本発明の硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂は、ポリイソシアネート成分と、活性水素化合物成分とを反応させることにより得られる。
本発明において、ポリイソシアネート成分は、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを、必須成分として含んでいる。
1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンには、シス−1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(以下、シス1,4体とする。)、および、トランス−1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(以下、トランス1,4体とする。)の立体異性体があり、本発明では、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンは、トランス1,4体を、例えば、70モル%以上、好ましくは、80モル%以上、より好ましくは、85モル%以上、例えば、99モル%以下、好ましくは、97モル%以下、より好ましくは、93モル%以下の割合で、含有している。
トランス1,4体の含有割合が上記下限以上であれば、優れた硬度および耐熱性を確保することができる。また、トランス1,4体の含有割合が上記上限以下であれば、優れた透明性を確保することができる。
1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンは、例えば、市販のアミンや、特開2011−6382号公報などに記載される方法により得られたアミンなどを用い、例えば、特開平7−309827号公報に記載される冷熱2段法(直接法)や造塩法、あるいは、特開2004−244349号公報や特開2003−212835号公報などに記載されるノンホスゲン法などにより、製造することができる。
また、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンは、本発明の優れた効果を阻害しない範囲において、変性体として調製することもできる。
1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンの変性体としては、例えば、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンの多量体(ダイマー(例えば、ウレチジオン変性体など)、トリマー(例えば、イソシアヌレート変性体、イミノオキサジアジンジオン変性体など)など)、ビウレット変性体(例えば、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンと水との反応により生成するビウレット変性体など)、アロファネート変性体(例えば、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンとモノオールまたは低分子量ポリオール(後述)との反応より生成するアロファネート変性体など)、ポリオール変性体(例えば、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンと低分子量ポリオール(後述)または高分子量ポリオールとの反応より生成するポリオール変性体など)、オキサジアジントリオン変性体(例えば、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンと炭酸ガスとの反応により生成するオキサジアジントリオンなど)、カルボジイミド変性体(1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンの脱炭酸縮合反応により生成するカルボジイミド変性体など)などが挙げられる。
また、ポリイソシアネート成分は、本発明の優れた効果を阻害しない範囲で、その他のポリイソシアネート、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネートなどを、任意成分として含有することができる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、エチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、オクタメチレンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、2,2’−ジメチルペンタンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ブテンジイソシアネート、1,3−ブタジエン−1,4−ジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカメチレントリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアナトメチルオクタン、2,5,7−トリメチル−1,8−ジイソシアネート−5−イソシアナトメチルオクタン、ビス(イソシアナトエチル)カーボネート、ビス(イソシアナトエチル)エーテル、1,4−ブチレングリコールジプロピルエーテル−ω、ω’−ジイソシアネート、リジンイソシアナトメチルエステル、リジントリイソシアネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアネートヘキサノエート、2−イソシアナトプロピル−2,6−ジイソシアネートヘキサノエート、ビス(4−イソシアネート−n−ブチリデン)ペンタエリスリトール、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエートなどが挙げられる。
また、脂肪族ポリイソシアネートには、脂環族ポリイソシアネート(1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを除く。)が含まれる。
脂環族ポリイソシアネート(1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを除く。)としては、例えば、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、トランス,トランス−、トランス,シス−、およびシス,シス−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートおよびこれらの混合物(水添MDI)、1,3−または1,4−シクロヘキサンジイソシアネートおよびこれらの混合物、1,3−または1,4−ビス(イソシアナトエチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、2,2’−ジメチルジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、2,5−ジイソシアナトメチルビシクロ〔2,2,1〕−ヘプタン、その異性体である2,6−ジイソシアナトメチルビシクロ〔2,2,1〕−ヘプタン(NBDI)、2−イソシアナトメチル2−(3−イソシアナトプロピル)−5−イソシアナトメチルビシクロ−〔2,2,1〕−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−6−イソシアナトメチルビシクロ−〔2,2,1〕−ヘプタン、2−イソシアナトメチル3−(3−イソシアナトプロピル)−5−(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ−〔2,2,1〕−ヘプタン、2−イソシアナトメチル3−(3−イソシアナトプロピル)−6−(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ−〔2,2,1〕−ヘプタン、2−イソシアナトメチル2−(3−イソシアナトプロピル)−5−(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ−〔2,2,1〕−ヘプタン、2−イソシアナトメチル2−(3−イソシアナトプロピル)−6−(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ−〔2,2,1〕−ヘプタンなどが挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネートおよび2,6−トリレンジイソシアネート、ならびに、これらトリレンジイソシアネートの異性体混合物(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよび2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ならびに、これらジフェニルメタンジイソシアネートの任意の異性体混合物(MDI)、トルイジンジイソシアネート(TODI)、パラフェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート(NDI)などが挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−または1,4−キシリレンジイソシアネートもしくはその混合物(XDI)、1,3−または1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネートもしくはその混合物(TMXDI)などが挙げられる。
これらその他のポリイソシアネートは、単独使用または2種類以上併用することができる。
なお、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンには、シス−1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(以下、シス1,3体とする。)、および、トランス−1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(以下、トランス1,3体とする。)の立体異性体があり、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンと併用する場合には、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンは、トランス1,3体を、好ましくは、50モル%以上、さらに好ましくは、70モル%以上、とりわけ好ましくは、85モル%以上、例えば、99モル%以下、好ましくは、97モル%以下、より好ましくは、93モル%以下の割合で含有する。
また、その他のポリイソシアネートは、本発明の優れた効果を阻害しない範囲において、変性体として調製することもできる。
その他のポリイソシアネートの変性体としては、例えば、その他のポリイソシアネートの多量体(ダイマー、トリマーなど)、ビウレット変性体、アロファネート変性体、ポリオール変性体、オキサジアジントリオン変性体、カルボジイミド変性体などが挙げられる。
また、ポリイソシアネート成分は、本発明の優れた効果を阻害しない範囲でモノイソシアネートを、任意成分として含有することができる。
モノイソシアネートとしては、例えば、メチルイソシアネート、エチルイソシアネート、n−ヘキシルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、2−エチルヘキシルイソシアネート、フェニルイソシアネート、ベンジルイソシアネートなどが挙げられる。
ポリイソシアネート成分として、好ましくは、その他のポリイソシアネート(1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを除くポリイソシアネート)を含有する。
そのような場合において、ポリイソシアネート成分における1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンの含有割合は、ポリイソシアネート成分の総量に対して、例えば、20モル%以上、好ましくは、30モル%以上、より好ましくは、35モル%以上であり、例えば、80モル%以下、好ましくは、70モル%以下、より好ましくは、65モル%以下である。
1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンの含有割合が上記下限以上であれば、優れた硬度および耐熱性を確保することができる。また、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンの含有割合が上記上限以下であれば、優れた透明性を確保することができる。
本発明において、活性水素化合物成分は、分子中に活性水素基(すなわち、水酸基および/またはメルカプト基)を含有する化合物(以下、活性水素化合物と称する。)を含有する成分であって、分子量200以上400未満の第1活性水素化合物と、分子量80以上200未満の第2活性水素化合物とを含んでいる。
なお、活性水素化合物として重合体が用いられる場合には、その重合体の分子量として、数平均分子量が採用される。また、このような場合において、数平均分子量の測定方法は、後述する実施例に準ずる(以下同様)。
第1活性水素化合物としては、例えば、分子量が上記範囲であり分子中に水酸基を2つ以上有する化合物(以下、第1ポリオールと称する。)、分子量が上記範囲であり分子中にメルカプト基を2つ以上有する化合物(以下、第1ポリチオールと称する。)などが挙げられる。
第1ポリオールとしては、例えば、数平均分子量が上記範囲であり分子中に水酸基を2つ以上有する重合体が挙げられ、具体的には、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、植物油ポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、ビニルモノマー変性ポリオールなどが挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリオキシアルキレンポリオール、ポリテトラメチレンエーテルポリオールなどが挙げられる。
ポリオキシアルキレンポリオールは、例えば、低分子量ポリオールなどや、芳香族ポリアミン、脂肪族ポリアミンなどを開始剤とする、アルキレンオキサイドの付加重合物である。
低分子量ポリオールとしては、例えば、後述する第2ポリオールや、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ビスフェノールAおよびその水添物などが挙げられる。
これら低分子量ポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
アルキレンオキサイドとしては、例えば、プロピレンオキサイド、エチレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイドなどが挙げられる。また、これらアルキレンオキサイドは、単独使用または2種類以上併用することができる。また、これらのうち、好ましくは、プロピレンオキサイド、エチレンオキサイドが挙げられる。なお、ポリオキシアルキレンポリオールには、例えば、プロピレンオキサイドと、エチレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドとのランダムおよび/またはブロック共重合体が含まれる。
ポリテトラメチレンエーテルポリオールとしては、例えば、テトラヒドロフランのカチオン重合により得られる開環重合物(ポリテトラメチレンエーテルグリコール)や、テトラヒドロフランなどの重合単位に、アルキル置換テトラヒドロフランや、2価アルコール(後述)を共重合した非晶性(非結晶性)ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどが挙げられる。
なお、非晶性(非結晶性)とは、常温(25℃)において液状であることを示す。
非晶性のポリテトラメチレンエーテルグリコールは、例えば、テトラヒドロフランと、アルキル置換テトラヒドロフラン(例えば、3−メチルテトラヒドロフランなど)との共重合体や、例えば、テトラヒドロフランと、分岐状グリコール(例えば、ネオペンチルグリコールなど)との共重合体などとして、得ることができる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、上記した低分子量ポリオールと多塩基酸とを、公知の条件下、反応させて得られる重縮合物が挙げられる。
多塩基酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、グルタール酸、アジピン酸、1,1−ジメチル−1,3−ジカルボキシプロパン、3−メチル−3−エチルグルタール酸、アゼライン酸、セバシン酸、その他の飽和脂肪族ジカルボン酸(C11〜13)、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、その他の不飽和脂肪族ジカルボン酸、例えば、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トルエンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、その他の芳香族ジカルボン酸、例えば、ヘキサヒドロフタル酸、その他の脂環族ジカルボン酸、例えば、ダイマー酸、水添ダイマー酸、ヘット酸などのその他のカルボン酸、および、それらカルボン酸から誘導される酸無水物、例えば、無水シュウ酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水2−アルキル(C12〜C18)コハク酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水トリメリット酸、さらには、これらのカルボン酸などから誘導される酸ハライド、例えば、シュウ酸ジクロライド、アジピン酸ジクロライド、セバシン酸ジクロライドなどが挙げられる。
また、ポリエステルポリオールとして、例えば、植物由来のポリエステルポリオール、具体的には、上記した低分子量ポリオールを開始剤として、ヒドロキシル基含有植物油脂肪酸(例えば、リシノレイン酸を含有するひまし油脂肪酸、12−ヒドロキシステアリン酸を含有する水添ひまし油脂肪酸など)などのヒドロキシカルボン酸を、公知の条件下、縮合反応させて得られる植物油系ポリエステルポリオールなどが挙げられる。
また、ポリエステルポリオールとして、例えば、上記した低分子量ポリオール(好ましくは、2価アルコール(後述))を開始剤として、例えば、ε−カプロラクトン、γ−バレロラクトンなどのラクトン類や、例えば、L−ラクチド、D−ラクチドなどのラクチド類などを開環重合して得られる、ポリカプロラクトンポリオール、ポリバレロラクトンポリオール、さらには、それらに2価アルコール(後述)を共重合したラクトン系ポリエステルポリオールなどが挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、上記した低分子量ポリオール(好ましくは、2価アルコール(後述))を開始剤とするエチレンカーボネートの開環重合物や、例えば、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオールや1,6−ヘキサンジオールなどの2価アルコールと、開環重合物とを共重合した非晶性ポリカーボネートポリオールなどが挙げられる。
植物油ポリオールとしては、例えば、ひまし油、やし油などのヒドロキシル基含有植物油などが挙げられる。例えば、ひまし油ポリオール、または、ひまし油脂肪酸とポリプロピレンポリオールとの反応により得られるエステル変性ひまし油ポリオールなどが挙げられる。
ポリオレフィンポリオールとしては、例えば、ポリブタジエンポリオール、部分ケン価エチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。
アクリルポリオールとしては、例えば、ヒドロキシル基含有アクリレートと、ヒドロキシル基含有アクリレートと共重合可能な共重合性ビニルモノマーとを、共重合させることによって得られる共重合体が挙げられる。
ヒドロキシル基含有アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2,2−ジヒドロキシメチルブチル(メタ)アクリレート、ポリヒドロキシアルキルマレエート、ポリヒドロキシアルキルフマレートなどが挙げられる。好ましくは、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
共重合性ビニルモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルアクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート(炭素数1〜12)、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル、例えば、(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニル、例えば、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸などのカルボキシル基を含むビニルモノマー、または、そのアルキルエステル、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、オリゴエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのアルカンポリオールポリ(メタ)アクリレート、例えば、3−(2−イソシアネート−2−プロピル)−α−メチルスチレンなどのイソシアネート基を含むビニルモノマーなどが挙げられる。
そして、アクリルポリオールは、これらヒドロキシル基含有アクリレート、および、共重合性ビニルモノマーを、適当な溶剤および重合開始剤の存在下において共重合させることにより得ることができる。
また、アクリルポリオールには、例えば、シリコーンポリオールやフッ素ポリオールが含まれる。
シリコーンポリオールとしては、例えば、上記したアクリルポリオールの共重合において、共重合性ビニルモノマーとして、例えば、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのビニル基を含むシリコーン化合物が配合されたアクリルポリオールが挙げられる。
フッ素ポリオールとしては、例えば、上記したアクリルポリオールの共重合において、共重合性ビニルモノマーとして、例えば、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンなどのビニル基を含むフッ素化合物が配合されたアクリルポリオールが挙げられる。
ビニルモノマー変性ポリオールは、高分子量ポリオールと、ビニルモノマーとの反応により得ることができる。
また、第1ポリオールとしては、例えば、分子量が上記範囲であり分子中に水酸基を2つ以上有する単量体を用いることもできる。そのような単量体としては、例えば、ビスフェノールAおよびその水添物などが挙げられる。
第1ポリチオールとしては、例えば、分子量が上記範囲であり分子中にメルカプト基を2つ以上有する単量体などが挙げられる。
第1ポリチオールに属する単量体として、具体的には、分子量が上記範囲の、脂肪族ポリチオール、芳香族ポリチオール、複素環含有ポリチオール、メルカプト基以外に硫黄原子を含有する脂肪族ポリチオール、メルカプト基以外に硫黄原子を含有する芳香族ポリチオール、メルカプト基以外に硫黄原子を含有する複素環含有ポリチオールなどが挙げられる。
第1ポリチオールに属する脂肪族ポリチオールとしては、例えば、チオリンゴ酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、2,3−ジメルカプトコハク酸(2−メルカプトエチルエステル)、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール(2−メルカプトアセテート)、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール(3−メルカプトプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、2,2−ビス(メルカプトメチル)−1,3−プロパンジチオール、エチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ブタンジオールビス(メルカプトグリコレート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)、テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパンビス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパンビス(3−メルカプトプロピオネート)などが挙げられる。
第1ポリチオールに属する芳香族ポリチオールとしては、例えば、1,2−ビス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,2−ビス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3,4−テトラメルカプトベンゼン、1,2,3,5−テトラメルカプトベンゼン、1,2,4,5−テトラメルカプトベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、2,2’−ジメルカプトビフェニル、4,4’−ジメルカプトビフェニル、4,4’−ジメルカプトビベンジル、9,10−アントラセンジメタンチオール、1,3−ジ(p−メトキシフェニル)プロパン−2,2−ジチオール、1,3−ジフェニルプロパン−2,2−ジチオール、2,4−ジ(p−メルカプトフェニル)ペンタンなどが挙げられる。
第1ポリチオールに属する複素環含有ポリチオールとしては、例えば、2−モルホリノ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、2−シクロヘキシルアミノ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、2−フェノキシ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、2−チオベンゼンオキシ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、2−チオブチルオキシ−4,6−ジチオール−sym−トリアジンなどが挙げられる。
第1ポリチオールに属するメルカプト基以外に硫黄原子を含有する脂肪族ポリチオールとしては、例えば、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)エタン、1,2−ビス(3−メルカプトプロピル)エタン、1,3−ビス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,3−ビス(2−メルカプトエチルチオ)プロパン、1,3−ビス(3−メルカプトプロピルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(2−メルカプトエチルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(3−メルカプトプロピルチオ)プロパン、テトラキス(メルカプトメチルチオメチル)メタン、ビス(2,3−ジメルカプトプロピル)スルフィド、2,5−ジメルカプトメチル−1,4−ジチアン、ビス(メルカプトプロピル)ジスルフィドなど、およびこれらのチオグリコール酸およびメルカプトプロピオン酸のエステル、ヒドロキシメチルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシプロピルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシプロピルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシプロピルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシプロピルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、2−メルカプトエチルエーテルビス(2−メルカプトアセテート)、2−メルカプトエチルエーテルビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,2−ビス〔(2−メルカプトエチル)チオ〕−3−メルカプトプロパン、1,4−ジチアン−2,5−ジオールビス(2−メルカプトアセテート)、1,4−ジチアン−2,5−ジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)、チオジグリコール酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、4,4−チオジブチル酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、ジチオジグリコール酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、ジチオジプロピオン酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、4,4−ジチオジブチル酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、チオグリコール酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、ジチオグリコール酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、ジチオジプロピオン酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)などが挙げられる。
第1ポリチオールに属するメルカプト基以外に硫黄原子を含有する芳香族ポリチオールとしては、例えば、1,2−ビス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2−ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトメチルチオ)ベンゼンなど、およびこれらの核アルキル化物などが挙げられる。
第1ポリチオールに属するメルカプト基以外に硫黄原子を含有する複素環含有ポリチオールとしては、例えば、3,4−チオフェンジチオール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールなど、のチオグリコール酸およびメルカプトプロピオン酸のエステルなどが挙げられる。が挙げられる。
また、第1ポリチオールとして、さらには、例えば、これら第1ポリチオールの塩素置換体、臭素置換体などのハロゲン置換体が挙げられる。
これら第1ポリチオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
これら第1活性水素化合物は、単独使用または2種類以上併用することができる。
第1活性水素化合物として、好ましくは、第1ポリオールが挙げられ、より好ましくは、ポリテトラメチレンエーテルグリコールが挙げられる。
第1活性水素化合物がポリテトラメチレンエーテルグリコールを含有していれば、優れた硬度および透明性を確保することができる。
第1活性水素化合物の分子量は、200以上、好ましくは、210以上、より好ましくは、220以上であり、400未満、好ましくは、380未満、より好ましくは、350未満である。
第1活性水素化合物の分子量が上記下限以上であれば、均一な硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂を得ることができる。
また、第1活性水素化合物の分子量が上記上限未満であれば、優れた硬度および耐熱性を確保することができる。
第2活性水素化合物としては、例えば、分子中に水酸基を2つ以上有し、分子量80以上200未満の化合物(以下、第2ポリオールと称する。)、分子中にメルカプト基を2つ以上有し、分子量80以上200未満の化合物(以下、第2ポリチオールと称する。)などが挙げられる。
第2ポリオールとしては、例えば、分子量が上記範囲であり分子中に水酸基を2つ以上有する単量体が挙げられ、具体的には、例えば、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,2−トリメチルペンタンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン、アルカン(C7〜11)ジオール、シクロヘキサンジメタノール(1,3−または1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびそれらの混合物)、シクロヘキサンジオール(1,3−または1,4−シクロヘキサンジオールおよびそれらの混合物)、1,4−ジヒドロキシ−2−ブテン、2,6−ジメチル−1−オクテン−3,8−ジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ベンゼンジオール(別名カテコール)、1,3−ベンゼンジオール、1,4−ベンゼンジオールなどの2価アルコール、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリイソプロパノールアミンなどの3価アルコール、例えば、テトラメチロールメタン(ペンタエリスリトール)、ジグリセリンなどの4価アルコールなどの多価アルコールなどが挙げられる。
また、第2ポリオールとしては、さらに、上記の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
これら第2ポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
第2ポリチオールとしては、例えば、分子量が上記範囲であり分子中にメルカプト基を2つ以上有する単量体などが挙げられる。
第2ポリチオールに属する単量体として、具体的には、分子量が上記範囲の、脂肪族ポリチオール、芳香族ポリチオール、複素環含有ポリチオール、メルカプト基以外に硫黄原子を含有する脂肪族ポリチオール、メルカプト基以外に硫黄原子を含有する複素環含有ポリチオールなどが挙げられる。
第2ポリチオールに属する脂肪族ポリチオールとしては、例えば、メタンジチオール、1,2−エタンジチオール、1,1−プロパンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、2,2−プロパンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,2,3−プロパントリチオール、1,1−シクロヘキサンジチオール、1,2−シクロヘキサンジチオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジチオール、3,4−ジメトキシブタン−1,2−ジチオール、1−メチルシクロヘキサン−2,3−ジチオール、1,1−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、1,2−ジメルカプトプロピルメチルエーテル、2,3−ジメルカプトプロピルメチルエーテル、ビス(2−メルカプトエチル)エーテルなどが挙げられる。
第2ポリチオールに属する芳香族ポリチオールとしては、例えば、1,2−ジメルカプトベンゼン、1,3−ジメルカプトベンゼン、1,4−ジメルカプトベンゼン、1,2−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3−トリメルカプトベンゼン、1,2,4−トリメルカプトベンゼン、1,3,5−トリメルカプトベンゼン、2,5−トルエンジチオール、3,4−トルエンジチオール、1,4−ナフタレンジチオール、1,5−ナフタレンジチオール、2,6−ナフタレンジチオール、2,7−ナフタレンジチオール、2,4−ジメチルベンゼン−1,3−ジチオール、4,5−ジメチルベンゼン−1,3−ジチオール、フェニルメタン−1,1−ジチオールなどが挙げられる。
第2ポリチオールに属する複素環含有ポリチオールとしては、例えば、2−メチルアミノ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、2−エチルアミノ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、2−アミノ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、2−メトキシ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、などが挙げられる。
第2ポリチオールに属するメルカプト基以外に硫黄原子を含有する脂肪族ポリチオールとしては、例えば、ビス(メルカプトメチル)スルフィド、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、ビス(メルカプトメチルチオ)メタン、ビス(2−メルカプトエチルチオ)メタン、1,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エタン、2,5−ジメルカプト−1,4−ジチアン、ビス(メルカプトメチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトエチル)ジスルフィドなどが挙げられる。
第2ポリチオールに属するメルカプト基以外に硫黄原子を含有する複素環含有ポリチオールとしては、例えば、3,4−チオフェンジチオール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールなどが挙げられる。
また、第2ポリチオールとして、さらには、例えば、これらポリチオールの塩素置換体、臭素置換体などのハロゲン置換体が挙げられる。
これら第2ポリチオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
これら第2活性水素化合物は、単独使用または2種類以上併用することができる。
第2活性水素化合物として、好ましくは、第2ポリオールが挙げられ、より好ましくは、シクロヘキサンジメタノールが挙げられる。
第2活性水素化合物がシクロヘキサンジメタノールを含有していれば、優れた透明性を確保することができる。
第2活性水素化合物の分子量は、80以上、好ましくは、85以上、より好ましくは、90以上であり、200未満、好ましくは、180未満、より好ましくは、160未満である。
第2活性水素化合物の分子量が上記下限以上であれば、均一な硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂を得ることができ、また、優れた透明性を確保することができる。
また、第2活性水素化合物の分子量が上記上限未満であれば、均一な硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂を得ることができ、また、優れた硬度、透明性および耐熱性を確保することができる。
活性水素化合物成分において、第1活性水素化合物および第2活性水素化合物の含有割合は、それら第1活性水素化合物および第2活性水素化合物の総量に対して、第1活性水素化合物が、1モル%以上、好ましくは、2モル%以上、より好ましくは、3モル%以上であり、15モル%以下、好ましくは、13モル%以下、より好ましくは、12モル%以下である。また、第2活性水素化合物が、85モル%以上、好ましくは、87モル%以上、より好ましくは、88モル%以上であり、99モル%以下、好ましくは、98モル%以下、より好ましくは、97モル%以下である。
第1活性水素化合物および第2活性水素化合物の含有割合が上記範囲であれば、均一な硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂を得ることができ、また、優れた硬度、透明性および耐熱性を確保することができる。
一方、第1活性水素化合物の含有割合が上記範囲未満である場合には、均一な硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂を得ることができず、また、第1活性水素化合物の含有割合が上記範囲を超過する場合には、硬度および耐熱性に劣る。
そして、本発明の硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂は、上記各成分(ポリイソシアネート成分、活性水素化合物成分)を、例えば、ワンショット法やプレポリマー法などの公知の方法で反応させることにより、得ることができる。好ましくは、プレポリマー法で反応させる。
プレポリマー法により上記各成分を反応させれば、優れた硬度、透明性および耐熱性を確保することができる。
以下において、本発明の硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂の製造方法について、詳述する。
この方法では、まず、ポリイソシアネート成分と第1活性水素化合物とを反応させて、イソシアネート基末端プレポリマー(イソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマー)を合成する(プレポリマー合成工程)。
具体的には、プレポリマー合成工程では、ポリイソシアネート成分と、第1活性水素化合物とを、例えば、バルク重合や溶液重合などの重合方法により反応させる。
バルク重合では、例えば、窒素気流下において、ポリイソシアネート成分および第1活性水素化合物を、反応温度50℃以上、250℃以下、好ましくは、200℃以下で、0.5〜15時間程度反応させる。
溶液重合では、有機溶剤に、ポリイソシアネート成分および第1活性水素化合物を加えて、反応温度50℃以上、120℃以下、好ましくは、100℃以下で、0.5〜15時間程度反応させる。
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、例えば、アセトニトリルなどのニトリル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルなどのアルキルエステル類、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素類、例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素類、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、例えば、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、メチルカルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネートなどのグリコールエーテルエステル類、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、例えば、塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、臭化メチル、ヨウ化メチレン、ジクロロエタンなどのハロゲン化脂肪族炭化水素類、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホニルアミドなどの極性非プロトン類などが挙げられる。
さらに、有機溶剤としては、例えば、非極性溶剤(非極性有機溶剤)が挙げられ、これら非極性溶剤としては、脂肪族、ナフテン系炭化水素系有機溶剤を含む、アニリン点が、例えば、10〜70℃、好ましくは、12〜65℃の、低毒性で溶解力の弱い非極性有機溶剤や、ターペン油に代表される植物性油などが挙げられる。
さらに、上記重合反応においては、必要に応じて、例えば、アミン類や有機金属化合物などの公知のウレタン化触媒を添加することができる。
アミン類としては、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ビス−(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N−メチルモルホリンなどの3級アミン類、例えば、テトラエチルヒドロキシルアンモニウムなどの4級アンモニウム塩、例えば、イミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール類などが挙げられる。
有機金属化合物としては、例えば、酢酸錫、オクチル酸錫、オレイン酸錫、ラウリル酸錫、ジブチル錫ジアセテート、ジメチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジメルカプチド、ジブチル錫マレエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジネオデカノエート、ジオクチル錫ジメルカプチド、ジオクチル錫ジラウリレート、ジブチル錫ジクロリドなどの有機錫化合物、例えば、オクタン酸鉛、ナフテン酸鉛などの有機鉛化合物、例えば、ナフテン酸ニッケルなどの有機ニッケル化合物、例えば、ナフテン酸コバルトなどの有機コバルト化合物、例えば、オクテン酸銅などの有機銅化合物、例えば、オクタン酸ビスマス(オクチル酸ビスマス)、ネオデカン酸ビスマスなどの有機ビスマス化合物などが挙げられる。
さらに、ウレタン化触媒として、例えば、炭酸カリウム、酢酸カリウム、オクチル酸カリウムなどのカリウム塩が挙げられる。
これらウレタン化触媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。
また、上記重合反応においては、(未反応の)ポリイソシアネート成分を、例えば、蒸留や抽出などの公知の除去手段により除去することができる。
プレポリマー合成工程において、各成分の配合割合は、第1活性水素化合物の活性水素基に対する、ポリイソシアネート成分のイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/活性水素基)が、例えば、6.5以上、好ましくは、7.0以上、さらに好ましくは、7.5以上であり、例えば、120以下、好ましくは、100以下、さらに好ましくは、80以下である。
より具体的には、プレポリマー合成工程における各成分の配合割合は、ポリイソシアネート成分100質量部に対して、第1活性水素化合物が、例えば、1質量部以上、好ましくは、2質量部以上、例えば、30質量部以下、好ましくは、25質量部以下である。
そして、この方法では、イソシアネート基含有率が、例えば、28質量%以上、好ましくは、30質量%以上、例えば、42.5質量%以下、好ましくは、42.0質量%以下に達するまで上記成分を反応させる。これにより、イソシアネート基末端プレポリマーを得ることができる。
なお、イソシアネート基含有率は、ジ−n−ブチルアミンによる滴定法や、FT−IR分析などの公知の方法によって求めることができる。
次いで、この方法では、上記により得られたイソシアネート基末端プレポリマーと、第2活性水素化合物とを反応させて、硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂を合成する(鎖伸長工程)。
すなわち、この方法において、第2活性水素化合物は、鎖伸長剤として用いられる。
そして、鎖伸長工程では、イソシアネート基末端プレポリマーと、第2活性水素化合物とを、例えば、上記したバルク重合や上記した溶液重合などの重合方法により反応させる。
反応温度は、例えば、室温以上、例えば、250℃以下、好ましくは、200℃以下であり、反応時間が、例えば、5分以上、好ましくは、1時間以上、例えば、72時間以下、好ましくは、24時間以下である。
また、各成分の配合割合は、第2活性水素化合物中の活性水素基に対する、イソシアネート基末端プレポリマー中のイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/活性水素基)が、例えば、0.75以上、好ましくは、0.9以上、例えば、1.3以下、好ましくは、1.1以下である。
より具体的には、鎖伸長工程における各成分の配合割合は、イソシアネート基末端プレポリマー100質量部に対して、第2活性水素化合物が、例えば、30質量部以上、好ましくは、35質量部以上、例えば、100質量部以下、好ましくは、80質量部以下である。
さらに、この反応においては、必要に応じて、上記したウレタン化触媒を添加することができる。ウレタン化触媒は、イソシアネート基末端プレポリマーおよび/または第2ポリオール成分に配合することができ、また、それらの混合時に別途添加することもできる。
また、硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂を得る方法としては、上記のプレポリマー法に限定されず、例えば、ワンショット法により硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂を得ることもできる。
具体的には、ワンショット法では、ポリイソシアネート成分と、活性水素化合物成分とを、活性水素化合物成分の活性水素基に対する、ポリイソシアネート成分のイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/活性水素基)が、例えば、0.9〜1.2、好ましくは、0.95〜1.1、さらに好ましくは、0.98〜1.08となる割合で、同時に配合して撹拌混合する。
また、この撹拌混合は、例えば、不活性ガス(例えば、窒素)雰囲気下、反応温度40〜280℃、好ましくは、100〜260℃で、反応時間30秒〜1時間程度実施する。
撹拌混合の方法としては、特に制限されないが、例えば、ディスパー、ディゾルバー、タービン翼のような混合槽、循環式の低圧または高圧衝突混合装置、高速撹拌ミキサー、スタティックミキサー、ニーダー、単軸または二軸回転式の押出機、ベルトコンベアー式など、公知の混合装置を用いて撹拌混合する方法が挙げられる。好ましくは、高速撹拌ミキサーでポリイソシアネート成分と活性水素化合物成分とを十分に混合し、次いで、スタティックミキサー、単軸式押出機または混練機で混合する方法や、高速撹拌ミキサーでポリイソシアネート成分と活性水素化合物成分とを十分に混合した反応混合液をベルトコンベアーに連続的に流し、反応させる方法が挙げられる。このような方法により各成分を撹拌混合すれば、得られる硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂の外観不良(例えば、ブツなど)の発生や、ゲル化を低減することができる。
また、撹拌混合時には、必要により、上記したウレタン化触媒や有機溶剤を、適宜の割合で添加することができる。
また、このような硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂は、さらに、ブルーイング剤を含有することができる。
ブルーイング剤は、可視光領域のうち、例えば、橙色から黄色などの波長域の光を吸収し、色相を調整する添加剤(染料、顔料)であって、例えば、群青、紺青、コバルトブルーなどの無機系の染料や顔料、例えば、フタロシアニン系ブルーイング剤、縮合多環系ブルーイング剤(例えば、インジゴ系ブルーイング剤、アントラキノン系ブルーイング剤)などの有機系の染料や顔料などが挙げられる。
ブルーイング剤として、好ましくは、縮合多環系ブルーイング剤が挙げられ、より好ましくは、アントラキノン系ブルーイング剤が挙げられる。
アントラキノン系ブルーイング剤は、下記式(1)で示されるアントラキノン環を含有するブルーイング剤であって、特に制限されないが、例えば、下記式(2)で示される化合物などが挙げられる。
また、このようなアントラキノン系ブルーイング剤は、市販品としても入手可能であり、そのような市販品としては、例えば、Plast Blue 8510、Plast Blue 8514、Plast Blue 8516、Plast Blue 8520、Plast Blue 8540、Plast Blue 8580、Plast Blue 8590(以上、いずれも有本化学工業製)など、例えば、マクロレックスバイオレットB、マクロレックスバイオレット3R、マクロレックスブルーRR(以上、いずれもバイエル製)など、例えば、ダイアレジンブルーB、ダイアレジンバイオレットD、ダイアレジンブルーJ、ダイアレジンブルーN(以上、いずれも三菱化学製)など、例えば、スミプラストバイオレットB(住友化学工業製)などが挙げられる。
これらブルーイング剤として、好ましくは、Plast Blue 8510、Plast Blue 8514、Plast Blue 8516、Plast Blue 8520、Plast Blue 8540、Plast Blue 8580、Plast Blue 8590が挙げられ、より好ましくは、Plast Blue 8514が挙げられる。
硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂がブルーイング剤を含有する場合において、その含有割合は、硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂の総量(ブルーイング剤を含む。)に対して、ブルーイング剤が、例えば、0.01ppm以上、好ましくは、0.05ppm以上であり、例えば、5ppm以下、好ましくは、3ppm以下である。
なお、硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂には、必要に応じて、他の公知の添加剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤、さらには、可塑剤、ブロッキング防止剤、離型剤、顔料、染料、滑剤、フィラー、加水分解防止剤、防錆剤、充填剤などを添加することができる。これら添加剤は、各成分の合成時に添加してもよく、あるいは、各成分の混合時に添加してもよい。
酸化防止剤としては、特に制限されず、公知の酸化防止剤(例えば、BASFジャパン製カタログに記載)が挙げられ、より具体的には、例えば、ヒンダードフェノール系化合物、フォスファイト系化合物、チオエーテル系化合物などが挙げられる。
耐熱安定剤としては、特に制限されず、公知の耐熱安定剤(例えば、BASFジャパン製カタログに記載)が挙げられ、より具体的には、例えば、リン系加工熱安定剤、ラクトン系加工熱安定剤、イオウ系加工熱安定剤などが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、特に制限されず、公知の紫外線吸収剤(例えば、BASFジャパン製カタログに記載)が挙げられ、より具体的には、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤などが挙げられる。
耐光安定剤としては、特に制限されず、公知の耐光安定剤(例えば、ADEKA製カタログに記載)が挙げられ、より具体的には、例えば、ベンゾエート系光安定剤、ヒンダードアミン系光安定剤などが挙げられる。
これら添加剤は、それぞれ硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂に対して、例えば、0.01〜1.2質量%、好ましくは、0.1〜1質量%となる割合で、添加される。
そして、本発明の硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂は、優れた硬度を備えるとともに、透明性および耐熱性を備えている。
また、本発明の硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂の製造方法によれば、優れた硬度を備えるとともに、透明性および耐熱性にも優れる硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂を得ることができる。
具体的には、得られる硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂の硬度(ショアD、JIS K7311(1995)に準拠)は、例えば、65D以上、好ましくは、68D以上、さらに好ましくは、70D以上であり、可撓性付与の観点から、通常、95D以下である。
また、硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂(厚み2mm)の全光線透過率(JIS K7105(光源:D65)(1999)に準拠)は、例えば、89%以上、好ましくは、90%以上、更に好ましくは、91%以上、通常、95%以下である。
なお、全光線透過率は、濁度・曇り度計(例えば、Haze Meter NDH2000(日本電色工業製)など)により測定することができる。
また、硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂のガラス転移温度(Tg)は、例えば、80℃以上、好ましくは、90℃以上、より好ましくは、100℃以上、熱可塑成形性の観点から、通常、180℃以下である。
なお、ガラス転移温度は、動的粘弾性測定装置(DMA)などにより、tanδピーク温度などとして測定することができる。
また、硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂(厚み2mm)の黄色度(b*)は、成形品(後述)の透明性の確保、および、意匠性の観点から、例えば、1.5以下、好ましくは、1.2以下、さらに好ましくは、1.0以下、通常、−1以上である。
なお、硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂(厚み2mm)の黄色度(b*)は、色彩測定器(例えば、SMカラーコンピューター SM−T(スガ試験機製)など)により測定することができる。
また、硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂の屈折率は、例えば、1.50以上、好ましくは、1.55以上、さらに好ましくは、1.60以上、通常、2以下である。
また、硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂のアッベ数は、例えば、35以上、好ましくは、40以上、さらに好ましくは、45以上、通常、70以下である。
なお、硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂の屈折率およびアッベ数は、例えば、成形品を屈折率計(例えば、アッベ屈折計1T(ATAGO製)(JIS K7105(1999)に準拠(光源:白熱灯))など)により測定することができる。
そして、本発明は、上記した本発明の硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂が用いられる成形品を含んでいる。
成形品は、例えば、上記の硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂、熱可塑性樹脂の公知の溶融成形方法、例えば、特定の金型を用いた熱圧縮成形および射出成形や、シート巻き取り装置を用いた溶融押出成形などの熱成形加工方法により、例えば、ペレット状、板状、繊維状、ストランド状、フィルム状、シート状、パイプ状、中空状、箱状などの各種形状に成形することにより、得ることができる。
そして、本発明の成形品は、本発明の硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂から成形されているため、通常の熱可塑性樹脂と同様に溶融押出成形することができながら、得られた成形品は、優れた硬度を備えるとともに、透明性および耐熱性にも優れる。
そのため、上記した硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂を用いて得られる成形品は、高い硬度、透明性、耐熱性などが要求される各種用途、とりわけ、車載用の照明パネル、ヘッドライトレンズ、ヘッドライトおよびテールライトのランプカバー、光学素子、光ディスク、有機ELやLEDなどの光学材料、看板などの電飾、光ファイバ、ガラス代替品、合わせガラスの中間膜、航空機等の風防、大型水槽壁、透明屋根材、グレージング材料、日用品の透明部材、透明レンズ、眼鏡レンズ、カメラレンズ、ピックアップレンズ、コンタクトレンズ、サングラスレンズ、偏光レンズなどとして使用される光学レンズなど、光学用部品や電子部品などとして、好適に用いられる。
さらに、上記した硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂を用いて得られる成形品は、上記の用途に限定されず、例えば、自動車部品、機械・産業部品、電線・ケーブル、ロール、ホース・チューブ、ベルト、フィルム・シート、ラミネート品、コーティング、接着剤、シール材、スポーツ・レジャー用品、靴関連部品、雑貨、介護用品、住宅用品、医療、建材、土木関連、防水材・舗装材、発泡体、スラッシュパウダーなどの各種産業分野において、用いることができる。
次に、本発明を、実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は、下記の実施例によって限定されるものではない。
また、以下において記載される数平均分子量は、以下の通り測定した。
すなわち、試料40mgを、テトラヒドロフラン4mLに溶解させ、1w/v%溶液として調製した後、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)にて、下記条件で測定し、標準ポリスチレン換算により、数平均分子量(Mn)を測定した。
データ処理装置:品番EMPOWER2(Waters製)
示差屈折率検出器:2414型示差屈折検出器
カラム:PLgel5μmMixed‐C 品番1110−6500(Polymer Laboratories製)3本
移動相:テトラヒドロフラン
カラム流量:1mL/min
試料濃度:10g/L
注入量:100μL
測定温度:40℃
分子量校正:TOSOH製 TSKstandard Polystyrene
<1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(1,4−H6XDI)の製造>
(ポリイソシアネートの加水分解性塩素濃度の測定)
各1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンに含有される加水分解性塩素の濃度(以下、HCと略する。)は、JIS K−1556(2000)の附属書3に記載されている加水分解性塩素の試験方法に準拠して測定した。
製造例1(1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン1(以下、1,4−BIC1とする。)の製造方法)
13C−NMR測定によるトランス/シス比が93/7の1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(三菱瓦斯化学製)を原料として、冷熱2段ホスゲン化法を加圧下で実施した。
電磁誘導撹拌機、自動圧力調整弁、温度計、窒素導入ライン、ホスゲン導入ライン、凝縮器および原料フィードポンプを備え付けたジャケット付き加圧反応器に、オルトジクロロベンゼン2500質量部を仕込んだ。次いで、ホスゲン1425質量部をホスゲン導入ラインより加え撹拌を開始した。反応器のジャケットには冷水を通し、内温を約10℃に保った。そこへ、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン400質量部をオルトジクロロベンゼン2500質量部に溶解した溶液を、フィードポンプにて60分かけてフィードし、30℃以下、常圧下で冷ホスゲン化を実施した。フィード終了後、フラスコ内は淡褐白色スラリー状液となった。
次いで、反応器内液を60分で140℃に昇温しながら0.25MPaに加圧し、さらに圧力0.25MPa、反応温度140℃で2時間熱ホスゲン化した。また、熱ホスゲン化の途中でホスゲンを480質量部追加した。熱ホスゲン化の過程でフラスコ内液は淡褐色澄明溶液となった。熱ホスゲン化終了後、100〜140℃で窒素ガスを100L/時で通気し、脱ガスした。
次いで、減圧下で溶媒のオルトジクロルベンゼンを留去した後、ガラス製フラスコに、充填物(住友重機械工業株式会製、商品名:住友/スルザーラボパッキングEX型)を4エレメント充填した蒸留管、還流比調節タイマーを装着した蒸留塔(柴田科学株式会製、商品名:蒸留頭K型)および冷却器を装備する精留装置を用いて、138〜143℃、0.7〜1KPaの条件下、さらに還流しながら精留し、1,4−BIC1を382質量部得た。
得られた1,4−BIC1のガスクロマトグラフィー測定による純度は99.9%、APHA測定による色相は5、13C−NMR測定によるトランス/シス比は93/7であった。加水分解性塩素(HC)は19ppmであった。
製造例2(1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン2(以下、1,4−BIC2とする。)の製造方法)
13C−NMR測定によるトランス/シス比が41/59の1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(東京化成工業製)を原料として、1,4−BIC1と同様の方法にて388質量部の1,4−BIC2を得た。得られた1,4−BIC2のガスクロマトグラフィー測定による純度は99.9%、APHA測定による色相は5、13C−NMR測定によるトランス/シス比は41/59であった。HCは22ppmであった。
製造例3(1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン3(以下、1,4−BIC3とする。)の製造方法)
攪拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、製造例1の1,4−BIC1を865質量部、製造例2の1,4−BIC2を135質量部装入し、窒素雰囲気下、室温にて1時間撹拌した。得られた1,4−BIC3のガスクロマトグラフィー測定による純度は99.9%、APHA測定による色相は5、13C−NMR測定によるトランス/シス比は86/14であった。HCは19ppmであった。
製造例4(1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン4(以下、1,4−BIC4とする。)の製造方法)
攪拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、製造例1の1,4−BIC1を769質量部、製造例2の1,4−BIC2を231質量部装入し、窒素雰囲気下、室温にて1時間撹拌した。得られた1,4−BIC4のガスクロマトグラフィー測定による純度は99.9%、APHA測定による色相は5、13C−NMR測定によるトランス/シス比は81/19であった。HCは20ppmであった。
製造例5(1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン5(以下、1,4−BIC5とする。)の製造方法)
攪拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、製造例1の1,4−BIC1を558質量部、製造例2の1,4−BIC2を442質量部装入し、窒素雰囲気下、室温にて1時間撹拌した。得られた1,4−BIC5のガスクロマトグラフィー測定による純度は99.9%、APHA測定による色相は5、13C−NMR測定によるトランス/シス比は70/30であった。HCは19ppmであった。
製造例6(1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン6(以下、1,4−BIC6とする。)の製造方法)
攪拌器、ガス導入管、温度計、ガス排気管および脱水装置を装備した反応機に、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸286.6質量部、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン55.7質量部および酸化スズ(II)3.6質量部を仕込み、攪拌しながらアンモニアガスおよび窒素をそれぞれ90mL/min(0.14モル当量/1,4−シクロヘキサンジカルボン酸/hr)、10mL/minの速度で混合流通して、280℃に昇温後、この温度で一定にして反応させた。同温度で48時間後に反応を終了し、90℃まで冷却した。
反応物に1−ブタノール520質量部を加えて撹拌した液を熱時濾過して、触媒を除去した。濾液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、1,4−ジシアノシクロヘキサンの収率は86%であった。
次に、上記操作で得られた濾液を、撹拌しながら室温まで冷却したところ、沈殿が生じた。この懸濁液を濾過して取り出した濾物に1−ブタノール230質量部を加え90℃で1時間撹拌後、撹拌しながら室温まで冷却したところ、再度、沈殿が生じた。この懸濁液を濾過し、1−ブタノールで2回洗浄した後、濾物を乾燥させ、白色固体を100質量部得た(得率(収率)45%)。
ガスクロマトグラフィーで分析したところ、この固体は純度99.5%以上の1,4−ジシアノシクロヘキサンであり、13C−NMRで分析した結果、そのトランス体/シス体比は99/1であった。
次いで、撹拌装置を装着した耐圧反応機に、上記したトランス体/シス体比99/1の1,4−ジシアノシクロヘキサン550質量部、触媒(川研ファインケミカル製ラネーニッケル)30質量部、28重量%アンモニア水を560質量部、1−ブタノール1050質量部を仕込み、該反応機のノズル口より窒素5MPaで3回置換し、常圧状態で400rpmの撹拌下、80℃に加熱した。
80℃に到達したところで、圧力が4.5MPaになるように水素の供給を開始し、水素吸収がなくなるまで反応した。反応時間は3時間であった。
反応終了後室温まで冷却し、反応生成液を抜き出し後、濾過して触媒を除去した。
濾液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、1,4−ジシアノシクロヘキサンの転化率は100%、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンの収率は98%、13C−NMRで分析したトランス体/シス体比は98/2であった。
この反応液を10mmHgで減圧蒸留し、純度99.5%以上のトランス体/シス体比98/2の1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(1,4−BAC)を93%の収率で得た。
この1,4−BACを用いて、製造例1記載の方法に従って、1,4−BIC6を合成した。得られた1,4−BIC6のガスクロマトグラフィー測定による純度は99.9%、APHAによる色相は5、13C−NMR定によるトランス体/シス体比は98/2であった。加水分解性塩素は20ppmであった。
合成例1(プレポリマー(a)の合成)
攪拌機、温度計、還流管および窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、テラタン250(INVISTA製、数平均分子量250、ポリテトラメチレンエーテルグリコール)を装入し、次いで、当量比(NCO/OH)が50.5になるように、1,4−BIC3/1,3−BIC(1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、商品名:タケネート600、三井化学製)=50/50(モル比)でブレンドしたポリイソシアネートを装入した。窒素雰囲気下、80℃にてイソシアネート基含量が41.3質量%になるまで反応させ、イソシアネート基末端プレポリマー(以下、プレポリマーと略する。)(a)を得た。
合成例2(プレポリマー(b)の合成)
当量比(NCO/OH)が20.2になるように1,4−BIC3/1,3−BIC=50/50(モル比)でブレンドしたポリイソシアネートおよびテラタン250を装入し、イソシアネート基含量が38.7質量%になるまで反応させた以外は、合成例1と同様の操作にて、プレポリマー(b)を得た。
合成例3(プレポリマー(c)の合成)
当量比(NCO/OH)が7.77になるように1,4−BIC3/1,3−BIC=50/50(モル比)でブレンドしたポリイソシアネートおよびテラタン250を装入し、イソシアネート基含量が32.4質量%になるまで反応させた以外は、合成例1と同様の操作にて、プレポリマー(c)を得た。
合成例4(プレポリマー(d)の合成)
テラタン250に代えて、単蒸留にて精製したテトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)(SC有機化学製、以下、EGMP−4と略する。)を用い、当量比(NCO/SH)が7.77になるように1,4−BIC3/1,3−BIC=50/50(モル比)でブレンドしたポリイソシアネートを装入し、イソシアネート基含量が30.2質量%になるまで反応させた以外は、合成例1と同様の操作にて、プレポリマー(d)を得た。
合成例5(プレポリマー(e)の合成)
当量比(NCO/OH)が20.2になるように1,4−BIC3/1,3−BIC=65/35(モル比)でブレンドしたポリイソシアネートおよびテラタン250を装入し、イソシアネート基含量が38.7質量%になるまで反応させた以外は、合成例1と同様の操作にて、プレポリマー(e)を得た。
合成例6(プレポリマー(f)の合成)
当量比(NCO/OH)が20.2になるように1,4−BIC3/1,3−BIC=75/25(モル比)でブレンドしたポリイソシアネートおよびテラタン250を装入し、イソシアネート基含量が38.7質量%になるまで反応させた以外は、合成例1と同様の操作にて、プレポリマー(f)を得た。
合成例7(プレポリマー(g)の合成)
当量比(NCO/OH)が20.2になるように1,4−BIC3/1,3−BIC=35/65(モル比)でブレンドしたポリイソシアネートおよびテラタン250を装入し、イソシアネート基含量が38.7質量%になるまで反応させた以外は、合成例1と同様の操作にて、プレポリマー(g)を得た。
合成例8(プレポリマー(h)の合成)
当量比(NCO/OH)が20.2になるように1,4−BIC3/1,3−BIC=25/75(モル比)でブレンドしたポリイソシアネートおよびテラタン250を装入し、イソシアネート基含量が38.7質量%になるまで反応させた以外は、合成例1と同様の操作にて、プレポリマー(h)を得た。
合成例9(プレポリマー(i)の合成)
当量比(NCO/OH)が20.2になるように1,4−BIC5/1,3−BIC=35/65(モル比)でブレンドしたポリイソシアネートおよびテラタン250を装入し、イソシアネート基含量が38.7質量%になるまで反応させた以外は、合成例1と同様の操作にて、プレポリマー(i)を得た。
合成例10(プレポリマー(j)の合成)
当量比(NCO/OH)が20.2になるように1,4−BIC4/1,3−BIC=35/65(モル比)でブレンドしたポリイソシアネートおよびテラタン250を装入し、イソシアネート基含量が38.7質量%になるまで反応させた以外は、合成例1と同様の操作にて、プレポリマー(j)を得た。
合成例11(プレポリマー(k)の合成)
当量比(NCO/OH)が20.2になるように1,4−BIC1/1,3−BIC=65/35(モル比)でブレンドしたポリイソシアネートおよびテラタン250を装入し、イソシアネート基含量が38.7質量%になるまで反応させた以外は、合成例1と同様の操作にて、プレポリマー(k)を得た。
合成例12(プレポリマー(l)の合成)
当量比(NCO/OH)が20.2になるように1,4−BIC6/1,3−BIC=65/35(モル比)でブレンドしたポリイソシアネートおよびテラタン250を装入し、イソシアネート基含量が38.7質量%になるまで反応させた以外は、合成例1と同様の操作にて、プレポリマー(l)を得た。
合成例13(プレポリマー(m)の合成)
当量比(NCO/OH)が20.2になるように1,4−BIC3/XDI(キシリレンジイソシアネート、商品名:タケネート500、三井化学製)=50/50(モル比)でブレンドしたポリイソシアネートおよびテラタン250を装入し、イソシアネート基含量が39.3質量%になるまで反応させた以外は、合成例1と同様の操作にて、プレポリマー(m)を得た。
合成例14(プレポリマー(n)の合成)
当量比(NCO/OH)が20.2になるように1,4−BIC3/1,3−BIC=50/50(モル比)でブレンドしたポリイソシアネートおよびPEG#200(日油製、数平均分子量200、ポリエチレングリコール)を装入し、イソシアネート基含量が39.0質量%になるまで反応させた以外は、合成例1と同様の操作にて、プレポリマー(n)を得た。
合成例15(プレポリマー(o)の合成)
当量比(NCO/OH)が202になるように1,4−BIC3/1,3−BIC=50/50(モル比)でブレンドしたポリイソシアネートおよびテラタン250を装入し、イソシアネート基含量が42.7質量%になるまで反応させた以外は、合成例1と同様の操作にて、プレポリマー(o)を得た。
合成例16(プレポリマー(p)の合成)
当量比(NCO/OH)が5.94になるように1,4−BIC3/1,3−BIC=50/50(モル比)でブレンドしたポリイソシアネートおよびテラタン250を装入し、イソシアネート基含量が29.7質量%になるまで反応させた以外は、合成例1と同様の操作にて、プレポリマー(p)を得た。
合成例17(プレポリマー(q)の合成)
当量比(NCO/OH)が7.77になるように1,4−BIC3/1,3−BIC=50/50(モル比)でブレンドしたポリイソシアネートおよびPTG650SN(保土ヶ谷化学工業製、数平均分子量650、ポリテトラメチレンエーテルグリコール)を装入し、イソシアネート基含量が25.8質量%になるまで反応させた以外は、合成例1と同様の操作にて、プレポリマー(q)を得た。
合成例18(プレポリマー(r)の合成)
当量比(NCO/OH)が7.77になるように1,4−BIC3/1,3−BIC=50/50(モル比)でブレンドしたポリイソシアネートおよび1,6−ヘキサンジオール(和光純薬工業製、以下、1,6−HDOと略する。)を装入し、イソシアネート基含量が34.9質量%になるまで反応させた以外は、合成例1と同様の操作にて、プレポリマー(r)を得た。
各合成例における配合処方を、表1に示す。
なお、表中の略号の詳細を下記する。
1,4−BIC:各製造例において得られた1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン
1,3−BIC:1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、商品名:タケネート600(三井化学製)
XDI:キシリレンジイソシアネート、商品名:タケネート500(三井化学製)
テラタン250:数平均分子量250、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(INVISTA製)
EGMP−4:テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)(SC有機化学製)
PEG#200:数平均分子量200、ポリエチレングリコール(日油製)
PTG650SN:数平均分子量650、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(保土ヶ谷化学工業製)
1,6−HDO:1,6−ヘキサンジオール(和光純薬工業製)
実施例1(硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)の合成)
予め80℃に調整したプレポリマー(a)100質量部に、耐熱安定剤(商品名:イルガノックス245、BASFジャパン製)を0.5質量部、触媒としてスズ系触媒液(オクチル酸第一スズ(商品名:スタノクト、APIコーポレーション製)をジイソノニルアジペート(商品名:DINA、ジェイ・プラス製)により10質量%に希釈)を0.015質量部、ステンレス容器に入れ、高速ディスパーを使用して、800rpmの撹拌下、約2分間撹拌混合した。次いで、第2活性水素化合物として、単蒸留にて精製した1,4−シクロヘキサンジメタノール(和光純薬工業製、以下、1,4−CHDMと略する。)を80℃に調整し、当量比(NCO/OH)が1.01になるように添加した。
その後、約2分間全体が均一になるまで充分に撹拌し、攪拌停止後すぐに反応混合液の均一性を確認した後、予め150℃に温調したSUS製バッドに反応混合液を流し込み、150℃にて1時間、次いで、100℃にて23時間反応させ、硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)を得た。
バットから硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)を取り外し、室温23℃、相対湿度50%の恒温恒湿条件下にて、7日間養生した。
得られた硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)を、ベールカッターによりサイコロ状に切断し、粉砕機にてサイコロ状の樹脂を粉砕した。この粉砕ペレットを窒素気流下、80℃にて一昼夜乾燥した。単軸押出機(型式:SZW40−28MG、テクノベル製)を用いてシリンダー温度185〜245℃の範囲でストランドを押出し、それをカットすることによって、硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)のペレットを得た。得られたペレットをさらに窒素気流下、80℃にて一昼夜乾燥した。
次いで、射出成型機(型式:NEX−140、日精樹脂工業製)を使用して、スクリュー回転数80rpm、バレル温度210〜235℃の設定にて、金型温度30℃、射出時間10秒、射出速度60mm/sおよび冷却時間45秒の条件で、射出成形を実施した。得られた2mm厚みのシートを室温23℃、相対湿度55%の恒温恒湿条件下にて、7日間養生し、硬質熱可塑性ポリウレタンシートを得た。
実施例2(硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂(B)の合成)
プレポリマー(b)を用いた以外は、実施例1と同様の配合処方および操作にて、硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂(B)と、その硬質熱可塑性ポリウレタンシートを得た。
実施例3(硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂(C)の合成)
プレポリマー(c)を用いた以外は、実施例1と同様の配合処方および操作にて、硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂(C)と、その硬質熱可塑性ポリウレタンシートを得た。
実施例4(硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂(D)の合成)
プレポリマー(d)を用いた以外は、実施例1と同様の配合処方および操作にて、硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂(D)と、その硬質熱可塑性ポリウレタンシートを得た。
実施例5(硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂(E)の合成)
プレポリマー(b)を用い、第2活性水素化合物として、1,4−ブタンジオール(和光純薬工業製、以下、1,4−BDと略する。)を使用した以外は、実施例1と同様の配合処方および操作にて、硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂(E)と、その硬質熱可塑性ポリウレタンシートを得た。
実施例6(硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂(F)の合成)
プレポリマー(e)を用いた以外は、実施例1と同様の配合処方および操作にて、硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂(F)と、その硬質熱可塑性ポリウレタンシートを得た。
実施例7(硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂(G)の合成)
プレポリマー(f)を用いた以外は、実施例1と同様の配合処方および操作にて、硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂(G)と、その硬質熱可塑性ポリウレタンシートを得た。
実施例8(硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂(H)の合成)
プレポリマー(g)を用いた以外は、実施例1と同様の配合処方および操作にて、硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂(H)と、その硬質熱可塑性ポリウレタンシートを得た。
実施例9(硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂(I)の合成)
プレポリマー(h)を用いた以外は、実施例1と同様の配合処方および操作にて、硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂(I)と、その硬質熱可塑性ポリウレタンシートを得た。
実施例10(硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂(J)の合成)
プレポリマー(i)を用いた以外は、実施例1と同様の配合処方および操作にて、硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂(J)と、その硬質熱可塑性ポリウレタンシートを得た。
実施例11(硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂(K)の合成)
プレポリマー(j)を用いた以外は、実施例1と同様の配合処方および操作にて、硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂(K)と、その硬質熱可塑性ポリウレタンシートを得た。
実施例12(硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂(L)の合成)
プレポリマー(k)を用いた以外は、実施例1と同様の配合処方および操作にて、硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂(L)と、その硬質熱可塑性ポリウレタンシートを得た。
実施例13(硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂(M)の合成)
プレポリマー(l)を用いた以外は、実施例1と同様の配合処方および操作にて、硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂(M)と、その硬質熱可塑性ポリウレタンシートを得た。
実施例14(硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂(N)の合成)
プレポリマー(m)を用いた以外は、実施例1と同様の配合処方および操作にて、硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂(N)と、その硬質熱可塑性ポリウレタンシートを得た。
実施例15(硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂(O)の合成)
プレポリマー化せずに、テラタン250/1,4−CHDM=5/95(モル比)でブレンドした活性水素化合物成分、および、1,4−BIC3/1,3−BIC=50/50(モル比)でブレンドしたポリイソシアネート成分を一括で仕込み、ワンショット法で調製した以外は、実施例1と同様の配合処方および操作にて、硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂(O)と、その硬質熱可塑性ポリウレタンシートを得た。
実施例16(硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂(P)の合成)
プレポリマー(b)および1,4−CHDMを用い、アントラキノン系ブルーイング剤溶液(ブルーイング剤(商品名:Plast Blue 8514、有本化学工業製)をDINAにより0.1質量%に希釈)をPlast Blue 8514基準で、硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂の総量(ブルーイング剤を含む。)に対して1ppmとなるように配合した以外は、実施例1と同様の配合処方および操作にて、硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂(P)と、その硬質熱可塑性ポリウレタンシートを得た。
実施例17(硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂(Q)の合成)
プレポリマー(n)を用いた以外は、実施例1と同様の配合処方および操作にて、硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂(Q)と、その硬質熱可塑性ポリウレタンシートを得た。
実施例18(硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂(R)の合成)
プレポリマー(b)を用い、第2活性水素化合物として、単蒸留にて精製したビス(2−メルカプトエチル)スルフィド(和光純薬工業製、以下、BMESと略する。)を用いた以外は、実施例1と同様の配合処方および操作にて、硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂(R)と、その硬質熱可塑性ポリウレタンシートを得た。
比較例1(硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂(S)の合成)
プレポリマー(o)を用いた以外は、実施例1と同様の配合処方および操作にて、硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂(S)と、その硬質熱可塑性ポリウレタンシートを得た。
比較例2(硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂(T)の合成)
プレポリマー(p)を用いた以外は、実施例1と同様の配合処方および操作にて、硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂(T)と、その硬質熱可塑性ポリウレタンシートを得た。
比較例3(硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂(U)の合成)
プレポリマー(q)を用いた以外は、実施例1と同様の配合処方および操作にて、硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂(U)と、その硬質熱可塑性ポリウレタンシートを得た。
比較例4(硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂(V)の合成)
プレポリマー(r)を用いた以外は、実施例1と同様の配合処方および操作にて、硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂(V)と、その硬質熱可塑性ポリウレタンシートを得た。
比較例5(硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂(W)の合成)
プレポリマー(b)を用い、第2活性水素化合物として、エチレングリコール(和光純薬工業製、以下、EGと略する。)を用いた以外は、実施例1と同様の配合処方および操作にて、硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂(W)と、その硬質熱可塑性ポリウレタンシートを得た。
比較例6(硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂(X)の合成)
プレポリマー(b)を用い、活性水素化合物Bとして、およびPEG#300(日油製、数平均分子量300、ポリエチレングリコール)を用い、攪拌混合した以外は、実施例1と同様の配合処方および操作にて、硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂(X)と、その硬質熱可塑性ポリウレタンシートを得た。
比較例7(硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂(Y)の合成)
プレポリマー化せずに、1,4−BD/トリエチレングリコール(和光純薬工業製、以下、TEGと略する。)=50/50(モル比)でブレンドした活性水素化合物成分、および、1,4−BIC3/1,3−BIC=50/50(モル比)でブレンドしたポリイソシアネート成分を一括で仕込み、ワンショット法で調製した以外は、実施例1と同様の配合処方および操作にて、硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂(Y)と、その硬質熱可塑性ポリウレタンシートを得た。
[物性評価]
各実施例および各比較例で得られた硬質熱可塑性ポリウレタン樹脂について、鎖伸長反応時の均一性、硬度、透明性(全光線透過率)、耐熱性(Tg)および黄色度を以下の方法で測定した。その結果を表2〜4に示す。
<鎖伸長反応時の均一性>
第2活性水素化合物を添加し、2分間攪拌した後に目視により観察した。
評価の基準を下記する。
○:均一
△:白濁
×:2液のまま分離
<硬度:ShoreD>
JIS K−7311(1995)の硬さ試験に準拠し、硬質熱可塑性ポリウレタンのShoreD硬度を測定し、その結果を数値として示した。
<透明性:全光線透過率(単位:%)>
Haze Meter(日本電色工業製、モデル:NDH 2000)を用いて2mm厚の硬質熱可塑性ポリウレタンシートの全光線透過率を測定し、その結果を数値として示した。
<耐熱性:ガラス転移温度Tg(単位:℃)>
各硬質熱可塑性ポリウレタンシート(2mm厚)の試験サンプルを、幅5mm、長さ50mmのサイズにダンベルで打ち抜いた。次いで、この試験サンプルに対して、動的粘弾性測定装置(アイティ計測制御製、モデル:DVA−200)を用いて、引張モード、標線間長25mm、昇温速度5℃/min、測定周波数10Hzの条件で、試験サンプルの動的粘弾性を測定した。tanδのピーク温度をTgとして算出し、その結果を数値として示した。
<黄色度(b*)>
SMカラーコンピューター(スガ試験機製、モデル:SM−T)を用いて、2mm厚の硬質熱可塑性ポリウレタンシートの初期黄色度(b*)を測定し、その結果を数値として示した。
なお、表中の略号の詳細を下記する。
1,4−BIC:各製造例において得られた1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン
1,3−BIC:1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、商品名:タケネート600(三井化学製)
XDI:キシリレンジイソシアネート、商品名:タケネート500(三井化学製)
テラタン250:数平均分子量250、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(INVISTA製)
EGMP−4:テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)(SC有機化学製)
PEG#200:数平均分子量200、ポリエチレングリコール(日油製)
PTG650SN:数平均分子量650、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(保土ヶ谷化学工業製)
1,6−HDO:1,6−ヘキサンジオール(和光純薬工業製)
1,4−CHDM:1,4−シクロヘキサンジメタノール(和光純薬工業製)
1,4−BD:1,4−ブタンジオール(和光純薬工業製)
BMES:ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド(和光純薬工業製)
EG:エチレングリコール(和光純薬工業製)
PEG#300:ポリエチレングリコール、数平均分子量300(日油製)
TEG:トリエチレングリコール(和光純薬工業製)