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JP5897704B2 - ブラキスパイナ突然変異の検出 - Google Patents

ブラキスパイナ突然変異の検出 Download PDF

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Description

発明の背景
技術分野
本発明は、常染色体劣性遺伝による遺伝的欠損であるブラキスパイナに罹患しているか、またはそのキャリアであるウシの検出のための方法に関する。本発明は、ウシがブラキスパイナに罹患しているか否か、またはそのキャリアであるか否かを、そのゲノムDNAまたはそのRNAを分析することにより判定するための方法を提供する。本方法は、ウシ由来のゲノムDNAまたはRNAを含有する材料のサンプルを得ること、およびブラキスパイナ症候群を引き起こす突然変異である、ウシFANCI遺伝子のエキソン25、26および27を欠く3.3Kb(bTau4.0ゲノムビルドのヌクレオチド20537017番〜20540346番)の欠失の存在に関して前記核酸の遺伝子型を判定することを含む。
背景技術
家畜における遺伝子欠損に対するマーカー利用選抜(marker assisted selection)
家畜において所望の特徴を鋭意選抜すると、多くの場合、ますます同系交配が進み、新規な劣性欠損の出現の原因となる。ホルスタイン−フリージアン牛におけるこのような勃発の例として、ウシ白血球接着不全症(BLAD)(1)および複合脊椎形成不全症(CVM)(2)がある。このような欠損からのウシの死亡率は、重大な経済損失を招き、健康上の問題を浮上させる。
ほとんどの遺伝欠損は常染色体劣性であり、一般に必須遺伝子における機能欠失型突然変異(記号「d」)によるものである。健康であるが、1コピーの突然変異を有する動物(遺伝子型「+/d」、すなわち「キャリア」)間の交配は、罹患型となる同型接合性突然変異動物(遺伝子型「d/d」)を25%生じる。+/dキャリア動物の同定を可能とする診断検査を用いれば、キャリア動物を選別し、それにより前記突然変異を除去し、従って集団から排除すること、またはキャリアの父牛と母牛間の「リスクのある」交配を避けることができる。最近、極めて有効なゲノムツールが開発されたことで、今や、原因となる「d」突然変異の分子レベルでの迅速同定が可能である(3)。それが同定されれば、当業者に周知の一定範囲の一般的なDNAに基づく技術を用いて有効な診断検査を開発することができる。
ブラキスパイナ症候群および遺伝子座
最近(4)、ブラキスパイナ症候群と呼ばれる新たな遺伝子欠損が、ホルスタイン−フリージアン乳牛において同定された。罹患動物は重篤な体重減少、成長遅滞、脊椎の著しい短縮を伴う重篤な脊椎奇形(ブラキスパイナ)および細長い四肢を特徴とする。さらに、罹患動物は劣ったブラキグナチズム(brachygnatism)ならびに内部臓器、特に、心臓、腎臓および精巣の奇形を呈する。報告された症例は総て、父方および母方の双方で共通の先祖に遡り、常染色体劣性伝達が示唆された。
本発明者らは、これまでに、最近開発された50K SNPアレイおよび「自己接合性マッピング」(3)と呼ばれる統計学的アプローチを用いて、ウシ第21染色体上の2.46Mbゲノムセグメントにブラキスパイナ遺伝子座の位置を突きとめた(5)。これらの発見に基づき、本発明者らは、ブラキスパイナ遺伝子座にわたるSNPマーカーのパネルに基づく「間接的」診断検査を開発した。このような間接的検査は、しばしばハプロタイプに基づく検査と呼ばれ、+/dキャリア動物を検出するために使用でき、すでに使用されている。しかしながら、「d」対立遺伝子を生じる疾患とSNP対立遺伝子の間の関連は完全ではないので、このような間接的検査には感受性と特異性が不足するという問題がある。同型接合+/+動物には誤ってキャリアとされるものがあり、また+/dキャリア動物が見逃されるものもある。理想的には、原因となる突然変異の検出に基づく、従ってほぼ完全な感受性と特異性を備えた改良された診断検査が必要である。
ブラキスパイナ症候群の繁殖力への影響
本発明者らは、これまでに(5)、ブラキスパイナ突然変異を有する父牛からの精子を注入した雌牛は、受胎率(妊娠成功の結果として発情に戻らないということ)の低下、死産率の増加、および淘汰率の増加を示すことを報告した。これらの特徴は総て、受胎産物の〜4%の胚および胎児死亡率をもたらすと思われる。従って、ブラキスパイナ症候群を引き起こすことに加え、ブラキスパイナの1または複数の突然変異は、乳牛育種における最も重要な経済形質の2つである雄および雌の繁殖力に重大な影響を及ぼす。従って、適当な診断試験によってブラキスパイナ突然変異を検出できることは、ホルスタイン−フリージアン種の乳牛の繁殖力の改良に重大な影響を持つ。
上記の点から、本発明の基本的な技術的問題は、畜牛におけるブラキスパイナまたはこの疾患のキャリア状態の選択的かつ便利な診断を可能とする手段および方法を提供することであった。前記の技術的問題の解決策は、特許請求の範囲で特徴付けられる実施形態によって達成される。本発明は、畜牛においてブラキスパイナ症候群を引き起こす突然変異の特徴を初めて提供する。
よって、第1の実施形態において、本発明は、ウシ生体サンプルからブラキスパイナ症候群を検出する方法であって、ブラキスパイナを引き起こす欠失に関してポリヌクレオチド、DNAまたはRNAの遺伝子型を判定することを含んでなる方法に関する。特に、本発明は、ウシがブラキスパイナ(brachyspina)(BS)に罹患しているか否か、またはそのキャリアであるか否かを、そのゲノムDNAを分析することにより判定するための方法であって、
a)前記ウシから得られた前記ゲノムDNAを含有する生体材料のサンプルからDNAを抽出する工程、
b)ウシ第21染色体上のヌクレオチド20537017番〜20540346番(bTau4.0)の区間における欠失に関して前記DNAの遺伝子型を判定する工程、および
c)前記動物がブラキスパイナ突然変異を有しているか否かを判定する工程
を含んでなる方法に関する。
図1は、ブラキスパイナ遺伝子座の概略図を表す。(A)ウシ第21染色体上にブラキスパイナ遺伝子座の位置を決定する自己接合性マッピングの結果、(B)6つのブラキスパイナ症例および3つの健常対照の、第21染色体上の1,269のSNPマーカーに関する遺伝子型、自己接合性の2.46Mb領域を白黒で示す、(C)2.46Mb領域の遺伝子内容、(D)3.3Kbブラキスパイナ欠失の位置を示したFANCI遺伝子の構造を示す。 図2は、ブラキスパイナ突然変異の概略図を表す。(A)ウシFANCI遺伝子のエキソン25、26および27を欠失させる3.3Kbブラキスパイナ欠失の詳細図。欠失切断点を挟み込む配列が示される。(B)ウシFANCIタンパク質の構造に対する3.3Kbブラキスパイナ欠失の推定される影響。 図3は、ブラキスパイナ5’エキソヌクレアーゼ試験で得られた結果の例を表す。各動物を点で表し、三つのクラスターはそれぞれ+/+、+/d、およびd/d動物に相当し、非鋳型対照(NTC)をxで表示する。
発明の具体的説明
同様に好ましくは、ウシがブラキスパイナ(BS)に罹患しているか否か、またはブラキスパイナ(BS)のキャリア(carrier)であるか否かを、そのゲノムDNAを分析することにより判定するための方法であって、
a)前記ウシからの前記ゲノムDNAを含有する材料のサンプルを得る工程、
b)前記サンプルからDNAを抽出する工程、
c)ウシ第21染色体上のヌクレオチド20537017番〜20540346番(bTau4.0)間の区間における欠失に関して前記DNAの遺伝子型を判定する工程、および
d)前記動物がブラキスパイナ突然変異を有しているか否かを判定する工程
を含んでなる方法も好ましい。
本発明に従う用語「ウシ」とは、ボースタウルス(家畜種)(Bos taurus)由来の総ての畜牛または畜牛品種を包含する。本発明の方法の好ましい実施形態では、ウシはホルスタイン種、フリージアン種およびホルスタイン−フリージアン交配種、ブリティッシュおよび/またはオランダフリージアン種からなる群から選択される。
用語「ブラキスパイナのキャリア」とは、(父牛から遺伝したものであれ母牛から遺伝したものであれ)その染色体の一方にブラキスパイナ欠損を引き起こす突然変異を有し、他方の染色体に野生型対立遺伝子を有するウシを意味する。
本発明による用語「サンプル」または「生体サンプル」とは、前記被験ウシ由来の核DNAを含有するいずれの材料も意味する。好ましい実施形態では、本発明の方法で使用される生体サンプルは、血液、精子、毛根、乳汁、ならびに有核細胞を含む体液からなる群から選択される。生体サンプルとしていっそうより好ましいのは、有核細胞を含む1または複数の組織である。
よって、さらなる実施形態では、生体サンプルにおいてウシがa)ブラキスパイナに罹患しているか否か、b)ブラキスパイナを有するか否か、またはc)前記疾患のキャリアであるか否かを判定するための方法が提供される。
DNAの抽出/単離および精製方法は当技術分野で周知であり、本発明において適用可能である。ゲノムDNAを単離するための標準的プロトコールは、とりわけ、Sambrook, J., Russell, D.W., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, the third edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York, 1.31-1.38, 2001およびSharma, R.C., et al., A rapid procedure for isolation of RNA-free genomic DNA from mammalian cells, BioTechniques, 14, 176-178, 1993に示されている。
本発明に従う用語「ブラキスパイナ突然変異」、「ブラキスパイナ欠失」、または「欠失」とは、ウシ第21染色体上のヌクレオチド20537017番〜20540346番(bTau4.0)の区間における欠失を意味する。よって、好ましい側面では、この欠失は、ウシ第21染色体上の、ウシFANCI遺伝子中のヌクレオチド20537017番〜20540346番(bTau4.0)にわたる3,329塩基対(本明細書では3.3Kbの欠失とも呼ばれる)を包含する。好ましい欠失は、ウシFANCI遺伝子からエキソン25、26および27を除去する。ブラキスパイナ突然変異/欠失は、アミノ酸877番でフレームシフトを引き起こして、451カルボキシ末端アミノ酸を26残基長の非正統的ペプチドに置き換えると予想される。さらに、その次のエキソン28における停止コドンはナンセンス変異依存RNA分解を引き起こすと思われる。
本発明に従う用語「ブラキスパイナ突然変異に関して前記DNAの遺伝子型を判定する」または「ブラキスパイナ欠失に関して前記DNAの遺伝子型を判定する」とは、DNAサンプルに特定のヌクレオチド配列が存在するか否かを判定または同定するための方法を意味する。DNAサンプルにこのようなヌクレオチド配列が存在するか否かを判定するための、例えば(6)などの、当業者に公知のいくつかの方法がある。これらには、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)または他のいずれかの増幅法による前記突然変異を包含するDNAセグメントの増幅、ならびに対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーション、または3’エキソヌクレアーゼアッセイ(Taqmanアッセイ)、または蛍光色素および消光剤に基づくPCRアッセイ、または対立遺伝子特異的制限酵素(RFLPに基づく技術)の使用、または直接シーケンシング、またはオリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ(OLA)、またはピロシーケンス、またはインベーダーアッセイ、またはミニシーケンシング、またはDHPLCに基づく技術、または一本鎖高次構造多型(SSCP)、または対立遺伝子特異的PCR、または変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)、温度勾配ゲル電気泳動(TGGE)、化学的ミスマッチ切断(CMC)、異種二本鎖分析に基づく系、質量分析に基づく技術、侵入切断アッセイ、多型比シーケンシング(PRS)、マイクロアレイ、ローリング・サークル・エクステンション・アッセイ(rolling circle extension assay)、HPLCに基づく技術、伸長に基づくアッセイ、ARMS(アンプリフィケーション・レフラクトリー・ミューテーション・システム(Amplification Refractory Mutation System)、ALEX(アンプリフィケーション・レフラクトリー・ミューテーション・ライナー・エクステンション(Amplification Refractory Mutation Linear Extension)、SBCE(一塩基伸長)、モレキュラービーコンアッセイ、インベーダー(Third wave technologies)、リガーゼ連鎖反応アッセイ、5’−ヌクレアーゼアッセイに基づく技術、ハイブリダイゼーションキャピラリーアレイ電気泳動(CAE)、タンパク質トランケーションアッセイ(PTT)、イムノアッセイおよび固相ハイブリダイゼーション(ドットブロット、リバースドットブロット、チップ)によるアンプリコンの調査が含まれる。この方法の一覧は限定を意味するものではなく、多様な利用可能な方法を単に例示することを意味する。これらの方法のいくつかは、本発明の方法に従ってマイクロアレイ形式(マイクロチップ)でまたはビーズ上で行うことができる。
よって、本発明はまた、プライマーまたはプライマー対の使用に関し、この場合、前記プライマーまたはプライマー対は、ブラキスパイナ欠失に相当するDNA(ヌクレオチド20537017番〜20540346番(bTau4.0))もしくはそれを挟み込むDNA(すなわち、例えば、ヌクレオチド20527017番〜20537017番および20540346番〜20550346番(bTau4.0))、または相補鎖とストリンジェント条件下でハイブリダイズする。
好ましくは、本発明のプライマーは、少なくとも14ヌクレオチド、例えば17または21ヌクレオチドの長さである。
本診断検査の一実施形態では、2つのプライマーセットを同時に用いて、野生型および変異型対立遺伝子をそれぞれ増幅する。対応するアンプリコンは、ストリンジェントハイブリダイゼーション条件下で野生型および変異型対立遺伝子をそれぞれ認識する内部プライマーを用いた5’エキソヌクレアーゼアッセイを用いてそれぞれ検出される。ハイブリダイゼーションの「ストリンジェントまたは高ストリンジェント条件」は周知であるか、または当業者ならば従来のプロトコールに従って確立することができる。各配列に適当なストリンジェント条件は、温度、核酸分子の組成、塩条件などの周知のパラメーターに基づいて確立することができる、例えば、Sambrook et al., "Molecular Cloning, A Laboratory Manual"; CSH Press, Cold Spring Harbor, 1989またはHiggins and Hames (eds.), "Nucleic acid hybridization, a practical approach", IRL Press, Oxford 1985参照、特に3-15のBritten & Davidsonによる"Hybridization Strategy"の章を参照。典型的な(高ストリンジェント)条件は、65℃にて0.5×SSCおよび0.1%SDS中でのハイブリダイゼーション、または42℃にて50%ホルムアミド、4×SSCおよび0.1%SDS中でのハイブリダイゼーションを含んでなる。ハイブリダイゼーションの後に通常、非特異的シグナルを除去するための洗浄が行われる。洗浄条件には、65℃にて0.2×SSCおよび0.1%SDSまたは2×SSCおよび0.1%SDSまたは25℃〜65℃にて0.3×SSCおよび0.1%SDSなどの条件が含まれる。
用語「ウシ第21染色体の塩基20537017番〜20540346番」とは、例えばUCSC、Ensembl、およびNCBIゲノムブラウザから検索することができるウシボースタウルス(家畜種)参照配列(bTau4.0)を意味する。このBtau_4.0は、ベイラー医科大学ヒトゲノム解析センターでアトラスゲノムアセンブリシステムにより作成されたものである。このシーケンシング戦略は、BACショットガンリードと小インサートライブラリーからの全ゲノムショットガンリードならびにBAC末端配列を組み合わせたものである。本明細書に言及されるウシ第21染色体の塩基20156961番〜22499122番(bTau_4.0)にわたる本発明のヌクレオチド参照配列は本発明の範囲内に含まれ、PCT/EP2009/058190号公報の配列番号1に示される。
ウシFANCI遺伝子の野生型対立遺伝子配列は、本明細書では配列番号1として示される。この配列は、ウシ第21染色体上の参照配列bTau4.0のヌクレオチド20,485,327番〜20,551,026番の区間に位置する。
FANCI遺伝子における、本発明に従うウシ「ブラキスパイナ突然変異」または「ブラキスパイナ欠失」の例示的および特に好ましい変異型対立遺伝子配列は、本明細書では配列番号2として示される。この配列は、ウシ第21染色体上の参照配列bTau4.0のヌクレオチド20,485,327番〜20,551,026番の区間に位置する。
本発明のさらなる実施形態では、ウシがブラキスパイナ(BS)に罹患しているか否か、またはそのキャリアであるか否かをそのゲノムRNAを分析することにより判定するための方法であって、
a)前記ウシから得られた前記ゲノムDNAを含有する生体材料のサンプルからRNAを抽出する工程、
b)ウシ第21染色体上のヌクレオチド20537017番〜20540346番(bTau4.0)の区間における欠失に関して前記の遺伝子型を判定する工程、および
c)前記動物がブラキスパイナ突然変異を有しているか否かを判定する工程
を含んでなる方法が提供される。
好ましい側面では、前記欠失は、ウシFANCI遺伝子における、ウシ第21染色体上のヌクレオチド20537017番〜20540346番(bTau4.0)にわたる3,329塩基対を包含する。
同様に好ましくは、ウシがブラキスパイナ(BS)に罹患しているか否か、またはブラキスパイナ(BS)のキャリアであるか否かを、そのゲノムRNAを分析することにより判定する方法であって、
a)前記ウシからの前記ゲノムRNAを含有する材料のサンプルを得る工程、
b)前記サンプルからRNAを抽出する工程、
c)ウシ第21染色体上のヌクレオチド20537017番〜20540346番(bTau4.0)間の区間における欠失に関して前記RNAの遺伝子型を判定する工程、および
d)前記動物がブラキスパイナ突然変異を有しているか否かを判定する工程
を含んでなる方法も好ましい。
また、好ましい側面では、前記欠失は、ウシFANCI遺伝子における、ウシ第21染色体上のヌクレオチド20537017番〜20540346番(bTau4.0)にわたる3,329塩基対を包含する。
本明細書に言及される「RNA」は、あらゆる種類のRNAを包含する。当技術分野で周知の技術が全RNA、ミトコンドリアRNA、またはメッセンジャーRNAの単離のために使用可能である。当業者ならば、供試サンプルの性質に応じて、たやすく好適な抽出法を選択することができる。
RNAを含有するサンプルを本発明に従って増幅反応の鋳型として使用する場合、増幅を行えるようにするためにはその前に前記RNAを転写してcDNAとする必要がある。この場合にも、これを行うための技術は当業者に周知である。一例として、RNAはRNeasy(商標)ミニキット(Qiagen)で精製してもよい。その後、例えばスーパースクリプト(商標)チョイスシステム(Invitrogen)を用いてRNAを逆転写してcDNAとする。
本発明の別の実施形態では、ウシがブラキスパイナ症候群(BS)に罹患しているか否か、またはそのキャリアであるか否かを、そのゲノムDNAまたはRNAを分析することにより判定するための方法であって、
a)前記ウシから得られた前記ゲノムDNAまたはRNAを含有する生体材料のサンプルからDNAまたはRNAを抽出する工程、
b)ウシ第21染色体上のヌクレオチド20537017番〜20540346番(bTau4.0)間の区間における欠失に関して前記DNAまたはRNAの遺伝子型を判定し、さらにブラキスパイナ遺伝子座に連鎖している遺伝子マーカーを含んでなる工程、および
c)前記動物がブラキスパイナ突然変異を有しているか否かを判定する工程
を含んでなる方法が提供される。
本発明のさらなる実施形態では、ウシがブラキスパイナ症候群に罹患しているか否か、またはブラキスパイナのキャリアであるか否かを、そのDNAまたはRNAを分析することにより判定するための方法であって、
a.前記ウシから前記ゲノムDNAまたはRNAを含有する材料のサンプルを得る工程、
b.前記サンプルからDNAまたはRNAを抽出する工程、
c.ブラキスパイナ遺伝子座に連鎖している遺伝子マーカーに関して前記DNAまたはRNAの遺伝子型を判定する工程、および
d.前記動物がブラキスパイナ突然変異を有しているか否かを連鎖解析(linkage analysis)により確認する工程
を含んでなる方法が提供される。
よって、本発明のさらなる好ましい側面では、特許請求される方法の遺伝子型判定工程は、ブラキスパイナ遺伝子座に連鎖している遺伝子マーカーをさらに用いる。
本発明に定義される用語「ブラキスパイナ遺伝子座」とは、変異または欠失した場合にブラキスパイナの原因となるか、またはブラキスパイナキャリア状態をもたらす、第21染色体上のウシFANCI遺伝子中のポリヌクレオチド配列を意味する。好ましい実施形態では、「ブラキスパイナ遺伝子座」は、ウシFANCI遺伝子における、ウシ第21染色体上のヌクレオチド20537017番〜20540346番(bTau4.0)にわたる3,329塩基対を包含する領域である。
用語「ブラキスパイナ遺伝子座に連鎖している遺伝子マーカー」とは、ブラキスパイナ遺伝子座から50%未満の遺伝子組換え単位でウシ第21染色体上に位置し、かつ、本発明に従って使用することができる、マイクロサテライトマーカーまたは一塩基マーカー(SNP)などのDNA配列変異体を意味する。ウシでは、50%遺伝子組換え単位はおよそ5000万塩基対に相当する。本発明の好ましい遺伝子マーカー分子は、FANCI遺伝子から100万塩基対以内に位置するSNPマーカーからなる群から選択される。
用語「前記動物がブラキスパイナ突然変異を有しているか否かを連鎖解析により」「確認する」もしくは「判定する」、または「前記動物がブラキスパイナ欠失を有しているか否かを連鎖解析により」「確認する」もしくは「判定する」とは、ブラキスパイナ遺伝子座に連鎖している遺伝子マーカーのいずれかでどの対立遺伝子が既知のキャリア親(父牛、母牛のいずれか一方または両方であり得る)のブラキスパイナ突然変異と関連しているかを判定すること、およびこのような連鎖マーカー対立遺伝子が供試個体に伝達されるか否かを当業者に周知の標準的連鎖解析手順を用いて判定することを意味する。標準的連鎖解析手順はとりわけ(7)に示されている。
さらに、ウシがブラキスパイナ症候群(BS)に罹患しているか否か、またはそのキャリアであるか否かを、ゲノムDNAまたはRNAを分析することにより判定するための方法であって、
a)前記ウシから得られた前記ゲノムDNAまたはRNAを含有する生体材料のサンプルからDNAまたはRNAを抽出する工程、
b)ウシ第21染色体上のヌクレオチド20537017番〜20540346番(bTau4.0)間の区間における欠失に関して前記DNAまたはRNAの遺伝子型を判定する工程であって、さらにブラキスパイナ遺伝子座と連鎖不平衡にある遺伝子マーカーを含んでなる工程および
c)前記動物がブラキスパイナ突然変異を有しているか否かを判定する工程であって、連鎖解析または関連解析(association analysis)を含んでなる工程、
を含んでなる方法が提供される。
同様に、ウシがブラキスパイナ症候群に罹患しているか否か、またはブラキスパイナのキャリアであるか否かを、そのDNAまたはRNAを分析することにより判定するための方法であって、
a.前記ウシから前記ゲノムDNAまたはRNAを含有する材料のサンプルを得る工程、
b.前記サンプルからDNAまたはRNAを抽出する工程、
c.ブラキスパイナ遺伝子座と連鎖不平衡にある遺伝子マーカーに関して前記DNAまたはRNAの遺伝子型を判定する工程、および
d.前記動物がブラキスパイナ突然変異を有しているか否かを関連解析または連鎖解析により確認する工程
を含んでなる方法が提供される。
よって、本発明のさらなる好ましい側面では、本発明の方法の判定工程は連鎖解析または関連解析をさらに含んでなる。
用語「ブラキスパイナ遺伝子座と連鎖不平衡にある遺伝子マーカー」とは、畜牛集団においてブラキスパイナ(brachypsina)遺伝子座と連鎖不平衡にある、マイクロサテライトマーカーまたは一塩基マーカー(SNP)などのDNA配列変異体を意味する。連鎖不平衡は、配偶子会合または会合とも呼ばれ、一般集団における異なる遺伝子座での対立遺伝子の非ランダムな分布を意味する。本場合には、これらは、ある対立遺伝子が一般集団において単に偶然によって期待されるものよりも高頻度でブラキスパイナ突然変異に関連しているDNA配列変異体である。前記ウシの場合には、これらには、ウシ第21染色体上のヌクレオチド2000万番〜2250万番(bTau4.0)間の区間に位置する、マイクロサテライトであれSNPであれ遺伝子マーカーが含まれる。
用語「前記動物がブラキスパイナ突然変異を有しているか否かを関連解析により確認する」または「前記動物がブラキスパイナ欠失を有しているか否かを関連解析により確認する」とは、その遺伝子型の、ブラキスパイナ(brachypsina)突然変異と連鎖不平衡にあるDNA配列変異体における分析から、前記動物がブラキスパイナ突然変異のキャリアであるか否かを決定することを示す。関連解析は、考えられるDNA配列変異体からの連鎖不平衡情報を個々に抽出すること(「単点解析」)によるか、またはDNA配列変異体をまとめて考えること(「ハプロタイプに基づく解析」を含む「多点解析」)によって行うことができる。関連研究の原理は当業者には公知であり、例えば(8)に記載されている。
さらに、ブラキスパイナ突然変異のキャリアである動物を検出することができれば、繁殖力を高めるためのマーカー利用選抜に利用することができる。本発明者らは、ブラキスパイナのキャリア状態は、畜牛において最も重要な経済形質の一つである繁殖力と強く相関することを実際に証明した。本発明者らは、本発明で、ブラキスパイナ突然変異はホルスタイン−フリージアン種の動物の〜7.5%に存在し、これはこの疾患の見掛け上低い罹患率から予想できるものよりも多いことを示す。よって、ブラキスパイナは、罹患出生仔牛の罹患率に現れるもの以上に、畜牛においてはるかに重大な問題である。従って、ブラキスパイナキャリアの同定は、繁殖力を高めるためのマーカー利用選抜に使用可能である。
本発明の結果として、今や、前記動物に由来する生体サンプルから抽出された核酸に対して行う簡単な遺伝子検査によってブラキスパイナのキャリア動物を検出し、本発明の方法によって得られる情報を、高い繁殖力のためのマーカー利用選抜に使用することができる。
本発明に従う用語「高い繁殖力のためのマーカー利用選抜」とは、ブラキスパイナ遺伝子座に連鎖しているか、またはそれと連鎖不平衡にあるかのいずれかであるDNA配列変異体による、ブラキスパイナ突然変異の直接的検出かその間接的検出かのいずれかに相当するDNA配列変異体情報の使用、上記の手順の後にブラキスパイナのキャリアである動物を同定し、それにより、雄または雌の繁殖力に関連する表現型に対する育種価に関する情報を得ることを意味する。「ゲノム選抜」と呼ばれる新規な形態のマーカー利用選抜が最近紹介されたことは注目すべきことである(例えば、参照文献9参照)。もしこのゲノム選抜法が雄および雌両方の繁殖力に関連する形質に対して適用されるならば、ブラキスパイナ突然変異の有無に関する情報が利用できるであろう。従って、このような形質のゲノム選抜では、本発明に開示される情報が利用できるであろう。
よって、さらなる実施形態において、本発明は、前記ウシにおける高い繁殖力のためのマーカー利用選抜またはゲノム選抜を実施するための本方法の使用を提供する。
本発明によれば、ウシまたはウシ集団において繁殖力を高める方法であって、
a)前記ウシから前記ゲノムDNAを含有する材料のサンプルを得ること、
b)前記サンプルからDNAを抽出すること、
c)本明細書に記載されるようにブラキスパイナを引き起こす欠失に関して前記DNAの遺伝子型を判定すること、および
d)ブラキスパイナのキャリアであるウシを同定すること
を含んでなる方法が提供される。
本発明の別の側面は、上記で同定されたブラキスパイナ突然変異/欠失の検出のための方法であって、例えば当技術分野で十分確立され、かつ、本発明の範囲内に包含される技術、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により、ウシから得られた単離DNAを、前記突然変異に対する特異的プライマーを用いて増幅することを含んでなる方法を対象とする。限定されない例として、配列番号5および6に示されるヌクレオチド配列は、ブラキスパイナの検出のための変異型PCRプライマー対として適用することができる。本発明によれば、配列番号3および4に示されるヌクレオチド配列は、野生型対照PCRプライマー対として使用することができる。好ましくは、遺伝子型判定工程は、変異型および野生型対立遺伝子を同時に検出するために行われる。ブラキスパイナの検出のためのさらなる特異的プライマーまたはプライマー対を設計することが意図される。よって、上記で定義された突然変異に隣接するか、または前記突然変異を挟み込む特異的配列に対するプライマーは、本発明の範囲内にある。好ましくは、本明細書に開示される突然変異の前後1〜500ヌクレオチド以内、好ましくは1〜100ヌクレオチド以内または一層より好ましくは1〜50ヌクレオチド以内の領域に特異的に結合するプライマーが含まれる。
本発明のさらなる実施形態では、ウシから得られた単離DNAを例えばPCRにより増幅すること、およびさらに本明細書に言及されるブラキスパイナ遺伝子座に対する特異的プローブを利用することを含んでなる、開示されるブラキスパイナ突然変異の検出のための方法が提供される。限定されない例として、本発明によれば5’HEX−AGT CCC AGT GTG GCT AAG GAG TGA−3’IABkFQ(野生型)(配列番号7)および5’FAM−CCA TTC CAC/ZEN/CTT TCT ATC CGT GTC CT−3’IABkFQ(変異型)(配列番号8)のようなプローブが使用可能である。また、本発明のさらなる実施形態では、上記で定義された突然変異を挟み込むヌクレオチド配列に対するさらなる特異的プローブを設計することが企図される。好ましくは、本明細書に開示される突然変異の前後1〜1000ヌクレオチド以内、好ましくは1〜500ヌクレオチド以内、より好ましくは1〜100ヌクレオチド以内またはいっそうより好ましくは1〜50ヌクレオチド以内の領域に特異的に結合するプローブが含まれる。
本発明のさらなる側面において、プローブは蛍光団(fluorophore)で標識される。蛍光団は当技術分野で周知である。好ましくは、本発明の方法および使用に適用されるものは、6−カルボキシフルオレセイン(FAM)、ヘキサクロロフルオレセイン(HEX)、またはフルオレセインイソチオシアネート(FITC)である。また、本明細書で提供される方法および使用に適用される1または複数のプローブは消光剤をさらに含んでなることも、本発明により企図される。一層より好ましくは、蛍光団と消光剤の距離が20〜30塩基離れた内部消光剤である。最も好ましいのは、長さをわずか9塩基前後にしたZEN(商標)消光剤である。
発明の詳細な説明
自己接合性マッピングは、2.5MbのBTA21区間のブラキスパイナ遺伝子座の位置を決定する
2008年1月〜2009年12月の間に、本発明者らは、ブラキスパイナを有すると診断された6頭のホルスタイン−フリージアン種の仔牛から生体材料を得た。これまでに報告されている場合としては(例えば、4)、これらの6頭の罹患動物は父方および母方において、かつての一般的人工授精(AI)ホルスタイン−フリージアン種の雄牛であるスィート・ヘブン・トラディション(Sweet Haven Tradition)に遡った。標準的手順を用いてゲノムDNAを抽出し、従前に記載されているウシ50K SNPアレイ(3)を用いて遺伝子型の判定を行う。ブラキスパイナが実際に常染色体劣性欠損として遺伝し、ホルスタイン−フリージアン種で遺伝的にホモであるとすると(系統分析から示唆)、この6症例は、原因となる突然変異を包含する共通のハプロタイプの同型接合であると予想される。本発明者らは、ASSISTプログラム(3)および対照として15頭の健常なホルスタイン−フリージアン種雄牛を用いて自己接合性マッピングを行い、第21染色体(BTA21)上に全ゲノムで単一の有意なピーク(p<0.001)を同定した。この共通のハプロタイプは、56の注釈付き遺伝子を包含する2.46Mb(bTau4.0:20,132,767〜22,588,403)にわたる(図1)。
標的全ゲノムリセンテンシングはFANCI遺伝子における原因3.3Kbブラキスパイナ欠失を同定する
前記区間の56遺伝子のいくつかは、マウスにおいてノックアウトされると、胚致死を引き起こすことが知られている。本発明者らは、症例および対照のゲノムDNAから対応するオープンリーディングフレーム(ORF)を増幅したが、明らかな破壊を示すDNA配列変異体(DSV)は見つからなかった。次に、本発明者らは、2.46Mb区間全体の標的シーケンシングを行った。注文配列捕捉アレイ(Roche Nimblegen)をウシbTau4.0ビルドに基づいて設計し、これを用いて2頭の罹患個体の全ゲノムDNAから対応する配列を富化した後に、Illumina GAIIx装置にてペアード・エンド・シーケンシング(paired-end sequencing)(2×36bp)を行った。得られた配列出力を、Mosaik(http://bioinformatics.bc.edu/marthlab)を用いてbTau4.0ビルドにマッピングした。標的領域において、非反復塩基のカバー率は第1サンプルでは平均90.45(範囲:0〜336)、第2サンプルでは61.28(範囲:0〜189)であり、標的領域外の第1サンプルの0.01(範囲:0〜24)および第2サンプルの0.01(範囲:0〜104)と比較される。カバー率が10を超える標的非反復塩基の割合は両サンプルとも0.12であった。本発明者らはGigaBayesソフトウエア(Gabor T. Marth、ボストン大学、http://bioinformatics.bc.edu/marthlab)を用いてDSVを同定し、全部で2,940DSVに対して2,368のSNPおよび572のindelを検出した。これらのうち1,032は、ホルスタイン−フリージアン種以外の品種でこれまでに報告されているDSVに相当し、従って、候補となる原因突然変異としては排除した。残りの1,908のDSVのうち一つだけが、ミオシン軽鎖キナーゼ様タンパク質をコードするLOC516866遺伝子においてセリンからグリシンへの置換を引き起こすコードであった。このDSVは、ブラキスパイナの基礎にある信頼できる候補突然変異であるとは考えられなかった。
次に、本発明者らは、一つのブラキスパイナ症例および3つの無関係の健常対象の自己連結した4.8Kb(±0.35Kb)断片からメイトペア(mate-pair)ライブラリーを作成し、各動物についてIllu1mina GAIIx装置にて3.7Gb未満の配列を作成した。得られた出力を、Burrows−Wheeler Aligner(BWA)(10)を用いてbTau4.0ビルドにマッピングし、これらのアライメントをIntegrative Genomics Viewer(IGV)(11)で表示した。2.46Mbの区間にマッピングされたこれらのリードの分析を行ったところ、FANCI(ファンコニ貧血相補群I)遺伝子を含んでなる37のうちのエキソン25〜27を取り去る3.3Kbの欠失が容易に明らかとなった。この領域における通常の均一なカバー率を示す3つの対照とは対照的に、この欠失は、bTau4.0ビルド上に〜8Kb離れてマッピングされる27メイトペアのクラスターから、また、ブラキスパイナ症例の欠失セグメントにマッピングされるリードの完全な不在から明らかであった。罹患個体から捕捉された配列出力の遡及的解析を行ったところ、正確に同じ位置におけるカバー率の急低下が確認された。本発明者らは、罹患動物およびキャリア動物のゲノムDNAからの409bp産物の豊富な増幅を可能とするが、同品種またはその他の品種からの無関係の健常対照からは増幅させない、推定欠失にわたるプライマー対を設計した。このアンプリコンのシーケンシングにより欠失切断点が定義され、3,329bpの欠失が確認された(図2A)。罹患個体から捕捉された配列出力の遡及的解析により、いくつかのリードブリッジングが同定され、切断点が確認された。逆に、欠失内で設計されたプライマー対は、健常個体に比べて罹患個体のDNAからの増幅は見られなかった。
エキソン25〜27の欠失がmRNAのエキソン24および28の近位で起こるとすれば、3.3Kbの欠失は、877番アミノ酸においてフレームシフトが起こり、451カルボキシ末端アミノ酸が26残基長の非正統的ペプチドで置換されると推定される。さらに、次のエキソン28内の停止コドンは、ナンセンス変異依存RNA分解を引き起こすと思われる(図2B)。
そのホモログであるFANCD2を用いると、FANCIタンパク質は障害誘導性のクロマチンフォーカスに局在するID複合体を形成する。FANCIは、DNA鎖間架橋修復に不可欠である。FANCD2同様、FANCIは、ユビキチンリガーゼFAコア複合体によりモノユビキチン化され、ATM/ATRキナーゼによりホスホリル化される(例えば、12)。FANCI遺伝子のミスセンス、ナンセンスおよびスプライス部位変異体は、ヒトにおけるファンコニ貧血(FA)症例の〜2%の基礎にある(12、13)。FA患者は、成長遅滞、骨格異常、腎臓、心臓、消化管および生殖器官の奇形(ウシブラキスパイナを想到)、ならびに骨髄不全、癌の早期発症および若年での死亡を含む異質な症状を呈する。
3.3Kb FANCI欠失を直接調査する診断検査の開発およびその因果関係の確認
本発明者らは、変異型および野生型対立遺伝子を同時に調査する5’エキソヌクレアーゼ遺伝子型判定アッセイを開発した。このアッセイでは、野生型PCRプライマー対としての5’−TGT TAG CCC AGC AGA GGA−3’(配列番号3)および5’−ATT CTG AAT CCA CTA GAT GTC−3’(配列番号4)と、変異型PCRプライマー対としての5’−GCA CAC ACC TAT CTT ACG GTA C−3’(配列番号5)および5’−GGG AGA AGA ACT GAA CAG ATG G−3’(配列番号6)の組合せ、ならびにプローブとしての5’HEX−AGT CCC AGT GTG GCT AAG GAG TGA−3’IABkFQ(野生型)(配列番号7)および5’FAM−CCA TTC CAC/ZEN/CTT TCT ATC CGT GTC CT−3’IABkFQ(変異型)(配列番号8)(Integrated DNA Technologies、Leuven、Belgium)を用いる。対立遺伝子識別反応は、ABI7900HT装置(Applied Biosystems、Fosters City、CA)にて、終濃度250nMの各プローブ、500nMの野生型プライマー、350nMの変異型プライマー、Taqman Universal PCR Master Mix IX(Applied Biosystems、Fosters City、CA)および10ngのゲノムDNAを含む2.5μl容量で40サイクル行った。典型的な結果を図3に示す。
予想されたように、利用可能な総てのブラキスパイナ症例は、これらの試験により、前記欠失に関して同型接合であることが示された。この欠失は、ホルスタイン以外の10品種に相当する131頭の父方健常動物のサンプルには存在しないことが分かった。次に、本発明者らは、3,038頭の健常ホルスタイン−フリージアン種動物の無作為サンプルの遺伝子型を判定した。前記欠失のキャリアはこれらのサンプルの7.4%を占めたが、同型接合であることが分かった動物は存在しなかった。ハーディ・ワインベルグ平衡を仮定すると、3,038個体のサンプル中に同型接合動物が存在しない確率は5%未満であった。このことは、この突然変異の同系接合性は正常な健康個体とは適合しない、すなわち、3.3Kb FANCI欠失が原因であるということを強く示唆する。
参考文献

Claims (11)

  1. ウシがブラキスパイナ症候群(BS)に罹患しているか否か、またはそのキャリアであるか否かを、そのゲノムDNAを分析することにより判定するための方法であって、
    a)ウシから得られた前記ゲノムDNAを含有する生体材料のサンプルからDNAを抽出する工程、
    b)ウシbTau4.0、第21染色体上のヌクレオチド20537017番〜20540346番の区間における欠失に関して前記DNAの遺伝子型を判定する工程、および
    c)連鎖解析または関連解析により、前記動物がブラキスパイナ突然変異を有しているか否かを判定する工程
    を含んでなり該ウシがボースタウルスから選択されるものである、方法。
  2. ウシがブラキスパイナ症候群(BS)に罹患しているか否か、またはそのキャリアであるか否かを、そのゲノムRNAを分析することにより判定するための方法であって、
    a)ウシから得られた前記ゲノムRNAを含有する生体材料のサンプルからRNAを抽出する工程、
    b)ウシbTau4.0、第21染色体上のヌクレオチド20537017番〜20540346番の区間における欠失に関して前記RNAの遺伝子型を判定する工程、および
    c)連鎖解析または関連解析により、前記動物がブラキスパイナ突然変異を有しているか否かを判定する工程
    を含んでなり、該ウシがボースタウルスから選択されるものである、方法。
  3. ウシがa)ブラキスパイナに罹患しているか否か、b)ブラキスパイナを有するか否か、またはc)前記疾患のキャリアであるか否かを判定することをさらに含んでなる、請求項1または2に記載の方法。
  4. 遺伝子型判定工程b)が、ブラキスパイナ遺伝子座に連鎖している遺伝子マーカーをさらに含んでなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. サンプルが血液、精子、毛根、乳汁、体液、および/または有核細胞を含む組織からなる群から選択される、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  6. ウシがホルスタイン種、フリージアン種およびホルスタイン−フリージアン交配種、ブリティッシュおよび/またはオランダフリージアン種からなる群から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. ウシにおける高い繁殖力のためのマーカー利用選抜またはゲノム選抜を行うための、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  8. ブラキスパイナ突然変異の検出のための方法であって、
    a)ウシから得られたサンプルから単離されたDNAを、ウシbTau4.0、第21染色体上のヌクレオチド20537017番〜20540346番の区間における欠失に対する特異的プライマーにより増幅すること、および
    b)前記ウシがブラキスパイナ突然変異を有するか否かを判定すること
    を含んでなる、方法。
  9. 前記特異的プライマーが配列番号5および6に示されるヌクレオチド配列を含んでなる、請求項に記載の方法。
  10. 配列番号3および4に示される特異的プライマーをさらに含んでなる、請求項またはに記載の方法。
  11. a)i)ブラキスパイナ遺伝子座を突然変異に対する特異的プローブで標識する工程をさらに含んでなり、該プローブが蛍光団をさらに含んでなり、該蛍光団が6−カルボキシフルオレセイン(FAM)、ヘキサクロロフルオレセイン(HEX)、またはフルオレセインイソチオシアネート(FITC)であり、かつ該プローブが消光剤または内部消光剤をさらに含んでなる、請求項10のいずれか一項に記載の方法。
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