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JP5669288B2 - シェル型フレーム部材及び座席構造 - Google Patents

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Description

本発明は、衝撃吸収構造体を少なくとも一部に用いたシェル型フレーム部材及び該シェル型フレーム部材を少なくとも一部に用いた座席構造に関する。
特許文献1〜5には、座部フレームに、立体編物(三次元ネット材)などのクッション材を掛け渡して形成される座席構造が開示されている。このように、クッション材を座部フレームに掛け渡して形成する場合、底付き防止、振動吸収特性や衝撃吸収特性を上げるため、立体編物や二次元の布帛などのベースネットを、上記クッション材の下方に、弾性部材を介して設けている。特許文献1〜5では、いずれも、トーションバーと、このトーションバーに連結され、該トーションバーを支点として回動可能に支持されるアームと、該アームに支持される支持フレームとを備えてなるトーションバーユニットを、座部の後部に配置し、ベースネットの後端を該支持フレームに連結することにより、ベースネットを弾性的に支持している。
特開2004−347577号公報 特開2003−182427号公報 特開2004−188164号公報 特開2004−141545号公報 WO2004/007238A1号公報
特許文献1〜5に開示された技術によれば、立体編物、トーションバー等を用いることにより、ウレタン材を利用したものと比較して、軽量化、薄型化を図ることができる。また、立体編物及びトーションバー等のバネ系、ダンパ系が、振動吸収作用を担うと共に、衝撃吸収作用についてもこれらのバネ系、ダンパ系が主として機能する。その一方、座席構造のさらなる薄型化を図ろうとすると、座席構造の骨格系の剛性を上げていく必要がある。しかし、そうなると、車の後方衝突などによって発生する衝撃力を吸収するメカニズムが必要になる。衝撃力を吸収するメカニズムがないと、座席構造の中でのウイークポイントに力が集中する。このため、その部分の破壊を避けるための補強を行わなければならず、その結果として薄型化を図ったにも拘わらず重量アップにつながる。この重量アップを避けるには、薄型化された座席構造の中で衝撃力を吸収するクラッシャブルゾーンを設ける必要性がでてくる。また、立体編物を薄くしたり、トーションバーを廃止したりした場合にも、衝撃吸収作用をバネ系、ダンパ系以外に求める必要がある。
本発明は上記に鑑みなされたものであり、座席構造のフレーム部材として好適であり、座席構造のさらなる軽量化、薄型化に寄与できる衝撃吸収構造体を用いたシェル型フレーム部材及び座席構造を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を達成するため鋭意検討を重ねた結果、次のような知見を得た。すなわち、例えば、同種材質の面状部材同士を2枚接合させた同種積層体の引張り応力及びアイゾット衝撃強さは、面状部材1枚の引張応力及びアイゾット衝撃強さと比較すると通常2倍になるはずである。しかし、2枚の同種積層体に異種の面状部材を介在させた3層構造とすると、衝撃を受けた場合に層間剥離を生じ、積層体を構成する各面状部材の強度的なつながりが損なわれ、引張り応力及びアイゾット衝撃強さが共に、同種材質2枚を積層させてなる同種積層体よりも低下する、つまり、面状部材1枚の引張応力及びアイゾット衝撃強さの2倍未満になるという知見を得た。そこで、この低下した分に相当する力が各層間で層間剥離を起こさせる力として消費されるという前提に基づき、本発明を完成するに至った。
すなわち、請求項1記載の本発明では、座席構造のシートバック部に用いられるシェル型フレーム部材であって、
合成樹脂製の面状部材間に、両面が接着剤を介して接合される布製の面状部材を有する積層体から構成され、
前記積層体には凹凸部が形成され、前記凹凸部に位置する前記布製の面状部材は、前記凹凸部が形成されている範囲の周長よりも長い長さを有し、余肉部が生じた状態で積層されていることを特徴とする座席構造におけるシェル型フレーム部材を提供する。
請求項2記載の本発明では、前記合成樹脂製の面状部材が、繊維強化プラスチックである請求項1記載のシェル型フレーム部材を提供する。
請求項3記載の本発明では、前記布製の面状部材が、2軸織物又は4軸織物である請求項1又は2記載のシェル型フレーム部材を提供する。
請求項4記載の本発明では、シートクッション部とシートバック部とを備えた座席構造であって、
請求項1〜3のいずれかに記載のシェル型フレーム部材が、前記シートバック部に用いられていることを特徴とする座席構造を提供する。
請求項5記載の本発明では、輸送機器用シートであることを特徴とする請求項4記載の座席構造を提供する。
本発明の衝撃吸収構造体は、少なくとも2層の異種材質の面状部材を接合させた積層体から構成され、衝撃を受けた際に、積層体を構成する各層間で層間剥離を生じさせ、同種材質の面状部材同士を接合させてなる同種積層体と比較した場合に、引張応力及びアイゾット衝撃強さのいずれもが低下する構造である。つまり、衝撃エネルギーは、部品同士の連結部位、例えば、座席構造の場合には、リクライナを介してのつなぎ部位などにおいて局所的に集中しやすいが、本発明は、この衝撃エネルギーを、積層体の面状部材同士を剥離させる力としても消費させ、それにより、局所集中を緩和し、広い面で衝撃エネルギーの散逸を図るものである。従って、この衝撃吸収構造体を、シェル型フレーム部材として用いることにより、シェル型フレーム部材そのもので衝撃を吸収できることになるため、該シェル型フレーム部材及びこれを用いた座席構造のさらなる軽量化、薄型化を図ることができる。但し、層間剥離による衝撃エネルギーの散逸現象を起こさせる必要がある一方で、衝撃に伴う大きな荷重を受け止める部位も必要であるため、シェル型フレーム部材の中で、かかる層間剥離は部分的に生じる構造であることが好ましい。
なお、本発明は、2枚の同種積層体に異種の面状部材を介在させた3層構造の積層体とすると、層間剥離による衝撃エネルギーの散逸現象を生じさせやすいため好ましい。なかでも、合成樹脂製の面状部材間に布製の面状部材をサンドイッチした構成で、それらを接着剤を介して接合した構成とすることがより好ましい。また、積層体に、凹凸部を形成すると、衝撃を受けた際に、この凹凸部付近において層間剥離が生じやすくなるため、上記した荷重を受ける部位と層間剥離によるエネルギーを吸収する部位とを任意に設定しやすくなる。さらに、布製の面状部材として、該凹凸部が形成されている範囲の周長よりも長い長さのものを使用し、余肉部が生じた状態で積層すると、凹凸部付近における層間剥離をさらに生じさせやすくなるため好ましい。
図1は、本発明の一の実施形態に係る衝撃吸収構造体を示す一部断面図である。 図2は、上記実施形態の衝撃吸収構造体を用いたシートクッション部とシートバック部とを備えた自動車用の座席構造を示した斜視図である。 図3は、図2の座席構造を背面方向から見た斜視図である。 図4は、上記実施形態の衝撃吸収構造体を採用したシェル型フレーム部材の凹凸部における断面図である。 図5(a)〜(c)は、試験例1の各試験片の引張応力の結果を示すグラフであり、図5(d)は、比較例1の各試験片の引張応力を示すグラフである。 図6(a)〜(d)は、図5(a)〜(d)の各平均値のみを取り出して示したグラフである。 図7は、試験例1及び試験例2で用いた2軸織物単体、4軸織物単体のロール方向での引張試験の結果を示す図である。 図8は、試験例1及び試験例2で用いた2軸織物単体、4軸織物単体のバイアス方向での引張試験の結果を示す図である。 図9は、試験例1及び試験例2で用いた2軸織物単体、4軸織物単体の幅方向での引張試験の結果を示す図である。 図10は、試験例3において後方モーメント実験を行った後のシェル型フレーム部材の左右の凹凸部付近の様子を示す図である。 図11は、試験例3の座席構造及びカーボンシェルからなる座席構造の後方モーメントを比較したグラフである。 図12(a),(b)は、2枚の合成樹脂製の面状部材間に2軸織物を接着剤を介してサンドイッチした積層体により製作した、断面略L字状のサイドフレームカバーを示した図である。
以下、図面に示した本発明の実施形態に基づき、さらに詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る衝撃吸収構造体1の一例を示す一部断面図である。この図に示したように、本実施形態の衝撃吸収構造体1は、2枚の合成樹脂製の面状部材2,3間に、布製の面状部材4がサンドイッチされてなる積層体から構成されている。一方の面状部材2と布製の面状部材4、及び、布製の面状部材4と他方の面状部材3は、それぞれ接着剤を介して接合されている。
合成樹脂製の面状部材2,3は、例えば、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂からなるものを用いることができる。また、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂にガラス繊維等を入れた繊維強化プラスチックを用いることもできる。布製の面状部材4は、2軸織物、3軸織物、4軸織物又は三次元立体編物から選ばれることが好ましく、このうち、2軸織物を用いることがより好ましい。2軸織物が好ましい点については、後述の試験例で詳述する。なお、三次元立体編物は、所定間隔をおいて位置する一対のグランド編地間に連結糸を往復させて編成したもので、ダブルラッセル機等を用いて形成され、本実施形態の場合、厚さ2〜6mmの範囲のものを用いることが好ましく、さらには、2〜4mmの範囲のものを用いることがより好ましい。また、衝撃吸収構造体1は、例えば、合成樹脂製の面状部材2,3を予め成型しておき、一方の面状部材2と布製の面状部材4、及び、布製の面状部材4と他方の面状部材3は、それぞれ接着剤を介して接合することにより製造できる。また、布製の面状部材4の両面に、接着剤を介して繊維を貼着し、該繊維に対して合成樹脂材を積層して製造することもできる。なお、接着剤としては、例えば、合成ゴム系接着剤、熱硬化性接着剤が用いられる。
図2及び図3は、シートクッション部20とシートバック部30とを備えた自動車用の座席構造10を示した図である。これは、バケットシートタイプの座席構造であり、シートバック部30は、板状部材を湾曲させて形成したシェル型フレーム部材31に立体編物等の表皮材を被覆して形成されている。本実施形態では、このシェル型フレーム部材31として、図1に示した衝撃吸収構造体1の構成を採用している。すなわち、本実施形態のシェル型フレーム部材31は、合成樹脂製の面状部材2,3と、両者間に接着剤を介してサンドイッチされた2軸織物からなる布製の面状部材4とから構成される。なお、図2及び図3に示したような、座席構造10に用いられるシェル型フレーム部材31の場合には、所望の強度を得るために、合成樹脂製の面状部材2,3と布製の面状部材4からなる積層体は、厚さ1〜4mmの範囲とすることが好ましい。
また、シェル型フレーム部材31は、薄型であるため、図2及び図3に示したように、適宜部位に凹凸部31aを形成し、断面係数を高めることによって、強度を確保する構成とすることが好ましい。また、図4に示したように、凹凸部31aを形成した範囲では、その周長L1よりも、布製の面状部材4の方が長く、余肉部(弛んだ部分)4aが生じた状態で積層されていることが好ましい。これにより、衝撃を受けて凹凸部31aがその厚み方向に押圧された場合、余肉部4aの部分が伸びようとするため、凹凸部31a付近において、布製の面状部材4が合成樹脂製の各面状部材2,3からより確実に剥離できる。
(試験例1)
一般積層用不飽和ポリエステル樹脂(九州塗料工業株式会社製、製品名:「POLYKYUTO PC-420 TN」)を母材とする繊維強化プラスチック間に、帝人(株)製のポリエチレンナフタレート(PEN)繊維(1100dtex)から形成した2軸織物(縦:20本/inch、横:20本/inch)をサンドイッチした積層体(試験例1)を製作した。具体的には、強化材であるガラス繊維を2軸織物の両面に、合成ゴム系接着剤(米国、Airtech社製、スプレー式合成ゴム系接着剤、商品名:AIRTAC 2)により接合し、これに、上記の一般積層用不飽和ポリエステル樹脂を積層して成型した。この積層体から試験片を準備した。試験片は、ロールで提供された2軸織物のロールの巻き取り方向(ロール方向)に沿った方向が引張り方向になるもの、斜め方向(バイアス方向)が引張り方向になるもの、幅方向が引張り方向となるものをそれぞれ3枚(n1,n2,n3)ずつ準備した。各試験片について、引張応力及びアイゾット衝撃強さを求めた。引張応力は、JIS K7113に規定された引張試験により測定した。引張試験で用いた試験片は、JIS K7139(引用規格ISO 527−2)に規定されたものを準備した。アイゾット衝撃強さは、JIS K7110に規定されたアイゾット衝撃試験により測定した。アイゾット衝撃試験で用いた試験片は、JIS K7139(引用規格ISO 180)に規定されたものを準備した。引張応力は、表1に示したとおりである。なお、表1中、tは各試験片の厚さ(積層体としての厚さ)、Wcは各試験片の幅である。また、表2は、2軸織物を介さずに、合成樹脂製の面状部材同士を積層した積層体、具体的には、ガラス繊維同士を上記と同じ接着剤を用いて接合し、一般積層用不飽和ポリエステル樹脂を積層して成型した積層体(同種積層体(比較例1))の引張応力である。
Figure 0005669288
Figure 0005669288
図5の(a)〜(c)は、表1の引張応力の結果をグラフ化したものであり、各方向とも、試験片3枚の平均の引張応力も求めている。図5(d)は、表2の引張応力をグラフ化したものである。なお、図5(d)の同種積層体の場合には、2軸織物を介しておらず、切り出した試験片に方向性はないため、切り出し方向は考慮せずに、上記と同じ大きさに切り出した3枚の試験片について測定し、その平均を求めている。
図6は、上記図5の各平均値のみを取り出して示したグラフである。このうち、図6(a)〜(c)は、図6(d)の同種積層体の平均値を併せて表示している。
上記の結果、まず、表1及び表2から、ロール方向では、比較例1の同種積層体の引張応力が75.9MPaであるのに対し、試験例1の積層体は、各試験片の平均値で、ロール方向:52.4MPa、バイアス方向:48.8MPa、幅方向:57.4MPaであり、低下率は、それぞれ、31.0%、35.7%、24.4%であった。2軸織物を介して接着剤を用いて積層した異種積層体の引張応力が、同種積層体の引張応力よりも小さくなるということは、2軸織物と各繊維強化プラスチック(ガラス繊維)との間で層間剥離が生じたことを示すものであり、この低下した引張応力分が衝撃エネルギーの吸収分となる。図6から同種積層体と比較したときの試験例1の各試験片のエネルギー吸収量を求めると、図6(a)のロール方向は1220N・mm、図6(b)のバイアス方向は18433N・mm、図6(c)の幅方向は9257.9N・mmであった。
一方、アイゾット衝撃強さは、表3及び表4に示したように、比較例1の同種積層体が46.9kJ/mであったのに対し、試験例1の積層体は、ロール方向:33.7kJ/m、バイアス方向:31.9kJ/m、幅方向:28.8kJ/mであり、低下率は、それぞれ28.1%、32.0%、38.6%であった。従って、試験例1の積層体は、比較例1の同種積層体よりもアイゾット衝撃強さも低下しており、その分、衝撃エネルギーの吸収に役立つことがわかる。
Figure 0005669288
Figure 0005669288
(試験例2)
試験例1の2軸織物に代えて、アラミド繊維(帝人プロダクツ(株)製、商標「テクノーラ」)を用いて形成した4軸織物をサンドイッチした積層体(試験例2)を製作した。試験例2においても、4軸織物のロールの巻き取り方向(ロール方向)に沿った方向が引張り方向になるもの、斜め方向(バイアス方向)が引張り方向になるもの、幅方向が引張り方向になるものをそれぞれ3枚(n1,n2,n3)ずつ準備した。各試験片について、引張応力及びアイゾット衝撃強さを求めた。なお、試験片の規格及び各試験の方法は試験例1の場合と全く同じである。表5が、引張試験により求めた引張応力の結果である。
Figure 0005669288
比較例1の同種積層体の引張応力が75.9MPa(表2参照)であるのに対し、表5から、試験例1の積層体は、各試験片の平均値で、ロール方向:70.7MPa、バイアス方向:74.8MPa、幅方向:62.8MPaであり、低下率は、それぞれ、6.9%、1.4%、17.3%であった。試験例2においても、4軸織物を接着剤を用いて積層した異種積層体の引張応力は、同種積層体の引張応力よりも小さくなっており、4軸織物と各繊維強化プラスチック(ガラス繊維)との間で層間剥離が生じ、低下した引張応力分、衝撃エネルギーを吸収できることがわかる。
しかしながら、試験例1の2軸織物を介在させた場合と試験例2の4軸織物を介在させた場合とでは、比較例1の同種積層体と比べた時の引張応力の低下率は2軸織物の方が大きく、衝撃エネルギーの吸収の点では2軸織物を用いた方が好ましいと言える。
但し、2軸織物を介在させた試験例1の積層体、4軸織物を介在させた試験例2の積層体のいずれの場合も、比較例1の同種積層体よりも引張応力が低下しており、試験例1の低下率は、24.4〜35.7%の範囲、試験例2の低下率は、1.4〜17.3%の範囲である。低下率が40%を大きく超えるような場合には、強度的に低すぎると考えられるため、低下率は40%以下、好ましくは2軸織物の低下率の範囲を含む20〜40%となるものが望ましい。
一方、試験例2の積層体のアイゾット衝撃強さは、表6に示したように、ロール方向:44.1kJ/m、バイアス方向:48.3kJ/m、横方向:49.6kJ/mであった。ロール方向については、比較例1の同種積層体のアイゾット衝撃強さ:46.9kJ/m(表4参照)よりも6.0%低下していたが、バイアス方向及び横方向は比較例1の同種積層体を上回るものであった。このことから、引張応力、アイゾット衝撃強さのいずれの試験においても、比較例1の同種積層体より値が小さくなる2軸織物を用いた試験例1の積層体がより確実に層間剥離による衝撃吸収機能を発揮できる。特に、後方衝突事故の場合の人のダメージを軽減できる。なお、アイゾット衝撃強さの低下率も、低すぎては本来必要な強度を維持できない可能性があるため、低下率40%以下であって、好ましくは2軸織物の低下率(28.1〜38.6%)を含む20〜40%となるものが望ましい。
Figure 0005669288
ここで、2軸織物と4軸織物との違いを調べるため、2軸織物単体及び4軸織物単体について、試験例1と同様に、ロール方向、バイアス方向、幅方向に切り出した各試験片について引張試験を行った。結果を図7〜図9に示す。なお、図7〜図9において「PEN」の付いた表示は2軸織物の試験片を示し、「TNRB」の付いた表示は4軸織物の試験片を示す。まず、2軸織物について比較すると、ロール方向と幅方向の引張応力に比べ、バイアス方向の引張応力が極めて低い。これに対し、4軸織物の場合には、バイアス方向の引張応力が最も高く、ロール方向と幅方向の引張応力が小さくなっている。
これらのことから、2軸織物及び4軸織物とも、引張方向によって、応力に差が存在することがわかる。従って、衝撃が加わった際には、各織物の繊維は、応力の弱い方に向かってねじれるようになり、このねじれが合成樹脂製の面状部材から剥がれようとする力として作用する。そして、2軸織物と4軸織物とを比較した場合には、引張方向による応力の差は、2軸織物の方が著しく大きい。従って、2軸織物は衝撃を受けた際のねじれが4軸織物より大きく、この点からも、2軸織物の方が層間剥離を生じやすいことがわかる。
(試験例3)
試験例1の試験片と同じ構成の積層体(平均厚さ:2.3mm)を用いたシェル型フレーム部材31を製作した。そして、該シェル型フレーム部材31をシートバック部30に採用し、このシートバック部30をリクライニングナックルを介してシートクッション部20と結合した座席構造10(図2及び図3参照)を製作した。
この座席構造10を用いて後方モーメント実験を行った。本実験は、座席構造に組み立てた状態で、人の背部形状を模擬したバックパンにより、シートバック部に後方へ荷重をかけて行う。
図10は、後方モーメント実験後のシェル型フレーム部材31の左右の凹凸部31a付近の様子を示す図である。この図に示したように、凹凸部31a付近において、表面の合成樹脂に白化が生じ、2軸織物が裂けずに表層、下層の合成樹脂製の面状部材との間で剥離が生じたことがわかる。従って、合成樹脂と2軸織物との間に層間剥離が生じ、この剥離により、衝撃によって生じる衝撃エネルギーが吸収される。
また、試験例3の座席構造(本発明のシェル型フレーム部材31を用いた座席構造)で採用したものと同じリクライニングナックルを使用してシートバック部とシートクッション部とを連結したカーボンシェルを用いた座席構造に、試験例3と同様の後方モーメント実験を行った。試験例3の座席構造及びカーボンシェルからなる座席構造の後方モーメントを比較したグラフが図11である。
図11から、リクライニングナックルが同一の強度を有するにも拘わらず、試験例3の座席構造の方が、後方モーメントの絶対値が上昇し、かつ、後方へのフレームのたわみ量も減少していた。両者の差が、層間剥離によるエネルギー吸収量の差である。換言すると、試験例3の座席構造の方が後方モーメントの絶対値が上昇している等の現象は、カーボンシェルからなる座席構造と比較して、リクライニングナックルに集中する衝撃荷重が小さくなっているということを示すものであり、両者の差分が、積層体の各面状部材を層間剥離させる力として働き、衝撃エネルギーを散逸させている。
(試験例4)
試験例1と同じ積層体により、断面略L字状のサイドフレームカバー21を製作した。このサイドフレームカバー21を図12に示したように、略コ字状の板厚1.2mmの金属製のサイドフレーム基体22に向かい合わせて連結した。そして、サイドフレームカバー21に、該サイドフレームカバー21の厚み方向に貫通するようにベルトアンカー23を取り付け、このベルトアンカー23にシートベルト24の基部をボルトを介して固定した。かかる状態で、ベルトアンカー23がその軸方向と直交する方向(図12の矢印A方向)に引っ張っられるようにシートベルト24に負荷をかけた。
その結果、サイドフレームカバー21には割れが生じず、ベルトアンカー22の貫通穴が拡径するような変形が生じただけであった。従って、上記実施形態で用いた2軸織物を合成樹脂製の面状部材でサンドイッチした積層体は、層間剥離作用による衝撃吸収作用に加えて、高い剛性が得られることがわかった。
1 衝撃吸収構造体
2,3 合成樹脂製の面状部材
4 布製の面状部材
10 座席構造
20 シートクッション部
21 サイドフレームカバー
30 シートバック部
31 シェル型フレーム部材
31a 凹凸部

Claims (5)

  1. 座席構造のシートバック部に用いられるシェル型フレーム部材であって、
    合成樹脂製の面状部材間に、両面が接着剤を介して接合される布製の面状部材を有する
    積層体から構成され、
    前記積層体には凹凸部が形成され、前記凹凸部に位置する前記布製の面状部材は、前記凹凸部が形成されている範囲の周長よりも長い長さを有し、余肉部が生じた状態で積層されていることを特徴とする座席構造におけるシェル型フレーム部材。
  2. 前記合成樹脂製の面状部材が、繊維強化プラスチックである請求項1記載のシェル型フレーム部材。
  3. 前記布製の面状部材が、2軸織物又は4軸織物である請求項1又は2記載のシェル型フレーム部材。
  4. シートクッション部とシートバック部とを備えた座席構造であって、
    請求項1〜3のいずれかに記載のシェル型フレーム部材が、前記シートバック部に用いられていることを特徴とする座席構造。
  5. 輸送機器用シートであることを特徴とする請求項4記載の座席構造。
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