ところが、上記した移動経路作成機能を備えた回路基板検査装置には、改善すべき以下の課題がある。すなわち、この回路基板検査装置では、区画領域毎に特定した各移動経路を連結することで、回路基板全体についての移動経路の短時間での作成が可能となっている。しかしながら、例えば、隣接する2つの区画領域の一方についての移動経路の終点と、その2つの区画領域の他方についての移動経路の始点とが離れているときには、両移動経路を連結したときに、一方の区画領域の終点から他方の区画領域の始点までの距離が長くなる。したがって、このような箇所が数多く存在するときには、回路基板全体としての移動経路も長くなって検査効率の向上が困難となるおそれがある。
本発明は、かかる改善すべき課題に鑑みてなされたものであり、検査効率の向上が可能なプローブの移動経路を短時間で作成し得る移動経路作成装置、検査装置および移動経路作成方法を提供することを主目的とする。
上記目的を達成すべく請求項1記載の移動経路作成装置は、プロービング対象体の表面に平行な平面に沿ってプローブを移動させて当該表面に設けられている複数のプロービングポイントに当該プローブを順次プロービングさせるための当該プローブの移動経路を作成する処理部を備え、前記処理部は、前記表面が枡目状に区画された複数の第1領域の各々に含まれる全ての前記プロービングポイントを1回ずつ経由する前記移動経路を特定する特定処理を当該第1領域毎に実行して当該第1領域毎の各移動経路を当該各第1領域について規定された連結順序で連結して前記プロービング対象体についての全体の前記移動経路を作成する移動経路作成装置であって、前記連結順序は、当該連結順序における順位が連続する前記各第1領域同士が上下方向および左右方向のいずれかの方向に隣接するように規定され、前記処理部は、前記各第1領域が4つの第2領域にそれぞれ枡目状に区画されると共に前記プローブの初期位置に最も近い前記第1領域の前記連結順序を1番目として、当該1番目の第1領域についての前記特定処理において、当該第1領域における前記4つの第2領域のうちの前記初期位置に最も近い1つの前記第2領域に含まれるいずれか1つの前記プロービングポイントを始点として規定すると共に当該第2領域の対角に位置する他の1つの前記第2領域に含まれるいずれか1つの前記プロービングポイントを終点として規定して当該始点から当該終点までの前記移動経路を特定し、前記連結順序が2番目以降の前記各第1領域についての前記特定処理において、当該各第1領域における前記4つの第2領域のうちの前記連結順序が直近上位の前記第1領域における前記終点に最も近い1つの前記第2領域に含まれるいずれか1つの前記プロービングポイントを始点として規定すると共に当該第2領域の対角に位置する他の1つの前記第2領域に含まれるいずれか1つの前記プロービングポイントを終点として規定して当該始点から当該終点までの前記移動経路をそれぞれ特定し、前記連結順序に従い、前記各第1領域の前記終点と、前記連結順序が直近下位の前記第1領域の前記始点とを連結して前記全体の移動経路を作成する。
また、請求項2記載の移動経路作成装置は、請求項1記載の移動経路作成装置において、前記処理部は、前記連結順序が1番目の第1領域における前記1つの第2領域に含まれる前記プロービングポイントのうちの前記初期位置に最も近いプロービングポイントを前記始点として規定する。
また、請求項3記載の移動経路作成装置は、請求項1または2記載の移動経路作成装置において、前記処理部は、前記連結順序が1番目の第1領域における前記他の1つの第2領域に含まれる前記プロービングポイントのうちの前記初期位置から最も遠いプロービングポイントを前記終点として規定する。
また、請求項4記載の移動経路作成装置は、請求項1から3のいずれかに記載の移動経路作成装置において、前記処理部は、前記連結順序が2番目以降の前記第1領域における前記1つの第2領域に含まれる前記プロービングポイントのうちの前記連結順序が直近上位の前記第1領域における前記終点に最も近いプロービングポイントを前記始点として規定する。
また、請求項5記載の移動経路作成装置は、請求項1から4のいずれかに記載の移動経路作成装置において、前記処理部は、前記連結順序が2番目以降の前記第1領域における前記他の1つの第2領域に含まれる前記プロービングポイントのうちの前記連結順序が直近上位の前記第1領域における前記終点から最も遠いプロービングポイントを前記終点として規定する。
また、請求項6記載の移動経路作成装置は、請求項1から5のいずれかに記載の移動経路作成装置において、前記処理部は、前記特定処理に先立ち、前記各第1領域を前記4つの第2領域にそれぞれ区画する。
また、請求項7記載の移動経路作成装置は、請求項1から6のいずれかに記載の移動経路作成装置において、前記処理部は、前記特定処理に先立ち、前記表面を前記複数の第1領域に区画する。
また、請求項8記載の移動経路作成装置は、請求項7記載の移動経路作成装置において、前記処理部は、前記各第1領域の配列方向おける縦方向および横方向の少なくとも1つの方向に沿って前記第1領域が奇数個並ぶように前記表面を区画し、前記第1領域が奇数個並ぶ1つの方向に並んだ前記各第1領域の前記連結順序における順位が連続するように当該連結順序を規定する。
また、請求項9記載の検査装置は、請求項1から8のいずれかに記載の移動経路作成装置と、前記プローブを移動させて前記プロービング対象体に対するプロービングを行う移動機構と、当該移動機構を制御する制御部と、前記プローブを介して入力した電気信号に基づいて前記プロービング対象体を検査する検査部とを備え、前記制御部は、前記移動経路作成装置によって作成された前記移動経路に沿って前記プローブを移動させる。
また、請求項10記載の移動経路作成方法は、プロービング対象体の表面に平行な平面に沿ってプローブを移動させて当該表面に設けられている複数のプロービングポイントに当該プローブを順次プロービングさせるための当該プローブの移動経路を作成する際に、前記表面を枡目状に区画した複数の第1領域の各々に含まれる全ての前記プロービングポイントを1回ずつ経由する前記移動経路を特定する特定処理を当該第1領域毎に実行して当該第1領域毎の各移動経路を当該各第1領域について規定された連結順序で連結して前記プロービング対象体についての全体の前記移動経路を作成する移動経路作成方法であって、前記連結順序における順位が連続する前記各第1領域同士が上下方向および左右方向のいずれかの方向に隣接するように当該連結順序を規定し、前記各第1領域を4つの第2領域にそれぞれ枡目状に区画すると共に前記プローブの初期位置に最も近い前記第1領域の前記連結順序を1番目として、当該1番目の第1領域についての前記特定処理において、当該第1領域における前記4つの第2領域のうちの前記初期位置に最も近い1つの前記第2領域に含まれるいずれか1つの前記プロービングポイントを始点として規定すると共に当該第2領域の対角に位置する他の1つの前記第2領域に含まれるいずれか1つの前記プロービングポイントを終点として規定して当該始点から当該終点までの前記移動経路を特定し、前記連結順序が2番目以降の前記各第1領域についての前記特定処理において、当該各第1領域における前記4つの第2領域のうちの前記連結順序が直近上位の前記第1領域における前記終点に最も近い1つの前記第2領域に含まれるいずれか1つの前記プロービングポイントを始点として規定すると共に当該第2領域の対角に位置する他の1つの前記第2領域に含まれるいずれか1つの前記プロービングポイントを終点として規定して当該始点から当該終点までの前記移動経路をそれぞれ特定し、前記連結順序に従い、前記各第1領域の前記終点と、前記連結順序が直近下位の前記第1領域の前記始点とを連結して前記全体の移動経路を作成する。
請求項1記載の移動経路作成装置、請求項9記載の検査装置、および請求項10記載の移動経路作成方法では、連結順序が2番目以降の各第1領域についての特定処理において、各4つの第2領域のうちの連結順序が直近上位の第1領域における終点に最も近い1つの第2領域に含まれる1つのプロービングポイントを始点として規定すると共にその第2領域の対角に位置する他の1つの第2領域に含まれる1つのプロービングポイントを終点として規定して始点から終点までの移動経路を特定する。この場合、各第1領域についての移動経路の始点および終点についての規定を設けていない構成では、1つの第1領域についての移動経路の終点とこの第1領域に隣接する他の第1領域についての移動経路の始点とが離間して、終点から次の始点までの距離が長くなることがある。これに対して、この移動経路作成装置、検査装置および移動経路作成方法では、上記のように始点および終点を規定することで、終点から次の始点までの距離を十分に短くすることができる。このため、この移動経路作成装置、検査装置および移動経路作成方法によれば、プローブの無駄な移動を十分に少なく抑えることができる。また、この移動経路作成装置、検査装置および移動経路作成方法では、回路基板の表面を複数に区画した第1領域毎に移動経路を特定して各移動経路を連結してプロービング対象体の全体としての移動経路を作成する。このため、区画を行うことなく全体としての移動経路を直接作成する構成と比較して、全体としての移動経路の作成時間を十分に短縮することができる。したがって、この移動経路作成装置、検査装置および移動経路作成方法によれば、プローブをプロービングさせてプロービング対象体を検査する際の検査効率を十分に向上させることが可能なプローブの移動経路を短時間で作成することができる。
また、請求項2記載の移動経路作成装置、および請求項9記載の検査装置によれば、プローブの初期位置に最も近いプロービングポイントを連結順序が1番目の第1領域における始点として規定することにより、初期位置から最初にプロービングを行うプロービングポイントまでの距離を十分に短くすることができるため、検査効率をさらに向上させることが可能な移動経路を作成することができる。
また、請求項3記載の移動経路作成装置、および請求項9記載の検査装置によれば、初期位置から最も遠いプロービングポイントを連結順序が1番目の第1領域における終点として規定することにより、連結順序が1番目の第1領域における終点と連結順序が2番目の第1領域における始点との間の距離を十分に短くすることができるため、検査効率をさらに向上させることが可能な移動経路を作成することができる。
また、請求項4記載の移動経路作成装置、および請求項9記載の検査装置によれば、連結順序が直近上位の第1領域における終点に最も近いプロービングポイントを次の第1領域の始点として規定することにより、連結順序が直近上位の第1領域における終点と次の第1領域の始点との間の距離をさらに短くすることができるため、検査効率をさらに向上させることが可能な移動経路を作成することができる。
また、請求項5記載の移動経路作成装置、および請求項9記載の検査装置によれば、連結順序が直近上位の第1領域における終点から最も遠いプロービングポイントを次の第1領域の終点として規定することにより、次の第1領域の終点と、さらに次の第1領域の始点との間の距離を十分に短くすることができるため、検査効率をさらに向上させることが可能な移動経路を作成することができる。
また、請求項6記載の移動経路作成装置、および請求項9記載の検査装置によれば、処理部が各第1領域を4つの第2領域にそれぞれ区画することにより、第2領域に区画する作業を手動で行う構成と比較して、移動経路をさらに短時間でかつ容易に作成することができる。
また、請求項7記載の移動経路作成装置、および請求項9記載の検査装置によれば、処理部がプロービング対象体の表面を複数の第1領域に区画することにより、第1領域に区画する作業を手動で行う構成と比較して、移動経路をさらに短時間でかつ容易に作成することができる。
また、請求項8記載の移動経路作成装置、および請求項9記載の検査装置によれば、各第1領域の配列方向おける縦方向および横方向の少なくとも1つの方向に沿って第1領域が奇数個並ぶようにプロービング対象体の表面を区画すると共に、第1領域が奇数個並ぶ1つの方向に並んだ各第1領域の連結順序における順位が連続するように連結順序を規定することにより、連結順序が直近上位の第1領域の終点が含まれる第2領域と、次の第1領域における各第2領域のうちの直近上位の終点に最も近い第2領域とを常に隣接させることができる、このため、この移動経路作成装置および検査装置によれば、直近上位の終点と次の始点との間の距離を常に短くすることができる結果、検査効率を一層向上させることが可能な移動経路を作成することができる。
以下、移動経路作成装置、検査装置および移動経路作成方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
最初に、基板検査装置1の構成について説明する。図1に示す基板検査装置1は、検査装置の一例であって、同図に示すように、固定台2、移動機構3、測定部4、記憶部5および制御部6を備えて、プロービング対象体としての回路基板100の良否を検査可能に構成されている。この場合、回路基板100の表面(同図における上面)には、複数の導体パターン(図示せず)が形成されている。また、図4に示すように、各導体パターンには、検査の際にプローブ31をプロービングさせるべきプロービングポイントPが設けられている。なお、記憶部5および制御部6によって移動経路作成装置が構成される。
固定台2は、図1に示すように、上部に配設された板状の電極2aを備えて構成されている。この場合、この電極2aには、吸気口(図示せず)が形成されて、この吸気口からの吸気によって電極2aの上に載置された回路基板100を固定することが可能となっている。
移動機構3は、制御部6の制御に従い、固定台2の電極2a(つまり、電極2aに載置された回路基板100の表面)に平行な平面に沿った方向、および電極2aに垂直な方向(上下方向)にプローブ31を移動させて、固定台2に固定されている回路基板100の各プロービングポイントPにプローブ31をプロービングさせる。
測定部4は、プローブ31がプロービングさせられている回路基板100のプロービングポイントP、および固定台2の電極2aの間に測定用信号を供給すると共に、その測定用信号の供給によって生じる信号を検出して、その信号(検出信号)に基づいてプローブ31がプロービングさせられている回路基板100のプロービングポイントPと固定台2の電極2aとの間の静電容量を測定する。
記憶部5は、測定部4によって測定された静電容量の測定値、および制御部6によって実行される検査処理において用いられる基準データを記憶する。また、記憶部5は、制御部6によって作成される後述する移動経路Rを示す移動経路データDrを記憶する。また、記憶部5は、移動経路Rの作成に用いられる基板データDbを記憶する。この場合、基板データDbには、一例として、プロービングポイントPが設けられている回路基板100の表面の形状や大きさを示す情報、および各プロービングポイントPの位置を示す情報が含まれている。
制御部6は、移動機構3および測定部4を制御する。また、制御部6は、測定部4と共に検査部として機能し、測定部4によって測定される静電容量の測定値と予め決められた基準範囲とを比較して、回路基板100の良否を検査する検査処理を実行する。また、制御部6は、処理部として機能し、回路基板100に設けられている全てのプロービングポイントPにプローブ31を順次プロービングさせる際のプローブ31の移動経路R(以下、回路基板100の全体としての移動経路Rを「移動経路Rw」ともいう)を作成する移動経路作成処理を実行する。
この場合、制御部6は、この移動経路作成処理において、回路基板100の表面を複数(例えば、12個)の矩形の第1領域A1〜A12(図2参照:以下、区別しないときには「第1領域A」ともいう)に枡目状に区画(仮想的に区画)する。また、制御部6は、この移動経路作成処理において、各第1領域Aの各々に含まれる全てのプロービングポイントPを1回ずつ経由する移動経路Rを特定する特定処理を第1領域A毎に実行し(以下の説明において、1つの第1領域Aについての移動経路Rを「移動経路Ra」ともいう)、第1領域A毎の各移動経路Raを連結して(各移動経路Raにおける後述する終点Peと次の移動経路Raにおける後述する始点Psとを繋いで)移動経路Rwを作成する。
次に、基板検査装置1を用いて回路基板100を検査する方法について、図面を参照して説明する。
この基板検査装置1では、プローブ31をプロービングさせるべきプロービングポイントPが数多く設けられている回路基板100の検査を行う際の検査効率を向上させるために、プローブ31を効率的に移動させる(無駄な動きが少ない)移動経路Rを作成する機能を備えている。具体的には、この基板検査装置1では、図外の操作部に対して移動経路Rの作成指示がされたときに、制御部6が移動経路作成処理を実行する。
この移動経路作成処理では、制御部6は、記憶部5から基板データDb読み出す。次いで、制御部6は、基板データDbに基づいて回路基板100の表面の形状や大きさを特定する。続いて、制御部6は、図2に示すように、回路基板100の表面を複数(例えば、12個)の矩形の第1領域A1〜A12に枡目状に区画(仮想的に区画)する。この場合、制御部6は、一例として、第1領域A1〜A12を同じ形状でかつ同じ大きさに区画する。また、制御部6は、一例として、枡目における縦方向(縦方向および横方向の少なくとも1つの方向の一例)に沿って第1領域Aが奇数個(この例では、3個)並び、枡目における横方向に沿って第1領域Aが偶数個(この例では、4個)並ぶように区画する。
次いで、制御部6は、第1領域A毎の各移動経路Raを連結して移動経路Rwを作成する際の連結順序を各第1領域Aについて規定する。この場合、制御部6は、プローブの初期位置L(図2参照)に最も近い第1領域A(この例では、同図に示す第1領域A1)を連結順序の1番目に規定すると共に、連結順序における順位が連続する各第1領域A同士(つまり連結順序が前後する各第1領域A同士)が隣接し、かつ各第1領域Aの配列方向における縦方向(第1領域Aが奇数個並ぶ方向)に並んだ各第1領域Aの順序が連続するようにこの連結順序を規定する。一例として、制御部6は、同図に矢印で示すように、各第1領域Aに付した符号(「A1〜A12」の符号)の昇順を連結順序として規定する。また、制御部6は、この連結順序に従って(つまり、第1領域A1〜A12の各符号の昇順に従って)各第1領域Aを処理対象とする特定処理(各第1領域Aについての特定処理)を順次実行する。
続いて、制御部6は、図3に示すように、各第1領域Aを4つの第2領域Ba〜Bd(以下、区別しないときには「第2領域B」ともいう)にそれぞれ枡目状に区画する。この場合、制御部6は、各第2領域Bを同じ形状でかつ同じ大きさに区画する。
次いで、制御部6は、1回目の特定処理(連結順序が1番目の第1領域Aを処理対象とする特定処理)を実行する。この1回目の特定処理では、制御部6は、処理対象の第1領域A1における4つの矩形の第2領域B(図4に示す第2領域Ba1〜Bd1)のうちの初期位置Lに最も近い1つの第2領域B(この例では、第2領域Ba1)に含まれるいずれか1つのプロービングポイントPを移動経路Raの始点(以下、「始点Ps」ともいう)として規定する。この場合、制御部6は、同図に示すように、第2領域Ba1に含まれる各プロービングポイントPのうちの、初期位置Lに最も近いプロービングポイントPを始点Psとして規定する。
続いて、制御部6は、第2領域Ba1の対角に位置する他の1つの第2領域B(図4に示す第2領域Bc1)に含まれるいずれか1つのプロービングポイントPを移動経路Raの終点(以下、「終点Pe」ともいう)として規定する。この場合、制御部6は、同図に示すように、第2領域Bc1に含まれる各プロービングポイントPのうちの、初期位置Lから最も遠いプロービングポイントPを終点Peとして規定する。
次いで、制御部6は、始点Psから終点Peに至る第1領域A1に含まれる全てのプロービングポイントPを1回ずつ経由する移動経路Raを特定する。この場合、制御部6は、一例として、次のような手法(アルゴリズム)で移動経路Raを特定する。
この手法では、第1領域A1に含まれる各プロービングポイントPに対してプローブ31を移動させる順番となる番号を付番する。まず、始点Psに対して「1」を付番する。続いて、始点Psおよび終点Peを除く第1領域A1内の他のプロービングポイントP(以下、単に「他のプロービングポイントP」ともいう)の中から、始点Psに最も近いプロービングポイントP(図4に示すプロービングポイントP2)を特定して、「2」を付番する。次いで、プロービングポイントP2をさらに除いた他のプロービングポイントPの中から、プロービングポイントP2に最も近いプロービングポイントP(同図に示すプロービングポイントP3)を特定して、「3」を付番する。
続いて、プロービングポイントP2,P3をさらに除いた他のプロービングポイントPの中から、プロービングポイントP3に最も近いプロービングポイントP(図4に示すプロービングポイントP4)を特定して、「4」を付番する。以下、同様にして、他のプロービングポイントPに対して1ずつ大きな番号を順番に付番し、最後に、終点Peに対して付番する。次いで、このようにして付番した各プロービングポイントPを、付番した番号順に並べて移動経路Raとする。以上により、移動経路Raの特定が終了する。続いて、制御部6は、特定した移動経路Raを示す移動経路データDrを生成して記憶部5に記憶させる。
次いで、制御部6は、2回目の特定処理(連結順序が2番目の第1領域A2を処理対象とする特定処理)を実行する。この2回目の特定処理では、制御部6は、処理対象の第1領域A2における4つの矩形の第2領域B(図4に示す第2領域Ba2〜Bd2)のうちの、連結順序が直近上位の第1領域A1における終点Peに最も近い1つの第2領域B(この例では、第2領域Bd2)に含まれるいずれか1つのプロービングポイントPを第1領域A2における始点Psとして規定する。この場合、制御部6は、同図に示すように、第2領域Bd2に含まれる各プロービングポイントPのうちの、第1領域A1における終点Peに最も近いプロービングポイントPを始点Psとして規定する。
次いで、制御部6は、第2領域Bd2の対角に位置する他の1つの第2領域B(図4に示す第2領域Bb2)に含まれるいずれか1つのプロービングポイントPを移動経路Raの終点Peとしてとして規定する。この場合、制御部6は、同図に示すように、第2領域Bb2に含まれる各プロービングポイントPのうちの、第1領域A1における終点Peから最も遠いプロービングポイントPを第1領域A2における終点Peとして規定する。
続いて、制御部6は、始点Psから終点Peに至る第1領域A2に含まれる全てのプロービングポイントPを経由する移動経路Raを上記した手法で特定すると共に、移動経路Raを示す移動経路データDrを生成して記憶部5に記憶させる。
次いで、制御部6は、2回目の特定処理と同様にして、各第1領域A3〜A12を処理対象として特定処理を実行し、各第1領域A3〜A12についての移動経路Raを特定して、各移動経路Raを示す移動経路データDrを記憶部5に記憶させる。
続いて、制御部6は、図3に矢印で概念的に示すように、各移動経路Raを連結順序に従って連結して回路基板100の全体としての移動経路Rwを作成する。具体的には、制御部6は、記憶部5に記憶されている移動経路データDrに基づいて各移動経路Raを特定する。なお、同図において矢印に付した「No.」は、連結順序を表している。次いで、制御部6は、図5に示すように、各第1領域Aにおける終点Peと、連結順序が直近下位の各第1領域Aにおける始点Psとを繋ぐ(結ぶ)ことによって各移動経路Raを連結する。これにより、同図に示すように、移動経路Rwが作成される。次いで、制御部6は、移動経路Rwを示す移動経路データDrを生成して記憶部5に記憶させる。以上により、移動経路Rwの作成が終了する。
この基板検査装置1では、上記のように各第1領域Aにおける始点Psおよび終点Peを規定することで、移動経路Raの終点Peから次の移動経路Raの始点Psまでの距離を十分に短くすることができるため、各移動経路Raを連結した移動経路Rwの長さを十分に短縮することが可能となっている。
次に、回路基板100に対する検査を開始させる際には、操作部に対して検査の開始を指示する。これに応じて、制御部6は、検査処理を開始する。
この検査処理では、制御部6は、記憶部5から移動経路データDrを読み出す。続いて、制御部6は、移動経路データDrに基づいて最初のプロービングポイントP(最初にプロービングさせるべきプロービングポイントP)を特定する。次いで、制御部6は、移動機構3を制御して最初のプロービングポイントP(この例では、第1領域A1の始点Psとして規定したプロービングポイントP(図4参照))にプローブ31をプロービングさせる。
続いて、制御部6は、測定部4を制御して測定処理を実行させる。この測定処理では、測定部4は、プローブ31および電極2aに供給した電気信号、およびその電気信号の供給によって発生する電気信号を検出して両電気信号に基づいてプローブ31がプロービングさせられているプロービングポイントPと電極2aとの間の静電容量を測定する。次いで、制御部6は、基準データを記憶部5から読み出し、続いて、測定部4によって測定された静電容量と基準データによって特定される基準範囲とを比較する。この場合、制御部6は、一例として、測定値が基準範囲内のときには、そのプロービングポイントPにおいて欠陥が無いと判別する。一方、測定値が基準範囲(基準範囲の下限値)よりも小さいときには、プロービングポイントPが設けられている導体パターンに断線が生じている可能性がある。また、測定値が基準範囲(基準範囲の上限値)よりも大きいときには、プロービングポイントPが設けられている導体パターンと他の導体パターンとが短絡している可能性がある。このため、これらのとき(測定値が基準範囲外のとき)には制御部6は、そのプロービングポイントPにおいて欠陥があると判別する。
次いで、制御部6は、移動経路データDrに基づいて次のプロービングポイントPを特定し、続いて、移動機構3を制御して、そのプロービングポイントPにプローブ31をプロービングさせる。次いで、制御部6は、測定部4を制御して測定処理を実行させると共に、測定部4によって測定された静電容量の測定値と基準値とを比較してそのプロービングポイントPにおける欠陥の有無を判別する。以下、制御部6は、移動機構3を制御して、移動経路データDrによって特定される新たなプロービングポイントPにプローブ31を順次移動させ(つまり、移動経路Rwに沿ってプローブ31を移動させ)、各プロービングポイントPにおける欠陥の有無を判別する。続いて、制御部6は、回路基板100の全てのプロービングポイントPにおける欠陥の有無の判別を終了したときには、その欠陥の有無に基づいて回路基板100の良否を判定する。この場合、欠陥が存在しないときには、回路基板100を良好と判定し、欠陥が存在するときには回路基板100を不良と判定する。
この場合、この基板検査装置1では、上記した移動経路作成処理によって作成した移動経路Rwに沿ってプローブ31を移動させているため、プローブ31の移動を効率的に行うことが可能となっている。このため、この基板検査装置1によれば、検査効率を十分に向上させることが可能となっている。
このように、この移動経路作成装置、基板検査装置1および移動経路作成方法では、連結順序が2番目以降の各第1領域Aについての特定処理において、各4つの第2領域Bのうちの連結順序が直近上位の第1領域Aにおける終点Peに最も近い1つの第2領域Bに含まれる1つのプロービングポイントPを始点Psとして規定すると共にその第2領域Bの対角に位置する他の1つの第2領域Bに含まれる1つのプロービングポイントPを終点Peとして規定して始点Psから終点Peまでの移動経路Raを特定する。この場合、各第1領域Aについての移動経路Raの始点Psおよび終点Peについての規定を設けていない構成では、1つの第1領域Aについての移動経路Raの終点Peとこの第1領域Aに隣接する他の第1領域Aについての移動経路Raの始点Psとが離間して、終点Peから次の始点Psまでの距離が長くなることがある。これに対して、この移動経路作成装置、基板検査装置1および移動経路作成方法では、上記のように始点Psおよび終点Peを規定することで、終点Peから次の始点Psまでの距離を十分に短くすることができる。このため、この移動経路作成装置、基板検査装置1および移動経路作成方法によれば、プローブ31の無駄な移動を十分に少なく抑えることができる。また、この移動経路作成装置、基板検査装置1および移動経路作成方法では、回路基板100の表面を複数に区画した第1領域A毎に移動経路Raを特定して各移動経路Raを連結して回路基板100の全体としての移動経路Rwを作成する。このため、区画を行うことなく全体としての移動経路Rwを直接作成する構成と比較して、移動経路Rwの作成時間を十分に短縮することができる。したがって、この移動経路作成装置、基板検査装置1および移動経路作成方法によれば、プローブ31をプロービングさせて回路基板100を検査する際の検査効率を十分に向上させることが可能なプローブ31の移動経路Rwを短時間で作成することができる。
また、この移動経路作成装置、基板検査装置1および移動経路作成方法によれば、初期位置Lに最も近いプロービングポイントPを連結順序が1番目の第1領域Aにおける始点Psとして規定することにより、初期位置Lから最初にプロービングを行うプロービングポイントPまでの距離を十分に短くすることができるため、検査効率をさらに向上させることが可能な移動経路Rwを作成することができる。
また、この移動経路作成装置、基板検査装置1および移動経路作成方法によれば、初期位置Lから最も遠いプロービングポイントPを連結順序が1番目の第1領域Aにおける終点Peとして規定することにより、連結順序が1番目の第1領域Aにおける終点Peと連結順序が2番目の第1領域Aにおける始点Psとの間の距離を十分に短くすることができるため、検査効率をさらに向上させることが可能な移動経路Rwを作成することができる。
また、この移動経路作成装置、基板検査装置1および移動経路作成方法によれば、連結順序が直近上位の第1領域Aにおける終点Peに最も近いプロービングポイントPを次の第1領域Aの始点Psとして規定することにより、連結順序が直近上位の第1領域Aにおける終点Peと次の第1領域Aの始点Psとの間の距離をさらに短くすることができるため、検査効率をさらに向上させることが可能な移動経路Rwを作成することができる。
また、この移動経路作成装置、基板検査装置1および移動経路作成方法によれば、連結順序が直近上位の第1領域Aにおける終点Peから最も遠いプロービングポイントPを次の第1領域Aの終点Peとして規定することにより、次の第1領域Aの終点Peと、さらに次の第1領域Aの始点Psとの間の距離を十分に短くすることができるため、検査効率をさらに向上させることが可能な移動経路Rwを作成することができる。
また、この移動経路作成装置および基板検査装置1によれば、制御部6が各第1領域Aを4つの第2領域Bにそれぞれ区画することにより、第2領域Bに区画する作業を手動で行う構成と比較して、移動経路Rwをさらに短時間でかつ容易に作成することができる。
また、この移動経路作成装置および基板検査装置1によれば、制御部6が回路基板100の表面を複数の第1領域Aに区画することにより、第1領域Aに区画する作業を手動で行う構成と比較して、移動経路Rwをさらに短時間でかつ容易に作成することができる。
また、この移動経路作成装置、基板検査装置1および移動経路作成方法によれば、各第1領域Aの配列方向おける縦方向および横方向の少なくとも1つの方向に沿って第1領域Aが奇数個並ぶように回路基板100の表面を区画すると共に、連結順序における順位が連続する第1領域A同士が隣接し、かつ第1領域Aが奇数個並ぶ方向に並んだその各第1領域Aの順位が連続するように連結順序を規定することにより、連結順序が直近上位の第1領域Aの終点Peが含まれる第2領域Bと、次の第1領域Aにおける各第2領域Bのうちの直近上位の終点Peに最も近い第2領域Bとを常に隣接させることができる、このため、この移動経路作成装置、基板検査装置1および移動経路作成方法によれば、直近上位の終点Peと次の始点Psとの間の距離を常に短くすることができる結果、検査効率を一層向上させることが可能な移動経路Rwを作成することができる。
なお、移動経路作成装置、検査装置および移動経路作成方法は、上記の構成および方法に限定されない。例えば、上記の例では、初期位置Lに最も近いプロービングポイントPを連結順序が1番目の第1領域Aにおける始点Psとして規定しているが、初期位置Lに最も近い第2領域Bに含まれる他の任意のプロービングポイントPを始点Psとして規定することができる。また、上記の例では、初期位置Lから最も遠いプロービングポイントPを連結順序が1番目の第1領域Aにおける終点Peとして規定しているが、初期位置Lに最も近い第2領域Bの対角に位置する第2領域Bに含まれる他の任意のプロービングポイントPを終点Peとして規定することができる。
また、上記の例では、連結順序が直近上位の第1領域Aにおける終点Peに最も近いプロービングポイントPを次の第1領域Aの始点Psとして規定しているが、次の第1領域Aにおけるその終点Peに最も近い第2領域Bに含まれる他の任意のプロービングポイントPを次の第1領域Aの始点Psとして規定することができる。また、連結順序が直近上位の第1領域Aにおける終点Peから最も遠いプロービングポイントPを次の第1領域Aの終点Peとして規定しているが、次の第1領域Aにおけるその終点Peに最も近い第2領域Bの対角に位置する第2領域Bに含まれる他の任意のプロービングポイントPを次の第1領域Aの始点Psとして規定することができる。
また、第1領域A毎の各移動経路Raを連結する連結順序は、上記した連結順序(各第1領域Aに付した符号の昇順)には限定されず、任意に規定することができる。なお、例えば、図6に矢印で示すように、各第1領域Aが互いに隣接するように連結順序を規定するのが好ましい。
この場合、図6に示すように、横方向(第1領域Aが偶数個並ぶ方向)に並んだ各第1領域Aの順位が連続するように連結順序が規定されたときには、各移動経路Raが、図7に矢印で概念的に示すように連結される。なお、同図において矢印に付した「No.」は、連結順序を表している。この場合、同図に示すように、連結順序が4番目の第1領域A12と連結順序が5番目の第1領域A11との間では、第1領域A12の終点Peが含まれる第2領域Bdと、その終点Peに最も近い第1領域A11の第2領域Bdとが離間している。また、連結順序が8番目の第1領域A2と連結順序が6番目の第1領域A3との間では、第1領域A2の終点Peが含まれる第2領域Baと、その終点Peに最も近い第1領域A3の第2領域Baとが離間している。一方、横方向に隣接する各第1領域Aの間では、連結順序が直近上位の第1領域Aの終点Peが含まれる第2領域Bと、次の第1領域Aにおける直近上位の終点Peに最も近い第2領域Bとが隣接する。このため、少なくとも横方向に隣接する各第1領域Aの間では、終点Peから次の始点Psまでの距離を十分に短くすることができるため、回路基板100の全体としての移動経路Rwの長さを十分に短縮することが可能となっている。
また、回路基板100の表面を12個の第1領域Aに区画した例について上記したが、12個以外の任意の複数の第1領域Aに枡目状に区画することができる。また、上記の例では、枡目における縦方向に沿って第1領域Aが奇数個並び、枡目における横方向に沿って第1領域Aが偶数個並ぶように区画したが、縦方向に沿って第1領域Aが偶数個並び、横方向に沿って第1領域Aが奇数個並ぶように区画することもできる。また、縦方向に沿って第1領域Aが奇数個並び、横方向に沿っても第1領域Aが奇数個並ぶように区画することもできる。この場合、このように縦方向および横方向の少なくとも1つの方向に沿って第1領域Aが奇数個並ぶときには、奇数個並ぶ方向(縦方向および横方向の双方に沿って奇数個並ぶときには、いずれか1つの方向)において各第1領域Aの順序が連続するように連結順序を規定するのが好ましい。さらに、縦方向に沿って第1領域Aが偶数個並び、横方向に沿っても第1領域Aが偶数個並ぶように区画することもできる。
また、上記の例では、制御部6が連結順序を規定しているが、使用者が操作部を用いて連結順序を入力する構成および方法を採用することもできる。また、回路基板100の表面を複数の第1領域Aに区画する処理を制御部6が行う例について上記したが、この処理を使用者が操作部を用いて行う構成および方法を採用することもできる。また、第1領域Aを4つの第2領域Bにそれぞれ区画する処理を制御部6が行う例について上記したが、この処理を使用者が操作部を用いて行う構成および方法を採用することもできる。
また、1つのプローブ31を移動させる構成および方法において用いる移動経路Rwを作成する例について上記したが、2つ以上のプローブ31を移動させる構成および方法において、プローブ31毎の移動経路Rwを作成する際に適用できるのは勿論である。また、プローブ31を用いて測定した静電容量に基づいて回路基板100の良否を検査する基板検査装置1に適用した例について上記したが、プローブ31を用いてプロービングポイントP間の抵抗値を測定し、その抵抗値に基づいて回路基板100の検査を行う検査装置に適用することもできる。
また、移動経路Raを特定する際に用いた上記の手法(アルゴリズム)は一例であって、他の手法を用いることができる。例えば、上記の手法における付番の際に、始点Psと終点Peとを結ぶ直線から各プロービングポイントPまでの距離に応じた重み係数を各プロービングポイントPの位置を示す座標に掛けて重み付けを行い、重み付け後の座標に基づいて算出した距離が最も近いプロービングポイントPを次のプロービングポイントPとして付番する手法を採用することもできる。
また、1つの処理部(上記の例では、制御部6)が全ての第1領域Aについての特定処理を順次実行する例について上記したが、複数の処理部が異なる第1領域Aについての特定処理を並行してそれぞれ実行する構成を採用することもでき、このような構成を採用することで、移動経路Rwを作成する時間をさらに短縮することができる。