JP5730162B2 - 歯科用硬化性組成物 - Google Patents
歯科用硬化性組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5730162B2 JP5730162B2 JP2011192025A JP2011192025A JP5730162B2 JP 5730162 B2 JP5730162 B2 JP 5730162B2 JP 2011192025 A JP2011192025 A JP 2011192025A JP 2011192025 A JP2011192025 A JP 2011192025A JP 5730162 B2 JP5730162 B2 JP 5730162B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- meth
- acid
- acrylate
- hydrophilic material
- group
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
- Dental Preparations (AREA)
Description
歯科修復に当たっては、歯牙の状況や欠損部の位置や大きさ等によって治療方法が異なる。例えば、ウ蝕が歯質深く進行し切削除去すると歯髄が露出してしまう場合は、歯髄が感染していなくても抜髄(神経を除去)して根管内処置を行う必要がある。しかしながら、このような抜髄根管は感染リスクが高まり、破折が発生しやすくなり、その寿命は短い。
これまでに歯質に接着する組成物として、MMA、4−METAおよびトリブチルボランからなる接着材料が、非特許文献1ならびに特許文献1に報告されている。また、非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4、非特許文献5には、上記の接着材料が歯周組織に対して高い親和性があると報告されている。さらには、非特許文献6には上記接着材料の骨への生体適合性について報告されている。
そこで、上記の接着材料に骨形成成長因子タンパク質BMPを含有させ、骨の成長を促す試みが非特許文献7に報告されている。該組成物は、BMP水溶液を粉材に混合した後乾燥することでポリマー粉末に固定化させることによって配合している。しかしながら、乾燥固定することによって変性したりする成長因子タンパク質に対しては適用できないなどの制約がある。
なお、以下の本発明の説明の記載において、好適な数値範囲について、「XX〜YY」とある記載は、特に断らない限り「XX以上、および/または、YY以下、好ましくはXX以上、および、YY以下」の意味である。
(A)牛血清アルブミンまたは成長因子タンパク質であるタンパク質、(B)ラジカル重合性単量体、(C)重合開始剤および(E2)1%メチレンブルー水溶液に5分間浸漬・水洗した後青色に染まる親水性を示す固体親水性材料を含有する混合物からなることを特徴とする歯科用硬化性組成物によって達成される。この組成物はさらに、(D)フィラーを含有することもできる。この(D)成分は上記(B)成分からなる組成物を予め硬化させたものであることができる。
線維芽細胞増殖因子(Fibroblast growth factor:FGF)、血管内皮細胞増殖因子(Vascular endothelial growth factor:VEGF)、血小板由来増殖因子(Platelet−derived growth factor:PDGF)、トランスフォーミング増殖因子(Transforming growth factor:TGF)、骨形成タンパク質(Bone morphogenetic protein:BMP)、インスリン様成長因子(Insulin−like growth factor:IGF)、神経増殖因子(Nerve growth factor:NGF)、表皮増殖因子(Epidermal growth factor:EGF)、肝実質細胞増殖因子(Hepatocyte growth factor:HGF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(Granulocyte−macrophage−colony stimulating factor:GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(Granulocyte−colony stimulating factor:G−CSF)、脳由来神経栄養因子(Brain−derived neurotrophic factor:BDNF)、エリスロポエチン(Erythropoietin:EPO)、トロンボポエチン(Thrombopoietin:TPO)等の生体由来タンパク質や、Osteopontin−derived peptidesであるSer−Val−Val−Tyr−Gly−Leu−Arg(SVVYGLR)等の合成ペプチドを挙げることができる。
(E2)固体親水性材料としては、有機固体親水性材料、無機固体親水性材料、それらやそれら以外の混合物や複合物等があげられる。
有機固体親水性材料は、親水性基を有していることが好ましく、例えば、中性の基としては、水酸基、ポリエーテル基(好ましくは(−R−O−)n、R:炭素数1〜30個の直鎖乃至は分岐を有するアルキル基で必要に応じてヘテロ原子を含んでいても良い、n:4〜60の自然数)エステル基、ケトン基、ニトリル基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、スルフィド基、チオール基、又はジスルフィド基等、酸性基としては、カウンターイオンにて中性化されていることが好ましく、カルボン酸塩、燐酸塩、スルホン酸塩等およびその他、アセトアミド基、スルホンアミド基等を好ましいものとして挙げることができる。
有機固体親水性材料は、親水性基を有していることが好ましく、例えば、中性の基としては、水酸基、ポリエーテル基(好ましくは(−R−O−)n、R:炭素数1〜30個の直鎖乃至は分岐を有するアルキル基で必要に応じてヘテロ原子を含んでいても良い、n:4〜60の自然数)エステル基、ケトン基、ニトリル基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、スルフィド基、チオール基、又はジスルフィド基等、酸性基としては、カウンターイオンにて中性化されていることが好ましく、カルボン酸塩、燐酸塩、スルホン酸塩等およびその他、アセトアミド基、スルホンアミド基等を好ましいものとして挙げることができる。
有機固体親水性材料として、ラジカル重合性単量体の重合体を用いることができる。
無機固体親水性材料としては、特に限定されるものではないが、具体的には、メソポーラスシリカ、ベントナイト、ゼオライト、ヒドロキシアパタイト、シリカアルミナ、モンモリロナイト等が挙げられる。
更に、(E2)固体親水性材料は、その固体粒子の外表面にて成長因子タンパク質を場合により一緒に用いられる(E1)液体親水性材料とともに吸着または担持することができ、さらにその粒子内部に空洞乃至は分子間隙を有しているものでは、そこにも成長因子タンパク質を場合により(E1)液体親水性材料とともに保持することができ好ましい。
固体親水性材料と組成物が重合硬化した硬化体中のマトリクスとの結合性を高めるために、固体親水性材料を重合する際に多官能単量体を加えておいたり、固体親水性材料を、その表面と反応結合しやすい活性基と重合性官能基を有する化合物にて表面修飾したりすることも好ましい。
(E1)液体親水性材料は、(E2)固体親水性材料と、常温常圧下(25℃、1気圧)において、液体状態(ゾルを含む)にあるか、固体状態(ゲルを含む)であるかによって、区別される。
(E1)液体親水性材料としては、水および/または親水性有機溶媒等が好適な例としてあげられる。これらは、成長因子タンパク質を溶解乃至はそれと混和できることが好ましい。その中でも水がとりわけ好ましい。水についてまず説明する。
成長因子タンパク質を水溶液ないしは水懸濁液にする際に使用できる水としては、例えば蒸留水、イオン交換水、精製水または生理食塩水などが挙げられる。特に蒸留水、精製水およびイオン交換水が好ましく用いられる。また、電気分解によって調製される酸化還元水、例えば強酸性水、強アルカリ水などを使用することもできる。
また、かかる水は親水性有機物、例えば有機溶媒等を含んでも良い。このとき使用できる有機溶媒は、水と1:1以上、好ましくは任意の比率で混和および/または溶解しうる溶媒が好ましい。さらに、該溶媒は25℃で液体であって、常温での沸点が好ましくは200℃以下、より好ましくは150℃以下、最も好ましくは100℃以下の液体である。かかる有機溶媒としては、具体的には、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール;テトラヒドロフラン(THF)などのエーテル;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン;N,N−ジメチルスルホキサイド(DMSO)などのスルホキサイド;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)などのアミドなどを挙げることができる。その他に、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロールなどの多価アルコールを使用できる。これらのうち、生体への安全性を特に考慮して、エタノール、プロパノールなどのアルコール、アセトン、THFおよびDMSOなどが好ましい。これらの化合物はいずれも組み合わせて使用することができる。
また、(E1)液体親水性材料として、プロピレングリコールおよび/またはエチレングリコールから誘導される繰り返し単位を好ましくは1〜60個、より好ましくは10〜50個、さらに好ましくは20〜40個有するポリ(エチレングリコールおよび/またはプロピレングリコール)、即ち、プロピレングリコールまたはエチレングリコールのそれぞれ単独、あるいは、プロピレングリコールおよびエチレングリコールが任意の比率と配置(ブロックやランダム)で結合したジオール化合物等のポリエーテルなどのように粘性の高い(好ましくは20℃における粘度が100ポワズ以上、1ポワズ=0.1Pa・s)材料(E1a)も用いることができる。
あるいは、(E1)液体親水性材料として、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、プロピレングリコールおよび/またはエチレングリコールから誘導される繰り返し単位を4〜60個有するポリ(エチレングリコールおよび/またはプロピレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、即ち、プロピレングリコールまたはエチレングリコールのそれぞれ単独、あるいは、プロピレングリコールおよびエチレングリコールが任意の比率と配置(ブロックやランダム)で結合したジオール化合物より形成されたジ(メタ)アクリレート等のラジカル重合性単量体の重合体(E1b)も挙げられる。これらの単量体のうち、水と1:1以上、より好ましくは任意の比率で混和および/または溶解しうる親水性単量体が好ましい。それ以外の非親水性単量体は含まれない方がよく、(E1)液体親水性材料を100重量%とした場合、これらの重合体は、好ましくは29重量%以下、より好ましくは15重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下で用いるのが望ましい。
(E2)固体親水性材料は、硬化体中で、タンパク質が、場合により一緒に用いられる(E1)液体親水性材料の溶液乃至は懸濁液として流動したり、拡散したりすることを抑制し、更に接着成分や重合開始剤と反応したり、物理的に拘束されたりすることから、物理的に遮断して、タンパク質を安定に保持するものである。
例えば、有機固体親水性材料又は無機固体親水性材料を必須成分とする条件にて有機固体親水性材料、無機固体親水性材料、有機固体非親水性材料、無機固体非親水性材料よりなる群から選ばれる少なくとも1つの素材が混合された一体となった形態であっても良い。その場合、例えば、固体親水性材料のマトリクス中に非親水性粒子が分散していても良いし、その逆であっても良い。
あるいは、有機固体親水性材料、無機固体親水性材料、有機固体非親水性材料、無機固体非親水性材料よりなる群から選ばれる少なくとも1つの素材の表面に、有機固体親水性材料及び/又は無機固体親水性材料が積層、塗布あるいは担持された形態の材料等であってもよい。その場合、固体非親水性材料表面に固体親水性材料が積層、塗布あるいは担持されていても良い。
また、液体親水性材料中に、PH調整剤、ラジカルスカベンジャー等の成長因子タンパク質を安定化させる調整剤が含まれていても良い。
さらに、本発明の歯科用硬化性組成物を100重量部としたとき、親水性材料の重量部をe、場合により用いられる(D)フィラーの重量部をdすると、以下の式においてeUは、好ましくは70、より好ましくは50、さらに好ましくは30である。dUは、好ましくは70、より好ましくは50、さらに好ましくは30である。
e/eU+d/dU≦1
eUとdUはそれぞれ、上記の式記載の成分中、親水性材料、(D)フィラーをそれぞれ単独で用いた場合での好適な重量部上限値に相当する。
これは、親水性材料は、フィラーと同様に、非接着性粒子として存在するがために接着剤の接着性能を阻害する臨界値となる重量部の上限値があり、それらは互いに相補的な関係があるので、上記式のような数式関係の制約範囲にて含有させることが好ましい。
上記酸性基を有する単量体は酸性基の一部または全部が1価または多価の金属塩やアンモニウム塩などの塩に変換された単量体として使用することもできる。本発明において、上記の如き(B)成分は単独であるいは2種以上組合せて使用することもできる。
具体的には、例えばジアセチルペルオキシド、ジプロピルペルオキシド、ジブチルペルオキシド、ジカプリルペルオキシド、ジラウリルペルオキシド、ジラウリルペルオキシド、過酸化ベンゾイル(BPO)、p,p'−ジクロルベンゾイルペルオキシド、p,p'−ジメトキシベンゾイルペルオキシド、p,p'−ジメチルベンゾイルペルオキシド、p,p'−ジニトロジベンゾイルペルオキシドなどの有機過酸化物を例示することができる。これらのうちでは、BPOが好ましい。さらに、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、塩素酸カリウム、臭素酸カリウムおよび過リン酸カリウムなどの無機過酸化物を挙げることができる。
紫外光線もしくは可視光線を照射することによって重合させることもできる光増感剤としては、特に制限はないが、例えば(c11)α−ケトカルボニル化合物、(c12)アシルホスフィンオキシド化合物などを挙げることができる。
還元性化合物のうち、無機化合物では、硫黄を含有する還元性無機化合物が好ましく使用できる。かかる化合物としては、水または水系溶媒などの媒体中でラジカル重合性単量体を重合させる際に使用できるレドックス重合開始剤としての使用される還元性無機化合物が好ましく、例えば亜硫酸、重亜硫酸、メタ亜硫酸、メタ重亜硫酸、ピロ亜硫酸、チオ硫酸、1亜2チオン酸、1,2チオン酸、次亜硫酸、ヒドロ亜硫酸およびこれらの塩が挙げられる。このうち亜硫酸塩が好ましく用いられ、特に亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウムが好ましい。これらの還元性無機化合物は単独で、もしくは組み合わせて使用できる。
また、有機ホウ素化合物の他に、非プロトン性溶媒および/または有機ホウ素化合物に不活性な液状もしくは固体状の有機オリゴマーまたはポリマーを含有する組成物を成分(C)に混合して使用することができる。
有機質複合フィラーとしては、前述した無機質フィラー表面を重合性単量体で重合して被覆した後、粉砕して得られるフィラーを挙げることができる。具体的には、無機質フィラーのうち、微粉末シリカをトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(TMPT)を主成分とする重合性単量体で重合被覆し、得られた重合体を粉砕したフィラー(TMPT・f)を挙げることができる。また、前記ポリマー等を重合する際にシリカや酸化ジルコニウムなどの無機フィラーを加えて分散し、重合した後に粉砕することによって得られるフィラーを挙げることができる。
以下実施例により本発明の歯科用組成物を具体的に説明するが、本発明はその実施例によって何ら限定されるものではない。
FGF−2添加濃度の決定:市販の二種のrhFGF−2(Invitrogen;Calbiochem)またはトラフェルミン(フィブラストスプレー,科研製薬)を5,10,25,50,100ng/mLで添加した培地に交換して24時間培養後、細胞の増殖をMTT assayにて評価した。また、100μg/mL ascorbic acidと5mM β−glycerol phosphateを添加した分化誘導培地に5ng/mLの各FGF−2を加えて3日間培養し、その後FGF−2非添加で7または14日間まで培養を行い、Alkaline Phosphatase(ALP)活性の測定を行った。これらより、以後の実験におけるFGF−2の添加濃度を確定した。
その結果、3種のいずれのFGF−2でも、5〜100ng/mLのすべての濃度において、FGF−2非添加の場合と比べて細胞増殖が有意に促進された(ANOVA,Fisher’s PLSD test,p<0.05)が、FGF−2の濃度による効果の差はみられなかった。一方、ALP活性については、5ng/mL FGF−2添加群では、培養7日目まで非添加群と比べて有意な低下が認められた。これらの結果より、本培養系におけるFGF−2添加濃度を5ng/mLに確定した。
レジンモノマー存在下でのFGF−2の作用の検討:5〜100μg/mLの4−METあるいは5〜50μg/mLのMMAを溶解させた培地に、実験1)で決定された濃度のFGF−2を加えて24時間培養し、細胞の増殖をMTT assayにて評価した。また、FGF−2と各モノマーを添加した分化誘導培地に交換して3日間培養し、その後、FGF−2,モノマーとも非添加の条件で7または14日間まで培養を行い、ALP活性を測定した。
その結果、4−MET、MMAとも、すべての被験濃度において、モノマー非存在下の場合と同様に、FGF−2添加群で細胞増殖の有意な促進(ANOVA,Fisher’s PLSD test,p<0.05)が認められた。また、ALP活性についても、いずれの濃度の4−MET、MMA存在下でも、培養7日目まではFGF−2添加による低下が確認された。
実施例1および2の結果によって、4−METまたはMMAの存在下でも、FGF−2の培地への添加はMC3T3−E1細胞の増殖を促進し、7日目まで持続的にALP活性を抑制した。これらの結果は、4−META/MMA系接着性レジンから未重合モノマーが溶出する環境においても、FGF−2がその機能を発現できる可能性を示しており、FGF−2徐放能を備えた接着性レジンが実現可能であることを示唆した。
次に本発明の組成物について実施例で具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
タンパク質を変性させにくい水と共存させた状態で含有させたタンパク質保持担体の製造法は以下のとおりである。
2−ヒドロキシエチルメタクリレート(東京化成工業(株)製 以下、HEMA)90重量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート(新中村化学(株)製 以下、TMPT)を10重量部、過酸化ベンゾイル(東京化成工業(株)製 以下、BPO)0.5重量部を攪拌した。これを120℃に設定した真空定温乾燥機にて常圧下で2時間乾燥後、さらに減圧下(≦0.1MPa)にて16時間乾燥させ、重合物を作製した。その重合物を遊星ボールミルにて微粉砕し、篩目100メッシュ(150μm)をパスした粉材を採取することで、(E2)固体親水性材料(HEMA/TMPT=90/10重量部)を得た。
上記(E2)固体親水性材料(HEMA/TMPT=90/10重量部)と同様の調製方法で、100重量部(HEMA)、70重量部/30重量部(HEMA/TMPT)、50重量部/50重量部(HEMA/TMPT)、30重量部/70重量部(HEMA/TMPT)、10重量部/90重量部(HEMA/TMPT)、100重量部(TMPT)となる固体親水性材料をそれぞれ調製した。これら固体親水性材料の親水性の程度を、水溶性染料であるメチレンブルーを用いて、染まり度合を比較した。具体的には、1%メチレンブルー水溶液に各種成長因子タンパク質保持担体を5分間浸漬・水洗した後、担体の染色(青色)度合を目視により6段階(0:全く染まらない〜5:激しく青色に染まる)で評価した。
精製水50gにアルブミン ウシ血清由来コーンフラクション pH7.0(和光純薬工業(株)製、以下、BSA)0.1gを投入後、MIXローター(MR−5、AZONE製)にて数時間攪拌させることでタンパク質水溶液を得た。
上記(A)タンパク質水溶液50gに、(E2)成分3gを投入後、一晩攪拌させた。攪拌後、吸引ろ過(桐山ロート用ろ紙、No.5A)により精製水を除去し、(A)成分が(E2)成分に保持されたタンパク質を保持した担体の粒子(以下、タンパク質保持粒子)を得た。なお、吸水量(([吸水後のポリマー重量]―[吸水前のポリマー重量])/[吸水前のポリマー重量])×100=40重量%であった。
混合皿に(B)成分として4−METAとMMAを含有したスーパーボンドモノマー液(サンメディカル(株)製) を約0.09gとり、(C)成分としてスーパーボンドキャタリスト(サンメディカル(株)製 )約0.007gを滴下し、これらを上記タンパク質保持担体粒子0.07gと混合した混合物を調製した。この混合物を、硝子板上にのせたテフロン型(φ9.5mm、厚さ0.5mm)に充填し、その上に透明フィルムと硝子板をのせて一日以上圧接して硬化体を得た。
タンパク質未保持粒子含有硬化体の調製
混合皿に(B)成分として4−METAとMMAを含有したスーパーボンドモノマー液(サンメディカル(株)製) を約0.09gとり、(C)成分としてスーパーボンドキャタリスト(サンメディカル(株)製 )約0.007gを滴下し、これらを0.07gの(E2)固体親水性材料と混合した混合物を調製した。この混合物を硝子板上にのせたテフロン型(φ9.5mm、厚さ0.5mm)に充填し、その上に透明フィルムと硝子板をのせて一日以上圧接して硬化体を得た。
タンパク質保持粒子含有硬化体表面におけるタンパク質有無の確認
上記の通り調製した硬化体について、免疫染色によりタンパク質の存在有無を評価した。
a)調製した各種試料片をリン酸緩衝液(以下、PBS)にて室温で5分間3回洗浄。
b)洗浄後の試料片に第一抗体としてPBSにて50倍希釈したBSA抗体(sc−50711 santa Cruz Biotechnology社製)を滴下後、4℃で24時間放置。
c)放置後の試料片をPBSにて室温で5分3回洗浄。
d)洗浄後の試料片に第二抗体としてN−Histofine Simple Stain Mouse MAX PO(G)(Nichirei社製)を滴下後、室温で30分放置。
e)放置後の試料片をPBSにて室温で5分3回洗浄。
f)洗浄後の試料片に発色を目的としてシンプルステインDAB溶液(Nichirei社製)を滴下後、室温で5分間放置。
g)放置後の試料片について発色を止める目的で精製水により洗浄。
の手順で行い、光学顕微鏡にて試料片表面上のタンパク質の有無を観察した。実施例3により製造されたタンパク質保持粒子を含有した硬化体には、図1の黒矢印で見られるような発色が試料片表面で観察できた。これに対して比較例1により調製された硬化体には、図2のように図1で見られた発色が試料片表面に観察できなかった。
以上のことから、タンパク質保持粒子を含有した硬化体表面には確かにタンパク質が存在し、且つ存在しているタンパク質が失活していない結果が得られた。
E:エナメル、
D:象牙質
4−META:4−メタクリロキシエチルトリメリット酸無水、
4−MET:4−メタクリロキシエチルトリメリット酸、
SMR−M:2−メタクリロキシエチルアシドホスフェート
MMA:メタクリル酸メチル
2.6E:ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物1モルと2モルのメタクリル酸の縮合物(エチレンオキシト゛の付加連鎖数:m+n=2.6)
UDMA:1モルの2,2,4−(又は2,4,4−)トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートと2モルの2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの付加物
HPPM:2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルメタクリレート
3G:トリエチレングリコールジメタクリレート
TBB:トリブチルボランの部分酸化物(スーパーボンドC&B、キャタリスト)
CQ:d,l−カンファキノン、TMDPO:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド
DMABA−BE:N,N−ジメチルアミノ安息香酸n−ブトキシエチル
DSNa:ドデシル硫酸ナトリウム
R812:シリカ、SiO2含有率99.8%、平均粒径7×10−3μm
Claims (5)
- (A)牛血清アルブミンまたは成長因子タンパク質であるタンパク質、(B)ラジカル重合性単量体、(C)重合開始剤および(E2)1%メチレンブルー水溶液に5分間浸漬・水洗した後青色に染まる親水性を示す固体親水性材料を含有する混合物からなることを特徴とする歯科用硬化性組成物。
- (D)フィラー成分をさらに含有する請求項1記載の歯科用硬化性組成物。
- 上記(E2)固体親水性材料がプロピレングリコールおよび/またはエチレングリコールから誘導される繰り返し単位を1〜60個有するポリ(エチレングリコールおよび/またはプロピレングリコール)またはラジカル重合性単量体の重合体である、請求項1に記載の歯科用硬化性組成物。
- 上記(B)ラジカル重合性単量体がヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、プロピレングリコールおよび/またはエチレングリコールから誘導される繰り返し単位を4〜60個有するポリ(エチレングリコールおよび/またはプロピレングリコール)ジ(メタ)アクリレートおよびトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートよりなる群より選ばれる少なくとも1つである、請求項3に記載の歯科用硬化性組成物。
- 上記(A)牛血清アルブミンまたは成長因子タンパク質が(E2)固体親水性材料中に保持されている請求項1〜4のいずれかに記載の歯科用硬化性組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011192025A JP5730162B2 (ja) | 2011-09-02 | 2011-09-02 | 歯科用硬化性組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011192025A JP5730162B2 (ja) | 2011-09-02 | 2011-09-02 | 歯科用硬化性組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2013053096A JP2013053096A (ja) | 2013-03-21 |
JP5730162B2 true JP5730162B2 (ja) | 2015-06-03 |
Family
ID=48130423
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2011192025A Active JP5730162B2 (ja) | 2011-09-02 | 2011-09-02 | 歯科用硬化性組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5730162B2 (ja) |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE4435680A1 (de) * | 1994-10-06 | 1996-04-11 | Merck Patent Gmbh | Poröse Knochenersatzmaterialien |
-
2011
- 2011-09-02 JP JP2011192025A patent/JP5730162B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2013053096A (ja) | 2013-03-21 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US5530038A (en) | Primer composition and curable composition | |
Mazzitelli et al. | Effect of simulated pulpal pressure on self-adhesive cements bonding to dentin | |
JP5809974B2 (ja) | レドックス硬化型組成物 | |
JP6223127B2 (ja) | 歯科用接着性組成物およびキット | |
US20090258966A1 (en) | Dental Composition | |
JP3468833B2 (ja) | 歯科用硬化性組成物の製品キット | |
JP3443188B2 (ja) | 硬化性組成物 | |
JP2004182661A (ja) | 歯科用レジン強化型セメント用前処理剤 | |
JP5791255B2 (ja) | 生体組織修復用の硬化性組成物、硬化体およびキット | |
JP5730720B2 (ja) | 歯科用硬化性組成物 | |
JP4342035B2 (ja) | 歯科接着性組成物 | |
JP5730162B2 (ja) | 歯科用硬化性組成物 | |
JP2014240416A (ja) | タンパク質含有レジン系組成物の製造方法 | |
JP5611644B2 (ja) | 歯科用接着性組成物およびキット | |
JP3419835B2 (ja) | 生体硬組織に隙間なく接着できる硬化性組成物の製品キット | |
JPH0640838A (ja) | 歯質に対する接着性プライマー組成物および接着方法 | |
JP4427133B2 (ja) | 歯科接着性組成物 | |
JP2000186010A (ja) | 歯科用接着材セット | |
JP4148333B2 (ja) | 歯科用分離材組成物 | |
JP2014181216A (ja) | 表面に蛋白質を有する重合硬化体 | |
JP2005015435A (ja) | 重合性組成物およびその重合物 | |
JP3860072B2 (ja) | 生体硬組織に隙間なく接着できる硬化性組成物 | |
JP4932210B2 (ja) | 歯科用組成物 | |
KR20160133482A (ko) | 치과용 재료를 제조하기 위한 단량체 혼합물 | |
JP4969800B2 (ja) | 歯科材料、歯科用組成物、歯科用接着材、再石灰化促進材、生体用接着材および齲蝕検出材 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20130812 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20140903 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20141030 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20150325 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20150407 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5730162 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |