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JP5846638B2 - 繊維強化プラスチック材料の型内被覆方法及びその成型品の塗膜形成方法 - Google Patents

繊維強化プラスチック材料の型内被覆方法及びその成型品の塗膜形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、エポキシ樹脂をマトリックス樹脂として用いた繊維強化プラスチック材料の型内被覆方法及びその成型品の塗膜形成方法に関する。
繊維強化プラスチック材料(Fiber Reinforced Plastics:以下FRP材料又は単にFRPという)の成型品は、剛性、機械的強度、成形性等に優れ、かつ軽量であるため、金属に代る材料として自動車外板や部品、住宅設備部品、電気製品部品等の多くの分野において利用されるようになってきている。しかしながらFRP成型品は、巣穴、ピンホール、微小クラック、ファイバーパターン(繊維形状の浮き)等の表面欠陥を有しており、FRP成型品に通常の方法により塗装を行っても、仕上り性の十分な塗膜を形成することは難しい。
これらの表面欠陥を効果的に改善する方法としては、FRP成型品の表面にゲルコートと呼ばれる熱硬化性樹脂組成物を塗布する方法が知られている。特に、近年では、環境に対する負荷が少ない工法として、このような熱硬化性樹脂組成物を、金型内で成形したプラスチック成形体の表面と金型面との間に設けた隙間に注入した後、熱硬化性樹脂組成物を金型内で硬化させてFRP成型品表面に被膜が密着した一体成形体を製造する型内被覆方法(インモールドコート法)が注目されている。
従来の型内被覆組成物としては、FRP材料のマトリックス樹脂(基体樹脂ともいう。母材プラスチック、成形後に基材となる樹脂)にあわせた、例えば特許文献1〜3などのラジカル重合型の熱硬化性樹脂組成物が挙げられる。近年、軽量で高強度・高剛性のFRP成型品を得るために、FRP材料の強化繊維として炭素繊維が用いられることが増えつつある。強化繊維として炭素繊維を用いる場合は、マトリックス樹脂としては、FRP材料との接着性の高いエポキシ樹脂が好んで用いられる。FRP材料のマトリックス樹脂としてエポキシ樹脂を用いた場合、硬化タイプによっては得られるFRP成型品の表面には水酸基等の付着性に優れる官能基が少ないため、特許文献1〜3に記載された型内被覆組成物を用いても、後に形成される着色塗膜との付着性が不十分となる場合があった。
特許文献4では、型内被覆組成物として、エポキシ樹脂との接着性を付与するために配合されるエポキシ基および/または酸無水物基をもつ単官能ラジカル重合性化合物を配合した、ラジカル重合性熱硬化性樹脂組成物が開示されているが、この組成物でマトリックス樹脂としてエポキシ樹脂を用いたFRP成型品との付着性は改良されるが、仕上り性や仕上げの着色塗膜との付着性が不十分であった。
また、特許文献5において、熱硬化性樹脂中に2−ヒドロキシエチルアクリレートを存在させ、基材と被覆層との密着性が高められることが開示されているが、この成分を特許文献1〜4の型内被覆組成物に入れても、後に形成される着色塗膜との付着性は不十分であった。
特開平5−70712号公報 特開平10−204135号公報 特開平6−286008号公報 特開2003−138032号公報 特開平5−59136号公報
本発明の課題は、エポキシ樹脂をマトリックス樹脂として用いた繊維強化プラスチック材料との付着性及び仕上り性に優れ、かつ後に形成される着色塗膜との付着性及び耐水性に優れた型内被覆塗膜を得ることができる型内被覆方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、エポキシ樹脂をマトリックス樹脂として用いた繊維強化プラスチック材料の型内被覆方法において、型内被覆組成物に、重合性不飽和基含有ウレタン樹脂、重合性不飽和基含有エポキシ樹脂及び重合性不飽和基含有ポリエステル樹脂から選ばれる少なくとも1種の特定の重量平均分子量の樹脂(A)と、分子量が156〜280の特定の化合物(B)と、1分子中に水酸基を1個以上かつ(メタ)アクリロイル基を2個以上有する化合物(C)と有機過酸化物(D)を特定量含有する型内被覆組成物を用いることにより、繊維強化プラスチック材料と後に形成される着色塗膜との付着性及び耐水性に優れた被膜が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、以下の項の型内被覆方法を提供する:
項1.金型内において繊維強化プラスチック材料を加熱・成形せしめ、次いで得られた成形物と金型内壁との間に型内被覆組成物を注入し、該型内被覆組成物を硬化させた後、被覆された成形物を金型から取り出す工程を含む型内被覆方法において、
繊維強化プラスチック材料に用いられるマトリックス樹脂がエポキシ樹脂であり、
かつ該型内被覆組成物が、
(A)重合性不飽和基含有ウレタン樹脂、重合性不飽和基含有エポキシ樹脂及び重合性不飽和基含有ポリエステル樹脂から選ばれる少なくとも1種の重量平均分子量が3,000〜80,000の樹脂、
(B)分子量が156〜280の下記一般式(I)で表される化合物、
Figure 0005846638
(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは水酸基を有さない炭素数1〜8の2価の有機基を示す。)
(C)1分子中に水酸基を1個以上かつ(メタ)アクリロイル基を2個以上有する化合物、及び
(D)有機過酸化物を含有し、且つ
成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計固形分100質量部を基準として
成分(A)の固形分含有量が、5〜80質量部、
成分(B)の固形分含有量が、10〜85質量部、
成分(C)の固形分含有量が、1〜10質量部、
成分(D)の固形分含有量が、0.1〜5質量部、
であることを特徴とする型内被覆方法。
項2.該繊維強化プラスチック材料に用いられる硬化剤が、アミン化合物、酸無水物化合物、ポリイミド化合物及びイミダゾール化合物から選ばれる少なくとも1種である項1に記載の型内被覆方法。
項3.項1又は項2に記載の型内被覆方法により得られた成型品。
項4.項3に記載の該成形品に着色塗膜を少なくとも1層形成することを特徴とする成型品の塗膜形成方法。
項5.項4の塗膜形成方法により塗装した塗装物品。
本発明の型内被覆方法によれば、エポキシ樹脂をマトリックス樹脂として用いた繊維強化プラスチック材料との付着性及び仕上り性に優れ、かつ後に形成される着色塗膜との付着性及び耐水性に優れた型内被覆塗膜を得ることができる。
≪型内被覆組成物≫
≪成分(A)≫
本発明に用いる型内被覆組成物は、重合性不飽和基含有ウレタン樹脂(A−1)、重合性不飽和基含有エポキシ樹脂(A−2)及び重合性不飽和基含有ポリエステル樹脂(A−3)から選ばれる少なくとも1種の重量平均分子量が3,000〜80,000の樹脂(A)を含有する。
これらの樹脂の重量平均分子量は、それぞれの種類により変動し得るが、基材との付着性、他成分との相溶性及び仕上り性の点から3,000〜80,000、好ましくは5,000〜70,000、さらに好ましくは、10,000〜60,000の範囲とすることが適している。
尚、本明細書において、重量平均分子量(Mw)の測定は、ゲル浸透クロマトグラフ(ゲルパーミエーションクロマトグラフ:GPC)によって、標準ポリスチレンの検量線を用いて測定したものである。
ゲルパーミエーションクロマトグラフとして、「HLC−8120GPC」(商品名、東ソー株式会社製)を使用し、カラムとして、「TSKgel G4000HXL」を1本、「TSKgel G3000HXL」を2本、および「TSKgel G2000HXL」を1本(商品名、いずれも東ソー株式会社製)の計4本を使用し、検出器として、示差屈折率計を使用し、移動相:テトラヒドロフラン、測定温度:40℃、流速:1mL/minの条件下で測定することができる。
本明細書において、重合性不飽和基とは、ラジカル重合しうる不飽和基を意味する。ラジカル重合しうる不飽和基としては、炭素−炭素間二重結合をもつ官能基であり(重合性二重結合ともいう)、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基、ビニルエーテル基、アリル基等を挙げることができる。
また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸又はメタクリル酸」を意味する。また、「(メタ)アクリロイル」は、「アクリロイル又はメタクリロイル」を意味する。また、「(メタ)アクリルアミド」は、「アクリルアミド又はメタクリルアミド」を意味する。
重合性不飽和基含有ウレタン樹脂(A−1)としては、例えば、ポリイソシアネート化合物(a)、1分子中に重合性不飽和基と活性水素基とを有する化合物(a2)との反応物、あるいは更にそれらとポリオール化合物(a3)との反応物が挙げられる。
ポリイソシアネート化合物(a1)としては、特に限定されることなく、例えば芳香族化合物、脂肪族化合物、環式脂肪族化合物、脂環式化合物等のポリイソシアネートが挙げられる。中でも、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート、変性ジフェニルメタンジイソシアネート、水添化キシリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、1,3−ビビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等のジイソシアネート或いはこれらの3量体等が好適に用いられる。該ポリイソシアネート化合物(a1)の重量平均分子量は水酸基との反応性の点から150〜700が好ましい。
1分子中に重合性不飽和基と活性水素基とを有する化合物(a2)としては、例えば、1分子中に活性水素基を1個と重合性不飽和基を1個以上有する化合物である。活性水素基とは、前記ポリイソシアネート化合物(a1)の有するイソシアネート基と反応し得る基で、例えば水酸基やアミノ基等を挙げることができる。
具体的には、水酸基含有(メタ)アクリレートや、アミノ基含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。
水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート;グリセリンジ(メタ)アクリレートなどやアルキルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレートなどのグリシジル基含有化合物と(メタ)アクリル酸の付加物などが挙げられる。
アミノ基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ポリオール化合物(a3)としては、特に限定されることなく、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ポリブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA、ポリカプロラクトン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ポリトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ポリペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、アラビトール、キシリトール、ガラクチトール、グリセリン、ポリグリセリン、ポリテトラメチレングリコール等の多価アルコールや、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドのブロック又はランダム共重合の少なくとも1種の構造を有するポリエーテルポリオール、該多価アルコール又はポリエーテルポリオールと無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、無水イタコン酸、イタコン酸、アジピン酸、イソフタル酸等の多塩基酸との縮合物であるポリエステルポリオール、カプロラクトン変性ポリテトラメチレンポリオール等のカプロラクトン変性ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、水添ポリブタジエンポリオール等のポリブタジエン系ポリオール等が挙げられる。
また、(A−1)としては、市販品を使用することもできる。例えば、日本合成化学工業株式会社製、紫光シリーズUV−2000B、UV3000B、UV−3200B、UV−3300B、UV−3310B、UV3700B、UV−6640Bや根上工業株式会社製、アートレジンUN−9000PEP、UN−7600、UN−333、UN−1255、UN−9200、UN−7700、UN−5500、UN−5507、UN−55B0、UN−6301を挙げることができる。
重合性不飽和基含有エポキシ樹脂(A−2)としては、例えば、エポキシ化合物と、重合性不飽和基含有カルボン酸とを、エポキシ基1当量に対するカルボキシル基当量が、例えば、0.5〜1.5となるような割合で反応せしめることによって製造させたものを挙げることができる。ここで使用されるエポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物等を挙げることができる。重合性不飽和基含有カルボン酸としては、例えば、アクリル酸や、メタクリル酸等を挙げることができる。
(A−2)としては、市販品を使用することもできる。例えば、新中村化学工業株式会社製NKオリゴEA−7120、EA−7140、EA−7420、昭和電工株式会社製リポキシR−802、H−600、R−770、NSR−112、R−8800等を挙げることができる。
重合性不飽和基含有ポリエステル樹脂(A−3)としては、例えば、前記(A−1)の項で挙げたポリオール化合物(a3)と、重合性不飽和基含有ポリカルボン酸及び/又は重合性不飽和基含有カルボン酸とを、公知の方法により反応させ、更に必要に応じて、その他のポリカルボン酸及び/又カルボン酸を反応させて製造することができる。また、例えば、水酸基を末端に有するポリエステルポリオールと、重合性不飽和基含有ポリカルボン酸及び/又は重合性不飽和基含有カルボン酸との反応によって、末端に重合性不飽和基を有するポリエステル樹脂を製造することができる。
上記重合性不飽和基含有ポリカルボン酸及び/又は重合性不飽和基含有カルボン酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸、フマル酸、テトラヒドロ(無水)フタル酸、(無水)イタコン酸等を挙げることができる。
その他のポリカルボン酸及び/又カルボン酸としては、例えば、アジピン酸、(無水)フタル酸、(無水)トリメリット酸、(無水)コハク酸、(無水)ヘキサヒドロフタル酸などを挙げることができる。
(A−3)としては、市販品を使用することもできる。例えば、ディーエイチ・マテリアル株式会社製サンドーマCU653、GC130や昭和電工株式会社製リゴラック158BQT、M−411−1、M−543、KRN−550T等を挙げることができる。また、末端に重合性不飽和基を有する(A−3)としては、ダイセル・サイテック株式会社製EBECRYL436、EBECRYL438、EBECRYL524、EBECRYL885、等を挙げることができる。
これらの(A)成分としての上記重合性不飽和基含有樹脂は1種でも2種以上併用しても良い。
≪成分(B)≫
本発明に用いる型内被覆組成物は、分子量が156〜280の下記一般式(I)で表される化合物(B)、
Figure 0005846638
(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは水酸基を有さない炭素数1〜8の2価の有機基を示す。)を含有する。
成分(B)は、成分(A)及び、後述する成分(C)と共重合することができる成分である。
が示す炭素数1〜8の2価の有機基としては、炭素数2〜8の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキレン基、炭素数2〜8のアルコキシアルキレン基、炭素数2〜8のハロゲン化アルキレン基、末端水酸基を除くポリエチレングリコール骨格、末端水酸基を除くポリプロピレングリコール骨格、末端水酸基を除くポリブチレングリコール骨格、末端水酸基を除くネオペンチルグリコール又は、アリル基を挙げることができる。ただし、R中は、水酸基は有さないものである。
具体的には、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、重合度が2又は3のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、重合度が2のポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。より好ましくは1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレートを挙げることができる。
成分(B)としては単独で使用してもよく、又はこれらの2種以上の混合物として使用することができる。
繊維強化プラスチック材料への付着性の点から、分子量が156〜280、好ましくは170〜250の範囲内であることが適している。成分(B)を特定量配合することで基材へ浸透し、成分(B)のアンカー効果によって付着性を付与することができる。また、成分(B)は、他成分との相溶性と反応性のバランスにも優れ、仕上りの良好な塗膜を得ることができる。
また、成分(B)は、上記一般式(I)のように(メタ)アクリロイル基を2個有することで、成分(A)や後述する成分(C)との相溶性に優れることから、基材に浸透するだけでなく、高い凝集力を得ることができ、付着性が良好になったものと考えられる。
≪成分(C)≫
本発明に用いる型内被覆組成物は1分子中に水酸基を1個以上かつ(メタ)アクリロイル基を2個以上有する化合物(C)を含有する。
1分子中に水酸基を1個以上かつ(メタ)アクリロイル基2個以上有する化合物としては以下のものが挙げられる。
例えば、水酸基を1個かつ(メタ)アクリロイル基2個有する化合物としては、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、水酸基を1個以上かつ(メタ)アクリロイル基3個以上有する化合物としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
水酸基を1個かつ(メタ)アクリロイル基2個有する化合物の市販品としては、アロニックスM−215(東亞合成株式会社製、アロニックスは東亞合成株式会社の登録商標)、NKエステル701、NKエステル701A(新中村化学工業株式会社製)が挙げられる。
水酸基を1個以上かつ(メタ)アクリロイル基3個以上有する化合物の市販品としては、
アロニックスM−313、M−315、M−325、M−327、M−305、M−306、M−452、M−450、M−403、M−400、M−402、M−404、M−406、M−405(東亞合成株式会社製)や、NKエステルA−TMM−3、NKエステルA−TMM−3L、NKエステルA−TMM−3LM−N(新中村化学工業株式会社製)などが挙げられる。
中でも、付着性、反応性及び他成分との相溶性の点から、水酸基を1個以上かつ(メタ)アクリロイル基3個以上有する化合物が好ましい。
成分(C)の重量平均分子量は、他成分との相溶性の点から、300〜3000であることが好ましい。
≪有機過酸化物(D)≫
本発明に用いる型内被覆組成物は、有機過酸化物(D)を含有する。該成分(D)は金型内あるいは成形体の熱によって熱分解してラジカルを発生し、型内被覆組成物中に含まれる二重結合のラジカル重合反応を開始させ、型内被覆組成物を硬化させる作用を有する。
このような有機過酸化物(D)としては、例えば、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、t−アミルパーオキシル−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、t−オクチルパーオキシオクトエート、t−アミルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−オクチルパーオキシベンゾエート、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、2,2−ジ−t−ブチルパーオキシブタン、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート及びt−アミルパーオキシベンゾエート等が好適に挙げられる。
<その他>
本発明に使用する型内被覆組成物は、さらに必要に応じ、無機充填剤、導電性付与剤及び分散剤を含有することができる。
無機充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、タルク、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、クレー等を好適に挙げることができる。これら無機充填剤は、被膜硬化に伴う収縮応力を分散させ、成形体との付着性を向上させたり、表面の凹凸を平滑にしたり、成形体表面の外観を改良する目的で配合される。中でも、基材との付着性の点から、体積基準の平均粒子径が0.1μm以上20μm以下である炭酸カルシウムやタルク等の無機粒子等を少なくとも1種含有することが好適である。
導電性付与剤としては、例えば導電カーボンブラック、グラファイト、金属酸化物(酸化チタン、酸化亜鉛、酸化すず等)、導電性界面活性剤、金属粉、担体表面に金属を付着させた複合材料、カーボン繊維等があげられ、とくに体積固有抵抗値の安定性等の点で、導電カーボンブラックが好適に使用される。
分散剤としては、本技術分野において、導電性付与剤を分散させる目的で用いるものであれば特に制約はないが、例えば、ポリアミド樹脂、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ステアリルアミンアセテート等を用いることができる。
上記分散剤を使用することで、特に導電性付与剤の分散性が向上し、良好な導電性をもった硬化塗膜を得ることができる。
本発明に使用する型内被覆組成物には、更に必要に応じ、内部離型剤を含有することができる。
内部離型剤は、例えば融点125℃以下のものが特に好適に使用することができる。離型剤の融点が、例えば125℃以下であれば、所望の離型効果が十分に得られる。これは、たとえ金型の温度が40〜110℃程度であっても、200〜240℃という高温の溶融した熱可塑性樹脂を金型内で冷却固化することを考慮すれば、型内被覆組成物が注入される時点での成形体の表面温度は、離型剤の融点125℃よりも十分に高いと考えられるからである。このような離型剤としては、例えば、ステアリン酸や、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等のステアリン酸塩、大豆油レシチン、シリコーン油、脂肪酸エステル及び脂肪酸アルコール二塩基酸エステル類を挙げることができる。
本発明に用いられる型内被覆組成物には、さらに任意の成分として、光開始剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤、消泡剤、レベリング剤、ワックス、酸化防止剤、染料、着色顔料、熱可塑性樹脂、その他の重合性不飽和化合物(E)、アミン化合物や金属酸化物等の硬化促進剤などを添加することができる。
重合性不飽和化合物(E)としては、本発明の成分(A)、成分(B)及び成分(C)に該当するもの以外の化合物であって、その化学構造中に重合性不飽和基を少なくとも1つ有する化合物であれば特に限定されない。
≪型内被覆組成物中の各成分の含有量≫
本発明に用いられる型内被覆組成物における、成分(A)、成分(B)、成分(C)及び成分(D)の固形分含有量は、基材との付着性の点から下記の範囲である。
成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計固形分100質量部を基準として、
成分(A)の固形分含有量は、5〜80質量部、
好ましくは、12〜78質量部、さらに好ましくは、25〜62質量部、
成分(B)の固形分含有量が、10〜85質量部、
好ましくは、20〜80質量部、さらに好ましくは、30〜72質量部、
成分(C)の固形分含有量が、1〜10質量部、
好ましくは、2〜8質量部、さらに好ましくは、3〜8質量部、
成分(D)の固形分含有量が、0.1〜5質量部、
好ましくは、0.5〜3質量部である。
また、本発明に必要に応じて用いられるその他の成分については、下記範囲が好ましい。
無機充填剤を配合する場合の固形分含有量は、基材との付着性の点から成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計固形分100質量部を基準として、200質量部以下、好ましくは、10〜150質量部の範囲が適している。
導電性付与剤を配合する場合の固形分含有量は、導電性の点から成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計固形分100質量部を基準として、0.1〜30質量部、好ましくは、0.5〜20質量部の範囲が適している。
金型内へ注入する型内被覆組成物の粘度は、20℃において70〜50,000mPa・sの範囲であることが好ましい。
型内被覆組成物の粘度が、20℃において70mPa・s以上であれば、金型内を型内被覆組成物が流動する際、空気の巻き込みを押さえ、金型からの漏れを防止し、均一な流動性が得られる。また、粘度が50,000mPa・s以下であれば、型内被覆組成物を金型内に注入する際に、過度の高圧注入を必要としないので、好ましい。
本発明の型内被覆方法に用いられる型内被覆組成物は、型内に注入され、型内被覆組成物が硬化するまでの過程で、成分(B)が、分子量が156〜280であることにより、FRP材料に浸透し、また成分(A)と成分(C)とも共重合反応することにより、型内被覆塗膜層とマトリックス樹脂との間に強固な付着力と凝集力を得ることができる。また、成分(C)は、(メタ)アクリロイル基と水酸基を有することから、成分(A)及び成分(B)との相溶性に優れ、かつ上記型内被覆組成物を注入し硬化させた後の硬化物に水酸基を存在させることができる。そのため、後に形成される着色塗膜との間にも、その水酸基に基づき強固な付着力と凝集力を得ることができると考えられる。
≪型内被覆方法≫
本発明の型内被覆方法は、金型内において繊維強化プラスチック材料(以下FRP材料と略すことがある)を加熱・成形せしめ、次いで得られた成形物と金型内壁との間に上記型内被覆組成物を注入し、該型内被覆組成物が硬化させた後、被覆された成形物を金型から取り出す工程を含むものである。また、型内被覆されるFRP材料に用いられるマトリックス樹脂はエポキシ樹脂である。
上記のような、型内被覆方法(インモールドコーティング法、In-Mold Coating、IMC)は、金型内で成形する従来の方法が特に制限無く利用できるが、好適には特公昭55−9291号公報、特開昭61−273921号公報に記載の方法を用いることができる。
すなわち、目的とする成形品の形状を有する金型間に、後述する強化繊維を配置して、マトリックス樹脂を注入するか又は、FRP材料、すなわちSMC(シートモールディングコンパウンド)又はBMC(バルクモールディングコンパウンド)等を入れ嵌合せ、金型内で加熱・加圧し、FRP材料をメルトさせるとともに熱硬化反応させFRP成形品とし、さらに、一旦金型を開き、FRP成形品と金型面との間に設けた隙間に型内被覆組成物を注入し、再度金型を閉じ加熱・加圧し、目的とする形状に成形し、型内被覆組成物により被覆された成型品を得ることができる。
以下便宜上、一方の金型を「下型」、他方の金型を「上型」という場合がある。
<繊維強化プラスチック材料>
FRP材料に用いる強化繊維は、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維など任意の公知の強化繊維が使用可能であり、複数種の強化繊維の併用も可能である。特に炭素繊維は、比強度、比弾性率が優れる。軽量で優れた機械物性をもつFRP材料を得るためには、炭素繊維を単独で、あるいは他の強化繊維と共に用いることが好ましい。強化繊維中にしめる炭素繊維の比率は10〜100質量%であることが好ましい。
本発明の型内被覆方法に用いられる、FRP材料のマトリックス樹脂としては、エポキシ樹脂が用いられる。エポキシ樹脂は、FRP材料に適したものであれば、あらゆる任意のものが適用でき、硬化剤としては、アミン化合物、酸無水物化合物、ポリイミド化合物及びイミダゾール化合物から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
FRP材料を成形する際の加熱温度は成形時間、FRP材料の種類等により任意に決定されるが、通常金型温度を80〜200℃とするのが適当であり、FRP材料を入れる前に予め金型を前記温度にセットし、後述する硬化被膜が得られるまで該温度に維持するようにしておくのが望ましい。
FRP材料の成形圧力は、加熱温度、FRP材料の種類等により任意に決定されるが、通常50〜250kgf/cmが適当である。
FRP材料の成形時間は、FRP材料が完全に熱硬化反応完了するまででもよいが後述する被覆組成物を注入した際、成形の形状を損なわない程度の強度に硬化していればよく、通常20秒〜180分程度が適当である。次いで、上型を成形品の表面から分離して、後述する所望の硬化被膜厚よりも大きいが前記金型の嵌合を離脱させるには不十分な隙間を与えた後、または金型を嵌合した状態で前記成形圧力を維持したまま又は10〜40kgf/cm程の圧力に減圧した後、所望の膜厚、好ましくは10〜1000μmの硬化被膜が得られるだけの量の型内被覆組成物を上型と成形品表面の間に圧入(射出注入)する。次いで加熱温度を前記温度にほぼ保持しながら、型内被覆組成物が均一に成形品表面を覆い、浸透するよう約20〜140kgf/cmに(再)加圧し、硬化被膜形成するまで、通常30〜180秒程度維持する。このようにして成形品表面に硬化被膜が形成された後、金型を開き、得られた型内被覆成形品を金型内より取り出す。
上記強化繊維を配置してから、型内被覆成型品を金型内より取り出すまでの成形時間は、生産性の点から5分〜15分であることが好ましい。
<塗膜形成方法>
本発明の塗膜形成方法は、前記被覆成形品に着色塗膜を少なくとも1層形成するものである。
着色塗膜を形成する着色塗料組成物としては、中塗塗料組成物や、着色ベース塗料組成物が挙げられる。例えば、樹脂成分、着色剤、溶剤を含有してなり、さらに必要に応じてツヤ消し剤や通常の塗料用添加剤などを配合してなる有機溶剤系、水系や粉末系の塗料が使用できる。
樹脂成分としては、常温乾燥型、常温硬化型、加熱硬化型の通常の塗料用樹脂が使用でき、例えば、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂などがあげられ、さらに、メラミン樹脂や(ブロック)ポリイソシアネート化合物などの架橋剤を併用することもできる。
着色剤としては、従来から公知のあらゆる着色顔料や光輝顔料等が使用できる。着色顔料としては、例えば、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック、カドミウムレッド、モリブデンレッド、クロムエロー、酸化クロム、プルシアンブルー、コバルトブルーなどの無機顔料;アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリン顔料、スレン系顔料、ペリレン顔料などの有機顔料などがあげられる。光輝顔料は塗膜にキラキラとした光輝感や光干渉性を付与させる顔料であり、例えば、りん片状のアルミニウム、ブロンズ、ステンレススチール、ニッケル粉、雲母状酸化鉄、雲母、金属酸化物で被覆された雲母などがあげられる。着色剤は、これらに示したもののみに限定されない。
さらに、塗膜のツヤ感を調整するためのツヤ消し剤としては、炭酸カルシウム、カオリン、クレー、けい藻土、ホワイトカーボン、タルク、シリカ粉、ウオラストナイトなどを使用することができる。溶媒としては、通常の塗料用有機溶剤や水も使用できる。
着色塗膜を形成する塗膜形成方法としては、特に限定されないが、例えば、
ベース塗料組成物を塗装し、加熱硬化する1コート1ベーク方式(1C1B)、
ベース塗料組成物を塗装し、加熱硬化することなく、その上にクリヤ塗料組成物を塗装し、両塗膜を同時に硬化する2コート1ベーク方式(2C1B)、
ベース塗料組成物を塗装し、加熱硬化後、その上にクリヤ塗料組成物を塗装し、クリヤ塗膜を硬化する2コート2ベーク方式(2C2B)、
第1ベース塗料組成物(例えば中塗塗料組成物)を塗装し、加熱硬化することなく、第2ベース塗料組成物(着色ベース塗料組成物)を塗装し、これを硬化することなく、クリヤ塗料組成物を塗装し、これらの三層塗膜を同時に硬化する3コート1ベーク方式(3C1B)、
第1ベース塗料組成物を塗装し、加熱硬化し、第2ベース塗料組成物を塗装し、これを硬化することなく、クリヤ塗料組成物を塗装し、これらの塗膜を同時に硬化する3コート2ベーク方式(3C2B)、
第1ベース塗料組成物を加熱硬化し、第2ベース塗料組成物を塗装し、これを硬化し、クリヤ塗料組成物を塗装し、これを硬化する3コート3ベーク方式(3C3B)等があげられる。
複層塗膜形成方法において、クリヤ塗料組成物として、従来から公知の熱硬化型クリヤ塗料組成物塗料を使用することができる。
加熱手段は、特に限定されるものではなく、例えば、熱風炉、電気炉、赤外線誘導加熱などの乾燥設備を適用できる。
塗装された着色塗料組成物を加熱硬化させる場合の硬化温度は、例えば60〜160℃、好ましくは80〜140℃で、10〜40分間加熱することにより硬化させることができる。又は、塗装後室温で数分間放置(セッティング)もしくは40〜100℃で、1〜20分間プレヒートさせてから加熱硬化を行うこともできる。
次いで、クリヤコートを形成する場合は、クリヤ塗料組成物を膜厚が硬化膜厚で10〜70μmになるように塗装し、加熱温度は、60〜180℃、好ましくは80〜160℃で、1〜25分間加熱して架橋硬化させるのが好ましい。
各塗料組成物の塗装方法は、従来から公知の方法、例えば、スプレー、ロールコーター、グラビアコーター、スクリーン、スピンコーター、フローコーター、静電塗装等で行うことができる。
着色塗膜の膜厚は、硬化膜厚で10〜50μmとなるように塗装することが好ましい。
これらの単独膜又は複層膜は、その単独塗膜を透して下層の塗面を目視できない程度の隠蔽性を有していても、また透視できる程度の透明性を有していても良い。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。尚、「部」及び「%」は、別記しない限り「質量部」及び「質量%」を示す。なお、製造例における測定は、本明細書に記載の前記分析装置に加え、以下の分析装置及び測定方法を用いて行った。
粘度の測定は、E型粘度計(東機産業、RE80型、シアレート:10s−1、測定温度20度)を用いて行った。
(製造例1)型内被覆組成物No.1の製造
成分(A)として紫光(登録商標)UV−2000B(注1) 40.0部、成分(B)として1,4−ブタンジオールジアクリレート〔分子量198〕 55.0部、成分(C)としてアロニックス(登録商標)M−400(注6) 5.0部、ケッチェンブラック(登録商標)EC300J(注9) 3.0部、及びBYK(登録商標)−9076(注10) 1.0部を混合し、2.0mmφガラスビーズ 180部を加えて、FM株式会社製スキャンデックスSO400にて1時間分散し、分散体を得た。分散体へタルクMA(注8) 30.0部を混合し、ディスパーを用い1500rpmにて30分攪拌し、次いで有機過酸化物(D)としてt−オクチルパーオキシオクトエート 1.0部を配合することで、粘度5500mPa・s(20℃)の型内被覆組成物No.1を得た。
(製造例2〜21)型内被覆組成物No.2〜21の製造
製造例1において、各成分の配合を表1に示す配合とする以外は製造例1と同様にして、表1に示す固形分含有率100%の型内被覆組成物No.2〜No.21を得た。なお、表1の配合量は、固形分の配合量を示す。また、得られた型内被覆組成物の粘度も併せて示す。
Figure 0005846638
注1)A−1:紫光(登録商標)UV−2000B、2官能ウレタンアクリレート、固形分100質量%、重量平均分子量13,000、日本合成化学工業株式会社製、
注2)A−2:リポキシ(登録商標)R−802、ビスフェノールA型ビニルエステル樹脂、重量平均分子量5,000、昭和電工株式会社製、
注3)A−3:サンドーマ(登録商標)CU653、不飽和ポリエステル樹脂、重量平均分子量5,000、
ディーエイチ・マテリアル株式会社製、
注4)A−4:EBECRYL(登録商標)885、3官能ポリエステルアクリレート、重量平均分子量6,000、ダイセル・サイテック株式会社製、
注5)A’−1:EBECRYL(登録商標)4858、2官能ウレタンアクリレート、重量平均分子量450、ダイセル・サイテック株式会社製。
注6)C−1:アロニックス(登録商標)M400、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート含有比率は40〜50%、東亞合成株式会社製、
注7)C−2:NKエステル701、グリセリンジメタクリレート、重量平均分子量228、新中村化学工業株式会社製。
注8)タルクMA:無機充填剤、含水ケイ酸マグネシウム、平均粒径14μm、日本タルク株式会社製。
注9)ケッチェンブラック(登録商標)EC300J:導電性付与剤、カーボンブラック、ライオン株式会社製。
注10)BYK(登録商標)−9076:湿潤分散剤、高分子共重合物のアルキルアンモニウム塩、ビック・ケミー株式会社製。
(実施例1)
エピコート828(注11) 100 部、
無水メチルナジック酸 40.0部、
2−エチル−4−メチルイミダゾール 1.0部
ジアルキルスルホコハク酸エステル塩 2.0部 を混合し、
これらの樹脂を40℃の浴に入れ、三菱レイヨン株式会社製カーボンファイバーTR−30Gを含浸させて平板とし、被覆組成物注入装置の成形圧力100kg/cm、加熱温度140℃で60分行った。次いで、得られた成形物と金型との間に表1に示した型内被覆組成物No.1を注入し、140℃を保ったまま、成形圧力60kg/cmに加圧し90秒間維持した後、減圧し、表2に示す被覆膜厚で被覆された被覆成形品を取り出した。この時点で、型内被覆組成物で形成された被覆成型品の付着性(基材)評価の結果を表2に示す。
(注11)エピコート828(Ep828):ビスフェノールA型エポキシ樹脂、重量平均分子量380、三菱化学株式会社製。
次いで、得られた被覆成形品に、中塗り塗料組成物(商品名「TP−65−2」、関西ペイント株式会社製、ポリエステル樹脂・アミノ樹脂有機溶剤型塗料組成物)を膜厚35μmになるように塗装し、140℃で30分間加熱して塗膜硬化させた。
次いで、上塗り着色ベースコート塗料組成物(商品名「WBC−713T」、関西ペイント株式会社製、アクリル樹脂・アミノ樹脂水性塗料組成物)を、膜厚20μmとなるように塗装し、2分間放置後、80℃で3分間プレヒートを行なった。
次いで、その未硬化塗面上に上塗りクリヤ塗料組成物(商品名「マジクロンKINO−1210」、関西ペイント株式会社製、アクリル樹脂有機溶剤型塗料組成物)を膜厚35μmとなるように塗装し、7分間放置した後、140℃で30分間加熱してこの両塗膜を同時に硬化させた。かくして、被覆成型品上に、中塗り塗膜、ベース塗膜およびクリヤ塗膜からなる複層塗膜が形成された塗装物品を得た。得られた塗装物品を100mm×150mmの大きさに裁断して試験板とし、得られた試験板について評価に供した評価結果を表2に示した。
(実施例2〜15、比較例1〜6)
表2に記載の型内被覆組成物種、成形条件(加熱温度及び時間)及び被覆膜厚とした以外は、実施例1と同様に操作して各試験板を作製し、各種評価に供した。評価結果を表2に示した。
Figure 0005846638
(注12)表2中「−」は試験を行わなかったことを示す。
≪性能評価≫
(注13)付着性(基材):
被覆成型品の塗膜面にJIS K 5600−5−6(1990)に準じて成型品の基材に達するように2mm×2mmのゴバン目100個を作り、その面に粘着テープを貼着し、急激に剥がした後に、被膜面に残ったゴバン目塗膜の数を評価した。
◎:残存個数/全体個数=100個/100個で縁欠けなし
○:残存個数/全体個数=100個/100個で縁欠けあり
△:残存個数/全体個数=99個〜90個/100個
×:残存個数/全体個数=89個以下/100個。
(注14)付着性(着色塗膜):
各試験板に、前記(注12)と同様の付着性試験を行い評価した。
(注15)仕上り性:
<外観(目視)>
各試験板について、巣穴、ピンホール、微小クラック又は炭素繊維形状の浮き(ファイバーパターン)の有無を目視で確認し下記基準にて評価した。
◎:巣穴、ピンホール、微小クラック又は炭素繊維形状の浮きをまったく確認できない
○:巣穴、ピンホール、微小クラック又は炭素繊維形状の浮きを目視では確認できないレベル
△:巣穴、ピンホール、微小クラック又は炭素繊維形状の浮きを若干確認できる
×:巣穴、ピンホール、微小クラック又は炭素繊維形状の浮きを確認できる
<表面粗面化度>
各試験板について、表面粗面化度−中心平均粗さ(Ra)を測定し、下記基準にて目止め性を評価した。
各試験板の表面の中心平均粗さ(Ra)は、東京精密製SURFCOM 130Aを用い、カットオフ値2.5mm、測定範囲25mm、測定速度0.3mm/minの条件で測定したものである。
◎:中心平均粗さ(Ra)が0.2未満である
○:中心平均粗さ(Ra)が0.2以上〜0.35未満である
△:中心平均粗さ(Ra)が0.35以上0.50未満である
×:中心平均粗さ(Ra)0.5以上である。
(注16)耐水性:
各試験板を、40℃の温水に沈め240時間後に取り出し、塗膜の外観(目視)と上記注12と同様の付着性試験を行い、下記基準にて評価した。
◎:塗膜に異常は見られず、残存個数/全体個数=100個/100個で縁欠けなし
○:塗膜に異常は見られず、残存個数/全体個数=100個/100個で縁欠けあり
△:塗膜表面にわずかにブリスターがあるか、
又は残存個数/全体個数=99個〜90個/100個
×:塗膜表面にブリスターがあるか、
又は残存個数/全体個数=89個以下/100個。

Claims (4)

  1. 金型内において繊維強化プラスチック材料を加熱・成形せしめ、次いで得られた成形物と金型内壁との間に型内被覆組成物を注入し、該型内被覆組成物を硬化させた後、被覆された成形物を金型から取り出す工程を含む型内被覆方法において、
    繊維強化プラスチック材料に用いられるマトリックス樹脂がエポキシ樹脂であり、
    かつ該型内被覆組成物が、
    (A)重合性不飽和基含有ウレタン樹脂、重合性不飽和基含有エポキシ樹脂及び重合性不飽和基含有ポリエステル樹脂から選ばれる少なくとも1種の重量平均分子量が3,000〜80,000の樹脂、
    (B)分子量が156〜280の下記一般式(I)で表される化合物、
    Figure 0005846638

    (式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数2〜8の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキレン基、炭素数2〜8のアルコキシアルキレン基、炭素数2〜8のハロゲン化アルキレン基、末端水酸基を除くポリエチレングリコール骨格、末端水酸基を除くポリプロピレングリコール骨格、末端水酸基を除くポリブチレングリコール骨格、末端水酸基を除くネオペンチルグリコール及びアリル基から選ばれる少なくとも1種の水酸基を有さない2価の有機基を示す。)
    (C)1分子中に水酸基を1個以上かつ(メタ)アクリロイル基を2個以上有する化合物、及び
    (D)有機過酸化物を含有し、且つ
    成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計固形分100質量部を基準として
    成分(A)の固形分含有量が、5〜80質量部、
    成分(B)の固形分含有量が、10〜85質量部、
    成分(C)の固形分含有量が、1〜10質量部、
    成分(D)の固形分含有量が、0.1〜5質量部、
    であることを特徴とする型内被覆方法。
  2. 該繊維強化プラスチック材料に用いられる硬化剤が、アミン化合物、酸無水物化合物、ポリイミド化合物及びイミダゾール化合物から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の型内被覆方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の型内被覆方法により成形物表面に硬化被膜を形成する工程を含む、成型品の製造方法
  4. 請求項3に記載の該成品に着色塗膜を少なくとも1層形成することを特徴とする成型品の塗膜形成方法。
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