JP5889518B2 - 靱性に優れた高耐食性フェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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Description
0.1≦Nb(wt%)+Ti(wt%)≦1.0
0≦Nb(wt%)+Ti(wt%)−{8×(C(wt%)+N(wt%))+0.1}≦0.4
を満足するように含み、そして上記VおよびCoは、複合させたとき、次式;
0.1≦2×V(wt%)+Co(wt%)
Nb(wt%)+Ti(wt%)−{8×(C(wt%)+N(wt%))+0.1}≦2×V(wt%)+Co(wt%)≦3.0
を満足するように含み、かつ、上記CおよびNは、複合させたときの含有量が0.040wt%以下であり、残部が実質的にFeよりなる靱性および耐食性がともに優れるフェライト系ステンレス鋼が開示されているが、Mo等の元素を多量に含有する鋼は、靱性を低下させる金属間化合物等も生成しやすく、靱性の改善効果は不十分と考えられる。開示されているのは本願より条件の易しい板厚5mmにおける結果で、本願の想定しているような板厚6mmでの使用は困難と考えられる。
すなわち本発明は、(1)C:0.015%以下、Si:0.5%以下、Mn:1.0%以下、P:0.06%以下、S:0.01%以下、Al:0.01〜0.35%、N:0.015%以下、Cr:18.0〜24.0%、Mo:0.4%以下、Cu:0.3〜0.6%、Ti:0.01%以下、V:0.01〜0.10%、Nb:0.15〜0.35%で、かつ、(Nb+2V)/Ti≧30、8≦(Nb+2V)/(C+N)≦85を満たして含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、フェライト相以外の粒状物が2μm以下の粒径で分散した組織を有することを特徴とする上記の靱性に優れた高耐食性フェライト系ステンレス鋼板である。
まず、本発明におけるステンレス鋼板の成分の限定理由について説明する。
Cは炭化物を形成することにより靱性を低下させる。よってC含有量は0.015%以下とする。さらに、高靭性を得るには、好ましくは0.010%以下である。
Siは脱酸に用いられる元素であるが、過剰に含有すると固溶強化により加工性が低下する。よってSi含有量は0.5%以下とする。さらに、高加工性を得るには、好ましくは0.3%以下である。
MnはSと結合することにより耐食性を低下させる元素である。よってMn含有量は1.0%以下とする。
P含有量が0.06%を超えると、固溶強化によって加工性が低下する。よってP含有量は0.06%以下とする。さらに、高加工性を得るには、好ましくは0.05%以下である。ここで、加工性とは延性をいう。
S含有量が0.01%を超えると耐食性が著しく低下する。したがってSは0.01%以下とする。さらに、高耐食性を得るには、好ましくは0.006%以下である。
ここで、高耐食性とは孔食電位測定試験(JIS G 0577)で、0.250V vs SHE以上を示すものをいう。
Alは脱酸に用いられる元素である。脱酸が不十分であると欠陥が生じやすくなる。一方、過剰に含有すると溶存酸素量が著しく減少して溶接性が低下する。よってAl含有量は0.01〜0.35%とする。さらに、溶接性の観点から、好ましくは0.02〜0.30%である。ここで、溶接性とは主として素材の溶け込み性をいう。
Nは窒化物を形成することにより靱性を低下させる。よってN含有量は0.015%以下とする。さらに、高靭性を得るには、好ましくは0.010%以下である。
Crは表面に不働態皮膜を形成して耐食性を高める元素である。Cr含有量が18.0%未満では十分な耐食性が得られない。一方、24.0%を超えるとσ相や475℃脆性の影響で靱性が低下しやすくなる。よってCr含有量は18.0〜24.0%とする.さらに、高耐食性および靭性の観点から、好ましくは20.0〜22.0%である。
Moはステンレス鋼の耐食性を高める効果を有するが、本発明においては必須の元素ではない。過剰に添加するとラーベス相等の粗大な金属間化合物を生成させ、靱性を低下するので、Mo含有量は0.4%以下に限定する。
Cuは不働態皮膜を強化し、耐食性を向上させる元素である。一方、過剰に添加されるとε−Cuが析出しやすくなり、耐食性を低下させる。よってCu含有量は0.3〜0.6%とする。さらに、耐食性を考慮すると、好ましくは0.3〜0.5%である。
Tiは粗大な炭窒化物を形成し、靱性を低下させる。よってTi含有量は0.01%以下とする。
VはCやNを固定し、鋭敏化を抑制する効果を有する。適量であれば微細な炭窒化物を形成するが、過剰に添加されるとそれらが粗大化する傾向がある。よってV含有量は0.01〜0.10%とする。
NbはCやNを固定し、鋭敏化を抑制する効果を有する。一方で、過剰に添加されるとラーベス相等の粗大な金属間化合物を生成させ、靱性が低下する。よってNb含有量は0.15〜0.35%とする。さらに、靭性を考慮すると、好ましくは0.15〜0.30%である。
(Nb+2V)/Ti≧30、8≦(Nb+2V)/(C+N)≦85
Ti、Nb、Vはいずれも炭窒化物を形成する元素である。その中でTiの炭窒化物(特に窒化物)は粗大化して靱性を低下させやすいが、NbやVの炭窒化物はそれに比べると微細で応力集中を生じにくい。また、Tiは、NbやVと比べるとCやNとの親和力が強く、また、高温から窒化物を生成させることにより、僅かな含有量でも靱性を低下させる可能性があるため、Tiの添加量はNbやVのそれを大きく下回る必要がある。よって(Nb+2V)/Ti≧30を満たすこととする。
フェライト(α)相以外の相は、フェライト相との塑性変形挙動の差によって生じる応力集中の原因となる。応力集中はこの相が粗大であるほど生じやすい。そこで、本発明では、その大きさを制御することにより、靱性を改善させる。よって、フェライト相以外の粒状物の粒径は2μm以下とする。粒状物の粒径が2μmを超えると靭性の向上は期待できない。
転炉、電気炉等を用いて所定の成分を有するステンレス鋼を溶製し、さらに脱炭処理を施す。得られた溶鋼を連続鋳造法あるいは造塊法によってスラブとする。ただし、生産性の高い連続鋳造法を採用することが好ましい。
スラブ加熱段階において、フェライト相以外の粒状物を微細化するには1100℃以上に加熱する必要がある、一方で、スラブ加熱温度が高すぎるとクリープ変形にともなうスラブ垂れの問題が発生するため1300℃以下とする必要がある。
熱間圧延において、全体の圧下率が小さい場合は、導入される歪が小さく、熱延板の結晶粒径が大きくなる。熱延板の結晶粒径が大きい場合、フェライト相以外の粒状物の析出サイトが少なくなるため、フェライト相以外の粒状物の粒径が大きくなり、靱性が低下する。よって全体の圧下率は95%以上とする。また、特に1100℃を超える温度では導入された歪が減少しやすいため、さらに1100℃以下の圧下率を75%以上とする。
熱間圧延におけるコイル巻取り温度が650℃を超えると、巻取り後に炭窒化物や金属間化合物が析出、過剰に成長し、靱性が低下する。よってコイルの巻取り温度を650℃以下とする。
焼鈍条件を限定した理由は以下の通りである。
熱延板は475℃脆性と呼ばれる脆化が生じていることがある。これは、スピノーダル分解による脆化相の生成が原因と考えられているが、900℃以上で60秒以上保持することで脆化原因が解消され靱性が回復するため、熱延板の焼鈍条件を上記に限定する。
Claims (2)
- 質量%で、C:0.015%以下、Si:0.5%以下、Mn:1.0%以下、P:0.06%以下、S:0.01%以下、Al:0.01〜0.35%、N:0.015%以下、Cr:18.0〜24.0%、Mo:0.4%以下、Cu:0.3〜0.6%、Ti:0.01%以下、V:0.01〜0.10%、Nb:0.15〜0.35%で、かつ、(Nb+2V)/Ti≧30、8≦(Nb+2V)/(C+N)≦85を満たして含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、板厚6mm以下で、炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物、硫化物、金属間化合物、およびこれらの複合物である粒状物が2μm以下の粒径で分散し、板厚6mmにおける0℃のシャルピー吸収エネルギーが100J/cm 2 以上の靭性を与える炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物、硫化物、金属間化合物、およびこれらの複合物である粒状物が2μm以下の粒径で分散した組織を有することを特徴とする靱性に優れた高耐食性フェライト系ステンレス鋼板。
ただし、前記(Nb+2V)/Ti≧30、前記8≦(Nb+2V)/(C+N)≦85において、元素記号は各元素の含有量を意味する。 - 質量%で、C:0.015%以下、Si:0.5%以下、Mn:1.0%以下、P:0.06%以下、S:0.01%以下、Al:0.01〜0.35%、N:0.015%以下、Cr:18.0〜24.0%、Mo:0.4%以下、Cu:0.3〜0.6%、Ti:0.01%以下、V:0.01〜0.10%、Nb:0.15〜0.35%で、かつ、(Nb+2V)/Ti≧30、8≦(Nb+2V)/(C+N)≦85を満たして含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるスラブを1100〜1300℃に加熱し、全体の圧下率が95%以上、1100℃以下での圧下率が75%以上、巻取り温度が650℃以下となるような条件で熱間圧延を行った後、900℃以上で60秒以上保持した後、冷却する焼鈍を施すことを特徴とする、板厚6mm以下で、炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物、硫化物、金属間化合物、およびこれらの複合物である粒状物が2μm以下の粒径で分散し、板厚6mmにおける0℃のシャルピー吸収エネルギーが100J/cm 2 以上の靭性を与える炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物、硫化物、金属間化合物、およびこれらの複合物である粒状物が2μm以下の粒径で分散した組織を有する靱性に優れた高耐食性フェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
ただし、前記(Nb+2V)/Ti≧30、前記8≦(Nb+2V)/(C+N)≦85において、元素記号は各元素の含有量を意味する。
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