以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。なお各図は、発明が理解できる程度に、構成要素の形状、大きさおよび配置が概略的に示されているに過ぎない。本発明は以下の記述によって限定されるものではなく、各構成要素は本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。なお以下の説明に用いる各図において、同様の構成要素については同一の符号を付して示し、重複する説明を省略する場合がある。本発明の有機EL素子は、必ずしも図示例の配置で、製造または使用などがなされるわけではない。なお以下の説明において特に基材の厚み方向の一方を上または上方といい、厚み方向の他方を下または下方という場合がある。
<有機EL素子の構成例>
図1を参照して、本発明の有機EL素子の構成例について説明する。
図1は、有機EL素子の構成の一例を概略的に示す断面図である。
図1に示されるように、本発明の有機EL素子10は、基本構成として、陽極32および陰極34からなる一対の電極と、該電極32,34間に設けられる複数の発光層50と、互いに隣り合う発光層50の間に設けられる電荷発生層70とを備える。電荷発生層70は、電子および正孔のうちの少なくとも一方を発生する1種以上のイオン性ポリマーを含有する。
有機EL素子10には、発光層50および電荷発生層70に加えて、所定の層が設けられることがある。たとえば所定の層として、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、および電子注入層などが一対の電極32,34間に設けられる。
以下ではつぎの(1)〜(3)の各部材をそれぞれ発光ユニット80ということがある。電荷発生層70の厚み方向において、(1)互いに隣り合う一対の電荷発生層70に挟持される部材、(2)複数の電荷発生層70のうちで最も陽極32寄りに配置される電荷発生層70と、陽極32とに挟持される部材、(3)複数の電荷発生層70のうちで最も陰極34寄りに配置される電荷発生層70と、陰極34とに挟持される部材。また以下では電荷発生層70の厚み方向に一致する方向を、単に厚み方向Zということがある。
各発光ユニット80は少なくも1層の発光層50を備える。なお各発光ユニット80には、1層の発光層50に加えて、上述の所定の層が設けられることがある。
本実施形態では有機EL素子10はx個(記号「x」は2以上の整数を表す。)の発光ユニット80を備える。
厚み方向Zに隣り合う一対の発光ユニット80間には電荷発生層70が設けられる。1つの有機EL素子70に設けられる電荷発生層70の層数は、発光ユニット80の個数よりも1だけ少なく、(x−1)である。したがってxが「2」の場合には1層の電荷発生層70が設けられ、xが3以上の場合には複数の電荷発生層70が設けられる。電荷発生層70は、その厚み方向Zの一方の表面、および厚み方向Zの他方の表面が、それぞれ、当該電荷発生層70を挟持する発光ユニット80に接して配置されている。
各発光ユニット80および各電荷発生層70は、その厚み方向Zを略一致させて配置され、厚み方向Zに沿って交互に積層されている。
以下では各発光ユニット80にそれぞれ番号を付与し、陽極32寄りのものから順に第1発光ユニット80、第2発光ユニット80、・・・、第x発光ユニット80と記載することがある。たとえば複数の発光ユニット80のうちで最も陽極32寄りのものを第1発光ユニット80と記載し、最も陰極34寄りのものを第x発光ユニット80と記載する。また第n発光ユニット80(記号「n」は、1以上x以下の整数を表す。)に含まれる発光層50を、発光ユニット80の番号に対応させて第n発光層50と記載することがある。
各発光ユニット80において、上述した所定の層のうちで正孔注入層および正孔輸送層は、発光層50よりも陽極32寄りに配置され、電子注入層および電子輸送層は、発光層50よりも陰極34寄りに配置される。
各電荷発生層70は、(1)単一の層からなる単層体、または(2)複数の層が積層された積層体によって構成されている。図1に示す実施形態では各電荷発生層70は正孔発生層74と電子発生層72とが積層されて構成される。各電荷発生層70において、正孔発生層74および電子発生層72のうち、正孔発生層74は陰極34寄りに配置され、電子発生層72は陽極32寄りに配置される。
電荷発生層70は発光ユニット80間に設けられることから、発光ユニット80と電荷発生層70とからなる積層体において、最も陽極32寄りの端部、および最も陰極34寄りの端部には、それぞれ発光ユニット80が配置されている。具体的には、最も陽極32寄りの端部には第1発光ユニット80が配置され、最も陰極34寄りの端部には第x発光ユニット80が配置されている。したがって陽極32には第1発光ユニット80が接して配置され、陰極34には第x発光ユニット80が接して配置される。
本実施形態では有機EL素子10は第1の基材22上に設けられる。そして有機EL素子10の陽極32が、第1の基材22の厚み方向に対向する2つの主表面の一方に接して設けられている。
図1に示す本実施形態の第1発光ユニット80は陽極32に接して配置されている。この第1発光ユニット80は、正孔注入層42aと正孔輸送層42bと第1発光層50とからなり、正孔注入層42a、正孔輸送層42b、および第1発光層50が、陽極32側からこの順で積層されて構成される。
また図1に示す実施形態では全ての発光ユニット80のうちで、第1および第x発光ユニット80を除く残余の発光ユニット80は、発光層50のみから構成されている。なお前述したように各発光ユニット80は発光層50に加えて、所定の層を含んでいてもよい。
また図1に示す本実施形態の第x発光ユニット80は第x発光層50および電子注入層44からなり、陽極32側から第x発光層50および電子注入層44がこの順で積層されて構成される。
そして陰極34は、第x発光ユニット80の電子注入層44に接して設けられる。
図1に示す実施形態では、陰極34上に第2の基材24が設けられる。この第2の基材24は接着部材によって第1の基材22に貼合されている。有機EL素子10は、第1の基材22、第2の基材24および接着部材によって囲繞されることにより、気密に封止される。
本発明の有機EL素子10は、電子注入層44および電荷発生層70が含有するイオン性ポリマーに特徴を有している。このためまずイオン性ポリマーについて説明し、次いでこのイオン性ポリマーが用いられる電子注入層44および電荷発生層70について説明する。
(イオン性ポリマー)
本発明において用い得るイオン性ポリマーとしては、例えば、下記式(1)で表される基及び下記式(2)で表される基からなる群から選ばれる1種以上の基を含む構造単位を有する重合体が挙げられる。イオン性ポリマーの一形態としては、式(1)で表される基及び式(2)で表される基からなる群から選ばれる1種以上の基を含む構造単位を、全構造単位中、15〜100モル%有する重合体が挙げられる。
−(Q1)n1−Y1(M1)a1(Z1)b1 (1)
(式(1)中、Q1は2価の有機基を表し、Y1は、−CO2 -、−SO3 -、−SO2 -又は−PO3 2-を表し、M1は金属カチオン又は置換基を有し若しくは有さないアンモニウムカチオンを表し、Z1はF-、Cl-、Br-、I-、OH-、RaSO3 -、RaCOO-、ClO-、ClO2 -、ClO3 -、ClO4 -、SCN-、CN-、NO3 -、SO4 2-、HSO4 -、PO4 3-、HPO4 2-、H2PO4 -、BF4 -又はPF6 -を表し、n1は0以上の整数を表し、a1は1以上の整数を表し、b1は0以上の整数を表し、ただし、a1及びb1は、式(1)で表される基の電荷が0となるように選択され、Raは置換基を有し若しくは有さない炭素原子数1〜30のアルキル基又は置換基を有し若しくは有さない炭素原子数6〜50のアリール基を表し、Q1、M1及びZ1のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。)
−(Q2)n2−Y2(M2)a2(Z2)b2 (2)
(式(2)中、
Q2は2価の有機基を表し、
Y2はカルボカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニルカチオン又はスルホニルカチオン又はヨードニウムカチオンを表し、M2はF-、Cl-、Br-、I-、OH-、RbSO3 -、RbCOO-、ClO-、ClO2 -、ClO3 -、ClO4 -、SCN-、CN-、NO3 -、SO4 2-、HSO4 -、PO4 3-、HPO4 2-、H2PO4 -、BF4 -又はPF6 -を表し、Z2は金属カチオン又は置換基を有し若しくは有さないアンモニウムカチオンを表し、n2は0以上の整数を表し、a2は1以上の整数を表し、b2は0以上の整数を表し、ただし、a2及びb2は、式(2)で表される基の電荷が0となるように選択され、Rbは置換基を有し若しくは有さない炭素原子数1〜30のアルキル基又は置換基を有し若しくは有さない炭素原子数6〜50のアリール基を表し、Q2、M2及びZ2のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。)
本発明で用いられるイオン性ポリマーの一形態としては、さらに下記式(3)で表される基を有する重合体が挙げられる。イオン性ポリマーが式(3)で表される基を有する場合、式(3)で表される基は、イオン性ポリマーの構造単位中に含まれていてもよく、式(1)で表される基及び式(2)で表される基からなる群から選ばれる一種以上の基を含む構造単位と同一の構造単位内に含まれていてもよいし、異なる他の構造単位内に含まれていてもよい。さらに、イオン性ポリマーの一形態としては、式(1)で表される基、式(2)で表される基、及び式(3)で表される基のうち少なくとも1種を含む構造単位を、全構造単位中、15〜100モル%有する重合体が挙げられる。
−(Q3)n3−Y3 (3)
(式(3)中、
Q3は2価の有機基を表し、Y3は−CN又は式(4)〜(12)のいずれかで表される基を表し、n3は0以上の整数を表す。
−O−(R’O)a3−R’’ (4)
−S−(R’S)a4−R’’ (6)
−C(=O)−(R’−C(=O))a4−R’’ (7)
−C(=S)−(R’−C(=S))a4−R’’ (8)
−N{(R’)a4R’’}2 (9)
−C(=O)O−(R’−C(=O)O)a4−R’’ (10)
−C(=O)O−(R’O)a4−R’’ (11)
−NHC(=O)−(R’NHC(=O))a4−R’’ (12)
(式(4)〜(12)中、R’は置換基を有し又は有さない2価の炭化水素基を表し、R’’は水素原子、置換基を有し若しくは有さない1価の炭化水素基、−COOH、−SO3H、−OH、−SH、−NRc 2、−CN又は−C(=O)NRc 2を表し、R’’’は置換基を有し若しくは有さない3価の炭化水素基を表し、a3は1以上の整数を表し、a4は0以上の整数を表し、Rcは置換基を有し若しくは有さない炭素原子数1〜30のアルキル基又は置換基を有し若しくは有さない炭素原子数6〜50のアリール基を表し、R’、R’’及びR’’’のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。))
イオン性ポリマーは、式(13)で表される構造単位、式(15)で表される構造単位、式(17)で表される構造単位及び式(20)で表される構造単位からなる群から選ばれる1種以上の構造単位を、全構造単位中、15〜100モル%含むことが好ましい。
(式(13)中、R1は式(14)で表される基を含む1価の基であり、Ar1はR1以外の置換基を有し又は有さない(2+n4)価の芳香族基を表し、n4は1以上の整数を表し、R1は複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。
(式(14)中、R2は(1+m1+m2)価の有機基を表し、Q1、Q3、Y1、M1、Z1、Y3、n1、a1、b1及びn3は前述と同じ意味を表し、m1及びm2はそれぞれ独立に1以上の整数を表し、Q1、Q3、Y1、M1、Z1、Y3、n1、a1、b1及びn3のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。))
(式(15)中、R3は式(16)で表される基を含む1価の基であり、Ar2はR3以外の置換基を有し又は有さない(2+n5)価の芳香族基を表し、n5は1以上の整数を表し、R3は複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。
(式(16)中、R4は(1+m3+m4)価の有機基を表し、Q2、Q3、Y2、M2、Z2、Y3、n2、a2、b2及びn3は前述と同じ意味を表し、m3及びm4はそれぞれ独立に1以上の整数を表す。Q2、Q3、Y2、M2、Z2、Y3、n2、a2、b2及びn3のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。))
(式(17)中、R5は式(18)で表される基を含む1価の基であり、R6は式(19)で表される基を含む1価の基であり、Ar3はR5及びR6以外の置換基を有し又は有さない(2+n6+n7)価の芳香族基を表し、n6及びn7はそれぞれ独立に1以上の整数を表し、R5及びR6のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。
−R7−{(Q1)n1−Y1(M1)a1(Z1)b1}m5 (18)
(式(18)中、R7は直接結合又は(1+m5)価の有機基を表し、Q1、Y1、M1、Z1、n1、a1及びb1は前述と同じ意味を表し、m5は1以上の整数を表し、Q1、Y1、M1、Z1、n1、a1及びb1のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。)
−R8−{(Q3)n3−Y3}m6 (19)
(式(19)中、R8は単結合又は(1+m6)価の有機基を表し、Y3及びn3は前述と同じ意味を表し、m6は1以上の整数を表し、ただし、R8が単結合のときm6は1を表し、Q3、Y3及びn3のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。))
(式(20)中、R9は式(21)で表される基を含む1価の基であり、R10は式(22)で表される基を含む1価の基であり、Ar4はR9及びR10以外の置換基を有し又は有さない(2+n8+n9)価の芳香族基を表し、n8及びn9はそれぞれ独立に1以上の整数を表し、R9及びR10のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。
−R11−{(Q2)n2−Y2(M2)a2(Z2)b2}m7 (21)
(式(21)中、R11は単結合又は(1+m7)価の有機基を表し、Q2、Y2、M2、Z2、n2、a2及びb2は前述と同じ意味を表し、m7は1以上の整数を表し、ただし、R11が単結合のときm7は1を表し、Q2、Y2、M2、Z2、n2、a2及びb2のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。)
−R12−{(Q3)n3−Y3}m8 (22)
(式(22)中、R12は単結合又は(1+m8)価の有機基を表し、Y3及びn3は前述と同じ意味を表し、m8は1以上の整数を表し、ただし、R12が単結合のときm8は1を表し、Q3、Y3及びn3、のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。))
前記イオン性ポリマー中の構造単位は、式(1)で表される基を2種類以上含んでいてもよく、式(2)で表される基を2種類以上含んでいてもよく、式(3)で表される基を2種類以上含んでいてもよい。
−式(1)で表される基−
式(1)中、Q1で表される2価の有機基としては、メチレン基、エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、1,2−ブチレン基、1,3−ブチレン基、1,4−ブチレン基、1,5−ペンチレン基、1,6−ヘキシレン基、1,9−ノニレン基、1,12−ドデシレン基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50の2価の飽和炭化水素基;エテニレン基、プロペニレン基、3−ブテニレン基、2−ブテニレン基、2−ペンテニレン基、2−ヘキセニレン基、2−ノネニレン基、2−ドデセニレン基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数2〜50のアルケニレン基、及び、エチニレン基を含む、置換基を有し又は有さない炭素原子数2〜50の2価の不飽和炭化水素基;シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、シクロノニレン基、シクロドデシレン基、ノルボニレン基、アダマンチレン基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数3〜50の2価の環状飽和炭化水素基;1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、1,4−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、ビフェニル−4,4'−ジイル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜50のアリーレン基;メチレンオキシ基、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基、ブチレンオキシ基、ペンチレンオキシ基、ヘキシレンオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルキレンオキシ基;炭素原子を含む置換基を有するイミノ基;炭素原子を含む置換基を有するシリレン基が挙げられ、イオン性ポリマーの原料となるモノマー(以下、「原料モノマー」と言う。)の合成の容易さの観点からは、2価の飽和炭化水素基、アリーレン基、アルキレンオキシ基が好ましい。
前記置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、シアノ基及びニトロ基等が挙げられ、前記置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。これらのうち、アミノ基、シリル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基及びニトロ基以外の置換基は炭素原子を含む。
以下、置換基について説明する。なお、「Cm〜Cn」(m、nはm<nを満たす正の整数である)という用語は、この用語とともに記載された有機基の炭素原子数がm〜nであることを表す。例えば、Cm〜Cnアルキル基であれば、アルキル基の炭素原子数がm〜nであることを表し、Cm〜Cnアルキルアリール基であれば、アルキル基の炭素原子数がm〜nであることを表し、アリール−Cm〜Cnアルキル基であれば、アルキル基の炭素原子数がm〜nであることを表す。
アルキル基は、直鎖状でも分岐状でもよく、シクロアルキル基でもよい。アルキル基の炭素原子数は通常1〜20であり、1〜10が好ましい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基等が挙げられる。前記アルキル基中の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。該当するフッ素原子置換アルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基等が挙げられる。なお、C1〜C12アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基が挙げられる。
アルコキシ基は、直鎖状でも分岐状でもよく、シクロアルキルオキシ基であってもよく、置換基を有していてもよい。アルコキシ基の炭素原子数は通常1〜20であり、1〜10が好ましい。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ラウリルオキシ基等が挙げられる。前記アルコキシ基中の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。該当するフッ素原子置換アルコキシ基としては、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、パーフルオロブトキシ基、パーフルオロヘキシルオキシ基、パーフルオロオクチルオキシ基等が挙げられる。また、該アルコキシ基には、メトキシメチルオキシ基、2−メトキシエチルオキシ基も含まれる。なお、C1〜C12アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基が挙げられる。
アルキルチオ基としては、直鎖状でも分岐状でもよく、シクロアルキルチオ基であってもよく、置換基を有していてもよい。アルキルチオ基の炭素原子数は通常1〜20であり、1〜10が好ましい。アルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、イソブチルチオ基、s−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、ラウリルチオ基等が挙げられる。前記アルキルチオ基中の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。該当するフッ素原子置換アルキルチオ基としては、トリフルオロメチルチオ基等が挙げられる。
アリール基は、芳香族炭化水素から芳香環を構成する炭素原子に結合した水素原子1個を除いた残りの原子団であり、ベンゼン環を持つ基、縮合環を持つ基、独立したベンゼン環又は縮合環2個以上が単結合又は2価の有機基、例えば、ビニレン基等のアルケニレン基を介して結合した基も含まれる。アリール基は、炭素原子数が通常6〜60であり、7〜48であることが好ましい。アリール基としては、フェニル基、C1〜C12アルコキシフェニル基、C1〜C12アルキルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基等が挙げられる。前記アリール基中の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。該当するフッ素原子置換アリール基としては、ペンタフルオロフェニル基等が挙げられる。アリール基の中では、C1〜C12アルコキシフェニル基、C1〜C12アルキルフェニル基が好ましい。
前記アリール基のうち、C1〜C12アルコキシフェニル基としては、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、プロピルオキシフェニル基、イソプロピルオキシフェニル基、ブトキシフェニル基、イソブトキシフェニル基、s−ブトキシフェニル基、t−ブトキシフェニル基、ペンチルオキシフェニル基、ヘキシルオキシフェニル基、シクロヘキシルオキシフェニル基、ヘプチルオキシフェニル基、オクチルオキシフェニル基、2−エチルヘキシルオキシフェニル基、ノニルオキシフェニル基、デシルオキシフェニル基、3,7−ジメチルオクチルオキシフェニル基、ラウリルオキシフェニル基等が挙げられる。
前記アリール基のうち、C1〜C12アルキルフェニル基としては、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ジメチルフェニル基、プロピルフェニル基、メシチル基、メチルエチルフェニル基、イソプロピルフェニル基、ブチルフェニル基、イソブチルフェニル基、t−ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、イソアミルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ドデシルフェニル基等が挙げられる。
アリールオキシ基は、炭素原子数が通常6〜60であり、7〜48であることが好ましい。アリールオキシ基としては、フェノキシ基、C1〜C12アルコキシフェノキシ基、C1〜C12アルキルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、ペンタフルオロフェニルオキシ基等が挙げられる。アリールオキシ基の中では、C1〜C12アルコキシフェノキシ基及びC1〜C12アルキルフェノキシ基が好ましい。
前記アリールオキシ基のうち、C1〜C12アルコキシフェノキシ基としては、メトキシフェノキシ基、エトキシフェノキシ基、プロピルオキシフェノキシ基、イソプロピルオキシフェノキシ基、ブトキシフェノキシ基、イソブトキシフェノキシ基、s−ブトキシフェノキシ基、t−ブトキシフェノキシ基、ペンチルオキシフェノキシ基、ヘキシルオキシフェノキシ基、シクロヘキシルオキシフェノキシ基、ヘプチルオキシフェノキシ基、オクチルオキシフェノキシ基、2−エチルヘキシルオキシフェノキシ基、ノニルオキシフェノキシ基、デシルオキシフェノキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシフェノキシ基、ラウリルオキシフェノキシ基等が挙げられる。
前記アリールオキシ基のうち、C1〜C12アルキルフェノキシ基としては、メチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、プロピルフェノキシ基、1,3,5−トリメチルフェノキシ基、メチルエチルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、ブチルフェノキシ基、イソブチルフェノキシ基、s−ブチルフェノキシ基、t−ブチルフェノキシ基、ペンチルフェノキシ基、イソアミルフェノキシ基、ヘキシルフェノキシ基、ヘプチルフェノキシ基、オクチルフェノキシ基、ノニルフェノキシ基、デシルフェノキシ基、ドデシルフェノキシ基等が挙げられる。
アリールチオ基は、例えば、前述のアリール基に硫黄元素が結合した基である。アリールチオ基は、前記アリール基の芳香環上に置換基を有していてもよい。アリールチオ基は、炭素原子数が通常6〜60であり、6〜30であることが好ましい。アリールチオ基としては、フェニルチオ基、C1〜C12アルコキシフェニルチオ基、C1〜C12アルキルフェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基、ペンタフルオロフェニルチオ基等が挙げられる。
アリールアルキル基は、例えば、前述のアリール基に前述のアルキル基が結合した基である。アリールアルキル基は、置換基を有していてもよい。アリールアルキル基は、炭素原子数が通常7〜60であり、7〜30であることが好ましい。アリールアルキル基としては、フェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル基、1−ナフチル−C1〜C12アルキル基、2−ナフチル−C1〜C12アルキル基等が挙げられる。
アリールアルコキシ基は、例えば、前述のアリール基に前述のアルコキシ基が結合した基である。アリールアルコキシ基は、置換基を有していてもよい。アリールアルコキシ基は、炭素原子数が通常7〜60であり、7〜30であることが好ましい。アリールアルコキシ基としては、フェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルコキシ基、1−ナフチル−C1〜C12アルコキシ基、2−ナフチル−C1〜C12アルコキシ基等が挙げられる。
アリールアルキルチオ基は、例えば、前述のアリール基に前述のアルキルチオ基が結合した基である。アリールアルキルチオ基は、置換基を有していてもよい。アリールアルキルチオ基は、炭素原子数が通常7〜60であり、7〜30であることが好ましい。アリールアルキルチオ基としては、フェニル−C1〜C12アルキルチオ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルチオ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルチオ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルチオ基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルチオ基等が挙げられる。
アリールアルケニル基は、例えば、前述のアリール基にアルケニル基が結合した基である。アリールアルケニル基は、炭素原子数が通常8〜60であり、8〜30であることが好ましい。アリールアルケニル基としては、フェニル−C2〜C12アルケニル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルケニル基、C1〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルケニル基、1−ナフチル−C2〜C12アルケニル基、2−ナフチル−C2〜C12アルケニル基等が挙げられ、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルケニル基、C2〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルケニル基が好ましい。なお、C2〜C12アルケニル基としては、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、1−オクテニル基が挙げられる。
アリールアルキニル基は、例えば、前述のアリール基にアルキニル基が結合した基である。アリールアルキニル基は、炭素原子数が通常8〜60であり、8〜30であることが好ましい。アリールアルキニル基としては、フェニル−C2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルキニル基、1−ナフチル−C2〜C12アルキニル基、2−ナフチル−C2〜C12アルキニル基等が挙げられ、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルキニル基が好ましい。なお、C2〜C12アルキニル基としては、例えば、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、1−ヘキシニル基、2−ヘキシニル基、1−オクチニル基が挙げられる。
置換アミノ基としては、アミノ基の中の少なくとも1個の水素原子が、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基及び1価の複素環基からなる群から選択される1又は2個の基によって置換されたアミノ基が好ましい。該アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基は置換基を有していてもよい。置換アミノ基の炭素原子数は、該アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基が有していてもよい置換基の炭素原子数を含めないで通常1〜60であり、2〜48が好ましい。置換アミノ基としては、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、s−ブチルアミノ基、t−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基、3,7−ジメチルオクチルアミノ基、ラウリルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、ジシクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ジトリフルオロメチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、(C1〜C12アルコキシフェニル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルコキシフェニル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル)アミノ基、1−ナフチルアミノ基、2−ナフチルアミノ基、ペンタフルオロフェニルアミノ基、ピリジルアミノ基、ピリダジニルアミノ基、ピリミジルアミノ基、ピラジニルアミノ基、トリアジニルアミノ基、(フェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、(C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、(C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルアミノ基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルアミノ基等が挙げられる。
置換シリル基としては、シリル基の中の少なくとも1個の水素原子が、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基及び1価の複素環基からなる群から選択される1〜3個の基によって置換されたシリル基が挙げられる。該アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基は置換基を有していてもよい。置換シリル基の炭素原子数は、該アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基が有していてもよい置換基の炭素原子数を含めないで通常1〜60であり、3〜48が好ましい。なお、置換シリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、イソプロピルジメチルシリル基、イソプロピルジエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、ペンチルジメチルシリル基、ヘキシルジメチルシリル基、ヘプチルジメチルシリル基、オクチルジメチルシリル基、2−エチルヘキシルジメチルシリル基、ノニルジメチルシリル基、デシルジメチルシリル基、3,7−ジメチルオクチルジメチルシリル基、ラウリルジメチルシリル基、(フェニル−C1〜C12アルキル)シリル基、(C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル)シリル基、(C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル)シリル基、(1−ナフチル−C1〜C12アルキル)シリル基、(2−ナフチル−C1〜C12アルキル)シリル基、(フェニル−C1〜C12アルキル)ジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、トリ(p−キシリル)シリル基、トリベンジルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
アシル基は、炭素原子数が通常2〜20であり、2〜18であることが好ましい。アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、トリフルオロアセチル基、ペンタフルオロベンゾイル基等が挙げられる。
アシルオキシ基は、炭素原子数が通常2〜20であり、2〜18であることが好ましい。アシルオキシ基としては、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、トリフルオロアセチルオキシ基、ペンタフルオロベンゾイルオキシ基等が挙げられる。
イミン残基は、式:H−N=C<及び式:−N=CH−の少なくとも一方で表される構造を有するイミン化合物から、この構造中の水素原子1個を除いた残基を意味する。このようなイミン化合物としては、例えば、アルジミン、ケチミン及びアルジミン中の窒素原子に結合した水素原子がアルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基等で置換された化合物が挙げられる。イミン残基の炭素原子数は、通常2〜20であり、2〜18が好ましい。イミン残基としては、例えば、一般式:−CRβ=N−Rγ又は一般式:−N=C(Rγ)2(式中、Rβは水素原子、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、又はアリールアルキニル基を表し、Rγは独立に、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、又はアリールアルキニル基を表し、ただし、Rγが2個存在する場合、2個のRγは相互に結合し一体となって2価の基、例えば、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等の炭素原子数2〜18のアルキレン基として環を形成してもよい。)で表される基が挙げられる。イミン残基としては、以下の基が挙げられる。
(式中、Meはメチル基を示し、以下、同様である。)
アミド基は、炭素原子数が通常1〜20であり、2〜18であることが好ましい。アミド基としては、ホルムアミド基、アセトアミド基、プロピオアミド基、ブチロアミド基、ベンズアミド基、トリフルオロアセトアミド基、ペンタフルオロベンズアミド基、ジホルムアミド基、ジアセトアミド基、ジプロピオアミド基、ジブチロアミド基、ジベンズアミド基、ジトリフルオロアセトアミド基、ジペンタフルオロベンズアミド基等が挙げられる。
酸イミド基は、酸イミドからその窒素原子に結合した水素原子を除いて得られる残基であり、炭素原子数が通常4〜20であり、4〜18であることが好ましい。酸イミド基としては、以下の基が挙げられる。
1価の複素環基とは、複素環式化合物から水素原子1個を除いた残りの原子団をいう。ここで、複素環式化合物とは、環式構造をもつ有機化合物のうち、環を構成する元素として、炭素原子だけでなく、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子、ホウ素原子、ケイ素原子、セレン原子、テルル原子、ヒ素原子等のヘテロ原子を含む有機化合物をいう。1価の複素環基は置換基を有していてもよい。1価の複素環基は、炭素原子数が通常3〜60であり、3〜20が好ましい。なお、1価の複素環基の炭素原子数には、置換基の炭素原子数は含まないものとする。このような1価の複素環基としては、例えば、チエニル基、C1〜C12アルキルチエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、C1〜C12アルキルピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジル基、ピラジニル基、トリアジニル基、ピロリジル基、ピペリジル基、キノリル基、イソキノリル基が挙げられ、中でも、チエニル基、C1〜C12アルキルチエニル基、ピリジル基及びC1〜C12アルキルピリジル基が好ましい。なお、1価の複素環基としては、1価の芳香族複素環基が好ましい。
置換カルボキシル基とは、カルボキシル基中の水素原子が、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基で置換された基、すなわち、式:−C(=O)OR*(式中、R*はアルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基)で表される基である。置換オキシカルボニル基は、炭素原子数が通常2〜60であり、2〜48であることが好ましい。前記アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基は、置換基を有していてもよい。なお、上記炭素原子数には、前記アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基が有していてもよい置換基の炭素原子数は含まないものとする。置換カルボキシル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、s−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシロキシカルボニル基、シクロヘキシロキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシロキシカルボニル基、ノニルオキシカルボニル基、デシロキシカルボニル基、3,7−ジメチルオクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基、トリフルオロメトキシカルボニル基、ペンタフルオロエトキシカルボニル基、パーフルオロブトキシカルボニル基、パーフルオロヘキシルオキシカルボニル基、パーフルオロオクチルオキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、ナフトキシカルボニル基、ピリジルオキシカルボニル基等が挙げられる。
式(1)中、Y1は、−CO2 -、−SO3 -、−SO2 -、−PO3 -、又は−B(Ra)3 −等の1価の基を表し、Y1としては、イオン性ポリマーの酸性度の観点からは−CO2 -、−SO2 -、−PO3 -が好ましく、−CO2 -がより好ましく、イオン性ポリマーの安定性の観点からは、−CO2 -、−SO3 -、−SO2 -又は−PO3 -が好ましい。
式(1)中、M1は金属カチオン又は置換基を有し若しくは有さないアンモニウムカチオンを表す。金属カチオンとしては、1価、2価又は3価のイオンが好ましく、Li、Na、K、Cs、Be、Mg、Ca、Ba、Ag、Al、Bi、Cu、Fe、Ga、Mn、Pb、Sn、Ti、V、W、Y、Yb、Zn、Zr等のイオンが挙げられ、Li+、Na+、K+、Cs+、Ag+、Mg2+、Ca2+が好ましい。また、アンモニウムイオンが有していてもよい置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基等の炭素原子数1〜10のアルキル基が挙げられる。
式(1)中、Z1はF-、Cl-、Br-、I-、OH-、RaSO3 -、RaCOO-、ClO-、ClO2 -、ClO3 -、ClO4 -、SCN-、CN-、NO3 -、SO4 2-、HSO4 -、PO4 3-、HPO4 2-、H2PO4 -、BF4 -又はPF6 -を表す。
式(1)中、n1は0以上の整数を表し、原料モノマーの合成の観点から、好ましくは0から8の整数であり、より好ましくは0から2の整数である。
式(1)中、a1は1以上の整数を表し、b1は0以上の整数を表す。
a1及びb1は、式(1)で表される基の電荷が0となるように選択される。例えば、Y1が−CO2 -、−SO3 -、−SO2 -、−PO3 -、又は−B(Ra)3 −であり、M1が1価の金属カチオン又は置換基を有し若しくは有さないアンモニウムカチオンであり、Z1がF-、Cl-、Br-、I-、OH-、RaSO3 -、RaCOO-、ClO-、ClO2 -、ClO3 -、ClO4 -、SCN-、CN-、NO3 -、HSO4 -、H2PO4 -、BF4 -又はPF6 -である場合は、a1=b1+1を満たすように選択される。Y1が−CO2 -、−SO3 -、−SO2 -、−PO3 -、又は−B(Ra)3 −であり、M1が2価の金属カチオンであり、Z1がF-、Cl-、Br-、I-、OH-、RaSO3 -、RaCOO-、ClO-、ClO2 -、ClO3 -、ClO4 -、SCN-、CN-、NO3 -、HSO4 -、H2PO4 -、BF4 -又はPF6 -である場合は、b1=2×a1−1を満たすように選択される。Y1が−CO2 -、−SO3 -、−SO2 -、−PO3 -、又は−B(Ra)3 −であり、M1が3価の金属カチオンであり、Z1がF-、Cl-、Br-、I-、OH-、RaSO3 -、RaCOO-、ClO-、ClO2 -、ClO3 -、ClO4 -、SCN-、CN-、NO3 -、HSO4 -、H2PO4 -、BF4 -又はPF6 -である場合は、b1=3×a1−1を満たすように選択される。Y1が−CO2 -、−SO3 -、−SO2 -、−PO3 -、又は−B(Ra)3 −であり、M1が1価の金属カチオン又は置換基を有し若しくは有さないアンモニウムカチオンであり、Z1がSO4 2−又はHPO4 2−である場合には、a1=2×b1+1を満たすように選択される。a1とb1との関係を表す上記のいずれの数式においても、a1は好ましくは1から5の整数であり、より好ましくは1又は2である。
Raは置換基を有し若しくは有さない炭素原子数1〜30のアルキル基又は置換基を有し若しくは有さない炭素原子数6〜50のアリール基を表すが、これらの基が有していてもよい置換基としては、前述のQ1に関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。Raとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基等の炭素原子数1〜20のアルキル基、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基等の炭素原子数6〜30のアリール基等が挙げられる。
前記式(1)で表される基としては、例えば、以下の基が挙げられる。
−式(2)で表される基−
式(2)中、Q2で表される2価の有機基としては、前述のQ1で表される2価の有機基について例示したものと同様の基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、2価の飽和炭化水素基、アリーレン基、アルキレンオキシ基が好ましい。
前記Q2で表される2価の有機基の例として挙げた基は置換基を有していてもよく、当該置換基としては、前述のQ1に関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
式(2)中、Y2はカルボカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニルカチオン、スルホニルカチオン、又はヨードニウムカチオンを表す。
カルボカチオンとしては、例えば、
−C+R2
(式中、Rは、同一又は相異なり、アルキル基又はアリール基を表す。)で表される基が挙げられる。
アンモニウムカチオンとしては、例えば、
−N+R3
(式中、Rは、同一又は相異なり、アルキル基又はアリール基を表す。)で表される基が挙げられる。
ホスホニルカチオンとしては、例えば、
−P+R3
(式中、Rは、同一又は相異なり、アルキル基又はアリール基を表す。)で表される基が挙げられる。
スルホニルカチオンとしては、例えば、
−S+R2
(式中、Rは、同一又は相異なり、アルキル基又はアリール基を表す。)で表される基が挙げられる。
ヨードニウムカチオンとしては、例えば、
−I+R2
(式中、Rは、同一又は相異なり、アルキル基又はアリール基を表す。)で表される基が挙げられる。
式(2)中、Y2は、原料モノマーの合成の容易さ並びに原料モノマー及びイオン性ポリマーの空気、湿気又は熱に対する安定性の観点からは、カルボカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニルカチオン、スルホニルカチオンが好ましく、アンモニウムカチオンがより好ましい。
式(2)中、Z2は金属カチオン又は置換基を有し若しくは有さないアンモニウムカチオンを表す。金属カチオンとしては、1価、2価又は3価のイオンが好ましく、Li、Na、K、Cs、Be、Mg、Ca、Ba、Ag、Al、Bi、Cu、Fe、Ga、Mn、Pb、Sn、Ti、V、W、Y、Yb、Zn、Zr等のイオンが挙げられる。また、アンモニウムカチオンが有していてもよい置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基等の炭素原子数1〜10のアルキル基が挙げられる。
式(2)中、M2はF-、Cl-、Br-、I-、OH-、RbSO3 -、RbCOO-、ClO-、ClO2 -、ClO3 -、ClO4 -、SCN-、CN-、NO3 -、SO4 2-、HSO4 -、PO4 3-、HPO4 2-、H2PO4 -、BF4 -又はPF6 -を表す。
式(2)中、n2は0以上の整数を表し、好ましくは0から6の整数であり、より好ましくは0から2の整数である。
式(2)中、a2は1以上の整数を表し、b2は、0以上の整数を表す。
a2及びb2は、式(2)で表される基の電荷が0となるように選択される。例えば、M2がF-、Cl-、Br-、I-、OH-、RbSO3 -、RbCOO-、ClO-、ClO2 -、ClO3 -、ClO4 -、SCN-、CN-、NO3 -、HSO4 -、H2PO4 -、BF4 -又はPF6 -である場合、Z2が1価の金属イオン又は置換基を有し若しくは有さないアンモニウムイオンであれば、a2=b2+1を満たすように選択され、Z2が2価の金属イオンであれば、a2=2×b2+1を満たすように選択され、Z2が3価の金属イオンであれば、a2=3×b2+1を満たすように選択される。M2がSO4 2-、HPO4 2-である場合、Z2が1価の金属イオン又は置換基を有し若しくは有さないアンモニウムイオンであれば、b2=2×a2−1を満たすように選択され、Z2が3価の金属イオンであれば、2×a2=3×b2+1の関係を満たすように選択される。a2とb2との関係を表す上記のいずれの数式においても、a2は好ましくは1から3の整数であり、より好ましくは1又は2である。
Rbは置換基を有し若しくは有さない炭素原子数1〜30のアルキル基又は置換基を有し若しくは有さない炭素原子数6〜50のアリール基を表すが、これらの基が有していてもよい置換基としては、前述のQ1に関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。Rbとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基等の炭素原子数1〜20のアルキル基、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基等の炭素原子数6〜30のアリール基等が挙げられる。
前記式(2)で表される基としては、例えば、以下の基が挙げられる。
−式(3)で表される基−
式(3)中、Q3で表される2価の有機基としては、前述のQ1で表される2価の有機基について例示したものと同様の基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、2価の飽和炭化水素基、アリーレン基、アルキレンオキシ基が好ましい。
前記Q3で表される2価の有機基の例として挙げた基は置換基を有していてもよく、当該置換基としては、前述のQ1に関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
前記Q3で表される2価の有機基としては、−(CH2)−で表される基であることが好ましい。
n3は0以上の整数を表し、好ましくは0から20の整数であり、より好ましくは0から8の整数である。
式(3)中、Y3は−CN又は式(4)〜(12)のいずれかで表される基を表す。
式(4)〜(12)中、R’で表される2価の炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、1,2−ブチレン基、1,3−ブチレン基、1,4−ブチレン基、1,5−ペンチレン基、1,6−ヘキシレン基、1,9−ノニレン基、1,12−ドデシレン基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50の2価の飽和炭化水素基;エテニレン基、プロペニレン基、3−ブテニレン基、2−ブテニレン基、2−ペンテニレン基、2−ヘキセニレン基、2−ノネニレン基、2−ドデセニレン基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数2〜50のアルケニレン基、及び、エチニレン基を含む、置換基を有し又は有さない炭素原子数2〜50の2価の不飽和炭化水素基;シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、シクロノニレン基、シクロドデシレン基、ノルボニレン基、アダマンチレン基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数3〜50の2価の環状飽和炭化水素基;1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、1,4−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、ビフェニル−4,4’−ジイル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜50のアリーレン基;メチレンオキシ基、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基、ブチレンオキシ基、ペンチレンオキシ基、ヘキシレンオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルキレンオキシ基等が挙げられる。
前記置換基としては、前述のQ1に関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
式(4)〜(12)中、R’’で表される1価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基等が挙げられる。イオン性ポリマーの溶解性の観点からは、メチル基、エチル基、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基が好ましい。前記置換基としては、前述のQ1に関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
式(5)中、R’’’で表される3価の炭化水素基としては、メタントリイル基、エタントリイル基、1,2,3−プロパントリイル基、1,2,4−ブタントリイル基、1,2,5−ペンタントリイル基、1,3,5−ペンタントリイル基、1,2,6−ヘキサントリイル基、1,3,6−ヘキサントリイル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキルトリイル基;1,2,3−ベンゼントリイル基、1,2,4−ベンゼントリイル基、1,3,5−ベンゼントリイル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基等が挙げられる。イオン性ポリマーの溶解性の観点からは、メタントリイル基、エタントリイル基、1,2,4−ベンゼントリイル基、1,3,5−ベンゼントリイル基が好ましい。前記置換基としては、前述のQ1に関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
式(4)〜(12)中、Rcとしては、イオン性ポリマーの溶解性の観点からは、メチル基、エチル基、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基が好ましい。
式(4)及び式(5)中、a3は1以上の整数を表し、3〜10の整数が好ましい。式(6)〜(12)中、a4は0以上の整数を表す。式(6)においては、a4は、0〜30の整数が好ましく、3〜20の整数がより好ましい。式(7)〜(10)においては、a4は、0〜10の整数が好ましく、0〜5の整数がより好ましい。式(11)においては、a4は、0〜20の整数が好ましく、3〜20の整数がより好ましい。式(12)においては、a4は、0〜20の整数が好ましく、0〜10の整数がより好ましい。
Y3としては、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、−CN、式(4)で表される基、式(6)で表される基、式(10)で表される基、式(11)で表される基が好ましく、式(4)で表される基、式(6)で表される基、式(11)で表される基がより好ましく、以下の基が特に好ましい。
−イオン性ポリマー中の構造単位−
本発明に用いられるイオン性ポリマーは、前記式(13)で表される構造単位、前記式(15)で表される構造単位、前記式(17)で表される構造単位、前記式(20)で表される構造単位を有することが好ましく、前記構造単位を全構造単位中、15〜100モル%有するイオン性ポリマーであることがより好ましい。
・式(13)で表される構造単位
式(13)中、R1は式(14)で表される基を含む1価の基であり、Ar1はR1以外の置換基を有し又は有さない(2+n4)価の芳香族基を表し、n4は1以上の整数を表す。
式(14)で表される基は、Ar1に直接結合していてもよく、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ノニレン基、ドデシレン基、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、シクロノニレン基、シクロドデシレン基、ノルボニレン基、アダマンチレン基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルキレン基;オキシメチレン基、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシペンチレン基、オキシヘキシレン基、オキシノニレン基、オキシドデシレン基、シクロプロピレンオキシ基、シクロブチレンオキシ基、シクロペンチレンオキシ基、シクロへキシレンオキシ基、シクロノニレンオキシ基、シクロドデシレンオキシ基、ノルボニレンオキシ基、アダマンチレンオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のオキシアルキレン基;置換基を有し又は有さないイミノ基;置換基を有し又は有さないシリレン基;置換基を有し又は有さないエテニレン基;エチニレン基;置換基を有し又は有さないメタントリイル基;酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を介してAr1に結合していてもよい。
前記Ar1はR1以外の置換基を有していてもよい。当該置換基としては、前述のQ1に関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。前記置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
前記Ar1が有するR1以外の置換基としては、原料モノマーの合成の容易さの観点から、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、カルボキシル基又は置換カルボキシル基であることが好ましい。
式(13)中、n4は1以上の整数を表し、好ましくは1から4の整数であり、より好ましくは1から3の整数である。
式(13)中のAr1で表される(2+n4)価の芳香族基としては、(2+n4)価の芳香族炭化水素基、(2+n4)価の芳香族複素環基が挙げられ、炭素原子のみ、又は、炭素原子と、水素原子、窒素原子及び酸素原子からなる群から選ばれる1つ以上の原子とからなる(2+n4)価の芳香族基が好ましい。該(2+n4)価の芳香族基としては、ベンゼン環、ピリジン環、1,2−ジアジン環、1,3−ジアジン環、1,4−ジアジン環、1,3,5−トリアジン環、フラン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサゾール環、アザジアゾール環等の単環式芳香環から水素原子を(2+n4)個除いた(2+n4)価の基;該単環式芳香環からなる群から選ばれる二つ以上の環が縮合した縮合多環式芳香環から水素原子を(2+n4)個除いた(2+n4)価の基;該単環式芳香環及び該縮合多環式芳香環からなる群より選ばれる二つ以上の芳香環を、単結合、エテニレン基又はエチニレン基で連結してなる芳香環集合から水素原子を(2+n4)個除いた(2+n4)価の基;該縮合多環式芳香環又は該芳香環集合の隣り合う2つの芳香環をメチレン基、エチレン基、カルボニル基等の2価の基で橋かけした架橋を有する有橋多環式芳香環から水素原子を(2+n4)個除いた(2+n4)価の基等が挙げられる。
単環式芳香環としては、例えば、以下の環が挙げられる。
縮合多環式芳香環としては、例えば、以下の環が挙げられる。
芳香環集合としては、例えば、以下の環が挙げられる。
有橋多環式芳香環としては、例えば、以下の環が挙げられる。
前記(2+n4)価の芳香族基としては、原料モノマーの合成の容易さの観点から、式1〜14、26〜29、37〜39又は41で表される環から水素原子を(2+n4)個除いた基が好ましく、式1〜6、8、13、26、27、37又は41で表される環から水素原子を(2+n4)個除いた基がより好ましく、式1、37又は41で表される環から水素原子を(2+n4)個除いた基がさらに好ましい。
式(14)中、R2で表される(1+m1+m2)価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基から(m1+m2)個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基から(m1+m2)個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基から(m1+m2)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基から(m1+m2)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基から(m1+m2)個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基から(m1+m2)個の水素原子を除いた基、アリール基から(m1+m2)個の水素原子を除いた基、アルコキシ基から(m1+m2)個の水素原子を除いた基が好ましい。
前記置換基としては、前述のQ1に関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。前記置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
・式(15)で表される構造単位
式(15)中、R3は式(16)で表される基を含む1価の基であり、Ar2はR3以外の置換基を有し又は有さない(2+n5)価の芳香族基を表し、n5は1以上の整数を表す。
式(16)で表される基は、Ar2に直接結合していてもよく、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ノニレン基、ドデシレン基、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、シクロノニレン基、シクロドデシレン基、ノルボニレン基、アダマンチレン基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルキレン基;オキシメチレン基、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシペンチレン基、オキシヘキシレン基、オキシノ
ニレン基、オキシドデシレン基、シクロプロピレンオキシ基、シクロブチレンオキシ基、
シクロペンチレンオキシ基、シクロへキシレンオキシ基、シクロノニレンオキシ基、シクロドデシレンオキシ基、ノルボニレンオキシ基、アダマンチレンオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のオキシアルキレン基;置換基を有し又は有さないイミノ基;置換基を有し又は有さないシリレン基;置換基を有し又は有さないエテニレン基;エチニレン基;置換基を有し又は有さないメタントリイル基;酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を介してAr2に結合していてもよい。
前記Ar2はR3以外の置換基を有していてもよい。当該置換基としては、前述のQ1に関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。前記置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
前記Ar2が有するR3以外の置換基としては、原料モノマーの合成の容易さの観点から、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、カルボキシル基又は置換カルボキシル基であることが好ましい。
式(15)中、n5は1以上の整数を表し、好ましくは1から4の整数であり、より好ましくは1から3の整数である。
式(15)中のAr2で表される(2+n5)価の芳香族基としては、(2+n5)価の芳香族炭化水素基、(2+n5)価の芳香族複素環基が挙げられ、炭素原子のみ、又は、炭素原子と、水素原子、窒素原子及び酸素原子からなる群から選ばれる1つ以上の原子とからなる(2+n5)価の芳香族基が好ましい。該(2+n5)価の芳香族基としては、ベンゼン環、ピリジン環、1,2−ジアジン環、1,3−ジアジン環、1,4−ジアジン環、1,3,5−トリアジン環、フラン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサゾール環、アザジアゾール環等の単環式芳香環から水素原子を(2+n5)個除いた(2+n5)価の基;該単環式芳香環からなる群から選ばれる二つ以上の環が縮合した縮合多環式芳香環から水素原子を(2+n5)個除いた(2+n5)価の基;該単環式芳香環及び該縮合多環式芳香環からなる群より選ばれる二つ以上の芳香環を、単結合、エテニレン基又はエチニレン基で連結してなる芳香環集合から水素原子を(2+n5)個除いた(2+n5)価の基;該縮合多環式芳香環又は該芳香環集合の隣り合う2つの芳香環をメチレン基、エチレン基、カルボニル基等の2価の基で橋かけした架橋を有する有橋多環式芳香環から水素原子を(2+n5)個除いた(2+n5)価の基等が挙げられる。
単環式芳香環としては、例えば、式(13)で表される構造単位に関する説明中で例示した式1〜12で表される環が挙げられる。
縮合多環式芳香環としては、例えば、式(13)で表される構造単位に関する説明中で例示した式13〜27で表される環が挙げられる。
芳香環集合としては、例えば、式(13)で表される構造単位に関する説明中で例示した式28〜36で表される環が挙げられる。
有橋多環式芳香環としては、例えば、式(13)で表される構造単位に関する説明中で例示した式37〜44で表される環が挙げられる。
前記(2+n5)価の芳香族基としては、原料モノマーの合成の容易さの観点から、式1〜14、26〜29、37〜39又は41で表される環から水素原子を(2+n5)個除いた基が好ましく、式1〜6、8、13、26、27、37又は41で表される環から水素原子を(2+n5)個除いた基がより好ましく、式1、37又は41で表される環から水素原子を(2+n5)個除いた基がさらに好ましい。
式(16)中、m3及びm4はそれぞれ独立に1以上の整数を表す。
式(16)中、R4で表される(1+m3+m4)価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基から(m3+m4)個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基から(m3+m4)個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基から(m3+m4)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基から(m3+m4)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基から(m3+m4)個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基から(m3+m4)個の水素原子を除いた基、アリール基から(m3+m4)個の水素原子を除いた基、アルコキシ基から(m3+m4)個の水素原子を除いた基が好ましい。
前記置換基としては、前述のQ1に関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。前記置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
・式(17)で表される構造単位
式(17)中、R5は式(18)で表される基を含む1価の基であり、R6は式(19)で表される基を含む1価の基であり、Ar3はR5及びR6以外の置換基を有し又は有さない(2+n6+n7)価の芳香族基を表し、n6及びn7はそれぞれ独立に1以上の整数を表す。
式(18)で表される基及び式(19)で表される基は、Ar3に直接結合していてもよく、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ノニレン基、ドデシレン基、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、シクロノニレン基、シクロドデシレン基、ノルボニレン基、アダマンチレン基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルキレン基;オキシメチレン基、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシペンチレン基、オキシヘキシレン基、オキシノニレン基、オキシドデシレン基、シクロプロピレンオキシ基、シクロブチレンオキシ基、シクロペンチレンオキシ基、シクロへキシレンオキシ基、シクロノニレンオキシ基、シクロドデシレンオキシ基、ノルボニレンオキシ基、アダマンチレンオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のオキシアルキレン基;置換基を有し又は有さないイミノ基;置換基を有し又は有さないシリレン基;置換基を有し又は有さないエテニレン基;エチニレン基;置換基を有し又は有さないメタントリイル基;酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を介してAr3に結合していてもよい。
前記Ar3はR5及びR6以外の置換基を有していてもよい。当該置換基としては、前述のQ1に関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。前記置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
前記Ar3が有するR5及びR6以外の置換基としては、原料モノマーの合成の容易さの観点から、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、カルボキシル基又は置換カルボキシル基であることが好ましい。
式(17)中、n6は1以上の整数を表し、好ましくは1から4の整数であり、より好ましくは1から3の整数である。
式(17)中、n7は1以上の整数を表し、好ましくは1から4の整数であり、より好ましくは1から3の整数である。
式(17)中のAr3で表される(2+n6+n7)価の芳香族基としては、(2+n6+n7)価の芳香族炭化水素基、(2+n6+n7)価の芳香族複素環基が挙げられ、炭素原子のみ、又は、炭素原子と、水素原子、窒素原子及び酸素原子からなる群から選ばれる1つ以上の原子とからなる(2+n6+n7)価の芳香族基が好ましい。該(2+n6+n7)価の芳香族基としては、ベンゼン環、ピリジン環、1,2−ジアジン環、1,3−ジアジン環、1,4−ジアジン環、フラン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサゾール環等の単環式芳香環から水素原子を(2+n6+n7)個除いた(2+n6+n7)価の基;該単環式芳香環からなる群から選ばれる二つ以上の環が縮合した縮合多環式芳香環から水素原子を(2+n6+n7)個除いた(2+n6+n7)価の基;該単環式芳香環及び該縮合多環式芳香環からなる群より選ばれる二つ以上の芳香環を、単結合、エテニレン基又はエチニレン基で連結してなる芳香環集合から水素原子を(2+n6+n7)個除いた(2+n6+n7)価の基;該縮合多環式芳香環又は該芳香環集合の隣り合う2つの芳香環をメチレン基、エチレン基、カルボニル基等の2価の基で橋かけした架橋を有する有橋多環式芳香環から水素原子を(2+n6+n7)個除いた(2+n6+n7)価の基等が挙げられる。
単環式芳香環としては、例えば、式(13)で表される構造単位に関する説明中で例示した式1〜5、式7〜10で表される環が挙げられる。
縮合多環式芳香環としては、例えば、式(13)で表される構造単位に関する説明中で例示した式13〜27で表される環が挙げられる。
芳香環集合としては、例えば、式(13)で表される構造単位に関する説明中で例示した式28〜36で表される環が挙げられる。
有橋多環式芳香環としては、例えば、式(13)で表される構造単位に関する説明中で例示した式37〜44で表される環が挙げられる。
前記(2+n6+n7)価の芳香族基としては、原料モノマーの合成の容易さの観点から、式1〜5、7〜10、13、14、26〜29、37〜39又は41で表される環から水素原子を(2+n6+n7)個除いた基が好ましく、式1、37又は41で表される環から水素原子を(2+n6+n7)個除いた基がより好ましく、式1、38又は42で表される環から水素原子を(2+n6+n7)個除いた基がさらに好ましい。
式(18)中、R7は単結合又は(1+m5)価の有機基を表し、(1+m5)価の有機基であることが好ましい。
式(18)中、R7で表される(1+m5)価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基からm5個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基からm5個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基からm5個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基からm5個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基からm5個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基からm5個の水素原子を除いた基、アリール基からm5個の水素原子を除いた基、アルコキシ基からm5個の水素原子を除いた基が好ましい。
前記置換基としては、前述のQ1に関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。前記置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
式(18)中、m5は1以上の整数を表し、ただし、R7が単結合のときm5は1を表す。
式(19)中、R8は単結合又は(1+m6)価の有機基を表し、(1+m6)価の有機基であることが好ましい。
式(19)中、R8で表される(1+m6)価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基からm6個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基からm6個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基からm6個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基からm6個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基からm6個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基からm6個の水素原子を除いた基、アリール基からm6個の水素原子を除いた基、アルコキシ基からm6個の水素原子を除いた基が好ましい。
前記置換基としては、前述のQ1に関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。前記置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
式(19)中、m6は1以上の整数を表し、ただし、R8が単結合のときm6は1を表す。
・式(20)で表される構造単位
式(20)中、R9は式(21)で表される基を含む1価の基であり、R10は式(22)で表される基を含む1価の基であり、Ar4はR9及びR10以外の置換基を有し又は有さない(2+n8+n9)価の芳香族基を表し、n8及びn9はそれぞれ独立に1以上の整数を表す。
式(21)で表される基及び式(22)で表される基は、Ar4に直接結合していてもよく、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ノニレン基、ドデシレン基、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、シクロノニレン基、シクロドデシレン基、ノルボニレン基、アダマンチレン基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルキレン基;オキシメチレン基、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシペンチレン基、オキシヘキシレン基、オキシノニレン基、オキシドデシレン基、シクロプロピレンオキシ基、シクロブチレンオキシ基、シクロペンチレンオキシ基、シクロへキシレンオキシ基、シクロノニレンオキシ基、シクロドデシレンオキシ基、ノルボニレンオキシ基、アダマンチレンオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のオキシアルキレン基;置換基を有し又は有さないイミノ基;置換基を有し又は有さないシリレン基;置換基を有し又は有さないエテニレン基;エチニレン基;置換基を有し又は有さないメタントリイル基;酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を介してAr4に結合していてもよい。
前記Ar4はR9及びR10以外の置換基を有していてもよい。当該置換基としては、前述のQ1に関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。前記置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
前記Ar4が有するR9及びR10以外の置換基としては、原料モノマーの合成の容易さの観点から、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、カルボキシル基又は置換カルボキシル基であることが好ましい。
式(20)中、n8は1以上の整数を表し、好ましくは1から4の整数であり、より好ましくは1から3の整数である。
式(20)中、n9は1以上の整数を表し、好ましくは1から4の整数であり、より好ましくは1から3の整数である。
式(20)中のAr4で表される(2+n8+n9)価の芳香族基としては、(2+n8+n9)価の芳香族炭化水素基、(2+n8+n9)価の芳香族複素環基が挙げられ、炭素原子のみ、又は、炭素原子と、水素原子、窒素原子及び酸素原子からなる群から選ばれる1つ以上の原子とからなる(2+n8+n9)価の芳香族基が好ましい。該(2+n8+n9)価の芳香族基としては、ベンゼン環、ピリジン環、1,2−ジアジン環、1,3−ジアジン環、1,4−ジアジン環、フラン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環等の単環式芳香環から水素原子を(2+n8+n9)個除いた(2+n8+n9)価の基;該単環式芳香環からなる群から選ばれる二つ以上の環が縮合した縮合多環式芳香環から水素原子を(2+n8+n9)個除いた(2+n8+n9)価の基;該単環式芳香環及び該縮合多環式芳香環からなる群より選ばれる二つ以上の芳香環を、単結合、エテニレン基又はエチニレン基で連結してなる芳香環集合から水素原子を(2+n8+n9)個除いた(2+n8+n9)価の基;該縮合多環式芳香環又は該芳香環集合の隣り合う2つの芳香環をメチレン基、エチレン基、カルボニル基等の2価の基で橋かけした架橋を有する有橋多環式芳香環から水素原子を(2+n8+n9)個除いた(2+n8+n9)価の基等が挙げられる。
単環式芳香環としては、例えば、式(13)で表される構造単位に関する説明中で例示した式1〜5、式7〜10で表される環が挙げられる。
縮合多環式芳香環としては、例えば、式(13)で表される構造単位に関する説明中で例示した式13〜27で表される環が挙げられる。
芳香環集合としては、例えば、式(13)で表される構造単位に関する説明中で例示した式28〜36で表される環が挙げられる。
有橋多環式芳香環としては、例えば、式(13)で表される構造単位に関する説明中で例示した式37〜44で表される環が挙げられる。
前記(2+n8+n9)価の芳香族基としては、原料モノマーの合成の容易さの観点から、式1〜5、7〜10、13、14、26〜29、37〜39又は41で表される環から水素原子を(2+n8+n9)個除いた基が好ましく、式1〜6、8、14、27、28、38又は42で表される環から水素原子を(2+n8+n9)個除いた基がより好ましく、式1、37又は41で表される環から水素原子を(2+n8+n9)個除いた基がさらに好ましい。
式(21)中、R11は単結合又は(1+m7)価の有機基を表し、(1+m7)価の有機基であることが好ましい。
式(21)中、R11で表される(1+m7)価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基からm7個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基からm7個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基からm7個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基からm7個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基からm7個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基からm7個の水素原子を除いた基、アリール基からm7個の水素原子を除いた基、アルコキシ基からm7個の水素原子を除いた基が好ましい。
前記置換基としては、前述のQ1に関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。前記置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
式(21)中、m7は1以上の整数を表し、ただし、R11が単結合のときm7は1を表す。
式(22)中、R12は単結合又は(1+m8)価の有機基を表し、(1+m8)価の有機基であることが好ましい。
式(22)中、R12で表される(1+m8)価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基からm8個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基からm8個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基からm8個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基からm8個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基からm8個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基からm8個の水素原子を除いた基、アリール基からm8個の水素原子を除いた基、アルコキシ基からm8個の水素原子を除いた基が好ましい。
前記置換基としては、前述のQ1に関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。前記置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
式(22)中、m8は1以上の整数を表し、ただし、R12が単結合のときm8は1を表す。
式(13)で表される構造単位の例
式(13)で表される構造単位としては、得られるイオン性ポリマーの電子輸送性の観点からは、式(23)で表される構造単位、式(24)で表される構造単位が好ましく、式(24)で表される構造単位がより好ましい。
(式(23)中、R13は(1+m9+m10)価の有機基を表し、R14は1価の有機基を表し、Q1、Q3、Y1、M1、Z1、Y3、n1、a1、b1及びn3は前述と同じ意味を表し、m9及びm10はそれぞれ独立に1以上の整数を表し、Q1、Q3、Y1、M1、Z1、Y3、n1、a1、b1及びn3のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。)
式(23)中、R13で表される(1+m9+m10)価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基から(m9+m10)個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基から(m9+m10)個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基から(m9+m10)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基から(m9+m10)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基から(m9+m10)個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基から(m9+m10)個の水素原子を除いた基、アリール基から(m9+m10)個の水素原子を除いた基、アルコキシ基から(m9+m10)個の水素原子を除いた基が好ましい。
式(23)中、R14で表される1価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基から1個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基から1個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基から1個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基から1個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基から1個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基から1個の水素原子を除いた基、アリール基から1個の水素原子を除いた基、アルコキシ基から1個の水素原子を除いた基が好ましい。
式(23)で表される構造単位としては、以下の構造単位が挙げられる。
(式(24)中、R13は(1+m11+m12)価の有機基を表し、Q1、Q3、Y1、M1、Z1、Y3、n1、a1、b1及びn3は前述と同じ意味を表し、m11及びm12はそれぞれ独立に1以上の整数を表し、R13、m11、m12、Q1、Q3、Y1、M1、Z1、Y3、n1、a1、b1及びn3のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。)
式(24)中、R13で表される(1+m11+m12)価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基から(m11+m12)個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基から(m11+m12)個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基から(m11+m12)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基から(m11+m12)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基から(m11+m12)個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基から(m11+m12)個の水素原子を除いた基、アリール基から(m11+m12)個の水素原子を除いた基、アルコキシ基から(m11+m12)個の水素原子を除いた基が好ましい。
式(24)で表される構造単位としては、以下の構造単位が挙げられる。
式(13)で表される構造単位としては、得られるイオン性ポリマーの耐久性の観点からは、式(25)で表される構造単位が好ましい。
(式(25)中、R15は(1+m13+m14)価の有機基を表し、Q1、Q3、Y1、M1、Z1、Y3、n1、a1、b1及びn3は前述と同じ意味を表し、m13、m14及びm15はそれぞれ独立に1以上の整数を表し、R15、m13、m14、Q1、Q3、Y1、M1、Z1、Y3、n1、a1、b1及びn3のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。)
式(25)中、R15で表される(1+m13+m14)価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基から(m13+m14)個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基から(m13+m14)個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基から(m13+m14)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基から(m13+m14)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基から(m13+m14)個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基から(m13+m14)個の水素原子を除いた基、アリール基から(m13+m14)個の水素原子を除いた基、アルコキシ基から(m13+m14)個の水素原子を除いた基が好ましい。
式(25)で表される構造単位としては、以下の構造単位が挙げられる。
式(15)で表される構造単位の例
式(15)で表される構造単位としては、得られるイオン性ポリマーの電子輸送性の観点からは、式(26)で表される構造単位、式(27)で表される構造単位が好ましく、式(27)で表される構造単位がより好ましい。
(式(26)中、R16は(1+m16+m17)価の有機基を表し、R17は1価の有機基を表し、Q2、Q3、Y2、M2、Z2、Y3、n2、a2、b2及びn3は前述と同じ意味を表し、m16及び、m17はそれぞれ独立に1以上の整数を表し、Q2、Q3、Y2、M2、Z2、Y3、n2、a2、b2及びn3のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。)
式(26)中、R16で表される(1+m16+m17)価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基から(m16+m17)個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基から(m16+m17)個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基から(m16+m17)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基から(m16+m17)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基から(m16+m17)個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基から(m16+m17)個の水素原子を除いた基、アリール基から(m16+m17)個の水素原子を除いた基、アルコキシ基から(m16+m17)個の水素原子を除いた基が好ましい。
式(26)中、R17で表される1価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基から1個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基から1個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基から1個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基から1個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基から1個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基から1個の水素原子を除いた基、アリール基から1個の水素原子を除いた基、アルコキシ基から1個の水素原子を除いた基が好ましい。
式(26)で表される構造単位としては、以下の構造単位が挙げられる。
(式(27)中、R16は(1+m16+m17)価の有機基を表し、Q2、Q3、Y2、M2、Z2、Y3、n2、a2、b2及びn3は前述と同じ意味を表し、m16及び、m17はそれぞれ独立に1以上の整数を表し、R16、m16、m17、Q2、Q3、Y2、M2、Z2、Y3、n2、a2、b2及びn3のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。)
式(27)中、R16で表される(1+m16+m17)価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基から(m16+m17)個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基から(m16+m17)個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基から(m16+m17)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基から(m16+m17)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基から(m16+m17)個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基から(m16+m17)個の水素原子を除いた基、アリール基から(m16+m17)個の水素原子を除いた基、アルコキシ基から(m16+m17)個の水素原子を除いた基が好ましい。
式(27)で表される構造単位としては、以下の構造単位が挙げられる。
式(15)で表される構造単位としては、得られるイオン性ポリマーの耐久性の観点からは、式(28)で表される構造単位が好ましい。
(式(28)中、R18は(1+m18+m19)価の有機基を表し、Q2、Q3、Y2、M2、Z2、Y3、n2、a2、b2及びn3は前述と同じ意味を表し、m18、m19及びm20はそれぞれ独立に1以上の整数を表し、R18、m18、m19、Q2、Q3、Y2、M2、Z2、Y3、n2、a2、b2及びn3のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。)
式(28)中、R18で表される(1+m18+m19)価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基から(m18+m19)個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基から(m18+m19)個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基から(m18+m19)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基から(m18+m19)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基から(m18+m19)個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基から(m18+m19)個の水素原子を除いた基、アリール基から(m18+m19)個の水素原子を除いた基、アルコキシ基から(m18+m19)個の水素原子を除いた基が好ましい。
式(28)で表される構造単位としては、以下の構造単位が挙げられる。
式(17)で表される構造単位の例
式(17)で表される構造単位としては、得られるイオン性ポリマーの電子輸送性の観点からは、式(29)で表される構造単位が好ましい。
(式(29)中、R19は単結合又は(1+m21)価の有機基を表し、R20は単結合又は(1+m22)価の有機基を表し、Q1、Q3、Y1、M1、Z1、Y3、n1、a1、b1及びn3は前述と同じ意味を表し、m21及びm22はそれぞれ独立に1以上の整数を表し、ただし、R19が単結合のときm21は1を表し、R20が単結合のときm22は1を表し、Q1、Q3、Y1、M1、Z1、Y3、n1、a1、b1及びn3のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。)
式(29)中、R19で表される(1+m21)価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基から(m21)個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基から(m21)個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基から(m21)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基から(m21)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基から(m21)個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基から(m21)個の水素原子を除いた基、アリール基から(m21)個の水素原子を除いた基、アルコキシ基から(m21)個の水素原子を除いた基が好ましい。
式(29)中、R20で表される(1+m22)価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基から(m22)個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基から(m22)個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基から(m22)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基から(m22)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基から(m22)個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基から(m22)個の水素原子を除いた基、アリール基から(m22)個の水素原子を除いた基、アルコキシ基から(m22)個の水素原子を除いた基が好ましい。
式(29)で表される構造単位としては、以下の構造単位が挙げられる。
式(17)で表される構造単位としては、得られるイオン性ポリマーの耐久性の観点からは、式(30)で表される構造単位が好ましい。
(式(30)中、R21は単結合又は(1+m23)価の有機基を表し、R22は単結合又は(1+m24)価の有機基を表し、Q1、Q3、Y1、M1、Z1、Y3、n1、a1、b1及びn3は前述と同じ意味を表し、m23及びm24はそれぞれ独立に1以上の整数を表し、ただし、R21が単結合のときm23は1を表し、R22が単結合のときm24は1を表し、m25及びm26はそれぞれ独立に1以上の整数を表し、m23、m24、R21、R22、Q1、Q3、Y1、M1、Z1、Y3、n1、a1、b1及びn3のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。)
式(30)中、R21で表される(1+m23)価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基から(m23)個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基から(m23)個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基から(m23)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基から(m23)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基から(m23)個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基から(m23)個の水素原子を除いた基、アリール基から(m23)個の水素原子を除いた基、アルコキシ基から(m23)個の水素原子を除いた基が好ましい。
式(30)中、R22で表される(1+m24)価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基から(m24)個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基から(m24)個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基から(m24)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基から(m24)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基から(m24)個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基から(m24)個の水素原子を除いた基、アリール基から(m24)個の水素原子を除いた基、アルコキシ基から(m24)個の水素原子を除いた基が好ましい。
式(30)で表される構造単位としては、以下の構造単位が挙げられる。
式(20)で表される構造単位の例
式(20)で表される構造単位としては、得られる電子輸送性の観点からは、式(31)で表される構造単位が好ましい。
(式(31)中、R23は単結合又は(1+m27)価の有機基を表し、R24は単結合又は(1+m28)価の有機基を表し、Q2、Q3、Y2、M2、Z2、Y3、n2、a2、b2及びn3は前述と同じ意味を表し、m27及びm28はそれぞれ独立に1以上の整数を表し、ただし、R23が単結合のときm27は1を表し、R24が単結合のときm28は1を表し、Q2、Q3、Y2、M2、Z2、Y3、n2、a2、b2及びn3のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。)
式(31)中、R23で表される(1+m27)価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基から(m27)個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基から(m27)個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基から(m27)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基から(m27)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基から(m27)個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基から(m27)個の水素原子を除いた基、アリール基から(m27)個の水素原子を除いた基、アルコキシ基から(m27)個の水素原子を除いた基が好ましい。
式(31)中、R24で表される(1+m28)価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基から(m28)個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基から(m28)個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基から(m28)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基から(m28)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基から(m28)個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基から(m28)個の水素原子を除いた基、アリール基から(m28)個の水素原子を除いた基、アルコキシ基から(m28)個の水素原子を除いた基が好ましい。
式(31)で表される構造単位としては、以下の構造単位が挙げられる。
式(20)で表される構造単位としては、得られるイオン性ポリマーの耐久性の観点からは、式(32)で表される構造単位が好ましい。
(式(32)中、R25は単結合又は(1+m29)価の有機基を表し、R26は単結合又は(1+m30)価の有機基を表し、Q2、Q3、Y2、M2、Z2、Y3、n2、a2、b2及びn3は前述と同じ意味を表し、m29及びm30はそれぞれ独立に1以上の整数を表し、ただし、R25が単結合のときm29は1を表し、R26が単結合のときm30は1を表し、m31及びm32はそれぞれ独立に1以上の整数を表し、m29、m30、R25、R26、Q2、Q3、Y2、M2、Z2、Y3、n2、a2、b2及びn3のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。)
式(32)中、R25で表される(1+m29)価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基から(m29)個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基から(m29)個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基から(m29)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基から(m29)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基から(m29)個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基から(m29)個の水素原子を除いた基、アリール基から(m29)個の水素原子を除いた基、アルコキシ基から(m29)個の水素原子を除いた基が好ましい。
式(32)中、R26で表される(1+m30)価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基から(m30)個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基から(m30)個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基から(m30)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基から(m30)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基から(m30)個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基から(m30)個の水素原子を除いた基、アリール基から(m30)個の水素原子を除いた基、アルコキシ基から(m30)個の水素原子を除いた基が好ましい。
式(32)で表される構造単位としては、以下の構造単位が挙げられる。
・その他の構造単位
本発明に用いられるイオン性ポリマーは、さらに式(33)で表される1種以上の構造単位を有していてもよい。
(式(33)中、Ar5は置換基を有し若しくは有さない2価の芳香族基又は置換基を有し若しくは有さない2価の芳香族アミン残基を表し、X’は置換基を有し若しくは有さないイミノ基、置換基を有し若しくは有さないシリレン基、置換基を有し若しくは有さないエテニレン基又はエチニレン基を表し、m33及びm34はそれぞれ独立に0又は1を表し、m33及びm34の少なくとも1つは1である。)
式(33)中のAr5で表される2価の芳香族基としては、2価の芳香族炭化水素基、2価の芳香族複素環基が挙げられる。該2価の芳香族基としては、ベンゼン環、ピリジン環、1,2−ジアジン環、1,3−ジアジン環、1,4−ジアジン環、1,3,5−トリアジン環、フラン環、ピロール環、チオフェン環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、アザジアゾール環等の単環式芳香環から水素原子を2個除いた2価の基;該単環式芳香環からなる群から選ばれる二つ以上が縮合した縮合多環式芳香環から水素原子を2個除いた2価の基;該単環式芳香環及び該縮合多環式芳香環からなる群より選ばれる2つ以上の芳香環を、単結合、エテニレン基又はエチニレン基で連結してなる芳香環集合から水素原子を2個除いた2価の基;該縮合多環式芳香環又は該芳香環集合の隣り合う2つの芳香環をメチレン基、エチレン基、カルボニル基、イミノ基等の2価の基で橋かけした架橋を有する有橋多環式芳香環から水素原子を2個除いた2価の基等が挙げられる。
前記縮合多環式芳香環において、縮合する単環式芳香環の数は、イオン性ポリマーの溶解性の観点からは、2〜4が好ましく、2〜3がより好ましく、2がさらに好ましい。前記芳香環集合において、連結される芳香環の数は、溶解性の観点からは、2〜4が好ましく、2〜3がより好ましく、2がさらに好ましい。前記有橋多環式芳香環において、橋かけされる芳香環の数は、イオン性ポリマーの溶解性の観点からは、2〜4が好ましく、2〜3がより好ましく、2がさらに好ましい。
前記単環式芳香環としては、例えば、以下の環が挙げられる。
前記縮合多環式芳香環としては、例えば、以下の環が挙げられる。
前記芳香環集合としては、例えば、以下の環が挙げられる。
前記有橋多環式芳香環としては、例えば、以下の環が挙げられる。
前記イオン性ポリマーの電子受容性及び正孔受容性のいずれか一方又は両方の観点からは、Ar5で表される2価の芳香族基は式45〜60、61〜71、77〜80、91、92、93又は96で表される環から水素原子を2個除いた2価の基が好ましく、式45〜50、59、60、77、80、91、92又は96で表される環から水素原子を2個除いた2価の基がより好ましい。
上記の2価の芳香族基は、置換基を有していてもよい。当該置換基としては、前述のQ1に関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。
式(33)中のAr5で表される2価の芳香族アミン残基としては、式(34)で表される基が挙げられる。
(式(34)中、Ar6、Ar7、Ar8及びAr9は、それぞれ独立に、置換基を有し若しくは有さないアリーレン基又は置換基を有し若しくは有さない2価の複素環基を表し、Ar10、Ar11及びAr12は、それぞれ独立に、置換基を有し若しくは有さないアリール基又は置換基を有し若しくは有さない1価の複素環基を表し、n10及びm35は、それぞれ独立に、0又は1を表す。)
前記アリーレン基、アリール基、2価の複素環基、1価の複素環基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アルケニル基、アルキニル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリールアルキルオキシカルボニル基、ヘテロアリールオキシカルボニル基及びカルボキシル基等が挙げられる。該置換基は、ビニル基、アセチレン基、ブテニル基、アクリル基、アクリレート基、アクリルアミド基、メタクリル基、メタクリレート基、メタクリルアミド基、ビニルエーテル基、ビニルアミノ基、シラノール基、小員環(シクロプロピル基、シクロブチル基、エポキシ基、オキセタン基、ジケテン基、エピスルフィド基等)を有する基、ラクトン基、ラクタム基、又はシロキサン誘導体の構造を含有する基等の架橋基であってもよい。
n10が0の場合、Ar6中の炭素原子とAr8中の炭素原子とが直接結合してもよく、−O−、−S−等の2価の基を介して結合していてもよい。
Ar10、Ar11、Ar12で表されるアリール基、1価の複素環基としては、前記で置換基として説明し例示したアリール基、1価の複素環基と同様である。
Ar6、Ar7、Ar8、Ar9で表されるアリーレン基としては、芳香族炭化水素から芳香環を構成する炭素原子に結合した水素原子2個を除いた残りの原子団が挙げられ、ベンゼン環を持つ基、縮合環を持つ基、独立したベンゼン環又は縮合環2個以上が単結合又は2価の有機基、例えば、ビニレン基等のアルケニレン基を介して結合した基などが挙げられる。アリーレン基は、炭素原子数が通常6〜60であり、7〜48であることが好ましい。アリーレン基の具体例としては、フェニレン基、ビフェニレン基、C1〜C17アルコキシフェニレン基、C1〜C17アルキルフェニレン基、1−ナフチレン基、2−ナフチレン基、1−アントラセニレン基、2−アントラセニレン基、9−アントラセニレン基が挙げられる。前記アリール基中の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。該当するフッ素原子置換アリール基としては、テトラフルオロフェニレン基等が挙げられる。アリール基の中では、フェニレン基、ビフェニレン基、C1〜C12アルコキシフェニレン基、C1〜C12アルキルフェニレン基が好ましい。
Ar6、Ar7、Ar8、Ar9で表される2価の複素環基としては、複素環式化合物から水素原子2個を除いた残りの原子団が挙げられる。ここで、複素環式化合物とは、環式構造をもつ有機化合物のうち、環を構成する元素として、炭素原子だけでなく、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子、ホウ素原子、ケイ素原子、セレン原子、テルル原子、ヒ素原子等のヘテロ原子を含む有機化合物をいう。2価の複素環基は置換基を有していてもよい。2価の複素環基は、炭素原子数が通常4〜60であり、4〜20が好ましい。なお、2価の複素環基の炭素原子数には、置換基の炭素原子数は含まないものとする。このような2価の複素環基としては、例えば、チオフェンジイル基、C1〜C12アルキルチオフェンジイル基、ピロールジイル基、フランジイル基、ピリジンジイル基、C1〜C12アルキルピリジンジイル基、ピリダジンジイル基、ピリミジンジイル基、ピラジンジイル基、トリアジンジイル基、ピロリジンジイル基、ピペリジンジイル基、キノリンジイル基、イソキノリンジイル基が挙げられ、中でも、チオフェンジイル基、C1〜C12アルキルチオフェンジイル基、ピリジンジイル基及びC1〜C12アルキルピリジンジイル基がより好ましい。
構造単位として2価の芳香族アミン残基を含むイオン性ポリマーは、さらに他の構造単位を有していてもよい。他の構造単位としては、フェニレン基、フルオレンジイル基等のアリーレン基等が挙げられる。なお、これらのイオン性ポリマーの中では、架橋基を含んでいるものが好ましい。
また、式(34)で表される2価の芳香族アミン残基としては、下記式101〜110で表される芳香族アミンから水素原子を2個除いた基が例示される。
式101〜110で表される芳香族アミンは2価の芳香族アミン残基を生成しうる範囲で置換基を有していてもよく、該置換基としては、前述のQ1に関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられ、置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
式(33)中、X’は置換基を有し若しくは有さないイミノ基、置換基を有し若しくは有さないシリレン基、置換基を有し若しくは有さないエテニレン基又はエチニレン基を表す。イミノ基、シリル基若しくはエテニレン基が有していてもよい置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ラウリル基等の炭素原子数1〜20のアルキル基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基等の炭素原子数6〜30のアリール基等が挙げられ、置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
前記イオン性ポリマーの空気、湿気又は熱に対する安定性の観点からは、X’はイミノ基、エテニレン基、エチニレン基が好ましい。
前記イオン性ポリマーの電子受容性、正孔受容性の観点からは、m33が1であり、m34が0であることが好ましい。
式(33)で表される構造単位としては、前記イオン性ポリマーの電子受容性の観点からは、式(35)で表される構造単位が好ましい。
(式(35)中、Ar13は、置換基を有し若しくは有さないピリジンジイル基、置換基を有し若しくは有さないピラジンジイル基、置換基を有し若しくは有さないピリミジンジイル基、置換基を有し若しくは有さないピリダジンジイル基又は置換基を有し若しくは有さないトリアジンジイル基を表す。)
ピリジンジイル基が有していてもよい置換基としては、前述のQ1に関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
ピラジンジイル基が有していてもよい置換基としては、前述のQ1に関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
ピリミジンジイル基が有していてもよい置換基としては、前述のQ1に関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
ピリダジンジイル基が有していてもよい置換基としては、前述のQ1に関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
トリアジンジイル基が有していてもよい置換基としては、前述のQ1に関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
・構造単位の割合
本発明に用いられるイオン性ポリマーに含まれる式(13)で表される構造単位、式(15)で表される構造単位、式(17)で表される構造単位、及び式(20)で表される構造単位の合計の割合は、有機EL素子の発光効率の観点からは、末端の構造単位を除く該イオン性ポリマーに含まれる全構造単位中、30〜100モル%であることがより好ましい。
・末端の構造単位
なお、本発明に用いられるイオン性ポリマーの末端の構造単位(末端基)としては、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、イソブチルチオ基、s−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、ラウリルチオ基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、プロピルオキシフェニル基、イソプロピルオキシフェニル基、ブトキシフェニル基、イソブトキシフェニル基、s−ブトキシフェニル基、t−ブトキシフェニル基、ペンチルオキシフェニル基、ヘキシルオキシフェニル基、シクロヘキシルオキシフェニル基、ヘプチルオキシフェニル基、オクチルオキシフェニル基、2−エチルヘキシルオキシフェニル基、ノニルオキシフェニル基、デシルオキシフェニル基、3,7−ジメチルオクチルオキシフェニル基、ラウリルオキシフェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ジメチルフェニル基、プロピルフェニル基、メシチル基、メチルエチルフェニル基、イソプロピルフェニル基、ブチルフェニル基、イソブチルフェニル基、t−ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、イソアミルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ドデシルフェニル基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、s−ブチルアミノ基、t−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基、3,7−ジメチルオクチルアミノ基、ラウリルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、ジシクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ジトリフルオロメチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、(C1〜C12アルコキシフェニル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルコキシフェニル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル)アミノ基、1−ナフチルアミノ基、2−ナフチルアミノ基、ペンタフルオロフェニルアミノ基、ピリジルアミノ基、ピリダジニルアミノ基、ピリミジルアミノ基、ピラジニルアミノ基、トリアジニルアミノ基、(フェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、(C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、(C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルアミノ基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルアミノ基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、イソプロピルジメチルシリル基、イソプロピルジエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、ペンチルジメチルシリル基、ヘキシルジメチルシリル基、ヘプチルジメチルシリル基、オクチルジメチルシリル基、2−エチルヘキシルジメチルシリル基、ノニルジメチルシリル基、デシルジメチルシリル基、3,7−ジメチルオクチルジメチルシリル基、ラウリルジメチルシリル基、(フェニル−C1〜C12アルキル)シリル基、(C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル)シリル基、(C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル)シリル基、(1−ナフチル−C1〜C12アルキル)シリル基、(2−ナフチル−C1〜C12アルキル)シリル基、(フェニル−C1〜C12アルキル)ジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、トリ(p−キシリル)シリル基、トリベンジルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、チエニル基、C1〜C12アルキルチエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、C1〜C12アルキルピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジル基、ピラジニル基、トリアジニル基、ピロリジル基、ピペリジル基、キノリル基、イソキノリル基、ヒドロキシ基、メルカプト基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられる。前記末端の構造単位が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
−イオン性ポリマーの特性−
本発明で用いられるイオン性ポリマーは、好ましくは共役化合物である。本発明で用いられるイオン性ポリマーが共役化合物であるとは、該イオン性ポリマーが主鎖中に、多重結合(例えば、二重結合、三重結合)又は窒素原子、酸素原子等が有する非共有電子対が1つの単結合を挟んで連なっている領域を含むことを意味する。該イオン性ポリマーは、共役化合物である場合、共役化合物の電子輸送性の観点から、
{(多重結合又は窒素原子、酸素原子等が有する非共有電子対が1つの単結合を挟んで連なっている領域に含まれる主鎖上の原子の数)/(主鎖上の全原子の数)}×100%で計算される比が50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
また、本発明で用いられるイオン性ポリマーは、好ましくは高分子化合物であり、より好ましくは共役高分子化合物である。ここで、高分子化合物とは、ポリスチレン換算の数平均分子量が1×103以上である化合物をいう。また、本発明で用いられるイオン性ポリマーが共役高分子化合物であるとは、該イオン性ポリマーが共役化合物かつ高分子化合物であることを意味する。
本発明に用いられるイオン性ポリマーの塗布による成膜性の観点から、該イオン性ポリマーのポリスチレン換算の数平均分子量が1×103〜1×108であることが好ましく、2×103〜1×107であることがより好ましく、3×103〜1×107であることがより好ましく、5×103〜1×107であることがさらに好ましい。また、イオン性ポリマーの純度の観点から、ポリスチレン換算の重量平均分子量が1×103〜5×107であることが好ましく、1×103〜1×107であることがより好ましく、1×103〜5×106であることがさらに好ましい。また、イオン性ポリマーの溶解性の観点から、ポリスチレン換算の数平均分子量は1×103〜5×105であることが好ましく、1×103〜5×104であることがより好ましく、1×103〜3×103であることがさらに好ましい。本発明に用いられるイオン性ポリマーのポリスチレン換算の数平均分子量及び重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、求めることができる。
本発明に用いられるイオン性ポリマーの純度の観点から、末端構造単位を除く該イオン性ポリマー中に含まれる全構造単位の数(即ち、重合度)は1以上20以下であることが好ましく、1以上10以下であることがより好ましく、1以上5以下であることがさらに好ましい。
本発明に用いられるイオン性ポリマーの電子受容性、正孔受容性の観点からは、該イオン性ポリマーの最低非占有分子軌道(LUMO)の軌道エネルギーが、−5.0eV以上−2.0eV以下であることが好ましく、−4.5eV以上−2.0eV以下がより好ましい。また、同様の観点から、該イオン性ポリマーの最高占有分子軌道(HOMO)の軌道エネルギーが、−6.0eV以上−3.0eV以下であることが好ましく、−5.5eV以上−3.0eV以下がより好ましい。ただし、HOMOの軌道エネルギーはLUMOの軌道エネルギーよりも低い。なお、イオン性ポリマーの最高占有分子軌道(HOMO)の軌道エネルギーは、イオン性ポリマーのイオン化ポテンシャルを測定し、得られたイオン化ポテンシャルを該軌道エネルギーとすることにより求める。一方、イオン性ポリマーの最低非占有分子軌道(LUMO)の軌道エネルギーは、HOMOとLUMOとのエネルギー差を求め、その値と前記で測定したイオン化ポテンシャルとの和を該軌道エネルギーとすることにより求める。イオン化ポテンシャルの測定には光電子分光装置を用いる。また、HOMOとLUMOのエネルギー差は紫外・可視・近赤外分光光度計を用いてイオン性ポリマーの吸収スペクトルを測定し、その吸収末端より求める。
なお、本発明に用いられる重合体は、電界発光素子で用いられた場合、実質的に非発光性であることが好ましい。ここで、ある重合体が実質的に非発光性であるとは、以下のとおりの意味である。まず、ある重合体を含む層を有する電界発光素子Aを作製する。一方、重合体を含む層を有さない電界発光素子2を作製する。電界発光素子Aは重合体を含む層を有するが、電界発光素子2は重合体を含む層を有さない点でのみ、電界発光素子Aと電界発光素子2とは異なる。次に、電界発光素子A及び電界発光素子2に10Vの順方向電圧を印加して発光スペクトルを測定する。電界発光素子2について得られた発光スペクトルにおいて最大ピークを与える波長λを求める。波長λにおける発光強度を1として、電界発光素子2について得られた発光スペクトルを規格化し、波長について積分して規格化発光量S0を計算する。一方、波長λにおける発光強度を1として、電界発光素子Aについて得られた発光スペクトルも規格化し、波長について積分して規格化発光量Sを計算する。(S−S0)/S0×100%で計算される値が30%以下である場合、即ち、重合体を含む層を有さない電界発光素子2の規格化発光量に比べ、重合体を含む層を有する電界発光素子Aの規格化発光量の増加分が30%以下である場合に、用いた重合体は実質的に非発光性であるものとし、(S−S0)/S0×100で計算される値が15%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。
前記式(1)で表される基及び前記式(3)で表される基を含むイオン性ポリマーとしては、式(23)で表される基のみからなるイオン性ポリマー、式(23)で表される基および式45〜50、59、60、77、80、91、92、96、101〜110で表される基から水素原子を2個除いた基からなる群から選ばれる1種以上の基からなるイオン性ポリマー、式(24)で表される基のみからなるイオン性ポリマー、式(24)で表される基および式45〜50、59、60、77、80、91、92、96、101〜110で表される基から水素原子を2個除いた基からなる群から選ばれる1種以上の基からなるイオン性ポリマー、式(25)で表される基のみからなるイオン性ポリマー、式(25)で表される基および式45〜50、59、60、77、80、91、92、96、101〜110で表される基から水素原子を2個除いた基からなる群から選ばれる1種以上の基からなるイオン性ポリマー、式(29)で表される基のみからなるイオン性ポリマー、式(29)で表される基および式45〜50、59、60、77、80、91、92、96、101〜110で表される基から水素原子を2個除いた基からなる群から選ばれる1種以上の基からなるイオン性ポリマー、式(30)で表される基のみからなるイオン性ポリマー、式(30)で表される基および式45〜50、59、60、77、80、91、92、96、101〜110で表される基から水素原子を2個除いた基からなる群から選ばれる1種以上の基からなるイオン性ポリマーが挙げられる。
前記式(1)で表される基及び前記式(3)で表される基を含むイオン性ポリマーとしては、以下の高分子化合物が挙げられる。これらのうち、2種の構造単位がスラッシュ「/」で区切られている式で表される高分子化合物では、左側の構造単位の割合がpモル%、右側の構造単位の割合が(100−p)モル%であり、これらの構造単位はランダムに配列している。なお、以下の式中、nは重合度を表す。
(式中、pは15〜100の数を表す。)
前記式(2)で表される基及び前記式(3)で表される基を含むイオン性ポリマーとしては、式(26)で表される基のみからなるイオン性ポリマー、式(26)で表される基および式45〜50、59、60、77、80、91、92、96、101〜110で表される基から水素原子を2個除いた基からなる群から選ばれる1種以上の基からなるイオン性ポリマー、式(27)で表される基のみからなるイオン性ポリマー、式(27)で表される基および式45〜50、59、60、77、80、91、92、96、101〜110で表される基から水素原子を2個除いた基からなる群から選ばれる1種以上の基からなるイオン性ポリマー、式(28)で表される基のみからなるイオン性ポリマー、式(28)で表される基および式45〜50、59、60、77、80、91、92、96、101〜110で表される基から水素原子を2個除いた基からなる群から選ばれる1種以上の基からなるイオン性ポリマー、式(31)で表される基のみからなるイオン性ポリマー、式(31)で表される基および式45〜50、59、60、77、80、91、92、96、101〜110で表される基から水素原子を2個除いた基からなる群から選ばれる1種以上の基からなるイオン性ポリマー、式(32)で表される基のみからなるイオン性ポリマー、式(32)で表される基および式45〜50、59、60、77、80、91、92、96、101〜110で表される基から水素原子を2個除いた基からなる群から選ばれる1種以上の基からなるイオン性ポリマーが挙げられる。
前記式(2)で表される基及び前記式(3)で表される基を含むイオン性ポリマーとしては、以下の高分子化合物が挙げられる。これらのうち、2種の構造単位がスラッシュ「/」で区切られている式で表される高分子化合物では、左側の構造単位の割合がpモル%、右側の構造単位の割合が(100−p)モル%であり、これらの構造単位はランダムに配列している。なお、以下の式中、nは重合度を表す。
(式中、pは15〜100の数を表す。)
−イオン性ポリマーの製造方法−
次に、本発明に用いられるイオン性ポリマーを製造する方法について説明する。本発明に用いられるイオン性ポリマーを製造するための好適な方法としては、例えば、下記一般式(36)で表される化合物を原料の1つとして選択して用い、中でも、該一般式(36)中の−Aa−が式(13)で表される構造単位である化合物、該−Aa−が式(15)で表される構造単位である化合物、該−Aa−が式(17)で表される構造単位である化合物及び該−Aa−が式(20)で表される構造単位である化合物の少なくとも1種を必須の原料として含有させて、これを縮合重合させる方法を挙げることができる。
Y4−Aa−Y5 (36)
(式(36)中、Aaは式(1)で表される基及び式(2)で表される基からなる群から選ばれる1種以上の基と式(3)で表される1種以上の基とを含む繰り返し単位を表し、Y4及びY5は、それぞれ独立に、縮合重合に関与する基を示す。)
また、本発明に用いられるイオン性ポリマー中に上記式(36)中の−Aa−で表される構造単位とともに、前記−Aa−以外の他の構造単位を含有させる場合には、前記−Aa−以外の他の構造単位となる、2個の縮合重合に関与する置換基を有する化合物を用い、これを前記式(36)で表される化合物とともに共存させて縮合重合させればよい。
このような他の構造単位を含有させるために用いられる2個の縮合重合可能な置換基を有する化合物としては、式(37)で表される化合物が例示される。このようにして、前記Y4−Aa−Y5で表される化合物に加えて、式(37)で表される化合物を縮合重合させることで、−Ab−で表される構造単位を更に有する本発明に用いられるイオン性ポリマーを製造することができる。
Y6−Ab−Y7 (37)
(式(37)中、Abは前記一般式(33)で表される構造単位又は一般式(35)で表される構造単位であり、Y6及びY7は、それぞれ独立に、縮合重合に関与する基を示す。)
このような縮合重合に関与する基(Y4、Y5、Y6及びY7)としては、水素原子、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基、アリールアルキルスルホネート基、ホウ酸エステル残基、スルホニウムメチル基、ホスホニウムメチル基、ホスホネートメチル基、モノハロゲン化メチル基、−B(OH)2、ホルミル基、シアノ基、ビニル基等が挙げられる。
このような縮合重合に関与する基として選択され得るハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
また、前記縮合重合に関与する基として選択され得るアルキルスルホネート基としては、メタンスルホネート基、エタンスルホネート基、トリフルオロメタンスルホネート基が例示され、アリールスルホネート基としては、ベンゼンスルホネート基、p−トルエンスルホネート基が例示される。
前記縮合重合に関与する基として選択され得るアリールアルキルスルホネート基としては、ベンジルスルホネート基が例示される。
また、前記縮合重合に関与する基として選択され得るホウ酸エステル残基としては、下記式で表される基が例示される。
さらに、前記縮合重合に関与する基として選択され得るスルホニウムメチル基としては、下記式:
−CH2S+Me2E-、又は、−CH2S+Ph2E-
(式中、Eはハロゲン原子を示す。Phはフェニル基を示し、以下、同じである。)で表される基が例示される。
また、前記縮合重合に関与する基として選択され得るホスホニウムメチル基としては、
下記式:
−CH2P+Ph3E-
(式中、Eはハロゲン原子を示す。)で表される基が例示される。
また、前記縮合重合に関与する基として選択され得るホスホネートメチル基としては、
下記式:
−CH2PO(ORd)2
(式中、Rdはアルキル基、アリール基、又はアリールアルキル基を示す。)で表される基が例示される。
さらに、前記縮合重合に関与する基として選択され得るモノハロゲン化メチル基としては、フッ化メチル基、塩化メチル基、臭化メチル基、ヨウ化メチル基が例示される。
さらに、縮合重合に関与する基として好適な基は、重合反応の種類によって異なるが、例えば、Yamamotoカップリング反応等の0価ニッケル錯体を用いる場合には、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基、アリールアルキルスルホネート基が挙げられる。また、Suzukiカップリング反応等のニッケル触媒又はパラジウム触媒を用いる場合には、アルキルスルホネート基、ハロゲン原子、ホウ酸エステル残基、−B(OH)2等が挙げられ、酸化剤又は電気化学的に酸化重合する場合には、水素原子が挙げられる。
本発明に用いられるイオン性ポリマーを製造する際には、例えば、縮合重合に関与する基を複数有する前記一般式(36)又は(37)で表される化合物(モノマー)を、必要に応じて有機溶媒に溶解し、アルカリや適当な触媒を用いて、有機溶媒の融点以上沸点以下の温度で反応させる重合方法を採用してもよい。このような重合方法としては、例えば、“オルガニック リアクションズ(Organic Reactions)”,第14巻,270−490頁,ジョンワイリー アンド サンズ(John Wiley&Sons,Inc.),1965年、“オルガニック シンセシス(Organic Syntheses)”,コレクティブ第6巻(Collective Volume VI),407−411頁,ジョンワイリー アンド サンズ(John Wiley&Sons,Inc.),1988年、ケミカル レビュー(Chem.Rev.),第95巻,2457頁(1995年)、ジャーナル オブ オルガノメタリック ケミストリー(J.Organomet.Chem.),第576巻,147頁(1999年)、マクロモレキュラー ケミストリー マクロモレキュラー シンポジウム(Macromol.Chem.,Macromol.Symp.),第12巻,229頁(1987年)に記載の公知の方法を採用することができる。
また、本発明に用いられるイオン性ポリマーを製造する際には、縮合重合に関与する基に応じて、既知の縮合重合反応を採用してもよい。このような重合方法としては、該当するモノマーを、Suzukiカップリング反応により重合する方法、Grignard反応により重合する方法、Ni(0)錯体により重合する方法、FeCl3等の酸化剤により重合する方法、電気化学的に酸化重合する方法、適当な脱離基を有する中間体高分子の分解による方法等が挙げられる。このような重合反応の中でも、Suzukiカップリング反応により重合する方法、Grignard反応により重合する方法、及びニッケルゼロ価錯体により重合する方法が、得られるイオン性ポリマーの構造制御がし易いので好ましい。
本発明に用いられるイオン性ポリマーの好ましい製造方法の1つの態様は、縮合重合に関与する基として、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基及びアリールアルキルスルホネート基からなる群から選択される基を有する原料モノマーを用いて、ニッケルゼロ価錯体の存在下で縮合重合して、イオン性ポリマーを製造する方法である。このような方法に使用する原料モノマーとしては、例えば、ジハロゲン化化合物、ビス(アルキルスルホネート)化合物、ビス(アリールスルホネート)化合物、ビス(アリールアルキルスルホネート)化合物、ハロゲン−アルキルスルホネート化合物、ハロゲン−アリールスルホネート化合物、ハロゲン−アリールアルキルスルホネート化合物、アルキルスルホネート−アリールスルホネート化合物、アルキルスルホネート−アリールアルキルスルホネート化合物及びアリールスルホネート−アリールアルキルスルホネート化合物が挙げられる。
前記イオン性ポリマーの好ましい製造方法の他の態様は、縮合重合に関与する基として、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基、アリールアルキルスルホネート基、−B(OH)2、及びホウ酸エステル残基からなる群から選ばれる基を有し、全原料モノマーが有する、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基及びアリールアルキルスルホネート基のモル数の合計(J)と、−B(OH)2及びホウ酸エステル残基のモル数の合計(K)の比が実質的に1(通常K/Jは0.7〜1.2の範囲)である原料モノマーを用いて、ニッケル触媒又はパラジウム触媒の存在下で縮合重合して、イオン性ポリマーを製造する方法である。
前記有機溶媒としては、用いる化合物や反応によっても異なるが、一般に副反応を抑制するために十分に脱酸素処理を施した有機溶媒を用いることが好ましい。イオン性ポリマーを製造する際には、このような有機溶媒を用いて不活性雰囲気下で反応を進行させることが好ましい。また、前記有機溶媒においては、前記脱酸素処理と同様に脱水処理を行うことが好ましい。但し、Suzukiカップリング反応等の水との2相系での反応の場合にはその限りではない。
このような有機溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の不飽和炭化水素、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、クロロブタン、ブロモブタン、クロロペンタン、ブロモペンタン、クロロヘキサン、ブロモヘキサン、クロロシクロヘキサン、ブロモシクロヘキサン等のハロゲン化飽和炭化水素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化不飽和炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t−ブチルアルコール等のアルコール類、蟻酸、酢酸、プロピオン酸等のカルボン酸類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン等のエーテル類、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ピリジン等のアミン類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルモルホリンオキシド等のアミド類が例示される。これらの有機溶媒は1種を単独で、又は2種以上を混合して用いてもよい。また、このような有機溶媒の中でも、反応性の観点からはエーテル類がより好ましく、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルが更に好ましく、反応速度の観点からはトルエン、キシレンが好ましい。
前記イオン性ポリマーを製造する際においては、原料モノマーを反応させるために、アルカリや適当な触媒を添加することが好ましい。このようなアルカリ又は触媒は、採用する重合方法等に応じて選択すればよい。このようなアルカリ又は触媒としては、反応に用いる溶媒に十分に溶解するものが好ましい。また、前記アルカリ又は触媒を混合する方法としては、反応液をアルゴンや窒素等の不活性雰囲気下で攪拌しながらゆっくりとアルカリ又は触媒の溶液を添加するか、アルカリ又は触媒の溶液に反応液をゆっくりと添加する方法が例示される。
本発明に用いられるイオン性ポリマーにおいては、末端基に重合活性基がそのまま残っていると得られる発光素子の発光特性や寿命特性が低下する可能性があるため、末端基が安定な基で保護されていてもよい。このように安定な基で末端基が保護されている場合、本発明に用いられるイオン性ポリマーが共役化合物であるときには、該イオン性ポリマーの主鎖の共役構造と連続した共役結合を有していることが好ましく、その構造としては、例えば、炭素−炭素結合を介してアリール基又は複素環基と結合している構造が挙げられる。このような末端基を保護する安定な基としては、特開平9−45478号公報において化10の構造式で示される1価の芳香族化合物基等の置換基が挙げられる。
式(1)で表される構造単位を含むイオン性ポリマーを製造する他の好ましい方法としては、第1工程でカチオンを有さないイオン性ポリマーを重合し、第2工程で該イオン性ポリマーからカチオンを含有するイオン性ポリマーを製造する方法が挙げられる。第1工程のカチオンを有さないイオン性ポリマーを重合する方法としては、前述の縮合重合反応が挙げられる。第2工程の反応としては、金属水酸化物、アルキルアンモニウムヒドロキシド等による加水分解反応等が挙げられる。
式(2)で表される基を含むイオン性ポリマーを製造する他の好ましい方法としては、第1工程でイオンを有さないイオン性ポリマーを重合し、第2工程で該イオン性ポリマーからイオンを含有するイオン性ポリマーを製造する方法が挙げられる。第1工程のイオンを有さないイオン性ポリマーを重合する方法としては、前述の縮合重合反応が挙げられる。第2工程の反応としては、ハロゲン化アルキルを用いたアミンの4級アンモニウム塩化反応、SbF5によるハロゲン引き抜き反応等が挙げられる。
本発明に用いられるイオン性ポリマーは電荷発生に優れるため、高輝度で発光する素子が得られる。
イオン性ポリマーを含む層を形成する方法としては、例えば、イオン性ポリマーを含有する溶液を用いて成膜する方法が挙げられる。
このような溶液からの成膜に用いる溶媒としては、水を除くアルコール類、エーテル類、エステル類、二トリル化合物類、ニトロ化合物類、ハロゲン化アルキル類、ハロゲン化アリール類、チオール類、スルフィド類、スルホキシド類、チオケトン類、アミド類、カルボン酸類等の溶媒のうち、溶解度パラメーターが9.3以上の溶媒が好ましい。該溶媒の例(各括弧内の値は、各溶媒の溶解度パラメーターの値を表す)としては、メタノール(12.9)、エタノール(11.2)、2−プロパノール(11.5)、1−ブタノール(9.9)、t−ブチルアルコール(10.5)、アセトニトリル(11.8)、1,2−エタンジオール(14.7)、N,N-ジメチルホルムアミド(11.5)、ジメチルスルホキシド(12.8)、酢酸(12.4)、ニトロベンゼン(11.1)、ニトロメタン(11.0)、1,2−ジクロロエタン(9.7)、ジクロロメタン(9.6)、クロロベンゼン(9.6)、ブロモベンゼン(9.9)、ジオキサン(9.8)、炭酸プロピレン(13.3)、ピリジン(10.4)、二硫化炭素(10.0)、及びこれらの溶媒の混合溶媒が挙げられる。ここで、2種の溶媒(溶媒1、溶媒2とする)を混合してなる混合溶媒について説明すると、該混合溶媒の溶解度パラメーター(δm)は、δm=δ1×φ1+δ2×φ2により求めることとする(δ1は溶媒1の溶解度パラメーター、φ1は溶媒1の体積分率、δ2は溶媒2の溶解度パラメーター、φ2は溶媒2の体積分率である。)。
イオン性ポリマーを含む層の膜厚としては、用いるイオン性ポリマーによって最適値が異なるため、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよく、ピンホールが発生しない厚さが必要である。素子の駆動電圧を低くする観点からは、該膜厚は、1nm〜1μmであることが好ましく、2nm〜500nmであることがより好ましく、2nm〜200nmであることがさらに好ましい。発光層を保護する観点からは、該膜厚は、5nm〜1μmであることが好ましい。
(電子注入層)
電子注入層は、陰極34または電荷発生層70からの電子注入効率を改善する機能を有する層である。複数の発光層50のうちで最も陰極34寄りに配置される第x発光層50と陰極34との間に設けられる電子注入層44、すなわち第x発光ユニット80に設けられる電子注入層44は、陰極34からの電子注入効率を改善する機能を有し、第x発光ユニット80以外の発光ユニット80に設けられる電子注入層は、電荷発生層70からのからの電子注入効率を改善する機能を有する。第x発光ユニット80に設けられる電子注入層44は、発光層への電子注入効率を改善する前記イオン性ポリマーを含んで構成される。この電子注入層44は陰極34に接して配置される。電子注入層44は、前記イオン性ポリマーを任意好適な溶媒に溶解させた塗工液を用いる塗布法により形成することができる。なお電荷発生層70の少なくとも一部を構成するイオン性ポリマーと、電子注入層44を構成するイオン性ポリマーとは、同じ化合物であっても、異なる化合物であってもよい。なお電子注入層はイオン性ポリマーに限らず、公知の電子注入材料によって形成してもよい。
塗布法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、およびインクジェットプリント法などが挙げられる。
(電荷発生層)
電荷発生層70は、電界を印加することにより正孔と電子とを発生する層である。電荷発生層70は前記イオン性ポリマーを含んで構成される。電荷発生層70は、(1)単一の層からなる単層体、または(2)複数の層が積層された積層体によって構成されている。
電荷発生層70が単一の層からなる場合には、電荷発生層70が含有する材料の態様は下記の通りである。
(i)電界を印加することにより電子を発生する部位と、正孔を発生する部位とを1つのポリマー内に有する前記イオン性ポリマーを含有する。
(ii)電界を印加することにより電子を発生する前記イオン性ポリマーと、このイオン性ポリマーとは種類が異なるイオン性ポリマーであって、かつ電界を印加することにより正孔を発生する前記イオン性ポリマーとを含有する。
(iii)電界を印加することにより電子を発生する前記イオン性ポリマーと、電界を印加することにより正孔を発生する他の機能性成分とを含有する。
(iv)電界を印加することにより電子を発生する他の機能性成分と、電界を印加することにより正孔を発生する前記イオン性ポリマーとを含有する。
なお「他の機能性成分」とは、本発明にかかる「イオン性ポリマー」とは異なる材料から構成されるが、本発明にかかる「イオン性ポリマー」と同様に大気雰囲気下であっても劣化しにくい特性を有している材料である。
電荷発生層70が複数の層により構成される場合には、電荷発生層70は、電界を印加することにより電子を発生する電子発生層72と、電界を印加することにより正孔を発生する正孔発生層74とを備える構成とするのが好適である。
この場合、前記イオン性ポリマーは、電界を印加することにより電子または正孔を発生するポリマーであって、電子発生層72および正孔発生層74のうちの少なくとも一方に含有される。
電子発生層72および正孔発生層74が含有する材料の態様は下記の通りである。
(i)電子発生層72が、電界を印加することにより電子を発生する前記イオン性ポリマーを含有し、正孔発生層74が、電界を印加することにより正孔を発生する前記イオン性ポリマーを含有する。
(ii)電子発生層72が、電界を印加することにより電子を発生する機能を有する前記イオン性ポリマーを含有し、正孔発生層74が、電界を印加することにより正孔を発生する機能を有する他の機能性成分を含有する。
(iii)電子発生層72が、電界を印加することにより電子を発生する機能を有する他の機能性成分を含有し、正孔発生層74が電界を印加することにより正孔を発生する機能を有する前記イオン性ポリマーを含有する。
(第1の基材および第2の基材)
第1の基材22および第2の基材24は、リジッド基板であっても、フレキシブル基板であってもよく、さらにはフィルムであってもよい。このようなフレキシブル基板やフィルムを用いることで、全体としてフレキシブルな有機EL素子を実現することができる。
第1の基材22および第2の基材24のうちの少なくとも一方には、光透過性を示す基材が用いられる。第1の基材22および第2の基材24のうちの一方の基材から採光する場合、他方の基材には不透明な基材を用いることができる。
本明細書において「光」とは、1nmから1mm程度の波長範囲の電磁波を意味する。「光透過性を示す」とは、当該部材に入射する所定の波長の光のうちの少なくとも一部が出射することを意味する。第1の基材22は可視光に対して光透過性を示すことが好ましい。「可視光」とはヒトの目で知覚することができる範囲の波長を有する電磁波を意味し、その波長は一般に360nm〜830nm程度である。光透過性を示す部材の光透過率は、高い方が好ましく、例えば10%以上であり、25%以上が好ましく、50%以上がより好ましい。
第1の基材22および第2の基材24としては光透過性を示す絶縁性基板を用いることができ、例えばガラス基板を用いることができる。なお石英基板やプラスチック基板などを用いてもよい。
第1の基材22および第2の基材24には長尺の基材を用いてもよい。このような基材としてはロール状に巻き取り可能な絶縁性のフィルムであれば特に限定されず、無色透明な樹脂材料から構成されるフィルムなどが好適に用いられる。このような長尺の基材に用いられる樹脂材料としては、例えば、ポリエーテルスルホン(PES);ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、環状ポリオレフィン等のポリオレフィン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリビニルアルコール系樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物;ポリアクリロニトリル系樹脂;アセタール系樹脂;ポリイミド系樹脂;エポキシ樹脂が挙げられる。
これらの樹脂材料の中でも、耐熱性が高く、線膨張率が小さく、製造コストが低いため、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが特に好ましい。またこれらの樹脂材料は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
第1の基材22および第2の基材24の厚みは特に限定されないが、製造工程時の安定性などを考慮して適宜に設定することができる。第1の基材22および第2の基材24の厚みは、5μm〜500μmの範囲であることが好ましく、50μm〜200μmの範囲であることがより好ましく、50μm〜100μmの範囲であることが特に好ましい。
第1の基材22および第2の基材24は、同一の材料から構成されたものを選択することが好ましい。第1の基材22および第2の基材24を同一の材料から構成されたものとすれば、線膨張率などの物性が等しいため、製造工程において第1の基材22と第2の基材24に発生する応力が互いに打ち消しあい、反りの発生を防止、低減することができる。よって有機EL素子10にかかる応力を効果的に低減することができる。
(陽極および陰極)
発光層50から出射される光を取り出す採光側の電極(陽極32および陰極34のうちの少なくとも一方)は、光透過性を示す電極とされる。光透過性を示す電極としては、金属酸化物膜および金属薄膜などが用いられる。光透過性を示す電極としては、例えば酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、インジウムスズ酸化物(Indium Tin Oxide:略称ITO)、インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide:略称IZO)、金、白金、銀、銅などからなる薄膜が用いられる。光透過性を示す電極としては、とりわけITO、IZO、および酸化スズからなる薄膜を用いて形成することが好ましい。
光透過性を有しなくともよい不透明な電極の材料としては、仕事関数が小さく、発光層への電子注入が容易な材料が好ましい。また不透明な電極の材料としては、電気伝導度の高い材料を用いるのがよい。また発光層50から出射した光を採光側に反射する構成とするのが好ましい。
不透明な電極としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属および周期律表第13族金属などの金属を用いることができる。具体的には、不透明な電極の材料として、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウムなどの金属、または上記金属のうち2つ以上の合金、またはこれらのうち1つまたは2つ以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうち1つまたは2つ以上との合金、またはグラファイト若しくはグラファイトの層間に上記金属の原子が配置された化合物などが用いられる。
合金の例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金などを挙げることができる。
陰極34の形成は、前記選択された材料に応じて蒸着法などの任意好適な形成方法を選択することができるが、前述した電子注入層の形成と同様に塗工液を用いる塗布法によっても形成することができる。
塗布法によって陰極34を形成する場合に好適に利用できる導電性材料としては、導電性高分子材料が挙げられる。導電性高分子材料としては、エチレンジオキシチオフェンを含む高分子化合物が好ましい。具体的には、正孔注入層の構成材料としても用いられる3,4−ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)およびポリスチレンスルフォン酸(PSS)(混合割合;PEDOT:PSS=1:20)[バイエル社製、商品名「バイトロン−p(Baytron−p)」]の混合材料が好適に用いられる。こうした導電性高分子材料を溶媒中に分散させた液状体を使用することができる。この液状体としては、分散媒としてのポリスチレンスルフォン酸に3,4−ポリエチレンジオキシチオフェンを分散させたものが好適である。
この場合には、分散媒としてのポリスチレンスルフォン酸に3,4−ポリエチレンジオキシチオフェンを分散させた液状体とし、さらにこの液状体を水、イソプロピルアルコールなどの極性溶媒に溶解させた溶液が塗工液として好適に用いられる。
また陰極34を構成する導電性材料として、上述した導電性高分子材料に代えて、又は導電性高分子とともに、導電性を有する金属微粒子を用いてもよい。導電性高分子と金属微粒子との混合材料によって陰極34を構成した場合には、比較的低温で加熱して、導電性を確保することが可能になる。金属微粒子としては、金、銀、アルミニウムなどが好適に用いられる。なお金、銀、アルミニウムの金属微粒子の他に、カーボンペースト、カーボンペーストと金属微粒子との混合物などが好適に用いられる。
導電性材料として金属微粒子を採用する場合には、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール(IPA)、ジメチルケトンなどの極性溶媒が好適に使用できる。
陰極34の厚みは、電気伝導度、耐久性などを考慮して、適宜選択することができるが、例えば10nmから10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
(発光層)
次いで発光層50について説明する。発光層50を構成する材料としては、蛍光発光型(一重項遷移)とリン光発光型(三重項遷移)が知られているが、どちらを使用してもよい。発光層50は、例えば蒸着法または塗布法により形成することができる。発光層の材料としては、低分子系材料および高分子系材料のどちらも利用可能である。特に高分子系材料は溶媒に溶解しやすいため、溶媒に溶解させた塗工液に好適に用いることができる。従って発光層の材料としては、既に説明したような電子注入層の形成と同様の簡易な塗布法を適用することができる高分子系材料が好ましい。なお本明細書でいう高分子とは、ポリスチレン換算の数平均分子量が、103以上であり、通常、ポリスチレン換算の数平均分子量が108以下である。
発光層50は、蛍光およびリン光のうちの少なくとも一方の光を発光する有機物、若しくは有機物と、ドーパントとを含んで構成される。発光層50を主に構成する発光材料としては、例えば以下のものが挙げられる。
〈色素系材料〉
色素系の発光材料としては、例えば、シクロペンダミン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体化合物、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、ピロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、オキサジアゾールダイマー、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体、およびピラゾリンダイマーなどを高分子化したものを挙げることができる。
〈金属錯体系材料〉
金属錯体系の発光材料としては、中心金属に、アルミニウム、亜鉛、ベリリウムなど、またはテルビウム、ユーロピウム、ジスプロシウムなどの希土類金属を有し、配位子に、オキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造などを有する金属錯体を高分子化したものを挙げることができる。
金属錯体系の発光材料としては、イリジウム錯体、白金錯体などの三重項励起状態からの発光を有する金属錯体、アルミキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾリル亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、ユーロピウム錯体などを高分子化したものを挙げることができる。
高分子系の発光材料としては、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体などを挙げることができる。
〈ドーパント材料〉
発光層を構成する発光材料としては、前述の発光材料の他に、例えば発光効率の向上や発光波長を変化させるなどの目的でドーパント材料をさらに含んでいてもよい。このようなドーパント材料としては、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、スチリル系色素、テトラセン誘導体、ピラゾロン誘導体、デカシクレン、フェノキサゾンなどを挙げることができる。
(所定の層)
図1に示す実施形態では有機EL素子10は、発光層50および電荷発生層70に加えて、正孔注入層42a、正孔輸送層42b、電子注入層44などの所定の層を有するが、本発明の有機EL素子はこの構成例に限定されるものではない。
以下に所定の層および所定の層を備える発光ユニットの一例について説明する。
各発光ユニット80において、発光層50よりも陰極34寄りに配置される層としては、電子注入層44、電子輸送層、正孔ブロック層などを挙げることができる。1つの発光ユニット80において、電子注入層44以外に電子輸送層が設けられる場合には、陰極34寄りに配置される層を電子注入層といい、発光層50寄りに配置される層を電子輸送層という。
各発光ユニット80において、発光層50よりも陽極32寄りに配置される層としては、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層などを挙げることができる。1つの発光ユニット80において、正孔注入層と正孔輸送層との両方が設けられる場合には、陽極32寄りに配置される層を正孔注入層といい、発光層50寄りに配置される層を正孔輸送層という。
なお、正孔注入層42aおよび電子注入層44を総称して電荷注入層という場合がある。また正孔輸送層42bおよび電子輸送層を総称して電荷輸送層という場合がある。
各発光ユニットの層構成の具体的な一例を以下に示す。
a)発光層
b)正孔注入層/発光層
c)正孔注入層/正孔輸送層/発光層
d)正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層
e)正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層
f)発光層/電子注入層
g)発光層/電子輸送層/電子注入層
h)正孔注入層/発光層/電子注入層
i)正孔注入層/発光層/電子輸送層/電子注入層
(ここで、記号「/」は、記号「/」を挟む2つの層が互いに接して配置されていることを示す。)
上記a)〜i)の発光ユニットにおいて、陽極は左側に配置され、陰極は右側に配置されている。なお複数ある発光ユニットの層構成は、それぞれ同じであっても、異なっていてもよい。
有機EL素子10は、電極との密着性向上や、電極からの電荷注入の改善のために、電極に隣接して膜厚が2nm程度以下の絶縁層をさらに備えていてもよく、また界面の密着性向上や混合の防止などのために、互いに隣接する各層間に薄いバッファー層が挿入されていてもよい。
以下、各機能層の具体的な構成について説明する。
〈正孔注入層〉
正孔注入層は、陽極32または電荷発生層70からの正孔注入効率を改善する機能を有する層である。正孔注入層を構成する正孔注入材料としては、フェニルアミン系、スターバースト型アミン系、フタロシアニン系、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化アルミニウムなどの酸化物、アモルファスカーボン、ポリアニリン、ポリチオフェン誘導体などを挙げることができる。
正孔注入層は、前記正孔注入材料を溶媒に溶解した塗工液を塗布する塗布法によって成膜することができる。溶媒としては、正孔注入層の形成材料が溶解することを条件として任意好適なものを用いることができる。
溶媒としては、例えば水、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタンなどの塩素系溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテートなどのエステル系溶媒を用いることができる。
正孔注入層は、既に説明したような塗布法により形成することができる。
正孔注入層の厚みは、用いる材料によって最適値が異なる。正孔注入層の厚みは、少なくともピンホールが形成されず、駆動電圧と発光効率が適度な値となることを条件として任意好適な厚みとすることができる。また正孔注入層の厚みは、厚すぎると素子の駆動電圧が高くなってしまう。よって正孔注入層42aの厚みは、例えば1nmから1μmであり、好ましくは2nmから500nmであり、さらに好ましくは5nmから200nmである。
〈正孔輸送層〉
正孔輸送層は、陽極、正孔注入層、電荷発生層、または陽極により近い正孔輸送層からの正孔注入を改善する機能を有する。正孔輸送層を構成する正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリアリールアミン若しくはその誘導体、ポリピロール若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、またはポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体などを挙げることができる。
これらのうち正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミン化合物基を有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリアリールアミン若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、またはポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体などの高分子の正孔輸送材料を用いることができる。正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体などがさらに好ましい。低分子の正孔輸送材料の場合には、高分子バインダーに分散させて用いることが好ましい。
正孔輸送層の形成方法としては、低分子の正孔輸送材料の場合には、高分子バインダーとの混合溶液を用いる塗布法を挙げることができる。また、高分子の正孔輸送性材料を用いる場合には、溶液を用いる塗布法を挙げることができる。
塗布法に用いられる溶媒としては、正孔輸送材料を溶解させるものであればよく、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタンなどの塩素系溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテートなどのエステル系溶媒を挙げることができる。
塗布法としては、電子注入層を形成する方法として挙げた方法と同様の方法を用いることができる。
混合される高分子バインダーとしては、電荷輸送を阻害しないものが好ましく、また可視光の吸収が弱いものが好適に用いられる。このような高分子バインダーとしては、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサンなどを挙げることができる。
正孔輸送層の層厚は、ピンホールが形成されず、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択され、用いる材料によって最適値が異なる。正孔輸送層の層厚が厚すぎると、有機EL素子の駆動電圧が高くなってしまうおそれがある。従って、正孔輸送層の層厚としては、例えば1nmから1μmであり、好ましくは2nmから500nmであり、さらに好ましくは5nmから200nmである。
〈電子輸送層〉
電子輸送層は、陰極34、または電子注入層44、若しくは陰極34により近い電子輸送層からの電子注入を改善する機能を有する層である。電子輸送層を構成する電子輸送性材料としては、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン若しくはその誘導体、ベンゾキノン若しくはその誘導体、ナフトキノン若しくはその誘導体、アントラキノン若しくはその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタン若しくはその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン若しくはその誘導体、ジフェノキノン誘導体、または8−ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリン若しくはその誘導体、ポリキノキサリン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体などを挙げることができる。
これらのうち、電子輸送材料としては、オキサジアゾール誘導体、ベンゾキノン若しくはその誘導体、アントラキノン若しくはその誘導体、または8−ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリン若しくはその誘導体、ポリキノキサリン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体が好ましく、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ベンゾキノン、アントラキノン、トリス(8−キノリノール)アルミニウム、ポリキノリンがさらに好ましい。
電子輸送層の形成方法としては、低分子の電子輸送材料を用いる場合には、粉末からの真空蒸着法、若しくは溶液又は溶融状態からの成膜による方法を挙げることができ、高分子の電子輸送材料を用いる場合には、溶液又は溶融状態からの成膜による方法を挙げることができる。溶液または溶融状態からの成膜では、高分子バインダーをさらに併用してもよい。溶液から電子輸送層を成膜する方法としては、既に説明したような塗布法を挙げることができる。
電子輸送層の厚みは、用いる材料によって最適値が異なり、少なくともピンホールが形成されない程度の厚さが必要であり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよい。電子輸送層の厚みが厚すぎると素子の駆動電圧が高くなってしまうおそれがある。従って、電子輸送層の厚みとしては、例えば1nmから1μmであり、好ましくは2nmから500nmであり、さらに好ましくは5nmから200nmである。
〈電子ブロック層〉
電子ブロック層は、電子の輸送を堰き止める機能を有する層である。なお、正孔注入層42aおよび正孔輸送層42bのうちの少なくとも一方が電子の輸送を堰き止める機能を有する場合には、これらの層が電子ブロック層を兼ねることがある。電子ブロック層が電子の輸送を堰き止める機能を有することは、例えばホール電流のみを流す素子を作製して、その電流値の減少により堰き止める効果を確認することができる。
〈正孔ブロック層〉
正孔ブロック層は、正孔の輸送を堰き止める機能を有する層である。なお、電子注入層および電子輸送層のうちの少なくとも一方が正孔の輸送を堰き止める機能を有する場合には、これらの層が正孔ブロック層を兼ねる場合がある。正孔ブロック層が正孔の輸送を堰き止める機能を有することは、例えばホール電流のみを流す素子を作製して、その電流値の減少により堰き止める効果を確認することができる。
<有機EL素子の製造方法>
本発明の有機EL素子の製造方法として、図1を参照して既に説明した構成を有する有機EL素子10の製造方法を説明する。なお本発明の有機EL素子10を構成する層が、塗工液を用いる塗布法で形成される場合には、塗布工程は、常圧程度の雰囲気下で実施され、たとえばアルゴンガスや窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気または大気雰囲気下で実施される。
ここで「大気雰囲気」とは、水分、酸素の含有を許容する雰囲気を意味する。「大気雰囲気」は、具体的には、常温、常圧である未調整の雰囲気を含み、さらに水分、酸素の含有を許容しつつ、温度、圧力、成分などについて調整された雰囲気が含まれる。この「調整された雰囲気」は、「塗布」を含む本発明の製造方法が実施できることを条件として窒素、水素、酸素、二酸化炭素などの組成成分を調整する処理、これらの組成割合を調整する処理がなされており、浮遊微粒子、浮遊微生物にかかる清浄度が調整されていてもよく、さらには「塗布」を含む本発明の製造方法が実施できることを条件として温度、湿度、圧力などの環境条件が調整されていてもよい雰囲気を含み、その圧力は通常1013hPa±100hPaの常圧である。
本実施形態の有機EL素子の製造方法は、イオン性ポリマーを含有する塗工液を用いる塗布法により電荷発生層を形成する電荷発生層形成工程を含む。
具体的には、本実施形態の有機EL素子の製造方法は、
陽極および陰極のうちの一方の電極がその上に形成された第1の基材を用意する工程と、
発光層を含む発光ユニットを形成する発光ユニット形成工程と、
イオン性ポリマーを含有する塗工液を用いる塗布法により電荷発生層を形成する電荷発生層形成工程と、
陽極および陰極のうちの他方の電極を形成する工程とを含み、
前記発光ユニット形成工程は複数回行われ、
電荷発生層形成工程は、発光ユニット形成工程と発光ユニット形成工程との間に行われる。
発光ユニット形成工程と発光ユニット形成工程との間に電荷発生層形成工程を行うことにより、互いに隣り合う発光ユニット間に電荷発生層が形成される。
以下の実施形態では、有機EL素子を構成する各構成要素のうち、陽極から順に各構成要素を第1の基材上に順次積層し、最後に陰極を形成することによって有機EL素子を作製する態様について説明するが、積層順を逆にして、陰極から順に各構成要素を第1の基材上に順次積層し、最後に陽極を形成することによって有機EL素子を作製してもよい。
まず第1の基材22を準備し、第1の基材22の厚み方向のうちの一方の面に導電性材料の膜を形成し、これをフォトリソグラフィ工程および引き続き行われるエッチング工程などのパターニング工程によりパターニングして陽極32を形成する。この工程は、第1の基材22に導電性材料の膜が予め成膜された基材を入手し、パターニング工程を実施することにより陽極32を形成する工程であってもよい。
(発光ユニット形成工程)
次に陽極32上に第1発光ユニット80を形成する。本実施形態では陽極32に接するように正孔注入層42aを形成し、さらにこの正孔注入層42aに接するように正孔輸送層42bを形成する。そして正孔輸送層42bに接するように第1発光層50を形成する。これら正孔注入層42a、正孔輸送層42b、および第1発光層50は、選択された材料に応じた好適な溶媒を用いて塗工液を調製し、この塗工液を塗布する塗布法により形成された塗布膜を加熱処理して層を形成することができる。
(電荷発生層形成工程)
次いで第1発光ユニット80に接するように電荷発生層70を形成する。電荷発生層70の形態には、(1)単一の層からなるものと、(2)電子発生層72および正孔発生層74を含む複数層からなるものとがあるので、以下ではそれぞれの形態について場合分けして説明する。
(1)単一の層からなる電荷発生層70の形成
この場合には、(i)電界を印加することにより電子を発生する部位と、正孔を発生する部位とを1つのポリマー内に有する前記イオン性ポリマーを含有する単一の層からなる電荷発生層70を形成するか、(ii)電界を印加することにより電子を発生する電子注入特性を有する前記イオン性ポリマーと、このイオン性ポリマーとは種類が異なるイオン性ポリマーであって、かつ電界を印加することにより正孔を発生する正孔注入特性を有する前記イオン性ポリマーとを含有する単一の層からなる電荷発生層70を形成するか、(iii)電界を印加することにより電子を発生する電子注入特性を有する前記イオン性ポリマーと、電界を印加することにより正孔を発生する正孔注入特性を有する他の機能性成分とを含有する単一の層からなる電荷発生層70を形成するか、又は(iv)電界を印加することにより電子を発生する電子注入特性を有する他の機能性成分と、電界を印加することにより正孔を発生する正孔注入特性を有する前記イオン性ポリマーとを含有する単一の層からなる電荷発生層70を形成する。
(2)電子発生層72および正孔発生層74を備える電荷発生層70の形成
この場合には、(i)電界を印加することにより電子を発生する前記イオン性ポリマーを含有する材料により電子発生層72を形成し、かつ電界を印加することにより正孔を発生する前記イオン性ポリマーを含有する材料により正孔発生層74を形成するか、(ii)電界を印加することにより電子を発生する前記イオン性ポリマーを含有する材料により電子発生層72を形成し、電界を印加することにより正孔を発生する機能を有する他の成分を含有する材料により正孔発生層74を形成するか、又は(iii)電界を印加することにより電子を発生する他の成分を含有する材料により電子発生層72を形成し、電界を印加することにより正孔を発生する前記イオン性ポリマーを含有する材料により正孔発生層74を形成する。
図1では電子発生層72および正孔発生層74からなる電荷発生層70が示されている。
第1発光ユニットに接して電荷発生層70を形成した後、発光ユニット形成工程と電荷発生層形成工程とを交互に繰り返すことにより、発光ユニットと電荷発生層とを順次繰り返し積層する。繰り返しの最後には発光ユニット形成工程を行い、第x発光ユニットを形成する。前述したように、図1に示す実施形態では全ての発光ユニット80のうち、第1および第x発光ユニット80を除く、残余の発光ユニット80は、発光層50のみから構成されるため、当該残余の発光ユニットを形成する工程では発光層50のみを形成する。
電荷発生層を形成する際には、発光ユニットの最上層が、当該電荷発生層を形成するための塗工液に曝される。そのため塗工液に曝される発光ユニットの最上層は、電荷発生層を形成する際に使用される塗工液に溶解しにくい材料によって形成することが好ましい。たとえばイオン性ポリマーを極性溶媒に溶解した塗工液を用いて電荷発生層を形成する場合、上述の最上層は、無極性溶媒に溶解し、かつ極性溶媒に溶解しにくい材料によって形成することが好ましい。発光層は一般に無極性溶媒に溶解し、かつ極性溶媒に溶解しにくい材料によって構成されているため、イオン性ポリマーを極性溶媒に溶解した塗工液を用いて電荷発生層を形成する場合、電荷発生層を形成する際に発光層が塗工液に再溶解することを抑制することができる。
第x発光ユニットを形成する発光ユニット形成工程では、まず上述したように、第x発光層を電荷発生層70上に形成する。
(電子注入層の形成)
次に第x発光層50に接するように電子注入層44を形成する。電子注入層44の形成は、既に説明した通り電子注入効率を改善する機能を有する前記イオン性ポリマーを含む塗工液を塗布する塗布法により行うことができる。
まずイオン性ポリマーを含む塗工液を調製する。塗工液を調製するための溶媒としてはメタノール、エタノールなどの極性溶媒を用いることができる。こうした極性溶媒を用いることにより、上述したように電子注入層44形成用の塗工液に発光層が再溶解することを抑制することができる。
イオン性ポリマーを含む塗工液を第x発光層50の表面に塗布する。既に説明した正孔注入層、正孔輸送層、発光層50、電荷発生層70と同様に、塗布法としてはスピンコート法、さらには印刷法を用いることができる。
塗布されたイオン性ポリマーを含む塗工液の塗膜を加熱処理することにより、電子注入層44を形成する。この工程における温度は、発光層50の機能維持という観点から150℃以下とすることが好適である。
(陰極の形成)
次いで形成された電子注入層44上に陰極34を形成する。陰極34の形成には、選択された材料に応じて蒸着法などの任意好適な形成方法を選択することができるが、既に説明した正孔注入層、正孔輸送層、発光層50、電荷発生層70、電子注入層44の形成と同様に塗工液を用いる塗布法によっても形成することができる。
陰極34の塗布法による形成方法としては、陰極材料を溶媒または分散媒中に分散させた塗工液を塗布する方法、別の支持基板上に形成された塗工液の層を転写する方法などが好適である。
塗布法による陰極34の形成は、前記塗工液を、電子注入層44の露出面に塗布することにより行われる。塗工液の塗布は、スピンコート法、インクジェット法などによって行うのが好適である。そして塗布された塗膜を加熱処理することにより、陰極34を形成することができる。陰極34の加熱処理温度は、電子注入層44の加熱処理温度と同様に、150℃以下とすることが好適である。導電性材料としてPEDOT/PSSを用いた場合には、100℃、10分間程度の条件で加熱処理することができ、発光層50に対するダメージを抑制することができる。
次に第2の基材24を用いて封止する。この封止工程では、陰極34までが形成された積層構造体の陰極34が設けられた側に、熱硬化性樹脂、紫外線硬化樹脂などの任意好適な封止部材を用いて第2の基材24を接合することにより実施することができる。
以上の工程により有機EL素子10が製造される。
本発明の有機EL素子の製造方法によれば、電荷発生層70、さらには電子注入層44の材料として、大気中の水分、酸素に曝されても劣化しにくく、機能の低下が少ないイオン性ポリマーを用いるため、これらの層の形成工程を真空雰囲気とは異なる雰囲気、たとえば常圧程度の雰囲気、不活性ガス雰囲気、さらには大気雰囲気下で実施することができる。よって真空チャンバなどの大規模な設備が不要であるため、有機EL素子の製造工程を極めて簡便にすることができ、製造コストを格段に低減することができるという顕著な効果を得ることができる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
重合体の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(東ソー株式会社製:HLC−8220GPC)を用いて、ポリスチレン換算の重量平均分子量及び数平均分子量として求めた。また、測定する試料は、約0.5重量%の濃度になるようにテトラヒドロフランに溶解させ、GPCに50μL注入した。更に、GPCの移動相としてはテトラヒドロフランを用い、0.5mL/分の流速で流した。重合体の構造分析はVarian社製300MHzNMRスペクトロメータ−を用いた、1H−NMR解析によって行った。また、測定は、20mg/mLの濃度になるように試料を可溶な重溶媒(溶媒分子中の水素原子が重水素原子で置換された溶媒)に溶解させて行った。重合体の最高占有分子軌道(HOMO)の軌道エネルギーは、重合体のイオン化ポテンシャルを測定し、得られたイオン化ポテンシャルを該軌道エネルギーとすることにより求めた。一方、重合体の最低非占有分子軌道(LUMO)の軌道エネルギーは、HOMOとLUMOとのエネルギー差を求め、その値と前記で測定したイオン化ポテンシャルとの和を該軌道エネルギーとすることにより求めた。イオン化ポテンシャルの測定には光電子分光装置(理研計器株式会社製:AC−2)を用いた。また、HOMOとLUMOのエネルギー差は紫外・可視・近赤外分光光度計(Varian社製:Cary5E)を用いて重合体の吸収スペクトルを測定し、その吸収末端より求めた。
[参考例1]
2,7−ジブロモ−9,9−ビス[3−エトキシカルボニル−4−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]フェニル]−フルオレン(化合物A)の合成
2,7−ジブロモ−9−フルオレノン(52.5g)、サリチル酸エチル(154.8g)、及びメルカプト酢酸(1.4g)を300mLフラスコに入れ、フラスコ内の雰囲気を窒素置換した(以下、「フラスコ内の雰囲気を窒素置換した」を単に「窒素置換した」と記載することがある)。そこに、メタンスルホン酸(630mL)を添加し、混合物を75℃で終夜撹拌した。混合物を放冷し、氷水に添加して1時間撹拌した。生じた固体をろ別し、加熱したアセトニトリルで洗浄した。洗浄済みの該固体をアセトンに溶解させ、得られたアセトン溶液から固体を再結晶させ、ろ別した。得られた固体(62.7g)、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]−p−トルエンスルホネート(86.3g)、炭酸カリウム(62.6g)、及び18−クラウン−6(7.2g)をN、N−ジメチルホルムアミド(DMF)(670mL)に溶解させ、溶液をフラスコへ移して105℃で終夜撹拌した。得られた混合物を室温まで放冷し、フラスコ内へ氷水を加え、1時間撹拌した。反応液にクロロホルム(300mL)を加えて分液抽出を行い、溶液を濃縮することで、2,7−ジブロモ−9,9−ビス[3−エトキシカルボニル−4−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]フェニル]−フルオレン(化合物A)(51.2g)を得た。
[参考例2]
2,7−ビス(4,4,5,5−テトラメチル-1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,9−ビス[3−エトキシカルボニル−4−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]フェニル]−フルオレン(化合物B)の合成
窒素雰囲気下、化合物A(15g)、ビス(ピナコラート)ジボロン(8.9g)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)ジクロロメタン錯体(0.8g)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(0.5g)、酢酸カリウム(9.4g)、ジオキサン(400mL)を混合し、110℃に加熱し、10時間加熱還流させた。放冷後、反応液をろ過し、ろ液を減圧濃縮した。反応混合物をメタノールで3回洗浄した。沈殿物をトルエンに溶解させ、溶液に活性炭を加えて攪拌した。その後、ろ過を行い、ろ液を減圧濃縮することで、2,7−ビス(4,4,5,5−テトラメチル-1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,9−ビス[3−エトキシカルボニル−4−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]フェニル]−フルオレン(化合物B)(11.7g)を得た。
[参考例3]
ポリ[9,9−ビス[3−エトキシカルボニル−4−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]フェニル]−フルオレン](重合体A)の合成
不活性雰囲気下、化合物A(0.55g)、化合物B(0.61g)、トリフェニルホスフィンパラジウム(0.01g)、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド(アルドリッチ製、商品名Aliquat336(登録商標))(0.20g)、及びトルエン(10mL)を混合し、105℃に加熱した。この反応液に2M炭酸ナトリウム水溶液(6mL)を滴下し、8時間還流させた。反応液に4−t−ブチルフェニルボロン酸(0.01g)を加え、6時間還流させた。次いで、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液(10mL、濃度:0.05g/mL)を加え、2時間撹拌した。混合溶液をメタノール300mL中に滴下して1時間攪拌した後、析出した沈殿をろ過して2時間減圧乾燥させ、テトラヒドロフラン20mlに溶解させた。得られた溶液をメタノール120ml、3重量%酢酸水溶液50mLの混合溶媒中に滴下して1時間攪拌した後、析出した沈殿をろ過し、テトラヒドロフラン20mlに溶解させた。こうして得られた溶液をメタノール200mlに滴下して30分攪拌した後、析出した沈殿をろ過して固体を得た。得られた固体をテトラヒドロフランに溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを通すことにより精製した。カラムから回収したテトラヒドロフラン溶液を濃縮した後、メタノール(200mL)に滴下し、析出した固体をろ過し、乾燥させた。得られたポリ[9,9−ビス[3−エトキシカルボニル−4−ビス[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]フェニル]−フルオレン](重合体A)の収量は520mgであった。
重合体Aのポリスチレン換算の数平均分子量は5.2×104であった。重合体Aは、式(A)で表される構造単位からなる。
[実験例1]
重合体Aセシウム塩の合成
重合体A(200mg)を100mLフラスコに入れ、窒素置換した。テトラヒドロフラン(20mL)、及びエタノール(20mL)を添加し、混合物を55℃に昇温した。そこに、水酸化セシウム(200mg)を水(2mL)に溶解させた水溶液を添加し、55℃で6時間撹拌した。混合物を室温まで冷却した後、反応溶媒を減圧留去した。生じた固体を水で洗浄し、減圧乾燥させることで薄黄色の固体(150mg)を得た。NMRスペクトルにより、重合体A内のエチルエステル部位のエチル基由来のシグナルが完全に消失していることを確認した。得られた重合体Aのセシウム塩を共役高分子化合物1と呼ぶ。共役高分子化合物1は式(B)で表される構造単位からなる(「全構造単位中の、式(1)で表される基及び式(2)で表される基からなる群から選ばれる1種以上の基と式(3)で表される1種以上の基とを含む構造単位の割合」及び「全構造単位中の、式(13)、(15)、(17)、(20)で表される構造単位の割合」は、100モル%である。)。共役高分子化合物1のHOMOの軌道エネルギーは−5.5eV、LUMOの軌道エネルギーは−2.7eVであった。
[実験例2]
重合体Aカリウム塩の合成
重合体A(200mg)を100mLフラスコに入れ、窒素置換した。テトラヒドロフラン(20mL)、及びメタノール(10mL)を混合し、混合溶液に、水酸化カリウム(400mg)を水(2mL)に溶解させた水溶液を添加し、65℃で1時間撹拌した。反応溶液にメタノール50mLを加え、さらに65℃で4時間攪拌した。混合物を室温まで冷却した後、反応溶媒を減圧留去した。生じた固体を水で洗浄し、減圧乾燥させることで薄黄色の固体(131mg)を得た。NMRスペクトルにより、重合体A内のエチルエステル部位のエチル基由来のシグナルが完全に消失していることを確認した。得られた重合体Aのカリウム塩を共役高分子化合物2と呼ぶ。共役高分子化合物2は式(C)で表される構造単位からなる(「全構造単位中の、式(1)で表される基及び式(2)で表される基からなる群から選ばれる1種以上の基と式(3)で表される1種以上の基とを含む構造単位の割合」及び「全構造単位中の、式(13)、(15)、(17)、(20)で表される構造単位の割合」は、100モル%である。)。共役高分子化合物2のHOMOの軌道エネルギーは−5.5eV、LUMOの軌道エネルギーは−2.7eVであった。
[実験例3]
重合体Aナトリウム塩の合成
重合体A(200mg)を100mLフラスコに入れ、窒素置換した。テトラヒドロフラン(20mL)、及びメタノール(10mL)を混合し、混合溶液に、水酸化ナトリウム(260mg)を水(2mL)に溶解させた水溶液を添加し、65℃で1時間撹拌した。反応溶液にメタノール30mLを加え、さらに65℃で4時間攪拌した。混合物を室温まで冷却した後、反応溶媒を減圧留去した。生じた固体を水で洗浄し、減圧乾燥させることで薄黄色の固体(123mg)を得た。NMRスペクトルにより、重合体A内のエチルエステル部位のエチル基由来のシグナルが完全に消失していることを確認した。得られた重合体Aのナトリウム塩を共役高分子化合物3と呼ぶ。共役高分子化合物3は式(D)で表される構造単位からなる(「全構造単位中の、式(1)で表される基及び式(2)で表される基からなる群から選ばれる1種以上の基と式(3)で表される1種以上の基とを含む構造単位の割合」及び「全構造単位中の、式(13)、(15)、(17)、(20)で表される構造単位の割合」は、100モル%である。)。共役高分子化合物3のHOMOの軌道エネルギーは−5.6eV、LUMOの軌道エネルギーは−2.8eVであった。
[実験例4]
重合体Aアンモニウム塩の合成
重合体A(200mg)を100mLフラスコに入れ、窒素置換した。テトラヒドロフラン(20mL)、及びメタノール(15mL)を混合し、混合溶液にテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(50mg)を水(1mL)に溶解させた水溶液を添加し、65℃で6時間撹拌した。反応溶液にテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(50mg)を水(1mL)に溶解させた水溶液を加え、さらに65℃で4時間攪拌した。混合物を室温まで冷却した後、反応溶媒を減圧留去した。生じた固体を水で洗浄し、減圧乾燥させることで薄黄色の固体(150mg)を得た。NMRスペクトルにより、重合体A内のエチルエステル部位のエチル基由来のシグナルが90%消失していることを確認した。得られた重合体Aのアンモニウム塩を共役高分子化合物4と呼ぶ。共役高分子化合物4は式(E)で表される構造単位からなる(「全構造単位中の、式(1)で表される基及び式(2)で表される基からなる群から選ばれる1種以上の基と式(3)で表される1種以上の基とを含む構造単位の割合」及び「全構造単位中の、式(13)、(15)、(17)、(20)で表される構造単位の割合」は、90モル%である。)。共役高分子化合物4のHOMOの軌道エネルギーは−5.6eV、LUMOの軌道エネルギーは−2.8eVであった。
[参考例4]
2,7−ビス[7−(4−メチルフェニル)−9,9−ジオクチルフルオレン−2−イル]−9,9−ビス[3−エトキシカルボニル−4−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]フェニル]−フルオレン(重合体B)の合成
不活性雰囲気下、化合物A(0.52g)、2,7−ビス(1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,9−ジオクチルフルオレン(1.29g)、トリフェニルホスフィンパラジウム(0.0087g)、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド(アルドリッチ製、商品名Aliquat336(登録商標))(0.20g)、トルエン(10mL)、及び2M炭酸ナトリウム水溶液(10mL)を混合し、80℃に加熱した。反応液を3.5時間反応させた。その後、そこに、パラブロモトルエン(0.68g)を加えて、更に2.5時間反応させた。反応後、反応液を室温まで冷却し、酢酸エチル50mL/蒸留水50mLを加えて水層を除去した。再び蒸留水50mLを加えて水層を除去した後、乾燥剤として硫酸マグネシウムを加えて、不溶物をろ過して、有機溶媒を除去した。その後、得られた残渣を再びTHF10mLに溶かして、飽和ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム水2mLを添加して、30分間撹拌した後、有機溶媒を除去した。アルミナカラム(展開溶媒 ヘキサン:酢酸エチル=1:1、v/v)を通して精製を行い、析出した沈殿をろ過して12時間減圧乾燥させたところ、2,7−ビス[7−(4−メチルフェニル)−9,9−ジオクチルフルオレン−2−イル]−9,9−ビス[3−エトキシカルボニル−4−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]フェニル]−フルオレン(重合体B)が524mg得られた。
重合体Bのポリスチレン換算の数平均分子量は、2.0×103であった。なお、重合体Bは、式(F)で表される。
[実験例5]
重合体Bセシウム塩の合成
重合体B(262mg)を100mLフラスコに入れ、アルゴン置換した。そこに、テトラヒドロフラン(10mL)、及びメタノール(15mL)を添加し、混合物を55℃に昇温した。そこに、水酸化セシウム(341mg)を水(1mL)に溶かした水溶液を添加し、55℃で5時間撹拌した。得られた混合物を室温まで冷却した後、反応溶媒を減圧留去した。生じた固体を水で洗浄し、減圧乾燥させることで薄黄色の固体(250mg)を得た。NMRスペクトルにより、エチルエステル部位のエチル基由来のシグナルが完全に消失していることを確認した。得られた重合体Bセシウム塩を共役高分子化合物5と呼ぶ。共役高分子化合物5は、式(G)で表される(「全構造単位中の、式(1)で表される基及び式(2)で表される基からなる群から選ばれる1種以上の基と式(3)で表される1種以上の基とを含む構造単位の割合」及び「全構造単位中の、式(13)、(15)、(17)、(20)で表される構造単位の割合」は、小数第二位で四捨五入して、33.3モル%である。)。共役高分子化合物5のHOMOの軌道エネルギーは−5.6eVであり、LUMOの軌道エネルギーは−2.6eVであった。
[参考例5]
重合体Cの合成
不活性雰囲気下、化合物A(0.40g)、化合物B(0.49g)、N,N’-ビス(4−ブロモフェニル)−N,N’−ビス(4−t−ブチル-2,6−ジメチルフェニル)1,4−フェニレンジアミン(35mg)、トリフェニルホスフィンパラジウム(8mg)、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド(アルドリッチ製、商品名Aliquat336(登録商標))(0.20g)、及びトルエン(10mL)を混合し、105℃に加熱した。この反応液に2M炭酸ナトリウム水溶液(6mL)を滴下し、8時間還流させた。反応液にフェニルボロン酸(0.01g)を加え、6時間還流させた。次いで、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液(10mL、濃度:0.05g/mL)を加え、2時間撹拌した。混合溶液をメタノール300mL中に滴下して1時間攪拌した後、析出した沈殿をろ過して2時間減圧乾燥させ、テトラヒドロフラン20mLに溶解させた。得られた溶液をメタノール120mL、3重量%酢酸水溶液50mLの混合溶媒中に滴下して1時間攪拌した後、析出した沈殿をろ過し、テトラヒドロフラン20mLに溶解させた。こうして得られた溶液をメタノール200mLに滴下して30分攪拌した後、析出した沈殿をろ過して固体を得た。得られた固体をテトラヒドロフランに溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを通すことにより精製した。カラムから回収したテトラヒドロフラン溶液を濃縮した後、メタノール(200mL)に滴下し、析出した固体をろ過し、乾燥させた。得られた重合体Cの収量は526mgであった。
重合体Cのポリスチレン換算の数平均分子量は3.6×104であった。重合体Cは、式(H)で表される構造単位からなる。
なお、N,N’-ビス(4−ブロモフェニル)−N,N’−ビス(4−t−ブチル-2,6−ジメチルフェニル)1,4−フェニレンジアミンは、例えば特開2008−74017号公報に記載されている方法で合成することができる。
[実験例6]
重合体Cセシウム塩の合成
重合体C(200mg)を100mLフラスコに入れ、窒素置換した。テトラヒドロフラン(20mL)、及びメタノール(20mL)を添加し混合した。混合溶液に、水酸化セシウム(200mg)を水(2mL)に溶解させた水溶液を添加し、65℃で1時間撹拌した。反応溶液にメタノール30mLを加え、さらに65℃で4時間攪拌した。混合物を室温まで冷却した後、反応溶媒を減圧留去した。生じた固体を水で洗浄し、減圧乾燥させることで薄黄色の固体(150mg)を得た。NMRスペクトルにより、重合体C内のエチルエステル部位のエチル基由来のシグナルが完全に消失していることを確認した。得られた重合体Cのセシウム塩を共役高分子化合物6と呼ぶ。共役高分子化合物6は式(I)で表される構造単位からなる(「全構造単位中の、式(1)で表される基及び式(2)で表される基からなる群から選ばれる1種以上の基と式(3)で表される1種以上の基とを含む構造単位の割合」及び「全構造単位中の、式(13)、(15)、(17)、(20)で表される構造単位の割合」は、95モル%である。)。共役高分子化合物6のHOMOの軌道エネルギーは−5.3eV、LUMOの軌道エネルギーは−2.6eVであった。
[参考例6]
重合体Dの合成
不活性雰囲気下、化合物A(0.55g)、化合物B(0.67g)、N,N’-ビス(4−ブロモフェニル)−N,N’−ビス(4−t−ブチル-2,6−ジメチルフェニル)1,4−フェニレンジアミン(0.038g)、3,7−ジブロモ−N−(4−n−ブチルフェニル)フェノキサジン0.009g、トリフェニルホスフィンパラジウム(0.01g)、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド(アルドリッチ製、商品名Aliquat336(登録商標))(0.20g)、及びトルエン(10mL)を混合し、105℃に加熱した。この反応液に2M炭酸ナトリウム水溶液(6mL)を滴下し、2時間還流させた。反応液にフェニルボロン酸(0.004g)を加え、6時間還流させた。次いで、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液(10mL、濃度:0.05g/mL)を加え、2時間撹拌した。混合溶液をメタノール300mL中に滴下して1時間攪拌した後、析出した沈殿をろ過して2時間減圧乾燥させ、テトラヒドロフラン20mLに溶解させた。得られた溶液をメタノール120mL、3重量%酢酸水溶液50mLの混合溶媒中に滴下して1時間攪拌した後、析出した沈殿をろ過し、テトラヒドロフラン20mLに溶解させた。こうして得られた溶液をメタノール200mLに滴下して30分攪拌した後、析出した沈殿をろ過して固体を得た。得られた固体をテトラヒドロフランに溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを通すことにより精製した。カラムから回収したテトラヒドロフラン溶液を濃縮した後、メタノール(200mL)に滴下し、析出した固体をろ過し、乾燥させた。得られた重合体Dの収量は590mgであった。
重合体Dのポリスチレン換算の数平均分子量は2.7×104であった。重合体Dは、式(J)で表される構造単位からなる。
なお、3,7−ジブロモ−N−(4−n−ブチルフェニル)フェノキサジンは、特開2004−137456に記載の方法で合成した。
[実験例7]
重合体Dセシウム塩の合成
重合体D(200mg)を100mLフラスコに入れ、窒素置換した。テトラヒドロフラン(15mL)、及びメタノール(10mL)を混合した。混合溶液に、水酸化セシウム(360mg)を水(2mL)に溶解させた水溶液を添加し、65℃で3時間撹拌した。反応溶液にメタノール10mLを加え、さらに65℃で4時間攪拌した。混合物を室温まで冷却した後、反応溶媒を減圧留去した。生じた固体を水で洗浄し、減圧乾燥させることで薄黄色の固体(210mg)を得た。NMRスペクトルにより、重合体D内のエチルエステル部位のエチル基由来のシグナルが完全に消失していることを確認した。得られた重合体Dのセシウム塩を共役高分子化合物7と呼ぶ。共役高分子化合物7は式(K)で表される構造単位からなる(「全構造単位中の、式(1)で表される基及び式(2)で表される基からなる群から選ばれる1種以上の基と式(3)で表される1種以上の基とを含む構造単位の割合」及び「全構造単位中の、式(13)、(15)、(17)、(20)で表される構造単位の割合」は、90モル%である。)。共役高分子化合物7のHOMOの軌道エネルギーは−5.3eV、LUMOの軌道エネルギーは−2.4eVであった。
[参考例7]
重合体Eの合成
不活性雰囲気下、化合物A(0.37g)、化合物B(0.82g)、1,3−ジブロモベンゼン(0.09g)、トリフェニルホスフィンパラジウム(0.01g)、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド(アルドリッチ製、商品名Aliquat336(登録商標))(0.20g)、及びトルエン(10mL)を混合し、105℃に加熱した。この反応液に2M炭酸ナトリウム水溶液(6mL)を滴下し、7時間還流させた。反応液にフェニルボロン酸(0.002g)を加え、10時間還流させた。次いで、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液(10mL、濃度:0.05g/mL)を加え、1時間撹拌した。混合溶液をメタノール300mL中に滴下して1時間攪拌した後、析出した沈殿をろ過して2時間減圧乾燥させ、テトラヒドロフラン20mLに溶解させた。得られた溶液をメタノール120mL、3重量%酢酸水溶液50mLの混合溶媒中に滴下して1時間攪拌した後、析出した沈殿をろ過し、テトラヒドロフラン20mLに溶解させた。こうして得られた溶液をメタノール200mLに滴下して30分攪拌した後、析出した沈殿をろ過して固体を得た。得られた固体をテトラヒドロフランに溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを通すことにより精製した。カラムから回収したテトラヒドロフラン溶液を濃縮した後、メタノール(200mL)に滴下し、析出した固体をろ過し、乾燥させた。得られた重合体Eの収量は293mgであった。
重合体Eのポリスチレン換算の数平均分子量は1.8×104であった。重合体Eは、式(L)で表される構造単位からなる。
[実験例8]
重合体Eセシウム塩の合成
重合体E(200mg)を100mLフラスコに入れ、窒素置換した。テトラヒドロフラン(10mL)、及びメタノール(5mL)を混合した。混合溶液に、水酸化セシウム(200mg)を水(2mL)に溶解させた水溶液を添加し、65℃で2時間撹拌した。反応溶液にメタノール10mLを加え、さらに65℃で5時間攪拌した。混合物を室温まで冷却した後、反応溶媒を減圧留去した。生じた固体を水で洗浄し、減圧乾燥させることで薄黄色の固体(170mg)を得た。NMRスペクトルにより、重合体E内のエチルエステル部位のエチル基由来のシグナルが完全に消失していることを確認した。得られた重合体Eのセシウム塩を共役高分子化合物8と呼ぶ。共役高分子化合物8は式(M)で表される構造単位からなる(「全構造単位中の、式(1)で表される基及び式(2)で表される基からなる群から選ばれる1種以上の基と式(3)で表される1種以上の基とを含む構造単位の割合」及び「全構造単位中の、式(13)、(15)、(17)、(20)で表される構造単位の割合」は、75モル%である。)。共役高分子化合物8のHOMOの軌道エネルギーは−5.6eV、LUMOの軌道エネルギーは−2.6eVであった。
[参考例8]
重合体Fの合成
不活性雰囲気下、化合物B(1.01g)、1,4−ジブロモ−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン(0.30g)、トリフェニルホスフィンパラジウム(0.02g)、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド(アルドリッチ製、商品名Aliquat336(登録商標))(0.20g)、及びトルエン(10mL)を混合し、105℃に加熱した。この反応液に2M炭酸ナトリウム水溶液(6mL)を滴下し、4時間還流させた。反応液にフェニルボロン酸(0.002g)を加え、4時間還流させた。次いで、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液(10mL、濃度:0.05g/mL)を加え、1時間撹拌した。混合溶液をメタノール300mL中に滴下して1時間攪拌した後、析出した沈殿をろ過して2時間減圧乾燥させ、テトラヒドロフラン20mLに溶解させた。得られた溶液をメタノール120mL、3重量%酢酸水溶液50mLの混合溶媒中に滴下して1時間攪拌した後、析出した沈殿をろ過し、テトラヒドロフラン20mLに溶解させた。こうして得られた溶液をメタノール200mLに滴下して30分攪拌した後、析出した沈殿をろ過して固体を得た。得られた固体をテトラヒドロフラン/酢酸エチル(1/1(体積比))の混合溶媒に溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを通すことにより精製した。カラムから回収したテトラヒドロフラン溶液を濃縮した後、メタノール(200mL)に滴下し、析出した固体をろ過し、乾燥させた。得られた重合体Eの収量は343mgであった。
重合体Fのポリスチレン換算の数平均分子量は6.0×104であった。重合体Fは、式(N)で表される構造単位からなる。
[実験例9]
重合体Fセシウム塩の合成
重合体F(150mg)を100mLフラスコに入れ、窒素置換した。テトラヒドロフラン(10mL)、及びメタノール(5mL)を混合した。混合溶液に、水酸化セシウム(260mg)を水(2mL)に溶解させた水溶液を添加し、65℃で2時間撹拌した。反応溶液にメタノール10mLを加え、さらに65℃で5時間攪拌した。混合物を室温まで冷却した後、反応溶媒を減圧留去した。生じた固体を水で洗浄し、減圧乾燥させることで薄黄色の固体(130mg)を得た。NMRスペクトルにより、重合体E内のエチルエステル部位のエチル基由来のシグナルが完全に消失していることを確認した。得られた重合体Fのセシウム塩を共役高分子化合物9と呼ぶ。共役高分子化合物9は式(O)で表される構造単位からなる(「全構造単位中の、式(1)で表される基及び式(2)で表される基からなる群から選ばれる1種以上の基と式(3)で表される1種以上の基とを含む構造単位の割合」及び「全構造単位中の、式(13)、(15)、(17)、(20)で表される構造単位の割合」は、75モル%である。)。共役高分子化合物9のHOMOの軌道エネルギーは−5.9eV、LUMOの軌道エネルギーは−2.8eVであった。
[参考例9]
不活性雰囲気下、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]−p−トルエンスルホネート(11.0g)、トリエチレングリコール(30.0g)、水酸化カリウム(3.3g)を混合し、100℃で18時間加熱攪拌した。放冷後、反応溶液を水(100mL)に加え、クロロホルムで分液抽出を行い、溶液を濃縮した。濃縮した溶液を、クーゲルロワー蒸留(10mmTorr、180℃)することで、2−(2−(2−(2−(2−(2−メトキシエトキシ)−エトキシ)−エトキシ)−エトキシ)−エトキシ)エタノール(6.1g)を得た。
[参考例10]
不活性雰囲気下、2−(2−(2−(2−(2−(2−メトキシエトキシ)−エトキシ)−エトキシ)−エトキシ)−エトキシ)エタノール(8.0g)、水酸化ナトリウム(1.4g)、蒸留水(2mL)、テトラヒドロフラン(2mL)を混合し、氷冷した。混合溶液に、p−トシルクロリド(5.5g)のテトラヒドロフラン(6.4mL)溶液を30分かけて滴下し、滴下後反応溶液を室温に上げて15時間攪拌した。反応溶液に蒸留水(50mL)を加え、6M硫酸で反応溶液を中和した後、クロロホルムで分液抽出を行った。溶液を濃縮することで、2−(2−(2−(2−(2−(2−メトキシエトキシ)−エトキシ)−エトキシ)−エトキシ)−エトキシ)p−トルエンスルホネート(11.8g)を得た。
[参考例11]
2,7−ジブロモ−9,9−ビス[3−エトキシカルボニル−4−[2−(2−(2−(2−(2−(2−メトキシエトキシ)−エトキシ)−エトキシ)−エトキシ)−エトキシ)エトキシ]フェニル]−フルオレン(化合物C)の合成
2,7−ジブロモ−9−フルオレノン(127.2g)、サリチル酸エチル(375.2g)、及びメルカプト酢酸(3.5g)を300mLフラスコに入れ、窒素置換した。そこに、メタンスルホン酸(1420mL)を添加し、混合物を75℃で終夜撹拌した。混合物を放冷し、氷水に添加して1時間撹拌した。生じた固体をろ別し、加熱したアセトニトリルで洗浄した。洗浄済みの該固体をアセトンに溶解させ、得られたアセトン溶液から固体を再結晶させ、ろ別し固体(167.8g)を得た。得られた固体(5g)、2−(2−(2−(2−(2−(2−メトキシエトキシ)−エトキシ)−エトキシ)−エトキシ)−エトキシ)p−トルエンスルホネート(10.4g)、炭酸カリウム(5.3g)、及び18−クラウン−6(0.6g)をN、N−ジメチルホルムアミド(DMF)(100mL)に溶解させ、溶液をフラスコへ移して105℃で4時間撹拌した。得られた混合物を室温まで放冷し、氷水へ加え、1時間撹拌した。反応液にクロロホルム(300mL)を加えて分液抽出を行い、溶液を濃縮した。濃縮物を酢酸エチルに溶解させ、アルミナのカラムに通液し、溶液を濃縮することで、2,7−ジブロモ−9,9−ビス[3−エトキシカルボニル−4−[2−(2−(2−(2−(2−(2−メトキシエトキシ)−エトキシ)−エトキシ)−エトキシ)−エトキシ)エトキシ]フェニル]−フルオレン(化合物C)(4.5g)を得た。
[参考例12]
重合体Gの合成
不活性雰囲気下、化合物C(1.0g)、4−t−ブチルフェニルブロミド(0.9mg)、2,2’−ビピリジン(0.3g)、脱水テトラヒドロフラン(50mL)を200mLフラスコに入れ混合した。混合物を55℃に昇温した後、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0.6g)を添加し、55℃で5時間撹拌した。混合物を室温まで冷却した後、反応溶液をメタノール(200mL)、1N希塩酸(200mL)の混合液に滴下した。生じた沈殿物をろ過により収集した後、テトラヒドロフランに再溶解させた。メタノール(200mL)、15%アンモニア水(100mL)の混合液に滴下し、生じた沈殿物をろ過により収集した。沈殿物をテトラヒドロフランに再溶解させ、メタノール(200mL)、水(100mL)の混合液に滴下し、生じた沈殿物をろ過により収集した。収集した沈殿物を減圧乾燥することで重合体G(360mg)を得た。
重合体Gのポリスチレン換算の数平均分子量は6.0×104であった。重合体Gは、式(P)で表される構造単位からなる。
[実験例10]
重合体Gセシウム塩の合成
重合体G(150mg)を100mLフラスコに入れ、窒素置換した。テトラヒドロフラン(15mL)、及びメタノール(5mL)を混合した。混合溶液に、水酸化セシウム(170mg)を水(2mL)に溶解させた水溶液を添加し、65℃で6時間撹拌した。混合物を室温まで冷却した後、反応溶媒を減圧留去した。生じた固体を水で洗浄し、減圧乾燥させることで薄黄色の固体(95)mg)を得た。NMRスペクトルにより、重合体G内のエチルエステル部位のエチル基由来のシグナルが完全に消失していることを確認した。得られた重合体Gのセシウム塩を共役高分子化合物10と呼ぶ。共役高分子化合物10は式(Q)で表される構造単位からなる(「全構造単位中の、式(1)で表される基及び式(2)で表される基からなる群から選ばれる1種以上の基と式(3)で表される1種以上の基とを含む構造単位の割合」及び「全構造単位中の、式(13)、(15)、(17)、(20)で表される構造単位の割合」は、100モル%である。)。共役高分子化合物10のHOMOの軌道エネルギーは−5.7eV、LUMOの軌道エネルギーは−2.9eVであった。
[参考例13]
1,3−ジブロモ−5−エトキシカルボニル−6−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]ベンゼンの合成
不活性雰囲気下、3,5−ジブロモサリチル酸(20g)、エタノール(17mL)、濃硫酸(1.5mL)、トルエン(7mL)を混合し、130℃で20時間加熱攪拌した。放冷後、反応溶液を氷水(100mL)に加え、クロロホルムで分液抽出を行い、溶液を濃縮した。得られた固体を、イソプロパノールに溶解し、溶液を蒸留水に滴下した。得られた析出物をろ別することにより、固体(18g)を得た。不活性雰囲気下、得られた固体(1g)、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]−p−トルエンスルホネート(1.5g)、炭酸カリウム(0.7g)、DMF(15mL)を混合し、100℃で4時間加熱攪拌した。放冷後、クロロホルムを加えて分液抽出し、溶液を濃縮した。濃縮物をクロロホルムに溶解させ、シリカゲルカラムに通液することにより精製した。溶液を濃縮することにより、1,3−ジブロモ−5−エトキシカルボニル−6−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]ベンゼン(1.0g)を得た。
[参考例14]
重合体Hの合成
不活性雰囲気下、化合物A(0.2g)、化合物B(0.5g)、1,3−ジブロモ−5−エトキシカルボニル−6−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]ベンゼン(0.1g)、トリフェニルホスフィンパラジウム(30mg)、テトラブチルアンモニウムブロミド(4mg)、及びトルエン(19mL)を混合し、105℃に加熱した。この反応液に2M炭酸ナトリウム水溶液(5mL)を滴下し、5時間還流させた。反応液にフェニルボロン酸(6mg)を加え、14時間還流させた。次いで、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液(10mL、濃度:0.05g/mL)を加え、2時間撹拌した。水層を除去して有機層を蒸留水で洗浄し、濃縮して得られた固体をクロロホルムに溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを通すことにより精製した。カラムからの溶出液を濃縮して乾燥させた。得られた重合体Hの収量は0.44gであった。
重合体Hのポリスチレン換算の数平均分子量は3.6×104であった。重合体Hは、式(R)で表される構造単位からなる。
[実験例11]
重合体Hセシウム塩の合成
重合体H(200mg)を100mLフラスコに入れ、窒素置換した。テトラヒドロフラン(14mL)、及びメタノール(7mL)を添加し混合した。混合溶液に、水酸化セシウム(90mg)を水(1mL)に溶解させた水溶液を添加し、65℃で1時間撹拌した。反応溶液にメタノール5mLを加え、さらに65℃で4時間攪拌した。混合物を室温まで冷却した後、反応溶媒を減圧留去した。生じた固体を水で洗浄し、減圧乾燥させることで薄黄色の固体(190mg)を得た。NMRスペクトルにより、重合体H内のエチルエステル部位のエチル基由来のシグナルが完全に消失していることを確認した。得られた重合体Hのセシウム塩を共役高分子化合物11と呼ぶ。共役高分子化合物11は式(S)で表される構造単位からなる(「全構造単位中の、式(1)で表される基及び式(2)で表される基からなる群から選ばれる1種以上の基と式(3)で表される1種以上の基とを含む構造単位の割合」及び「全構造単位中の、式(13)、(15)、(17)、(20)で表される構造単位の割合」は、100モル%である。)。共役高分子化合物11のHOMOの軌道エネルギーは−5.6eV、LUMOの軌道エネルギーは−2.8eVであった。
[参考例15]
2,7−ジブロモ−9,9−ビス[3,4−ビス[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]−5−メトキシカルボニルフェニル]フルオレン (化合物D)の合成
2,7−ジブロモ−9−フルオレノン(34.1g)、2,3-ジヒドロキシ安息香酸メチル(101.3g)、及びメルカプト酢酸(1.4g)を500mLフラスコに入れ、窒素置換した。そこに、メタンスルホン酸(350mL)を添加し、混合物を90℃で19時間撹拌した。混合物を放冷し、氷水に添加して1時間撹拌した。生じた固体をろ別し、加熱したアセトニトリルで洗浄した。洗浄済みの該固体をアセトンに溶解させ、得られたアセトン溶液から固体を再結晶させ、ろ別した。得られた固体(16.3g)、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]−p−トルエンスルホネート(60.3g)、炭酸カリウム(48.6g)、及び18−クラウン−6(2.4g)をN、N−ジメチルホルムアミド(DMF)(500mL)に溶解させ、溶液をフラスコへ移して110℃で15時間撹拌した。得られた混合物を室温まで放冷し、氷水へ加え、1時間撹拌した。反応液に酢酸エチル(300mL)を加えて分液抽出を行い、溶液を濃縮し、クロロホルム/メタノール(50/1(体積比))の混合溶媒に溶解させ、シリカゲルカラムを通すことにより精製した。カラムに通液した溶液を濃縮することで、2,7−ジブロモ−9,9−ビス[3,4−ビス[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]−5−メトキシカルボニルフェニル]フルオレン (化合物D)(20.5g)を得た。
[参考例16]
2,7−ビス[7−(4−メチルフェニル)−9,9−ジオクチルフルオレン−2−イル]−9,9−ビス[5−メトキシカルボニル−3,4−ビス[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]フェニル]−フルオレン(重合体I)の合成
不活性雰囲気下、化合物D(0.70g)、2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,2,3−ジオキサボラン−2−イル)−9,9−ジオクチルフルオレン(0.62g)、トリフェニルホスフィンパラジウム(0.019g)、ジオキサン(40mL)、水(6mL)及び炭酸カリウム水溶液(1.38g)を混合し、80℃に加熱した。反応液を1時間反応させた。反応後、飽和ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム水5mLを添加して、30分間撹拌した後、有機溶媒を除去した。得られた固体をアルミナカラム(展開溶媒ヘキサン:酢酸エチル=1:1(体積比))を通して精製を行い、溶液を濃縮することで、2,7−ビス[7−(4−メチルフェニル)−9,9−ジオクチルフルオレン−2−イル]−9,9−ビス[3−エトキシカルボニル−4−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]フェニル]−フルオレン(重合体I)を660mg得た。
重合体Iのポリスチレン換算の数平均分子量は、2.0×103であった。重合体Iは、式(T)で表される。
なお、2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,2,3−ジオキサボラン−2−イル)−9,9−ジオクチルフルオレンは、例えば特開2008−74017号公報に記載されている方法で合成することができる。
[実験例12]
重合体Iセシウム塩の合成
重合体I(236mg)を100mLフラスコに入れ、アルゴン置換した。そこに、テトラヒドロフラン(20mL)、及びメタノール(10mL)を添加し、混合物を65℃に昇温した。そこに、水酸化セシウム(240mg)を水(2mL)に溶かした水溶液を添加し、65℃で7時間撹拌した。得られた混合物を室温まで冷却した後、反応溶媒を減圧留去した。生じた固体を水で洗浄し、減圧乾燥させることで薄黄色の固体(190mg)を得た。NMRスペクトルにより、エチルエステル部位のエチル基由来のシグナルが完全に消失していることを確認した。得られた重合体Iセシウム塩を共役高分子化合物12と呼ぶ。共役高分子化合物12は、式(U)で表される(「全構造単位中の、式(1)で表される基及び式(2)で表される基からなる群から選ばれる1種以上の基と式(3)で表される1種以上の基とを含む構造単位の割合」及び「全構造単位中の、式(13)、(15)、(17)、(20)で表される構造単位の割合」は、小数第二位で四捨五入して、33.3モル%である。)。共役高分子化合物12のHOMOの軌道エネルギーは−5.6eVであり、LUMOの軌道エネルギーは−2.8eVであった。
[実施例1]
<マルチフォトン型の有機EL素子の作製>
ガラス基板表面に成膜されたITO陽極(膜厚:45nm)にUVオゾン処理を施した。
<第1発光ユニットの形成>
その後ITO陽極上に正孔注入材料溶液をスピンコート法によって塗布し、膜厚が50nmになるように正孔注入層を成膜した。正孔注入層が成膜されたガラス基板を不活性雰囲気下(窒素雰囲気下)、170℃で15分間加熱して正孔注入層を不溶化させ、基板を室温まで自然冷却させ、正孔注入層が形成された基板を得た。
ここで正孔注入材料溶液には、プレクストロニクス社製のPLEX CORE OC1200を用いた。
次に、発光高分子材料(サメイション(株)製「Lumation BP361」)とキシレンとを混合し、1.4重量%の発光高分子材料を含む発光層形成用組成物を得た。上記で得た正孔輸送層が形成された基板の正孔注入層の上に、発光層形成用組成物をスピンコート法により塗布し、膜厚60nmの塗膜を得た。この塗膜を設けた基板を窒素雰囲気下、130℃で15分間加熱し、溶媒を蒸発させた後、室温まで自然冷却させ、第1発光層が形成された基板を得た。
<電荷発生層の形成>
メタノールと共役高分子化合物1とを混合し、0.5重量%の共役高分子化合物1を含む組成物を得た。この組成物を、上記で得た第1発光層の上にスピンコート法により塗布し、膜厚20nmの塗膜を得た。この塗膜を設けた基板を窒素雰囲気下、130℃で10分間加熱し、溶媒を蒸発させた後、室温まで自然冷却させ、共役高分子化合物1を含む電荷発生層が形成された基板を得た。
<第2発光ユニットの形成>
次に、発光高分子材料(サメイション(株)製「Lumation BP361」)とキシレンとを混合し、1.4重量%の発光高分子材料を含む発光層形成用組成物を得た。この発光層形成用組成物を、上記で得た電荷発生層の上にスピンコート法により塗布し、膜厚60nmの塗膜を得た。この塗膜を設けた基板を窒素雰囲気下、130℃で15分間加熱し、溶媒を蒸発させた後、室温まで自然冷却させ、第2発光層が形成された基板を得た。
メタノールと共役高分子化合物1とを混合し、0.5重量%の共役高分子化合物1を含む組成物を得た。この組成物を、上記で得た第2発光層の上にスピンコート法により塗布し、膜厚20nmの塗膜を得た。この塗膜を設けた基板を窒素雰囲気下、130℃で10分間加熱し、溶媒を蒸発させた後、室温まで自然冷却させ、共役高分子化合物1を含む電子注入層が形成された基板を得た。
上記で得た共役高分子化合物1を含む電子注入層が形成された基板を真空装置内に挿入し、真空蒸着法によって電子注入層の上にAlを100nm成膜し、陰極を形成させて、積層構造体1を製造した。
上記で得た積層構造体1を真空装置より取り出し、不活性雰囲気下(窒素雰囲気下)で、封止ガラスと2液混合型エポキシ樹脂にて封止し、マルチフォトン型の有機EL素子1を得た。
[参考例17]
<シングルフォトン型の有機EL素子の作製>
ガラス基板表面に成膜パターニングされたITO陽極(膜厚:45nm)にUVオゾン処理を施した。このITO陽極の上に正孔注入材料溶液を塗布し、スピンコート法によって膜厚が50nmになるように正孔注入層を成膜した。正孔注入層が成膜されたガラス基板を窒素雰囲気下、170℃で15分間加熱して正孔注入層を不溶化させ、基板を室温まで自然冷却させ、正孔注入層が形成された基板を得た。
ここで正孔注入材料溶液には、プレクストロニクス社製のPLEX CORE OC1200を用いた。
次に、発光高分子材料(サメイション(株)製「Lumation BP361」)とキシレンとを混合し、1.4重量%の発光高分子材料を含む発光層形成用組成物を得た。発光層形成用組成物を、上記で得た正孔輸送層の上にスピンコート法により塗布し、膜厚60nmの塗膜を得た。この塗膜を設けた基板を窒素雰囲気下、130℃で15分間加熱し、溶媒を蒸発させた後、室温まで自然冷却させ、発光層が形成された基板を得た。
つぎにメタノールと共役高分子化合物1とを混合し、0.5重量%の共役高分子化合物1を含む組成物を得た。この組成物を、上記で得た発光層の上にスピンコート法により塗布し、膜厚20nmの塗膜を得た。この塗膜を設けた基板を不活性雰囲気下(窒素雰囲気下)、130℃で10分間加熱し、溶媒を蒸発させた後、室温まで自然冷却させ、共役高分子化合物1を含む電子注入層が形成された基板を得た。
上記で得た共役高分子化合物1を含む電子注入層が形成された基板を真空装置内に挿入し、真空蒸着法によって該層の上にAlを100nm成膜し、陰極を形成させて、積層構造体2を製造した。
上記で得た積層構造体2を真空装置より取り出し、窒素雰囲気下で、封止ガラスと2液混合型エポキシ樹脂にて封止し、シングルフォトン型の有機EL素子2を得た。
[測定]
上記で得られた有機EL素子1、2に順方向電圧を印加し、電流密度が50mA/cm2のときの発光輝度と発光効率を測定した。結果を表1に示す。
表1から明らかなように、マルチフォトン型の有機EL素子は、シングルフォトン型の有機EL素子に比べ、発光効率および発光輝度が優れていることから、イオン性ポリマーを含む層が電荷発生層として機能することを確認した。