JP5825125B2 - 古紙パルプの製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、印刷古紙、特に雑誌古紙には、ラベル・シール、梱包テープ等に含まれる接着剤や雑誌背糊のホットメルトなど粘着性を有しているもの(本明細書では以下粘着異物と記す)が数多く含まれている。これら粘着異物は、製品である再生紙の外観を悪化させるのみでなく、抄紙工程やその後の塗工工程において、断紙を引き起こしたり、印刷機で印刷する場合にインキ抜け、紙剥け、断紙等を引き起こしたりするなど、操業性の低下も、もたらしている。
この問題を避けるために、製紙メーカーでは、選別された印刷古紙を使用し、できるだけ粘着異物を古紙再生工程に持ち込まないようにしている。
そこで、古紙再生工程に持ち込まれた粘着異物の微細化を抑制する、種々の技術が提案されている。例えば、離解工程条件を調整し粘着異物の微細化を抑制する方法(特許文献1〜3)、脱インキに使用する薬品を工夫して粘着異物の微細化を抑制する方法(特許文献4、5)等が提案されている。
本発明は、上記事情に鑑みて成されたものであって、原料古紙の選別が充分でなくとも、粘着異物が少ない古紙パルプを製造可能な古紙パルプの製造方法を提供することを課題とする。
[1]古紙離解処理工程、異物除去工程、粗選除塵工程、脱水濃縮工程、希釈工程、精選除塵工程、洗浄工程を順次行い、前記脱水濃縮工程と前記精選除塵工程の間に分散工程を行わないことを特徴とする古紙パルプの製造方法。
[2]前記脱水濃縮工程において、乾燥固形分濃度が8〜40質量%となるように脱水濃縮する[1]に記載の古紙パルプの製造方法。
[3]前記希釈工程において、乾燥固形分濃度が0.5〜5質量%となるように希釈する[1]または[2]に記載の古紙パルプの製造方法。
[4]前記精選除塵工程において、スリット幅が0.15mm以下のスリットスクリーンを用いる[1]〜[3]のいずれか一項に記載の古紙パルプの製造方法。
[5]前記粗選除塵工程と脱水濃縮工程との間に、さらに、脱墨工程を有する[1]〜[4]のいずれか一項に記載の古紙パルプの製造方法。
[6]脱水濃縮工程において、高分子凝集剤を添加する[1]〜[5]のいずれか一項に記載の古紙パルプの製造方法。
すなわち、乾燥固形分100gとは、絶乾質量が100gであることを意味し、乾燥固形分のx質量%とは、絶乾質量100gあたり、xg含有することを意味し、乾燥固形分濃度y質量%とは、絶乾質量が、試料100gあたりygであることを意味する。
原料の古紙としては、好ましくは無機充填材を5質量%以上、より好ましくは7質量%以上含有するものが使用される。また、古紙パルプ繊維を有効に利用するという点では、古紙中の無機充填材が40質量%以下であることが好ましい。
脱墨剤を添加する場合には、パルプ繊維への浸透性が強く、インキの剥離性の強いものが好ましく、脱墨剤を原料古紙の乾燥固形分に対して0.01〜0.5質量%、好ましくは0.03〜0.3質量%添加する。
離解時間は、10〜30分、好ましくは10〜25分、更に好ましくは10〜18分とし、離解温度は10〜50℃、好ましくは30〜50℃とする。
クリーナーで処理するときのスラリーの乾燥固形分濃度は1〜7質量%であることが好ましく、2〜5質量%であることがより好ましいので、必要に応じて、離解工程後に水で希釈してから異物除去工程を行う。
粗選スクリーンは後述の精選スクリーンとスクリーン目穴の大きさが異なり、粗選スクリーンでは丸穴スクリーン(1.5〜2.5mmΦ)や、スリットスクリーン(0.2〜0.25mmスリット)が用いられる。
粗選スクリーンで処理するときのスラリーの乾燥固形分濃度は0.5〜5質量%であることが好ましいので、必要に応じて、異物除去工程後に水で希釈してから粗選除塵工程を行う。
フローテーターで処理するときのスラリーの乾燥固形分濃度は0.5〜2質量%であることが好ましく、0.5〜1質量%であることがより好ましいので、必要に応じて、粗選除塵工程後に水で希釈してからフローテーターで処理する。
なお、脱墨工程では、フローテーターで処理する直前に、さらに脱墨剤を加えてもよい。フローテーターで処理する直前に使用する脱墨剤としては、インキ凝集性の強いものが好ましく、脂肪酸の場合では、花王(株)社製のDI−254(オレイン酸)、DI−268、第一工業製薬(株)社製のK−4004−D等がある。また脂肪酸誘導体系の場合、花王(株)社製のDIY−23543、第一工業製薬(株)社製のペーパーエイドW、ダイホープ1000等があるがこの限りではない。
その理由は定かではないが、粗選除塵工程後のスラリーでは、粘着異物がコロイド状態あるいは微細粒子状態で存在する。微細粒子状態のものは変形しやすい。そのため、そのままでは、後述の精選除塵工程において、スリットを容易に通過してしまい効率的な除去が難しいものと考えられる。
これに対して、脱水濃縮を行うとパルプ同士の接触頻度が高まる。パルプ同士が互いに接すると、同時にパルプに付着する粘着異物も互いに接して大きく成長するものと考えられる。
また、成長した粘着異物は、大きく成長する過程で互いの接触により加圧されるため、密で硬く変形しにくく、かつ、機械的なせん断を加えない限り容易には分散しない粒子になると考えられる。そのため、その後の精選スクリーンにおいて、スリットを通過しにくくなり、除塵効果が高まると考えられる。
一方、過度に高濃度に脱水濃縮することは、技術的に困難であるだけでなく、脱水濃縮を行うための電力消費量が過大となるので、好ましくない。したがって、脱水濃縮工程後のスラリーの乾燥固形分濃度は、40質量%以下とすることがより好ましく、35質量%以下とすることがより好ましく、30質量%以下とすることがさらに好ましい。
脱墨工程を経たスラリーの場合は、乾燥固形分濃度が低く、加圧脱水機1段階のみで目標の乾燥固形分濃度に瞬時に濃縮することが困難である。そのため、予め傾斜型エキストラクター等のプレス脱水機にて脱水し、続けて加圧脱水機を併用するなどの工夫することが好ましい。
高分子凝集剤を添加する場合は、脱水機で処理する前、または脱水機での処理中に添加する。脱水機での処理を行う前に、スラリー中のパルプ等が高分子凝集剤に充分浸ることが好ましい。高分子凝集剤の添加率は、スラリーの乾燥固形分濃度や設備にもよるが、スラリーの乾燥固形分に対して、0.005〜0.05質量%であることが好ましく、0.01〜0.04質量%であることがより好ましい。添加率が低い場合は、充分な濃縮効果が得られない。添加率が高過ぎると、脱水濃縮工程後のスラリーの乾燥固形分濃度が、目標とする乾燥固形分濃度を超えてしまうおそれがあり、また、過剰に生産コストが掛かるので、実用的ではない。
希釈工程後のスラリーの乾燥固形分濃度は0.5〜5質量%であることが好ましく、0.5〜20質量%であることがより好ましく、0.5〜1.5質量%であることがさらに好ましい。希釈工程後のスラリーの乾燥固形分濃度が0.5質量%以上であることにより、効率的に異物を除去できる。希釈工程後のスラリーの乾燥固形分濃度が5質量%以下であるであることにより、スクリーンのつまりを防止できる。
希釈工程では、脱水濃縮工程で成長した粘着異物を再度微細化しないように、異物の含まれていない清浄な水を使用することが好ましい。
精選スクリーンはスリットスクリーンが好ましい。スリット幅は、0.10〜0.25mmであることが好ましく、0.10〜0.20mmであることがより好ましく、0.1〜0.15mmであることがさらに好ましく、0.1〜0.13mmであることが特に好ましい。
精選スクリーンのスリット幅が広すぎると、粘着異物含有量を充分に低減させることが困難となる。また、スリット幅が狭すぎると古紙パルプの歩留まりが低下する。
精選除塵工程は複数回行ってもよいが、精選除塵工程の回数が多すぎると古紙パルプの歩留まりが低下するので、1〜3回とすることが好ましい。精選除塵工程を数回行う場合は、続けておこなうことが好ましい。
例えば、無機充填材を含むコート層を有する塗工紙(特にコート層が厚い塗工紙)が多量に含まれる雑誌古紙を用いた場合、離解処理で充分に分散しなかった無機充填材が比較的大きな塊となって残ることがある。この塊が古紙パルプに含まれると、これを用いて得た多層紙基材は、金型の磨耗を早めるおそれがある。そこで、塗工紙を多量に含む古紙を用いた場合は、分散処理を行うことが好ましい。
なお、脱水濃縮工程と精選除塵工程の間に分散工程を行うことは好ましくない。脱水濃縮工程にて成長した粘着異物を再度微細化してしまうからである。
これらのうち、ディスパーザーまたはホットディスパーザーが好ましい。ディスパーザーまたはホットディスパーザーを用いて処理すると、乾燥固形分濃度25質量%以上の高濃度スラリーであっても、フリーネスを極端に下げることなく、高効率で無機充填材を細かくすることができる。
ディスパーザーまたはホットディスパーザーにより処理する際には、分散処理の効率が向上することから、蒸気・加熱器により、80〜120℃に加熱することが好ましい。
パルプ洗浄処理における灰分の除去効率は、乾燥固形分濃度が低いほど向上するため、パルプ洗浄処理の前には、スラリーを希釈することが好ましい。
パルプ洗浄処理の前のスラリーの乾燥固形分濃度は、0.5〜5質量%であることが好ましく、1〜4質量%であることがより好ましく、1〜3質量%であることがさらに好ましい。
古紙パルプに含まれる粘着異物含有量は、以下の手順で求めた古紙パルプの乾燥固形分100gあたりの粘着異物の累積面積である。
(1)残渣異物の分離
古紙パルプを、1000分の6インチ幅のスリットを有するテスト用フラットスクリーンプレートで濾過し、スリットを通過しなかった残渣異物を分離する。
フラットスクリーン上の残渣異物を第1の濾紙(No.2)に受け、その上に厚さ0.06mmである200mm×300mmのポリエチレンフィルムを重ね、圧力5kg/cm2で1分間加圧処理し、粘着性を有する異物を、濾紙からフィルムに転写させる。フィルムに転写した異物をさらに第2の濾紙(No.2)に圧力5kg/cm2で1分間加圧処理して再転写する。再転写された異物を針で触診し、粘着異物以外の異物を取り除く、
その後第2の濾紙上の異物(粘着異物)について個別に面積を測定し、その累積値を粘着異物の累積面積とする。
[古紙パルプの製造]
雑誌古紙をパルパー(低濃度パルパー)により、温度20℃で20分間処理し、乾燥固形分濃度3.5%の離解液を得た。この離解液をクリーナー(スタッククリーナーA型、相川鉄工製)で処理し、異物を除去した。
その後、水で乾燥固形分濃度が2%となるまで希釈してから0.2mmスリットスクリーン(粗選スクリーン)にて粗選除塵した後、乾燥固形分濃度1%まで水で希釈し、脱墨剤(花王DI7510)を乾燥固形分に対して0.1%を加え、フローテーター(MAC 2、相川鉄工製)により脱墨処理を施し、スラリー1を得た。
NBKP;30%、LBKP;70%をダブルディスクリファイナーで混合叩解し、CSF(カナダ・スタンダード・フリーネス)460mlに調製して、表層形成用パルプスラリー(乾燥固形分濃度3%)を得た。中層・裏層用には上述の方法で得られた古紙パルプAを100%使用し、ダブルディスクリファイナーで叩解し、CSF(カナダ・スタンダード・フリーネス)410mlに調製して、中裏層形成用パルプスラリー(乾燥固形分濃度3%)を得た。
その後、マシンカレンダーにより平滑化処理して、坪量500g/m2、厚さ0.42mmの多層紙基材を製造した。
中裏層形成用パルプスラリーの原料として、古紙パルプAを100%使用するのに代えて、古紙パルプAを40%、LBKPを60%使用した以外は、実施例1と同様にして多層紙基材を得た。
精選スクリーンを、0.15mmスリットスクリーンから0.20mmスリットスクリーンに変更した以外は、実施例1と同様にして多層紙基材を得た。
乾燥固形分濃度10%まで濃縮した後、スクリュープレス脱水機による濃縮を行わずに乾燥固形分濃度が1%となるまで水で希釈した以外は、実施例1と同様にして多層紙基材を得た。
精選スクリーンを、0.15mmスリットスクリーンから0.13mmスリットスクリーンに変更した以外は、実施例1と同様にして多層紙基材を得た。
0.15mmスリットスクリーンによる精選除塵に続けて、さらに0.13mmスリットスクリーンによる精選除塵を追加的に行った以外は、実施例1と同様にして多層紙基材を得た。
スラリー3を得た後、ディスク型のホットディスパージョン設備(セルウッド社製KRIMA)を用いて、ディスクのギャップ1.0mm、温度70℃の条件にて分散処理を行い、その後に、乾燥固形分濃度が1%となるまで水で希釈した他は、実施例1と同様にして多層紙基材を得た。すなわち、脱水濃縮工程と希釈工程の間に分散処理を行った他は、実施例1と同様にして多層紙基材を得た。
[古紙パルプの製造]
雑誌古紙をパルパー(低濃度パルパー)により、温度20℃で20分間処理し、乾燥固形分濃度3.5%の離解液を得た。この離解液をクリーナー(スタッククリーナーA型、相川鉄工製)で処理し、異物を除去した。
その後、水で乾燥固形分濃度が2%となるまで希釈してから0.2mmスリットスクリーン(粗選スクリーン)にて粗選除塵した後、乾燥固形分濃度1%まで水で希釈し、0.15mmスリットスクリーン(精選スクリーン)にて精選除塵(1回目)を行った。
次いで、脱墨剤(花王DI7510)を乾燥固形分に対して0.1%を加え、フローテーター(MAC 2、相川鉄工製)により脱墨処理を施した。
上記の実施例8の古紙パルプA’を用いた以外は、実施例1と同様にして多層紙基材を得た。
0.15mmスリットスクリーンによる精選除塵を行わなかった以外は、実施例1と同様にして多層紙基材を得た。
0.15mmスリットスクリーンによる精選除塵を行わなかった以外は、参考例7と同様にして多層紙基材を得た。
0.15mmスリットスクリーンによる精選除塵(2回目の精選除塵)を行わなかった以外は、実施例8と同様にして多層紙基材を得た。
以下のとおり、脱水濃縮工程と希釈工程の間に分散処理を行った他は、実施例8と同様にして多層紙基材を得た。
[古紙パルプの製造]
雑誌古紙をパルパー(低濃度パルパー)により、温度20℃で20分間処理し、乾燥固形分濃度3.5%の離解液を得た。この離解液をクリーナー(スタッククリーナーA型、相川鉄工製)で処理し、異物を除去した。
その後、水で乾燥固形分濃度が2%となるまで希釈してから0.2mmスリットスクリーン(粗選スクリーン)にて粗選除塵した後、乾燥固形分濃度1%まで水で希釈し、0.15mmスリットスクリーン(精選スクリーン)にて精選除塵を行った。
次いで、脱墨剤(花王DI7510)を乾燥固形分に対して0.1%を加え、フローテーター(MAC 2、相川鉄工製)により脱墨処理を施した。
上記の比較例4の古紙パルプA”を用いた以外は、実施例1と同様にして多層紙基材を得た。
上記実施例1におけるスラリー1〜3、および古紙パルプAについて、下記の方法により、粘着異物含有量と灰分含有量を測定した。
(1)残渣異物の分離
スラリー又は古紙パルプAを1000分の6インチ幅のスリットを有するテスト用フラットスクリーンプレートで濾過し、スリットを通過しなかった残渣異物を分離した。
フラットスクリーン上の残渣異物を第1の濾紙(No.2)に受け、その上に厚さ0.06mmである200mm×300mmのポリエチレンフィルムを重ね、圧力5kg/cm2で1分間加圧処理し、粘着性を有する異物を、濾紙からフィルムに転写させた。フィルムに転写した異物をさらに第2の濾紙(No.2)に圧力5kg/cm2で1分間加圧処理して再転写した。再転写された異物を針で触診し、粘着異物以外の異物を取り除いた。
その後第2の濾紙上の異物(粘着異物)について、ダートカウンターDIP200(王子計測社製)にてサイズ別に分類・計測した。
解析は、0.05mm2〜0.5mm2(ミクロな粘着異物)と0.5mm2(マクロな粘着異物)以上の異物に大別してそれぞれの累積面積(マクロとミクロ)を求め、それらの合計を、総計累積面積とした。
上記実施例1におけるスラリー1〜3、および古紙パルプAについて、ブフナーロートで、No.2の濾紙(予め絶乾質量を求めた灰分を含まない濾紙)を用いて脱水し、乾燥(110℃)して濾紙を除いた絶乾質量を求め、JIS P 8251「紙、板紙及びパルプの灰分試験方法」に従い、525℃にて焼成して、灰分含有量を測定した。
また、スラリー3では、スラリー2と比較してミクロ粘着物が減少し、マクロ粘着異物が増加した。これは、スラリー2ではミクロな粘着異物であったものが、25%以上への更なる濃縮により、マクロな粘着異物にまで、さらに成長したためであると考えられる。
また、古紙パルプAの粘着異物含有量は、スラリー3と比較して著しく低下していた。
これらの結果から、パルプ中の粘着異物は、脱水濃縮工程を経て粘着異物を成長させた後、精選除塵工程を行うことにより除去しやすくなることが分かった。
しかし、完成した古紙パルプは、通常5〜30%に脱水濃縮されて貯蔵タンクに保管されるので、スラリー2、3のように保管工程にて粘着異物が増化する恐れがある。
これに対して、古紙パルプAは、精選除塵後再度脱水濃縮しているにも関わらす、粘着異物含有量が増化していない。すなわち、一旦脱水濃縮工程を経て粘着異物を成長させた後、精選除塵工程を行ったものは、精選除塵後脱水濃縮しても粘着異物含有量が増化しないので、問題なく貯蔵できることが分かった。
上記実施例1〜7および比較例1〜3で製造した多層紙基材について、下記の方法により、粘着異物含有量、灰分含有量を評価した。評価結果を表2に示す。なお、以下の測定および評価は、抄造した多層紙基材をJIS P 8111に従って温度23℃±1℃、相対湿度50%±2%の状態に調整する前処理を施した後に行った。
(1)残渣異物含有量
多層紙基材を1cm角以下に断裁し、断裁後、乾燥固形分濃度が1〜3質量%となるように水で希釈する。希釈後、さらに乾燥固形分に対して、NaOHを2.5質量%添加する。次いで、JIS P 8221で規定する標準離解機(3000rpm)にて20分間離解処理し、離解液を得た。
この離解液を、1000分の6インチ幅のスリットを有するテスト用フラットスクリーンプレートで濾過し、スリットを通過しなかった残渣異物を分離した。
フラットスクリーン上の残渣異物を第1の濾紙(No.2)に受け、その上に、厚さ0.06mmである200mm×300mmのポリエチレンフィルムを重ね、圧力5kg/cm2で1分間加圧処理し、粘着性を有する異物を、濾紙からフィルムに転写させた。フィルムに転写した異物をさらに第2の濾紙(No.2)に圧力5kg/cm2で1分間加圧処理して再転写した。再転写された異物を針で触診し、粘着異物以外の異物を取り除いた。
その後第2の濾紙上の異物(粘着異物)について、ダートカウンターDIP200(王子計測社製)にてサイズ別に分類・計測した。
解析は、0.05mm2〜0.5mm2(ミクロな粘着異物)と0.5mm2(マクロな粘着異物)以上の異物に大別してそれぞれの累積面積(マクロとミクロ)を求め、それらの合計を、総計累積面積とした。
灰分含有量は、JIS P 8251「紙、板紙及びパルプの灰分試験方法」に従い、525℃にて焼成して測定した。
また、脱水濃縮工程よりも前に精選除塵工程を行い、脱水濃縮工程よりも後には精選除塵工程を行っていない比較例3、比較例4は、粘着異物含有量の低下が充分でなかった。
Claims (6)
- 古紙離解処理工程、異物除去工程、粗選除塵工程、脱水濃縮工程、希釈工程、精選除塵工程、洗浄工程を順次行い、前記脱水濃縮工程と前記精選除塵工程の間に分散工程を行わないことを特徴とする古紙パルプの製造方法。
- 前記脱水濃縮工程において、乾燥固形分濃度が8〜40質量%となるように脱水濃縮する請求項1に記載の古紙パルプの製造方法。
- 前記希釈工程において、乾燥固形分濃度が0.5〜5質量%となるように希釈する請求項1または2に記載の古紙パルプの製造方法。
- 前記精選除塵工程において、スリット幅が0.15mm以下のスリットスクリーンを用いる請求項1〜3のいずれか一項に記載の古紙パルプの製造方法。
- 前記粗選除塵工程と脱水濃縮工程との間に、さらに、脱墨工程を有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の古紙パルプの製造方法。
- 脱水濃縮工程において、高分子凝集剤を添加する請求項1〜5のいずれか一項に記載の古紙パルプの製造方法。
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