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JP5699300B2 - 酵素安定化剤 - Google Patents

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Description

本発明は、酵素安定化剤、これを含む酵素組成物、及び酵素の安定化方法に関する。
酵素は生体内化学反応の触媒である。酵素の機能には、その立体構造が重要であることが知られている。しかし、一般的に、酵素は生体外環境では極めて不安定であり、高温、凍結融解、pH変化、乾燥、圧力などにより、その立体構造が変化し、失活や活性低下が生じる。この活性の消失は不可逆であるため、酵素をいかに安定な状態に保つかが大きな課題である。
一般的に使用されている酵素安定化剤はウシ血清アルブミン(BSA)である。しかし、1990年代に顕在化したBSE(牛海綿状脳症)問題より、近年になって人畜共通感染症の懸念から、医療、医薬分野では動物由来のタンパク質の使用が控えられている。
非動物性の安定化剤としては、植物由来のポリペプチドを用いた酵素安定化剤(特許文献1)や、セリシン加水分解物を用いた抗体の安定化法(特許文献2)などがある。
特許文献3には、安定化剤として糖類を共存させることを特徴とする、防腐剤共存下における酵素の安定化方法が記載されている。
本発明者らは、フルクタンを細胞培養用の培地に添加すると、細胞増殖が促進すること、及び細胞凍結液に添加すると、解凍後の細胞の生存率が上昇することを見出している(特許文献4)。
特開2006−42757号公報 特開2008−239512号公報 特開2004−141162号公報 特開2008−228587号公報
一般的に、酵素の活性は失われやすく、例えば水性溶媒へ溶解した状態で室温に放置すると、BSAのような安定化剤が添加されていても、数日のうちに活性が低下する。また、一般的に、酵素の至適温度は生体内に近い25〜40℃付近であり、至適温度を超える高温(例:40℃以上)になると立体構造の変化や最終的には変性が生じ、酵素活性の失活を引き起こす。
本発明は、このような酵素の失活、活性低下を抑制し、かつ、BSE等の人畜共通感染症の懸念のない、安全で優れた酵素安定化剤を開発することを目的とする。
本発明者らは、これらの課題を解決するために鋭意研究した結果、フルクタンが酵素の安定性を著しく向上させることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は以下の通りである。
[1]フルクタンを有効成分として含有する、酵素安定化剤。
[2]フルクタンが、植物由来である、[1]記載の酵素安定化剤。
[3]植物が、ネギ属植物、アヤメ科植物、イネ科植物、キク科植物、ユリ科植物及びラン科植物からなる群より選ばれるいずれかの植物である、[2]記載の酵素安定化剤。
[4]植物が、ラッキョウ、ニンニク及びタマネギからなる群より選ばれるいずれかのネギ属植物である、[2]記載の酵素安定化剤。
[5]フルクタン濃度が0.01〜2重量%となるように、酵素に対して添加して使用される、[1]記載の酵素安定化剤。
[6]酵素及びフルクタンを含有する、酵素組成物。
[7]フルクタンが、植物由来である、[6]記載の酵素組成物。
[8]植物が、ネギ属植物、アヤメ科植物、イネ科植物、キク科植物、ユリ科植物及びラン科植物からなる群より選ばれるいずれかの植物である、[7]記載の酵素組成物。
[9]植物が、ラッキョウ、ニンニク及びタマネギからなる群より選ばれるいずれかのネギ属植物である、[7]記載の酵素組成物。
[10]フルクタンの含有量が0.01〜2重量%である、[6]記載の酵素組成物。
[11]酵素及びフルクタンが、水性溶媒中へ溶解している、[6]記載の酵素組成物。
[12]酵素に対応する基質及び/又は補酵素を含有しない、[6]記載の酵素組成物。
[13]酵素とフルクタンとを共存させることを含む、酵素の安定化方法。
[14]フルクタンが、植物由来である、[13]記載の方法。
[15]植物が、ネギ属植物、アヤメ科植物、イネ科植物、キク科植物、ユリ科植物及びラン科植物からなる群より選ばれるいずれかの植物である、[14]記載の方法。
[16]植物が、ラッキョウ、ニンニク及びタマネギからなる群より選ばれるいずれかのネギ属植物である、[14]記載の方法。
[17]0.01〜2重量%のフルクタン濃度にて、酵素とフルクタンとを共存させる、[13]記載の方法。
[18]酵素及びフルクタンが、水性溶媒中へ溶解した状態で、酵素とフルクタンとを共存させる、[13]記載の方法。
[19]酵素に対応する基質及び/又は補酵素の不在下で、酵素とフルクタンとを共存させる、[13]記載の方法。
[20]酵素の至適温度を超える温度条件下で、酵素とフルクタンとを共存させる、[13]記載の方法。
本発明によれば、酵素を、フルクタンと共存させることにより、酵素の安定性を効果的に向上させることが出来る。本発明の酵素安定化剤を用いれば、至適温度を超える温度条件下に酵素を曝露しても、酵素活性の低下が抑制される。
また、フルクタンは通常植物や微生物から抽出されるので、人畜共通感染症の懸念もない。
ペルオキシダーゼに対するフルクタンの安定化効果を示す。フルクタンあるいはBSAを添加した各々の酵素液について、加熱処理後の活性を加熱処理前の活性で除した値(%)を相対活性として示す。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明はフルクタンを有効成分として含有する、酵素安定化剤を提供する。
本発明において、「酵素の安定化」とは、酵素を一定の期間保存する際に酵素の失活や活性低下を抑制する作用を意味する。具体的には、酵素をある物質の共存下で一定期間保存した後における該酵素の活性(a)と、酵素を当該物質の非共存下で一定期間保存した後における該酵素の活性(b)とを比較した場合に、(a)>(b)とする該物質の作用を意味する。
フルクタンは、特に加熱による酵素の活性の低下を抑制する効果に優れている。従って、本発明の酵素安定化剤は、当該酵素の至適温度を上回る温度条件下への暴露による当該酵素活性の低下を抑制することが出来る。「至適温度」とは、酵素活性測定を、pH、塩濃度などの温度以外の条件を一定にし、温度のみを変化させて行ったときに、最大の酵素活性を達成することができる温度をいう。「至適温度」は、当業者であれば、フルクタンを添加する直前の酵素溶液を用いて、種々の温度で酵素反応を行い、各温度における酵素活性を測定することにより、容易に決定することができる。「至適温度を上回る温度」の定義は後述の通りである。
フルクタンとは、フラクトオリゴ糖をも包含するフルクトース多糖を意味する。フルクタンには、フルクトースのみが重合したホモ多糖のほか、スクロースにフルクトースが重合した多糖も包含される。多糖とは、3以上の糖が重合してなるオリゴマーを意味する。フルクタンは、天然には、主に微生物や植物内に存在している。フルクタンとしては、禾本科植物の葉や茎などに存在し、細菌の作用により蔗糖から生成される細菌分泌多糖であるレバン(D−フルクトフラノースがβ2→6結合)、キク科、ユリ科、アヤメ科、ラン科などの植物の根、根茎、穀物などに存在するイヌリン(D−フルクトフラノースがβ2→1結合)、ラッキョウ、ニンニク、タマネギなどのネギ属植物の球根(鱗茎)に含まれるフルクタン(β2→6結合及びβ2→1結合の両方を含む、特許第3111378号公報参照)等が知られているが、本明細書において、フルクタンには、レバン、イヌリン及びネギ属植物由来のフルクタンのいずれもが包含される。
また、フルクタンには、微生物や植物から抽出されたフルクタンの加水分解物をも包含される。フルクタンを加水分解する方法としては、イヌリナーゼ等の加水分解酵素でフルクタンを限定分解する方法等が挙げられる。フルクタンを加水分解する方法は、例えばJ AOAC Int. 2000 Mar-Apr;83(2):356-64や、FRUCTAN ASSAY PROCEDURE for the measurement of FRUCTO-OLIGOSACCHARIDES (FOS) and FRUCTAN POLYSACCHARIDE、Megazyme International Ireland Ltd.等に記載されている。ここで微生物や植物から抽出されたフルクタンの加水分解物としては、例えば、重量平均重合度20〜1000(重量平均分子量3〜200kDa(好ましくは重量平均分子量6〜100kDa))のものが例示される。
本発明で用いるフルクタンは、合成物、天然物の何れであってもよいが、好ましくは微生物、植物等由来の天然物である。フルクタンは、好ましくはフルクタンを含む植物由来である。フルクタンを含む植物の例としては、ラッキョウ、ニンニク、タマネギなどのネギ属植物、アヤメ科植物、イネ科植物、キク科植物、ユリ科植物、ラン科植物などが挙げられる。なかでも、ラッキョウ、ニンニク、タマネギなどのネギ属植物由来のフルクタン(特にネギ属植物の鱗茎由来のフルクタン)は、優れた水溶性及び酵素安定化作用を有するので、本発明に極めて有用である。
フルクタンは、フルクタンを含む微生物や植物から、熱水を用いてフルクタン含有画分を抽出し、その後、当該画分を液体クロマトグラフィーなどの精製工程に付すことにより調製することが出来る。また、ネギ属植物のフルクタンは、特許第3111378号公報に記載の方法により調製することができる。更に、フルクタンは市販のものを用いてもよく、例えば、三里浜特産農業共同組合製のフルクタンなどを用いることができる。
本発明に用いるフルクタンは単離又は精製されていることが好ましい。「単離又は精製」とは、目的とする成分(即ち、フルクタン)以外の成分を除去する操作がなされていることを意味する。「単離又は精製されたフルクタン」におけるフルクタンの含有量は、通常50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上、更に好ましくは95重量%以上、最も好ましくは100%である。
フルクタンは、滅菌されていてもよい。滅菌処理により、酵素を失活させる可能性のある微生物の混入を排除することが出来る。滅菌方法としては、濾過滅菌、高圧蒸気滅菌等が挙げられる。特にフルクタンは、熱に強いため、より確実性の高い滅菌法である高圧蒸気滅菌が適用できる点で優れている。
本発明の酵素安定化剤の存在状態としては、粉末状(凍結乾燥状、顆粒状等)、液状(溶液、懸濁液等)等が挙げられ、特に限定されないが、好ましくは液状である。フルクタンは、水への溶解性が高く、水に溶解した状態で、優れた酵素安定化効果を示すので、本発明の酵素安定化剤は、好ましくは、フルクタンを水性溶媒(水、生理食塩水、水性緩衝液等)中へ溶解した溶液として提供される。当該水性溶媒のpHは、好ましくは3.0〜10.0の範囲内である。
本発明の酵素安定化剤は、フルクタンのみから構成されていてもよいし、或いはフルクタン以外の成分を更に含む組成物であってもよい。フルクタン以外の成分としては、希釈剤、フルクタン以外の酵素安定化剤、界面活性剤、防腐剤、緩衝剤等を挙げることが出来る。
希釈剤としては、水;グリコール類;エタノールやメタノール、プロパノールなどのアルコール類等が挙げられる。フルクタン以外の酵素安定化剤としては、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、キシロース、ラクトース、シュークロース、ラフィノース、トレハロース、シクロデキストリン、プルラン、可溶性デンプンなどの糖類、グルシトール、マンニトール、イノシトール、キシリトールなどの糖アルコール類、グリセロールやエチレングリコールなどのポリオール類、ゼラチン、カゼイン、アルブミンなどのタンパク質又はポリペプチド等を挙げることができる。界面活性剤としては、アルキルグルコシド、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、脂肪酸アルコールエステル等を挙げることができる。防腐剤としては、ペニシリン系、セフェム系、アミノ配糖体系、マイクロライド系、テトラサイクリン系、ニュー・キノロン系等の抗生物質;アジ化物;2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(MIT)、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(CMIT)、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(BIT)等のイソチアゾリン化合物;1,1’−Methylen−bis[3−(1−hydroxymethyl−2,4−dioximidazolidin−5−yl)−urea];5−Bromo−5−nitro−1,3−dioxane;2−Hydroxypyridine−N−oxide;2−Chloroacetamide等を挙げることが出来る。緩衝剤としては、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩、グリシン、トリス、MES、MOPS、MOPSO、PIPES等を挙げることが出来る。
尚、希釈剤、フルクタン以外の酵素安定化剤、界面活性剤、防腐剤、緩衝剤等は、本発明の酵素安定化剤の必須の構成成分ではないので、希釈剤を含有しない態様、フルクタン以外の酵素安定化剤を含有しない態様、界面活性剤を含有しない態様、防腐剤を含有しない態様及び緩衝剤を含有しない態様も、それぞれ、本発明の酵素安定化剤に包含される。
本発明の酵素安定化剤に含まれるフルクタンの含有量は、酵素を安定化させるのに十分な量である限り特に限定されないが、通常0.01〜100重量%である。
本発明の酵素安定化剤を酵素へ添加することにより、酵素及びフルクタンを含む酵素組成物を得ることができる。本発明の酵素安定化剤を酵素へ添加し、酵素とフルクタンを共存させる(即ち、酵素をフルクタンと接触させる)ことにより、酵素を安定化することが出来る。即ち、本発明は、酵素及びフルクタンを含む酵素組成物、並びに酵素とフルクタンを共存させることを含む、酵素の安定化方法を提供する。
本発明の酵素安定化剤が安定化する対象である酵素の由来、種類、存在形態は特に限定されない。酵素としては分析用酵素が好ましい。ここで、「分析用酵素」とは、医薬品、農薬、食品等の分析に使用される酵素であり、分析目的に使用される酵素であれば、特に限定されない。分析用酵素としては、臨床検査用酵素、免疫学的測定に使用される酵素、糖関連酵素、タンパク質関連酵素、脂質関連酵素、核酸関連酵素、呼吸系酵素等が挙げられ、その中でも核酸関連酵素及び免疫学的測定に使用される酵素が好ましい。
「臨床検査用酵素」又は「免疫学的測定に使用される酵素」とは、分析用酵素の内、臨床化学分析又は免疫測定に使用される酵素であり、具体的には、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、アルコールオキシダーゼ、モノアミンオキシダーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、カタラーゼ、アシラーゼ、グルコースオキシダーゼ、コレステロールオキシダーゼ、コレステロールエステラーゼ、アシルCoAオキシダーゼ、アシルCoAシンセターゼ、ビリルビンオキシダーゼ、コレステロールデヒドロゲナーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、グリセロールキナーゼ、L−α−グルセロフォスフェイトオキシダーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、乳酸オキシダーゼ、リポプロテインリパーゼ、マレートデヒドロゲナーゼ、ムタローゼ等が挙げられるが、これらに限定されものではない。また、糖関連酵素としては、マンノシダーゼ、グルコシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ヘパリチナーゼ、ヒアルロン酸合成酵素等が、タンパク質関連酵素としては、ヘプシン、パパイン、プロテイナーゼ、ペプチダーゼ、ペプチジル転移酵素等が、脂質関連酵素としては、リパーゼ、ホスホリパーゼ、セラミダーゼ等が、核酸関連酵素としては、ヌクレアーゼ、DNAポリメラーゼ(Taqポリメラーゼ等)、RNAポリメラーゼ、制限酵素、逆転写酵素等が、呼吸系酵素としては、グルコキナーゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ等、その他の酵素としては、フォスファターゼ、スルファターゼ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
尚、フルクタンを基質とする酵素も、本発明の酵素安定化剤を用いて安定化することが可能である。しかしながら、酵素がフルクタンと接触すると、酵素反応が進行し、フルクタンが変性して、フルクタンの酵素安定化効果が減弱する可能性があるため、フルクタンを基質とする酵素については、本発明の酵素安定化剤の使用を避けることが好ましい。
尚、本発明において用いる酵素は単離又は精製されていることが好ましい。「単離又は精製」とは、目的とする成分(即ち、酵素)以外の成分を除去する操作がなされていることを意味する。「単離又は精製された酵素」における酵素の含有量は、通常50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上、更に好ましくは95重量%以上、最も好ましくは100%である。
本発明の酵素組成物の存在状態は、フルクタンが酵素を安定化し得る限り特に限定されず、粉末状(凍結乾燥状、顆粒状等)、液状(溶液、懸濁液等)等が挙げられるが、好ましくは液状である。フルクタンは、水への溶解性が高く、水へ溶解した状態で優れた酵素安定化作用を発揮する。従って、本発明の酵素組成物は、好ましくは、酵素及びフルクタンが、水性溶媒中(水、生理食塩水、水性緩衝液等)中へ溶解した溶液として提供される。また、本発明の方法においては、好ましくは、酵素及びフルクタンが、水性溶媒中(水、生理食塩水、水性緩衝液等)中へ溶解した状態で、共存する。当該水性溶媒のpHは、好ましくは3.0〜10.0の範囲内である。
本発明の酵素組成物は、酵素及びフルクタンのみから構成されていてもよいし、或いは酵素及びフルクタン以外の成分を更に含んでいてもよい。同様に、本発明の酵素の安定化方法においては、酵素及びフルクタンのみを共存させてもよいし、或いは酵素及びフルクタン以外の成分を更に共存させてもよい。酵素及びフルクタン以外の成分としては、希釈剤、フルクタン以外の酵素安定化剤、界面活性剤、防腐剤、緩衝剤等を挙げることが出来る。希釈剤、フルクタン以外の酵素安定化剤、界面活性剤、防腐剤、緩衝剤の具体例は、上述の通りである。
尚、希釈剤、フルクタン以外の酵素安定化剤、界面活性剤、防腐剤、緩衝剤等は、本発明の酵素組成物や本発明の酵素の安定化方法の必須の構成成分ではないので、希釈剤を含有しない態様、フルクタン以外の酵素安定化剤を含有しない態様、界面活性剤を含有しない態様、防腐剤を含有しない態様及び緩衝剤を含有しない態様も、それぞれ、本発明の酵素組成物、及び本発明の酵素の安定化方法に包含される。
また、酵素とフルクタンとを共存させる際に、当該酵素に対応する基質及び/又は補酵素を更に共存させてもよいし、共存させなくてもよい。酵素の失活を出来る限り抑制しながら、長期間の保存を可能にする観点からは、酵素に対応する基質及び/又は補酵素の不在下で、当該酵素とフルクタンとを共存させることが好ましい。一方、フルクタンの存在下で、酵素の失活を抑制しながら、酵素反応を進行させる観点からは、酵素に対応する基質及び/又は補酵素の存在下で、当該酵素とフルクタンとを共存させることが好ましい。即ち、本発明の酵素組成物及び本発明の酵素の安定化方法には、当該酵素に対応する基質及び/又は補酵素を含む態様、並びに当該酵素に対応する基質及び/又は補酵素を含まない態様が含まれる。
酵素へ添加する酵素安定化剤の量は、酵素を安定化するのに十分な量であれば特に限定されないが、通常、本発明の酵素組成物中のフルクタンの濃度として、0.01〜2重量%である。
本発明の酵素組成物中の酵素の含有量は、フルクタンによる酵素の安定化を達成可能な限り特に限定されないが、本発明の酵素組成物が水溶液の場合には、通常、1pg/ml〜10mg/mlの範囲内である。
本発明の酵素組成物は、酵素が安定化されているので、長期間にわたる酵素の保存や、長時間の酵素反応の際に、酵素活性の低下を抑制することが出来るので、有用である。本発明の方法を用いれば、期間にわたる酵素の保存や、長時間の酵素反応の際に、酵素活性の低下を抑制することが出来るので、有用である。
フルクタンは、特に加熱による酵素の活性の低下を抑制する効果に優れている。従って、何らかの理由により、酵素を至適条件を上回る温度条件下へ暴露した後で、残存する活性な酵素を対応する基質及び必要な補酵素と接触させ、酵素反応を実施する必要がある場合に、本発明を適用すると、酵素活性の低下を抑制することが出来る。即ち、酵素の至適条件を上回る温度条件下で、当該酵素とフルクタンとを共存させることにより、酵素を安定化させ、酵素活性の低下を抑制することが出来る。「至適温度」は、各酵素の種類に応じて適宜設定される。「至適温度を上回る温度」は、当該酵素の活性を完全に消失させない範囲内で、使用目的に応じて適宜設定されるが、例えば、至適温度を1℃、5℃、10℃、15℃又は20℃以上上回る温度が挙げられる。「至適温度を上回る温度」は、通常100℃以下、好ましくは98℃以下である。酵素とフルクタンとを共存させる時間は、酵素の活性を完全に消失させない範囲で、適宜設定される。
本明細書中で挙げられた特許及び特許出願明細書を含む全ての刊行物に記載された内容は、本明細書での引用により、その全てが明示されたと同程度に本明細書に組み込まれるものである。
以下、実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下に示す実施例によって何ら限定されるものではない。
加熱処理したDNAポリメラーゼに対する安定化作用の検討
(i)フルクタン溶液の調製
特許第3111378号公報記載の方法によりラッキョウより調製したフルクタンを、所定の濃度(0.05重量%、0.1重量%、0.2重量%、0.5重量%)となるように超純水にて溶解し、得られたフルクタン溶液とrTaq DNAポリメラーゼ(TOYOBO社製)5units/μLを127対1の容量比で混合した。この混合液を85℃で30分間加熱処理したものを試験溶液とした。
(ii)DNAポリメラーゼ活性測定
上記(i)において調製した試験溶液、又はコントロールとして加熱未処理のrTaq DNAポリメラーゼ水溶液12.8μLに対して、10×PCR buffer(TOYOBO社製)、2mM dNTPmix(TOYOBO社製)、25mM 塩化マグネシウム(TOYOBO社製)、プライマープローブ TaqManGene Expression Assay (Assay ID Details: Hs03023880_g1、Applied Biosystems社製)、cDNA(HepG2細胞(理研バンク)より抽出)をそれぞれ2μL、2μL、1.2μL、1μL、1μLを添加し、総量20μLとした。この混合液を用いて、リアルタイムPCRをLightCycler480(Roche社製)で行った。酵素の安定性を、リアルタイムPCRのCt値(表1)と蛍光強度(表2)を指標として評価した(n=4)。
Figure 0005699300
Figure 0005699300
表1及び2から明らかなように、フルクタンを添加すると、フルクタンを用いない場合と比較して、全ての濃度でPCRの進行が早かった。この結果から、DANポリメラーゼに対するフルクタンの顕著な安定化効果が示唆された。特に、0.1〜0.2重量%のフルクタンの添加により、極めて高い安定化効果が達成された。
ペルオキシダーゼに対する熱安定性の検討
(i)フルクタン溶液の調製
特許第3111378号公報記載の方法によりラッキョウより調製したフルクタンを、所定の濃度(0.01重量%、0.02重量%、0.05重量%、0.1重量%、0.2重量%、0.5重量%、1重量%、2重量%)となるように0.1mol/l リン酸緩衝液(pH6.9〜7.2:以下、PBと記載する)に溶解し、フルクタン溶液を得た。
(ii)酵素溶液の調製
西洋わさびペルオキシダーゼ(Wako製:以下HRPと記載する)を0.08mg/mlの濃度にPBにて調製した。その後、PBもしくはフルクタン溶液にて、0.0008mg/mlの濃度に調製した。また、BSA(Wako社製:アルブミン、牛血清由来、コーンフラクションV、pH7.0)を所定の濃度(0.1重量%、1重量%)となるように0.1mol/l リン酸緩衝液(pH6.9〜7.2:以下、PBと記載する)にて溶解し、BSA溶液を得た。得られたBSA溶液にて、HRPを0.0008mg/mlの濃度に調製し、コントロールとした。
(iii)酵素溶液の加熱処理
上記(i)、(ii)において調製した試験溶液を60℃で10分加熱後、4℃で10分以上静置した。
(iv)HRP活性の測定
上記(iii)において加熱処理した試験溶液、あるいは上記(i)、(ii)において調製した加熱未処理の試験溶液4μlずつをマイクロプレート(住友ベークライト社製:SUMIRON MULTI WELL PLATE [for ELISA] H TYPE PLATE)の各ウェルに添加した。その後、ペルオキシダーゼの基質としてo−フェニレンジアミン(OPD:0.4mg/ml)、酸化剤として過酸化水素(0.012%)を含む0.05mol/l クエン酸/0.15mol/l リン酸ナトリウム緩衝液(pH5.6〜5.9:以下、OPDバッファーと記載する)を各ウェルに200μl加えた。添加後、このプレートを即座にプレートリーダー(コロナ社製:MTP−800LAB)にセットし、OPDの分解による着色の波長492nmの吸光度について、経時変化を測定した。
酵素の熱安定性を、反応後40分での波長492nmの吸光度で評価した。加熱未処理/処理の酵素液の吸光度から相対比を算出した。この結果、コントロールとしたBSAを共存させたHRP溶液は加熱処理により大きく活性が低下したが、フルクタンを共存させたHRP溶液ではすべての濃度で酵素活性の低下が抑制されることが示された(図1)。
本発明によれば、酵素を、フルクタンと共存させることにより、酵素の安定性を効果的に向上させることが出来る。本発明の酵素安定化剤を用いれば、至適温度を超える温度条件下に酵素を曝露しても、酵素活性の低下が抑制される。
また、フルクタンは通常植物や微生物から抽出されるので、人畜共通感染症の懸念もない。

Claims (14)

  1. ネギ属植物由来のフルクタンを有効成分として含有する、加熱による酵素の活性の低下の抑制剤。
  2. ネギ属植物が、ラッキョウ、ニンニク及びタマネギからなる群より選ばれるいずれかである、請求項記載の剤
  3. フルクタン濃度が0.01〜2重量%となるように、酵素に対して添加して使用される、請求項1記載の剤
  4. 酵素及びネギ属植物由来のフルクタンを含有する、加熱による酵素の活性の低下が抑制された酵素組成物。
  5. ネギ属植物が、ラッキョウ、ニンニク及びタマネギからなる群より選ばれるいずれかである、請求項記載の酵素組成物。
  6. フルクタンの含有量が0.01〜2重量%である、請求項記載の酵素組成物。
  7. 酵素及びフルクタンが、水性溶媒中へ溶解している、請求項記載の酵素組成物。
  8. 酵素に対応する基質及び/又は補酵素を含有しない、請求項記載の酵素組成物。
  9. 酵素とネギ属植物由来のフルクタンとを共存させることを含む、加熱による酵素の活性の低下の抑制方法。
  10. ネギ属植物が、ラッキョウ、ニンニク及びタマネギからなる群より選ばれるいずれかである、請求項記載の方法。
  11. 0.01〜2重量%のフルクタン濃度にて、酵素とフルクタンとを共存させる、請求項記載の方法。
  12. 酵素及びフルクタンが、水性溶媒中へ溶解した状態で、酵素とフルクタンとを共存させる、請求項記載の方法。
  13. 酵素に対応する基質及び/又は補酵素の不在下で、酵素とフルクタンとを共存させる、請求項記載の方法。
  14. 酵素の至適温度を超える温度条件下で、酵素とフルクタンとを共存させる、請求項記載の方法。
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