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JP5716786B2 - 飛翔体の作動スイッチ - Google Patents

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JP5716786B2
JP5716786B2 JP2013080419A JP2013080419A JP5716786B2 JP 5716786 B2 JP5716786 B2 JP 5716786B2 JP 2013080419 A JP2013080419 A JP 2013080419A JP 2013080419 A JP2013080419 A JP 2013080419A JP 5716786 B2 JP5716786 B2 JP 5716786B2
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Description

本発明は、高速で飛翔する飛翔体に設けられ、空力加熱による温度上昇を利用して作動する飛翔体の作動スイッチに関するものである。
従来より、飛翔体において、飛翔開始から所定時間経過後に所定の動作が行われるように制御するための機構として、空力加熱による温度上昇によって作動する作動スイッチが用いられている(例えば、下記特許文献1を参照)。
上記作動スイッチは、飛翔体の先端部の内部に、所定位置まで後退することで作動スイッチを作動させる作動シャフトが設けられ、該作動シャフトは低融点合金からなる固定部材を介して飛翔体の先端部に固定されている。飛翔体は、飛翔中に空力加熱によって先端部の温度が上昇し、この熱が後方へ伝わることにより、固定部材の温度が上昇する。そして、固定部材が所定の融点に達して融解すると、作動シャフトが先端部に支持されなくなり、後退して作動スイッチを作動させる。
ところで、図18に示すように、上記作動スイッチを備えた飛翔体が高速(マッハ5程度)で飛翔する場合、空力加熱による加熱力が強く、固定部材の昇温速度が速いため、外気温度が高い場合であっても低い場合であっても、固定部材の温度がすぐに融点(Tm1)に達して作動スイッチが作動する。つまり、外気温度が異なる条件下であっても、飛翔開始から作動スイッチが作動するまでに要する時間(以下、単に作動時間と称する。)の差が小さく、飛翔開始から作動スイッチが作動するまでの飛翔距離(以下、単に作動距離と称する。)が同程度となる。一方、飛翔体の飛翔速度が低くなるにつれて、空力加熱による加熱力が弱まって固定部材の昇温速度が遅くなる。そのため、固定部材の融点を低くする(Tm1よりも低いTm2とする)ことで作動時間を短縮することが考えられるが、このように構成しても外気温度が低い場合には、固定部材の温度がなかなか融点(Tm2)に達せず、外気温度が高い場合に比べて作動時間が著しく長くなるおそれがあった。このように、上記作動スイッチでは、比較的低速で飛翔する飛翔体に用いられる場合に、外気温度によって作動スイッチの作動時間に差が生じるために作動距離が外気温度に左右され、所望の飛翔距離で作動させることができない場合があった。
そこで、特許文献1の作動スイッチでは、飛翔体の先端部にカバーを設けて先端部の前方に空気層を形成すると共に、カバーの内周面に雌ネジを形成する一方、先端部の外周面に雄ネジを形成して、雌ネジと雄ネジとの螺合量を変更することで空気層の寸法を変更可能に構成している。このように空気層の寸法を変更可能に構成することで、空力加熱により加熱された先端部より固定部材へ伝わる熱量を調整することで固定部材の温度上昇時間を調整することとしている。
特開平5−322495号公報
しかしながら、上記特許文献1の作動スイッチでは、飛翔体の発射地点の外気温度に応じてその都度、空気層の寸法を手動で変更しなければならず、変更量を誤るおそれがあった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、空力加熱による温度上昇を利用して作動する飛翔体の作動スイッチを、異なる外気温度条件下であっても自動的に作動距離が同程度となるように調整されるように構成することにある。
第1の発明は、飛翔体の先端部を構成する先端部材(11)と、該先端部材(11)の内部において軸方向に延びる軸部材(13)と、該軸部材(13)の周囲に形成されて該軸部材(13)を上記先端部材(11)に固定する低融点合金からなる固定部材(12)とを有し、空力加熱によって上記固定部材(12)が融解して上記軸部材(13)の固定状態が解除されることによって作動する飛翔体の作動スイッチであって、上記先端部材(11)の上記固定部材(12)よりも先端側に設けられ、上記固定部材(12)よりも融点が高い低融点合金からなる先端側合金部(15)を備え、空力加熱によって上記先端側合金部(15)の温度が融点に達する場合に、該先端側合金部(15)が上記固定部材(12)よりも先に融点に達するように構成されている。
第1の発明では、固定部材(12)よりも融点が高い低融点合金からなる先端側合金部(15)が先端部材(11)の固定部材(12)よりも先端側に設けられると共に、空力加熱によって先端側合金部(15)の温度が融点に達する場合に、先端側合金部(15)が固定部材(12)よりも先に融点に達するように構成されている。このような構成により、外気温度が低い場合には、先端側合金部(15)が融解しないため、空力加熱による熱がそのまま後方の固定部材(12)へ伝えられ、やがて固定部材(12)が融点に達して融解する。一方、外気温度が高い場合には、先端側合金部(15)が固定部材(12)よりも先に融点に到達して融解する。このとき、空力加熱による熱は、先端側合金部(15)の融解潜熱として用いられるため、先端側合金部(15)の後方の固定部材(12)に伝わり難くなる。外気温度が高い程、空力加熱による加熱力が高くなって固定部材(12)の温度が融点に達するまでに要する時間(以下、単に、融点到達時間と称する。)が短くなるところ、外気温度が高い場合にのみ空力加熱による熱が固定部材(12)へ伝わり難くすることにより、外気温度の違いによって生じる融点到達時間の差が小さくなる。よって、外気温度の違いによる作動スイッチの作動時間の差が小さくなる。
第2の発明は、第1の発明において、上記先端側合金部(15)は、上記先端部材(11)の上記固定部材(12)よりも先端側に形成された収容空間(16)に埋設されている。
第2の発明では、先端側合金部(15)が融解すると、先端部材(11)の固定部材(12)よりも先端側に収容空間(16)によって空隙部が形成されることとなる。先端部材(11)では、空力加熱による熱が先端から徐々に後方へ伝えられるが、上述のような空隙部が形成されると、熱を伝える通路が部分的に狭くなるため、空力加熱による熱が固定部材(12)に伝わり難くなる。つまり、外気温度が高い場合には、先端側合金部(15)が空力加熱による熱を潜熱として用いることに加えて、先端部材(11)の固定部材(12)よりも先端側に空隙部が形成されることによっても、空力加熱による熱が固定部材(12)に伝わり難くなる。
第3の発明は、第2の発明において、上記収容空間(16)は、上記先端部材(11)の外周面において周方向に延びる溝(14)によって形成されている。
また、第4の発明は、第3の発明において、上記溝(14)は環状に形成されている。
第3及び第4の発明では、収容空間(16)が、先端部材(11)の外周面において周方向に延びる溝(14)によって形成されているため、先端側合金部(15)が融解すると、先端部材(11)の固定部材(12)よりも先端側に周方向に延びる空隙部が形成される。特に、第4の発明では、環状の空隙部が形成される。これにより、先端部材(11)において空力加熱による熱を後方の固定部材(12)へ熱を伝える通路の断面積が、空隙部付近で大幅に低減されて狭くなる。よって、空力加熱による熱が固定部材(12)に伝わり難くなる。
第5の発明は、第4の発明において、上記溝(14)は、底部(14a)が上記固定部材(12)の外周縁部(12b)よりも上記先端部材(11)の径方向の内側に位置するように形成されている。
第5の発明では、溝(14)の底部(14a)が固定部材(12)の外周縁部(12b)よりも径方向の内側に位置するように溝(14)を形成することとした。これにより、溝(14)内の先端側合金部(15)が融解した後は、環状の溝(14)の内側の部分のみが空力加熱による熱を後方へ伝える通路となるため、先端側合金部(15)が融解すると、空力加熱による熱を後方へ伝える通路が固定部材(12)の外径よりも小径の通路となる。よって、空力加熱による熱が固定部材(12)により一層伝わり難くなり、外気温度の違いによる融点到達時間の差がより一層低減される。
第6の発明は、第3乃至第5のいずれか1つの発明において、上記先端側合金部(15)が埋設された上記溝(14)は、上記先端部材(11)の軸方向に複数形成されている。
第6の発明では、先端側合金部(15)が埋設された溝(14)が、先端部材(11)の軸方向に複数形成されている。外気温度が高い場合に、最も先端側に形成された溝(14)に嵌め込まれた先端側合金部(15)から最も後方の溝(14)に嵌め込まれた先端側合金部(15)までが順に融点に達して融解していく。
第7の発明は、第3乃至第5のいずれか1つの発明において、上記先端側合金部(15)は、上記先端部材(11)の径方向の内側から外側へ向かって順に融点が低くなるように並ぶ融点の異なる複数の低融点合金部(17,18)によって構成されている。
第7の発明では、空力加熱による加熱力の強さに応じて先端側合金部(15)の融解量が変わり、空力加熱による熱を後方の固定部材(12)へ伝える通路の断面積が変化する。具体的には、空力加熱による加熱力が非常に強い場合には、溝(14)内の複数の低融点合金部(17,18)が外側から内側へ順に融点に達して全てが融解することにより、溝(14)内の収容空間(16)と等しい大きさの空隙部が形成され、後方の固定部材(12)へ熱を伝える通路の断面積が著しく狭くなる。一方、空力加熱による加熱力が弱い場合には、溝(14)内の複数の低融点合金部(17,18)が融解せず、空隙部が形成されないため、後方の固定部材(12)へ熱を伝える通路の断面積が広いままとなる。さらに、空力加熱による加熱力が強すぎず、弱すぎない場合には、溝(14)内の外側の一部の低融点合金部(18)のみが融解する。これにより、溝(14)内の収容空間(16)よりも小さい空隙部が形成され、後方の固定部材(12)へ熱を伝える通路の断面積は狭くなるものの空力加熱による加熱力が非常に強い場合ほど著しく狭くならない。このような構成により、空力加熱による加熱力が強くなるほど後方の固定部材(12)へ熱を伝える通路の断面積が狭くなり、固定部材(12)に熱が伝わり難い形状となる。
第8の発明は、第6の発明において、上記複数の溝(14)は、上記先端部材(11)の軸方向の後側のものほど溝深さが深くなるように形成され、上記複数の溝(14)には、それぞれ融点の異なる上記先端側合金部(15)が埋設され、溝深さが深い上記溝(14)ほど融点の高い上記先端側合金部(15)が設けられている。
第8の発明では、先端部材(11)の軸方向に並ぶ複数の溝(14)が、後側のものほど溝深さが深くなるように形成され、溝深さの深い後側の溝(14)ほど融点の高い低融点合金によって構成された先端側合金部(15)が埋設されている。そのため、空力加熱による加熱力が強くなるほど断面積の大きな空隙部が形成される。具体的には、空力加熱による加熱力が非常に強い場合には、先端部材(11)の軸方向の先端側に形成された溝深さの浅い溝(14)に埋設された融点の低い先端側合金部(15)から順に融点に達して融解し、やがて最も後方の溝深さの深い溝(14)に嵌め込まれた融点の高い先端側合金部(15)が融点に達して融解する。これにより、先端部材(11)の軸方向に空隙部が複数形成され、最も後方に形成された最も断面積の大きい空隙部により、空力加熱による熱を後方の固定部材(12)へ伝える通路の断面積が著しく狭くなる。一方、空力加熱による加熱力が弱い場合には、複数の溝(14)内の先端側合金部(15)が融解せず、空隙部が形成されないため、空力加熱による熱を後方の固定部材(12)へ伝える通路の断面積が広いままとなる。さらに、空力加熱による加熱力が強すぎず、弱すぎない場合には、複数の溝(14)のうちの先端部材(11)の軸方向の先端側の一部の溝(14)の先端側合金部(15)のみが融解する。これにより、先端部材(11)の軸方向には1つ以上の空隙部が形成され、最も後方の空隙部の断面積は、空力加熱による加熱力が非常に強い場合に形成される最も後方の空隙部の断面積よりも小さくなる。つまり、最も後方の空隙部によって、空力加熱による熱を後方の固定部材(12)へ伝える通路の断面積は狭くなるものの空力加熱による加熱力が非常に強い場合ほど著しく狭くならない。このような構成により、空力加熱による加熱力が強くなるほど空力加熱による熱を後方の固定部材(12)へ伝える通路の断面積が狭くなり、固定部材(12)に熱が伝わり難い形状となる。
第9の発明は、第1の発明において、上記先端部材(11)は、先端部(11e)が先窄まり形状に形成され、上記先端側合金部(15)は、後端に上記先端部材(11)の先端が嵌り込む凹部(15a)を有する円柱体に形成され、上記先端部材(11)の先端部(11e)に固定されている。
第9の発明では、外気温度が高い場合には、先端側合金部(15)が固定部材(12)より先に融解し、先端部材(11)の先窄まり形状の先端部(11e)が露出することで、飛翔体の先端部が空気抵抗の小さい形状となる。その結果、空力加熱による加熱力が弱まる。つまり、先端側合金部(15)の融解の際には、空力加熱による熱が先端側合金部(15)の後方の固定部材(12)へ伝わり難くなり、先端側合金部(15)の融解後には、飛翔体の先端部が空気抵抗の小さい形状に変化することで空力加熱による加熱力が弱まる。よって、外気温度が高い程、融点到達時間が短くなるところ、上述のように外気温度が高い場合にのみ空力加熱による熱を固定部材(12)へ伝え難くすると共に空力加熱による加熱力を弱めることにより、外気温度の違いによる融点到達時間の差が低減される。これにより、外気温度の違いによる作動スイッチの作動時間の差が低減される。
第1の発明によれば、固定部材(12)よりも融点が高い低融点合金からなる先端側合金部(15)を先端部材(11)の固定部材(12)よりも先端側に設けると共に、空力加熱によって先端側合金部(15)の温度が融点に達する場合に、先端側合金部(15)が固定部材(12)よりも先に融点に達するように構成することとした。これにより、外気温度が低い場合には、空力加熱による熱がそのまま固定部材(12)へ伝えられる一方、外気温度が高い場合には、空力加熱による熱が先端側合金部(15)の融解潜熱として用いられ、固定部材(12)へ伝わり難くなる。このように外気温度が高い場合にのみ空力加熱による熱が固定部材(12)へ伝わり難くすることにより、外気温度の違いによる融点到達時間の差を低減することができる。よって、外気温度の違いによる作動スイッチの作動時間の差を低減することができる。従って、異なる外気温度条件下であっても同程度の作動距離で作動スイッチを作動させることが可能となる。
また、第2の発明によれば、先端部材(11)の固定部材(12)よりも先端側に形成された収容空間(16)に先端側合金部(15)を埋設することにより、該先端側合金部(15)の融解によって、固定部材(12)の前方に空隙部が形成されるように構成することとした。これにより、外気温度が高い場合には、先端側合金部(15)が固定部材(12)より先に融解することで、空力加熱による熱を先端側合金部(15)の融解潜熱として用いることに加え、固定部材(12)の先端側に空隙部を形成して空力加熱による熱を後方の固定部材(12)へ伝える通路を部分的に狭くすることにより、空力加熱による熱が固定部材(12)により一層伝わり難くすることができる。その結果、外気温度の違いによる融点到達時間の差をより一層低減することができる。
また、第3及び第4の発明によれば、収容空間(16)を、先端部材(11)の外周面において周方向に延びる溝(14)によって形成することとしたため、空隙部を、固定部材(12)よりも融点が高い低融点合金を収容空間(16)に鋳込む構成によって容易に形成することができる。
また、第5の発明によれば、溝(14)を、底部(14a)が固定部材(12)の外周縁部(12b)よりも径方向の内側に位置するように形成することとした。これにより、先端側合金部(15)の融解によって空隙部の内側に形成される空力加熱による熱を後方へ伝える通路を、部分的に固定部材(12)の外径よりも小径にすることができる。よって、空力加熱による熱が固定部材(12)により一層伝わり難くなり、外気温度の違いによる融点到達時間の差がより一層低減される。
また、第6の発明によれば、先端側合金部(15)が埋設された溝(14)を、先端部材(11)の軸方向に複数形成することとした。そのため、外気温度が著しく高い場合であっても、複数の溝(14)に嵌め込まれた先端側合金部(15)が先端側のものから順に融解することにより、空力加熱による熱を固定部材(12)へ伝え難くすることができるため、外気温度の違いによる融点到達時間の差を低減することができる。つまり、幅広い外気温度において、同程度の作動距離で作動スイッチを作動させることが可能となる。
また、第7の発明によれば、先端側合金部(15)を、溝(14)内において、先端部材(11)の径方向の内側から外側へ向かって順に融点が低くなるように配列された融点の異なる複数の低融点合金部(17,18)によって構成することとした。そのため、空力加熱による加熱力が強くなるほど後方の固定部材(12)へ熱を伝える通路の断面積を狭くすることができる。つまり、空力加熱による加熱力が強くなるほど固定部材(12)に熱が伝わり難い形状にすることができる。よって、空力加熱による加熱力の強さに応じて空力加熱による熱の固定部材(12)への伝え易さを細やかに制御することができる。従って、幅広い外気温度において、同程度の作動距離で作動スイッチを作動させることが可能となる。
また、第8の発明によれば、先端部材(11)の軸方向に並ぶ複数の溝(14)を、後側のものほど溝深さが深くなるように形成すると共に、溝深さの深い後側の溝(14)ほど融点の高い低融点合金によって構成された先端側合金部(15)を埋設することとした。そのため、空力加熱による加熱力が強くなるほど後方の固定部材(12)へ熱を伝える通路の断面積を狭くすることができる。つまり、空力加熱による加熱力が強くなるほど固定部材(12)に熱が伝わり難い形状にすることができる。よって、空力加熱による加熱力の強さに応じて空力加熱による熱の固定部材(12)への伝え易さを細やかに制御することができる。従って、幅広い外気温度において、同程度の作動距離で作動スイッチを作動させることが可能となる。
また、第9の発明によれば、先端部材(11)の先端部(11e)を先窄まり形状に形成する一方、先端側合金部(15)を円柱形状に形成して先端部材(11)の先窄まり形状の先端部(11e)を覆うようにした。これにより、外気温度が低い場合には、先端側合金部(15)が融解しないため、空力加熱による熱がそのまま固定部材(12)へ伝えられる一方、外気温度が高い場合には、空力加熱による熱が先端側合金部(15)の融解潜熱として用いられるため、空力加熱による熱を先端側合金部(15)の後方の固定部材(12)へ伝わり難くすることができる。また、先端側合金部(15)の融解後は、先端部材(11)の先窄まり形状の先端部(11e)を露出させることで、飛翔体の先端部を空気抵抗の小さい形状にして、空力加熱による加熱力を弱めることができる。このように外気温度が高い場合にのみ空力加熱による熱を固定部材(12)へ伝え難くすると共に空力加熱による加熱力を弱めることにより、外気温度の違いによる融点到達時間の差を低減することができる。これにより、外気温度の違いによる作動スイッチの作動時間の差を低減することができる。従って、異なる外気温度条件下であっても同程度の作動距離で作動スイッチを作動させることが可能となる。
図1は、実施形態1に係る作動スイッチの概略断面図である。 図2は、実施形態1に係る作動スイッチの外気温度が比較的低温である場合の動作図であり、(A)は作動前を示し、(B)は作動後を示すものである。 図3は、実施形態1に係る作動スイッチの外気温度が比較的高温である場合の動作図であり、(A)は作動前を示し、(B)は作動前であって先端側合金部が融解した場合を示し、(C)は作動後を示すものである。 図4(A)は、図3(A)のIVA−IVA断面図であり、図4(B)は、図3(B)のIVB−IVB断面図であり、図4(C)は、図3(C)のIVC−IVC断面図である。 図5は、実施形態2に係る作動スイッチの外気温度が比較的低温である場合の動作図であり、(A)は作動前を示し、(B)は作動後を示すものである。 図6は、実施形態2に係る作動スイッチの外気温度が比較的高温である場合の動作図であり、(A)は作動前を示し、(B)は作動前であって先端側合金部が融解した場合を示し、(C)は作動後を示すものである。 図7は、実施形態3に係る作動スイッチの外気温度が比較的低温である場合の動作図であり、(A)は作動前を示し、(B)は作動後を示すものである。 図8は、実施形態3に係る作動スイッチの外気温度が比較的高温である場合の動作図であり、(A)は作動前を示し、(B)は作動前であって先端側合金部が融解した場合を示し、(C)は作動後を示すものである。 図9は、実施形態4に係る作動スイッチの外気温度が比較的低温である場合の動作図であり、(A)は作動前を示し、(B)は作動後を示すものである。 図10は、実施形態4に係る作動スイッチの外気温度が比較的高温である場合の動作図であり、(A)は作動前を示し、(B)は作動前であって先端側合金部が融解した場合を示し、(C)は作動後を示すものである。 図11は、実施形態5に係る作動スイッチの外気温度が比較的低温である場合の動作図であり、(A)は作動前を示し、(B)は作動後を示すものである。 図12は、実施形態5に係る作動スイッチの外気温度が比較的高温である場合の動作図であり、(A)は作動前を示し、(B)は作動前であって先端側合金部が融解した場合を示し、(C)は作動後を示すものである。 図13は、実施形態5に係る作動スイッチの外気温度が中程度である場合の動作図であり、(A)は作動前を示し、(B)は作動前であって先端側合金部が融解した場合を示し、(C)は作動後を示すものである。 図14は、実施形態6に係る作動スイッチの外気温度が比較的低温である場合の動作図であり、(A)は作動前を示し、(B)は作動後を示すものである。 図15は、実施形態6に係る作動スイッチの外気温度が比較的高温である場合の動作図であり、(A)は作動前を示し、(B)は作動前であって先端側合金部が融解した場合を示し、(C)は作動後を示すものである。 図16は、実施形態6に係る作動スイッチの外気温度が中程度である場合の動作図であり、(A)は作動前を示し、(B)は作動前であって先端側合金部が融解した場合を示し、(C)は作動後を示すものである。 図17(A)は、その他の実施形態に係る作動スイッチの概略断面図であり、図17(B)は、図17(A)のXIIVB−XIIVB断面図である。 図18は、従来の作動スイッチについて、飛翔速度と外気温度と作動距離との関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下では、本発明に係る作動スイッチの一例として、戦車砲用演習弾に用いられる作動スイッチについて説明する。
《発明の実施形態1》
作動スイッチ(10)は、飛翔体としての戦車砲用演習弾の先端部に設けられている。なお、以下の説明では、図1に示すように、弾体(2)の軸方向の先端側を前側、弾体(2)の軸方向の基端側を後側として説明する。また、図1では、飛翔体の先端部付近のみを示し、その他の部分を省略しているが、飛翔体は、先端部を構成する先端部材(11)と、弾体(2)と、後端部を構成する翼部材とを有している。
本実施形態1では、弾体(2)は、それぞれ軸方向に延びて周方向に配列された3つの分割片(21)によって構成され、3つの分割片(21)の前端は先端部材(11)によって一体に固定され、3つの分割片(21)の後端は翼部材によって連結されている。作動スイッチ(10)は、飛翔体の飛翔の際における空力加熱による温度上昇に伴って作動し、本実施形態では、先端部材(11)による弾体(2)の3つの分割片(21)の固定状態を解除するように構成されている。
具体的には、図1に示すように、作動スイッチ(10)は、アルミニウム合金によって構成された先端部材(11)と、該先端部材(11)の内部に収容された作動シャフト(軸部材)(13)と、該作動シャフト(13)を先端部材(11)に固定する固定部材(12)とを備えている。
先端部材(11)は、アルミニウム合金製で、円柱形状に形成されている。また、先端部材(11)の中心部には、上記作動シャフト(13)が収容される収容孔(11a)が形成されている。該収容孔(11a)は、先端部材(11)の軸方向の中央部から後端に向かって延びている。また、先端部材(11)の収容孔(11a)の外周側に固定部材(12)を螺合するためのネジ穴(11b)が形成されている。ネジ穴(11b)は、収容孔(11a)よりも大径に形成され、固定部材(12)の外径と等しい直径を有している。先端部材(11)の後端面には、固定部材(12)よりも大径の断面円形の凹部(11c)が形成されている。また、先端部材(11)の後端面の凹部(11c)の外周側には、環状の凸部(11d)が形成されている。
固定部材(12)は、低融点合金(例えば、融点が80℃の合金)によって略円筒形状に形成されている。固定部材(12)は、内周部にはネジ穴(12a)が形成される一方、外周部にはネジ部(12b)が形成されている。固定部材(12)は、先端部材(11)のネジ穴(11b)に嵌り込む形状に形成され、外周部のネジ部(12b)がネジ穴(11b)と螺合している。また、固定部材(12)のネジ穴(12a)は、上記作動シャフト(13)が嵌り込む形状に形成され、作動シャフト(13)の後述するネジ部(13a)と螺合している。
作動シャフト(13)は、略円柱形状のネジ部(13a)と、該ネジ部(13a)の後端部に連続し、該ネジ部(13a)より大径の円板形状のフランジ部(13b)とを有している。ネジ部(13a)は、固定部材(12)に対応する位置に設けられ、該固定部材(12)のネジ穴(12a)に螺合する雄ネジに構成されている。フランジ部(13b)は、前側端面が、径方向外側に向かうほど前方に突き出たテーパ面に形成されている。作動シャフト(13)は、前端部が収容孔(11a)に収容されている。また、作動シャフト(13)は、フランジ部(13b)の前側端面が弾体(2)の内壁の一部である後述する段部(2c)に当接した状態で、ネジ部(13a)が固定部材(12)のネジ穴(12a)に螺合されている。
弾体(2)の前端部には、先端部材(11)の収容孔(11a)に対応する位置に、円柱形状の小径孔部(2a)及び大径孔部(2b)が形成されている。また、小径孔部(2a)及び大径孔部(2b)は連続して形成され、小径孔部(2a)の後方に大径孔部(2b)が形成されている。これらの小径孔部(2a)と大径孔部(2b)とは、3つの分割片(21)の前端部のそれぞれに切り欠きを形成することによって構成されている。また、大径孔部(2b)の前端を形成する弾体(2)の内壁の一部は、径方向内側に向かうほど後方に突き出たテーパ形状の段部(2c)に構成されている。また、3つの分割片(21)の前側端面によって構成される弾体(2)の前側端面には、先端部材(11)の環状の凸部(11d)が係合する断面円形の凹部(2d)が形成されている。
弾体(2)を構成する3つの分割片(21)の前端部は、作動スイッチ(10)によって一体に固定されている。具体的には、作動シャフト(13)のフランジ部(13b)の前側端面が段部(2c)に当接した状態で、作動シャフト(13)のネジ部(13a)と先端部材(11)に固定された固定部材(12)のネジ穴(12a)とを螺合させることにより、3つの分割片(21)の前端部が先端部材(11)によって一体に固定される。
〈自動調整機構〉
上記作動スイッチ(10)には、異なる外気温度条件下においても飛翔体が飛翔開始してから作動スイッチ(10)が作動するまでの飛翔距離(以下、単に作動距離と称する。)が同程度となるように作動時間を自動的に調整する自動調整機構が設けられている。
本実施形態では、自動調整機構は、固定部材(12)よりも融点が高い低融点合金(例えば、融点が120℃の合金)からなり、先端部材(11)の固定部材(12)よりも先端側に設けられた先端側合金部(15)を有している。先端側合金部(15)は、先端部材(11)の先端部に形成された溝(14)内の収容空間(16)に埋設されている。溝(14)は、先端部材(11)の外周縁部において周方向に延び、本実施形態では、環状に形成されている。また、本実施形態では、溝(14)は、底部(14a)が固定部材(12)の外周縁部(ネジ部(12b))よりも径方向の内側に位置するように形成されている。先端側合金部(15)は、このような溝(14)に鋳込まれている。よって、本実施形態では、先端側合金部(15)は、環状に形成されている。
また、自動調整機構は、空力加熱によって先端側合金部(15)が昇温してその温度が融点に達する場合に、該先端側合金部(15)が固定部材(12)よりも先に融点に達するように構成されている。例えば、先端側合金部(15)の成分、先端側合金部(15)の大きさ(体積)、先端側合金部(15)の形状、先端側合金部(15)と固定部材(12)との距離等を変更することによって上記条件を満たすように構成する。
−動作−
飛翔体は、訓練用戦車の砲身から発射されると、中心軸周りに自転しながら高速度で飛翔する。このとき、飛翔体では、空力加熱によって先端部を構成する先端部材(11)の温度が上昇し、この熱が後方へ伝えられて固定部材(12)が加熱され、該固定部材(12)の温度が所定の融点(例えば、80℃)に達すると融解が始まる。固定部材(12)が融解すると、作動シャフト(13)と固定部材(12)とが螺合しなくなり、作動シャフト(13)の先端部材(11)に対する固定状態が解除されることで、作動スイッチ(10)が作動する。具体的には、作動シャフト(13)のフランジ部(13b)の前側端面が段部(2c)から外れ、弾体(2)を構成する3つの分割片(21)の前端部の固定が解除され、弾体(2)を構成する3つの分割片(21)が分離される。
ここで、本実施形態の作動スイッチ(10)には、異なる外気温度条件下においても作動距離が同程度となるように作動時間を自動的に調整する自動調整機構が設けられている。そのため、外気温度によって作動スイッチ(10)が作動するまでの動作が異なる。
図2(A)に示すように、外気温度が比較的低い場合には、空力加熱による加熱力が弱く(細線矢印を参照)、先端側合金部(15)の温度が融点に達せず、融解しない。そのため、空力加熱による熱は、先端側合金部(15)が設けられた部分を迂回することなく、先端部材(11)の先端から後方の固定部材(12)へそのまま伝えられる。つまり、先端側合金部(15)が後方の固定部材(12)へ空力加熱による熱を伝える伝熱部材となる。
上述のようにして空力加熱による熱が伝えられた固定部材(12)は、温度が徐々に上昇し、融点に達したところで融解する。これにより、作動シャフト(13)の先端部材(11)に対する固定状態が解除され、作動スイッチ(10)が作動する(図2(B)を参照)。
一方、図3(A)及び図4(A)に示すように、外気温度が比較的高い場合には、空力加熱による加熱力が強く(太線矢印を参照)、先端側合金部(15)が勢いよく昇温して融点に達し、融解を開始する。このとき、固定部材(12)は未だ融点に達せず、融解していない。つまり、外気温度が高い場合には、先端側合金部(15)が固定部材(12)よりも先に融点に到達して融解する(図3(B)及び図4(B)を参照)。このとき、空力加熱による熱は、先端側合金部(15)の融解潜熱として用いられる。そのため、外気温度が比較的高く空力加熱による加熱力が強い場合であっても、空力加熱による熱が先端側合金部(15)の後方の固定部材(12)に伝わり難くなる(細線矢印を参照)。
また、先端側合金部(15)が融解すると、溝(14)内の収容空間(16)が空になり、先端部材(11)の固定部材(12)よりも先端側に周方向に延びる空隙部が形成されることとなる。このような空隙部が形成されることにより、空力加熱による熱を後方へ伝える通路が部分的に狭くなる。具体的には、環状の溝(14)によって形成される空隙部の内側の部分のみが空力加熱による熱を後方へ伝える通路となる。そのため、空力加熱による熱が先端側合金部(15)の後方の固定部材(12)により伝わり難くなる。
以上のように、外気温度が比較的高く、先端側合金部(15)が融解する場合には、先端側合金部(15)が空力加熱による熱を潜熱として用いることに加えて、先端部材(11)の固定部材(12)よりも先端側に空隙部が形成されることによって、空力加熱による熱が固定部材(12)に伝わり難くなる。
これにより、固定部材(12)の温度が徐々に上昇し、融点に達したところで固定部材(12)が融解する。その結果、作動シャフト(13)の先端部材(11)に対する固定状態が解除され、作動スイッチ(10)が作動する(図3(C)及び図4(C)を参照)。
このように、外気温度が高い程、空力加熱による加熱力が高くなって固定部材(12)の温度が融点に達するまでに要する時間(以下、単に、融点到達時間と称する。)が短くなるところ、外気温度が高い場合にのみ空力加熱による熱が固定部材(12)へ伝わり難くすることにより、外気温度の違いによって生じる融点到達時間の差が小さくなる。よって、外気温度の違いによる作動スイッチ(10)の作動時間の差が小さくなる。
−実施形態1の効果−
本実施形態1によれば、固定部材(12)よりも融点が高い低融点合金からなる先端側合金部(15)を先端部材(11)の固定部材(12)よりも先端側に設けると共に、空力加熱によって先端側合金部(15)の温度が融点に達する場合に、先端側合金部(15)が固定部材(12)よりも先に融点に達するように作動スイッチ(10)を構成することとした。これにより、外気温度が低い場合には、空力加熱による熱がそのまま固定部材(12)へ伝えられる一方、外気温度が高い場合には、空力加熱による熱が先端側合金部(15)の融解潜熱として用いられ、固定部材(12)へ伝わり難くなる。このように外気温度が高い場合にのみ空力加熱による熱が固定部材(12)へ伝わり難くすることにより、外気温度の違いによる融点到達時間の差を低減することができる。よって、外気温度の違いによる作動スイッチ(10)の作動時間の差を低減することができる。従って、異なる外気温度条件下であっても同程度の作動距離で作動スイッチ(10)を作動させることが可能となる。
また、本実施形態1によれば、先端部材(11)の固定部材(12)よりも先端側に形成された収容空間(16)に先端側合金部(15)を埋設することにより、該先端側合金部(15)の融解によって、固定部材(12)の前方に空隙部が形成されるように構成することとした。これにより、外気温度が高い場合には、先端側合金部(15)が固定部材(12)より先に融解することで、空力加熱による熱を先端側合金部(15)の融解潜熱として用いることに加え、固定部材(12)の先端側に空隙部を形成して熱を伝える通路を部分的に狭くすることにより、空力加熱による熱が固定部材(12)により一層伝わり難くすることができる。その結果、外気温度の違いによる融点到達時間の差をより一層低減することができる。
また、本実施形態1によれば、収容空間(16)を、先端部材(11)の外周面において周方向に延びる溝(14)によって形成することとしたため、空隙部を、固定部材(12)よりも融点が高い低融点合金を収容空間(16)に鋳込む構成によって容易に形成することができる。
また、本実施形態1によれば、溝(14)を、底部(14a)が固定部材(12)の外周縁部(12b)よりも径方向の内側に位置するように形成することとした。これにより、先端側合金部(15)の融解によって空隙部の内側に形成される空力加熱による熱を後方へ伝える通路を、部分的に固定部材(12)の外径よりも小径にすることができる。よって、空力加熱による熱が固定部材(12)により一層伝わり難くなり、外気温度の違いによる融点到達時間の差がより一層低減される。
《発明の実施形態2》
実施形態2は、実施形態1の作動スイッチ(10)の自動調整機構の構成を一部変更したものである。図5(A)に示すように、実施形態2では、先端部材(11)には、先端側合金部(15)が埋設される溝(14)が形成されず、先端側合金部(15)は、先端部材(11)と同径の円柱形状に形成されて先端部材(11)の先端に鋳込まれている。
なお、本実施形態2においても、自動調整機構は、空力加熱によって先端側合金部(15)が昇温してその温度が融点に達する場合に、該先端側合金部(15)が固定部材(12)よりも先に融点に達するように構成されている。
このような構成により、実施形態2では、図5(A)に示すように、外気温度が比較的低い場合には、空力加熱による加熱力が弱く(細線矢印を参照)、先端側合金部(15)の温度が融点に達せず、融解しない。そのため、空力加熱による熱は、先端部材(11)の先端から後方の固定部材(12)へそのまま伝えられる。つまり、先端側合金部(15)が後方の固定部材(12)へ空力加熱による熱を伝える伝熱部材となる。
上述のようにして空力加熱による熱が伝えられた固定部材(12)は、温度が徐々に上昇し、融点に達したところで融解する。これにより、作動シャフト(13)の先端部材(11)に対する固定状態が解除され、作動スイッチ(10)が作動する(図5(B)を参照)。
一方、図6(A)に示すように、外気温度が比較的高い場合には、空力加熱による加熱力が強く(太線矢印を参照)、先端側合金部(15)が勢いよく昇温して融点に達し、融解を開始する。このとき、固定部材(12)は未だ融点に達せず、融解していない。つまり、外気温度が高い場合には、先端側合金部(15)が固定部材(12)よりも先に融点に到達して融解する(図6(B)を参照)。このとき、空力加熱による熱は、先端側合金部(15)の融解潜熱として用いられる。そのため、外気温度が比較的高く空力加熱による加熱力が強い場合であっても、空力加熱による熱が先端側合金部(15)の後方の固定部材(12)に伝わり難くなる(細線矢印を参照)。
これにより、固定部材(12)の温度が徐々に上昇し、融点に達したところで固定部材(12)が融解する。その結果、作動シャフト(13)の先端部材(11)に対する固定状態が解除され、作動スイッチ(10)が作動する(図6(C)を参照)。
以上より、本実施形態2においても、外気温度が高い程、空力加熱による加熱力が高くなって融点到達時間が短くなるところ、外気温度が高い場合にのみ空力加熱による熱が固定部材(12)へ伝わり難くすることにより、外気温度の違いによる融点到達時間の差を低減することができる。よって、外気温度の違いによる作動スイッチ(10)の作動時間の差を低減することができる。従って、異なる外気温度条件下であっても同程度の作動距離で作動スイッチ(10)を作動させることが可能となる。
《発明の実施形態3》
実施形態3は、実施形態1の作動スイッチ(10)の自動調整機構の構成を一部変更したものである。図7(A)に示すように、実施形態3では、先端部材(11)の先端部(11e)が先窄まり形状に形成されている。また、先端部材(11)には、先端側合金部(15)が埋設される溝(14)が形成されず、先端側合金部(15)は、後端に先端部材(11)の先端部(11e)が嵌り込む凹部(15a)を有する円柱体に形成されて先端部材(11)の先端部(11e)に鋳込まれている。
なお、本実施形態3においても、自動調整機構は、空力加熱によって先端側合金部(15)が昇温してその温度が融点に達する場合に、該先端側合金部(15)が固定部材(12)よりも先に融点に達するように構成されている。
このような構成により、実施形態3では、図7(A)に示すように、外気温度が比較的低い場合には、空力加熱による加熱力が弱く(細線矢印を参照)、先端側合金部(15)の温度が融点に達せず、融解しない。そのため、空力加熱による熱は、先端部材(11)の先端から後方の固定部材(12)へそのまま伝えられる。つまり、先端側合金部(15)が後方の固定部材(12)へ空力加熱による熱を伝える伝熱部材となる。
上述のようにして空力加熱による熱が伝えられた固定部材(12)は、温度が徐々に上昇し、融点に達したところで融解する。これにより、作動シャフト(13)の先端部材(11)に対する固定状態が解除され、作動スイッチ(10)が作動する(図7(B)を参照)。
一方、図8(A)に示すように、外気温度が比較的高い場合には、空力加熱による加熱力が強く(太線矢印を参照)、先端側合金部(15)が勢いよく昇温して融点に達し、融解を開始する。このとき、固定部材(12)は未だ融点に達せず、融解していない。つまり、外気温度が高い場合には、先端側合金部(15)が固定部材(12)よりも先に融点に到達して融解する(図8(B)を参照)。このとき、空力加熱による熱は、先端側合金部(15)の融解潜熱として用いられる。そのため、外気温度が比較的高く空力加熱による加熱力が強い場合であっても、空力加熱による熱が先端側合金部(15)の後方の固定部材(12)に伝わり難くなる(細線矢印を参照)。
また、先端側合金部(15)が完全に融解すると、先端部材(11)の先窄まり形状の先端部(11e)が露出する(図8(C)を参照)ことで、飛翔体の先端部が空気抵抗の小さい形状となり、空力加熱による加熱力が弱まる(細線矢印を参照)。
これにより、固定部材(12)の温度が徐々に上昇し、融点に達したところで固定部材(12)が融解する。その結果、作動シャフト(13)の先端部材(11)に対する固定状態が解除され、作動スイッチ(10)が作動する(図8(C)を参照)。
以上より、本実施形態3によれば、外気温度が高い程、空力加熱による加熱力が高くなって融点到達時間が短くなるところ、上述のように外気温度が高い場合にのみ空力加熱による熱を固定部材(12)へ伝え難くすると共に空力加熱による加熱力を弱めることにより、外気温度の違いによる融点到達時間の差を低減することができる。これにより、外気温度の違いによる作動スイッチ(10)の作動時間の差を低減することができる。従って、異なる外気温度条件下であっても同程度の作動距離で作動スイッチ(10)を作動させることが可能となる。
《発明の実施形態4》
実施形態4は、実施形態1の作動スイッチ(10)の自動調整機構の構成を一部変更したものである。図9(A)に示すように、実施形態4では、先端部材(11)には、先端側合金部(15)が埋設される収容空間(16)を形成する溝(14)が先端部材(11)の軸方向に2つ形成され、先端側合金部(15)は、2つの溝(14)のそれぞれに鋳込まれている。
以上のような構成により、外気温度が比較的低い場合には、図9(A)に示すように、先端側合金部(15)が融解せず、空力加熱による熱は、先端側合金部(15)が設けられた部分を迂回することなく、先端部材(11)の先端から後方の固定部材(12)へそのまま伝えられる。そして、融点まで達した固定部材(12)が融解すると、作動シャフト(13)の先端部材(11)に対する固定状態が解除され、作動スイッチ(10)が作動する(図9(B)を参照)。
一方、図10(A)に示すように、外気温度が比較的高い場合には、空力加熱による加熱力が強く(太線矢印を参照)、先端側合金部(15)が勢いよく昇温して融点に達し、融解を開始する(図10(B)を参照)。このとき、空力加熱による熱は、先端側合金部(15)の融解潜熱として用いられる。そのため、実施形態1と同様に、外気温度が比較的高く空力加熱による加熱力が強い場合であっても、空力加熱による熱が先端側合金部(15)の後方の固定部材(12)に伝わり難くなる(細線矢印を参照)。また、本実施形態4では、2つ設けられた先端側合金部(15)は、より先端側のものから融点に達して融解していく。
また、本実施形態4においても、先端側合金部(15)が融解すると、溝(14)内の収容空間(16)が空になり、先端部材(11)の固定部材(12)よりも先端側に周方向に延びる空隙部が形成されることとなる。このような空隙部が形成されることにより、空力加熱による熱を後方へ伝える通路が部分的に狭くなり、空力加熱による熱が先端側合金部(15)の後方の固定部材(12)により伝わり難くなる。
これにより、固定部材(12)の温度が徐々に上昇し、融点に達したところで固定部材(12)が融解する。その結果、作動シャフト(13)の先端部材(11)に対する固定状態が解除され、作動スイッチ(10)が作動する(図10(C)を参照)。
以上より、本実施形態4によれば、先端側合金部(15)が埋設された溝(14)を、先端部材(11)の軸方向に2つ形成することとした。そのため、外気温度が著しく高い場合であっても、2つの溝(14)に嵌め込まれた先端側合金部(15)が順に融解することにより、空力加熱による熱を固定部材(12)へ伝え難くすることができる。そのため、外気温度が高い程、空力加熱による加熱力が高くなって融点到達時間が短くなるところ、外気温度が高い場合にのみ空力加熱による熱を固定部材(12)へ伝え難くすることにより、外気温度の違いによる融点到達時間の差を低減することができる。つまり、幅広い外気温度において、同程度の作動距離で作動スイッチ(10)を作動させることが可能となる。
《発明の実施形態5》
実施形態5は、実施形態1の作動スイッチ(10)の自動調整機構の構成を一部変更したものである。具体的には、実施形態5では、先端部材(11)に形成された溝(14)に埋設された先端側合金部(15)が、複数の低融点合金部(17,18)によって構成されている。
具体的には、本実施形態では、上記溝(14)に、2つの低融点合金部である第1低融点合金部(17)及び第2低融点合金部(18)が埋設されている。第1低融点合金部(17)及び第2低融点合金部(18)は、共に環状に形成され、溝(14)内の収容空間(16)において、第1低融点合金部(17)が先端部材(11)の径方向の内側に埋設され、第2低融点合金部(18)は第1低融点合金部(18)の外側に埋設されている。第1低融点合金部(17)は、第2低融点合金部(18)及び固定部材(12)の融点よりも高い低融点合金(例えば、融点が120℃の合金)を環状の収容空間(16)の内周側に鋳込むことによって構成されている。一方、第2低融点合金部(18)は、固定部材(12)の融点(例えば、80℃)よりも高く第1低融点合金部(17)の融点(例えば、120℃)よりも低い低融点合金(例えば、融点が100℃の合金)を環状の収容空間(16)の外周側に鋳込むことによって構成されている。
以上のような構成により、外気温度が比較的低い場合には、図11(A)に示すように、先端側合金部(15)を構成する第1低融点合金部(17)及び第2低融点合金部(18)が共に融解せず、空力加熱による熱は、先端側合金部(15)が設けられた部分を迂回することなく、先端部材(11)の先端から後方の固定部材(12)へそのまま伝えられる。そして、融点まで達した固定部材(12)が融解すると、作動シャフト(13)の先端部材(11)に対する固定状態が解除され、作動スイッチ(10)が作動する(図11(B)を参照)。
一方、図12(A)に示すように、外気温度が比較的高い場合には、空力加熱による加熱力が強く(太線矢印を参照)、先端側合金部(15)が勢いよく昇温する。ここで、まず、第1低融点合金部(17)よりも融点の低い低融点合金からなる第2低融点合金部(18)が融点に達して融解し、その後、第1低融点合金部(17)も融点に達して融解を開始する(図12(B)を参照)。このとき、空力加熱による熱は、先端側合金部(15)の融解潜熱として用いられる。そのため、実施形態1と同様に、外気温度が比較的高く空力加熱による加熱力が強い場合であっても、空力加熱による熱が先端側合金部(15)の後方の固定部材(12)に伝わり難くなる(細線矢印を参照)。
また、本実施形態5においても、先端側合金部(15)を構成する第1低融点合金部(17)及び第2低融点合金部(18)が共に融解すると、溝(14)内の収容空間(16)が空になり、先端部材(11)の固定部材(12)よりも先端側に収容空間(16)と等しい大きさの空隙部が形成されることとなる。このような空隙部が形成されることにより、空力加熱による熱を後方へ伝える通路の断面積が著しく狭くなり、空力加熱による熱が先端側合金部(15)の後方の固定部材(12)により伝わり難くなる。
これにより、固定部材(12)の温度が徐々に上昇し、融点に達したところで固定部材(12)が融解する。その結果、作動シャフト(13)の先端部材(11)に対する固定状態が解除され、作動スイッチ(10)が作動する(図12(C)を参照)。
さらに、図13(A)に示すように、外気温度が高くも低くもなく中程度である場合には、空力加熱による加熱力が強すぎず、弱すぎない(矢印を参照)。そのため、先端側合金部(15)が外気温度が高く空力加熱による加熱力が強い場合に比べてゆっくりと昇温する。また、このように空力加熱による加熱力が強すぎず、弱すぎない場合には、先端側合金部(15)の温度が第2低融点合金部(18)の融点と第1低融点合金部(17)の融点との間の温度までしか上昇しない。そのため、先端側合金部(15)の温度が第2低融点合金部(18)の融点まで温度が上昇したところで、該第2低融点合金部(18)が融解を開始するが(図13(B)を参照)、先端側合金部(15)の温度が第1低融点合金部(17)の融点まで上昇しないため、第1低融点合金部(17)は融解しない。つまり、このような場合、溝(14)内の収容空間(16)の外周側の第2低融点合金部(18)のみが融解する。
このとき、空力加熱による熱は、先端側合金部(15)の融解潜熱として用いられる。そのため、空力加熱による熱が先端側合金部(15)の後方の固定部材(12)に伝わり難くなる(細線矢印を参照)。また、溝(14)内の収容空間(16)の外周側の第2低融点合金部(18)のみが融解することにより、溝(14)内の収容空間(16)よりも小さい空隙部が形成される。このような空隙部が形成されることにより、後方の固定部材(12)へ熱を伝える通路の断面積は狭くなるが、空力加熱による加熱力が非常に強い場合ほど著しく狭くならない。よって、空力加熱による熱は、先端側合金部(15)の後方の固定部材(12)に伝わり難くなるものの、空力加熱による加熱力が非常に強い場合ほど顕著に伝わり難くならない。
これにより、固定部材(12)の温度が徐々に上昇し、融点に達したところで固定部材(12)が融解する。その結果、作動シャフト(13)の先端部材(11)に対する固定状態が解除され、作動スイッチ(10)が作動する(図13(C)を参照)。
以上より、本実施形態5によれば、先端側合金部(15)を、溝(14)内において、先端部材(11)の径方向の内側から外側へ向かって順に融点が低くなるように配列された融点の異なる2つの低融点合金部(17,18)によって構成することとした。そのため、空力加熱による加熱力の強さに応じて先端側合金部(15)の融解量が変わり、空力加熱による熱を後方の固定部材(12)へ伝える通路の断面積が変化する。具体的には、空力加熱による加熱力が強くなるほど後方の固定部材(12)へ熱を伝える通路の断面積が狭くなる。つまり、空力加熱による加熱力が強くなるほど固定部材(12)に熱が伝わり難い形状にすることができる。よって、空力加熱による加熱力の強さに応じて空力加熱による熱の固定部材(12)への伝え易さを細やかに制御することができる。従って、幅広い外気温度において、同程度の作動距離で作動スイッチを作動させることが可能となる。
なお、本実施形態5では、先端側合金部(15)を、融点の異なる2つの低融点合金部(17,18)によって構成していたが、融点の異なる3つ以上の低融点合金部によって構成することとしてももちろんよい。その場合、3つ以上の低融点合金部を、先端部材(11)の径方向の内側から外側へ向かって順に融点が低くなるように並べる。このように先端側合金部(15)を構成する低融点合金部の種類が多ければ多い程、空力加熱による熱の固定部材(12)への伝え易さをより細やかに制御することができる。
《発明の実施形態6》
実施形態6は、実施形態4の作動スイッチ(10)の自動調整機構の構成を一部変更したものである。具体的には、実施形態6では、実施形態4において同一形状に形成されていた2つの溝(14)が、溝深さが異なるように形成されている。具体的には、先端部材(11)の軸方向の後側の溝(14)の溝深さが、前側の溝(14)の溝深さよりも深くなるように形成されている。また、溝深さの深い後側の溝(14)に鋳込まれた先端側合金部(15)は、溝深さが浅い前側の溝(14)に鋳込まれた先端側合金部(15)よりも融点の高い低融点合金によって構成されている。例えば、前側の溝(14)に鋳込まれた先端側合金部(15)が融点100℃の低融点合金によって構成されている場合、後側の溝(14)に鋳込まれた先端側合金部(15)は融点120℃の低融点合金によって構成する。
以上のような構成により、外気温度が比較的低い場合には、図14(A)に示すように、先端側合金部(15)が融解せず、空力加熱による熱は、先端側合金部(15)が設けられた部分を迂回することなく、先端部材(11)の先端から後方の固定部材(12)へそのまま伝えられる。そして、融点まで達した固定部材(12)が融解すると、作動シャフト(13)の先端部材(11)に対する固定状態が解除され、作動スイッチ(10)が作動する(図14(B)を参照)。
一方、図15(A)に示すように、外気温度が比較的高い場合には、空力加熱による加熱力が強く(太線矢印を参照)、先端側合金部(15)が勢いよく昇温して融点に達し、融解を開始する(図15(B)を参照)。このとき、空力加熱による熱は、先端側合金部(15)の融解潜熱として用いられる。そのため、実施形態1と同様に、外気温度が比較的高く空力加熱による加熱力が強い場合であっても、空力加熱による熱が先端側合金部(15)の後方の固定部材(12)に伝わり難くなる(細線矢印を参照)。また、本実施形態6では、2つ設けられた先端側合金部(15)は、まず、溝深さが浅い前側の溝(14)に鋳込まれた先端側合金部(15)から融点に達して融解し、その後も温度上昇することにより、溝深さが深い後側の溝(14)に鋳込まれた先端側合金部(15)が融点に達して融解する。
また、本実施形態6においても、先端側合金部(15)が融解すると、2つの溝(14)内の収容空間(16)が空になり、先端部材(11)の固定部材(12)よりも先端側に周方向に延びる空隙部が2つ形成され、溝深さが深い後側の溝(14)によって形成された空隙部は、溝深さが浅い前側の溝(14)によって形成された空隙部よりも断面積が大きくなる。そして、この断面積の大きな後側の空隙部によって、空力加熱による熱を後方へ伝える通路の断面積が著しく狭くなり、空力加熱による熱が先端側合金部(15)の後方の固定部材(12)により伝わり難くなる。
これにより、固定部材(12)の温度が徐々に上昇し、融点に達したところで固定部材(12)が融解する。その結果、作動シャフト(13)の先端部材(11)に対する固定状態が解除され、作動スイッチ(10)が作動する(図15(C)を参照)。
さらに、図16(A)に示すように、外気温度が高くも低くもなく中程度である場合には、空力加熱による加熱力が強すぎず、弱すぎない(矢印を参照)。そのため、先端側合金部(15)が外気温度が高く空力加熱による加熱力が強い場合に比べてゆっくりと昇温する。また、このように空力加熱による加熱力が強すぎず、弱すぎない場合には、先端側部材(11)の温度が前側の溝(14)に鋳込まれた先端側合金部(15)の融点と後側の溝(14)に鋳込まれた先端側合金部(15)の融点との間の温度までしか上昇しない。そのため、先端側部材(11)の温度が前側の溝(14)に鋳込まれた先端側合金部(15)の融点まで温度が上昇したところで、該前側の溝(14)に鋳込まれた先端側合金部(15)が融解を開始するが(図16(B)を参照)、先端側部材(11)の温度が後側の溝(14)に鋳込まれた先端側合金部(15)の融点まで上昇しないため、後側の溝(14)に鋳込まれた先端側合金部(15)は融解しない。つまり、このような場合、前側の溝(14)に鋳込まれた先端側合金部(15)のみが融解する。
このとき、空力加熱による熱は、先端側合金部(15)の融解潜熱として用いられる。そのため、空力加熱による熱が先端側合金部(15)の後方の固定部材(12)に伝わり難くなる(細線矢印を参照)。また、前側の溝(14)に鋳込まれた先端側合金部(15)のみが融解することにより、後側の溝(14)に鋳込まれた先端側合金部(15)が融解した場合に比べて断面積の小さい空隙部が形成されることとなる。このような空隙部が形成されることにより、後方の固定部材(12)へ熱を伝える通路の断面積は狭くなるが、空力加熱による加熱力が非常に強い場合ほど著しく狭くならない。よって、空力加熱による熱は、先端側合金部(15)の後方の固定部材(12)に伝わり難くなるものの、空力加熱による加熱力が非常に強い場合ほど顕著に伝わり難くならない。
これにより、固定部材(12)の温度が徐々に上昇し、融点に達したところで固定部材(12)が融解する。その結果、作動シャフト(13)の先端部材(11)に対する固定状態が解除され、作動スイッチ(10)が作動する(図16(C)を参照)。
以上より、本実施形態6によれば、先端部材(11)の軸方向に並ぶ複数(2つ)の溝(14)を、後側のものほど溝深さが深くなるように形成すると共に、溝深さの深い後側の溝(14)ほど融点の高い低融点合金によって構成された先端側合金部(15)を埋設することとした。そのため、空力加熱による加熱力が強くなるほど断面積の大きな空隙部が形成され、空力加熱による熱を後方の固定部材(12)へ伝える通路の断面積が狭くなる。つまり、空力加熱による加熱力が強くなるほど固定部材(12)に熱が伝わり難い形状にすることができる。よって、空力加熱による加熱力の強さに応じて空力加熱による熱の固定部材(12)への伝え易さを細やかに制御することができる。従って、幅広い外気温度において、同程度の作動距離で作動スイッチを作動させることが可能となる。
なお、本実施形態6では、先端部材(11)の軸方向に、溝深さの異なる2つの溝(14)を形成すると共に、溝深さの深い後側の溝(14)ほど融点の高い低融点合金によって構成された先端側合金部(15)を埋設することとしていた。しかしながら、先端部材(11)の軸方向に溝深さの異なる3つ以上の溝(14)を形成すると共に、溝深さの深い後側の溝(14)ほど融点の高い低融点合金によって構成された先端側合金部(15)を埋設することとしてももちろんよい。その場合、3つ以上の溝(14)を、先端部材(11)の軸方向の後側のものほど溝深さが深くなるように形成し、3つ以上の溝(14)には、溝深さが深いものほど融点の高い低融点合金によって構成された先端側合金部(15)を埋設する。このように先端部材(11)の軸方向に並ぶ溝(14)の数が多ければ多い程、低融点合金の種類が多くなるため、空力加熱による熱の固定部材(12)への伝え易さをより細やかに制御することができる。
《その他の実施形態》
上記各実施形態では、作動スイッチ(10)の作動によって3つの分割片(21)からなる弾体(2)の連結状態が解除されるように構成していたが、作動スイッチ(10)は上述の作動形態は上記各実施形態の場合に限られない。
上記実施形態1及び4〜6では、溝(14)は環状に形成されていたが、溝(14)は先端部材(11)の周方向に延びていればよく、環状に限られない。
また、上記実施形態1及び4〜6では、収容空間(16)が先端部材(11)の外周面において周方向に延びる溝(14)によって形成されていたが、図17に示すように、収容空間(16)は、先端部材(11)を径方向に貫通する貫通孔(19)によって該貫通孔(19)の内部に形成されていてもよい。このような貫通孔(19)によっても、先端部材(11)の外周面に面する収容空間(16)が形成され、該収容空間(16)に固定部材(12)よりも融点が高い低融点合金を鋳込むことによって容易に先端側合金部(15)を形成することができる。また、このような形態であっても、外気温度が高い場合に、先端側合金部(15)が融解することによって、固定部材(12)の前方に貫通孔(19)による空隙部が形成され、空力加熱による熱を後方へ伝える通路を部分的に狭くすることができる。よって、空力加熱による熱が固定部材(12)に伝わり難くなり、外気温度の違いによる融点到達時間の差を低減することができる。
さらに、収容空間(16)は、先端部材(11)の外周面に面せず、該先端部材(11)の内部に形成される閉空間であってももちろんよい。
また、上記実施形態4では、先端部材(11)に溝(14)が2つ設けられ、各溝(14)に先端側合金部(15)が埋設されていたが、溝(14)及び先端側合金部(15)は3つ以上設けられていてもよい。
また、上記各実施形態では、飛翔体の先端部が先端面が平らな平頭弾頭に構成されていたが、飛翔体の先端形状はこれに限られない。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
以上説明したように、本発明は、高速で飛翔する飛翔体に設けられ、空力加熱による温度上昇を利用して作動する飛翔体の作動スイッチについて有用である。
10 作動スイッチ
11 先端部材
11e 先端
12 固定部材
12b ネジ部(外周縁部)
13 作動シャフト(軸部材)
14 溝
14a 底部
15 先端側合金部
15a 凹部
16 収容空間
17 第1低融点合金部
18 第2低融点合金部

Claims (9)

  1. 飛翔体の先端部を構成する先端部材(11)と、該先端部材(11)の内部において軸方向に延びる軸部材(13)と、該軸部材(13)の周囲に形成されて該軸部材(13)を上記先端部材(11)に固定する低融点合金からなる固定部材(12)とを有し、空力加熱によって上記固定部材(12)が融解して上記軸部材(13)の固定状態が解除されることによって作動する飛翔体の作動スイッチであって、
    上記先端部材(11)の上記固定部材(12)よりも先端側に設けられ、上記固定部材(12)よりも融点が高い低融点合金からなる先端側合金部(15)を備え、
    空力加熱によって上記先端側合金部(15)の温度が融点に達する場合に、該先端側合金部(15)が上記固定部材(12)よりも先に融点に達するように構成されている
    ことを特徴とする飛翔体の作動スイッチ。
  2. 請求項1において、
    上記先端側合金部(15)は、上記先端部材(11)の上記固定部材(12)よりも先端側に形成された収容空間(16)に埋設されている
    ことを特徴とする飛翔体の作動スイッチ。
  3. 請求項2において、
    上記収容空間(16)は、上記先端部材(11)の外周面において周方向に延びる溝(14)によって形成されている
    ことを特徴とする飛翔体の作動スイッチ。
  4. 請求項3において、
    上記溝(14)は環状に形成されている
    ことを特徴とする飛翔体の作動スイッチ。
  5. 請求項4において、
    上記溝(14)は、底部(14a)が上記固定部材(12)の外周縁部(12b)よりも上記先端部材(11)の径方向の内側に位置するように形成されている
    ことを特徴とする飛翔体の作動スイッチ。
  6. 請求項3乃至5のいずれか1つにおいて、
    上記先端側合金部(15)が埋設された上記溝(14)は、上記先端部材(11)の軸方向に複数形成されている
    ことを特徴とする飛翔体の作動スイッチ。
  7. 請求項3乃至5のいずれか1つにおいて、
    上記先端側合金部(15)は、上記先端部材(11)の径方向の内側から外側へ向かって順に融点が低くなるように並ぶ融点の異なる複数の低融点合金部(17,18)によって構成されている
    ことを特徴とする飛翔体の作動スイッチ。
  8. 請求項6において、
    上記複数の溝(14)は、上記先端部材(11)の軸方向の後側のものほど溝深さが深くなるように形成され、
    上記複数の溝(14)には、それぞれ融点の異なる上記先端側合金部(15)が埋設され、溝深さが深い上記溝(14)ほど融点の高い上記先端側合金部(15)が設けられている
    ことを特徴とする飛翔体の作動スイッチ。
  9. 請求項1において、
    上記先端部材(11)は、先端部(11e)が先窄まり形状に形成され、
    上記先端側合金部(15)は、後端に上記先端部材(11)の先端部(11e)が嵌り込む凹部(15a)を有する円柱体に形成され、上記先端部材(11)の先端部(11e)に固定されている
    ことを特徴とする飛翔体の作動スイッチ。
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