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JP5873260B2 - Iii族窒化物積層体の製造方法 - Google Patents

Iii族窒化物積層体の製造方法 Download PDF

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JP5873260B2 JP2011118244A JP2011118244A JP5873260B2 JP 5873260 B2 JP5873260 B2 JP 5873260B2 JP 2011118244 A JP2011118244 A JP 2011118244A JP 2011118244 A JP2011118244 A JP 2011118244A JP 5873260 B2 JP5873260 B2 JP 5873260B2
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Description

本発明は、III族窒化物積層体の製造方法に関する。さらに詳しくは、深紫外領域(たとえば、波長が300nm以下)の光を発し、しかも高い光出力と良好な電極特性とを実現できるIII族窒化物半導体素子に好適に用いられるIII族窒化物積層体の製造方法に関する。
窒化ガリウム(GaN)に代表されるIII族窒化物半導体は可視領域から紫外領域に相当するエネルギー帯の全領域で直接遷移型のバンド構造を持ち、高効率な発光デバイスの作製が可能である。そのため発光ダイオードおよびレーザーダイオードの研究が活発に行われ、現在では、可視領域から近紫外領域までの発光ダイオード、青色レーザーダイオードなどの半導体素子が製品化されている。
このような半導体素子においてP型III族窒化物半導体は、たとえば活性層を挟み込むP型クラッド層として用いられている。そして、P型クラッド層の上にはP型キャップ層が形成され、さらにその上に正電極を形成する。
このようなP型キャップ層としては、ホール(正孔)の注入効率、正電極とのオーミック接触、結晶格子の整合性等を考慮して、P型GaN層が好適に用いられている。P型GaN層は、公知の結晶成長法を用いてP型クラッド層上にエピタキシャル成長される。たとえば、特許文献1では、P型クラッド層としてのP型Al0.2Ga0.8N層上にP型GaN層が形成されている。また、特許文献2では、P型クラッド層としてのP型Al0.07〜0.2Ga0.93〜0.8N層上にP型GaN層が形成されている。このようなAl含有率の低いP型III族窒化物半導体上にP型GaN層を形成する場合には、エピタキシャル成長の成長モードは、FMモードであり、形成直後からGaN層が層状に形成されることが知られている。
しかしながら、波長が300nm以下の深紫外領域で発光し、しかも光出力の高い発光ダイオードおよびレーザーダイオードを実現するためには、Al含有率が高いP型III族窒化物半導体(たとえば組成式AlGaInNにおいてXが0.5以上)からなるP型クラッド層上に、低抵抗かつホール注入効率の高いP型GaN層からなるP型キャップ層が形成する必要がある。
特許文献3では、通常の製造条件によりAl含有率が高いP型III族窒化物半導体層上にP型GaN層を形成する場合には、FMモードではなく、GaNが島状に成長することが記載されている(SKモード)。この場合、形成直後のP型GaN層の表面には凹凸が形成されるため、GaN層の層厚みが薄い場合には、表面が粗くなることが記載されている。そこで、特許文献3では、製造条件を特定の条件とすることで、GaN層の層厚みが薄い場合であっても、その表面が平滑なIII族窒化物積層体を得ている。
特許第3223832号 特開2003−23179号公報 特開2010−232364号公報
上記のIII族窒化物積層体が適用されたIII族窒化物半導体素子では、通常、光取り出し面が一方向、たとえば基板側であるため、素子内で発光した光は基板側(N型クラッド層側)から取り出される。しかしながら、光は全方位的に放射されるため、基板側に向かう光のみを取り出すだけでは、光の利用効率が悪くなってしまう。
そこで、図3のように、P型キャップ層16上に形成される正電極21中に反射金属層23を設け、基板11側とは逆方向に放射された光101を反射させて、基板側に向かう光100と共に基板11側から取り出し、素子1からの光放出量を増加させることが知られている。
しかしながら、P型キャップ層16として、P型GaN層が用いられている場合、P型GaN層は波長が365nm以下の光を吸収するため、深紫外領域の光は、P型GaN層を通過する際に減衰してしまう。また、基板側とは逆方向に放射された光101を基板11側から取り出す場合、光101はP型GaN層を通過して、反射電極層23で反射し、再びP型GaN層を通過して、基板11から取り出されることになる。
そのため、反射電極層で反射して取り出される光の強度は、GaN層の透過率の2乗に比例して減少する。透過率は厚みに対して指数関数的に減少するため、反射して取り出される光の強度を高めるためには、GaN層の厚みをできる限り薄くする必要がある。
一方、正電極21は金属で構成されるため、P型GaN層との接合界面ではショットキーバリアが生じ、電極特性が悪化してしまう。その結果、III族窒化物半導体素子の動作電圧が高くなってしまうという問題があった。そのため、P型GaN層の厚みが薄い場合であっても、良好な電極特性が求められる。
本発明はこのような実状に鑑みてなされ、その目的はAl含有率が高いIII族窒化物半導体上にP型GaN層が形成された積層体の製造時において、P型GaN層の形成直後から、その表面が極めて平滑にされ、しかも、該表面に電極が形成される場合であっても、電極特性が良好なIII族窒化物積層体の製造方法を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明に係るIII族窒化物積層体の製造方法は、
AlGaInN層と、不純物原子がドープされたP型GaN層と、を有し、
前記AlGaInN層を組成式AlGaInNで表した場合に、前記組成式中のX、YおよびZが、X+Y+Z=1.0,Y≧0,Z≧0,0.5≦X≦1.0である関係を満足するIII族窒化物積層体を製造する方法であって、
前記AlGaInN層上に前記P型GaN層を形成する工程を有し、前記P型GaN層を形成する工程において、
前記P型GaN層の層厚みをT[nm]とし、
前記P型GaN層の層厚み方向における成長速度をGR[nm/分]とし、
前記P型GaN層を形成するために用いられるGa原料の流量をFGa[μmol/分]とし、不純物原子原料の流量をFi[μmol/分]としたときに、
下記式(1)、及び(2)を満足するように前記P型GaN層を形成することを特徴とするIII族窒化物積層体の製造方法である。
0.15 ≦ GR ≦ 2.0 (1)
0.1 < (Fi/FGa)×ln(T) ≦ 0.4 (2)
本発明では、P型GaN層を結晶成長させる際の結晶成長条件として、成長速度(GR)に加え、Ga原料の流量(FGa)、不純物原子原料の流量(Fi)およびGaN層の層厚み(T)に着目し、原料流量比と層厚みとを上記の範囲内に制御している。
このようにすることで、Al含有率が高いAlGaInN層上に形成されるP型GaN層の成長モードをFMモードに近い状態(擬似FMモード)とすることができる。その結果、P型GaN層の結晶成長直後から、その表面が極めて平滑であり、しかも層厚みが極めて薄く、良好な電極特性を有するGaN層を得ることができる。
好ましくは、前記P型GaN層を形成する工程において、前記P型GaN層を形成するために用いられるIII族原料に対するV族原料のモル比を示すV/III比が8500以上である。
V/III比を上記の範囲内とすることで、P型GaN層の導電性をより高めることができる。
好ましくは、前記P型GaN層の層厚み(T)が15nm以下であり、(Fi/FGa)が0.05以上0.2以下である。
好ましくは、前記P型GaN層の層厚み(T)が15nm超40nm以下であり、(Fi/FGa)が0.03以上0.2以下である。
P型GaN層の層厚みに応じて、Fi/FGaを上記の範囲とすることで、GaN層の層厚みが40nm以下の薄い場合であっても良好な電極特性が得られる。
上述のP型GaN層の層厚みが40nm以下のIII族窒化物積層体上に、少なくともAl金属層等の反射金属層を含む電極を形成し、III族窒化物半導体素子に適用することで、300nm以下の波長を有する光を発し、しかも、高い光出力を実現する半導体素子を得ることができる。
本発明に係るIII族窒化物積層体の製造方法によれば、P型GaN層の結晶成長直後から、P型GaN層の表面は極めて平滑であるIII族窒化物積層体を得ることができる。このIII族窒化物積層体を、深紫外領域の光を発するIII族窒化物半導体素子に適用することで、素子内で発光した光がP型GaN層に吸収されることを抑制できるため、素子の光取り出し面への光放出量を増加させることができる。
特に、P型GaN層上に電極を形成する場合には、P型GaN層の層厚みが薄くなると、ショットキーバリアの高さが大きくなり、電極特性が悪化する傾向にある。そこで、本発明に係る方法では、GaN層の層厚み(T)に応じて、Ga原料流量(FGa)と不純物原子の原料流量(Fi)との比、およびGaN層の成長速度(GR)を制御している。その結果、バリアの高さを小さくし、良好な電極特性を得ることができる。
図1は、基板上にバッファ層を介して形成されている本発明の一実施形態に係るIII族窒化物半導体素子の断面図である。 図2は、P型GaN層上に形成された正電極におけるバリアの高さを算出する方法を説明するための図である。 図3は、発光素子内で発光した光を取り出す経路を示す断面模式図である。
まず、本実施形態のIII族窒化物積層体をIII族窒化物半導体素子としての深紫外発光素子に適用した場合の実施態様を図面に基づき説明する。
(III族窒化物半導体素子(深紫外発光素子))
本発明の一実施形態に係る半導体素子1は波長が300nm以下(深紫外領域)の光を発する発光素子である。図1に示すように、基板11上に形成されたバッファ層12上において、半導体素子1はN型クラッド層13、活性層14および本実施形態に係るIII族窒化物積層体10が順に積層された構造を有している。半導体素子1を構成する各層は、結晶質、特に単結晶であることが好ましい。そして、N型クラッド層13には負電極20が形成されており、後述するP型キャップ層16には正電極21が形成されている。
本実施形態では、III族窒化物積層体10は、P型クラッド層15としてのP型AlGaInN層と、P型キャップ層16としてのP型GaN層と、が積層された構成を有している。
基板11は、半導体素子1の製造時の処理温度に耐える材料であれば、特に制限されず、サファイア、SiC、Si、GaN、AlN、AlGaN、ZnO、ZrBなどを用いればよい。本実施形態ではサファイア単結晶またはAlN単結晶を用いることが好ましい。
バッファ層12は基板11上に形成され、基板11と、バッファ層12上に形成される結晶層(本実施形態ではN型クラッド層)と、の格子不整合を緩衝する材料であれば特に制限されない。本実施形態では、基板11がサファイアもしくはAlNであり、後述するN型クラッド層13がAlGaInNで構成されるため、バッファ層12はAlNで構成されることが好ましい。また、バッファ層を複数設けてもよい。
(N型クラッド層)
N型クラッド層13は、本実施形態ではバッファ層12の上に形成され、活性層14へキャリア(電子)を供給するとともに、活性層で発光された光を閉じこめる機能を有する。N型クラッド層13は、活性層14を構成する材料よりもバンドギャップが大きい材料から構成されており、III族窒化物半導体から構成されていることが好ましい。本実施形態では、N型クラッド層13はAlGaInNで構成されることが好ましい。その組成は、活性層14において波長が300nm以下の光を得られるように適宜決定すればよい。
また、N型クラッド層13は、ドナー不純物原子がドープされておりN型特性を示す。ドナー不純物原子としては特に制限されず、たとえばSi、O、Ge等が挙げられ、特にSiが好ましい。また、このドナー不純物原子の濃度も特に制限されず、1017〜1019cm−3であることが好ましい。
また、N型クラッド層13の積層面の一部は積層方向に露出している。この露出している面には負電極20が形成されている。その材質はN型クラッド層とオーミック接触性が良好であれば特に制限されず、Ti、Al、Auなどが例示される。
(活性層)
活性層14は、N型クラッド層13と後述するP型クラッド層15とに挟まれるように配置されている。活性層14はpn接合されており、活性層14において電極から注入されたホールと電子とが再結合することにより発光する。
活性層14の構造は特に制限されないが、高い発光効率を得るために井戸層と障壁層とが積層された量子井戸構造を有していることが好ましく、特に多重量子井戸構造(MQW構造)を有していることが好ましい。また、活性層14は、N型クラッド層13およびP型クラッド層15よりもバンドギャップの小さい材料で構成されており、III族窒化物半導体から構成されていることが好ましい。本実施形態では、活性層14の井戸層および障壁層はAlGaInNで構成されることが好ましい。井戸層および障壁層の組成は、波長が300nm以下の光を得られるように、適宜決定すればよい。
(III族窒化物積層体(深紫外発光素子用))
本実施形態に係るIII族窒化物積層体10は、図1に示すように、P型クラッド層15としてのAlGaInN層と、P型キャップ層16としてのP型GaN層と、が積層された構成を有している。
なお、Al、Ga、InおよびNの含有量は、2次イオン質量分析法などにより測定することができる。
(AlGaInN層)
III族窒化物としてのAlGaInNは、III族原子であるAl、GaおよびInと、V族原子であるNと、からなる化合物であり、組成式を用いて、AlGaInN(ただし、X+Y+Z=1.0)と表すことができる。
ここで、上記の組成式において「X」は上記のAlGaInNにおけるAlの含有率を表しており、発光される光の波長の長さに応じて決定される。本実施形態では、Xは0.5以上であり、Xを0.5以上としたAlGaInN層をP型クラッド層16として用いることで、波長が300nm以下の光を発する発光素子を得ることができる。より波長の短い光を発生させる場合には、Xは0.55以上であることが好ましく、より好ましくは0.65以上であり、さらに好ましくは0.7以上である。また、Xの上限は1.0、すなわちAlN層である。
AlGaInN層は、本実施形態では、アクセプター不純物原子がドープされておりP型特性を示す。アクセプター不純物原子としては特に制限されず、たとえばMg、Zn、Ca、Cd、Be等が挙げられ、特にMg、Beが好ましい。また、このアクセプター不純物原子の濃度も特に制限されず、1018〜1020cm−3であることが好ましい。
また、上記の組成式において、「Y」はGaの含有率、「Z」はInの含有率を表しており、YおよびZは、バンドギャップエネルギーに影響を与える。本実施形態では、Y≧0,Z≧0,Y+Z≦0.5である。YとZとの比率は所望の特性等に応じて適宜決定すればよいが、好ましくは0≦Y≦0.5、より好ましくは0≦Y≦0.3である。また、好ましくは0≦Z≦0.1、より好ましくは0≦Z≦0.05である。ただし、Zが0よりも大きい、すなわち、Inが含まれる場合には、後述する製造方法において、Inが、AlGaInN層上に形成されるGaN層に拡散しやすいため、Z=0、すなわち、Inが含まれないことが好ましい。
なお、本実施形態では、図1に示すように、AlGaInN層はP型クラッド層15のみから構成されているが、組成が上記範囲を満足するものであれば、組成の異なる複数の層から構成されていてもよい。また、AlGaInN層の厚みは、用途に応じて適宜決定すればよい。
(P型GaN層)
P型GaN層は高いホール濃度を得やすく、また、正電極21を構成する金属とオーミック接触性が良好であるため、本実施形態ではP型キャップ層16として用いられている。本実施形態において、P型GaN層は、上記の組成式におけるXが0.5以上であるAlGaInN層上に形成されている。
P型GaN層の層厚みは、好ましくは3nm以上40nm以下であり、より好ましくは3nm以上25nm以下であり、さらに好ましくは3nm以上15nm以下である。また、その表面粗さは、2乗平均粗さ(RMS)を用いた場合、好ましくは5.0nm以下、より好ましくは3.0nm以下である。なお、RMSの下限値は、特に制限されるものではないが、工業的な生産を考慮すると0.5nmである。
すなわち、P型GaN層の層厚みは極めて薄いにもかかわらず、その表面は非常に平滑となっている。そのため、図3に示すように、光取り出し面11aとは逆の方向に放射された光101を取り出す場合にも、P型GaN層16での吸収が抑制できる。したがって、このようなP型GaN層を有するIII族窒化物積層体を発光素子に適用することで、たとえば、波長が300nm以下の光を発する発光素子においても、導電性に寄与し、発光効率を高めることができる。
P型GaN層は、アクセプター不純物原子がドープされておりP型特性を示す。アクセプター不純物原子としては特に制限されず、上記したものが挙げられ、特にMgが好ましい。また、このアクセプター不純物原子の濃度も特に制限されず、1018〜1020cm−3であることが好ましい。
本実施形態に係るIII族窒化物積層体においては、AlGaInN層のAl含有率が大きい場合であっても、P型GaN層を擬似FMモードで結晶成長させるため、表面の平滑性を保ちつつ、P型GaN層の層厚みを上記の範囲とすることができる。その結果、透過率や比抵抗等の特性は良好となる。さらに、上記P型GaN層上に、紫外光の反射率が高いAl金属層を含む電極を形成することにより、動作電圧を低く保ちつつ、波長が300nm以下の光を発する発光素子において発光効率を高めることができる。
P型GaN層のホール濃度は、公知のホール効果測定法により測定された比抵抗値およびホール起電圧から算出される。本実施形態では、P型GaN層の30℃におけるホール濃度は、好ましくは3×1017cm−3以上、さらに好ましくは5×1017cm−3以上である。P型GaN層の表面粗さが上記の範囲にあり、極めて平滑であるため、30℃におけるホール濃度を上記の範囲とすることができる。ホール濃度の上限は特に制限されないが、実現可能な範囲を考慮すると、1019cm−3程度である。
本実施形態では、正電極21はP型GaN層に形成され、反射電極層を有していてもよい。本実施形態に係る方法により製造されるIII族窒化物積層体が、深紫外用発光素子に適用される場合には、正電極21は、少なくともAlを含む反射金属層を有することが好ましい。また、Alを含む反射金属層23の構成および厚みは、紫外光反射率を高められる構成であれば特に限定されるものではないが、Al反射金属層の厚みは、好ましくは50nm以上、さらに好ましくは100nm以上である。なお、GaN層と反射電極層の間に、コンタクト層を設けることもできる。
上述したように、正電極21は金属で構成されるため、P型GaN層との接合界面ではショットキーバリアが生じ、電極特性が悪化してしまう。特に、P型GaN層の厚みが薄い場合に顕著になる傾向にある。
良好な電極特性を得るには、正電極とP型キャップ層との種々の組み合わせからオーミック接触性が良好な組み合わせを選択することが挙げられる。これに対し、本実施形態では、後述する製造方法において、形成されるGaN層の層厚みに応じて、Ga原料流量と不純物原子の原料流量との比、およびGaN層の成長速度を特定の範囲に制御することで、電極特性を良好にしている。
電極特性の良否は、図2に示すように、電極間のIV特性から、バリアの高さ(barrier height)を見積もることで判断することができる。すなわち、バリアの高さが0であれば(図2の実線)、電圧印加直後からIV特性はオームの法則に従うことになり、良好な電極特性を有する。一方、バリアの高さが高い場合(図2の破線)、バリアの高さ以上の電圧を印加しなければ、電流が流れにくくなってしまう。すなわち、III族窒化物半導体素子の動作電圧が高くなってしまう。
上述したIII族窒化物半導体素子1は、上述したIII族窒化物積層体10と、N型クラッド層と、活性層と、電極とを有していればよい。これに加え、たとえば、転位、クラック等の結晶欠陥の導入を防ぐためのクラック防止層、発光した光を閉じこめるための光ガイド層、発光した光を反射させるための反射層等をさらに有していてもよい。
(III族窒化物半導体素子(深紫外発光素子)およびIII族窒化物積層体(深紫外発光素子用)の製造方法)
次に、図1に示すIII族窒化物半導体素子の製造方法について説明する。特に、III族窒化物積層体の製造方法については詳細に説明する。
本実施形態に係るIII族窒化物積層体を製造する方法としては、各層を単結晶の状態で結晶成長させる方法を用いることが好ましく、そのような方法であれば、特に制限されない。具体的には、たとえば、有機金属気相成長法(MOCVD法)、分子線成長法(MBE法)、ハライド気相成長法(HVPE法)などが挙げられるが、本実施形態では、MOCVD法を用いる。
まず、基板11を、MOCVD装置の反応炉内に備えられたサセプター上に設置する。基板としては、上述した材質であればよいが、本実施形態では、サファイア単結晶基板を用いる。
次に、基板11を1050℃以上、さらに好ましくは1150℃以上に加熱し、水素雰囲気中で保持することにより基板表面のクリーニングを行う。
その後、1050℃以上、さらに好ましくは1150℃以上で、反応炉内に、バッファ層12の原料ガスを導入して、バッファ層12としてのAlN層を基板上に結晶成長させる。原料ガスの種類は特に制限されず、所望の組成、特性等に応じて適宜決定すればよい。また、温度の上限も、特に制限されないが1300℃以下であることが好ましい。
本実施形態では、III族原料ガスとしてのトリメチルアルミニウム(以下、TMAとする)、V族原料ガスとしてのアンモニア(NH)および原料ガスのキャリアガス(水素,窒素など)を反応炉内に導入し、バッファ層12(AlN)を形成する。成長温度、V/III比および成長速度等の結晶成長条件は、所望の特性等が得られるように制御すればよい。また、この工程以降では、反応炉内を減圧して、結晶成長させることが好ましい。
このバッファ層12は、バッファ層上に積層されるIII族窒化物半導体素子の特性を損なわない程度の結晶性を有していれば良い。
次にバッファ層12上にN型クラッド層13を形成する。III族原料ガスとしては、TMAおよびトリメチルガリウム(以下、TMGとする)を用い、V族原料ガスとしてはアンモニアを用いる。これらの原料ガスおよびキャリアガスに加え、ドナー不純物原子の原料ガスとしてのテトラエチルシランを反応炉内に導入し、SiがドープされたAlGaInN層(N型クラッド層13)を形成する。組成、Si濃度および結晶成長条件は所望の特性に応じて適宜決定すればよい。
次にN型クラッド層13上に活性層14を形成する。N型クラッド層形成時のアンモニアおよびキャリアガスの流量を一定にしつつ、TMAとTMGとの流量比(組成比)を一定の周期で変化させることにより、井戸層と障壁層とが複数積層された多重量子井戸構造(MQW構造)を有する活性層14を形成する。活性層の結晶成長条件は所望の特性に応じて適宜決定すればよい。
本実施形態では、上記で形成した活性層14上に、本実施形態に係るIII族窒化物積層体を構成するAlGaInN層(P型クラッド層15)を形成する。III族原料ガスとしては、TMA、TMGおよびトリメチルインジウム(以下、TMIとする)を用い、V族原料ガスとしてはアンモニアを用いる。これらの原料ガスおよびキャリアガスに加え、アクセプター不純物原子の原料ガスとしてのビスシクロペンタジエニルマグネシウム(以下、CpMgとする)を反応炉内に導入し、MgがドープされたAlGaInN層(P型クラッド層15)を形成する。組成、Mg濃度および結晶成長条件は所望の特性に応じて適宜決定すればよい。なお、AlGaInN層を複数の層で構成する場合には、III族原料ガス、不純物原子の原料ガス等の種類や流量を変化させて、組成を制御すればよい。
なお、本実施形態では、AlGaInN層は活性層上に形成されているが、AlGaInN層の結晶性が保たれるように形成されていればよく、P型層、N型層、基板、バッファ層等の上に形成してもよい。
次に、上記で形成されたAlGaInN層上に、P型キャップ層16としてのアクセプター不純物原子がドープされたGaN層(P型GaN層)を形成する。本実施形態では、III族原料ガスとしてはTMG、V族原料ガスとしてはアンモニア、アクセプター不純物原子の原料ガスとしてはCpMgを用いる。
(P型GaN層の製造)
まず、反応炉内において、上記の各層が形成されている基板を好ましくは1000℃以上、より好ましくは1030℃以上に加熱し、上記の原料ガスを反応炉内に導入する。温度の上限は、特に制限されないが1200℃であることが好ましい。また、V族原料ガスの流量は所定の流量とすればよい。一方、III族原料ガスとしてのGa原料ガスの流量をFGa[μmol/分]、アクセプター不純物原子の原料ガスの流量をFi[μmol/分]とすると、Fiは後述するFi/FGaの範囲を満足するように設定されていれば特に制限されないが、本実施形態では、0.05〜0.2であることが好ましい。
本実施形態では、前記P型GaN層を形成する際、その層厚み(T[nm])に応じて、P型GaN層の層厚み方向における成長速度(GR[nm/分])を特定の関係とし、さらに、Ga原料ガスの流量(FGa[μmol/分])とアクセプター不純物原子の原料ガスの流量(Fi[μmol/分])との比(Fi/FGa)が特定の関係を満足するように制御している。すなわち、下記式(1)、及び(2)を満足するような条件でP型GaN層を形成することにより、平滑であって、かつその上に電極を形成した際、優れた電極特性が発揮されるP型GaN層を製造できる。
0.15 ≦ GR ≦ 2.0 (1)
0.1 < (Fi/FGa)×ln(T) ≦ 0.4 (2)
特に、この効果は、P型GaN層の厚みが15nm以下の薄膜である場合に顕著となる。そのため、反射電極をその上に形成した場合には、光の取り出し効率に優れ、電極特性の良好な発光素子を得ることができる。以下、式(1)、(2)について説明する。
(成長速度(GR):式(1))
P型GaN層の層厚み方向における成長速度(GR[nm/分])は、0.15以上2.0以下であり、好ましくは0.3以上1.5以下であり、より好ましくは0.4以上1.0以下である。成長速度が小さすぎると、発光素子構造において、クラッド層から活性層への不純物の拡散量が増加するため、発光効率が減少する傾向にあり、逆に大きすぎると、形成されるP型GaN層の表面粗さが大きくなる傾向にある。
(原料ガスの流量比と厚みの関係:式(2))
P型GaN層の層厚み(T[nm])、Ga原料ガスの流量をFGa[μmol/分]、アクセプター不純物原子の原料ガスの流量をFi[μmol/分]とすると、成長速度(GR[nm/分])が式(1)を満足し、かつ下記式(2)を満足するようにP型GaN層を形成する必要がある。
0.1 < (Fi/FGa)×ln(T) ≦ 0.4 (2)
なお、この層厚み(T[nm])は、成長途中の層厚みではなく、成長が完了した時点での層厚みである。また、本実施形態では、FGaは、1分あたりに供給されるGa原子のモル数を示す。Fiは、1分あたりに供給されるアクセプター不純物原子のモル数を示す。
前記式(2)の値が0.1以下である場合には、P型GaN層と電極間のショットキーバリアが大きくなり電極特性が悪化するため好ましくない。一方、0.4を超える場合には、FGaに対するFiが過剰となるため結晶品質が著しく低下する、もしくはP型GaN層の層厚みが非常に大きくなり実用性に欠けるため好ましくない。上記の電極特性と結晶品質および実用性とを考慮すると、前記式(2)の値は、0.1〜0.3が好ましく、さらに、0.12〜0.25となることが好ましい。
また、本実施形態では、前記式(1)、及び(2)の条件を満足し、かつ成長させるP型GaN層の層厚みに応じて、Ga原料ガスの流量(FGa[μmol/分])とアクセプター不純物原子の原料ガスの流量(Fi[μmol/分])との比(Fi/FGa)を調整することが好ましい。
先ず、P型GaN層上に反射電極層を設けた場合、特に、その光の取り出し効率が向上する、層厚み15nm以下について説明する。なお、層厚みの下限は、生産性を考慮すると3nmである。P型GaN層の層厚みが15nm以下の場合には、電極特性を考慮すると、(Fi/FGa)は、0.05以上0.2以下とすることが好ましい。さらに、(Fi/FGa)は、0.06〜0.15とすることが好ましく、特に0.07〜0.1とすることが好ましい。
一方、P型GaN層の層厚み(T)を15nm超40nm以下とする場合には、15nm以下の場合と同様に電極特性を考慮すると、(Fi/FGa)が0.03以上0.2以下であることが好ましい。さらに、(Fi/FGa)は、0.04〜0.15とすることが好ましく、特に0.07〜0.1とすることが好ましい。
本実施形態では、III族原料とV族原料とのモル比を示すV/III比は、8300以上とすることが好ましく、9000以上とすることがより好ましい。V/III比を上記の範囲とすることで、P型GaN層の導電性をより高めることができる。なお、V/III比は大きいほど好ましいが、V/III比が大きくなりすぎると、V族原料ガスの流量に対して、P型GaN層の形成に実際に使用されるV族原料の割合が小さくなってしまう。したがって、歩留まりの観点から、V/III比の上限は10000とすることが好ましい。
P型GaN層の結晶成長条件を上記の条件とすることで、Xが0.5以上のAlGaInN層上に結晶成長するP型GaN層の成長モードを擬似FMモードとすることができる。その結果、結晶成長直後から、形成されたP型GaN層の表面は非常に平滑であり、その表面粗さ(2乗平均粗さ:RMS)を5.0nm以下、より好ましくは3.0nm以下、より好ましくは2.5nm以下とすることができる。しかも、このような非常に平滑な表面を有しているにもかかわらず、GaN層の層厚みを極めて薄く、たとえば3nm以上40nm以下とすることができる。
次に、バッファ層12、N型クラッド層13、活性層14およびIII族窒化物積層体10が積層された基板11を、所望の形状に切断し、熱処理を行う。熱処理後、エッチング等の公知の方法を用いて、積層方向に対し、活性層、P型バリア層およびIII族窒化物積層体を部分的に除去して、N型クラッド層13の一部を露出させる。そして、露出したN型クラッド層13の表面に上記した金属から構成される負電極を形成し、P型GaN層の表面には上記した金属から構成される正電極を形成し、図1に示すIII族窒化物半導体素子1を得る。
上述した方法により得られるIII族窒化物半導体素子は、P型クラッド層として、Al含有率が高い、すなわちXが0.5以上のAlGaInN層が採用されているため、発光される光の波長が300nm以下である発光素子となる。しかも、P型キャップ層としてのP型GaN層の層厚みが極めて薄く、その表面も極めて平滑であるため、P型GaN層の透過率が大きくなり、さらには抵抗が低くなるためホール注入効率を高めることができる。その結果、III族窒化物半導体素子は高い光出力を実現することができる。
さらに、P型キャップ層上に反射電極が形成されている場合には、上述したIII族窒化物積層体を用いることにより、動作電圧を低く保ちつつ、300nm以下の深紫外領域で発し、かつ高い発光効率を有する発光ダイオードおよびレーザーダイオードを製造することが可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々に改変することができる。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
(実施例1)
(AlN層の形成)
本実施例では、有機金属気相成長法(MOCVD法)を用いて、III族窒化物積層体を作製した。III族窒化物積層体を結晶成長させるための基板として、サファイアC面単結晶基板を用いた。これをMOCVD装置の反応炉内のサセプター上に設置した後、水素ガスを13slmの流量で流しながら、サファイア基板を1250℃まで加熱し、10分間保持することで基板表面のクリーニングを行った。次いで、基板温度が1200℃、TMA流量が25μmol/min、アンモニア流量が1slm、全体のガス流量が10slm、圧力が50Torrの条件で、基板上にAlN層を層厚み0.45μmで形成した。このAlN層はバッファ層として機能する。
上記で得られたAlN層(バッファ層)上にアンドープAl0.7Ga0.3N層を層厚み0.5μmで形成した。形成条件は、基板温度が1150℃、TMG流量が18μmol/min、TMA流量が35μmol/min、アンモニア流量が1.5slm、全流量が10slm、圧力が50Torrとした。
(P型GaN層の形成)
上記で得られたAl0.7Ga0.3N層上に、P型GaN層(MgドーピングGaN層)を層厚みが23nmとなるように形成した。形成条件は、基板温度が1060℃、TMG流量(FGa)が13μmol/min、CpMg流量(Fi)が0.51μmol/min、アンモニア流量が2.75slm(V/III比=9211)、全流量が6slm、圧力が150Torrの条件とした。
(P型GaN層の成長速度の測定および成長層厚み制御法)
予め、本発明の実施例および比較例と同条件で150nm以上の比較的層厚みの厚いP型GaN層を形成し、断面SEM観察よりGaN層の層厚みを測定した。得られたP型GaN層の層厚みと成長時間の関係から、各成長条件における成長速度を計算した。実施例1における方向における成長速度(GR)は0.6nm/minであった。また、成長層厚みは上記で得られた成長速度を基に、成長時間を変更することで決定した。
(P型GaN層の表面粗さの測定)
上記で得られたIII族窒化物積層体が形成された基板をMOCVD装置から取り出し、原子間力顕微鏡(東陽テクニカ製Nano−R)によりP型GaN層の表面について、5μm角の表面凹凸像を取得し、その像からP型GaN層の表面の2乗平均粗さ(RMS)を測定した。本実施例では、P型GaN層の表面のRMSが5.0nm以下を良好とした。実施例1に係る試料のP型GaN層のRMSは1.22nmであった。
(P型GaN層の透過率)
次いで、紫外分光光度計(島津製作所製UV2550)により、得られた基板の透過率を、200nm〜700nmの範囲で測定した。なお、透過率の校正は、成長に使用した基板と同じ基板を用いて行った。実施例1に係る試料の透過率は58.2%であった。
次いで、得られた基板を複数個の7mm角程度の正方形に切断し、窒素雰囲気中,20分間,900℃の条件で熱処理を行った。次いで、P型GaN層表面に、真空蒸着法によりNi(5nm)/Au(5nm)を形成した後、酸素雰囲気中,3分間,550℃の条件で熱処理を行った。
(比抵抗の測定)
電極形成後、ホール効果測定装置(東陽テクニカ製Resitest8300)により、室温、電流値1×10−7〜1×10−4Aの条件で比抵抗の測定を行った。結果を表1に示す。
(正電極におけるバリアの高さ)
得られた発光素子の正電極間に電圧を印加してバリアの高さを評価した。図2に示すように、得られた電流と電圧との関係が直線となっている部分で直線近似をして、X軸(電圧)との交点を算出し、このときの電圧値をバリアの高さとした。
(実施例2〜実施例8、比較例1〜比較例6)
P型GaN層の形成時の条件を、表1に示す条件とした以外は、実施例1と同様にして、III族窒化物積層体を製造し、上記の評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0005873260
表1より、P型GaN層の結晶成長条件を上述した範囲内とすることで、P型GaN層の層厚みが極めて薄く、しかもその表面が非常に平滑にされたIII族窒化物積層体が得られることが確認できた。その結果、P型GaN層の透過率が良好になっている。
また、P型GaN層の層厚みに応じて、Fi/FGaを制御することで、バリアの高さが小さくなり、P型GaN層と電極とのオーミック接触性が増すことが確認できた。
(発光素子の作製)
(実施例9)
実施例1と同様の手順でAlN層を基板上に層厚み0.45μmで形成した後、上記で得られたAlN層(バッファ層)上にSiドープAl0.7Ga0.3N層(N型クラッド層)を層厚み2.0μmで形成した。形成条件は、基板温度が1150℃、TMG流量が180μmol/min、TMA流量が35μmol/min、アンモニア流量が1.5slm、テトラエチルシラン流量が2nmol/min、全流量が10slm、圧力が50Torrとした。
次いで、SiドープAl0.7Ga0.3N層上に、活性層を以下のようにして形成した。まず、TMG流量が14μmol/min、TMAが10μmol/min、アンモニア流量が1.5slmの条件で障壁層を層厚み7nmで形成した。次いで、アンモニア流量を変化させずに、TMG流量を23μmol/min、TMA流量を5μmol/minに変化させた条件で井戸層を層厚み2nmで形成後した後、再度障壁層を層厚み7nmで形成した。すなわち、活性層はMQW構造を有していた。
(III族窒化物積層体の作製)
(P型Al0.8Ga0.2N層の形成)
次いで、得られた活性層上に、MgドープAl0.8Ga0.2N層(P型クラッド層)を層厚み30nmで形成した。形成条件は、TMG流量が5μmol/min、TMA流量が35μmol/min、CpMg流量が0.5μmol/minとした。
(P型Al0.7Ga0.3N層の形成)
次いで、TMG流量を10μmol/minに増やして、MgドープAl0.7Ga0.3N層(P型クラッド層)を層厚み50nmで形成した。この実施例においては、AlGaInN層は、上記MgドーピングAl0.8Ga0.2N層、およびMgドーピングAl0.7Ga0.3N層の2層から構成されており、両層がP型クラッド層となる。
(P型GaN層の成長)
次いで、実施例3と同条件でP型GaN層を層厚み23nmで形成した。この基板をMOCVD装置から取り出し、P型GaN層の表面粗さを実施例1と同様の方法により測定した。P型GaN層の表面は平滑であり、RMSは1.31nmであった。なお、積層体を作製する場合に比べて、発光素子を作製する場合には、P型GaN層の表面のRMSが大きくなる傾向にある。
次いで、得られた基板を複数個の15mm角程度の正方形に切断し、窒素雰囲気中,20分間,900℃の条件で熱処理を行った。次いで、フォトリソグラフィーにより所定のレジストパターンを形成し、レジストパターンの形成されていない窓部を反応性イオンエッチングによりSiドープAl0.7Ga0.3N層(N型クラッド層)の表面が露出するまでエッチングした。その後、SiドープAl0.7Ga0.3N層表面に真空蒸着法によりTi(20nm)/Al(100nm)/Ti(20nm)/Au(50nm)電極(負電極)を形成し、窒素雰囲気中,1分間,900℃の条件で熱処理を行った。次いで、P型GaN層表面に、真空蒸着法によりNi(5nm)/Au(5nm)電極(正電極)を形成した後、酸素雰囲気中,3分間,550℃の条件で熱処理を行い、発光素子を完成させた。
(発光素子の特性評価)
得られた発光素子に対して電極間に順方向電圧を印加して発光ダイオード特性を評価したところ、順方向電流20mAにおける動作電圧は9.6Vであり、光出力は0.60mWであった。また、発光ピーク波長は267nmであった。
(実施例10)
実施例9のNi/Au電極上に、真空蒸着法によりAl(100nm)/Au(5nm)を形成し、再度同様の発光素子の特性評価を行った。順方向電流20mAにおける動作電圧および発光ピーク波長は、実施例9と同じであった。光出力は0.67mWであり、Al金属層を追加することにより出力が向上した。
(実施例11)
実施例10のP型GaN層の層厚みを6nm(実施例5と同条件)とした以外は同様の条件で発光ダイオードを作製した。P型GaN層の表面は平滑であり、RMSは2.14nmであった。順方向電流20mAにおける動作電圧は9.6Vであり、実施例10と同じであった。また、光出力は0.72mWであり、実施例10と比較して出力が向上した。また、発光ピーク波長は266nmであった。
(比較例7)
実施例9のP型GaN層形成時のCpMg流量を0.13μmol/min(比較例2と同条件)とした以外は同様の条件でP型GaN層を形成し、発光ダイオードを作製した。P型GaN層の表面は平滑であり、RMSは1.23nmであった。順方向電流20mAにおける動作電圧は15.6Vであり、実施例9と比べて動作電圧が増加した。また光出力は0.58mW、発光ピーク波長は269nmであり、実施例9と同程度であった。
1… III族窒化物半導体素子
10… III族窒化物積層体
15…P型クラッド層
16…P型キャップ層
13… N型クラッド層
14… 活性層
20… 負電極
21… 正電極
23… 反射電極層
11… 基板
12… バッファ層

Claims (9)

  1. AlGaInN層と、不純物原子がドープされたP型GaN層と、を有し、
    前記AlGaInN層はP型クラッド層であり、前記P型GaN層はP型キャップ層であり、
    前記AlGaInN層を組成式AlGaInNで表した場合に、前記組成式中のX、YおよびZが、X+Y+Z=1.0,Y≧0,Z≧0,0.5≦X≦1.0である関係を満足するIII族窒化物積層体を製造する方法であって、
    前記III族窒化物積層体が、深紫外領域の光を発するIII族窒化物半導体素子に適用されるものであり、
    前記AlGaInN層上に前記P型GaN層を形成する工程を有し、前記P型GaN層を形成する工程において、
    前記P型GaN層の層厚みをT[nm]とし、
    前記P型GaN層の層厚み方向における成長速度をGR[nm/分]とし、
    前記P型GaN層を形成するために用いられるGa原料の流量をFGa[μmol/分]とし、不純物原子原料の流量をFi[μmol/分]としたときに、
    前記P型GaN層の層厚み(T)が40nm以下であり、
    下記式(1)、及び(2)を満足するように前記P型GaN層を形成することを特徴とするIII族窒化物積層体の製造方法。
    0.15 ≦ GR ≦ 2.0 (1)
    0.1 < (Fi/FGa)×ln(T) ≦ 0.4 (2)
  2. 前記成長速度GR[nm/分]が0.3以上1.5以下であることを特徴とする請求項1に記載のIII族窒化物積層体の製造方法。
  3. 前記P型GaN層を形成する工程において、前記P型GaN層を形成するために用いられるIII族原料に対するV族原料のモル比を示すV/III比が8500以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のIII族窒化物積層体の製造方法。
  4. 前記P型GaN層を形成する工程において、前記P型GaN層を形成するために用いられるIII族原料に対するV族原料のモル比を示すV/III比が9000以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のIII族窒化物積層体の製造方法。
  5. 前記P型GaN層の層厚み(T)が15nm以下であり、
    前記Ga原料の流量(FGa)と前記不純物原子原料の流量(Fi)との比(Fi/FGa)が0.05以上0.2以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のIII族窒化物積層体の製造方法。
  6. 前記P型GaN層の層厚み(T)が15nm以下であり、
    前記Ga原料の流量(FGa)と前記不純物原子原料の流量(Fi)との比(Fi/FGa)が0.06〜0.15であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のIII族窒化物積層体の製造方法。
  7. 前記P型GaN層の層厚み(T)が15nm超40nm以下であり、
    前記Ga原料の流量(FGa)と前記不純物原子原料の流量(Fi)との比(Fi/FGa)が0.03以上0.2以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のIII族窒化物積層体の製造方法。
  8. 前記P型GaN層の層厚み(T)が15nm超40nm以下であり、
    前記Ga原料の流量(FGa)と前記不純物原子原料の流量(Fi)との比(Fi/FGa)が0.04〜0.15であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のIII族窒化物積層体の製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の方法で得られたIII族窒化物積層体上に、少なくともAl金属層を含む電極を形成する工程を有することを特徴とする発光素子の製造方法。
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