の誘電率ε
0を用いて、以下の式(4)のように表される。
また、電子密度nはガス圧に比例する。したがって、式(3)および式(4)によれば、電流変化ΔJはガス圧に比例する。
カソード電極21の開口率は40%程度であるので、テラヘルツ波Wがカソード電極21に入射した場合、本来は40%程度の透過率でテラヘルツ波Wがカソード電極21を透過するはずである。しかし、カソード電極21による表面プラズモンポラリトンによって異常透過が起こり、80%程度の透過率でテラヘルツ波Wがカソード電極21を透過する。このとき、開口率が40%程度のカソード電極21にテラヘルツ波Wが集中するので、カソード電極21の近傍におけるテラヘルツ波Wの強度は2倍程度に増加する。このため、上記式(3)より、テラヘルツ波Wの検出感度は2倍程度になることが見込まれる。
図3は、貫通孔21bの直径φを200μm、貫通孔21bの周期sを300μm、電極部21aの厚さtを100μmとした場合のカソード電極21の透過特性の測定値およびシミュレーション結果を示す図である。図3において、横軸は周波数を示し、縦軸は透過率を示す。図3に示されるように、カソード電極21では、1THz付近において透過率が最大となる。また、カソード電極21は開口率が40%であるが、80%以上の高い透過率を有する。このように、カソード電極21は、0.9〜1.1THzの周波数を有するテラヘルツ波Wを通過させるバンドパスフィルタとして機能し、カソード電極21とアノード電極22との間に形成されるプラズマ領域Pに十分な強度を有するテラヘルツ波Wを入射することが可能となる。
以上説明したように、グロー放電検出器2およびテラヘルツ波検出装置1では、カソード電極21とアノード電極22との間に電圧が印加された場合、カソード電極21の周囲においてグロー放電が生じる。このとき、カソード電極21の外面21d側においても放電は生じるが、カソード電極21とアノード電極22との間においてより強い放電が生じてプラズマ領域Pが形成される。このため、カソード電極21とアノード電極22との間のプラズマ領域Pにテラヘルツ波Wが入射することにより、テラヘルツ波Wの検出を感度よく行うことが可能となる。
また、カソード電極21は板状のメタルホールアレイ電極であるので、カソード電極21の表面近傍では同一の電位になっており、貫通孔を有しない板状電極と同様の放電状態を実現できる。このため、グロー放電検出器2およびテラヘルツ波検出装置1では、カソード電極が棒状電極である場合と比較して、プラズマ領域P(放電領域)を拡大することができる。カソード電極およびアノード電極が貫通孔を有しない板状電極である場合、プラズマ領域Pを拡大することはできるものの、カソード電極とアノード電極との間隙は狭いので、広がったテラヘルツ波Wをプラズマ領域Pに効率よく照射することができない。これに対して、カソード電極21は、検出対象のテラヘルツ波Wの周波数に応じて定められる周期sで、テラヘルツ波Wの入射方向Bに交差する方向に配列された複数の貫通孔21bを有しているので、カソード電極21の外面21dにテラヘルツ波Wが入射することにより、複数の貫通孔21bを通過して、カソード電極21とアノード電極22との間に形成されたプラズマ領域Pにテラヘルツ波Wを照射することができる。このため、テラヘルツ波Wが広がって入射したとしても、テラヘルツ波Wを効率よく検出することができ、テラヘルツ波Wの検出感度を向上することが可能となる。
また、グロー放電検出器2およびテラヘルツ波検出装置1では、カソード電極21は、検出対象のテラヘルツ波Wの周波数に応じて定められる直径φを有する複数の貫通孔21bが、検出対象のテラヘルツ波Wの周波数に応じて定められる周期sで配列されたメタルホールアレイ電極である。このため、カソード電極21は、貫通孔21bの配列方向に交差する方向Bに沿って入射する電磁波の周波数選択特性を有する。したがって、テラヘルツ波Wが方向Bに沿ってカソード電極21に入射した場合、カソード電極21の貫通孔21bの形状および配列に応じて定められる周波数のテラヘルツ波Wを選択的に透過させることができる。これにより、カソード電極21とアノード電極22との間において、カソード電極21付近に形成されたプラズマ領域Pに周波数選択されたテラヘルツ波Wを照射することができる。このため、周波数選択されたテラヘルツ波Wによる放電電流の増加を検出することが可能となる。その結果、テラヘルツ波Wとは異なる周波数の電磁波による放電電流の増加を抑制でき、テラヘルツ波Wの検出精度を向上することが可能となる。
ところで、開口の大きさ、開口の周期、針金の寸法などが任意のメタルメッシュ電極をカソード電極に用いた場合、カソード電極は、メタルメッシュの開口より短い波長の電磁波のみを透過させるハイパスフィルタとして機能する。この場合、カソード電極は、周波数選択性を有するものの、高周波数の電磁波を除去できない。これに対して、グロー放電検出器2およびテラヘルツ波検出装置1では、直径φの大きさがテラヘルツ波Wの波長程度以下の貫通孔21bを有するメタルホールアレイ電極をカソード電極21に用いているため、カソード電極21はバンドパスフィルタとして機能する。このため、カソード電極をメタルメッシュ電極とした場合と比較して、背景ノイズをより低減でき、テラヘルツ波Wの検出精度をさらに向上することが可能となる。
また、カソード電極21はメタルホールアレイ電極であるので、カソード電極21によって誘起される表面プラズモンポラリトンによって、カソード電極21を透過したテラヘルツ波Wの電場を増強させることができる。このため、テラヘルツ波Wによる放電電流の増加量を大きくすることができ、テラヘルツ波Wの検出感度を向上することが可能となる。
なお、図4に示されるように、支持部24および支持部25は絶縁体(例えばガラスなど)により構成されてもよい。この場合、グロー放電検出器2は、導線26および導線27をさらに備える。この導線26および導線27は、銅などの導電性の部材により構成されている。導線26の一端は、カソード電極21に電気的に接続され、導線26の他端は、抵抗器43の他端に電気的に接続されている。導線27の一端は、アノード電極22に電気的に接続され、導線27の他端は、抵抗器44の一端に電気的に接続されている。このように、導線26および導線27によりカソード電極21およびアノード電極22と処理回路4との電気的な接続を行っている。導線26および導線27は、支持部24および支持部25と比較して配線の自由度が高い。したがって、図4のグロー放電検出器2によれば、図1のグロー放電検出器2と比較して、グロー放電検出器2の配置の制限を緩和することができる。
また、図5に示されるように、アノード電極22は棒状の電極であってもよい。この場合、アノード電極22は、バルブ23の軸方向Aに沿って延びており、底面23bを貫通している。アノード電極22の一端側は、カソード電極21と一定の距離を保って対向して設けられ、アノード電極22の他端は、抵抗器44の一端に電気的に接続されている。このため、支持部25が不要となり、グロー放電検出器2の構成を簡易化できる。
また、アノード電極22は、貫通孔22bを有しない板状の電極であってもよい。また、カソード電極21の内面21cの面積は、アノード電極22の内面22cの面積よりも大きくしてもよい。この場合、プラズマ領域Pをさらに拡大することができる。
また、図6に示されるように、グロー放電検出器2は、センシング電極28と支持部29とをさらに備える3極管グロー放電検出器であってもよい。この場合、センシング電極28は、カソード電極21と同様の構成を有するメタルホールアレイ電極である。すなわち、センシング電極28は、板状の電極部28aに所定形状の複数の貫通孔28bが所定の繰り返し周期sで設けられた板状のメタルホールアレイ電極である。また、センシング電極28は、バルブ23の内部に設けられ、カソード電極21とアノード電極22との間に、カソード電極21およびアノード電極22と平行に配置されている。電極部28aは、例えばニッケルなどの導電性の金属から構成された金属薄膜である。電極部28aの大きさは、電極部21aの大きさと等しく、電極部28aに設けられた貫通孔28bは、貫通孔21bと同じ直径φで、貫通孔21bと同様に周期sで三角配置されている。すなわち、貫通孔28bは、検出対象のテラヘルツ波Wの周波数に応じた周期sで、検出対象のテラヘルツ波Wの入射方向に交差する方向に配列されており、各貫通孔28bは、検出対象のテラヘルツ波Wの周波数に応じた直径φを有し、平面視において一辺が周期sと同じ長さの正三角形の頂点に配置されている。
支持部29は、センシング電極28を支持するための棒状部材である。この支持部29は、バルブ23の軸方向Aに沿って延びており、底面23bを貫通している。また、支持部29は、導電性の部材であって、例えばニッケル(Ni)などの金属から構成されている。この支持部29の一端側は、センシング電極28に取り付けられており、他端側は計測装置45に電気的に接続されている。支持部29は、例えばセンシング電極28の周縁部に設けられている。図6のテラヘルツ波検出装置1では、計測装置45は、センシング電極28の電位を入力し、その電位の変化を検出することでテラヘルツ波Wを検出する。
また、図6のテラヘルツ波検出装置1において、アノード電極22およびセンシング電極28の少なくとも一つは、棒状の電極であってもよい。この場合、図5のグロー放電検出器2と同様に、支持部25または支持部29が不要となり、グロー放電検出器2の構成を簡易化できる。また、図6のテラヘルツ波検出装置1において、図1のテラヘルツ波検出装置1と同様に、計測装置45は、抵抗器44の電圧変化を計測することにより、テラヘルツ波を検出してもよい。さらに、グロー放電検出器2は、4つ以上の電極を備えてもよい。
また、図7に示されるように、カソード電極21は、板状の電極部21aに所定形状の複数の貫通孔22bが四角配置されたメタルホールアレイ電極としてもよい。この場合、貫通孔21bは、電極部21aの一辺21eに平行な複数のラインL1上に沿って、周期s1で配置されている。また、貫通孔21bは、ラインL1と交差する複数のラインL2に沿って、周期s2で設けられている。すなわち、貫通孔21bは、平面視において一組の辺が周期s1と同じ長さで、他の組の辺が周期s2と同じ長さの四角形の頂点に配置されている。
図2のカソード電極21は、入射光の偏光依存性を有しないのに対して、図7のカソード電極21は、回転対称性が変わるので、入射光の偏光依存性を有する。このため、図7のカソード電極21を用いることにより、グロー放電検出器2は、偏光依存性を有することができる。その結果、グロー放電検出器2は、テラヘルツ波の偏光成分の検出が可能となる。
また、貫通孔21bおよび貫通孔22bの形状は、円形に限定されない。例えば、貫通孔21bおよび貫通孔22bの形状は、四角、スリット、C型またはε型でもよい。貫通孔21bの形状が四角の場合、透過ピーク周波数νpは、貫通孔21bの周期sに強く依存する。また、貫通孔21bの形状がスリットの場合、低周波数における透過率が最も高く、周波数が高くなるに従い透過率は緩やかに減少する。また、貫通孔21bの形状がC型の場合、入射するテラヘルツ波Wの偏光によって、透過ピーク周波数νpが変化する。また、貫通孔21bの形状がε型の場合、2つの透過ピーク周波数νpが生じる。
また、支持部24は、カソード電極21のどの位置に設けられてもよい。また、2以上の支持部24がカソード電極21に設けられてもよい。支持部25は、アノード電極22のどの位置に設けられてもよい。また、2以上の支持部25がアノード電極22に設けられてもよい。
[第2実施形態]
図8は、第2実施形態に係るグロー放電検出器の構成を概略的に示す図である。図8に示されるように、バルブ23の外部から平行光として入射したテラヘルツ波Wをカソード電極21に集光する構成を有する点において、上述した第1実施形態のグロー放電検出器2と相違している。すなわち、第2実施形態のグロー放電検出器2は、軸外し放物面鏡31(集光部)と、支持部32と、をさらに備えている。
軸外し放物面鏡31は、バルブ23の外部から平行光として入射したテラヘルツ波Wをカソード電極21に集光するための鏡部材である。この軸外し放物面鏡31は、放物面31aを有する。放物面31aは、軸方向Aから方向Bに向かって滑らかに湾曲する曲面であって、鏡面をなしている。また、軸外し放物面鏡31は、バルブ23の内部に設けられており、放物面31aは、バルブ23の頂面23aおよびカソード電極21の外面21dに対向している。このように構成された軸外し放物面鏡31は、軸方向Aから入射したテラヘルツ波Wをカソード電極21の外面21dに集光する。
支持部32は、軸外し放物面鏡31を支持するための棒状部材である。この支持部32は、バルブ23の軸方向Aに沿って延びており、底面23bを貫通している。また、支持部32は、例えばガラスなどの絶縁体から構成されている。この支持部32の一端側は、例えば軸外し放物面鏡31の底面に取り付けられている。
以上の第2実施形態のグロー放電検出器2およびこれを用いたテラヘルツ波検出装置1によっても、上述した第1実施形態のグロー放電検出器2およびテラヘルツ波検出装置1と同様の効果が奏される。さらに、第2実施形態のグロー放電検出器2では、テラヘルツ波Wは、バルブ23の軸方向Aに沿ってバルブ23の外部から入射し、バルブ23の頂面23aを通過して、軸外し放物面鏡31の放物面31aに入射する。そして、テラヘルツ波Wは、軸外し放物面鏡31によって集光されてカソード電極21の外面21dに入射する。このため、テラヘルツ波Wがグロー放電検出器2に広がって入射したとしても、カソード電極21の周辺に発生しているプラズマ領域Pにテラヘルツ波Wを集光することができ、テラヘルツ波Wの検出感度をさらに向上させることが可能となる。
また、図9に示されるように、軸外し放物面鏡31は、バルブ23の外部から広がって入射したテラヘルツ波Wを平行光に変換するための鏡部材であってもよい。この場合、放物面31aは、軸方向Aから入射したテラヘルツ波Wを方向Bに平行に出射するための形状を有している。この図9のグロー放電検出器2では、テラヘルツ波Wは、バルブ23の軸方向Aに沿ってバルブ23の外部から入射し、バルブ23の頂面23aを通過して、軸外し放物面鏡31の放物面31aに入射する。そして、テラヘルツ波Wは、軸外し放物面鏡31によって方向Bに平行な平行光とされ、カソード電極21の外面21dに垂直に入射する。このため、テラヘルツ波Wが広がって入射したとしても、テラヘルツ波Wをカソード電極21の外面21dに出射することができる。その結果、テラヘルツ波Wの検出感度をさらに向上させることが可能となる。
また、図10に示されるように、グロー放電検出器2は、軸外し放物面鏡31に代えて、コーン型集光鏡33(集光部)を備えてもよい。このコーン型集光鏡33は、バルブ23の外部から広がって入射したテラヘルツ波Wを集光するための鏡部材であって、軸方向Aを回転軸とする円錐台形の筒状部材である。また、コーン型集光鏡33の内面に沿って、反射面33aが設けられている。コーン型集光鏡33は、バルブ23の頂面23aに対向する開口部33bと、底面23bに対向する開口部33cとを有する。
また、カソード電極21は、外面21dが開口部33cに対向するように配置されている。アノード電極22は、外面22dが底面23bに対向するように配置されている。また、支持部24の一端は、例えばカソード電極21の周縁に取り付けられている。支持部25の一端は、例えばアノード電極22の外面22dに取り付けられている。
この図10のグロー放電検出器2では、テラヘルツ波Wは、バルブ23の軸方向Aに沿って、バルブ23の外部から入射し、バルブ23の頂面23aを通過して、コーン型集光鏡33の開口部33bから反射面33aに入射する。そして、テラヘルツ波Wは、コーン型集光鏡33によってに集光されて開口部33cから出射され、カソード電極21の外面21dに入射する。このため、テラヘルツ波Wがグロー放電検出器2に広がって入射したとしても、カソード電極21の周辺に発生しているプラズマ領域Pにテラヘルツ波Wを集光して照射することができ、テラヘルツ波Wの検出感度をさらに向上させることが可能となる。
また、図11に示されるように、グロー放電検出器2は、さらに反射鏡34(反射部)を備えてもよい。反射鏡34は、軸外し放物面鏡31によって集光されたテラヘルツ波Wのうち、カソード電極21およびアノード電極22を透過した成分を反射して、アノード電極22に出射するための鏡部材である。この反射鏡34は、放物面34aを有する。放物面34aは、方向Bに窪む曲面であって、鏡面をなしている。また、反射鏡34は、バルブ23の内部に設けられており、放物面34aは、アノード電極22の外面22dに対向している。このように構成された反射鏡34は、アノード電極22を透過して反射鏡34に入射したテラヘルツ波Wを反射し、アノード電極22の外面22dに集光する。この場合、カソード電極21およびアノード電極22はいずれも、板状のメタルホールアレイ電極である。
この図11のグロー放電検出器2では、テラヘルツ波Wは、バルブ23の軸方向Aに沿ってバルブ23の外部から入射し、バルブ23の頂面23aを通過して、軸外し放物面鏡31の放物面31aに入射する。そして、テラヘルツ波Wは、軸外し放物面鏡31によって集光され、カソード電極21の外面21dに入射する。また、カソード電極21およびアノード電極22を透過したテラヘルツ波Wは、反射鏡34の放物面34aに入射する。そして、テラヘルツ波Wは、反射鏡34によって集光され、アノード電極22の外面22dに入射する。このように、図11のグロー放電検出器2では、カソード電極21およびアノード電極22を透過したテラヘルツ波Wを反射鏡34で反射することにより、カソード電極21の周辺に発生しているプラズマ領域Pにテラヘルツ波Wを再び照射することができる。このため、テラヘルツ波Wの検出感度をさらに向上させることが可能となる。
また、図12に示されるように、アノード電極22は、方向Bを回転軸とするリング状の電極であってもよい。この場合、アノード電極22がリング状であるため、テラヘルツ波Wはアノード電極22を無損失で透過できる。このため、テラヘルツ波Wの検出感度をさらに向上させることが可能となる。
また、軸外し放物面鏡31は、アノード電極として構成されてもよい。この場合、アノード電極22が不要となり、グロー放電検出器2の構成を簡易化できる。
[第3実施形態]
図13は、第3実施形態に係るグロー放電検出器の構成を概略的に示す図である。図13に示されるように、第3実施形態のグロー放電検出器2は、カソード電極21およびアノード電極22の形状および配置において、上述した第1実施形態のグロー放電検出器2と相違している。すなわち、第3実施形態のグロー放電検出器2は、同軸型グロー放電検出器である。
第3実施形態のグロー放電検出器2では、カソード電極21は、軸方向Aを中心軸とした中空筒状の電極部21aに、直径φの複数の貫通孔21bが所定の繰り返し周期sで設けられたメタルホールアレイ電極である。この電極部21aは、例えば両端に開口を有する中空の円筒状金属部材である。すなわち、カソード電極21は、第1実施形態のカソード電極21を軸方向Aを中心軸として筒状に巻いたものである。また、アノード電極22は、カソード電極21(電極部21a)の中心軸に沿って、バルブ23の底面23bを貫通して延びる棒状電極である。このカソード電極21およびアノード電極22は、バルブ23内に設けられており、アノード電極22の一端側を囲むようにカソード電極21が配置されている。また、アノード電極22の他端は、抵抗器44の一端に電気的に接続されている。支持部24の一端は、カソード電極21の端部に取り付けられ、支持部24の他端は、抵抗器43の他端に電気的に接続されている。
このように、第3実施形態のグロー放電検出器2およびこれを用いたテラヘルツ波検出装置1によっても、上述した第1実施形態のグロー放電検出器2およびテラヘルツ波検出装置1と同様の効果が奏される。さらに、第3実施形態のグロー放電検出器2を用いたテラヘルツ波検出装置1では、電源41によりカソード電極21およびアノード電極22間に電圧が印加されると、筒状のカソード電極21が放電してカソード電極21の内部にプラズマが発生し、プラズマ領域Pが形成される。このとき、カソード電極21の外面21dと交差する方向からテラヘルツ波Wが入射すると、カソード電極21に応じた周波数のテラヘルツ波Wが選択的に透過して、プラズマ領域Pに入射する。このように、カソード電極21が筒状のメタルホールアレイ電極であるので、カソード電極21の中心軸に交差する方向から入射するテラヘルツ波Wを周波数選択して透過でき、テラヘルツ波Wの検出精度の向上が可能となる。すなわち、バルブ23の側面23cから入射するテラヘルツ波Wの検出精度の向上が可能となるので、テラヘルツ波Wの入射方向を広げることができる。その結果、グロー放電検出器2の配置の自由度を向上することが可能となる。また、アノード電極22は棒状電極であるので、支持部25が不要となり、グロー放電検出器2の構成を簡易化できる。また、放電領域が広がるため、テラヘルツ波Wを効率よく検出することができ、テラヘルツ波Wの検出感度を向上することが可能となる。
なお、カソード電極21を棒状電極とし、アノード電極22を、カソード電極21を中心軸とした筒状のメタルホールアレイ電極としてもよい。この場合、電源41によりカソード電極21およびアノード電極22間に電圧が印加されると、棒状のカソード電極21が放電して、アノード電極22の内部にプラズマ領域Pが形成される。そして、アノード電極22の外面22dと交差する方向からテラヘルツ波Wが入射すると、アノード電極22に応じた周波数のテラヘルツ波Wが選択的に透過して、プラズマ領域Pに入射する。したがって、この構成においても、第3実施形態と同様の効果が奏される。
また、図14に示されるように、カソード電極21は、キャップ状のメタルホールアレイ電極であってもよい。すなわち、図13のカソード電極21の一端側の開口が、閉塞されていてもよい。この場合、プラズマ領域Pが頂面23aによってバルブ23内に閉じ込められるため、テラヘルツ波Wを効率よく検出することができ、テラヘルツ波Wの検出感度を向上することが可能となる。
[第4実施形態]
図15は、第4実施形態に係るグロー放電検出器の構成を概略的に示す図である。図15に示されるように、第4実施形態のグロー放電検出器2は、カソード電極21およびアノード電極22を含む電極構造Eにおいて、上述した第1実施形態のグロー放電検出器2と相違している。すなわち、第4実施形態のグロー放電検出器2は、絶縁スペーサ36をさらに備える。
この第4実施形態のグロー放電検出器2では、アノード電極22は、板状の電極であって、電極部22aには貫通孔22bが設けられていない。絶縁スペーサ36は、ホローカソードを形成するための絶縁性の部材であって、例えばアルミナなどの絶縁性セラミックスなどから構成されている。この絶縁スペーサ36は、カソード電極21とアノード電極22との間に挟まれており、カソード電極21の貫通孔21bの各々に対応する位置に貫通孔36a(放電用貫通孔)が設けられている。すなわち、カソード電極21の貫通孔21bの各々と、その貫通孔21bに対応して設けられた貫通孔36aとが連接されて筒状の放電用穴H(図示せず)をなしている。そして、放電用穴Hの各々は、アノード電極22の内面22cまで達している。バルブ23には、Neなどの放電ガスが密封されており、このバルブ23の内部に、絶縁スペーサ36と、カソード電極21と、アノード電極22とによって構成された電極構造Eが配置されている。
図15の(a)に示されるように、電極構造Eは、バルブ23内において、カソード電極21の外面21dが方向Bと交差するように配置されてもよい。また、図15の(b)に示されるように、電極構造Eは、バルブ23内において、カソード電極21の外面21dが頂面23aに対向するように配置されてもよい。
以上の第4実施形態のグロー放電検出器2およびこれを用いたテラヘルツ波検出装置1によっても、上述した第1実施形態のグロー放電検出器2およびテラヘルツ波検出装置1と同様の効果が奏される。さらに、第4実施形態のグロー放電検出器2を用いたテラヘルツ波検出装置1では、電源41によりカソード電極21およびアノード電極22間に電圧が印加されると、各放電用穴Hにおいてホローカソード放電が生じる。このため、各放電用穴Hにプラズマが発生し、プラズマ領域P(図示せず)が形成される。このとき、カソード電極21の外面21dと交差する方向からテラヘルツ波Wが入射すると、カソード電極21に応じた周波数のテラヘルツ波Wが選択的に透過して、各プラズマ領域Pに入射する。このように、各プラズマ領域Pに周波数選択されたテラヘルツ波Wが入射することにより、放電電流をさらに効率よく増加することができる。その結果、テラヘルツ波検出装置1は、テラヘルツ波Wの検出感度のさらなる向上が可能となる。
[第5実施形態]
図16は、第5実施形態に係るグロー放電検出器の構成を概略的に示す図である。図16に示されるように、第5実施形態のグロー放電検出器2は、カソード電極21およびアノード電極22の形状および配置において、上述した第1実施形態のグロー放電検出器2と相違している。すなわち、第5実施形態のグロー放電検出器2は、ホローカソード型グロー放電検出器である。
第5実施形態のグロー放電検出器2では、カソード電極21は、軸方向Aを中心軸とした中空筒状の電極部21aに所定形状の複数の貫通孔21bが所定の繰り返し周期sで設けられた筒状のメタルホールアレイ電極である。電極部21aは、例えば円筒状である。すなわち、カソード電極21は、第1実施形態のカソード電極21を軸方向Aを中心軸として筒状に巻いたものである。また、アノード電極22は、軸方向Aを中心軸としたリング状の電極である。このカソード電極21の中心軸とアノード電極22の中心軸は同軸であって、バルブ23の内部において、カソード電極21の一端側の開口部に対向するようにアノード電極22が設けられている。このように、カソード電極21およびアノード電極22は、ホローカソード電極構造をなしている。
支持部24の一端は、カソード電極21の他端に取り付けられ、支持部24の他端は、抵抗器43の他端に電気的に接続されている。支持部25は、例えば一対の棒状部材25a,25bからなる。この棒状部材25a,25bの少なくともいずれかは、導電性材料から構成されている。各棒状部材25a,25bの一端はアノード電極22の周縁に設けられ、底面23bを貫通して延びている。また、棒状部材25a,25bのうち導電性材料から構成されている棒状部材の他端は、抵抗器44の一端に電気的に接続されている。
以上の第5実施形態のグロー放電検出器2およびこれを用いたテラヘルツ波検出装置1によっても、上述した第1実施形態のグロー放電検出器2およびテラヘルツ波検出装置1と同様の効果が奏される。さらに、第5実施形態のグロー放電検出器2を用いたテラヘルツ波検出装置1では、電源41によりカソード電極21およびアノード電極22間に電圧が印加されると、筒状のカソード電極21によって囲まれる領域において強く放電する。このため、カソード電極21によって囲まれる領域にプラズマが発生し、プラズマ領域Pが形成される。このとき、カソード電極21の外面21dと交差する方向からテラヘルツ波Wが入射すると、カソード電極21に応じた周波数のテラヘルツ波Wが選択的に透過して、プラズマ領域Pに入射する。このように、カソード電極21が筒状のメタルホールアレイ電極であるので、カソード電極21の中心軸に交差する方向から入射するテラヘルツ波Wを周波数選択して透過でき、テラヘルツ波Wの検出精度の向上が可能となる。このとき、カソード電極21によって囲まれたプラズマ領域Pに周波数選択されたテラヘルツ波Wが入射することにより、テラヘルツ波Wの検出感度のさらなる向上が可能となる。
なお、本発明に係るグロー放電検出器およびテラヘルツ波検出装置は上記第1〜第5実施形態に記載したものに限定されない。例えば、検出対象の電磁波は、テラヘルツ波に限定されず、所望の周波数の電磁波とすることができる。この場合、検出対象の電磁波の周波数に応じて、カソード電極21の貫通孔21bの直径φ、配列の周期sなどが決定される。
また、上記実施形態では、バルブ23は合成石英により構成されているが、検出対象の電磁波の周波数透過特性が高い材料により構成されていればよい。なお、鉛ガラスは、その厚さが1.2mmとした場合、周波数が1THzのテラヘルツ波の透過率が10−4%程度と低いので、テラヘルツ波検出装置のバルブ23の材料としては不適である。また、バルブ23は、検出対象の電磁波が入射する方向に、当該電磁波の周波数透過特性が高い材料により構成された窓を有していればよい。
また、第2実施形態において、カソード電極21およびアノード電極22を含む電極構造は、第1実施形態、第3実施形態〜第5実施形態のいずれのカソード電極21およびアノード電極22の電極構造としてもよい。すなわち、軸外し放物面鏡31は、貫通孔21bの配列方向に交差する方向に沿ってカソード電極21の外面21dにテラヘルツ波Wを出射すればよく、カソード電極21およびアノード電極22の電極構造はいずれかの構造に限定されない。