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JP5740306B2 - メサラミン顆粒を用いて腸疾患を治療するための組成物および方法 - Google Patents

メサラミン顆粒を用いて腸疾患を治療するための組成物および方法 Download PDF

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Description

(関連する出願の参照)
本願は、2008年10月3日および2008年10月30日にそれぞれ出願された米国特許仮出願第61/102,807号および第61/109,708号に関する。これらの出願は、参照によりその全体を本明細書に援用するものとする。
潰瘍性大腸炎(UC)は、大腸粘膜における原因不明の非特異性炎症性疾患であり、慢性的に再発と緩解を繰り返す。急性症状としては、慢性下痢、直腸出血や腹痛が特徴的である。この疾患の重症度は、排便量と直接的な相関があり、これは、粘膜の炎症が亢進するにつれて、次第に大腸で水分や電解質を再吸収できなくなるためである。水分や電解質の損失は、脱水症状、体重減少や血清電解質異常につながる可能性がある。粘膜の炎症からびらんが形成され、最終的には直腸出血が起こる。多くの場合、病気の進行とともに、貧血や低アルブミン血症を発症する。また、粘膜の炎症によって平滑筋攣縮が起こり、これが便意切迫やしぶり腹(テネスムス)を引き起こす。全身症状としては、食欲不振、体重減少、疲労、発熱、赤血球沈降速度の上昇、関節炎、眼性炎症、不安障害、頻脈および肝機能検査(LFT)値の上昇などが挙げられる。
また潰瘍性大腸炎は、患者に深刻な精神的および社会的影響を与える。潰瘍性大腸炎の原因や病変形成は多元的であり、完全には理解されていないが、一説によると、粘膜の免疫系が異常に活性化することが発症原因であり、それにより炎症反応が起こるとされている。この異常な活性化に関する説は、発症に遺伝的素因および/または環境が関与することを示唆している。
潰瘍性大腸炎は、北欧および米国で最も多く報告されており、中東および南半球での症例報告は少なく、南米、アジアおよびアフリカでの報告はまれである。年間の発症率は10万人当たり10.4〜12.0人、有病率は10万人当たり35〜100人である。潰瘍性大腸炎は、年齢に関係なく発症するが、その発症率は、15〜25歳と55〜65歳がピークである。また、女性の発症率は男性に比べて30%高く、ユダヤ人の多い地域では発症率が高くなっている。潰瘍性大腸炎の治療目標は、緩解を誘導してこれを維持すること、および生活の質を向上させることである。
潰瘍性大腸炎を有する対象の中には、数か月または数年にもわたる緩解期(症状が消失している期間)を経験する例もある。しかし、ほとんどの症状は最終的に再燃する。活動期治療とは、潰瘍性大腸炎の症状が見られる時にそれらの症状を治療するために施される治療法である。維持療法とは、対象が緩解状態を維持できる、すなわち対象が無病のまま、または症状が抑えられた状態で健康を維持できるように施される治療法である。維持療法は長期間続ける必要がある。
潰瘍性大腸炎を治療するための経口メサラミン化合物の臨床的有効性は、メサラミン分子が消化による分解を受けずに完全な状態で大腸粘膜に送達されるかどうかにかかっている。現在、経口メサラミンによる治療は、3種類の送達システムに基づく。
(1)アゾカップリングを施すことにより、大腸で細菌にさらされると薬剤が遊離する(アザルフィジン、Dipentum(登録商標)カプセル(オルサラジン)およびバルサラジド)
(2)ポリマーコーティングを施すことにより、消化管において所望のpH値に達すると薬剤が放出される(Asacol(登録商標):メサラミン遅延放出錠)
(3)時間依存性放出型(Pentasa(登録商標)カプセル)
他の製剤では、メサラミンの放出量(早期放出を含む)、用量ダンピングの可能性、および胃内pHを上昇させてメサラミンの早期放出を引き起こす条件(例えば食事摂取)に対する感度が、製剤によってばらつくといった問題がある。
メサラミン製剤の例は、米国特許第6,277,412号、米国特許第6,551,620号および米国特許公開第2003/0133983号において確認できる。
潰瘍性大腸炎、憩室炎、クローン病および炎症性腸疾患などの腸疾患(BD)を有する対象が抱える苦痛の多くは、有効とされている薬物の現在入手可能な製剤を用いても十分に制御されているとは言えない。
本発明は、例えば炎症性の胃腸疾患、過敏性腸疾患、消化管運動障害、機能性胃腸疾患、胃食道逆流症(GERD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、憩室炎、炎症性腸疾患および胃不全麻痺などの胃腸疾患をメサラミン顆粒製剤を用いて治療するための組成物およびそれに関する方法を特徴とする。
本発明の一態様において、胃腸疾患を有する対象を治療する方法が提供され、該方法は、前記対象に有効量のメサラミン顆粒製剤を投与して前記対象を治療することを含む。
本発明の一実施形態において、前記対象における別のメサラミン製剤を用いて以前実施された治療は失敗している。
本発明の一実施形態において、胃腸疾患は、過敏性腸疾患、消化管運動障害、機能性胃腸疾患、胃食道逆流症(GERD)、クローン病、潰瘍性大腸炎(UC)、活動期の潰瘍性大腸炎、緩解期の潰瘍性大腸炎、憩室性疾患、炎症性腸疾患および胃不全麻痺からなる群より選ばれる。
本発明の一実施形態において、メサラミン顆粒製剤の有効量は1日当たり約0.5〜4gである。
本発明の一実施形態において、メサラミン顆粒製剤の有効量は1日当たり約1.5gである。
本発明の一実施形態において、メサラミン顆粒製剤の有効量は1日当たり約3gである。
本発明の一実施形態において、1.5gのメサラミン顆粒製剤は、1用量単位を375mgとし、その4単位として投与される。
本発明の一実施形態において、前記対象は胃腸疾患の緩解状態を維持する。
本発明の一実施形態において、前記対象は胃腸疾患の無再発状態を維持する。
本発明の一実施形態において、メサラミン顆粒製剤は1日1回投与される。
本発明の一態様において、潰瘍性大腸炎(活動期または緩解期)を有する対象を治療する方法が提供され、該方法は、前記対象に有効量のメサラミン顆粒製剤を1日1回投与して前記対象を治療することを含む。
本発明の一実施形態において、前記対象は潰瘍性大腸炎の緩解状態を維持する。
本発明の一実施形態において、前記対象は潰瘍性大腸炎の無再発状態を維持する。
本発明の一実施形態において、メサラミン顆粒製剤は遅延徐放製剤である。
本発明の一実施形態において、遅延徐放製剤は、回腸でメサラミンの放出を開始し、回腸末端部および大腸の全体にわたって継続的にメサラミンを放出する製剤を含む。
本発明の一態様において、胃腸疾患を有する対象を治療する方法が提供され、該方法は、5−ASAメサラミン非顆粒製剤による治療の失敗歴の有無を判定すること;およびこのような失敗に対応して、前記対象に有効量のメサラミン顆粒製剤を投与して前記対象を治療することを含む。
本発明の一態様において、胃腸疾患を有する対象を治療する方法が提供され、該方法は、別のメサラミン製剤による治療の失敗歴がある前記対象に有効量のメサラミン顆粒製剤を投与して前記対象を治療することを含む。
本発明の一態様において、胃腸疾患を有する対象を治療する方法が提供され、該方法は、前記対象に有効量のメサラミン顆粒製剤を1日朝1回経口投与して前記対象を治療することを含む。
本発明の一態様において、潰瘍性大腸炎を治療するまたはその緩解状態を維持する方法が提供され、該方法は、前記対象に約0.75〜4gのメサラミン顆粒製剤を1日朝1回経口投与することを含む。本発明の一実施形態において、約1.5gのメサラミン顆粒製剤が投与される。本発明の一実施形態において、約3gのメサラミン顆粒製剤が投与される。本発明の一実施形態において、メサラミン顆粒製剤は食事に関係なく服用される。本発明の一実施形態において、メサラミン顆粒製剤は食事と共にまたは食事なしで服用される。本発明の一実施形態において、メサラミン顆粒製剤は制酸剤と一緒には投与されない。本発明の一実施形態において、1.5gのメサラミン顆粒製剤は4つのカプセル剤を含む。本発明の一実施形態において、4つのカプセル剤はそれぞれ0.375gのメサラミンを含む。本発明の一実施形態において、4つのカプセル剤はそれぞれ約0.25〜0.45gのメサラミンを含む。
本発明の一実施形態において、前記方法は、メサラミン顆粒製剤の投与前に腎機能の評価を実施することをさらに含む。
本発明の一実施形態において、前記対象がサリチル酸塩またはアミノサリチル酸塩に対する過敏症を有する場合、当該治療は禁忌である。
本発明の一実施形態において、メサラミン顆粒製剤は局所作用型のアミノサリチル酸塩である。
本発明の一実施形態において、メサラミン顆粒製剤は徐放製剤である。
本発明の一実施形態において、「徐放」は大腸管腔の全体にわたって放出が行われることを包含する。
本発明の一実施形態において、遅延放出はpH5.7〜7程度で放出が行われることを包含する。
本発明の一実施形態において、遅延放出はpH6程度で放出が行われることを包含する。
本発明の一実施形態において、前記対象における別のメサラミン製剤を用いた治療は失敗している。
本発明の一実施形態において、前記対象は無再発状態を維持する。
本発明において、対象(例えばヒト)における潰瘍性大腸炎の緩解状態の維持に適用される局所作用型のアミノサリチル酸塩(例えばメサラミン顆粒製剤)が提供される。本発明の一実施形態において、前記対象は成人のヒトである。本発明の他の実施形態において、前記対象は幼少または若年のヒトである。本発明の一実施形態において、メサラミン顆粒製剤は、潰瘍性大腸炎の緩解状態を維持するために18歳以上の対象に投与される。
本発明の一実施形態において、メサラミン顆粒製剤である4つのカプセル剤は、食事と共にまたは食事なしで1日1回朝、昼、晩のいずれかに(例えば1.5g/日)投与される。本発明の好ましい一実施形態において、メサラミン顆粒製剤であるカプセル剤は、食事と共にまたは食事なしで1日朝1回(例えば1.5g/日)投与される。本発明の一実施形態において、メサラミン顆粒製剤は、制酸剤と一緒には投与されない。これは、メサラミン顆粒製剤のコーティングの溶解や該製剤の溶解はpHに左右されるからである。
本発明の一実施形態において、メサラミン顆粒製剤は、それぞれ0.375gのメサラミンを含む徐放カプセル剤として投与される。本発明の一実施形態において、成人の対象における潰瘍性大腸炎の緩解状態の維持に必要な投与量は、1.5g(4つのメサラミン顆粒製剤)であり、これを食事に関係なく1日朝1回経口的に投与する。
本発明の特定の実施形態においては、サリチル酸塩、アミノサリチル酸塩またはメサラミン顆粒製剤中のいずれかの成分に対して過敏症を有する対象には、メサラミン顆粒製剤を投与してはならない。
本発明の特定の実施形態においては、前記対象に、メサラミン顆粒製剤の投与により腎機能障害を発症する可能性があることを通知する。本発明の一実施形態において、前記対象の腎機能の評価が治療の開始時に実施される。本発明の一実施形態において、腎機能の評価がメサラミンによる治療の開始前に実施される。本発明の他の実施形態において、前記対象の腎機能の評価が治療中定期的に実施される。本発明の特定の実施形態においては、前記対象に、大腸炎症状の急性増悪が起こる可能性があることを通知する。本発明の特定の実施形態においては、前記対象に対して、腎臓病を有する対象にメサラミン顆粒製剤を使用する際には注意が必要であることを通知する。本発明の特定の実施形態においては、メサラミン顆粒製剤が投与されている高齢の対象に対し血球数のモニタリングを行う。本発明の特定の実施形態においては、前記対象に、メサラミン顆粒製剤がアスパルテームを含有することを通知する。
本発明の特定の実施形態においては、前記対象に対して、肝臓病を有する対象にメサラミン顆粒製剤を使用する際には注意が必要であることを通知する。
本発明の一実施形態において、前記対象に、メサラミン顆粒製剤の投与に伴う副作用があることを通知する。本発明の一実施形態において、前記副作用(発症率3%以上)は、例えば、頭痛、下痢、上腹部痛、悪心、上咽頭炎、インフルエンザまたはインフルエンザ様疾患、副鼻腔炎などを包含する。本発明の一実施形態において、メサラミン顆粒製剤は0.375gのメサラミンを含有する徐放カプセル剤を含む。本発明の一実施形態において、メサラミン顆粒製剤は0.375gのメサラミンを含有する遅延徐放カプセル剤を含む。
本発明の一実施形態において、前記対象に、メサラミンは時に炎症性腸疾患の再発と識別するのが難しい急性の不耐性症候群を伴うことを通知する。症状としては、例えば、痙攣、急性の腹痛および出血性下痢などが挙げられ、時に発熱、頭痛、および発疹なども起こる。本発明の一実施形態において、急性の不耐性症候群が疑われる場合、メサラミン顆粒製剤を用いた治療を直ちに中止するよう前記対象に通知する。
本発明の一実施形態において、前記対象に、スルファサラジンに対して過敏性反応を示したことのある対象はメサラミン顆粒製剤に同様の反応を示す可能性があることを通知する。
本発明の別の実施形態において、前記対象に、in vitro試験に基づく予測によれば、メサラミン顆粒製剤がCYP1A2、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6またはCYP3A4の基質となる薬剤の代謝を阻害しないことを通知する。
本発明の一実施形態において、前記対象に、低濃度のメサラミンおよびそれよりは高濃度のそのN−アセチル代謝物がヒト母乳で検出されていることを通知する。
本発明の別の実施形態において、前記対象に対して、メサラミン顆粒製剤の臨床試験に65歳以上の対象が十分な人数含まれていなかったため、65歳以上の対象が若年の対象とは異なる反応を示すか否かについては判断できていないことを通知する。本発明の別の実施形態において、前記対象に対して、メサラミン顆粒製剤を高齢の対象に処方する際には、肝機能、腎機能または心機能の低下および合併症が高い頻度で起こること、または他の薬物治療が実施されている可能性が高いことを考慮する必要がある旨通知する。
本発明の別の実施形態において、前記対象に、メサラミン含有製品を服用していた65歳以上の対象においては、血液疾患(すなわち好中球減少症や汎血球減少症)の発症率が高くなることを通知する。本発明の一実施形態において、前記対象に、メサラミンによる治療中、血球数の入念なモニタリングに注意を払う必要があることを通知する。
本発明の別の実施形態において、前記対象に、メサラミンを用いたラットおよびウサギの生殖試験ではメサラミンによる受精率の低下や胎児への悪影響を示す所見はなかったことを通知する。
本発明の一実施形態において、前記対象に、メサラミン過剰服用に対する特異的な解毒剤はないが、サリチル酸塩毒性に対する治療法が急性の過剰服用の際には有用な場合があることを通知する。この治療法には、嘔吐や必要なら胃洗浄によってさらなる消化管吸収を防ぐことが包含される。体液や電解質の平衡異常が生じている場合は、適切な静脈内治療の適用により正常な状態に戻す必要がある。十分な腎機能を維持しておく必要がある。
本発明の一実施形態において、前記対象および/または医療従事者に、メサラミン顆粒製剤がpH依存性遅延放出製品であり、過剰服用の疑いがある場合はこの因子を考慮して治療する必要があることを通知する。
本発明の一実施形態において、メサラミン顆粒製剤は、経口投与用の遅延徐放型剤形を含むカプセル剤を包含する。本発明の一実施形態において、カプセル剤は、USP規格に準じた抗炎症薬であるメサラミン(5−アミノサリチル酸:5−ASA)を1個当たり0.375g含有する。
本発明の一実施形態において、前記対象および/または医療従事者に、制酸剤と共にメサラミン顆粒含有カプセル剤を服用すべきではないことを通知する。これは、制酸剤がメサラミン顆粒製剤の溶解プロセスに影響を与える可能性があるからである。
本発明の一実施形態において、前記対象に、潰瘍性大腸炎の症状が悪化した際には医療従事者に連絡するよう通知する。これは、症状の悪化がメサラミン顆粒製剤に対する反応が原因である可能性があるからである。
本明細書において、腎機能障害は、微小変化型ネフローゼ、急性および慢性間質性腎炎、ならびにまれではあるが、腎不全を包含する。
本明細書において、サリチル酸塩毒性症状は、例えば吐血、頻呼吸、過呼吸、耳鳴症、聴覚消失、嗜眠、てんかん、錯乱および呼吸困難を包含する。重度の中毒症状が現れると、電解質や血液pHの平衡異常が生じたり、他の臓器(例えば、腎臓および肝臓)へも影響が波及する可能性がある。
別の実施形態において、本発明は、胃腸疾患の治療としてメサラミン顆粒を投与する方法であって、対象にコルチコステロイドを処方した後メサラミン顆粒を処方した場合、有害事象の発生が抑えられる旨医療従事者および/または対象に通知すること;および胃腸疾患を治療するために患者にメサラミン顆粒を投与することを含む方法を提供する。
本発明の関連した実施形態において、胃腸疾患は潰瘍性大腸炎である。本発明の関連した別の実施形態において、前記有害事象は潰瘍性大腸炎に関連した有害事象である。
別の実施形態において、本発明は、胃腸疾患を有しかつコルチコステロイドが投与された対象における有害事象の発生を抑える方法であって、前記対象にメサラミン顆粒を投与することを含み、これにより有害事象の発生を抑える方法を提供する。
本発明の関連した実施形態において、胃腸疾患は潰瘍性大腸炎である。本発明の関連した別の実施形態において、前記有害事象は潰瘍性大腸炎に関連した有害事象である。
本発明の関連した実施形態において、前記対象にメサラミン顆粒が1日1回投与される。本発明の一実施形態において、1日1回のメサラミン顆粒の投与量は1.5gであるが、例えば、375mgのメサラミン顆粒を含むカプセル剤を4カプセル投与することも可能である。
別の実施形態において、本発明は、胃腸疾患を有する対象を治療する方法であって、対象の粘膜スコアが低い場合、胃腸疾患の緩解状態を維持する確率が最も高い旨医療従事者および/または前記対象に通知すること;および胃腸疾患を治療するために患者にメサラミン顆粒を投与することを含む方法を提供する。
本発明の関連した実施形態において、胃腸疾患は潰瘍性大腸炎である。本発明の関連した別の実施形態において、低い粘膜スコアは0である。
本発明の他の態様および実施形態は以下に記載される。
患者の内訳を示すフローチャートである。 処置6ヶ月目/処置終了時における無再発患者の割合(%)を示す。主要有効性解析において、図2Aでは、試験を中止した患者は、有効性の欠如または潰瘍性大腸炎関連の有害事象が理由である場合のみ治療の失敗に含め、図2Bでは、試験を中止した患者は理由を問わず治療の失敗に含めた。 ITT集団における処置期間中の再発までの時間の推定値をKaplan−Meier法により示す。
当然のことながら、以上の一般的な記載および以下の詳細な記載はいずれも単なる例示や説明にすぎず、請求項に記載の本発明を限定するものではない。
実施例において後述するが、2回実施した無作為二重盲検プラセボ対照の第3相試験において、6ヶ月間無再発状態を維持した患者数は、プラセボよりメサラミン顆粒を服用した場合の方が多く(79%vs62%;p<0.001)、メサラミン顆粒の服用により、潰瘍性大腸炎を発症するリスクも52%軽減された(プラセボ群に対するメサラミン顆粒服用群の再発リスクの危険率は0.48であった(95%CI 0.35、0.66))。この解析により、潰瘍性大腸炎の再発に関わる予後因子が、メサラミン顆粒に対する反応性の維持にどれほどの潜在的な影響を及ぼすのか検討した。
また、独立して2回実施した無作為二重盲検プラセボ対照の試験において、潰瘍性大腸炎の緩解期にあると判定された患者(改変サザーランド疾患活動性指数[DAI]の直腸出血サブスコアが0かつ粘膜外観サブスコアが<2である)を無作為に2:1に分けて、片方に1.5gのメサラミン顆粒カプセル製剤を、もう一方にプラセボを1日1回6ヶ月間服用させた。有効性の主要評価項目は、6ヶ月間の処置後に無再発状態を維持していた患者の割合である(再発とは、DAIにおける直腸出血サブスコアが1以上かつ粘膜外観サブスコアが2以上であること、試験の中止につながる潰瘍性大腸炎の再発や潰瘍性大腸炎の症状が現れること、または潰瘍性大腸炎を治療するために先に使用していた薬物による治療を開始することと定義する)。緩解の維持に関わる予後因子は、ベースラインの人口統計学的特性および疾患特性を包含し、例えば年齢;性別;DAI合計スコアと、排便回数、粘膜外観および医師の評価におけるDAIのサブスコア;コルチコステロイド前処置の有無;直近の再発までの時間;および罹患期間が挙げられ、これらを共変量解析により評価した。
人口統計学的特性およびベースラインにおける疾患特性は両群間で類似していた(メサラミン顆粒:n=373、プラセボ:n=189)。再発の独立予測因子は、DAIスコア(p=0.0217)、排便回数サブスコア(p=0.0106)、粘膜外観スコア(p=0.0007)、医師による潰瘍性大腸炎の包括的評価スコア(p=0.0136)、国(p=0.0018)、および5−ASA前処置の有無(p=0.0066)を包含した。これらの予後因子をコントロールした結果、1.5gのメサラミン顆粒の1日1回の投与により、再発のリスクはプラセボより有意に軽減され、52%減少した(オッズ比、0.48;95%CI、0.322〜0.711;p=0.0003)。この共変量解析において、緩解状態の維持に最も影響のある予後因子は、DAIの粘膜サブスコアであった(p=0.0014)。
また、1.5gのメサラミン顆粒の1日1回の服用は、潰瘍性大腸炎の緩解状態の長期的な維持においてプラセボより効果があることが臨床的に証明された(6ヶ月間無再発状態である対象の割合(%):79%vs58%[P<0.001])。6ヶ月目に実施した医師による疾患活動性評価においてベースラインから臨床的に良好な変化を示した対象の割合が、プラセボよりメサラミン顆粒を服用した方が高いことが示された(78%vs64%[P=0.005])。また、メサラミン顆粒を服用した対象の方が、6ヶ月後に無再発状態を維持している確率がプラセボより高かった(77%vs56%[P<0.001])。
別の試験により、メサラミン顆粒を1日1回投与しても、2回投与しても、薬物動態プロファイルおよび体内吸収量は同程度であることが示された。また、メサラミン顆粒の体内の総吸収量は少なく、別の試験でも見られるように、投与前に高脂肪食を摂取しても本質的には変化しなかった。1日1回のメサラミン顆粒の服用が食事と共にまたは食事なしで行えることから、患者のコンプライアンスおよび治療の成功率が向上する可能性がある。
本願において単数は、特に明記しない限り、複数を包含する。本願において「または」という用語は、特に明記しない限り、「および/または」を意味する。さらに、「含む」、「包含する」および「包含される」などの用語は、非限定的であることを意味する。また、「要素」または「成分」などの用語は、特に明記しない限り、1つのユニットを含む要素および成分、ならびに1を超える数のサブユニットを含む要素および成分を包含する。また、「一部」という用語は、ある部分の全体またはその中の一部を包含しうるものである。
本明細書で用いられる項目見出しは、単に体系化するためのものであって、本明細書に記載される本発明の主題を限定するものと解釈すべきではない。本願に引用された文書または文書の一部はすべて、あらゆる目的のために、その全体が参照により本明細書に援用される。前記文書としては、特許、特許出願、論説、書籍および論文などが挙げられるが、これらに限定されない。
「投与」または「投与する」は、所望の機能を発揮させるためにメサラミン顆粒製剤を対象に導入する方法を包含する。用いられる投与経路としては、注射(皮下、静脈内、非経口、腹腔内、髄腔内など)、経口、吸入、直腸内、経皮などが挙げられる。医薬製剤は、各投与経路に適した形態で提供される。医薬製剤は、例えば錠剤またはカプセル剤、注射剤、吸入剤、洗眼剤、点眼剤、軟膏剤、坐薬などの形態で投与され、注射、点滴または吸入による投与;ローションまたは軟膏剤による局所投与;坐剤による直腸内投与などが例として挙げられる。注射はボーラス投与であってもよく、持続注入であってもよい。メサラミン顆粒製剤が所望の機能を発揮できなくなる恐れのある自然条件にさらされないように、投与経路に応じて、メサラミン顆粒製剤を厳選された物質でコーティングしてもよく、また該物質内に内包してもよい。メサラミン顆粒製剤は、単独で投与してもよく、または上記した1以上の別の薬剤および/もしくは薬学的に許容される担体と共に投与してもよい。メサラミン顆粒製剤は、別の薬剤の投与前に、該薬剤と同時に、または該薬剤の投与後に投与してもよい。さらにメサラミン顆粒製剤は、体内で活性代謝物またはより活性のある活性代謝物に変換されるプロ体の形態で投与してもよい。
1以上の別の薬剤と「共に投与」は、同時投与および連続投与(投与順序は問わず)を包含する。
当業者には明らかであるが、in vivoにおける有効投与量および個々の投与方法は、年齢、体重、治療対象となる哺乳類の種類、使用する個々の化合物、および使用する化合物の特定の用途に応じて異なるものである。有効量のレベル、すなわち所望の効果を得るのに必要な量のレベルは、通常の薬理学的手法により当業者が決定できるものである。一般に、製品をヒトへ臨床応用する際には、低い用量から始めて、所望の作用が得られるまで用量を増やしていく。
本明細書で用いられる「担体」は、使用量および使用濃度において細胞または哺乳類に対して無毒でありかつ薬学的に許容される担体、賦形剤または安定化剤を包含する。多くの場合、生理学的に許容される担体は水性pH緩衝液である。生理学的に許容される担体としては、リン酸塩、クエン酸塩および他の有機酸などの緩衝剤;アスコルビン酸などの酸化防止剤;低分子(10残基未満程度の)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンまたはリジンなどのアミノ酸;グルコース、マンノースまたはデキストリンを含む単糖類、二糖類およびその他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;マンニトールまたはソルビトールなどの糖アルコール;ナトリウムなどの塩形成対イオン;および/またはTWEEN、ポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤などが挙げられる。
「有効量」は、所望の効果を得るのに有効である、すなわち所望の効果を得るために用量および期間の観点から必要である量を包含し、例えば、患者または対象において潰瘍性大腸炎もしくは他のメサラミン関連疾患の治療または予防に十分な量を意味する。メサラミン顆粒製剤の有効量は、対象の病状、年齢および体重、ならびに対象において所望の反応を引き出すメサラミン顆粒製剤の効力などの要因によって異なる可能性がある。最適な治療反応が引き出されるよう用法を調整してもよい。また有効量は、メサラミン顆粒製剤による有益な治療効果があらゆる毒性作用または有害作用(例えば副作用)を上回る量でもある。
「緩和する」、「緩和」、「改善」などの用語は、対象または少なくとも一部の対象、例えば少なくとも約2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、100%またはこれらの値から選ばれる任意の2つに近い値で挟まれる範囲の対象における検出可能な改善または改善に相応する検出可能な変化を意味する。このような改善または変化は、メサラミン顆粒による治療を受けていない対象より、治療を受けた対象において認められる場合がある。治療を受けていない対象は、同一または類似の疾患、症状、徴候などを有しているか、またはこれらにかかりやすい。疾患、症状、徴候または評価パラメータの改善は、例えば対象による自己評価、臨床医による評価、適切な評価または測定によって主観的にまたは客観的に判定することができる。例えば、対象における生活の質の評価、病気または症状の進行の遅延、病気または症状の重症度の低下、または生体分子や細胞の量またはその活性を測定するのに適した評価、または潰瘍性大腸炎の検出などが挙げられる。
緩和は、一時的、長期的、永続的のいずれであってもよく、メサラミン顆粒製剤を対象に投与した後もしくはその投与期間、またはメサラミン顆粒製剤を本明細書または引用文献に記載の評価系またはその他の方法において使用した後もしくはその使用期間において適度な回数変化しうるものであってもよい。上述した「期間」とは、例えば、メサラミン顆粒製剤の投与または使用の1時間程度後を起点にして、対象が処置を受けてから28日程度または1、3、6、9ヶ月以上経過した時点までの期間である。
本明細書において、「対象」は、メサラミン顆粒により治療可能な腸疾患などの疾患にかかる可能性のある生物体、またはそれ以外にも本明細書に記載のメサラミン顆粒の投与が有効であると考えられる生物体を包含し、例えばヒトおよびヒト以外の動物などが挙げられる。好ましいヒト動物はヒト対象を包含する。本発明の「ヒト以外の動物」は、すべての脊椎動物、例えば哺乳類(例えばげっ歯類(例えばマウス))および非哺乳類を含み、例えばヒト以外の霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、ニワトリ、両生類、爬虫類などを包含する。腸疾患にかかりやすいとは、腸疾患を発症するリスクを有する対象を包含するものとする。
本発明の一実施形態において、本明細書で開示され、本明細書に記載の方法において用いられるメサラミン顆粒製剤は、Asacol(登録商標)などのメサラミン製剤よりも多くの活性物質(メサラミン)をより長時間にわたって治療上の作用部位(例えば回腸末端部および大腸)に直接放出するとともに全身での利用効率がカプセル化していないメサラミン顆粒より低くなるように製剤化されてもよい。本発明の一実施形態において、メサラミンは7時間程度にわたって放出される。
本発明の一実施形態において、メサラミン顆粒製剤は、例えばメサラミン顆粒製剤を内包する硬ゼラチンカプセルシェルを含み、内包されるメサラミン顆粒製剤としては、例えば、内側のポリマーマトリクスメサラミンコアに対して、最外側にフレーバーコーティング、次いで中間コーティング、最内側にpH依存性(遅延)放出を可能にする腸溶性コーティングを施したものが挙げられる。この最内側のコーティングは、例えばpH6以上で溶解するが、胃では溶解しない。これは、胃液のpHが空腹時で1であり、食事中でもpH4程度であるためである。
本発明の一実施形態において、最内側コーティングが溶解した後、メサラミン顆粒のポリマーマトリクスコアは、メサラミン(治療上の活性成分)が大腸管腔において一様にゆっくりと放出され分布するメカニズムを提供する。放出プロファイルおよび別の薬物動態データによれば、メサラミン顆粒製剤のペレット剤は、全身での吸収率および吸収量が比較的低く抑えられており、薬剤の85〜90%が病変部位に送達される。
メサラミン顆粒製剤は、潰瘍性大腸炎を有する対象の標的部位に対して直接かつ長時間にわたって活性物質を放出するため、本発明の製剤は特に1日1回の用法において有効に作用する。
本明細書において、再発または治療の失敗は、サザーランドDAIにおける直腸出血スコアが1以上かつ粘膜外観スコアが2以上であることを包含する。
製品
本発明の別の実施形態は、例えば、メサラミン顆粒を経口投与するのに適した医薬組成物を保持する容器と、潰瘍性大腸炎などの胃腸疾患の治療の失敗歴がある患者に特定の剤形をいつ投与すべきかが記載されている印刷された指示ラベルとを含む製品を包含する。潰瘍性大腸炎を患う対象に投与するために用量を変更してもよく、またこの場合、潰瘍性大腸炎を患う対象への投与に適したラベルを包含してもよい。剤形および投与方法の例を以下に記載する。前記組成物は適当な容器に内包されており、前記容器は、剤形の保持および注出が可能であって、前記組成物と有意に相互作用せず、適切なラベルと近接した位置関係にあればいかなるものでもよい。ラベルの指示は、上記した治療方法に合致しているものであってよい。ラベルは容器に添付されていてもよく、これには、容器とラベルが近接した位置関係を維持できる任意の方法が用いられる。例えば、以下に限定されないが、箱または収縮フィルム樹脂などの包装材に容器とラベルが包含されていてもよい。またラベルは指示を伴っていてもよく、ラベルの指示が見にくくならないような接着剤、またはその他の接着・保持方法などによって容器に接着されていてもよい。
本発明の別の態様は、メサラミン顆粒を含有する医薬組成物を内包する容器を含む製品である。前記容器は、好ましくは単位剤形としてのメサラミン顆粒組成物を保持しており、メサラミン顆粒の投与により潰瘍性大腸炎の緩解期、または再発までの時間が延長される可能性があることを知らせる印刷された指示ラベルを伴う。
本発明の一実施形態において、指示は、処方医師、薬剤師または対象に対して、潰瘍性大腸炎を治療するためのメサラミン顆粒を処方する前に、対象に潰瘍性大腸炎などの胃腸疾患の治療の失敗歴があるか否かを判定するよう通知または忠告するものである。本発明の別の実施形態において、指示は、対象および/または医療従事者に対して、プラセボよりメサラミン顆粒を服用した対象で緩解期、または再発までの時間が延長されることを通知するものである。
パッケージ化された構成でも提供され、このような構成は治療上有効な量のメサラミン顆粒カプセル剤を含んでもよい。本明細書においてキットも提供され、例として対象の胃腸疾患を治療するためのキットが挙げられる。キットには、例えば、メサラミン顆粒カプセル剤、およびメサラミン治療の失敗歴を有し潰瘍性大腸炎を有する対象を治療する際の使用に関する指示が含まれていてもよい。使用に関する指示は、用法、用量、保管などに関する情報を含んでもよい。
メサラミン顆粒製剤
メサラミン製剤は、Dr. Falk Pharma社の米国特許第6,277,412号および第6,551,620号ならびに米国特許公開第2003/0133983号に記載されている。米国特許第6,277,412号および第6,551,620号ならびに米国特許公開第2003/0133983号の内容はすべて、参照により本明細書に援用される。
本発明の一実施形態において、メサラミン顆粒製剤は、例えばメサラミン、アスパルテーム、クエン酸、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、微結晶セルロース、ポビドン、シメチコンエマルジョン、タルク、二酸化チタン、クエン酸トリエチル、バニラエッセンス、ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:1、ポリ(アクリル酸エチル−メタクリル酸メチル)およびヒプロメロースを含む。本発明の一実施形態において、カプセル化したメサラミン顆粒製剤はさらにカプセル、例えば、サイズ「00」の硬ゼラチンカプセルシェル、に充填されている。
本発明の一実施形態において、メサラミン顆粒カプセル剤はそれぞれ、例えば、pH6以上で溶解する腸溶性コーティングを有するポリマーマトリクス中のメサラミンから構成される顆粒を含有する。メサラミン顆粒カプセル剤の非活性成分として、例えばコロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、微結晶セルロース、シメチコンエマルジョン、アクリル酸エチル/メタクリル酸メチル共重合体のノノキシノール100分散液、ヒプロメロース、メタクリル酸共重合体、タルク、二酸化チタン、クエン酸トリエチル、アスパルテーム、無水クエン酸、ポビドン、バニラエッセンスおよび食用の黒インクから選ばれる1以上の物質が含まれていてもよい。
本明細書に記載の方法において、メサラミン顆粒製剤の組成物は、経口投与用の遅延徐放型剤形である硬カプセル剤に充填されていてもよい。カプセル剤は、例えばUSP規格に準じた抗炎症薬であるメサラミン(5−アミノサリチル酸:5−ASA)を1個当たり0.375g含有してもよい。メサラミンの構造式は以下の通りである。
分子量:153.135
分子式:CNO
本明細書に記載の方法に有用なメサラミン顆粒製剤は、例えば、メサラミン顆粒、回腸末端部および大腸が示すpHである6以上で溶解するpH依存性コーティング、ならびに回腸末端部および大腸の管腔の全体にわたってメサラミンをゆっくり一様に分布させるポリマーマトリクスコアを含む。この製剤は、回腸末端部に到達するまでメサラミンを放出しないことから遅延放出型であり、また、回腸末端部および大腸の全体にわたって継続的にメサラミンを放出することから徐放型でもある。このような放出プロファイルは、潰瘍性大腸炎、クローン病および憩室炎などの腸疾患の治療に特に有利である。
また上記の製剤は非活性成分を含有していてもよく、例として、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、微結晶セルロース、30%シメチコンエマルジョンを乾燥させたもの、2%ポリ(アクリル酸エチル−メタクリル酸メチル)のノノキシノール100分散液(Eudragit NE40D)を乾燥させたもの、ヒプロメロース、ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:1(Eudragit L100)、タルク、二酸化チタン、クエン酸トリエチル、アスパルテーム、無水クエン酸、ポビドン(K25)、バニラエッセンスおよび食用の黒インクなどを含むカプセル剤が挙げられる。
5−ASAの作用機序は不明であるが、特殊な科学的理論による制約を受けない限り、5−ASAは全身よりもむしろ局所的に腸粘膜に作用するとみられる。慢性の炎症性腸疾患を有する対象においては、シクロオキシゲナーゼ経路によるアラキドン酸代謝物(例えばプロスタノイド)、およびリポキシゲナーゼ経路によるアラキドン酸代謝物(例えばロイコトリエン、ヒドロキシエイコサテトラエン酸)の生成量が粘膜で増加しており、5−ASAはアラキドン酸代謝物の生成を阻害することによって、炎症を抑制する可能性がある。
治療方法
本明細書では、メサラミン顆粒製剤の投与により、胃腸疾患を患っているまたは胃腸疾患にかかりやすい対象を治療する方法について説明する。本明細書に記載の通りにメサラミン顆粒製剤を投与することによって、胃腸疾患を有する対象における治療有効性が向上する。有効性の向上は、活動期の疾患のみならず疾患の再発防止または緩解状態の維持にもみられ、例えば活動期の潰瘍性大腸炎や緩解期の潰瘍性大腸炎もこれに該当する。本発明の方法により治療可能な胃腸疾患としては、過敏性腸疾患などの炎症性の胃腸疾患、消化管運動障害、機能性胃腸疾患、胃食道逆流症(GERD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、憩室炎、炎症性腸疾患および胃不全麻痺などが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書に記載の方法におけるメサラミン製剤の治療上有効量は、約0.5〜4g/日または約1〜3g/日を包含し、具体的には約1.5g/日または約3g/日である。メサラミン製剤の治療上有効量および用法は、錠剤、カプセル剤または顆粒を1日1回4つずつ投与することを包含する。前記錠剤、カプセル剤または顆粒(例えば、サシェ(分包袋)に詰められた形態または詰められていない形態)はそれぞれ1個当たり約375mgのメサラミンを含む。例えば、メサラミン顆粒製剤における1.5gのメサラミンは、メサラミン顆粒を含有する4つのカプセル剤として投与される。
本発明の別の態様は、治療を必要とする対象をメサラミン顆粒製剤を用いて治療する方法に関する。このような治療を必要とする対象の判定は、対象または医療従事者の判断により行うことが可能であり、主観的(例えば個人の見解)または客観的(例えば、検査または診断法により測定可能なもの)に行うことができる。本発明は、具体的な実施形態において、別のメサラミン製剤による治療の失敗歴の有無を確認することによって、メサラミン顆粒製剤による治療を必要とする対象を判定することに関する。
本明細書において、治療上有効量とは、ヒトまたはヒト以外の対象への投与により症状の緩和などの治療効果をもたらすことのできる量を意味する。具体的には、対象において潰瘍性大腸炎の症状を抑えたり、または潰瘍性大腸炎の緩解状態を維持するのに有効な量である。具体的な実施形態において、メサラミン顆粒製剤は、対象に1日1回投与してもよい。
特定の好ましい実施形態において、メサラミン顆粒製剤の1日用量は、約1〜4gの範囲にある。具体的には、メサラミン顆粒製剤の用量として、本明細書の実施例に約1.5g/日または約3g/日が例示されている。本発明の方法において、これ以外の適切な用量を医療従事者または対象が決定してもよい。メサラミン顆粒製剤の1日用量は、対象の体重、年齢、健康状態、性別または病状に基づき増減してもよい。当業者であれば、本発明の開示に基づいて対象のための適切な用量を決定することができるだろう。
本発明のメサラミン顆粒製剤に関して、特定の疾患または症状の治療のための有効量は、疾患または症状の性質によって異なるものであるが、標準的な臨床的手法により決定することができる。また製剤における正確な用量も、投与経路、および疾患や障害の重症度によって異なるものであり、医師の判断や各対象の状況に応じて決定する必要がある。
メサラミン顆粒製剤の1日の合計用量は、約1〜4g/日の範囲とすることができる。例えば、本発明のメサラミン顆粒製剤における成人の1日の合計用量は、一般に約0.75〜2gの範囲にあり、この範囲にある任意の整数または小数であってよい。カプセル剤または錠剤は、1個当たり約250、275、375、450、525、550、575、750、800または1000mgのメサラミン顆粒製剤を含むよう製剤化されてもよい。本発明の一実施形態において、カプセル剤または錠剤は1個あたり約375mgのメサラミン顆粒を含有する。
本発明の一実施形態において、メサラミン顆粒製剤は、薬学的に許容される製剤として対象に投与される。本発明の一実施形態において、米国特許第6,277,412号もしくは第6,551,620または米国特許公開第2003/0133983号に記載のメサラミン顆粒が患者に投与されるが、この実施形態におけるメサラミン顆粒は、カプセル剤の形態である点で有利である。例えば、メサラミン顆粒製剤は、0.375gのメサラミンを含む徐放カプセル剤であってよい。例えば、メサラミン顆粒製剤は、0.375gのメサラミンを含む遅延徐放型カプセル製剤であってよい。
本発明の一実施形態において、メサラミン顆粒製剤は局所作用型のアミノサリチル酸塩である。本発明の別の実施形態において、メサラミン顆粒製剤は、潰瘍性大腸炎の緩解状態を維持する。例えば成人および子供において緩解状態が維持される。本明細書において成人は、例えば、18歳以上の対象を含む。メサラミン顆粒製剤は、活動期の潰瘍性大腸炎を治療するために投与されてもよい。本発明の一実施形態において、メサラミン顆粒製剤は、活動期の症状が緩和されるまで投与される。本発明の別の実施形態において、メサラミン顆粒製剤は疾患が活動期にある間継続的に投与され、緩解状態を維持するためにその後も続けて投与される。
本発明の一実施形態において、メサラミン顆粒製剤は、単位剤形(例えば丸剤、カプセル剤、錠剤、サシェ(分包製剤)、顆粒)を4つ含み、これらを1日1回服用する。1日1回の服用は、例えば朝、昼、晩、夜のいずれであってもよい。
本発明の一実施形態において、朝は、例えば午前3時頃〜正午頃までを含む。朝は、例えば起床から正午までの時間であってもよい。
本発明の一実施形態において、昼は、例えば正午頃から午後6時頃までを含む。昼は、例えば昼食時から午後6時頃までの時間であってもよい。
本発明の一実施形態において、晩は、例えば午後6時頃から午前3時頃までを含む。晩は、例えば夕食時から就寝までの時間であってもよい。
本発明の一実施形態において、夜は、例えば午後8時頃〜午前4時頃までを含む。夜は、例えば日没後の外が暗い間の時間であってもよい。
本発明の一実施形態において、メサラミン顆粒製剤は食事に関係なく服用してもよく、例えば、食事と共にまたは食事なしで服用してもよい。
例えば、本発明の一実施形態において、メサラミン顆粒製剤は制酸剤と一緒には投与されないこともある。制酸剤はメサラミン顆粒製剤の溶解プロセスに影響を与える可能性があるので、制酸剤と一緒にメサラミン顆粒製剤を服用しないことは有利かもしれない。
本発明の別の実施形態において、1.5gのメサラミン顆粒製剤は1日朝1回投与される。
本発明のさらなる実施形態において、1.5gのメサラミン顆粒製剤は、食事と共にまたは食事なしで1日朝1回投与される。例えば、メサラミン顆粒製剤は、食事前、食事後または食事中に服用してもよい。メサラミン顆粒製剤は、例えば空腹時または満腹時に服用してもよい。
本発明の別の実施形態において、1.5gのメサラミン顆粒製剤は、食事と共にまたは食事なしで、制酸剤を伴わずに1日朝1回投与される。
以下に実施例を記載するが、本発明はこれらによって限定されるものと解釈されるべきでなく、むしろ、本明細書に記載のすべての応用、および通常の技能の範囲内において変更を加えたすべての等価物を包含するものと解釈されるべきである。
<実施例1>
薬物動態
吸収
絶食下の健康な被験者を対象に、1.5gのメサラミン顆粒製剤を経口で単回投与および反復投与するクロスオーバー試験を実施し、投与後、5−ASAおよびその代謝物であるN−アセチル−5−アミノサリチル酸(N−Ac−5−ASA)の薬物動態を調べた。反復投与期間では、各被験者は0.375gのメサラミン顆粒を含むカプセル剤を4カプセル(合計1.5g)、24時間ごとに(QD:1日1回)7日間連続で服用した。トラフ濃度に基づいて判断したところ、QD投与の6日目に定常状態に達した。
メサラミン顆粒製剤の単回投与および反復投与において、投与後4時間程度経過した時点で血漿中の濃度が最大値を示した。反復投与における定常状態では、5−ASAおよびN−Ac−5−ASAの全身曝露量(AUC0−24値)が、メサラミン顆粒製剤を単回投与した場合よりやや増加していた(それぞれ1.5倍および1.7倍)。
絶食下の健康な被験者における、1.5gのメサラミン顆粒製剤の単回投与後と定常状態の薬物動態パラメータを表1に示す。
別の試験(n=30)において、投与後96時間にわたる5−ASAとN−Ac−5−ASAを合わせた尿中累積排泄量から、絶食下では投与量の約32±11%(平均±SD)が全身に吸収されることがわかった。
30名の健康な被験者において、メサラミン顆粒(メサラミン顆粒カプセル剤に包含されているものと同じ顆粒)の吸収に対する高脂肪食摂取の影響を調べた。本試験は、クロスオーバー試験で実施し、被験者は一晩絶食または高脂肪食摂取後、サシェに内包された1.6gのメサラミン顆粒(0.8g×2)を服用した。食事を摂取した場合、5−ASAおよびN−Ac−5−ASAのtmaxはそれぞれ4時間および2時間延長された。5−ASAのCmax値は、高脂肪食摂取の影響を受けなかったが、5−ASAの尿中累積排泄量は27%増加した。N−Ac−5−ASAの総吸収量は、高脂肪食の影響を受けなかった。メサラミン顆粒製剤とサシェ内のメサラミン顆粒が生物学的に同等であったことから、メサラミン顆粒製剤は食事に関係なく服用できると言える。
分布
in vitro試験において、濃度2.5μg/mLでは、メサラミンおよびN−Ac−5−ASAのそれぞれ43±6%および78±1%が血漿タンパク質に結合した。N−Ac−5−ASAが1〜10μg/mLの濃度範囲にある時、N−Ac−5−ASAとタンパク質との結合に濃度依存性は認められなかった。
代謝
メサラミンの主要な代謝物は、N−アセチル−5−アミノサリチル酸(N−Ac−5−ASA)である。この代謝物は、N−アセチルトランスフェラーゼの作用により肝臓および腸粘膜内で生成される。
排泄
メサラミン顆粒製剤を単回投与および反復投与した際の平均半減期は、5−ASAで9〜10時間、N−Ac−5−ASAで12〜14時間であった。投与量の約32%が吸収され、このうち投与量の約2%は尿中にそのまま排泄され、投与量の約30%はN−Ac−5−ASAとして排泄された。
in vitro薬物間相互作用試験
ヒト肝臓ミクロソームを用いたin vitro試験において、5−ASAおよびその代謝物であるN−Ac−5−ASAは、評価した主要なCYP酵素(CYP1A2、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6およびCYP3A4)を阻害しないことが示された。従って、メサラミンおよびその代謝物は、CYP1A2、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6またはCYP3A4の基質となる他の薬剤の代謝を阻害するものとは考えられない。
発癌性試験、変異原性試験および生殖毒性試験
食餌由来のメサラミンに関して、ラットでは480mg/kg/日、マウスでは2000mg/kg/日において発癌性は認められなかった。これらの量は、体表面積を基準とした場合、メサラミン顆粒カプセル剤のヒト推奨投与量である1.5g/日(体重50kgと仮定した場合、30mg/kgまたは1110mg/mに相当)に対してそれぞれ約2.6倍および約5.4倍にあたる。メサラミンは、エイムス試験法、マウスリンフォーマ細胞(L5178Y/TK+/−)を用いた正突然変異試験、チャイニーズハムスター骨髄試験における姉妹染色分体交換アッセイ、およびマウス骨髄小核試験においていずれも陰性であった。またメサラミンは、経口用量にして最大320mg/kg(体表面積を基準とした場合、ヒト推奨投与量の約1.7倍に相当)まで、ラットの受精能力や生殖能力に影響を与えないことが分かった。
動物毒性および/または動物薬理
腎毒性
メサラミンを用いた動物実験(ラットの13週および26週経口毒性試験、ならびにイヌの26週および52週経口毒性試験)から、腎臓がメサラミン毒性の主要な標的器官であることが分かっている。ラットでは、40mg/kg/日の経口用量(体表面積を基準とした場合、ヒト投与量の約0.20倍)では尿細管に対する損傷はほとんど見られず、見られた場合でもごくわずかであったが、160mg/kg/日(体表面積を基準とした場合、ヒト投与量の約0.90倍)以上では、尿細管の変性、尿細管の石灰化および腎乳頭壊死などの腎臓病変が見られた。イヌでは、60mg/kg/日(体表面積を基準とした場合、ヒト投与量の約1.1倍)以上の経口用量で尿細管萎縮、間質細胞浸潤、慢性腎炎および腎乳頭壊死などの腎臓病変が見られた。
過剰投与
マウスおよびラットでは、それぞれ800mg/kg(体表面積を基準とした場合、ヒト推奨投与量の約2.2倍)および1800mg/kg(体表面積を基準とした場合、ヒト推奨投与量の約9.7倍)のメサラミン単回経口用量は致死量であり、胃腸毒性および腎毒性を示した。
<実施例2>
メサラミン顆粒は、別の5−ASA治療から切り替えた潰瘍性大腸炎を有する対象において緩解状態を維持する
以下の試験より、別の5−ASA製品から切り替えた潰瘍性大腸炎(UC)を有する被験者が1.5gのメサラミン顆粒を1日1回服用した場合、プラセボと比較して緩解状態が維持されることが実証された(無再発状態の被験者の割合:78%vs59%[P<0.001])。またこれらの被験者において、6ヶ月後に無再発状態を維持している確率はプラセボより高かった(累積の無再発確率:77%vs50%[P<0.001])。
潰瘍性大腸炎の緩解期にあると判定された被験者(n=487)(改変サザーランド疾患活動性指数により判定)に、1.5gのメサラミン顆粒(375mg含有カプセル剤4つ)またはプラセボを1日1回6ヶ月間服用させた。メサラミン顆粒を服用した被験者については以下の結果が得られた。
全体として、10名中約8名の被験者が、6ヶ月後に潰瘍性大腸炎の緩解状態を維持していた(78%vsプラセボ59%[P<0.001])。
サブセット分析によれば、先の5−ASAから切り替えた305名の被験者においては、6ヶ月後に無再発状態を維持している確率がより高かった(77%vs50%[P<0.001])。
<実施例3>
メサラミン顆粒は患者の服用遵守を向上させる
試験を中止した被験者数は、プラセボ服用群(43%)より、メサラミン顆粒服用群(28%)の方が少なく、中止理由は、病気の再発(12%vsプラセボ20%)や有害事象(11%vsプラセボ16%)であった。メサラミン顆粒群とプラセボ群とで有害事象として最もよく見られたのは、潰瘍性大腸炎性の再発(11%vs24%)、頭痛(11%vs8%)および下痢(8%vs7%)であった。腎臓、肝臓および膵臓における有害事象の発生率は、メサラミン顆粒群(6%)およびプラセボ群(5%)のいずれも低く同程度であった。重篤な有害事象が現れた被験者の割合(%)は、メサラミン顆粒群(1%)およびプラセボ群(2%)のいずれも低く、メサラミン顆粒群で報告された有害事象は、薬剤の投与に関連するものとは認められなかった。
<実施例4>
メサラミン顆粒製剤の吸収および分布における食事の影響
別の薬物動態試験において、5−ASAの吸収に対する食物摂取の影響を調べた。本試験は、クロスオーバー試験で実施し、健康な被験者に一晩絶食または高脂肪食摂取後、1.6gのメサラミン顆粒(0.8g×2)を服用させた。高脂肪食を摂取した場合、メサラミンおよびN−Ac−5−ASAのTmaxはいずれも延長された。未変換データのための80%:125%基準に基づいて判断すると、摂食条件下と絶食条件下の血漿Cmax値は、メサラミン、N−Ac−5−ASAともに同程度であった。高脂肪食を摂取した場合、メサラミンのAUC0−inf値およびAUC0−last値においてわずかな増加が見られた(それぞれ11%および16%)。
メサラミンおよびそのN−アセチル代謝物の総吸収率および総吸収量は、高脂肪食による影響を受けなかった。
メサラミン顆粒を投与した場合、メサラミンの経口用量の約80%が、大腸、S状結腸および直腸で利用できると推定される。
<実施例5>
潰瘍性大腸炎の緩解期に関する試験
本試験は、潰瘍性大腸炎の緩解期にある562名の成人被験者を対象として実施した。潰瘍性大腸炎の疾患活動性は、サザーランド疾患活動性指数1(DAI)を改変したもの(以下、改変サザーランド疾患活動性指数とする)を用いて評価した。この疾患活動性指数は、排便回数、直腸出血、内視鏡検査による粘膜外観、および医師による疾患活動性の評価に基づく4つのサブスコアの合計として表される。各サブスコアは0〜3の範囲で、合計スコアは最大で12である。
ベースラインにおけるDAIの合計スコアは、被験者の約80%が0または1.0であった。被験者を無作為に2:1に分けて、片方にはメサラミン顆粒製剤1.5gを、もう一方にはプラセボを1日朝1回6ヶ月間服用させた。本明細書において、再発は、例えば、サザーランドDAIにおける直腸出血サブスケールスコアが1以上かつ粘膜外観サブスケールスコアが2以上であることを包含する。包括解析により、6ヶ月間の処置期間終了時に無再発状態を維持していた被験者の割合を比較した。本試験を2回実施したところ、いずれの場合も、6ヶ月間無再発状態を維持していた被験者の割合は、プラセボよりメサラミン顆粒製剤の方が高かった。
<実施例6>
定常状態における血漿中濃度の測定およびメサラミン製剤ASACOL(登録商標)との比較
max値により求められる5−ASAおよびN−Ac−5−ASAの定常状態における血漿中濃度は、メサラミン顆粒製剤を1日2回投与(BID)した場合に比べて、1日1回投与した場合(QD)の方が高かった。
5−ASAとN−Ac−5−ASAのいずれも、最大血漿中濃度への到達時間は、メサラミン顆粒製剤を1日2回投与した場合より、1日1回投与した場合の方が短かった(5−ASA:平均3.96時間vs11.00時間、N−Ac−5−ASA:平均5.21時間vs11.68時間)。
3処置3期の試験において、各処置期間の間には最低でも7日間の休薬期間を設けた。各処置は以下の通りであり、いずれも経口で行った。
処置A:Asacol(登録商標)800mg(400mg錠剤×2)を1日2回4日間投与
処置B:メサラミン顆粒製剤800mgを1日2回4日間投与
処置C:メサラミン顆粒製剤1600mg(800mg×2)を1日1回4日間投与
各被験者に対し、3回設けた4日間の処置期間において処置A、BおよびCを一つずつ実施した。
血漿中濃度
糞便中に薬剤未放出のAsacol(登録商標)が含まれる被験者数が原因であると思われるが、メサラミン顆粒製剤群と比較して、Asacol(登録商標)群では、4日目の定常状態における推定Cmax値および推定AUC値により求められる5−ASAおよびN−Ac−5−ASAの全身曝露量において、被験者間で相当のばらつきが見られた。メサラミン顆粒製剤を1日2回投与した場合および1日1回投与した場合(メサラミン顆粒製剤1日2回投与:CV=39.0%、メサラミン顆粒製剤1日1回投与:55.0%)より、Asacol(登録商標)投与群(CV=129.7%)の方が、被験者間のCmax値のばらつきは大きかった。被験者間のばらつきにおける同様の傾向が、5−ASAおよびN−Ac−5−ASAのAUC値においても認められた。
表3に薬物動態データをμmol単位で示す。この試験により、Cmax値により求められる5−ASAおよびN−Ac−5−ASAの定常状態における血漿中濃度が、メサラミン顆粒製剤を1日2回投与した場合より、1日1回投与した場合の方が高いことが示された(比率はそれぞれ153%および118%;5−ASAにおいてはp=0.022)。絶食下の被験者に1600mgのメサラミン顆粒製剤を投与した場合の5−ASAおよびN−Ac−5−ASAのT1/2値は、それぞれ5.49時間および10.05時間であったことから、2つの化合物の血漿中濃度は定常状態にあると考えられた。
5−ASAとN−Ac−5−ASAのいずれも、最大血漿中濃度への到達時間は、メサラミン顆粒製剤を1日2回投与した場合より、1日1回投与した場合の方が短かった(5−ASA:平均3.96時間vs11.00時間、N−Ac−5−ASA:平均5.21時間vs11.68時間)。
a.CmaxおよびAUCに関して、対数変換値における分散分析(混合効果モデル)で得られたp値とともに、処置間の差異を幾何平均比として示す。
b.処置AおよびBにおいてはAUCC値を示し、処置CにおいてはAUC0−24値を示す。
c.処置間の差異の中央値ならびに90%の信頼区間におけるその上限値および下限値を示す。
a.CmaxおよびAUCに関して、対数変換値における分散分析(混合効果モデル)で得られたp値とともに、処置間の差異を幾何平均比として示す。
b.Cmax値およびAUC値は、0.153を乗じて、単位をμmol/Lおよびμmol・h/Lからμg/mLおよびμg・h/mLに変換した。
c.Cmax値およびAUC値は、0.195を乗じて、単位をμmol/Lおよびμmol・h/Lからμg/mLおよびμg・h/mLに変換した。
d.AUC値は、処置AおよびBにおいてはAUCC値を示し、処置CにおいてはAUC0−24値を示す。
AUC=AUC0−12×(1+(AUC12−24/AUC0−12))
e.中央値(上限値、下限値)
Asacol(登録商標)800mgを1日2回4日間投与し、メサラミン顆粒製剤についても800mgを1日2回4日間投与した。またメサラミン顆粒製剤については、1600mgの1日1回4日間投与も実施した。処置A(Asacol(登録商標))を施した被験者の約50%において、完全にまたは部分的に原形を保ったAsacol(登録商標)錠剤が糞便試料中に認められ、該試料中からこれを除去した。このため、また本試験における分析では糞便試料中の遊離メサラミン量と総メサラミン量を区別できないことから、処置A(Asacol(登録商標))とメサラミン顆粒製剤処置との定量的な比較はできなかった。
メサラミン顆粒製剤を1日1回投与した場合と1日2回投与した場合を比較したところ、5−ASAおよびN−Ac−5−ASAの全身曝露量は同程度であることが示された。しかし、5−ASAの最大血漿中濃度は、1日1回投与した場合の方が高く(比率=153、p=0.022)、最大血漿中濃度への到達時間も短かった(3.96時間vs11.00時間)。最大濃度への到達時間は、メサラミン顆粒製剤を1日1回投与した場合に比べて、1日2回投与した場合の方が大幅に長かった(5−ASAおよびN−Ac−5−ASAのいずれも、中央値として16時間vs3時間)。この到達時間は、1日2回投与の場合、1回目の投与を起点として計測されており、2回目の投与はその12時間後に実施されることから、Tmaxの中央値が16時間であったということは、1日2回投与のうち2回目の投与の約4時間後に最大血漿中濃度に到達したことを意味する。これは、1日1回投与した場合に投与の約3時間後に最大血漿中濃度に到達することと合致する。
Asacol(登録商標)800mgを1日2回投与した場合と、メサラミン顆粒製剤1600mgを1日1回または2回投与(全量1日1回投与、または800mgずつ1日2回投与)した場合の、5−ASAおよびN−Ac−5−ASAの糞便中累積排泄量、尿中累積排泄量および全身曝露量に対する影響を調べる試験も実施した。
処置期間はそれぞれ4日間で、各処置期間の間には少なくとも7日間の休薬期間を設けた。
処置A(Asacol(登録商標))を施した被験者の約50%において、完全にまたは部分的に原形を保ったAsacol(登録商標)錠剤が糞便試料中に認められ、該試料中からこれを除去した。メサラミン顆粒製剤群を比較したところ、5−ASAの最大血漿中濃度は、1日1回投与した場合の方が高く(比率=153、p=0.022)、最大血漿中濃度への到達時間も短い(3.96時間vs11.00時間)ことが示された。
最大濃度への到達時間は、メサラミン顆粒製剤を1日1回投与した場合に比べて、1日2回投与した場合の方が大幅に長かった(5−ASAおよびN−Ac−5−ASAのいずれも、中央値として16時間vs3時間)。
健康な成人ボランティアに経口で1日1回投与(1600mgを1日1回投与)したメサラミン顆粒ペレット剤は、安全性、忍容性ともに良好であった。Cmax値により求められる5−ASAおよびN−Ac−5−ASAの定常状態における血漿中濃度は、メサラミン顆粒製剤を1日2回投与した場合より、1日1回投与した場合の方が高いことが示された。絶食下の被験者に1600mgのメサラミン顆粒製剤PK1002を試験薬剤として投与した場合の5−ASAおよびN−Ac−5−ASAのT1/2値は、それぞれ5.49時間および10.05時間であったことから、2つの化合物の血漿中濃度は定常状態にあると考えられた。5−ASAとN−Ac−5−ASAのいずれも、最大血漿中濃度に到達する時間は、メサラミン顆粒製剤を1日2回投与した場合より、1日1回投与した場合の方が短かった(5−ASA:平均3.96時間vs11.00時間、N−Ac−5−ASA:平均5.21時間vs11.68時間)。
<実施例7>
用法の比較と潰瘍性大腸炎の緩解期に対する効果
処置I:Salofalk(登録商標)顆粒1.5gを1日目および4〜10日目に1日1回朝に経口投与。2日目と3日目は投与しない。
処置II:Salofalk(登録商標)顆粒3.0gを1日目および4〜10日目に1日1回朝に経口投与。2日目と3日目は投与しない。
処置III:Salofalk(登録商標)顆粒0.5gを1〜6日目に1日3回経口投与。7日目の朝に最終投与を行う。
処置IV:Salofalk(登録商標)顆粒1.0gを1〜6日目に1日3回経口投与。7日目の朝に最終投与を行う。
3gのメサラミン顆粒製剤の1日1回投与も、1gのメサラミン顆粒製剤の1日3回投与も、活動期の潰瘍性大腸炎を有する被験者に対して有効であった。これにより、3gのメサラミン顆粒製剤を1日朝1回投与した場合も、1gのメサラミン顆粒製剤を1日3回投与した場合に劣らないことが証明された。
先に使用した錠剤よりSalofalk(登録商標)顆粒の方が被験者に好まれた。被験者の大多数は、1日3回より1日1回の用法を好んだ。
3gのメサラミン顆粒製剤の1日1回の投与(QD)は、安全性、忍容性のいずれも良好であった。1gのメサラミン顆粒製剤を1日3回投与した場合と比較しても、安全性および忍容性において、特に潜在的な尿細管毒性に関して、不利な点は認められなかった。
* 非劣性マージン:15%
** 3gのメサラミン顆粒製剤1日1回投与−1gのメサラミン顆粒製剤1日3回投与;漸近信頼区間
Shifted asymptotic χ2 test (シフトχ2分布による漸近近似検定)
略語:
包括解析(ITT)
1日1回投与(ODまたはQD)vs1日3回投与(TID)
観測値の片側p値(PP)
* 非劣性マージン:15%
** 3gのメサラミン顆粒製剤1日1回投与−1gのメサラミン顆粒製剤1日3回投与
* 非劣性マージン:15%
** 3gのメサラミン顆粒製剤1日1回投与−1gのメサラミン顆粒製剤1日3回投与
PP解析およびITT解析セットのいずれにおいても、最終/試験中止の来院時における臨床的緩解率は、1gのメサラミン顆粒製剤を1日3回服用した被験者より、3gのメサラミン顆粒製剤を1日1回服用した被験者の方が高かった。最終解析における2つの緩解率を比較するためのシフトχ2分布による漸近近似検定によれば、評価可能な被験者すべてを対象としたPP解析およびITT解析セットのいずれにおいても、全体での片側p値は0.0001未満であった。
投与量および投与方法:
3.0gのメサラジン(1500mgのSalofalk(登録商標)顆粒)を1日1回投与(QD)。被験者に対して、それぞれ1.5gのメサラジンを包含するサシェ2包を朝に、1.0gのプラセボを包含するサシェ1包を正午と晩に経口投与した。
最終/試験中止の来院時における臨床的緩解率は、1gのメサラミン顆粒製剤を1日3回服用した被験者より、3gのメサラミン顆粒製剤を1日1回服用した被験者の方が高かった。両者の比較により有意差が生じることが分かった。3gのメサラミン顆粒製剤の1日1回投与も、1gのメサラミン顆粒製剤の1日3回投与も、活動期の潰瘍性大腸炎を有する被験者に対して有効であった。これにより、3gのメサラミン顆粒製剤を1日朝1回投与した場合も、1gのメサラミン顆粒製剤を1日3回投与した場合に劣らないことが証明された。
臨床的緩解率(CAI)−ベースラインにおける重症度(CAI)の影響
PP解析およびITT解析セットのいずれにおいても、ベースラインにおけるCAIが8より高い被験者より、CAIが8以下の被験者の方が臨床的緩解率が高かった。ベースラインにおけるCAIが8以下という被験者のサブグループにおいて処置群を比較したところ、1gのメサラミン顆粒製剤1日3回服用した被験者より、3gのメサラミン顆粒製剤1日1回服用した被験者の方が高い緩解率を示した。このような差異は、ベースラインにおけるCAIが8より高い被験者では認められなかった。
臨床的緩解率の疾患の局在性に対する依存性はほとんど認められなかった。PP解析およびITT解析セットにおいて、左側大腸炎を有する被験者に対して、直腸S状結腸炎を有する被験者およびほぼ全域にわたる大腸炎(subtotal colitis)/全大腸炎を有する被験者で最も高い緩解率が認められた。直腸S状結腸炎を有する被験者のサブグループにおいて処置群を比較したところ、1gのメサラミン顆粒製剤を1日3回服用した被験者より、3gのメサラミン顆粒製剤を1日1回服用した被験者の方が高い臨床的緩解率を示した。
特殊な科学的理論による制約を受けない限り、1日1回投与した方が、より遠位の大腸により多くの活性物質が送達される可能性がある。左側大腸炎を有する被験者およびほぼ全域にわたる大腸炎/全大腸炎を有する被験者のいずれにおいても、1gのメサラミン顆粒製剤を1日3回投与した場合より、3gのメサラミン顆粒製剤を1日1回投与した場合の方が緩解率が高かった。
臨床症状の最初の解消までに要する時間
PP解析およびITT解析セットのいずれにおいても、臨床症状の最初の解消が見られるまでの平均(SD)時間(Lofberg法に従う:排便3回/日以下;すべて潜血なし)に、処置群による差異は見られなかった(PP解析においては、3gのメサラミン顆粒製剤を1日1回投与した場合:14.9(14.5)日、n=147;1gのメサラミン顆粒製剤を1日3回投与した場合:15.0(13.3)日、n=149。ITT解析においては、3gのメサラミン顆粒製剤を1日1回投与した場合:14.9(14.6)日、n=161;1gのメサラミン顆粒製剤を1日3回投与した場合:15.0(13.5)日、n=158)。
時間事象分析によれば、臨床症状の最初の解消までに要する時間の中央値は、1gのメサラミン顆粒製剤を1日3回服用した対象より、3gのメサラミン顆粒製剤を1日1回服用した対象の方が小さかった。
<実施例8>
メサラミン顆粒(1.5g)を1日1回投与した患者における潰瘍性大腸炎の緩解状態の維持に対する予後因子の影響
1.5gのメサラミン顆粒(GM)を1日1回投与することにより、対象における無再発期間が延長されることが分かった。二重盲検プラセボ対照の第3相試験(RCT)を2回実施したところ、6ヶ月間無再発の状態を維持した患者数は、プラセボより1.5gのメサラミン顆粒を服用した場合の方が多かった(79.4%vs63.0%;オッズ比、2.261;95%CI 1.535〜3.331;p<0.0001)。患者は、375mgのメサラミン顆粒を含有するカプセル剤4つとして、1.5gのメサラミン顆粒を服用した。この解析により、潰瘍性大腸炎の再発に関わる予後因子の潜在的な影響を検討し、次いでプラセボに対するメサラミン顆粒の予防効果を検討する。
独立して2回実施したRCTで潰瘍性大腸炎の緩解期にあると判定されプールされた患者(N=562)(改変サザーランド疾患活動性指数[DAI]の直腸出血サブスコアが0かつ粘膜外観サブスコアが<2である)を無作為に2:1に分けて、片方に1.5gのメサラミン顆粒を1日1回(N=373)、もう一方にプラセボ(N=189)を6ヶ月間服用させた。有効性の主要評価項目は、6ヶ月間の処置後に無再発状態を維持していた患者の割合である(再発とは、DAIにおける直腸出血サブスコアが1以上かつ粘膜外観サブスコアが2以上であること、試験の中止につながる潰瘍性大腸炎の再発や潰瘍性大腸炎の症状が現れること、または潰瘍性大腸炎を治療するために先に使用していた薬物による治療を開始することと定義した)。潰瘍性大腸炎の再発に関与する可能性のある予後因子は、ベースラインの人口統計学的特性および疾患特性を包含し、例えば年齢;性別;DAI合計スコアと、排便回数、粘膜外観および医師の評価におけるDAIのサブスコア;直近の再発までの時間;および罹患期間が挙げられ、これらを共変量解析を用いて評価した。
人口統計学的特性およびベースラインにおける疾患特性は両群間で類似していた。再発の独立予測因子は、DAIスコア(p=0.0217)、排便回数サブスコア(p=0.0106)、粘膜外観スコア(p=0.0007)および医師による潰瘍性大腸炎の包括的評価スコア(p=0.0136)を包含した。これらの予後因子を多変量解析においてコントロールした結果、緩解状態の維持に最も影響のある予後因子は、DAIの粘膜サブスコア(p=0.0032)であった。また、緩解状態の維持に対するメサラミン顆粒の効果については、無再発患者の割合がプラセボより高いという結果であった(オッズ比、2.089;95%CI、1.407〜3.103;p=0.0003)。
予後因子をコントロールした結果、1.5gのメサラミン顆粒の1日1回の投与は、6ヶ月の処置期間において潰瘍性大腸炎の緩解状態を長期的に維持するという点で有意な予防効果を示すことがわかった。最も影響のある予後因子は、ベースラインにおける粘膜スコアであった。重要かつ競合する予後因子が存在したにもかかわらず、メサラミン顆粒は、プラセボより無再発患者の割合を有意に増大させた。
<実施例9>
コルチコステロイド投薬後の患者にメサラミン顆粒(1.5g)処置を施すと、緩解状態が長期的に維持されるだけでなく、潰瘍性大腸炎関連の有害事象の発生率も低くなる
また、先にコルチコステロイドの投薬を受けて、1日1回メサラミン顆粒による処置を受けた場合、6ヶ月間無再発状態を維持した患者数がプラセボを上回る(77%vs55%;p<0.004)ことがわかった。患者は、375mgのメサラミン顆粒を含有するカプセル剤4つとして、1.5gのメサラミン顆粒を服用した。多くの場合、潰瘍性大腸炎の緩解期にあってコルチコステロイドの投薬を受ける患者は、ステロイドの用量を減らしていく過程またはステロイド投薬を中止してからすぐに症状が再発するので、この結果は興味深い。24ヶ月の非盲検延長試験(OLT)に参加したステロイド投薬被験者から集めたデータを解析し、潰瘍性大腸炎の症状および他の安全性パラメータに対するメサラミン顆粒の長期的な影響を評価する。
独立して2回実施したRCTで潰瘍性大腸炎の緩解期にあると判定されプールされた患者(N=562)(改変サザーランド疾患活動性指数[DAI]の直腸出血サブスコアが0かつ粘膜外観サブスコアが<2である)を無作為に2:1に分けて、片方に1.5gのメサラミン顆粒(N=373)を、もう一方にプラセボ(N=189)を1日1回6ヶ月間服用させた。これらの試験において、158名の潰瘍性大腸炎患者(メサラミン顆粒:n=105;プラセボ:n=53)が、試験開始前に、再発した潰瘍性大腸炎を治療するためまたは潰瘍性大腸炎の緩解状態を維持するためにコルチコステロイドの投薬を受けていた(スクリーニングの30日以上前に投薬、経口ステロイド:78%、浣腸剤:23%および発泡製剤/坐剤:4%)。メサラミン顆粒を服用した被験者のうち74名は、OLTに参加してメサラミン顆粒の服用を最長30ヶ月間継続した。
コルチコステロイドサブ集団において、メサラミン顆粒は、二重盲検で実施した6ヶ月間の処置期間を通じて潰瘍性大腸炎の処置中の有害事象(TEAE)および潰瘍性大腸炎関連の症状(血便および排便回数の増加)の発生リスクを軽減した(危険率0.508、95%CI 0.307、0.842;p=0.0086)。OLTにおいても、潰瘍性大腸炎および潰瘍性大腸炎の症状の再発率の低さはこのまま維持された。このサブ集団における有害事象の発生率は、関連した処置中の有害事象(3.0vs2.1)、重篤な有害事象(0.025vs0.06)および試験の中止につながる有害事象(0.075vs0.06)に関して、RCTにおいてはメサラミン顆粒処置とプラセボ処置とで同程度であったが、OLTにおいてはメサラミン顆粒処置を施した患者の方が低くなった。1日1回の用法の平均コンプライアンスは、二重盲検で実施した6ヶ月間の処置期間において>96.7%であり、OLTにおいては>96.3%であった。
コルチコステロイドの投薬を受けた後、RCTにおいてメサラミン顆粒を服用した(1.5gを1日1回服用)潰瘍性大腸炎患者は、RCTにおいて潰瘍性大腸炎関連の有害事象の発生率が低かった。この発生リスクの低さは、OLTの30ヶ月を通じて維持された。
潰瘍性大腸炎の緩解状態にある患者(メサラミン顆粒:n=209、プラセボ:n=96)(改変サザーランド疾患活動性指数[SDAI]の直腸出血サブスコアが0かつ粘膜外観サブスコアが<2である)に、1.5gのメサラミン顆粒またはプラセボを1日1回最長6ヶ月間服用させた。主要評価項目は、6ヶ月目(処置終了時)における無再発患者の割合であった。再発とは、SDAIにおける直腸出血スコアが1以上かつ粘膜外観スコアが2以上であること、潰瘍性大腸炎が再発すること、または再発した潰瘍性大腸炎を治療するために先に使用していた薬物による治療を開始することと定義した。
包括解析においても(78.9%vs58.3%、P<0.001)、補足として行ったより保守的な解析(この解析では、試験を途中で中止した患者はすべて、その理由に関わらず再発した患者数に含めて評価を行った)においても(68%vs51%、P<0.001)、6ヶ月目(処置終了時)における無再発患者の割合は、プラセボよりメサラミン顆粒の方が高かった。プラセボよりメサラミン顆粒の方が効果があるとする統計学的有意差(p≦0.008)が、以下に示すほぼすべての副次有効性評価項目においても認められた:1、3および6ヶ月目/処置終了時のSDAIの直腸出血スコア、医師による疾患活動性の評価および排便回数それぞれのベースラインからの各レベルの変化量を示した患者の割合(%);6ヶ月目/処置終了時のSDAIのベースラインからの平均変化量;治療成功として分類された患者の割合(%);および無再発期間。これ以外の副次有効性評価項目、すなわちSDAIの粘膜外観スコアにおけるベースラインからの各レベルの変化量を示した患者の割合に関しては、数値としてはメサラミン顆粒の方に効果がみられたが、P≦0.05の水準においてはその効果は有意でなかった(P=0.098)。いずれの処置群でも10%以上の患者で報告された有害事象は、潰瘍性大腸炎の悪化(メサラミン顆粒:11%、プラセボ:27%)と頭痛(メサラミン顆粒:11%、プラセボ:7%)のみであった。
<実施例10>
メサラミン顆粒カプセル剤の1日1回の投与は有効性を示した
1.5gのメサラミン顆粒の1日1回の投与は、安全性が良好であるとともに、潰瘍性大腸炎の緩解状態を長期的に維持する点でプラセボより効果的であることがわかった。患者は、375mgのメサラミン顆粒を含有するカプセル剤4つとして、1.5gのメサラミン顆粒を服用した。メサラミン顆粒の投与により、患者の約80%(209名のうち165名)が緩解状態を6ヶ月間維持した。
潰瘍性大腸炎は慢性的に再発と緩解を繰り返す炎症性腸疾患である。この疾患にかかると、患者の生活の質が低下するとともに日常活動が妨げられ、さらに大腸癌などの他の消化器疾患の発病や死亡のリスクが高くなる。症状や粘膜炎症の緩解状態を長期的に維持することが、この疾患の治療法の主要目標である。緩解状態を効果的に維持することによって、合併症のリスクが抑えられ、手術の必要性も減り、患者の健康と機能的能力が改善される。潰瘍性大腸炎を有する患者の緩解状態を誘導および維持するための主要な治療薬である5−アミノサリチル酸(5−ASA;メサラミン)は、消化管粘膜に局所的に作用して複数の炎症反応を阻害する。送達システムが異なる5−ASA経口剤がいくつか開発されているが、いずれも大腸への薬物送達を最大限にし、体内吸収を最小限にすることを目的としている。現在、時間依存性およびpH依存性の送達システムが利用可能であり、例として、大腸で細菌にさらされることによって5−ASAを遊離するアゾカップリングを施したプロドラッグが挙げられる。潰瘍性大腸炎の緩解状態を維持する目的で使用される場合、5−ASA剤は、様々な用法で投与されるが、いずれも一日複数回の投与が慣例となっている。このような投与は、治療スケジュールの非遵守につながる可能性があり、これが潰瘍性大腸炎再発の主要な要因となっている。
本発明の一実施形態において、メサラミン顆粒は、それぞれ0.375gのメサラミンを含有する徐放カプセル剤4つとして1日1回投与される。ゼラチンカプセル剤は溶解して胃で数千個の顆粒を放出する。1つ1つの顆粒に施された遅延放出コーティングは、消化管でよく示される値であるpH6以上で溶解する。各メサラミン顆粒の遅延放出コーティングが溶解すると、徐放型ポリマーマトリクスコアが膨張し、メサラミンが徐々に大腸全体にわたって分布する。1日1回の投与量で数千個の顆粒が放出され、メサラミンは保護されたまま、メサラミンを放出するための十分な表面積が24時間にわたって提供される。
本試験の対象は、1〜12ヶ月の期間軽度から中程度の潰瘍性大腸炎の緩解状態にあると確定診断されており、スクリーニング前1〜12ヶ月以内に治療を要する症状が少なくとも1回再燃しており、スクリーニング前30日以内にステロイドも免疫抑制剤も投薬されていない18歳以上の男性および18歳以上の妊娠中や授乳中でない女性であった。緩解状態(緩解期)とは、以下に記載の改変サザーランド疾患活動性指数(SDAI)において、スクリーニング時の直腸出血スコアが0(出血なし)、かつスクリーニング時のS状結腸鏡検査による粘膜外観スコアが0(腸線のねじれの有無によらず粘膜は無傷である)または1(粘膜に発赤や血管パターンの消失が認められ、細顆粒状になっているが出血はない)であると定義した。除外基準には以下が含まれる:免疫機能低下の兆候が認められる場合;スクリーニング前30日以内に免疫抑制療法を受けるか、コルチコステロイドが投薬された場合;先に盲腸炎手術以外の大腸の手術を受けている場合;血液検査でヒト免疫不全ウイルスまたはB型もしくはC型肝炎に対して陽性である場合;消化管に関する感染性疾患、虚血性疾患または免疫性疾患がある場合;標準域の上限値の1.5倍に相当する血清クレアチニン値または血中尿素窒素値が認められる腎臓病を有する場合;および標準域の上限値の2倍に相当するアラニン・アミノトランスフェラーゼ(ALT)値、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)値、アルカリフォスファターゼ(ALP)値または総ビリルビン値が認められる肝臓病を有する場合。全患者が書面によるインフォームド・コンセントを提出した。
この無作為二重盲検プラセボ対照の第3相試験のための計画書は、試験実施施設の治験審査委員会により承認された。本試験は、無作為割付前1週間以内に終了するスクリーニング段階、および最長6ヶ月間の処置段階を含む。スクリーニング段階で選択基準を満たした患者は、2:1に無作為割り付けされ、二重盲検に基づき、片方の群は1.5gのメサラミン顆粒(それぞれ0.375gのメサラミンを含有する4つのカプセル剤)を、もう一方の群は同量のプラセボを処置段階において1日1回最長6ヶ月間服用した。
処置段階には、無作為割付を実施する1日目(ベースライン)、ならびに1ヶ月目、3ヶ月目および6ヶ月目の4回の来院が含まれ、来院時に疾患活動性を評価し、患者の有害事象の有無のモニタリングを行う。さらに、スクリーニング時および6ヶ月目(または試験を途中で中止した場合はその日)にS状結腸鏡検査を実施した。疾患活動性はSDAIにより評価した。SDAIとは、排便回数、直腸出血、粘膜外観および医師による重症度評価を尺度0〜3で評価するもので、合計スコアは最大12である。スクリーニング時および6ヶ月目(または試験を途中で中止した場合はその日)には、SDAIの4つの項目すべてを評価し、1日目(ベースライン)、1ヶ月目および3ヶ月目には、粘膜外観以外の指標を評価する簡略SDAIを用いた。処置段階における使用が禁止された薬物としては、免疫抑制剤、常用の非ステロイド系抗炎症薬、コルチコステロイド、潰瘍性大腸炎とは無関係の症状のために服用する経口抗生物質(ただし、7〜10日間の服用であれば除外する)、オオバコ種子を含有する整腸薬および試験薬物以外の5−ASA剤などが挙げられるが、これらに限定されない。
試験期間中、直腸出血などの疾患の再発が見られた場合、患者は決められた来院日とは別にいつでも来院することができるものとした。SDAIにおいて、S状結腸鏡検査による粘膜外観スコアが2以上かつ直腸出血スコアが1以上の場合、疾患の再発とみなし、試験を中止した。
有効性データは包括解析(ITT)集団を対象として分析した。包括解析(ITT)集団とは、無作為割り付けされ、試験薬物を少なくとも1回服用した患者である。有効性の主要評価項目は、6ヶ月間の処置後に無再発状態を維持していた患者の割合(%)である。再発または治療の失敗とは、SDAIにおける直腸出血スコアが1以上かつ粘膜外観スコアが2以上であること、潰瘍性大腸炎が再発すること、または再発した潰瘍性大腸炎を治療するために先に使用していた薬物による治療を開始することと定義した。潰瘍性大腸炎に関する他の調査においても、ここまで包括的ではないが同様の再発の定義が用いられている20。主要有効性の解析において、試験途中での中止は、その理由が有効性の欠如または潰瘍性大腸炎関連の有害事象でない場合、再発とは見なさなかった。他の理由で試験を途中で中止した患者に対しては、再発が見られるか否かを判定するために、最後にSDAI評価を実施した。
主要評価項目における処置群間の比較には、国に応じてコントロールされたCochran−Mantel−Haenszel検定を用いた。標本サイズの計算において、メサラミン顆粒服用群が200名、プラセボ群が100名の場合、両側有意水準5%(α=0.05)、分配比率2:1の群構成で無再発率がメサラミン顆粒群で70%、プラセボ群で50%であれば、90%以上の検定力(β=0.10)で処置群間に差がないとする帰無仮説が棄却されることが推定された。
有効性の副次評価項目は、1、3および6ヶ月目/処置終了時のSDAIの直腸出血スコア、粘膜外観スコア、医師による疾患活動性の評価および排便回数それぞれのベースラインからの各レベルの変化量を示した患者の割合(%);6ヶ月目/処置終了時のSDAIのベースラインからの平均変化量;治療成功として分類された患者の割合(%)(治療の成功は、6ヶ月目/処置終了時に、SDAIの合計スコアが2以下(ただし個々の項目で1を超えず、直腸出血スコアが0)を維持していることと定義した);および無再発期間(無再発期間とは、試験における投薬の開始日と、最初に再発した日または試験を途中で中止した日との間の日数に1を足した日数と定義した)であった。last−observation−carried−forward(LOCF)法を用いて、試験を途中で中止した患者の副次有効性評価項目における欠測値を補った。
副次評価項目の統計学的検定は、有意差なしと判定されるP値が得られる(P>0.05)まで、既定の階層的手法により行い、その後に部分的な有意性検定を探索的に行った。処置群間の差異は、カテゴリー変数については国に応じてコントロールされたCochran−Mantel−Haenszel検定を用い、6ヶ月目/処置終了時のSDAIのベースラインからの平均変化量については、ベースライン値および国に応じて調整された共分散分析(ANCOVA)を用いて評価した。無再発期間に関しては、国に応じて調整されたコックス比例ハザード回帰モデルを使用して処置群間の差異を評価し、Kaplan−Meier法を用いて、各処置群の1、3および6ヶ月目における累積の無再発確率の推定値を算出した。カイ二乗検定を用いて、無再発確率に関してメサラミン顆粒群とプラセボ群に有意差が生じた週を特定した。
安全性データは、「安全性解析集団」に対して記述統計を行ってまとめたものである。安全性解析集団とは、無作為割り付けされ、試験薬物を少なくとも1回服用し、ベースライン後に安全性評価を少なくとも1回提出した患者と定義した。主要な安全性指標は、処置中に有害事象が発生した患者の割合(%)(処置中の有害事象とは、処置1日目またはそれ以降を開始日とする何らか有害な臨床事象、または既にその有害事象が起きていた場合は、処置1日目以降における事象の悪化と定義される)、重篤な有害事象(死、障害または不能状態をもたらす有害事象;生死に関わる有害事象;入院を要するまたは入院期間が長引く有害事象;または先天性異常または出生異常を伴う有害事象)が発生した患者の割合(%)、試験の中止につながる有害事象が発生した患者の割合(%)、および臨床検査値である。
人口統計学的特性、ベースラインにおける臨床的特性およびコンプライアンスは記述統計によりまとめられた。コンプライアンスは、100×(分配したカプセル剤の数−返却されたカプセル剤の数)/(4×処置日数)として算出した。
試験のスクリーニングを受けた356名のうち、305名が無作為に各処置群に割り付けられた(メサラミン顆粒:n=209、プラセボ:n=96)。無作為に割り付けられた305名の患者はすべて、少なくとも1回試験薬物を服用しているため、ITT集団に含まれた。この305名のうち5名は、ベースライン後に安全性評価を返却しなかったため、安全性解析集団に含まれたのは300名であった。図1に患者の内訳を示す。試験を途中で中止した割合は、プラセボ群(49.0%)よりメサラミン顆粒服用群(31.1%)の方が低かった。試験途中での中止の理由として最も多かったのは、有害事象および有効性の欠如であった。
人口統計学的特性およびベースライン疾患特性は、メサラミン顆粒服用群もプラセボ群も類似していた(表10)。患者の大多数は白色人種で、男性の占める割合は44.0%(メサラミン顆粒)および55.2%(プラセボ)であった。直近の潰瘍性大腸炎の再発日からの平均経過時間はいずれの群も25.6週間で、緩解状態の平均持続時間は約16週間であった。ベースラインの平均SDAIスコアは、メサラミン顆粒服用群で0.8(SD=0.8)およびプラセボ群で1.0(SD=1.3)であった。
* 患者が2以上の人種のカテゴリーに属する可能性がある場合は、それぞれのカテゴリーに含めた。
処置期間中の平均コンプライアンスは、メサラミン顆粒服用群で96.2%(SD=11.6)、プラセボ群で96.7%(SD=6.4)であった。
有効性解析を行ったところ、6ヶ月目/処置終了時に無再発の患者の割合は、プラセボ群よりメサラミン顆粒服用群の方が有意に高かった(78.9%vs58.3%、P<0.001)(図2A)。この有効性解析において、試験を途中で中止した患者は、その理由が有効性の欠如または潰瘍性大腸炎関連の有害事象でない場合、再発した患者数に含めなかった。補足としてより保守的な解析も行った。この解析では、試験を途中で中止した患者はすべて、その理由に関わらず再発した患者数に含めて評価を行った。この保守的解析においても、6ヶ月目/処置終了時に無再発の患者の割合は、プラセボ群よりメサラミン顆粒服用群の方が有意に高かった(68%vs51%、P<0.001)(図2B)。
プラセボ群に対するメサラミン顆粒服用群の再発リスクの危険率は、6ヶ月の処置期間を通じてメサラミン顆粒では再発リスクがプラセボより58%軽減されていることを反映している(図3)。無再発状態を維持する確率に関しては、メサラミン顆粒群とプラセボ群には、処置期間の第1週目に統計学的に有意な差が見られた。治療効果発現必要症例数解析により、5人の患者に対してメサラミン顆粒で処置を行うことにより、うち1人の潰瘍性大腸炎の再発を防止できることが分かった。
プラセボよりメサラミン顆粒カプセル剤の方が効果があるとする統計学的有意差は、以下に示す他の有効性評価項目においても認められた:直腸出血(P=0.008)、医師による疾患活動性の評価(P=0.005)および排便回数(P=0.005)それぞれのSDAIスコアにおけるベースラインからの各変化量を示した患者の割合;治療成功として分類された患者の割合(P=0.003);SDAI合計スコアのベースラインからの平均変化量(P=0.001);および6ヶ月間無再発状態を維持する確率(P<0.001)(表11)。これ以外の副次有効性評価項目、すなわちSDAIの粘膜外観スコアにおけるベースラインからの各レベルの変化量を示した患者の割合に関しては、数値としてはメサラミン顆粒の方に効果がみられたが、P≦0.05の水準においてはその効果は有意でなかった(P=0.098)(表11)。
処置中に1以上の有害事象が発生した患者の割合(%)は、各処置群ともに64%であった。いずれの処置群でも10%以上の患者で報告された処置中の有害事象は、潰瘍性大腸炎の悪化(メサラミン顆粒:11%、プラセボ:27%)と頭痛(メサラミン顆粒:11%、プラセボ:7%)のみであった。表12に、メサラミン顆粒群の3%以上の患者で報告された処置中の有害事象のうち、プラセボ群よりメサラミン顆粒群で多く見られた有害事象を示す。
膵臓、腎臓または肝臓に影響を与える処置中の有害事象は、いずれの処置群でも例数は非常に少なかった。唯一報告された膵臓に関連する有害事象は、メサラミン顆粒を服用した患者における急性膵炎の軽度の増悪であったが、試験薬物が原因であるとは認められなかった。腎臓および肝臓に影響を与える有害事象はいずれも稀少だった。肝臓に関連する臨床検査値の上昇が、処置中の有害事象として報告されたが、その発生率は、プラセボを服用した患者よりメサラミン顆粒を服用した患者の方が低かった(AST値の上昇が見られた患者の割合は、1%未満vs4%;ALT値の上昇に関しては、0%vs4%;アルカリフォスファターゼ値の上昇に関しては、1%未満vs2%)。
本明細書に記載の無作為二重盲検試験において、1.5gのメサラミン顆粒を375mgのカプセル剤として1日1回最長6ヶ月間服用することにより、プラセボより潰瘍性大腸炎の再発が有意に抑えられた。メサラミン顆粒カプセル剤による処置を受けた10名中約8名の患者(78.9%)が6ヶ月の処置期間中、無再発であり、これに対してプラセボによる処置を受けた患者の無再発率は58.3%であった。6ヶ月の処置期間を通じてメサラミン顆粒では再発のリスクがプラセボより58%軽減された。
主要有効性解析(この解析では、試験を途中で中止した患者は、その理由が有効性の欠如または潰瘍性大腸炎関連の有害事象でない場合は、再発した患者数に含めない)においても、補足として行ったより保守的な解析(この解析では、試験を途中で中止した患者はすべて、その理由に関わらず再発した患者数に含めて評価を行った)においても、メサラミン顆粒による十分な予防効果が認められた。有効性の副次評価項目において、メサラミン顆粒では、プラセボと比較して直腸出血、医師による疾患活動性の評価および排便回数の各スコアが有意に良好であること、ならびに6ヶ月間無再発状態を維持する確率が有意に高いことが実証され、これらは主要有効性解析結果を支持するものである。この試験において、1日1回の用法に対する遵守率は高く、6ヶ月の処置期間にわたって1日1回の用法に対する遵守率は95%を上回った。
この試験において、メサラミン顆粒は、プラセボより効果的であるだけでなく、安全性も良好であった。いずれの処置群でも5%以上の患者で報告された有害事象のうち、メサラミン顆粒群における発生率がプラセボ群より2%を超えて高かったのは、頭痛のみであった(メサラミン顆粒:11%、プラセボ:7%)。試験の中止につながる有害事象の発生率は、プラセボ群(28%)と比較してメサラミン顆粒服用群(15%)が低く、2分の1程度であった。膵臓、肝臓および腎臓に影響を与える有害事象の発生率(まれではあるが他のメサラミン製剤で報告されている)は、いずれの群でも低く、メサラミン顆粒とプラセボの間で差はなかった。処置期間中、制酸剤の服用は認められていたが、メサラミン顆粒群で制酸剤の併用を報告した患者は5名に過ぎなかった。
メサラミン顆粒カプセル剤の1日1回の投与は、安全性が良好で、潰瘍性大腸炎の緩解状態の長期的な維持においてもプラセボより効果的であった。メサラミン顆粒による処置により、10名中8名の患者が6ヶ月の処置期間中、緩解状態を維持し、直腸出血、医師による疾患活動性の評価および排便回数のすべてのスコアがプラセボより有意に良好な数値を示した。遅延放出コーティングがpH6以上で溶解して徐放コアが露出し、各顆粒の徐放コアが、大腸の全体でゆっくりと5−ASAを放出する。
<実施例11>
メサラミン顆粒(1.5g)を1日1回投与した患者における潰瘍性大腸炎の緩解状態の維持に対する予後因子の影響
本実施例において、潰瘍性大腸炎の再発に関わる予後因子の潜在的な影響、およびプラセボに対するメサラミン顆粒の予防効果を、上記の臨床試験でプールされたデータを用いて検討した。
この実施例の目的に沿って、緩解状態は、改変サザーランド疾患活動性指数(DAI)に従い、S状結腸鏡検査スコア(粘膜外観指標スコア)が0〜1かつ直腸出血スコアが0と定義した。
結果を表13および表14に示す。
表13および表14に示すように、予後因子をコントロールした結果、1.5gのメサラミン顆粒の1日1回の投与は、6ヶ月の処置期間において潰瘍性大腸炎の緩解状態を長期的に維持するという点で有意な予防効果を示すことがわかる。このデータより、最も影響のある予後因子は、ベースラインにおける粘膜スコアであることが示された。
等価物
当業者は、本明細書に記載された本発明の具体的な実施形態に対する等価物が多数存在することを認識するか、または通常の実験を実施するだけで確認することができるだろう。このような等価物は、以下の請求項に包含されるものとする。
参照による援用
本願に引用されたすべての資料、特許、係属特許出願および公開特許の内容は、参照により本明細書に援用される。

Claims (16)

  1. 対象の潰瘍性大腸炎の緩解状態を維持するために1日1回、朝に、食事なしで投与される剤の製造のための製剤の使用であって、該製剤が、それぞれ0.375gのメサラミン顆粒を含む4つのカプセル剤を含み、少なくとも6ヶ月間の処置期間において対象の潰瘍性大腸炎の緩解状態を維持し、緩解状態はサザーランド疾患活動性指数1(DAI)スコアが0又は1として定義され、制酸剤と一緒には投与されず、85〜90%のメサラミンが回腸末端部および大腸に送達されることを特徴とする製剤の使用
  2. メサラミン顆粒が、遅延徐放製剤である請求項1に記載の製剤の使用
  3. 遅延徐放が、回腸でメサラミンの放出を開始し、回腸末端部および大腸の全体にわたって継続的にメサラミンを放出することを含む請求項2に記載の製剤の使用
  4. メサラミン顆粒製剤が、潰瘍性大腸炎の緩解状態を維持するために18歳以上の対象に投与されることを特徴とする請求項に記載の製剤の使用
  5. 前記対象に、サリチル酸塩、アミノサリチル酸塩またはメサラミン顆粒製剤中のいずれかの成分に対して過敏症を有する対象にメサラミン顆粒製剤を投与してはならない旨通知することをさらに含む請求項に記載の製剤の使用
  6. 前記対象に、メサラミン顆粒製剤の投与により腎機能障害を発症する可能性がある旨通知することをさらに含む請求項に記載の製剤の使用
  7. 前記対象の腎機能の評価を、治療開始時、治療開始前または治療中定期的に、1回または複数回実施することをさらに含む請求項に記載の製剤の使用
  8. 前記対象に、大腸炎症状の急性増悪が起こる可能性がある旨通知することをさらに含む請求項に記載の製剤の使用
  9. 前記対象に、腎臓病を有する対象にメサラミン顆粒製剤を使用する際には注意が必要である旨通知することをさらに含む請求項に記載の製剤の使用
  10. メサラミン顆粒製剤が投与されている高齢の対象に対し血球数のモニタリングを行うことをさらに含む請求項に記載の製剤の使用
  11. 前記対象に、メサラミン顆粒製剤の投与に伴う副作用がある旨通知することをさらに含む請求項に記載の製剤の使用
  12. 前記副作用が、頭痛、下痢、上腹部痛、悪心、上咽頭炎、インフルエンザまたはインフルエンザ様疾患および副鼻腔炎から選ばれる1以上の症状を含む請求項11に記載の製剤の使用
  13. 前記対象に、メサラミン顆粒製剤がCYP1A2、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6またはCYP3A4の基質となる薬剤の代謝を阻害することは予期されない旨通知することをさらに含む請求項に記載の製剤の使用
  14. メサラミン顆粒によって潰瘍性大腸炎の緩解状態を維持するために、DAIスコアが0又は1の対象を選ぶことをさらに含む請求項に記載の製剤の使用
  15. 7時間程度にわたって放出されるメサラミン顆粒を含む請求項に記載の製剤の使用
  16. 対象の潰瘍性大腸炎の緩解状態を維持するために1日1回使用するための請求項1に記載の製剤の使用であって、象に、制酸剤と共にメサラミン顆粒を服用すべきではない旨通知して投与することを含む製剤の使用
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