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JP5722601B2 - シリコン切削廃液の処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、シリコン切削廃液の処理方法、さらに詳しくは、半導体素子製造などにおける結晶シリコンの切削加工で排出されるシリコン切削廃液を簡便廉価な手段で良好に固液分離させ、シリコン切削廃液中に含有されたシリコン並びにその他の有用成分の現実的な回収、再生、再利用を可能または容易なものとするシリコン切削廃液の処理方法に関する。
半導体素子や太陽電池などの製造工程では、基材となる単結晶もしくは多結晶のシリコンに切断、研削、切削、研磨の加工(以下、必要に応じて「切削加工」と総称する。)を施しているが、これら切削加工によって生じる多量のシリコン切削屑の多くは徒に廃棄されている。
例えば、半導体素子製造においては、素材である単結晶のシリコンインゴットを薄板状のシリコンウェハに切断(スライシング)し、このシリコンウェハに面取りと両面研削を施すと共に研磨して鏡面に加工した後、シリコンウェハ表面に分割ラインを以て区画された多数の矩形領域に同一回路を形成し、シリコンウェハの裏面を研削加工(バックグラインディング)により所定厚さまで薄くした上で、切削加工(ダイシング)によって半導体素子の個片(チップ)に分割切断しており、これら一連の切削加工によって生じたシリコン切削屑の微細な切粉は各加工工程で加工部に供給される加工水(研削水や切削水など)や洗浄水に含有されて廃液(以下、本明細書では、上記した一連の切削加工工程の全てまたは一部の加工工程で生じて排出される廃液のいずれをもシリコン切削廃液と呼ぶ。)として製造工程から排出されている。
これら切削加工によって生じシリコン切削廃液に含有されて排出され廃棄されるシリコン切削屑は多量に上り、例えば特許文献1には、「シリコンインゴットの体積を100%とした場合、シリコンインゴットをスライスしてベースとなるウエーハを形成する際に廃棄される体積は20%、鏡面加工される際に廃棄される体積は20%、ウエーハの裏面を研削してウエーハの厚みを薄くする際に廃棄される体積は55%、ウエーハを個々のデバイスに分割する際に廃棄される体積は1%となり、デバイスを得るまでにシリコンインゴットの96%が廃棄されることになる。」と記されている。
このように多量のシリコンを徒に廃棄することは、半導体素子製品の製造コストを押し上げる要因となるばかりでなく、貴重な資源の有効利用という点からも、廃棄による環境負荷の点からも大きな問題であることが明らかである上に、シリコン切削廃液から回収されたシリコンを再精製し溶融のうえ再凝固してシリコンインゴットとなした場合、純度の点で半導体素子製造での再利用に供することは現実的でないものの、太陽電池の基板材料や液晶ディスプレイのTFTを構成する半導体基板の製造においてなお再利用の余地があるほか、鉄鋼製造における電炉の保温剤や製錬工程で使用する脱酸剤、自動車用DPFや砥粒に用いられる炭化ケイ素の原料、環境半導体として注目される鉄シリサイドの原料など、再利用の用途は多様に期待できる。
このため、シリコン切削廃液に含有されたシリコン切削屑はもとより、砥粒やクーラントなどその他の有用成分も含めて回収、再生、再利用する必要が強く求められ、そのための提案も種々重ねられてきたが、再生および再利用の前提となる上記有用成分の分離回収に複雑な処理工程と設備並びに施設の大きな負担が伴う反面、商業的な採算を満たすだけの十分な回収効率が確保されておらず、シリコン切削屑をはじめシリコン切削廃液に含まれた有用成分の多くが今もなお廃棄され続けており、回収、再生、再利用を実践する現実的な道が拓かれているとは言えない。
このように、シリコン切削廃液に含有された有用成分の回収に処理工程や設備並びに施設の大きな負担を強い、現実的な回収、再生、再利用を阻んでいる主因について、本発明者は次のように考える。
すなわち、シリコン切削廃液には、シリコン切削屑や砥粒など有用な固体成分と砥石やワイヤーソーの摩耗片並びに破砕砥粒など不純物の固体成分が微細な粒子となって含有されているが、これら固体成分粒子がコロイド状に分散してシリコン切削廃液を安定した懸濁液となしているため、固体成分の自然沈殿、フィルターもしくは分離膜による濾過、遠心分離など通常手段によって良好な固液分離を図り固相を分離回収することは極めて困難であり、また、シリコン切削廃液中でシリコン切削屑の微粒子の酸化反応により活発に水素ガスを発生するため、蒸留による分離も極めて大きな危険を伴ってしまう。
この点はすでに従来技術においても指摘されているところで、例えば、特許文献4を見ると、シリコン切削廃液を沈殿槽に集めて自然沈殿を図りpH調整を施しても廃棄を目的とするレベルの固液分離しかできず、遠心分離装置で固液分離をした場合にも液相は濾過による再利用に供し得るものの固相の処理は困難を極める上に処理速度が遅く処理効率が悪い旨を指摘されており、さらに、分離膜による濾過を試みても固体成分捕捉のため分画性能を微細にせざるを得ないために濾過速度が遅く処理量に追いつけないとされている。
以上のように、シリコン切削廃液に対しては現実的な実施に耐えるレベルの有効且つ良好な固液分離が極めて困難なため、不十分な固液分離それ自体に大きな負担を強いられる上、このように不十分な固液分離によって回収された固相からシリコンや砥粒など所望の有用な固体成分を各別に分離回収する処理工程も、固相が十分に分離回収されていない液相からクーラントなどの有用成分を分離回収する処理工程も、複雑で煩雑な処理と設備並びに施設の大きな負担を求め現実的な実施を阻むコストを必要とする結果を招いている。
その一つの例をなすのが特許文献5に挙げた「シリコンの回収方法」で、図2にその処理工程をフローチャートにして示した通り、シリコン切削廃液からシリコンを回収するために非常に多くの処理工程が必要とされている上、各工程の処理が複雑且つ煩雑であると共に多大な設備並びに施設の負担を求める反面、特許文献2によれば固形分を有機溶剤で洗浄しても分散剤などの不純物除去は困難で固形分中に残留して回収されるシリコンの純度向上の妨げになること、固形分を気流中に投入しても酸化シリコンおよび砥粒を必ずしも十分に除去できず高純度のシリコンを得ることが困難であることを問題として指摘されており、さらに、その特許文献2に係る「廃棄スラッジからのシリコンの製造方法」も、磁性体を分離した廃スラッジを遠心分離でシリコン分散液と砥粒を主体とする固形不純物の沈降層に分離しているが、遠心分離では十分な固液分離がなし得ないため、これに続く処理工程が多大な負担を求めるものとなっており、現実の実施に耐え得るまでに簡便で効率の良いものになっているとは言い難い。
逆に、シリコン切削廃液の処理の初段階において、良好な固液分離を簡便且つ廉価に実現できるならば、固液分離工程それ自体の処理負担とコストを大きく減じることができるばかりでなく、これに続いて分離回収された固相と液相から有用成分を各別に分離して再生再利用に供する処理工程も簡便容易で廉価なものとなる上に、シリコン切削廃液中に含有される全ての有用成分を分離回収することも従来に比して容易になるから、シリコン切削廃液に含有されながら多くが廃棄されてきたシリコンなどの有用成分を回収して再生し再利用する現実的な道が大きく拓かれることになるが、従来技術に照らす限りそのような処理に関する有意味な提案も示唆も見出すことができない。
特開2010−46763号公報 特開2007−332001号公報 特開2006−315099号公報 特開2005−334992号公報 特開2001−278612号公報
本発明の課題は、シリコン切削屑など含有された固体成分の微細粒子がコロイド状に分散して懸濁したシリコン切削廃液を簡便廉価な手段で良好に固液分離して、分離された固相と液相の双方から所望の有用成分を低負担且つ低コストで回収し再生と再利用に供することを可能または容易にするシリコン切削廃液の処理方法を提供するところにある。
本発明者は、研究と実験を継続的に重ねた結果、半導体素子などの製造工程において生じるシリコン切削屑並びにその他の個体成分の微細粒子を含有して排出されるシリコン切削廃液において、これら微細粒子がコロイド状に分散して懸濁し容易な固液分離を拒む理由について、次のように考えるに至っている。
すなわち、例えば半導体素子製造においてシリコンインゴットからシリコンウェハを切り出すスライシング加工では、切断用のワイヤーソーとシリコンインゴットの押接部に砥粒とクーラント(切削油)からなるスラリーを循環供給しながら切断をするためシリコン切削廃液には廃スラリー(砥粒とクーラント)も含まれることとなるが、このクーラントの主成分はジオール系溶剤やその部分エーテル及びそれらの混合物と界面活性剤やpH調整剤であるから、シリコン切削廃液中に含有された固体成分微細粒子の表面にジオール系溶剤や界面活性剤が吸着することでミセルを形成してコロイドミセルとなし、このコロイドミセル同士が互いに電気的に反発して安定した分散状態が保持され、固相の自然沈殿や濾過などによる固液分離を妨げているものと考えられる。
であるならば、シリコン切削廃液中に含有された固体成分微細粒子表面の電荷を中和するなどの方法によりコロイドミセルを崩壊させれば安定した分散が失われることとなり、静電相互作用に基づく分子間力によって固体成分微細粒子同士が接触し集塊化する二次凝集を起こして固相を凝集沈殿させることができるものと考えられるため、シリコン切削廃液の分散系に有機溶媒を添加したところ、コロイドミセルの崩壊と固体成分微細粒子の二次凝集を起こすことができ固相が凝集沈殿した。
以上の知見に基づいて本発明者が研究と実験を進めた結果、シリコン切削廃液に次に区分される成分などを添加した場合、本発明者が求める良好な固液分離が容易に確保されることを見出すことができた。(以下、本明細書ではこれらを「相分離成分」と呼ぶ。)
(1)分子内に電気双極子モーメントが存在する極性分子からなり通常条件ではプロトンを解離しない極性非プロトン性溶媒
(2)同様に極性分子からなるがプロトン供与性を持つ極性プロトン性溶媒
(3)非イオン性であるノニオン系凝集剤
(4)有機キレート剤(アミノカルボン酸系、多価カルボン酸系、ホスホン酸系など)、塩酸や硫酸などの無機酸
本発明は、上記した本発明者の研究と実験の成果に係るものであって、請求項1の発明は、半導体素子製造などにおける結晶シリコンの切削加工によって生じるシリコン切削屑などが分散して懸濁したシリコン切削廃液にアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトニトリル、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン又はテトラヒドロフランのいずれかを含む極性非プロトン性溶媒である相分離成分を添加して固液分離を行うこと、を特徴とするシリコン切削廃液の処理方法である。
請求項の発明は、前記相分離成分によって固液分離した前記シリコン切削廃液からフィルタープレス、ベルトプレス、遠心分離機、加圧または減圧式ろ過器を用いて固相を分離回収すること、を特徴とする請求項1に記載したシリコン切削廃液の処理方法である。
請求項の発明は、前記固相を分離回収した後の前記シリコン切削廃液を減圧または常圧蒸留して切削油の原料と相分離用溶媒とに分離して回収すること、を特徴とする請求項6に記載したシリコン切削廃液の処理方法である。
本発明によれば、シリコン切削屑など含有された固体成分の微細粒子がコロイド状に分散して懸濁し固液分離が困難なシリコン切削廃液に対して、相分離成分を添加するという極めて簡便廉価な手段だけで固相を容易に凝集沈降させることができるから、処理工程の初めの段階で良好な固液分離を確保し、分離された固相と液相の双方から所望の有用成分を低負担且つ低コストで回収して再生と再利用に供することを可能または容易にするシリコン切削廃液の処理方法を提供するものに他ならない。
本発明に係るシリコン切削廃液の処理方法に基づき廃液中の有用成分を分離回収する処理工程の一例を示すフローチャートである。(実施例1) 従来技術により廃液中の有用成分を分離回収する処理工程を示すフローチャートである。(特許文献5)
以下に、図1を参照しながら、本発明に係る一実施例を説明する。
本実施例で処理対象とするシリコン切削廃液は、半導体素子製造における単結晶シリコンの切削加工(シリコンインゴットからシリコンウェハを切り出すスライシングから回路を形成した半導体素子の個片を分割切断するダイシングに亘る切断、研削、切削、研磨の一連の加工)によって生じたシリコン切削屑などを含んで排出される加工水(研削水、切削水など)や洗浄水からなる廃液で、下記の表1に示す成分を含有してなり(表からも明らかなように、含有固体成分を十分に分離回収した本発明に係る処理後の液相は全て再利用に供することができるものと考える)、また、このシリコン切削廃液に添加する相分離成分としては極性非プロトン性溶媒の一つであるメチルエチルケトンを選んだ。
本実施例においては、半導体素子の製造工程から排出された上記のシリコン切削廃液を樹脂容器(容量200L)に収容して処理現場に搬送、処理現場において樹脂容器の蓋を開披して水素ガスを十分に放出した後、固体成分粒子がコロイド状に分散して懸濁した暗褐色の廃液の所望量(2000g)をSUS304製の処理容器(容量5L)に移し、相分離成分の添加に備えた。
しかる後、処理容器内に準備したシリコン切削廃液2000gに対して、相分離成分として選択した液状のメチルエチルケトン2000gを滴下タンクから速やかに添加しプロペラ式モーター撹拌機を用いて急速撹拌のうえ静置したところ、5分後にはシリコン切削廃液中における固体成分の凝集が認められ、20分後には固相が処理容器の底部に凝縮沈殿して清澄な液相と良好に分離した。
以上のように、処理容器底部に固体成分が凝縮沈殿し固相と液相が分離したシリコン切削廃液を遠心分離機に導入して15分間にわたり東興機械株式会社製底部排出型遠心分離機TD−12(ろ布パイレン製PS2111、通気量0.75ml/cm/秒)を使用して500Gにて遠心分離を施したところ、粘土状の分離ケーキ相600gが回収され、また、固相を分離回収した後の液相を別途分析した結果、シリコンを含む残存固形物の総重量は0.1gであった。
比較のため、同一条件のシリコン切削廃液2000gを如何なる相分離成分も添加することのないまま上記と同一の遠心分離機に導入し15分間に亘って500Gにて遠心分離を施したところ、液相を多量に含み過剰に湿潤した汚泥状態の固相約50gが分離回収され、別途行った固相分離回収後の液相の分析結果もシリコンを含む残存固形物の総重量は約375gであった。
以上、シリコン切削廃液に相分離成分であるメチルエチルケトンを添加して固相を凝集沈殿させた本実施例と相分離成分を添加しない比較例の実施結果を下記の表2に整理したが、表2に照らして対比すれば明らかなように、シリコン切削廃液に相分離成分を添加するだけで廃液処理の初めの段階において良好で十分な固液分離を確保することが可能になっている。
このように、本実施例に係るシリコン切削廃液の処理方法によれば、処理の上でも設備並びに施設の上でも特段の負担を伴うことなく廃液処理の初めの段階で良好な固液分離が確保されており、この結果、回収された固相と液相のそれぞれについて有用成分を各別に分離回収して再生再利用に供するその後の処理工程の負担も大きく低減されて簡便廉価なものとすることができたので、以下はこの点について説明する。
先ず、固相の処理工程につき説明するに、前記した遠心分離によってシリコン切削廃液から分離回収された固相は有用成分であるシリコン並びに砥粒と不純物である砥石やワイヤーソーの摩耗片と破砕砥粒などが集塊した凝集物であり、さらに不純物を除去し有用成分を各別に分離回収する処理を行わなければならないが、湿潤してクーラントが付着した状態にあるため、事後の取り扱いを容易にする乾燥処理を施すものとし、外気を遮断した減圧空間内を間接加熱する方式の流動式乾燥機(コニカル乾燥機)を用いて乾燥固相を得たが、本実施例による回収固相が良好な固液分離を経ておりクーラント及び相分離成分付着量率は約35重量%であったため、特段の配慮や付帯処理を必要とせず、さらにクーラント組成がジエチレングリコールとプロピレングリコールモノメチルエーテル及び水といった共沸を生じ易い組成であったため容易に乾燥ができ、極めて簡便に効率的な乾燥処理を図ることができた。
上記の乾燥処理によって得られた塊状の乾燥固相を粉砕して粉末となした後、公知の方法に従って、例えば塩酸及びフッ化水素酸処理によりワイヤーソーの摩耗片(主に鉄分)を分離除去し、5000Gの高速遠心分離機により砥粒と破砕砥粒を分離してシリコン成分だけからなる水スラリー液を得ると共に、ターボ分級機によって砥粒を容易に分離することができた。
次いで、本実施例における遠心分離によって得られた回収液相も固体成分が十分に分離されている結果、残留固体成分を除去するために従来行われていた開き目0.1μm程度の高価なセラミックフィルター等による精密ろ過の処理も、残留シリコンに起因する水素ガスに対する安全確保の処理も配慮も必要としないため、その有用成分の分離回収は極めて簡便で特段の負担を伴わないものとなっており、本実施例ではメチルエチルケトンが添加された回収液相を常圧蒸留することによって、クーラントの原料と相分離用溶媒に容易に分離回収することができた。
以上に説明の通り、本実施例によれば、固体成分の微細粒子が分散して懸濁したシリコン切削廃液に対し、相分離成分としてのメチルエチルケトンを添加するという極めて簡便廉価な手段で固相を容易に凝集沈殿させ、処理工程の初めの段階において良好な固液分離を確保しているから、従来例(図2)と比較しても明らかなように、始めの段階の固液分離のみならず、分離された固相と液相から所望の有用成分を分離回収する処理も低負担且つ低コストで簡便に実施することができる。
なお、本実施例においては、相分離成分としてメチルエチルケトンを用いたが、極性非プロトン性溶媒の多くが利用可能であり、本発明者が実験で確認した限りでも、メチルエチルケトンと並んで、アセトン、メチルイソブチルケトン、アセトニトリル、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、などが良好な固液分離をもたらした。
また、本実施例並びに以下の各例では、半導体素子製造における全切削加工工程(スライシング、鏡面加工、バックグラインディング、ダイシングに亘る切断、研削、切削、研磨の一連の加工)で排出されたシリコン切削廃液を処理対象としたが、シリコンの切削加工工程で排出されシリコン切削屑を含有する廃液であれば半導体素子製造に限られることはなく、同様に、一部の切削加工工程で排出される廃液だけを処理対象とすることもできる。
さらに、本実施例において示すシリコン切削廃液の固液分離手段、該固液分離によって回収された固相と液相に対する有用成分分離回収の処理は一例を示したもので、これら分離回収処理のための手段も装置も本発明を限定するところはなく、例えば、相分離成分を添加して固相が凝縮沈殿したシリコン切削廃液に対する分離手段は本実施例に挙げた遠心分離機のほかフィルタープレス、ベルトプレス、加圧または減圧式ろ過器などを用いても簡便容易に固相と液相の良好な分離回収が確保できるほか、乾燥処理も流動式乾燥機以外の乾燥機の利用を排除するものではなく、また、回収液相の分離に当たり本実施例における常圧蒸留に代えて減圧蒸留を行っても差し支えはない。
次の例は、シリコン切削廃液の処理方法を実施した他の例を示すものであり、処理対象は実施例1と同一条件のシリコン切削廃液で、相分離成分としては極性プロトン性溶媒であるメタノールを用いており、シリコン切削廃液2000gに対して2500gのメタノールを添加し撹拌静置したところ、40分後には固相と液相が明瞭に分離した。
以下、実施例1と同一条件にて遠心分離を施し、粘土状の分離ケーキ相650gが回収され、また、固相を分離回収した後の液相を別途分析した結果、シリコンを含む残存固形物の総重量は0.5gであった。
メタノールは最も安価な溶媒であり沸点が低く固液分離に係る費用が安く済む点が特徴であるが、凝集沈殿物の粒度がメチルエチルケトンの場合に比較してやや細かく、分離に必要な液量も増加する。
以上、シリコン切削廃液に相分離成分としてメタノールを添加した本例と相分離成分を添加しない比較例の実施結果を下記の表3に整理したが、メタノールを添加した本実施例でも廃液処理の初めの段階において良好で十分な固液分離を確保することができた。
また、本例においても、メタノールを添加して固液分離した固相と液相のそれぞれについて実施例1と同様の処理を施して各有用成分の分離回収を図ったが、廃液処理の初めの段階で良好な固液分離が確保されている結果、実施例1と同様に各処理工程の負担とコストを大きく低減することができた。
なお、本例においては、相分離成分としてメタノールを用いたが、水、炭素数1 から4 のアルコールなど他の極性プロトン性溶媒も利用可能であり、良好な固液分離をもたらした。
次の例も本発明に係るシリコン切削廃液の処理方法を実施した他の例を示すもので、処理対象は実施例1と同一条件のシリコン切削廃液であり、相分離成分としてはノニオン系凝集剤であるダイヤフロックNP800(ダイヤニトリックス株式会社製)を用い、
シリコン切削廃液2000gに対してダイヤフロックNP800の0.1重量%水溶液を60g添加し撹拌静置したところ、120分後には固相と液相が明瞭に分離した。
以下、実施例1と同一条件にて遠心分離を施し、粘土状の分離ケーキ相800gが回収され、また、固相を分離回収した後の液相を別途分析した結果、シリコンを含む残存固形物の総重量は0.05gであった。
有機高分子系凝集剤は少量でも凝集効果が大であり固液分離に係る費用が安く済む点が特徴であり液相側の回収に主眼を置いた場合は非常に有効な手段であるが、固相側に有機高分子系凝集剤が残留し再利用のためのプロセスが煩雑となり金属汚染物も一緒に引き込むため純度の高いシリコンや砥粒を得ることが難しい。
シリコン切削廃液に相分離成分としてノニオン系凝集剤を添加した本例についても、相分離成分を添加しない比較例との実施結果を下記の表4に整理したが、本実施例でも廃液処理の初めの段階において良好で十分な固液分離を確保することができた。
また、本例においても、ノニオン系凝集剤を添加して固液分離した固相と液相のそれぞれについて実施例1と同様の処理を施して各有用成分の分離回収を図ったが、前述の如く回収されるシリコンや砥粒に高純度を求めることは難しいものの、実施例1と同様に各処理工程の負担とコストは大きく低減した。
次の例も、本発明に係るシリコン切削廃液の処理方法を実施した他の例を示すものであり、処理対象は実施例1と同一条件のシリコン切削廃液で、相分離成分としてはエチレンジアミン四酢酸を用い、シリコン切削廃液2000gに対してエチレンジアミン四酢酸を20g添加し撹拌静置したところ、180分後には固相と液相が明瞭に分離した。
以下、実施例1と同一条件にて遠心分離を施して粘土状の分離ケーキ相750gが回収され、また、固相を分離回収した後の液相を別途分析した結果、シリコンを含む残存固形物の総重量は0.3gであった。
効果としてはほぼ有機高分子系凝集剤の場合と同様であるが、相分離成分の分子量が小さいため固相側の精製時に熱分解法により完全に除去が可能である点が特徴である。
相分離成分としてエチレンジアミン四酢酸を添加した本例についても、相分離成分を添加しない比較例との実施結果を下記の表5に対比したが、本例でも廃液処理の初めの段階において良好で十分な固液分離を確保することができた。
また、本例においても、メタノールを添加して固液分離した固相と液相のそれぞれについて実施例1と同様の処理を施して各有用成分の分離回収を図ったが、回収されたシリコンや砥粒に高純度を求めにくいものの、実施例1乃至前例と同様に各処理工程の負担とコストは大きく低減した。
なお、本例においては、相分離成分としてエチレンジアミン四酢酸を用いたが、他に有機キレート剤(アミノカルボン酸系、多価カルボン酸系、ホスホン酸系など)、塩酸や硫酸などの無機酸でも良好な固液分離が確認された。

Claims (3)

  1. 半導体素子製造などにおける結晶シリコンの切削加工によって生じるシリコン切削屑が分散して懸濁したシリコン切削廃液にアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトニトリル、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン又はテトラヒドロフランのいずれかを含む極性非プロトン性溶媒である相分離成分を添加して固液分離を行うこと、
    を特徴とするシリコン切削廃液の処理方法。
  2. 前記相分離成分によって固液分離した前記シリコン切削廃液からフィルタープレス、ベルトプレス、遠心分離機、加圧または減圧式ろ過器を用いて固相を分離回収すること、
    を特徴とする請求項1に記載したシリコン切削廃液の処理方法。
  3. 前記固相を分離回収した後の前記シリコン切削廃液を減圧または常圧蒸留して切削油の原料と相分離用溶媒とに分離して回収すること、
    を特徴とする請求項に記載したシリコン切削廃液の処理方法。
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