JP5701498B2 - 炎症性細胞からのヘパラナーゼの放出抑制剤、抗炎症剤、及び薬用組成物 - Google Patents
炎症性細胞からのヘパラナーゼの放出抑制剤、抗炎症剤、及び薬用組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5701498B2 JP5701498B2 JP2009273899A JP2009273899A JP5701498B2 JP 5701498 B2 JP5701498 B2 JP 5701498B2 JP 2009273899 A JP2009273899 A JP 2009273899A JP 2009273899 A JP2009273899 A JP 2009273899A JP 5701498 B2 JP5701498 B2 JP 5701498B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- inflammatory
- compound represented
- structural formula
- agent
- general formula
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Nitrogen Condensed Heterocyclic Rings (AREA)
- Hydrogenated Pyridines (AREA)
- Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
Description
前記炎症性細胞とは、炎症局所へ遊走して作用する細胞であり、主として急性期の炎症反応にみられる好中球や、炎症反応の慢性期にみられるリンパ球や単球などが挙げられる。
しかし、炎症性疾患に対して充分な治療効果があるとはいえず、また長期にわたる連続投与により胃粘膜障害や腎障害等の消化管障害を起こすなどの副作用もあるため、その臨床利用が制限されることがある点で問題であった。
しかし、前記代謝拮抗薬は、非特異的に免疫系を抑制するため、細菌等による感染症を引き起こしやすくなる点で問題であった。また、前記ステロイドホルモン剤は、副腎皮質機能不全をはじめとする重篤な副作用を引き起こすことがあり、前記メトトレキセートは、造血系、消化器系、精神及び神経系などに重篤な副作用を示すことがある点で問題であった。
<1> 下記一般式(1)で表される化合物乃至その塩を含有し、炎症性細胞の活性化を抑制することを特徴とする抗炎症剤である。
<3> 炎症性細胞の活性化の抑制が、炎症性細胞の炎症部位への浸潤の抑制である前記<1>に記載の抗炎症剤である。
<4> 一般式(1)で表される化合物乃至その塩が、弱酸性から中性条件下で下記構造式(1)から(6)の少なくともいずれかで表される化合物に構造変換される前記<1>から<3>のいずれかに記載の抗炎症剤である。
<6> 一般式(1)で表される化合物乃至その塩が、生体内で構造式(1)から(6)の少なくともいずれかで表される化合物に構造変換される前記<1>から<5>のいずれかに記載の抗炎症剤である。
<7> 一般式(1)で表される化合物乃至その塩が、下記構造式(7)で表される化合物である前記<1>から<6>のいずれかに記載の抗炎症剤である。
<9> 局所炎症の予防乃至治療に用いられる前記<8>に記載の薬用組成物である。
本発明の抗炎症剤は、下記一般式(1)で表される化合物乃至その塩を含有し、必要に応じて、更にその他の成分を含有する。
これらの中でも、前記一般式(1)で表される化合物は、中性条件下又は生体内で、後述する構造式(1)〜(6)で表される化合物に構造変換しやすい化合物が好ましく、XがNHCOCF3である下記構造式(7)で表される化合物がより好ましい。
本発明者らは以前に、放線菌、ストレプトミセス・バーチシラス・バリエタス・クインツム(Streptomyces verticillus var. quintum)(微工研菌寄第507号)を培養し、その培養液からシアスタチンBを採取できることを知見した(特公昭55−46714号公報参照)。
また、リボースを原料として用い、前記リボースから一連の化学変換の過程でシアスタチンBに達することから成るリボースを原料とするシアスタチンBの合成的製造法を発明した(特開平1−294687号公報及びNishimura Y, et al., Journal of American Chemical Society, 1988, 110, 7249−7250参照)。前記シアスタチンBの合成法を利用し新規なシアスタチンB類似物質の製造方法を確立することにも成功した(Nishimura Y, et al., J. Antibiotics, 1992, 45(6), 954−962及び963−970参照)。
前記一般式(1)で表される化合物は、前記シアスタチンBから合成された化合物であり、特許第3242472号及び特許第3806456号に記載の合成方法により合成することができるが、これらの方法に限られるものではない。
前記一般式(1)で表される化合物乃至その塩は、弱酸性から中性条件下で、下記構造式(1)から(6)の少なくともいずれかで表される化合物に構造変換される。前記中性条件は、生体内におけるpH条件と一致するため、前記一般式(1)で表される化合物乃至その塩が生体内に投与されると、前記下記構造式(1)から(6)の少なくともいずれかで表される化合物に構造変換され、これらの構造で抗炎症活性の活性成分として機能することができる。これらの中でも、下記構造式(1)で表される化合物が、抗炎症活性が高い点で好ましい。
なお、前記一般式(1)において、Xが、NHCOCCl3、NHC(=NH)NH2、及び前記一般式(2)で表される置換基のいずれの場合であっても、前記弱酸性から中性条件下において、前記構造式(1)で表される化合物に構造変換するため、前記構造式(1)で表される化合物以降のスキームは同様である。
前記抗炎症剤に含まれる、前記一般式(1)で表される化合物乃至その塩の含有量としては、特に制限はなく、本発明の効果を損なわない範囲で、目的に応じて適宜選択することができる。また、前記抗炎症剤は、前記一般式(1)で表される化合物乃至その塩そのものであってもよい。
前記抗炎症剤におけるその他の成分としては、特に制限はなく、薬理学上許容される担体の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プロテアーゼ阻害剤、エタノール、水、デンプンなどが挙げられる。これらの中でも、プロテアーゼ阻害剤を含むことが好ましい。
前記プロテアーゼ阻害剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤、エラスターゼ阻害剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤が、抗炎症活性が向上する点で好ましい。
前記抗炎症剤中に含まれる、その他の成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記抗炎症剤は、1種単独で使用されてもよいし、他の成分を有効成分とする医薬と併せて使用されてもよい。また、前記抗炎症剤は、他の成分を有効成分とする医薬中に配合された状態で使用されてもよい。
前記抗炎症剤の剤型としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、経口固形剤、経口液剤、注射剤、吸入散在などが挙げられる。これらの中でも、注射剤が、局所炎症に使用しやすい点で好ましい。
前記経口固形剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤などが挙げられる。
前記経口固形剤の製造方法としては、特に制限はなく、常法を使用することができ、例えば、前記一般式(1)で表される化合物乃至その塩に、賦形剤、及び必要に応じて、前記その他の成分、各種添加剤を加えることにより、製造することができる。
ここで、前記賦形剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、微結晶セルロース、珪酸などが挙げられる。
また、前記添加剤としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味/矯臭剤などが挙げられる。
前記崩壊剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、乳糖などが挙げられる。
前記滑沢剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ砂、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。
前記着色剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化チタン、酸化鉄などが挙げられる。
前記矯味/矯臭剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、白糖、橙皮、クエン酸、酒石酸などが挙げられる。
前記経口液剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、内服液剤、シロップ剤、エリキシル剤などが挙げられる。
前記経口液剤の製造方法としては、特に制限はなく、常法を使用することができ、例えば、前記一般式(1)で表される化合物乃至その塩に、必要に応じて、前記その他の成分、各種添加剤を加えることにより、製造することができる。
ここで、前記添加剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、矯味/矯臭剤、緩衝剤、安定化剤などが挙げられる。
前記緩衝剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、クエン酸ナトリウムなどが挙げられる。
前記安定化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トラガント、アラビアゴム、ゼラチンなどが挙げられる。
前記注射剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、溶液、懸濁液、用事溶解用固形剤などが挙げられる。
前記注射剤の製造方法としては、特に制限はなく、常法を使用することができ、例えば、前記一般式(1)で表される化合物乃至その塩に、必要に応じて、前記その他の成分、各種添加剤を加えることにより、製造することができる。
ここで、前記添加剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、pH調節剤、緩衝剤、安定化剤、等張化剤、局所麻酔剤などが挙げられる。
前記安定化剤としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ピロ亜硫酸ナトリウム、EDTA、チオグリコール酸、チオ乳酸などが挙げられる。
前記等張化剤としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塩化ナトリウム、ブドウ糖などが挙げられる。
前記局所麻酔剤としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塩酸プロカイン、塩酸リドカインなどが挙げられる。
前記一般式(1)で表される化合物乃至その塩の投与方法、投与量、投与時期、及び投与対象としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記投与方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、経口投与法、注射による方法、吸入による方法などが挙げられる。これらの中でも、注射による方法が、局所炎症部位に投与しやすい点で好ましい。
前記投与量としては、特に制限はなく、投与対象個体の年齢、体重、体質、症状、他の成分を有効成分とする医薬の投与の有無など、様々な要因を考慮して適宜選択することができる。
前記投与対象となる動物種としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒト、サル、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、マウス、ラット、トリなどが挙げられるが、これらの中でもヒトに好適に用いられる。
前記抗炎症剤の抗炎症活性としては、炎症性細胞の活性化を抑制するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炎症性細胞の炎症部位への浸潤の抑制、炎症性メディエーターの放出抑制などが挙げられる。
前記炎症性細胞としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、好中球、単球、マクロファージ、リンパ球、好酸球、好塩基球などが挙げられる。
前記炎症性メディエーターとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、グルクロニダーゼ、へパラナーゼ、マトリックスメタロプロテアーゼ、エラスターゼ等の炎症性細胞由来酵素;プロスタグランジン類;活性酸素などが挙げられる。
前記抗炎症剤における抗炎症活性を定量する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炎症部位における前記炎症性細胞の浸潤細胞数を顕微鏡下で数えて定量する方法、炎症部位の浸潤液中の炎症性メディエーター量を測定する方法、腫脹部位の厚みや発赤部位の面積を測定する方法などが挙げられる。
前記抗炎症剤の抗炎症活性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、炎症部位における浸潤細胞の数、若しくは、炎症性メディエーターの放出量が、前記抗炎症剤を炎症部位に投与する前と比較して、80%以下が好ましく、50%以下がより好ましく、20%以下が更に好ましい。
前記抗炎症剤は、前記一般式(1)で表される化合物乃至その塩を含有することから、炎症性細胞が産生する種々の炎症性メディエーターによる炎症反応や、炎症局所における前記炎症性細胞の浸潤を抑制することができ、副作用がなく、優れた抗炎症活性を有するため、後述する薬用組成物などに好適に利用可能である。
本発明の薬用組成物は、前記抗炎症剤を含有し、必要に応じて、更にその他の成分を含有する。
<抗炎症剤>
前記薬用組成物における前記抗炎症剤の含有量としては、特に制限はなく、本発明の効果を損なわない範囲で、目的に応じて適宜選択することができる。また、前記薬用組成物は、前記抗炎症剤そのものであってもよい。
前記薬用組成物におけるその他の成分としては、特に制限はなく、薬理学上許容される担体の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エタノール、水、デンプンなどが挙げられる。
前記薬用組成物中に含まれる、その他の成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記薬用組成物は、1種単独で使用されてもよいし、他の成分を有効成分とする医薬と併せて使用されてもよい。また、前記薬用組成物は、他の成分を有効成分とする医薬中に配合された状態で使用されてもよい。
前記抗炎症剤の剤型としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、経口固形剤、経口液剤、注射剤、吸入散在などが挙げられる。これらの中でも、注射剤が、局所炎症に使用しやすい点で好ましい。
前記経口固形剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤などが挙げられる。
前記経口固形剤の製造方法としては、特に制限はなく、常法を使用することができ、例えば、前記抗炎症剤に、賦形剤、及び必要に応じて、前記その他の成分、各種添加剤を加えることにより、製造することができる。
ここで、前記賦形剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、微結晶セルロース、珪酸などが挙げられる。
また、前記添加剤としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味/矯臭剤などが挙げられる。
前記崩壊剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、乳糖などが挙げられる。
前記滑沢剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ砂、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。
前記着色剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化チタン、酸化鉄などが挙げられる。
前記矯味/矯臭剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、白糖、橙皮、クエン酸、酒石酸などが挙げられる。
前記経口液剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、内服液剤、シロップ剤、エリキシル剤などが挙げられる。
前記経口液剤の製造方法としては、特に制限はなく、常法を使用することができ、例えば、前記抗炎症剤に、必要に応じて、前記その他の成分、添加剤を加えることにより、製造することができる。
ここで、前記添加剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、矯味/矯臭剤、緩衝剤、安定化剤などが挙げられる。
前記緩衝剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、クエン酸ナトリウムなどが挙げられる。
前記安定化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トラガント、アラビアゴム、ゼラチンなどが挙げられる。
前記注射剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、溶液、懸濁液、用事溶解用固形剤などが挙げられる。
前記注射剤の製造方法としては、特に制限はなく、常法を使用することができ、例えば、前記抗炎症剤に、必要に応じて、前記その他の成分、各種添加剤を加えることにより、製造することができる。
ここで、前記添加剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、pH調節剤、緩衝剤、安定化剤、等張化剤、局所麻酔剤などが挙げられる。
前記安定化剤としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ピロ亜硫酸ナトリウム、EDTA、チオグリコール酸、チオ乳酸などが挙げられる。
前記等張化剤としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塩化ナトリウム、ブドウ糖などが挙げられる。
前記局所麻酔剤としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塩酸プロカイン、塩酸リドカインなどが挙げられる。
前記抗炎症剤の投与方法、投与量、投与時期、及び投与対象としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記投与方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、経口投与法、注射による方法、吸入による方法などが挙げられる。これらの中でも、注射による方法が、局所炎症部位に投与しやすい点で好ましい。
前記投与量としては、特に制限はなく、投与対象個体の年齢、体重、体質、症状、他の成分を有効成分とする医薬の投与の有無など、様々な要因を考慮して適宜選択することができる。
前記投与対象となる動物種としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒト、サル、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、マウス、ラット、トリなどが挙げられるが、これらの中でもヒトに好適に用いられる。
前記薬用組成物は、前記抗炎症剤を含有することから、炎症性細胞が産生する種々の炎症性メディエーターによる炎症反応や、炎症局所における前記炎症性細胞の浸潤を抑制することができ、副作用がなく、優れた抗炎症活性を有するため、発熱、疼痛、発赤、腫脹等を伴う種々の炎症性疾患や、血管炎症候群、関節リウマチ、クローン病、潰瘍性大腸炎、慢性腎炎等の慢性炎症性疾患の予防乃至治療に好適に利用可能である。
下記構造式(7)で表される化合物は、特許第3242472号に記載の方法に従って合成した。下記構造式(7)で表される化合物の理化学的性状は、特許第3242472号に記載の通りである。
製造例1で得られた前記構造式(7)で表される化合物のpHを、5〜6又は7〜8の溶液に懸濁し、各条件下における構造を以下に示す方法で分析したところ、下記スキームを経て構造変換していることがわかった。
なお、下記スキームにおいて、下記構造式(2)〜(5)で表される化合物は、前記pH条件下における存在時間が短く、分析による確認はできなかった。
前記構造式(7)で表される化合物の塩酸塩の水溶液を弱塩基性樹脂Dowex(登録商標)WGRイオン交換樹脂(シグマアルドリッチ社製)を加えて、pHを5〜6に調整した後、数時間撹拌し、樹脂をろ過し、溶媒を除去して前記構造式(1)で表される化合物を得た。
前記pH5〜pH6の条件で得られた化合物について、D2O(重水)中のHOD(4.77ppm)の値を内部標準として用い、0.004質量% D2O中で25℃にて測定した400MHzにおけるプロトン核磁気共鳴スペクトルのピークは以下の通りであった。なお、プロトン核磁気共鳴スペクトルは、JEOL GX−400(日本電子社製)により測定した。
化学シフト値 δppm:
3.105(1H,dq,H−3),3.42(1H,t,H−2ax),3.49(1H,q,H−2eq),3.80(1H,dd,H−5),4.55(1H,t,H−4),4.86(1H,d, H−6)
大きなカップリング(J2ax,3=9.2及びJ5,6=9.8Hz)と、小さなカップリング(J3,4=J4,5=2.7Hz)とが得られた。即ち、得られた化合物は、前記構造式(7)で表される化合物と同様の4C1立体構造(Nishimura Y, et al, J.Antibiot, 1994, 47, 101参照)を有することがわかった。
前記pH5〜pH6の条件で得られた化合物について、D2O(重水)中のHDO(4.65ppm)の値を内部標準として用い、0.004質量% D2O中で23℃にて測定した125MHzにおける炭素13核磁気共鳴スペクトルのピークは、以下の通りであった。なお、炭素13核磁気共鳴スペクトルは、α500スペクトロメーター(日本電子社製)により測定した。
化学シフト値 δppm:
38.74(C−6),43.50(C−5),68.99(C−4),71.50(C−3),δ79.14(C−2),173.41(COOH)
前記構造式(7)表される化合物では、メタンジアンに特徴的なδ60.71(C−2)が観察されるが、これに代えて、へミアミナールに特徴的なδ79.14(C−2)(Bock K, et al, In Advances in Carbohydrate Chemistry and Biochemistry; Tripson,R,S., et al, Academic Press, New York, 1983, 41, pp27−66参照)が観察された。
また、トリフルオロアセトアミド基に認められるδ115.85及びδ160.52における炭素は認められなかった。
前記pH5〜pH6の条件で得られた化合物のマススペクトルの結果は、以下の通りであった。なお、FABは、JMS−SX102(日本電子社製)により、またESIは、JMS−T100L(日本電子社製)により測定した。
分子量:177
FAB−MS(m/e)正イオンモードの
計算値(M+H)+:178(C6H12N1O5として)
実験値:178
ESI−MS(m/e)正イオンモードの
計算値(M+H)+:178(C6H12N1O5として)
実験値:178
ESI−MS(m/e)陰イオンモードの
計算値(M−H)−:176(C6H10N1O5として)
実験値:176
前記構造式(7)で表される化合物の塩酸塩の水溶液を弱塩基性樹脂Dowex(登録商標)WGRイオン交換樹脂(シグマアルドリッチ社製)を加えて、pHを7〜8に調整した後、数時間撹拌し、樹脂をろ過し、溶媒を除去して前記構造式(6)で表される化合物を得た。前記構造式(6)で表される化合物は、酸性溶液(pH3)中でも安定であった。
前記pH7〜pH8の条件で得られた化合物について、前記同様の方法で測定したプロトン核磁気共鳴スペクトルのピークは、以下の通りであった。
化学シフト値 δppm:
2.88(1H,ddd,H−3),2.98及び3.05(2H,ABq,H−6),3.06(1H,t,H−2ax),3.21(1H,dd,H−2eq),3.98(1H,d,H−4)
C−6(2H,ABq,J=12.4Hz,δ=2.98及び3.05)及びC−2(1H,t,J2,2’=J2,3=12.2Hz,δ3.06,H−2;1H,dd,J2,2’=12.2及びJ2’,3=4.4Hz,δ3.21,H−2’)の2つのアミノメチル基のメチレンプロトンが確認された。
また、C−3のプロトンは、(1H,ddd,J3,2=12.2Hz,J3,2’=4.4Hz 及び J3,4=1.2Hz,δ2.88)であり、C−4のプロトンは、(1H,d,J4,3=1.2Hz,δ3.98)であり、C−5にプロトンは検出されなかった。
これより、ボート型のラクタールであることがわかった。
前記pH7〜pH8の条件で得られた化合物について、前記同様の方法で測定した炭素13核磁気共鳴スペクトルのピークは、以下の通りであった。
化学シフト値 δppm:
δ40.88(C−2),44.76(C−3),47.26(C−6),71.28(C−4),71.50(C−5),177.57(−C(=O)−O−)
高フィールドにδ47.26(C−6)及び低フィールドにδ71.50(C−5)の2つの特徴的な炭素を有し、ラクタールで特徴付けられる構造で、前記構造式(1)で表される化合物とは異なる構造であることがわかった。
前記pH7〜pH8の条件で得られた化合物のマススペクトルの結果は、以下の通りであった。なお、APCIは、日立 M−1200H APCI(株式会社日立製作所製)により測定した。
分子量:159
APCI−MS(m/e)正イオンモードの
計算値(M+H)+:160(C6H10N1O4として)
実験値:160
APCI−MS(m/e)陰イオンモードの
計算値(M−H)−:158(C7H8N1O4として)
実験値:158
−方法−
マウス血清(シグマアルドリッチ社製)に、前記構造式(7)で表される化合物を、100μg/mLの濃度になるように溶解し、37℃にて、0.5時間、1時間、4時間、及び24時間インキュベートした。各時間経過後に、等量のアセトニトリルを添加した。これを遠心分離し、上澄み液を得た。
前記上澄み液を50質量%アセトニトリル水溶液で希釈し、10μg/mLの濃度の溶液を調製し、各時間における生成物を、それぞれ下記条件でLC−MSを用いて分析した。
なお、標準サンプルとしては、前記構造式(7)で表される化合物を50質量%アセトニトリル水溶液に溶解したものを用いた。
[LC−MS分析条件]
カラム: カプセルパックC18 MGIII 2.0×150mm,3μm(株式会社資生堂製)
カラム温度: 25℃
溶媒系: A:メタノール
B:5mM ウンデカフルオロヘキサン酸水溶液
(0分間−15分間,A:B(V/V)=10:90からA:B(V/V)=90:10の直線濃度勾配)
流速: 0.2mL/分間
検出器: LTQ Orbitrap(サーモサイエンティフィック社製)
スキャンタイプ: フルスキャン、m/e 120−1,000
イオン化: ESI 正イオンモード
分解能: 30,000
図1A〜5BにLC−MSスペクトルの結果を示す。図1A及び1Bは、標準サンプル、図2A〜5Bは、前記構造式(7)で表される化合物と、マウス血清とを混合後、0.5時間後(図2A及び2B)、1時間後(図3A及び3B)、4時間後(図4A及び4B)、及び24時間後(図5A及び5B)の結果である。
なお、前記構造式(7)で表される化合物の計算値は、m/e 273.0693(C8F3H12N2O5として)であり、実験値は、m/e 273.0693(M+H)+であった。
また、前記構造式(7)で表される化合物と、血清との反応後に検出されたスペクトルは、試験例1で確認した前記構造式(1)で表される化合物と一致し、その計算値は、m/e 178.0710(C6H12N1O5として)であり、実験値は、m/e 178.0710(M+H)+であった。
図1A及び1Bに示す通り、標準サンプルは、保持時間9分間に前記構造式(7)で表される化合物のみが検出された(図1A)。一方、図2A〜5Bでは、前記構造式(7)で表される化合物は検出されず(図2A、3A、4A、及び5A)、保持時間6.4分間に前記構造式(1)で表される化合物のみが検出された(図2B、3B、4B、及び5B)。
これより、血清中においても、前記合成例で示したpHの変化による構造変換と同様に、前記構造式(7)で表される化合物は、前記構造式(1)で表される化合物に構造変換し、前記構造式(1)で表される化合物が安定に存在することがわかった。
−方法−
「がんの浸潤・転移研究マニュアル」(金芳堂)の方法に従い、以下のように行った。
C57BL/6マウス(6週齢〜15週齢、オス、n=3、日本クレア社)の骨髄細胞から、磁気ビーズを結合した抗Gr−1抗体(バイオレジェンド社製)を用いautoMACS(自動磁気細胞分離装置:ミルテニーバイオテク株式会社製)により好中球を分画した。ケモタキセル(ポアサイズ3μm:倉敷紡績株式会社製)の膜上にマトリゲル(10μg)を添加し乾燥したものを事前に作製した。
24ウエルプレートで、前記ケモタキセルの下部に、10μM及び100μMのいずれかの濃度の前記構造式(7)で表される化合物を1μMのfMLP(f−MET−Leu−Pheからなる合成ペプチド:シグマアルドリッチ社製)を含む培地(0.5質量%FCS(Fetal calf serum:ハイクローン社製)含有RPMI1640(日水製薬株式会社製))で調製した。また、100μMの前記構造式(7)で表される化合物と、マトリックスメタロプロテアーゼの阻害剤であるMMI−270(ノバルティス ファーマ株式会社 筑波研究所より提供された非臨床使用品)10μMとを、前記fMLPを含む培地で調製した。対照として、前記ケモタキセルの下部に、前記fMLPを含む培地のみを添加したウエルをおいた。
前記ケモタキセルの上部には、単離した好中球を1×105細胞/ウエルの細胞密度で0.5質量%FCS含有RPMI1640に懸濁したものを添加し、37℃で24時間培養した。
培養後、前記ケモタキセルの上部の細胞を綿棒で除き、下部に浸潤した細胞をDiffQuik液(シスメックス社製)で染色し、膜を切り取り封入した後、浸潤細胞数をカウントした。浸潤細胞数は、fMLPのみを添加した対照ウエルにおける浸潤数を100%として標準化した(n=3)。有意差はANOVA and Bonferroni−type multiple t−testで検定した。結果を図6に示す。
図6の結果より、fMLPのみを添加した対照ウエルでは有意に多数の浸潤細胞が回収された。これに対し、fMLPと共に前記構造式(7)で表される化合物を添加したウエルでは、前記対照ウエルに比べ浸潤細胞数が少なく、浸潤細胞数は、前記構造式(7)で表される化合物の濃度依存的に減少した。また、fMLPと共に前記構造式(7)で表される化合物と、MMI−270とを添加したウエルでは、更に浸潤細胞数が減少しており、前記構造式(7)で表される化合物による細胞の浸潤抑制効果は、MMI−270と相加的であることがわかった。
−方法−
Ramallo G. E. et al., J Immunol., 2002, 169: 6467−6473の方法に従い、以下のように行った。
C57BL/6マウス(5週齢、オス、n=6:日本クレア社)の背部皮膚に6mLの滅菌空気を皮下投与し、エアパウチを作製した。3日後に同じ場所(背部皮膚)に更に3mLの滅菌空気を注入した。
最初の滅菌空気の皮下投与から6日後に、1μM fMLPを含むPBS溶液1mL又は1質量%カラギナン(シグマアルドリッチ社製)を含むPBS溶液1mLを前記エアパウチに投与し、局所炎症を誘発した。以下、fMLPを投与したマウスを「fMLP処理群」、カラギナンを投与したマウスを「Car処理群」と称することがある。
また、1μM fMLPを含むPBS溶液1mLに前記構造式(7)で表される化合物(100μM)を含むもの又は前記1質量%カラギナンを含むPBS溶液1mLに前記構造式(7)で表される化合物(100μM)を含むものを同様にして前記エアパウチに投与した。以下、fMLP及び前記構造式(7)で表される化合物を投与したマウスを「fMLP−構造式(7)処理群」、カラギナン及び前記構造式(7)で表される化合物を投与したマウスを「Car−構造式(7)処理群」と称することがある。
対照としては、PBS 1mLのみを前記エアパウチに投与した。以下、「対照群」と称することがある。
前記5種類のサンプルの投与から4時間後に前記C57BL/6マウスを犠牲死させ、3mLのPBSで洗浄することによりエアパウチ内の浸潤液をそれぞれ回収した。
回収された浸潤液中の全浸潤細胞数、及び炎症性細胞の一種である好中球又は単球の細胞数を顕微鏡で観察しながらカウントすることにより、炎症の程度を評価した。有意差はANOVA and Bonferroni−type multiple t−testで検定した。全浸潤細胞数の結果を図7に、好中球及び単球の細胞数の結果を図8に示す。
図7の結果より、fMLP処理群及びCar処理群では、PBSのみを投与した対照群に比べ有意に多数の浸潤細胞が回収された。これに対し、fMLP−構造式(7)処理群では、fMLP処理群に比べ、回収された全浸潤細胞数が有意に少なかった。また、Car−構造式(7)処理群では、Car処理群に比べ、回収された全浸潤細胞数が有意に少なかった。これより、前記構造式(7)で表される化合物により、局所炎症部位における細胞の浸潤が抑制されることがわかった。
−方法−
C57BL/6マウス(5週齢、オス、n=6:日本クレア社)を用い、試験例4と同様の方法でエアパウチを作製し、試験例4と同様の方法で、対象群、fMLP処理群、及びfMLP−構造式(7)処理群を作製し、エアパウチ内の浸潤液をそれぞれ回収した。
浸潤液中のヘパラナーゼ濃度は、標準溶液として組換え型マウスヘパラナーゼ(成熟体)を用いて検量線を作製し、算出した。有意差は、ANOVA and Bonferroni−type multiple t−testで検定した。ヘパラナーゼ濃度の結果を図9に示す。
なお、前記組換え型マウスヘパラナーゼ(成熟体)は、Levy−Adam F., et al, Biochem. Biophys. Res. Commun., 2003, 308(4), 885−891の方法に従い、組換え型マウスヘパラナーゼ(成熟体)を昆虫細胞で発現させた。培養上清中に放出されたヘパラナーゼをヘパリンアガロース(シグマアルドリッチ社製)に吸着させ、0.5Mの塩化ナトリウムを含むTris−HCl緩衝液(pH7.6)によって溶出された分画を用いた。
図9の結果より、fMLP処理群では、対照群に比べ、高濃度の炎症性細胞由来酵素が検出された。浸潤液中への炎症性細胞由来酵素放出は、炎症反応の活性化状態を反映する現象であり、fMLPの投与により炎症が惹起され、炎症性細胞由来酵素の放出量が増加したと考えられる。これに対し、fMLP−構造式(7)処理群では、fMLP処理群に比べ、炎症性細胞由来酵素の濃度が有意に低かった。
これらの結果より、前記構造式(7)で表される化合物は、炎症性細胞の炎症部位への浸潤を抑制できるだけでなく、炎症性細胞からの炎症性メディエーターの放出を抑制することもでき、炎症性細胞の活性化状態を抑制することが示唆された。
<マクロファージ由来酵素阻害活性>
−方法−
前記構造式(7)で表される化合物、前記構造式(1)で表される化合物、及び前記構造式(6)で表される化合物のβ−グルクロニダーゼ(ウシ肝臓由来β−グルクロニダーゼ)の阻害活性について検討した。前記β−グルクロニダーゼは、様々な組織に存在するが、肝臓においては主にクッパー細胞(マクロファージ)及び内皮細胞に発現する炎症反応に関与する酵素である(Roden L et al., Ciba Found Symp, 1989, 143:60−76, discussion 76−86, 281−5.及びVirk K J., et al, Liver, 1989, Dec;9(6), 338−45.参照)。
基質としては、フェノールフタレインモノ−β−グルクロン酸(シグマアルドリッチ社製)を0.1M酢酸ナトリウム溶液(pH5)で希釈し、3.3×10−4Mに調製したものを用いた。前記化合物は、それぞれ水で希釈し、0.005μg/mL、0.01μg/mL、0.025μg/mL、0.05μg/mL、0.1μg/mL、0.25μg/mL、0.5μg/mL、1.0μg/mL、2.0μg/mL、4.0μg/mL、及び8.0μg/mLに調製した。
前記基質0.01mLと、前記化合物を含む被験試料0.05mLと、バッファー溶液(0.1M酢酸ナトリウム溶液(pH5))0.075mLとを懸濁した後、この反応溶液に炎症性細胞由来酵素(ウシ肝臓由来グルクロニダーゼ:シグマアルドリッチ社製)300U/mLを0.015mL添加し、全量0.15mLの反応溶液を調製した。この反応溶液を37℃で60分間反応させた。次いで、0.6Mのグリシン水酸化ナトリウムバッファー溶液(pH10.5)0.15mLを添加し、遊離したフェノールフタレインの570nmにおける吸光度を測定した。コントロールとしては、被験試料に代えて水を添加し、同様の酵素反応を行ったものを用いた。
炎症性細胞由来酵素阻害率、以下の式により算出し、IC50(酵素活性の50%が阻害されたときの前記被験試料の濃度)を算出した結果を表1に示す。
炎症性細胞由来酵素阻害率(%)=(A−B)/A×100
ここで、Aは、コントロールの吸光度を示し、Bは、被験試料を添加した場合の吸光度を示す。
結果を表2に示す。また、酵素反応中の前記各化合物の残存比率の経時変化(プロトンNMRで観測されるピーク面積の積分比)を図10に示す。
表1の結果より、前記構造式(7)で表される化合物及び前記構造式(1)で表される化合物における炎症性細胞由来酵素阻害活性は同程度であった。
また、表2及び図10の結果より、前記構造式(1)で表される化合物は、pH5において安定に存在し、前記構造式(7)で表される化合物及び前記構造式(1)で表される化合物の反応液中の含有量が増加するほど、炎症性細胞由来酵素阻害活性が強くなることがわかった。
−方法−
C57BL/6マウス(6週齢〜15週齢、オス、n=3、日本クレア社)の骨髄細胞から、試験例3と同様の方法で好中球を分画した。これを可溶化緩衝液(150mM塩化ナトリウムを含む20mM酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0))中で超音波処理し、遠心分離後の上清を取得することにより、好中球の可溶化物を得た。
前記好中球の可溶化物と、基質であるFluoresceinamine標識ヘパラン硫酸(生化学工業株式会社製)と、前記構造式(7)で表される化合物を水で希釈したものを100μL中で混合し、37℃、20時間保温した。このとき、反応液中の可溶化物として4×106個の細胞に由来するものを加えた。基質の最終濃度は、10μg/mLとした。また、前記構造式(7)で表される化合物の最終濃度は、10μM、100μM、及び1,000μMのいずれかとした。
この反応液に、ヘパリン(シグマアルドリッチ社製)を最終濃度1mg/mLとなるように添加した後、100℃にて5分間煮沸することにより、反応を停止させた。これをMillex−GV(径0.22μm、ミリポア社製)でろ過した後、Superose 12ゲルろ過カラム(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)をHPLC装置に接続し、移動相としてPBSを0.5mL/分間の流速で流すことにより、ヘパラン硫酸分解産物を溶出した。この蛍光標識ヘパラン硫酸の分解活性の測定方法は、Sasaki N,et al., J. Immunol, 2004, 172(6),3830−3835に記載された内容に従っている。
分解度(%)=X/Z1×100−Y/Z2×100
ここで、Xは、分解されたヘパラン硫酸の24分間以降に溶出されたピーク面積を示し、Yは、未分解のヘパラン硫酸の24分間以降に溶出されたピーク面積を示し、Z1及びZ2は、それぞれ、分解されたヘパラン硫酸及び未分解のヘパラン硫酸のピーク全体の面積を示す。通常、Z1とZ2とは同一の値になる。
定量方法の例を図11に示す。図11において、X/Z1×100(未分解のヘパラン硫酸の面積比)は、88%であり、Y/Z2×100(分解されたヘパラン硫酸の面積比)は、10%である。このときの分解度は、78%となる。
好中球の可溶化物の結果を図12に示す。前記構造式(7)で表される化合物は、好中球由来ヘパラナーゼに対する優れた阻害活性を有することがわかった。
Claims (7)
- 下記一般式(1)で表される化合物乃至その塩を含有することを特徴とする炎症性細胞からのヘパラナーゼの放出抑制剤。
- 一般式(1)で表される化合物乃至その塩が、弱酸性から中性条件下で下記構造式(1)から(6)の少なくともいずれかで表される化合物に構造変換される請求項1に記載の炎症性細胞からのヘパラナーゼの放出抑制剤。
- 一般式(1)で表される化合物乃至その塩が、下記構造式(7)で表される化合物である請求項1から2のいずれかに記載の炎症性細胞からのヘパラナーゼの放出抑制剤。
- 下記一般式(1)で表される化合物乃至その塩を含有し、炎症性細胞の活性化を抑制することを特徴とする抗炎症剤。
- 一般式(1)で表される化合物乃至その塩が、弱酸性から中性条件下で下記構造式(1)から(6)の少なくともいずれかで表される化合物に構造変換される請求項4に記載の抗炎症剤。
- 請求項4から5のいずれかに記載の抗炎症剤を含有することを特徴とする薬用組成物。
- 局所炎症の予防乃至治療に用いられる請求項6に記載の薬用組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009273899A JP5701498B2 (ja) | 2009-12-01 | 2009-12-01 | 炎症性細胞からのヘパラナーゼの放出抑制剤、抗炎症剤、及び薬用組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009273899A JP5701498B2 (ja) | 2009-12-01 | 2009-12-01 | 炎症性細胞からのヘパラナーゼの放出抑制剤、抗炎症剤、及び薬用組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2011116678A JP2011116678A (ja) | 2011-06-16 |
JP5701498B2 true JP5701498B2 (ja) | 2015-04-15 |
Family
ID=44282439
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2009273899A Active JP5701498B2 (ja) | 2009-12-01 | 2009-12-01 | 炎症性細胞からのヘパラナーゼの放出抑制剤、抗炎症剤、及び薬用組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5701498B2 (ja) |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
IL85145A (en) * | 1987-01-23 | 1994-08-26 | Univ Australian | Anti-metastatic pharmacological or veterinary preparations containing modified herpin with reduced anticoagulant activity |
AUPN261895A0 (en) * | 1995-04-28 | 1995-05-18 | Australian National University, The | Preparation and use of sulfated oligosaccharides |
BRPI0508144A (pt) * | 2004-03-04 | 2007-07-24 | Progen Ind Ltd | derivados de oligossacarìdeos sulfatados composto da fórmula geral; composição farmacêutica ou veterinária seu uso; método para a prevenção ou tratamento pelo uso da mesma |
-
2009
- 2009-12-01 JP JP2009273899A patent/JP5701498B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2011116678A (ja) | 2011-06-16 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6930991B2 (ja) | 血液学的悪性腫瘍及び固形腫瘍の治療のためのidh2阻害剤 | |
Goss et al. | Phase IB clinical trial of the oligosaccharide processing inhibitor swainsonine in patients with advanced malignancies. | |
JP2021098740A (ja) | 悪性病変を処置する方法 | |
EP3837014B1 (en) | Imidazo[4,5-c]quinoline derived nlrp3-modulators | |
JP2019214606A (ja) | グルタルイミド誘導体を含む医薬組成物、及び好酸球性疾患を処置するためのその適用 | |
US20220105097A1 (en) | Methods of treatment of myeloproliferative neoplasm | |
DE102008015432A1 (de) | Verwendung von Pirinixinsäure-Derivaten zur Hemmung der Prostaglandin E2 Synthese | |
US11485728B2 (en) | Small molecules for the treatment of autoimmune diseases and cancer | |
US20100137345A1 (en) | Prophylactic and therapeutic use of sirtuin inhibitors in tnf-alpha mediated pathologies | |
US20230321056A1 (en) | Methods for Treating Metastasis with Cathepsin C Inhibitors | |
Friščić et al. | Reset of inflammatory priming of joint tissue and reduction of the severity of arthritis flares by bromodomain inhibition | |
WO2020051216A1 (en) | Deuterated secnidazole for use in the treatment of bacterial vaginosis and methods and uses thereof | |
Bhonde et al. | A novel mTOR inhibitor is efficacious in a murine model of colitis | |
JP5701498B2 (ja) | 炎症性細胞からのヘパラナーゼの放出抑制剤、抗炎症剤、及び薬用組成物 | |
JP6264685B2 (ja) | マルチキナーゼ阻害剤、抗癌剤、抗転移剤、薬剤耐性抑制剤、疼痛抑制剤及び止痒薬 | |
US11185548B2 (en) | Inhibitors of cytochrome P450 family 7 subfamily B member 1 (CYP7B1) for use in treating diseases | |
Furze et al. | Phase 1 and preclinical profiling of ESM‐HDAC391, a myeloid‐targeted histone deacetylase inhibitor, shows enhanced pharmacology and monocytopaenia | |
CN104415019B (zh) | 3-巯基-n-苄基丙酰胺类化合物在抑制ndm-1中的用途 | |
JP6611842B2 (ja) | 抗結核菌剤 | |
JPH1045602A (ja) | ヘリコバクター・ピロリ接着阻害剤またはインターロイキン−8産生阻害剤 | |
US20250222114A1 (en) | Glycoconjugated drug for the treatment of hepatocellular carcinoma | |
JP2007505841A (ja) | 改善された抗生物活性を有するグリコペプチド組成物 | |
JP2006077004A (ja) | 抗hcv作用を有する化合物およびそれを含む医薬組成物 | |
JP3495397B2 (ja) | エンドセリン変換酵素阻害剤 | |
CN116421594A (zh) | 一种nlrp3炎性小体抑制剂及其应用 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20121121 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20140128 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20140324 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20140701 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20140820 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20150203 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20150218 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5701498 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |