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JP5675090B2 - 焼結含油軸受及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、内部に潤滑油を含浸させて潤滑を円滑に行わせることができる焼結含油軸受及びその製造方法に関する。
焼結含油軸受は、気孔内に潤滑油を含浸させた状態で使用され、軸が起動すると、軸と軸受の摺動面との間に内部から潤滑油が浸み出し、軸の回転に伴って、その潤滑油に圧力が発生して軸が支持されるようになっている。このような潤滑特性により、無給油で長時間使用できることから、車載用モータの軸受など、広く軸受として利用されている。
このような焼結含油軸受において、摺動面の潤滑油に適切に圧力を発生させるために、気孔の一部を封止したり、軸受内部の気孔を小さくして潤滑油の流路抵抗を増加させ、摺動面からの潤滑油のリークを少なくするなどの手段が採用されている。
例えば、特許文献1記載の焼結含油軸受では、サイジング金型のコアロッドにしごき部を形成しておき、軸受の摺動面をコアロッドがしごくことにより、摺動面の気孔を目潰ししている。
特開平7−233817号公報
しかしながら、摺動面の気孔を封止すると、起動時等において摺動面に供給されるべき油の量が著しく低下するおそれがある。また、軸受内部の気孔を小さくする場合には、気孔の壁面での流路抵抗が大きくなり、油の供給量が低下する要因になる。このように、摺動面への油の供給量が低下するということは、摺動面での軸と軸受の金属接触を誘発し易く、軸や軸受の摩耗を増加させる原因となる。
また、気孔を減少させたり微細化させることは、毛細管力増加によって、油の供給に対して不利となり、起動時や短時間作動など摺動面の油量が少ない場合は、油の供給が間に合わず、金属接触を誘発し易くなる。また、金属接触によって気孔が潰れ易くなり、潤滑油の供給源を絶たれるという悪循環になり易い。
金属接触の繰り返しにより軸や軸受の摩耗が進行すると、軸や軸受の異常摩耗や焼き付きなどが起こり得る。
一方、摺動面への油の供給量を増やすには、軸受内部に含浸される油量を増加させるため、軸受自体の多孔率を増やしたり、軸受内部の気孔を大きくして、気孔を通過する油の流路抵抗を減少させる方法が考えられる。しかし、過度の多孔率増加は、軸受自体の強度を低下する要因となるため、強度を保持するには適度な多孔率を設定する必要がある。また、軸受内部の気孔を大きくすると、摺動面において軸受内部にリークする油量が増加し、金属接触を誘発する可能性もある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、摺動面への潤滑油の供給量を確保しつつ、この摺動面での油圧を保持し易くすることを目的とする。
本発明の焼結含油軸受は、銅を10〜50重量%、低融点金属を0.1〜5重量%含有する鉄銅系材料を用いた焼結含油軸受であって、気孔率は10〜30容量%とされるとともに、内部に微細気孔を有する多孔質鉄粉と、通常鉄粉とを含む原料粉末が焼結されており、内部に形成される気孔は、そのうちの45%以下が円換算径で0.003mm以下の気孔とされ、20%以上が円換算径で0.007mm以上の気孔とされていることを特徴とする。
すなわち、摺動面への潤滑油の供給量の確保と、摺動面での油圧の保持との二つの相反する機能を果たすために、内部の気孔を円換算径で0.003mm以下の微細な気孔にしつつも、すべてを微細な気孔とするのではなく、0.007mm以上の比較的大きい気孔も残存させ、この大きい気孔によって摺動面への潤滑油の供給量を確保し、その摺動面に供給された潤滑油に微細な気孔の作用によって圧力を発生させるようにしたものである。
本発明の焼結含油軸受において、内部に微細気孔を有する多孔質鉄粉を含む原料粉末が焼結されている。
多孔質鉄粉は、微細な気孔を有する多孔質の鉄粉であり、比表面積が大きい。この多孔質鉄粉を用いて焼結することにより、多孔質鉄粉自体の微細気孔と、粉末どうしの焼結によって形成される比較的大きい気孔との二種類の気孔が存在する焼結体となる。したがって、鉄粉として、多孔質鉄粉と通常の還元鉄粉やアトマイズ鉄粉とを混合したものを用いて焼結することにより、微細気孔と比較的大きい気孔とが混在した多孔質体とすることができ、0.003mm以下の気孔を主として多孔質鉄粉の微細気孔により形成し、0・007mm以上の気孔を主として粉末どうしの隙間により形成するのである。
本発明の焼結含油軸受において、固体潤滑剤が0.2〜5重量%含有されているとよく、摺動特性がより向上する。固体潤滑剤としては、黒鉛、弗化カルシウム等が用いられる。
本発明の焼結含油軸受の製造方法は、鉄銅系材料の原料粉末を成形して焼結することにより前記焼結含油軸受を製造する方法であって、前記原料粉末は、銅粉を10〜50重量%、低融点金属を0.1〜5重量%含有し、鉄粉は、内部に微細気孔を有する見掛け密度1〜2g/cmの多孔質鉄粉見掛け密度1.7〜3g/cmの通常鉄粉との混合粉であり、該混合粉のうち前記多孔質鉄粉の混合比率が15〜85重量%であり、焼結温度を、850〜1000℃(ただし、850℃及び1000℃を除く)とすることを特徴とする。
多孔質鉄粉を含んで混合したものを用いて焼結することにより、微細気孔と比較的大きい気孔とが混在した多孔質体とすることができる。この場合、銅は、摺動特性を向上させる作用があり、10重量%未満では、その作用に所望の効果が得られず、50重量%を超えると、耐摩耗性が低下するおそれがあることから、10〜50重量%が好ましい。また、低融点金属は、焼結温度以下の温度で溶融する金属であり、例えば錫(Sn)、亜鉛(Zn)等の金属が用いられ、溶融して液相化することにより鉄粉や銅粉を結合し、強度を向上させる作用がある。さらに、これら鉄粉や銅粉の隙間に低融点金属が浸透することにより、気孔をより微細化する作用も有する。この低融点金属は、0.1重量%未満では、その作用の所望の効果が得られず、5重量%を超えると、マトリクス強度が増大し、摺動相手への攻撃性が増すことにより、0.1〜5重量%が好ましい。
また、前述したように多孔質鉄粉は、微細な気孔を含有しており、その微細な気孔を有する多孔質鉄粉を15〜85%の重量比率で混在させることにより、気孔の分布を適切な状態とすることができる。多孔質鉄粉の比率が15%未満であると、微細な気孔が少なくなることから、摺動面での潤滑油が保持されにくくなる結果、摺動面の摩擦係数が増大し、また、85%を超えると、微細な気孔が多くなることから、摺動面への潤滑油の供給源が遮断され易くなって、耐焼き付き性が低下する。
また、焼結温度を、850〜1000℃とするのは、焼結温度が850℃未満では、焼結が不十分となって軸受としての十分な強度を確保することができず、1000℃を超えると、銅の拡散が促進され、銅による摺動特性向上の効果が低下してしまうためである。
本発明の焼結含油軸受の製造方法において、前記原料粉末に固体潤滑剤を0.2〜5重量%含有するとよい。固体潤滑剤は摺動特性を向上させる効果があるが、0.2重量%未満では所望の効果が期待できず、5重量%を超えると強度低下を招くおそれがある。
本発明によれば、鉄粉として多孔質鉄粉と通常の還元鉄粉やアトマイズ鉄粉とを混合したことにより、多孔質鉄粉自体の微細気孔と、粉末どうしの焼結によって粉末間に形成される比較的大きい気孔との二種類の気孔が混在した焼結体となり、その比較的大きい気孔による摺動面への潤滑油の供給量の確保と、微細気孔による摺動面での油圧の保持との二つの相反する機能を果たすことができ、摺動特性及び耐焼き付き性を向上させることができる。
以下、本発明に係る焼結含油軸受及びその製造方法の一実施形態を図面を参照しながら説明する。
この焼結含油軸受は、原料粉末として、鉄、銅、低融点金属、固体潤滑剤の粉体を混合し、その原料粉末を例えば円筒状に圧縮成形した後に、焼結、サイジングを行い、真空含油処理にて潤滑油を含浸させたものである。
その原料粉末としては、銅粉が10〜50重量%、低融点金属が0.1〜5重量%、固体潤滑剤が0.2〜5重量%、残りが鉄粉とされる。
原料粉末のうち、鉄粉としては、還元鉄粉が用いられ、還元鉄粉としては、通常の還元鉄粉と、水素により還元した多孔質鉄粉との混合粉とされる。
通常の還元鉄粉は、鉄鉱石やミルスケールをコークス等の炭化材で還元し、破砕、分級した後に、水素雰囲気で仕上げ熱処理して製造された鉄粉であり、表面は凹凸を有する海綿状となっている。
一方、多孔質鉄粉は、ミルスケール等を粉砕して分級した後に、水素還元雰囲気で長時間還元し、その後、再度分級して得られた鉄粉であり、表面が凹凸を有する海綿状となっている点は通常の還元鉄粉と同様であるが、粒子内部に微細な気孔を有しているものである。
これら還元鉄粉は、その見掛け密度は、通常の還元鉄粉が1.7〜3g/cm、多孔質鉄粉が1〜2g/cmとされる。
そして、これら多孔質鉄粉と通常の還元鉄粉との混合粉のうち、多孔質鉄粉の混合比率が15〜85重量%とされる。
銅は、シャフトとの摺動特性を向上させることができる。この銅粉としては、電解銅粉等が用いられる。10〜50重量%としたのは、10重量%未満では、その作用に所望の効果が得られず、50重量%を超えると、機械的強度が下がり、耐摩耗性の低下につながり、また、銅の増加によりコストアップにもつながる。
また、この銅粉は、樹枝状粉もしくは/及び球状粉と、アスペクト比が10以上の偏平粉との混合粉とされ、銅粉のうちの15%以上が偏平粉とされる。また、この偏平粉は、成形金型内に充填される際に振動付与されることにより表面に集まり易く、軸受としては、表面側が銅の割合が高くなり、内部にいくに従って鉄の割合が高くなる濃度勾配のものを得ることができ、摺動表面を銅リッチにして摺動特性を高めるものである。
低融点金属は、焼結温度以下の温度で溶融する金属である。鉄銅系材料の場合、鉄粉や銅粉の融点未満で焼結温度が設定されるが、その焼結温度以下で溶融して液相化した金属が鉄粉や銅粉の間に介在してバインダとして作用し、焼結体の機械的強度を高めるものである。また、この低融点金属は、固体潤滑剤も強固に保持して、その脱落を防止する。この低融点金属の含有量を0.1〜5重量%としたのは、0.1重量%未満では、その作用の所望の効果が得られず、5重量%を超えると、封止される気孔が多くなってしまうことから、流路抵抗が増大して油の供給源が遮断されるからである。
この低融点金属としては、本実施形態の場合、焼結温度が850〜1000℃とされるので、その焼結温度以下の温度で溶融する金属であればよく、例えば錫(Sn)、亜鉛(Zn)等の金属が単体であるいは2種以上含んで使用される。
固体潤滑剤は、母材である鉄よりも硬度が低く、焼結では金属と結合しないために単体で存在する物質であり、金属接触を防止し、摺動特性をより高めるために添加される。この固体潤滑剤としては、黒鉛(グラファイト)、弗化カルシウム(CaF2)等が使用される。この固体潤滑剤の含有量を0.2〜5重量%としたのは、0.2重量%未満では所望の効果が期待できず、5重量%を超えると、金属との結合性に乏しい固体潤滑剤により焼結体としての強度低下を招くおそれがあるからである。
以上の各粉末を混合してなる原料粉末を軸受として例えば円筒状に成形して焼結するのであるが、その焼結温度としては、850〜1000℃とされる。焼結温度が850℃未満では、焼結が不十分となって軸受としての十分な強度を確保することができず、1000℃を超えると、銅の拡散が促進され、銅による摺動特性向上の効果が低下してしまうためである。
そして、このように焼結した後の気孔率は、10〜30容量%とされる。10容量%未満では、含浸された油の絶対量が少なく、油の供給が少なくなり、金属接触を誘発し易く、30容量%を超えると、軸受自体の機械的強度が低下し、耐荷重特性が低下するからである。
焼結後は、サイジングを行い、真空含油処理にて潤滑油を含浸される。
このようにして製造された焼結含油軸受は、鉄粉として、多孔質鉄粉と通常の還元鉄粉とが混合されていることにより、多孔質鉄粉自体の微細気孔と、粉末どうしの焼結によって粉末間に形成される比較的大きい気孔との二種類の気孔が混在した焼結体となる。この焼結体の断面から画像処理によって気孔を特定し、各気孔の面積を円相当直径に換算して気孔を分類すると、45%以下が円換算径で0.003mm以下の気孔とされ、20%以上が円換算径で0.007mm以上の気孔とされる。0.003mm以下の気孔が主として多孔質鉄粉の微細気孔により形成され、0.007mm以上の気孔が主として粉末どうしの隙間により形成される。
そして、このように微細気孔と比較的大きい気孔とが混在することにより、摺動面への潤滑油の供給量の確保と、摺動面での油圧の保持との二つの相反する機能を果たすことができる。
すなわち、ポアズイユ流れの法則から、気孔内の油の流れは、気孔の径が大きいほど速度が大きくなり、気孔内の流路抵抗は、気孔の径が小さいほど大きくなる。したがって、気孔の径が大きいほど、内部の潤滑油が表面(摺動面)に出易くなり、気孔の径が小さいほど、表面(摺動面)での油圧のリークは少なくなる。
本実施形態の焼結含油軸受の場合は、0.003mm以下の微細な気孔は、潤滑油を摺動面に保持して(リークを少なくして)確実に油圧を発生させることができ、また、0.007mm以上の比較的大きい気孔は、摺動面への潤滑油の供給源を遮断することなく、潤滑油が摺動面に出易くなって適切な供給量を確保することができるものである。
次に、本発明の効果を実証するために行った試験結果について説明する。
試験に用いた原料粉末は、銅粉が20重量%、低融点金属が1重量%、固体潤滑剤が1重量%とし、残りを鉄粉とした。この組成は一定とし、鉄粉として、水素還元してなる多孔質鉄粉と通常の還元鉄粉との混合比率を調整することで軸受体内の気孔の径を制御した。
具体的には、多孔質鉄粉と通常の還元鉄粉との配合比について、実施例として、多孔質鉄粉:通常還元鉄粉が15:85(実施例1)、同50:50(実施例2)、同85:15(実施例3)の3種類用意し、比較例として、多孔質鉄粉を全く含まず全てが通常の還元鉄粉からなる0:100のもの(比較例1)、逆に全てが多孔質鉄粉からなる100:0のもの(比較例2)の2種類を用意し、それぞれの軸受特性を評価した。
上記配合組成の粉末を混合し、その混合した原料粉末を圧縮成形し、950℃の焼結温度で焼結した後、サイジングを行い、真空浸油処理にて軸受体内に油を含浸させた。軸受の気孔率は約22容量%とした。
このようにして得られた各軸受において、内部の気孔を解析した。気孔の解析は、焼結体の断面から画像処理によって気孔を特定し、各気孔の面積を円相当直径に換算した。
表1は、気孔を0.003mm以下の径のもの、0.003mmを超え0.007mm未満の径のもの、0.007mm以上の径のものの3種類に分類し、気孔が占める総面積のうち、それぞれの径の気孔の比率を求めたものである。この表1によれば、多孔質鉄粉を増加すると、0.003mm以下の径の気孔の割合が多くなる傾向となった。逆に、通常還元鉄粉を増加すると、0.007mm以上の径の気孔の割合が増加する傾向となった。
Figure 0005675090
次に、これら各軸受に対して、通気度、耐焼き付き性、摩擦係数、表面への油の出方、表面での油膜保持性について測定した。
通気度は、軸受両端面を密閉し、軸孔に圧力空気を充填し、その際に軸受体内よりリークする流量と圧力を測定し、その関係より算出した。
耐焼き付き性は、軸受に100kg/cmの荷重を軸方向と直交する垂直方向に付与し、100m/minの周速でシャフトを回転させ、焼付き時間について評価を行った。焼付きまでの時間が3時間以上であったものを○、1時間を超え3時間未満であったものを△、1時間以下であったものを×とした。
摩擦係数は、軸受に5kg/cmの荷重を軸方向と直交する垂直方向に付与し、100m/minの周速でシャフトを回転させたときの軸受の回転トルクより摩擦係数を算出した。摩擦係数が0.10以下であったものを○、0.10を超え0.15未満であったものを△、0.15以上であったものを×とした。
油の出方は、VG68相当の含浸油に蛍光塗料を混合して軸受に含浸させ、軸受に5kg/cmの荷重を軸方向と直交する垂直方向に付与し、100m/minの周速でシャフトを短時間回転させたときのシャフトに付着した油を、紫外線照射により観察した。油の付着面積が、軸受に挿入されていた部分の面積の80%以上であったものを○、80%未満で50%以上を△、50%未満を×とした。
油膜保持性は、軸受に5kg/cmの荷重を軸方向と直交する垂直方向に付与し、150m/minの周速でシャフトを回転させたときのシャフトと軸受の電気的導通をシャフトと軸受の接触有無と置き換え、評価した。作動後、10秒〜11秒の間に電気的導通が非接触を示す割合が40%以上を○、40%未満で20%以上を△、20%未満を×とした。
Figure 0005675090
この表2に示される通り、通気度は、多孔質鉄粉を増加するほど低下している。これは、微細な気孔の増加によるものである。
耐焼付き性の評価では、多孔質鉄粉が増加すると耐焼き付き性が低下する傾向となった。これは、金属接触による摩耗が発生し、摺動面の気孔の減少による潤滑油供給源の減少によるものと考えられる。逆に、通常還元鉄粉が増加すると耐焼付き性が向上する傾向となった。
摩擦係数は、通常還元鉄粉が増加するとやや増加傾向が見られた。これは、円換算直径で0.007mm以上の気孔が増加することにより、摺動時の軸受体内に油がリークすることが原因と考えられる。
油の出方と油膜保持性とは相反する特性であり、多孔質鉄粉が少ないほど、油は出易くなるが、油膜保持性は低下し、逆に、多孔質鉄粉が多くなるほど、油は出にくくなり、油膜保持性が高くなる。
以上の評価結果より、気孔が微細化することは、通気度を下げ、軸を支える油圧が向上することから、油が十分に存在する条件化では摩擦係数を低減することが可能となるが、気孔が微細なため、軸との摺動により、摺動面の気孔の減少を引き起こし易くなり、油の供給源を遮断され易くなることから、耐焼付き性が低下する。
また、気孔が粗大化することは、気孔が大きいために軸との摺動によっても気孔の減少を引き起こし難く、耐焼付き性が良好である反面、通気度が高いため、油が供給されても軸受体内にリークし易く、軸を支える油圧が低下することから、摩擦係数がやや上がる傾向にある。
これらの結果を総合すると、焼結含油軸受としては、多孔質鉄粉と通常還元鉄粉との混合比率が15:85(実施例1)、同50:50(実施例2)、同85:15(実施例3)が良好である。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記実施形態では、固体潤滑剤を用いて摺動特性を向上させるようにしたが、必ずしも必須のものではない。

Claims (4)

  1. 銅を10〜50重量%、低融点金属を0.1〜5重量%含有する鉄銅系材料を用いた焼結含油軸受であって、
    気孔率は10〜30容量%とされるとともに、内部に微細気孔を有する多孔質鉄粉と、通常鉄粉とを含む原料粉末が焼結されており、内部に形成される気孔は、そのうちの45%以下が円換算径で0.003mm以下の気孔とされ、20%以上が円換算径で0.007mm以上の気孔とされていることを特徴とする焼結含油軸受。
  2. 固体潤滑剤が0.2〜5重量%含有されていることを特徴とする請求項1記載の焼結含油軸受。
  3. 鉄銅系材料の原料粉末を成形して焼結することにより請求項1記載の焼結含油軸受を製造する方法であって、
    前記原料粉末は、銅粉を10〜50重量%、低融点金属を0.1〜5重量%含有し、
    鉄粉は、内部に微細気孔を有する見掛け密度1〜2g/cmの多孔質鉄粉と、見掛け密度1.7〜3g/cmの通常鉄粉との混合粉であり、該混合粉のうち前記多孔質鉄粉の混合比率が15〜85重量%であり、
    焼結温度を、850〜1000℃(ただし、850℃及び1000℃を除く)とすることを特徴とする焼結含油軸受の製造方法。
  4. 前記原料粉末に固体潤滑剤を0.2〜5重量%含有することを特徴とする請求項3記載の焼結含油軸受の製造方法。
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