JP5913366B2 - 化粧用塗布具 - Google Patents

Description

本発明は、化粧用塗布具に係り、特に、アイシャドー、リップグロス等の液状化粧料を塗布する化粧料塗布具に関する。

この種の化粧用塗布具は、その基端部が操作部となる筆軸と、筆軸先端部に取着一体化された塗布部と、から構成されている。係る塗布部は、一般的に、プラスチック等の弾力性ある素材で薄肉平板状に形成され、その基端部に延出形成された嵌合用突起部を、筆軸先端部に嵌合，スナップ留め又は圧着等させることで、筆軸に取着一体化されている。そして、液体化粧料が収容された化粧料容器の口部内周には、ゴム等の可縮性部材で構成されたワイパーが周設されており、化粧料容器から筆軸を抜き出すと、該ワイパーによってしごかれて、筆軸外周に付着した液体化粧料及び塗布部に過剰に付着した液体化粧料は掻き落とされるようになっている（特許文献１、２参照）。

特開２００６−９４８９２号公報（段落番号０００８〜００１３図１〜図３） 特開２００６−３４６４６９号公報（図１、図４、図５、図１１〜図１３等）

しかし、前記した従来の化粧用塗布具では、筆軸を化粧料容器から抜き出した時に塗布部に保持されている液体化粧料の量は、肉平板状の塗布部に付着した量、即ち塗布部両面の表面積が寄与する一定量に限られていた。言い換えると、一回の筆軸の出し入れで、塗布部両面で保持される以上の液体化粧料を化粧料容器から持ち出してしてくることはできないという問題があった。このことは、たっぷりと液体化粧料を塗布して艶感ある仕上がりを望むユーザには、筆軸の出し入れを何回も行わなければならないことから、メイク時の煩いとなっていた。

本発明は、前記従来技術の問題点に基づいて為されたもので、その目的は、塗布部の液体化粧料保持量を向上させて使い勝手の良い化粧料塗布具を提供することであり、さらには、従来とは逆にワイパーを通過させると、塗布部の液体化粧量保持量が増える新規な機構を備える化粧料塗布具を提供することにある。

前記目的を達成するために、請求項１に係る化粧用塗布具では、基端部を操作部とする筆軸と、前記筆軸先端部に取着一体化された平板状の塗布部と、から構成され、前記塗布部の少なくとも一方の面の根元部には、前記塗布部を周方向に覆い、先端側が開口する中空部が設けられたことを特徴とする。

請求項２においては、請求項１に記載の化粧用塗布具において、前記中空部の塗布部幅方向中央部には、前記塗布部側へ窪む谷部が形成されていることを特徴とする。

請求項３においては、請求項１又は２に記載の化粧用塗布具において、前記中空部は、中空部基端部側から中空部先端部側に向けて徐々に広がるテーパー形状であることを特徴とする。

請求項１に係る発明によれば、本願化粧用塗布具の筆軸を化粧料容器から抜き出すと、化粧料容器口部に周設されているワイパーを通過する過程で、塗布部の根元に設けた中空部がつぶれ、中空部に溜まっていた液体化粧料が押し出される。即ち、一回の筆軸出し入れで、平板状の塗布部両面で保持できる液体化粧料に加えて、中空部に保持された液体化粧料分も、化粧料容器から持ち出してしてくることが出来る。これにより、筆軸の出し入れを何回も行わなくとも、数回分相当の液体化粧料が塗布部にのるので、たっぷりと液体化粧料を塗布した艶感ある仕上がりが短時間で実現できるようになり、ユーザにとって非常に使い勝手の良い化粧料塗布具を提供できる。

また、塗布部の根元に中空部を設けることで、筆軸外周に付着した液体化粧料及び塗布部に過剰に付着した液体化粧料を掻き落すために設けられているワイパーを、従来とは逆の発想で、塗布部の液体化粧量保持量が増えるように利用することができ、既存のワイパーに新たな機能を付加する新規な機構を備えた化粧料塗布具となっている。

請求項２に係る発明によれば、中空部の中央に谷部を形成することで、ワイパー通過時に中空部がたわみ、つぶれやすくなるため、中空部に保持された液体化粧料がより効果的に押し出される。また、谷部（の表面）も液体化粧料を保持できる空間となるので、中空部外周も塗布部の一部を担うことができ、塗布部の表面積が従来より減ることも無い。

請求項３に係る発明によれば、中空部を先広がりにテーパーさせたことで、筆軸を化粧料容器から引き抜く際に、中空部がワイパーにひっかかることなく、筆軸をスムーズに引き抜くことができる。

第１の実施例に係る化粧用塗布具を化粧料容器に装着した状態の縦断面図。 同化粧用塗布具を化粧料容器から引き出した状態の正面図。 同化粧用塗布具の斜視図。 同化粧用塗布具の左側面図。 第２の実施例に係る化粧用塗布具の斜視図。 同化粧用塗布具の左側面図。 第３の実施例に係る化粧用塗布具の左側面図。

次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明する。

（第１の実施例）
図１〜図４は、本願発明の第１の実施例に係るリップブラシ２０Ａであって、図１は第１の実施例に係る化粧用塗布具を化粧料容器に装着した状態の縦断面図、図２は同化粧用塗布具を化粧料容器から引き出した状態の正面図、図３は同化粧用塗布具の斜視図、図４は同化粧用塗布具の左側面図である。

図１に示すように、化粧用塗布具であるリップブラシ２０Ａを挿着する化粧料容器１０は、全体に有底円筒形状であり、上方開口し、中には液体化粧料であるグロス液１２が収容されている。化粧料容器１０の口部１４の内周には、リップブラシ２０Ａの筆軸２２を抜き出す際に、筆軸２２の外周に付着したグロス液１２及び塗布部３０に過剰に付着した（掻き部１６ａ内径以上に過剰に付着した）グロス液１２をしごくための掻き部１６ａを備えるゴム等の可縮性部材で構成されたワイパー１６が嵌着されている。

リップブラシ２０Ａは、その基端部に化粧料容器１０の口部１４に螺合挿着できるキャップ２３を備える筆軸２２と、筆軸２２の先端部に同軸上に取着一体化された薄肉平板状の塗布部３０と、からなる。筆軸２２のキャップ２３は、グロス液１２を塗布する際の操作部を兼ねる。塗布部３０の基端部からは嵌合用突起部３１が延出形成されており、塗布部３０は、該嵌合用突起部３１を、筆軸２２の先端部に形成された嵌合孔２２ａに挿入し圧着することで筆軸２２に取着一体化されている。塗布部３０は、一例としてＴＰＵ，ＴＰＥ等の弾力性あるプラスチック材によって形成されており、さらに、塗布部３０の両面の根元部３０ａには、塗布部３０を周方向に（塗布部幅方向に）覆い、先端側が開口する中空部３２が一体成形されている。中空部３２は、中空部基端部側から中空部先端部側に向けて徐々に径が広がるテーパー形状に形成されており、塗布部根元部３０ａから塗布部３０の長手方向半領域を囲うように、左側面視楕円形状に延出する中空体として設けられている。

リップブラシ２０Ａの筆軸２２を化粧料容器１０に挿入すると、化粧料容器１０内のグロス液１２が塗布部３０及び筆軸２２に付着するとともに、塗布部３０・中空部３２間の空間Ｓ１にグロス液１２が侵入する。

次に、リップブラシ２０Ａの筆軸２２を化粧料容器１０から抜き出すと、ワイパー１６の掻き部１６ａの内周面は略同径のまま筆軸２２に密着し、筆軸２２の外周に付着したグロス液１２が掻き落される。次に塗布部根元部３０ａ、即ち中空部３２がワイパーを通過する過程では、掻き部１６ａの内周面がその可撓性によって中空部３２をつぶすように作用して、中空部３２が押圧され、空間Ｓ１に溜まっていたグロス液１２が徐々に塗布部３０上に押し出されて、塗布部３０にのる。よって、塗布部３０には、もともと塗布部３０に表面張力により保持されているグロス液１２に加え、空間Ｓ１から供給されたグロス液１２が保持される。次に、塗布部３０がワイパー１６を通過する過程では、平板状ゆえに掻き部１６ａのしごき作用は略受けず、塗布部３０にのったグロス液１２は掻き落されることなく保持される。

本実施例によれば、筆軸２２を一回出し入れするだけで、平板状の塗布部３０の両面で保持できるグロス液１２に加えて、中空部３２の空間Ｓ１に保持されたグロス液１２分も、化粧料容器１０から持ち出してしてくることが出来る。これにより、筆軸２２の出し入れを何回も行わなくとも、数回分相当のグロス液１２が塗布部３０にのるので、たっぷりとグロス液１２を塗布した艶感ある仕上がりが短時間で実現できるため、ユーザにとって使い勝手が良い。

また、塗布部３０の根元部３０ａに中空部３２を設けることで、筆軸２２の外周に付着したグロス液１２及び塗布部３０に過剰に付着したグロス液１２を掻き落すために設けられているワイパー１６を、塗布部３０のグロス液１２の保持量が増えるように利用することができ、既存のワイパーに新たな機能を付加する新規な機構を備えた化粧料塗布具となっている。

また、筆軸２２を化粧料容器１０から引き抜く際、中空部３２を先広がりにテーパーさせたことで、中空部３２がワイパー１６にひっかかることなく、筆軸２２はスムーズに引き抜くことができる。

（第２の実施例）
図５及び図６は、本発明の第２の実施例に係るリップブラシ２０Bを示し、図５は第２の実施例に係る化粧用塗布具の斜視図、図６は同化粧用塗布具の左側面図である。

リップブラシ２０Ｂは、塗布部３０の根元部に形成される中空部３２を形状変更したものであり、他の構成は第１の実施例と同様である。

リップブラシ２０Ｂでは、中空部３２の塗布部幅方向中央部に、塗布部３０側（内側）へ窪む谷部３３が形成されて、中空部３２は左側面視中空８の字形状（図６）の中空体として一体成形されている。

本実施例によれば、筆軸２２を一回出し入れするだけで、平板状の塗布部３０の両面で保持できるグロス液１２に加えて、中空部３２の空間Ｓ１に保持されたグロス液１２分も、化粧料容器１０から持ち出してしてくることが出来る。そしてさらに、中空部３２の中央に谷部３３を形成したことで、ワイパー１６（の掻き部１６ａ）を通過時に中空部３２がたわんでつぶれやすくなるため、中空部３２の空間Ｓ１に保持されたグロス液１２は効果的に押し出され、空間Ｓ１に保持されたグロス液１２は略全て塗布部３０上に吐出され、即ち空間Ｓ１に保持されたグロス液１２全量が効果的に塗布部３０にのる。よって、筆軸２２の出し入れを何回も行わなくとも、実施例１よりも多量のグロス液１２が塗布部３０にのるので、たっぷりとグロス液１２を塗布した艶感ある仕上がりがより短時間で実現できるため、ユーザにとって非常に使い勝手が良い。

また、谷部３３（の表面）の窪みとなる空間Ｓ２にもグロス液１２が保持されるので、中空部３２の外周部３２ａも塗布部となる。即ち、リップブラシ２０Ｂは塗布部３０の根元側半領域が中空部３２に覆われるが、このことで塗布部３０の表面積が従来より減るということが無い。

（第３の実施例）
図７は、本発明の第３の実施例に係るリップブラシ２０Ｃを示し、図７は第３の実施例に係る化粧用塗布具の左側面図である。

リップブラシ２０Ｃは、塗布部３０の根元部に形成される中空部３２を塗布部３０の一方の面３０ｂにのみ一体成形したことの他は、第２の実施例と同様である。

本実施例によれば、塗布部の一方の面３０ｂでは、筆軸２２を一回出し入れするだけで、一方の面３０ｂで保持できるグロス液１２に加えて、中空部３２の空間Ｓ１に保持されたグロス液１２分も、化粧料容器１０から持ち出してしてくることが出来るので、たっぷりとグロス液１２を塗布した艶感ある仕上がりが短時間で実現できる。塗布部の他方の面３０ｃでは、その平滑面をもってグロス液１２をのばすように塗布することができるので、艶感がアップするように仕上げ作業を行うことができる。即ち、ユーザは１本のリップブラシ２０Ｃで、多様な使用感を得ることができる。

なお、実施例１〜３において、塗布部３０及び中空部３２に静電植毛を施して、液体化粧料保持量がさらに向上するように加工してもよい。また、塗布部３０の一方の面３０ｂ側のみ植毛し、他方の面３０ｃ側は植毛のない平滑面として、より多様な使用感が得られる化粧料塗布具としても当然に良い。

なお、ワイパー１６の掻き部１６ａに、周方向数箇所〜複数箇所に切り込みを入れることで、中空部３２の出し入れがよりスムーズとなるように構成しても良い。

実施例１〜３では、本願発明である化粧料塗布具をリップブラシとして説明したが、アイシャドー等他の液体化粧料のための化粧料塗布具としても同様に適用できる。

１０ 化粧用容器
１２ 液体化粧料であるグロス液
１６ ワイパー
１６ａ ワイパーの掻き部
２０Ａ 第１実施例に係るリップブラシ
２０Ｂ 第２実施例に係るリップブラシ
２０Ｃ 第３実施例に係るリップブラシ
２２ 筆軸
２３ キャップ（操作部）
３０ 塗布部
３０ａ 根元部
３２ 中空部
３３ 谷部
Ｓ１ 塗布部・中空部間の空間
Ｓ２ 谷部表面の空間

Claims (2)

1. 基端部を操作部とする筆軸と、前記筆軸先端部に取着一体化された平板状の塗布部と、から構成され、
   前記塗布部の少なくとも一方の面の根元部には、前記塗布部を周方向に覆い、先端側が開口する中空部が設けられ、
   前記中空部の塗布部幅方向中央部には、前記塗布部側へ窪む谷部が形成されていることを特徴とする化粧用塗布具。
2. 前記中空部は、中空部基端部側から中空部先端部側に向けて徐々に広がるテーパー形状であることを特徴とする請求項２に記載の化粧用塗布具。

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