JP5896230B2 - 電極の製造方法と活物質の評価方法 - Google Patents
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Description
以下、上記活物質の基本キャパシタンスの定義で用いられる電極の構成を「基本的な電極構成」、上記の電極を「基本的な電極」等のように表現する場合がある。
ここで、活物質のキャパシタンスとは、所定の活物質とバインダとを含む活物質層が集電体上に備えられてなる電極について得られる値である。そして、かかる電極を2枚用意し、非水電解質中において上記活物質層が対向し、かつ、互いに絶縁された状態で上記2枚の電極が配置された評価用セルを構築し、上記評価用セルの交流インピーダンス測定を行った際の、周波数が0.1Hzにおける電気二重層容量の実部成分を「活物質のキャパシタンス」として定義している。
すると、「活物質の基本キャパシタンス」が上記の範囲から外れた活物質を用いた電極であっても、例えば、活物質の比表面積、活物質とバインダの質量比、電極作成時に調整する活物質層形成用の組成物の固形分濃度および活物質層の密度のいずれか一つ以上が適切なバランスで調整されることで、かかる電極で構成した評価用セルにおけるいわゆる静電容量が0.1F/g〜0.16F/gの範囲内となる場合があり得る。すなわち、ここに開示される電極は、上記で定義される活物質の基本キャパシタンスにのみにより特定されるものではなく、活物質の比表面積、活物質とバインダの質量比、表面積活物質層形成用組成物の固形分濃度、活物質層の目付量および密度がバランスよく調整されていることから、上記の活物質の基本キャパシタンスが0.1F/g〜0.16F/gとなる電極と同等の特性が実現され得る。すなわち、反応抵抗や容量維持率等の特性に優れた電極が提供される。
図1は、ここに開示される活物質の評価方法の一実施形態としてのフロー図である。まず、図1に沿って、本発明にかかる活物質の方法について説明するとともに、適宜図2〜8を参照しつつ、活物質のキャパシタンスおよび基本キャパシタンス等について、以下にその内容、測定および評価の方法等の説明を行う。なお、各図面は、模式的に描いており、必ずしも実物の形態、寸法等を反映するものではない。また、各図面は、一例を示すのみであり、特に言及されない限りにおいて本発明を限定しない。
図2は、ここに開示される発明に係る活物質のキャパシタンスを測定するために構築される評価用セル1を模式的に示した断面図である。この評価用セル1は、図1のステップS10に示したように、評価対象である所定の構成の電極50の、同一のものを2枚用いて構築される。例えば、図2では、電極50として負極50を2枚用いた場合について示している。負極50に代えて正極30(後で説明する図8を参照)を評価の対象とする場合には、正極30を2枚用いて評価用セル1を同様に構築することができる。電極50は、活物質とバインダとを含む活物質層54が集電体52上に形成されている。
配合(質量): 活物質:バインダ=98:2〜99:1
活物質層目付量: 3.5〜4.0mg/cm2
活物質層密度: 0.95g/cm3〜1.02g/cm3
次いで、ステップS30に示すように、上記の構成の評価用セル1について交流インピーダンスを測定することで、2枚の電極50の電極反応に係る情報や電極構造に関する情報を得ることができる。交流インピーダンスは、FFTアナライザを用いるFFT法と、単一正弦波を掃引して測定するFRA法等のいずれを採用しても構わない。例えば、以下のようにして測定することができる。まず、上記の電極50間に直流電流を流し、次いで微小交流電流を重畳させたときの各周波数における応答電圧を測定することでインピーダンスを算出し、フーリエ変換することで、インピーダンスの周波数特性を求める。または、発振器から交流信号を電極50間に印加し、電圧計で試料電圧(V)を、電流計で試料電流(I)を測定する等してインピーダンスの周波数特性を求めるようにしても良い。測定に際し、典型的には、交流電圧の周波数を100000Hz程度の高周波から0.1Hz程度の低周波へと変化させる。交流電圧の振幅については特に制限されないが1〜10mV程度、例えば5mV程度を目安に設定することができる。
電解液中の電荷担体(例えば、リチウムイオン)の移動について検討すると、電荷担体の移動速度は電子の移動速度に比べると大幅に遅い。そのため、高周波の交流電圧を印加した際には電子が電圧の向きの変化に敏感に対応して移動できるのに対し、電荷担体は反応が遅く移動が追い付かない。したがって、高周波の交流電圧を印加した際には、系から電子の移動に関するインピーダンスを抽出して測定することができるのに対し、電荷担体の移動については測定できない。そこで交流電圧の周波数を低くすると、電荷担体の移動が交流電圧の向きの変化に対応し得るようになる。従って、交流電圧の周波数を高周波から低周波に低くしてゆくことで、電荷担体が電極50間を移動する際のインピーダンスが測定できるようになる。そしてさらに、交流電圧の周波数を充分に低くすることで、電荷担体が電極50の活物質層54の内部にまで入り込み、活物質の表面に十分に吸着された状態のインピーダンスを測定することが可能となる。
また、活物質の表面に電荷担体が十分に吸着した上記の状態は、基本的な電極構成における活物質が電荷担体を吸着し得る面積、延いては電極反応に寄与する反応面積を相対的に表してもいる。反応面積は、かかる構成の電極50を用いた非水電解質二次電池の反応抵抗特性と極めて高い相関性を有することから、活物質のキャパシタンス値により非水電解質二次電池の反応抵抗特性をも予測することが可能となる。
例えば、図4に、5通りの負極活物質をそれぞれ使用して構成した基本的な電極による評価用セルの交流インピーダンス測定から求められた基本キャパシタンスと、この活物質を用いてそれぞれ構築した非水電解質二次電池の反応抵抗との関係を示した。この図4における反応抵抗は、電池の内部抵抗において反応抵抗が支配的となる−30℃の低温環境下で、SOC60%の状態の電池について交流インピーダンス測定することにより得られたCole−Coleプロットに基づき求めたものである。5つの電池において、負極活物質を異なる5通りで変えたこと以外は、他の全ての条件がおなじである。そして図4の縦軸は、5つの非水電解質二次電池の反応抵抗のうち、最も高い反応抵抗値を100(基準)として、他の反応抵抗値をその比(%)として示している。この例では、電池の反応抵抗と負極活物質の基本キャパシタンスとの間にR2=0.998もの高い相関性がみられ、ここに開示される活物質の基本キャパシタンス値が評価用セルの反応抵抗特性を極めて良く反映していることがわかる。
さらに、上記の活物質の基本キャパシタンス特性は、この評価用セル1の構築に用いた電極50を用いた非水電解質二次電池の容量維持率とも関連性を見出すことができる。例えば、図6に、5通りの負極活物質をそれぞれ使用して5つの非水電解質二次電池を作製したときの、この電池の容量劣化率と、この電池に用いた負極活物質の基本キャパシタンスとの関係を示した。容量劣化率は、ここでは(100−容量維持率)%で示される値である。また、容量維持率は、SOC80%の状態の電池を60℃で30日間保存した後の電池容量を、初期(SOC80%)を100(基準)とたときの割合(%)として求めた値である。これらの5つの電池は、負極活物質を異なる5通りで変えたこと以外は、他の全ての条件がおなじである。この図6に示した例では、負極活物質の基本キャパシタンスが0.16F/g以下の範囲では、電池の容量劣化率はほぼ8%で一定である。一方、負極活物質の基本キャパシタンスが0.16F/gを超過すると、容量劣化率が急激に高くなる。かかる基本キャパシタンスと容量劣化率との関係性を、電池の構成、あるいは、活物質の種類や調製方法の振り方などを変化させて種々調べたところ、その理由は定かではないものの、類似する活物質については、一定となる容量劣化率についてはその値が変動することはあるが活物質の基本キャパシタンスが0.16F/gを超過すると容量劣化率が悪化することが確認されている。この基本キャパシタンスにおける0.16F/gという臨界値は、この出願の発明者らが確認した各種の条件で作製された電池に共通する値であるといえる。
例えば、活物質の基本キャパシタンスが0.1F/g〜0.16F/gの範囲から外れる活物質を用いた場合であっても、電極構成をその活物質により適した構成となるよう調整することで、活物質のキャパシタンスを0.1F/g〜0.16F/gの範囲に整えることが可能となる場合がある。かかる調整は、代表的には、電極活物質層において活物質が吸着し得る電荷担体の量を増大(あるいは減少)させることで実現できる。つまり、例えば、活物質の粒径や形状を変化させるなどして比表面積を効果的に増大(減少)させたり、活物質とバインダの質量比や活物質層の空隙率を調整して活物質の吸着表面を増大(減少)させたりすること等で調整することができる。また、具体的には、活物質の粒径および比表面積の増大(減少)を図る以外にも、バインダ量の最適化、活物質層を形成する際に調製する活物質形成用組成物の固形分濃度や粘度を増大(減少)させたり、さらには活物質層の目付量および密度を減少(増大)させるなどして調整することにより、実現できる。
(1)活物質の基本キャパシタンスが0.1F/g〜0.16F/gの範囲内であるときに、この活物質が反応抵抗特性および容量維持率等の特性に優れた良品であると評価できる。また、かかる反応抵抗特性および容量維持率等の特性に優れた活物質が提供される。
従って、(2)活物質として、活物質の基本キャパシタンスが0.1F/g〜0.16F/gの範囲内である活物質を用いることで、反応抵抗特性および容量維持率等の特性に優れた電極を作製することができる。また、反応抵抗特性および容量維持率等の特性に優れた電極、および蓄電デバイスが実現される。
また、(3)活物質のキャパシタンスが0.1F/g〜0.16F/gの範囲内となるよう、活物質の比表面積、活物質とバインダの質量比、表面積活物質層形成用組成物の固形分濃度、活物質層の目付量および密度のいずれか一つ以上を調整することで、反応抵抗特性および容量維持率等の特性に優れた電極を作製することができる。
図7は、本実施形態に係るリチウムイオン電池を模式的に示す斜視図である。また、図8は、図7中のVIII−VIII線に沿った縦断面図である。
図8および図9に示すように、本実施形態に係るリチウムイオン電池10は、電極体20と非水電解質(図示せず。)とを収容する角型形状(典型的には扁平な直方体形状)の電池ケース80を備えている。
負極50は、図8に示すように、シート状の負極集電体52の表面に負極活物質(図示せず)を含む負極活物質層54を備えている。負極集電体52には、負極に適する金属箔が好適に使用され得る。例えば、銅、ニッケル、チタン、ステンレス鋼等を主体とする棒状体、板状体、箔状体、網状体等を用いることができる。この例において、具体的には、負極集電体52には、所定の幅を有し、厚さが凡そ10μmの帯状の銅箔を用いている。このような負極集電体52には、幅方向の一方の縁端部に沿って未塗工部53が設定されている。負極活物質層54は、負極集電体52に設定された未塗工部53を除く負極集電体52の両面に形成されている。
負極活物質としては、従来からリチウムイオン電池の負極活物質として用いられている材料の一種または二種以上を特に限定なく使用することができる。例えば、少なくとも一部にグラファイト構造(層状構造)を含む粒子状の炭素材料(カーボン粒子)が挙げられる。より具体的には、負極活物質は、例えば、天然黒鉛、黒鉛質(グラファイト)、難黒鉛化炭素質(ハードカーボン)、易黒鉛化炭素質(ソフトカーボン)、または、これらを組み合わせた炭素材料やこれらを非晶質炭素材料でコートした材料であってよい。
また、例えば、Si、Ge、Sn、Pb、Al、Ga、In、As、Sb、Bi等を構成金属元素とする金属化合物(好ましくは金属酸化物)などとしても良い。さらには、LTO(チタン酸リチウム)を用いることも提案されている。なお、金属化合物からなる負極活物質であって、比較的導電性が劣る材料については、例えば、炭素被膜によって、金属化合物の表面を充分に被覆し、導電性に優れた粒状体として用いてもよい。この場合、例えば、導電材を含有させることなく、あるいは、従来よりも導電材の含有率を低減させて負極活物質層を形成することができる。これらの負極活物質の付加的な態様や、粒径等の形態は、所望の特性に応じて適宜に選択することができる。
なお、ここに開示される発明において、評価用セルを構築するための基本的な構成の電極は、活物質層54に活物質およびバインダ以外の構成成分が含まれることは活物質のキャパシタンスを正確に評価する上で望ましいものではないことから、活物質とバインダのみを含むようにしている。したがって、負極活物質としては、導電材の配合を必要としない導電性に優れた材料であることが好ましい。例えば、負極導電材としては、黒鉛材料であることが好ましい。なお、導電材を含む活物質層54については、導電材量を変化させた評価用セルに対して付加的な試験等を行う等して導電材に吸着される電荷量を算出することなどにより、活物質のキャパシタンスを評価することができる。
Li(LiaMnxCoyNiz)O2
(前式中のa、x、y、zはa+x+y+z≒1、xyz≠0を満たす。)
で表わされるような、遷移金属元素を3種含むいわゆる三元系のリチウム遷移金属酸化物や、一般式:
xLi[Li1/3Mn2/3]O2・(1−x)LiMeO2
(前式中、Meは1種または2種以上の遷移金属であり、xは0<x≦1を満たす。)
で表わされるような、いわゆる固溶型のリチウム過剰遷移金属酸化物等であってもよい。これらのリチウム遷移金属酸化物は、その構成の明確のため上記の示性式で示したが、かかる示性式中の遷移金属元素の一部(50原子%未満)が、上記に例示したCo,Al,Mn,Cr,Fe…等からなる金属元素群から選択される一種または二種以上の元素で置換されていても良い。
このような正極活物質は、例えば、具体的には、D50が3〜8μm程度であり、比表面積(BET法による)が0.5〜1.9m2/g程度のものを用いるのが好ましい例として示される。正極活物質として、例えば上記のリチウム過剰遷移金属酸化物や、固溶型のリチウム過剰遷移金属酸化物等を用いることで、高出力特性とハイレート特性を兼ね備えたリチウムイオン電池を構築することができる。
なお、本明細書において、D50は、レーザ回折散乱法により測定される粒度分布における、累積50%粒径(体積基準)で表わされる平均粒子径を示している。
正極活物質層34は、例えば、上述した正極活物質、導電材およびバインダを溶媒にペースト状(スラリー状およびインク状などを含む。)に混ぜ合わせた正極活物質層形成用組成物を作成し、正極集電体32に塗布し、乾燥させ、圧延することによって形成されている。この際、正極活物質層形成用組成物の溶媒としては、水性溶媒および非水溶媒の何れも使用可能である。非水溶媒の好適な例としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)が挙げられる。
評価用セル1を構築するには、2枚の正極30または負極50の間にセパレータを介して両者を重ね合わせ、電解質と共にケースに収容すればよい。かかる評価用セル1に対して交流インピーダンスの測定を行い、算出される基本キャパシタンスが0.1F/g〜0.16F/gの範囲にある場合に、評価用セル1に用いた活物質が良品であると評価できる。そしてかかる活物質を用いて、所望の構成の電極、および蓄電デバイスを構築することで、高品質な(すなわち、反応抵抗が低く、容量維持率の高い)電極および蓄電デバイスが実現される。
なお、図7に示した例では、電池ケース80は、いわゆる角型の電池ケースであり、容器本体84と、蓋体82とを備えている。容器本体84は、有底の方形筒状体であり、一側面(図では上面)が開口した扁平な箱型の容器である。蓋体82は、この容器本体84の開口(上面の開口)に取り付けられてこの開口部を塞ぐ部材である。電池ケース80の蓋体82には、外部に突出した電極端子40、60が取り付けられている。また、蓋体82には、電池の内部で発生するガスにより内圧が上昇した場合にかかるガスを排出するための安全弁88や、電解液の注入を行う注液口86が設けられている。
車載用の二次電池では、車両の燃費を向上させるため、重量エネルギー効率(単位重量当りの電池の容量)を向上させることが望まれる。このため、この実施形態では、電池ケース80を構成する容器本体84と蓋体82は、アルミニウムやアルミニウム合金などの軽量金属が採用されている。これにより重量エネルギー効率を向上させることができる。
充電時においては、リチウムイオンの移動および電子の移動がスムーズなほど、効率的で急速な充電が可能になると考えられる。放電時においては、リチウムイオンの移動および電子の移動がスムーズなほど、電池の抵抗が低下し、放電量が増加し、電池の出力が向上すると考えられる。また、充電時や放電時に電池反応に活用されるリチウムイオンの数が多いほど、電池容量が多くなると考えられる。
以下、具体的な実施例として、ここで開示される手法により活物質を評価するとともに、電極およびリチウムイオン電池を作製した。なお、本発明をかかる具体例に示すものに限定することを意図したものではない。
天然黒鉛(C)を異なる5通りの手法で調整して負極活物質(サンプル1〜5)とし、この天然黒鉛(C)と、バインダとしてのスチレンブタジエンゴム(SBR)と、分散剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)とを、これら材料の質量比が、C:SBR:CMC=98.6:0.07:0.07となるよう混練機に投入し、イオン交換水を加えて固形分濃度(NV)を54%、粘度を800mPa・sに調製しながら混練し、負極スラリーを調製した。このスラリーを、負極集電体としての長尺状銅箔の片面に塗布量が3.5〜4.0g/cm2となるように塗布し、乾燥させた後、負極活物質層の密度が0.95〜1.02g/cm3となるようプレスして、負極シート(負極シート1〜5)を作製した。
上記で作製した負極シートから、負極を4.5cm×4.7cmの大きさに2枚切り出し、真空中、80℃、12時間の条件で真空乾燥させた。
この2枚の負極を、ポリプロピレンからなる微多孔質膜で構成されたセパレータを介して負極活物質層が対向するように重ねあわせ、1mlの非水電解質を真空含浸させるとともにラミネートバッグに収容して、評価用セル(セル1〜5)を構築した。なお、非水電解質としては、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを3:4:3の体積比で含む混合溶媒に、電解質としてのLiPF6を1.1mol/Lの濃度で溶解させた電解液を用いた。
上記と同様の条件で、集電体の両面に負極活物質層を形成した負極シート1〜5の各々を所定の大きさにスリットし、負極活物質層の幅が102mmで長さが3200mmの負極を切り出し、負極1〜5とした。
正極活物質粉末としてのLiNi1/3Co1/3Mn1/3O2(NCM)と、導電材としてのアセチレンブラック(AB)と、バインダとしてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを、これら材料の質量比がNCM:AB:PVdF=93:4:3となるよう配合し、混練して正極スラリーを調製した。このスラリーを、正極集電体としての長尺状アルミニウム箔の片面に塗布量が5.5g/cm3となるように塗布し、乾燥させた後、正極活物質層の密度が2.20g/cm3となるようプレスして、正極シートを作製した。これを、所定の幅を有するようにスリットし、正極活物質層の幅が90mmで、長さが3000mmの正極を5枚作製した。
上記のように作製した評価用のリチウムイオン電池1〜5に対して、25℃の温度条件下において、コンディショニング処理(0.2Cの充電レートで4.1Vまで定電流定電圧で充電する操作と、0.2Cの放電レートで3.0Vまで定電流定電圧放電させる操作を3回繰り返す初期充放電処理)を行った後、SOC(State of Charge)60%の充電状態に調整した。
その後、−30℃において、振幅5mV、測定周波数範囲を10000Hz〜0.1Hzとする条件で交流インピーダンスの測定を行い、得られたCole−Coleプロットを等価回路にフィッティングさせることで反応抵抗[mΩ]を算出した。なお、測定装置および解析ソフトとしては、上記の交流インピーダンス測定の時と同じものを用いた。
上記で求めた負極シート1〜5に関する負極活物質の基本キャパシタンスと、その負極シートを用いて作製したリチウム電池1〜5の反応抵抗比との関係を、図4に示した。図4から、活物質のキャパシタンスが0.1F/g以上の場合に、反応抵抗が低く良好なリチウム電池が得られることが確認できた。
上記の反応抵抗測定後のリチウム電池1〜5について、電池容量(初期容量)を測定した。電池容量の測定は、25℃の温度条件下において、以下に示す(1)〜(3)の手順を行うことで測定した。そして、(3)における積算の放電容量(CCCV放電容量)を「電池容量」とした。
(1)1Cの定電流放電によって3.0Vに到達後、定電圧放電にて2時間放電し、その後、10秒間休止する。
(2)1Cの定電流充電によって4.1Vに到達後、定電圧充電にて2.5時間充電し、その後、10秒間休止する。
(3)0.5Cの定電流放電によって3.0Vに到達後、定電圧放電にて2時間放電し、その後、10秒間停止する。
次に、初期容量測定後の各電池をSOC80%に調整し、60℃の恒温槽で30日間保管した後、再度上記の手順に従って電池容量(60℃保存後の電池容量)を測定した。そして初期容量から60℃30日保存後の電池容量の低下した割合を容量劣化率として算出した。なお、容量劣化率は下式から算出することができる。
容量劣化率(%)=(1−(60℃保存後の電池容量)/(初期容量))×100
以上のことから、活物質の種類に関係なく、活物質のキャパシタンスが0.1F/g〜0.16F/gとなる範囲で、低反応抵抗と高容量維持率を両立させることができることが確認できた。
上記のとおり作成した評価用のセル1〜5について、25℃において、振幅5mV、測定周波数範囲を10000Hz〜0.1Hzとする条件で交流インピーダンスを測定した。評価用のセルのインピーダンス測定により作製したCole−Coleプロットの典型例を、図3に示した。交流インピーダンスの測定および解析には、以下のものを用いた。
測定装置 :Solartron社製、「1287型ポテンショ/ガルバノスタット」および「1255B型周波数応答アナライザ(FRA)」
解析ソフト :ZPlot/CorrWare
なお、参考のために、負極活物質として用いた上記の5通りに調整したサンプル1〜5と同様の天然黒鉛について、窒素(N2)ガスを用いたBET法により比表面積を測定した。測定には、比表面積細孔分布測定装置(マイクロメリティックス社製、FlowSorbIII)を用いた。比表面積の測定結果を、セル1〜5の反応抵抗比との関係として図5に示した。
そして、かかる評価にて良品と判断される活物質を用いることで、性能(反応抵抗特性、容量維持特性など)に優れた電極、蓄電デバイスを製造できることが確認できた。また、かかる評価は、活物質のみではなく、電極全体をも評価の対象とし得ることから、「活物質のキャパシタンス(基本キャパシタンス)」を指標として電極の設計を簡便に行えることも示された。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
10 リチウムイオン電池
20 捲回型電極体
30 正極
32 正極集電体
33 未塗工部
34 正極活物質層
40 正極端子
50 負極(電極)
52 負極集電体(集電体)
53 未塗工部
54 負極活物質層(活物質層)
60 負極端子
70 セパレータ
80 電池ケース
82 蓋体
84 容器本体
86 注液口
88 安全弁
100 車両
Claims (3)
- 活物質とバインダとを含む活物質層が集電体上に形成された電極を製造する方法であって、
黒鉛材料からなる活物質とバインダとを含む活物質層形成用組成物を用意すること、
前記活物質層形成用組成物を集電体上に供給して活物質層を形成すること、
前記活物質層を圧縮して前記活物質層の密度を調整して電極を得ること、
を包含し、
下記で定義される活物質のキャパシタンス:
前記電極を2枚用意し、
非水電解質中において前記2枚の電極を前記活物質層が対向し、かつ、互いに絶縁された状態で配置した評価用セルを用意し、
前記評価用セルの交流インピーダンス測定を行った際の、周波数が0.1Hzにおける電気二重層容量の実部成分を活物質のキャパシタンスとする;
を0.1F/g〜0.16F/gの範囲内とするよう、活物質の比表面積、活物質とバインダの質量比、表面積活物質層形成用組成物の固形分濃度、活物質層の目付量および密度のいずれか一つ以上を調整する、製造方法。 - 蓄電デバイス用の活物質を評価する方法であって、
評価対象である活物質と、バインダとを、活物質:バインダが98:2〜99:1となる質量比で含み、目付量が3.5〜4.0mg/cm2で、密度が0.95g/cm3〜1.02g/cm3となるように形成された活物質層が集電体上に備えられてなる電極を2枚用意すること、
非水電解質中において前記活物質層が対向し、かつ、互いに絶縁された状態で前記2枚の電極が配置された評価用セルを用意すること、
前記評価用セルの交流インピーダンス測定をすること、
該測定結果から、周波数が0.1Hz以下における電気二重層容量の実部成分として算出される活物質の基本キャパシタンスを求めること、および、
前記活物質の基本キャパシタンスが0.1F/g〜0.16F/gの範囲内であるときに、前記活物質を良品と評価すること、を包含する、活物質の評価方法。 - 前記活物質として黒鉛材料を用いる、請求項2に記載された活物質の評価方法。
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