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JP5777278B2 - 光学素子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、反射防止膜を有するレンズやプリズム、反射鏡等の光学膜を有する光学素子を高品質で製造するための光学素子の製造方法に関するものである。
近年の反射防止膜の要求性能として、広い入射角度特性やワイドバンド化がある。これらの要求に応えるために異なる屈折率を有する複数の材料を用いて光学多層膜を形成することが知られている。さらに、用いられる材料の屈折率差が大きければ大きいほど多層膜の光学性能が向上し、可視域等の光に対して高性能な光学膜が得られている。
また、半導体露光装置においても高集積化・高機能化が進み、加工線幅を極限まで細くするために高NAの投影レンズを高度に設計することが行われている。そのため、投影系に用いられるレンズにおいても、NA増加に従って、高入射角領域での反射特性の向上、膜位相差の低減や、製造誤差等の観点からのワイドバンド化が求められている。これを実現するために、より低い屈折率を持つ材料が必要となる。しかしながら、真空紫外域で用いられる材料は、吸収等の問題により、AlFやMgFやSiOといった物質に限定されている。
そこで、この種の材料を用い、従来の膜と比較してより低密度な膜を形成することにより屈折率を低減する試みがなされている。例えば、従来用いられているフッ化マグネシウム膜より低屈折率な光学膜の製造方法として、SiOとNaFの混合膜を真空蒸着によって成膜し、エッチングによりNaFを除去して多孔質反射防止膜を製造する方法が知られている(特許文献1参照)。
また、特許文献2には、湿式プロセスを用いて、200nm以下の波長において屈折率が1.25という低い屈折率をもつ膜を用いた素子が開示されている。膜の充填率は湿式プロセスを用いて製造するSiO膜では1〜0.5まで変えることができると言及している。より低い屈折率をもつ低屈折率材料を用いた場合、特に高入射角度での反射特性の向上や偏光差低減等の効果についても言及され、有機材料を用いて、加水分解といった湿式処理及び加熱処理を用いることにより低屈折率膜を製造できるとしている。さらに、特許文献3には、水処理を用いて屈折率を低減する技術が開示されている。
特開平06−167601号公報 特許第3509804号公報 特開2008−76726号公報
しかしながら、特許文献1に開示された方法は、SiOとNaFを共蒸着し、水を用いて溶解度の差を利用してエッチングした場合、NaFだけでなくSiOも同時に除去されてしまう。そのため除去前の膜厚が大きく変動することから、所望の特性を得ることは難しいという問題がある。
特許文献2に開示された方法は、低屈折率な膜を形成できるが、原材料に有機材料を用いており、この有機物由来の材料が膜中に残存し、微小な光吸収をもたらす可能性がある。光吸収が微小であっても、数十枚のレンズで構成された露光機の投影レンズにおいては無視できない値となり、オルガノサーマル処理等の加熱処理を行うことから、レンズに用いる石英の面変形等の問題を無視することはできない。
特許文献3に開示されたように、水処理により低屈折率化させる技術では、従来の蒸着で成膜した数十nm程度のMgF膜は水につけても膜が溶けることはなく、屈折率は変化しない。数百nmの膜では、成膜の膜厚方向に対して膜が不均質となり、光の入射側に近い膜では、基板側に近い膜と比較して低密度となっており、そのため、光の入射側に近い膜は水により溶けることがあると考えられる。
数十nm程度の膜で水処理により低密度化する方法として、無加熱や成膜圧力が高い条件にて蒸着法によって成膜し、平均的な密度を下げた膜を成膜する方法がある。この方法の場合、膜の光入射側の部分が僅かに水に溶け低密度化する。ところがこの膜では表面近傍の膜のみが低密度化しており、基板側の膜は低密度化できないため、より屈折率の低い膜を作ることは困難である。
本発明は、真空紫外域用の反射防止膜等に適用可能な、低吸収で屈折率の低い低屈折率膜を簡単な工程で形成し、高品質な光学素子を低コストで製造することのできる光学素子の製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明の光学素子の製造方法は、最表層にフッ化マグネシウム膜を有する光学素子の製造方法において、基体に、充填率が0.84以下であるフッ化マグネシウムの多孔質膜をスパッタ法で成膜する工程と、前記多孔質膜の屈折率を浸処理によって低減して、所定の屈折率を有するフッ化マグネシウム膜を形成する工程と、を有することを特徴とする。
多孔質膜の浸液処理によって屈折率を低減することで、光吸収が小さくてしかも充分低屈折率である低屈折率膜を形成する。このような低屈折率膜を用いることで、広い入射角度特性やワイドバンド化が可能な光学素子を低コストで製造することが可能となる。
実施例1に係るもので、(a)は、スパッタ成膜装置の構成を示す概略図、(b)は、成膜された多孔質膜のSEM像を示す図である。 実施例1において、Nパージでの膜特性変化を調べた結果を示すグラフである。 実施例1に係る実験結果を示すもので、(a)は、浸水による膜の反射率変化を示すグラフ、(b)は、浸水時間と屈折率(193nm)及び膜厚の関係を示すグラフである。 実施例2において、浸水時間と屈折率(193nm)及び膜厚の関係を調べた結果を示すグラフである。 実施例3に係る実験結果を示すもので、(a)は、浸水による膜の反射率変化を示すグラフ、(b)は、浸水時間と屈折率(193nm)及び膜厚の関係を示すグラフである。 実施例4に係る実験結果を示すもので、(a)は、浸水による膜の反射率変化を示すグラフ、(b)は、浸水時間と屈折率(193nm)及び膜厚の関係を示すグラフである。 実施例4に係るもので、(a)は、レーザー照射実験結果を示すグラフ、(b)は、レーザー照射実験前後の反射率測定結果を示すグラフである。 比較例1において、浸水時間と屈折率(193nm)及び膜厚の関係を調べた結果を示すグラフである。 比較例2に係る実験結果を示すもので、(a)は、蒸着膜の浸水実験結果を示すグラフ、(b)は、スパッタ膜の浸水実験結果を示すグラフである。
図1に示すスパッタ成膜装置により、基体101に1種類の低屈折率材料で構成された充填率0.84以下の多孔質膜を成膜し、浸水処理(浸液処理)を行うことで多孔質膜の屈折率を低減し、所定の屈折率を有する低屈折率膜を形成する。
ここで、膜の充填率は、以下の式で表わされる。
充填率=膜の個体部分の体積/膜の総体積
一般に光学膜はその内部に複数の微小な空孔が存在している。総体積とはその空孔を含めた薄膜すべての体積を意味するものである。この充填率をp、空孔を満たしている物質(水、空気)の屈折率をnp、膜中の固体物質の屈折率をn0としたとき、光学膜の屈折率nfは以下の式で表わされる。
nf=n0 * p + np * (1−p)
このように、光学膜の屈折率から光学膜の充填率が算出できる。浸水処理の速度を向上させるには、浸水処理に用いる液体の温度を上げることが望ましく、酸を用いても処理速度が向上する。液体の温度は50℃以下程度で充分効果を得られるため、レンズへの熱ダメージが小さく、面変形を引き起こすことはない。用いられる液体は窒素ブローや純水等によるリンス処理で十分除去可能であり、不純物等の混入が極めて少ない。
特に、反射防止膜において、高屈折率材料との屈折率差の大きい低屈折率膜を用いることで、高品質な反射防止膜を形成できる。用いられる材料が真空紫外領域においても低吸収な特性を示すことから、本発明の光学素子の製造方法により製造した光学素子は、露光波長においても反射防止性能、偏光特性、入射角依存性等の光学特性において良好な値を示す。また、浸液処理によって屈折率を低減した低屈折率膜を光学素子の最表面に用いることが望ましく、これによって、より広い入射角度特性を有する反射防止膜を実現できる。
図1(a)は、実施例1に係るスパッタ成膜装置を示すもので、この装置は、金属ターゲットをスパッタし、チャンバー内へ流した反応性ガスと反応させて、光学膜を形成するものである。ターゲットユニット100は、用途に応じて、様々な形状のターゲットを設置できるようになっている。本実施例ではリング形状のターゲットを用いて成膜したが、他形状でも成膜することができる。また、ターゲットユニット100と光学素子の基体101の相対位置を変化させながら成膜することができ、要求に応じて、基体101の面内の膜厚ムラを調整できる。
成膜工程では、ターゲットユニット100にMg金属ターゲットを設置し、ターゲットユニット100の前方基体側に開口を有するユニットを取り付け、予備真空室102に裏面をスリ加工している厚さ30mm合成石英基板を基体101としてセットした。次に、ドライポンプ103のバルブ104を開き、予備真空室102を粗引きした後に、あらかじめ機動しておいたターボ分子ポンプ105で予備真空室内102を高真空まで真空引きした。その後、スパッタガス供給手段106及び反応性ガス供給手段107より、Ar500sccm、フッ素25sccmを成膜室108へ導入した。次いで、電力供給手段109より異常放電防止装置(図示せず)を介し、ターゲットへDC電力を500W供給し、放電を生起した。その後、オートプレッシャーコントロールバルブ110の開度を調整し、2度程度の開度で保持し、成膜室108内の圧力を5Pa程度に保持した。十分放電が安定した後に、成膜室108と予備真空室102の間にあるゲートバルブ(図示せず)を開いた。その後、基体駆動軸111を用いて、予備真空室102から成膜室108へ基体101を搬送し、基体101上に低屈折率材料の多孔質膜であるMgF膜をスパッタ成膜した。
次に、この膜の180nmから300nmでの反射率を反射率計により測定し、測定結果から193nmでの屈折率を算出した。この際、測定環境は乾燥雰囲気環境であるNパージ環境及び一般大気環境にて測定を行った。測定結果を図2に示す。測定は、成膜直後の大気雰囲気から、1日大気雰囲気放置:大気雰囲気、120min:Nパージ、210min:Nパージ、395min:Nパージ、800min:Nパージ、920min:Nパージ、大気1min:大気雰囲気の順序で行った。
図2のグラフより、成膜直後から大気へ1日放置した場合、反射率が上昇していることが確認できる。また、その後、Nパージを行うことで、反射率が徐々に低減していき、最終的には安定することが確認できる。成膜されたMgFがポーラス構造のため、大気中では、水分等の不純物が膜内及び表面へ吸蔵等がなされる。このため、屈折率は大気へ放置すると上昇し、その後Nパージを行うと、上記の不純物等が抜けて屈折率が下がっていくものと思われる。さらに、Nパージを充分行い、膜中及び膜表面に存在する水分等を除去することで、反射特性を安定させた後にMgF膜を大気へ取り出すと、反射率が上昇している。これは、大気へ取り出すことで、再度、水分等の吸蔵等がなされたことが原因と考えられる。このことは、成膜されたMgF膜が低密度な膜(多孔質膜)であり、空孔が存在していることを意味するものである。充分Nパージした後のMgF膜の193nmでの屈折率は1.335であり、空孔にはNで満たされているとして、この膜の充填率を算出すると0.775であった。
次に、上記と同様の方法にて裏面スリ加工を行った厚さ30mmの合成石英基板上にMgF膜を成膜した。その後、室温環境下で純水中に浸水させ、経過した時間に対する反射率を測定した結果を図3(a)に示し、浸水時間に対する、測定結果より算出される193nmでの屈折率の関係を図3(b)に示す。浸水前の膜の充填率を算出したところ0.767であった。この測定は、浸水中のサンプルを取り出し、Nにてブロー、表面に付着している水分を除去した後、乾燥雰囲気下であるNパージ雰囲気中で十分乾燥後に行った。
図3(b)のグラフより、浸水時間が長くなるにつれて、MgF膜の屈折率が低減し、露光波長である193nmでの屈折率は1.1台まで低減することを確認した。また、膜の膜厚は、変動せず、浸水処理により屈折率のみ変動することが確認された。これは、MgF膜のグレインの弱い部分が純水によりエッチングされたものと推測される。また、屈折率低減速度が遅いことで、制御性よく所望の屈折率までMgF膜の屈折率を低減できることを確認した。
このことは、膜厚制御性のよいドライ成膜で膜厚を制御すれば、ウエット処理(浸液処理)の時間を制御することにより、膜厚を変えることなく、所定の屈折率に制御することができ、求められる特性に応じたMgF膜を形成できることを意味している。
この膜のSEMにて微細構造を調べたところ、柱状構造をしており、柱状と柱状の間に1nm以上の空孔が存在している構造をしており、低密度な膜であることを確認した。SEM像は図1(b)に示す。数多くの実験の結果、充填率が0.84以下である光学膜(多孔質膜)を成膜し、浸水処理を行うことで、屈折率を効率的に低減できることがわかった。
実施例1と同様にスパッタ法にて高圧にてMgFを合成石英基板上へ成膜し、成膜された多孔質膜を50℃に加熱した純水に浸水させた。浸水時間に対するMgF膜の屈折率を図4に示す。実施例1と同様に乾燥雰囲気下であるNパージ雰囲気中で測定を行い、得られた反射率から屈折率を算出した。
このグラフより、実施例1の浸水処理と同様の屈折率の低減が確認され、処理する液体の温度を上昇させることにより、屈折率の低減速度が向上することも確認された。
2mm厚の両面研磨合成石英上にスパッタ法を用いて、緻密なMgFとLaFの交互層の6層膜を両面形成し、その最上層に実施例1と同様に高圧条件下で両面にMgF膜を成膜した。その後、分光器を用いて、Nパージ環境下で乾燥させ、分光反射特性を測定し、最表面のMgF膜の屈折率を算出した。6層膜成膜時点で反射率を計測し、膜厚等を算出し、その算出された膜の上に実施例1のMgF膜が形成されたモデルをたて、シミュレーションにより算出した。算出された最表層のMgF膜の充填率は0.72であった。また、吸収率測定器にて光源にArF(193.4nm)レーザーを用い、吸収率の測定を行った。得られた吸収率は0.655%であった。用いた合成石英の未成膜基板の吸収率が0.18%程度であることから、膜自体の光学損失は両面で0.475%であり、低吸収で高品質な反射防止膜であることがわかる。
なお、膜自体の光学損失は以下の式で表わされる。
損失=成膜後吸収率−基板吸収率
この多層反射防止膜に対して、室温の純水による浸水処理を実施例1と同様に行った。測定結果を図5(a)に示す。このグラフから、浸水時間に伴い、多層反射防止膜の反射率も変化していくことが確認された。この反射率から上記と同様に最表面のMgF膜の屈折率及び膜厚を変化させてシミュレーションし、最表面のMgF膜の屈折率及び膜厚の変動を算出した結果を図5(b)に示す。さらに、各浸水時間で、吸収率測定器にて反射防止膜の吸収率を測定した結果を表1に示す。
Figure 0005777278
図5(b)のグラフ及び表1から、浸水時間に伴い最表面のMgF膜の屈折率が低減していくことと、吸収率は大きな変動はないことを確認した。このことから、下地の6層スパッタ膜に影響を与えず、最上層のみが低屈折率化していることも確認した。
このように、多層膜の最表面層に成膜したMgF膜についても、単層膜と同様に、純水により低屈折率化が実現でき、吸収値も大きく変動せず不純物も少ない良質な低屈折率膜を形成することができる。
蒸着機を用い、高真空下でMgFを原料として厚さ30mmの両面研磨合成石英レンズの片面へ緻密な6層膜をMgF、GdFの交互層として成膜した。その後、実施例1の装置を用い、高圧下でMgF膜を最表面へ成膜した。成膜された最表面のMgF膜の充填率は0.703であった。次に、室温の純水による浸水処理を行い、最表面にあるMgF膜の屈折率を低減させた。浸水時間ごとに反射率特性を測定した結果を図6(a)に示す。また、シミュレーションから算出した193nmでの屈折率及び膜厚の浸水時間に対する変化を図6(b)に示す。このグラフより、屈折率が浸水により低減していることが確認された。
次に、この膜を用い、ArFレーザー照射実験を行った。ArFレーザーは1.12mJ/cmの照度で、発振周波数3kHz条件にて照射実験を行った。また、この膜の前後には、レーザーと、レンズ透過後のレーザーの出力を測定するパワーモニターが設置され、その比によりレンズの透過率を算出した。図7(a)に300Mパルス照射時を1としたときの相対透過率値を示す。このグラフより、照射初期では透過率が向上し、その後、ゆっくりと透過率が低下している減少が確認された。これは、初期の0〜3*10E8Mパルスでのレーザーの照射により、膜表面や内部の水分や有機物が除去され、また、照射がNパージ中で行われることで、膜表面や内部の水等の不純物が除去されたために透過率が向上したものと考えられる。緩やかな透過率劣化は、図7(a)に破線で示す石英レンズのレーザー照射による劣化と、傾きが一致しており、膜そのものの劣化ではなく、石英レンズの透過率劣化であるから、膜自体の劣化はほとんどないと考えられる。
このレーザー照射実験前後で反射率測定を行った結果を図7(b)に示す。このグラフより、レーザー照射前後での反射率の変化量は小さくて、透過率が劣化せず、反射特性も変化ないことから、本実施例の低屈折率膜はArFレーザーに対し耐光性があることも確認できた。
本実施例では、浸水処理の代わりに濃硫酸で処理した。基板側から3層までは抵抗加熱式で蒸着(加熱温度:280℃)を行った。表面層(4層目)は、スパッタ(室温)により、基板(石英)側からMgF(0.59λ)/GdF(0.12λ)/MgF(0.16λ)/MgF(0.22λ)の膜構成をとるように蒸着法による乾式成膜を行った。作製された試料は、40℃に温度調節された98%濃硫酸に16分間浸漬させた後、超純水により10分間リンス、Nガスの吹き付けにより乾燥させた。本実施例では、基礎実験によりエッチング速度と液体温度との関係式(アレーニウスの関係式)を導き、表面から第2層の膜厚変化が無視できる条件(温度、浸漬時間)を決定した。分光反射特性から浸漬前後における屈折率を解析した結果、処理前の最表層MgFの屈折率は1.40、処理後の屈折率は1.30(N雰囲気中で測定)であった。
(比較例1)
蒸着機を用い、膜材料としてMgFを用い、真空加熱により片面スリ加工を行った合成石英基板上へMgF膜を成膜した。この際、チャンバー内にArを500sccm導入し、基板は無加熱で蒸着粒子が基板に対し60度の入射角で成膜される配置により成膜した。成膜した膜厚は40nmを目標として成膜した。上記のような方法で蒸着された膜は一般に不均質になることが知られている。成膜後、反射率計を用いて、Nパージ雰囲気で反射率を測定し、シミュレーションにより屈折率を算出したところ193nmで1.366程度であった。また、この膜の充填率を計算すると0.845であった。この膜を大気中で反射率を計測し、算出された屈折率は1.379であった。
この膜を用いて、室温の純水中に浸水させ、実施例1と同様に浸水時間に対する反射率の計測値より算出された屈折率を図8に示す。このグラフより、浸水により屈折率が低減し、193nmの波長で屈折率が1.30程度まで低減することを確認した。
浸水前の屈折率がそれほど低くないのは、膜が不均質になっているためであり、基板近傍では比較的緻密な膜が形成され、膜厚方向により充填率の低い膜が堆積されていると推測される。浸水処理で屈折率が低減するものの、193nmの波長で1.30程度までの低減でとまっていることから、大気側に近い充填率の低い膜が浸水処理により低密度化され、基板側に近い膜充填密度の高い膜は変化していないものと推測される。また、純水により低密度化するとともに膜厚低減も確認できた。
(比較例2)
蒸着機及びスパッタ装置を用い、蒸着では350度に石英基板を加熱し、高真空下にてMgF膜を成膜した。スパッタ法では、0.3Pa程度の圧力でArをスパッタガスとして導入し、反応性ガスとしてFガスをチャンバー内に導入し、LaF及びMgF膜の交互7層膜を成膜した。成膜したそれぞれの膜の反射率を反射率計により、大気中及びNパージ中で測定した結果を図9に示す。図9(a)は、蒸着法による膜、(b)は、スパッタ法による膜の測定結果である。これらのグラフより、測定雰囲気が大気中でもNパージ雰囲気中でも反射率測定値は同様であり、両成膜法ともに緻密な膜が形成されていることを確認した。また、それぞれの充填率を求めると、蒸着法、スパッタ法でそれぞれ0.97、0.95であった。
さらに、それぞれの膜を室温で純水に浸水させ、浸水後に反射率測定を行った結果を、図9(a)、(b)に併せて示す。反射率測定前には浸水槽から取り出したそれぞれのMgF膜表面の水分をNブローにより除去し、その後、Nパージ環境下で反射率を測定した。
図9(a)、(b)のグラフより、成膜法に依存せず、充填率が高い膜では、その後の浸水処理により膜特性がほとんど変化しないことが確認された。
実施例1、実施例3、実施例4、実施例5と各比較例に記載した実験結果の一覧を表2に示す。
Figure 0005777278
100 ターゲットユニット
101 基体
102 予備真空室
108 成膜室
111 基体駆動軸

Claims (3)

  1. 最表層にフッ化マグネシウム膜を有する光学素子の製造方法において、
    基体に、充填率が0.84以下であるフッ化マグネシウムの多孔質膜をスパッタ法で成膜する工程と、
    前記多孔質膜の屈折率を浸処理によって低減して、所定の屈折率を有するフッ化マグネシウム膜を形成する工程と、を有することを特徴とする光学素子の製造方法。
  2. 加熱された液体に前記多孔質膜を浸すことによって前記浸処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の光学素子の製造方法。
  3. 前記多孔質膜をスパッタ法で成膜する工程は、リング形状のマグネシウムターゲットに直流電力を加えて、反応性ガスと反応させることにより成膜することを特徴とする請求項1又は2に記載の光学素子の製造方法。
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