JP5752769B2 - 喫煙品用換気さや型ケース - Google Patents

Description

本発明は、タバコなどの喫煙物を含むフィルター付き紙巻きタバコなどの喫煙品用のさや型ケース（ｓｈｅａｔｈ）に関する。

セルロースアセテートなどの異なる材料から構成され、チャコール粒子を含む異なるろ過機能を有する複数の個別のろ過セクションを有する喫煙品用の複合フィルター構造として種々のものが当業界で知られている。しかしながら、煙の総粒状物（ＴＰＭ）成分は、このような複合フィルターを使用すれば取り除くことができるが、煙全体の大半を占める気相（ＧＰ）から効果的に望ましくない物質をろ過することはできない。

望ましくないＧＰ成分の送出量を減らす１つの公知の方法として、喫煙者が喫煙品を吸引した場合には常に外気を導入することによって気相煙流を希釈することからなるものがある。ＧＰ成分を減少させるためのこの方法には、いくつかの利点がある。特に喫煙者は、所望の成分および対応する気相煙流の味覚効果を連続して受けることができる。さらに冷たい外気が口およびのどに入る煙の温度を下げ、より心地よく、快適な喫煙効果が得られる。

外気を喫煙品の気相煙流内に入り込ませる多くの手段が当業界で知られている。例えば、フィルター、喫煙物またはその両方を包むラッパーを多孔性の材料で作製して外気を喫煙品内の気相煙流を通過させ、これと混合させる場合がある。これとは別にこれらのラッパーの一方または両方が穿孔または開口部を有する場合もある。

一般にこのような換気機構は、喫煙材ロッドではなくフィルターチップの一部として構成される。これにはいくつかの理由があるが、特にロッドに設けられると喫煙品が喫煙されるにつれて損失するからである。しかしながら、フィルターチップに換気機構を配置することによって、これら換気機構が実際に喫煙品を喫煙する際に喫煙者の指または口で塞がれてしまうという問題がある。このことは喫煙者によって吸引されるＧＰ成分の希釈する量を減少させてしまう。

換気孔の量および位置ならびにその下に位置するフィルターユニットの成分との空間的な関係によって煙の送出量に対する、つまり喫煙に対する換気効果が決まり、これらの特徴は、紙巻きタバコの製造者によって慎重に選択される。その効果は、換気が完全にまたは部分的に塞がれてしまうと変わってしまう。喫煙している間、喫煙者が換気孔を指または口で無意識に覆う可能性があり、よって換気効果を変えてしまい、このことは望ましくない。

この問題点を解消するために換気機構が閉塞する可能性を減少させるための種々の方法が提案されている。実際に利用されている方法の一つに溝または丸溝ひだを設けて外部空気が吸引の際に喫煙品を通り抜けるようにするものがある。この設計では空気は、口から最も離れたフィルターチップの端部に近い位置またはその端部で喫煙品に入り込む。この領域は、喫煙者の指または口であまり塞がれることはない。

下記特許文献１はタバコとシガレットペーパーの間に配置された波形の層を含むタバコロッドを有する紙巻きタバコを開示している。このようにして波形の層は、喫煙者が吸引した際に空気が引き込まれる一連の導管を形成している。この文献は、実際にはタバコロッドを強化する手段を開示するものであって、この構成には実際にタバコを含むタバコロッドの割合が著しく減少するという欠陥がある。

下記特許文献２にはフィルターチップが内部空気導管を含む紙巻きタバコが開示されている。外気は、フィルターチップの吸い口端とタバコ端の実質的に中間の位置に配置された穿孔を介してこれらのチャネルに入り込む。これらの導管は、フィルターチップのタバコ端で封止されているが、吸い口端で開口し、空気が吸引の際に口内に引き込まれるようになっており、そこでタバコロッドからの気相流と混じることができる。この設計には明らかに空気がフィルターチップに入り込む際に通過する穿孔が喫煙者によって容易に塞がれてしまう位置にあるという欠陥がある。

下記特許文献３にはフィルター材からなるコアとタバコロッドの僅かな部分が換気経路に囲まれているフィルター付き紙巻きタバコが開示されている。従って外気は、換気経路に沿ってフィルターコア内へと案内され、タバコロッドからの気相流と混ざる。外気が換気経路に入るタバコロッドの位置は、喫煙者によって塞がれにくい。

下記特許文献４は、空気がタバコロッドの吸い口端に近い位置で開口した一連の経路を介してフィルター内に導かれる紙巻きタバコを開示している。これと極めて似た構造のものが下記特許文献５に開示されている。

上記問題点に対処したこれら全ての従来の手段は、喫煙品と一体に構成される複合フィルター構造を含み、これは製造コストに加算される。

換気機構を利用して外気でＧＰ成分を希釈することには欠点があることが報告されている。この報告が示唆するところは、外気による気相煙流の換気に応じて喫煙者は喫煙品をより速く吸い込むことになり、ろ過効率が低減する。従って本発明の目的は、吸引の強度が増した場合に喫煙者がＧＰ成分を過剰に吸引しないようにすることである。本発明の喫煙品は、喫煙者が強く吸ったときに喫煙品に入り込む外気の量を増加させる機構を提供することによってこの目的を達成している。

本発明は、さらに換気機構が外気によって気相煙流を最大限希釈し、これら換気機構の閉塞を最小限に抑え、喫煙者がこれらの特徴を無意識のうちに無にしてしまう可能性が減少した喫煙品を提供することをさらに目的としている。

本発明の第一態様では喫煙品とともに使用されるさや型ケースが提供され、このさや型ケースは、外気の取り込み口を供し、さらに喫煙品とともに使用された際に外気流が通過し得る２つのルートを供し、最初のルートは、さや型ケースを通じてのものであるが、喫煙品に通じてなく、第２のルートは、喫煙品を通した流れを含む。

このさや型ケースは、第１ルートに沿って空気が流れるように作動する感圧バルブを含む。

１つの実施態様ではこのバルブは、９８０．６Ｐａ（１０ｃｍ／ＷＧ）から３９２２．４Ｐａ（４０ｃｍ／ＷＧ）、好ましくは１９６１．２Ｐａ（２０ｃｍ／ＷＧ）の所定の限界圧力差下で第１ルートを塞ぐ。これは外気が選択的に喫煙品を包んでいる多孔性のラッパーまたはチッピング紙を介してまたは換気孔を介して喫煙品内に入り込むことを意味する。その後外気は、喫煙品を移動する煙と混ざり合う。空気流速度が限界を超える、例えば喫煙者が喫煙品をより強く吸った場合、第１ルートが開き、これにより外気が喫煙品を迂回（バイパス）することができる。これは、外気の流れる量を増やし、吸引される煙の量が大幅に増えるのを防ぐことによって強い吸い込みの影響を抑えることになる。またこれによって強い吸い込みによる喫煙品のあらゆるフィルターの効率の減少を妨げることにもなる。

本発明の第１態様によるさや型ケースは、実質的に気体不透過性円柱管を含む。

本発明のフィルターは、独立した構成要素として構築されたものであってもよく、既製の喫煙品に装着してもよい。これとは別にさや型ケースは、喫煙品の一部をなすものとして構成されてもよい。

またさや型ケースは、喫煙品とは別個に購入されるようにしてもよい。これは製造過程の工程数を減らし、よって喫煙品の値段が下がり、そして第２に喫煙者がこのさや型ケースをあらゆる好適な喫煙品と組み合わせて使用することが可能になる。

空気取り込み口は、好ましくはさや型ケースの端部に設けられ、より具体的には本明細書中で遠位端と称するさや型ケースが喫煙品に装着され、使用される際に吸い口から離れた方に位置する端部に設けられる。取り込み口は、さや型ケースと喫煙品の間の隙間であってもよい。この隙間は喫煙品の外径より大きいさや型ケースの内径が大きいことによって形成される。これとは別に外気取り込み口は、さや型ケースの１つ以上の孔であってもよい。

別の態様では外気流のためのチャネルをさや型ケースとこのケースが使用される喫煙品の外面の間に形成し、例えばチャネルはさや型ケースの内部の１つ以上のフィンによって形成してもよい。このチャネルは、さや型ケースの全長に沿って長手方向に延びていてもよく、またはさや型ケースの好ましくは遠位端に沿って一部にのみ延びていてもよい。

バルブは、好ましくはさや型ケースと喫煙品の表面の間に形成された隙間を閉じる。このバルブは、さや型ケースの内部の環状の弾性バルブ部材を含む。これとは別にバルブは、例えば２つ以上のセクションに分割される薄いゴムのシールを含んでもよい。これとは別にバルブは、毛フィラメントのバンドのような繊維性フィラメントのバンドであってもよい。またバルブは、ワンウェイバルブである一連のマイクロバルブを含んでもよい。

バルブ手段は、さや型ケースの近位端、即ち使用時にさや型ケースの吸い口端となる端部の方に位置してもよい。

本明細書によるさや型ケースは、さらにこれを喫煙品に装着するための手段を含んでもよい。１つの実施態様ではさや型ケースを装着するためのこの手段は、さや型ケースが所定の位置にあるとき喫煙品の外面と接触するために径が小さくなっているさや型ケースの一セクションである。このセクションは、さや型ケースと喫煙品とを密に嵌め合わせることによってまたはさや型ケースの内面が接着剤によって喫煙品に取り付けられることによってさや型ケースを喫煙品に対して所定の位置に保持する。

さや型ケースを喫煙品に取り付けるセクションは、気体透過性であってもよい。これはさや型ケースのこの部分が空気流の第１のルートを塞がず、外気が喫煙品に入る必要がなくさや型ケースを流れることを意味する。ある態様ではさや型ケースは、１つ以上の換気孔を含んでもよい。

ある態様ではさや型ケースは、紙巻きタバコである喫煙品に嵌めてよい。

ある実施態様ではさや型ケースは、少なくとも２つのセクションを含む。第１のセクションは、さや型ケースが喫煙品に使用された際に喫煙者の口から遠い位置にあり、外気の取り込み口を含む。この第１セクションは、チャネルを含み、このチャネルを介して外気が流れる。第２セクションは、さや型ケースが喫煙品に使用された際に喫煙者の口から近い位置にあり、バルブ手段を含む。さや型ケースはさらに第３のセクションを含んでもよく、これは喫煙品へのさや型ケースの装着に使用される。この第３セクションは、第１および第２セクションの間に位置してもよく、気体透過性であってもよい。

本発明の第１態様によるさや型ケースは、紙巻きタバコに使用するのに適している。さや型ケースは、紙巻きタバコのフィルターセクションを少なくとも部分的に囲むように位置させてもよい。空気流の第２ルートは、外気の空気取り込み口を介したさや型ケースへの流入に関わり、紙巻きタバコのタバコロッドまたはフィルターセクション内へと案内され、そこで煙流と混合され、最終的に吸引される。

本発明の第２の態様では喫煙品に使用されるさや型ケースが提供され、このケースは、さや型ケースを喫煙品に取り付けやすくし、外気が取り込まれるチャネルを供するための長手方向に延びたフィンからなるセクションを含む。さや型ケースは、その遠位端の内径が喫煙品の外径より大きいことによって、さや型ケースと喫煙品の間の隙間から形成されたさや型ケースの端部に位置する空気取り込み口を供する。この空気取り込み口の構成は、喫煙者の指または唇によってこの取り込み口が極めて塞がれにくいことを意味する。

フィンは、喫煙品と係合するための大きさの内径を構成するために充分に内方に延びている。任意にフィンは、締まりばめによってさや型ケース内に喫煙品を把持するのに充分に内方に延びていてもよい。

フィンは、さや型ケースの長さの一部に沿って延びていてもよく、この場合さや型ケースの長さの残りのある部分または全てが、さや型ケースが所定の位置にあるときに喫煙品の外面と接触する小さい内径の環状セクションを含む。この環状セクションは、非通気性または通気性のものであってもよい。

本発明の第３の態様では喫煙品に使用されるさや型ケースが提供され、このケースは、所定の位置にあるときに喫煙品の少なくとも一部を囲み、喫煙品の表面とさや型ケースの内面の少なくとも一部の間に隙間を供し、この隙間を封止するシーリングフラップを含み、このフラップは、それが隙間を封止する位置と隙間が少なくとも部分的に開いた位置の間で可動である。この封止フラップは、弾力性を有するものであってもよい。

本発明の第４の態様では喫煙品が提供され、この喫煙品は、喫煙材ロッドと、本発明の第１、第２および第３のいずれかのさや型ケースと任意に設けられるフィルターとを含む。この喫煙品は、好ましくは少なくとも部分的になんらかのフィルターセクションを囲んで吸い口端に取り付けられた紙巻きタバコである。このさや型ケースは、喫煙品に永久的にまたは取り外し自在に装着されてもよい。

本発明がより完全に理解されるようにあくまで例示を目的とした実施態様を示す図面を参照して説明する。

喫煙品を含むさや型ケースの略式側面図である。 図２ａが図１の実施態様による喫煙品を含む個別のさや型ケースの吸い口近位端の軸方向正面図であり、図２ｂが図１の実施態様による喫煙品を含む個別のさや型ケースの遠位（喫煙材ロッド）端の断面軸方向正面図である。 普通の強さの吸煙条件下の喫煙品およびさや型ケース内の気相煙流と外気の経路を示す喫煙品を有する図１のさや型ケースの略図である。 強く吸煙した際の喫煙品およびさや型ケース内の気相煙流と外気の経路を示す図３と同様の略図である。 当然のことながらこれらの図の縮尺は合っていない。

図１は実質的に気体不透過性管５がフィルター６とタバコロッド１７とを含むフィルター付き紙巻きタバコの吸い口端にフィルターを囲むように嵌められた状態を示している。

さや型ケース５の長さは、多くの要因によって決定される。そしてその長さは、喫煙者の指または唇で空気取り込み口が塞がれる可能性を減少させる充分な長さでなければならない。しかしながらこのさや型ケースは、喫煙品を普通に喫煙する際に喫煙品の燃えている部分と接触するような長さであってはならない。さや型ケースがフィルターセクションを有する紙巻きタバコに使用される場合、さや型ケースはフィルターセクションの少なくとも一部を囲むようにするのが望ましく、フィルターセクションまたはチッピング紙とほぼ同じ長さであってもよい。いくつかの具体例において、さや型ケースの長さは、１０から４５ｍｍ、好ましくは１５から３５ｍｍ、または約２５ｍｍであってもよい。

図１に示したさや型ケースは、内部が３つのセクションに分かれており、遠位セクション１（喫煙者の口から最も遠く、さや型ケースが喫煙品に取り付けられた際に喫煙材ロッドに最も近いさや型ケースの端部に位置する）、中央セクション２および近位端３（さや型ケースが喫煙品に取り付けられた際に吸い口端に位置する）からなる。

さや型ケースの胴体は、紙または厚紙で構成されているが、プラスチックまたはゴム、タバコ葉、再生タバコ葉または他のシート材などの天然の材料などの他の材料で構成することも可能である。

喫煙品は、紙巻きタバコ、シガリロ、シガーまたは他の喫煙品であってもよい。いくつかの実施態様ではさや型ケースは、円周が１６ｍｍから１８ｍｍのスリム紙巻きタバコに使用される。これらの実施態様ではさや型ケースは、その径がスリム紙巻きタバコの径より大きいことによってスリム紙巻きタバコの喫煙者に幅の広い紙巻きタバコを吸っているような満足感を与える。

さや型ケースの直径もまた複数の要因によって決まる。その直径は、さや型ケースが使用される喫煙品を囲むことができる程度に充分大きいものでなければならない。さや型ケースの内径は、その長さに沿って変化してもよいが、喫煙品にさや型ケースを装着できるものでなければならない。さや型ケースの少なくとも一部の内面と喫煙品の間に隙間ができるのが理想である。この隙間は、外気が流れるような充分な大きさでなければならないが、さや型ケース内に引き込まれ、その中を流れる空気をある程度制御することができるように小さくなければならない。隙間の大きさは、喫煙者がさや型ケースを唇でくわえるおよび／または指でつかんだ際につぶれないように充分な構造的完全性をさや型ケースが有するようなものでなければならない。またさや型ケースの直径は、喫煙品をさや型ケースと使った場合と使わなかった場合の違いがほとんどまたは全く喫煙者が感じないような喫煙者に違和感を感じさせないようなものでなければならない。

図１に示すさや型ケースの遠位セクション１は、さや型ケースが装着された際に喫煙品の周囲に開口部１３を形成し、従ってさや型ケース内に外気が引き込まれるように設計されている。この開口部は、図２ｂに示すようにさや型ケースの遠位端の内径１８が喫煙品７の径１５より大きいために形成されたものである。開口部は、例えば０．１ｍｍから５ｍｍ、好ましくは０．２ｍｍから１．５ｍｍまたは約１．２ｍｍの幅を有する。図１に示す実施態様ではさや型ケースの遠位セクションの内面は、遠位セクションの直径方向の中心に向かって突出した長手方向に延びたフィン４が設けられているという特徴を有する。これらの突起の長さ２３は、これらが図２ｂに示すように喫煙品７の表面と接触するような長さであり、これによりさや型ケースを支持し、開口部を確実に維持することができる。突起は、必要とされるさや型ケースの長さのあらゆる部分に沿って延びてもよく、喫煙品の周りに開口した環状の経路を残しながらさや型ケースの長さの半分以上または半分より短く延びてもよい。さや型ケースに含まれる突起の数は、変えてもよく、さや型ケース内への空気の取り込みやすさおよびさや型ケースの構造的強度に影響を与える。１つの実施態様ではさや型ケースの遠位セクション１は、フィンのような突起を１から２０個、好ましくは６から１２個含む。

これとは別の実施態様ではフィンをさや型ケースの内面に設けた一連の溝またはチャネルに換えてもよい。

遠位端にこのような隙間が存在することによって喫煙品の換気機構を喫煙者が塞ぐ可能性を最小限にする。まず外気が喫煙品に入り込む位置が喫煙品の吸い口端から離れており、よって喫煙者の指または口が触れやすい位置から離れている。次に換気機構は、軸方向に配向されているので例えばさや型ケースの表面の穿孔に較べて塞がれにくい。

図１に示す実施態様では遠位セクションを介してさや型ケース内に取り込まれる外気は、喫煙品を通過することができる。これは喫煙品が好適な換気の手段を有することによって行われる。図１に示す実施態様では喫煙品は、喫煙品に入り込むように外気をさや型ケースを介して取り込ませる気体透過性のチッピング紙１２によって換気される。これとは別の実施態様では喫煙品のフィルターチッピング紙が一連の穿孔または他の好適な手段によって換気される。

図１に示すさや型ケースの近位セクション３もその内径１８が喫煙品７の直径より大きいことによる結果として形成された隙間１３を形成する（図２ａ）。

この近位セクション３は、図１に示す実施態様ではさや型ケースの内部に取り付けられた弾性を有する環状の分割されたフラップ９を含む感圧バルブによって環状の隙間１３を介してさや型ケースを通過する外気が口の中に直接入り込むのを防ぐことができるように構成されている。バルブ９に加わる小さい圧力差の条件下ではバルブは閉じた状態に保持され、気体不透過性バリアーを維持するために環状シールの内方縁部１０が喫煙品の表面と実質的に気密接触し、隙間１３を完全に閉じる。しかしながら、フラップは圧力差の増加に応じて開き、気体を後述するように隙間１３を介して口の中に流れる様にすることができる。

図１の実施態様において通常の強さ吸い込み条件下で外気２０がたどるルートを図３ａに示す。外気２０は、遠位セクション１を介してさや型ケース内に入り込み、従ってさや型ケース５と喫煙品７の間の隙間１３に沿って移動することができる。喫煙品のチッピング紙１２は、多孔性であり、外気２０はさや型ケースの遠位端から封止または閉じた位置にある環状のシール９へとさや型ケース内を移動するので外気２０が喫煙品内に引き込まれる。従って喫煙品内を移動する気相煙流１９は、吸引される前に喫煙品の内側で希釈される。

ある実施態様では喫煙品にはさや型ケースを介して移動する外気が喫煙品を通過するようにする穿孔が設けられている。このような穿孔は、任意に喫煙品内への外気の流れを制御し、案内するために多孔性のチッピング紙と組み合わせて使用してもよい。

図１の実施態様において強く吸い込まれる条件下で外気２０がたどるルートを図３ｂに示す。バルブ９は、喫煙者が強く吸い込むことによって空気流の量が増加した結果開き、これにより外気がさや型ケースの近位端を通過し、喫煙品に入り込まずに喫煙者の口の中に入ることができる。

ある実施態様ではバルブは喫煙品に入る外気に対するバルブを通過する外気の比率が吸引の強さに比例して増加するように構成されている。他の実施態様ではバルブは、基本的に開放または閉じた位置のいずれかにある。空気流量は、喫煙者による喫煙品およびさや型ケースの吸い込み強度に影響される。吸い込みは、圧力降下を生じさせ、この圧力降下値が所定の限界値を超えた場合、バルブが開く。いくつかの実施態様ではバルブは、９８０．６Ｐａ（１０ｃｍ／ＷＧ）超の圧力降下値で開く。任意にバルブが開く圧力降下値は、１４７０．９Ｐａ（１５ｃｍ／ＷＧ）、１９６１．２Ｐａ（２０ｃｍ／ＷＧ）、２４５１．５Ｐａ（２５ｃｍ／ＷＧ）、２９４１．８Ｐａ（３０ｃｍ／ＷＧ）、３４３２．１Ｐａ（３５ｃｍ／ＷＧ）、３９２２．４Ｐａ（４０ｃｍ／ＷＧ）である。

図３ｂに示すように外気２１は遠位セクション１を介してさや型ケース内に引き込まれ、さや型ケース５と喫煙品７の間の隙間１３を通過する。しかしながら、この場合喫煙者による強い吸引によってバルブ９が開き、外気２１はさや型ケースの近位セクションへと移動し続ける。さや型ケースを介したこのルートは、喫煙品を介したルートより抵抗が小さく、さや型ケースに入り込んだ多くの割合の外気が喫煙品を完全に迂回することによって、直接口の中に入ることになる。

ここで説明したさや型ケースの重要な利点は、それが喫煙品の換気機構が塞がれるのを防ぐ、および喫煙者が強く吸い込むことによって吸引される燃焼物が過剰に発生するのを防いで気相煙流の希釈の影響を克服することである。図３ｂに示すように単純に吸い込む強さが増すと外気の取り込み量が多くなる。その結果、総量の一部として吸引される煙２２は、従来の換気フィルターを用いた場合と同じ程度に増加せず、実際には減少する。従来の喫煙品では煙が喫煙品を移動する速度は、吸い込みが強くなるほど速くなる。これは煙が受けるあらゆるろ過の効果に悪影響をもたらす。しかしながらここで説明したさや型ケースを加えることは喫煙品を移動する煙の量が吸い込む強さに大きく影響されず、強い吸い込みにおいて良好なろ過が観察された。

ある実施態様においてバルブ９は、ゴムなどの弾性材料で構成された複数の密閉リングを含む。他の実施態様ではバルブは、いくつかの個別のセクションからなるスケーリングリングを含む。またバルブは、ヘアーフィラメントの束などの微細繊維材を含む、またはバルブは、一連のワンウェイマイクロバルブを含む。いくつかの実施態様においてバルブは、１つ超の材料を含み、上述のバルブ機構を２つ以上組み合わせたものを含んでもよい。

ある実施態様においてさや型ケースの近位セクションは、バルブよりさや型ケースの吸い口端から遠くに位置する１つ以上の穿孔を含む。これによってより多くの空気がさや型ケース内に入ることができ、この空気は遠位および中央セクションを迂回してバルブにかかる圧力をすぐに増加することができる。これらの実施態様では喫煙品から流れる気相煙流は、特に強く吸い込んだときにより多くの空気で希釈される。

図１に示す実施態様は、中央セクション２を含み、これは喫煙品にさや型ケースを取り付ける役割を果たす。これは喫煙品７の径１５に実質的に等しい中央セクションの内径によって行われる。さや型ケースの中央セクション２と喫煙品との間が密に結合され、喫煙品を消費している際のこれらの互いに対する移動を防ぐことができる。図１に示した実施態様において接着剤がさや型ケースを喫煙品に永久的に接合するために中央セクションの内面に塗布される。これとは別の実施態様では他の好適な取り付け方法がさや型ケースを喫煙品に接合するために使用される。

中央セクション２は、さや型ケースの遠位セクションから近位セクションへと外気が流れるようにするために気体透過性材１１で構成してもよい。空気は喫煙品７の中央セクションの多孔性材料１１からフィルターチップへと流れることもできる。気体透過性材の正確な特性は、異なるレベルの気体透過性を供するように選択され、これによりさや型ケースを流れる空気を制御する。これより孔の少ない材料は、さや型ケース内にルートが開いていないときであってもより多くの外気が喫煙品を流れることを促進する。従ってこの材料の多孔性度は、さや型ケースの近位端および従って口に入る外気の量を制御することになる。

ある実施態様において中央セクションは、空気の経路が形成される硬い不透過性の材料で構成される。

ある実施態様においてさや型ケースは、中央セクションを含まない遠位セクションと近位セクションとを含む。これらの実施態様においてさや型ケースは、遠位端のフィンと喫煙品との間の締まりばめによって所定の位置に保持される。フィンの長手方向の長さ、フィンの数および円周方向の配置は、適当な把持機能を供するように選択される。フィンが喫煙品の径より僅かに小さい径を有する空間を中央に供するために半径方向に弾性を有するように構成された場合、この締まりばめは、フィンが喫煙品を保持する際にフィンが僅かに変形することによって改善される。さらにフィンは、長手方向に真っ直ぐでなくてもよく、長手方向に平行に配置される必要もない。その代わりこれらフィンは、湾曲または角度がつけられてもよく、他の非線形状を有してもよく、より確実な締まりばめを供するために見つけられる軸に対して角度をもってまたはこの軸に沿って配列されてもよい。これとは別にフィンの内方端部が充分な表面積を有する場合、喫煙品はさや型ケースの内側にフィンに糊づけされることによって保持される。

他の実施態様ではさや型ケースは、遠位セクションを含まず、中央セクションおよび近位セクションだけを含む。従って外気は、中央セクションの非透過性材を介してさや型ケース内に引き込まれる。中央セクションは、空気透過性であってもよく、またこれとは別に換気孔がさや型ケースの外壁に設けられている場合に中央セクションは、非透過性の材料で構成してもよい。

ある実施態様ではさや型ケースは、遠位セクション１と中央セクション２とを含むが、近位セクションを含まない。この実施態様では明らかにさや型ケースは、さや型ケース内で係合する喫煙品の換気手段を保護する役割を果たす。これら実施態様のいくつかにおいてはさや型ケースは、改造用途に使用され、繰り返し使用してもよい。従ってこれらの実施態様のさや型ケースは、喫煙品と一緒に販売してもよく、または標準的な喫煙品の換気を高め、閉塞を最小限にするために喫煙品とは別個に販売してもよい。

本発明による換気さや型ケースは、様々な換気構造を有するタバコロッド系の喫煙品とともに使用される。チッピング紙に換気孔からなる１つ以上のリングまたは領域を含む従来のフィルターユニットを有する喫煙品について上述した。さや型ケースによって供される保護によって従来のものよりより広範囲に換気孔を分布させることが可能になる。広範囲に設けた孔は、さや型ケースがないと喫煙者によって少なくとも一部が塞がれやすく、従って換気率が意図していたレベルを下回ってしまう。本発明は、より多くの換気孔またはより広い領域に分布された従来の量の換気孔を使用する機会を与え、現在実現可能な換気構造の範囲を広げることができる。その利点は、リング、領域または孔によって提供される換気に限定されない。チッピング紙自体は、従来のチッピング紙より多孔性であってもよい。従来のフィルター付き喫煙品の場合、チッピング紙は喫煙中の指および口との接触に耐えられるような充分な強度を得るために実質的に非多孔性である。従ってチッピング紙の孔は換気のために採用されている。その代わりに換気さや型ケースを使用すれば、指と口はチッピング紙ではなく、さや型ケースと接触する。これにより多孔性のチッピング紙の使用が可能になり、空気がチッピング紙を介して直接フィルターに入り込むことができる。これにより換気孔単独で得られるものと異なる換気効果が得られ、また換気孔を設ける必要がなくなる。また換気孔と多孔性のチッピング紙との組み合わせも利用可能になる。さらに換気さや型ケースは、タバコロッドのペーパーラッパーに設けられた換気孔のように吸い口端にまたはその近くに換気手段をまたは吸い口端に巻かれた多孔性のペーパーを有するフィルターのない喫煙品に使用してもよい。まとめとしてラッパーがフィルムユニットに対するものかに関係なく吸い口端に透過性のラッパーを有するあらゆる喫煙品に本発明による換気さや型ケースを使用できる。

ある実施態様においてさや型ケースは喫煙品の製造時に加えられる。さや型ケースは、単独の物品として喫煙品と一緒に製造してもよく、またはさや型ケースと喫煙品を別個に製造して、最終製造段階で組み合わせてもよい。

さや型ケースは、内部部品を一片の平坦な材料に接着し、それから材料を丸めて実質的に円筒状になるように製造してもよい。これとは別にさや型ケースは、型の周囲に材料を予備成型して製造してもよい。またさや型ケースは、個別の単位に製造してもよく、または多くのさや型ケースユニットを含む長いセクションを作成し、その後切断してもよい。

他の実施態様ではさや型ケースは、喫煙者によって喫煙品に装着される。

欧州特許第１６０３８０号 英国特許第２０９０１１７号 欧州特許第１６８８０５２号 米国特許第４，４９８，４８７号 日本国特開２００４−２４８５７０号公報

Claims (9)

1. フィルター付き喫煙品とともに使用されるさや型ケースであって、このさや型ケースは、さや型ケースを喫煙品に取り付けやすくし、さや型ケースとフィルター付き喫煙品の間に外気が取り込まれるチャネルを供するための長手方向に延びたフィンからなるセクションを含み、前記フィンがさや型ケースの長さの一部に沿って延び、さや型ケースが所定の位置にあるときに喫煙品の外面と接触する小さい内径を有する環状のセクションをさらにさや型ケースが含むさや型ケース。
2. 前記フィンが喫煙品の外周と係合するための大きさの内径を形成するのに充分に内方に延びていることを特徴とする請求項１記載のさや型ケース。
3. 前記フィンが締まりばめによってさや型ケース内で喫煙品を保持するのに充分に内方に延びていることを特徴とする請求項１記載のさや型ケース。
4. 前記環状セクションが非空気透過性であることを特徴とする請求項１記載のさや型ケース。
5. 気体不透過性円柱管を含むことを特徴とする請求項１記載のさや型ケース。
6. 喫煙品に嵌め込まれることを特徴とする請求項１記載のさや型ケース。
7. 前記喫煙品が紙巻きタバコであることを特徴とする請求項１記載のさや型ケース。
8. 請求項１乃至７いずれかに記載のさや型ケースと、喫煙材ロッドとを含む喫煙品。
9. さらにフィルターを含むことを特徴とする請求項８記載の喫煙品。
   

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