しかしながら、従来の車載用電子機器では、多数の色を用いてカラー表示された詳細な地図上に、道路や周辺施設の名称などを示す文字、記号、数字及びアイコン等の多種多様な情報がカラー表示されていたので、これら情報の表示が目立たず、ユーザが必要とする地図上の情報を一目で把握することが困難であるという問題があった。
このような問題点を解消すべく、特開2008−292702号(特許文献3)では、カラー表示される通常地図と、グレースケールで表示される強調表示用地図とを用意し、強調表示用地図上に駐車場マークをカラー表示させて目立たせる地図生成装置が提案されている。
ところが、近年のナビゲーション装置では、従来からある学校、幼稚園、保育園、郵便局、消防署、警察署、工場、神社、寺、駐車場等を示す施設アイコン以外に、ガソリンスタンド、レストラン、ハンバーガーショップ、コンビニエンスストア、銀行等のアイコンを企業別にカラー表示するようになっている。このため、市街地や国道沿いなどでは、地図上に色とりどりの施設アイコン及び企業アイコンが多数表示されるので、特許文献3の地図生成装置のように、単に地図をグレースケールで表示しても、カラー表示の駐車場マークを目立たせることはできないという問題がある。なお、上述した企業アイコンは、企業のロゴデザインを再現したものなので、各企業が定めたロゴの色とは異なるグレースケールに変更することはできない。
さらに、警報機能を備えた車載用電子機器では、自車が警報対象物に接近したときにPOIアイコンを表示してユーザの注意を喚起しなければならないが、カラー表示の地図上に、色とりどりのアイコンが多数表示されている状態では、どれがPOIアイコンなのか一目で把握することは困難であり、緊急時における迅速かつ確実な注意喚起が行えないという問題があった。
特に、自動二輪車用のナビゲーション装置又はレーダー探知機では、運転中に前方から視線をそらすことができない都合上、ユーザは、画面上の表示を一瞬しか見ることができず、必要な情報を一目で把握したいという要請が極めて強い。それにもかかわらず、自動車用とデザイン上大差ない、従来の車載用電子機器を自動二輪車に搭載した場合には、運転中に、画面上の表示からユーザが必要とする情報のみを容易に把握することができないという問題があった。
すなわち、自動二輪車用の車載用電子機器は、当該自動二輪車のハンドル周りや燃料タンク上に搭載される。一般的な自動二輪車のハンドルや燃料タンク周辺は、多数の金属部品で構成されており、液晶ディスプレイをプラスチック製の筐体で覆った車載用電子機器は、これら金属部品に外観も質感もマッチしなかった。このため、画面上の表示を一瞬で見ようとしても、ユーザの目は、金属部品とは異質なプラスチック製の筐体や液晶ディスプレイに引きつけられてしまい、画面上の表示中から必要な情報にピンポイントでアクセスすることが困難であった。この結果、運転中のユーザは、画面上の表示を数回見直して、最終的に必要な情報を把握するのが現実であった。特に、従来の画面上に表示される地図、文字、記号、数字及びアイコン等は、現物の金属部品とかけ離れた外観及び質感であったため、カラー又はグレースケールのいずれで表示しても、周辺の金属部品より目立ってユーザの目を引きつけてしまうという問題があった。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、画面上の表示中から必要な情報を容易に把握することができ、特に、自動二輪車に搭載した場合に、ユーザの視界において必要な情報を目立たせることが可能な車載用電子機器の提供を目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の車載用電子機器は、(1)画面上に多数の色を表示可能な表示手段と、前記画面に所定の情報を表示させる制御を行う制御手段とを備えた車載用電子機器であって、前記制御手段は、前記情報の少なくとも一部をカラー表示にするとともに、その他の部分を前記カラー表示と異なる色のモノトーン表示にする構成としてある。(2)好ましくは、前記制御手段が、前記モノトーン表示中に含まれる前記情報の少なくとも一部をカラー表示にする構成とするとよい。
上記構成によれば、例えば、画面上に表示される情報のうち、ユーザに注目させたい情報のみをカラー表示とし、その他をモノトーン表示にすることで、ユーザが必要とする情報を目立たせることができるようになる。
ここで、本発明における「表示手段」には、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)のほかに、有機ELD(Organic Electroluminescent Display)又はCRT(Cathode Ray Tube)等の情報表示が可能なディスプレイを備えた表示装置が広く含まれる。また、「画面」とは、表示手段のディスプレイの表示可能領域をいう。さらに、当該ディスプレイは、画面上に「多数の色」を表示することが可能なものでなければならない。例えば、6万色〜26万色程度の色が表示可能であれば、色とりどりのカラー表示を形成することができるとともに、モノトーン表示の明度階調(色の濃淡の変化)を表現することができる。但し、ディスプレイに表示可能な色の数に制限はなく、より多くの色を表示することが可能なディスプレイを用いることが望ましい。
また、本発明における「カラー表示」とは、モノトーン表示と異なる少なくとも一の有彩色を用いて表現された表示をいう。一方、「モノトーン表示」とは、単一色の濃淡又は明暗で表現された表示をいい、白、灰、黒といった無彩色の明暗差だけで表現するグレースケールのみならず、単一の有彩色の明暗差だけで表現する表示をも含む。
さらに、上記(2)の「前記モノトーン表示中に含まれる前記情報の少なくとも一部をカラー表示にする構成」には、モノトーン表示の面積がカラー表示の面積よりも広い場合、これと逆にカラー表示の面積がモノトーン表示の面積よりも広い場合の両方を含むが、いずれの場合においても、カラー表示の周りがモノトーン表示になる構成が好ましい。このような構成により、カラー表示とモノトーン表示の境界がはっきりし、カラー表示の視認性が向上するからである。より好ましくは、モノトーン表示の面積がカラー表示の面積よりも広く、カラー表示の全体がモノトーン表示に囲まれる構成にするとよい。このような構成とした場合は、モノトーン表示中のカラー表示全体をはっきりと目立たせることができ、カラー表示の視認性がより向上する。例えば、操作部であるボタンをグレースケールで表示し、該ボタンを操作したときに一部をカラー表示にするような場合は、ボタン全体をカラー表示にするのではなく、モノトーン表示に囲まれた一部(例えば、ボタンに表示された文字、図形、記号等)をカラー表示にするとよい。
(3)好ましくは、前記制御手段が、前記画面上の全ての前記情報を前記カラー表示にする第1表示態様と、前記情報の少なくとも一部をカラー表示にするとともに、その他の部分を前記モノトーン表示にする第2表示態様と、を切り替えることが可能な構成とするとよい。
上記構成によれば、例えば、通常は、画面上の全ての情報を従来どおりのカラー表示とし、特定のイベントが発生した場合やユーザからの指示に基づいて、必要な情報以外をモノトーン表示に切り替えて、必要な情報のみをカラー表示で目立たせることができる。
例えば、本車載用電子機器がレーダー探知機の場合には、通常時に地図を含む全ての情報をカラー表示とし、自車が警報対象物に接近した時点で、地図をモノトーン表示に切り替えるとともに、当該地図上にカラー表示のPOIアイコンを出現させる。また、本車載用電子機器がナビゲーション装置の場合には、自車が左折又は右折ポイントに接近した時点で、当該左折又は右折ポイントの周辺部を除いて地図全体をモノトーン表示に切り替え、当該左折又は右折ポイントの周辺部のみをカラー表示にする。これらの例示において、地図上の自車アイコンは、常にカラー表示にして目立たせるとよい。
(4)好ましくは、前記制御手段が、前記第1表示態様から前記第2表示態様への切り替えに際し、予め定められた一部の前記情報を省略して、前記情報を前記モノトーン表示にする構成とするとよい。
近年のレーダー探知機やナビゲーション装置に搭載されている詳細地図には、主要な施設、道路、鉄道などの名称を示すテキスト文字が表示されるとともに、学校、幼稚園、保育園、郵便局、消防署、警察署、工場、神社、寺、駐車場等を示す施設アイコンや、ガソリンスタンド、レストラン、ハンバーガーショップ、コンビニエンスストア、銀行等の企業アイコンが表示されるようになっている。しかし、ユーザは、所定の目的をもってレーダー探知機やナビゲーション装置を使用するのであり、詳細地図に表示される多種多様な情報の全てが、ユーザの目的に応じた必要な情報とは言えない。逆に、ユーザにとって必要のない情報の表示は、必要な情報の視認を妨げる要因となる。
そこで、上記構成によれば、カラー表示からモノトーン表示への切り替えに際し、ユーザにとって必要のない情報を省略し、必要な情報の視認性を大幅に向上させることができる。ここでいう「情報の省略」には、省略対象となる情報の一部又は全部を表示しないようにすることが含まれる。特に、省略対象となる情報の全部を表示しないようにすると、省略対象でない必要な情報の視認性が向上する。
例えば、本車載用電子機器がレーダー探知機の場合には、自車が警報対象物に接近した時点で、地図をモノトーン表示に切り替えるに際し、自車の進路と無関係なテキスト文字、施設アイコン、企業アイコンを画面上から省略し、地図上に表示される情報のシンプル化を図ったうえで、当該地図上にカラー表示のPOIアイコンを出現させる。その後、自車が警報対象物を通過するなどして警報が解除されたときに、地図を元の状態に復帰させる。
また、本車載用電子機器がナビゲーション装置の場合には、目的地までのルートが決定された時点で、地図をモノトーン表示に切り替えるに際し、自車の進路と無関係なテキスト文字、施設アイコン、企業アイコンを画面上から省略する。この場合において、自車の進路となる道路、当該道路周辺の情報を示すテキスト文字、施設アイコン、企業アイコンをカラー表示とするとよい。その後、自車が目的地に到着し、ナビゲーション装置が案内を終了したときに、地図を元の状態に復帰させる。
なお、カラー表示からモノトーン表示へ切り替える処理と、カラー表示上の不要な情報を省略する処理とは、同時に行ってもよいし、前後して行ってもよい。好ましくは、ユーザから見て、モノトーン表示への切り替えと同時に、不要な情報が削除されたように認識できるタイミングにするとよい。
(5)好ましくは、前記制御手段が、複数の前記情報をオブジェクトとして前記画面上に表示させ、当該表示に際し、一又は複数のオブジェクトを前記カラー表示にするとともに、その他の前記情報を前記モノトーン表示にする構成とするとよい。
上記構成によれば、画面上に表示された多種多様なオブジェクトのうち、ユーザにとって必要な情報を示すオブジェクトのみをカラー表示にして目立たせることができる。ここでいう「オブジェクト」には、例えば、画面上に表示される地図、テキスト文字、アイコン、後述する操作部、表示領域を区画するウインドウ枠などのあらゆる仮想上の対象物が含まれ、これらオブジェクトのうち、ユーザにとって必要な情報を示すオブジェクトのみをカラー表示にして、その他の情報を示すオブジェクトをモノトーン表示にする。
(6)好ましくは、前記制御手段が、同一種類の前記情報についての複数の所定オブジェクト、又は関連性を有する異なる種類の前記情報についての複数の所定オブジェクトを前記カラー表示にする構成とするとよい。
上記構成によれば、ユーザにとって必要な情報、又はユーザが必要とする情報に関連する情報が複数ある場合に、これら情報を示す全てのオブジェクトをカラー表示にして目立たせることが可能となる。例えば、本車載用電子機器がレーダー探知機の場合には、自車が複数の警報対象物に接近したときに、同一種類又は異なる種類のPOIアイコンを、モノトーン表示の地図上にカラー表示する。また、本車両用電子機器がナビゲーション装置の場合には、自車の進路となる道路沿いの施設アイコンのうち、特定種類の施設アイコン(ex.郵便局)のみを、モノトーン表示の地図上にカラー表示する。さらに、ロゴデザインを再現した企業アイコンをモノトーン表示にすることはできないので、このような場合には、ユーザにとって必要な企業アイコン(ex.コンビニエンスストア)をカラー表示し、不必要な企業アイコンの表示を省略すればよい。
ここまでで述べたように、本車載用電子機器によれば、ユーザにとって必要な情報のみをカラー表示にして目立たせることができるので、該車載用電子機器に多種多様な情報をもたせた場合でも、ユーザは、必要な情報を容易に視認することが可能となる。これにより、今後、レーダー探知機やナビゲーション装置の地図により詳細な情報を満載した場合でも、カラー表示、モノトーン表示、表示の省略のいずれかによって必要な情報だけを視覚的にピックアップすることができ、車載用電子機器の更なる高性能化を図ることが可能となる。
ここで、本発明における「同一種類の情報」及び「関連性を有する異なる種類の情報」について簡単に説明する。まず、複数の情報が「同一種類」ものか「異なる種類」ものかは、社会通念に従って定めればよい。複数の情報が「関連性」を有するか否かも同様である。上記の例示によれば、施設アイコンのうちの郵便局のアイコンだけを「同一種類」と定めてもよいし、施設アイコンに含まれる学校、幼稚園、保育園、郵便局、消防署、警察署、工場、神社、寺、駐車場等を「同一種類」又は「関連性を有する異なる種類」と定めてもよい。そして、これらアイコンを表示させるための各データに、共通の識別子を付加するなどの手段を用いて、データどうしを関連付ければよい。
(7)好ましくは、前記カラー表示を3Dオブジェクトにするとともに、前記モノトーン表示を2Dオブジェクトにし、3Dオブジェクトである前記カラー表示を、2Dオブジェクトである前記モノトーン表示上に配置した構成とするとよい。
上記構成によれば、ユーザにとって必要な情報を示すオブジェクトと、不必要な情報を示すオブジェクトとの間に、カラー表示かモノトーン表示かの相違に加え、3Dか2Dの相違をもたせることができ、画面上に表示された情報の中から必要な情報をより容易に把握することが可能となる。
例えば、ユーザの目的に応じて必要な施設アイコン、企業アイコン、POIアイコンなどをカラー表示の3Dオブジェクトとし、モノトーン表示の2Dオブジェクトである地図上に配置してもよい。この場合は、ユーザにとって必要なアイコンが、平面的な地図上で立体的に見え、かつ、色彩によってユーザの目を引きつけることができるので、視覚による迅速な認識が可能となる。
また、必要な情報を区別する手段は、カラー表示かモノトーン表示かの相違、及び3Dか2Dの相違に止まるものではない。例えば、上述したカラー表示の3Dオブジェクトを、静止画であるモノトーン表示の2Dオブジェクト上で動かして「動」と「静」の相違をもたせたり、また、述したカラー表示の3Dオブジェクトを、モノトーン表示の2Dオブジェクト上で浮かせて高低差をもたせたりすることもできる。これらの相違をもたせることで、画面上に表示された多数の情報に軽重を付けることができ、必要な情報だけをストレートにユーザに伝えることが可能となる。
(8)好ましくは、前記制御手段が、前記画面を複数の表示領域に分割し、前記表示領域ごとに異なる前記情報を表示し、少なくとも一の前記表示領域の前記情報を前記モノトーン表示にする構成とするとよい。
上記構成によれば、画面上を複数の表示領域に分割して、表示領域ごとに異なる情報を表示した場合にも、ユーザにとって必要な情報を目立たせることができる。この場合、一の表示領域においてカラー表示とモノトーン表示の区別をもたせてもよいし、複数の表示領域のそれぞれにおいてカラー表示とモノトーン表示の区別をもたせてもよい。前者の例として、画面全体に大きく詳細地図を表示する第1表示領域と、警報対象物や左折又は右折ポイントに自車が接近したときに拡大地図を表示する第2表示領域とを設けた場合に、第1又は第2表示領域に表示されている一方の地図をモノトーン表示にする。また、後者の例として、第1又は第2表示領域に表示されている両方の地図をモノトーン表示にし、各地図上の自車アイコン、自車の進路となる道路、POIアイコンや左折又は右折ポイントの目印となる施設アイコン、企業アイコンをカラー表示にする。
(9)好ましくは、前記制御手段が、ユーザからの入力を受け付けることが可能な操作部を前記画面に表示させ、当該表示に際し、前記操作部の少なくとも一部を前記カラー表示とし、その他の部分を前記カラー表示と異なる色のモノトーン表示にする構成とするとよい。例えば、(10)前記制御手段が、ユーザからの入力を受け付ける前においては、前記操作部を前記モノトーン表示とし、ユーザからの入力を受け付けた後においては、前記操作部の少なくとも一部を前記カラー表示にする構成、又は、(11)前記制御手段が、ユーザからの入力を受け付けることが可能な操作部を前記画面に表示することができ、当該表示に際し、ユーザからの入力を受け付ける前においては、前記操作部を前記カラー表示とし、ユーザからの入力を受け付けた後においては、前記操作部の少なくとも一部を前記モノトーン表示にする構成とするとよい。
ここまでは、本発明の適用対象として、画面上に表示される地図、及び地図上の文字、記号、図形、施設アイコン、企業アイコンなどを例示したが、これらに限定されるものではなく、画面上に表示される操作部にも適用することができる。ここでいう「操作部」とは、ユーザからの入力を受け付けて、本車載用電子機器に諸機能を実行させ、又は諸機能の設定を行うための画面上の表示であり、例えば、ファイルの内容やプログラムの機能などを文字、図形、記号等で表したアイコン、ボタン(これら操作部と同様の入力手段でスイッチ、キー、バー等の表現の異なるものを含む)等の2D又は3Dオブジェクトが広く含まれる。
上記構成によれば、操作部のほぼ全体をモノトーン表示とし、操作部に含まれる文字、図形、記号といった情報など、ユーザに注目させたい部分をカラー表示で目立たせることができ、操作部に表示された機能等の情報を容易に把握することが可能となる。これにより、本車載用電子機器の操作性の向上を図ることができ、ユーザによる迅速かつ的確な操作が可能となる。
また、本発明を適用した操作部は、ユーザの入力前に注目させたい部分をカラー表示にし、このカラー表示をユーザの入力後にモノトーン表示に切り替える(すなわち、入力後は操作部全体がモノトーン表示になる)ようにしてもよい。これと逆に、ユーザの入力前に操作部全体をモノトーン表示とし、入力後に注目させたい部分をカラー表示に切り替えるようにしてもよい。また、ユーザの入力前後にかかわらず、操作部の注目させたい部分を常時カラー表示にしてもよい。
(12)好ましくは、前記操作部が、あらかじめプログラムされた複数の機能のうちのいずれかを前記制御手段に実行させるためのアイコン又はボタンを模した2D又は3Dオブジェクトである構成、又は、(13)前記操作部が、文字、数字又は記号を入力するための複数のキーを含むキーボードを模した2D又は3Dオブジェクトである構成とするとよい。
上記構成によれば、アイコン、ボタン、キーといった操作部のほぼ全体をモノトーン表示とし、これら操作部に含まれる絵文字、テキスト文字、数字、記号、図形などの諸機能を示す情報など、ユーザに注目させたい部分をカラー表示で目立たせ、ユーザの意味内容の把握と操作部の選択とを容易にし、迅速かつ的確な操作を実現することができる。
上記構成からなる本発明は、例えば、i)本車載用電子機器のメニュー画面に表示される複数のメニューボタン、ii)オプション画面に表示される音量調整ボタン、輝度調整ボタン、各種設定ボタン、iii)確認ウインドウに表示される「はい」、「いいえ」、「OK」等のボタン、iv)地図画面に表示される地図スケール切り替えボタン、画面表示切り替えボタン、メニューバー、v)入力画面に表示されるキーボードの各種キーなどの操作部に広く適用することができ、操作部に含まれる情報など、ユーザに注目させたい部分をカラー表示で目立たせることが可能となる。
(14)好ましくは、前記制御手段が、前記画面に地図を表示することができ、前記地図の少なくとも陸地に含まれる要素を前記モノトーン表示にする構成とするとよい。例えば、(15)前記地図の陸地の要素として、少なくとも陸地を示す地色、高規格道路及び低規格道路を含み、前記地色の明度を基準に、前記高規格道路の明度を高く、前記低規格道路の明度を低く設定した構成とするとよい。(16)より好ましくは、前記制御手段は、前記地図を前記カラー表示又は前記モノトーン表示に切り替えることができ、前記カラー表示から前記モノトーン表示への切り替えに際し、前記カラー表示の前記地図に含まれていた前記情報の一部を省略して、前記地図を前記モノトーン表示にする構成とするとよい。
上記構成は、本発明をレーダー探知機やナビゲーション装置の地図に適用した具体例であり、少なくとも地図の陸地に含まれる要素をモノトーン表示にすることにより、ユーザに注目させたいカラー表示の情報を当該地図上で目立たせることができる。ここでいう「地図の陸地に含まれる要素」とは、陸地を示す地色、高規格道路及び低規格道路の他に、例えば、信号機、交通標識、国道標識、施設アイコン、ランドマーク、POIアイコンなどの地図の陸地上に表示される各種要素が広く含まれる。本発明は、これら要素のうち、ユーザに注目させたいものをカラー表示にして目立たせるのである。但し、企業アイコンは、地図の陸地に含まれる要素であっても、モノトーン表示にすることができないので、地図をカラー表示からモノトーン表示に切り替える際に、不必要な企業アイコンを省略する。また、企業アイコンに限らず、地図の陸地に含まれる要素のうち、不必要な情報をモノトーン表示から省略して地図の簡略化を図ると、地図上のカラー表示をより目立たせることができる。
ここで、地図上の「必要な情報」及び「不必要な情報」は、本車載用電子機器の機能に基づいて定めればよく、例えば、ユーザから実行の要求があった機能を果たすために必要な情報か否かを基準に、当該情報をモノトーン表示への切り替えに際して省略するか否か決定すればよい。このような基準により特定された「必要な情報」は、当該機能を果たすための必要性に応じてカラー表示で目立たせ、又はモノトーン表示にして地図上に残す。一方、上記基準により特定された「不要な情報」は、モノトーン表示への切り替えに際して省略する。この結果、ユーザの目的に応じた「必要な情報」のみを画面上に表示し、このうち、当該機能を果たすために、特に必要性の高い情報をカラー表示にすることが可能となる。
例えば、レーダー探知機は、速度測定装置の位置情報を示すPOIアイコンを表示し、ユーザに注意を喚起する警報機能を備えている。この警報機能を果たすためには、地図、道路、自車アイコン、及び検出された速度測定装置を示す一又は二以上のPOIアイコンが必要であり、これらが「必要な情報」に該当する。その他、自車の進路となる道路上で目印になる施設アイコンや企業アイコンなどを「必要な情報」に含めてもよい。そして、ユーザが警報機能をONにし、自車が速度測定装置に接近したときには、例えば、自車アイコン及びPOIアイコンがカラー表示になるとともに、地図、道路、目印になる施設アイコンや企業アイコンなどがモノトーン表示になり、これら以外の「不要な情報」、例えば、テキスト文字、進路外の不要な施設アイコンや企業アイコン等が全て地図上から省略される。
ここで、より多くの「不要な情報」を地図上から省略するほど、「必要な情報」が視認しやすくなるので、例えば、二以上の速度測定装置が検出された場合でも、自車の進路上にあるPOIアイコン、好ましくは、直近のPOIアイコンのみをカラー表示し、その他のPOIアイコンをモノトーン表示の地図上から省略してもよい。多くの情報を地図上から省略した場合でも、警報が解除された後には、省略した「不要な情報」が再び地図上に表示されるので、レーダー探知機の通常表示には何ら影響がない。このように、本発明によれば、ユーザが、車載用電子機器に備えられた所定機能の実行を要求したとき、当該機能の実行に必要な情報のみを画面上に表示し、その中でも必要不可欠な情報だけをカラー表示にして目立たせることができる。この結果、当該機能が実行されたとき、ユーザは画面上の必要な情報を一目で把握することが可能となる。
上記と同様に、例えば、ナビゲーション装置は、自車を目的地に案内するルート案内機能を備えている。このルート案内機能を果たすためには、地図、目的地までのルートを示す道路、自車アイコン、左折又は右折ポイント付近の目印になる施設アイコンや企業アイコンが必要であり、これらが「必要な情報」に該当する。そして、ユーザが目的地を設定し、ルート案内を開始させたときには、例えば、目的地までのルートを示す道路、自車アイコン、左折又は右折ポイント付近の目印になる施設アイコンや企業アイコンのみがカラー表示になるとともに、周辺の道路を含む地図全体がモノトーン表示になる。このとき、ルート案内に無関係なテキスト文字、施設アイコンや企業アイコン等が全て地図上から省略される。この結果、ルート案内機能が実行されたとき、ユーザは画面上に表示された目的地までのルートを一目で把握することが可能となる。
(17)好ましくは、前記制御手段が、所定の条件が満たされたときに、前記地図上に所定の警報対象物の位置を示す警報アイコンを表示する警報機能を実行することができ、前記警報機能の非実行時には前記地図を前記カラー表示とし、前記警報機能の実行時には前記地図を前記モノトーン表示にする構成とするとよい。
上記構成によれば、本車載用電子機器が警報機能を備えている場合に、自車が警報対象物に接近したときに、モノトーン表示の地図上に警報アイコンをカラー表示し、ユーザの目を地図上の警報アイコンに引きつけることができる。これにより、警報アイコンを見たユーザは、警報対象物の種類、位置及び自車が到達するまでの距離を容易に把握することができ、緊急時における迅速かつ確実な注意喚起が行われる。
ここでいう「警報アイコン」には、上述したPOIアイコンが含まれ、その他、ユーザに報知する必要がある所定の対象物(又は対象エリア)の位置情報を示すアイコンが広く含まれる。報知の対象物は任意に設定することができ、報知開始の条件が満たされたときに、画面上に警報アイコンを表示させる。
また、警報アイコンは、対象物の種類や重要度などに応じてグループ分けし、共通の色や形で種類や重要度を表現するとよい。例えば、対象物の緊急性の程度に応じて警報、警告、告知にグループ分けし、警報が必要な対象物のアイコンは「赤」、警告が必要な対象物のアイコンは「黄」、告知するだけでよい対象物のアイコンは「青」ないし「緑」の色で区別する。
詳述すると、警報が必要な対象物には、例えば、ループコイル、LHシステム、Hシステム、レーダー式オービス等の速度測定装置を含めることができる。また、警告が必要な対象物には、例えば、ネズミ捕りエリア、移動オービスエリア、追尾式取締りエリア、一時停止取締エリア、交差点取締エリア、その他取締エリア、シートベルト検問エリア、飲酒検問エリア、携帯電話検問エリア、その他検問エリア、交差点監視ポイント、信号無視抑制システム等を含めることができる。さらに、告知が必要な対象物には、例えば、高速道交通警察隊、Nシステム、交通監視システム、警察署、事故多発エリア、サービスエリア、パーキングエリア、ハイウェイオアシス、高速道長/連続トンネル、ハイウェイラジオ受信エリア、道の駅、ビューポイントパーキング、駐車場、公衆トイレ等を含めることができる。
(18)好ましくは、前記モノトーン表示の色の明暗差によって光の反射と影とを描画し、前記モノトーン表示を、金属表面を模した外観を有する2D又は3Dオブジェクトにした構成とするとよい。
上記構成によれば、画面上に表示される情報を、単にカラーとモノトーンとの相違で区別するだけでなく、金属表面の視覚的に認識し得る質感(テクスチャ)の有無でも区別することができるようになる。
すなわち、モノトーン表示中のカラー表示は、色の相違によってユーザの目を引くが、どちらも抽象的な表示(極端に言えば、どちらも「絵」)であるという共通性を有し、両者を視覚で区別する場合に一定の限界があった。そこで、上記構成からなる本発明では、単なるモノトーン表示を一歩進め、その明暗差で描画された金属表面を有するオブジェクトとし、抽象的なカラー表示との間に一目で区別することができる「質感」の相違をもたせることとした。近年のCG技術の向上及びディスプレイの高解像度化により、抽象的な絵のような表現(ノンフォトリアリスティック)から写真のようにリアルな表現(フォトリアリスティック)までが可能であり、車載用電子機器に搭載される比較的小型の表示手段でも、現物のようにリアルな金属表面を表現することができる。
(19)好ましくは、前記モノトーン表示の色の明暗差によって、前記2D又は3Dオブジェクトの金属表面にヘアライン模様を描画した構成とするとよい。
上記構成によれば、モノトーン表示である2D又は3Dオブジェクトの金属表面にヘアライン模様を追加することで、よりリアルに金属表面の質感を描画することが可能なり、カラー表示との「質感」の相違が更に顕著となる。ここで、一般に「ヘアライン」とは、金属表面の仕上げ方法のひとつで、研磨によって金属表面に細かい線状傷を付ける処理をいう。本発明における「ヘアライン模様」は、特に限定されないが、例えば、縦、横、斜め方向の直線的な線状傷のほか、円が中心から外側へ広がるような線状傷等が含まれる。
なお、2D又は3Dオブジェクトの金属表面をよりリアルに描画するためには、ヘアライン模様に限らず、例えば、パンチ孔、凹凸パターン、スリット、彫刻、ネジ、ビス等の金属加工や、くもり、錆、割れ、罅などの金属表面の変質を表現してもよい。また、2D又は3Dオブジェクトの金属表面にヘアライン模様を追加しないで、鏡面仕上げとしてもよい。
(20)好ましくは、前記モノトーン表示の色の明暗差によって、前記2D又は3Dオブジェクトの金属表面に前記情報を伝達するための表示を描画した構成とするとよい。
上記構成によれば、2D又は3Dオブジェクトの金属表面に、モノトーン表示の所定の情報を含めることにより、当該情報を目立たないようにすることができる。好ましくは、一般的な金属加工を模して当該情報を描画すると、2D又は3Dオブジェクトの金属表面の質感をよりリアルに表現することができる。例えば、2D又は3Dオブジェクトの金属表面に、エッチングや彫刻を模して当該情報を凹凸に描画したり、酸化皮膜の表面処理を模して当該情報を平面的に描画したりすることが可能であり、2D又は3Dオブジェクトの外観をより金属らしく見せることができる。
(21)好ましくは、前記モノトーン表示の色が彩度を有し、この色によって、前記2D又は3Dオブジェクトの金属表面に金属の表面処理による発色を表現した構成とするとよい。
上記構成によれば、2D又は3Dオブジェクトの金属表面を、金属の質感を損なうことなく彩度を有する1色のモノトーン表示にすることができる。ここでいう「金属の表面処理による発色」とは、例えば、金属表面の酸化皮膜による発色処理又はクリアー仕上げの染色処理などが含まれる。これらの表面処理を模して着色すれば、金属の質感を表現するための光の反射と影、ヘアライン模様等が損なわれず、2D又は3Dオブジェクトの外観を色つきの金属表面に見せることができる。
(22)好ましくは、前記モノトーン表示である2D又は3Dオブジェクトを、金属プレートを模した外観のオブジェクトにした構成とするとよい。
上記構成によれば、金属表面を模した外観の2D又は3Dオブジェクトに輪郭や肉厚をもたせて、現物の金属製部品のように見せることができ、カラー表示との「質感」の相違が更に顕著となる。ここいう「金属プレートを模した外観」とは、平面の金属プレートに限らず、金属プレートを立体的に加工したようなものも含まれる。
(23)好ましくは、前記モノトーン表示である金属プレートに、金属の凹凸加工又は抜き加工を模した表現で、前記情報を伝達するための表示を描画した構成とするとよい。
上記構成によれば、上述したように、モノトーン表示である金属プレートに、エッチングや彫刻、打ち抜きなどの金属加工によって形成される凹凸や抜きを模して情報を描画することにより、2D又は3Dオブジェクトの外観をより金属らしく見せることができる。
例えば、画面上に表示される地図を平面の金属プレートとし、この地図に含まれる道路、信号機、交通標識、国道標識、施設アイコン、ランドマーク等の情報を、エッチングや彫刻、打ち抜きなどの金属加工によって形成される凹凸や抜きを模して描画することができる。また、画面上に表示されるアイコン、ボタン、キーといった操作部を、平面又は立体的に加工した金属プレートとし、これら操作部に文字、図形、記号等の情報を、エッチングや彫刻、打ち抜きなどの金属加工によって形成される凹凸や抜きを模して描画してもよい。
(24)好ましくは、前記制御手段は、前記モノトーン表示中に含まれる前記情報を伝達するための表示を、前記カラー表示に切り替える構成とするとよい。(25)より好ましくは、前記モノトーン表示である金属プレートに、金属の抜き加工を模した表現で、前記情報を伝達するための表示を描画し、当該抜き加工を模した表示を、前記金属プレートの裏側から照明したような表現で、前記カラー表示に切り替える構成とするとよい。
上記構成によれば、地図や操作部のほぼ全体をモノトーン表示とし、これらに含まれる情報のうち、ユーザに注目させたいものだけをカラー表示で目立たせて、画面上の表示中から必要な情報を容易に把握することができる。特に、モノトーン表示である金属プレートの裏側から照明したような表現で、抜き加工を模した情報をカラー表示に切り替えることで、これら表示の間に金属と光の「物理的属性」の相違をもたせることができ、モノトーン表示中のカラー表示をより目立たせることが可能となる。
ここで、上記(18)〜(25)で述べた本発明の構成は、特に、自動二輪車用の車載用電子機器に有効である。第1に、金属表面を模したモノトーン表示と、カラー表示との間に「色」、「質感」及び「物理的属性」の相違をもたせて、カラー表示された情報を目立たせることができ、ユーザは、自動二輪車の運転中でも、必要とする情報を容易に把握することが可能となる。第2に、金属表面を模したモノトーン表示が、自動二輪車のハンドルや燃料タンク周辺の金属部品と外観及び質感でマッチし、ユーザの視界において、モノトーン表示がより目立たなくなる。すなわち、本発明では、モノトーン表示の外観を金属表面とすることで、現物の金属部品に擬態させているのである。この結果、画面上のカラー表示が特にユーザの目を引きつけて、必要とする情報を瞬時に伝えることができる。
さらに、上記(18)〜(25)の表示態様を実施した本車載用電子機器が、下記(26)〜(30)で説明する構成の筐体を備えた場合は、画面上の表示のみならず、本車載用電子機器の全体が自動二輪車の金属部品との統一感を増大させ、金属とは外観及び質感が顕著に相違するカラー表示の視認性をより良好にすることが可能となる。
(26)好ましくは、前記車載用電子機器を構成する筐体の少なくとも前記画面の周辺部を、金属製又は金属表面を模した外観の非金属製にするとともに、前記モノトーン表示を、金属表面を模した外観の2D又は3Dオブジェクトにした構成とするとよい。
上記構成によれば、画面上のモノトーン表示のみならず、本車載用電子機器を構成する筐体の外観及び質感を、自動二輪車のハンドルや燃料タンク周辺の金属部品とマッチさせることができ、ユーザの視界において筐体を目立たなくすることができる。これにより、画面上にカラー表示された情報が更に目立ち、ユーザは、必要とする情報にピンポイントでアクセスすることが可能となる。
(27)好ましくは、前記モノトーン表示を、前記筐体の金属表面を模した外観にした構成とするとよい。また、(28)より好ましくは、前記車載用電子機器が二輪車用であって、前記筐体の少なくとも前記画面の周辺部を、前記二輪車を構成するいずれかの金属製部品の表面を模した外観にした構成とするとよい。
自動車用の車載用電子機器は、車室内のダッシュボード上などに搭載されるが、二輪車用の車載用電子機器は、車体外部のハンドル周辺に搭載されるのが一般的である。主として合成樹脂素材で内装された車室内においては、車載用電子機器の筐体が合成樹脂製であっても特にユーザの目を引くことはない。ところが、二輪車の外観は金属部品で構成されており、合成樹脂製の筐体で覆った車載用電子機器は、これら金属部品に外観も質感もマッチせず、画面を見ようとするユーザの目を引きつけてしまう。
そこで、上記構成によれば、画面上のモノトーン表示、画面に隣接する筐体、及び二輪車を構成する金属部品の各外観が、共通する金属表面となり、画面上にカラー表示された情報を顕著に目立たせることができる。ここでいう「二輪車」には、例えば、自転車及び自動二輪車が含まれ、本車載用電子機器は、多くの金属部品で構成されている自動二輪車に特に好適である。すなわち、本車載用電子機器を自動二輪車に搭載した場合には、画面及び筐体を含む本車載用電子機器置中、金属とは外観及び質感が顕著に相違するカラー表示の視認性をより良好にすることが可能となる。この結果、運転中に前方から視線をそらすことができない自動二輪車のユーザでも、画面上の表示を一瞬だけ見て、必要な情報を一目で把握することができる。
(29)好ましくは、前記筐体のうち、少なくとも前記画面を垂直方向から見たときに視認可能な範囲を、金属製又は金属表面を模した外観の非金属製にした構成とするとよい。
上記構成によれば、自動二輪車を運転するユーザの視認可能な範囲において、本車載用電子機器の筐体の外観を金属表面にすることができ、画面を見ようとしたユーザの目が、筐体に引かれるのを防止することができる。
(30)好ましくは、前記筐体のうち、金属製又は金属表面を模した外観の非金属製にした部分以外の部分の表面を黒色にした構成とするよい。
本車載用電子機器の筐体のうち、自動二輪車を運転するユーザの視認可能な範囲外の部分は、金属製又は金属表面を模した外観の非金属製とする必要がなく、影のように見える黒色にすれば十分である。
(31)好ましくは、前記車載用電子機器が、自動車又は二輪車用のナビゲーション装置である構成とするとよい。
上述したように、本発明をナビゲーション装置に適用した場合は、多数の情報を含む詳細地図の中から必要な情報を容易に把握することができる。特に、本ナビゲーション装置を自動二輪車に搭載した場合は、画面及び筐体を含む本ナビゲーション装置中、金属とは外観及び質感が顕著に相違するカラー表示の視認性をより良好にすることが可能となる。この結果、ユーザの視界において必要な情報を目立たせることが可能であり、自動二輪車の運転中でも必要な情報を瞬時に把握することができる。
以上のように、本発明によれば、画面上の表示中から必要な情報を容易に把握することができ、特に、自動二輪車に搭載した場合に、ユーザの視界において必要な情報を目立たせることが可能となる。
以下、本発明の実施形態に係る車載用電子機器について、図1〜図14を参照しつつ説明する。本実施形態では、車載用電子機器として、警報機能を備えた自動二輪車用のナビゲーション装置を例示する。
<本ナビゲーション装置の全体構成>
図1(a)及び(b)は、本実施形態に係るナビゲーション装置10の外観を示すものである。ナビゲーション装置10は、薄型の直方体形状の筐体11内外に、図2に示す各種機構を備えている。このナビゲーション装置10は、図示しないクレードル又はマウントアダプタを介して、自動二輪車のハンドル周り又は燃料タンク上に強固に固定する構成となっている(図3を参照)。
図1(a)において、筐体11の前面には、例えば、LCD又は有機ELD等の薄型の表示部(表示手段)12を備えており、この表示部12上には、タッチした位置の座標を検出する透明のタッチパネル13が設けてある。ここで、本実施形態のナビゲーション装置10は、耐水及び耐震構造となっており、筐体11と表示部12との接合部には、図示しない防水ゴムシートが介在させてあり、当該接合部から筐体11内への水滴の進入を防止している。
図1(b)において、筐体11の側面には、防水カバー14、15及び電源スイッチ16が設けてある。防水カバー14の直下には、図2に示すSDカードなどのメモリカードリーダ17が内蔵してあり、防水カバー14は、メモリカードリーダ17を水滴及び塵埃から保護している。一方、防水カバー15の直下には、図2に示すヘッドフォン端子19及びUSB端子20が内蔵してあり、防水カバー15は、ヘッドフォン端子19及びUSB端子20を水滴及び塵埃から保護している。また、筐体11と電源スイッチ16との接合部にも、図示しない防水ゴムシートが介在させてあり、当該接合部から筐体11内への水滴の進入を防止している。
ここで、図2に示すように、メモリカードリーダ17には、地図データ等が記録されたメモリカード18が挿入される。本ナビゲーション装置10は、ルート案内を行なう際の地図データをメモリカード18に格納された地図データ等を利用して行なうことができる。また、本ナビゲーション装置10は、USB端子20を介してパソコンと接続し、ソフトウェアアプリケーションのバージョンアップなどを行なうことが可能である。さらに、本ナビゲーション装置10は、ルート案内機能に加えて、車両速度測定装置等を検出する警報機能も備えており、メモリカード18に格納された警報対象物の情報(経度・緯度を含む位置情報,種別情報等)を更新することができる。
メモリカード18に格納されたデータに更新情報がある場合には、制御部(制御手段)26が、更新情報をデータベース27に格納(ダウンロード)し、データベース27のデータを更新する。データベース27は、制御部26のマイコン内あるいはマイコンに外付けした不揮発性メモリ(例えば、EEPROM)により実現できる。
図1(b)に戻り、筐体11背面の図中右側には、電池カバー21が嵌合してあり、この電池カバー21の直下には、図示しないバッテリーが収納してある。筐体11と電池カバー21との接合部にも、図示しない防水ゴムシートが介在してあり、当該接合部から筐体11内への水滴の進入を防止している。本ナビゲーション装置10のバッテリーとしては、例えば、リチウムイオン電池などの充電池を用いるとよい。
また、筐体11の内部には、スピーカ22、GPS受信器23、マイクロ波受信器24及び無線受信器25が内蔵してある。スピーカ22は、例えば、各種操作音、効果音、音声案内、リルート音、速度超過音、GPS測位音又は非測位音などの音を出力する。さらに、本ナビゲーション装置10には、ミュージックプレイヤー機能が備わっており、メモリカード18に格納された音楽データをスピーカ22から出力することも可能である。なお、上述したヘッドフォン端子19に、図示しないヘッドフォンが接続された場合には、上記の音がヘッドフォンから出力される。
図2において、制御部26は、プログラムに従って制御処理を行うCPU(Central Processing Unit)を主たる構成要素とし、上記の各種の入力機器(タッチパネル13、GPS受信器23、マイクロ波受信器24、無線受信器25等)から入力された情報に基づいて所定の処理を実行し、出力機器(表示部12、スピーカ22等)を利用して所定のメッセージや警報を出力する。
本ナビゲーション装置10の各種機能は、プログラムとして制御部26のEEPROM上に格納されており、このプログラムをCPUが実行することにより実現される。以下、本ナビゲーション装置10の各種機能について詳述する。
<<ルート案内機能>>
データベース27には、ルート案内用の道路ネットワーク情報が記憶されている。制御部26は、この道路ネットワーク情報を利用して、ある位置から別の位置に至るルート(経路)を検索することができる。また、データベース27には、電話番号とその電話番号の住宅・会社・施設等の位置情報及び名称とを対応づけて記憶した電話番号データベースと、住所とその住所の位置情報とを対応づけて記憶した住所データベースとが記憶されている。制御部26は、データベース27から現在位置周辺の道路ネットワーク情報を読み出し、現在位置周辺の地図を表示部12に表示させる。
そして、制御部26は、ルート案内機能を実行することができる。まず、制御部26は、表示部12に目的地設定メニュー(図16を参照)を表示させる。この目的地設定メニューには、目的地の設定方法の選択をユーザに促す電話番号検索ボタン、住所検索ボタン、施設名称検索ボタン等が含まれており、ユーザは、タッチパネル13を介して目的地の設定方法を選択する。
例えば、電話番号検索ボタンが押下された場合、制御部26は、電話番号の入力画面を表示し、入力された電話番号に対応する位置情報をデータベース27から取得する。また、住所検索ボタンが押下された場合には、住所の選択入力画面を表示し、入力された住所に対応する位置情報をデータベース27から取得する。制御部26は、取得した位置情報を目的地の位置情報として設定し、現在位置から目的地までの推奨経路を、データベース27に記憶している道路ネットワーク情報に基づいて求める。この推奨経路の算出方法としては、例えば、ダイクストラ法など公知の手法を用いることができる。制御部26は、算出した推奨経路を、周辺の地図とともに表示する。例えば、現在位置から目的地に至るルートを推奨経路として、所定の色(例えば「緑」)で表示する。
<<レーダースコープ表示機能>>
データベース27には、速度測定装置等の警報対象物の位置情報が、その種類とともに記憶されている。レーダースコープ表示機能は、GPS受信器23によって検出した現在位置から所定の範囲内(例えば、約1kmの範囲内)にある警報対象物をデータベース27に記憶された位置情報に基づいて検索し、自車と警報対象物との相対的な位置関係を表示部12に表示する機能である。
レーダースコープ表示機能の実行中、制御部26は、表示部12に地図を表示させるとともに、この地図上に自車の位置を示す矢印形の自車アイコンを表示させる。また、レーダースコープ表示機能の実行中に、イベントが発生した場合(警報を報知するための所定条件が満たされた場合)には、地図上に「L」「RD」「P」「N」等の文字を有するPOIアイコンを表示させ、警報対象物の種類と位置を示す。制御部26は、レーダースコープ表示機能の実行中に、イベントが発生した場合には、以下に説明するGPS警報機能、レーダー波警報機能、無線警報機能のいずれかを実行するための制御処理を行う。
<<GPS警報機能>>
制御部26は、GPS受信器23によって検出した現在位置と、データベース27に記憶している警報対象物の位置とが所定の距離まで接近した場合に、表示部12に警報を表示する。警報の表示態様としては、例えば、警報対象物の位置情報を示すPOIアイコンを地図上に表示し(図19を参照)、又は現在表示中の地図画面に重ねて警報画面を表示する(図23を参照)。このとき、制御部26は、例えば、「500m先LHシステムです」といった警報対象物の種類及び距離を示す音声をスピーカ22から出力する処理を行う。
GPS警報機能の警報対象物としては、例えば、速度測定装置(ループコイル、LHシステム、Hシステム、レーダー式オービス等)、ネズミ捕りエリア、移動オービスエリア、追尾式取締りエリア、一時停止取締エリア、交差点取締エリア、その他取締エリア、シートベルト検問エリア、飲酒検問エリア、携帯電話検問エリア、その他検問エリア、交差点監視ポイント、信号無視抑制システム、高速道交通警察隊、Nシステム、交通監視システム、警察署、事故多発エリア、サービスエリア、パーキングエリア、ハイウェイオアシス、高速道長/連続トンネル、ハイウェイラジオ受信エリア、道の駅、ビューポイントパーキング、駐車場、公衆トイレ等がある。
<<レーダー波警報機能>>
レーダー波警報機能は、マイクロ波受信器24によって速度測定装置から発せられる所定周波数帯のマイクロ波に相当する電波が検出された場合に、表示部12に警報を表示するとともに、スピーカ17から警報音を出力する警報機能である。例えば、速度測定装置の発する所定周波数帯のマイクロ波が、マイクロ波受信器24によって検出された場合には、データベース27に記憶されたレーダーの模式図又は写真を警報としてディスプレイ部14に表示するとともに、データベース27に記憶された音声データを読み出して「レーダーです。スピード注意」という音声をスピーカ22から出力する。
<<無線警報機能>>
無線警報機能は、無線受信器24によって、緊急車両等の発する無線電波を受信した場合に、その走行等の妨げとならないよう、警報を発する機能である。無線警報機能においては、取締無線、カーロケ無線、デジタル無線、特小無線、署活系無線、警察電話、警察活動無線、レッカー無線、ヘリテレ無線、消防ヘリテレ無線、消防無線、救急無線、高速道路無線、警備無線等の周波数をスキャンし、スキャンした周波数で、無線を受信した場合には、データベース27に無線種別ごとに記憶されたその周波数に対応する無線を受信した旨の模式図を警報画面として表示部12に表示するとともに、データベース27に無線種別ごとに記憶された音声データを読み出して、スピーカ22からその無線の種別を示す警報音声を出力する。例えば、取締無線を受信した場合には「取締無線です。スピード注意」のように音声を出力する。
ここで、レーダースコープ表示機能、GPS警報機能、レーダー波警報機能、無線警報機能には、上述したように種類の異なる複数の警報対象物が設定してあり、各警報対象物の種類に応じた優先順位が定めてある。各警報対象物の優先順位は、例えば、警報アイコンの色を優先順位が高い順に「赤」、「黄」、「青」又は「緑」のグループに色分けすることで視覚化している(図14を参照)。
<筐体>
次に、本ナビゲーション装置10の筐体11について詳述する。図1(a)及び(b)において、本ナビゲーション装置10には、ほぼ全体が金属製の筐体11を用いている。図3に示すように、本ナビゲーション装置10は、自動二輪車30のハンドル31周りに搭載されるものであり、本実施形態では、筐体11の金属表面を、ハンドル31周りの金属部品とマッチする外観及び質感としている。
また、本実施形態では、同図(b)に示す筐体11背面の符号23、24及び25を付した部分は、プラスチック等の非金属製としてあり、GPS受信器23、マイクロ波受信器24及び無線受信器25の受信対象となる電波の透過を可能としている。なお、各受信機23〜25の電波受信が可能であれば、筐体11をオール金属製にすることもできる。例えば、筐体11の背面に電波受信用のスリットや小孔を設け、又は各受信機23〜25のアンテナを筐体11の外部に配設し、コネクタ等で接続するなどの構成を採用した場合には、筐体11をオール金属製にすることができる。
ここで、自動二輪車30のハンドル31周りには、ハンドルクランプ32、トップブリッジ33、スピードメータ34、タコメータ35、フロントフォーク36、燃料タンク37等の金属部品が密集しており、筐体11を金属製とすることで、本ナビゲーション装置10をハンドル31周りの金属部品に擬態させ、視覚的に目立たなくしている。これにより、運転中のユーザが、本ナビゲーション装置10の表示を見ようとしたときに、ユーザの目が筐体11に引き付けられてしまうことを防止している。
筐体11の金属表面は、ハンドル31周りの金属部品のいずれかと同一又は類似の外観及び質感とすることが望ましい。例えば、ハンドル31、スピードメータ34及びタコメータ35のケースがメッキ処理されているならば、筐体11の表面をメッキ処理することで、これら金属部品と同じ外観及び質感を与えることができる。また、例えば、ハンドルクランプ32及びトップブリッジ33が無塗装のアルミニウム製ならば、筐体11も無塗装のアルミニウム製とすることで、これら金属部品と同じ外観及び質感を与えることができる。一方、本ナビゲーション装置10を燃料タンク37上に搭載する場合は、筐体11を燃料タンク37と同色に塗装するとよい。
なお、本実施形態では、筐体11をオール金属製としたが、少なくとも運転中のユーザから見える範囲内を金属製とし、その他の部分を非金属製、例えば、十分な強度を有するプラスチック製、カーボンファイバー製などにしてもよい。具体的には、筐体11を正面側及び背面側の二分割とし、表示部12周辺を覆う正面側半分を金属製、背面側半分を非金属製とすることができる。好ましくは、非金属製の背面側半分を、光の反射の少ない黒色(より好ましくは艶なしの黒色)にすると、運転中のユーザの目を引き付けにくく、周辺の金属部品ともマッチしやすい。
また、金属表面を模した外観に加工できる材料ならば、筐体11の全部又は一部を非金属製としてもよい。例えば、筐体11を、ABS又はポリプロピレンなどの汎用プラスチック製、又はポリアセタール、ポリカーボネートなどの汎用エンジニアリングプラスチック製とし、これらプラスチックにメッキ加工を施してもよい。
<表示部の表示態様>
上述したように、本実施形態では、ナビゲーション装置10の筐体11を、ハンドル31周りの金属部品に擬態させて、運転中のユーザの目を引き付けにくくしているが、この構成だけでは、ユーザに必要な情報を瞬時に把握させるという本発明の目的は達成されない。この目的を達成するために、本実施形態では、表示部12に表示される情報のうち、重要でないものをハンドル31周りの金属部品32〜37に擬態させて目立たなくし、必要な情報の視認性を顕著に高めている。以下、本実施形態における表示部12の特徴的な表示態様について、図4〜図14を参照しつつ説明する。
<<メニュー画面>>
図4(a)、(b)は、本ナビゲーション装置10の電源投入時に、表示部12に表示されるメニュー画面の正面図である。同図(a)において、本実施形態のメニュー画面は、背景41、ナビボタン42、ミュージックボタン43、ピクチャーボタン44及びオプションボタン45(以下、これらを総称して「表示14〜45」と呼ぶ場合がある)で構成してある。これらの表示41〜45は、いずれもグレースケールで表現したモノトーン表示であり、白、灰、黒の無彩色の明暗差だけで金属表面を描画している。このモノトーン表示とは、単一色の濃淡又は明暗で表現された表示をいい、グレースケールのみならず、赤や青などの単一の有彩色の明暗差だけで表現する表示としても構わない。
本実施形態では、各表示41〜45のいずれもが、金属プレートを模した外観のオブジェクトとなっており、モノトーン表示の色の明暗差によって金属表面の質感、実際の金属加工を模した表示を形成している。好ましくは、背景41を2Dオブジェクトとし、ナビボタン42、ミュージックボタン43、ピクチャーボタン44及びオプションボタン45を3Dオブジェクトにすると、平面的な背景41上で、立体的なボタン42〜45を目立たせることができ、メニュー画面の操作性を向上させることができる。
<<<金属表面の描画>>>
まず、これら表示41〜45に共通する表現として、モノトーン表示の色の明暗差によって光の反射と影とを描画して、金属表面の光沢を模している。例えば、図4(a)中の背景41について、「明」で示した範囲が光の反射であり、「暗」で示した範囲が影である。また、本実施形態では、各表示41〜45の表面全体にヘアライン模様40を描画して金属表面の光沢を鈍くしている。このように、金属表面は、少なくとも光沢感を描画することで表現することができ、さらに、実際の金属加工で行われている表面処理の描画を加えることで、より金属表面らしく見せることが可能となる。
なお、図4(a)、(b)では、説明の便宜上、ヘアライン模様40を誇張かつ模式的に記載しているが、実際のディスプレイ上の表示では、現物の金属部品と同等のヘアライン模様を描画することができる(図15及び図16を参照)。このように、各表示41〜45の金属表面は、少なくとも光の反射と影とで描画することができ、ヘアライン模様40などの金属加工の要素を加えることで、より金属表面らしく見せることができる。この結果、図3に示す自動二輪車30のハンドル31周りの金属部品32〜37と、本ナビゲーション装置10の筐体11と、表示部12の各表示41〜45との、互いの外観及び質感を共通させることができ、背景やボタン自体を目立たなくすることが可能となる。
ここで、表示部12の表示41〜45の金属表面は、筐体11や自動二輪車30の金属部品31〜37の金属表面と近似した外観及び質感に描画することが好ましく、現物の金属表面と区別がつかないほど、高画質かつ高精細で精密に描画されていることがより好ましい。但し、少なくとも運転中のユーザが一瞬目視したときに金属表面と見える程度の描画でも、ユーザの目を引き付けにくくする擬態の効果は発揮される。
<<<情報の描画>>>
各表示41〜45には、それぞれ機能などの情報を伝達するための文字41a〜45a及び図形42b〜44bが含まれている。本実施形態では、従来と異なる描画方法によって、これら文字41a〜45a及び図形42b〜44bを表示している。すなわち、文字41a〜45a及び図形42b〜44bは、いずれもモノトーン表示の色の明暗差により一般的な金属加工を模して描画してある。従来と同様のテキスト、線図では、金属表面と描画方法が異なり、このような描画方法で表された文字や図形がたとえモノトーン表示であっても、金属表面の描画と明らかに区別することができてしまい、表示中の文字や図形がそれぞれ目立ってしまうからである。そこで、本実施形態では、一般的な金属加工を模して金属表面上に文字や図形を描画することにより、これら文字や図形が金属表面上で目立たないようにしている。
本実施形態では、金属プレートを模した各表示41〜45に、金属の抜き加工を模して文字41a〜45aを描画している。これら文字41a〜45aは、抜き加工した空間部分(文字部分)を暗色とし、空間部分周辺に見える金属プレートのエッジ部分を板厚の幅で明色としてある。文字41a〜45aを抜き加工としたのは、これら文字41a〜45aのうちの目立たせたいものを、金属プレートの裏側から照明したような表現でカラー表示するためである(図4(b)の符号42a及び42cを参照)。
また、ナビボタン42、ミュージックボタン43及びピクチャーボタン44には、それぞれ「虫眼鏡」、「音符」及び「カメラ」の図形42b、43b及び44bが、エッチング加工を模して描画してある。エッチング加工を模した描画は、金属表面の腐食の程度を再現することにより、図形等の表現態様を異ならせることができる。
例えば、図4(a)は、金属表面の腐食の程度が低く、「虫眼鏡」、「音符」及び「カメラ」の図形42b、43b及び44bが金属表面に薄く変色したように現れている表現態様を示している(実際は、図15又は図16の図形のように見える)。金属表面の腐食の程度が低い表現態様とした場合は、エッチング加工した図形42b〜44bと、エッチング加工していない金属表面との光沢やヘアラインなどの描画を同じにして、図形42b〜44bが透けて見えるようにするとよい。
また、金属表面の腐食の程度を高くする程、腐食箇所が深く凹んだ描画となり、腐食箇所と金属表面との外観や性状の描写が異なってくる。例えば、図16の「まっぷコード」を表したボタンのように、腐食箇所は金属表面よりも凹み、その表面は光沢のない粗面のような表現態様となる。これよりも更に腐食の程度を高くすると、腐食箇所は、文字41a〜45aのような抜き加工と同じ表現態様となる。
このように、金属表面の腐食の程度が低い表現態様ほど、金属表面上に描画した図形等を目立たなくすることができ、逆に、金属表面の腐食の程度が高い表現態様ほど、金属表面上に描画した図形等を目立たせることができる。したがって、例えば、使用頻度の多いボタンには、金属表面の腐食の程度が高い表現態様で図形を描画し、使用頻度の低いボタンには、金属表面の腐食の程度が低い表現態様で図形を描画すれば、ユーザの必要性に応じてボタンの選択がしやすくなる。
<<モノトーン表示からカラー表示への切り替え>>
図4(a)に示すメニュー画面では、ユーザの必要性に応じて、ナビボタン42、ミュージックボタン43、ピクチャーボタン44及びオプションボタン45のいずれかの文字41a〜45aをカラー表示に切り替える。このカラー表示とは、モノトーン表示と異なる少なくとも一の有彩色を用いて表現された表示をいう。例えば、本実施形態のように、モノトーン表示が白、灰、黒の無彩色からなるグレースケールならば、あらゆる有彩色がカラー表示に該当する。また、モノトーン表示が単一の有彩色の濃淡又は明暗で表現された表示ならば、これと色相の異なる他の有彩色がカラー表示に該当する。以下、図4(a)、(b)に示すメニュー画面を参照しつつ、モノトーン表示からカラー表示への切り替えの具体例について説明する。
まず、本ナビゲーション装置10の筐体11に設けた電源スイッチ15(図1(b)を参照)又は図示しないメニューボタンを押動操作すると、図4(a)に示すモノトーン表示のみからなるメニュー画面が表示される。上述したように、メニュー画面の各表示41〜45に含まれる文字41a〜45aは、タッチパネル13による操作が行われる前の状態において、抜き加工した暗い空間部分と、この空間部分を縁取る明るいエッジ部分とで描画されている。このようなメニュー画面では、背景41、ナビボタン42、ミュージックボタン43、ピクチャーボタン44及びオプションボタン45の全てが、無彩色の濃淡又は明暗で表現されているので、これら表示41〜45が人間の色覚に与える刺激は等しく、視認性に差はない。したがって、メニュー画面中のいずれかの表示41、42、43、44又は45にユーザの目が引き付けられることはない。
次いで、ユーザが、タッチパネル13を介して、例えば、メニュー画面中のナビボタン42をタッチすると、図4(b)に示すように、ナビボタン42の文字42aがカラー表示に切り替わる(図中の符号42cを付した点線を参照)。本実施形態では、ナビボタン42の金属プレートを抜き加工した「NAVI」の文字42aを、裏側から有彩色の光で照明したような表現でカラー表示にしている。
具体的には、「NAVI」の文字42aが有彩色で発光しているように描画し、符号42cを付した点線の範囲内がカラー表示になる。例えば、発光の中心に位置する「NAVI」の文字42aを濃く、文字42aの周辺から漏れ出た光を淡く、同一の有彩色で描画してもよい。あるいは、「NAVI」の文字42aだけが有彩色で自発光しているように描画してもよい。なお、「NAVI」の文字42aを有彩色でベタ塗りし、金属表面をリアルに再現したナビボタン42と質感の相違をもたせてもよい。
<<<作用効果>>>
このように、ナビボタン42の文字42aがカラー表示に切り替わったことで、メニュー画面中の表示41〜45のうち、文字42aの人間の色覚に与える刺激が強くなり、メニュー画面を見たユーザの目を、カラー表示の文字42aに引き付けることができる。これにより、ユーザは、ナビボタン42の操作が有効に行われ、本ナビゲーション装置のルート案内機能が実行されることを一目で把握することが可能である。
特に、本実施形態のナビゲーション装置10では、メニュー画面中の各表示41〜45を、筐体11の金属表面と近似した外観及び質感の金属表面に描画しているので、運転中のユーザが表示部12を一瞬目視したときに、筐体11やメニュー画面中の不必要な表示に目がいかず、ユーザは、表示部12中の必要な文字42aにピンポイントでアクセスすることができる。
<<オプション画面>>
次に、表示部12の他の表示態様として、図5に示すオプション画面を例に挙げて説明する。ユーザが、図4(a)に示すメニュー画面中のオプションボタン45にタッチすると、図4(b)と同様に、その「OPTION」の文字45aがカラー表示で発光し、表示部12が図5のオプション画面に切り替わる。
図5において、本実施形態のオプション画面は、背景51、三つのレベル操作部52、52、52及び切替スイッチ53で構成してある。上述した図4(a)、(b)のメニュー画面と異なり、本実施形態のオプション画面では、初期状態からモノトーン表示中にカラー表示を含んでいる。
<<<背景>>>
背景51は、モノトーン表示の色の明暗差によって光の反射と影とを描画して、金属表面の光沢を模している。また、本実施形態では、背景51の表面に格子パターン50を描画し、より金属表面らしく見せている。この背景51には、このオプション画面のタイトルと、ユーザが任意に設定可能な項目とが、それぞれカラー表示の文字51a〜51eで表示してある。モノトーン表示の金属表面よりも、カラー表示の文字51a〜51eの方が人間の色覚に与える刺激が強く、オプション画面を見たユーザの目を、これら文字51a〜51eに引き付けることができる。
ここで、カラー表示の文字51a〜51eは、互いに人間の色覚に与える刺激が等しいので、視認性に差はない。このため、オプション画面を見たユーザは、これら文字51a〜51eのうち、自らが設定変更しようとする項目を多少なりとも探すことになるが、通常、ユーザは運転中に設定変更を行わないので、特に問題は生じない。
<<<レベル操作部>>>
レベル操作部52は、インジケータ52Bの左右端に−ボタン52A及び+ボタン52C(以下、これらを総称して「±ボタン52A、52C」と呼ぶ場合がある)を配置した構成となっている。±ボタン52A、52Cは、モノトーン表示の明暗差によって鏡面仕上げの小さな金属プレート製ボタンを模している。±ボタン52A、52Cには、抜き加工又はエッチング加工を模した描画により、モノトーン表示の「−」の記号52a及び「+」の記号52cを表示してある。インジケータ52Bは、細い円柱状の金属棒を模しており、その金属表面は、モノトーン表示の明暗差によって±ボタン52A、52Cと同じ鏡面仕上げとしている。
本実施形態では、レベル操作部52の明度を高く、背景51の明度を低くして、両者の金属表面に外観及び質感の相違をもたせている。これにより、格子パターンの暗く重厚な背景51上で、滑らかに輝く鏡面仕上げのレベル操作部52を目立たせることができる。また、上記と同様に、レベル操作部52は、2D又は3Dオブジェクトのいずれとしてもよいが、好ましくは、背景51を2Dオブジェクトとし、レベル操作部52を3Dオブジェクトにすると、平面的な背景51上で、立体的なレベル操作部52を目立たせることができ、設定変更の操作性を向上させることができる。
このようなレベル操作部52の動作について説明する。ユーザが、タッチパネル13を介して±ボタン52A又は52Cにタッチすると、モノトーン表示の「−」の記号52a又は「+」の記号52cが、カラー表示に切り替わる。例えば、±ボタン52A又は52Cの「−」の記号52a又は「+」の記号52cを、裏側から有彩色の光で照明したような表現でカラー表示にする。図5中の符号52dに示すように、「−」の記号52aが有彩色で発光しているように描画し、点線の範囲内がカラー表示になる。
また、ユーザが±ボタン52A又は52Cにタッチすると、タッチの回数又は継続時間に応じてインジケータ52Bの発光52bが増減する。このライン状の発光52bは、有彩色のカラー表示であり、モノトーン表示のインジケータ52B、±ボタン52A、52C及び背景51との対比で一際目立つようにしてある。発光52bは、その長さにより「音量」、「輝度(昼時間)」及び「輝度(夜時間)」(図中の符号51ab〜51dを参照)のレベルを視覚的に示すものであり、モノトーン表示中のカラー表示としたことにより、その長さの変化が視認しやすくなっている。
ここで、発光52bは、少なくともモノトーン表示と異なる有彩色であればよいが、本実施形態では、カラー表示の発光52bをより目立たせるために、その配色を工夫している。例えば、発光52bを中心部と周辺部で色分けして明暗差をもたせるとよい。図5に示す例示では、発光52bの中心部を明度の高い色にするとともに、周辺部を中心部よりも明度の低い色にしている。好ましくは、発光52bの中心部を最も明度の高い白色とし、周辺部を彩度の高い有彩色とすると、発光52bの中心部の輝度が高いように見え、モノトーン表示中における視認性をより向上させることができる。
<<<切替スイッチ>>>
切替スイッチ53は、「フルマップレーダー表示」(図中の符号51eを参照)の表示態様を設定するためのものである。ここで、「フルマップレーダー表示」とは、ルート案内機能のための地図画面上に表示される警報画面であって、自車が警報対象物に接近したときに警報アイコンを地図上に表示して、警報対象物の位置及び種類をユーザに報知するものをいう(図23の画面右半分を参照)。このような「フルマップレーダー表示」の表示態様には、例えば、「常時表示する態様」と「警報時に表示する態様」とがあり、更に「警報時に表示する態様」には、フルマップレーダー表示の全項目を表示する「通常」の態様と、警報対象の種類のみを表示する「最小化」の態様とがある。
本実施形態の切替スイッチ53は、モノトーン表示の明暗差によって横長の金属プレート製ボタンを模している。この切り替えスイッチ53には、モノトーン表示の色と異なる有彩色のカラー表示の文字53aが表示してある。この文字53aは、切り替えスイッチ53にタッチする度に、例えば、「常時表示」、「警報時表示(通常)」又は「警報時表示(最小化)」に切り替わり、「フルマップレーダー表示」(図中の符号51eを参照)の設定内容を表示する。モノトーン表示からなる切替スイッチ53中に、カラー表示の文字53aを表示することにより、文字53aを目立たせて、その視認性をより向上させることができる。
<<キーボード画面>>
次に、表示部12の他の表示態様として、図6に示すキーボード画面を例に挙げて説明する。ユーザが、図4(a)に示すメニュー画面中のナビボタン42にタッチすると、その「NAVI」の文字42aがカラー表示に切り替わり、ルート案内機能が実行される。図6に示すキーボード画面は、ルート案内機能における目的地の入力やキーワード検索に用いられる。
同図において、本実施形態のキーボード画面は、モノトーン表示によって金属表面を模したキーボード本体61及び複数のキーボタン62、62、62…と、同じくモノトーン表示によって白黒の液晶パネルを模した液晶表示部63とで構成してある。キーボード本体61は、金属プレートをプレス加工した段差状の凹部61aと、矩形の打ち抜き窓61bとを有する。凹部61aには、文字入力ためのキーボタン62、62、62…が配置してあり、打ち抜き窓61bには、液晶表示部63が配置してある。本実施形態では、キーボード本体61を明度の低い色の金属表面とするとともに、各キーボタン62を明度の高い色の金属表面とし、キーボード本体61上で各キーボタン62を目立たせている。
各キーボタン62には、抜き加工又はエッチング加工を模した描画により、モノトーン表示の文字、記号又は図形62a、62a、62a…が表示してある。ユーザが、タッチパネル13を介して各キーボタン62にタッチすると、モノトーン表示の文字、記号又は図形62aがカラー表示に切り替わる。
ここで、本実施形態のキーボード画面では、異なる二通りのカラー表示の態様を採用している。第1の態様は、上述した実施形態と同様、ユーザがタッチしたキーボタン62の文字等62aを、裏側から有彩色の光で照明したような表現でカラー表示にする。例えば、図6中の符号62bに示すように、「な」の文字62aが有彩色で発光しているように描画し、キーボタン62上の点線の範囲内がカラー表示になる。一方、第2の態様は、キーボタン62全体を透明体の如く描画し、ユーザがタッチしたキーボタン62全体が、有彩色の光を透過させて発光するような表現でカラー表示にする。例えば、図6中の符号62cに示すように、「決定」の文字を含むキーボタン62全体が有彩色で発光しているように描画し、背景61上の点線の範囲内がカラー表示になる。
<<地図画面>>
次に、表示部12の他の表示態様として、図7〜9に示す地図画面を例に挙げて説明する。上述した図6のキーボード画面によって目的地が特定され、目的地までのルートが決定されると、図7に示すカラー表示の地図画面によるルート案内が開始される。
<<<カラー表示の地図画面>>>
図7に示す地図画面には、従来と同様に、地図70を構成する陸地要素、及び地図70上の各種アイコンが含まれ、これらが色とりどりの有彩色で表示される。地図70の陸地要素、及び地図70上の各種アイコンの詳細については、図11〜13に示すとおりである。なお、図7に示す地図画面は、説明の便宜上、実際のナビゲーション装置の地図画面を簡略化したものであり、図11の陸地要素、及び図12及び図13の各種アイコンは、実際に用いられているものの一部を例示したにすぎない。
図7及び図11において、地図70を構成する陸地要素には、陸地71A、高規格道路71B、低規格道路71C及び目的地ルート71Dなどが含まれる。図7に示すカラー表示時において、例えば、陸地71Aは「薄黄/薄桃/薄青/薄緑」等で所定の区域ごとに色分け表示される。例えば、高規格道路71Bは「青」、低規格道路71Cは「明るい青」又は「明るい茶」で表示される。目的地ルート71Dは、目的地までのルートを示すものであり、例えば、通常は「緑」で表示され、当該ルートが渋滞しているときには「赤」で表示される(以上、図11中の「カラー表示時の色」を参照)。また、図7に示すカラー表示時には、これら陸地71A、高規格道路71B、低規格道路71C及び目的地ルート71Dは、従来と同様に、いずれも平面的な2Dオブジェクトとして表示される(図11中の「表示タイプ」を参照)。
図7及び図12において、地図70上に表示される一般的なアイコンには、例えば、自車アイコン72、信号アイコン73A、目的地アイコン(図12を参照)、高速道路アイコン73B、国道アイコン73C及び県道アイコン73Dなどが含まれる。図7に示すカラー表示時において、例えば、自車アイコン72は「赤」、信号アイコン73Aは「緑+黄+赤」、目的地アイコン73Bは「白+黒」で表示される。高速道路アイコン73B、国道アイコン73C及び県道アイコン73Dは、実際の標識に倣っていずれも「青+白」で表示される(以上、図12中の「カラー表示時の色」を参照)。また、図7に示すカラー表示時には、これら自車アイコン72、信号アイコン73A、目的地アイコン(図12を参照)、高速道路アイコン73B、国道アイコン73C及び県道アイコン73Dは、従来と同様に、いずれも平面的な2Dオブジェクトとして表示される(図12中の「表示タイプ」を参照)。
図7及び図13において、地図70上に表示される施設アイコンには、例えば、学校アイコン74A、病院アイコン74B、神社アイコン74C及び建物アイコン74Dなどが含まれる。また、ガソリンスタンド、レストラン、ハンバーガーショップ、コンビニエンスストア、銀行などの企業アイコン25、25、25…も地図70上に表示される。図7に示すカラー表示時において、例えば、学校アイコン74Aは「緑+白」、病院アイコン74Bは「白+黒」、神社アイコン74Cも「白+黒」、建物アイコン74Dは「灰」で表示される。また、各企業アイコン25は、各企業が定めたロゴの色で表示される(以上、図13中の「カラー表示時の色」を参照)。図7に示すカラー表示時には、これら施設アイコン74A〜74D及び各企業アイコン25は、従来と同様に、いずれも平面的な2Dオブジェクトとして表示される(図13中の「表示タイプ」を参照)。
図7及び図14において、地図70上に表示される警報アイコンには、例えば、ループコイルアイコン76A、LHシステムアイコン76B、新Hシステムアイコン(図14を参照)、レーダー式オービスアイコン76C、検問エリアアイコン(図14を参照)、取締エリアアイコン(図14を参照)、Nシステムアイコン(図14を参照)、事故多発エリアアイコン77などのPOIアイコンが含まれる。なお、これらPOIアイコンは一例にすぎず、地図70上に表示される警報アイコンには、ユーザに報知する必要がある所定の対象物(又は対象エリア)の位置情報を示すアイコンが広く含まれる。
本実施形態では、警報対象物の緊急性の程度に応じて、上述した各POIアイコンを警報、警告、告知にグループ分けし、グループごとにアイコンを色分けしている。図7に示すカラー表示時において、例えば、ループコイルアイコン76A、LHシステムアイコン76B、新Hシステムアイコン及びレーダー式オービスアイコン76Cは、いずれも警報のグループに属し「赤+白」で表示される。検問エリアアイコン及び取締エリアアイコンは、いずれも警告のグループに属し「黄+白」で表示される。Nシステムアイコン及び事故多発エリアアイコン77は、いずれも告知のグループに属し「青+白」で表示される(以上、図14中の「カラー表示時の色」を参照)。また、本実施形態では、図7に示すカラー表示時に、上述した各POIアイコンは、従来と同様に、いずれも平面的な2Dオブジェクトとして表示される(図14中の「表示タイプ」を参照)。
<<<モノトーン表示の地図画面>>>
図7に示すカラー表示の地図画面において、自車が警報対象物に所定距離まで接近すると、表示部12の画面が図8に示すモノトーン表示の地図画面に切り替わる。本実施形態では、不要な情報を省略し、警報機能を果たすために必要な情報のみを画面上に表示し、警報機能を果たすために、特に必要性の高い情報をカラー表示で目立たせ、その他をモノトーン表示にしている。なお、本実施形態における「警報機能を果たすために必要な情報」とは、警報対象物に関する事項をユーザに伝えるため必要な情報である。このようなモノトーン表示の地図画面について、以下、図8を参照しつつ説明する。
<<<<表示の省略>>>>
まず、図7に示すカラー表示の地図画面から、図8に示すモノトーンの地図画面に切り替わる際に、警報機能を果たすために不必要な情報が省略される。本実施形態では、図7に示す地図70上のテキスト文字、自車の進路(目的地ルート81D)と無関係な施設アイコン74A〜74D及び企業アイコン75を画面上から省略し、図8に示す地図80上に表示される情報のシンプル化を図っている。
図8に示すモノトーン表示の地図画面に切り替わる際の表示省略の可否を、図11〜図14の「表示省略」の欄に例示する。例えば、図11に示す地図の陸地要素について、「陸地」及び「目的地ルート」は省略しない(図8の符号81A及び81Dを参照)。ルート案内機能の実行中、目的地ルート81Dは、現在の自車の進路を示すものであり、進路上の警報対象物をユーザに報知するために必要だからである。また、陸地81Aは、自車の進路となる道路の背景であり、情報としての重要度は低いが地図画面を構成するために必要だからである。一方、「高規格道路」及び「低規格道路」は、自車の進路でない限り、表示を省略してもよい。また、図8に示すように、自車の進路と交差する道路81C、自車の進路と近接する道路81Cは、自車の位置を把握するのに役立つ場合があるので、表示を省略しなくてもよい。
例えば、図12に示す地図上の一般的なアイコンについて、「自車」の位置を示す自車アイコン81D以外は、表示を省略してもよい。但し、自車又は警報対象物の位置を把握するのに役立つアイコンは、表示を省略しなくてもよい(図8の符号83Aを参照)。また、ルート案内機能の実行中は、「目的地」のアイコンの表示を省略しなくてもよい。
例えば、図13に示す地図上の施設アイコン、企業アイコンは、警報機能を果たすために不必要な情報であるから、全て表示を省略してもよい。但し、本実施形態のように、自車の進路である目的地ルート81D沿いの施設アイコン、企業アイコンは、自車又は警報対象物の位置を把握するのに役立つので、表示を省略しなくてもよい(図8の符号75を参照)。
例えば、図14に示す地図上の警報アイコンは、自車の進路上又は自車の近くに位置していなければ、表示を省略してもよい。但し、本実施形態のように、現在の地図80の縮尺で表示可能な警報アイコンを全て表示するようにしてもよい(図8の符号86A〜86C及び87を参照)。
<<<<地図の表示態様>>>>
図8において、本実施形態に係るモノトーン表示の地図画面は、陸地81A、警報機能を果たすために必要な低規格道路81C、目的地ルート81D(高規格道路81B)、自車アイコン82、信号アイコン83A、企業アイコン75、及び現在の地図80の縮尺で表示可能な全ての警報アイコン86A〜86C、87で構成してある。
これら表示のうち、陸地81A、低規格道路81C及び信号アイコン83Aは、単一色の濃淡又は明暗で表現されたモノトーン表示としてあり、これら以外の目的地ルート81D、自車アイコン82、企業アイコン75及び警報アイコン86A〜86C、87は、モノトーン表示と異なる有彩色のカラー表示としてある。
まず、図8中のモノトーン表示の構成要素について説明する。本実施形態では、地図80の陸地要素である陸地81A及び低規格道路81Cを、金属表面を模した外観の2Dオブジェクトとしてある。陸地81Aは、図3に示す筐体11の金属表面(例えば、無塗装のアルミニウム)の色、光沢、表面処理を模した描画としてあり、ユーザが画面を一瞬見たときに、筐体11と陸地81Aとの区別がつきにくくなっている。また、低規格道路81Cは、陸地81Aの金属表面にエッチング加工を模した描画としてあり、金属表面を模した陸地81Aの上で、違和感が生じにくい表示となっている。
なお、図12に示す「信号」、「目的地」、「高速道路」、「国道」及び「県道」などの一般的なアイコンを省略しない場合には、図8の地図80上にグレースケールで表示して目立たないようにする。図13に示す「学校」、「病院」、「神社」及び「建物」などの施設アイコンを省略しない場合も同様である。また、これらのアイコンをグレースケールで表示する場合には、エッチング等による金属の凹凸加工又は抜き加工を模した表現で描画し、陸地81Aの上での違和感が生じにくい表示とする(以上、図12及び図13の「モノトーン表示時の色」を参照)。
次いで、図8中のカラー表示の構成要素について説明する。本実施形態では、目的地ルート81Dを、図5に示すインジケータ52Bの発光52bと同じ表示態様としてある。すなわち、目的地ルート81Dは、自車の進路に沿って延びるライン状の発光を模しており、その中心部を明度の高い色(例えば「白」)にするとともに、周辺部を中心部よりも明度の低い色(例えば「青」、「緑」、「赤」又は「紫」)にしている。この発光を模した目的地ルート81Dは、平面的な2Dオブジェクトとしてあり、陸地81Aの金属表面に抜き加工を模して描画した高規格道路81Bを、裏側から有彩色の光で照明したような表現でカラー表示している。
自車アイコン82は、図7に示す2Dオブジェクトから図8に示す3Dオブジェクトに変更する(図12中の「表示タイプ」を参照)。3Dオブジェクトの自車アイコン82は、それ自体を赤い矢印形の立体に描画するとともに、陸地81Aの金属表面と高低差をもたせ、発光する目的地ルート81D上に浮遊しているように描画する。
各警報アイコン86A〜86C、87も、上述した自車アイコン82と同様に、図7に示す2Dオブジェクトから図8に示す3Dオブジェクトに変更する(図12中の「表示タイプ」を参照)。3Dオブジェクトの各警報アイコン86A〜86C、87は、それ自体を球形の立体に描画するとともに、陸地81Aの金属表面と高低差をもたせ、陸地81A、高規格道路81B、低規格道路81C又は目的地ルート81D上に浮遊しているように描画する。画面中の高低差については、陸地81Aを最も低く、各警報アイコン86A〜86C、87を中間、自車アイコン82を最も高い位置に表示する。したがって、自車アイコン82は、目的地ルート81D上に表示した各警報アイコン86A〜86C、87の上を通過することが可能となっている。また、各警報アイコン86A〜86C、87は、図8の矢印で示すように、地図80上で一方向に回転させてあり、自車アイコン82や企業アイコン75と一見して区別できるようになっている。
なお、本実施形態では、目的地ルート81D沿いの企業アイコン75を省略しないで表示するようにしてある。企業アイコン75を省略しない場合は、図7と同様に、各企業が定めたロゴの色でカラー表示する。
<<<モノトーン表示の地図画面の変更例>>>
上述した図8のモノトーン表示の地図画面の変更例を図9に示す。図9に示す地図画面は、自車の進路上における直近の警報対象物を報知するために、上述した図8のモノトーン表示の地図画面から、更に必要性の低い情報を省略した構成となっている。
図7に示すカラー表示の地図画面において、自車が警報対象物に所定距離まで接近すると、表示部12の画面を図9に示すモノトーン表示の地図画面に切り替える。図9に示す地図画面では、金属表面を模したモノトーン表示の地図80上に、目的地ルート81D、自車アイコン82及び直近の警報アイコン86Aのみをカラー表示し、図7に示すその他のアイコンを全て省略する。
また、地図80及び目的地ルート81Dは2Dオブジェクトで表示し、これら2Dオブジェクト上に、特に必要性の高い、自車アイコン82及び直近の警報アイコン86Aのみを3Dオブジェクトで表示する。さらに、3Dオブジェクトの警報アイコン86Aを、地図80上で図中の矢印方向に回転させ、金属表面を模したモノトーン表示の地図80上でユーザの目を強く引き付ける。
このような本実施形態の地図画面によれば、自車の進路上における直近の警報対象物を報知するために必要最低限の情報81D、82及び86Aのみを、モノトーン表示の地図80上にカラー表示する構成としてあるので、自動二輪車を運転中のユーザでも、画面上の必要な情報81D、82及び86Aにピンポイントでアクセスすることができ、自車と直近の警報対象物との位置関係を一目で把握することが可能となる。
<<<モノトーン表示の地図画面のその他の変更例>>>
上述した図8及び図9の各実施形態は、いずれもナビゲーション装置10が警報を報知する際の地図80をモノトーン表示にする場合を例示したが、本発明の表示態様は、警報の報知に限定されるものではない。例えば、図10に示すように、ナビゲーション装置10が、自車を目的地に案内する際に、地図をカラー表示からモノトーン表示に切り替えてもよい。
ナビゲーション装置10は、ルート案内機能の実行中、自車が左折又は右折ポイントに接近するまでは、陸地要素、一般的なアイコン、施設アイコン、企業アイコンの全てを含む詳細な地図をカラー表示する(図7を参照)。その後、自車が左折又は右折ポイントに所定距離まで接近すると、カラー表示の詳細な地図を、図10に示すモノトーン表示の地図90に切り替える。
図10の地図90は、図8及び図9の実施形態と同様に、金属表面を模した陸地91A上に、エッチング加工を模した描画で高規格道路91B及び低規格道路91Cを表示した構成となっており、これらの構成要素を全てモノトーン表示の2Dオブジェクトとしてある。このようなモノトーン表示の地図90上に、目的地ルート91D、自車アイコン92及び旗アイコン93がカラー表示される。目的地ルート91Dは、自車の進路に沿って延びるライン状の発光を模した2Dオブジェクトであり、車アイコン92及び旗アイコン93は、3Dオブジェクトとしてある。
本実施形態では、例えば、「赤」や「黄」などの旗アイコン93を自車の右折ポイントに表示するとともに、この旗アイコン93を点滅させて目立たせている。また、本実施形態では、自車の右折ポイントをより分かりやすくするために、図9の実施形態と同様に、必要性の低い陸地要素、一般的なアイコン、施設アイコン、企業アイコンは全て省略してある。
上述したように、本実施形態の地図画面では、自車の進路となる目的地ルート91D、自車の位置を示す自車アイコン92、及び自車の右折ポイントを示す旗アイコン93といった、自車の右折ポイントをユーザに伝えるために必要最低限の情報のみを、モノトーン表示の地図90上にカラー表示する構成としてある。これにより、地図90上の右折ポイントを一目で把握することができ、走行する自車と右折ポイントとの実際の位置関係も明確となる。
<その他の変更>
本発明の車載用電子機器は、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、本発明を適用する車載用電子機器は、図1〜3に示した構成の自動二輪車用のナビゲーション装置に限定されるものではなく、自転車用又は自動車用のナビゲーション装置のほか、種々の構成の車載用電子機器、例えば、レーダー探知機に適用することが可能である。
また、図4〜図14に示した画面上の表示は全て一例にすぎず、本発明が特徴とするモノトーン表示の態様を含む限り、車載用電子機器の各種機能を実現するための表示のデザインは、自由に変更することができる。
<モノトーン表示の実施例>
本発明の車載用電子機器におけるモノトーン表示の実施例(実際のCG画面)を図15〜図24に示す。
図15及び図16は、いずれもモノトーン表示のメニュー画面を示すものであり、背景及び各メニューアイコンがヘアライン模様の金属表面を模した描画となっている。図15に示すトップメニュー画面における「検索」のアイコンにタッチすると、「検索」の文字がカラー表示(発光)に切り替わり、図16の目的地設定メニュー画面が表示される。
図17は、モノトーン表示のオプション画面を示すものであり、ボタンやキースイッチなどの操作部をヘアライン模様の金属表面とし、滑らかな光沢のみの背景と質感を異ならせて、操作部を視覚的に区別しやすくしてある。図15に示すトップメニュー画面における「設定」のアイコンにタッチすると、「設定」の文字がカラー表示(発光)に切り替わり、図17のオプション画面が表示される。
図18は、モノトーン表示のキーボード画面を示すものであり、ボタンやキースイッチなどの操作部をヘアライン模様の金属表面とし、艶のないマットな背景と質感を異ならせて、操作部を視覚的に区別しやすくしてある。図16に示す目的地設定メニュー画面における「フリーワード」、「住所」、「施設」のいずれかアイコンにタッチすると、これらの文字がカラー表示(発光)に切り替わり、図18のキーボード画面が表示される。
図19は、モノトーン表示の地図画面を示すものであり、地図上には、陸地、道路、一般的なアイコン、施設アイコン及び企業アイコンなど、全ての情報が詳細に表示されている。これら情報のうち、自車アイコン、企業アイコン及び警報アイコンがカラー表示であり、その他は全てモノトーン表示となっている。また、地図上には、金属プレートを模した「現在時刻表示」、「方位表示・GPS受信表示」、「地図スケール」及び「自車速度」の各ウインドウが重複して表示されている。本実施例では、これら「現在時刻表示」、「GPS受信表示」、「地図スケール」及び「自車速度」の各ウインドウを透光性の描画としてあり、その下の地図表示が透けて見えるようになっている。「甲州街道」を含むルート表示ウインドウ、「LHシステム 314m」を含む警報時表示ウインドウ(最小化表示)も同様に透光性の描画としてある。なお、この警報時表示ウインドウは、図17に示すオプション画面の「フルマップレーダー表示」の設定を「警告時表示(最小化)」に設定した場合の表示態様であり、警報対象物の種類及び距離が細長い矩形のウインドウに表示される。本実施例において、警報時表示ウインドウは、ユーザの注意を喚起する赤色でカラー表示されている。
図20は、モノトーン表示の地図画面を示すものであり、上述した図19の地図画面と比較して、地図上に「現在地」、「周辺施設」、「地点登録」、「ここへ行く」の各操作ボタンが重複して表示してある点が相違している。画面中、各操作ボタンのみが、ヘアライン模様の金属表面を模した描画の3Dオブジェクトとしてあり、その他の2Dオブジェクトの表示と比較して、視覚的に区別しやすくしてある。
図21及び図22は、いずれもモノトーン表示の地図画面及びハイウェイ表示を示すものであり、画面の左半分が地図画面、左半分がハイウェイ表示となっている。図21において、地図画面には、自車の走行する高速道路周辺の地図上に「現在時刻表示」、「方位表示・GPS受信表示」、「地図スケール」、「自車速度」、「目的地までの距離」、「到着予定時刻」及び「交差点情報」の各ウインドウが重複して表示されている。このような地図画面中、自車アイコン、「方位表示・GPS受信表示」の北を示す「赤矢印」及び「圏外」の文字、「交差点情報」に含まれる2つの直線矢印、「交差点情報」に含まれる「新京橋」の背景がカラー表示となっており、それ以外の表示は全てモノトーン表示となっている。
一方、図21に示すように、ハイウェイ表示の背景上には、道路、発光する目的地ルート及び自車アイコンからなるルート表示、上下スクロールボタン、自車アイコンと同じ矢印マークを有する「現在の自車位置」の表示ボタン、「戻る」の操作ボタン、インターチェンジやパーキングエリアなどの高速道路上の施設と距離を示す3つの誘導アイコン、「東京高速KK線」の文字を含む「道路名称」のウインドウ、「新京橋 260m」の文字を含む「次案内施設情報」のウインドウが重複して表示されている。
そして、図21に示すハイウェイ表示において、「現在の自車位置」の表示ボタンにタッチすると、その矢印マークが数秒発光した後、「現在の自車位置」の表示ボタン及び上下スクロールボタンが画面外にスライドして、図22に示す「現在の自車位置」の表示が現れる。図22に示す「現在の自車位置」の表示は、発光するインジケータバーと自車アイコンとの組合せからなっている。
図21に示すハイウェイ表示中、ルート表示の自車アイコン、及び3つの誘導アイコンがカラー表示となっており、それ以外の表示は全てモノトーン表示となっている。図22に示す「現在の自車位置」の表示は、インジケータバーの発光部分及び自車アイコンがカラー表示となっている。なお、3つの誘導アイコンは、ヘアライン模様の金属プレートを模した描画となっており、酸化皮膜による発色処理を模して着色してある。
図23は、モノトーン表示の地図画面及びフルマップレーダー表示を示すものであり、画面の左半分が地図画面、左半分がフルマップレーダー表示となっている。なお、本実施形態のフルマップレーダー表示は、図17に示すオプション画面の「フルマップレーダー表示」の設定を「警告時表示(通常)」又は「常時表示」に設定した場合の表示態様であり、画面上部のステータスバー、画面中央のフルマップレーダースコープ、画面下部の警報対象物の種類及び距離の表示からなっている。
本実施例では、画面左半分の地図をグレースケールのモノトーン表示とし、画面右半分のフルマップレーダースコープを赤のモノトーン表示としている。これら地図及びフルマップレーダースコープ中の情報は、各自車アイコン、各警報アイコン及び目的地ルートのみがカラー表示となっており、それ以外の情報は全てモノトーン表示となっている。
図24は、通常のカラー表示の地図画面上に表示された、モノトーン表示の確認ウインドウを示すものである。この確認ウインドウは、艶なしのマットな金属プレートを模した2Dオブジェクトの背景と、ヘアライン模様の金属表面を模した3Dオブジェクトの2つの操作ボタンとからなっている。金属プレートを模した背景には、エッチング加工を模した描画でメッセージ文字が表示されており、各操作ボタンにも、エッチング加工を模した描画で「はい」及び「いいえ」の文字が表示されている。いずれかの操作ボタンにタッチすると、「はい」又は「いいえ」の文字がカラー表示で発光するようになっている。