以下に添付図面を参照して、本発明に係る表示制御装置および表示制御方法の実施例を詳細に説明する。
まず、実施例の詳細な説明に先立って、本発明に係る表示制御手法の概要について図1を用いて説明する。図1は、本発明に係る表示制御手法の概要を示す図である。なお、同図の(A)には、明るい画像が入力された場合に、暫定的に決定された発光量よりも低い発光量が確定的な発光量として決定される場合を示している。また、同図の(B)には、暗い画像が入力された場合に、暫定的に決定された発光量がそのまま確定的な発光量として決定される場合を示している。
同図に示すように、本発明に係る表示制御手法では、画像の明るさに応じてバックライトの発光量を制御する場合に、明るい画像が入力されたとしてもバックライトの発光量が所定量を超えないようにバックライトの発光量に上限値を設けた点に主たる特徴を有する。
具体的には、本発明に係る表示制御手法では、まず、画像データが入力されると、画像データを構成する画素を輝度値の高いものから順に計数する。すなわち、本発明に係る表示制御手法では、同図の(A)に示したように、画像データを構成する画素の輝度分布(以下、「ヒストグラム」と記載する)を生成し、高輝度側から順に画素を計数していく。
ここで、同図の(A)に示したように、画素の輝度値は、0〜255までの値を取り、バックライトの発光量は、輝度値が0のときを0%、255のときを100%として、0〜100%の値を取る。このように、バックライトの発光量は、輝度値と予め対応付けられている。
つづいて、本発明に係る表示制御手法では、計数した画素の累積数(以下、「累積画素数」と記載する)が所定数に達した場合の輝度値に基づいてバックライトの暫定的な発光量を決定する。具体的には、同図の(A)に示したように、ヒストグラム上において累積画素数が所定数を超える位置を算出ポイントとし、かかる算出ポイントに対応する発光量をバックライトの暫定的な発光量(以下、「暫定発光量」と記載する)として決定する。
つづいて、本発明に係る表示制御手法では、暫定発光量と所定の閾値(以下、「Hオフセット」と記載する)とを比較する。そして、本発明に係る表示制御手法では、暫定発光量がHオフセットよりも多い場合に、暫定発光量よりも少ない発光量を確定的な発光量(以下、「確定発光量」と記載する)として決定する。
たとえば、同図の(A)に示したように、明るい画像が入力された場合には、ヒストグラムの高輝度側に位置する画素が多くなる結果、算出ポイントがHオフセットよりも高輝度側に位置することとなる。かかる場合、暫定発光量がHオフセットよりも多くなるため、本発明に係る表示制御手法では、Hオフセットを確定発光量として決定する。
このように、明るい画像が入力された場合には、バックライトの発光量が比較的多めに設定されることとなるが、算出ポイントよりも低輝度側に位置するHオフセットを確定発光量とすることで、算出ポイントに対応する発光量を確定発光量とする場合と比較してバックライトの発光量を少なくすることができる。したがって、算出ポイントにおける発光量を確定発光量とした場合と比較して消費電力の削減量を多くすることができる。
このように、本発明にかかる表示制御手法では、バックライトの発光量の上限値としてHオフセットを導入することで、明るい画像が入力された場合であっても、確定発光量がHオフセット以上とならないように制限することとした。したがって、本発明に係る表示制御手法によれば、明るい画像が入力された場合に、バックライトの消費電力の削減量が少なくなることを抑制することができる。
なお、暫定発光量がHオフセットよりも少ない場合には、暫定発光量をバックライトの確定的な発光量として決定する。たとえば、同図の(B)に示したように、暗い画像が入力された場合には、ヒストグラムの低輝度側に位置する画素が多くなる結果、算出ポイントがHオフセットよりも低輝度側に位置することとなる。かかる場合には、暫定発光量がHオフセットよりも少なくなるため、暫定発光量が確定発光量として決定される。
ところで、明るい画像が入力された場合に、少ない発光量でバックライトを発光させると、画像中の特に明るい部分の色がつぶれたように見える現象(以下、「ハレーション」と記載する)が発生するおそれがあり、画質劣化の原因となる。そこで、本発明に係る表示制御手法では、ハレーションが発生する可能性がある場合に、Hオフセットよりも多い発光量を確定発光量として決定することによってハレーションの発生を回避する処理も併せて行っている。かかるハレーション回避の具体的な内容については、実施例2において説明することとする。
また、これまでは、暫定発光量がHオフセットよりも多い場合に、Hオフセットを確定発光量とする場合について説明したが、これに限ったものではない。たとえば、暫定発光量がHオフセットよりも多い場合に、暫定発光量を所定の変換式で変換した値を確定発光量として決定することとしてもよい。かかる点についても後述する実施例において説明する。
以下では、図1を用いて説明した表示制御手法を適用した表示制御装置についての実施例を詳細に説明する。なお、以下に示す実施例では、車載装置に搭載される液晶ディスプレイの表示制御を行う表示制御装置に対して本発明を適用する場合について説明する。ただし、本発明にかかる表示制御装置は、これに限ったものではなく、携帯端末装置やPC(Personal Computer)あるいはTV(Television)のように、バックライトを用いて表示を行う表示部を備える各種の装置に対して適用することができる。
図2は、実施例1に係る表示制御装置の構成を示すブロック図である。なお、同図には、表示制御装置の特徴を説明するために必要な構成要素のみを示しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
同図に示すように、本実施例に係る表示制御装置10は、車載装置に搭載される液晶ディスプレイ20の表示制御を行う装置である。ここで、液晶ディスプレイ20は、液晶パネル21と、バックライトモジュール22とを備えている。液晶パネル21は、表示制御装置10から出力される画像データを表示する表示部である。また、バックライトモジュール22は、液晶パネル21の背面側に設けられた照明装置であり、液晶パネル21に対して背面側から光を照射する。かかるバックライトモジュール22による消費電力の高さが省電力化の妨げとなっている。
つづいて、本実施例に係る表示制御装置10の構成について説明する。本実施例に係る表示制御装置10は、制御部11と、記憶部12とを備えている。また、制御部11は、画像データ取得部11aと、サブサンプリング部11bと、ヒストグラム生成部11cと、ヒストグラム解析部11dと、発光量変更部11eと、PWM(Pulse Width Modulation)生成部11fと、RGB変換部11gとを備えている。また、記憶部12は、閾値情報12aと、RGB変換情報12bとを記憶している。
制御部11は、車載装置からの画像データの取得、取得した画像データのサブサンプリング、ヒストグラムの生成および解析、発光量の変更処理、PWMの生成あるいはRGB変換処理といった処理を実行する処理部である。画像データ取得部11aは、ナビゲーション画像等の画像データを車載装置から取得する処理部である。また、画像データ取得部11aは、取得した画像データをサブサンプリング部11bおよびRGB変換部11gへ渡す処理も併せて行う。
サブサンプリング部11bは、画像データ取得部11aから画像データを取得した場合に、取得した画像データに対してサブサンプリングを行う処理部である。また、サブサンプリング部11bは、サブサンプリング後の画像データをヒストグラム生成部11cへ渡す処理も併せて行う。
ここで、サブサンプリングとは、取得した画像データから画素を間引く処理を示す。このように、取得した画像データに対してサブサンプリングを行うことによって、後述するヒストグラム生成部11cやヒストグラム解析部11dといった処理部の処理速度を高めることができる。なお、ここでは、WVGAサイズ(800×480)の画像データが128×64のサイズに縮小されるものとする。
ヒストグラム生成部11cは、サブサンプリング部11bから取得したサブサンプリング後の画像データを用いてヒストグラムを生成する処理部である。ヒストグラムとは、上述したように、画像データを構成する画素の輝度分布をあらわす情報である。ここで、ヒストグラム生成部11cは、画像データに含まれるR,G,Bの各成分うち、最も値の大きい成分を用いてヒストグラムを生成する。また、ヒストグラム生成部11cは、生成したヒストグラムをヒストグラム解析部11dへ渡す処理も併せて行う。
ヒストグラム解析部11dは、ヒストグラム生成部11cによって生成されたヒストグラムを閾値情報12aを用いて解析することによって、バックライトモジュール22の確定発光量を決定する処理部である。
ここで、かかるヒストグラム解析部11dの具体的な構成について図3を用いて説明する。図3は、実施例1に係るヒストグラム解析部11dの構成を示すブロック図である。同図に示すように、ヒストグラム解析部11dは、暫定発光量決定部111と、比較部112と、確定発光量決定部113とを備えている。また、閾値情報12aは、DNUM121と、Hオフセット122とを含んでいる。
暫定発光量決定部111は、ヒストグラム生成部11cから取得したヒストグラムと閾値情報12aに含まれるDNUM121とを用いて暫定発光量を決定する処理部である。DNUM121とは、累積画素数の閾値を示す情報である。
具体的には、暫定発光量決定部111は、ヒストグラムの高輝度側から順に画素数を計数していき、累積画素数がDNUM121を超えた場合におけるヒストグラム上の位置(輝度値)に対応する発光量を暫定発光量として決定する。また、暫定発光量決定部111は、暫定発光量を決定すると、決定した暫定発光量を比較部112へ渡す処理も併せて行う。
比較部112は、暫定発光量決定部111によって決定された暫定発光量と記憶部12に記憶されたHオフセット122とを比較する処理部である。ここで、Hオフセット122は、バックライトモジュール22の発光量の上限値を示す閾値情報である。また、比較部112は、暫定発光量とHオフセット122との比較結果を確定発光量決定部113へ渡す処理も併せて行う。
確定発光量決定部113は、比較部112による比較結果に応じて確定発光量を決定する処理部である。また、確定発光量決定部113は、決定した確定発光量を発光量変更部11eへ渡す処理も併せて行う。
ここで、かかるヒストグラム解析部11dの動作例について図4を用いて説明する。図4は、ヒストグラム解析部11dの動作例を示す図である。なお、同図の(A)には、暫定発光量決定部111の動作例を、同図の(B)および(C)には、比較部112および確定発光量決定部113の動作例を、それぞれ示している。
同図の(A)に示したように、暫定発光量決定部111は、ヒストグラムにおける輝度値「255」の位置を計数開始ポイントとする。また、暫定発光量決定部111は、各輝度値に対応する画素数を計数開始ポイントから低輝度側へ向かって順に計数していく。そして、暫定発光量決定部111は、累積画素数がDNUM121に達した位置を算出ポイントとして定め、かかる算出ポイントの輝度値に対応する発光量を暫定発光量として決定する。
たとえば、暫定発光量決定部111は、累積画素数がDNUM121に達した位置の輝度値が「200」である場合には、かかる輝度値「200」に対応する発光量「78%」を暫定発光量として決定する。
また、比較部112は、暫定発光量決定部111によって決定された暫定発光量とHオフセット122との比較を行い、比較結果を確定発光量決定部113へ渡す。そして、確定発光量決定部113は、同図の(B)に示したように、暫定発光量がHオフセット122以下である場合には、暫定発光量を確定発光量として決定する。一方、確定発光量決定部113は、暫定発光量がHオフセット122を超える場合には、Hオフセット122を確定発光量として決定する。
たとえば、同図の(C)に示したように、算出ポイントaや算出ポイントbのように、算出ポイントがHオフセット122よりも低輝度側に位置する場合、すなわち、入力された画像が暗めの画像である場合には、各算出ポイントに対応する発光量(暫定発光量)が確定発光量となる。一方、算出ポイントc〜eのように算出ポイントがHオフセット122よりも高輝度側に位置する場合、すなわち、入力された画像が明るめの画像である場合の確定発光量は、各算出ポイントに対応する発光量(暫定発光量)よりも少ない発光量であるHオフセット122となる。
このように、本実施例では、暫定発光量がHオフセット122を超える場合には、暫定発光量よりも少ない発光量であるHオフセット122を確定発光量とすることによって、明るい画像が入力された場合であっても、バックライトモジュール22の消費電力の削減量を極力多くすることができる。
図2に戻り、制御部11の説明を続ける。発光量変更部11eは、バックライトモジュール22の発光量の急激な変化によって生じる画面のちらつきを防止するため、ヒストグラム解析部11dから取得した確定発光量と現在の発光量との差分に基づいて発光量の変化量を制限する発光量変更処理を行う処理部である。
具体的には、発光量変更部11eは、確定発光量と現在の発光量との差分が所定の閾値よりも大きい場合に、変化量の上限値として予め決められた値を現在の発光量に対して加算(あるいは減算)した値を最終的な発光量として決定する。また、発光量変更部11eは、最終的な発光量(以下、「変更後発光量」と記載する)を決定すると、この変更後発光量をPWM生成部11fへ渡す。
また、発光量変更部11eは、変更後発光量を決定すると、RGB変換情報12bを用いて変更後発光量に対応するRGB変換係数を決定し、決定したRGB変換係数をRGB変換部11gへ渡す処理も行う。ここで、RGB変換情報12bの内容について図5を用いて説明する。図5は、RGB変換情報12bの一例を示す図である。
同図に示したように、RGB変換情報12bは、「変更後発光量」ごとに「RGB変換係数」を対応付けた情報である。ここで、「変更後発光量」は、発光量変更部11eによって決定された変更後発光量を示す。また、「RGB変換係数」は、R,G,Bの各成分の値(RGB値)に対して掛け合わせる係数である。
たとえば、変更後発光量が「100%」である場合には、RGB変換係数は「1.00」となる。これは、入力データのRGB値が、そのまま出力データのRGB値となることを示している。また、変更後発光量が「50%」である場合には、RGB変換係数は「1.26」となる。これは、入力データのRGB値を1.26倍した値が出力データのRGB値となることを示している。なお、ここでは、R,G,Bの各成分に対してRGB変換係数をそれぞれに掛け合わせるものとする。
このように、RGB変換情報12bでは、変更後発光量が少なくなるほど、すなわち、バックライトモジュール22の発光量が少なくなり画面が暗くなるほど、RGB変換係数が高くなるように設定されている。なお、発光量変更部11eは、変更後発光量を決定すると、決定した変更後発光量と対応付けられたRGB変換係数をRGB変換情報12bから取り出し、取り出したRGB変換係数をRGB変換部11gへ渡す。
PWM生成部11fは、発光量変更部11eから変更後発光量を取得すると、バックライトモジュール22の発光量が変更後発光量となるようにパルス幅が調整されたPWM信号を生成してバックライトモジュール22へ出力する処理部である。なお、PWM生成部11fは、VSYNC(Vertical Synchronizing signal:垂直同期信号)が1回出力されるごとに、PWM信号を4回出力することとしている。
RGB変換部11gは、画像データ取得部11aから取得した画像データに含まれるR,G,Bの各成分の値に対して、発光量変更部11eから取得したRGB変換係数を掛け合わせるRGB変換処理を行う処理部である。また、RGB変換部11gは、RGB変換処理後の画像データを液晶パネル21へ出力する処理も併せて行う。
たとえば、RGB変換部11gは、RGB変換係数「1.26」を取得した場合、画像データ取得部11aから取得した画像データに含まれるR,G,Bの各成分の値を1.26倍する。そして、RGB変換部11gは、R,G,Bの各成分の値を1.26倍した画像データを液晶パネル21へ出力する。
次に、本実施例1に係る表示制御装置10の具体的動作について図6を用いて説明する。図6は、実施例1に係る表示制御装置の処理手順を示すフローチャートである。なお、同図においては、表示制御装置10が実行する処理手順のうち、バックライトの発光量制御に関する処理手順のみを示す。
同図に示すように、表示制御装置10では、画像データ取得部11aが、画像データを取得すると(ステップS101)、サブサンプリング部11bが、取得した画像データに対してサブサンプリングを行う(ステップS102)。つづいて、表示制御装置10では、ヒストグラム生成部11cが、サブサンプリング後の画像データを用いてヒストグラムを生成し(ステップS103)、暫定発光量決定部111が、ヒストグラムおよびDNUM121を用いて暫定発光量を決定する(ステップS104)。
つづいて、表示制御装置10では、比較部112が、暫定発光量とHオフセット122とを比較し(ステップS105)、確定発光量決定部113が、暫定発光量がHオフセット122よりも多いか否かを判定する(ステップS106)。そして、確定発光量決定部113は、暫定発光量がHオフセット122よりも多い場合には(ステップS106、Yes)、Hオフセット122を確定発光量とし(ステップS107)、暫定発光量がHオフセット122以下である場合には(ステップS106、No)、暫定発光量を確定発光量とする(ステップS108)。
つづいて、発光量変更部11eは、発光量変更処理を行って変更後発光量を決定する(ステップS109)。つづいて、PWM生成部11fは、変更後発光量に応じたPWM信号を生成してバックライトモジュール22へ出力する(ステップS110)。
また、RGB変換部11gは、画像データ取得部11aから取得した画像データに含まれるR,G,Bの各成分の値に対して、変更後発光量に対応するRGB変換係数を掛け合わせるRGB変換処理を行う(ステップS111)。そして、RGB変換部11gは、RGB変換処理後の画像データを液晶パネル21へ出力して(ステップS112)、処理を終了する。
上述してきたように、本実施例1では、暫定発光量決定部が、入力された画像データに対して、当該画像データを構成する画素を輝度値の高いものから順に計数し、計数した画素の累積数が所定数に達した場合の輝度値に基づいてバックライトの暫定的な発光量を決定し、比較部が、暫定的な発光量と所定の閾値とを比較し、確定発光量決定部が、比較部による比較の結果、暫定的な発光量が所定の閾値を超える場合に、暫定的な発光量よりも少ない発光量をバックライトの確定的な発光量として決定することとした。したがって、明るい映像が入力された場合に、バックライトの消費電力の削減量が少なくなることを抑制することができる。
ところで、上述した実施例1では、バックライトモジュール22の発光量を少なくする場合であっても、RGB変換処理によってRGB値を高める補正を行うことで、画質劣化を防止することとした。
ところが、実施例1で説明したように、明るい画像が入力された場合に、暫定発光量よりも少ない発光量でバックライトモジュール22を発光させることとすると、RGB値の補正量が頭打ちとなり、ハレーションが発生するおそれがある。そこで、実施例2では、暫定発光量がHオフセットよりも多い場合に、ハレーションが発生するおそれがあるか否かを判定し、発生するおそれがあると判定した場合には、Hオフセットよりも多い発光量を確定発光量として決定することで、ハレーションの発生を回避することとした。
以下では、かかる実施例2について説明する。まず、ハレーション回避手法の概要について図7を用いて説明する。図7は、実施例2に係るハレーション回避手法の概要を示す図である。なお、同図の(A)には、ハレーションが発生する状況を示し、同図の(B)には、ハレーション回避手法の概要を示している。
同図の(A)に示したように、発光量変更部11eによって変更後発光量が「100%」に決定された場合には、RGB変換係数は「1.00」となる(図5参照)。すなわち、入力RGB値が「255」である場合は、出力RGB値も「255」となる。
一方、発光量変更部11eによって変更後発光量が「12.5%」に決定された場合、RGB変換係数は「2.05」となる(図5参照)。
かかる場合において、同図の(A)に示したように、入力RGB値が「124」以上である場合には、出力RGB値が全て「255」となる(すなわち、出力RGB値が「255」で頭打ちとなる)。たとえば、入力RGB値が「200」である場合、本来ならば、出力RGB値は「410」となるべきところが、RGB値の限界値が「255」であるために、出力RGB値は「255」となる。
このように、画像データにRGB値の大きい画素が含まれる場合には、RGB変換処理を行うことによって変換後のRGB値(出力RGB値)が頭打ちとなるおそれがある。この結果、本来ならば異なるRGB値(たとえば、124〜255)で表現されるべき部分が、RGB変換処理によって全て同じRGB値(255)で表現されることとなるため、ハレーションが発生し、画質が劣化するおそれがある。
そこで、実施例2に係る表示制御装置10は、明るい画像が入力された場合、すなわち、暫定発光量がHオフセットよりも多い場合には、ハレーションが発生するおそれがあるか否かを判定し、発生するおそれがあると判定した場合には、Hオフセットよりも多い発光量を確定発光量として決定することとした。
ここで、ハレーションが発生する可能性は、RGB値の大きい画素が多く含まれる画像データほど高い。このため、実施例2に係る表示制御装置10は、同図の(B)に示したように、サブサンプリング後の画像データの平均輝度を算出し、かかる平均輝度がHオフセット122に対応する輝度値よりも高い場合に、ハレーションが発生する可能性があると判定する。
そして、実施例2に係る表示制御装置10は、ハレーションが発生する可能性が高いと判定した場合には、Hオフセットを確定発光量とするのではなく、平均輝度に対応する発光量を確定発光量とする。
このように、実施例2では、ハレーションが発生する可能性がある場合には、確定発光量をHオフセットよりも高くすることによって、RGB変換係数が小さくなり、出力RGB値が頭打ちとなることが抑制されるため、ハレーションの発生を回避することができる。
次に、実施例2に係るヒストグラム解析部11d’の構成について図8を用いて説明する。ここで、実施例1において説明した機能と同一の機能を有するものについては、同一の符号を付し、その説明を省略することとする。同図に示すように、実施例2に係るヒストグラム解析部11d’は、実施例1において説明したヒストグラム解析部11dの構成に加えて、平均輝度算出部114をさらに備えている。
平均輝度算出部114は、ヒストグラム生成部11cからヒストグラムを取得し、取得したヒストグラムを用いてサブサンプリング後の画像データの平均輝度を算出する処理部である。また、平均輝度算出部114は、算出した平均輝度を比較部112へ渡す処理も併せて行う。
また、比較部112は、平均輝度算出部114から取得した平均輝度とHオフセット122に対応する輝度値とをさらに比較する。また、比較部112は、この比較結果を確定発光量決定部113へ渡す処理も併せて行う。
また、確定発光量決定部113は、暫定発光量がHオフセットよりも多い場合に、平均輝度がHオフセットに対応する輝度値よりも高いか否かを判定する。そして、確定発光量決定部113は、平均輝度がHオフセット122に対応する輝度値よりも高いと判定した場合には、平均輝度に対応する発光量を確定発光量として決定する。
次に、実施例2に係る表示制御装置10の具体的動作について図9を用いて説明する。図9は、実施例2に係る表示制御装置10の処理手順を示すフローチャートである。なお、同図においては、表示制御装置10が実行する処理手順のうち、バックライトの発光量制御に関する処理手順のみを示す。
同図に示すように、表示制御装置10では、画像データ取得部11aが、画像データを取得すると(ステップS201)、サブサンプリング部11bが、取得した画像データに対してサブサンプリングを行う(ステップS202)。つづいて、表示制御装置10では、ヒストグラム生成部11cが、サブサンプリング後の画像データを用いてヒストグラムを生成し(ステップS203)、平均輝度算出部114が、ヒストグラムを用いてサブサンプリング後の画像データの平均輝度を算出する(ステップS204)。また、暫定発光量決定部111は、ヒストグラムおよびDNUM121を用いて暫定発光量を決定する(ステップS205)。
つづいて、表示制御装置10では、比較部112が、暫定発光量とHオフセット122とを比較し(ステップS206)、確定発光量決定部113が、暫定発光量がHオフセット122よりも多いか否かを判定する(ステップS207)。つづいて、確定発光量決定部113は、暫定発光量がHオフセット122よりも多い場合には(ステップS207、Yes)、平均輝度がHオフセット122に対応する輝度値よりも高いか否かをさらに判定する(ステップS208)。そして、平均輝度がHオフセット122に対応する輝度値よりも高いと判定した場合には(ステップS208、Yes)、確定発光量決定部113は、平均輝度に対応する発光量を確定発光量として決定する(ステップS209)。
一方、平均輝度がHオフセット122に対応する輝度値よりも高くない場合には(ステップS208、No)、確定発光量決定部113は、Hオフセット122を確定発光量として決定する(ステップS210)。また、ステップS207において、暫定発光量がHオフセット122よりも多くない場合には(ステップS207、No)暫定発光量を確定発光量として決定する(ステップS211)。
つづいて、発光量変更部11eは、確定発光量決定部113から取得した確定発光量と現在の発光量との差分に基づく発光量変更処理を行って変更後発光量を決定する(ステップS212)。つづいて、PWM生成部11fは、変更後発光量に応じたPWM信号を生成してバックライトモジュール22へ出力する(ステップS213)。
また、RGB変換部11gは、画像データ取得部11aから取得した画像データに含まれるR,G,Bの各成分の値に対して、変更後発光量に対応するRGB変換係数を掛け合わせるRGB変換処理を行う(ステップS214)。そして、RGB変換部11gは、RGB変換処理後の画像データを液晶パネル21へ出力して(ステップS215)、処理を終了する。
上述してきたように、実施例2では、平均輝度算出部が、画像データの平均輝度を算出し、比較部が、平均輝度算出部によって算出された平均輝度とHオフセットとをさらに比較し、確定発光量決定部が、比較部による比較の結果、暫定発光量がHオフセットを超え、かつ、平均輝度がHオフセットを超える場合には、平均輝度をバックライトの確定的な発光量として決定することとした。
したがって、実施例2によれば、明るい画像が入力された場合に、バックライトモジュール22の消費電力の削減量が少なくなることを抑制しつつ、ハレーションの発生による画質劣化を防止することができる。
ところで、上述したハレーション回避機能をユーザの操作に応じてON/OFFの切り替え可能としてもよい。また、Hオフセット122の値をユーザの操作に応じて変更することとしてもよい。以下では、これらの点について図10を用いて説明する。図10は、ハレーション回避機能およびHオフセット122の設定変更について説明するための図である。ここでは、ハレーション回避機能がONの状態を「画質重視モード」と呼び、OFFの場合を「省電力モード」と呼ぶこととする。
なお、同図の(A)には、液晶パネル21に表示される画面の一例を示し、同図の(B)には、各モード時の画質および省電力効果について示し、同図の(C)には、Hオフセットと省電力効果との関係を示している。なお、同図の(A)に示した液晶パネル21は、タッチパネルであるとする。
同図の(A)に示したように、液晶パネル21には、モード選択ボタン21a、画面の明るさを調整するための「暗」ボタン21cおよび「明」ボタン21dが表示されている。また、液晶パネル21には、現在の消費電力削減率21bが表示されている。たとえば、同図の(A)では、「画質重視モード」が選択されており、「明るさ」が7段階中の4に設定されている。また、同図の(A)では、現在の消費電力削減率として「30%」が表示されている。
ここで、ユーザは、液晶パネル21に表示される画像を確認しつつモード選択ボタン21aを押下することによって、画質重視モードあるいは省電力モードのいずれかのモードを好みに応じて選択することができる。
ここで、同図の(B)に示したように、画質重視モードでは、ハレーションの発生が防止されるため画質が高くなり、また、暫定発光量よりも少ない発光量をバックライトモジュール22の発光量として用いるため省電力効果も高い。一方、省電力モードでは、ハレーションが発生する可能性があるため、画質重視モードと比較して画質は劣るものの、バックライトモジュール22の発光量がさらに少なくなるため、省電力効果が画質重視モードと比較してより高くなる。
たとえば、ナビゲーション画像が表示されている場合に、文字が認識できる程度の画質でよいと考えるユーザは、省電力モードを選択することによって、省電力効果を高めることができる。
また、ユーザは、液晶パネル21に表示される画像の画質や消費電力削減率21bを確認しつつ、「暗」ボタン21cや「明」ボタン21dを押下することで、ユーザの好みに合った明るさに調整することができる。
ここで、同図の(C)に示したように、Hオフセット122の値は、「暗」ボタン21cが押下されるに従って小さくなり、「明」ボタン21dが押下されるにしたがって大きくなるように設定されている。特に、「暗」ボタン21cを押下してHオフセット122の値を小さくすることで、バックライトモジュール22の発光量の上限値が下がる結果、省電力効果が一層高まることとなる。
ところで、液晶ディスプレイ20に表示される画像を誰も見ていない場合には、Hオフセット122の値を極端に下げて省電力効果を大幅に高めることとしてもよい。具体的には、液晶ディスプレイ20に視線検知センサを設ける。ここで、視線検知センサは、ユーザの視線方向を検知するセンサであり、検知結果を表示制御装置10へ出力する。
また、表示制御装置10の制御部11は、ユーザの視線が液晶パネル21上にあるか否かを判定し、液晶パネル21上にあると判定した場合に、画像の閲覧者を検出する。そして、表示制御装置10の制御部11は、画像の閲覧者が検出されなかった場合に、Hオフセットの値を大幅に下げる。
このように、表示制御装置10の制御部11は、閲覧者検出手段として機能することによって、液晶パネル21に表示される画像の閲覧者の検出を行う。また、表示制御装置10の制御部11は、閾値変更手段として機能することによって、画像の閲覧者が検出されなかった場合に、画像閲覧者が検出された場合と比較してHオフセットの値を下げる。
すなわち、画像の閲覧者がいない場合(すなわち、液晶パネル21に画像を表示する必要がない場合)には、バックライトモジュール22の発光量の上限値を大幅に下げることとしたため、省電力効果をより一層高めることができる。
なお、画像の閲覧者が検出されなかった場合に、Hオフセット122の値を0とすれば、どのような画像データが入力された場合であっても確定発光量が0%となるため、バックライトモジュール22の消費電力を最大限に削減することができる。
また、上述してきた各実施例では、暫定発光量がHオフセット122よりも多い場合に、Hオフセット122を確定発光量とする場合について説明したが、これに限ったものではない。たとえば、暫定発光量がHオフセット122よりも多い場合に、暫定発光量を所定の変換式で変換した値を確定発光量として決定することとしてもよい。
具体的には、確定発光量決定部113は、比較部112による比較の結果、暫定発光量がHオフセット122を超える場合に、上記の変換式を用いて暫定発光量を変換することによって得られる値を確定発光量として決定する。
ここで、確定発光量決定部113は、たとえば、0よりも大きく1よりも小さい係数を暫定発光量に対して乗じることによって暫定発光量よりも少ない確定発光量を得る一次関数を変換式として用いることができる。
これにより、確定発光量が暫定発光量よりも少なくなり、かつ、確定発光量が暫定発光量に依存して変化することとなるため、バックライトの消費電力の削減量が少なくなることを抑制しつつ、画像ごとに適した確定発光量でバックライトを発光させることができる。なお、変換式は、変換前の値が変換後の値よりも小さくなるものであればどのような変換式であってもよい。
また、上述してきた各実施例では、バックライトモジュール22の発光量に対して上限値のみを定める場合について説明してきたが、バックライトモジュール22の発光量に対して下限値も定めてもよい。以下、かかる点について図11を用いて説明しておく。図11は、Lオフセットを設定する場合について説明するための図である。
同図に示すように、暫定発光量決定部111は、ヒストグラムの高輝度側から順に画素数を計数していき、累積画素数がDNUM121を超えた場合におけるヒストグラム上の位置(輝度値)に対応する発光量を暫定発光量として決定する。つづいて、比較部112は、暫定発光量と、Hオフセット122よりも低輝度側に設定された他の閾値(Lオフセット)とを比較する。
そして、確定発光量決定部113は、暫定発光量がLオフセットよりも多い場合には、暫定発光量をそのまま確定発光量として決定する。一方、確定発光量決定部113は、Lオフセットが暫定発光量よりも多い場合には、Lオフセットを確定発光量として決定する。これにより、画面が暗くなり過ぎることが防止されるため、画面の視認性を高めることができる。