(構成)
図1は、本発明に係る固体酸化物形燃料電池(SOFC)の実施形態(以下、「本実施形態」と呼ぶこともある)を示す。本実施形態は、長手方向(x軸方向)を有する平板状の支持基板10の上下面(互いに平行な両側の主面(平面))のそれぞれに、電気的に直列に接続された複数(本例では、4つ)の同形の発電素子部Aが長手方向において所定の間隔をおいて配置された、所謂「横縞型」と呼ばれる構成を有する。
本実施形態の全体を上方からみた形状は、例えば、長手方向の辺の長さが50〜500mmで長手方向に直交する幅方向(y軸方向)の長さが10〜100mmの長方形である。このSOFCの構造体の全体の厚さは、1〜5mmである。本実施形態の全体は、厚さ方向の中心を通り且つ支持基板10の主面に平行な面に対して上下対称の形状を有する。以下、図1に加えて、本実施形態の図1に示す2−2線に対応する部分断面図である図2を参照しながら、本実施形態の詳細について説明する。図2は、代表的な1組の隣り合う発電素子部A,Aのそれぞれの構成(の一部)、並びに、発電素子部A,A間の構成を示す部分断面図である。その他の組の隣り合う発電素子部A,A間の構成も、図2に示す構成と同様である。
支持基板10は、電子伝導性を有さない多孔質材料からなる平板状の焼成体である。後述する図7に示すように、支持基板10の内部には、長手方向に延びる複数(本例では、6本)の燃料ガス流路11(貫通孔)が幅方向において所定の間隔をおいて形成されている。本例では、各凹部12は、支持基板10の材料からなる底壁と、全周に亘って支持基板10の材料からなる周方向に閉じた側壁(長手方向に沿う2つの側壁と幅方向に沿う2つの側壁)と、で画定された直方体状の窪みである。
支持基板10は、例えば、CSZ(カルシア安定化ジルコニア)から構成され得る。或いは、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成されてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とY2O3(イットリア)とから構成されてもよいし、MgO(酸化マグネシウム)とMgAl2O4(マグネシアアルミナスピネル)とから構成されてもよい。
支持基板10は、「遷移金属酸化物又は遷移金属」と、絶縁性セラミックスとを含んで構成され得る。「遷移金属酸化物又は遷移金属」としては、NiO(酸化ニッケル)又はNi(ニッケル)が好適である。遷移金属は、燃料ガスの改質反応を促す触媒(炭化水素系のガスの改質触媒)として機能し得る。
また、絶縁性セラミックスとしては、MgO(酸化マグネシウム)、又は、「MgAl2O4(マグネシアアルミナスピネル)とMgO(酸化マグネシウム)の混合物」が好適である。また、絶縁性セラミックスとして、CSZ(カルシア安定化ジルコニア)、YSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)、Y2O3(イットリア)が使用されてもよい。
このように、支持基板10が「遷移金属酸化物又は遷移金属」を含むことによって、改質前の残存ガス成分を含んだガスが多孔質の支持基板10の内部の多数の気孔を介して燃料ガス流路11から燃料極に供給される過程において、上記触媒作用によって改質前の残存ガス成分の改質を促すことができる。加えて、支持基板10が絶縁性セラミックスを含むことによって、支持基板10の絶縁性を確保することができる。この結果、隣り合う燃料極間における絶縁性が確保され得る。
支持基板10の厚さは、1〜5mmである。支持基板10の気孔率は、後述する「還元処理」の後において20〜60%である。なお、以下、他の部材の気孔率の値も、還元処理後の値である。なお、気孔率の測定は,樹脂埋めしたサンプル(還元処理後)の断面を研磨し、同断面についてのSEM(走査型電子顕微鏡)による画像(2次電子像)を解析することによって行われた。SEMの加速電圧は5kV、SEMの倍率は5000倍、又は7500倍に設定された。気孔率の測定は、サンプルの任意の10箇所の断面について行われ、それらの平均値が気孔率の値として採用された。
以下、この構造体の形状が上下対称となっていることを考慮し、説明の簡便化のため、支持基板10の上面側の構成についてのみ説明していく。支持基板10の下面側の構成についても同様である。
図2及び図3に示すように、支持基板10の上面(上側の主面)に形成された各凹部12には、燃料極集電部21の全体が埋設(充填)されている。従って、各燃料極集電部21は直方体状を呈している。各燃料極集電部21の上面(外側面)には、凹部21aが形成されている。各凹部21aは、燃料極集電部21の材料からなる底壁と、全周に亘って燃料極集電部21の材料からなる周方向に閉じた側壁(長手方向に沿う2つの側壁と、幅方向に沿う2つの側壁)と、で画定された直方体状の窪みである。
各凹部21aには、燃料極活性部22の全体が埋設(充填)されている。従って、各燃料極活性部22は直方体状を呈している。燃料極集電部21と燃料極活性部22とにより燃料極20が構成される。燃料極20(燃料極集電部21+燃料極活性部22)は、電子伝導性を有する多孔質材料からなる焼成体である。各燃料極活性部22の4つの側面と底面とは、凹部21a内で燃料極集電部21と接触している。
燃料極活性部22は、例えば、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成され得る。或いは、NiO(酸化ニッケル)とGDC(ガドリニウムドープセリア)とから構成されてもよい。燃料極集電部21は、例えば、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成され得る。或いは、NiO(酸化ニッケル)とY2O3(イットリア)とから構成されてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とCSZ(カルシア安定化ジルコニア)とから構成されてもよい。燃料極活性部22の厚さは、5〜30μmであり、燃料極集電部21の厚さ(即ち、凹部12の深さ)は、50〜500μmである。燃料極集電部21の気孔率は、25〜50%であり、燃料極活性部22の気孔率も、25〜50%である。
このように、燃料極集電部21は、電子伝導性を有する物質を含んで構成される。燃料極活性部22は、電子伝導性を有する物質と酸素イオン伝導性を有する物質とを含んで構成される。燃料極活性部22における「気孔部分を除いた全体積に対する酸素イオン伝導性を有する物質の体積割合」は、燃料極集電部21における「気孔部分を除いた全体積に対する酸素イオン伝導性を有する物質の体積割合」よりも大きい。
各燃料極集電部21の上面(外側面)における凹部21aを除いた部分には、凹部21bが形成されている。各凹部21bは、燃料極集電部21の材料からなる底壁と、全周に亘って燃料極集電部21の材料からなる周方向に閉じた側壁(長手方向に沿う2つの側壁と、幅方向に沿う2つの側壁)と、で画定された直方体状の窪みである。
各凹部21bには、インターコネクタ30、シール部35(前記「第2シール部」に対応)、及び、中間層38が埋設(充填)されている。具体的には、図3に示すように、各凹部21b内において、「中間層38の上にインターコネクタ30が積層された積層体」が、凹部21bにおける中央部に埋設(配置)されている。各インターコネクタ30、及び、各中間層38は、それぞれ、長手方向に沿う2つの側壁(側面)と幅方向に沿う2つの側壁(側面)とを有する(薄い)直方体状を呈している。
各シール部35は、凹部21bにおける「インターコネクタ30及び中間層38からなる積層体」の周囲に位置する周縁部にて、凹部21bの側壁(内壁)の全周、及び、前記積層体の側壁(外壁)の全周と接触するように埋設(充填)されている。即ち、各シール部35は四角の枠状を呈している。
このように、各インターコネクタ30の底面は、中間層38と接触している。換言すれば、各インターコネクタ30の底面は、中間層38を介して燃料極集電部21と接続されている。各インターコネクタ30の側面は、シール部35と接触している。なお、各インターコネクタ35の外側面(上面)は、後述する空気極集電膜70と接触している。
インターコネクタ30は、電子伝導性を有する緻密質材料からなる焼成体である。インターコネクタ30は、ランタンクロマイトを主成分とする材料から構成される。ランタンクロマイトの化学式は、La1−xAxCr1−y−zByO3(ただし、A:Ca,Sr,Baから選択される少なくとも1種類の元素、B:Co,Ni,Mg,Alから選択される少なくとも1種類の元素、0.05≦x≦0.2、0.02≦y≦0.22、0≦z≦0.05)で表わされる。「ランタンクロマイトが主成分である」とは、インターコネクタ30を構成する材料においてランタンクロマイトが占める割合(質量割合)が80%以上であることを指す(後述する中間層38についても同様)。インターコネクタ30の気孔率は、10%以下である。インターコネクタ30の厚さは、10〜100μmである。
シール部35は、電気絶縁性を有する緻密質材料からなる焼成体である。シール部35は、例えば、金属酸化物を含有し、好ましくは金属酸化物を主成分とする。具体的には、上記金属酸化物として、(AE)ZrO3、MgO、MgAl2O4、及びCexLn1−xO2からなる群より選択される少なくとも1種類の酸化物を含有してもよい。ここで、AEは、アルカリ土類金属であり、Lnは、Y及びランタノイドからなる群より選択される少なくとも1種類の元素であり、xは0<x≦0.3を満たす。AEに該当する元素としては、Mg,Ca,Sr,及びBaが挙げられる。また、微量成分として、遷移金属酸化物(例えば、NiO、Mn3O4、Fe2O3、Cr2O3、CoO)が含まれても良い。これらの成分は、酸化物として存在していても良いし、上記「(AE)ZrO3、MgO、MgAl2O4、及びCexLn1−xO2からなる群より選択される少なくとも1種類の酸化物」に固溶する形で存在していても良い。金属酸化物の平均粒径は0.1〜5.0μmが好ましく、さらに好ましくは0.3〜4.0μmである。シール部35の厚さは、10〜100μmである。シール部35の気孔率は、10%以下である。
中間層38は、電子伝導性を有する多孔質材料からなる焼成体である。中間層38は、インターコネクタ30と同様、ランタンクロマイトを主成分とする材料から構成される。ランタンクロマイトの化学式は、La1−xAxCr1−y−zByO3(ただし、A:Ca,Sr,Baから選択される少なくとも1種類の元素、B:Co,Ni,Mg,Alから選択される少なくとも1種類の元素、0.05≦x≦0.2、0.02≦y≦0.22、0≦z≦0.05)で表わされる。中間層38の気孔率は、インターコネクタ30の気孔率より大きく、15〜50%である。中間層38の厚さは、3〜50μmである。
燃料極20(燃料極集電部21及び燃料極活性部22)の上面(外側面)と、インターコネクタ30の上面(外側面)と、シール部35の上面(外側面)と、支持基板10の主面とにより、1つの平面(凹部12が形成されていない場合の支持基板10の主面と同じ平面)が構成されている。即ち、燃料極20の上面とインターコネクタ30の上面とシール部35の上面と支持基板10の主面との間で、段差が形成されていない。
燃料極20、インターコネクタ30、シール部35、及び中間層38がそれぞれの凹部12に埋設された状態の支持基板10における長手方向に延びる外周面(主面を含む)において複数のシール部35及びインターコネクタ30に対応する部分を除いた全面は、固体電解質膜40により覆われている。より具体的には、図4に示すように、固体電解質膜40は、シール部35の外側面の周縁部の全周を覆うように、支持基板10の主面上に形成されている。この結果、シール部35とインターコネクタ30とが接触し、シール部35と固体電解質膜40とが接触する一方で、インターコネクタ30と固体電解質膜40とは接触していない。
固体電解質膜40は、イオン伝導性を有する緻密質材料からなる焼成体である。固体電解質膜40は、例えば、YSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)から構成され得る。或いは、LSGM(ランタンガレート)から構成されてもよい。固体電解質膜40の厚さは、3〜50μmである。固体電解質膜40の気孔率は、10%以下である。
即ち、燃料極20がそれぞれの凹部12に埋設された状態の支持基板10における長手方向に延びる外周面の全面は、インターコネクタ30とシール部35と固体電解質膜40とからなる緻密層により覆われている。この緻密層は、緻密層の内側の空間を流れる燃料ガスと緻密層の外側の空間を流れる空気との混合を防止するガスシール機能を発揮する。
なお、図2に示すように、本例では、固体電解質膜40が平坦化されている。この結果、固体電解質膜40に段差が形成される場合に比して、応力集中に起因する固体電解質膜40でのクラックの発生が抑制され得、固体電解質膜40が有するガスシール機能の低下が抑制され得る。
固体電解質膜40における各燃料極活性部22と接している箇所の上面には、反応防止膜50を介して空気極60が形成されている。反応防止膜50は、緻密質材料からなる焼成体であり、空気極60は、電子伝導性を有する多孔質材料からなる焼成体である。反応防止膜50及び空気極60を上方からみた形状は、燃料極活性部22と略同一の長方形である。
反応防止膜50は、例えば、GDC=(Ce,Gd)O2(ガドリニウムドープセリア)から構成され得る。反応防止膜50の厚さは、3〜50μmである。空気極60は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O3(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成され得る。或いは、LSF=(La,Sr)FeO3(ランタンストロンチウムフェライト)、LNF=La(Ni,Fe)O3(ランタンニッケルフェライト)、LSC=(La,Sr)CoO3(ランタンストロンチウムコバルタイト)等から構成されてもよい。また、空気極60は、LSCFからなる第1層(内側層)とLSCからなる第2層(外側層)との2層によって構成されてもよい。空気極60の厚さは、10〜100μmである。
なお、反応防止膜50が介装されるのは、SOFC作製時又は作動中のSOFC内において固体電解質膜40内のYSZと空気極60内のSrとが反応して固体電解質膜40と空気極60との界面に電気抵抗が大きい反応層が形成される現象の発生を抑制するためである。
ここで、燃料極20と、固体電解質膜40と、反応防止膜50と、空気極60とが積層されてなる積層体が、「発電素子部A」に対応する(図2を参照)。即ち、支持基板10の上面には、複数(本例では、4つ)の発電素子部Aが、長手方向において所定の間隔をおいて配置されている。
各組の隣り合う発電素子部A,Aについて、一方の(図2では、左側の)発電素子部Aの空気極60と、他方の(図2では、右側の)発電素子部Aのインターコネクタ30とを繋ぐように、空気極60、固体電解質膜40、及び、インターコネクタ30の上面に、空気極集電膜70が形成されている。空気極集電膜70は、電子伝導性を有する多孔質材料からなる焼成体である。空気極集電膜70を上方からみた形状は、長方形である。
空気極集電膜70は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O3(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成され得る。或いは、LSC=(La,Sr)CoO3(ランタンストロンチウムコバルタイト)から構成されてもよい。或いは、Ag(銀)、Ag−Pd(銀パラジウム合金)から構成されてもよい。空気極集電膜70の厚さは、50〜500μmである。空気極集電膜70の気孔率は、20〜60%である。
このように各空気極集電膜70が形成されることにより、各組の隣り合う発電素子部A,Aについて、一方の(図2では、左側の)発電素子部Aの空気極60と、他方の(図2では、右側の)発電素子部Aの燃料極20(特に、燃料極集電部21)とが、電子伝導性を有する「空気極集電膜70及びインターコネクタ30」を介して電気的に接続される。この結果、支持基板10の上面に配置されている複数(本例では、4つ)の発電素子部Aが電気的に直列に接続される。ここで、電子伝導性を有する「空気極集電膜70及びインターコネクタ30」が前記「電気的接続部」に対応し、緻密質材料からなるインターコネクタ30が前記「電気的接続部の第1部分」に対応し、多孔質材料からなる空気極集電膜70が前記「電気的接続部の第2部分」に対応する。
また、緻密質材料からなる「インターコネクタ30、シール部35、及び、固体電解質膜40」が前記「ガスシール部」に対応する。ここで、固体電解質膜40における「燃料極活性部22と空気極60とに挟まれた部分」が、前記「発電素子部の一部としての固体電解質膜」に対応し、固体電解質膜40における「その他の部分」が、前記「第1シール部」に対応する。また、シール部35が、前記「第2シール部」に対応する。なお、本願では、「緻密質材料」とは、ガスシール機能を有する程度に小さい気孔率を有する材料を指し、典型的には、その材料の気孔率が10%以下である。
以上、説明した「横縞型」のSOFCの構造体に対して、図5に示すように、支持基板10の燃料ガス流路11内に燃料ガス(水素ガス等)を流すとともに、支持基板10の上下面(特に、各空気極集電膜70)を「酸素を含むガス」(空気等)に曝す(或いは、支持基板10の上下面に沿って酸素を含むガスを流す)ことにより、固体電解質膜40の両側面間に生じる酸素分圧差によって起電力が発生する。更に、この構造体を外部の負荷に接続すると、下記(1)、(2)式に示す化学反応が起こり、電流が流れる(発電状態)。
(1/2)・O2+2e−→O2− (於:空気極60) …(1)
H2+O2−→H2O+2e− (於:燃料極20) …(2)
発電状態においては、図6に示すように、各組の隣り合う発電素子部A,Aについて、電流が、矢印で示すように流れる。この結果、図5に示すように、このSOFCの構造体全体から(具体的には、図5において最も手前側の発電素子部Aのインターコネクタ30と最も奥側の発電素子部Aの空気極60とを介して)電力が取り出される。
(製造方法)
次に、本実施形態の製造方法の一例について図7〜図17を参照しながら簡単に説明する。図7〜図17において、各部材の符号の末尾の「g」は、その部材が「焼成前」であることを表す。
先ず、図7に示す形状を有する支持基板の成形体10gが作製される。この支持基板の成形体10gは、例えば、支持基板10の材料(例えば、CSZ)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、押し出し成形、切削等の手法を利用して作製され得る。以下、図7に示す8−8線に対応する部分断面を表す図8〜図17を参照しながら説明を続ける。
図8に示すように、支持基板の成形体10gが作製されると、次に、図9に示すように、支持基板の成形体10gの上下面に形成された各凹部に、燃料極集電部の成形体21gがそれぞれ埋設・形成される。次いで、図10に示すように、各燃料極集電部の成形体21gの外側面に形成された各凹部に、燃料極活性部の成形体22gがそれぞれ埋設・形成される。各燃料極集電部の成形体21g、及び各燃料極活性部22gは、例えば、燃料極20の材料(例えば、NiとYSZ)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して埋設・形成される。
続いて、図11に示すように、各燃料極集電部の成形体21gの外側面における「燃料極活性部の成形体22gが埋設された部分を除いた部分」に形成された各凹部の底面の中央部に、直方体状の中間膜の成形体38gがそれぞれ埋設・形成される。各中間膜の成形体38gは、例えば、中間膜38の材料(LaCrO3)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して埋設・形成される。
次に、図12に示すように、各凹部の成形体38gの上面に、直方体状のインターコネクタの成形体30gがそれぞれ埋設・形成される。各インターコネクタの成形体30gは、例えば、インターコネクタ30の材料(LaCrO3)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して埋設・形成される。
次いで、図13に示すように、前記各凹部の「成形体30g及び成形体38gからなる積層体」の周囲に位置する周縁部に、シール材の成形体35gがそれぞれ埋設・形成される。各シール材の成形体35gは、例えば、シール部35の材料(例えば、MgO、或いは、MgOとCaZrO3のコンポジット材料)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して埋設・形成される。
次に、図14に示すように、複数の燃料極の成形体(21g+22g)及び複数の成形体30g、35g、38gがそれぞれ埋設・形成された状態の支持基板の成形体10gにおける長手方向に延びる外周面において複数の成形体30g、35gが形成されたそれぞれの部分を除いた全面に、固体電解質膜の成形膜40gが形成される。固体電解質膜の成形膜40gは、例えば、固体電解質膜40の材料(例えば、YSZ)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法、ディッピング法等を利用して形成される。
次に、図15に示すように、固体電解質膜の成形体40gにおける各燃料極の成形体22gと接している箇所の外側面に、反応防止膜の成形膜50gが形成される。各反応防止膜の成形膜50gは、例えば、反応防止膜50の材料(例えば、GDC)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して形成される。
そして、このように種々の成形膜が形成された状態の支持基板の成形体10gが、空気中にて1500℃で3時間焼成される。これにより、本実施形態において空気極60及び空気極集電膜70が形成されていない状態の構造体が得られる。
次に、図16に示すように、各反応防止膜50の外側面に、空気極の成形膜60gが形成される。各空気極の成形膜60gは、例えば、空気極60の材料(例えば、LSCF)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して形成される。
次に、図17に示すように、各組の隣り合う発電素子部について、一方の発電素子部の空気極の成形膜60gと、他方の発電素子部のインターコネクタ30とを繋ぐように、空気極の成形膜60g、固体電解質膜40、インターコネクタ30、及びシール部35の外側面に、空気極集電膜の成形膜70gが形成される。各空気極集電膜の成形膜70gは、例えば、空気極集電膜70の材料(例えば、LSCF)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して形成される。
そして、このように成形膜60g、70gが形成された状態の支持基板10が、空気中にて1050℃で3時間焼成される。これにより、図1に示したSOFCの構造体が得られる。なお、この時点では、酸化雰囲気(酸素含有雰囲気)での焼成により、支持基板10、及び燃料極20(集電部21及び活性部22)中のNi成分が、NiOとなっている。従って、燃料極20の導電性を獲得するため、その後、支持基板10側から還元性の燃料ガスが流され、NiOが700〜1000℃で1〜100時間に亘って還元処理される。なお、この還元処理は発電時に行われてもよい。以上、本実施形態の製造方法の一例について説明した。
(作用・効果)
以下、本実施形態の作用・効果を説明するための準備として、図18に示す比較例について述べる。この比較例は、「インターコネクタ30の底面が燃料極集電部21と直接接触している」点のみにおいて、「インターコネクタ30の底面が中間層38を介して燃料極集電部21と接続している」本実施形態と異なる。
上述したように、SOFCの製造過程では、酸化雰囲気での焼成がなされる。この比較例では、インターコネクタ30の底面が燃料極集電部21と直接接触しているので、図19に示すように、燃料極20及びインターコネクタ30の共焼成時、燃料極集電部21内のNiOが拡散によって、インターコネクタ30の底面を介してインターコネクタ30内に進入し易い。インターコネクタ30内にNiOが進入すると、インターコネクタ30を構成する主成分であるランタンクロマイトの焼結性が低下し易く(緻密化が不十分となり易く)なる(上記「第1の原因」)。この結果、この「第1の原因」によって、上記焼成後において、インターコネクタ30(=前記「ガスシール部」の一部)のガスシール性が低下し易くなる。
加えて、上記焼成時にて、上述のように、インターコネクタ30内にNiOが進入した状態で、上記還元処理が行われると(更には、上記還元処理後にてSOFCが稼働されると)、インターコネクタ30内のNiOがNiに還元される。係るNiOからNiへの変化に伴い、緻密質材料からなるインターコネクタ30の内部にて、除かれた酸素(O)の体積分に相当する空間が形成される。
従って、比較例では、インターコネクタ30内にNiOが進入する度合が大きくなり易く、従って、インターコネクタ30内に形成される前記空間の総体積が大きくなり易い(上記「第2の原因」)。この結果、この「第2の原因」によって、上記焼成後、且つ、上記還元処理後において、インターコネクタ30(=前記「ガスシール部」の一部)のガスシール性が低下し易くなる。
特に、インターコネクタ30の底面を介してインターコネクタ30内に進入したNiOが、インターコネクタ30内におけるインターコネクタ30の外側面(上面)まで達する場合、インターコネクタ30内にて底面から外側面までに亘って前記空間が形成される。このため、インターコネクタ30のガスシール性が特に低下し易い。
これに対し、本実施形態では、図20に示すように、インターコネクタ30の底面が、中間層38を介して燃料極集電部21に接続される。上述のように、中間層38の気孔率は、インターコネクタ30の気孔率より大きい。ここで、一般に、或る物体の内部を拡散により或る物質が移動する際、物質は、物体内の気孔の内壁に沿って移動する傾向がある。従って、図21に示すように、気孔率が大きい中間層38の内部を拡散によりNiOが移動する場合、NiOの移動経路が曲がりくねり易く、従って、その移動経路が長くなる。換言すれば、NiOは拡散により、中間層38の内部を通過し難い。
本実施形態では、燃料極集電部21中のNiOがインターコネクタ30の底面を介してインターコネクタ30内に進入するためには、NiOが、気孔率が大きい中間層38の内部を通過する必要がある。従って、比較例と比べて、燃料極集電部21中のNiOがインターコネクタ30内に進入し難くなる。以下、この効果を「中間層38によるNiOの進入抑制効果」と呼ぶ。
図22は、本実施形態について、インターコネクタ30内の厚さ方向におけるNi元素濃度の分布を測定した結果の一例を示す。Ni元素濃度の測定は、EPMA(Electron Probe Micro Analyser)を用いてサンプルの断面についてのNiの含有量を、インターコネクタ30の外側面側から底面側に向けて順次(図20、及び図22の矢印を参照)、測定・定量化することによってなされた。
本実施形態では、「中間層38によるNiOの進入抑制効果」が発揮されることによって、比較例と比べて、インターコネクタ30内にNiOが進入する度合が小さくなる。この結果、本実施形態では、比較例と比べて、上記「第1、第2の原因」によって「インターコネクタ30のガスシール性が低下する事態」の発生頻度が低くなる。
加えて、本実施形態によれば、インターコネクタ30を構成する材料の主成分(=ランタンクロマイト)と、中間層38を構成する材料の主成分(=ランタンクロマイト)とが共通している。従って、インターコネクタ30と中間層38との界面にて「望まれない反応」が生じ難い。この結果、「望まれない反応」に起因するSOFCの発電効率の低下等の問題が発生し難い。
更には、ランタンクロマイトは、酸化雰囲気でも還元雰囲気でも安定する材料である。インターコネクタ30、及び、中間層38は、酸化雰囲気と還元雰囲気の何れにも曝され得る。従って、本実施形態によれば、インターコネクタ30、及び、中間層38は、酸化雰囲気と還元雰囲気の何れにおいても安定して存在し得る。
(中間層の気孔率及び厚さの適正範囲)
本発明者は、上記実施形態に係るSOFCにおいて、インターコネクタ30のガスシール性の低下度合いが、中間層38の気孔率及び厚さと強い相関があることを見出した。以下、このことを確認した試験Aについて説明する。
<試験A>
この試験Aでは、本実施形態について、インターコネクタ30の気孔率、中間層38の気孔率、及び、中間層38の厚さの組み合わせが異なる複数のサンプルが作製された。具体的には、表1に示すように、8種類の水準(組み合わせ)が準備された。各水準に対して10個のサンプル(N=10)が作製された。各サンプルについて、「インターコネクタ30(緻密質材料)と中間層38(多孔質材料)との界面」は、「サンプルの断面についての解析結果に基づいて得られる、前記断面において厚さ方向にて気孔率が大きく変化する位置」と定義された。中間層38の厚さとしては、前記断面の任意の10箇所でそれぞれ測定された、「インターコネクタ30と中間層38との界面」と「中間層38と燃料極集電部21との界面」との距離、の平均値が採用された。
各サンプル(図1に示すSOFC)にて、中間層38は、インターコネクタ30の底面の全域に亘って、インターコネクタ30と燃料極集電部21との間に介装された。各サンプルは、上述した「本実施形態の製造方法の一例」と同じ方法を用いて作製された。各サンプルについて、燃料極集電部21の材料としては、NiO/Ni-YSZ、NiO/Ni-CSZ、NiO/Ni-Y2O3等が使用された。インターコネクタ30、及び、中間層38の材料としては、ランタンクロマイト(La1−xAxCr1−y−zByO3(ただし、A:Ca,Sr,Baから選択される少なくとも1種類の元素、B:Co,Ni,Mg,Alから選択される少なくとも1種類の元素、0.05≦x≦0.2、0.02≦y≦0.22、0≦z≦0.05)で表わされる。)が使用された。インターコネクタ30の厚さは30μmで一定とされた。燃料極20及びインターコネクタ30の共焼成時について、焼成時間は1〜20時間であり、焼成温度は1350〜1500℃であった。インターコネクタ30、及び中間層38のそれぞれの気孔率の調整は、対応する成形体の作製に使用されるスラリー内に含まれる造孔材の量及び径を調整すること等によってなされた。
この試験Aでは、上記還元処理後の段階における各サンプル(本実施形態に係るSOFC)について、温度が750℃の条件下にて、SOFCの実開回路電圧が測定された。そして、インターコネクタ30のガスシール性の評価指標として、「実開回路電圧の理論開回路電圧からの差」が採用された。一般に、理論開回路電圧は、「SOFCの温度」、並びに、「SOFCの燃料極側及び空気極側の間の酸素分圧差」に基づいて、一義的に決定される。一方、インターコネクタ30のガスシール性が低くなるほど、SOFCの燃料極側及び空気極側の間の酸素分圧差が理想値(ガスシール性が完全な場合での値)から小さくなることによって、実開回路電圧が理論開回路電圧から低下していく。即ち、「実開回路電圧の理論開回路電圧からの差」が小さい(大きい)ことは、インターコネクタ30のガスシール性が良い(悪い)ことを意味する。各サンプルについて、SOFCの「実開回路電圧の理論開回路電圧からの差」の結果は、表1に示すとおりである。
表1から理解できるように、中間層38が設けられる場合(水準2〜8を参照)、中間層38が設けられない場合(水準1)と比較して、「実開回路電圧の理論開回路電圧からの差」が小さい。即ち、インターコネクタ30のガスシール性が良くなる。これは、上述した「中間層38によるNiOの進入抑制効果」が発揮されたことに基づく、と考えられる。
加えて、表1から理解できるように、中間層38が設けられる場合において、特に、中間層38の気孔率が15〜50%、且つ、中間層38の厚さが3〜50μmの場合、そうでない場合と比べて、「実開回路電圧の理論開回路電圧からの差」がより一層小さくなる。即ち、インターコネクタ30のガスシール性がより一層良くなる。このように、インターコネクタ30のガスシール性に関して、中間層38の気孔率及び厚さに適正な範囲があるのは以下の理由に基づく、と考えられる。即ち、中間層38の厚さが小さ過ぎる、又は、中間層38の気孔率が小さ過ぎると、上述した「中間層38によるNiOの進入抑制効果」そのものが発揮され難くなる。この結果、燃料極集電部21中のNiOがインターコネクタ30内に進入し易くなり、上記「第1、第2の原因」によって「インターコネクタ30のガスシール性が低下する事態」が発生し易くなる。一方、中間層38の厚さが大き過ぎる、又は、中間層38の気孔率が大き過ぎると、インターコネクタ30を構成する主成分であるランタンクロマイトの焼結性が阻害され易くなる。この結果、「インターコネクタ30のガスシール性が低下する事態」が発生し易くなる。
以上より、中間層38の気孔率が15〜50%であり、且つ、中間層38の厚さが3〜50μmであると、そうでない場合と比べて、上記焼成後、且つ、上記還元処理後において、インターコネクタ30のガスシール性がより一層良くなる、ということができる。
(インターコネクタ内のNi元素濃度の適正範囲)
本発明者は、中間層38の気孔率が15〜50%であり、且つ、中間層38の厚さが3〜50μmである場合であっても、本実施形態に対して耐久試験を実施すると、インターコネクタ30のガスシール性がなおも低下し得ること、そして、係るインターコネクタ30のガスシール性の低下が、インターコネクタ30における「外側面(上面)からの距離が3μm以下の領域」(図23を参照、以下、「外側面近傍領域」と呼ぶ)内のNi元素濃度と強い相関があることを見出した。以下、このことを確認した試験Bについて説明する。
<試験B>
この試験Bでは、本実施形態について、中間層38の気孔率、中間層38の厚さ、及び、インターコネクタ30の外側面近傍領域内のNi元素濃度の組み合わせが異なる複数のサンプルが作製された。具体的には、表2に示すように、6種類の水準(組み合わせ)が準備された。各水準に対して10個のサンプル(N=10)が作製された。
各サンプル(図1に示すSOFC)は、試験Aと同様、上述した「本実施形態の製造方法の一例」と同じ方法を用いて作製された。各サンプルについて、中間層38の気孔率及び厚さ以外の各構成部材の諸元、材質等について、試験Bと同様とされた。中間層38の気孔率は、インターコネクタ30の気孔率より大きい。インターコネクタ30の外側面近傍領域内のNi元素濃度の測定は、EPMA(Electron Probe Micro Analyser)を用いて、サンプルの断面における「インターコネクタ30の外側面近傍領域」についてのNiの含有量を測定・定量化することによってなされた。インターコネクタ30の外側面近傍領域内のNi元素濃度の調整は、燃料極20及びインターコネクタ30の共焼成時における焼成時間、及び、焼成温度を調整することによってなされた。焼成時間が長くなるにつれて、且つ、焼成温度が高くなるにつれて、燃料極集電部21からのNiOの拡散の度合が大きくなることに起因して、インターコネクタ30の外側面近傍領域内のNi元素濃度が高くなる。表2に示すように、試験Bでは、中間層38の気孔率は15〜50%の範囲内に調整され、中間層38の厚さは3〜50μmの範囲内に調整された。
この試験Bでは、上記還元処理後の各サンプルについて、前記耐久試験として、750℃、3000時間に亘ってSOFCが連続的に稼働された。そして、この耐久試験後の段階にて、SOFCの実開回路電圧が測定された。各サンプルについて、SOFCの「実開回路電圧の理論開回路電圧からの差」の結果は、表2に示すとおりである。
表2から理解できるように、インターコネクタ30の外側面近傍領域内のNi元素濃度が3atm.%より大きい場合、そうでない場合と比べて、前記耐久試験後において、「実開回路電圧の理論開回路電圧からの差」が大きくなる。即ち、インターコネクタ30のガスシール性が低下する。これは、以下の理由に基づく、と考えられる。
即ち、上記「第2の原因」に関し、上述した「上記還元処理の際、或いは、上記還元処理後のSOFCの稼働中にて、インターコネクタ30内のNiOがNiに還元される現象」の進行速度は、実際には非常に遅い。従って、上記還元処理後に行われる前記耐久試験中においても、インターコネクタ30内にてNiOがNiに還元される現象が徐々に進行していく。この結果、前記耐久試験中において、インターコネクタ30の内部にて、NiOからNiへの変化に伴って除かれた酸素(O)の体積分に相当する空間の総体積が徐々に大きくなっていく(前記空間が成長していく)。従って、上記焼成時においてNiOがインターコネクタ30の底面から外側面近傍領域までに亘って進入しているような場合(即ち、前記外側面近傍領域内のNi元素濃度が大きい場合)、前記耐久試験中において、NiOの還元の進行に伴ってインターコネクタ30内にて成長していく前記空間が、インターコネクタ30の底面から外側面までに亘って繋がり易くなる。このため、前記外側面近傍領域内のNi元素濃度が大きいと、前記耐久試験後において、インターコネクタ30のガスシール性が低下し易い、と考えられる。
以上より、中間層38の気孔率が15〜50%であり、且つ、中間層38の厚さが3〜50μmである場合において、インターコネクタ30の外側面近傍領域内のNi元素濃度が3atm.%以下であると、前記耐久試験後においてもなお、インターコネクタ30のガスシール性が低下し難い、ということができる。
本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記実施形態では、図24に示すように、燃料極集電部21の外側面に形成された凹部21b内に、インターコネクタ30、シール部35、及び、中間層38が埋設され、インターコネクタ30の底面の全域が中間層38と接触しているが、図25に示すように、インターコネクタ30の底面における中央部が中間層38と接触し、インターコネクタ30の底面における前記中央部の周囲に位置する周縁部がシール部35と接触するように構成されてもよい。
また、図25に示す構成において、固体電解質膜40における「シール部35(前記「第2シール部」に対応)の外側面の周縁部の全周を覆う部分」は、固体電解質膜40に代えて、固体電解質膜40とは構成材料が異なる緻密膜37(前記「第1シール部」に対応)で構成されてもよい。緻密膜37は、例えば、GDC=(Ce,Gd)O2(ガドリニウムドープセリア)で構成され得る。
この場合、前記「ガスシール部」における燃料極集電部21の外側面を覆う部分では、前記「ガスシール部」は、前記発電素子部の一部としての固体電解質膜40と、固体電解質膜40と接続されるとともに固体電解質膜40とは異なる構成材料からなる緻密膜37(前記「第1シール部」に対応)と、緻密膜37と接続されるとともに緻密膜37とは異なる緻密な構成材料からなるシール部35(前記「第2シール部」に対応)と、シール部35と接続されたインターコネクタ30と、から構成される。この場合、緻密膜37とインターコネクタ30とが接触せず、且つ、固体電解質膜40とシール部35とが接触しない。
また、図25に示す構成では、燃料極集電部21の外側面に形成された凹部21bにシール部35、中間層38、及びインターコネクタ30が埋設されているが、図26に示すように、凹部21bに、シール部35、及び中間層38のみが埋設されていてもよい。或いは、図27に示すように、燃料極集電部21の外側面に凹部21bが形成されず、インターコネクタ30、シール部35、及び、中間層38が支持基板10の主面上に形成されてもよい。
図25に示す構成と同様、図26、及び図27に示す構成でも、前記「ガスシール部」における燃料極20(集電部21)の外側面を覆う部分では、前記「ガスシール部」は、「前記発電素子部の一部としての固体電解質膜40」と、「固体電解質膜40と接続されるとともに固体電解質膜40と同じ構成材料からなる緻密膜40又は異なる構成材料からなる緻密膜37」(前記「第1シール部」に対応)と、「緻密膜40又は37と接続されるとともに緻密膜40又は37とは異なる緻密な構成材料からなるシール部35」(前記「第2シール部」に対応)と、「シール部35と接続されたインターコネクタ30」と、から構成される。
図25に示す構成と同様、図26、及び図27に示す構成でも、前記「第1シール部」が緻密膜40(=固体電解質膜40)である場合、緻密膜40(=固体電解質膜40)とインターコネクタ30とが接触しない。前記「第1シール部」が緻密膜37(≠固体電解質膜40)である場合、緻密膜37(≠固体電解質膜40)とインターコネクタ30とが接触せず、且つ、固体電解質膜40とシール部35とが接触しない。
また、上記実施形態においては、燃料極集電部21の外側面に形成された凹部21bの底面と、インターコネクタ30の底面と、の間には、中間層38のみ(1層のみ)が介装されているが、図28に示すように、凹部21bの底面と、中間層38の底面と、の間に更に、中間層38とは異なる「ランタンクロマイトとNiとを主成分とする第2の中間層39」が介装されていてもよい。
本実施形態、並びに、図25〜図28に示す変形例においては、「インターコネクタ30の外側面、底面、及び側面のうちで中間層38を介して燃料極集電部21と接続されているのは底面のみである」点、及び、「インターコネクタ30の外側面、底面、及び側面のうちで空気極集電膜70と接触しているのは外側面のみである」点において共通している。
また、上記実施形態においては、平板状の支持基板10の上下面のそれぞれに複数の凹部12が形成され且つ複数の発電素子部Aが設けられているが、図29に示すように、支持基板10の片側面のみに複数の凹部12が形成され且つ複数の発電素子部Aが設けられていてもよい。また、上記実施形態では、支持基板10が平板状を呈しているが、支持基板が円筒状を呈していてもよい。
また、上記実施形態においては、燃料極20が燃料極集電部21と燃料極活性部22との2層で構成されているが、燃料極20が燃料極活性部22に相当する1層で構成されてもよい。