[go: up one dir, main page]

JP5707668B2 - 溶銑の脱銅処理方法 - Google Patents

溶銑の脱銅処理方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5707668B2
JP5707668B2 JP2009006296A JP2009006296A JP5707668B2 JP 5707668 B2 JP5707668 B2 JP 5707668B2 JP 2009006296 A JP2009006296 A JP 2009006296A JP 2009006296 A JP2009006296 A JP 2009006296A JP 5707668 B2 JP5707668 B2 JP 5707668B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
copper
hot metal
refining agent
iron
copper removal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2009006296A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010163650A (ja
Inventor
内田 祐一
祐一 内田
章敏 松井
章敏 松井
岸本 康夫
康夫 岸本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Priority to JP2009006296A priority Critical patent/JP5707668B2/ja
Publication of JP2010163650A publication Critical patent/JP2010163650A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5707668B2 publication Critical patent/JP5707668B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/20Recycling

Landscapes

  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)
  • Manufacture And Refinement Of Metals (AREA)

Description

本発明は、溶銑中に含まれる銅を除去する方法に関し、詳しくは、鉄源として鋼屑(鉄系スクラップ)を使用して高級鋼を製造する場合に、鋼屑中の銅に起因する、品質上の問題となる溶銑中の銅を除去する方法に関するものである。
製鋼過程で使用する鉄源は、鉄鉱石を高炉で還元して得られる溶銑が主体であるが、鉄鋼材料の加工工程で発生する鋼屑や、建築物及び機械製品などの老朽化に伴って発生する鋼屑も、かなりの量が使用されている。高炉での溶銑の製造には、鉄鉱石を還元し且つ溶融するための多大なエネルギーを要するのに対し、鋼屑は溶解熱のみを必要としており、製鋼過程で鋼屑を利用した場合には、鉄鉱石の還元熱分のエネルギー使用量を少なくすることができるという利点がある。従って、省エネルギー及びCO2削減による地球温暖化防止の観点からも、鋼屑利用の促進が望まれている。
ところで、鋼屑を再生利用する際に、これら鋼屑に随伴する銅及び錫に代表されるトランプエレメントが、鋼屑溶解の過程で不可避的に溶鉄中に混入する。トランプエレメントは鋼の性質を損なう成分であり、一定の濃度以下に保つ必要がある。そのため、高級鋼を製造する鉄源として、銅や錫を含む低級鋼屑の利用には限界があった。しかしながら、近年の鋼屑発生量の増加及びCO2発生削減のための鋼屑増使用の要請を勘案すると、低級鋼屑の再生利用を進める必要がある。
現在の低級鋼屑を使用するための実用化技術としては、鋼屑を物理的に分解して有害な部分を人力や磁力選別などの方法で分離し、有害な部分を分離したものを、有害成分をほとんど含有しない原料に配合して、鋼材の材料特性上問題のない範囲内で使用する以外に、有効な方法はない。このような方法では、使用済み自動車などの鋼屑を大量に再生利用することは不可能であり、今後予想される鋼屑多量発生時代に対応する鋼屑中の銅の除去技術としては、十分な解決策には成り得ない。
一方、溶鉄に混入した後の脱銅方法について、以下に述べる原理的発明が公知になっている。つまり、含銅高炭素溶鉄とFeS−Na2S系フラックスとを接触させ、溶鉄中の銅成分をCu2Sとしてフラックス中に分離除去する原理的技術知見が、非特許文献1及び非特許文献2に報告されている。この技術は、銅の除去技術として、前述の物理的除去方法に対して、より広い適用の可能性を提案するものである。但し、この方法では、FeS−Na2S系フラックスが溶融して溶鉄上に形成されるスラグ中のCu濃度と溶鉄中のCu濃度との比である分配比が高々30程度であり、スラグに充分な撹拌を与えて分配比を低下させないようにする必要がある。
この原理的技術知見に基づいた脱銅処理方法として、特許文献1には、含銅鋼屑を加炭溶融して含銅高炭素溶鉄とした後、脱銅用の精錬剤として、Na2Sを主成分とするフラックスを添加し、溶銑とNa2Sを主成分とするフラックスとを接触反応させて、溶鉄中の銅成分をCu2SとしてNa2S系フラックス中に分離除去する方法が開示されている。
但し、特許文献1では340kg/t-鉄もの大量のフラックスを用いて精錬処理を行っており、精錬コストやフラックスのハンドリングの点で実用化が困難である。更には、反応温度を1200〜1500℃に保つための電気加熱装置を備えるとともに、大気との接触を断つための有蓋の反応容器を使用しており、設備が大掛かりであり、設備的な観点からみても実用化技術として確立しているとは言いがたい。
特開平4−198431号公報
今井正等、鉄と鋼、vol.74(1988)No.4.p.640 王潮等、鉄と鋼、vol.77(1991)No.4.p.504
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、鉄源として銅含有鋼屑を使用し、該鋼屑を加炭溶解して製造される溶銑中の銅を、FeS−Na2S系フラックスなどの硫黄含有フラックスにより除去するに際し、大がかりな設備を必要とせずに効率良く銅を除去することのできる、溶銑の脱銅処理方法を提供することである。
上記課題を解決するための第1の発明に係る溶銑の脱銅処理方法は、反応容器内に収容された銅含有溶銑に、精錬剤として、アルカリ金属の化合物と鉄−硫黄合金とハロゲン化物とを添加し、前記精錬剤により銅含有溶銑中の銅を吸収・除去することを特徴とするものである。
第2の発明に係る溶銑の脱銅処理方法は、第1の発明において、前記銅含有溶銑は、銅含有鋼屑を加炭溶解して製造されたものであることを特徴とするものである。
第3の発明に係る溶銑の脱銅処理方法は、第1または第2の発明において、前記アルカリ金属の化合物は、Na2CO3及び/またはK2CO3を主成分とする材料であることを特徴とするものである。
第4の発明に係る溶銑の脱銅処理方法は、第1ないし第3の発明の何れかにおいて、前記精錬剤は、ハロゲン化物と、アルカリ金属の化合物及び/または鉄−硫黄合金とが予め混合されたものであることを特徴とするものである。
第5の発明に係る溶銑の脱銅処理方法は、第1ないし第4の発明の何れかにおいて、前記精錬剤によって銅を除去する前の銅含有溶銑は、温度が1250℃以上1400℃以下であることを特徴とするものである。
第6の発明に係る溶銑の脱銅処理方法は、第1ないし第5の発明の何れかにおいて、前記脱銅処理を機械攪拌式精錬装置で行うことを特徴とするものである。
本発明によれば、銅含有鋼屑を加炭溶解して製造した溶銑中の銅を分離・除去するための精錬剤として、アルカリ金属の化合物、例えばNa2CO3を主成分とする材料と、鉄−硫黄合金と、ハロゲン化物とを使用するので、添加されるハロゲン化物とアルカリ金属の化合物中のアルカリとでアルカリ金属のハロゲン化物が形成され、これによりアルカリ金属の蒸気圧が低下し、アルカリ金属化合物の蒸発ロスが減少し、少ないアルカリ金属化合物で効率良く溶銑を脱銅処理することが実現される。その結果、製鋼用溶銑の原料として従来使用困難であった、銅を多量に含む鋼屑の高級鋼への適用が可能となり、低級屑の利用促進やCO2削減などの工業上有益な効果がもたらされる。
以下、本発明を具体的に説明する。
銅含有鋼屑を加炭溶解して炭素を含有した製鋼用溶銑を製造すると、鋼屑中の銅はほぼ全量が溶銑中に溶解する。本発明者らは、硫黄含有フラックスを精錬剤として用いて溶銑中の銅を硫化銅(Cu2S)として除去することに着目し、鋭意調査・研究を行った。その結果、溶銑からの脱銅反応には、(1)反応容器内の溶銑及び精錬剤の硫黄含有量を高めること、(2)精錬剤の塩基性を高めてCu2Sの活量を低下させること、(3)精錬剤の溶融性を高めること、が重要であることを突き止めた。
先ず、(1)の硫黄含有量については、精錬剤中の硫黄含有量を高めてもよいし、溶銑中の硫黄濃度を高めても、どちらでも構わないことが分かった。精錬剤中の硫黄含有量を高める手段としては、工業的にも広く利用されている鉄−硫黄合金(フェロサルファー)を用いることがコスト面でも好ましい。また、鉄−硫黄合金は溶銑中の硫黄濃度を高めるために用いることも当然可能である。
次に、(2)及び(3)について説明する。連続鋳造機で使用されるモールドパウダーのような一般的なCaO−SiO2系フラックスを精錬剤として用い、この精錬剤中の硫黄含有量及び溶銑中の硫黄含有量を高めても、脱銅反応はほとんど起こらなかった。この要因について本発明者らは考察を重ねた結果、塩基性フラックスを用いてスラグ中のCu2Sの活量を低下させる必要があることを知見した。そこで、Cu2Sの活量を低下させるべく、製鋼工程で一般的に用いられるCaO系フラックスの添加を試みた。しかしながら、CaO系フラックスを添加した場合、スラグが固化してしまい脱銅反応を促進することはできなかった。そこで、CaO系フラックスよりも低融点で且つ強塩基性であるアルカリ金属の化合物を添加することを想起し、CaOと同様に製鋼工程で一般的に用いられているNa2CO3(ソーダ灰)を用いて試験した。その結果、スラグの液相が確保でき、脱銅反応が促進されることを確認した。
この場合、添加したNa2CO3は、鉄−硫黄合金と反応してNa2Sを形成し、精錬剤が溶融して形成されるスラグ(「脱銅スラグ」とも記す)中では、Na2Sの形態で存在している。つまり、溶銑中の銅は、Na2SとFeSとを主成分とする脱銅スラグにCu2Sとして吸収されて、溶銑の脱銅反応が進行しており、効率的な脱銅反応のためには、脱銅スラグ中にNa2Sが、モル分率比で0.2以上存在することが好ましいことが知見された。つまり、アルカリ金属の硫化物を、脱銅スラグ中にモル分率比で0.2以上存在させることが重要であることが知見された。
しかしながら、ナトリウム(Na)は蒸気圧が高く、添加したNa2CO3が揮発ロスすることから、脱銅スラグ中にNa2Sをモル分率比で0.2以上存在させるためには、ソーダ灰などのNa2CO3を主成分とする材料を大量に添加する必要があった。
そこで、このNa2CO3の揮発ロスを少なくすることを検討した。その結果、ナトリウムとの親和力が極めて強い、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)などのハロゲン化物(ハロゲンが陰性元素として、より陽性の元素と化合した化合物)を精錬剤に加えることで、ナトリウムの蒸気圧が低下し、Na2CO3の揮発ロスが大幅に減少し、少ないNa2CO3で脱銅スラグ中にNa2Sをモル分率比で0.2以上確保できることが分かった。つまり、Na2CO3中のナトリウムは一旦NaF、NaCl、NaBrなどのハロゲン化物となり、その後、大量に存在する鉄−硫黄合金と反応してNa2Sが形成される。一旦、NaF、NaCl、NaBrなどの化合物となることで、ナトリウムの揮発ロスが抑制される。
この現象は、ナトリウム以外のアルカリ金属、例えば、カリウム(K)やリチウム(Li)の化合物を硫黄含有フラックスの構成成分として使用した場合も、同様であることが分かった。つまり、カリウムやリチウムは、ナトリウムと同様に蒸気圧が高いが、フッ素、塩素、臭素などのハロゲンとの親和力が強く、一旦ハロゲン化物を形成することにより、揮発ロスが抑制される。
即ち、本発明においては、溶銑中の銅を分離除去するための精錬剤(以下、「脱銅用精錬剤」とも記す)として、アルカリ金属の化合物と、鉄−硫黄合金と、ハロゲン化物とを使用し、これらをそれぞれ単体のまま、または混合して銅含有溶銑に添加し、脱銅処理を実施する。
本発明において使用するアルカリ金属の化合物としては、リチウム、ナトリウム、カルシウムのそれぞれ酸化物、炭酸塩、硫化物などを使用できるが、経済性の観点から、Na2CO3(ソーダ灰)またはK2CO3、或いは両者の混合物を使用することが好ましい。
本発明において、Na2CO3やK2CO3などのアルカリ金属化合物の揮発ロスを少なくするために使用可能なハロゲン化物としては、例えば、塩化カリウム(KCl)、弗化カリウム(KF)、塩化ナトリウム(NaCl)、弗化ナトリウム(NaF)、弗化マグネシウム(MgF2)、弗化カルシウム(CaF2)、氷晶石(Na3AlF6)などである。
これらのハロゲン化物を、アルカリ金属の化合物または鉄−硫黄合金、或いは、アルカリ金属の化合物及び鉄−硫黄合金の双方と予め混合して、溶銑に添加することで、より一層アルカリ金属化合物の揮発ロスは少なくなることが分かった。
尚、本発明者らは、アルカリ金属の化合物と鉄−硫黄合金とを予め混合してから溶銑に添加することで、より一層の脱銅効率の向上が望めることを確認しており、ハロゲン化物を除いて、アルカリ金属の化合物と鉄−硫黄合金との2つを予め混合しても構わない。また、脱銅用精錬剤のうちの鉄−硫黄合金のみを先に溶銑に添加し、溶銑中の硫黄濃度を高めた後に、ハロゲン化物及びアルカリ金属の化合物を、それぞれ単体で或いは混合して溶銑に添加することでも、十分に効率の良い脱銅処理を得ることができる。
この硫黄を含有した脱銅用精錬剤による脱銅は、分配比(脱銅スラグ中のCu濃度と溶銑中のCu濃度との比)の低いプロセスであるため、脱銅を十分に進行させるには、前記精錬剤の添加により反応容器内に形成される脱銅スラグ側の物質移動を促進させる必要がある。このためには、脱銅スラグ層も撹拌することが重要である。特に、本発明では溶銑段階で脱銅処理しており、溶銑の温度域(1200〜1400℃)は溶鋼の温度域(1550〜1700℃)に比較して低温であり、スラグの流動性も低く、スラグの撹拌が重要である。
溶銑及び溶銑上に存在するスラグを同時に攪拌する方法として、反応容器内の溶銑に浸漬させたインジェクションランスまたは反応容器の底部に設置した羽口から、攪拌用ガスを吹き込んでスラグと溶銑とを攪拌する方法も採り得るが、本発明においては、良好な攪拌が得られることから、機械攪拌式精錬装置を用いて脱銅処理を行うことが好ましい。機械攪拌式精錬装置としては、インペラ(「攪拌羽根」ともいう)を使用した撹拌が代表的である。つまり、取鍋状の反応容器内に収容された溶銑にインペラを浸漬させ、このインペラを、軸心を回転軸として回転させ、溶銑及び溶銑上に添加された脱銅用精錬剤を強制的に攪拌する方法である。機械攪拌式精錬装置では、溶銑上に投入された脱銅用精錬剤が溶銑内に充分に巻き込まれ、溶銑と脱銅用精錬剤との撹拌が充分に行われる。一方、特許文献1に示されたガス撹拌法では、スラグは溶銑中に巻き込まれ難く、撹拌は不充分である。
また、溶銑に浸漬させたインジェクションランスから搬送用ガスとともに粉体状の脱銅用精錬剤を溶銑中に吹き込み添加する方法、所謂フラックス吹き込み法も好ましい処理方法である。この場合、溶銑中に吹き込まれた粉体状の脱銅精錬剤は溶銑と直接接触し、しかも、新たな未反応の脱銅用精錬剤が連続的に溶銑と接触するので、スラグ側の物質移動を促進させた場合と同等の効果が発現し、溶銑と脱銅用精錬剤との反応が促進される。また、搬送用ガスは攪拌用ガスとしても機能するので、機械攪拌式精錬装置ほどの攪拌強度はないものの、溶銑と溶銑上の脱銅スラグとの攪拌が行われる。
この脱銅処理の際、雰囲気への大気の混入を防ぐために、Arガスなどの不活性ガスやプロパンなどの還元性ガスを溶銑浴面上に供給してもよい。脱銅処理後、脱銅用精錬剤の添加により形成された脱銅スラグを系外に除去する。
本発明において、脱銅処理前の溶銑、つまり、銅含有鋼屑を加炭溶解して製造される、炭素を含有する製鋼用溶銑の温度は、1200℃以上1500℃以下、望ましくは1250℃以上1400℃以下であることが好ましい。溶銑温度が1200℃未満では、低温に起因する脱銅用精錬剤及び溶銑自体の固化・凝固が懸念される。特に、その後の脱硫工程や転炉脱炭工程での温度保証を考慮すると、1250℃以上とすることが望ましい。一方、1500℃以上では、高温による脱銅用精錬剤の蒸発が無視できない。つまり、脱銅用精錬剤の蒸発を抑えて効率的に脱銅反応を行うには、溶銑温度は低いほど好ましく、従って、効率的な脱銅反応のためには、溶銑温度を1400℃以下とすることが望ましい。
また、脱銅処理前の溶銑中の炭素濃度は2質量%以上が好ましい。溶銑中の銅が硫化銅(Cu2S)となる反応は、熱力学的に溶銑中の炭素濃度が高いほど進行しやすいことが知られている。脱銅処理前の溶銑中の炭素濃度が2質量%未満では、硫化銅の生成反応が充分に起こらないことに加え、溶銑の液相線温度が上昇し、溶銑の容器壁への付着などが問題となる。また更に、脱銅処理前の溶銑中の銅濃度は0.1質量%以上1.0質量%以下であることが好ましい。脱銅処理前の溶銑中の銅濃度が1.0質量%を超えると銅の除去に必要な脱銅用精錬剤の量が過大となり、実用上の負荷が大きい。一方、0.1質量%未満の場合には、脱銅処理を施さなくても、例えば、銅含有量の低い溶銑で希釈するなどして対処可能である。
更に、脱銅処理前の溶銑の硫黄濃度としては、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上が更に好ましい。脱銅処理前の溶銑の硫黄濃度が0.01質量%未満では、脱銅用精錬剤から溶銑中への硫黄の溶解量が過大となり、脱銅用精錬剤の利用効率が低くなり経済的でない。硫黄濃度の上限は特に規定する必要はないが、余りに高濃度であると脱硫処理に支障を来すので、0.5質量%以下とすることが望ましい。
脱銅処理前の上記以外の溶銑の成分としては、例えば珪素濃度は0.5質量%以下、マンガン濃度は0.5質量%以下が望ましい。これらの濃度を超えると、脱銅処理中のこれら成分の酸化により生じる酸化珪素及び酸化マンガンがスラグに移行してスラグ量が増大し、スラグ処理が困難になるだけでなく、酸化珪素及び酸化マンガンが脱銅用精錬剤の脱銅反応を阻害する恐れがある。
尚、銅含有鋼屑を加炭溶解して製造した製鋼用溶銑に、必要に応じて高炉から出銑された溶銑(以下、「高炉溶銑」と呼ぶ)を混合して銅濃度を希釈し、その後、混合した溶銑に含まれる銅を、脱銅用精錬剤を用いて除去するようにしてもよい。
銅含有鋼屑を加炭溶解して溶銑を製造する工程としては、電気炉を用いた方法、転炉を用いた方法、竪型炉を用いた方法などがあるが、特に、内部に炭材ベッドを形成した竪型炉を用いた方法が好ましい。
ここで、内部に炭材ベッドを形成した竪型炉とは、竪型炉の上部から銅含有鋼屑及びコークス更には必要に応じて造滓剤を装入し、竪型炉の下部に設けた羽口から、空気、酸素富化空気、酸素ガス、熱風などを送風してコークスを燃焼させ、コークスの燃焼熱によって銅含有鋼屑及び造滓剤を溶解し、炉底部の出湯口から溶銑及び溶融スラグを取り出す装置である。この場合、炉底から羽口の上方或る高さ位置までの範囲にはコークスだけを詰め、これを燃焼してコークスの上部に装入した銅含有鋼屑を溶解している。炉底に詰めるコークスを「炭材ベッド」と呼び、この炭材ベッドは燃焼して消耗するので、これを補いながら溶解を継続するために、炉体の上部からコークスを装入する。銅含有鋼屑が溶解して生成される溶融鉄は、コークスの間隙を流下し、コークスにより加炭されて溶銑が生成される。この内部に炭材ベッドを形成した竪型炉は、電気炉などに比較してエネルギー効率が高いことが知られている。
このような、内部に炭材ベッドを形成した竪型炉を用いて溶銑を製造する場合、高炉溶銑に比して溶銑中の硫黄濃度は一般的に高くなる。この硫黄濃度の高い状態を利用して、脱銅用精錬剤による脱銅を有利に進めることができる。溶銑中の硫黄濃度が高いことにより、脱銅用精錬剤から溶銑中への硫黄の移動が少なくて済み、脱銅用精錬剤の利用効率を高めることができる。
このような脱銅処理に伴い、脱銅用精錬剤中の硫黄が不可避的に溶銑中に移行するため、溶銑中の硫黄濃度は上昇する。従って、脱銅処理を行った後、溶銑中の硫黄を除去する処理を行う。この脱硫処理は、公知の機械攪拌式精錬装置による方法、ランスからの粉体吹き込みによる方法、転炉を使用する方法などの何れであってもよい。脱硫剤としては、CaOを主成分とする脱硫剤、カルシウム・カーバイドを主成分とする脱硫剤、ソーダ灰を主成分とする脱硫剤、金属Mgなど種々の脱硫剤を使用することができる。
この脱硫処理に先立ち、脱銅処理に供した脱銅用精錬剤を反応容器から除去することが必要である。脱銅用精錬剤を除去しないまま、脱硫処理すると、脱銅用精錬剤中の硫化銅(Cu2S)が分解して溶銑に戻り、溶銑中の銅濃度が上昇する恐れがあるからである。スラグ除去作業は、公知のスラグドラッガーを用いた方法、スラグ吸引機による方法、溶銑収容容器を傾けて容器内のスラグを排出する方法などの何れでもよく、各製鉄所の保有する設備状況に適したものを選択すればよい。
以上説明したように、本発明によれば、銅を含有する溶銑中の銅を分離・除去するための脱銅用精錬剤として、Na2CO3などのアルカリ金属の化合物と、鉄−硫黄合金と、ハロゲン化物とを使用するので、添加されるハロゲン化物とアルカリ金属化合物中のアルカリ金属とでアルカリ金属のハロゲン化物が形成され、これによりアルカリ金属の蒸気圧が低下し、アルカリ金属化合物の蒸発ロスが減少し、少ないアルカリ金属化合物で効率良く溶銑を脱銅処理することが実現される。その結果、銅含有鋼屑から銅含有量の少ない溶銑を効率良く得ることが可能となる。
高周波誘導溶解炉を用いて、黒鉛ルツボ中で銅を0.4質量%、硫黄を0.3%含有する炭素飽和溶銑を調製した。この溶銑に、ソーダ灰(Na2CO3)または炭酸カリウム(K2CO3)、鉄−硫黄合金(フェロサルファー、硫黄含有量:48質量%)及びハロゲン化物を脱銅用精錬剤として添加し、溶銑に脱銅処理を施す試験を実施した(試験No.1〜6)。また、比較のために、ハロゲン化物を添加しないで、ソーダ灰または炭酸カリウムと、鉄−硫黄合金とを脱銅用精錬剤として添加する脱銅試験も実施した(試験No.7〜8)。ソーダ灰または炭酸カリウムと、鉄−硫黄合金と、ハロゲン化物とは予め混合して脱銅用精錬剤とした。
表1に、試験条件及び試験結果を一覧で示す。尚、何れの実験も溶銑温度は1350℃に調整した。
Figure 0005707668
表1に示すように、脱銅用精錬剤にハロゲン化物を加えた試験No.1〜6では、脱銅率が何れも33%以上であり、ハロゲン化物を加えていない試験No.7,8に比べて効率良く脱銅処理することができた。
これらの結果から、本発明によれば高い脱銅率が得られ、銅含有溶銑から銅含有量の低い溶銑を効率的に製造できることが確認できた。
内部に炭材ベッドを形成した竪型炉を用いて、銅含有鋼屑を溶解して製鋼用溶銑を製造し、この溶銑を溶銑鍋で受銑し、溶銑鍋内の溶銑に、ソーダ灰(Na2CO3)、鉄−硫黄合金(フェロサルファー、硫黄含有量:48質量%)及びハロゲン化物を脱銅用精錬剤として添加し、溶銑に脱銅処理を施す試験を実施した(試験No.9〜10)。ハロゲン化物として、試験No.9ではNaF、試験No.10では氷晶石(主な化学組成Na3AlF6)を使用した。また、比較のために、ハロゲン化物を使用しないで、ソーダ灰及び鉄−硫黄合金のみを脱銅用精錬剤として添加する脱銅試験も実施した(試験No.11)。ソーダ灰、鉄−硫黄合金及びハロゲン化物は予め混合して脱銅用精錬剤とした。
脱銅処理は、試験No.9〜11ともに、溶銑鍋に約5トンの製鋼用溶銑を装入し、機械攪拌式精錬装置において、鍋上に設けた精錬剤供給用ホッパーから脱銅用精錬剤を添加し、耐火物で被覆したインペラを溶銑中に浸漬させ、インペラを回転して溶銑及び脱銅用精錬剤を攪拌して行った。脱銅用精錬剤の添加量は、ソーダ灰(Na2CO3)を溶銑トンあたり25kg、鉄−硫黄合金を溶銑トンあたり37kg、ハロゲン化物は、NaFを溶銑トンあたり4.5kgまたは氷晶石を溶銑トンあたり3.4kgとした。
表2に、試験条件及び試験結果を一覧で示す。表2に記載以外の脱銅処理前の溶銑成分は、珪素が0.20質量%、マンガンが0.15質量%、燐が0.050質量%になるように調製して試験した。
Figure 0005707668
表2に示すように、脱銅用精錬剤にハロゲン化物としてNaFまたは氷晶石を加えた試験No.9〜10では、ハロゲン化物を加えていない試験No.11に比べて、脱銅率が高位であった。
これらの結果から、本発明によれば高い脱銅率が得られ、銅含有鋼屑から銅含有量の低い溶銑を効率的に製造できることが確認できた。

Claims (6)

  1. 反応容器内に収容された銅含有溶銑に、精錬剤として、リチウム、ナトリウム、カリウムのそれぞれ酸化物、炭酸塩、硫化物の群から選択された1種または2種以上からなるアルカリ金属の化合物と、鉄−硫黄合金と、弗化カリウム、弗化ナトリウム、弗化マグネシウム、弗化カルシウム、氷晶石の群から選択された1種または2種以上からなるフッ化物とを添加し、前記精錬剤により銅含有溶銑中の銅を吸収・除去することを特徴とする、溶銑の脱銅処理方法。
  2. 前記銅含有溶銑は、銅含有鋼屑を加炭溶解して製造されたものであることを特徴とする、請求項1に記載の溶銑の脱銅処理方法。
  3. 前記アルカリ金属の化合物は、Na2CO3及び/またはK2CO3を主成分とする材料であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の溶銑の脱銅処理方法。
  4. 前記精錬剤は、前記フッ化物と、前記アルカリ金属の化合物及び/または前記鉄−硫黄合金とが予め混合されたものであることを特徴とする、請求項1ないし請求項3の何れか1つに記載の溶銑の脱銅処理方法。
  5. 前記精錬剤によって銅を除去する前の銅含有溶銑は、温度が1250℃以上1400℃以下であることを特徴とする、請求項1ないし請求項4の何れか1つに記載の溶銑の脱銅処理方法。
  6. 前記脱銅処理を機械攪拌式精錬装置で行うことを特徴とする、請求項1ないし請求項5の何れか1つに記載の溶銑の脱銅処理方法。
JP2009006296A 2009-01-15 2009-01-15 溶銑の脱銅処理方法 Active JP5707668B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009006296A JP5707668B2 (ja) 2009-01-15 2009-01-15 溶銑の脱銅処理方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009006296A JP5707668B2 (ja) 2009-01-15 2009-01-15 溶銑の脱銅処理方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010163650A JP2010163650A (ja) 2010-07-29
JP5707668B2 true JP5707668B2 (ja) 2015-04-30

Family

ID=42580042

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009006296A Active JP5707668B2 (ja) 2009-01-15 2009-01-15 溶銑の脱銅処理方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5707668B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101321086B1 (ko) 2010-12-22 2013-10-23 주식회사 포스코 용선 정련 방법
JP6065538B2 (ja) * 2012-11-20 2017-01-25 Jfeスチール株式会社 溶銑の脱銅処理方法
KR101618305B1 (ko) 2014-11-18 2016-05-04 주식회사 포스코 구리 제거용 플럭스 및 이를 이용한 구리 제거 방법
CN115652024B (zh) * 2022-12-08 2023-04-07 北京科技大学 一种再生钢铁原料电炉炼钢流程高效脱Cu的方法

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04198431A (ja) * 1990-11-29 1992-07-17 Nippon Steel Corp 鋼鉄中の銅の除去方法
JPH04221010A (ja) * 1990-12-21 1992-08-11 Nippon Steel Corp 溶融鉄合金中のCuの除去方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010163650A (ja) 2010-07-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5402005B2 (ja) 鋼屑中の銅の除去方法
Abdel-latif Fundamentals of zinc recovery from metallurgical wastes in the Enviroplas process
JP6481774B2 (ja) 溶鉄の脱りん剤、精錬剤および脱りん方法
JP2016191128A (ja) 銅製錬スラグの処理方法
JP5707668B2 (ja) 溶銑の脱銅処理方法
JP5326590B2 (ja) 溶銑からの銅及び硫黄の除去方法
CN111235354A (zh) 一种lf多功能脱氧埋弧渣的生产工艺
JP6065538B2 (ja) 溶銑の脱銅処理方法
CN101258252A (zh) 分离铜熔体中进料的杂质的方法
JP5493335B2 (ja) 溶銑の脱銅処理方法
JP6516264B2 (ja) 銅精錬スラグの処理方法
JP5581760B2 (ja) 鋼屑中の銅の除去方法及び鋼屑を鉄源とした溶鋼の製造方法
JP5326591B2 (ja) 鋼屑を鉄源とした溶銑の製造方法
JP4714655B2 (ja) 含クロム溶鉄の脱硫方法
JP6542560B2 (ja) 非鉄製錬スラグの処理方法
JP5581759B2 (ja) 鋼屑中の銅の除去方法
JP5365207B2 (ja) 鋼屑を鉄源とした溶鋼の製造方法
JP3233304B2 (ja) Mn鉱石の溶融還元を伴った低Si・低S・高Mn溶銑の製造
JP5962826B2 (ja) Crを含有するスラグの処理方法
KR101863916B1 (ko) 마그네슘 제련공정 부산물과 알루미늄 제련공정 폐부산물을 이용한 탈황 및 탈산용 제강플럭스 조성물
JP2684113B2 (ja) 含クロム溶銑の脱りん法
SU722974A1 (ru) Покровный флюс дл плавки лома и отходов на свинцовой основе
JP2000309832A (ja) アルミニウム溶湯滓からのアルミニウム分の回収方法
JP2013124417A (ja) Crを含有するスラグの処理方法
RU2037543C1 (ru) Способ получения металлов и сплавов

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110824

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20120321

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20120327

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130924

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20131001

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20131129

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140204

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140311

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20141014

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20141208

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20150203

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20150216

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5707668

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250