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JP5785967B2 - 防錆塗料組成物及び防錆塗膜をもつ金属部材 - Google Patents

防錆塗料組成物及び防錆塗膜をもつ金属部材 Download PDF

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Description

本発明は、防錆性能に優れる防錆塗料組成物と、その防錆塗料組成物が塗布された防錆塗膜をもつ金属部材に関するものである。
亜鉛の鉄に対する犠牲防食作用を利用したジンクリッチ塗料が広く利用されているが、有機溶剤を用いたものが主流であり、環境面で不具合がある。そのため水性ジンクリッチ塗料の開発が行われているが、亜鉛と水との反応による水素ガスの発生という問題や、防錆性能に劣るという問題点がある。
そこで例えば特開2002−053769号公報には、亜鉛末及び水性アルミニウム顔料を含有して成る顔料を水性塗料液、中でもコロイダルシリカ複合体エマルションを結着剤とする水性塗料液に用いた腐食防止被覆組成物が提案されている。この腐食防止被覆組成物によれば、特に亜鉛めっき鋼及び/又は亜鉛合金めっき鋼からなる鋼材に適用した場合に、優れた防食性、防錆性が発現される。
また特開2010−132854号公報には、コロイダルシリカとSBRエマルジョンとを含む水性コーティング剤が記載され、基材の温度変化に起因する膨張収縮に追従できる伸縮性をもつ塗膜が形成されること、亜鉛めっき鋼及び/又は亜鉛合金めっき鋼からなる鋼材に対して高い防錆性が発現されることが記載されているが、表面処理の無い鋼材に対しては必ずしも充分な防錆性を有しているとはいえない。
従来の水性の防錆塗料組成物は、亜鉛めっき鋼及び/又は亜鉛合金めっき鋼からなる鋼材に塗布されることで高い防錆性を発現する。しかしながら未処理の鋼材に塗布された場合には、必ずしも高い防錆性が発現されるとは限らなかった。
また水性塗料は、有機溶剤に比べて沸点が高い水を溶剤としているために、有機溶剤系塗料に比べて乾燥性が低いという欠点がある。この問題を解決する水性塗料として、例えば特開2002−206074号公報に記載されているように、合成樹脂エマルションと、アミノ基含有ポリマーと、揮発性塩基と、シランカップリング剤とからなる水性塗料組成物が知られている。
この種の水性塗料は、アミノ基含有ポリマーが揮発性塩基によってノニオン状態となっているため安定して貯蔵できる。しかし塗装後には揮発性塩基が急激に揮散し、アミノ基含有ポリマーのアミノ基がカチオン性となると共に、合成樹脂エマルションに含まれるカルボキシル基と反応してゲル化し、水が排除されるため乾燥性が向上する。
ところが特開2002−206074号公報に記載の水性塗料組成物は、建築物の外壁塗装用に用いられるものであり、自動車の足回り部品などに塗装されることは示唆すらされていない。実際に特開2002−206074号公報に記載の水性塗料組成物の防錆性を調査したところ、自動車の足回り部品などに必要な防錆性能は全く得られなかった。
特開2002−053769号公報 特開2010−132854号公報 特開2002−206074号公報
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、未処理の鋼材に塗布された場合にも高い防錆性が発現される水性の防錆塗料組成物を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の防錆塗料組成物の特徴は、アニオン系官能基を有する水性樹脂と、水性樹脂の不揮発分100質量部に対して3〜20質量部の範囲で添加され一次粒子径が4nm〜25nmの微粒シリカと、加水分解性基およびアミノ基を含み、微粒シリカの固形分100質量部に対して11質量部以上90質量部以下の範囲で添加されたシランカップリング剤と、沸点20℃以下の揮発性塩基である反応促進剤と、を含むことにある。
以下、本明細書において「好適防錆塗料組成物」または「反応促進剤が間接的機構」と説明されている防錆塗料組成物を、本発明の防錆塗料組成物と読み替えるものとする。また、実施例1〜実施例5、実施例7〜実施例9についてはそれぞれ「実施例」を「参考例」と読み替えるものとする。
上記防錆塗料組成物において、水性樹脂にはアニオン系官能基を有するアニオン性樹脂を選択し、シランカップリング剤にはアミノ基を含むものを選択し、この両者を選択した場合に反応促進剤としてアンモニアなどの揮発性塩基を選択することも好ましい。以下、この防錆塗料組成物を好適防錆塗料組成物という。
また本発明の防錆塗膜をもつ金属部材の特徴は、未処理の鋼材からなる一表面をもつ基材と、基材の少なくとも該一表面に形成された塗膜とからなり、塗膜は水性樹脂から形成されたマトリクスと、マトリクス中に水性樹脂の不揮発分100質量部に対して3〜20質量部の範囲で分散された一次粒子径が4nm〜25nmの微粒シリカとを含み、微粒シリカの少なくとも一部はマトリクスと有機複合シリケートを形成していることにある。
本発明の防錆塗料組成物は、有機相である水性樹脂と、無機相である微粒シリカと、有機相と無機相とを結合するシランカップリング剤と、反応促進剤とを含むことで、未処理の鋼材に塗布された場合にも高い防錆性が発現される。したがって未処理の鋼材に本発明の防錆塗料組成物が塗布された金属部材は、亜鉛めっき処理等が不要となるため、従来の塗装された金属部材に比べて安価とすることができる。
また好適防錆塗料組成物によれば、上記の効果に加えて、乾燥性が大きく向上するという効果が発現される。
代表的なアニオン性樹脂の構造式を示す。 代表的なシランカップリング剤の構造式を示す。 コロイダルシリカの構造式を示す。 アンモニアが共存したときの代表的なアニオン性樹脂の構造式を示す。 アンモニアが共存したときの代表的なアニオン性樹脂の模式的な構造式を示す。 シリカ−アミノシラン複合体の構造式を示す。 シリカ−アミノシラン複合体の模式的な構造式を示す。 塗布され一部反応が進行したウェット塗膜の構成要素を模式的に示す説明図である。 乾燥時の塗膜を模式的に示す説明図である。
本発明の防錆塗料組成物は、水性樹脂と、微粒シリカと、シランカップリング剤と、反応促進剤とを含んでいる。水性樹脂としては、アクリル樹脂、アクリルシリコン樹脂、エポキシエステル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、SBRやNBRなどのゴム、ウレタン樹脂、ビニル樹脂、ウレア系樹脂、水性エマルジョンなどが挙げられ、これらを単体もしくは組み合わせて用いることができる。場合によっては、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂、ブロックイソシアネートなどの硬化剤などを用いてもよい。中でも、安価なアクリルエマルジョンを用いることが好ましい。本発明の防錆塗料組成物によれば、安価なアクリル樹脂を用いても、エポキシ樹脂などを用いた場合と同等の防錆性が発現される。
アクリルエマルジョンとして用いられるアクリル樹脂は、(メタ) アクリル酸〔アクリル酸又はメタアクリル酸を意味する。以下、同様。〕及び(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体又は共重合体、又は、これら(メタ)アクリル酸等と共重合可能な単量体との共重合体である。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸−2,2−ビス(ヒドロキシメチル)エチル、(メタ)アクリル酸−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸アミノプロピル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸メトキシブチルが挙げられる。
これら(メタ)アクリル酸等と共重合可能な単量体としては、エチレン性不飽和基を有する単量体が好ましく、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエン、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルフェノール、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ビニルアルコール、アリルアルコール、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチロール(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。また、酸の場合は、そのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等であってもよい。
また、さらに、上記(メタ)アクリル酸等の重合体及び共重合体を、ウレタン樹脂で変性したウレタン変性(メタ)アクリル酸等の重合体等やエポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂等で変性したエポキシ変性、フェノール変性、メラミン変性(メタ)アクリル酸等の重合体等であってもよい。
好適防錆塗料組成物におけるアニオン性樹脂は、アニオン系官能基を有している。アニオン系官能基としては、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、硝酸基などが挙げられるが、カルボキシル基が特に好ましい。
微粒シリカは一次粒子径が4nm〜25nmの範囲にあるシリカであり、コロイダルシリカ及びヒュームドシリカの少なくとも一方を用いることができる。一次粒子径がこの範囲より小さくなると安定性が低下し、一次粒子径がこの範囲より大きくなると防錆性が低下する場合がある。取り扱いが容易なコロイダルシリカを用いることが好ましい。ヒュームドシリカとしては「アエロジル」(日本アエロジル社製)が代表的であり、コロイダルシリカとしては、「シリカドール」(日本化学工業社製)、「アデライトAT」(ADEKA社製)、「カタロイド」(触媒化成工業社製)、「スノーテックス」(日産化学工業社製)などが例示される。
微粒シリカは、水性樹脂の不揮発分100質量部に対して3〜20質量部の範囲で添加される。微粒シリカの添加量がこの範囲より少ないとカソード反応時のpH上昇抑制作用が小さくなって防錆性が低下し、微粒シリカの添加量がこの範囲より多くなると塗膜の親水性が高くなり過ぎて防錆性の低下を招く。微粒シリカの添加量は、水性樹脂の不揮発分100質量部に対して3〜11質量部の範囲が特に好ましい。
シランカップリング剤は、水性樹脂の金属部材表面への密着性を向上させたり、微粒シリカと水性樹脂との密着性や濡れ性を高める。このシランカップリング剤としては、通常使用されているものでもよく、例えばビニルメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N,N'−ビス〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−〔2−(ビニルベンジルアミノ)エチル〕−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
また好適防錆塗料組成物におけるシランカップリング剤はアミノ基を含有するものであり、例えば3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N,N'−ビス〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−〔2−(ビニルベンジルアミノ)エチル〕−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
これらシランカップリング剤は1種類を単独で使用してもよいし、または2種類以上を併用してもよい。
シランカップリング剤は、微粒シリカの固形分100質量部に対して11質量部以上90質量部以下の範囲で添加される。シランカップリング剤の添加量がこの範囲より少ないと防錆性及び乾燥性が低下する。但し多すぎると塗料の安定性が損なわれる場合があるので、微粒シリカの固形分100質量部に対して67質量部以下とすることがさらに望ましい。
シランカップリング剤は、ケイ素原子上にアルコキシ基、アセトキシ基、ハロゲン基などの加水分解性基を有している。この加水分解性基が加水分解することでシラノール基とアルコールが生成し、シラノール基が微粒シリカの表面にある水酸基との水素結合を介して微粒シリカ表面に移行し、さらに脱水縮合反応を経て微粒シリカ表面と強固な共有結合を生成する。
そこで本発明の防錆塗料組成物は、シランカップリング剤の加水分解性基の加水分解反応を少なくとも促進する反応促進剤を含んでいる。この反応促進剤によって加水分解性基の加水分解が促進され、水性樹脂と、微粒シリカと、基材の鋼材とが相互に接合されることで防錆性が高まるとともに、塗布時のハジキ現象などの不具合を防止することができる。
反応促進剤が加水分解反応を促進する機構として、加水分解反応自体を促進する直接的機構と、反応促進剤が存在している間は加水分解反応が抑制され反応促進剤が消失後に加水分解反応が促進される間接的機構とが存在する。例えば加水分解が起こりにくいシランカップリング剤を用いた場合には、直接的機構により加水分解反応を促進する反応促進剤が用いられる。一方、加水分解が起こりやすいシランカップリング剤を用いた場合には間接的機構の反応促進剤が用いられ、塗料の状態では加水分解反応が抑制されるものの塗布後に蒸散して消失することで加水分解反応を促進する反応促進剤が用いられる。
この反応促進剤としては、ジメチルエタノールアミン(DMEA)、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、トリエチルアミン等のアルカリ性物質、あるいは塩酸、硫酸、酢酸等の酸性物質を用いることができる。反応促進剤の添加量は、シランカップリング剤の添加量に応じて決定される。一般には、添加されたシランカップリング剤の加水分解性基のモル量と同モル量程度とされる。
そして反応促進剤の種類によってシランカップリング剤の種類も特定される。例えば反応促進剤にDMEAを用いるときには、シランカップリング剤は加水分解性基にアルコキシ基を含有するものが適している。これは、DMEAがアルコキシ基の加水分解を促進する直接的機構と考えられるからである。
このような直接的機構により加水分解反応を促進する反応促進剤は、本発明の防錆塗料組成物を塗布した後に加水分解性基を加水分解するように構成することができる。こうすることで、水性樹脂と、微粒シリカと、基材の鋼材とが相互に接合され防錆性が向上する。このようにするには、例えば防錆塗料組成物中では反応促進剤の濃度を低くしておき、塗布後に水の蒸散に伴ってウェット塗膜中における反応促進剤の濃度が高まることで、加水分解性基を加水分解するように構成することができる。あるいは塗装後の乾燥時に熱によって活性を発現する、潜在性の反応促進剤を用いることもできる。ここで、前述したDMEAは以下に説明する揮発性塩基の要素を有し、コロイダルシリカ、水性樹脂とシランカップリング剤とのゲル化を抑制する効果も併せて有している。
反応促進剤が存在している間は加水分解反応が抑制され、反応促進剤が消失後に加水分解反応を促進する間接的機構の反応促進剤としては、揮発性塩基がある。揮発性塩基とは常温で揮発する塩基をいい、沸点が20℃以下のものが望ましい。このような揮発性塩基としては、アンモニア、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、DMEAなどが例示される。最も沸点が低いアンモニアが特に好ましい。また、反応性を調整するためジメチルエタノールアミンなどの反応促進剤を併用することもできる。複数種の反応促進剤を併用することにより、塗膜の乾燥速度を調整でき塗装外観を向上させることができる。
揮発性塩基の添加量は、シランカップリング剤の添加量を100質量部としたときに40質量部以上が好ましく、シランカップリング剤のアミノ基のモル量に対して同モル量以上とするとともに、水性樹脂とシランカップリング剤の反応を抑制するのに足りる量とするのが望ましい。揮発性塩基の添加量が少ないと塗料の安定性が損なわれ、多すぎると塗装時の臭気が問題となる場合がある。
以下、好適防錆塗料組成物の推定される反応機構について、図を参照しながら以下に説明する。ここでは、図1に示すようにアニオン性樹脂のアニオン系官能基はカルボキシル基であり、図2に示すようにアミノ基を有するシランカップリング剤の加水分解性基はアルコキシ基であり、揮発性塩基としてアンモニアを用い、微粒シリカは図3に示すコロイダルシリカの場合を例示する。
先ず塗料の状態においては、アミノ基を有するシランカップリング剤とコロイダルシリカ分散液を混合すると、塗料の安定性を損なってゲル化し易くなる。しかし、コロイダルシリカにアンモニアなどの揮発性塩基を添加し、その後にシランカップリング剤を添加した場合にはゲル化が抑制される。
また、コロイダルシリカとシランカップリング剤とアニオン性樹脂を配合した場合もゲル化がし易いが、揮発性塩基を添加することによりゲル化が抑制される。これは図4に示すように、アニオン性樹脂のカルボキシル基にアンモニアがイオン結合し、水を主とする溶媒中でイオン化されている。この状態のアニオン性樹脂は、図5のように模式化され、カルボキシル基はアンモニウムイオンによってマスクされているため、シランカップリング剤のアミノ基との反応が抑制され、安定した塗料状態が維持されるためと推定している。このように、揮発性塩基は、シランカップリング剤とコロイダルシリカのゲル化の防止およびアニオン性樹脂の反応性抑制の働きをしている。
好適防錆塗料組成物を被塗物に塗布すると、図8に示すように、先ず揮発性塩基が揮発する。すると揮発性塩基による反応抑制効果がなくなり、シランカップリング剤のアルコキシ基の一部又は全部と微粒シリカのシラノール基との縮合反応が生じ、図6に示す中間体が生成すると考えられる。この中間体を、以下、シリカ−アミノシラン複合体という。シリカ−アミノシラン複合体は、図7のように模式化される。
また、揮発性塩基の揮発によって、アニオン性樹脂のカルボキシル基のマスクが外れる。カルボキシル基のマスクが外れたアニオン性樹脂は、図9に示すようにシランカップリング剤のアミノ基及びシリカ−アミノシラン複合体のアミノ基と反応する。これによりウェット塗膜中で三次元架橋によるゲル化が進行し、乾燥性が向上する。
ここで、塗料中のアミノ基とカルボキシル基とが反応することで、得られた乾燥塗膜にはカチオン系官能基や塩基が含まれないのでイオン化が防止され高い耐水性が発現される。さらにシラノール基による被塗物への密着性向上、アニオン性樹脂とシリカ−アミノシラン複合体との反応による塗膜の緻密化、シリカ成分が溶解されるカソード反応時のpH上昇抑制作用、などの効果によって高い防錆性が発現される。
好適防錆塗料組成物を含む本発明の防錆塗料組成物は、上記した成分の他に、必要に応じて有機顔料、無機顔料、防錆剤、造膜助剤、チキソ材、レベリング剤など公知の塗料成分を、塗膜物性や塗装作業性を阻害しない範囲で任意に添加することができる。
本発明の防錆塗膜をもつ金属部材は、未処理の鋼材からなる一表面をもつ基材と、その基材の少なくとも一表面に本発明の防錆塗料組成物から形成された塗膜とからなる。
未処理の鋼材としては、炭素鋼(普通鋼)、合金鋼(特殊鋼)、ニッケルクロム鋼、ニッケルクロムモリブデン鋼、クロム鋼、クロムモリブデン鋼、マンガン鋼などが挙げられる。
本発明の防錆塗料組成物から形成された塗膜は、水性樹脂から形成されたマトリクスと、マトリクス中に水性樹脂の固形分100質量部に対して3〜20質量部の範囲で分散された一次粒子径が4nm〜25nmの微粒シリカとを含み、微粒シリカの少なくとも一部は水性樹脂マトリクスとシランカップリング剤を介して有機複合シリケートを形成している。またマトリクス自体と基材とも、シランカップリング剤を介して結合していると考えられる。そのため本発明の防錆塗膜をもつ金属部材は、高い防錆性を発現する。
なお本発明の防錆塗料組成物は、亜鉛メッキ鋼板、リン酸亜鉛処理鋼板など各種の処理鋼板に塗布された場合にも、もちろん高い防錆性を発現する。
以下、実施例及び比較例により本発明の実施態様を具体的に説明する。
表1にも示すように、水性樹脂としてのアクリルエマルジョン(「アクロナールYS800」BASF社製、固形分:47%)を45.0質量部(不揮発分換算で21.2質量部)と、微粒シリカとしてのコロイダルシリカA(「スノーテックスNXS」日産化学工業社製、一次粒子径:4nm〜6nm、固形分:15%)を15質量部(固形分換算で2.25質量部)と、反応促進剤としてのジメチルエタノールアミン(DMEA)を2.0質量部と、を混合し、ディスパーにて撹拌混合した。
次いで加水分解性基がエトキシ基であるシランカップリング剤(「KBM-603」信越化学工業社製)0.5質量部を加えてよく撹拌し、そこへカーボンブラック加工顔料(「NAF5091ブラック」大日精化社製、固形分:35%)を1.7質量部と、防錆剤(「FlashX150」Halox社製)を0.3質量部と、成膜助剤(「テキサノールCS12」テキサノール社製)を2.0質量部と、イオン交換水10.0質量部とを加えてディスパーにて撹拌混合し、実施例1の防錆塗料組成物を調製した。
コロイダルシリカAに代えてコロイダルシリカB(「スノーテックスN」日産化学工業社製、一次粒子径:10nm〜15nm、固形分:20%)を11.3質量部(固形分換算で2.26質量部)用い、イオン交換水を13.8質量部用いたこと以外は実施例1と同様の順で配合し、ディスパーにて撹拌混合して実施例2の防錆塗料組成物を調製した。
コロイダルシリカAに代えてコロイダルシリカC(「スノーテックスN-40」日産化学工業社製、一次粒子径:20nm〜25nm、固形分:40%)を5.6質量部(固形分換算で2.24質量部)用い、イオン交換水を19.4質量部用いたこと以外は実施例1と同様の順で配合し、ディスパーにて撹拌混合して実施例3の防錆塗料組成物を調製した。
コロイダルシリカAに代えてコロイダルシリカD(「シリカドール30S」日本化学工業社製、一次粒子径:7nm〜10nm、固形分:30%)を7.5質量(固形分換算で2.25質量部)部用い、イオン交換水を17.5質量部用いたこと以外は実施例1と同様の順で配合し、ディスパーにて撹拌混合して実施例4の防錆塗料組成物を調製した。
コロイダルシリカAに代えてコロイダルシリカE(「シリカドール40」日本化学工業社製、一次粒子径:15nm〜20nm、固形分:40%)を5.6質量(固形分換算で2.24質量部)部用い、イオン交換水を19.4質量部用いたこと以外は実施例1と同様の順で配合し、ディスパーにて撹拌混合して実施例5の防錆塗料組成物を調製した。
ジメチルエタノールアミン(DMEA)に代えて25%アンモニア水をアンモニアとして2.0質量部添加したこと以外は実施例1と同様の順で配合し、ディスパーにて撹拌混合して実施例6の防錆塗料組成物を調製した。
シランカップリング剤を0.25質量部添加したこと以外は実施例1と同様の順で配合し、ディスパーにて撹拌混合して実施例7の防錆塗料組成物を調製した。
シランカップリング剤を1.0質量部添加したこと以外は実施例1と同様の順で配合し、ディスパーにて撹拌混合して実施例8の防錆塗料組成物を調製した。
コロイダルシリカAを5.0質量部(固形分換算で0.75質量部)添加したこと以外は実施例1と同様の順で配合し、ディスパーにて撹拌混合して実施例9の防錆塗料組成物を調製した。
[比較例1]
コロイダルシリカとシランカップリング剤を添加しなかったこと、イオン交換水を15.0質量部用いたこと以外は実施例1と同様の順で配合し、ディスパーにて撹拌混合して比較例1の防錆塗料組成物を調製した。
[比較例2]
ジメチルエタノールアミン(DMEA)を添加しなかったこと以外は実施例1と同様の順で配合し、ディスパーにて撹拌混合して比較例2の防錆塗料組成物を調製した。
[比較例3]
ジメチルエタノールアミン(DMEA)とシランカップリング剤を添加しなかったこと以外は実施例1と同様の順で配合し、ディスパーにて撹拌混合して比較例3の防錆塗料組成物を調製した。
<試験・評価>
Figure 0005785967
実施例及び比較例の各防錆塗料組成物を用い、シンナー脱脂された未処理冷間圧延鋼板「SPCC-SD」(0.8×70×150mm)の表面に、乾燥膜厚が20μmとなるようにそれぞれエアスプレー塗装し、60℃で20分間乾燥させて塗板試料を作製した。各塗板試料について下記の試験を行った。
[初期付着性]
JIS K5600-5-6に規定された碁盤目付着試験を行った。全ての塗板試料は初期付着性が良好であった。
[初期外観]
各塗板試料の塗面を目視で観察した。比較例2の塗板試料にはハジキ及びブツが生じていたが、他の塗板試料には異常が認められなかった。
[鉛筆硬度]
JIS K5600-5-4に規定された鉛筆硬度を測定したところ、全ての塗板試料の硬度はHBであった。
[防錆性]
各塗板試料の塗膜にカッターナイフを用いて基板まで達するクロスカットを形成し、それらを塩水噴霧試験器に入れて、JIS Z2371に規定され35℃に加温された5%食塩水を塗面に噴霧する塩水噴霧試験を24時間行った。その後取り出して、塗面を目視観察した。各実施例の塗板試料には異常が認められなかったのに対し、比較例1,2の塗板試料にはクロスカット部位から錆が発生し、比較例3の塗板試料には錆と共にブリスタが発生していた。
比較例1の防錆塗料組成物は、コロイダルシリカとシランカップリング剤を含んでいないため、その塗膜は防錆性に劣る。比較例2の防錆塗料組成物は、反応促進剤を含んでいないため、その塗膜は防錆性に劣る。また比較例2では、揮発性塩基を含有していないためゲル化の抑制効果がなくゲルが生成し、それが塗膜に含まれてブツが生じた。しかし同じシランカップリング剤を用いた実施例1では、DMEAを含んでいるために揮発性塩基の反応抑制効果によってゲルが生じず、その塗膜は初期外観に優れている。比較例3の防錆塗料組成物は、コロイダルシリカとシランカップリング剤と反応促進剤を含まないため、その塗膜は防錆性に劣る。
これらの結果から、アクリルエマルジョンとコロイダルシリカとからなる系にシランカップリング剤と反応促進剤を併用することで、未処理の鋼板に塗装した場合にも異常が無く防錆性に優れた塗膜を形成できることが明らかである。
また実施例1〜9から、微粒シリカの添加量を水性樹脂の不揮発分100質量部に対して3〜20質量部の範囲とし、かつシランカップリング剤の添加量を微粒シリカの固形分100質量部に対して11質量部以上の範囲とすることで、未処理の冷間圧延鋼板の表面に防錆性、付着性、外観、硬度に優れた塗膜を形成できることも明らかである。
次に、好適防錆塗料組成物について説明する。
表2にも示すように、アニオン系官能基を有するアニオン性樹脂としてのアクリルエマルジョンA(「アクロナールYS800」BASF社製、固形分:47%)を45.0質量部(不揮発分換算で21.2質量部)と、微粒シリカとしてのコロイダルシリカA(「スノーテックスNXS」日産化学工業社製、一次粒子径:4nm〜6nm、固形分:15%)を15質量部(固形分換算で2.25質量部)と、25%アンモニア水を8.0質量部と、を混合し、ディスパーにて撹拌混合した。
次いでアミノ基を含有するシランカップリング剤(「KBM-603」信越化学工業社製)0.5質量部を加えてよく撹拌し、さらにカーボンブラック加工顔料(「NAF5091ブラック」大日精化社製、固形分:35%)を2.0質量部と、成膜助剤(ベンジルアルコール)を2.0質量部と、イオン交換水4.0質量部とを加えてディスパーにて撹拌混合し、実施例10の防錆塗料組成物を調製した。
コロイダルシリカAに代えてコロイダルシリカC(「スノーテックスN-40」日産化学工業社製、一次粒子径:20nm〜25nm、固形分:40%)を5.6質量部(固形分換算で2.24質量部)用い、イオン交換水を13.4質量部用いたこと以外は実施例10と同様の順で配合し、ディスパーにて撹拌混合して実施例11の防錆塗料組成物を調製した。
アミノ基を含有するシランカップリング剤(「KBM-603」信越化学工業社製)の添加量を半分の0.25質量部としたこと以外は実施例10と同様の順で配合し、ディスパーにて撹拌混合して実施例12の防錆塗料組成物を調製した。
アミノ基を含有するシランカップリング剤(「KBM-603」信越化学工業社製)の添加量を倍量の1.0質量部としたこと以外は実施例10と同様の順で配合し、ディスパーにて撹拌混合して実施例13の防錆塗料組成物を調製した。
コロイダルシリカA(「スノーテックスNXS」日産化学工業社製、一次粒子径:4nm〜6nm、固形分:15%)の添加量を1/3量の5質量部(固形分換算で0.75質量部)としたこと以外は実施例10と同様の順で配合し、ディスパーにて撹拌混合して実施例14の防錆塗料組成物を調製した。
アミノ基を含有するシランカップリング剤(「KBM-603」信越化学工業社製)の添加量を4倍量の2.0質量部としたこと以外は実施例10と同様の順で配合し、ディスパーにて撹拌混合して実施例15の防錆塗料組成物を調製した。
[比較例4]
コロイダルシリカA(「スノーテックスNXS」日産化学工業社製、一次粒子径:4nm〜6nm、固形分:15%)を添加しなかったこと以外は実施例10と同様の順で配合し、ディスパーにて撹拌混合して比較例4の防錆塗料組成物を調製した。
[比較例5]
アミノ基を含有するシランカップリング剤(「KBM-603」信越化学工業社製)を添加しなかったこと以外は実施例10と同様の順で配合し、ディスパーにて撹拌混合して比較例5の防錆塗料組成物を調製した。
[比較例6]
アクリルエマルジョンA(「アクロナールYS800」BASF社製、固形分:47%)を添加しなかったこと以外は実施例10と同様の順で配合し、ディスパーにて撹拌混合して比較例6の防錆塗料組成物を調製した。
[比較例7]
コロイダルシリカAに代えてコロイダルシリカF(「スノーテックス20L」日産化学工業社製、一次粒子径:40nm〜50nm、固形分:20%)を11.2質量部添加したこと以外は実施例10と同様の順で配合し、ディスパーにて撹拌混合して比較例7の防錆塗料組成物を調製した。
[比較例8]
コロイダルシリカA(「スノーテックスNXS」日産化学工業社製、一次粒子径:4nm〜6nm、固形分:15%)の添加量を倍量の30質量部(固形分換算で4.5質量部)とし、イオン交換水を添加しなかったこと以外は実施例10と同様の順で配合し、ディスパーにて撹拌混合して比較例8の防錆塗料組成物を調製した。
[比較例9]
アミノ基を含有するシランカップリング剤(「KBM-603」信越化学工業社製)の添加量を1/5量の0.1質量部としたこと以外は実施例10と同様の順で配合し、ディスパーにて撹拌混合して比較例9の防錆塗料組成物を調製した。
[比較例10]
アクリルエマルジョンAに代えてアクリルエマルジョンB(「E-2706」ロームアンドハース社製、固形分:50%、アニオン性官能基含有樹脂とカチオン性官能基含有樹脂との混合物)を42.4質量部添加し、イオン交換水を7質量部添加したこと以外は実施例10と同様の順で配合し、ディスパーにて撹拌混合して比較例10の防錆塗料組成物を調製した。
<試験>
実施例及び比較例の各防錆塗料組成物を用い、シンナー脱脂された未処理冷間圧延鋼板「SPCC-SD」(0.8×70×150mm)の表面に、乾燥膜厚が20μmとなるようにそれぞれエアスプレー塗装し、60℃で20分間乾燥させて塗板試料を作製した。各塗板試料について下記の試験を行った。
[初期付着性]
JIS K5600-5-6に規定された碁盤目付着試験を行った。全ての塗板試料は初期付着性が良好であった。
[防錆性1]
各塗板試料の塗膜にカッターナイフを用いて基板まで達するクロスカットを形成し、それらを塩水噴霧試験器に入れて、JIS Z2371に規定され35℃に加温された5%食塩水を塗面に噴霧する塩水噴霧試験を24時間行った。その後取り出して、塗面を目視観察し異常の無いものを○、異常があるものを×と評価した。
[防錆性2]
各塗板試料の塗膜にカッターナイフを用いて基板まで達するクロスカットを形成し、それらを塩水噴霧試験器に入れて、JIS Z2371に規定され35℃に加温された5%食塩水を塗面に噴霧する塩水噴霧試験を240時間行った。その後取り出して、クロスカット部周辺の塗面における異常の有無、及びクロスカット部の錆幅を観察した。塗面の異常が無く、錆幅が片側3mm、両側合計6mm以内であるものを○、それ以外を×と評価した。
[乾燥性]
実施例及び比較例の各防錆塗料組成物を用い、シンナー脱脂された未処理冷間圧延鋼板「SPCC-SD」(10×70×150mm)の表面に、短辺の片端の乾燥膜厚が20μm、反対側の片端の乾燥膜厚が500μmとなるように、全体的な膜厚が傾斜するように塗布し、60℃で20分乾燥させて、JIS K5600-1-1に規定された指触乾燥膜厚及び硬化乾燥膜厚を調べた。指触乾燥膜厚については200μm以上を○、200μm未満を×と評価し、硬化乾燥膜厚については100μm以上を○、100μm未満を×と評価した。
[塗料安定性]
実施例及び比較例の各防錆塗料組成物を調製した際に塗装に適した流動性をもち、かつ密封状態で20℃にて1ヶ月間放置した際にゲル化などの異常が無いものを○、異常が認められたものを×と評価した。
<評価>
Figure 0005785967
表2から、実施例10〜15に係る好適防錆塗料組成物は、乾燥性に優れていることが明らかである。また各実施例の防錆塗料組成物から形成された塗膜は、未処理の鋼板を被塗物としても各比較例に比べて防錆性に優れていることが明らかである。
比較例4の防錆塗料組成物はコロイダルシリカを含んでいないため、その塗膜は防錆性及び乾燥性に劣る。比較例5の防錆塗料組成物はシランカップリング剤を含んでいないため、その塗膜は防錆性及び乾燥性に劣る。比較例6の防錆塗料組成物はアクリルエマルジョンを含んでいないため、その塗膜は防錆性及び乾燥性に劣る。比較例7の防錆塗料組成物は、コロイダルシリカの一次粒子径が大きいため、その塗膜は防錆性に劣る。比較例8の防錆塗料組成物は、アクリルエマルジョンの不揮発分100質量部に対するコロイダルシリカ固形分の含有量範囲が20質量部を超えているため、その塗膜は防錆性に劣る。比較例9の防錆塗料組成物は、コロイダルシリカの固形分100質量部に対するシランカップリング剤の含有量範囲が11質量部未満のため、その塗膜は防錆性及び乾燥性に劣る。比較例10の防錆塗料組成物は、カチオン性官能基を含有するアクリルエマルジョンを用いているため、その塗膜は防錆性に劣る。
なお実施例15の防錆塗料組成物は、塗膜の乾燥性と耐水性及び防錆性に優れているものの、塗料安定性に問題がある。これは、シランカップリング剤の添加量が多すぎたことに起因していると考えられる。しかし防錆塗料組成物の調製後に早めに使用すれば、乾燥性と耐水性及び防錆性に優れる塗膜を形成することができるので、△と評価した。
本発明の防錆塗料組成物は、未処理の鋼材に塗布することで防錆性に優れた塗膜を形成するので、鋼材の防錆処理を不要とすることができる。また防錆処理された鋼材に塗布しても、従来と同等の防錆性を付与することができるので、各種車両、船舶、家電製品など種々の分野で利用することができる。

Claims (5)

  1. アニオン系官能基を有する水性樹脂と、
    該水性樹脂の不揮発分100質量部に対して3〜20質量部の範囲で添加され一次粒子径が4nm〜25nmの微粒シリカと、
    加水分解性基およびアミノ基を含み、該微粒シリカの固形分100質量部に対して11質量部以上90質量部以下の範囲で添加されたシランカップリング剤と、
    沸点20℃以下の揮発性塩基である反応促進剤と、を含むことを特徴とする防錆塗料組成物。
  2. 前記反応促進剤は、アンモニア、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミンから選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の防錆塗料組成物。
  3. 前記揮発性塩基はアンモニアである請求項に記載の防錆塗料組成物。
  4. 前記微粒シリカはコロイダルシリカである請求項1〜のいずれかに記載の防錆塗料組成物。
  5. 前記シランカップリング剤は該微粒シリカの固形分100質量部に対して67質量部以下含まれる請求項1〜のいずれかに記載の防錆塗料組成物
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