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JP5645151B1 - 刃物用ステンレス鋼の中間素材 - Google Patents

刃物用ステンレス鋼の中間素材 Download PDF

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Abstract

焼入れ時に短時間の熱処理で高硬度化が可能となる炭化物分布に優れた刃物用ステンレス鋼の中間素材を提供する。実質的にFCC相である熱間圧延後焼鈍前の刃物用ステンレス鋼の中間素材であって、組成が質量%でC:0.46〜0.72%、Si:0.15〜0.55%、Mn:0.45〜1.00%、Cr:12.5〜13.9%、Mo+W/2:0〜2.0%、残部はFeおよび不純物からなり、圧延面の表面からの深さが板厚の1/4の位置でのKAM値が0.5?以上である刃物用ステンレス鋼の中間素材。

Description

本発明は、例えば、剃刀、カッター、包丁、ナイフなどに用いられる刃物用ステンレス鋼の中間素材に関するものである。
従来、マルテンサイト系ステンレス鋼は、剃刀、カッター、包丁、ナイフ等の刃物用の材料として広く使用されてきた。特に、質量%で13%程度のCrと0.65%程度のCを含む高炭素マルテンサイト系ステンレス鋼の帯材は、剃刀用の材料として最適であることが知られている。このような用途に用いられる高炭素マルテンサイト系ステンレス鋼(以下「刃物用ステンレス鋼」という。)は、通常焼入れ焼戻しを施して使用されるものであり、使用時は高硬度であることが求められている。
刃物用ステンレス鋼は通常以下の製造工程を経て製造される。
まず、原料を溶解、鋳造して素材を製造する。次に、素材を熱間圧延して中間素材を製造する。素材に対して熱間鍛造や熱間圧延による分塊工程を経る場合もある。
次に、中間素材に最初の焼鈍を行って焼鈍材を製造する。さらに、焼鈍材に対して冷間圧延とそれに続く歪除去焼鈍とを必要な回数だけ繰り返し、目的とする厚さを有する冷間圧延鋼帯を製造する。そして、冷間圧延鋼帯に焼入れ焼戻しを施して、刃物用ステンレス鋼が完成する。
さらに、刃物用ステンレス鋼は刃付けや切断などの加工工程を経て最終製品となる。なお、刃物用ステンレス鋼の市場における取引は、一般に、焼鈍材又は冷間圧延鋼帯のいずれかの形態でなされる場合が多い。
上述した刃物用ステンレス鋼において、焼入れ時の熱処理が短時間で高硬度が達成できる技術として従来から提案がなされている。例えば、代表的な例として、特開平5−39547号公報(特許文献1)では、ステンレスかみそり用鋼の炭化物密度を制御することで焼入れ時の短時間熱処理化が可能であることが開示されている。
特開平5−39547号公報
日本機械学会論文集(A編),2005年,71巻712号P.1722
上述したように、刃物用ステンレス鋼の焼入れ処理時間の短縮化や高硬度化に関しては、冷間圧延鋼帯の素性に着目した技術としては、従来から種々の提案がなされている。
しかしながら、熱間圧延後焼鈍前の中間素材の素性に着目した検討は少なく、当該中間素材の素性と、半製品として流通する焼鈍後焼入れ前の刃物用ステンレス鋼の焼鈍材の特性および冷間圧延鋼帯の炭化物分布との関係については、十分に解明されているとはいい難かった。
このため、前記中間素材の素性はいかにあるべきかについての知見が乏しいことに起因して、刃物用ステンレス鋼が本来有する優れた焼入れ特性を十分に引き出せていないという課題があった。
本発明の目的は、焼入れ時の短時間の熱処理で高硬度化が可能となる、炭化物分布に優れた刃物用ステンレス鋼の中間素材を提供するものである。
本発明者らは、刃物用ステンレス鋼の焼入れ性と硬度とを左右する炭化物の分布と、その炭化物の分布に及ぼす刃物用ステンレス鋼の中間素材の関係に着目して検討を行った。
まず、刃物用ステンレス鋼の中間素材の素性のうち焼鈍前の歪量が、前記中間素材焼鈍後の炭化物の分布に影響を与えていることを突き止めた。
そして、実質的にFCC相である刃物用ステンレス鋼の中間素材の熱間圧延の最終パスで歪を残留させることによって、SEM−EBSD法によるKAM値が0.5°以上となる場合や、或いは、エックス線回折におけるFCC相の(200)面の半価幅が0.3°以上となる場合に焼鈍後の炭化物の分布を改善することができることを見いだし本発明に到達した。
即ち本発明は、エックス線回折装置で測定したとき、80体積%以上のFCC相を有する熱間圧延後焼鈍前の刃物用ステンレス鋼の中間素材であって、組成が質量%でC:0.46〜0.72%、Si:0.15〜0.55%、Mn:0.45〜1.00%、Cr:12.5〜13.9%、Mo+W/2:0〜2.0%、残部はFeおよび不純物からなり、圧延面の表面からの深さが板厚の1/4の位置でのSEM−EBSD法によるKAM値が0.5°以上である刃物用ステンレス鋼の中間素材である。
また本発明は、前記圧延面の表面からの深さが板厚の1/4の位置でのエックス線回折におけるFCC相の(200)面の半価幅が0.3°以上である刃物用ステンレス鋼の中間素材である。
本発明の刃物用ステンレス鋼の中間素材を用いて製造した刃物用ステンレス鋼は焼入れ時に短時間の熱処理で高硬度化可能なため、特に、厚みの薄い剃刀などの用途に最適である。
試験片採取位置と評価面を示す模式図である。 本発明の刃物用ステンレス鋼の中間素材の焼鈍材の金属組織の一例を示す図面代用写真である。 比較例の刃物用ステンレス鋼の中間素材の焼鈍材の金属組織の一例を示す図面代用写真である。 本発明の刃物用ステンレス鋼の中間素材の焼鈍材の金属組織の一例を示す図面代用写真である。
上述したように、本発明の重要な特徴は、焼鈍前の中間素材における残留歪量を制御することにより、中間素材の焼鈍後の炭化物の分布を改善したことにある。
先ず、最も特徴的なKAM(Kernel-Average-Misorientation)値について説明する。
<SEM−EBSD法によるKAM値が0.50°以上>
本発明においては、残留歪が重要な役割をしている。本発明で規定するKAM値は、例えば、非特許文献1に残留歪の測定方法として、SEM(Scanning-Electron-Microscope)−EBSD(Electron-Backscatter-Diffraction)法(電子線後方散乱回折法(走査電顕−結晶方位解析))によるKAM値が記載されている。本発明者の検討によれば、上述した組成を有する刃物用ステンレス鋼の中間素材のSEM−EBSD法によるKAM値が、前記中間素材を用いて得られた刃物用ステンレス鋼の焼鈍材の炭化物分布と相関することを確認した。
具体的には、刃物用ステンレス鋼中間素材のSEM−EBSD法によるKAM値が0.50°未満であると、残留歪の少ない状態であるといえる。その後に焼鈍を行った場合、残留歪量の多い素材と比較して、粗大な炭化物が粒界に析出しやすくなる。その結果、例えば、刃物に用いる際に行われる焼入れ焼戻し後に靭性が低下する。そのため、SEM−EBSD法によるKAM値の平均値を0.50°以上とする必要がある。なお、KAM値は大きいほど残留歪が多く好ましいが、2.00°を超えると残留歪の位置によるばらつきが大きくなりやすくなるため、好ましいKAM値の上限は2.00°以下である。
次に、半価幅について説明する。
<エックス線回折におけるFCC相の(200)面の半価幅が0.3°以上>
本発明においては、残留歪が重要な役割をしており、半価幅と残留歪には相関があることが知られている。本発明者の検討によれば、上述した組成を有する刃物用ステンレス鋼の中間素材のエックス線回折における半価幅が、前記中間素材を用いて得られた刃物用ステンレス鋼の焼鈍材の炭化物分布と相関することを確認した。
具体的には、刃物用ステンレス鋼中間素材のエックス線回折におけるFCC相の(200)面の半価幅が0.3°未満であると、残留歪の少ない状態であるといえる。その後に焼鈍を行った場合、残留歪量の多い素材と比較して、粗大な炭化物が粒界に析出しやすくなる。その結果、例えば、刃物に用いる際に行われる焼入れ焼戻し後に靭性が低下する。そのため、エックス線回折におけるFCC相の(200)面の半価幅を0.3°以上とする必要がある。なお、半価幅は大きいほど残留歪が多く好ましいが、1.0°を超えると残留歪の位置によるバラツキが大きくなりやすくなるため、好ましい半価幅の上限1.0°以下である。
<圧延面の表面からの深さが板厚の1/4の位置>
本発明では、前述のSEM−EBSD法によるKAM値の測定や、或いは、エックス線回折におけるFCC相の(200)面の半価幅の測定は、圧延面の表面からの深さが板厚の1/4の位置を測定する。
本発明において「圧延面」とは図1に示すように、刃物用ステンレス鋼の中間素材の圧延時に圧延用ロールに接する面をいう。圧延面側を評価に使用する理由は、圧延によって導入される歪量は厚さ方向で不均一であるため、評価面と厚みを固定することで同一条件での評価を可能とするためである。
なお、本発明で表面からの深さが板厚の1/4の位置を選択したのは、表面近傍では熱間圧延時に歪が大きく導入されることで、再結晶によって生じる結晶粒径が小さくなるため、KAM値や半価幅の測定には適しておらず、一方、板厚の中間位置では最終パス時の圧下量が少なく、最終パスの有無による歪量の差が板厚の1/4の位置と比較して小さいため、KAM値や半価幅の差が出にくいからである。
また、エックス線回折におけるFCC相の(200)面の半価幅の測定についても前述と同じ理由で表面からの深さが板厚の1/4の位置を選択する。したのは、表面近傍では熱間圧延時に歪が大きく導入されることで、再結晶によって生じる結晶粒径が小さくなるため、半価幅の測定には適しておらず、一方、板厚の中間位置では最終パス時の圧下量が少なく、最終パスの有無による歪量の差が板厚の1/4の位置と比較して小さいため、半価幅の差が出にくいからである。
なお、半価幅の測定において、FCC相の(200)面を選択したのは、本発明で規定する組成の合金系において、前記の方位がエックス線回折において最大の強度を取るピークとなっているからである。(200)面以外では、ピーク強度が低いため、ひずみ量の違いによる半価幅への影響が(200)面と比較して小さい。そのため、(200)面の半価幅の測定で十分である。
次に、本発明で規定する基本的な特性を付与する合金組成について説明する。なお、各元素の含有量は質量%である。
<C:0.46〜0.72%>
Cを0.46〜0.72%としたのは、刃物として十分な硬度を達成し、かつ、鋳造・凝固時の共晶炭化物の晶出を最低限に抑制するためである。Cが0.46%未満であれば刃物として十分な硬度が得られない。また、0.72%を超えるとCr量とのバランスで共晶炭化物の晶出量が増加し刃付け時の刃欠けの原因となる。好ましいC量の下限は、0.50%であり、さらに好ましくは、0.65%である。また、好ましいC量の上限は、0.70%である。
<Si:0.15〜0.55%>
Siは精錬時の脱酸剤として添加する。十分な脱酸効果を得ようとすると、Siが0.15%以上は残存することとなる。一方、0.55%を超えると介在物量が増加し刃付け時の刃欠けの原因となる。そのため、Siは0.15〜0.55%とする。また、Siは焼戻し軟化抵抗を高める効果がある。Siを0.20%以上添加すると、更に硬度を高めることができる。そのため、好ましいSi量の下限は0.20%である。また、好ましいSi量の上限は、0.35%である。
<Mn:0.45〜1.00%>
MnもSiと同様に精錬時の脱酸剤として添加する。十分な脱酸効果を得ようとすると、Mnが0.45%以上は残存することとなる。一方、1.00%を超えると熱間加工性が低下する。そのためMnは0.45〜1.00%とする。好ましいMn量の下限は、0.65%である。また、好ましいMn量の上限は、0.85%である。
<Cr:12.5〜13.9%>
Crを12.5〜13.9%としたのは、十分な耐食性を達成し、かつ、鋳造・凝固時の共晶炭化物の晶出を最低限に抑制するためである。Crが12.5%未満であればステンレス鋼として十分な耐食性は得られず、13.9%を超えると共晶炭化物の晶出量が増加し刃付け時の刃欠けの原因となる。好ましいCr量の下限は13.0%である。また、好ましいCr量の上限は13.6%である。
<Mo+W/2:0〜2.0%>
MoおよびWは無添加(0%)であっても差し支えないが、耐食性を向上させる元素であるため必要に応じて2.0%を上限として添加することができる。しかし、Mo+W/2が2.0%を超えると固溶強化が強くなり、変形抵抗が高くなって熱間加工性を劣化させるためMo+W/2の含有量を0〜2.0%とする。
以上、述べた元素以外はFeおよび不純物とする。
代表的な不純物元素としては、P、S、Ni、V、Cu、Al、Ti、NおよびOがあり、これらの元素は不可避的に混入するものであるが、以下の範囲に規制することが好ましい。
P≦0.03%、S≦0.005%、Ni≦0.15%、V≦0.2%、Cu≦0.1%、Al≦0.01%、Ti≦0.01%、N≦0.05%およびO≦0.05%。
次に、本発明の刃物用ステンレス鋼の中間素材と前記中間素材を用いた焼鈍材の代表的な製造方法について説明をする。
まず、刃物用ステンレス鋼の素材を溶解・鋳造により製造する。溶解は、真空溶解、大気溶解、真空アーク再溶解、エレクトロスラグ再溶解等の方法を適用することが可能である。鋳造は、鋳型への鋳造や連続鋳造等により素材を得ることが出来る。必要に応じて得られた素材に均質化熱処理を行っても良い。さらに、熱間鍛造や熱間圧延による分塊工程を加えても良い。
その後、素材に熱間圧延を行う。圧下率80%以上で熱間圧延後の材料の温度が1000〜1250℃となる熱間圧延を行った後、最終の熱間圧延にて、材料の温度が900℃以下で圧下率が10%以上の熱間圧延を行い刃物用ステンレス鋼の中間素材を製造する。
最終の熱間圧延の温度を900℃以下としたのは、素材に残留歪を導入するためである。900℃を超える温度域では、動的な回復や再結晶が生じやすいため、残留歪が導入され難い。また、圧下率を10%以上としたのは、それ以下の圧下率では残留歪が十分導入されず、焼鈍時に炭化物が粒界に集中するためである。
また、このような熱間圧延を行った場合は、パーライト変態は十分におこらないため、中間素材は実質的にFCC相である。なお、本発明で言う「中間素材は実質的にFCC相」とは、エックス線回折装置で測定したとき、80体積%以上のものを指す。この時、残部は冷却中に形成されたマルテンサイトである。その具体的な評価方法については、後述の実施例で具体例を示す。
上述の製造方法で製造した刃物用ステンレス鋼の中間素材に800〜860℃、1〜100時間の焼鈍工程を行うことにより、炭化物が析出した刃物用ステンレス鋼の焼鈍材を製造する。
さらに上述の刃物用ステンレス鋼の焼鈍材を用いて厚さ0.5mm未満の刃物用ステンレス鋼の冷間圧延鋼帯を得る場合には、冷間圧延と焼鈍を繰り返すことにより、製造が可能となる。
上述した刃物用ステンレス鋼の冷間圧延鋼帯は、焼入れ、焼き戻し、刃付けを行い刃物とする場合は、必要に応じて焼入れ後にサブゼロ処理を行うことや、焼き戻し後表面にコーティングを行うこともある。
以下の実施例で本発明をさらに詳しく説明する。
溶解により、表1に示す化学成分を有する鋼塊(素材)を作製した。
Figure 0005645151
鋼塊から、熱間分塊工程にて幅350mm×厚さ50mmの熱間圧延用素材を組成1で2つ、組成2で1つ作製した。
組成1の前記熱間圧延用素材を1200℃に加熱し総圧下率が95%の熱間圧延(この熱間圧延後の材料の温度は1050℃)を行った後、最終の熱間圧延として、材料の温度が850℃で15%の圧下を施した本発明例の中間素材Aを作製した。
また、比較例として、最終の熱間圧延工程を省略した中間素材Bとして、前記組成1の前記熱間圧延用素材を1200℃に加熱し熱間圧延を行い、熱間圧延の材料の温度が1050℃で総圧下率が95%となる工程で中間素材Bを作製した。
更に、組成2の前記熱間圧延用素材を1200℃に加熱し総圧下率が95%の熱間圧延(この熱間圧延後の材料の温度は1050℃)を行った後、最終の熱間圧延として、材料の温度が850℃で15%の圧下を施した本発明例の中間素材Cを作製した。
上記の刃物用ステンレス鋼の中間素材1A、BおよびCの幅の中心付近より試験片を採取した。なお、試験片の採取位置は図1で示す位置であり、縦断面2を金属組織観察面の評価面とし、圧延面3をEBSDおよびエックス線回折の評価面とした。
採取した試験片の縦断面にて金属組織を観察した。また、EBSDおよびエックス線回折に用いる試験片は圧延面から板厚の1/4の深さの位置を鏡面研磨し、さらに電解研磨を行って調整した。表2には、各試料のEBSD法によるKAM値、半価幅及びエックス線回折法によるFCC量を示す。
前述の金属組織観察は、試験片の縦断面を鏡面に研磨した後、塩化第二鉄水溶液で腐食を行い、光学顕微鏡を用いて観察を行った。
KAM値は、ZEISS社製SEM(型番「ULTRA55」)と、TSL社製のEBSD測定・解析システムOIM(Orientation-Imaging-Micrograph)を用いて、測定領域を六角形の領域に区切り、区切られた各領域において、試料表面に入射させた電子線の反射電子から菊地パターンを得てその領域の方位を測定した。測定した方位データを同システムの解析ソフトOIM Analysisを用いて解析した。測定面積は100μm×100μmとし、隣接するピクセル間の距離は0.2μmとした。隣接するピクセル間の方位差が5°以上の境界を結晶粒界とみなした。
なお、KAM値は個々の測定点と近接の測定点のうち結晶粒界を除いた点との方位差の平均値を計算し、測定面全域を構成する全領域における平均値として計算した。
また、エックス線回折におけるFCC相量の測定には、(株)リガク製RINT2500を使用し、線源にはCoを用いて、電圧40kV、電流200mAの条件下で(200)α、(211)α、(200)γ、(220)γ、(311)γのそれぞれの面から得られる回折線強度比を用いて算出した。
次に、刃物用ステンレス鋼の中間素材A〜Cを用いて840℃×5時間の焼鈍を行った。その後、焼鈍後の素材から図1に示した圧延材の幅の中心付近を含み、評価面2として記す縦断面が金属組織観察面となるように試験片を採取した。焼鈍後の中間素材A、BおよびCの金属組織写真をそれぞれ図2〜図4に示す。
金属組織観察は、評価面を鏡面に研磨した後、塩化第二鉄水溶液で腐食を行い、走査型電子顕微鏡を用いて観察を行った。
Figure 0005645151
刃物用ステンレス鋼中間素材に焼鈍を施した場合、KAM値が0.5°以上の場合や、エックス線回折におけるFCC相の(200)面の半価幅が0.3°以上の場合には、図2及び図4より確認されるように、焼鈍後の炭化物が粒内により多く分布しており、良好な組織となっていることがわかる。一方、図3より確認されるように、KAM値が0.5未満の場合やエックス線回折におけるFCC相の(200)面の半価幅が0.3°未満の場合には、炭化物が粒界により粗大に析出している。この金属組織では、焼入時に炭化物が分解しにくく、焼入れ後も粗大な炭化物として残留し、靱性を低下させることが懸念される。
以上の結果から、KAM値が0.5°以上の刃物用ステンレス鋼の中間素材、または、エックス線回折におけるFCC相の(200)面の半価幅が0.3°以上の刃物用ステンレス鋼の中間素材を用いて焼鈍を行うことで、カミソリなどの刃物に好適な刃物用ステンレス鋼の金属組織を実現できることが確認された。
本発明の刃物用ステンレス鋼の中間素材を用いて製造した刃物用ステンレス鋼は炭化物の分布が良好であり、剃刀等への適用が期待できる。
1 刃物用ステンレス鋼の中間素材
2 縦断面
3 圧延面

Claims (2)

  1. エックス線回折装置で測定したとき、80体積%以上のFCC相を有する熱間圧延後焼鈍前の刃物用ステンレス鋼の中間素材であり、組成が質量%でC:0.46〜0.72%、Si:0.15〜0.55%、Mn:0.45〜1.00%、Cr:12.5〜13.9%、Mo+W/2:0〜2.0%、残部はFeおよび不純物からなり、圧延面の表面からの深さが板厚の1/4の位置でのSEM−EBSD法によるKAM値が0.50°以上であることを特徴とする刃物用ステンレス鋼の中間素材。
  2. エックス線回折装置で測定したとき、80体積%以上のFCC相を有する熱間圧延後焼鈍前の刃物用ステンレス鋼の中間素材であり、組成が質量%でC:0.46〜0.72%、Si:0.15〜0.55%、Mn:0.45〜1.00%、Cr:12.5〜13.9%、Mo+W/2:0〜2.0%、残部はFeおよび不純物からなり、圧延面の表面からの深さが板厚の1/4の位置でのエックス線回折におけるFCC相の(200)面の半価幅が0.3°以上であることを特徴とする刃物用ステンレス鋼の中間素材。
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